JP2013530336A - 圧縮自己着火式エンジンの始動装置および始動方法 - Google Patents

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Abstract

圧縮自己着火式エンジンの自動停止時に、燃料噴射弁(15)からの燃料噴射を停止する燃料カットが実行されるとともに、吸気絞り弁(30)の開度が全閉にされてその状態が少なくとも最終TDCまで維持される。さらに、最終TDC通過時のエンジン回転速度(Net)が予め定められた特定速度範囲(P)内に収まるように、上記燃料カット後における補機(32)の動作が制御されてエンジン負荷が調節される。これにより、停止圧縮気筒(2C)のピストン(5)が、上死点と下死点との間の中間位置(CAx)よりも下死点側に設定された目標位置に高い精度で停止し、エンジンの再始動時間が短縮される。

Description

本発明は、気筒内に噴射された燃料を自己着火により燃焼させる圧縮自己着火式エンジンに対し予め定められた所定の自動停止条件が成立したときに上記エンジンを自動的に停止させるとともに、その後所定の再始動条件が成立したときに、スタータモータを用いて上記エンジンに回転力を付与しつつ、停止時に圧縮行程にある気筒である停止圧縮気筒に対し燃料噴射を実行することにより、上記エンジンを再始動させる圧縮自己着火式エンジンの始動装置および始動方法に関する。
ディーゼルエンジンに代表される圧縮自己着火式エンジンは、一般に、ガソリンエンジンのような火花点火式エンジンよりも熱効率に優れ、排出されるCO2の量も少ないことから、近年、車載用エンジンとして広く普及しつつある。
上記のような圧縮自己着火式エンジンにおいて、より一層のCO2の削減を図るには、アイドル運転時等にエンジンを自動的に停止させ、その後車両の発進操作等が行われたときにエンジンを自動的に再始動させる、いわゆるアイドルストップ制御の技術を採用することが有効であり、そのことに関する種々の研究もなされている。
例えば、下記特許文献1には、所定の自動停止条件が成立したときにディーゼルエンジンを自動的に停止させ、所定の再始動条件が成立すると、スタータモータを駆動しながら燃料噴射を実行してディーゼルエンジンを再始動させるディーゼルエンジンの制御装置において、停止時(停止完了時)に圧縮行程にある気筒である停止圧縮気筒のピストン停止位置に基づき、最初に燃料を噴射する気筒を可変的に設定することが開示されている。
具体的に、同文献では、ディーゼルエンジンが自動停止されると、その時点で圧縮行程にある停止圧縮気筒のピストン位置を求め、そのピストン位置が予め定められた適正位置(例えば圧縮上死点前120度CAから100度CAまでの範囲)にあるか否かを判定し、適正位置にあるときには、上記停止圧縮気筒に最初の燃料を噴射する一方、上記適正位置よりも上死点側にあるときには、停止時に吸気行程にある気筒である停止吸気気筒に最初の燃料を噴射するようにしている。
このような構成によれば、停止圧縮気筒のピストンが上記適正位置にあるときには、停止圧縮気筒に燃料を噴射することでその燃料を確実に自着火させることができ、比較的短時間でエンジンを再始動させることができる。一方、停止圧縮気筒のピストンが上記適正位置から上死点側に外れているときには、そのピストンによる圧縮代が少なく気筒内の空気が十分に高温化しないことから、停止圧縮気筒に燃料を噴射しても失火が起きるおそれがある。そこで、このような場合には、停止圧縮気筒ではなく停止吸気気筒に燃料を噴射することで、筒内の空気を十分に圧縮して確実に燃料を自着火させることができる。
特開2009−62960号公報
しかしながら、上記特許文献1の技術では、停止圧縮気筒のピストンが適正位置にあるときには速やかにエンジンを再始動できるものの、上記適正位置から上死点側に外れてしまった場合には、停止吸気気筒に燃料を噴射する必要があるため、停止吸気気筒のピストンが圧縮上死点付近に到達するまでは(つまりエンジン全体として2回目の上死点を迎えるまでは)、燃料噴射に基づく自着火を行わせることができず、再始動時間が長くなってしまうという問題がある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、圧縮自己着火式エンジンを自動停止させる際に、停止圧縮気筒のピストンをより高い精度で目標位置に停止させることにより、再始動のために停止圧縮気筒に噴射された燃料を確実に自着火させ、より短時間でエンジンを再始動させることを目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、気筒内に噴射された燃料を自己着火により燃焼させる圧縮自己着火式エンジンに対し予め定められた所定の自動停止条件が成立したときに上記エンジンを自動的に停止させるとともに、その後所定の再始動条件が成立したときに、スタータモータを用いて上記エンジンに回転力を付与しつつ、停止時に圧縮行程にある気筒である停止圧縮気筒に対し燃料噴射を実行することにより、上記エンジンを再始動させる圧縮自己着火式エンジンの始動装置に関する。この始動装置は、上記エンジンの吸気通路を流れる空気の流量を調節する吸気絞り弁と、上記エンジンの各気筒に燃料を噴射する燃料噴射弁と、上記エンジンに負荷を与える補機とを含む各種機器を制御する制御手段を備える。制御手段は、上記自動停止条件が成立した以降に、上記燃料噴射弁からの燃料噴射を停止する燃料カットを実行するとともに、上記吸気絞り弁の開度を全閉にしてその状態を全気筒における停止直前の最後の上死点である最終TDCまで少なくとも維持し、さらに、上記最終TDC通過時のエンジン回転速度が予め定められた特定速度範囲内に収まるように、上記燃料カット後における上記補機の動作を制御してエンジン負荷を調節することにより、上記停止圧縮気筒のピストンを上死点と下死点との間の中間位置よりも下死点側で停止させる。
本発明によれば、圧縮自己着火式エンジンを自動停止させる際に、停止圧縮気筒のピストンをより高い精度で目標位置に停止させることができ、その結果、再始動のために停止圧縮気筒に噴射された燃料を確実に自着火させることができ、より短時間でエンジンを再始動させることができる。
本発明の一実施形態にかかる始動装置が適用されたディーゼルエンジンの全体構成を示す図である。 上記エンジンの自動停止制御時における各状態量の変化を示すタイムチャートである。 停止圧縮気筒のピストン停止位置の目標範囲を示す図である。 停止圧縮気筒のピストン停止位置と、エンジンの再始動時間との関係を示すグラフである。 最終TDC通過時のエンジン回転速度と、停止圧縮気筒のピストン停止位置との関係を示すグラフである。 エンジンの自動停止時に実行される制御動作の具体的内容を示すフローチャートである。 エンジンの再始動時に実行される制御動作の具体的内容を示すフローチャートである。
(1)エンジンの全体構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる始動装置が適用されたディーゼルエンジンの全体構成を示す図である。本図に示されるディーゼルエンジンは、走行駆動用の動力源として車両に搭載される4サイクルのディーゼルエンジンである。このエンジンのエンジン本体1は、いわゆる直列4気筒型のものであり、紙面に直交する方向に列状に並ぶ4つの気筒2A〜2Dを有するシリンダブロック3と、シリンダブロック3の上面に設けられたシリンダヘッド4と、各気筒2A〜2Dにそれぞれ往復摺動可能に挿入されたピストン5とを有している。
上記ピストン5の上方には燃焼室6が形成されており、この燃焼室6には、後述する燃料噴射弁15から噴射される燃料(軽油)が供給される。そして、噴射された燃料が、ピストン5の圧縮作用により高温・高圧化した燃焼室6で自着火し(圧縮自己着火)、その燃焼による膨張力で押し下げられたピストン5が上下方向に往復運動するようになっている。
上記ピストン5は図外のコネクティングロッドを介してクランクシャフト7と連結されており、上記ピストン5の往復運動(上下運動)に応じて上記クランクシャフト7が中心軸回りに回転するようになっている。
ここで、図示のような4サイクル4気筒のディーゼルエンジンでは、各気筒2A〜2Dに設けられたピストン5が、クランク角で180度(180度CA)の位相差をもって上下運動する。このため、各気筒2A〜2Dでの燃料噴射およびそれに基づく燃焼のタイミングは、180度CAずつ位相をずらしたタイミングに設定される。具体的には、列状に並ぶ上記気筒2A,2B,2C,2Dの気筒番号をそれぞれ1番、2番、3番、4番とすると、1番気筒2A→3番気筒2C→4番気筒2D→2番気筒2Bの順に燃焼が行われる。このため、例えば1番気筒2Aが膨張行程であれば、3番気筒2C、4番気筒2D、2番気筒2Bは、それぞれ、圧縮行程、吸気行程、排気行程となる(図2参照)。
上記シリンダヘッド4には、各気筒2A〜2Dの燃焼室6に開口する吸気ポート9および排気ポート10と、各ポート9,10を開閉可能に閉止する吸気弁11および排気弁12とが設けられている。なお、吸気弁11および排気弁12は、シリンダヘッド4に配設された一対のカムシャフト等を含む動弁機構13,14により、クランクシャフト7の回転に連動して開閉駆動される。
また、上記シリンダヘッド4には、燃料噴射弁15が各気筒2A〜2Dにつき1つずつ設けられている。各燃料噴射弁15は、蓄圧室としてのコモンレール20と分岐管21を介してそれぞれ接続されている。コモンレール20には、燃料供給ポンプ23から燃料供給管22を通じて供給された燃料(軽油)が高圧状態で蓄えられており、このコモンレール20内で高圧化された燃料が分岐管21を通じて各燃料噴射弁15にそれぞれ供給されるようになっている。
各燃料噴射弁15は、複数の噴孔を有する噴射ノズルが先端部に設けられた電磁式のニードル弁からなり、その内部に、上記噴射ノズルに通じる燃料通路と、電磁力により作動して上記燃料通路を開閉するニードル状の弁体とを有している(いずれも図示省略)。そして、通電による電磁力で上記弁体が開方向に駆動されることにより、コモンレール20から供給された燃料が上記噴射ノズルの各噴孔から燃焼室6に向けて直接噴射されるようになっている。
上記シリンダブロック3やシリンダヘッド4の内部には、冷却水が流通する図外のウォータジャケットが設けられており、このウォータジャケット内の冷却水の温度を検出するための水温センサSW1が、上記シリンダブロック3に設けられている。
また、上記シリンダブロック3には、クランクシャフト7の回転角度および回転速度を検出するためのクランク角センサSW2が設けられている。このクランク角センサSW2は、クランクシャフト7と一体に回転するクランクプレート25の回転に応じてパルス信号を出力する。
具体的に、上記クランクプレート25の外周部には、一定ピッチで並ぶ多数の歯が突設されており、その外周部における所定範囲には、基準位置を特定するための歯欠け部25a(歯の存在しない部分)が形成されている。そして、このように基準位置に歯欠け部25aを有したクランクプレート25が回転し、それに基づくパルス信号が上記クランク角センサSW2から出力されることにより、クランクシャフト7の回転角度(クランク角)および回転速度(エンジン回転速度)が検出されるようになっている。
一方、上記シリンダヘッド4には、動弁用のカムシャフト(図示省略)の角度を検出するためのカム角センサSW3が設けられている。カム角センサSW3は、カムシャフトと一体に回転するシグナルプレートの歯の通過に応じて、気筒判別用のパルス信号を出力するものである。
すなわち、上記クランク角センサSW2から出力されるパルス信号の中には、上述した歯欠け部25aに対応して360度CAごとに生成される無信号部分が含まれるが、その情報だけでは、各気筒2A〜2Dがそれぞれ吸気、圧縮、膨張、排気のいずれの行程にあるのかを判別することができない。そこで、720度CAごとに1回転するカムシャフトの回転に基づきカム角センサSW3からパルス信号を出力させ、その信号が出力されるタイミングと、上記クランク角センサSW2の無信号部分のタイミング(歯欠け部25aの通過タイミング)とに基づいて、気筒判別を行うようにしている。
上記吸気ポート9および排気ポート10には、吸気通路28および排気通路29がそれぞれ接続されている。すなわち、外部からの吸入空気(新気)が上記吸気通路28を通じて燃焼室6に供給されるとともに、燃焼室6で生成された排気ガス(燃焼ガス)が上記排気通路29を通じて外部に排出されるようになっている。
上記吸気通路28のうち、エンジン本体1から所定距離上流側までの範囲は、気筒2A〜2Dごとに分岐した分岐通路部28aとされており、各分岐通路部28aの上流端がそれぞれサージタンク28bに接続されている。このサージタンク28bよりも上流側には、単一の通路からなる共通通路部28cが設けられている。
上記共通通路部28cには、各気筒2A〜2Dに流入する空気量(吸気流量)を調節するための吸気絞り弁30が設けられている。吸気絞り弁30は、エンジンの運転中は基本的に全開もしくはこれに近い高開度に維持されており、エンジンの停止時等の必要時にのみ閉弁されて吸気通路28を遮断するように構成されている。
上記サージタンク28bには、吸気圧力を検出するための吸気圧センサSW4が設けられており、上記サージタンク28bと吸気絞り弁30との間の共通通路部28cには、吸気流量を検出するためのエアフローセンサSW5が設けられている。
上記クランクシャフト7には、タイミングベルト等を介してオルタネータ32が連結されている。このオルタネータ32は、図外のフィールドコイルの電流を制御して発電量を調節するレギュレータ回路を内蔵しており、車両の電気負荷やバッテリの残容量等から定められる発電量の目標値(目標発電電流)に基づき、クランクシャフト7から駆動力を得て発電を行うように構成されている。
上記シリンダブロック3には、エンジンを始動するためのスタータモータ34が設けられている。このスタータモータ34は、モータ本体34aと、モータ本体34aにより回転駆動されるピニオンギア34bとを有している。
上記ピニオンギア34bは、クランクシャフト7の一端部に連結されたリングギア35と離接可能に噛合している。そして、上記スタータモータ34を用いてエンジンを始動する際には、ピニオンギア34bが所定の噛合位置に移動して上記リングギア35と噛合し、ピニオンギア34bの回転力がリングギア35に伝達されることにより、クランクシャフト7が回転駆動されるようになっている。
(2)制御系
