JP2013254681A - コネクタ端子 - Google Patents

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寧 齋藤
Kingo Furukawa
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Abstract

【課題】アルミニウム又はアルミニウム合金よりなる母材の最表面にスズ層が形成されたコネクタ端子において、初期状態においても、腐食環境下での使用時においても、低く安定した接触抵抗を有することにより、高い接続信頼性を有し、かつ、高い生産性と低い製造コストが達成されたコネクタ端子を提供すること。
【解決手段】スズ層がアルミニウム又はアルミニウム合金よりなる母材の表面に接合され、最表面に露出したクラッド材よりなるコネクタ端子とする。スズ層は、接点部を含む母材表面の一部を被覆して形成されても、母材表面の全面に形成されてもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、コネクタ端子に関し、さらに詳しくはアルミニウム又はアルミニウム合金を母材とするコネクタ端子に関する。
従来、自動車用配線に使用される電線導体やコネクタ端子の母材としては、銅や銅合金が広く利用されてきた。しかし近年、電線の軽量化による車両の軽量化を目的とし、銅又は銅合金よりなる電線導体の代わりに、アルミニウム又はアルミニウム合金よりなる電線導体が用いられることが増えている。アルミニウム及びアルミニウム合金は、銅及び銅合金に比べ、リサイクルが容易であり、資源量も豊富であるという利点もある。
電線導体とそれに接続されるコネクタ端子が異種金属より形成されると、それらの酸化還元電位の差により、大気中の塩分などの影響で電線導体とコネクタ端子との接続部で腐食が発生するおそれがある。これを回避するため、電線導体としてアルミニウム又はアルミニウム合金からなるものが使用される時に、コネクタ端子としても母材がアルミニウム又はアルミニウム合金からなるものを使用することが望ましい。
アルミニウム及びアルミニウム合金のようなアルミニウム系材料の表面には通常、非常に硬くて破壊されにくく、化学的にも安定な厚い酸化物被膜が形成される。よって、コネクタ端子において、相手方コネクタ端子と電気的に接触する接点部の最表面にアルミニウム系材料が露出していると、この酸化物被膜の影響で、大きな接触抵抗が発生してしまう。さらに、酸化物被膜の厚さのばらつき等に起因し、接触抵抗のばらつきも大きくなってしまう。
図5に、アルミニウム−アルミニウム間接点の接触荷重−接触抵抗特性を示す。3つのデータセットは、同様に形成したモデル接点部に対して独立に測定したものである。3つのデータセットの接触抵抗値は、相互に大きくばらついている。例えば、2N以下の低接触荷重の領域においては接触抵抗値が1桁以上にわたってばらついている。挿入図に明らかに示されるように、40Nの大きな接触荷重を印加した状態でも、接触抵抗は約10〜70mΩの広い範囲に分布している。また、最も接触抵抗が小さいものでも、その接触抵抗値は10mΩ以下になることはない。この接触抵抗値は、自動車用コネクタ端子のものとしては、大きすぎる。このように、アルミニウム系材料が接点部の最表面に露出しているコネクタ端子においては、接触抵抗値が大きく、しかも不安定であるので、低い接続信頼性しか得られない。
加えて、アルミニウムは非常に低い酸化還元電位を有する(卑な金属である)ので、アルミニウム系材料がコネクタ端子の最表面に露出していると、大気中の水分等に接触した際に、アルミニウムの溶出が発生するという問題もある。
ところで、母材表面に存在する酸化物等の絶縁性の被膜が、他の導体との接点部において接触抵抗を上昇させることを避け、接点部における接続信頼性を高めるために、コネクタ端子の接点部にスズめっき層を形成することが、従来一般に行われてきた。スズめっき端子においては、最表面に比較的硬い絶縁性の酸化スズ被膜が形成されるが、酸化スズ被膜は弱い力で破壊され、容易に軟らかいスズ層が露出するので、良好な電気的接触が形成される。アルミニウム系材料を母材とするコネクタ端子においても、スズ層を最表面に形成することができれば、接続信頼性の向上を達成することができる。
