JP2013536821A - 活性化合物含有顆粒及び投与剤形の調製における、アミノ含有ポリマーに基づくコポリマーのマトリックス結合剤としての使用 - Google Patents
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Abstract
アミノ基を含有するポリマーに基づくコポリマーの、活性成分含有顆粒及び投与剤形を製造するマトリックス結合剤としての使用、a)N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、並びにb)α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸とCi〜Ceアルカノールとのエステルから選ばれる少なくとも一種のラジカル重合性化合物のラジカル重合により得られる、塩基性アミノ基を有するコポリマー(成分A)の、活性成分含有顆粒を製造するマトリックス結合剤としての使用。
【選択図】なし
【選択図】なし
Description
本発明は、活性化合物含有顆粒及びかかる顆粒を含む投与剤形を製造するための、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートを含むモノマー混合物のラジカル乳化重合によって得られる陽イオン性ポリマーに基づくマトリックス結合剤に関する。
製薬技術における結合剤は、粉末粒子を相互に接着させる物質である。顆粒又は錠剤等の成形体の三次元構造を作り出す結合剤に関しては、用語「マトリックス結合剤」も使用される。
(特許文献1)は、胃の中で可溶性であるコーティング材料で剤形をコーティングする方法を記載している。これらは、例えば、アクリル酸及び(メタ)アクリル酸と、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジエチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノプロパノール及びN−(ヒドロキシエチル)モルホリンとのエステル等の、アミノエステルの少なくとも一種が20〜80%の(メタ)アクリル酸のアクリレートコポリマーを含む。
(特許文献2)は、重合によって取り込まれたN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドを含有するコポリマーに基づくコーティング材料を記載している。この文献の教示によれば、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートに基づくコポリマーは、塩基性の環境においてエステル基がアミド基に比べてより早期に鹸化されるため、不利であると見なされる。
(特許文献3)は、同様に、水性ポリマー分散液を含む剤形用コーティング材料を記載しており、ポリマーは、カルボキシル基及び/又はモノアルキルアミノもしくはジアルキルアミノアルキルエステル基を有するモノマー10〜55重量%からなる。他の多くのものに加えて、ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAEMA)は好適なモノマーとして挙げられている。実際のDEAEMAに基づく乳化重合体は開示されていない。
(特許文献4)は、残留モノマー含量の低い医薬コーティング用結合剤の調製のために、ポリマー分散液のスプレー乾燥によって得られる粉末の、これらの剤形用コーティング溶液を生成するための使用を教示している。スプレー乾燥に使用される分散液に関しては、(特許文献1)、(特許文献2)及び(特許文献3)を参照している。
(特許文献5)は、その製造方法は記載していないが、a)少なくとも一種の塩基性アミノ基を有する少なくとも一種のフィルム形成性ポリマー、例えば、40%のN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートのコポリマーからの反芻動物用経口剤形のコーティングを記載している。
(特許文献6)は、反芻動物用の経口剤形のためのコーティングポリマーを記載しており、該ポリマーは、重合によって取り込まれた、a)少なくとも一種のN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、並びにb)ビニル性芳香族化合物及びその誘導体、ビニルエステル、(メタ)アクリル酸とアクリロニトリルとのエステルから選ばれる少なくとも一種のエチレン性不飽和化合物を含む。N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)及びtert−ブチルアミノエチルメタクリレート(TBAEMA)は、好適なモノマーa)として開示されている。特に、メチルメタクリレートは、脆弱すぎるコーティングを形成する傾向があるため、コモノマーb)としては不適であると見なされる。バルク、懸濁、溶液及び乳化重合が、好適な重合方法として記載されている。実施例中のコポリマーは、溶液重合によって生成された。
(特許文献7)は、液状のフィルム形成性コーティング材料のフィルムを適用することによる、剤形のコーティング方法を記載しており、該材料は第三級アンモニウム塩側基を有する、溶解した重合体を含有する。これらのポリマー溶液を生成するために、数ある手段の中でも、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートに基づくコポリマーは、水性の無機酸又は有機酸によって、アンモニウム塩の水溶液に変換することができる。
(特許文献8)は、(特許文献4)の追加出願であり、後者の文献の教示に従って、可塑剤をさらに含有する水性懸濁液の形態でスプレー乾燥することによって得られる粉末の、熱ゲル化によるコーティングを生成するための使用に関する。
(特許文献9)は、分岐鎖アルキレン又はアラルキレン基を有し、直鎖状に配列された少なくとも三つの炭素原子がアミノ基と(メタ)アクリレート基との間に位置する、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートに基づく乳化重合体を結合剤として含む、胃液中で可溶性又は膨潤性の剤形用のコーティング材料を記載している。
(特許文献10)及び(特許文献11)は、pH依存性の膨潤/溶解挙動を有するポリマー、及び剤形におけるその使用を記載している。
(特許文献12)は、第三級アミノ基を有するモノマー残基を有する(メタ)アクリレートコポリマーを含む、剤形用のコーティング材料及び結合剤の調製に関し、乾燥又は水性状態でのさらなる単純処理が可能であるとされる。これについて、この文献は、(a)第三級アンモニウム基を有する(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリレートモノマーのC1〜C4エステルのコポリマー、(b)可塑剤及び(c)少なくとも14のHLB値を有する乳化剤が一緒に混合され、溶融、鋳込み、拡散又はスプレーによってそこからコーティング材料又は結合剤が生成される方法を教示しており、コポリマー(a)は、1〜40μmの平均粒径を有する粉末の形態で適用される。得られる加工性は、極度に小さな粒度を有する粉末形態のコポリマー(a)の供給に起因する。
(特許文献13)は、(特許文献12)に記載のものに比べて水蒸気に対する透過性が改善されたコーティング及び結合剤に関する。コーティング及び結合剤は、(a)1〜40μmの平均粒径を有する粉末形態の(メタ)アクリル酸のC1〜C4エステル及び官能性第三級アンモニウム基を有する他の(メタ)アクリレートモノマーのコポリマー、(b)少なくとも14のHLB値を有する乳化剤、並びに(c)C12〜C18モノカルボン酸又はC12〜C18ヒドロキシル化合物を含有する混合物により生成される。
(特許文献14)は、組成に関して、(特許文献12)及び(特許文献13)に記載のものに相当するコーティング及び結合剤を記載している。
(特許文献15)によれば、タイプCのメタクリル酸コポリマーは崩壊剤として使用される。タイプCのメタクリル酸コポリマーは、酸性pHで不溶性であるが、口腔内等の約7のpHでは水溶性である腸溶性ポリマーである。低い破壊強度(20N未満)に加えて、錠剤は高い摩損度(7%超)を有し、およそ15重量%の高い割合で粗粒崩壊剤を有する。その結論として、粗粒崩壊剤の割合が高いため、それらは機械的強度が低く、且つ、口の中で不快なざらざらした感覚をもたらす。
糖アルコールに基づくマトリックス成分、崩壊剤及び不溶性ポリマーは、(特許文献16)によって医薬への応用について一般的に知られている。
本発明に従って使用されるN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートに基づく陽イオン性ポリマーの水性ポリマー分散液の生成及び医薬のコーティングのためのそれらの使用は、(特許文献17)により知られている。具体的に記載された唯一の使用は、コーティング剤中のフィルム形成剤としてであるが、一般に、ポリマーはコーティング剤及び結合剤に好適であるとも示唆されている。顆粒を生成するためのマトリックス結合剤としての使用は言及されていない。
強力な造粒効果、顆粒中の微細画分の減少、及び摩耗感受性の低い顆粒をもたらす、改善されたマトリックス結合剤を見出すことが本発明の目的である。打錠によってこれらの顆粒から生成される投与剤形は、圧縮圧が低い場合にさえ、高い強度を有し、且つ、急速に崩壊するはずである。