以上のように構成されたエンジンは、その各部がECU50により統括的に制御される。ECU50は、周知のCPU、ROM、RAM等から構成されたマイクロプロセッサであり、本発明にかかる制御手段に相当する。
上記ECU50には、各種センサから種々の情報が入力される。すなわち、ECU50は、エンジンの各部に設けられた上記水温センサSW1、クランク角センサSW2、カム角センサSW3、吸気圧センサSW4、およびエアフローセンサSW5と電気的に接続されており、これら各センサSW1〜SW5からの入力信号に基づいて、エンジンの冷却水温、クランク角、エンジン回転速度、気筒判別情報、吸気圧力、吸気流量等の種々の情報を取得する。
また、ECU50には、車両に設けられた各種センサ(SW6〜SW9)からの情報も入力される。すなわち、車両には、運転者により踏み込み操作されるアクセルペダル36の開度を検出するためのアクセル開度センサSW6と、ブレーキペダル37のON/OFF(ブレーキの有無)を検出するためのブレーキセンサSW7と、車両の走行速度(車速)を検出するための車速センサSW8と、バッテリ(図示省略)の残容量を検出するためのバッテリセンサSW9とが設けられている。ECU50は、これら各センサSW6〜SW9からの入力信号に基づいて、アクセル開度、ブレーキの有無、車速、バッテリの残容量といった情報を取得する。
上記ECU50は、上記各センサSW1〜SW9からの入力信号に基づいて種々の演算等を実行しつつ、エンジンの各部を制御する。具体的に、ECU50は、上記燃料噴射弁15、吸気絞り弁30、オルタネータ32、およびスタータモータ34と電気的に接続されており、上記演算の結果等に基づいて、これらの機器にそれぞれ駆動用の制御信号を出力する。
上記ECU50が有するより具体的な機能について説明する。ECU50は、例えばエンジンの通常運転時に、運転条件に基づき定められる所要量の燃料を燃料噴射弁15から噴射させたり、車両の電気負荷やバッテリの残容量等に基づき定められる所要量の電力をオルタネータ32に発電させる等の制御を実行する。さらに、ECU50は、このような基本的な制御以外にも、いわゆるアイドルストップ制御として、予め定められた特定の条件下でエンジンを自動的に停止させるとともに、自動停止したエンジンを再始動させる制御を実行する。すなわち、ECU50は、エンジンの自動停止に関する制御を担う自動停止制御部51と、エンジンの再始動に関する制御を担う再始動制御部52とを機能的に有している。
上記自動停止制御部51は、エンジンの運転中に、予め定められたエンジンの自動停止条件が成立したか否かを判定し、成立した場合に、エンジンを自動停止させる制御を実行するものである。
例えば、車両が停止状態(車速が0km/h)にあること等の複数の条件が揃い、エンジンを停止させても支障のない状態であることが確認された場合に、自動停止条件が成立したと判定する。そして、燃料噴射弁15からの燃料噴射を停止する等により、エンジンを停止させる。
上記再始動制御部52は、エンジンが自動停止した後、予め定められた再始動条件が成立したか否かを判定し、成立した場合に、エンジンを再始動させる制御を実行するものである。
例えば、車両を発進させるために運転者がアクセルペダル36を踏み込むなどして、エンジンを始動させる必要が生じたときに、再始動条件が成立したと判定する。そして、スタータモータ34を駆動してクランクシャフト7に回転力を付与しつつ、燃料噴射弁15からの燃料噴射を再開させる等により、エンジンを再始動させる。
(3)自動停止制御
次に、上記ECU50の自動停止制御部51により実行されるエンジンの自動停止制御の内容をより具体的に説明する。図2は、エンジンの自動停止制御時における各状態量の変化を示すタイムチャートである。本図では、エンジンの自動停止条件が成立した時点をt1としている。
図2に示すように、エンジンの自動停止制御の際には、まず、自動停止条件の成立時点t1で、吸気絞り弁30の開度Kが全閉(0%)に設定される。そして、開度Kを全閉にしたまま、燃料噴射弁15からの燃料噴射を停止する制御(燃料カット)が実行される(時点t2)。さらに、燃料カットの実行後、エンジン回転速度Neが徐々に低下する途上で、オルタネータ32の目標発電電流Geを、エンジン回転速度Neの低下度合いに応じて低下させる制御が実行される(時点t3〜t4)。
このような制御を実行するのは、エンジンが完全停止したときに圧縮行程にある気筒である停止圧縮気筒(図2では気筒2C)のピストン停止位置を、図3に示すように、上死点と下死点との間の中間位置CAxよりも下死点側の範囲(図中のRの範囲)に収めるためである。停止圧縮気筒2Cのピストン5がこのような下死点寄りの範囲Rで停止していれば、エンジンの再始動時に、上記停止圧縮気筒2Cに最初の(エンジン全体として最初の)燃料を噴射することにより、エンジンを迅速かつ確実に再始動させることができる。
この点につき図4を用いて詳しく説明する。図4は、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置(横軸)と、エンジンの再始動時間(縦軸)との関係を示すグラフである。なお、ここでいう再始動時間とは、スタータモータ34の始動時点から、エンジン回転速度が750rpmになるまでの時間をいう。また、図中に黒丸で示すプロットX1は、停止圧縮気筒2Cに最初の燃料を噴射してエンジンを再始動させたケースを表し、黒いひし形で示すプロットX2は、停止吸気気筒(つまりエンジンの停止完了時に吸気行程にある気筒;図2では気筒2D)に最初の燃料を噴射してエンジンを再始動させたケースを表している。これらのプロットのデータは、エンジン冷却水温75℃、外気温25℃、高度0m(気圧が標準大気圧)という条件下で得られたものである。
図4のグラフに示すように、停止圧縮気筒2Cのピストン5が上死点からクランク角で約80度手前の位置(BTDC80度CA付近)よりもさらに下死点側にあれば、停止圧縮気筒2Cに最初の燃料を噴射することでエンジンを再始動させることができる(プロットX1)。つまり、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が上記のような範囲にあれば、この気筒2C内に比較的多くの空気が存在するため、エンジン再始動時のピストン5の上昇に伴い、上記気筒2C内の空気は十分に圧縮されて高温化する。このため、再始動時の最初の燃料を上記停止圧縮気筒2C内に噴射しても、この燃料は気筒2C内で確実に自着火して燃焼する。
このように、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置がBTDC80度CA付近よりも下死点側にあれば、この停止圧縮気筒2Cに燃料を噴射することでエンジンを再始動させることができる。この場合、エンジン全体として1回目の上死点を迎えた時点で燃料噴射を開始できるため、エンジンの再始動に要する時間はかなり短期間で済む(概ね300〜400msec)。以下では、上記のように停止圧縮気筒2Cに燃料を噴射してエンジンを再始動させることを、1圧縮始動ということがある。
一方、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置がBTDC80度CA付近よりも上死点側にあれば、停止圧縮気筒2Cに燃料を噴射してもこれを自着火させることができないため、停止吸気気筒2Dに最初の燃料を噴射する必要が生じる(プロットX2)。つまり、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が上記のような範囲にあると、この気筒2C内に比較的少量の空気しか存在しないため、エンジン再始動時にピストン5が上昇しても、上記気筒2C内の空気が十分に圧縮されず、大幅な高温化は望めない。このため、停止圧縮気筒2Cではなく、次に圧縮行程を迎える停止吸気気筒2Dに最初の燃料を噴射することで、エンジンを再始動させる必要が生じる。
図3に示すように、停止圧縮気筒2Cと停止吸気気筒2Dとは、位相が180度CAずれているため、停止圧縮気筒2Cのピストン5が上死点を通過した後は、その次に、停止吸気気筒2Dのピストン5が圧縮上死点を迎える。そこで、この停止吸気気筒2Dのピストン5が圧縮上死点付近まで上昇する(つまりエンジン全体として2回目の上死点を迎える)のを待ってから、当該気筒2D内に最初の燃料を噴射する。これにより、エンジンの再始動に要する時間は増大するものの(概ね400〜500msec)、エンジンを確実に再始動させることができる。以下では、上記のように停止吸気気筒2Dに燃料を噴射してエンジンを再始動させることを、2圧縮始動ということがある。
以上のことから理解できるように、エンジンの再始動時には、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置がBTDC80度CA付近よりも下死点側にあるか上死点側にあるかに応じて(BTDC80度CAを境にして)、停止圧縮気筒2Cに燃料噴射する1圧縮始動と、停止吸気気筒2Dに燃料噴射する2圧縮始動とを使い分けるようにするとよい。これにより、エンジン停止時のピストン位置にかかわらず、エンジンを確実に再始動させることができる。
しかしながら、図4のグラフから明らかなように、1圧縮始動によりエンジンを再始動させた方が、1回目の上死点(停止圧縮気筒2Cの上死点)をやり過ごす必要がない分、再始動に要する時間が2圧縮始動のときよりも大幅に短く済む。
よって、再始動時間を短縮するという観点からは、できる限り1圧縮始動でエンジンを再始動させることが望ましく、そのためには、少なくともBTDC80度CA付近よりも下死点側に停止圧縮気筒2Cのピストン5を停止させる必要がある。
図3に示したピストン停止位置の目標範囲Rは、上記のような1圧縮始動が可能な範囲として設定されている。このため、目標範囲Rの上限値である中間位置CAxは、BTDC80度CAよりもやや下死点寄りの値として、BTDC90度CAに設定されている。このような目標範囲R(90度CAよりも下死点側)に停止圧縮気筒2Cのピストン5を停止させることにより、1圧縮始動が可能になり、エンジンの再始動時間をより短縮することができる。
ところで、上記目標範囲R内にピストン停止位置を収めようとしても、各気筒2A〜2D内に存在する空気が平均的に多ければ、ピストン5に作用する圧縮反力と膨張反力とがバランスする位置として、上死点と下死点との間の中間的な位置(図3の中間位置CAx付近)にピストン停止位置が集中し易いという傾向が生じる。
図5は、エンジンを自動停止させる過程で吸気絞り弁30の開度Kを3%にした場合と、開度Kを0%(全閉)にした場合とで、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置を比較したグラフである。具体的に、このグラフにおける開度K=0%のプロットX3(白抜きのひし形のプロット)は、図2に示したような自動停止制御、つまり吸気絞り弁30を全閉(K=0%)にしてから燃料カットを実行し、エンジンが完全停止するまで全閉状態を維持した場合のピストン停止位置を示しており、開度K=3%のプロットX4(白抜きの三角形のプロット)は、吸気絞り弁30をK=3%まで開いた状態で同様の制御を行った場合のピストン停止位置を示している。なお、エンジン自動停止時のエンジン回転速度Neは極低速であるため、上記吸気絞り弁30の開度K=3%は、吸気絞り弁30の略全開相当である(つまり、吸気絞り弁30の開度Kを3%まで開けば、全開時と同程度の新気が流入する)。また、図5のグラフの横軸(最終TDC回転速度Net)は、全気筒における停止直前の最後の上死点の通過時、つまり、気筒2A〜2Dの中で最後に上死点を迎える気筒のその上死点通過時(当実施形態のような4サイクル4気筒エンジンでは停止吸気気筒2Dまたは停止膨張気筒(停止時に膨張行程にある気筒)2Aが上死点を迎える時点t4)でのエンジン回転速度を表し、縦軸は、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置を表す。なお、以下では、上記「全気筒における停止直前の最後の上死点」のことを、最終TDCと称する。
上記最終TDC通過時のエンジン回転速度Netは、ある範囲にないと最終TDC(最後の上死点)として成立しない。図5の例によれば、概ね50rpm〜200rpmが、最終TDCとして成立し得る範囲である。
図5のグラフにおけるプロットX4に示すように、吸気絞り弁30の開度K=3%のときは、最終TDC通過時のエンジン回転速度Netの値と関係なく、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が概ねBTDC90度CAの付近に集中していることが分かる。これは、開度K=3%の状態でエンジンを停止させた場合は、吸気通路28からある程度の空気が供給され、各気筒内の平均的な空気量が多くなることで、圧縮行程気筒のピストン5に作用する圧縮反力(圧縮された空気の正圧による反力)と、膨張行程気筒のピストン5に作用する膨張反力(膨張した空気の負圧による反力)との影響が大きくなるためと考えられる。このような圧縮や膨張による反力の影響が大きいと、ピストン5の最終的な停止位置が、最終TDC通過時の回転速度Netとは関係なく、上死点と下死点との間の中間的な位置(つまり圧縮反力と膨張反力とがバランスする位置である90度CA付近)になり易い。
これに対し、吸気絞り弁30の開度K=0%のときは、プロットX3に示すように、最終TDC通過時の回転速度Netと、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置との間に、明確な相関関係が生じる。つまり、最終TDC通過時の回転速度Netが大きいほど、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が上死点側に近くなり、最終TDC通過時の回転速度Netが小さいほど、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が下死点側に近くなる。これは、開度K=0%の状態でエンジンを停止させた場合には、吸気通路28の空気の流通が遮断された状態でピストン5が往復運動することにより、各気筒内の平均的な空気量が徐々に減少し、空気の圧縮や膨張によってピストン5に作用する反力(圧縮反力および膨張反力)の影響が小さくなるためと考えられる。このように圧縮反力や膨張反力による影響が小さくなると、ピストン5に作用する摩擦力(シリンダー壁との摺動摩擦による反力)の影響が支配的となるため、最終TDC通過時の回転速度Netの大小(つまり最後の上死点を通過するときのピストン5の勢いの相違)により最終的なピストン停止位置が左右されることで、両者の間に明確な相関関係が生じる。図5の例では、最終TDC通過時の回転速度Netに応じて、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が、概ねBTDC70度〜115度CAの間で変化している。