しかしながら、アルミニウムは非常に卑な金属であり、また、アルミニウムの表面は、絶縁体である硬く厚い酸化物被膜に覆われており、表面に電場が形成されにくいため、めっき液中の金属イオンと、酸化物被膜の下の金属アルミニウムとの間の電子授受が安定的には起こらず、アルミニウム表面に直接に電解めっき法によって金属層を析出させることは困難である。そこで、アルミニウム系母材の表面酸化物の少なくとも一部を、化学反応によって亜鉛に代表される他の金属に置換することで(無電解めっき法)、アルミニウム系母材の表面に金属被膜を形成し、電解めっき法を用いてその上に金属めっき層を亜鉛との置換により形成するという方法がとられる。亜鉛を用いてこのような処理を施すことは、ジンケート処理と称される。
ジンケート処理を利用して、アルミニウム系母材の最表面にスズめっき層が形成された構成を図6に例示する。(a)のように、ジンケート処理した表面の上にスズめっき層を直接形成することもできるが、アルミニウムとスズが合金を形成しないため、スズ層の密着性が悪く、剥離等の虞が生じる。そこで、(b)及び(c)のように、ニッケル又は銅めっき層を形成した上にスズめっき層を形成することもできる。ニッケルや銅はアルミニウム、スズの双方と合金化するため、アルミニウム系母材とスズめっき層の間の密着性を高めるのに寄与する。
例えば、特許文献1には、アルミニウム系材料よりなる母材の表面に亜鉛層、銅めっき層を形成し、さらに最表面にスズめっき層を順に形成したコネクタ端子が開示されている。また、アルミニウム系材料よりなる母材の表面に亜鉛層、ニッケルめっき層、銅めっき層を順に形成し、最表面にスズめっき層を形成したコネクタ端子も同時に開示されている。
図7(a)〜(c)に、ジンケート処理したアルミニウム母材の表面にスズめっき層を形成した試料片についての、収束イオンビーム−走査イオン顕微鏡(FIB−SIM)像を示す。図7(b)及び(c)の断面像に見られるように、アルミニウム母材とスズめっき層の界面に粗大な粒状構造や空洞(ボイド)が形成されている。これらが、スズめっき層のアルミニウム表面への密着性を下げ、スズめっき層の剥離を促進するとともに、(a)のように表面に粗大な凹凸構造を出現させる原因となっている。なお、ジンケート処理によってアルミニウム表面に形成された亜鉛層は、スズめっき工程においてスズに置換され、残存量がFIB−SIMによる検出限界以下の厚さになっているため、観察されていない。
一方、ジンケート処理したアルミニウム母材の表面にニッケルめっき層を形成し、その上にスズめっき層を形成した試験片のFIB−SIM像が図7(d)〜(f)であるが、この場合には、ニッケルがアルミニウム母材とスズめっき層の双方に密着しており、アルミニウム−ニッケル界面、ニッケル−スズ界面とも、非常に平滑な構造を有し、粒状構造や空洞は観察されない。スズめっき層表面の平滑性も高い。
特開2010−272414号公報
アルミニウム系母材の表面にジンケート処理を施し、その上に電解めっき法によって金属層を形成すると、亜鉛の大部分はその後の金属めっき工程において、電解めっきによってもたらされる金属元素に置換される。しかし、亜鉛の一部は、不可避的にアルミニウム系母材表面に残存してしまう。
亜鉛は、スズ、ニッケル及び銅よりも低い酸化還元電位を有する(卑な金属である)。よって、引用文献1のコネクタ端子においては、塩水雰囲気のような腐食環境に晒された時に、破断面などめっき層が露出している箇所において、亜鉛層が選択的に腐食されるという問題がある。すると、ジンケート処理されたアルミニウム表面に直接スズめっき層が形成されている場合には、図7(a)〜(c)に見られるように初期状態からスズめっき層の剥離が生じやすくなっているコネクタ端子において、腐食環境下でさらにスズめっき層の剥離が加速され、コネクタ端子の接続信頼性がますます低下してしまう。ジンケート処理されたアルミニウム表面にニッケル(又は銅)めっき層が形成され、その上にスズ層が形成されている場合にも、初期状態においては図7(d)〜(f)のように高い密着性を有していたアルミニウム−ニッケル(又は銅)界面に剥離が生じ、スズ層もそれらとともに剥離してしまうので、接続信頼性の低下が招かれる。
