JP2013511481A - 糖タンパク質の精製のためのプロセス - Google Patents

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Abstract

本発明は、糖タンパク質の精製のためのプロセスであって、該糖タンパク質を含む液体を、a)逆相クロマトグラフィー、b)サイズ排除クロマトグラフィー、およびc)疎水性相互作用クロマトグラフィーの工程に供することを含む、糖タンパク質の精製プロセスに関する。また、目的の糖タンパク質を生成するための製造プロセスが提供される。上記工程は、(1)逆相クロマトグラフィー、(2)サイズ排除クロマトグラフィー、および(3)疎水性相互作用クロマトグラフィーの順序で行われ得る。

Description

本発明は、FSH(follicle stimulating hormone(卵胞刺激ホルモン))、LH(luteinizing hormone(黄体形成ホルモン))、CG(chorionic gonatropin(絨毛性ゴナトロピン))およびTSH(thyroid−stimulating hormone(甲状腺刺激ホルモン))などの糖タンパク質の精製のためのプロセス、および、各精製プロセスを用いる目的の組換え糖タンパク質の製造に関する。
糖タンパク質は、ポリペプチド側鎖に共有結合したオリゴ糖鎖を含有するタンパク質である。糖タンパク質は、構造的機能、保護機能、担体機能、ホルモン機能または酵素機能を含む極めて多様な生体機能を有すことができる。したがって、種々の糖タンパク質を、薬剤として用いることができる。よって、そのような糖タンパク質を提供することは、非常に望ましい。現在、数種の糖タンパク質は組換えによって製造することができるが、細胞培養物(cell culture harvest)から目的の糖タンパク質を抽出するためには、多数の精製工程を必要とする。
ゴナトロピンは、糖タンパク質の中でも重要な種類であり、FSH、LH、CGおよびTSHを含む密接に関連した4種のホルモンのファミリーである(非特許文献1)。例えば、FSHは、女性患者および男性患者の双方における不妊症処置および生殖障害処置に用いられる。また、hCGおよびLHは、単独またはFSHと組み合わせて不妊症処置に用いられる。
自然状態では、FSHは、下垂体によって作られる。薬剤としての使用のため、FSHを組換えによって製造(rFSH)することができ、または閉経後女性の尿から単離(uFSH)することができる。
FSHは、生殖補助医療(assisted reproductive technologies(ART))において排卵誘発(ovulation induction(OI))および調節性卵巣過剰刺激(controlled ovarian hyperstimulation(COH))を受けている女性患者に使用される。排卵誘発の代表的な処置レジメンでは、FSHまたは改変体(約75〜300IU FSH/日)を約6日間〜約12日間の期間にわたって注射により患者に毎日投与する。調節性卵巣過剰刺激の代表的な処置レジメンにおいては、FSHまたは改変体(約150〜600IU FSH/日、しかし、75IU FSH/日の低い量の場合もある)を約6日間〜約12日間の期間にわたって注射により患者に毎日投与する。
FSHは、精子減少症を患う男性の精子形成を誘発するためにも用いられる。週3回の150 IU FSHを、週2回の2500 IU hCGと組み合わせるレジメンは、低ゴナドトロピン性性機能低下症を患う男性の精子数改善に成功している(非特許文献2)。
不妊障害処置におけるFSHの重要性から、高純度で高比活性を有するFSHを提供することが望ましい。FSH処置では、繰り返し注射をすることが必要となる。高度に精製されたFSH調製物は、皮下投与することができ、患者自身による投与を可能にし、患者の利便性およびコンプライアンスを向上させる。
非特許文献3は、ヒト下垂体FSHの精製方法を記載している。該方法は、アニオン交換クロマトグラフィーおよびカチオン交換クロマトグラフィー、イムノアフィニティー抽出およびサイズ排除クロマトグラフィーを含む。
特許文献1(IBSA Institut Biochimique SA)は、ヒト閉経期尿性腺刺激ホルモン(hMG:human menopausal gonadotrophins)と呼ばれる尿抽出物から出発したヒト尿FSHの精製プロセスを記載している。該プロセスでは、DE[Xi]AE型の弱塩基性アニオン交換樹脂を用いてイオン交換クロマトグラフィーを行い、続いてアントラキノン誘導体をリガンドとして有する樹脂を用いて親和性クロマトグラフィーが行われる。
特許文献2(Instituto Massone SA)は、FSHを含むゴナドトロピンをヒト尿から精製するプロセスを記載している。該プロセスは、下記の工程を含む:スルホプロピル系強カチオン性樹脂を用いるイオン交換クロマトグラフィー、強アニオン性樹脂を用いるイオン交換クロマトグラフィー、および疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC:hydrophobic interaction chromatography)。
非特許文献4は、コンカナバリン(Con:Concanavalin)A親和性クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)およびCu++を用いた固定化金属イオンクロマトグラフィーを用いて、FSHを含むイヌ下垂体ゴナドトロピンを精製する技術を記載している。
特許文献3(Instituto di Ricerca Cesare Serono SPA)は、尿からのヒトFSHの精製方法を記載している。該プロセスは、ジビニルスルホンによりSepharose 4Bに結合したFSH特異的固定化モノクローナル抗体を用いたイムノクロマトグラフィー、続いて逆相HPLCを含む。
特許文献4は、染料親和性クロマトグラフィーを用いて、例えばヒト下垂体またはヒト閉経後尿由来の生体試料からFSHを精製する方法を開示している。
組換えFSHの精製プロセスは、特許文献5、特許文献6、特許文献7および特許文献8に開示されている。
特許文献8は、FSH産生細胞クローン、および該細胞クローンを用いてFSHを生産し、得られた組換えFSHを細胞培養上清から精製する方法を開示している。前記精製は、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィーおよびゲルろ過を含む、当業者にとって公知の一つ以上の工程により行うことができる。
特許文献5には、(1)イオン交換クロマトグラフィー、(2)固定化金属イオンクロマトグラフィー、および(3)疎水性相互作用クロマトグラフィーの工程を用いて組換えFSHを精製する方法が開示されている。
特許文献6には、任意の順序で行い得る(1)染料親和性クロマトグラフィー、(2)疎水性相互作用クロマトグラフィー、および(3)逆相クロマトグラフィーの工程を用いる、組換えFSHの精製方法が開示されている。
特許文献7には、任意の順序で行い得る(1)染料親和性クロマトグラフィー、(2)弱アニオン交換クロマトグラフィー、(3)疎水性相互作用クロマトグラフィー、および(4)強アニオン交換クロマトグラフィーの工程を用いる、組換えFSHの精製方法が開示されている。
国際公開第98/20039号 国際公開第00/63248号 国際公開第88/10270号 欧州特許出願公開第1106623号明細書 国際公開第2005/063811号 国際公開第2006/051070号 国際公開第2007/065918号 国際公開第2009/000913号
Glycobiology,vol.13,no.3,pages179〜189,2003 Burgues et al.;Subcutaneous self−administration of highly purified follicle stimulating hormone and human chorionic gonadotrophin for the treatment of male hypogonadotrophic hypogonadism.Spanish Collaborative Group on Male Hypogonadotrophic Hypogonadism;Hum.Reprod.;1997,12,980−6 Lynch et al.(The extraction and purification of human pituitary follicle−stimulating hormone and luteinising hormone;Acta Endocrinologica,1988,288,12−19) Chiba et al.[Isolation and partial characterisation of LH,FSH and TSH from canine pituitary gland;Endocrinol.J.,1997,44,205−218
したがって、本発明の目的は、FSHなどの糖タンパク質を高収率および高純度で与える、好適にコスト効率の高い精製プロセスを提供することである。
よって、本発明は、糖タンパク質を含む液体を下記工程に供することを含む、FSHなどの糖タンパク質の精製プロセスに関する:
a)逆相クロマトグラフィー(RPC:reverse phase chromatography);
b)サイズ排除クロマトグラフィー(SEC:size exclusion chromatography);および