上述したように、停止圧縮気筒2Cに最初の燃料を噴射することでエンジンを再始動させる1圧縮始動を可能にするには、当該気筒2Cのピストン停止位置を、図3に示した中間位置CAx(当実施形態ではBTDC90度CA)よりも下死点側の範囲Rに収める必要がある。このような範囲Rにピストン停止位置が収まるのは、図5によれば、吸気絞り弁30の開度K=0%(全閉)のときで、かつ、最終TDC通過時のエンジン回転速度Netが60〜130rpm(図5の範囲P)のときである。つまり、開度K=0%としておけば、最終TDC通過時の回転速度Netを上記範囲P(以下、特定速度範囲Pという)に収めることで、停止圧縮気筒2Cのピストン5をBTDC90度CAよりも下死点側で停止させることができ、その後の再始動時に、1圧縮始動によって迅速にエンジンを始動させることができる。
これに対し、吸気絞り弁30の開度K=3%のときは、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置がBTDC90度CA付近に集中するので、ピストン5を確実に90度CAよりも下死点側で停止させることが困難になってしまう。
以上のような点を考慮して、当実施形態では、図2の時点t1(自動停止条件の成立時点)で、吸気絞り弁30の開度Kを0%(全閉)に設定し、その状態をエンジンが完全停止する時点t5まで継続させるようにしている。これにより、図5のプロットX3に示したように、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が、BTDC90度CAを挟んである程度の幅をもつことになるため、BTDC90度CAよりも下死点側でピストン5が停止するケースをつくり出すことができる。
ただし、ピストン停止位置がBTDC90度CAよりも下死点側になるのは、最終TDC通過時のエンジン回転速度Netが上記特定速度範囲P(60〜130rpm)のときである。つまり、ピストンを確実に90度CAよりも下死点側で停止させるには、最終TDC通過時のエンジン回転速度Netを上記特定速度範囲Pに収める必要がある。そのための制御として、当実施形態では、図2の時点t3で、エンジン回転速度Neの低下度合いに応じてオルタネータ32の目標発電電流Geの値を変化させ、エンジン(クランクシャフト7)にかかる負荷を調節することにより、最終TDC通過時(時点t4)のエンジン回転速度Netを上記特定速度範囲Pに収めるようにしている。
上記特定速度範囲Pは、図5のプロットX3の分布に対応して、最終TDC通過時の回転速度Netの上限値(約200rpm)から下限値(約50rpm)までの速度域のうち、その中間値(130rpm)よりも低回転側の範囲に設定されている。このように、最終TDCとなり得る回転速度域の中でも比較的低速寄りの範囲を上記特定速度範囲Pとして設定することで、最終TDCを超えるときのピストンスピードを比較的遅くすることができ、停止圧縮気筒2Cのピストン5を上述した目標範囲R(上死点と下死点との中間位置CAxよりも下死点側)に確実に停止させることができる。
なお、図2の例では、上記目標発電電流Geを調節する制御として、最初にGeを増大させておき(時点t1)、その後の時点t3で、増大後の値から必要量だけGeを低下させるようにしている。Geをこのような方法で制御するのは、オルタネータ32の目標発電電流Geは、増大させるときよりも低下させるときの方が制御の応答性がよく、瞬時にエンジンにかかる負荷を調節できるためである。
次に、以上のようなエンジン自動停止時の制御を司るECU50の自動停止制御部51の制御動作について、図6のフローチャートを用いて説明する。図6のフローチャートに示す処理がスタートすると、自動停止制御部51は、各種センサ値を読み込む制御を実行する(ステップS1)。具体的には、上記水温センサSW1、クランク角センサSW2、カム角センサSW3、吸気圧センサSW4、エアフローセンサSW5、アクセル開度センサSW6、ブレーキセンサSW7、車速センサSW8、およびバッテリセンサSW9からそれぞれの検出信号を読み込み、これらの信号に基づいて、エンジンの冷却水温、回転速度、クランク角、気筒判別情報、吸気圧力、吸気流量、アクセル開度、ブレーキの有無、車速、バッテリの残容量等の各種情報を取得する。
次いで、自動停止制御部51は、上記ステップS1で取得された情報に基づいて、エンジンの自動停止条件が成立しているか否かを判定する(ステップS2)。例えば、車両が停止していること(車速=0km/h)、アクセルペダル36の開度がゼロ(アクセルOFF)であること、ブレーキペダル37が操作中(ブレーキON)であること、エンジンの冷却水温が所定値以上(温間状態)にあること、バッテリの残容量が所定値以上であること、等の複数の条件が全て揃ったときに、自動停止条件が成立したと判定する。なお、車速については、必ずしも完全停止(車速=0km/h)を条件とする必要はなく、所定の低車速以下(例えば5km/h以下)という条件を設定してもよい。
上記ステップS2でYESと判定されて自動停止条件が成立したことが確認された場合、自動停止制御部51は、吸気絞り弁30の開度Kを全閉(0%)に設定するとともに(ステップS3)、オルタネータ32の目標発電電流Geを増大させる制御を実行する(ステップS4)。
すなわち、図2のタイムチャートに示すように、上記自動停止条件が成立した時点t1で、吸気絞り弁30の開度Kを、通常運転時に設定される所定の高開度(図例では80%)から、全閉(0%)まで低下させる。また、これと同時に、オルタネータ32の目標発電電流Geを、時点t1までの設定値よりも増大させ、予め定められた所定値に変更する。例えば、アイドル時の目標発電電流Geが、バッテリ残容量や車両の電気負荷等の条件に応じて例えば0〜50Aの範囲に設定されるものとすると、これよりも高い60Aまで目標発電電流Geを増大させる。
次いで、自動停止制御部51は、吸気圧センサSW4に基づく吸気圧力(ブースト圧)Btが、予め定められた閾値Btxよりも低下したか否かを判定する(ステップS5)。すなわち、吸気絞り弁30が全閉の状態でピストン5が何往復かすると、吸気通路28内の空気が排気側に送り出されて、吸気通路28の圧力が負圧になるので、その効果を確認すべく、上記ステップS5の判定を行う。なお、上記閾値Btxは、ここでは−20kPaに設定される。
上記ステップS5でYESと判定されて吸気圧力Btが閾値Btxよりも低下していることが確認された場合、自動停止制御部51は、燃料噴射弁15を常に閉状態に維持することにより、燃料噴射弁15からの燃料の供給を停止する制御を実行する(ステップS6)。図2に示すタイムチャートでは、吸気圧力Btが−20kPa(閾値Btx)未満まで低下した時点t2で、上記燃料供給の停止(燃料カット)が実行されている。
次いで、自動停止制御部51は、各気筒2A〜2Dのいずれかのピストン5が上死点を迎えたときのエンジン回転速度Ne(上死点回転速度)の値が、予め定められた第1所定範囲内にあるか否かを判定する(ステップS7)。なお、図2に示すように、エンジン回転速度Neは、上記各気筒2A〜2Dのいずれかが圧縮上死点を迎える度に一時的に落ち込み、圧縮上死点を超えた後で再び上昇するというアップダウンを繰り返しながら徐々に低下していくので、上記上死点回転速度は、上記アップダウンの谷のタイミングにおける回転速度Neとして測定することができる。
上記ステップS7での上死点回転速度に関する判定は、停止直前の最後の上死点(最終TDC)からn回前の上死点の通過タイミング(図2の時点t3)を特定するために行われる。すなわち、エンジンが自動停止する過程で、その回転速度Neの低下の仕方には一定の規則性があるため、上死点の通過時にそのときの回転速度Ne(上死点回転速度)を調べれば、それが最終TDCの何回前の上死点にあたるのかを推定することができる。そこで、上死点回転速度を随時測定し、それが予め設定された第1所定範囲(最終TDCのn回前の上死点回転速度にあたるものとして実験等により予め調べられた範囲)に入るか否かを判定することにより、最終TDCのn回前(図2の例では2回前)の上死点通過タイミングを特定する。
上記ステップS7でYESと判定されて現時点が最終TDCのn回前の上死点通過タイミングであることが確認された場合、自動停止制御部51は、その時点(図2の時点t3)におけるエンジン回転速度Neに基づいて、オルタネータ32の目標発電電流Geをこれまでの値(時点t1以後の値)からどの程度低下させるかという低下目標値を算出するとともに(ステップS8)、算出した低下目標値に合わせて上記目標発電電流Geを低下させる制御を実行する(ステップS9)。
上記ステップS9での目標発電電流Geの低下量は、上記ステップS7で所定範囲内にあると判定された上死点回転速度が、その所定範囲の上限値に近いほど小さく、下限値に近いほど大きく設定される。つまり、最終TDCのn回前(時点t3)の上死点回転速度が大きいほど、オルタネータ32の目標発電電流Geの値が大きく(つまりエンジン負荷が大きく)され、上記時点t3での上死点回転速度が小さいほど、目標発電電流Geの値が小さく(つまりエンジン負荷が小さく)される。
このような制御が行われることで、エンジンが最終TDCを迎えたとき(時点t4)の回転速度Netは、比較的ばらつきの少ないものとなり、かなり高い確率で、図5に示した特定速度範囲P内に収まることになる。
次いで、自動停止制御部51は、各気筒2A〜2Dのいずれかが上死点を迎えたときのエンジン回転速度Ne(上死点回転速度)の値が、予め定められた第2所定範囲内にあるか否かを判定する(ステップS10)。ここでの判定に用いられる第2所定範囲は、最終TDCを通過したことを特定するためのものであり、上記ステップS7での第1所定範囲よりも小さい値に設定される。どのような回転速度の範囲にあれば最終TDCと判断できるかは、上記ステップS7で説明したときと同様、実験等により予め調べておく。
上記ステップS10でYESと判定されて現時点が最終TDCの通過タイミングであることが確認された場合、自動停止制御部51は、その時点(図2の時点t4)で、オルタネータ32の目標発電電流Geを予め定められた所定値(例えば0A)に設定する制御を実行する(ステップS11)。
以上のような制御を経た後、エンジンは、その後一度も上死点を超えることなく(一時的には逆転方向に動きながら)、完全停止状態に至る(図2の時点t5)。この時点での停止圧縮気筒2Cのピストン位置は、ほとんどのケースで、図3に示した目標範囲R、つまり上死点と下死点との中間位置CAx(ここでは90度CA)よりも下死点側にあると考えられる。すなわち、エンジンが停止するまでの過程で、上述したように、吸気絞り弁30を全閉(0%)にしつつ燃料カットを実行し(S3,S6)、かつエンジンが最終TDCを迎える前にオルタネータ32の目標発電電流Geを調節するようにしたため(S9)、最終TDC通過時のエンジン回転速度Netは、かなり高い確率で、図5に示した特定速度範囲P内に含まれていたはずである。そうであれば、図5に示した関係により、エンジンが完全停止したときの停止圧縮気筒2Cのピストン位置は、90度CA(=CAx)よりも下死点側になっていると考えられる。
その後、自動停止制御部51は、エンジン回転速度Ne=0rpmであるか否かを判定することにより、エンジンが完全停止したか否かを判定する(ステップS12)。そして、エンジンが完全停止していれば、吸気絞り弁30の開度Kを、通常運転時に設定される開度(例えば80%)に設定する制御を実行する(ステップS13)。
(4)再始動制御
次に、エンジンが自動停止した後でECU50の再始動制御部52により実行される制御の内容を図7のフローチャートに基づき説明する。
図7のフローチャートに示す処理がスタートすると、再始動制御部52は、各種センサ値に基づいて、エンジンの再始動条件が成立しているか否かを判定する(ステップS21)。例えば、車両発進のためにアクセルペダル36が踏み込まれたこと(アクセルON)、バッテリの残容量が低下したこと、エンジンの冷却水温が所定値未満(冷間状態)になったこと、エンジンの停止継続時間(自動停止後の経過時間)が所定時間を越えたこと、等の条件の少なくとも1つが成立したときに、再始動条件が成立したと判定する。
上記ステップS21でYESと判定されて再始動条件が成立したことが確認された場合、再始動制御部52は、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が、図3に示した目標範囲R、つまり上死点と下死点との間の中間位置CAx(ここでは90度CA)よりも下死点側にあるか否かを判定する(ステップS22)。
ここで、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置は、上述した自動停止制御(図6)の効果により、ほとんどの場合において、上記目標範囲R(CAxよりも下死点側)に収まっているはずである。ただし、何らかの原因で、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が目標範囲Rを外れる(CAxよりも上死点側にある)ケースもあり得ると考えられる。そこで、念のために上記ステップS22の判定を行っている。
上記ステップS22でYESと判定されて停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が目標範囲R(CAxよりも下死点側)にあることが確認された場合、再始動制御部52は、停止圧縮気筒2Cに最初の燃料を噴射してエンジンを再始動させる制御(1圧縮始動)を実行する(ステップS23)。すなわち、スタータモータ34を駆動してクランクシャフト7に回転力を付与しつつ、停止圧縮気筒2Cに燃料を噴射して自着火させることにより、エンジン全体として1回目の上死点を迎えた時点から燃焼を再開させ、エンジンを再始動させる。
一方、可能性としては少ないが、上記ステップS22でNOと判定されて停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が目標範囲Rを外れていることが確認された場合、再始動制御部52は、停止吸気気筒2Dに最初の燃料を噴射してエンジンを再始動させる制御(2圧縮始動)を実行する(ステップS24)。すなわち、スタータモータ34を駆動してクランクシャフト7に回転力を付与しつつ、停止吸気気筒2Dに燃料を噴射して自着火させることにより、エンジン全体として2回目の上死点を迎えた時点から燃焼を再開させ、エンジンを再始動させる。
