JP5834699B2 - 圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、気筒内に噴射された燃料を自己着火により燃焼させる圧縮自己着火式エンジンに設けられ、所定の自動停止条件が成立したときに上記エンジンを自動停止させるとともに、その後所定の再始動条件が成立したときに、スタータモータを用いて上記エンジンに回転力を付与しつつ、エンジン停止時に圧縮行程にある停止時圧縮行程気筒に対して燃料噴射を実行することにより、上記エンジンを再始動させる圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置に関する。
ディーゼルエンジンに代表される圧縮自己着火式エンジンは、一般に、ガソリンエンジンのような火花点火式エンジンよりも熱効率に優れ、排出されるCOの量も少ないことから、近年、車載用エンジンとして広く普及しつつある。
上記のような圧縮自己着火式エンジンにおいて、より一層のCOの削減を図るには、アイドル運転時等にエンジンを自動的に停止させ、その後車両の発進操作等が行われたときにエンジンを自動的に再始動させる、いわゆるアイドルストップ制御の技術を採用することが有効であり、そのことに関する種々の研究もなされている。
例えば、特許文献1には、所定の自動停止条件が成立したときにディーゼルエンジンを自動的に停止させ、所定の再始動条件が成立すると、スタータモータを駆動してエンジンに回転力を付与しつつ燃料噴射を実行してディーゼルエンジンを再始動させるディーゼルエンジンの制御装置が開示されている。そして、エンジンの停止時(停止完了時)に圧縮行程にある気筒(停止時圧縮行程気筒)のピストン停止位置に基づき、最初に燃料を噴射する気筒を可変的に設定することが記載されている。
より具体的には、ディーゼルエンジンが自動停止されると、その時点で圧縮行程にある停止時圧縮行程気筒のピストン位置を求め、そのピストン位置が相対的に下死点寄りに予め設定された基準停止位置範囲内にあるか否かを判定し、基準停止位置範囲内にあるときには、エンジンを再始動させる際に、上記停止時圧縮行程気筒に最初に燃料を噴射する一方、基準停止位置範囲よりも上死点側にあるときには、エンジン全体として1回目の上死点を越えて、停止時吸気行程気筒(エンジンの停止時に吸気行程にある気筒)が圧縮行程を迎えたときに、該気筒に最初に燃料を噴射するようにしている。
このような構成によれば、停止時圧縮行程気筒のピストンが上記基準停止位置範囲内にあるときには、停止時圧縮行程気筒に燃料を噴射することにより、その燃料を確実に自己着火させることができ、比較的短時間でエンジンを迅速に再始動させることができる(これを便宜上「1圧縮始動」という)。一方、停止時圧縮行程気筒のピストンが上記基準停止位置範囲から上死点側に外れているときには、そのピストンによる圧縮ストローク量(圧縮代)が少なく気筒内の空気が十分に高温化しないことから、停止時圧縮行程気筒に燃料を噴射しても失火が起きるおそれがある。そこで、このような場合には、停止時圧縮行程気筒ではなく停止時吸気行程気筒に燃料を噴射することにより、筒内の空気を十分に圧縮して確実に燃料を自己着火させることができる(これを便宜上「2圧縮始動」という)。
特開2009−062960号公報(段落0048)
上記のように、従来、エンジンを再始動させる際は、停止時圧縮行程気筒のピストンが基準停止位置範囲内で停止しているか否かを判定し、停止している場合は、停止時圧縮行程気筒に燃料を噴射して、エンジンを1圧縮始動で迅速に再始動させることが行われている。ここで、1圧縮始動の機会を増やして迅速なエンジン再始動を図る観点からは、基準停止位置範囲をできるだけ上死点側まで拡大することが望ましい。しかしながら、ピストンが上死点寄りで停止している場合は、下死点寄りで停止している場合に比べて、圧縮ストローク量が少ない分、上死点まで圧縮したときの筒内温度(これを便宜上「上死点温度」という)が不足し、燃料が着火しない可能性が生じる。このため、従来の1圧縮始動のやり方では、基準停止位置範囲を下死点に近い範囲に限定せざるを得ないという問題があった。同様の問題(基準停止位置範囲が狭くなるという問題)は、例えば、エンジン冷却水温(エンジン温度)が相対的に低い場合等にも起こり得る。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、圧縮自己着火式エンジンを再始動させる際に、例えば、停止時圧縮行程気筒のピストンの停止位置が上死点寄りであったり、エンジン冷却水温が相対的に低い等、圧縮時の筒内温度の上昇に不利な要因、換言すれば、停止時圧縮行程気筒に噴射された燃料の着火に不利な要因があっても、圧縮自己着火式エンジンを、安定、確実に、1圧縮始動で迅速に再始動させることを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、気筒内に噴射された燃料を自己着火により燃焼させる圧縮自己着火式エンジンに設けられ、所定の自動停止条件が成立したときに上記エンジンを自動停止させるとともに、その後所定の再始動条件が成立したときに、エンジンの停止時に圧縮行程にある停止時圧縮行程気筒のピストンの停止位置が相対的に下死点寄りに設定された基準停止位置範囲内にある場合は、スタータモータを用いて上記エンジンに回転力を付与しつつ、上記停止時圧縮行程気筒に燃料噴射を実行することにより、上記エンジンを再始動させる圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置であって、気筒内に燃料を噴射する燃料噴射手段と、エンジンを再始動させる際に、上記停止時圧縮行程気筒に燃料噴射を実行するときは、圧縮上死点前にプレ燃焼用のプレ噴射が行われ、その後、主燃焼用の主噴射が行われるように、上記燃料噴射手段を制御する制御手段とを備え、上記ピストンは、冠面に凹環状のキャビティが設けられ、上記制御手段は、プレ噴射された燃料が上記キャビティ内に収まるタイミングで燃料がプレ噴射され、かつ、停止時圧縮行程気筒のピストンの停止位置が上死点寄りであるほど、プレ噴射される燃料がより多数段に分割されてプレ噴射されるように、上記燃料噴射手段を制御することを特徴とするものである(請求項1)。