c)疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC:hydrophobic interaction chromatography)。
上記工程a)、b)およびc)は、任意の順序で行われてよい。上記3つのクロマトグラフィー工程のうち、逆相クロマトグラフィーまたは疎水性相互作用クロマトグラフィーが第一工程として行われることが好ましい。より好ましい態様においては、逆相クロマトグラフィーが上記3つのクロマトグラフィー工程のうちの第一工程として行われる。
前記精製プロセスは、例えばアニオン交換クロマトグラフィーまたはカチオン交換クロマトグラフィーなどのイオン交換クロマトグラフィー;染料親和性クロマトグラフィー、免疫親和性クロマトグラフィー、レクチン親和性クロマトグラフィーまたはペルボレート親和性クロマトグラフィーなどの親和性クロマトグラフィー;ダイアフィルトレーション、限外ろ過またはナノろ過などのろ過、および/または少なくとも一つのウイルス不活性化工程といったさらなる工程を、必要に応じて含んでいてもよい。好ましい態様において、本発明のプロセスは、アニオン交換クロマトグラフィー(AEX:anion exchange chromatography)を第四クロマトグラフィー工程として含む。
好ましい態様において、上記工程(a)、(b)および(c)は、
(1)逆相クロマトグラフィー、
(2)サイズ排除クロマトグラフィー、および
(3)疎水性相互作用クロマトグラフィー
の順序で行われる。
RPCを第一クロマトグラフィー工程として行うことが好ましいのは、そのような態様は、粗糖タンパク質、天然供給源液体(natural source liquid)、細胞培養培地または細胞溶解物などのかなり「粗な」生体液体を、直接、あるいは必要に応じて以下に記載するような浄化(例えば、ろ過)、濃縮および/または緩衝液交換工程の後に、RPCにロードするという選択肢を与えるからである。この態様は、そのような試料液体を使用する場合でも、カラムの詰まりや、カラムから液が溢れる恐れを引き起こすことなく、多量の試料をクロマトグラフィーカラムに投入することができるという利点を与える。さらに、RPCで要求される緩衝液条件によって、試料溶液成分が過度の凝集を起こすことはない。すなわち、RPCを第一クロマトグラフィー工程とすることにより、クロマトグラフィーによる精製を開始する前に必要な準備工程の数が減り、目的の糖タンパク質以外にも他の成分を大量に含んだ試料溶液を大量に用いることが可能である。
他の好ましい態様において、サイズ排除クロマトグラフィー(2)に続き、および疎水性相互作用クロマトグラフィー(3)に先立って、アニオン交換クロマトグラフィー(d)が行われる。前述したように、上記工程に加えて、ならびに上記工程間において、追加の工程を行ってもよい。
本発明の精製方法は、FSHなどの糖タンパク質を高純度で提供し、そのような糖タンパク質は、医薬組成物として製剤化することができる。純度は、全タンパク質を基準として、通常90%より高く、好ましくは95%w/wより高く、より好ましくは99%w/wより高く、さらに好ましくは99.5%w/wより高い。さらに、本発明の精製方法は、精製条件を大幅に変更することなく規模の拡大縮小が容易に可能であり、工業的規模にまで拡大することも可能である。
本発明による精製プロセスの出発原料を形成する粗糖タンパク質は、天然供給源液体中に存在することができ、またはそのような液体から得ることができる。または、例えば、該糖タンパク質を含む細胞培養物として組換え技術により得ることもできる。代表的には、天然供給源または細胞培養物、好ましくは細胞培養物から得られたままの出発原料は、第一クロマトグラフィー工程により捕捉される前に、まず(例えば、ろ過により)浄化され、その後必要に応じて(例えば、限外ろ過を用いて)濃縮および/または(例えば、ダイアフィルトレーション工程により)バッファー交換される。
クロマトグラフィー工程においては、代表的に、市販の樹脂が用いられ、ポリマーベースの樹脂またはアガロースベースの樹脂が好ましく用いられる。樹脂をSartobind(商標)膜(Sartorius)またはChromaSorb(商標)(Millipore)などの機能性膜に置き換えた膜クロマトグラフィーを用いることも可能である。
以下、本発明の精製プロセスの各工程についてより詳細に説明する。
逆相クロマトグラフィー工程(a)
上記プロセスは、逆相クロマトグラフィー工程(a)を含む。好ましい態様において、特に組換え糖タンパク質の場合、逆相クロマトグラフィーを捕捉工程として用いて、糖タンパク質を、例えば、天然由来液体または細胞培養物から濃縮する。RPCカラムからの溶出に引き続き、ウイルス不活性化を行うことが好ましい。
特に、本発明による「逆相クロマトグラフィー」は、非極性固定相および、好ましくは極性の移動相を用いるクロマトグラフィー工程を指す。通常、逆相クロマトグラフィーにおいては、極性化合物がまず溶出し、非極性化合物は保持される。
上記逆相クロマトグラフィーは、通常、緩衝液、好ましくはアセトニトリルまたはイソプロパノールなどの有機溶媒を含む緩衝液でカラムを平衡化およびロードし、続いて該緩衝液で洗浄し、その後溶出することにより行われる。イソプロパノールなどの有機溶媒は、溶出後のウイルス不活性化に用いることができる。
上記平衡化、ロード、洗浄および溶出は、弱アルカリ性のpH、例えばpH7〜8.5または約pH7〜8.5、より好ましくは7.5または約7.5で緩衝化する移動相を用いて行うことが好ましい。好ましい態様において、緩衝剤種は、リン酸塩緩衝剤、好ましくはリン酸ナトリウムである。pH7.5または約pH7.5で緩衝化するのに十分な他の緩衝剤としては、BES、MOPS、酢酸アンモニウム、TESおよびHEPESが挙げられる。
引き続いての工程(b)(SEC)が行われる場合、工程(a)以降は緩衝液交換を行わないことが好ましい。この場合、AEXまたはHICクロマトグラフィーなどのさらに次のクロマトグラフィー工程に好適な緩衝液を、その後のSEC工程においてランニング緩衝液として用いることによって緩衝液交換を達成することができる。
好ましい態様において、RPC工程で用いられる緩衝溶液は、有機溶媒を含有し、その濃度は、クロマトグラフィー工程の異なる段階(平衡化、ロード、洗浄、および溶出)に応じて調整される。好ましくは、上記有機溶媒は、アセトニトリルまたはアルコール(例えば、メタノール、エタノールなど)、より好ましくはイソプロパノールなどの水混和性有機溶媒である。
上記平衡化およびロード用緩衝溶液、および上記洗浄用緩衝溶液において、上記有機溶媒は、全緩衝溶液の5〜15%v/vの間の量、好ましくは全緩衝溶液の5〜12%v/vの間の量で含有されることが好ましい。上記洗浄用緩衝液は、代表的には、ロード用緩衝液と同一である。上記溶出用緩衝溶液において、上記有機溶媒は、上記ロード用緩衝液における量よりも多く含まれることが好ましく、好ましくは全緩衝溶液の15〜22%v/vの間、より好ましくは全緩衝溶液の16〜20%v/vの間の量で含有される。
好ましい態様において、逆相クロマトグラフィー工程は、ウイルス不活性化工程を含むことができる。ウイルス不活性化は、カラムにロードまたは結合、あるいはカラムから溶出したタンパク質を、有機溶媒、好ましくはイソプロパノールまたはエタノールの存在下でインキュベートすることにより行うことができる。インキュベーション時間およびインキュベーション温度は、所望のウイルス不活性化度が達成されるように選ばれることが好ましく、特に、使用する有機溶媒の濃度および性質によって決まる。さらに、これらのパラメーターは、精製する糖タンパク質の安定性に応じて調節するべきである。例えば、タンパク質を、少なくとも15分、好ましくは少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間または少なくとも6時間インキュベートする。上記インキュベーションは、例えば4℃以下または10℃以下の低温で行うことができ、あるいは室温付近で行うこともできる。上記インキュベーションは、試料をカラム上にロードした後に直接行ってもよく、洗浄工程中または洗浄工程後に行ってもよく、溶出用緩衝液の添加後で糖タンパク質の溶出の前に行ってもよく、あるいは糖タンパク質の溶出後に行ってもよい。前記有機溶媒としてイソプロパノールを用いる場合、少なくとも15%(v/v)、好ましくは約18%(v/v)のイソプロパノール濃度でウイルス不活性化を行うことが好ましい。この場合、糖タンパク質を約2時間、好ましくは室温でインキュベートすることが好ましい。好ましくは、ウイルス不活性化は、逆相クロマトグラフィーカラムから糖タンパク質が溶出した後に、好ましくは使用した溶出用緩衝液中で行われる。しかし、特にウイルス不活性化を高めるため、および/または糖タンパク質の安定性を高めるために、カラムから溶出した後の糖タンパク質溶液に、必要に応じてさらに成分を添加してもよい。上記RPC中にウイルス不活性化工程を用いることにより、さらなるウイルス不活性化工程を用いずに本発明のプロセスを行うことができる。しかし、種々のウイルス不活性化工程を組み合わせてもよく、例えば、RPC中のウイルス不活性化工程と、本明細書で記載するようなナノろ過および/またはpH調整によるウイルス不活性化工程とを、組み合わせてもよい。