(5)作用効果等
以上説明したように、当実施形態では、4サイクルのディーゼルエンジンからなるエンジンの自動停止制御時に、吸気絞り弁30の開度を全閉(0%)に設定するとともに(図2の時点t1)、燃料噴射弁15からの燃料噴射を停止する燃料カットを実行した後(時点t2)、さらに、オルタネータ32の目標発電電流Geを、エンジン回転速度Neの低下度合いに応じて低下させることにより(時点t3)、最終TDC(全気筒における停止直前の最後の上死点)の通過時に、エンジン回転速度Neを図5に示した特定速度範囲P内に収めるようにした。このような構成によれば、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置を、より高い精度で図3に示した目標範囲R内に収めることができ、その結果、再始動のために停止圧縮気筒2Cに噴射された燃料を確実に自着火させることができ、より短時間でエンジンを再始動させることができるという利点がある。
すなわち、上記実施形態のように、エンジンの自動停止制御時に吸気絞り弁30を全閉にし、その状態をエンジンの完全停止まで継続させた場合には、各気筒2A〜2D内の平均的な空気量が少なめになり、エンジン停止時のピストン位置が、最終TDC通過時のエンジン回転速度Netの大小(つまり最後の上死点を乗り越えるときのピストンの勢いの相違)によって左右され易くなる。そこで、上記実施形態では、このような状態を敢えてつくり出した上で、ある時点(図2では時点t3)でのオルタネータ32の目標発電電流Geを調節することにより、最終TDC通過時のエンジン回転速度Netを図5の特定速度範囲P内に収めるようにした。これにより、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が、かなり高い確率で上死点と下死点との間の中間位置CAxよりも下死点側(目標範囲R)に収まることになる。
このような範囲Rに停止圧縮気筒2Cのピストン5があれば、エンジンの再始動のためにスタータモータ34を駆動したときに、ピストン5の上昇によって当該気筒2C内の空気が十分に圧縮されて高温化するため、当該気筒2C内に最初の燃料を噴射することで、その燃料を確実に自着火させて燃焼させることができる。これにより、エンジン全体として1回目の上死点を迎える時点から燃焼を再開でき、より迅速にエンジンを再始動させることができる。
また、上記実施形態では、最終TDCよりもn回前に上死点を迎える気筒の上死点通過時(図2の時点t3)に、そのときのエンジン回転速度Neに基づきオルタネータ32の目標発電電流Geの低下目標値を算出し、その目標値に合わせて上記オルタネータ32の目標発電電流Geを変化させるようにしたため、最終TDCを迎える前のエンジン回転速度Neの低下度合いに応じてエンジンにかかる負荷を適正に調節することができ、最終TDC通過時のエンジン回転速度Netを上記特定速度範囲Pに確実に収めることができる。これにより、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置をより高い精度で目標範囲R内に収めることができ、当該気筒2C内に最初の燃料を噴射することによる迅速なエンジン再始動(1圧縮始動)を図ることができる。
特に、上記実施形態では、エンジンの自動停止条件が成立した時点t1でオルタネータ32の目標発電電流Geを一旦増大させておき、上記最終TDCのn回前の上死点通過時点t3でGeを必要量だけ低下させるようにしたため、最終TDCを迎える前のエンジン負荷を優れた応答性で調節することができる。
つまり、オルタネータ32の目標発電電流Geの制御は、Geを低下させるときの方が、増大させるときよりも応答性に優れる。そこで、エンジンの自動停止制御の開始時にGeを予め増大させてから、時点t3で必要量低下させることにより、優れた応答性でエンジンにかかる負荷を調節することができ、上記停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置をより確実に目標範囲Rに収めることができる。
また、上記実施形態では、吸気絞り弁30を全閉にする前の時点(t1よりも前の時点)において、エンジンの運転状態にかかわらず上記吸気絞り弁30を一定の開弁位置(図2の例ではK=80%)に維持するようにしたため、自動停止制御の開始直前まで(時点t1まで)着火安定性を十分に確保でき、自動停止制御の開始時におけるエンジン回転速度Neがばらつくのを効果的に防止することができる。これにより、予め想定される予定のラインに沿ってエンジン回転速度Neを低下させることができ、エンジンの完全停止に至るまでに要する時間(停止時間)を効果的に安定化させることができる等の利点がある。
なお、上記実施形態では、エンジンの自動停止条件が成立した時点t1で、吸気絞り弁30の開度Kを全閉(0%)にし、その状態をエンジンが完全停止するまで(回転速度Ne=0rpmになるまで)維持することにより、図5のプロットX3の分布に示したように、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が、最終TDC通過時のエンジン回転速度Netに応じて比較的大きく変化する状況をつくり出すようにしたが、図5のプロットX3のような分布を得ることができれば、開度K=0%を必ずしもエンジンの完全停止まで維持する必要はない。例えば、最終TDCの通過時点(図2時点t4)まで開度K=0%に設定すれば、上記プロットX3に近い(右下がりの)分布が得られると考えられるので、吸気絞り弁30の開度Kは、少なくとも最終TDCまで0%に維持すればよい。
また、上記実施形態では、エンジンの自動停止条件の成立時点t1で吸気絞り弁30の開度Kを全閉(0%)に設定し、ある程度の吸気圧力の低下が見られる時点t2で、燃料噴射弁15からの燃料の供給を停止する燃料カットを実行するようにしたが、吸気絞り弁30を全閉にするのと同じ時点t1で燃料カットを実行してもよい。
また、上記実施形態では、エンジンの自動停止条件が成立した時点t1でオルタネータ32の目標発電電流Geを一旦増大させておき、上記最終TDCのn回前の上死点通過時点t3でGeを必要量だけ低下させるようにしたが、時点t1〜t3の間、目標発電電流Geを比較的低い値に維持しておき、上記時点t3(最終TDCのn回前の上死点通過時点)で、そのときのエンジン回転速度Neに応じて目標発電電流Geを増大させるようにしてもよい。この場合、時点t3で目標発電電流Geを低下させるようにした上記実施形態と比べると、制御の応答性は劣るが、例えば目標発電電流Geを所要量増大させるのにどの程度の時間を要するかというデータが予め分かっていれば、その応答時間を考慮した制御を行うことで、上記実施形態と同様、最終TDC通過時のエンジン回転速度Netを上記特定速度範囲P内に適正に収めることができると考えられる。
また、上記実施形態では、最終TDCのn回前の上死点通過時点t3で、オルタネータ32の発電量(目標発電電流Ge)を変化させ、これによってエンジンにかかる負荷を調節するようにしたが、エンジン(クランクシャフト7)に負荷を与えるものとして、オルタネータ32以外の補機があれば、その補機の動作を制御することによってエンジン負荷を調節してもよい。
また、上記実施形態では、圧縮自己着火式エンジンの一例としてのディーゼルエンジン(軽油を自己着火により燃焼させるエンジン)に、本発明にかかる自動停止・再始動制御を適用した例を説明したが、本発明と同様の構成は、圧縮自己着火式のエンジンであれば、ディーゼルエンジンに限らず適用可能である。例えば、最近では、ガソリンを含む燃料を高圧縮比で圧縮して自己着火させるタイプのエンジンが研究、開発されているが、このような圧縮自己着火式のガソリンエンジンに対しても、本発明にかかる自動停止・再始動制御を好適に適用することができる。
最後に、上記実施形態に基づき開示された本発明の構成およびその効果について概説する。
本発明は、気筒内に噴射された燃料を自己着火により燃焼させる圧縮自己着火式エンジンに対し予め定められた所定の自動停止条件が成立したときに上記エンジンを自動的に停止させるとともに、その後所定の再始動条件が成立したときに、スタータモータを用いて上記エンジンに回転力を付与しつつ、停止時に圧縮行程にある気筒である停止圧縮気筒に対し燃料噴射を実行することにより、上記エンジンを再始動させる圧縮自己着火式エンジンの始動装置に関する。この始動装置は、上記エンジンの吸気通路を流れる空気の流量を調節する吸気絞り弁と、上記エンジンの各気筒に燃料を噴射する燃料噴射弁と、上記エンジンに負荷を与える補機とを含む各種機器を制御する制御手段を備える。制御手段は、上記自動停止条件が成立した以降に、上記燃料噴射弁からの燃料噴射を停止する燃料カットを実行するとともに、上記吸気絞り弁の開度を全閉にしてその状態を全気筒における停止直前の最後の上死点である最終TDCまで少なくとも維持し、さらに、上記最終TDC通過時のエンジン回転速度が予め定められた特定速度範囲内に収まるように、上記燃料カット後における上記補機の動作を制御してエンジン負荷を調節することにより、上記停止圧縮気筒のピストンを上死点と下死点との間の中間位置よりも下死点側で停止させる。
また、本発明は、上記圧縮自己着火式エンジンの始動方法に関する。この始動方法には、上記自動停止条件が成立した以降に、上記エンジンの各気筒に設けられた燃料噴射弁からの燃料噴射を停止する燃料カットを実行するとともに、上記エンジンの吸気通路を流れる空気の流量を調節する吸気絞り弁の開度を全閉にしてその状態を全気筒における停止直前の最後の上死点である最終TDCまで少なくとも維持するステップと、上記最終TDC通過時のエンジン回転速度が予め定められた特定速度範囲内に収まるように、上記エンジンに負荷を与える補機の上記燃料カット後の動作を制御してエンジン負荷を調節することにより、上記停止圧縮気筒のピストンを上死点と下死点との間の中間位置よりも下死点側で停止させるステップとが含まれる。
これらの発明のように、エンジンの自動停止制御時に吸気絞り弁を全閉にし、その状態を少なくとも最終TDCまで維持した場合には、各気筒内の平均的な空気量が少なめになり、エンジン停止時のピストン位置が、最終TDC通過時のエンジン回転速度の大小(つまり最後の上死点を乗り越えるときのピストンの勢いの相違)によって左右され易くなる。そこで、本発明では、このような状態を敢えてつくり出した上で、補機の動作制御に伴いエンジン負荷を調節することにより、最終TDC通過時のエンジン回転速度を予め定められた特定速度範囲内に収めるようにした。これにより、停止圧縮気筒のピストン停止位置が、かなり高い確率で上死点と下死点との間の中間位置よりも下死点側に収まることになる。
このような範囲に停止圧縮気筒のピストン位置があれば、エンジンの再始動のためにスタータモータを駆動したときに、ピストンの上昇によって当該気筒内の空気が十分に圧縮されて高温化するため、当該気筒内に最初の燃料を噴射することで、その燃料を確実に自着火させて燃焼させることができる。これにより、エンジン全体として1回目の上死点を迎える時点から燃焼を再開でき、より迅速にエンジンを再始動させることができる。
具体的に、上記特定速度範囲は、上記最終TDCでのエンジン回転速度となり得る速度域のうち、その上限値と下限値との中間値よりも低回転側の範囲に設定するとよい。
これにより、最終TDCを超えるときのピストンスピードを比較的遅くすることができ、停止圧縮気筒のピストンを上述した範囲(上死点と下死点との中間位置よりも下死点側)に確実に停止させることができる。
本発明の始動装置において、好ましくは、上記補機は、上記エンジンから駆動力を得て発電するオルタネータであり、上記制御手段は、上記燃料カットの実行後、上記最終TDCよりも所定回数前に上死点を迎える気筒の上死点通過時に、そのときのエンジン回転速度に基づき上記オルタネータの目標発電電流を算出し、その目標発電電流に合わせて上記オルタネータの発電量を変化させる。
このように、最終TDCを迎える前に、エンジン回転速度の低下度合いに応じてオルタネータの発電量を変化させるようにした場合には、オルタネータの発電制御に基づきエンジンにかかる負荷を適正に調節することができ、停止圧縮気筒のピストン停止位置をより高い精度で上述した範囲内(上死点と下死点との中間位置よりも下死点側)に収めることができる。
本発明の始動装置において、好ましくは、上記制御手段は、上記自動停止条件の成立に伴い上記吸気絞り弁を全閉にする前の時点では、上記エンジンの運転状態にかかわらず上記吸気絞り弁を一定の開弁位置に維持する。
この構成によれば、自動停止制御の開始直前まで着火安定性を十分に確保でき、自動停止制御の開始時におけるエンジン回転速度がばらつくのを効果的に防止することができる。
本発明は、気筒内に噴射された燃料を自己着火により燃焼させる圧縮自己着火式エンジンに対し予め定められた所定の自動停止条件が成立したときに上記エンジンを自動的に停止させるとともに、その後所定の再始動条件が成立したときに、スタータモータを用いて上記エンジンに回転力を付与しつつ、停止時に圧縮行程にある気筒である停止圧縮気筒に対し燃料噴射を実行することにより、上記エンジンを再始動させる圧縮自己着火式エンジンの始動装置および始動方法に関する。
ディーゼルエンジンに代表される圧縮自己着火式エンジンは、一般に、ガソリンエンジンのような火花点火式エンジンよりも熱効率に優れ、排出されるCO2の量も少ないことから、近年、車載用エンジンとして広く普及しつつある。
上記のような圧縮自己着火式エンジンにおいて、より一層のCO2の削減を図るには、アイドル運転時等にエンジンを自動的に停止させ、その後車両の発進操作等が行われたときにエンジンを自動的に再始動させる、いわゆるアイドルストップ制御の技術を採用することが有効であり、そのことに関する種々の研究もなされている。
例えば、下記特許文献1には、所定の自動停止条件が成立したときにディーゼルエンジンを自動的に停止させ、所定の再始動条件が成立すると、スタータモータを駆動しながら燃料噴射を実行してディーゼルエンジンを再始動させるディーゼルエンジンの制御装置において、停止時(停止完了時)に圧縮行程にある気筒である停止圧縮気筒のピストン停止位置に基づき、最初に燃料を噴射する気筒を可変的に設定することが開示されている。