また、本発明は、気筒内に噴射された燃料を自己着火により燃焼させる圧縮自己着火式エンジンに設けられ、所定の自動停止条件が成立したときに上記エンジンを自動停止させるとともに、その後所定の再始動条件が成立したときに、エンジンの停止時に圧縮行程にある停止時圧縮行程気筒のピストンの停止位置が相対的に下死点寄りに設定された基準停止位置範囲内にある場合は、スタータモータを用いて上記エンジンに回転力を付与しつつ、上記停止時圧縮行程気筒に燃料噴射を実行することにより、上記エンジンを再始動させる圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置であって、気筒内に燃料を噴射する燃料噴射手段と、エンジンを再始動させる際に、上記停止時圧縮行程気筒に燃料噴射を実行するときは、圧縮上死点前にプレ燃焼用のプレ噴射が行われ、その後、主燃焼用の主噴射が行われるように、上記燃料噴射手段を制御する制御手段とを備え、上記ピストンは、冠面に凹環状のキャビティが設けられ、上記制御手段は、プレ噴射された燃料が上記キャビティ内に収まるタイミングで燃料がプレ噴射され、かつ、エンジン冷却水温が低いほど、プレ噴射される燃料がより多数段に分割されてキャビティ内にプレ噴射されるように、上記燃料噴射手段を制御することを特徴とするものである(請求項2)。
本発明によれば、エンジンを再始動させる際に、停止時圧縮行程気筒に燃料噴射を実行するとき、つまり1圧縮始動を行うときは、拡散燃焼である主燃焼の前に、圧縮上死点前のタイミングでプレ燃焼が行われる。そのため、停止時圧縮行程気筒内の温度がプレ燃焼によって高められ、上死点温度が上り、プレ噴射の後に主噴射された燃料の着火性が高められる。したがって、たとえ停止時圧縮行程気筒のピストンの停止位置が上死点寄りであったり、エンジン冷却水温が相対的に低い等、停止時圧縮行程気筒に噴射された燃料の着火に不利な要因があっても、それを克服して、圧縮自己着火式エンジンを、安定、確実に、1圧縮始動で迅速に再始動させることが可能となる。すなわち、基準停止位置範囲を上死点側に拡大し、1圧縮始動の機会を増やして、迅速な始動性を確保することができる。
発明の実施形態でより詳しく説明するように、プレ噴射された燃料がピストン冠面の凹環状キャビティに収まるようにした場合、同じプレ噴射量(プレ噴射される燃料の総噴射量が同じ)であっても、1段で全量をプレ噴射したときと、複数段に分割してプレ噴射したときとで、上記キャビティ内に形成される混合気の当量比が相違する。具体的には、1段噴射では当量比が相対的に小さい混合気(燃料リーンな混合気)が相対的に高い頻度で発生するのに対し、複数段噴射では当量比が相対的に大きい混合気(燃料リッチな混合気)が相対的に高い頻度で発生する。これは、複数段噴射では、1段当たりのペネトレーション(噴霧の直進性)が弱くなり、噴射された燃料がキャビティ壁面近傍に停滞して過濃混合気が形成され易くなるからと考えられる。そして、混合気の当量比が大きいほど(燃料リッチなほど)、着火遅れ時間が短くなる(着火し易くなる)ことが分かっている。したがって、燃料をより多数段に分割してプレ噴射するほど、ピストン冠面の凹環状キャビティ内に形成される混合気がより着火し易くなる。
以上のことから、上記構成によれば、停止時圧縮行程気筒のピストンの停止位置が上死点寄りであるほど、エンジン冷却水温が低いほど、又は、停止時圧縮行程気筒のピストンの停止位置が上死点寄りであるほどかつエンジン冷却水温が低いほど、プレ噴射される燃料がより多数段に分割されてプレ噴射されるので、プレ噴射された燃料がより着火し易くなる。その結果、プレ燃焼が安定、確実に行われ、たとえ停止時圧縮行程気筒に噴射された燃料の着火に不利な要因が大きくても、停止時圧縮行程気筒内の温度がプレ燃焼によって確実に高められ、上死点温度が確実に上り、プレ噴射の後に主噴射された燃料の着火性が確実に高められて、1圧縮始動が確実に行われる。
本発明において、好ましくは、上記制御手段は、上記プレ噴射の分割段数に拘らず、プレ噴射される燃料の総噴射量が一定となるように、上記燃料噴射手段を制御する(請求項)。
この構成によれば、プレ噴射される燃料の総噴射量が一定とされるから、たとえプレ噴射の分割段数が多くなってもプレ燃焼による熱発生量は増大しない。そして、プレ燃焼は圧縮上死点前に行われるから、プレ燃焼による逆トルク(圧縮行程のピストンを押し下げようとする力)の生成が抑制される。結果として、スタータモータに過大な駆動負荷が作用することが回避される。
本発明は、圧縮比が14以下の圧縮自己着火エンジンに好ましく適用することができる(請求項)。
この構成によれば、圧縮比が14以下と比較的小さく、気筒内の空気の高温化が不足しがちな圧縮自己着火エンジンであっても、停止時圧縮行程気筒内の温度がプレ燃焼によって高められ、上死点温度が上り、プレ噴射の後に主噴射された燃料の着火性が高められて、圧縮自己着火式エンジンを、安定、確実に、1圧縮始動で迅速に再始動させることが可能となる。
本発明において、好ましくは、上記制御手段は、上記プレ噴射及び上記主噴射による燃焼波形が、プレ噴射された燃料のプレ燃焼による熱発生率のピークを迎えた後、熱発生率がいったん低下し、その後、主噴射された燃料の主燃焼による熱発生率のピークを迎える燃焼波形となるように、上記燃料噴射手段を制御する(請求項)。
この構成によれば、プレ燃焼は、主燃焼とは別の異なる目的の燃焼であることが明らかとなる。つまり、本発明では、プレ燃焼は、停止時圧縮行程気筒内の状態を燃料の着火に有利な状態に改善するための燃焼であって、主燃焼のようにエンジン始動のためのトルクを発生するための燃焼ではないのである。これにより、プレ燃焼による熱発生が専ら着火性を高めるためのものとなり、より確実に主燃焼を引き起こすことができる。
以上説明したように、本発明によれば、圧縮自己着火式エンジンを再始動させる際に、停止時圧縮行程気筒内で、主燃焼の前にプレ燃焼が行われるから、停止時圧縮行程気筒内の温度がプレ燃焼によって高められ、上死点温度が上り、プレ噴射の後に主噴射された燃料の着火性が高められる。したがって、たとえ停止時圧縮行程気筒のピストンの停止位置が上死点寄りであったり、エンジン冷却水温が相対的に低い等、停止時圧縮行程気筒に噴射された燃料の着火に不利な要因があっても、それを克服して、圧縮自己着火式エンジンを、安定、確実に、1圧縮始動で迅速に再始動させることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る始動制御装置が適用されたディーゼルエンジンの全体構成を示すシステム構成図である。 上記エンジンの自動停止制御の具体的動作の一例を示すフローチャートである。 上記エンジンの再始動制御の具体的動作の一例を示すフローチャートである。 上記再始動制御で1圧縮始動又は2圧縮始動を判定するために用いるマップである。 プレ噴射された燃料の凹環状キャビティ内での挙動の説明図であって、(a)はプレ噴射を1段で行った場合、(b)はプレ噴射を3段に分割して行った場合である。 プレ噴射された燃料によって凹環状キャビティ内に形成される混合気の当量比と発生頻度との関係を示すグラフであって、(a)はプレ噴射を1段で行った場合、(b)はプレ噴射を3段に分割して行った場合である。 筒内温度と着火遅れ時間との関係を種々の当量比毎に示すグラフである。 クランク角と熱発生率との関係を種々のプレ噴射段数毎に示すグラフである。 上記再始動制御で1圧縮始動を行うときのプレ噴射段数を設定するために用いるマップである。 上記再始動制御で気筒に噴射する燃料噴射量を設定するために用いるマップである。