したがって、活性化合物含有顆粒の調製における、コポリマーのマトリックス結合剤としての使用が見出された。コポリマーは、
a)N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、
b)α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸とC1〜C8アルカノールとのエステルから選ばれる少なくとも一種のラジカル重合性化合物
からのラジカル重合よって得られるポリマーを成分Aとして含有する。
a)N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、
b)α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸とC1〜C8アルカノールとのエステルから選ばれる少なくとも一種のラジカル重合性化合物
からのラジカル重合よって得られるポリマーを成分Aとして含有する。
より特定すれば、活性化合物含有顆粒は、医薬品顆粒である。
以下において「結合剤」とも呼ばれるマトリックス結合剤は、場合により、さらに、
ii)成分Bしての、一種以上の抗酸化剤と、
iii)成分Cとしての、一種以上の可塑剤と、
iv)成分Dとしての、生理学的に許容可能な酸とを、
含んでもよい。
ii)成分Bしての、一種以上の抗酸化剤と、
iii)成分Cとしての、一種以上の可塑剤と、
iv)成分Dとしての、生理学的に許容可能な酸とを、
含んでもよい。
マトリックス結合剤は、液状結合剤として使用されることが好ましい。液状結合剤調製物が水性ポリマー分散液の形態で使用されることが、特に好ましい。
結合剤調製物は、調製物の総重量に対して、
i)1〜45重量%の成分A、
ii)0〜10重量%の成分B、
iii)0〜15重量%の成分C、
iv)0〜35重量%の成分D
を含みうる。
i)1〜45重量%の成分A、
ii)0〜10重量%の成分B、
iii)0〜15重量%の成分C、
iv)0〜35重量%の成分D
を含みうる。
好ましい結合剤調製物は、調製物の総重量に対して、
i)2〜40重量%の成分A、
ii)0〜10重量%の成分B、
iii)0〜12.5重量%の成分C、
iv)0〜30重量%の成分D
を含む。
i)2〜40重量%の成分A、
ii)0〜10重量%の成分B、
iii)0〜12.5重量%の成分C、
iv)0〜30重量%の成分D
を含む。
特に好ましい結合剤調製物は、調製物の総重量に対して、
i)5〜30重量%の成分A、
ii)0〜5重量%の成分B、
iii)0〜8重量%の成分C、
iv)0.1〜20重量%の成分D
を含む。
i)5〜30重量%の成分A、
ii)0〜5重量%の成分B、
iii)0〜8重量%の成分C、
iv)0.1〜20重量%の成分D
を含む。
さらに、調製物の総重量に対して、
i)5〜30重量%の成分A、
ii)0〜5重量%の成分B、
iii)0.1〜8重量%の成分C、
iv)0〜20重量%の成分D
を含む結合剤調製物が特に好ましい。
i)5〜30重量%の成分A、
ii)0〜5重量%の成分B、
iii)0.1〜8重量%の成分C、
iv)0〜20重量%の成分D
を含む結合剤調製物が特に好ましい。
成分A
モノマーa)
N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートが、本発明に従ってモノマーa)として使用される。
N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートが、本発明に従ってモノマーa)として使用される。
本発明に係る水性ポリマー分散液Pd)の生成のためには、成分a)は、重合に使用されるモノマーの総重量に対して、好ましくは25〜65重量%、特に好ましくは30〜60重量%、とりわけ38〜48重量%、特に43〜47重量%の量で使用される。
モノマーb)
成分b)は、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸とC1〜C8アルカノールとのエステルから選ばれる。
成分b)は、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸とC1〜C8アルカノールとのエステルから選ばれる。
好適な化合物b)は、メチル(メタ)アクリレート、メチルエタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、エチルエタクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルエタクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、1,1,3,3−テトラメチルブチル(メタ)アクリレート及びエチルヘキシル(メタ)アクリレートである。
特に好ましくは、メチルメタクリレート又はメチルメタクリレート含有モノマー混合物が、成分b)として使用される。
本発明に係る水性ポリマー分散液の生成のためには、成分b)は、重合に使用されるモノマーの総重量に対して、好ましくは35〜75重量%、特に好ましくは40〜70重量%、とりわけ52〜62重量%、特に53〜57重量%の量で使用される。
ポリマー分散液の生成に使用されるモノマー混合物M)は、少なくとも一種の他のモノマーc)をさらに含むことができる。追加のモノマーc)は、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸とC9〜C30アルカノール又はC2〜C30アルカンジオールとのエステル、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸と第一級又は第二級アミノ基を有するC2〜C30アミノアルコールとのアミド、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸の第一級アミド並びにそのN−アルキル及びN,N−ジアルキル誘導体、N−ビニルラクタム、開環N−ビニルアミド化合物、ビニルアルコール及びアリルアルコールとC1〜C30モノカルボン酸とのエステル、ビニルエーテル、ビニル性芳香族化合物、ビニルハライド、ビニリデンハライド、C2〜C8モノオレフィン、不飽和ニトリル、少なくとも二つの共役二重結合を有する非芳香族炭化水素、並びに、それらの混合物から選ばれることが好ましい。
好適な追加のモノマーc)は、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸とC9〜C30アルカノールとのエステル、例えば、n−ノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ウンデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、アラキニル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレート、セロチニル(メタ)アクリレート、メリシニル(メタ)アクリレート、パルミトレイニル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、リノリル(メタ)アクリレート、リノレニル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物である。
好適な追加のモノマーc)は、さらに、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸とC2〜C30アルカンジオールとのエステル、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルエタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、3−ヒドロキシ−2−エチルヘキシルアクリレート、3−ヒドロキシ−2−エチルヘキシルメタクリレート等である。
好適な追加のモノマーc)は、さらに、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸の第一級アミド並びにそのN−アルキル及びN,N−ジアルキル誘導体、例えば、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−(n−ブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(tert−ブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(n−オクチル)(メタ)アクリルアミド、N−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)(メタ)アクリルアミド、N−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(n−ノニル)(メタ)アクリルアミド、N−(n−デシル)(メタ)アクリルアミド、N−(n−ウンデシル)(メタ)アクリルアミド、N−トリデシル(メタ)アクリルアミド、Nミリスチル(メタ)アクリルアミド、N−ペンタデシル(メタ)アクリルアミド、N−パルミチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘプタデシル(メタ)アクリルアミド、N−ノナデシル(メタ)アクリルアミド、N−アラキニル(メタ)アクリルアミド、N−ベヘニル(メタ)アクリルアミド、N−リグノセリル(メタ)アクリルアミド、N−セロチニル(メタ)アクリルアミド、N−メリシニル(メタ)アクリルアミド、N−パルミトレイニル(メタ)アクリルアミド、N−オレイル(メタ)アクリルアミド、N−リノリル(メタ)アクリルアミド、N−リノレニル(メタ)アクリルアミド、N−ステアリル(メタ)アクリルアミド、N−ラウリル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、モルホリニル(メタ)アクリルアミドである。
