JP2018070909A - 電気接点、コネクタ端子対、およびコネクタ対 - Google Patents

電気接点、コネクタ端子対、およびコネクタ対 Download PDF

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Abstract

【課題】摺動を経ても、低摩擦係数と低接触抵抗を両立することができる電気接点、およびそのような電気接点を備えたコネクタ端子対、コネクタ対を提供すること。【解決手段】相互に電気的接触を形成可能な第一の接点10と第二の接点20とよりなる電気接点において、第一の接点10は、スズとパラジウムを含む合金よりなる合金部14aと、スズまたは合金部14aよりもパラジウムに対するスズの割合が高い合金よりなるスズ部14bと、を有し、合金部14aとスズ部14bとがともに最表面に露出した合金含有層14を備え、第二の接点20は、最表面に、合金含有層14よりも高い硬度を有し、スズおよびパラジウムをいずれも含まない金属よりなる異種金属層22を備えている電気接点とする。また、そのような電気接点を備えるコネクタ端子対およびコネクタ対とする。【選択図】図1

Description

本発明は、電気接点、コネクタ端子対、およびコネクタ対に関し、さらに詳しくは、相互に電気的に接触する一対の接点の一方の表面に、パラジウムを含有する合金含有層を有する電気接点、そして、そのような電気接点を有するコネクタ端子対およびコネクタ対に関する。
自動車の電気部品等を接続するコネクタ端子の接点部においては、低い接触抵抗を示すことが求められる。一般に、コネクタ端子の表面には、スズめっき層が形成されることが多い。スズめっき層は、非常に低い接触抵抗を与え、良好な電気接続を形成することができる。しかし、スズは、非常に軟らかく、また凝着を起こしやすい性質を有するため、スズめっきを施したコネクタ端子の接点部においては、摩擦係数が高くなってしまい、コネクタ端子を挿入により嵌合させる際に要する挿入力が大きくなってしまう。特に近年、自動運転技術等により、自動車の電子制御が複雑になってきており、1つのコネクタを構成する端子の数も増加する傾向にある。コネクタを構成する端子の数が増加するのに伴って、コネクタ全体としての挿入力が大きくなるので、各端子において、挿入力を低減することの重要性が増している。
低摩擦係数による低挿入力化を低接触抵抗と両立することを図ったコネクタ端子が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1においては、表面粗化処理を行った銅板材に表面めっき層として銅−スズ合金被覆層とスズ被覆層がこの順に形成され、相手側部品との接触側最表面に銅−スズ合金被覆層とスズ被覆層が所定のパターンをなして混在した嵌合型接続部品が開示されている。ここでは、スズ被覆層が低接触抵抗化に寄与し、銅−スズ合金被覆層が低摩擦係数化による端子挿入力低減に寄与する。
特開2011−202266号公報
上記特許文献1に記載されるように、低接触抵抗を与えるスズと、銅−スズ合金のように、高い硬度を有することで低摩擦係数を与える他種金属とが、コネクタ端子の接点部最表面に混在して露出されることで、接点部において、低接触抵抗化による接続信頼性の向上と低摩擦係数化による挿入力低減を、ある程度の水準において両立することが可能である。特許文献1においては、摩擦係数を評価するに際し、相互に電気的に接触する一対の接点の一方の表面に、上記のようなスズと銅−スズ合金とが混在して露出した被覆層を形成し、他方の接点としては、銅とスズをめっき加工してリフロー処理した材料を用いている。そして、両者の間で摺動を行っている。この場合に、両方の接点の最表面に露出したスズ同士が、相互に接触する部位が生じる。上記のように、スズは凝着しやすい性質を有しており、接点間で相互に接触したスズが凝着を起こすことで、接点間の摩擦係数が高くなってしまう可能性がある。特に、実際のコネクタ端子においては、一対の接点を相互に摺動させながらコネクタ端子の挿入、嵌合を行うので、その摺動の過程でスズ同士の間での凝着が進行することにより、ますます接点間の摩擦係数が上昇してしまう。