(1)エンジンの全体構成
図1は、本発明の一実施形態に係る始動制御装置が適用されたディーゼルエンジンの全体構成を示すシステム構成図である。本図に示されるディーゼルエンジンは、走行駆動用の動力源として車両に搭載される4サイクルのディーゼルエンジンである。このエンジンのエンジン本体1は、いわゆる直列4気筒型のものであり、紙面に直交する方向に列状に並ぶ4つの気筒2A〜2Dを有するシリンダブロック3と、シリンダブロック3の上面に設けられたシリンダヘッド4と、各気筒2A〜2Dにそれぞれ往復摺動可能に挿入されたピストン5とを有している。
上記ピストン5の上方には燃焼室6が形成されており、この燃焼室6には、後述する燃料噴射弁15から噴射される燃料(軽油)が供給される。そして、噴射された燃料が、ピストン5の圧縮作用により高温・高圧化した燃焼室6で自着火し(圧縮自己着火)、その燃焼による膨張力で押し下げられたピストン5が上下方向に往復運動するようになっている。
上記ピストン5は図外のコネクティングロッドを介してクランクシャフト7と連結されており、上記ピストン5の往復運動(上下運動)に応じて上記クランクシャフト7が中心軸回りに回転するようになっている。
ここで、図示のような4サイクル4気筒のディーゼルエンジンでは、各気筒2A〜2Dに設けられたピストン5が、クランク角で180°(180°CA)の位相差をもって上下運動する。このため、各気筒2A〜2Dでの燃焼(燃料噴射)のタイミングは、180°CAずつ位相をずらしたタイミングに設定される。具体的には、気筒2A,2B,2C,2Dの気筒番号をそれぞれ1番、2番、3番、4番とすると、1番気筒2A→3番気筒2C→4番気筒2D→2番気筒2Bの順に燃焼が行われる。このため、例えば1番気筒2Aが膨張行程であれば、3番気筒2C、4番気筒2D、2番気筒2Bは、それぞれ、圧縮行程、吸気行程、排気行程となる。
上記シリンダヘッド4には、各気筒2A〜2Dの燃焼室6に開口する吸気ポート9および排気ポート10と、各ポート9,10を開閉可能に閉止する吸気弁11および排気弁12とが設けられている。なお、吸気弁11および排気弁12は、シリンダヘッド4に配設された一対のカムシャフト等を含む動弁機構13,14により、クランクシャフト7の回転に連動して開閉駆動される。
また、上記シリンダヘッド4には、燃料噴射弁15が各気筒2A〜2Dにつき1つずつ設けられている。各燃料噴射弁15は、蓄圧室としてのコモンレール20と分岐管21を介してそれぞれ接続されている。コモンレール20には、燃料供給ポンプ23から燃料供給管22を通じて供給された燃料(軽油)が高圧状態で蓄えられており、このコモンレール20内で高圧化された燃料が分岐管21を通じて各燃料噴射弁15にそれぞれ供給されるようになっている。
各燃料噴射弁15は、複数の噴孔を有する噴射ノズルが先端部に設けられた電磁式のニードル弁からなり、その内部に、上記噴射ノズルに通じる燃料通路と、電磁力により作動して上記燃料通路を開閉するニードル状の弁体とを有している(いずれも図示省略)。そして、通電による電磁力で上記弁体が開方向に駆動されることにより、コモンレール20から供給された燃料が上記噴射ノズルの各噴孔から燃焼室6に向けて直接噴射されるようになっている。燃料噴射弁15は、気筒2A〜2D内に燃料を噴射する、本発明に係る燃料噴射手段に相当する。
上記シリンダブロック3やシリンダヘッド4の内部には、冷却水が流通する図外のウォータジャケットが設けられており、このウォータジャケット内の冷却水の温度を検出するための水温センサSW1が、上記シリンダブロック3に設けられている。
また、上記シリンダブロック3には、クランクシャフト7の回転角度および回転速度を検出するためのクランク角センサSW2が設けられている。このクランク角センサSW2は、クランクシャフト7と一体に回転するクランクプレート25の回転に応じてパルス信号を出力する。
具体的に、上記クランクプレート25の外周部には、一定ピッチで並ぶ多数の歯が突設されており、その外周部における所定範囲には、基準位置を特定するための歯欠け部25a(歯の存在しない部分)が形成されている。そして、このように基準位置に歯欠け部25aを有したクランクプレート25が回転し、それに基づくパルス信号が上記クランク角センサSW2から出力されることにより、クランクシャフト7の回転角度(クランク角)および回転速度(エンジン回転速度)が検出されるようになっている。
一方、上記シリンダヘッド4には、動弁用のカムシャフト(図示省略)の角度を検出するためのカム角センサSW3が設けられている。カム角センサSW3は、カムシャフトと一体に回転するシグナルプレートの歯の通過に応じて、気筒判別用のパルス信号を出力するものである。
すなわち、上記クランク角センサSW2から出力されるパルス信号の中には、上述した歯欠け部25aに対応して360°CAごとに生成される無信号部分が含まれるが、その情報だけでは、例えばピストン5が上昇しているときに、それがどの気筒の圧縮行程または排気行程にあたるのか判別することができない。そこで、720°CAごとに1回転するカムシャフトの回転に基づきカム角センサSW3からパルス信号を出力させ、その信号が出力されるタイミングと、上記クランク角センサSW2の無信号部分のタイミング(歯欠け部25aの通過タイミング)とに基づいて、気筒判別を行うようにしている。
上記吸気ポート9および排気ポート10には、吸気通路28および排気通路29がそれぞれ接続されている。すなわち、外部からの吸入空気(新気)が上記吸気通路28を通じて燃焼室6に供給されるとともに、燃焼室6で生成された排気ガス(燃焼ガス)が上記排気通路29を通じて外部に排出されるようになっている。
上記吸気通路28のうち、エンジン本体1から所定距離上流側までの範囲は、気筒2A〜2Dごとに分岐した分岐通路部28aとされており、各分岐通路部28aの上流端がそれぞれサージタンク28bに接続されている。このサージタンク28bよりも上流側には、単一の通路からなる共通通路部28cが設けられている。
上記共通通路部28cには、各気筒2A〜2Dに流入する空気量(吸気流量)を調節するための吸気絞り弁30が設けられている。吸気絞り弁30は、エンジンの運転中は基本的に全開もしくはこれに近い高開度に維持されており、エンジンの停止時等の必要時にのみ閉弁されて吸気通路28を遮断するように構成されている。
上記サージタンク28bには、吸気圧力を検出するための吸気圧センサSW4が設けられており、上記サージタンク28bと吸気絞り弁30との間の共通通路部28cには、吸気流量を検出するためのエアフローセンサSW5が設けられている。