他の好適な追加のモノマーc)は、一種以上のC1〜C6アルキル置換基等、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等を有してもよいN−ビニルラクタム及びその誘導体である。これらは、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−5−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−6−メチル−2−ピペリドン、N−ビニル−6−エチル−2−ピペリドン、N−ビニル−7−メチル−2−カプロラクタム、N−ビニル−7−エチル−2−カプロラクタム等を含む。好ましくは、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルカプロラクタムが使用される。
モノマーc)として好適な開環N−ビニルアミド化合物は、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−エチルアセトアミド、N−ビニルプロピオンアミド、N−ビニル−N−メチルプロピオンアミド及びN−ビニルブチルアミドである。
好適な追加のモノマーc)は、さらに、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブチル酸ビニル及びそれらの混合物である。
好適な追加のモノマーc)は、さらに、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン及びそれらの混合物である。
上記の追加のモノマーc)は、個別に、又は任意の混合物の形態で使用可能である。
本発明に係る水性ポリマー分散液の生成のためには、成分c)は、重合に使用されるモノマーの総重量に対して、0〜80重量%の量で使用されることが好ましい。特別な実施形態は、重合によって取り込まれる追加のモノマーc)を全く含まないポリマー分散液Pd)に関する。存在する場合、成分c)は、重合に使用されるモノマーの総重量に対して、好ましくは0.1〜70重量%、特に好ましくは1〜60重量%、とりわけ5〜50重量%の量で使用される。
モノマーc)が使用されないことが好ましい。
モノマーd)
ポリマー分散液の生成に使用されるモノマー混合物M)は、化合物a)以外に、ラジカル重合性α,β−エチレン性不飽和二重結合並びに一分子あたり少なくとも一つの陽イオン原性及び/又は陽イオン性基を有し、重合によって取り込まれる後者とは異なる少なくとも一種の他の化合物d)を含むことができる。
ポリマー分散液の生成に使用されるモノマー混合物M)は、化合物a)以外に、ラジカル重合性α,β−エチレン性不飽和二重結合並びに一分子あたり少なくとも一つの陽イオン原性及び/又は陽イオン性基を有し、重合によって取り込まれる後者とは異なる少なくとも一種の他の化合物d)を含むことができる。
好ましくは、成分d)の陽イオン原性又は陽イオン性基は、第一級、第二級及び第三級アミノ基及び第四級アンモニウム基等の窒素含有基である。好ましくは、窒素含有基は、第三級アミノ基又は第四級アンモニウム基である。荷電した陽イオン性基は、例えば、乳酸もしくは酒石酸等の一価もしくは多価カルボン酸、又はリン酸、硫酸及び塩酸等の鉱酸によるプロトン化、あるいは、例えばC1〜C4アルキルハライド又はスルフェート等のアルキル化剤による四級化のいずれかによってアミン窒素から生成することができる。前記アルキル化剤の例は、塩化エチル、臭化エチル、塩化メチル、臭化メチル、硫酸ジメチル及び硫酸ジエチルである。
好適な化合物d)は、例えば、DEAEMAとは異なる、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸及びジカルボン酸とアミノアルコールとのエステルである。好ましいアミノアルコールは、アミン窒素においてC1〜C8−モノ又はジアルキル化されたC2〜C12アミノアルコールである。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノブチル及びそれらの混合物が、これらのエステルの酸成分として好適である。好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの混合物が、これらのエステルの酸成分として使用される。
好適な追加の化合物d)は、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート及びN,N−ジメチルアミノシクロヘキシル(メタ)アクリレートである。
好適なモノマーd)は、さらに、上記のα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸と少なくとも一つの第一級又は第二級アミノ基を有するジアミンとのアミドである。第三級及び第一級又は第二級アミノ基を有するジアミンが好ましい。
これらは、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]メタアクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタアクリルアミド、N−[4−(ジメチルアミノ)ブチル]アクリルアミド、N−[4−(ジメチルアミノ)−ブチル]メタアクリルアミド、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]アクリルアミド、N−[4−(ジメチルアミノ)シクロヘキシル]アクリルアミド、N−[4−(ジメチルアミノ)シクロヘキシル]メタアクリルアミド等を含む。
好適なモノマーd)は、さらに、N,N−ジアリルアミン及びN,N−ジアリル−N−アルキルアミン並びにそれらの酸付加塩及び四級化生成物である。その場合、アルキルは、好ましくは、C1〜C24アルキルを意味する。N,N−ジアリル−N−メチルアミン及びN,N−ジアリル−N,N−ジメチルアンモニウム化合物、例えば、塩化物及び臭化物が好ましい。
好適なモノマーd)はさらに、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等のビニル及びアリル置換窒素複素環、2−及び4−ビニルピリジン、2−及び4−アリルピリジン等のビニル及びアリル置換ヘテロ芳香族化合物、並びにそれらの塩である。
本発明に係る水性ポリマー分散液Pd)の生成のために、存在する場合は、モノマーd)は、モノマーa)とモノマーd)との量の合計が、重合に使用されるモノマーの総重量に対して、好ましくは25〜65重量%、特に好ましくは30〜60重量%の範囲内にあるような量で使用される。
本発明に係る水性ポリマー分散液Pd)の生成のために、成分d)は、重合に使用されるモノマーの総重量に対して、好ましくは0〜50重量%の量で使用される。
すでに述べたように、驚くべきことに、本発明に係る及び本発明に従って使用される、DEAEMA(成分a))に基づくポリマー分散液Pd)が、特別に優れた特性プロフィールを有することが見出された。この特性プロフィールは、一般に、陽イオン原性/陽イオン性基を有する追加のモノマーを使用することなく達成することができる。したがって、特別な実施形態は、重合により取り込まれるいかなる追加のモノマーd)も含まないポリマー分散液Pd)に関する。
存在する場合、成分d)は、重合に使用されるモノマーの総重量に対して、好ましくは0.1〜40重量%、特に好ましくは1〜30重量%、とりわけ2〜25重量%の量で使用される。
本発明に係る方法の特に好ましい実施形態においては、
・ 重合に使用されるモノマーの総重量に対して43〜47重量%のN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートa)、及び
・ 重合に使用されるモノマーの総重量に対して53〜57重量%の少なくとも一種の化合物b)、特にメチルメタクリレート
からなるモノマー混合物M)が使用される。
・ 重合に使用されるモノマーの総重量に対して43〜47重量%のN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートa)、及び
・ 重合に使用されるモノマーの総重量に対して53〜57重量%の少なくとも一種の化合物b)、特にメチルメタクリレート
からなるモノマー混合物M)が使用される。
ラジカル乳化重合による重合体の生成については、国際公開第2009/016258号の開示に明確に言及されており、そこでは、生成及び好ましい実施形態及び実際の生成方法が詳細に記載されている。