特に好ましい態様において、RPCの工程(平衡化、ロード、洗浄、溶出)のための生成物接触用緩衝液は、L−メチオニンなどの抗酸化剤を含有する。その他の抗酸化剤としては、t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール;二メタ重亜硫酸カリウムまたは二メタ重亜硫酸ナトリウム(potassium or sodium bimetabisulfite)、および重亜硫酸ナトリウムが挙げられる。
逆相カラム材料は、疎水性材料が結合していてもよい樹脂から作製される。代表的なカラム材料は、シリカおよびポリスチレンである;必要に応じて、疎水性リガンドが結合していてもよい。置換樹脂の場合、樹脂は、代表的には、C、C、C、C、C10、C12、C14、C16またはC18などの脂肪族化合物(aliphate)、またはシアノプロピル(CN−プロピル)などの上記脂肪族化合物の誘導体、あるいは分岐脂肪族化合物、あるいはフェニルなどのベンゼンベースの芳香族化合物(aromate)、あるいは他の極性または非極性リガンドから選択される(しかし、それらに限定されない)疎水性リガンドで置換される。リガンドは、これらリガンドの2種以上の混合物であってもよい。適切なポリスチレンベースの樹脂としては、Rohm Haas社製樹脂(例えば、Amberlite XADまたはAmberchrom CG)、Polymer Labs社製樹脂(例えば、PLRP−S)、GE Healthcare社製樹脂(例えば、Source RPC)、およびApplied Biosystems社製樹脂(例えば、Poros R)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に好ましい樹脂は、Source 30 RPC(GE Healthcare社)である。
カラム材料の製造プロセスおよび最適な特徴において、スペーサーとも呼ばれる連結基が、樹脂とリガンドとの間に挿入されることが必要となることがしばしばある。本発明の方法における他のパラメーターとしては、ロード量、すなわち、カラムにロードされるタンパク質の量、および流量が挙げられる。これらのパラメーターは、当業者に公知の実験により最適化することができる。
糖タンパク質は、代表的に、樹脂1mlに対して少なくとも約0.1mg、例えば、樹脂1mlに対して少なくとも約0.2mg、0.5mg、1mg、2mg、5mg、10または20mgの濃度で;あるいは樹脂1mLに対して0.1〜200mgの範囲、例えば、0.1〜100mg、0.5〜100mg、1〜50mg、または2〜30mgの範囲でカラム上にロードされる。ロード量は、樹脂1mLに対して好ましくは少なくとも1mgである。充填された樹脂の体積は、通常、懸濁状態または類似の状態で測定される。
サイズ排除クロマトグラフィー工程(b)
本発明のプロセスは、例えば、糖タンパク質をさらに精製するため、および/または糖タンパク質を再緩衝化するために、サイズ排除クロマトグラフィー工程(b)もまた含む。該サイズ排除クロマトグラフィーは、糖タンパク質の保存のためまたは糖タンパク質をさらに処理するために望ましい組成を有する緩衝液で平衡化されたゲルろ過マトリックスに、先のクロマトグラフィー工程の溶出液を、代表的には6.5と9との間、好ましくは約8.5のpHで平衡化およびロードする工程を含む。
サイズ排除クロマトグラフィーを行うために、上記ゲルは、代表的に、Sephadex(例えば、Sephadex G−25)などのデキストランベースのゲル、あるいはSephacryl(例えば、Sephacryl−S400)などのポリアクリルアミドゲル、SuperoseまたはSepharose(例えば、Sepharose CL−4B)などのアガロースベースのゲル、およびデキストラン(Sephadex(商標))と架橋アガロース(Superose(商標))ゲルとを組み合わせたSuperdex 200などの2種のゲルから調製された複合ゲルを含むがこれらに限定されないポリマーゲルの群から選ばれる。
好ましい態様において、上記緩衝剤は、リン酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)、Bis−Tris(2−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール)、ADA(N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸)、PIPES(ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)、ACES(N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸)、BES(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)、MOPS(3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸)、TES(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸)、およびHEPES(N−2−ヒドロキシエチル−ピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸)からなる群から選ばれ、好ましくはリン酸ナトリウムまたは酢酸アンモニウムであり、より好ましくは酢酸アンモニウムである。
上記緩衝液は、必要に応じてさらに無機塩、好ましくはアルカリ金属のハロゲン化物、さらに好ましくは塩化カリウムまたは塩化ナトリウム、最も好ましくは塩化ナトリウムを含有し、ここで、該無機塩の濃度は、約0〜500mM、好ましくは0〜300mM、最も好ましくは約0〜50mMである。好ましい態様において、上記緩衝液は塩を含有しない。
特に好ましい態様において、SECの工程(b)(平衡化、ロード、溶出)に用いる生成物接触用緩衝液は、L−メチオニンなどの抗酸化剤を含有する。その他の抗酸化剤としては、t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール;二メタ重亜硫酸カリウムまたは二メタ重亜硫酸ナトリウム、および重亜硫酸ナトリウムが挙げられる。
サイズ排除クロマトグラフィーは、さらに、アイソクラチック溶出、すなわち、溶出用緩衝液が平衡化および/またはロードに用いた緩衝液とほぼ同一、好ましくは同一の組成を有する溶出により上記ゲルろ過マトリックスから糖タンパク質を溶出させる工程を含む。フロースルーは、280nmにおける紫外吸収により記録することができ、糖タンパク質を含有する画分を回収する。
疎水性相互作用クロマトグラフィー工程(c)
本発明のプロセスは、疎水性相互作用クロマトグラフィー工程(c)もまた含む。疎水性相互作用クロマトグラフィーは、通常、カラムを平衡化およびロードし、続いて洗浄し、そしてその後溶出することにより行われる。
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)は、タンパク質の疎水性特性を利用した分離方法である。タンパク質の非極性部位と、固体支持体上の固定化疎水性リガンドとの間の疎水性相互作用により吸着が促進される。吸着は、水性移動相の塩濃度を高くして行われ、塩濃度を低下させることで溶出が促進される。疎水性相互作用クロマトグラフィー材料は、エチル基、ブチル基、フェニル基またはヘキシル基などの疎水性リガンドで置換されたマトリックスである。ブチルまたはフェニルリガンドで置換されたマトリックスが好ましい材料である。
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)樹脂は、当技術分野で公知であり、Butyl Sepharose(GE Healthcare)、Phenyl Sepharose(低置換および高置換)、Octyl SepharoseおよびAlkyl Sepharose(いずれもGE Healthcare;他のHIC樹脂の入手先としては、Biosepra、France;E.Merck、Germany;BioRad USAが挙げられる)などの樹脂が挙げられる。
好ましい態様において、疎水性相互作用クロマトグラフィーは、Butyl Sepharose HP(GE Healthcareより入手可能)などの樹脂を用いて行われる。工程(c)は、類似の性質を有する代替樹脂を用いて行ってもよいことを理解されたい。使用することのできる代替樹脂は、以下のとおりである:Toyopearl Butyl 650M(Tosoh Biosep Inc.より入手可能)、Phenyl Sepharose 6 Fast Flow(低置換);Phenyl Sepharose 6 Fast Flow (高置換);Butyl Sepharose 4 Fast Flow;Octyl Sepharose 4 Fast Flow;Phenyl Sepharose High Performance;Source 15ETH;Source 15ISO;Source 15PHE、いずれもGE Biosciences製(800)526−3593。さらに別の樹脂は、以下のものである:Hydrocell C3またはC4;Hydrocell Phenyl、BioChrom Labs Inc.製(812)234−2558;(www.biochrom.com参照)。