上記クランクシャフト7には、タイミングベルト等を介してオルタネータ32が連結されている。このオルタネータ32は、図外のフィールドコイルの電流を制御して発電量を調節するレギュレータ回路を内蔵しており、車両の電気負荷やバッテリの残容量等から定められる発電量の目標値(目標発電電流)に基づき、クランクシャフト7から駆動力を得て発電を行うように構成されている。
上記シリンダブロック3には、エンジンを始動するためのスタータモータ34が設けられている。このスタータモータ34は、モータ本体34aと、モータ本体34aにより回転駆動されるピニオンギア34bとを有している。上記ピニオンギア34bは、クランクシャフト7の一端部に連結されたリングギア35と離接可能に噛合している。そして、上記スタータモータ34を用いてエンジンを始動する際には、ピニオンギア34bが所定の噛合位置に移動して上記リングギア35と噛合し、ピニオンギア34bの回転力がリングギア35に伝達されることにより、クランクシャフト7が回転駆動されるようになっている。
(2)制御システム
以上のように構成されたエンジンは、その各部がECU(電子制御ユニット)50により統括的に制御される。ECU50は、周知のCPU、ROM、RAM等から構成されたマイクロプロセッサであり、本発明に係る制御手段に相当する。
上記ECU50には、各種センサから種々の情報が入力される。すなわち、ECU50は、エンジンの各部に設けられた上記水温センサSW1、クランク角センサSW2、カム角センサSW3、吸気圧センサSW4、およびエアフローセンサSW5と電気的に接続されており、これら各センサSW1〜SW5からの入力信号に基づいて、エンジンの冷却水温、クランク角、エンジン回転速度、気筒判別、吸気圧力、吸気流量等の種々の情報を取得する。
また、ECU50には、車両に設けられた各種センサ(SW6〜SW9)からの情報も入力される。すなわち、車両には、運転者により踏み込み操作されるアクセルペダル36の開度を検出するためのアクセル開度センサSW6と、ブレーキペダル37のON/OFF(ブレーキの有無)を検出するためのブレーキセンサSW7と、車両の走行速度(車速)を検出するための車速センサSW8と、バッテリ(図示省略)の残容量を検出するためのバッテリセンサSW9とが設けられている。ECU50は、これら各センサSW6〜SW9からの入力信号に基づいて、アクセル開度、ブレーキの有無、車速、バッテリの残容量といった情報を取得する。
上記ECU50は、上記各センサSW1〜SW9からの入力信号に基づいて種々の演算等を実行しつつ、エンジンの各部を制御する。具体的に、ECU50は、上記燃料噴射弁15、吸気絞り弁30、オルタネータ32、およびスタータモータ34と電気的に接続されており、上記演算の結果等に基づいて、これらの機器にそれぞれ駆動用の制御信号を出力する。
上記ECU50が有するより具体的な機能について説明する。ECU50は、例えばエンジンの通常運転時に、運転条件に基づき定められる所要量の燃料を燃料噴射弁15から噴射させたり、車両の電気負荷やバッテリの残容量等に基づき定められる所要発電量をオルタネータ32に発電させる等の基本的な機能を有する他、予め定められた特定の条件下でエンジンを自動的に停止させ、または再始動させる機能をも有している。このため、ECU50は、エンジンの自動停止または再始動制御に関する機能的要素として、自動停止制御部51および再始動制御部52を有している。
上記自動停止制御部51は、エンジンの運転中に、予め定められたエンジンの自動停止条件が成立したか否かを判定し、成立した場合に、エンジンを自動停止させる制御を実行するものである。
例えば、車両が停止状態にあること等の複数の条件が揃い、エンジンを停止させても支障のない状態であることが確認された場合に、自動停止条件が成立したと判定する。そして、燃料噴射弁15からの燃料噴射を停止(燃料カット)する等により、エンジンを停止させる。
上記再始動制御部52は、エンジンが自動停止した後、予め定められた再始動条件が成立したか否かを判定し、成立した場合に、エンジンを再始動させる制御を実行するものである。
例えば、車両を発進させるために運転者がアクセルペダル36を踏み込むなどして、エンジンを始動させる必要が生じたときに、再始動条件が成立したと判定する。そして、スタータモータ34を駆動してクランクシャフト7に回転力を付与しつつ、燃料噴射弁15からの燃料噴射を再開させることにより、エンジンを再始動させる。
(3)自動停止制御
次に、エンジン自動停止制御を司るECU50の自動停止制御部51の具体的制御動作の一例について、図2のフローチャートを用いて説明する。
図2のフローチャートに示す処理がスタートすると、自動停止制御部51は、各種センサ値を読み込む(ステップS1)。具体的には、水温センサSW1、クランク角センサSW2、カム角センサSW3、吸気圧センサSW4、エアフローセンサSW5、アクセル開度センサSW6、ブレーキセンサSW7、車速センサSW8、およびバッテリセンサSW9からそれぞれの検出信号を読み込み、これらの信号に基づいて、エンジンの冷却水温、クランク角、エンジン回転速度、気筒判別、吸気圧力、吸気流量、アクセル開度、ブレーキの有無、車速、バッテリの残容量等の各種情報を取得する。
次いで、自動停止制御部51は、上記ステップS1で取得された情報に基づいて、エンジンの自動停止条件が成立しているか否かを判定する(ステップS2)。例えば、車両が停止していること(車速=0km/h)、アクセルペダル36の開度がゼロ(アクセルOFF)であること、ブレーキペダル37が操作中(ブレーキON)であること、エンジンの冷却水温が所定値以上(温間状態)にあること、バッテリの残容量が所定値以上であること、等の複数の条件が全て揃ったときに、自動停止条件が成立したと判定する。なお、車速については、必ずしも完全停止(車速=0km/h)を条件とする必要はなく、所定の低車速以下(例えば3km/以下)という条件を設定してもよい。
上記ステップS2でYESと判定されて自動停止条件が成立したことが確認された場合、自動停止制御部51は、吸気絞り弁30の開度を全閉(0%)に設定する(ステップS3)。すなわち、上記自動停止条件が成立した時点で、吸気絞り弁30の開度を、アイドル運転時に設定される所定の開度(例えば30%)から、全閉(0%)まで低下させる。
次いで、自動停止制御部51は、燃料噴射弁15を常に閉状態に維持することにより、燃料噴射弁15からの燃料の供給を停止(燃料カット)する(ステップS4)。
次いで、自動停止制御部51は、エンジン回転速度が0rpmであるか否かを判定することにより、エンジンが完全停止したか否かを判定する(ステップS5)。そして、エンジンが完全停止していれば、自動停止制御部51は、例えば、吸気絞り弁30の開度を、通常運転時に設定される所定の開度(例えば80%等)に設定する等して(ステップS6)、この自動停止制御はエンドとなる。