本発明に係る分散液中に含有されるポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィーによって決定された、好ましくは30000〜500000、特に好ましくは60000〜140000、とりわけ80000〜120000g/モルの範囲内の平均分子量Mwを有する。
本発明に係る分散液Pd)中に含有されるポリマーは、(N−メチルピロリドン(NMP)中1%溶液についてフィッケンチャー法に従って決定された)40〜60の範囲内のK値を有することが好ましい。
(DSCにより決定された)ガラス遷移温度Tgは、好ましくは40〜70℃、特に好ましくは52〜62℃の範囲内にある。
本発明に従って使用される分散液中に含有されるポリマーは、本質的にランダムコポリマーである。
(分析用超遠心機によって決定された)ポリマー分散液中に含有されるポリマー粒子の平均粒径は、好ましくは70〜200nm、特に好ましくは80〜150nm、とりわけ90〜120nmの範囲内にある。粒径分布は、実質的に単峰型であることが好ましい。
水中0.01%分散液について決定された(2.5cmキュベット、白色光)、本発明に従って使用される分散液のLT値は、好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも80%である。光透過率の決定は、例えば、Dieter Distler, Aqueous Polymer Dispersions, Wiley-VCH (1999), p.40中に記載されている。
生成後に、本発明に従って使用される分散液の固形分は、好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは20〜40重量%である。限外濾過による分散液の精製の場合、本発明に係る分散液は、限外濾過の前後においてこの範囲内の固形分を有することが好ましい。もちろん、希釈されたポリマー分散液を限外濾過による濃縮に供することも可能である。
本発明に従って顆粒のためのマトリックス結合剤として使用される分散液は、例えば、30重量%の固形分においてさえ、好ましくは50mPas未満、特に好ましくは25mPas未満、とりわけ10mPas未満(Brookfield粘度計で20℃及び100秒−1において決定した値)の極端に低い粘度を有する。かかる低い粘度は、多くの応用のために特に重要である。
本発明に従って使用される分散液中に含有されるポリマーの電荷は、分散液のpHに依存する。等電点は、約7.5〜8.5の範囲内のpHであることが好ましい。調製された分散液は(30重量%の固形分において)、好ましくは8〜10、特に好ましくは8.5〜9.5の範囲内のpHを有する。分散液中に含有されるポリマー粒子の溶解又は膨潤が望まれない限り、調製された分散液のpHがその等電点より高くなるように(よりアルカリ性)選ばれることが有利である。したがって、本発明に係る分散液は、塩基性分散液であることが好ましい。
本発明に係るポリマー分散液は、pH依存性の溶解度を特徴とする。酸性化によって分散液が溶解するpH範囲は、例えば、重合によって取り込まれたN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート(モノマーa)の量、及び場合により、陽イオン原性/陽イオン性基を有する追加のモノマー(モノマーd)の使用によって調整することができる。本発明に係るポリマー分散液Pd)中に含有されるポリマーは、好ましくは最大6.8のpH、特に好ましくは最大6.0のpHにおいて溶解する。
好ましい実施形態によれば、
・ 重合に使用されるモノマーの総重量に対して43〜47重量%のN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートa)、及び
・ 重合に使用されるモノマーの総重量に対して53〜57重量%の少なくとも一種の化合物b)
を、重合により導入されるモノマーとして含有するポリマーを含むポリマー分散液が使用され、a)とb)の合計が100重量%である。
・ 重合に使用されるモノマーの総重量に対して43〜47重量%のN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートa)、及び
・ 重合に使用されるモノマーの総重量に対して53〜57重量%の少なくとも一種の化合物b)
を、重合により導入されるモノマーとして含有するポリマーを含むポリマー分散液が使用され、a)とb)の合計が100重量%である。
成分B
本発明に係るコーティング材料は、ポリマーに加えて、一種以上の抗酸化剤又は抗酸化剤の組合せ(「/」により示される)を含んでもよい。
基本的に、以下の剤、列挙された組合せ又は他の組合せが主として、放出安定性を改善するための抗酸化剤として好適である:
N−アセチルシステイン、アラントイン、アルギニン、アルギニン/ブチルヒドロキシトルエン、アルギニン/N−アセチルシステイン、パルミチン酸アスコルビル、アスパラギン酸、ビオチン、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシトルエン/炭酸カルシウム、ブチルヒドロキシトルエン/Na−EDTA、ブチルヒドロキシトルエン/N−アセチルシステイン、カルシウム−ビス[モノエチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)ホスホネート]、カテコール、クエン酸、システアミン、エチルヘキシルチオグリコレート、没食子酸、次亜リン酸、コーヒー酸、ヨウ化カリウム、クレアチン、クレアチニン、塩化銅(I)、塩化銅(II)、リシン、MEHQ、メチオニン、Na−EDTA、炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ノルジヒドログアヤレト酸、オロチン酸、ペニシラミン、リン酸、没食子酸プロピル、レスベラトロール、リボフラビン、スペルミジン、チオグリコール酸、トコフェロール、酢酸トコフェロール、トロメタモール、チロシン、酒石酸。
N−アセチルシステイン、アラントイン、アルギニン、アルギニン/ブチルヒドロキシトルエン、アルギニン/N−アセチルシステイン、パルミチン酸アスコルビル、アスパラギン酸、ビオチン、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシトルエン/炭酸カルシウム、ブチルヒドロキシトルエン/Na−EDTA、ブチルヒドロキシトルエン/N−アセチルシステイン、カルシウム−ビス[モノエチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)ホスホネート]、カテコール、クエン酸、システアミン、エチルヘキシルチオグリコレート、没食子酸、次亜リン酸、コーヒー酸、ヨウ化カリウム、クレアチン、クレアチニン、塩化銅(I)、塩化銅(II)、リシン、MEHQ、メチオニン、Na−EDTA、炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ノルジヒドログアヤレト酸、オロチン酸、ペニシラミン、リン酸、没食子酸プロピル、レスベラトロール、リボフラビン、スペルミジン、チオグリコール酸、トコフェロール、酢酸トコフェロール、トロメタモール、チロシン、酒石酸。
基本的に、以下の剤、列挙された組合せ又は他の組合せが主として、黄変に対する耐性を改善するために好適である:
オレイン酸、シメチコン、ブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸水素ナトリウム、トコフェロール、クエン酸二水素ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、トコフェロール、酢酸トコフェロール、アルギニン、ブチルヒトロキシトルエン/Na−EDTA、アセチルシステイン(N−アセチルシステイン)、ブチルヒドロキシトルエン、アラントイン、ブチルヒドロキシアニソール、炭酸ナトリウム、システアミン、N−アセチルシステイン。
オレイン酸、シメチコン、ブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸水素ナトリウム、トコフェロール、クエン酸二水素ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、トコフェロール、酢酸トコフェロール、アルギニン、ブチルヒトロキシトルエン/Na−EDTA、アセチルシステイン(N−アセチルシステイン)、ブチルヒドロキシトルエン、アラントイン、ブチルヒドロキシアニソール、炭酸ナトリウム、システアミン、N−アセチルシステイン。
好ましい抗酸化剤は、フェノールタイプの化合物である。好ましいフェノール化合物は、例えば、ブチルヒドロキシトルエン又はブチルヒドロキシアニソールであり、なぜならそれらは溶解の遅れ及び黄変の両方を完全に防止するからである。他の好適な製品は:カテコール、没食子酸又はそのエステル、トコフェロール、コーヒー酸、ハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、ノルジヒドログアヤレト酸、レスベラトロールである。
他の好ましい抗酸化剤は、N−アセチルシステイン、システアミン、チオグリコール酸等のチオール化合物である。
アルギニン及びリジン等の塩基性アミノ酸も好ましい。
アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属重炭酸塩、特に、ナトリウム塩、好ましくは炭酸ナトリウムも好ましい抗酸化剤である。
EDTA、特にNa−EDTA、又はクエン酸との組合せも好ましい。
N−アセチルシステイン、アルギニン、リシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシトルエン/Na EDTA及び炭酸ナトリウム又はそれらの組合せも特に好ましい。
記載したすべての化合物又は化合物クラスは、組み合わせて使用することもできる。
抗酸化剤は、液状結合剤調製物中の固形物の総量に対して、0.01〜30、好ましくは0.1〜20、特に好ましくは0.5〜12重量%の量で使用してもよい。
成分C
さらに、成分Cとして、本発明に係る液状結合剤は、可塑剤、好ましくは脂溶性の可塑剤を含んでもよい。特に好適な可塑剤は、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、セバシン酸ジエチル及びセバシン酸ジブチルである。
可塑剤は、液状結合剤調製物の固形分の総量に対して、1〜30、好ましくは2〜25、より好ましくは5〜20重量%の量で使用してもよい。
成分D
医薬投与剤形のために本発明に従って使用される液状結合剤は、さらに、成分Dとして、少なくとも一種の生理学的に許容可能な酸を含んでもよい。この酸は、塩基性ポリマーとの部分的ないし完全な塩形成をもたらす。完全な塩形成の場合、ポリマー溶液が形成される。
生理学的に許容可能な塩は、薬学部門、食品工学、及び隣接領域において使用可能であることが知られた酸、とりわけ、関係する薬局方(例えば、Ph. Eur.、USP、JP)、食品認可リスト及び書籍、Fiedler, H. P., Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete, 4th edn., Aulendorf: ECV-Editio-Cantor-Verlag, 1996、及びP. H. Stahl and C. G. Stahl, Handbook of Pharmaceutical Salts, Helvetica Chimica Acta, 2002中に列挙されたものである。
好適な酸の例は以下である:塩酸、硫酸、リン酸、炭酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、安息香酸、アジピン酸、グリコール酸、プロピオン酸、サリチル酸、マンデル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸。
酸は、液状結合剤調製物の固形分の総重量に対して、1〜50重量%、好ましくは2〜35重量%、より特定すれば5〜25重量%の量で使用することができる。
使用される量は、各場合において、使用される酸の分子量によって、成分A)のために達成されるべき中和の程度を含む因子に依存する。成分D)が使用される場合、成分A)の塩基性基の10モル%、好ましくは50モル%超、より好ましくは90〜100モル%の程度の部分的中和が少なくとも達成されるべきである。
本発明の一実施形態において、使用される液状結合剤調製物は、成分Aのみを含む水性分散液である(方法I)。
さらなる実施形態によれば、使用される液状結合剤調製物は、成分A)に加えてさらに成分B)を含む水性分散液である(方法II)。
さらなる好ましい実施形態によれば、液状結合剤調製物は、成分A)及びC)の組合せを含む(方法III)。
さらなる好ましい実施形態によれば、水性分散液は、成分A)及びD)の組合せを含み、水性分散液は、中和の程度に依存して水溶液に移行する(方法IV)。
さらなる実施形態は、成分A)、C)及びD)の組合せに関する(方法V)。
さらなる実施形態は、成分A)、B)及びC)の組合せに関する(方法VI)。
さらなる実施形態は、成分A)、B)及びD)の組合せに関する(方法VII)。
さらに、本発明は、液状結合剤が成分A)、B)、C)及びD)の組合せを含む実施形態にも関する(方法VIII)。
成分Aについての数量は、液状結合剤の総重量に関する。成分B)、C)及びD)についての数量は、液状結合剤の総固形分に関する。
量的範囲は、好ましくないか、好ましいか又は特別に好ましいかにかかわらず、顆粒又はそれから得られることのできる錠剤に関する特性プロフィールに依存して、異なる実施形態において自由に組み合わせることができる。したがって、例えば、望ましいか又は必要である場合、放出安定性は、成分Bを変化させることにより調整することができる。可塑剤(成分C))及び/又は成分D)(中和酸)の量を変化させることによって、機械的特性及び/又は放出プロフィールを調整することが可能である。
一つの好ましい実施形態によれば、調製物は、成分A)に対して2〜35重量%の成分D)を含み、分散液の総重量に対する成分A)の割合は2〜40重量%である。
他の好ましい実施形態によれば、調製物は、成分A)に対して2〜25重量%の成分C)を含み、分散液の総重量に対する成分A)の割合は2〜40重量%である。
他の好ましい実施形態によれば、調製物は、成分A)に対して0.1〜20重量%の成分B)を含み、分散液の総重量に対する成分A)の割合は2〜40重量%である。
他の好ましい実施形態によれば、調製物は、成分A)に対して2〜25重量%の成分C)及び2〜35重量%の成分D)を含み、分散液の総重量に対する成分A)の割合は2〜40重量%である。
一つの特別に好ましい実施形態によれば、調製物は、成分A)に対して2〜55重量%の成分D)を含み、分散液の総重量を基礎とする成分A)の割合は5〜30重量%である。
他の好ましい実施形態によれば、調製物は、成分A)に対して5〜20重量%の成分C)を含み、分散液の総重量を基礎とする成分A)の割合は5〜30重量%である。
他の好ましい実施形態によれば、調製物は、成分A)に対して0.5〜20重量%の成分B)を含み、分散液の総重量を基礎とする成分A)の割合は5〜30重量%である。
他の好ましい実施形態によれば、調製物は、成分A)に対して5〜20重量%の成分C)及び5〜25重量%の成分D)を含み、分散液の総重量を基礎とする成分A)の割合は5〜30重量%である。
上に確認した組成物の場合、成分A、B、C、D及び分散媒及び/又は溶媒の量を加えると100重量%となる。分散媒は、水又は水と水混和性有機溶媒との混合物である。
液状結合剤調製物は、本発明の一実施形態に従って、成分Aの水性分散液から出発して生成される。
成分B〜Dの水性ポリマー分散液中への取り込みは、一般に、撹拌による取り込み又は均質混合によって行われることができる。固体及び液体両方の成分B〜Dについて、それらをポリマー分散液への添加の前に水に溶解させることも、又は水で希釈することもできる。
一つの特定の実施形態において、記載されたポリマー(成分A)は、純粋な有機溶媒中の溶液として使用される。調製のためには、固体ポリマーを、例えば、エタノール、イソプロパノール、メタノール、アセトン、塩化メチレン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の好適な溶媒に溶解させる。
含水有機溶液の調製は、例えば、エタノール、イソプロパノール、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の水混和性溶媒をポリマー分散液に添加することによっても達成しうる。一般に、完全な溶解は、溶媒対ポリマー分散液の比率が、1:1超〜25:1であることを必要とする。
この有機又は含水有機溶液は、湿式造粒のための純粋な水性調製物のように使用されることができる。
液状結合剤調製物は、いかなる追加の有機溶媒も受け入れないことが好ましい。
本発明によれば、結合剤は医薬投与剤形、特に医薬品顆粒及びかかる顆粒を打錠することによって得られる錠剤を生成する役割を果たす。驚くべきことに、塩基性ポリマーが中和又は部分的に中和され、及び/又は可塑剤と混合されると、液状結合剤のかなりの活性増大が達成されることが可能である。液状結合剤は、摩耗に対して感受性がなく、少量の小さな微細画分を含み、したがって、あまり粉塵とならない安定な顆粒を生成する。これらの顆粒から生成された錠剤は、非常に硬く、摩耗に対する感受性が低く、非常に急速に崩壊する。結論として、本発明のポリマーは、高活性の液状結合剤の要件を理想的に満たす。
液状結合剤は、例えば、撹拌による取り込み及び本発明のポリマー分散液と少なくとも一種の賦形剤との均質混合によって、調製することができる。
本発明の液状結合剤は、水性分散液中で、又は完全中和形態の溶液として、注入、滴加又はスプレー導入によって用いてもよい。この湿った材料は、結合剤調製物を添加した後に乾燥される。流動床造粒の場合、スプレーによる導入及び乾燥は並行して行われる。
本発明に係る液状結合剤は、基本的に任意の医薬活性化合物の剤形に好適であり、かかる化合物は、孤立した又は保護された形態で投与可能であることが好ましく、抗うつ薬、βブロッカー、抗糖尿病薬、鎮痛剤、消炎剤、抗リューマチ剤、抗低血圧薬、抗高血圧薬、向精神薬、トランキライザー、制吐剤、筋肉弛緩剤、グルココルチコイド、潰瘍性大腸炎又はクローン病の治療のための剤、抗アレルギー剤、抗生物質、抗てんかん薬、抗凝固薬、抗真菌薬、鎮咳薬、動脈硬化剤、利尿薬、酵素、酵素阻害剤、抗痛風薬、ホルモン及びその阻害剤、強心配糖体、免疫治療剤及びサイトカイン、通じ薬、抗脂血症薬、胃腸治療剤、抗偏頭痛薬、ミネラル製剤、耳鼻科の薬、抗パーキンソン薬、甲状腺治療薬、鎮痙薬、抗血小板剤、ビタミン、細胞増殖抑制剤及び転移阻害剤、植物性製剤(phytopharmaceuticals)、化学療法剤、機能性食品、ビタミン、カロチノイド及びアミノ酸等である。