さらに、アルミニウム系母材とスズめっき層の間にニッケル(又は銅)めっき層が形成されている場合には、ニッケルや銅はアルミニウムに比べて非常に貴な金属であるため、アルミニウム系母材の表面にニッケルや銅が共存することで、アルミニウムの電蝕が起こり、アルミニウム系母材の腐食が発生する虞がある。
このように、亜鉛やニッケル、銅がアルミニウム系母材の表面に存在することで、腐食環境下において、それら自身及び/又はアルミニウムの腐食が促進され、コネクタ端子の接続信頼性が低下される。
腐食による接続信頼性の低下を回避するため、ジンケート処理を行うことや、ニッケルめっき層及び/又は銅めっき層を形成することなく、アルミニウム系母材の表面に直接、スズ層を形成することが望まれる。そのような試みとして、アルミニウム系母材の表面に、スズの無電解めっき層を形成することや、スパッタ法によってスズ層を形成することも可能ではある。しかしながら、これらの方法では、ある程度の厚さを有する大面積のスズ層を安定的に形成することは技術的に困難であり、生産性が低く、製造コストも大きくなる。
本発明が解決しようとする課題は、アルミニウム又はアルミニウム合金よりなる母材の最表面にスズ層が形成されたコネクタ端子において、初期状態においても、腐食環境下での使用時においても、低く安定した接触抵抗を有することにより、高い接続信頼性を有し、かつ、高い生産性と低い製造コストが達成されたコネクタ端子を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかるコネクタ端子は、スズ層がアルミニウム又はアルミニウム合金よりなる母材の表面に接合され、最表面に露出したクラッド材よりなることを要旨とする。
ここで、他の導電部材と電気的に接触する接点部を含む前記母材の表面の少なくとも一部を被覆してスズ層が形成されていることが好適である。
さらに、前記コネクタ端子は、前記スズ層が縞状に形成されたクラッド材よりなるとよい。
あるいは、前記母材の表面全体がスズ層に覆われていることが好適である。
上記発明にかかるコネクタ端子によると、表面酸化物が存在する状態でも異種金属同士が高い密着性をもって接合されたクラッド材を使用することにより、絶縁性の酸化物被膜に覆われ、電解めっき法によっては金属被膜を形成することができないアルミニウム又はアルミニウム合金よりなる母材の表面に、良好な電気的接触を提供するスズ層を形成することが可能となっている。また、クラッド材を形成する際の圧延工程で、アルミニウム又はアルミニウム合金よりなる母材の表面を被覆する硬く厚い絶縁性の酸化物被膜が破断されるので、母材金属とスズ層との間に良好な導通が実現される。これらの効果により、コネクタ端子に高い接続信頼性が付与される。
さらに、アルミニウム又はアルミニウム合金よりなる母材の表面に直接スズ層が接合され、それらの間に、亜鉛、ニッケル、銅のような、それ自体の腐食やアルミニウムの電蝕を起こすような金属層が存在しないので、腐食環境に晒された場合にも、スズ層の剥離や、母材の腐食の発生が防止される。このように、上記発明にかかるコネクタ端子は、高い耐食性を有し、腐食環境下においても、高い接続信頼性が維持される。
加えて、クラッド材は、積層した金属材の圧延によって製造されるので、大面積の金属層を形成する際の生産性が非常に高い。また、圧延装置等の製造装置さえ整備されていれば、製造コストも低く抑えられる。