(4)再始動制御及び本実施形態の作用効果
次に、エンジン再始動制御を司るECU50の再始動制御部52の具体的制御動作の一例について、図3のフローチャートを用いて説明する。
図3のフローチャートに示す処理がスタートすると、再始動制御部52は、各種センサ値に基づいて、エンジンの再始動条件が成立しているか否かを判定する(ステップS21)。例えば、車両発進のためにアクセルペダル36が踏み込まれたこと(アクセルON)、バッテリの残容量が低下したこと、エンジンの冷却水温が所定値未満(冷間状態)になったこと、エンジンの停止継続時間(自動停止後の経過時間)が所定時間を越えたこと、等の条件の少なくとも1つが成立したときに、再始動条件が成立したと判定する。
上記ステップS21でYESと判定されて再始動条件が成立したことが確認された場合、再始動制御部52は、図4に示すようなマップを用いて、停止時圧縮行程気筒(エンジン停止時に圧縮行程にある気筒)のピストン停止位置が基準停止位置範囲R(例えば圧縮上死点前83°CA〜180°CAの範囲等)内にあるか否かを判定する(ステップS22)。
ここで、上記マップは、エンジンを再始動させる際にエンジンを1圧縮始動で再始動させるか2圧縮始動で再始動させるかを判定するために用いるマップである。1圧縮始動とは、エンジン停止時に圧縮行程にある気筒(停止時圧縮行程気筒)に、エンジン全体として1つ目の上死点(TDC)を迎えるときに燃料を噴射してエンジンを再始動させることである。2圧縮始動とは、エンジン停止時に吸気行程にある気筒(停止時吸気行程気筒)に、エンジン全体として2つ目の上死点を迎えるときに燃料を噴射してエンジンを再始動させることである。
図4に示すように、上記判定用マップは、停止時圧縮行程気筒のピストン停止位置とエンジン冷却水温とをパラメータとして、基準停止位置範囲Rが設定されたものである。ここで、縦軸のエンジン冷却水温は、エンジンの再始動制御の開始時のエンジン冷却水温である。エンジンの再始動制御の開始時とは、本実施形態では、ステップS21で再始動条件の成立が確認された時点である。
基準停止位置範囲Rは、図示したように、相対的に下死点(BDC)寄りに設定されている。また、基準停止位置範囲Rは、エンジン冷却水温が高いほど上死点側に拡大されている。つまり、再始動制御の開始時のエンジン冷却水温が相対的に高いときは、相対的に低いときに比べて、停止時圧縮行程気筒のピストン停止位置が基準停止位置範囲Rに入る確率が高くなる。
上記ステップS22でYESと判定されて停止時圧縮行程気筒のピストン停止位置が基準停止位置範囲R内にあることが確認された場合、再始動制御部52は、停止時圧縮行程気筒に最初の燃料を噴射してエンジンを再始動させる制御(1圧縮始動)を実行する(ステップS23)。すなわち、スタータモータ34を駆動してクランクシャフト7に回転力を付与しつつ、停止時圧縮行程気筒に燃料を噴射して自着火させることにより、エンジン全体として1つ目の上死点を迎えた時点から燃焼を再開させ、エンジンを再始動させる。そして、この再始動制御はエンドとなる。
一方、上記ステップS22でNOと判定されて停止時圧縮行程気筒のピストン停止位置が基準停止位置範囲Rから外れていることが確認された場合、再始動制御部52は、停止時吸気行程気筒(エンジン停止時に吸気行程にある気筒)に最初の燃料を噴射してエンジンを再始動させる制御(2圧縮始動)を実行する(ステップS24)。すなわち、スタータモータ34を駆動してクランクシャフト7に回転力を付与しつつ、エンジン全体として1つ目の上死点を越えて、停止時吸気行程気筒が圧縮行程を迎えたときに、停止時吸気行程気筒に燃料を噴射して自着火させることにより、エンジン全体として2つ目の上死点を迎えた時点から燃焼を再開させ、エンジンを再始動させる。そして、この再始動制御はエンドとなる。
すなわち、本実施形態に係るディーゼルエンジン(圧縮自己着火式エンジン)の始動制御装置は、所定の自動停止条件が成立したときにエンジンを自動停止させ、その後、所定の再始動条件が成立したときに、停止時圧縮行程気筒のピストン5の停止位置が基準停止位置範囲R内にある場合は、スタータモータ34を用いてエンジンに回転力を付与しつつ、停止時圧縮行程気筒に燃料を噴射することにより、エンジンを再始動させるECU50を備えている。
1圧縮始動と2圧縮始動とを対比して説明すると、およそ次のようになる。すなわち、図4に示したように、基準停止位置範囲Rは、相対的に下死点寄りの範囲(例えば圧縮上死点前83°CA〜180°CAの範囲等)に予め定められたものである。停止時圧縮行程気筒のピストン5がこのような下死点寄りの位置に停止していれば、エンジンの再始動時に、上記停止時圧縮行程気筒に最初の(エンジン全体として最初の)燃料を噴射することにより、エンジンを1圧縮始動で迅速かつ確実に再始動させることができる。つまり、停止時圧縮行程気筒のピストン停止位置が上記基準停止位置範囲R内にあれば、停止時圧縮行程気筒内に比較的多くの空気が存在するため、エンジン再始動時のピストン5の上昇に伴い、ピストン5による圧縮ストローク量(圧縮代)が多くなり、停止時圧縮行程気筒内の空気は十分に圧縮されて高温化する。このため、再始動時の最初の燃料を停止時圧縮行程気筒内に噴射すると、この燃料は停止時圧縮行程気筒内で確実に自着火して燃焼するのである。
これに対し、停止時圧縮行程気筒のピストン5が基準停止位置範囲Rから上死点側に外れていると、ピストン5による圧縮ストローク量が少なくなり、停止時圧縮行程気筒内の空気が十分に高温化しないことから、停止時圧縮行程気筒に燃料を噴射しても失火が起きるおそれがある。そこで、このような場合には、停止時圧縮行程気筒ではなく停止時吸気行程気筒に燃料を噴射することにより、停止時吸気行程気筒の空気を十分に圧縮して確実に燃料を自己着火させる(2圧縮始動)。
このように、停止時圧縮行程気筒のピストン5が基準停止位置範囲R内にあるときにはエンジンを1圧縮始動で速やかに再始動できるものの、基準停止位置範囲Rから上死点側に外れてしまったときには、2圧縮始動で停止時吸気行程気筒に燃料を噴射する必要があるため、停止時吸気行程気筒のピストン5が圧縮上死点付近に到達するまでは(つまりエンジン全体として2つ目の上死点を迎えるまでは)、燃料噴射に基づく自己着火を行わせることができず、再始動時間(本実施形態では、スタータモータ34の始動時点から、エンジン回転速度が750rpmになるまでの時間をいう)が長くなってしまう。したがって、エンジンを再始動させる際は、できるだけ1圧縮始動で迅速にエンジンを再始動させることが好ましい。