好ましい態様において、上記平衡化、ロード、洗浄および溶出用緩衝液は、リン酸ナトリウム、MES、Bis−Tris、ADA、PIPES、ACES、BES、MOPS、TES、およびHEPESからなる群から選ばれ、好ましくはリン酸ナトリウムである。HIC樹脂への結合は、通常、例えばNaCl、(NHSOまたはNaSOなどの塩、好ましくは硫酸アンモニウムの添加によって得られる高伝導度を有する平衡化およびロード用緩衝液を用いることにより達成される。好ましい塩濃度は、1〜2Mであり、好ましくは約1.5M(NHSOである。上記洗浄には、通常、ロード用緩衝液が用いられる。疎水性相互作用クロマトグラフィー工程における溶出は、好ましくは、上記移動相の伝導度を低下(塩濃度を低下)させることにより行われる。該低下は、直線的または段階的に達成することができる。
平衡化、ロード、洗浄および溶出用緩衝液としては、pHが6または約6から9または約9のものを使用することが好ましく、より好ましくは、pHが7.0または約7.0から8.5または約8.5、最も好ましくは、pHが7.5または約7.5である。特に好ましい平衡化、ロードおよび洗浄用緩衝系は、好ましくはpHが7.5または約7.5であって、リン酸ナトリウムおよび硫酸アンモニウムを含有する。好ましい溶出用緩衝液は、好ましくはpHが7.5または約7.5であって、リン酸ナトリウムを含有する。
特に好ましい態様において、HICの工程(c)(平衡化、ロード、洗浄、溶出)に用いる生成物接触用緩衝液は、L−メチオニンなどの抗酸化剤を含有する。代替の抗酸化剤としては、t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール;二メタ重亜硫酸カリウムまたは二メタ重亜硫酸ナトリウム、および重亜硫酸ナトリウムが挙げられる。
追加の工程
本発明のプロセスは、上記3つの主なクロマトグラフィー工程(a)、(b)および(c)に加えて、例えば、クロマトグラフィー工程、ろ過工程またはウイルス不活性化工程といった、当業者にとって公知の追加の工程を、必要に応じて含むことができる。好ましい追加の工程は、アニオン交換クロマトグラフィーまたはカチオン交換クロマトグラフィーなどのイオン交換クロマトグラフィー;染料親和性クロマトグラフィー、免疫親和性クロマトグラフィー、レクチン親和性クロマトグラフィーまたはペルボレート親和性クロマトグラフィーなどの親和性クロマトグラフィー;ダイアフィルトレーション、限外ろ過またはナノろ過などのろ過;またはウイルス不活性化である。
アニオン交換クロマトグラフィー工程(d)
好ましい態様において、本発明のプロセスは、アニオン交換クロマトグラフィー(d)をさらに含む。上記アニオン交換クロマトグラフィーは、通常、カラムを平衡化およびロードし、続いて洗浄し、その後、溶出することにより行われる。
上記アニオン交換クロマトグラフィーは、好ましくはCaptoQ(GE Healthcareより入手可能)などの四級アンモニウム樹脂、あるいはToyoPearl QEA(Tosohより入手可能)、Q Sepharose FF(GE Healthcareより入手可能)またはFractogel EMD、Fractogel TMAEまたはFractogel HICAP(Merck KGaA、Darmstadt Germanyより入手可能)などの類似の性質を有する樹脂を用いて行われる。
上記アニオン交換クロマトグラフィー樹脂は、弱アルカリ性のpH、例えば7.2または約7.2から9.0または約9.0のpH、または8.0または約8.0から9.0または約9.0のpH、最も好ましくは8.5または約8.5のpHを有する緩衝液を用いて平衡化、ロードおよび洗浄されることが好ましい。適切な緩衝剤としては、例えば、ホウ酸塩緩衝剤、トリエタノールアミン/イミノ二酢酸、トリス(2−アミノ−2−ヒドロキシメチルプロパン−1,3−ジオール)、リン酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、トリシン(N−(トリ(ヒドロキシメチル)メチル(グリシン)、ビシン(2−(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)エタン酸)、TES、HEPES、およびTAPS(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸)が挙げられる。最も好ましくは、pH8.5または約8.5の酢酸アンモニウムである。
上記イオン交換樹脂からの溶出は、塩、好ましくはNaClの添加により移動相の伝導度を高めることにより達成される。適切な緩衝剤としては、例えば、ホウ酸塩緩衝剤、トリエタノールアミン/イミノ二酢酸、トリス、酢酸アンモニウム、トリシン、ビシン、TES、HEPES、およびTAPSが挙げられる。酢酸アンモニウムが好ましい。
上記アニオン交換クロマトグラフィーは、主に糖タンパク質のグリカン部分のシアリル化度および/または硫酸化度の違いに起因して電荷の異なるアイソフォームを、選択的に溶出させるために用いることができる。
糖タンパク質は、ペプチド骨格と、セリン残基および/もしくはトレオニン残基の水酸基にO結合型様式で結合しているか、ならびに/またはアスパラギンのアミド基にN結合型様式で結合しているオリゴ糖とから構築される。オリゴ糖構造はしばしば、負に荷電した糖ノイラミン酸(別名シアル酸)を末端に有する。
糖タンパク質生成物のインビボ活性は、末端ガラクトースのシアリル化度に影響されると思われる。例えば、De Leeuw et al.(1996、Mol Hum Reprod.1996 May;2(5):361−9)は、高シアル酸含有量のFSHアイソフォームが、延長された循環半減期のため、より低いシアル酸含有量のものと比較して高い比活性を発揮したことを示した。しかし、より低いシアル酸含有量のFSHアイソフォームは、より高い受容体結合活性を示す。したがって、FSHの特定の用途に応じて、異なるシアリル化度を有する異なるアイソフォームが必要とされ得る。
ここで使用される用語「アイソフォーム」とは、アミノ酸配列が同一または極めて類似であり、共通の等電点を有する一方で、結合したガラクトシル基およびシアリル基の程度、複雑さ、性質、アンテナリティ(antennarity)、および順序に関して相違していてもよい糖タンパク質を含有する糖タンパク質調製物/画分をいう。本発明によるアイソフォームは、アミノ酸配列および等電点が同一または極めて類似であり、上記相違点に加えてさらにアセチル化および硫酸化などの他の荷電保有修飾が異なる、複数の糖タンパク質形態を含んでもよい。用語「アミノ酸配列が極めて類似」とは、タンパク質のアミノ酸配列が、野生型アミノ酸配列と機能的に同等である配列もまた含み、したがって同じ機能を発揮することを示す。特に、「アミノ酸配列が極めて類似」とは、参照アミノ酸配列の全体の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、より好ましくは100%を表す一続きの連続アミノ酸にわたって、参照アミノ酸配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%の配列相同性(好ましくは配列同一性)を共有する。
よって、糖タンパク質アイソフォームは、好ましくはそれらの等電点およびアミノ酸配列によって定義することができ、そのように定義された各アイソフォームは、実際に、厳密な化学的意味で複数のアイソフォーム(同一の原子組成を有するが、それらの空間的構造が異なる分子)を含んでもよい。特に、同一アイソフォームの異なる糖タンパク質の等電点は、2単位を超える差で相違しないことが好ましく、その差は、より好ましくは1単位以下、0.5単位以下、または0.2単位以下であり、最も好ましくは、等電点は、0.1単位を超える差で相違しない。
シアリル化度が異なるアイソフォームなどの、荷電の異なるアイソフォームを選択的に溶出させるために、pHおよび/または塩含有量において異なり、それぞれが、例えば酢酸アンモニウム、ホウ酸塩緩衝剤、トリエタノールアミン/イミノ二酢酸、トリス、リン酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、トリシン、ビシン、TES、HEPES、またはTAPS、好ましくは酢酸アンモニウムをベースとする、2種以上、好ましくは2種の溶出用緩衝液AおよびBを用いることが好ましい。異なる溶出用緩衝液を用いることにより、まず一方の溶出用緩衝液を使用した後、他方の溶出用緩衝液を使用し、さらには必要に応じてこれら溶出用緩衝液の種々の混合物を用いる中間溶出工程を一工程以上用いてもよいというように、溶出を段階的に行うことができる。あるいは、または追加的に、まずこれらの溶出用緩衝液の混合比を第一混合比(例えば、第一溶出用緩衝液100%)で開始し、そしてこれらの溶出用緩衝液の混合比を第二混合比(例えば、第二溶出用緩衝液100%)へと次第に変化させるというように、勾配を用いて溶出を行うことができる。
最初に用いる溶出用緩衝液(緩衝液A)は、一般に、a)塩を含まない弱酸性緩衝液、または、b)NaClなどの塩含有量の低い(好ましくは20mMと200mMとの間)中性または弱塩基性緩衝液とすることができる。緩衝液Aは、低電荷(例えば低シアリル化度)の糖タンパク質を溶出させるために使用することができる。上記例a)の場合、緩衝液AのpHは、例えば3.0または約3.0から6.5または約6.5、もしくは4.0または約4.0から6.0または約6.0前後、最も好ましくは5または約5である。上記例b)の場合、緩衝液AのpHは、例えば7.0または約7.0から9.0または約9.0、好ましくは8.5である。