具体的に、同文献では、ディーゼルエンジンが自動停止されると、その時点で圧縮行程にある停止圧縮気筒のピストン位置を求め、そのピストン位置が予め定められた適正位置(例えば圧縮上死点前120度CAから100度CAまでの範囲)にあるか否かを判定し、適正位置にあるときには、上記停止圧縮気筒に最初の燃料を噴射する一方、上記適正位置よりも上死点側にあるときには、停止時に吸気行程にある気筒である停止吸気気筒に最初の燃料を噴射するようにしている。
このような構成によれば、停止圧縮気筒のピストンが上記適正位置にあるときには、停止圧縮気筒に燃料を噴射することでその燃料を確実に自着火させることができ、比較的短時間でエンジンを再始動させることができる。一方、停止圧縮気筒のピストンが上記適正位置から上死点側に外れているときには、そのピストンによる圧縮代が少なく気筒内の空気が十分に高温化しないことから、停止圧縮気筒に燃料を噴射しても失火が起きるおそれがある。そこで、このような場合には、停止圧縮気筒ではなく停止吸気気筒に燃料を噴射することで、筒内の空気を十分に圧縮して確実に燃料を自着火させることができる。
特開2009−62960号公報
しかしながら、上記特許文献1の技術では、停止圧縮気筒のピストンが適正位置にあるときには速やかにエンジンを再始動できるものの、上記適正位置から上死点側に外れてしまった場合には、停止吸気気筒に燃料を噴射する必要があるため、停止吸気気筒のピストンが圧縮上死点付近に到達するまでは(つまりエンジン全体として2回目の上死点を迎えるまでは)、燃料噴射に基づく自着火を行わせることができず、再始動時間が長くなってしまうという問題がある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、圧縮自己着火式エンジンを自動停止させる際に、停止圧縮気筒のピストンをより高い精度で目標位置に停止させることにより、再始動のために停止圧縮気筒に噴射された燃料を確実に自着火させ、より短時間でエンジンを再始動させることを目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、気筒内に噴射された燃料を自己着火により燃焼させる圧縮自己着火式エンジンに対し予め定められた所定の自動停止条件が成立したときに上記エンジンを自動的に停止させるとともに、その後所定の再始動条件が成立したときに、スタータモータを用いて上記エンジンに回転力を付与しつつ、停止時に圧縮行程にある気筒である停止圧縮気筒に対し燃料噴射を実行することにより、上記エンジンを再始動させる圧縮自己着火式エンジンの始動装置に関する。この始動装置は、上記エンジンの吸気通路を流れる空気の流量を調節する吸気絞り弁と、上記エンジンの各気筒に燃料を噴射する燃料噴射弁と、上記エンジンに負荷を与える補機とを含む各種機器を制御する制御手段を備える。制御手段は、上記自動停止条件が成立した以降に、上記燃料噴射弁からの燃料噴射を停止する燃料カットを実行するとともに、上記吸気絞り弁の開度を全閉にしてその状態を全気筒における停止直前の最後の上死点である最終TDCまで少なくとも維持し、さらに、上記最終TDC通過時のエンジン回転速度が、上記最終TDCでのエンジン回転速度となり得る速度域のうちその上限値と下限値との中間値よりも低回転側の範囲に設定された特定速度範囲内に収まるように、上記燃料カット後における上記補機の動作を制御してエンジン負荷を調節することにより、上記停止圧縮気筒のピストンを上死点と下死点との間の中間位置よりも下死点側で停止させる。
本発明によれば、圧縮自己着火式エンジンを自動停止させる際に、停止圧縮気筒のピストンをより高い精度で目標位置に停止させることができ、その結果、再始動のために停止圧縮気筒に噴射された燃料を確実に自着火させることができ、より短時間でエンジンを再始動させることができる。
本発明の一実施形態にかかる始動装置が適用されたディーゼルエンジンの全体構成を示す図である。 上記エンジンの自動停止制御時における各状態量の変化を示すタイムチャートである。 停止圧縮気筒のピストン停止位置の目標範囲を示す図である。 停止圧縮気筒のピストン停止位置と、エンジンの再始動時間との関係を示すグラフである。 最終TDC通過時のエンジン回転速度と、停止圧縮気筒のピストン停止位置との関係を示すグラフである。 エンジンの自動停止時に実行される制御動作の具体的内容を示すフローチャートである。 エンジンの再始動時に実行される制御動作の具体的内容を示すフローチャートである。
(1)エンジンの全体構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる始動装置が適用されたディーゼルエンジンの全体構成を示す図である。本図に示されるディーゼルエンジンは、走行駆動用の動力源として車両に搭載される4サイクルのディーゼルエンジンである。このエンジンのエンジン本体1は、いわゆる直列4気筒型のものであり、紙面に直交する方向に列状に並ぶ4つの気筒2A〜2Dを有するシリンダブロック3と、シリンダブロック3の上面に設けられたシリンダヘッド4と、各気筒2A〜2Dにそれぞれ往復摺動可能に挿入されたピストン5とを有している。
上記ピストン5の上方には燃焼室6が形成されており、この燃焼室6には、後述する燃料噴射弁15から噴射される燃料(軽油)が供給される。そして、噴射された燃料が、ピストン5の圧縮作用により高温・高圧化した燃焼室6で自着火し(圧縮自己着火)、その燃焼による膨張力で押し下げられたピストン5が上下方向に往復運動するようになっている。
上記ピストン5は図外のコネクティングロッドを介してクランクシャフト7と連結されており、上記ピストン5の往復運動(上下運動)に応じて上記クランクシャフト7が中心軸回りに回転するようになっている。
ここで、図示のような4サイクル4気筒のディーゼルエンジンでは、各気筒2A〜2Dに設けられたピストン5が、クランク角で180度(180度CA)の位相差をもって上下運動する。このため、各気筒2A〜2Dでの燃料噴射およびそれに基づく燃焼のタイミングは、180度CAずつ位相をずらしたタイミングに設定される。具体的には、列状に並ぶ上記気筒2A,2B,2C,2Dの気筒番号をそれぞれ1番、2番、3番、4番とすると、1番気筒2A→3番気筒2C→4番気筒2D→2番気筒2Bの順に燃焼が行われる。このため、例えば1番気筒2Aが膨張行程であれば、3番気筒2C、4番気筒2D、2番気筒2Bは、それぞれ、圧縮行程、吸気行程、排気行程となる(図2参照)。
上記シリンダヘッド4には、各気筒2A〜2Dの燃焼室6に開口する吸気ポート9および排気ポート10と、各ポート9,10を開閉可能に閉止する吸気弁11および排気弁12とが設けられている。なお、吸気弁11および排気弁12は、シリンダヘッド4に配設された一対のカムシャフト等を含む動弁機構13,14により、クランクシャフト7の回転に連動して開閉駆動される。
また、上記シリンダヘッド4には、燃料噴射弁15が各気筒2A〜2Dにつき1つずつ設けられている。各燃料噴射弁15は、蓄圧室としてのコモンレール20と分岐管21を介してそれぞれ接続されている。コモンレール20には、燃料供給ポンプ23から燃料供給管22を通じて供給された燃料(軽油)が高圧状態で蓄えられており、このコモンレール20内で高圧化された燃料が分岐管21を通じて各燃料噴射弁15にそれぞれ供給されるようになっている。
各燃料噴射弁15は、複数の噴孔を有する噴射ノズルが先端部に設けられた電磁式のニードル弁からなり、その内部に、上記噴射ノズルに通じる燃料通路と、電磁力により作動して上記燃料通路を開閉するニードル状の弁体とを有している(いずれも図示省略)。そして、通電による電磁力で上記弁体が開方向に駆動されることにより、コモンレール20から供給された燃料が上記噴射ノズルの各噴孔から燃焼室6に向けて直接噴射されるようになっている。
上記シリンダブロック3やシリンダヘッド4の内部には、冷却水が流通する図外のウォータジャケットが設けられており、このウォータジャケット内の冷却水の温度を検出するための水温センサSW1が、上記シリンダブロック3に設けられている。
また、上記シリンダブロック3には、クランクシャフト7の回転角度および回転速度を検出するためのクランク角センサSW2が設けられている。このクランク角センサSW2は、クランクシャフト7と一体に回転するクランクプレート25の回転に応じてパルス信号を出力する。
具体的に、上記クランクプレート25の外周部には、一定ピッチで並ぶ多数の歯が突設されており、その外周部における所定範囲には、基準位置を特定するための歯欠け部25a(歯の存在しない部分)が形成されている。そして、このように基準位置に歯欠け部25aを有したクランクプレート25が回転し、それに基づくパルス信号が上記クランク角センサSW2から出力されることにより、クランクシャフト7の回転角度(クランク角)および回転速度(エンジン回転速度)が検出されるようになっている。
一方、上記シリンダヘッド4には、動弁用のカムシャフト(図示省略)の角度を検出するためのカム角センサSW3が設けられている。カム角センサSW3は、カムシャフトと一体に回転するシグナルプレートの歯の通過に応じて、気筒判別用のパルス信号を出力するものである。
すなわち、上記クランク角センサSW2から出力されるパルス信号の中には、上述した歯欠け部25aに対応して360度CAごとに生成される無信号部分が含まれるが、その情報だけでは、各気筒2A〜2Dがそれぞれ吸気、圧縮、膨張、排気のいずれの行程にあるのかを判別することができない。そこで、720度CAごとに1回転するカムシャフトの回転に基づきカム角センサSW3からパルス信号を出力させ、その信号が出力されるタイミングと、上記クランク角センサSW2の無信号部分のタイミング(歯欠け部25aの通過タイミング)とに基づいて、気筒判別を行うようにしている。
上記吸気ポート9および排気ポート10には、吸気通路28および排気通路29がそれぞれ接続されている。すなわち、外部からの吸入空気(新気)が上記吸気通路28を通じて燃焼室6に供給されるとともに、燃焼室6で生成された排気ガス(燃焼ガス)が上記排気通路29を通じて外部に排出されるようになっている。
上記吸気通路28のうち、エンジン本体1から所定距離上流側までの範囲は、気筒2A〜2Dごとに分岐した分岐通路部28aとされており、各分岐通路部28aの上流端がそれぞれサージタンク28bに接続されている。このサージタンク28bよりも上流側には、単一の通路からなる共通通路部28cが設けられている。
上記共通通路部28cには、各気筒2A〜2Dに流入する空気量(吸気流量)を調節するための吸気絞り弁30が設けられている。吸気絞り弁30は、エンジンの運転中は基本的に全開もしくはこれに近い高開度に維持されており、エンジンの停止時等の必要時にのみ閉弁されて吸気通路28を遮断するように構成されている。
上記サージタンク28bには、吸気圧力を検出するための吸気圧センサSW4が設けられており、上記サージタンク28bと吸気絞り弁30との間の共通通路部28cには、吸気流量を検出するためのエアフローセンサSW5が設けられている。
上記クランクシャフト7には、タイミングベルト等を介してオルタネータ32が連結されている。このオルタネータ32は、図外のフィールドコイルの電流を制御して発電量を調節するレギュレータ回路を内蔵しており、車両の電気負荷やバッテリの残容量等から定められる発電量の目標値(目標発電電流)に基づき、クランクシャフト7から駆動力を得て発電を行うように構成されている。
上記シリンダブロック3には、エンジンを始動するためのスタータモータ34が設けられている。このスタータモータ34は、モータ本体34aと、モータ本体34aにより回転駆動されるピニオンギア34bとを有している。
上記ピニオンギア34bは、クランクシャフト7の一端部に連結されたリングギア35と離接可能に噛合している。そして、上記スタータモータ34を用いてエンジンを始動する際には、ピニオンギア34bが所定の噛合位置に移動して上記リングギア35と噛合し、ピニオンギア34bの回転力がリングギア35に伝達されることにより、クランクシャフト7が回転駆動されるようになっている。
(2)制御系
以上のように構成されたエンジンは、その各部がECU50により統括的に制御される。ECU50は、周知のCPU、ROM、RAM等から構成されたマイクロプロセッサであり、本発明にかかる制御手段に相当する。
上記ECU50には、各種センサから種々の情報が入力される。すなわち、ECU50は、エンジンの各部に設けられた上記水温センサSW1、クランク角センサSW2、カム角センサSW3、吸気圧センサSW4、およびエアフローセンサSW5と電気的に接続されており、これら各センサSW1〜SW5からの入力信号に基づいて、エンジンの冷却水温、クランク角、エンジン回転速度、気筒判別情報、吸気圧力、吸気流量等の種々の情報を取得する。
また、ECU50には、車両に設けられた各種センサ(SW6〜SW9)からの情報も入力される。すなわち、車両には、運転者により踏み込み操作されるアクセルペダル36の開度を検出するためのアクセル開度センサSW6と、ブレーキペダル37のON/OFF(ブレーキの有無)を検出するためのブレーキセンサSW7と、車両の走行速度(車速)を検出するための車速センサSW8と、バッテリ(図示省略)の残容量を検出するためのバッテリセンサSW9とが設けられている。ECU50は、これら各センサSW6〜SW9からの入力信号に基づいて、アクセル開度、ブレーキの有無、車速、バッテリの残容量といった情報を取得する。
上記ECU50は、上記各センサSW1〜SW9からの入力信号に基づいて種々の演算等を実行しつつ、エンジンの各部を制御する。具体的に、ECU50は、上記燃料噴射弁15、吸気絞り弁30、オルタネータ32、およびスタータモータ34と電気的に接続されており、上記演算の結果等に基づいて、これらの機器にそれぞれ駆動用の制御信号を出力する。
上記ECU50が有するより具体的な機能について説明する。ECU50は、例えばエンジンの通常運転時に、運転条件に基づき定められる所要量の燃料を燃料噴射弁15から噴射させたり、車両の電気負荷やバッテリの残容量等に基づき定められる所要量の電力をオルタネータ32に発電させる等の制御を実行する。さらに、ECU50は、このような基本的な制御以外にも、いわゆるアイドルストップ制御として、予め定められた特定の条件下でエンジンを自動的に停止させるとともに、自動停止したエンジンを再始動させる制御を実行する。すなわち、ECU50は、エンジンの自動停止に関する制御を担う自動停止制御部51と、エンジンの再始動に関する制御を担う再始動制御部52とを機能的に有している。
上記自動停止制御部51は、エンジンの運転中に、予め定められたエンジンの自動停止条件が成立したか否かを判定し、成立した場合に、エンジンを自動停止させる制御を実行するものである。