本実施形態では、停止時圧縮行程気筒のピストン5が基準停止位置範囲R内で停止していれば、停止時圧縮行程気筒に燃料噴射を行う1圧縮始動が実行される。1圧縮始動の機会を増やして迅速なエンジン再始動を図る観点からは、基準停止位置範囲Rをできるだけ上死点側まで拡大することが望ましい。しかしながら、ピストン5が上死点寄りで停止している場合は、下死点寄りで停止している場合に比べて、圧縮ストローク量が少ない分、上死点まで圧縮したときの筒内温度(上死点温度)が不足し、燃料が着火しない可能性が生じる。このため、基準停止位置範囲Rが下死点に近い狭い範囲に限定されてしまうという問題がある。同様の問題(基準停止位置範囲Rが狭くなるという問題)は、エンジン冷却水温(エンジン温度)が相対的に低い場合にも起こり得る。
そこで、本実施形態では、上記ステップS23で1圧縮始動を行う場合、ECU50の再始動制御部52は、燃料噴射弁15に対し、プレ噴射ありの燃料噴射を命令する。つまり、停止時圧縮行程気筒に対し、圧縮上死点前にプレ燃焼用のプレ噴射が行われ、その後、主燃焼用の主噴射が行われるように、燃料噴射弁15を制御するのである。
これにより、エンジンを再始動させる際に、1圧縮始動を行うときは、拡散燃焼である主燃焼の前に、圧縮上死点前のタイミングでプレ燃焼が行われるため、停止時圧縮行程気筒内の温度がプレ燃焼によって高められ、上死点温度が上り、プレ噴射の後に主噴射された燃料の着火性が高められる。したがって、たとえ停止時圧縮行程気筒のピストン5の停止位置が上死点寄りであったり、エンジン冷却水温が相対的に低い等、停止時圧縮行程気筒に噴射された燃料の着火に不利な要因があっても、それを克服して、圧縮自己着火式エンジンを、安定、確実に、1圧縮始動で迅速に再始動させることが可能となる。すなわち、基準停止位置範囲Rを上死点側に拡大し、1圧縮始動の機会を増やして、迅速な始動性を確保することができる。
図5(a)は、プレ噴射を1段で行った場合におけるプレ噴射された燃料Fの凹環状キャビティ5b内での挙動の説明図、図5(b)は、プレ噴射を3段に分割して行った場合におけるプレ噴射された燃料Fの凹環状キャビティ5b内での挙動の説明図である。凹環状キャビティ5bは、ピストン5の冠面5aに設けられている。このキャビティ5bに向けて燃料噴射弁15から燃料Fが噴射されることにより、キャビティ5b内にスワール流が発生して、空気と燃料Fとの積極的混合が図られ、スモークの発生が低減される。
本実施形態では、プレ噴射は、プレ噴射された燃料Fが上記凹環状キャビティ5b内に収まるタイミングで行われる。例えば、プレ噴射は、圧縮上死点前20°CA〜0°CAの範囲等で行われる。そして、停止時圧縮行程気筒のピストン5の停止位置が上死点寄りであるほど、プレ噴射される燃料Fがより多数段に分割されてプレ噴射される。あるいは、これに代えて又はこれと共に、エンジン冷却水温が低いほど、プレ噴射される燃料Fがより多数段に分割されてプレ噴射される。つまり、停止時圧縮行程気筒に噴射された燃料Fの着火に不利な要因が大きいほど、プレ噴射される燃料Fがより多数段に分割されてプレ噴射される。このようにした理由を次に説明する。
図5(a)及び図5(b)に示したプレ噴射は、総噴射量2mmの燃料を、8噴孔の燃料噴射弁15を用いて、エンジン回転数1000rpm、エンジン冷却水温40℃、吸気温度−25℃の条件下で、図5(a)では、圧縮上死点前10°CAのタイミングで1段噴射した場合のもの、図5(b)では、圧縮上死点前18°CA、14°CA及び10°CAのタイミングで3段に分割して噴射した場合のものである。
図示したように、1段噴射(図5(a))では、噴霧の直進性であるペネトレーションが相対的に強いため、キャビティ5b内に発生するスワール流が相対的に強い流れとなる。一方、3段噴射(図5(b))では、1段当たりのペネトレーションが相対的に弱いため、キャビティ5b内に発生するスワール流が相対的に弱い流れとなる。その結果、3段噴射では、噴射された燃料Fがキャビティ5b壁面近傍に停滞して過濃混合気が形成され易くなる。
その結果、図6(a)に示すように、プレ噴射を1段で行った場合は、当量比が相対的に小さい希薄混合気(燃料リーンな混合気)が相対的に高い頻度で発生する。これに対し、図6(b)に示すように、プレ噴射を3段に分割して行った場合は、当量比が相対的に大きい過濃混合気(燃料リッチな混合気)が相対的に高い頻度で発生する。このように、同じプレ噴射量(プレ噴射される燃料の総噴射量が2mmで同じ)であっても、1段で全量をプレ噴射したときと、3段に分割してプレ噴射したときとで、キャビティ5b内に形成される混合気の当量比が相違する。
そして、図7に示すように、混合気の当量比Φが大きいほど、つまり燃料リッチなほど、着火遅れ時間が短くなる、つまり着火し易くなることが知られている。図7を参照すると、筒内温度が高いほど、また、当量比Φが大きいほど、着火遅れ時間は全体として短くなる傾向を示す。したがって、図5(a)のように燃料Fを1段でプレ噴射するよりも、図5(b)のように3段(一般化すれば複数段〜多数段)に分割してプレ噴射するほうが、ピストン冠面5aの凹環状キャビティ5b内に形成される混合気がより着火し易くなる。
以上のことから、本実施形態では、停止時圧縮行程気筒に噴射された燃料Fの着火に不利な要因が大きいほど(停止時圧縮行程気筒のピストン5の停止位置が上死点寄りであるほど、エンジン冷却水温が低いほど)、プレ噴射される燃料Fをより多数段に分割してプレ噴射するようにしたものである。これにより、停止時圧縮行程気筒に噴射された燃料Fの着火に不利な要因が大きいほど、プレ噴射された燃料Fがより着火し易くなるため、プレ燃焼が安定、確実に行われる。その結果、たとえ停止時圧縮行程気筒に噴射された燃料の着火に不利な要因が大きくても、停止時圧縮行程気筒内の温度がプレ燃焼によって確実に高められ、上死点温度が確実に上り、プレ噴射の後に主噴射された燃料Fの着火性が確実に高められて、1圧縮始動が確実に行われる。
図8は、総噴射量2mmの燃料を、圧縮上死点前18°CAのタイミングで1段でプレ噴射した場合(i)、圧縮上死点前18°CA及び14°CAのタイミングで2段でプレ噴射した場合(ii)、圧縮上死点前18°CA、14°CA及び10°CAのタイミングで3段でプレ噴射した場合(iii)、圧縮上死点前18°CA、14°CA及び10°CAのタイミングで3段でプレ噴射した後、圧縮上死点前0°CAのタイミングで主噴射(噴射量34mm)した場合(iv)における、クランク角と熱発生率との関係を示すグラフである。プレ噴射の分割段数を増やすことで大幅に燃焼が改善されることが分かる。