2番目に用いる溶出用緩衝液(緩衝液B)は、一般に、緩衝液Aよりも高い塩含有量を有する塩含有弱アルカリ性緩衝液であり、高電荷(例えば高シアリル化度)の糖タンパク質を溶出させるために使用することができる。緩衝液BのpHは、例えば7.0または約7.0から9.0または約9.0、あるいは8.0または約8.0から9.0または約9.0、最も好ましくは8.5または約8.5である。上記塩は、好ましくはNaClである。緩衝液Bにおける塩含有量は、好ましくは200mM〜1Mである。
異なる溶出用緩衝液および勾配または段階的溶出を用いることにより、アニオン交換クロマトグラフィーカラムにロードされた異なる糖タンパク質アイソフォームは、それらの電荷に応じて異なる画分に溶出される。例えば、精製するべき糖タンパク質は、フロースルー画分に存在していてもよく、すなわち、それは、アニオン交換クロマトグラフィーカラムに弱く結合するかもしくはまったく結合しない糖タンパク質であってもよく、あるいは、上記第一溶出用緩衝液、特定の混合比の上記第一溶出用緩衝液および第二溶出用緩衝液、または上記第二溶出用緩衝液により溶出させてもよい。さらなる精製工程に用いる糖タンパク質画分、従って、精製するべき糖タンパク質アイソフォームは、主に糖タンパク質の所望の用途によって決まる。目的のものでない他の糖タンパク質アイソフォームは、アニオン交換クロマトグラフィー工程を用いて除去することができる。FSHに関して、例えば、高シアリル化度を有し、よって循環半減期の長いFSHのみ、あるいは低シアリル化度を有し、よって受容体結合活性の高いFSHのみを精製することができる。
特に好ましい態様において、上記イオン交換クロマトグラフィー(平衡化、洗浄、溶出)に用いる生成物接触用緩衝液は、抗酸化剤、好ましくはL−メチオニンを含有する。代替の抗酸化剤は、前述のとおりである。
標準的アニオン交換クロマトグラフィーに替えて、またはそれに加えて、クロマトフォーカシングを行うことができる。クロマトフォーカシングは、等電点(pI)の違いによりタンパク質を分離するクロマトグラフィー技術である。特に、荷電した固定相を用いることができ、クロマトフォーカシングカラムにロードしたタンパク質を、pH勾配を用いて溶出させることができる。例えば、固定相は正に荷電されてもよく、第1pHからより低い第2pHへ、例えば、pH約9からpH約6へ、またはpH約7からpH約4へとpH勾配を形成してもよい。クロマトフォーカシングの特定の条件により、タンパク質は、それらの等電点の順序で溶出し、好ましくは、特定のpIを有するタンパク質を、細いバンドに集中させる。タンパク質は、それらのpIよりも高いpHにおいて負に荷電し、正に荷電した固定相に付着するため、これによりそれは減速する。溶出勾配のpHが、このタンパク質のpIに到達すると、このタンパク質は、全体として電荷が中性となり、移動相の流れとともに移動する。このタンパク質のpIよりも低いpHにおいて、このタンパク質は、それ自体の正電荷により固定相から反発を受け、それを加速させる。よって、ゾーン後方のタンパク質は、前方のタンパク質よりも速く移動し、タンパク質のより細いバンドを次第に形成する。この設定において、最も高いpIを有するタンパク質が最初に溶出し、最も低いpIを有するタンパク質が最後に溶出する。
適切な固定相は、例えば、Mono P(GE Healthcareより入手可能)などの荷電した緩衝アミンで置換された媒質、または、他のアニオン交換クロマトグラフィー材料である。溶出のためのpH勾配を形成するために、Polybuffer 74またはPolybuffer 96(GE Healthcareより入手可能)などの適切な緩衝システムを用いることができる。カラムの平衡化、ロードおよび洗浄は、目的の糖タンパク質および/または不純物がカラム材料に結合する任意の条件を用いて行うことができる。例えば、アニオン交換クロマトグラフィーについて上記に記載した条件を用いることができる。pH減少勾配を使用する場合、溶出勾配の出発pHと同じまたはそれより高いのpHを有する緩衝液を、平衡化、ロードおよび/または洗浄に用いることが好ましい。pH増加勾配を使用する場合、溶出勾配の出発pHと同じまたはそれより低いpHを有する緩衝液を、平衡化、ロードおよび/または洗浄に用いることが好ましい。好ましくは、溶出pH勾配の開始時に用いた緩衝液と類似の緩衝液が、平衡化、ロードおよび洗浄に用いられる。
プロセス全体
逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、およびアニオン交換クロマトグラフィーの工程は、任意の順序で行ってよいが、逆相クロマトグラフィー工程を最初に行うことが好ましい。残りの工程は、任意の順序で行ってよいが、(1)逆相クロマトグラフィー、(2)サイズ排除クロマトグラフィー、(3)アニオン交換クロマトグラフィー、(4)疎水性相互作用クロマトグラフィーの順序で行うことが好ましい。必要に応じて、引き続き、限外ろ過および/またはダイアフィルトレーションによる濃縮および/または緩衝液交換工程(5)、およびナノろ過工程(6)を行ってもよい。
好ましい態様において、本発明による糖タンパク質の精製のためのプロセスは、免疫親和性クロマトグラフィーおよび/またはカチオン交換クロマトグラフィーを含まない。より好ましくは、本発明によるプロセスは、本明細書に記載のクロマトグラフィー工程以外の追加のクロマトグラフィー工程は含まない。本発明によるプロセスは、3つのクロマトグラフィー工程のみ、すなわち、逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーおよび疎水性相互作用クロマトグラフィー、あるいは、4つの工程のみ、すなわち、逆相クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィーおよび疎水性相互作用クロマトグラフィーを含むことが好ましい。上記アニオン交換クロマトグラフィーの代わりに、前述のクロマトフォーカシング工程を行ってもよい。
しかし、クロマトグラフィー以外の追加の工程、好ましくは本明細書に記載する工程を、上記定義した工程に加えて、それらの工程間において行うことができる。好ましくは、それら追加の工程は、細菌、ウイルス、核酸もしくはプリオンタンパク質などの望ましくないかまたは有害な物質を低減または不活性化する工程、例えば、滅菌ろ過、ナノろ過、吸着、および/またはpH不活性化工程を含む。代替態様では、本発明によるプロセスは、望ましくないかまたは有害な物質を低減または不活性化するための(例えば吸着クロマトグラフィーを含む)クロマトグラフィー工程を、上記した工程に加えて含んでいてもよい。好ましくは、本発明の精製プロセスは、ウイルス低減または不活性化工程を、少なくとも1工程、より好ましくは少なくとも2工程、最も好ましくは少なくとも3工程含む。この点に関し、本発明による精製プロセスのクロマトグラフィー工程、特にサイズ排除クロマトグラフィー工程(b)は、通常、ウイルスを糖タンパク質から分離できるため、これらの工程もウイルス低減工程として使用することができる。例えば、ウイルスおよびウイルス様粒子は、糖タンパク質と比較して非常に大きいサイズを有することから、サイズ排除クロマトグラフィーの際にそれらから効果的に分離することができる。
さらに、本発明によるプロセスは、サイズ排除クロマトグラフィーの直前および/または直後に緩衝液交換工程を含まないことが好ましい。特に、該プロセスが、(1)逆相クロマトグラフィー、(2)サイズ排除クロマトグラフィー、必要に応じての(3)アニオン交換クロマトグラフィー、および(4)疎水性相互作用クロマトグラフィーの順序で行われる場合、上記逆相クロマトグラフィーとサイズ排除クロマトグラフィーとの間、および/または上記サイズ排除クロマトグラフィーとアニオン交換クロマトグラフィーまたは疎水性相互作用クロマトグラフィーとの間において、緩衝液交換を行わないことが好ましい。
その他の工程
最初のクロマトグラフィー工程に先立って(特に、逆相クロマトグラフィー工程に先立って)、粗製の糖タンパク質を濃縮するために限外ろ過工程を行うことが望ましい場合がある。さらに加えて、緩衝液交換を行うために、最初のクロマトグラフィー工程の前にダイアフィルトレーション工程を行ってもよい。上記限外ろ過工程およびダイアフィルトレーション工程は、同時に、または連続して行うことができる。上記限外ろ過および/またはダイアフィルトレーションは、3〜30kDまたは約3〜30kD、最も好ましくは10kDまたは約10kDのカットオフを有する膜を用いて行うことが好ましい。しかし、最初のクロマトグラフィー工程の前に、いずれの限外ろ過工程および/またはいずれのダイアフィルトレーション工程も行わない精製プロセスも、本発明の範囲に含まれる。
好ましい態様において、クロマトグラフィーの1またはそれより多くの工程を行った後(特に、最後のクロマトグラフィー工程の後)、糖タンパク質試料を限外ろ過および/またはダイアフィルトレーション工程に供する。所望の組成を有するバルクを得るために、限外ろ過および/またはダイアフィルトレーションを行うことが好ましい。該限外ろ過(および/またはダイアフィルトレーション)は、3〜30kDまたは約3〜30kD、最も好ましくは10kDまたは約10kDのカットオフを有する膜を用いて行うことが好ましい。限外ろ過および/またはダイアフィルトレーションの際に、例えば、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、MES、Bis−Tris、ADA、PIPES、ACES、BES、MOPS、TESおよびHEPESからなる群より選ばれる、、好ましくはリン酸ナトリウム、好ましくは、例えばスクロースなどの安定剤およびL−メチオニンなどの抗酸化剤を含むリン酸ナトリウムである、製剤前緩衝剤へ緩衝液交換を行うことが好ましい。pHは、好ましくは6.5〜7.5、より好ましくは約7.0〜7.1の範囲内にある。