例えば、車両が停止状態(車速が0km/h)にあること等の複数の条件が揃い、エンジンを停止させても支障のない状態であることが確認された場合に、自動停止条件が成立したと判定する。そして、燃料噴射弁15からの燃料噴射を停止する等により、エンジンを停止させる。
上記再始動制御部52は、エンジンが自動停止した後、予め定められた再始動条件が成立したか否かを判定し、成立した場合に、エンジンを再始動させる制御を実行するものである。
例えば、車両を発進させるために運転者がアクセルペダル36を踏み込むなどして、エンジンを始動させる必要が生じたときに、再始動条件が成立したと判定する。そして、スタータモータ34を駆動してクランクシャフト7に回転力を付与しつつ、燃料噴射弁15からの燃料噴射を再開させる等により、エンジンを再始動させる。
(3)自動停止制御
次に、上記ECU50の自動停止制御部51により実行されるエンジンの自動停止制御の内容をより具体的に説明する。図2は、エンジンの自動停止制御時における各状態量の変化を示すタイムチャートである。本図では、エンジンの自動停止条件が成立した時点をt1としている。
図2に示すように、エンジンの自動停止制御の際には、まず、自動停止条件の成立時点t1で、吸気絞り弁30の開度Kが全閉(0%)に設定される。そして、開度Kを全閉にしたまま、燃料噴射弁15からの燃料噴射を停止する制御(燃料カット)が実行される(時点t2)。さらに、燃料カットの実行後、エンジン回転速度Neが徐々に低下する途上で、オルタネータ32の目標発電電流Geを、エンジン回転速度Neの低下度合いに応じて低下させる制御が実行される(時点t3〜t4)。
このような制御を実行するのは、エンジンが完全停止したときに圧縮行程にある気筒である停止圧縮気筒(図2では気筒2C)のピストン停止位置を、図3に示すように、上死点と下死点との間の中間位置CAxよりも下死点側の範囲(図中のRの範囲)に収めるためである。停止圧縮気筒2Cのピストン5がこのような下死点寄りの範囲Rで停止していれば、エンジンの再始動時に、上記停止圧縮気筒2Cに最初の(エンジン全体として最初の)燃料を噴射することにより、エンジンを迅速かつ確実に再始動させることができる。
この点につき図4を用いて詳しく説明する。図4は、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置(横軸)と、エンジンの再始動時間(縦軸)との関係を示すグラフである。なお、ここでいう再始動時間とは、スタータモータ34の始動時点から、エンジン回転速度が750rpmになるまでの時間をいう。また、図中に黒丸で示すプロットX1は、停止圧縮気筒2Cに最初の燃料を噴射してエンジンを再始動させたケースを表し、黒いひし形で示すプロットX2は、停止吸気気筒(つまりエンジンの停止完了時に吸気行程にある気筒;図2では気筒2D)に最初の燃料を噴射してエンジンを再始動させたケースを表している。これらのプロットのデータは、エンジン冷却水温75℃、外気温25℃、高度0m(気圧が標準大気圧)という条件下で得られたものである。
図4のグラフに示すように、停止圧縮気筒2Cのピストン5が上死点からクランク角で約80度手前の位置(BTDC80度CA付近)よりもさらに下死点側にあれば、停止圧縮気筒2Cに最初の燃料を噴射することでエンジンを再始動させることができる(プロットX1)。つまり、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が上記のような範囲にあれば、この気筒2C内に比較的多くの空気が存在するため、エンジン再始動時のピストン5の上昇に伴い、上記気筒2C内の空気は十分に圧縮されて高温化する。このため、再始動時の最初の燃料を上記停止圧縮気筒2C内に噴射しても、この燃料は気筒2C内で確実に自着火して燃焼する。
このように、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置がBTDC80度CA付近よりも下死点側にあれば、この停止圧縮気筒2Cに燃料を噴射することでエンジンを再始動させることができる。この場合、エンジン全体として1回目の上死点を迎えた時点で燃料噴射を開始できるため、エンジンの再始動に要する時間はかなり短期間で済む(概ね300〜400msec)。以下では、上記のように停止圧縮気筒2Cに燃料を噴射してエンジンを再始動させることを、1圧縮始動ということがある。
一方、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置がBTDC80度CA付近よりも上死点側にあれば、停止圧縮気筒2Cに燃料を噴射してもこれを自着火させることができないため、停止吸気気筒2Dに最初の燃料を噴射する必要が生じる(プロットX2)。つまり、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が上記のような範囲にあると、この気筒2C内に比較的少量の空気しか存在しないため、エンジン再始動時にピストン5が上昇しても、上記気筒2C内の空気が十分に圧縮されず、大幅な高温化は望めない。このため、停止圧縮気筒2Cではなく、次に圧縮行程を迎える停止吸気気筒2Dに最初の燃料を噴射することで、エンジンを再始動させる必要が生じる。
図3に示すように、停止圧縮気筒2Cと停止吸気気筒2Dとは、位相が180度CAずれているため、停止圧縮気筒2Cのピストン5が上死点を通過した後は、その次に、停止吸気気筒2Dのピストン5が圧縮上死点を迎える。そこで、この停止吸気気筒2Dのピストン5が圧縮上死点付近まで上昇する(つまりエンジン全体として2回目の上死点を迎える)のを待ってから、当該気筒2D内に最初の燃料を噴射する。これにより、エンジンの再始動に要する時間は増大するものの(概ね400〜500msec)、エンジンを確実に再始動させることができる。以下では、上記のように停止吸気気筒2Dに燃料を噴射してエンジンを再始動させることを、2圧縮始動ということがある。
以上のことから理解できるように、エンジンの再始動時には、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置がBTDC80度CA付近よりも下死点側にあるか上死点側にあるかに応じて(BTDC80度CAを境にして)、停止圧縮気筒2Cに燃料噴射する1圧縮始動と、停止吸気気筒2Dに燃料噴射する2圧縮始動とを使い分けるようにするとよい。これにより、エンジン停止時のピストン位置にかかわらず、エンジンを確実に再始動させることができる。
しかしながら、図4のグラフから明らかなように、1圧縮始動によりエンジンを再始動させた方が、1回目の上死点(停止圧縮気筒2Cの上死点)をやり過ごす必要がない分、再始動に要する時間が2圧縮始動のときよりも大幅に短く済む。
よって、再始動時間を短縮するという観点からは、できる限り1圧縮始動でエンジンを再始動させることが望ましく、そのためには、少なくともBTDC80度CA付近よりも下死点側に停止圧縮気筒2Cのピストン5を停止させる必要がある。
図3に示したピストン停止位置の目標範囲Rは、上記のような1圧縮始動が可能な範囲として設定されている。このため、目標範囲Rの上限値である中間位置CAxは、BTDC80度CAよりもやや下死点寄りの値として、BTDC90度CAに設定されている。このような目標範囲R(90度CAよりも下死点側)に停止圧縮気筒2Cのピストン5を停止させることにより、1圧縮始動が可能になり、エンジンの再始動時間をより短縮することができる。
ところで、上記目標範囲R内にピストン停止位置を収めようとしても、各気筒2A〜2D内に存在する空気が平均的に多ければ、ピストン5に作用する圧縮反力と膨張反力とがバランスする位置として、上死点と下死点との間の中間的な位置(図3の中間位置CAx付近)にピストン停止位置が集中し易いという傾向が生じる。
図5は、エンジンを自動停止させる過程で吸気絞り弁30の開度Kを3%にした場合と、開度Kを0%(全閉)にした場合とで、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置を比較したグラフである。具体的に、このグラフにおける開度K=0%のプロットX3(白抜きのひし形のプロット)は、図2に示したような自動停止制御、つまり吸気絞り弁30を全閉(K=0%)にしてから燃料カットを実行し、エンジンが完全停止するまで全閉状態を維持した場合のピストン停止位置を示しており、開度K=3%のプロットX4(白抜きの三角形のプロット)は、吸気絞り弁30をK=3%まで開いた状態で同様の制御を行った場合のピストン停止位置を示している。なお、エンジン自動停止時のエンジン回転速度Neは極低速であるため、上記吸気絞り弁30の開度K=3%は、吸気絞り弁30の略全開相当である(つまり、吸気絞り弁30の開度Kを3%まで開けば、全開時と同程度の新気が流入する)。また、図5のグラフの横軸(最終TDC回転速度Net)は、全気筒における停止直前の最後の上死点の通過時、つまり、気筒2A〜2Dの中で最後に上死点を迎える気筒のその上死点通過時(当実施形態のような4サイクル4気筒エンジンでは停止吸気気筒2Dまたは停止膨張気筒(停止時に膨張行程にある気筒)2Aが上死点を迎える時点t4)でのエンジン回転速度を表し、縦軸は、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置を表す。なお、以下では、上記「全気筒における停止直前の最後の上死点」のことを、最終TDCと称する。
上記最終TDC通過時のエンジン回転速度Netは、ある範囲にないと最終TDC(最後の上死点)として成立しない。図5の例によれば、概ね50rpm〜200rpmが、最終TDCとして成立し得る範囲である。
図5のグラフにおけるプロットX4に示すように、吸気絞り弁30の開度K=3%のときは、最終TDC通過時のエンジン回転速度Netの値と関係なく、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が概ねBTDC90度CAの付近に集中していることが分かる。これは、開度K=3%の状態でエンジンを停止させた場合は、吸気通路28からある程度の空気が供給され、各気筒内の平均的な空気量が多くなることで、圧縮行程気筒のピストン5に作用する圧縮反力(圧縮された空気の正圧による反力)と、膨張行程気筒のピストン5に作用する膨張反力(膨張した空気の負圧による反力)との影響が大きくなるためと考えられる。このような圧縮や膨張による反力の影響が大きいと、ピストン5の最終的な停止位置が、最終TDC通過時の回転速度Netとは関係なく、上死点と下死点との間の中間的な位置(つまり圧縮反力と膨張反力とがバランスする位置である90度CA付近)になり易い。
これに対し、吸気絞り弁30の開度K=0%のときは、プロットX3に示すように、最終TDC通過時の回転速度Netと、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置との間に、明確な相関関係が生じる。つまり、最終TDC通過時の回転速度Netが大きいほど、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が上死点側に近くなり、最終TDC通過時の回転速度Netが小さいほど、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が下死点側に近くなる。これは、開度K=0%の状態でエンジンを停止させた場合には、吸気通路28の空気の流通が遮断された状態でピストン5が往復運動することにより、各気筒内の平均的な空気量が徐々に減少し、空気の圧縮や膨張によってピストン5に作用する反力(圧縮反力および膨張反力)の影響が小さくなるためと考えられる。このように圧縮反力や膨張反力による影響が小さくなると、ピストン5に作用する摩擦力(シリンダー壁との摺動摩擦による反力)の影響が支配的となるため、最終TDC通過時の回転速度Netの大小(つまり最後の上死点を通過するときのピストン5の勢いの相違)により最終的なピストン停止位置が左右されることで、両者の間に明確な相関関係が生じる。図5の例では、最終TDC通過時の回転速度Netに応じて、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が、概ねBTDC70度〜115度CAの間で変化している。
上述したように、停止圧縮気筒2Cに最初の燃料を噴射することでエンジンを再始動させる1圧縮始動を可能にするには、当該気筒2Cのピストン停止位置を、図3に示した中間位置CAx(当実施形態ではBTDC90度CA)よりも下死点側の範囲Rに収める必要がある。このような範囲Rにピストン停止位置が収まるのは、図5によれば、吸気絞り弁30の開度K=0%(全閉)のときで、かつ、最終TDC通過時のエンジン回転速度Netが60〜130rpm(図5の範囲P)のときである。つまり、開度K=0%としておけば、最終TDC通過時の回転速度Netを上記範囲P(以下、特定速度範囲Pという)に収めることで、停止圧縮気筒2Cのピストン5をBTDC90度CAよりも下死点側で停止させることができ、その後の再始動時に、1圧縮始動によって迅速にエンジンを始動させることができる。
これに対し、吸気絞り弁30の開度K=3%のときは、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置がBTDC90度CA付近に集中するので、ピストン5を確実に90度CAよりも下死点側で停止させることが困難になってしまう。
以上のような点を考慮して、当実施形態では、図2の時点t1(自動停止条件の成立時点)で、吸気絞り弁30の開度Kを0%(全閉)に設定し、その状態をエンジンが完全停止する時点t5まで継続させるようにしている。これにより、図5のプロットX3に示したように、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が、BTDC90度CAを挟んである程度の幅をもつことになるため、BTDC90度CAよりも下死点側でピストン5が停止するケースをつくり出すことができる。
ただし、ピストン停止位置がBTDC90度CAよりも下死点側になるのは、最終TDC通過時のエンジン回転速度Netが上記特定速度範囲P(60〜130rpm)のときである。つまり、ピストンを確実に90度CAよりも下死点側で停止させるには、最終TDC通過時のエンジン回転速度Netを上記特定速度範囲Pに収める必要がある。そのための制御として、当実施形態では、図2の時点t3で、エンジン回転速度Neの低下度合いに応じてオルタネータ32の目標発電電流Geの値を変化させ、エンジン(クランクシャフト7)にかかる負荷を調節することにより、最終TDC通過時(時点t4)のエンジン回転速度Netを上記特定速度範囲Pに収めるようにしている。