図8の符号(iv)の燃焼波形を参照すると、プレ噴射及び主噴射による燃焼波形は、プレ噴射された燃料のプレ燃焼による熱発生率のピークを圧縮上死点前に迎えた後、熱発生率がいったん低下し、その後、主噴射された燃料の主燃焼による熱発生率のピークを圧縮上死点後に迎える燃焼波形となっている。つまり、プレ燃焼と主燃焼とは熱発生率の谷によって分断され、それぞれ独立した燃焼である。すなわち、本実施形態では、プレ燃焼は、主燃焼とは別の異なる目的の燃焼であることが明らかである。本実施形態では、プレ燃焼は、停止時圧縮行程気筒内の状態を燃料Fの着火に有利な状態に改善するための燃焼であって、主燃焼のようにエンジン始動のためのトルクを発生するための燃焼ではないことが分かる。プレ燃焼による熱発生が専ら着火性を高めるためのものであるから、より確実に主燃焼が引き起こされることになる。
図9に、上記再始動制御で1圧縮始動を行うときのプレ噴射段数を設定するために用いるマップの具体例を示す。図4の判定用マップと同様、このプレ噴射段数設定用マップは、停止時圧縮行程気筒のピストン停止位置とエンジン冷却水温とをパラメータとして、基準停止位置範囲Rが、1段噴射領域、2段噴射領域、3段噴射領域に区分けされたものである。そして、再始動制御部52は、図3のステップS23で1圧縮始動を実行するときに、この段数設定用マップを参照し、停止時圧縮行程気筒のピストン5の停止位置と再始動条件成立時のエンジン冷却水温とから、プレ噴射の段数を決定する。そして、決定された段数でプレ噴射を圧縮上死点前に行い、その後、エンジン始動のためのトルクを発生するための主噴射を行う。
図9によれば、停止時圧縮行程気筒のピストン停止位置が上死点寄りであるほど、プレ噴射の段数が多くなっている。また、エンジン冷却水温が低いほど、プレ噴射の段数が多くなっている。したがって、停止時圧縮行程気筒に噴射された燃料Fの着火に不利な要因が大きいほど、プレ噴射される燃料Fがより多数段に分割されてプレ噴射され、その結果、たとえ停止時圧縮行程気筒に噴射された燃料Fの着火に不利な要因が大きくても、プレ噴射の後に主噴射された燃料Fの着火性が確実に高められて、1圧縮始動が確実に行われる。
図4に示したような判定用マップ及び図9に示したような段数設定用マップは、およそ次にようにして作成される。まず、停止時圧縮行程気筒のピストン5がピストン停止位置から上死点まで筒内空気を圧縮したときの筒内温度、すなわち上死点温度を、次式(1)に従い算出する。
TCYLTDC=TCYLISS×(VTEI/VTDC)(k−1) …(1)
ここで、TCYLTDCは上死点温度、TCYLISSは再始動制御開始時(図3のステップS21の再始動条件成立時)の筒内温度、VTEIはピストン停止位置での筒内容積、VTDCは上死点での筒内容積、kは比熱比である。なお、再始動制御開始時の筒内温度(TCYLISS)は、燃料カット開始時(図2のステップS4の実行時)の筒内温度と、再始動制御開始時のエンジン冷却水温と、筒内温度低下速度ゲインと、燃料カット継続時間とから求められる。さらに、燃料カット開始時の筒内温度は、燃料カットされる直前のエンジンの運転状態(アイドル状態)から予測される。
式(1)で算出された上死点温度(TCYLTDC)をさらに大気圧で補正して最終上死点温度(TTDC)を得る。そして、その最終上死点温度(TTDC)に応じて基準停止位置範囲R及びプレ噴射段数を定める。例えば、最終上死点温度(TTDC)が800℃未満は、基準停止位置範囲R外とし、最終上死点温度(TTDC)が800℃以上、900℃未満は、3段噴射領域とし、最終上死点温度(TTDC)が900℃以上、970℃未満は、2段噴射領域とし、最終上死点温度(TTDC)が970℃以上は、1段噴射領域とする。
本実施形態では、図10に示すように、再始動制御で気筒に噴射する燃料噴射量は、ピストン停止位置が下死点寄りであるほど、また、エンジン冷却水温が低いほど、多くされる。これは、ピストン停止位置で定まる気筒内の空気量に対応させて、また、エンジン温度に対応させて、燃料噴射量を設定した結果である。なお、図10に例示した燃料噴射量設定用マップは、1圧縮始動にも2圧縮始動にも使用可能である。ただし、1圧縮始動の場合は、基準停止位置範囲Rの外となる上死点寄りの範囲では、燃料噴射量の値が無効となる。また、2圧縮始動の場合は、圧縮上死点前180°CA、又は、吸気弁11の閉弁(IVC)タイミングに対応するクランク角度(例えば圧縮上死点前144°CA等)にのみ、燃料噴射量の値が設定されている。
本実施形態では、プレ噴射の分割段数に拘らず、プレ噴射される燃料の総噴射量が一定となるように燃料噴射弁15が制御される。
プレ燃焼は圧縮上死点前に行われるから、プレ燃焼による逆トルク(圧縮行程のピストン5を押し下げようとする力)の生成が懸念される。しかし、プレ噴射される燃料の総噴射量を一定とするから、たとえプレ噴射の分割段数が多くなってもプレ燃焼による熱発生量は増大しない。したがって、プレ燃焼による逆トルクの生成が抑制され、結果として、スタータモータ34に過大な駆動負荷が作用することが回避される。
なお、プレ噴射される燃料の総噴射量が常に一定とされる結果、図10に示される燃料噴射量からプレ噴射の燃料噴射量を減算した残りの始動トルク発生用の主噴射の燃料噴射量は、図10に示した傾向と同じ傾向となる。
本実施形態では、図1に示したディーゼルエンジンの圧縮比は14以下である。一般に、ディーゼルエンジンの圧縮比は15〜22程度である(因みにガソリンのレシプロエンジンの圧縮比はノッキング回避のため10以下である)。すなわち、本実施形態に係るディーゼルエンジンは、圧縮比が14以下と比較的小さく、気筒内の空気の高温化が不足しがちな圧縮自己着火エンジンである。しかし、それであっても、本実施形態に係るディーゼルエンジンは、停止時圧縮行程気筒内の温度がプレ燃焼によって高められ、上死点温度が上り、プレ噴射の後に主噴射された燃料の着火性が高められるから、安定、確実に、1圧縮始動で迅速に再始動させることが可能となる。
なお、図3のステップS24で2圧縮始動を行う場合は、プレ噴射を行っても行わなくてもよいが、本実施形態では、ECU50の再始動制御部52は、2圧縮始動を行う場合も1圧縮始動を行う場合と同様、燃料噴射弁15に対し、プレ噴射ありの燃料噴射を実行させる。つまり、停止時吸気行程気筒に対し、主燃焼用の主噴射の前にプレ燃焼用のプレ噴射が行われるように、燃料噴射弁15を制御する。そして、上記ステップS24で(2圧縮始動で)プレ噴射を行う場合の各種の制御態様は、適用可能な限り、上記したような、上記ステップS23で(1圧縮始動で)プレ噴射を行う場合の各種の制御態様に準じて同様である。
(5)他の実施形態
停止時圧縮行程気筒のピストン5の停止位置が上死点寄りであることや、エンジン冷却水温が相対的に低いこと以外に、停止時圧縮行程気筒に噴射された燃料Fの着火に不利な要因としては、再始動制御開始時(再始動条件成立時)の筒内温度(TCYLISS)や、外気温度、すなわち気筒内に導入される新気の温度(吸気温度)や、大気圧、すなわち気筒内に導入される新気の圧力(吸気圧力)等が挙げられる。