本発明による精製プロセスにおいて行うことのできる必要に応じての追加の工程として、1またはそれより多くのの滅菌ろ過工程が挙げられる。これらの工程は、真核細胞および/または原核細胞などの生物的汚染物質、特に細菌および/またはウイルスを除去するために用いることができる。これらの工程は、該滅菌ろ過工程後のさらなる汚染を防ぐために、精製プロセスの最後または最後付近で行われることが好ましい。細菌または他の細胞を除去するために、滅菌ろ過のために用いられるフィルターは、0.22μm以下、好ましくは0.1μm以下の孔径を有することが好ましい。ウイルスまたはウイルス様粒子を除去するために、後述のナノろ過工程を行うことができる。
本発明による精製プロセスにおいて行うことのできる別の追加の工程は、糖タンパク質を特定のpHでインキュベートすることによるウイルス不活性化工程である。例えば、糖タンパク質を、pH4.0以下、好ましくはpH約3.6でインキュベートする。インキュベーション時間は、少なくとも15分間、少なくとも30分間、少なくとも60分間、少なくとも90分間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、または少なくとも6時間であることが好ましい。インキュベーションは、例えば10℃以下、または4℃以下の低温で行うことができ、あるいは室温付近で行うこともできる。例えば、糖タンパク質材料を、pH約3.6にて室温付近で約90分間インキュベートすることができる。このウイルス不活性化工程は、精製プロセスのいずれの時点でも行うことができ、好ましくは最後のクロマトグラフィー工程の後に行われる。
一つの好ましい態様において、本発明のプロセスは、以下の工程を下記に示す順序で含む:
(0)限外ろ過(必要に応じて、追加のダイアフィルトレーション工程;好ましくはカットオフが10kDまたは約10kDの膜を使用);
(1)逆相クロマトグラフィー(RPC)(好ましくはSource 30 RPCカラムを使用);
(1a)限外ろ過(好ましくはカットオフが10kDまたは約10kDの膜を使用);
(2)サイズ排除クロマトグラフィー(好ましくはSuperdex 200カラムを使用);
(3)アニオン交換クロマトグラフィー(好ましくはCaptoQカラムを使用);
(4)疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)(好ましくはButyl HPカラムを使用);
(5)限外ろ過および/またはダイアフィルトレーション(好ましくはカットオフが10kDの膜を使用)。
糖タンパク質試料を、特にウイルス除去工程としての(すなわち、糖タンパク質調製物が、細胞培養から発生するウイルスまたはウイルス様粒子により汚染されるリスクを低減するための)ナノろ過工程に供することが望ましい場合がある。ナノろ過は、精製プロセスのいずれの段階でも行うことができるが、クロマトグラフィー手順の終了後にナノろ過を行うことが特に好ましい。ナノろ過は、1回を超える回数、例えば2回行うことができる。約15〜20nmの孔径を有するナノろ過装置が好ましい。
別の好ましい態様において、従って、本発明の方法は、以下の工程を下記に示す順序で含む:
(0)限外ろ過(好ましくはカットオフが10kDまたは約10kDの膜を使用);
(1)逆相クロマトグラフィー(RPC)(好ましくはSource 30 RPCカラムを使用);
(1a)限外ろ過(好ましくはカットオフが10kDまたは約10kDの膜を使用);
(2)サイズ排除クロマトグラフィー(好ましくはSuperdex 200カラムを使用);
(3)アニオン交換クロマトグラフィー(好ましくはCaptoQカラムを使用);
(4)疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)(好ましくはButyl HPカラムを使用);
(5)限外ろ過および/またはダイアフィルトレーション(好ましくはカットオフが10kDの膜を使用);
(6)ナノろ過(好ましくはウイルス除去を含む)。
上記特定の精製プロセスは、追加のクロマトグラフィー工程および/または限外ろ過工程および/またはダイアフィルトレーション工程を含まずに行われることが好ましい。しかし、特定の態様において、上記の精製プロセスは、追加の工程をさらに含んでいてもよく、特に、本明細書に記載の追加の工程、例えば、望ましくないかまたは、および/または有害な物質を除去または不活性化するために用いられる工程のうちの1つまたはそれより多くを含んでいてもよい。
抗酸化剤、あるいは、抗酸化作用およびスカベンジング作用を有する遊離アミノ酸またはジペプチドが、本発明による精製方法の一部工程または全工程に含まれることが好ましい。より具体的には、該抗酸化剤を、FSHなどの糖タンパク質を精製および/または濃縮および/またはろ過するために用いる緩衝液のうちいずれかに存在させる。該抗酸化剤は、FSHなどの糖タンパク質が、処理中に酸化されるのを防止する。好適な抗酸化剤は、L−メチオニンである。好ましくは、L−メチオニンは、0.1〜10mMまたは約0.1〜10mMの濃度で使用される。抗酸化剤の追加の例としては、t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール;二メタ重亜硫酸カリウムまたは二メタ重亜硫酸ナトリウム、および重亜硫酸ナトリウムが挙げられる。抗酸化作用およびスカベンジング作用を有する遊離アミノ酸およびジペプチドの例は、ヒスチジン、タウリン、グリシン、アラニン、カルノシン、アンセリン、1−メチルヒスチジンまたはこれらの組合せである。
本発明の利点の一つは、上記精製プロセスが非常に効果的であり、クロマトグラフィー工程の数が、最低3つのクロマトグラフィー工程、あるいは高度にシアリル化された糖タンパク質分子の濃縮を含めて、最低4つのクロマトグラフィー工程に減少されることである。特に、本発明による精製プロセスを使用することにより、特に親和性精製工程、とりわけ免疫親和性精製工程などの高コストで問題を有する精製工程が不要となり、これらを回避することができる。上記プロセスにより提供される糖タンパク質の純度および比生物活性は高く、例えば、HCP−ELISAにより測定した場合に総タンパク質を基準として、それぞれ90%w/wより高く、好ましくは98%w/wより高く、より好ましくは99%w/wより高い。さらに、本発明による精製プロセスによれば、出発原料中に存在する目的の糖タンパク質が、驚くべき高い回収率で提供される。
糖タンパク質
糖タンパク質は、ポリペプチド側鎖に共有結合したオリゴ糖鎖(グリカン)を含有するタンパク質である。糖タンパク質は、好ましくはそのポリペプチドの窒素原子(N−グリコシル化)または酸素原子(O−グリコシル化)に結合した一つ以上のグリカンを含むことができる。よって、糖タンパク質は、N−グリコシル化および/またはO−グリコシル化されていてもよい。好ましくは、糖タンパク質は、天然グリカンを含む。しかし、「糖タンパク質」なる用語は、天然グリカンおよび/または非天然グリカンを有するタンパク質またはポリペプチドを含み、特に、合成により製造されたグリカンおよび/または非天然もしくは修飾された(単数もしくは複数の)単糖単位を含むグリカンを含む。
好ましくは、精製する糖タンパク質は、FSH(卵胞刺激ホルモン)、CG(絨毛性ゴナドトロピン)、LH(黄体形成ホルモン)およびTSH(甲状腺刺激ホルモン)などのゴナドトロピン、ならびにこれらの全てのアイソフォームおよび改変体の群から選ばれる。本出願における「糖タンパク質」、「FSH」、「CG」、「LH」および「TSH」なる用語は、常に、該糖タンパク質の全てのアイソフォームおよび改変体を含み、特に、下記に示すもの、および上記工程(d)(AEX)で示したものを含む。本発明による「ゴナドトロピン」との用語は、好ましくは、FSH、CG、LHおよびTSHなどの天然ゴナドトロピンを指すが、しかし、それらの組換え型、ならびにそれらの任意のアイソフォーム、改変体および類似体をも指す。好ましくは、ゴナドトロピンのアイソフォーム、改変体および類似体は、天然ゴナドトロピンの生物活性のうち一つ以上を示す。しかし、本発明による糖タンパク質の精製のためのプロセスは、例えば、エリスロポエチン、種々の抗体、特にモノクローナル抗体、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子および組織プラスミノゲン活性化因子などの他の糖タンパク質の精製にも適している。
保存/凍結乾燥
上記の通りの精製プロセスにより得られかつ精製糖タンパク質を含有する液体組成物は、保存のためそのまま凍結させてもよく、あるいは、精製後に、溶媒を除去するために溶出物を凍結乾燥(「フリーズドライ」)させてもよい。得られる液体または凍結乾燥物を、「糖タンパク質バルク」という。
製剤