上記特定速度範囲Pは、図5のプロットX3の分布に対応して、最終TDC通過時の回転速度Netの上限値(約200rpm)から下限値(約50rpm)までの速度域のうち、その中間値(130rpm)よりも低回転側の範囲に設定されている。このように、最終TDCとなり得る回転速度域の中でも比較的低速寄りの範囲を上記特定速度範囲Pとして設定することで、最終TDCを超えるときのピストンスピードを比較的遅くすることができ、停止圧縮気筒2Cのピストン5を上述した目標範囲R(上死点と下死点との中間位置CAxよりも下死点側)に確実に停止させることができる。
なお、図2の例では、上記目標発電電流Geを調節する制御として、最初にGeを増大させておき(時点t1)、その後の時点t3で、増大後の値から必要量だけGeを低下させるようにしている。Geをこのような方法で制御するのは、オルタネータ32の目標発電電流Geは、増大させるときよりも低下させるときの方が制御の応答性がよく、瞬時にエンジンにかかる負荷を調節できるためである。
次に、以上のようなエンジン自動停止時の制御を司るECU50の自動停止制御部51の制御動作について、図6のフローチャートを用いて説明する。図6のフローチャートに示す処理がスタートすると、自動停止制御部51は、各種センサ値を読み込む制御を実行する(ステップS1)。具体的には、上記水温センサSW1、クランク角センサSW2、カム角センサSW3、吸気圧センサSW4、エアフローセンサSW5、アクセル開度センサSW6、ブレーキセンサSW7、車速センサSW8、およびバッテリセンサSW9からそれぞれの検出信号を読み込み、これらの信号に基づいて、エンジンの冷却水温、回転速度、クランク角、気筒判別情報、吸気圧力、吸気流量、アクセル開度、ブレーキの有無、車速、バッテリの残容量等の各種情報を取得する。
次いで、自動停止制御部51は、上記ステップS1で取得された情報に基づいて、エンジンの自動停止条件が成立しているか否かを判定する(ステップS2)。例えば、車両が停止していること(車速=0km/h)、アクセルペダル36の開度がゼロ(アクセルOFF)であること、ブレーキペダル37が操作中(ブレーキON)であること、エンジンの冷却水温が所定値以上(温間状態)にあること、バッテリの残容量が所定値以上であること、等の複数の条件が全て揃ったときに、自動停止条件が成立したと判定する。なお、車速については、必ずしも完全停止(車速=0km/h)を条件とする必要はなく、所定の低車速以下(例えば5km/h以下)という条件を設定してもよい。
上記ステップS2でYESと判定されて自動停止条件が成立したことが確認された場合、自動停止制御部51は、吸気絞り弁30の開度Kを全閉(0%)に設定するとともに(ステップS3)、オルタネータ32の目標発電電流Geを増大させる制御を実行する(ステップS4)。
すなわち、図2のタイムチャートに示すように、上記自動停止条件が成立した時点t1で、吸気絞り弁30の開度Kを、通常運転時に設定される所定の高開度(図例では80%)から、全閉(0%)まで低下させる。また、これと同時に、オルタネータ32の目標発電電流Geを、時点t1までの設定値よりも増大させ、予め定められた所定値に変更する。例えば、アイドル時の目標発電電流Geが、バッテリ残容量や車両の電気負荷等の条件に応じて例えば0〜50Aの範囲に設定されるものとすると、これよりも高い60Aまで目標発電電流Geを増大させる。
次いで、自動停止制御部51は、吸気圧センサSW4に基づく吸気圧力(ブースト圧)Btが、予め定められた閾値Btxよりも低下したか否かを判定する(ステップS5)。すなわち、吸気絞り弁30が全閉の状態でピストン5が何往復かすると、吸気通路28内の空気が排気側に送り出されて、吸気通路28の圧力が負圧になるので、その効果を確認すべく、上記ステップS5の判定を行う。なお、上記閾値Btxは、ここでは−20kPaに設定される。
上記ステップS5でYESと判定されて吸気圧力Btが閾値Btxよりも低下していることが確認された場合、自動停止制御部51は、燃料噴射弁15を常に閉状態に維持することにより、燃料噴射弁15からの燃料の供給を停止する制御を実行する(ステップS6)。図2に示すタイムチャートでは、吸気圧力Btが−20kPa(閾値Btx)未満まで低下した時点t2で、上記燃料供給の停止(燃料カット)が実行されている。
次いで、自動停止制御部51は、各気筒2A〜2Dのいずれかのピストン5が上死点を迎えたときのエンジン回転速度Ne(上死点回転速度)の値が、予め定められた第1所定範囲内にあるか否かを判定する(ステップS7)。なお、図2に示すように、エンジン回転速度Neは、上記各気筒2A〜2Dのいずれかが圧縮上死点を迎える度に一時的に落ち込み、圧縮上死点を超えた後で再び上昇するというアップダウンを繰り返しながら徐々に低下していくので、上記上死点回転速度は、上記アップダウンの谷のタイミングにおける回転速度Neとして測定することができる。
上記ステップS7での上死点回転速度に関する判定は、停止直前の最後の上死点(最終TDC)からn回前の上死点の通過タイミング(図2の時点t3)を特定するために行われる。すなわち、エンジンが自動停止する過程で、その回転速度Neの低下の仕方には一定の規則性があるため、上死点の通過時にそのときの回転速度Ne(上死点回転速度)を調べれば、それが最終TDCの何回前の上死点にあたるのかを推定することができる。そこで、上死点回転速度を随時測定し、それが予め設定された第1所定範囲(最終TDCのn回前の上死点回転速度にあたるものとして実験等により予め調べられた範囲)に入るか否かを判定することにより、最終TDCのn回前(図2の例では2回前)の上死点通過タイミングを特定する。
上記ステップS7でYESと判定されて現時点が最終TDCのn回前の上死点通過タイミングであることが確認された場合、自動停止制御部51は、その時点(図2の時点t3)におけるエンジン回転速度Neに基づいて、オルタネータ32の目標発電電流Geをこれまでの値(時点t1以後の値)からどの程度低下させるかという低下目標値を算出するとともに(ステップS8)、算出した低下目標値に合わせて上記目標発電電流Geを低下させる制御を実行する(ステップS9)。
上記ステップS9での目標発電電流Geの低下量は、上記ステップS7で所定範囲内にあると判定された上死点回転速度が、その所定範囲の上限値に近いほど小さく、下限値に近いほど大きく設定される。つまり、最終TDCのn回前(時点t3)の上死点回転速度が大きいほど、オルタネータ32の目標発電電流Geの値が大きく(つまりエンジン負荷が大きく)され、上記時点t3での上死点回転速度が小さいほど、目標発電電流Geの値が小さく(つまりエンジン負荷が小さく)される。
このような制御が行われることで、エンジンが最終TDCを迎えたとき(時点t4)の回転速度Netは、比較的ばらつきの少ないものとなり、かなり高い確率で、図5に示した特定速度範囲P内に収まることになる。
次いで、自動停止制御部51は、各気筒2A〜2Dのいずれかが上死点を迎えたときのエンジン回転速度Ne(上死点回転速度)の値が、予め定められた第2所定範囲内にあるか否かを判定する(ステップS10)。ここでの判定に用いられる第2所定範囲は、最終TDCを通過したことを特定するためのものであり、上記ステップS7での第1所定範囲よりも小さい値に設定される。どのような回転速度の範囲にあれば最終TDCと判断できるかは、上記ステップS7で説明したときと同様、実験等により予め調べておく。
上記ステップS10でYESと判定されて現時点が最終TDCの通過タイミングであることが確認された場合、自動停止制御部51は、その時点(図2の時点t4)で、オルタネータ32の目標発電電流Geを予め定められた所定値(例えば0A)に設定する制御を実行する(ステップS11)。
以上のような制御を経た後、エンジンは、その後一度も上死点を超えることなく(一時的には逆転方向に動きながら)、完全停止状態に至る(図2の時点t5)。この時点での停止圧縮気筒2Cのピストン位置は、ほとんどのケースで、図3に示した目標範囲R、つまり上死点と下死点との中間位置CAx(ここでは90度CA)よりも下死点側にあると考えられる。すなわち、エンジンが停止するまでの過程で、上述したように、吸気絞り弁30を全閉(0%)にしつつ燃料カットを実行し(S3,S6)、かつエンジンが最終TDCを迎える前にオルタネータ32の目標発電電流Geを調節するようにしたため(S9)、最終TDC通過時のエンジン回転速度Netは、かなり高い確率で、図5に示した特定速度範囲P内に含まれていたはずである。そうであれば、図5に示した関係により、エンジンが完全停止したときの停止圧縮気筒2Cのピストン位置は、90度CA(=CAx)よりも下死点側になっていると考えられる。
その後、自動停止制御部51は、エンジン回転速度Ne=0rpmであるか否かを判定することにより、エンジンが完全停止したか否かを判定する(ステップS12)。そして、エンジンが完全停止していれば、吸気絞り弁30の開度Kを、通常運転時に設定される開度(例えば80%)に設定する制御を実行する(ステップS13)。
(4)再始動制御
次に、エンジンが自動停止した後でECU50の再始動制御部52により実行される制御の内容を図7のフローチャートに基づき説明する。
図7のフローチャートに示す処理がスタートすると、再始動制御部52は、各種センサ値に基づいて、エンジンの再始動条件が成立しているか否かを判定する(ステップS21)。例えば、車両発進のためにアクセルペダル36が踏み込まれたこと(アクセルON)、バッテリの残容量が低下したこと、エンジンの冷却水温が所定値未満(冷間状態)になったこと、エンジンの停止継続時間(自動停止後の経過時間)が所定時間を越えたこと、等の条件の少なくとも1つが成立したときに、再始動条件が成立したと判定する。
上記ステップS21でYESと判定されて再始動条件が成立したことが確認された場合、再始動制御部52は、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が、図3に示した目標範囲R、つまり上死点と下死点との間の中間位置CAx(ここでは90度CA)よりも下死点側にあるか否かを判定する(ステップS22)。
ここで、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置は、上述した自動停止制御(図6)の効果により、ほとんどの場合において、上記目標範囲R(CAxよりも下死点側)に収まっているはずである。ただし、何らかの原因で、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が目標範囲Rを外れる(CAxよりも上死点側にある)ケースもあり得ると考えられる。そこで、念のために上記ステップS22の判定を行っている。
上記ステップS22でYESと判定されて停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が目標範囲R(CAxよりも下死点側)にあることが確認された場合、再始動制御部52は、停止圧縮気筒2Cに最初の燃料を噴射してエンジンを再始動させる制御(1圧縮始動)を実行する(ステップS23)。すなわち、スタータモータ34を駆動してクランクシャフト7に回転力を付与しつつ、停止圧縮気筒2Cに燃料を噴射して自着火させることにより、エンジン全体として1回目の上死点を迎えた時点から燃焼を再開させ、エンジンを再始動させる。
一方、可能性としては少ないが、上記ステップS22でNOと判定されて停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が目標範囲Rを外れていることが確認された場合、再始動制御部52は、停止吸気気筒2Dに最初の燃料を噴射してエンジンを再始動させる制御(2圧縮始動)を実行する(ステップS24)。すなわち、スタータモータ34を駆動してクランクシャフト7に回転力を付与しつつ、停止吸気気筒2Dに燃料を噴射して自着火させることにより、エンジン全体として2回目の上死点を迎えた時点から燃焼を再開させ、エンジンを再始動させる。
(5)作用効果等
以上説明したように、当実施形態では、4サイクルのディーゼルエンジンからなるエンジンの自動停止制御時に、吸気絞り弁30の開度を全閉(0%)に設定するとともに(図2の時点t1)、燃料噴射弁15からの燃料噴射を停止する燃料カットを実行した後(時点t2)、さらに、オルタネータ32の目標発電電流Geを、エンジン回転速度Neの低下度合いに応じて低下させることにより(時点t3)、最終TDC(全気筒における停止直前の最後の上死点)の通過時に、エンジン回転速度Neを図5に示した特定速度範囲P内に収めるようにした。このような構成によれば、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置を、より高い精度で図3に示した目標範囲R内に収めることができ、その結果、再始動のために停止圧縮気筒2Cに噴射された燃料を確実に自着火させることができ、より短時間でエンジンを再始動させることができるという利点がある。
すなわち、上記実施形態のように、エンジンの自動停止制御時に吸気絞り弁30を全閉にし、その状態をエンジンの完全停止まで継続させた場合には、各気筒2A〜2D内の平均的な空気量が少なめになり、エンジン停止時のピストン位置が、最終TDC通過時のエンジン回転速度Netの大小(つまり最後の上死点を乗り越えるときのピストンの勢いの相違)によって左右され易くなる。そこで、上記実施形態では、このような状態を敢えてつくり出した上で、ある時点(図2では時点t3)でのオルタネータ32の目標発電電流Geを調節することにより、最終TDC通過時のエンジン回転速度Netを図5の特定速度範囲P内に収めるようにした。これにより、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が、かなり高い確率で上死点と下死点との間の中間位置CAxよりも下死点側(目標範囲R)に収まることになる。
このような範囲Rに停止圧縮気筒2Cのピストン5があれば、エンジンの再始動のためにスタータモータ34を駆動したときに、ピストン5の上昇によって当該気筒2C内の空気が十分に圧縮されて高温化するため、当該気筒2C内に最初の燃料を噴射することで、その燃料を確実に自着火させて燃焼させることができる。これにより、エンジン全体として1回目の上死点を迎える時点から燃焼を再開でき、より迅速にエンジンを再始動させることができる。