したがって、ECU50は、例えば、再始動制御開始時(再始動条件成立時)の筒内温度が低いほど、エンジンの自動停止制御中の吸気温度が低いほど、あるいはエンジンの自動停止制御中の吸気圧力が低いほど、プレ噴射される燃料Fがより多数段に分割されてプレ噴射されるように、燃料噴射弁15を制御することもできる。
これによっても、停止時圧縮行程気筒に噴射された燃料Fの着火に不利な要因が大きくても、停止時圧縮行程気筒内の温度がプレ燃焼によって確実に高められ、上死点温度が確実に上り、プレ噴射の後に主噴射された燃料Fの着火性が確実に高められて、1圧縮始動が確実に行われる。
また、上記実施形態では、自動停止条件の成立時点(ステップS2でYES)で吸気絞り弁30の開度を全閉(0%)に設定し(ステップS3)、その後、ある程度の吸気圧力の低下が見られる時点で、燃料噴射弁15からの燃料噴射を停止する燃料カットを実行する(ステップS4)ようにしたが、吸気絞り弁30を全閉にするのと同じ時点で燃料カットを実行してもよい。
また、上記実施形態では、ステップS23で1圧縮始動を行うときは常にプレ噴射を行うようになっていたが、状況に応じて(例えばピストン停止位置が極めて下死点に近い、エンジン冷却水温が極めて高い等)、プレ噴射なしの1圧縮始動を行う場合があってもよい。
また、上記実施形態では、圧縮自己着火式エンジンの一例としてディーゼルエンジン(軽油を自己着火により燃焼させるエンジン)を用い、ディーゼルエンジンに本発明に係る自動停止・再始動制御を適用した例を説明したが、圧縮自己着火式エンジンであれば、ディーゼルエンジンに限定されない。例えば、最近では、ガソリンを含む燃料を高圧縮比で圧縮して自己着火させる(HCCI:Homogeneous−Charge Compression Ignition:予混合圧縮着火)タイプのエンジンが研究、開発されているが、このような圧縮自己着火式のガソリンエンジンに対しても、本発明に係る自動停止・再始動制御は好適に適用可能である。
2A〜2D 気筒
5 ピストン
5a 冠面
5b 凹環状キャビティ
15 燃料噴射弁(燃料噴射手段)
34 スタータモータ
50 ECU(制御手段)
F 燃料
R 基準停止位置範囲

Claims (5)

  1. 気筒内に噴射された燃料を自己着火により燃焼させる圧縮自己着火式エンジンに設けられ、所定の自動停止条件が成立したときに上記エンジンを自動停止させるとともに、その後所定の再始動条件が成立したときに、エンジンの停止時に圧縮行程にある停止時圧縮行程気筒のピストンの停止位置が相対的に下死点寄りに設定された基準停止位置範囲内にある場合は、スタータモータを用いて上記エンジンに回転力を付与しつつ、上記停止時圧縮行程気筒に燃料噴射を実行することにより、上記エンジンを再始動させる圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置であって、
    気筒内に燃料を噴射する燃料噴射手段と、
    エンジンを再始動させる際に、上記停止時圧縮行程気筒に燃料噴射を実行するときは、圧縮上死点前にプレ燃焼用のプレ噴射が行われ、その後、主燃焼用の主噴射が行われるように、上記燃料噴射手段を制御する制御手段とを備え
    上記ピストンは、冠面に凹環状のキャビティが設けられ、
    上記制御手段は、プレ噴射された燃料が上記キャビティ内に収まるタイミングで燃料がプレ噴射され、かつ、停止時圧縮行程気筒のピストンの停止位置が上死点寄りであるほど、プレ噴射される燃料がより多数段に分割されてプレ噴射されるように、上記燃料噴射手段を制御することを特徴とする圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置。
  2. 気筒内に噴射された燃料を自己着火により燃焼させる圧縮自己着火式エンジンに設けられ、所定の自動停止条件が成立したときに上記エンジンを自動停止させるとともに、その後所定の再始動条件が成立したときに、エンジンの停止時に圧縮行程にある停止時圧縮行程気筒のピストンの停止位置が相対的に下死点寄りに設定された基準停止位置範囲内にある場合は、スタータモータを用いて上記エンジンに回転力を付与しつつ、上記停止時圧縮行程気筒に燃料噴射を実行することにより、上記エンジンを再始動させる圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置であって、
    気筒内に燃料を噴射する燃料噴射手段と、
    エンジンを再始動させる際に、上記停止時圧縮行程気筒に燃料噴射を実行するときは、圧縮上死点前にプレ燃焼用のプレ噴射が行われ、その後、主燃焼用の主噴射が行われるように、上記燃料噴射手段を制御する制御手段とを備え、
    上記ピストンは、冠面に凹環状のキャビティが設けられ、
    上記制御手段は、プレ噴射された燃料が上記キャビティ内に収まるタイミングで燃料がプレ噴射され、かつ、エンジン冷却水温が低いほど、プレ噴射される燃料がより多数段に分割されてキャビティ内にプレ噴射されるように、上記燃料噴射手段を制御することを特徴とする圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置。
  3. 請求項又はに記載の圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置において、
    上記制御手段は、上記プレ噴射の分割段数に拘らず、プレ噴射される燃料の総噴射量が一定となるように、上記燃料噴射手段を制御することを特徴とする圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置。
  4. 請求項1からのいずれか1項に記載の圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置において、
    上記圧縮自己着火エンジンの圧縮比は14以下であることを特徴とする圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置。
  5. 請求項1からのいずれか1項に記載の圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置において、
    上記制御手段は、上記プレ噴射及び上記主噴射による燃焼波形が、プレ噴射された燃料のプレ燃焼による熱発生率のピークを迎えた後、熱発生率がいったん低下し、その後、主噴射された燃料の主燃焼による熱発生率のピークを迎える燃焼波形となるように、上記燃料噴射手段を制御することを特徴とする圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置。
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