ここで、コネクタ端子において、接続信頼性の向上が必要な接点部がスズ層に覆われていれば十分なので、接点部を含む母材の表面の少なくとも一部を被覆してスズ層が形成された構成とすることで、接続信頼性の効果を得つつ、スズ材料の使用量を低減することができ、コスト削減の効果に優れる。また、スズ層に覆われない箇所の母材表面に、他の表面処理を施すことができるという点においても有利である。クラッド材においては、積層する材料の形状及び配置を調整したうえで圧延して製造することで、このように必要な箇所にのみ積層構造を作成することが、めっき等と比較して容易に行える。
さらに、スズ層がクラッド材において縞状に形成されている場合には、圧延工程を経て製造され、圧延面内に異方性を生じやすいクラッド材の特性と合致するため、製造コストをさらに削減することができる。
母材の表面全体がスズ層に覆われている場合には、端子接点部がどのような箇所に形成される場合にも、確実にその接点部の最表面にスズ層が形成され、スズ層による接続信頼性向上の効果が享受される。
本発明にかかるコネクタ端子を構成するクラッド材を示す模式図であり、(a)は断面図、(b)はオーバーレイ構造の斜視図、(c)はストライプ構造の斜視図である。 本発明にかかるコネクタ端子の一例を示す断面図である。 オーバーレイ構造のクラッド材の断面を観察したSEM像である。(b)は(a)中の表示箇所の拡大観察像である。 クラッド材を用いて形成した接点部における接触荷重−接触抵抗特性を示す図であり、(a)はオーバーレイ構造、(b)はストライプ構造の測定結果を示している。 アルミニウム−アルミニウム接点部における接触荷重−接触抵抗特性を示す図である。挿入図は、表示軸を変更して示したものである。 従来一般のアルミニウム系材料を母材とするコネクタ端子における積層構造を示す断面図である。 (a)〜(c)はジンケート処理したアルミニウム母材にスズめっき層を形成した試験片のFIB−SIM像であり、(d)〜(f)はジンケート処理したアルミニウム母材にニッケルめっき層、スズめっき層を順に形成した試験片のFIB−SIM像である。(a)及び(d)は表面観察像であり、(b)、(c)、(e)、(f)は断面観察像である。(c)、(f)はそれぞれ(b)、(e)中の表示箇所の拡大観察像である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
本発明にかかるコネクタ端子は、図1(a)に示すように、アルミニウム又はアルミニウム合金よりなる母材12の表面に接触して、スズ層11が形成されたクラッド材1よりなる。クラッド材は、異種金属を積層し、圧延、熱処理等の工程を施すことで、異種金属層が接合されたものである。
母材12がアルミニウム又はアルミニウム合金より形成されているため、コネクタ端子をアルミニウム又はアルミニウム合金よりなる電線導体に接続した際にも、それらの界面で腐食が発生しにくい。
スズ層11は、端子接点部において、別の導電部材との良好な電気的接触を確保する機能を果たす。スズ層11の最表面には比較的硬いスズ酸化膜が形成されるが、荷重を印加することで容易に破壊され、軟らかい金属スズが露出して相手方導電部材と密着する。金属スズは、低い接触抵抗を安定して示すので、スズ層11の表面は、高い電気的接続信頼性を示す。接続信頼性向上の効果を十分に得るため、スズ層11は1μm以上の厚さを有していることが望ましい。
スズ層11は、図1(b)のように、母材12の全表面を被覆して形成されても(オーバーレイ構造)、図1(c)のように、母材12の表面の一部のみを被覆して形成されてもよい。スズ層11を母材12の表面の一部を覆って形成する場合には、接点部となる箇所にスズ層11を含むようにスズ層11を形成することが望ましい。上記のように、スズ層11が最表面に露出していることで、接点部が高い接続信頼性を獲得するからである。また、スズ層11を母材12の表面の一部に形成する場合に、図1(c)のように、母材12の表面に縞状にスズ層11が形成された構造(ストライプ構造)とすることが好ましい。クラッド材は、積層した金属材料をロール等の圧延手段を用いて圧延することによって形成され、圧延面内に異方性を生じやすく、ストライプ構造のような異方性の高い構造を形成するのに特に適しているからである。