本発明の糖タンパク質、または本発明の方法により精製された糖タンパク質は、任意の種類の投与用に製剤化することができ、好ましくは、筋肉内注射または皮下注射、好ましくは皮下注射用に製剤化することができる。糖タンパク質製剤は、凍結乾燥してもよく、その場合、注射を行う直前にそれを注射用水に溶解させる。糖タンパク質製剤は、液体製剤であってもよく、その場合、事前に溶解させることなく直接注射することができる。製剤は、公知の賦形剤および安定剤を含有してもよく、さらに、抗酸化剤および/または界面活性剤を含んでもよい。糖タンパク質製剤は、単回投与型であっても、複数回投与型であってもよい。複数回投与型の場合、例えば、アルキルパラベン、ベンジルアルコール、メタ−クレゾール、チモールまたはフェノールなどの静菌剤、好ましくはメチルパラベンまたはメタ−クレゾールを含有すべきことが好ましい。単回投与型製剤も、静菌剤を含むことができる。適切な製剤は、例えば、WO2004/087213、WO00/04913、WO2007/092829およびEP0 853 945に記載されており、これら文献を引用により援用する。
本発明の糖タンパク質は、例えば、スクロースおよびマンニトールなどの公知の賦形剤および安定剤とともに製剤化することができる。また、メチオニンなどの抗酸化剤を含んでもよい。さらには、TWEEN(好ましくはTWEEN80)またはPluronic(好ましくはPluronic F68)などの界面活性剤を含んでもよい。
特に好ましい複数回投与型製剤において、本発明の方法により製造された糖タンパク質を、スクロース、リン酸塩緩衝液(pH6.5〜7.5)、Pluronic F68、メチオニンおよび静菌剤とともに注射用水に溶解させて製剤化する。
適応症
本発明の糖タンパク質は、糖タンパク質が示される全ての処置での使用に適している。例えば、FSHは、生殖補助医療における排卵誘発、調節性卵巣過剰刺激、および精子減少症の処置のための皮下投与に特に適している。該タンパク質は、LHおよびCGなどの他のゴナドトロピンと組み合わせて用いることができる。また、該タンパク質は、クエン酸クロミフェン、アナストロゾール(Anastrozole)、レトロゾール(Letrozole)、ファドロゾール(Fadrozole)およびYM−511などのアロマターゼ阻害剤などの、FSHに対する応答性を高める追加の化合物とともに使用してもよい。さらに、LHおよびCGは、単独で不妊症処置に用いることもできる。
組換え糖タンパク質
「組換え」という用語の使用は、組換えDNA技術を用いて製造された、FSHなどの糖タンパク質の調製物を指す。組換え技術を用いて糖タンパク質を発現させる方法の一例は、適切な宿主細胞、好ましくは真核宿主細胞を、目的の糖タンパク質をコードするDNA配列を含む発現ベクターでトランスフェクションすることである。通常、発現ベクターは、CMVまたはSV40などの糖タンパク質の発現を駆動する強力なプロモーター、および該ベクターを取り込んだ宿主細胞を選択するための適切な選択マーカーを保有する。トランスフェクションは、安定なものであっても、一過性のものであってもよい。適切な組換え発現系は、従来技術において周知であり、詳細な説明は必要としない。好ましくは、真核宿主細胞は、霊長類細胞、好ましくはヒト細胞および齧歯類細胞、好ましくはCHO細胞から選択される。FSHを組換え発現させるため、欧州特許第0 211 894号および欧州特許第0 487 512号に記載されているように、一つのベクターまたは各サブユニットが個別のプロモーターを有する二つのベクターのいずれで提供されようとも、FSHのアルファおよびベータサブユニットをコードするDNA配列で、真核宿主細胞をトランスフェクトする。FSHをコードするDNAは、cDNAであってもよく、またはイントロンを含んでいてもよい。
FSHを製造するために組換え技術を用いる別の例は、欧州特許第0 505 500号(Applied Reseach Systems ARS Holding NV)に記載されているように、相同的組換えにより、異種調節セグメントを、FSHサブユニットの一方または両方をコードする内在性配列に、作動するように結合させて挿入することによる。さらに、WO99/57263(Transkaryotic Therapies)に開示されているような、サブユニットの一方を細胞内に異種挿入し、他方のサブユニットを、相同組換えによる異種調節セグメントの挿入によりゲノム配列を活性化することで発現させる方法も意図される。本発明の方法は、これらの方法および他の方法のいずれかを用いて発現されたFSHを精製するために用いることができる。
本発明による精製プロセスは、天然および組換えの糖タンパク質(それらのアイソフォームおよび改変体を包含する)を精製するために有用である。糖タンパク質アイソフォームとは、好ましくは上記定義されたアイソフォームを指す。「改変体」(variant)という用語は、好ましくは天然糖タンパク質から誘導された糖タンパク質、例えばその変異体型、その融合タンパク質、そのフラグメントおよび/または異なるグリコシル化パターンを有する糖タンパク質を包含する。また、糖模倣構造および/またはペプチド模倣構造を含むタンパク質などの、糖タンパク質の模倣化合物も含まれる。好ましくは、上記糖タンパク質改変体および/またはアイソフォームは、天然糖タンパク質の活性と定性的および/または定量的に類似または同一の活性を一つ以上示す。
「FSH改変体」などの「糖タンパク質改変体」という表現は、アミノ酸配列、グリコシル化部位の数(グリコシル化部位の追加または欠失を含む)、またはサブユニット間結合がヒト糖タンパク質とは異なるが、ヒト糖タンパク質の活性のうち一つ以上を示す分子を包含することを意味する。FSH改変体の例としては、LaPolt et al.; Endocrinology;1992、131、2514−2520;または、Klein et al.; Development and characterization of a long−acting recombinant hFSH agonist;Human Reprod.2003、18、50−56]に記載されているとおりの、野生型[α]−サブユニット、およびhCGのカルボキシ末端ペプチドが、FSHの[β]−サブユニットのC末端に融合されたハイブリッド[β]−サブユニットからなる、長時間作用型組換えFSHであるCTP−FSHが挙げられる。さらに、単鎖分子であって以下に示す配列(N末端からC末端へと)からなる単鎖CTP−FSHも含まれる:
[β]FSH、[β]hCG CTP(113−145)、[α]FSH
ここで、Klein et al.[Pharmacokinetics and pharmacodynamics of single−chain recombinant human follicle−stimulating hormone containing the human chorionic gonadotrophin carboxyterminal peptide in the rhesus monkey、Fertility & Sterility;2002、77、1248−1255]に記載されているように、[β]FSHは、FSHの[β]サブユニットを意味し、[β]hCG CTP(113−145)は、hCGのカルボキシ末端ペプチドを意味し、[α]FSHは、FSHの[α]サブユニットを意味する。FSH改変体の他の例としては、WO01/58493(Maxygen)に開示されているような、[α]−および/または[β]−サブユニットに組み込まれた追加のグリコシル化部位を有するFSH分子、およびWO98/58957に開示されているような、サブユニット間にS−S結合を有するFSH分子が挙げられる。FSH改変体のさらなる例としては、WO91/16922およびWO92/22568に記載されているような、FSH由来の配列、およびhCGまたはLH由来の配列を含むキメラ分子が挙げられる。
ここでいうFSH改変体には、完全長成熟タンパク質よりも短いベータサブユニットのカルボキシ末端欠失体も含まれる。ベータ鎖のカルボキシ末端改変体は、公知のアルファサブユニットと複合体を形成して、FSH改変体ヘテロ二量体を形成することが理解される。さらに、FSH改変体には、α−鎖およびβ−鎖、またはこれらの一部が、一つのポリペプチド鎖に組み合されている(好ましくは両鎖の間にリンカーを含む)融合タンパク質も含まれる。FSH融合タンパク質の他の例において、FSH鎖の一方または両方が、抗体、または抗体のFcフラグメントなどの抗体の一部分に融合される。
ここでいうFSH改変体には、例えば、ウマ(Equus caballus)、ブタ(Sus scrofa)、ウシ(Bos taurus)、ネコ(Felis catus)、イヌ(Canis familiaris)などの異種由来のFSHも含まれる。
好ましい態様において、FSHは、血清中、または無血清培地中で、組換え技術により製造される。別の好ましい態様において、本発明の方法により製造された精製FSHは、皮下投与に適しており、患者自身による投与を可能にする。
糖タンパク質の例としてFSHに関して上記に記載した糖タンパク質の改変体は、適切である場合においては、他の糖タンパク質、特にLH、TSHおよびCGなどの他のゴナドトロピンについても同様に当てはまる。
「粗製組換え糖タンパク質」という表現は、いずれのクロマトグラフィー工程も経ていない、糖タンパク質を発現する組換え細胞から得られた細胞培養上清を指す。該表現は、無処理(細胞から分離したまま)の上清、ならびに濃縮および/またはろ過および/または限外ろ過した上清を包含する。
糖タンパク質の製造のためのプロセス
さらに、本明細書に記載の糖タンパク質の精製プロセスを行うことにより目的の糖タンパク質を製造するためのプロセスが提供される。上記糖タンパク質は、天然供給源から、または組換えにより得ることができる。