好適な活性化合物の例は:アカルボース、非ステロイド性抗リウマチ薬、強心配糖体、アセチルサリチル酸、ウイルス抑制剤(virustatic agent)、アクラルビシン、アシクロビル、シスプラチン、アクチノマイシン、α及びβ交感神経興奮薬、アロプリノール、アロセトロン、アルプロスタジル、プロスタグランジン、アマンタジン、アンブロキソール、アムロジピン、メトトレキセート、5−アミノサリチル酸、アミトリプチリン、アモキシシリン、アナストロゾール、アテノロール、アトルバスタチン、アザチオプリン、バルサラジド、ベクロメタゾン、ベタヒスチン、ベザフィブレート、ビカルタミド、ジアゼパム及びジアゼパム誘導体、ブデソニド、ブフェキサマク、ブプレノルフィン、メサドン、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カンデサルタン、カルバマゼピン、カプトプリル、セファロスポリン、セレコキシブ(celetoxib)、セチリジン及びテオフィリン誘導体、トリプシン、シメチジン、クラリスロマイシン、クラブラニン酸、クリンダマイシン、クロブチノール、クロニジン、コトリモキサゾール、コデイン、カフェイン、ビタミンD及びビタミンD誘導体、コレスチラミン、クロモグリク酸、クマリン及びクマリン誘導体、システイン、シタラビン、シクロホスファミド、シクロスポリン、シプロテロン、シタラビン、ダピプラゾール、デソゲストレル、デソニド、ジヒドララジン、ジルチアゼム、麦角アルカロイド、ジメンヒドリナート、ジメチルスルホキシド、ジメチコン、ジピリダモール、ドンペリドン及びドンペリドン誘導体、ドネペジル(donepzil)、ドパミン、ドキサゾシン、ドキソルビシン、ドキシラミン、ダピプラゾール、ベンゾジアゼピン、ジクロフェナク、グリコシド系抗生物質、デシプラミン、エコナゾール、ACE阻害剤、エナラプリル、エフェドリン、エピネフリン、エポエチン及びエポエチン誘導体、モルフィナン、カルシウム拮抗薬、イリノテカン、モダフィニル、オルリスタット、ペプチド抗生物質、フェニトイン、リルゾール、リセドロン酸、シルデナフィル、トピラマート、マクロライド系抗生物質、エソメプラゾール、エストロゲン及びエストロゲン誘導体、ゲスタゲン及びゲスタゲン誘導体、テストステロン及びテストステロン誘導体、アンドロゲン及びアンドロゲン誘導体、エテンザミド、エトフェナメート、エトフィブレート、フェノフィブレート、エトフィリン、エトポシド、ファムシクロビル、ファモチジン、フェロジピン、フェンタニル、フェンチコナゾール、ジャイレース阻害剤、フルコナゾール、フルダラビン、フルナリジン、フルオロウラシル、フルオキセチン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、フルタミド、フルバスタチン、フォリトロピン、フォルモテロール、ホスホマイシン、フロセミド、フシジン酸、ガランタミン、ガロパミル、ガンシクロビル、ゲムフィブロジル、ゲンタマイシン、イチョウ、セイヨウオトギリソウ、グリベンクラミド、経口糖尿病薬としての尿素誘導体、グルカゴン、グルコサミン及びグルコサミン誘導体、グルタチオン、グリセロール及びグリセロール誘導体、視床下部ホルモン、ゴセレリン、グアネチジン、ハロファントリン、ハロペリドール、ヘパリン及びヘパリン誘導体、ヒアルロン酸、ヒドララジン、ヒドロクロロチアジド及びヒドロクロロチアジド誘導体、サリチラート、ヒドロキシジン、イダルビシン、イホスファミド、イミプラミン、インドメタシン、インドラミン、インスリン、インターフェロン、ヨウ素及びヨウ素誘導体、イソコナゾール、イソプレナリン、グルシトール及びグルシトール誘導体、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ケトチフェン、ラシジピン、ランソプラゾール、レボドパ、レボメタドン(levomethadone)、甲状腺ホルモン、リポ酸及びリポ酸誘導体、リシノプリル、リスリド、ロフェプラミド、ロムスチン、ロペラミド、ロラタジン、マプロチリン、メベンダゾール、メベベリン、メクロジン、メフェナミン酸、メフロキン、メロキシカム、メピンドロール、メプロバメート、メロペネム、メサラジン、メスクシミド、メタミゾール、メトホルミン、メトトレキセート、メチルフェニデート、メチルプレドニソロン、メチキセン、メトクロプラミド、メトプロロール、メトロニダゾール、ミアンセリン、ミコナゾール、ミノサイクリン、ミノキシジル、ミソプロストール、マイトマイシン、ミゾラスチン、モエキシプリル、モルヒネ及びモルヒネ誘導体、マツヨイグサ、ナルブフィン、ナロキソン、チリジン、ナプロキセン、ナルコチン、ナタマイシン、ネオスチグミン、ニセルゴリン、ニケタミド、ニフェジピン、ニフルム酸、ニモジピン、ニモラゾール、ニムスチン、ニソルジピン、アドレナリン及びアドレナリン誘導体、ノルフロキサシン、ノバミンスルホン(novamine sulfone)、ノスカピン、ナイスタチン、オフロキサシン、オランザピン、オルサラジン、オメプラゾール、オモコナゾール、オンダンセトロン、オルリスタット、オセルタミビル、オキサセプロール、オキサシリン、オキシコナゾール、オキシメタゾリン、パントプラゾール、パラセタモール、パロキセチン、ペンシクロビル、経口ペニシリン、ペンタゾシン、ペンチフィリン、ペントキシフィリン、ペルフェナジン、ペチジン、植物抽出物、フェナゾン、フェニラミン、バルビツール酸誘導体、フェニルブタゾン、フェニトイン、ピモジド、ピンドロール、ピペラジン、ピラセタム、ピレンゼピン、ピリベジル、ピロキシカム、プラミペキソール、プラバスタチン、プラゾシン、プロカイン、プロマジン、プロピベリン、プロプラノロール、プロピフェナゾン、プロスタグランジン、プロチオナミド、プロキシフィリン、クエチアピン、キナプリル、キナプリラート、ラミプリル、ラニチジン、レプロテロール、レセルピン、リバビリン、リファンピシン、リスペリドン、リトナビル、ロピニロール、ロシグリタゾン、ロキサチジン、ロキシスロマイシン、ルスコゲニン、ルトシド及びルトシド誘導体、サバジラ、サルブタモール、サルメテロール、スコポラミン、セレギリン、セルタコナゾール、セルチンドール、セルトラリン、ケイ酸塩、シンバスタチン、シトステロール、ソタロール、スパグルム酸、スパルフロキサシン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、スピラプリル、スピロノラクトン、スタブジン、ストレプトマイシン、スクラルファート、スフェンタニル、スルバクタム、スルホンアミド、スルファサラジン、スルピリド、スルタミシリン、スルチアム、スマトリプタン、塩化スキサメトニウム、タクリン、タクロリムス、タリノロール、タモキシフェン、タウロリジン、タザロテン、テガセロッド、テマゼパム、テニポシド、テノキシカム、テラゾシン、テルビナフィン、テルブタリン、テルフェナジン、テルリプレシン、テルタトロール、テトラサイクリン、テトリゾリン、テオブロミン、テオフィリン、ブチジン(butizine)、チアマゾール、フェノチアジン、チオテパ、チアガビン、チアプリド、プロピオン酸誘導体、チクロピジン、チモロール、チニダゾール、チオグアニン、チオキソロン、チロプラミド、チザニジン、トラゾリン、トルブタミド、トルカポン、トルナフタート、トルペリゾン、トポテカン、トラセミド、抗エストロゲン剤、トラマドール、トラマゾリン、トランドラプリル、トラニルシプロミン、トラピジル、トラゾドン、トリアムシノロン及びトリアムシノロン誘導体、トリアムテレン、トリフルペリドール、トリフルリジン、トリメトプリム、トリミプラミン、トリペレナミン、トリプロリジン、トリホスファミド、トロマンタジン、トロメタモール、トロパルピン(tropalpine)、トロキセルチン、ツロブテロール、チラミン、チロトリシン、ウラピジル、ウルソデオキシコール酸、ケノデオキシコール酸、バラシクロビル、バルデコキシブ、バルプロ酸、バンコマイシン、塩化ベクロニウム、ベンラファキシン、ベラパミル、ビダラビン、ビガバトリン、ビロキサジン、ビンブラスチン、ビンカミン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビンポセチン、ビキジル、ワーファリン、ニコチン酸キサンチノール、キシパミド、ザフィルルカスト、ザルシタビン、ザナミビル、ジドブジン、ゾルミトリプタン、ゾルピデム、ゾピクロン、ゾテピン等である。
活性化合物は、所望により、医薬として許容可能な塩又は誘導体の形態で使用することもでき、キラル活性化合物の場合には、光学活性異性体及びラセミ体の両方又はジアステレオマー混合物が使用することができる。所望により、本発明に係る組成物は、二種以上の医薬活性化合物を含むこともできる。