本発明が解決しようとする課題は、摺動を経ても、低摩擦係数と低接触抵抗を両立することができる電気接点、およびそのような電気接点を備えたコネクタ端子対、コネクタ対を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかる電気接点は、相互に電気的接触を形成可能な第一の接点と第二の接点とよりなる電気接点において、前記第一の接点は、スズとパラジウムを含む合金よりなる合金部と、スズまたは前記合金部よりもパラジウムに対するスズの割合が高い合金よりなるスズ部と、を有し、前記合金部と前記スズ部とがともに最表面に露出した合金含有層を備え、前記第二の接点は、最表面に、前記合金含有層よりも高い硬度を有し、スズおよびパラジウムをいずれも含まない金属よりなる異種金属層を備えているものである。
ここで、前記異種金属層は、ニッケルまたはニッケル合金よりなるとよい。
また、前記合金含有層において、前記合金部が前記スズ部の中に分散しているとよい。前記合金含有層中において、スズとパラジウムの合計量に対するパラジウムの含有量が、7原子%以下であるとよい。前記合金含有層全体に占める前記合金部の体積比率が、1.0体積%以上、95体積%以下であるとよい。前記第一の接点の最表面に占める前記合金部の面積比率が、1.0%以上、95%以下であるとよい。
前記第一の接点および第二の接点の一方は、表面側に膨出した形状を有する膨出状接点であり、他方は、板形状を有し、前記膨出状接点の頂部と電気的に接触する板状接点であるとよい。
本発明にかかるコネクタ端子対は、接点部において相互に電気的に接触する一対のコネクタ端子よりなり、前記接点部は、上記のような電気接点を有するものである。
本発明にかかるコネクタ対は、上記のような端子対を有するものである。
上記発明にかかる電気接点においては、第一の接点の表面に、スズとパラジウムを含む合金よりなる合金部とスズ部とがともに最表面に露出した合金含有層が形成されている。そのため、第一の接点の表面において、高硬度の合金部による摩擦係数低減の効果と、スズ部による接触抵抗低減の効果が同時に得られる。そして、第二の接点の表面に、第一の接点の合金含有層よりも硬度が高い金属層である異種金属層が形成されていることにより、合金含有層との接触箇所、中でも合金部との接触箇所において、とりわけ高い摩擦係数低減効果が得られる。また、この硬度の高い金属層が、第一の接点の合金含有層を形成する金属であるスズおよびパラジウムを含まない異種金属層であることにより、特にスズをはじめとして、同種の金属材料の間で起こりやすい傾向がある凝着が、第一の接点と第二の接点の間において起こりにくくなっている。これにより、特に高い摩擦係数低減の効果が得られる。第一の接点と第二の接点の間の摺動を経ても、同種金属間の凝着が進行するような現象が起こる訳ではないので、低い摩擦係数が維持される。
ここで、異種金属層が、ニッケルまたはニッケル合金よりなる場合には、ニッケルおよびニッケル合金が高い硬度を有することにより、第一の接点と第二の接点の間の摩擦係数を低く抑えやすい。ニッケルおよびニッケル合金の表面には、剥離しにくい酸化膜が形成されるが、第一の接点の最表面に露出された合金部が高い硬度を有することにより、摺動時に、その酸化膜を剥離することができる。そのため、第一の接点と第二の接点の間で、接触抵抗の小さい良好な電気的接触を形成しやすい。
また、合金含有層において、合金部がスズ部の中に分散している場合には、合金含有層全体としてパラジウムの含有量が少なくても、第一の接点と第二の接点の間の接触部の領域内において、合金部とスズ部の両方を第一の接点の最表面に露出させ、かつ、それら両方を第二の接点の異種金属層と接触させやすい。
合金含有層中において、スズとパラジウムの合計量に対するパラジウムの含有量が、7原子%以下である場合には、パラジウムの含有量を低く抑えながら、第一の接点の最表面への合金部の露出によってもたらされる摩擦係数低減の効果を利用しやすい。
合金含有層全体に占める合金部の体積比率が、1.0体積%以上、95体積%以下である場合、また、第一の接点の最表面に占める合金部の面積比率が、1.0%以上、95%以下である場合には、合金部による摩擦係数低減の効果と、スズ部による接触抵抗低減の効果とを両立しやすい。
第一の接点および第二の接点の一方が、表面側に膨出した形状を有する膨出状接点であり、他方が、板形状を有し、膨出状接点の頂部と電気的に接触する板状接点である場合には、膨出状接点の頂部と板状接点の間に形成される小面積の接触部において、低摩擦係数と低接触抵抗を両立し、汎用的な嵌合型のコネクタ端子等において、高接続信頼性と低挿入力を両立することができる。