通常、アルミニウムやアルミニウム合金の表面には、非常に硬く厚い絶縁性の酸化物被膜が形成されている。しかし、これらの酸化物被膜は、下層の金属アルミニウムとは異なり、高い延性を有さないため、クラッド材の形成工程においてアルミニウム材の表面積が圧延に従って拡大された際に、伸張することができない表面酸化物被膜が破断し、金属アルミニウム(及び添加金属)よりなる新生面が露出する。この露出されたアルミニウム又はアルミニウム合金の金属面と、同様に圧延によって露出されたスズの金属面との間で、金属結合が形成され、母材12とスズ層11の間の接合が達成される。その結果、母材12との間に導通が形成された状態でスズ層11が母材12に接合されたクラッド材1が得られる。
また、クラッド法によってスズ層11を母材12の表面に形成することで、電解めっき等によってスズ層を形成する場合とは異なり、母材表面に電場を形成する必要がないので、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面に酸化物が形成されていることは、スズ層形成のための障害とならない。よって、アルミニウム系材料の表面にあらかじめジンケート処理しておくようなことは必要でない。
さらに、クラッド材は、異種金属材料の界面で、金属原子がファンデルワールス半径以下の距離に近づくまで圧延されて金属結合を形成することにより、異種金属間に強固な接合が達成されることを原理として形成されるものである。従って、母材12とスズ層11の間に、両者の密着性を高めることを目的として、例えばニッケルや銅のような別の金属よりなる層を形成する必要がない。このような層が存在しなくても、母材12とスズ層11の間に、強固に密着した平坦な界面が実現される。
このように、本実施形態にかかるクラッド材1においては、アルミニウム又はアルミニウム合金よりなる母材12とスズ層11の間に、亜鉛、ニッケル、銅等の別の金属よりなる層が存在しない。よって、それらの金属層自体が腐食することで、その上に形成されたスズ層の剥離が発生したり、それらの金属とスズ及び/又はアルミニウムとの間の酸化還元電位の差による電蝕が発生したりという事態が起こりえず、高い耐食性が発揮される。つまり、クラッド材1より形成されたコネクタ端子においては、スズ層11が金属面が露出した母材12の表面に密着して形成されていることで、初期状態において高い接続信頼性が発揮されるとともに、腐食環境下で使用された場合にも、スズ層11が母材12表面に密着した状態が保持されるので、その高い接続信頼性が維持される。
本発明にかかるコネクタ端子は、クラッド材1を使用して、任意の形状に形成することができる。一例として、メス型コネクタ端子2の構成を図2に示す。メス型コネクタ端子2は、公知のメス型コネクタ端子と同様の形状を有する。すなわち、メス型コネクタ端子2の挟圧部23は、前方が開口した四角筒状に形成され、挟圧部23内に相手方接続部材であるオス型端子29が挿入される。挟圧部23の底面の内側には、内側後方へ折り返された形状の弾性接触片21が形成されている。弾性接触片21はオス型端子29とエンボス状の接点部21aにおいて接触し、オス型端子29に上向きの力を加える。弾性接触片12と相対する挟圧部23の天井部の表面が内部対向接触面22とされ、オス型端子29が弾性接触片21によって内部対向接触面22に押し付けられることにより、オス型端子29が挟圧部23内において挟圧保持される。
コネクタ端子2は、アルミニウム又はアルミニウム合金を母材12として形成されている。このうち、弾性接触片21と内部対向接触面22の挟圧部23の内側に露出される表面に、スズ層11がクラッド法によって形成されている。スズ層11の存在により、弾性接触片21及び内部対向接触面22と、オス型端子29との接点部において、高い接続安定性が実現されている。ここで、スズ層11は、弾性接触片21の表面全体に形成されていなくても、弾性接触片21のうち、接点部21aにのみ形成されていれば、十分である。逆に、さらに広い領域にわたってスズ層11が形成されていてもよく、コネクタ端子2を構成する母材12の表面全体を被覆していてもよい。また、オス型端子29もアルミニウム又はアルミニウム合金を母材として形成されるものである場合、その最表面にも、クラッド法によってスズ層が形成されていれば、両端子の接点部において、良好な電気的接続が形成される。