本発明によれば、顆粒は、カプセル、サシェ又は例えば、ガラスもしくはプラスチック製の粉末瓶等のバルク製品パックに詰め込むことができる。次いで、顆粒はしばしば圧縮されて錠剤を形成する。錠剤はタイプによって活性化合物を速やかに、又は遅れて放出することができ、それらはさらに加工されてフィルムコーティングされた錠剤を形成してもよい。唾液中でポリマーが不溶性である結果、医薬の苦み及びまずい味がしばしば覆い隠される。これは、造粒の間、味のマスキング効果が達成可能であることを意味する。それにもかかわらず、胃の内部では、活性化合物の投与剤形からの放出は非常に急速である。したがって、本発明のポリマーの造粒における使用は、以下の多くの利点:安定な顆粒及び安定な錠剤、高い流動性、優れた味のマスキング、胃の中での活性化合物の急速な放出を有する。
驚くべきことに、本発明のポリマーによって、水中で溶解度の低い医薬でさえ、速放投与剤形を提供するように加工することができる。水中で溶解度の低い医薬は、1部の医薬を溶解させるために、少なくとも100部の水が必要とされる医薬である。これは、1部の医薬を溶解させるために少なくとも10000部の水が必要とされる、事実上不溶性の医薬も包含する。
錠剤又は他の投与剤形もしくは剤形の生成のためには、顆粒は、さらなる慣用の医薬用賦形剤と混合することもできる。
これらは、充填剤、可塑剤、溶解促進剤、結合剤、ケイ酸塩、並びに、崩壊剤、吸着剤、潤滑剤、流動化剤(flow agent)、着色剤、安定化剤、例えば、抗酸化剤、湿潤剤、保存剤、離型剤、風味剤又は甘味料、好ましくは充填剤、崩壊剤及び潤滑剤のクラスから選ばれる物質である。
添加することのできる充填剤は、例えば、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素の酸化物、炭酸チタニウム又は炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はマグネシウム等の無機充填剤、あるいは、乳糖、ショ糖、ソルビトール又はマンニトール等の有機充填剤を含む。
好適な可塑剤としては、トリアセチン、クエン酸トリエチル、グリセロールモノステアレート、低分子量ポリエチレングリコール又はポロキサマーが挙げられる。
好適な追加の溶解補助剤は、11超のHLB(親水性親油性バランス)値を有する界面活性物質を含み、例として、エチレンオキシド40単位でエトキシル化された水素化ヒマシ油(Cremophor(登録商標)RH40)、エチレンオキシド35単位でエトキシル化されたヒマシ油(Cremophor eL)、ポリソルベート80、ポロキサマー又はラウリル硫酸ナトリウムがある。
使用することのできる潤滑剤は、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム及びスズのステアレート、並びにケイ酸マグネシウム、ステアリン酸等の遊離脂肪酸、例えば、ポロキサマー、フマル酸ステアリルナトリウム等を含む。
使用することのできる流動化剤の例は、タルク又はコロイド状二酸化ケイ素である。
好適な結合剤の例は、微結晶性セルロースである。
崩壊剤は、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、L−HPC、又は架橋ナトリウムカルボキシメチルデンプンであることができる。
可能な安定化剤は、アスコルビン酸又はトコフェロールである。
着色剤は、投与剤形を着色するためには、例えば、酸化鉄、二酸化チタニウム、トリフェニルメタン染料、アゾ染料、キノリン染料、インディゴスズ染料、カロテノイドであり、透明性を低下させるため及び着色剤を節約するためには、二酸化チタニウム又はタルク等の乳白剤である。
以下の実施例は、本発明を制限することなく、より詳細に例解することを目的とする。
使用される略語:
d:日数
s:秒数
DE:完全に脱ミネラル化されたこと
RRSB:Rosion,Rammler,Sperling and Bennett粒径分布;36.8%のふるい残留物を有する粒径に相当する平均粒径(Ingfried Zimmermann, Pharmazeutische Technologie, Springer Verlag, 1998, 276〜278)。摩損度及び破壊強度は、欧州薬局方第7版第1巻に従って決定した。
d:日数
s:秒数
DE:完全に脱ミネラル化されたこと
RRSB:Rosion,Rammler,Sperling and Bennett粒径分布;36.8%のふるい残留物を有する粒径に相当する平均粒径(Ingfried Zimmermann, Pharmazeutische Technologie, Springer Verlag, 1998, 276〜278)。摩損度及び破壊強度は、欧州薬局方第7版第1巻に従って決定した。
Granulac(登録商標)230:ラクトース、微粉末
Kollidon(登録商標)CL:架橋ポリビニルピロリドン(Crospovidon)、平均粒径120μm
Kollidon(登録商標)30:K値30を有するポリビニルピロリドン(水中の重量基準濃度1%において)
Kollidon(登録商標)CL:架橋ポリビニルピロリドン(Crospovidon)、平均粒径120μm
Kollidon(登録商標)30:K値30を有するポリビニルピロリドン(水中の重量基準濃度1%において)
すべてのパーセントは、特記されない限り、重量%に関する。
陽イオン性ポリマー:
ポリマーの生成を、国際公開第2009/016258号の実施例1のとおりに実施する。
ポリマーの生成を、国際公開第2009/016258号の実施例1のとおりに実施する。
ポリマーA:メチルメタクリレート/ジエチルアミノエチルメタクリレート、重量比60:40
ポリマーB:メチルメタクリレート/ジエチルアミノエチルメタクリレート、重量比55:45
ポリマーC:メチルメタクリレート/ジエチルアミノエチルメタクリレート、重量比53:47
N−メチルピロリドン中、重量基準1で測定したK値は:
ポリマーA:50.1
ポリマーB:48.1
ポリマーC:52.4
であった。
ポリマーB:メチルメタクリレート/ジエチルアミノエチルメタクリレート、重量比55:45
ポリマーC:メチルメタクリレート/ジエチルアミノエチルメタクリレート、重量比53:47
N−メチルピロリドン中、重量基準1で測定したK値は:
ポリマーA:50.1
ポリマーB:48.1
ポリマーC:52.4
であった。
ポリマーは、9+/−0.3のpHを有する30重量%水性分散液として使用した。一次分散液の平均粒径は、110nmであった。
投与剤形からの放出を、米国薬局方(USP32)中の「溶解」に記載のパドルスターラーを備えた装置を使用して決定した。
(実施例1)
垂直ミキサー中における賦形剤混合物の造粒
垂直ミキサー中における賦形剤混合物の造粒
結合剤調製物の生成
1.1.Kollidon 30(比較例)
45gのKollidon 30を255gの水に溶解した。
1.1.Kollidon 30(比較例)
45gのKollidon 30を255gの水に溶解した。
1.2.陽イオン性ポリマーA
陽イオン性ポリマーAの水性分散液150gを150gの水と混合した。
陽イオン性ポリマーAの水性分散液150gを150gの水と混合した。
1.3 完全に中和された陽イオン性ポリマーA
150gの水性分散液を、56.5gの水で希釈し、次いで、97mlの1N HCl溶液と混合した。97mlの1N HCl溶液は、3.5gのHClを含んでいた。
150gの水性分散液を、56.5gの水で希釈し、次いで、97mlの1N HCl溶液と混合した。97mlの1N HCl溶液は、3.5gのHClを含んでいた。
リン酸水素カルシウム及びGranulac230を、Diosna撹拌容器中に量り分けた。Diosnaミキサー(400rpmスターラー/2200rpmチョッパー)中でこの混合物を1分間混合した。85gの15.0%結合剤溶液を、持続的に撹拌しながら45秒間にわたってシリンジにより撹拌コンテナに添加した(400rpmスターラー/2200rpmチョッパー)。ミキサーへの結合剤溶液の添加に続いて、3分間の混合時間とした。その後、湿った材料を、メッシュサイズ0.8mmのふるいを通過させ、湿潤顆粒を25℃の空気中のラック上で少なくとも12時間乾燥させた。その後、乾燥した顆粒を再びメッシュサイズ0.8mmのふるいを通過させた。
崩壊剤及び潤滑剤を、メッシュサイズ0.8mmのふるいを通過させ、次いで、顆粒に添加した。材料の全体量をガラス瓶に導入して、これを密封し、Turbulaミキサー中で5分間混合した。
10kNの偏心プレス(Korsch製、XP1)において打錠用混合物を打錠して、10mmの直径を有する二平面型錠剤(biplanar tablet)を形成した。錠剤重量は、500mgであった。
Rhewum製のLPS200 MCエアジェットふるいを使用して顆粒の摩損度を決定した。最初に、20m3/時間の低いエアースループット及び1分のふるい分け時間でのふるい分けにより、125μm未満の微細画分を除去した。その後、残渣を量り、75m3/時間の空気流で3分間処理した(重い負荷)。ここで残った残渣を再び量った。摩損度を、相違により示し、微細画分のふるいによる除去後の残渣のパーセントで表す。
(実施例2)
垂直ミキサー中での活性化合物/賦形剤混合物の造粒
垂直ミキサー中での活性化合物/賦形剤混合物の造粒