また、上記実施形態では、最終TDCよりもn回前に上死点を迎える気筒の上死点通過時(図2の時点t3)に、そのときのエンジン回転速度Neに基づきオルタネータ32の目標発電電流Geの低下目標値を算出し、その目標値に合わせて上記オルタネータ32の目標発電電流Geを変化させるようにしたため、最終TDCを迎える前のエンジン回転速度Neの低下度合いに応じてエンジンにかかる負荷を適正に調節することができ、最終TDC通過時のエンジン回転速度Netを上記特定速度範囲Pに確実に収めることができる。これにより、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置をより高い精度で目標範囲R内に収めることができ、当該気筒2C内に最初の燃料を噴射することによる迅速なエンジン再始動(1圧縮始動)を図ることができる。
特に、上記実施形態では、エンジンの自動停止条件が成立した時点t1でオルタネータ32の目標発電電流Geを一旦増大させておき、上記最終TDCのn回前の上死点通過時点t3でGeを必要量だけ低下させるようにしたため、最終TDCを迎える前のエンジン負荷を優れた応答性で調節することができる。
つまり、オルタネータ32の目標発電電流Geの制御は、Geを低下させるときの方が、増大させるときよりも応答性に優れる。そこで、エンジンの自動停止制御の開始時にGeを予め増大させてから、時点t3で必要量低下させることにより、優れた応答性でエンジンにかかる負荷を調節することができ、上記停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置をより確実に目標範囲Rに収めることができる。
また、上記実施形態では、吸気絞り弁30を全閉にする前の時点(t1よりも前の時点)において、エンジンの運転状態にかかわらず上記吸気絞り弁30を一定の開弁位置(図2の例ではK=80%)に維持するようにしたため、自動停止制御の開始直前まで(時点t1まで)着火安定性を十分に確保でき、自動停止制御の開始時におけるエンジン回転速度Neがばらつくのを効果的に防止することができる。これにより、予め想定される予定のラインに沿ってエンジン回転速度Neを低下させることができ、エンジンの完全停止に至るまでに要する時間(停止時間)を効果的に安定化させることができる等の利点がある。
なお、上記実施形態では、エンジンの自動停止条件が成立した時点t1で、吸気絞り弁30の開度Kを全閉(0%)にし、その状態をエンジンが完全停止するまで(回転速度Ne=0rpmになるまで)維持することにより、図5のプロットX3の分布に示したように、停止圧縮気筒2Cのピストン停止位置が、最終TDC通過時のエンジン回転速度Netに応じて比較的大きく変化する状況をつくり出すようにしたが、図5のプロットX3のような分布を得ることができれば、開度K=0%を必ずしもエンジンの完全停止まで維持する必要はない。例えば、最終TDCの通過時点(図2時点t4)まで開度K=0%に設定すれば、上記プロットX3に近い(右下がりの)分布が得られると考えられるので、吸気絞り弁30の開度Kは、少なくとも最終TDCまで0%に維持すればよい。
また、上記実施形態では、エンジンの自動停止条件の成立時点t1で吸気絞り弁30の開度Kを全閉(0%)に設定し、ある程度の吸気圧力の低下が見られる時点t2で、燃料噴射弁15からの燃料の供給を停止する燃料カットを実行するようにしたが、吸気絞り弁30を全閉にするのと同じ時点t1で燃料カットを実行してもよい。
また、上記実施形態では、エンジンの自動停止条件が成立した時点t1でオルタネータ32の目標発電電流Geを一旦増大させておき、上記最終TDCのn回前の上死点通過時点t3でGeを必要量だけ低下させるようにしたが、時点t1〜t3の間、目標発電電流Geを比較的低い値に維持しておき、上記時点t3(最終TDCのn回前の上死点通過時点)で、そのときのエンジン回転速度Neに応じて目標発電電流Geを増大させるようにしてもよい。この場合、時点t3で目標発電電流Geを低下させるようにした上記実施形態と比べると、制御の応答性は劣るが、例えば目標発電電流Geを所要量増大させるのにどの程度の時間を要するかというデータが予め分かっていれば、その応答時間を考慮した制御を行うことで、上記実施形態と同様、最終TDC通過時のエンジン回転速度Netを上記特定速度範囲P内に適正に収めることができると考えられる。
また、上記実施形態では、最終TDCのn回前の上死点通過時点t3で、オルタネータ32の発電量(目標発電電流Ge)を変化させ、これによってエンジンにかかる負荷を調節するようにしたが、エンジン(クランクシャフト7)に負荷を与えるものとして、オルタネータ32以外の補機があれば、その補機の動作を制御することによってエンジン負荷を調節してもよい。
また、上記実施形態では、圧縮自己着火式エンジンの一例としてのディーゼルエンジン(軽油を自己着火により燃焼させるエンジン)に、本発明にかかる自動停止・再始動制御を適用した例を説明したが、本発明と同様の構成は、圧縮自己着火式のエンジンであれば、ディーゼルエンジンに限らず適用可能である。例えば、最近では、ガソリンを含む燃料を高圧縮比で圧縮して自己着火させるタイプのエンジンが研究、開発されているが、このような圧縮自己着火式のガソリンエンジンに対しても、本発明にかかる自動停止・再始動制御を好適に適用することができる。
最後に、上記実施形態に基づき開示された本発明の構成およびその効果について概説する。
本発明は、気筒内に噴射された燃料を自己着火により燃焼させる圧縮自己着火式エンジンに対し予め定められた所定の自動停止条件が成立したときに上記エンジンを自動的に停止させるとともに、その後所定の再始動条件が成立したときに、スタータモータを用いて上記エンジンに回転力を付与しつつ、停止時に圧縮行程にある気筒である停止圧縮気筒に対し燃料噴射を実行することにより、上記エンジンを再始動させる圧縮自己着火式エンジンの始動装置に関する。この始動装置は、上記エンジンの吸気通路を流れる空気の流量を調節する吸気絞り弁と、上記エンジンの各気筒に燃料を噴射する燃料噴射弁と、上記エンジンに負荷を与える補機とを含む各種機器を制御する制御手段を備える。制御手段は、上記自動停止条件が成立した以降に、上記燃料噴射弁からの燃料噴射を停止する燃料カットを実行するとともに、上記吸気絞り弁の開度を全閉にしてその状態を全気筒における停止直前の最後の上死点である最終TDCまで少なくとも維持し、さらに、上記最終TDC通過時のエンジン回転速度が、上記最終TDCでのエンジン回転速度となり得る速度域のうちその上限値と下限値との中間値よりも低回転側の範囲に設定された特定速度範囲内に収まるように、上記燃料カット後における上記補機の動作を制御してエンジン負荷を調節することにより、上記停止圧縮気筒のピストンを上死点と下死点との間の中間位置よりも下死点側で停止させる。
また、本発明は、上記圧縮自己着火式エンジンの始動方法に関する。この始動方法には、上記自動停止条件が成立した以降に、上記エンジンの各気筒に設けられた燃料噴射弁からの燃料噴射を停止する燃料カットを実行するとともに、上記エンジンの吸気通路を流れる空気の流量を調節する吸気絞り弁の開度を全閉にしてその状態を全気筒における停止直前の最後の上死点である最終TDCまで少なくとも維持するステップと、上記最終TDC通過時のエンジン回転速度が、上記最終TDCでのエンジン回転速度となり得る速度域のうちその上限値と下限値との中間値よりも低回転側の範囲に設定された特定速度範囲内に収まるように、上記エンジンに負荷を与える補機の上記燃料カット後の動作を制御してエンジン負荷を調節することにより、上記停止圧縮気筒のピストンを上死点と下死点との間の中間位置よりも下死点側で停止させるステップとが含まれる。
これらの発明のように、エンジンの自動停止制御時に吸気絞り弁を全閉にし、その状態を少なくとも最終TDCまで維持した場合には、各気筒内の平均的な空気量が少なめになり、エンジン停止時のピストン位置が、最終TDC通過時のエンジン回転速度の大小(つまり最後の上死点を乗り越えるときのピストンの勢いの相違)によって左右され易くなる。そこで、本発明では、このような状態を敢えてつくり出した上で、補機の動作制御に伴いエンジン負荷を調節することにより、最終TDC通過時のエンジン回転速度を、最終TDCでのエンジン回転速度となり得る速度域のうちその上限値と下限値との中間値よりも低回転側の範囲に設定された特定速度範囲内に収めるようにした。このように、最終TDCを超えるときのピストンスピードを比較的遅くすることにより、停止圧縮気筒のピストン停止位置が、かなり高い確率で上死点と下死点との間の中間位置よりも下死点側に収まることになる。
このような範囲に停止圧縮気筒のピストン位置があれば、エンジンの再始動のためにスタータモータを駆動したときに、ピストンの上昇によって当該気筒内の空気が十分に圧縮されて高温化するため、当該気筒内に最初の燃料を噴射することで、その燃料を確実に自着火させて燃焼させることができる。これにより、エンジン全体として1回目の上死点を迎える時点から燃焼を再開でき、より迅速にエンジンを再始動させることができる。
本発明の始動装置において、好ましくは、上記補機は、上記エンジンから駆動力を得て発電するオルタネータであり、上記制御手段は、上記燃料カットの実行後、上記最終TDCよりも所定回数前に上死点を迎える気筒の上死点通過時に、そのときのエンジン回転速度に基づき上記オルタネータの目標発電電流を算出し、その目標発電電流に合わせて上記オルタネータの発電量を変化させる。
このように、最終TDCを迎える前に、エンジン回転速度の低下度合いに応じてオルタネータの発電量を変化させるようにした場合には、オルタネータの発電制御に基づきエンジンにかかる負荷を適正に調節することができ、停止圧縮気筒のピストン停止位置をより高い精度で上述した範囲内(上死点と下死点との中間位置よりも下死点側)に収めることができる。
上記構成において、より好ましくは、上記目標発電電流は、上記自動停止条件が成立した時点で一旦増大され、その後、上記最終TDCよりも所定回数前の上死点通過時に必要量だけ低減される。
この構成によれば、最終TDCを迎える前のエンジン負荷を優れた応答性で調節することができる。
本発明の始動装置において、好ましくは、上記制御手段は、上記自動停止条件の成立に伴い上記吸気絞り弁を全閉にする前の時点では、上記エンジンの運転状態にかかわらず上記吸気絞り弁を一定の開弁位置に維持する。
この構成によれば、自動停止制御の開始直前まで着火安定性を十分に確保でき、自動停止制御の開始時におけるエンジン回転速度がばらつくのを効果的に防止することができる。

Claims (5)

  1. 気筒内に噴射された燃料を自己着火により燃焼させる圧縮自己着火式エンジンに対し予め定められた所定の自動停止条件が成立したときに上記エンジンを自動的に停止させるとともに、その後所定の再始動条件が成立したときに、スタータモータを用いて上記エンジンに回転力を付与しつつ、停止時に圧縮行程にある気筒である停止圧縮気筒に対し燃料噴射を実行することにより、上記エンジンを再始動させる圧縮自己着火式エンジンの始動装置であって、
    上記エンジンの吸気通路を流れる空気の流量を調節する吸気絞り弁と、上記エンジンの各気筒に燃料を噴射する燃料噴射弁と、上記エンジンに負荷を与える補機とを含む各種機器を制御する制御手段を備え、
    上記制御手段は、
    上記自動停止条件が成立した以降に、上記燃料噴射弁からの燃料噴射を停止する燃料カットを実行するとともに、上記吸気絞り弁の開度を全閉にしてその状態を全気筒における停止直前の最後の上死点である最終TDCまで少なくとも維持し、
    さらに、上記最終TDC通過時のエンジン回転速度が予め定められた特定速度範囲内に収まるように、上記燃料カット後における上記補機の動作を制御してエンジン負荷を調節することにより、上記停止圧縮気筒のピストンを上死点と下死点との間の中間位置よりも下死点側で停止させる、ことを特徴とする圧縮自己着火式エンジンの始動装置。
  2. 請求項1記載の圧縮自己着火式エンジンの始動装置において、
    上記特定速度範囲は、上記最終TDCでのエンジン回転速度となり得る速度域のうち、その上限値と下限値との中間値よりも低回転側の範囲に設定される、ことを特徴とする圧縮自己着火式エンジンの始動装置。
  3. 請求項1記載の圧縮自己着火式エンジンの始動装置において、
    上記補機は、上記エンジンから駆動力を得て発電するオルタネータであり、
    上記制御手段は、上記燃料カットの実行後、上記最終TDCよりも所定回数前に上死点を迎える気筒の上死点通過時に、そのときのエンジン回転速度に基づき上記オルタネータの目標発電電流を算出し、その目標発電電流に合わせて上記オルタネータの発電量を変化させる、ことを特徴とする圧縮自己着火式エンジンの始動装置。
  4. 請求項1記載の圧縮自己着火式エンジンの始動装置において、
    上記制御手段は、上記自動停止条件の成立に伴い上記吸気絞り弁を全閉にする前の時点では、上記エンジンの運転状態にかかわらず上記吸気絞り弁を一定の開弁位置に維持する、ことを特徴とする圧縮自己着火式エンジンの始動装置。
  5. 気筒内に噴射された燃料を自己着火により燃焼させる圧縮自己着火式エンジンに対し予め定められた所定の自動停止条件が成立したときに上記エンジンを自動的に停止させるとともに、その後所定の再始動条件が成立したときに、スタータモータを用いて上記エンジンに回転力を付与しつつ、停止時に圧縮行程にある気筒である停止圧縮気筒に対し燃料噴射を実行することにより、上記エンジンを再始動させる圧縮自己着火式エンジンの始動方法であって、
    上記自動停止条件が成立した以降に、上記エンジンの各気筒に設けられた燃料噴射弁からの燃料噴射を停止する燃料カットを実行するとともに、上記エンジンの吸気通路を流れる空気の流量を調節する吸気絞り弁の開度を全閉にしてその状態を全気筒における停止直前の最後の上死点である最終TDCまで少なくとも維持するステップと、
    上記最終TDC通過時のエンジン回転速度が予め定められた特定速度範囲内に収まるように、上記エンジンに負荷を与える補機の上記燃料カット後の動作を制御してエンジン負荷を調節することにより、上記停止圧縮気筒のピストンを上死点と下死点との間の中間位置よりも下死点側で停止させるステップとを含む、ことを特徴とする圧縮自己着火式エンジンの始動方法。
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