コネクタ端子を製造するには、クラッド材1を所望のコネクタ端子の展開形状に打ち抜き、プレス加工等を行って、コネクタ端子の形状に成形すればよい。クラッド材1が図1(b)のようにオーバーレイ構造を使用する場合には、コネクタ端子の展開形状を打ち抜く位置を特に規定する必要はないが、図1(c)のストライプ構造のように、母材12の表面の一部にのみスズ層11が形成されている場合には、コネクタ端子の接点部となる位置にスズ層11が配置されるように打ち抜きを行えばよい。
クラッド材1において、スズ層11及び母材12の厚さは、使用するスズ材及び母材用材料の厚さ及び/又は圧延率を調整することで適宜規定することができる。また、図1(c)のストライプ構造のように、母材12表面の一部にのみスズ層11を形成する場合には、スズ材料の形状及び配置を規定して、圧延を行えばよい。
クラッド材は金属材料を大面積に圧延して形成されるものであるので、一度に大面積のクラッド材を形成することができ、生産性に優れる。また、一般にクラッド材は、圧延ロール等の製造手段を一旦構築すれば、低い製造コストで製造することができる。また、ストライプ構造のように母材12表面の必要な箇所にのみスズ層11を形成する構成とすれば、材料コストの削減により、さらに製造コストを低減することが可能である。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
[実施例]
アルミニウム母材の表面にスズ層を有するクラッド材を作成した。クラッド材は幅30mm、長さ100mm、厚さ0.25〜0.26mmの寸法とした。また、アルミニウム母材の全表面がスズ層に被覆されたオーバーレイ構造を有するクラッド材と、幅方向の中央の10mmの領域にのみスズ層を形成したストライプ構造を有するクラッド材の2種類を作成した。スズ層の厚さは、オーバーレイ構造のクラッド材については9μm、ストライプ構造のクラッド材については6μmとした。
[試験方法]
(クラッド材の構造評価)
走査電子顕微鏡(SEM)を用いて、実施例にかかるクラッド材の構造を評価した。クラッド材の断面試料を準備し、積層構造をSEMによって観察した。
(硬さの評価)
実施例にかかるクラッド材について、ビッカース硬度計を用いて、表面のスズ部のビッカース硬さを計測した。
(接触荷重−接触抵抗特性の評価)
実施例にかかるクラッド材について、接触抵抗を四端子法によって測定した。まず、平板状のクラッド材と、曲率半径3mmのエンボス状の接点部を形成したクラッド材の組よりなるモデル接点部を作製した。平板状クラッド材を水平に保持し、鉛直方向からエンボス状接点部の頂部を接触させ、水平方向に摺動させることなく、鉛直方向から接触荷重を印加した。この際、0〜40Nの荷重を増加させる方向及び減少させる方向に往復で印加した。また、接触抵抗測定における開放電圧は20mV、通電電流は10mAとした。
[試験結果及び考察]
(クラッド材の構造評価)
図3にオーバーレイ構造を有するクラッド材の断面SEM像を示す。これを見ると、スズ層とアルミニウム母材との間に、平滑な界面が形成されていることが分かる。界面には、粒状の析出物や空洞(ボイド)等の微構造も形成されておらず、スズ層がアルミニウム母材表面に対して高い密着性を有している。また、アルミニウム母材の表面には、少なくともSEMの空間分解能の範囲では、酸化物被膜は観察されていない。なお、図3(b)の拡大図において、スズ層の内部に見られるひび割れ状の構造は、SEM観察用の断面試料を切り出す際に形成されたものであると考えられる。
ストライプ構造を有するクラッド材についても、ほぼ同様の像が得られ、アルミニウム母材とスズ層の間に平滑な界面が形成され、高い密着性が達成されていることが確認された。