上記発明にかかるコネクタ端子対は、接点部に上記のような特定の金属層を表面に有する第一の接点と第二の接点よりなる電気接点を有することにより、接点部において、スズをはじめとする同種金属間での凝着を避けて、低接触抵抗と低摩擦係数を両立することができる。これにより、コネクタ端子において、高い接続信頼性と低い挿入力を両立することができる。
上記発明にかかるコネクタ対は、上記のようなコネクタ端子対を有することにより、各コネクタ端子対の接点部において、スズをはじめとする同種金属間での凝着を避けて、低接触抵抗と低摩擦係数を両立することができる。これにより、コネクタ対を構成するコネクタ端子対の数が多くなっても、高い接続信頼性を確保しながら、挿入力の増大を抑制することができる。
本発明の一実施形態にかかる電気接点を構成する2種の材料における層構成を模式的に示す断面図であり、(a)は第一の接点における合金含有層が露出した構造、(b)は第二の接点における異種金属層が露出した構造を示している。 本発明の一実施形態にかかるコネクタ端子対を模式的に示す断面図である。 実施例1および比較例1,2について、摩擦係数の測定結果を示す図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
[電気接点]
本発明の一実施形態にかかる電気接点は、第一の接点10と第二の接点20の対よりなっている。第一の接点10と第二の接点20は、それぞれの表面において、相互に電気的に接触することができる。
第一の接点10および第二の接点20は、どのような形状を有していてもよいが、一例として、それらのうち一方を、エンボス状等、膨出形状を有する膨出状接点として構成することができる。そして、他方を、平板状等、板状接点として構成することができる。この場合に、膨出状接点は、膨出形状の頂部において、板状接点の表面と電気的に接触する。このような接点の組み合わせは、後に図2に基づいて説明するようなオス−メス型の嵌合端子においてしばしば用いられる。第一の接点10と第二の接点20のいずれを膨出状接点とし、いずれを板状接点とするかは、任意に選択すればよいが、以下では、第一の接点10を膨出状接点とし、第二の接点20を板状接点とする場合を例として説明を行う。
図1(a)に示すように、第一の接点10の最表面には、スズ−パラジウム合金部(以下、単に合金部と称する場合がある)14aとスズ部14bとからなるスズ−パラジウム合金含有層(以下、単に合金含有層と称する場合がある)14が露出している。そして、図1(b)に示すように、第二の接点20の最表面には、異種金属層22が露出している。第一の接点10と第二の接点20は、それぞれの合金含有層14と異種金属層22の表面で、相互に接触する。第一の接点10においては、第二の接点20と実際に接触する領域である実接触面の中で、合金部14aとスズ部14bの両方が最表面に露出している。以下、第一の接点10および第二の接点20を構成する材料の詳細について、順に説明する。
(第一の接点の材料構成)
図1(a)に示すように、第一の接点10においては、母材11の表面に、適宜、下地層12を挟んで、合金含有層14が形成されている。
母材11は、第一の接点10の基材となるものであり、例えば、銅、アルミニウム、鉄、あるいはそれらを主成分とする合金よりなっている。これらのうち、高い導電性を有し、接続端子の母材として汎用されている銅または銅合金が、特に好適である。
合金含有層14は、スズとパラジウムを主成分とする合金よりなる合金部14aと、純スズまたは合金部14aにおけるよりもスズの割合が高い合金よりなるスズ部14bとから構成される。合金部14aとスズ部14bは、ともに合金含有層14の最表面に露出している。合金含有層14において、合金部14aとスズ部14bは、ともに最表面に露出していれば、どのようなパターンをとって分布してもよいが、スズ部14bの中に、合金部14aが分散していること、つまり、合金部14aがスズ部14bの中に粒状に偏析し、海島状に分散していることが好ましい。
上記のように、第一の接点10の合金含有層14は、最表面において、第二の接点20の最表面の異種金属層22と、合金部14aとスズ部14bの両方で接触する。この際、合金含有層14において、高い硬度を有する合金部14aが、異種金属層22との間の摩擦係数を下げる役割を果たす。一方、軟らかく、高い導電性を有するスズ部14bが、異種金属層22との間の接触抵抗を下げる役割を果たす。