リン酸水素カルシウム及びビタミンCを、Diosna撹拌容器中に量り分けた。Diosnaミキサー(400rpmスターラー/2200rpmチョッパー)中でこの混合物を1分間混合した。90gの15.0%結合剤溶液を、持続的に撹拌しながら45sにわたってシリンジにより撹拌コンテナに添加した(400rpmスターラー/2200rpmチョッパー)。ミキサーへの結合剤溶液の添加に続いて、3分の混合時間とした。混合物全体を最適に湿潤させるために、必要に応じて水を添加した。その後、湿った材料を、メッシュサイズ0.8mmのふるいを通過させ、湿潤顆粒を25℃の空気中のラック上で少なくとも12時間乾燥させた。その後、乾燥した顆粒を再びメッシュサイズ0.8mmのふるいを通過させた。
崩壊剤及び潤滑剤を、メッシュサイズ0.8mmのふるいを通過させ、次いで、顆粒に添加した。材料の全体量をガラス瓶に導入して、これを密封し、Turbulaミキサー中で5分間混合した。
(実施例3)
流動床中でのビタミンCの造粒
流動床中での造粒用結合剤溶液の調製
流動床中でのビタミンCの造粒
流動床中での造粒用結合剤溶液の調製
3.1.Kollidon 30(比較用)
75gのKollidon 30を675gの水に溶解した。
75gのKollidon 30を675gの水に溶解した。
3.2.陽イオン性ポリマーC
250gの陽イオン性ポリマーの30%分散液を500gの水と混合した。
250gの陽イオン性ポリマーの30%分散液を500gの水と混合した。
3.3.完全に中和された陽イオン性ポリマーC
250gの30%分散液を、344gの水で希釈し、次いで、撹拌しながら162mlの1N HCl溶液と混合した。162mlの1N HCl溶液は、5.9gのHClを含む。
250gの30%分散液を、344gの水で希釈し、次いで、撹拌しながら162mlの1N HCl溶液と混合した。162mlの1N HCl溶液は、5.9gのHClを含む。
3.4.ポリマーに対して15%の可塑剤を伴った陽イオン性ポリマーC
11.25gの可塑剤を500gの水で希釈し、次いで、250gの30%分散液にゆっくりと添加した。
11.25gの可塑剤を500gの水で希釈し、次いで、250gの30%分散液にゆっくりと添加した。
(粒径45μmの粉末の形態の)ビタミンCを、Glatt WSG GPC G3の造粒容器中に量り分け、5分間加熱した。体積流量は、87m3/時間であり、給気の温度は55℃であった。30分にわたって600gの10.0%濃度結合剤溶液をビタミンCにスプレーした。スプレーを行った後、55℃の給気温度で5分間、顆粒を乾燥させた。乾燥した顆粒を次いで再び0.8mmのメッシュサイズのふるいを通過させた。
崩壊剤及び潤滑剤を、メッシュサイズ0.8mmのふるいを通過させ、次いで、顆粒に添加した。材料全体をガラス瓶に導入して、これを密封し、Turbulaミキサー中で5分間混合した。
(実施例4)
含水有機ポリマー溶液による、流動床中でのパラセタモールの造粒
含水有機ポリマー溶液による、流動床中でのパラセタモールの造粒
流動床中での造粒のための結合剤溶液の調製
500gの陽イオン性ポリマーCの30%分散液を、撹拌しながら1000gのイソプロパノールとゆっくりと混合し、清澄な溶液が形成されるまで撹拌を持続した。
500gの陽イオン性ポリマーCの30%分散液を、撹拌しながら1000gのイソプロパノールとゆっくりと混合し、清澄な溶液が形成されるまで撹拌を持続した。
パラセタモールを、Glatt WSG GPC G3の造粒容器中に量り分け、5分間加熱した。体積流量は、87m3/時間であり、給気の温度は40℃であった。30分にわたって1200gの10.0%濃度結合剤溶液をパラセタモールにスプレーした。スプレーを行った後、40℃の給気温度で5分間、顆粒を乾燥させた。乾燥した顆粒を次いで再び0.8mmのメッシュサイズのふるいを通過させた。
Kollidon CL、微結晶性セルロース及びポリエチレングリコールを、メッシュサイズ0.8mmのふるいを通過させ、次いで、顆粒に添加した。材料全体をガラス瓶に導入して、これを密封し、Turbulaミキサー中で5分間混合した。
錠剤は苦い味を有していなかった。
Claims (17)
- a)N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、並びに
b)α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸とC1〜C8アルカノールとのエステルから選ばれる、少なくとも一種のラジカル重合性化合物
のラジカル重合により得られる、塩基性アミノ基を有するコポリマー(成分A)の、活性化合物含有顆粒の調製におけるマトリックス結合剤としての使用。 - 成分A)として、
a)重合に使用されるモノマーの総重量に対して、43〜47重量%のN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、及び
b)重合に使用されるモノマーの総重量に対して、53〜57重量%のメチルメタクリレート
のコポリマーが使用される、請求項1に記載の使用。 - マトリックス結合剤が、液状結合剤調製物の形態で使用される、請求項1又は2に記載の使用。
- マトリックス結合剤が、水性又は含水有機分散液又は溶液の形態で使用される、請求項2又は3に記載の使用。
- マトリックス結合剤が、
ii)成分Bとしての、一種以上の抗酸化剤と、
iii)成分Cとしての、一種以上の可塑剤と、
iv)成分Dとしての、生理学的に許容可能な酸と
からなる群から選ばれる一種以上の成分と組み合わせて使用される、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。 - 成分B)として、N−アセチルシステイン、アルギニン、リシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシトルエン/Na EDTA及び炭酸ナトリウム又はそれらの組合せからなる群から選ばれる化合物が使用される、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
- 成分C)として、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、セバシン酸ジエチル及びセバシン酸ジブチル又はそれらの組合せからなる群から選ばれる化合物が使用される、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
- 成分D)として、塩酸、硫酸、リン酸、炭酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、安息香酸、アジピン酸、グリコール酸、プロピオン酸、サリチル酸、マンデル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、又はそれらの組合せからなる群から選ばれる化合物が使用される、請求項1〜7のいずれかに記載の使用。
- 塩基性アミノ基が部分的又は完全に中和された形態で存在する成分A)が使用される、請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
- 活性化合物含有顆粒のためのマトリックス結合剤の成分A)として、塩基性アミノ基を保持し、a)N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、並びにb)α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸又はジカルボン酸とC1〜C8アルカノールとのエステルから選ばれる少なくとも一種のラジカル重合性化合物からラジカル重合によって得られるコポリマーを含む、湿式造粒用の結合剤調製物。
- 成分A)として、a)重合に使用されるモノマーの総重量に対して、43〜47重量%のN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、及びb)重合に使用されるモノマーの総重量に対して、53〜57重量%のメチルメタクリレートのラジカル重合によって得られるポリマーを含む、請求項10に記載の結合剤。
- 水性又は含水有機分散液又は溶液の形態である、請求項10又は11に記載の結合剤。
- 結合剤調製物の総重量に対して、
i)1〜45重量%の成分A、
ii)成分Bとして、0〜10重量%の一種以上の抗酸化剤、
iii)成分Cとして、0〜15重量%の一種以上の可塑剤、
iv)成分Dとして、0〜35重量%の一種以上の生理学的に許容可能な酸
を含む、請求項10〜12のいずれかに記載の結合剤調製物。 - 分散液の総重量に対して、
i)5〜30重量%の成分A、
ii)0〜5重量%の成分B、
iii)0〜8重量%の成分C、
iv)0.1〜20重量%の成分D
を含む、請求項10〜13のいずれかに記載の結合剤調製物。 - 分散液の総重量に対して、
i)5〜30重量%の成分A、
ii)0〜5重量%の成分B、
iii)0.1〜8重量%の成分C、
iv)0〜20重量%の成分D
を含む、請求項10〜14のいずれかに記載の結合剤調製物。 - 成分A)の塩基性アミノ基が、部分的又は完全に中和された形態で存在する、請求項10〜15のいずれかに記載の結合剤調製物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の使用により得られる、活性化合物含有投与剤形。
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