(硬さの評価)
表1に、3つの独立に形成したオーバーレイ構造を有するクラッド材について測定したビッカース硬さを、それらについて測定した各層の厚さ及び総板厚とともに示す。また、ストライプ構造を有するクラッド材について同様の測定を行った結果を表2に示す。
まず、オーバーレイ構造、ストライプ構造ともに、3つの試料の間で、スズ層、アルミニウム層、総板厚がそれぞれよく揃っている。つまり、クラッド材が高い再現性を有して形成されていることが確認された。
このように、各層の厚さが均一に形成されていることの結果として、3つの試料の間で硬さもよい一致を示している。このことは、コネクタ端子を形成する材料の信頼性という意味において重要である。また、オーバーレイ構造を有するクラッド材、ストライプ構造を有するクラッド材ともに、44.7というビッカース硬さが得られている。アルミニウム系コネクタ端子の接点部には、ビッカース硬さがおおむね80以下であることが要求されるが、得られたクラッド材の表面スズ部の硬さは、これを満足するものである。
(接触荷重−接触抵抗特性の評価)
図4(a)に、独立に形成した5つのオーバーレイ構造を有するクラッド材試料について測定した接触荷重−接触抵抗特性のうち、代表的な3つの試料についての結果を示す。また、図4(b)に、ストライプ構造を有するクラッド材についての同様の測定結果を示す。
これらを見ると、特に低接触荷重領域で接触抵抗のばらつきはあるものの、図5に示したアルミニウム−アルミニウム接点部に対する測定結果と比較して、そのばらつきはかなり小さい。接触荷重10N以上の領域において、接触抵抗のばらつきはたかだか5倍以内である。特に、接触荷重40N付近の高荷重領域では、接触抵抗は試料相互間でよい一致を示している。
また、接触抵抗の絶対値も、アルミニウム−アルミニウム接点部の場合よりも顕著に低減されており、アルミニウム−アルミニウム接点部においては、40Nの接触荷重を与えても接触抵抗値が10mΩ以下となることがなかったのに対し、本実施例にかかるクラッド材においては、40Nの接触荷重において、1mΩ未満の接触抵抗が達成されており、接触抵抗が10分の1以下にまで低減されている。この接触抵抗値は、自動車用のアルミニウム系コネクタ端子の接触抵抗として、十分に小さいものである。
このように、アルミニウム母材の表面にスズ層が形成されたクラッド材を使用することで、小さく安定した接触抵抗が観測された。つまり、コネクタ端子として、高い接続信頼性を発揮することができる。これは、低い接触抵抗値を安定して与えるスズよりなる層が、図3に見られるように高い密着性を有してアルミニウム表面に接合されていることに起因するものである。また、表1及び表2に示されるように、クラッド材がとりわけスズ層の厚さにおいて再現性良く形成されることも、接触抵抗の安定性を実現することに寄与している。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 クラッド材
11 スズ層
12 母材
2 メス型コネクタ端子
21 弾性接触片
21a 接点部
22 内部対向接触面

Claims (4)

  1. スズ層がアルミニウム又はアルミニウム合金よりなる母材の表面に接合され、最表面に露出したクラッド材よりなることを特徴とするコネクタ端子。
  2. 他の導電部材と電気的に接触する接点部を含む前記母材の表面の少なくとも一部を被覆してスズ層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ端子。
  3. 前記スズ層が縞状に形成されたクラッド材よりなることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ端子。
  4. 前記母材の表面全体がスズ層に覆われていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ端子。
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