合金部14aは、スズとパラジウムを含む金属間化合物(スズ−パラジウム系合金)よりなっている。金属間化合物は、スズとパラジウムのみよりなる二元合金であっても、スズとパラジウム以外に、他の金属を含む多元合金であってもよい。二元合金の場合には、金属間化合物は、PdSnなる組成をとる。多元合金を構成するスズ、パラジウム以外の金属元素としては、母材11および/または下地層12に含まれる金属元素を挙げることができる。下地層12がニッケルまたはニッケル合金よりなる場合には、(Ni0.4Pd0.6)Snなる組成の三元合金が形成されやすい。なお、金属間化合物が二元合金である場合にも多元合金である場合にも、合金部14aには、その金属間化合物に加えて、母材11および/または下地層12を構成する金属元素、不可避的不純物、合金に取り込まれていないパラジウムの相などが、少量含まれていてもよい。
下地層12は、ニッケルまたはニッケル合金より構成することが好ましい。ニッケルまたはニッケル合金よりなる下地層12は、母材11に対する合金含有層14の密着性を高めるとともに、母材11から合金含有層14への金属原子の拡散を抑制する役割を果たす。ニッケル下地層12のうち、合金含有層14側の一部は、合金含有層14の形成工程での加熱によって、ニッケル−スズ合金層13となっていてもよい。ニッケル−スズ合金層13は、NiSnなる組成を有する。下地層12の残りの部分は、スズと合金化しないニッケルまたはニッケル合金のままの状態にある。ニッケル−スズ合金層13が形成されることにより、母材11から合金含有層14への金属原子の拡散が高温でも強固に阻止されるようになり、高温で母材11から最表面へと金属原子が拡散し、酸化を受けることで最表面において接触抵抗が上昇するのが抑制される。合金部14aの粒子の下地層12側の一部の領域は、ニッケル−スズ合金層13の内部に嵌入した状態となっており、周囲をニッケル−スズ合金に囲まれている。
摩擦係数低減の効果を十分に発揮する観点から、合金含有層14全体、つまり合金部14aおよびスズ部14bを合わせた合金含有層14全体として、スズとパラジウムの合計に対するパラジウムの含有量(Pd/(Sn+Pd)×100%)が、1原子%以上、特に2原子%以上、さらには4原子%以上であることが好ましい。一方、上記のように、スズとパラジウムの間の二元合金の安定な組成はPdSnであり、合金部14aがスズ部14bと共存した状態を安定に形成する観点から、パラジウムの含有量が20原子%未満であることが好ましい。合金部14aを多元合金より構成する場合には、その多元合金の組成を考慮して、全てのスズが合金部14aとならずに、スズ部14bとして共存するように、パラジウムの含有量の上限を定めるとなお良い。さらに、スズ部14bを十分に確保し、スズ部14bによる接触抵抗の低減を効果的に達成する観点から、パラジウムの含有量を7原子%以下とすることが、特に好ましい。
また、摩擦係数を効果的に低減するために、合金含有層14全体に占める合金部14aの体積比率が、1.0体積%以上、さらに好ましくは、50体積%以上であるとよい。一方、スズ部14bの割合を確保し、接触抵抗低減の効果を十分に得る観点から、合金部14aの体積比率は、95体積%以下であるとよい。なお、合金含有層14全体に占める合金部14aの体積比率は、(合金含有層14中で合金部14aの占める体積)/(合金含有層14全体の体積)×100%として算出される。
同様に、摩擦係数を効果的に低減するために、合金含有層14の最表面に占める合金部14aの面積比率(露出面積率)が、1.0%以上、さらに好ましくは20%以上であるとよい。一方、スズ部14bの割合を確保し、接触抵抗低減の効果を十分に得る観点から、最表面に占める合金部14aの面積比率は、95%以下であるとよい。なお、合金含有層14の最表面に占める合金部14aの面積比率は、(表面に露出する合金部14aの面積)/(合金含有層14の表面全体の面積)×100%として算出される。
表面の摩擦係数の低減と接触抵抗の低減の両立という合金含有層14の有する特性を十分に発揮させる観点から、合金含有層14全体の厚さは、0.8μm以上であることが好ましい。