好ましい態様において、下記工程を含む、目的の糖タンパク質を製造するためのプロセスが提供される:
i)該目的の糖タンパク質を、組換えにより発現させる工程;
ii)該組換えにより発現させた目的の糖タンパク質を、該糖タンパク質を含む液体を少なくとも下記工程に供することにより精製する工程:
a)逆相クロマトグラフィー、
b)サイズ排除クロマトグラフィー、および
c)疎水性相互作用クロマトグラフィー。
各製造プロセスにより、特に医薬製剤への使用に適した、非常に純度の高い糖タンパク質が製造される。
前記製造プロセスは、精製プロセスに関して上記に記載した工程を少なくとも一工程以上含むことが好ましい。それらの各開示は、本発明による製造プロセスにあてはまり、繰り返しを避けるために上記開示を参照する。
さらに、本発明による製造プロセスは、目的の糖タンパク質を医薬製剤の形態に製剤化する工程を含んでいてもよい。適切な液体または凍結乾燥製剤は、従来技術において公知であり、また上記に記載した。各開示を参照する。
本発明による製造方法により製造された目的の糖タンパク質は、ゴナドトロピンから選ばれることが好ましく、好ましくはFSH、CG、LHおよびTSHから選ばれる。
実験の章
下記の実験は本発明のプロセスを例示するが、本開示を限定すること決して意図しない。
工程0:限外ろ過
組換えFSHを含む細胞培養上清から、出発原料を形成する粗製FSHを得た。
限外ろ過工程に先立ち、上清を、2μmデプスフィルターに室温で通してろ過することにより清澄化した。次に、10kDまたは約10kDのカットオフを有する膜を膜間圧が1.2barを超えないように用いて、限外ろ過を行った。
工程1:逆相クロマトグラフィー(Source 30 RPCカラム)
ロード用緩衝液:20mMリン酸ナトリウム pH7.5/10%v/vイソプロパノール(メチオニン含有)
溶出用緩衝液:20mMリン酸ナトリウム pH7.5/18%v/vイソプロパノール(メチオニン含有)
上記濃縮および限外ろ過(工程0)により得られた材料に対して、ロード用緩衝液と等しい濃度のイソプロパノールを加えた。Source30カラムを、ロード用緩衝液で平衡化する。カラムに上記材料をロードした後、15CVのロード用緩衝液により非結合材料を洗い出す。溶出用緩衝液(約8CV)のイソプロパノール濃度を18%v/vに増加させることにより、FSHを溶出させる。溶出液プールを、限外ろ過により濃縮し、次工程へ進む。本工程は、室温で行われる。
Figure 2013511481
工程1a:限外ろ過
工程1(RPC)により得られた溶出液を、室温下、1.2barを超えない膜間圧での10kDまたは約10kDのカットオフを有する膜での限外ろ過に供し、該溶出液を、SECカラム体積の約10%にまで濃縮した。
工程2:サイズ排除クロマトグラフィー(Superdex 200カラム)
ランニング緩衝液:15mM酢酸アンモニウム pH8.5(メチオニン含有)
工程1aによりプールされた材料を、ランニング緩衝液で平衡化させたSECカラムに供した。FSHを、特定の保持時間(約0.6〜0.7CV)で、イソクラチック条件下で溶出させる。本クロマトグラフィー工程により、次工程に先立って精製および緩衝液交換が行われる。本SEC工程は、室温で行われる。
Figure 2013511481
工程3:アニオン交換クロマトグラフィー(CaptoQカラム)
ロード用緩衝液:15mM酢酸アンモニウム pH8.5(メチオニン含有)
溶出用緩衝液A:15mM酢酸アンモニウム pH5(メチオニン含有)
溶出用緩衝液B:15mM酢酸アンモニウム pH8.5(メチオニン含有)−0.25M NaCl
次に、工程2(SEC)により得られた材料を、ロード用緩衝液で平衡化させたアニオン交換樹脂に加えた。非結合材料を,ロード用緩衝液(約10CV)で洗い出した。FSHの一部を、溶出用緩衝液Aにより溶出させた(それほど荷電していないFSH分子を含有する)後、溶出用緩衝液Bを用いて第二溶出工程を行った(より高度に荷電したFSH分子を含有する)。両溶出工程は、段階的に行われる。AEXは、室温で行われる。
Figure 2013511481
工程4:疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)(Butyl HPカラム)
ロード用緩衝液:20mMリン酸ナトリウム pH7.5−1.5M硫酸アンモニウム(メチオニン含有)
溶出用緩衝液:20mMリン酸ナトリウム pH7.5(メチオニン含有)
上記アニオン交換クロマトグラフィーカラムから緩衝液Bにより溶出された材料(より酸性の高いFSH分子)を、ロード用緩衝液を用いて硫酸アンモニウム濃度を1.5Mに調整し、ロード用緩衝液で平衡化させたButyl−HP Sepharoseカラムにロードした。非結合材料を洗い出した後、硫酸アンモニウム濃度を直線的に0まで減少させることによりFSHをカラムから溶出させた。本HIC工程は、室温で行われる。
Figure 2013511481
工程5:ダイアフィルトレーション(膜のカットオフは10kD)
製剤化前緩衝液:9〜10mMリン酸ナトリウム pH7.0〜7.1
0.1g/lメチオニン
50mg/mlスクロース
次に、工程4(HIC)により得られた溶出液を、室温でダイアフィルトレーションした。本工程により、緩衝液が、製剤化前緩衝液へと交換され、所望の濃度へ調整される。
工程6:ナノろ過
上記ダイアフィルトレーション工程により得られた生成物を、20nmナノろ過装置を用いて、約2barの圧力で直接ろ過した。本工程は、室温で行った。
工程(−1)〜(6)のプロセスにより、FSHは、HCP−アッセイ(宿主細胞タンパク質レベル0.01%w/w未満)により測定して、総タンパク質を基準として99.99%w/wよりも高い純度になった。

Claims (16)

  1. 糖タンパク質の精製のためのプロセスであって、該糖タンパク質を含む液体を下記工程:
    a)逆相クロマトグラフィー、
    b)サイズ排除クロマトグラフィー、および
    c)疎水性相互作用クロマトグラフィー
    に供することを含む、プロセス。
  2. 前記工程が、
    (1)逆相クロマトグラフィー、
    (2)サイズ排除クロマトグラフィー、および
    (3)疎水性相互作用クロマトグラフィー
    の順序で行われる、請求項1に記載のプロセス。
  3. 逆相クロマトグラフィー工程a)において、溶出用緩衝液が、有機溶媒、好ましくはイソプロパノールを含む、請求項1または2に記載のプロセス。
  4. サイズ排除クロマトグラフィー工程b)において、緩衝液交換が行われる、請求項1〜3のいずれかに記載のプロセス。
  5. クロマトグラフィー工程、ろ過工程およびウイルス不活性化工程からなる群から選ばれる一つ以上の工程を追加的に含む、請求項1〜4のいずれかに記載のプロセス。
  6. 前記追加の工程が、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、ダイアフィルトレーション、限外ろ過、ナノろ過およびウイルス不活性化からなる群から選ばれる、請求項1〜5のいずれかに記載のプロセス。
  7. アニオン交換クロマトグラフィー工程d)を追加的に含む、請求項1〜6のいずれかに記載のプロセス。
  8. アニオン交換クロマトグラフィー工程d)が、サイズ排除クロマトグラフィー工程b)に引き続いて行われる、請求項7に記載のプロセス。
  9. アニオン交換クロマトグラフィー工程d)において、少なくとも一種の塩含有溶出用緩衝液が用いられる、請求項7または8に記載のプロセス。
  10. 前記糖タンパク質の荷電の異なるアイソフォームが分離される、請求項7〜9のいずれかに記載のプロセス。
  11. 前記糖タンパク質が、FSH、CG、LHおよびTSHからなる群より選ばれ、好ましくはFSHである、請求項1〜10のいずれかに記載のプロセス。
  12. 前記糖タンパク質が、組換えにより生成される、請求項1〜11のいずれかに記載のプロセス。
  13. 下記工程:
    (0)限外ろ過;
    (1)逆相クロマトグラフィー;
    (1a)必要に応じて限外ろ過;
    (2)サイズ排除クロマトグラフィー;
    (3)アニオン交換クロマトグラフィー;
    (4)疎水性相互作用クロマトグラフィー;
    (5)限外ろ過および/またはダイアフィルトレーション;
    (6)ナノろ過
    を順次行うことを含む、請求項1〜12のいずれかに記載のプロセス。
  14. 下記工程を含む、目的の糖タンパク質を製造するためのプロセス:
    i)該目的の糖タンパク質を、組換えにより発現させる工程;
    ii)該組換えにより発現させた目的の糖タンパク質を、該糖タンパク質を含む液体を少なくとも下記工程:
    a)逆相クロマトグラフィー、
    b)サイズ排除クロマトグラフィー、および
    c)疎水性相互作用クロマトグラフィー
    に供することにより精製する工程。
  15. 下記工程:
    i)請求項1〜13に定義された工程のうち一つ以上の工程;および/または
    ii)該目的の糖タンパク質を医薬製剤の形態に製剤化する工程
    のうち少なくとも一方を含む、請求項14に記載の製造プロセス。
  16. 前記糖タンパク質が、ゴナドトロピンから選ばれ、好ましくはFSH、CG、LHおよびTSHから選ばれる、請求項14または15に記載の製造プロセス。
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