合金含有層14の表面の硬度は、概ね、50〜200Hvの範囲にある。ここで、合金含有層14の硬度は、第一の接点10が第二の接点20と実際に接触する実接触面の領域全体において計測される硬度、つまり共存して露出した合金部14aとスズ部14bの両方を含んだ表面に対して計測される硬度である。なお、スズ部14bのみの硬度は、10〜50Hv程度である。
上記のように、合金含有層14においては、第一の接点10と第二の接点20が実際に接触する実接触面の中で、合金部14aとスズ部14bの両方が最表面に露出している必要がある。このため、合金含有層14の最表面において、合金部14aの粒子の、露出面における粒径は、実接触面の面積との比較において、適度な大きさであることが好ましい。その粒径が小さすぎると、スズ部14bが連続した領域のみが実接触面内に露出される可能性があり、一方で、粒径が大きすぎると、合金部14aのみが実接触面内に露出される可能性があるからである。具体的には、その粒径は、0.5μm以上であることが好ましい。また、1.5μm以下であることが好ましい。
合金含有層14は、例えば、適宜下地層12を形成した母材11の表面に、パラジウム層とスズ層をこの順に積層し、加熱によって合金形成を起こすことで、形成することができる。または、スズとパラジウムの両方を含むめっき液を使用して、共析によって合金含有層14を形成してもよい。簡便性の観点からは、パラジウム層とスズ層を積層してから合金化させる前者の方法が好適である。合金形成前のパラジウム層およびスズ層の厚さや、合金形成の際の加熱温度および加熱時間を調整することで、合金含有層14における合金部14aの体積比率や最表面での面積比率、粒径等のパラメータを制御することが可能である。例えば、パラジウム層の厚さを0.01〜0.03μmの範囲で調整する形態を例示することができる。この場合に、スズ層の厚さは、1μm程度とするとよい。
(第二の接点の材料構成)
第二の接点20においては、図1(b)に示すように、母材21の表面を被覆して、異種金属層22が最表面に露出して形成されている。
母材21は、第二の接点20の基材となるものであり、第一の接点10の母材11と同様に、どのような金属材料より構成されてもよい。銅または銅合金よりなる場合が、好適な例として挙げられる。あるいは、アルミニウムまたはアルミニウム合金、鉄または鉄合金よりなってもよい。
異種金属層22は、スズおよびパラジウムをいずれも含まない金属よりなっている。ここで、スズおよびパラジウムをいずれも含まないとは、スズおよびパラジウムを全く含有しない場合のみならず、それらの一方または両方を、不可避的不純物とみなすことができる濃度で含有する場合も包含するものとする。
異種金属層22は、第一の接点10の合金含有層14よりも高い硬度を有している。ここで、比較の対象となる合金含有層14の硬度とは、上述のように、第一の接点10が第二の接点20と実際に接触する実接触面全体に対して、つまり共存して露出した合金部14aとスズ部14bの両方を含んだ表面に対して計測される硬度である。上述のように、合金含有層14の硬度は、概ね50〜200Hvの範囲にあり、異種金属層22の硬度としては、200〜1000Hvの範囲にあることが好ましい。異種金属層22がこのような範囲の硬度を有することにより、第一の接点10の合金含有層14との間、特に合金部14aとの間における摩擦係数を十分に低くすることができる。また、第二の接点20の表面において、高硬度の酸化膜の形成による接触抵抗の上昇を避けやすくなる。
異種金属層22の具体的な組成は特に指定されるものではないが、好適な例として、ニッケルまたはニッケル合金よりなる場合を挙げることができる。例えば、ニッケルは、500〜600Hv程度の高い硬度を有する。そして、ニッケルおよびニッケル合金は、種々の金属の中で、比較的高い導電率を有する。また、表面が酸化を受けるものの、酸化の進行が表層近傍に抑えられるため、第一の接点10と第二の接点20の間で摺動を行うことにより、表面の比較的薄い酸化膜さえ剥離すれば、良好な電気的接触を形成することができる。好適なニッケル合金の組成の例としては、ニッケル−リン合金、ニッケル−ホウ素合金等を挙げることができる。
また、ニッケルまたはニッケル合金以外に、異種金属層22として用いることができる金属種として、クロムまたはクロム合金を挙げることができる。異種金属層22は、構成の簡素性の観点から、単一の金属種の層よりなることが好ましいが、複数の金属種が共存して最表面に露出するものであってもよい。ただしその場合に、最表面に露出する全金属種が、スズおよびパラジウムをいずれも含まず、合金含有層14よりも高い硬度を有するものである必要がある。
異種金属層22の厚さは、硬さによる摩擦係数の低減が効果的に達成できる厚さ以上に設定すればよい。ただし、その硬さにより、製造工程において割れ等が発生しない程度の厚さに抑えておくことが好ましい。例えば、異種金属層22がニッケルまたはニッケル合金よりなる場合に、その厚さは、0.5μm以上とすればよい。また、5μm以下に抑えておくことが好ましい。
(電気接点の特性)
以上に説明したように、本電気接点は、最表面に合金部14aとスズ部14bとを露出させた合金含有層14を有する第一の接点10と、最表面に異種金属層22を露出させた第二の接点20とからなる。そして、第一の接点10の合金部14aおよびスズ部14bの両方と、第二の接点20の異種金属層22が接触し、両接点10,20の間に導通が形成される。
第一の接点10において、高い硬度を有し、凝着を起こしにくいスズ−パラジウム系合金よりなる合金部14aが最表面に露出していることにより、第二の接点20との間に、低い摩擦係数が得られる。そして、合金部14aとともに、スズ部14bが第一の接点10の最表面に露出しているため、スズの軟らかさと導電率の高さ、表面酸化膜の破壊の容易性の各効果により、第二の接点20との間に、低い接触抵抗が得られる。
さらに、第二の接点20の最表面に、硬度の高い異種金属層22が露出していることにより、第一の接点10との間、特に合金部14aとの間で、摩擦係数を効果的に低減することができる。加えて、異種金属層22が、第一の接点10の表面に露出された合金含有層14を構成する金属元素であるスズおよびパラジウムをいずれも含有しないことにより、第一の接点10との間で摺動を受けた際に、凝着を起こしにくい。一般に、同種の金属の間では凝着が起こりやすく、特に2つの接点の間で摺動を起こした際には、そのような凝着が進行しやすいが、第二の接点20の最表面に露出する金属を、第一の接点10の最表面に露出する金属と異種のものとしておくことで、そのような同種金属間での凝着、さらにそれに起因する摩擦係数の上昇を回避しやすい。特に、軟らかいスズは同種金属間での凝着を非常に起こしやすいが、第二の接点20の異種金属層22がスズを含有しないことで、第一の接点10のスズ部14bとの間における凝着の発生、そして摺動に伴うその凝着の進行を回避しやすくなっている。接点間での同種金属の凝着の発生および進行を回避することで、摩擦係数の低減を達成することができる。
ニッケルおよびニッケル合金をはじめとして、異種金属層22が、第一の接点10の合金含有層14よりも高い硬度を有していることにより、異種金属層22の表面には、硬く、剥離を受けにくい酸化膜が形成されている場合が多い。一般に、硬質の遷移金属は酸化を受けやすく、未酸化の金属の硬度が高いほど、その金属の酸化物の硬度も高い傾向があるからである。しかし、第一の接点10の合金含有層14、特に合金部14aが比較的高い硬度を有していることにより、第一の接点10と第二の接点20の間で摺動を行った際に、異種金属層22の表面に形成された酸化膜が、第一の接点10の合金含有層14、特に合金部14aによって剥離されやすい。これにより、異種金属層22の金属面が露出し、第一の接点10との間に良好な電気的接触を形成することができる。上記でも述べたとおり、特に異種金属層22がニッケルまたはニッケル合金よりなる場合に、ごく薄い酸化膜を剥離すれば、優れた電気的接触を形成することができる。
以上のように、スズ−パラジウム系合金よりなる合金部14aとスズ部14bがともに最表面に露出した合金含有層14を有する第一の接点10と、ニッケルまたはニッケル合金等よりなる異種金属層22が最表面に露出した第二の接点20を組み合わせて電気接点を形成することで、その電気接点において、特に同種金属間における凝着の発生および摺動時の凝着の進行による摩擦係数の増大を避けて、低い摩擦係数を達成することができる。そして、同時に、低い接触抵抗を達成し、良好な電気的接触を形成することができる。電気接点における動摩擦係数が、0.30以下、さらには0.25以下であれば特に好ましい。また、接触抵抗が、1.0mΩ以下、さらには0.8mΩ以下であれば特に好ましい。
上述のように、第一の接点10および第二の接点20の形状は特に限定されるものではなく、膨出状接点と板状接点の組み合わせとする場合に、第一の接点10と第二の接点20のいずれを、膨出状接点、また板状接点としてもよい。
[コネクタ端子対]
本発明の一実施形態にかかるコネクタ端子対は、上記のような、合金部14aとスズ部14bを最表面に露出させた合金含有層14を有する第一の接点10と、異種金属層22を露出させた第二の接点20とからなる電気接点を、一対のコネクタ端子が相互に電気的に接触する接点部に有するものである。そのような電気接点を有していれば、全体としてどのような種類、形状のものであってもかまわない。一例として、本発明の一実施形態にかかるコネクタ端子対60は、嵌合型のものであり、図2に示すように、メス型コネクタ端子40とオス型コネクタ端子50の組よりなる。そして、メス型コネクタ端子40とオス型コネクタ端子50が相互に電気的に接触する接点部に、上記のような電気接点を有する。具体的には、メス型コネクタ端子40の接点部が、表面に合金含有層14が露出された第一の接点10よりなり、オス型コネクタ端子50の接点部が、表面に異種金属層22が露出された第二の接点20よりなっている。
メス型コネクタ端子40およびオス型コネクタ端子50は、公知の嵌合型のメス型コネクタ端子およびオス型コネクタ端子と同様の形状を有する。すなわち、メス型コネクタ端子40においては、前方が開口した四角筒状に挟圧部43が形成され、挟圧部43の底面の内側に、内側後方へ折り返された形状の弾性接触片41を有する。一方、オス型コネクタ端子50は、前方に、平板状に形成されたタブ51を有する。そして、メス型コネクタ端子40の挟圧部43内にオス型コネクタ端子50のタブ51が挿入されると、メス型コネクタ端子40の弾性接触片41は、挟圧部43内部側へ膨出したエンボス部41aにおいてオス型コネクタ端子50と接触し、オス型コネクタ端子50に上向きの力を加える。弾性接触片41と相対する挟圧部43の天井部の表面が内部対向接触面42とされ、オス型コネクタ端子50が弾性接触片41によって内部対向接触面42に押し付けられることにより、オス型コネクタ端子50が挟圧部43内において挟圧保持される。つまり、電気接点は、メス型コネクタ端子40のエンボス部41aおよび内部対向接触面42と、オス型コネクタ端子のタブ51の表面との間に形成される。
ここで、図2に示すように、メス型コネクタ端子40を形成する母材11のうち、少なくとも弾性接触片41のエンボス部41aと内部対向接触面42の表面に、合金含有層14(および下地層12ならびにニッケル−スズ合金層13、図略)が形成されている。そして、オス型コネクタ端子50を形成する母材21の表面のうち、少なくともタブ51のエンボス部41aおよび内部対向接触面42と接触する面に、異種金属層22が形成されている。つまり、本発明の実施形態にかかる電気接点が、メス型コネクタ端子40のエンボス部41aおよび内部対向接触面42と、オス型コネクタ端子のタブ51の表面との間に形成されている。
これにより、オス型コネクタ端子50のタブ51をメス型コネクタ端子40の挟圧部43に挿入して摺動させた際に、メス型コネクタ端子40とオス型コネクタ端子50のタブ51の間の接触部において、低接触抵抗と低摩擦係数が両立される。その結果として、コネクタ端子対60において、高い接続信頼性と、嵌合時に必要な挿入力の抑制が両立される。
なお、合金含有層14および異種金属層22は、各コネクタ端子40,50のさらに広い領域に形成されていてもよい。最も広い場合には、両コネクタ端子40,50を構成する母材11,21の表面全体をそれぞれ被覆することができる。また、コネクタ端子対はどのような種類、形状のものであってもよく、他に、プリント基板に形成されたスルーホールと、そのスルーホールに圧入接続されるプレスフィット端子の組み合わせを例示することができる。
[コネクタ対]
本発明の一実施形態にかかるコネクタ対は、上記のようなコネクタ端子対を有するものである。つまり、コネクタ対は、上記のようなコネクタ端子対を構成する各コネクタ端子がそれぞれ、絶縁性材料よりなるコネクタハウジングに収容され、固定されたものよりなる。例えば、コネクタ対を構成するコネクタハウジングの対を相互に嵌合させることにより、コネクタ端子対を相互に嵌合させることができるように構成される。コネクタ対を構成するコネクタ端子対は、1対のみであっても、複数対であってもよい。また、複数対のコネクタ端子対を設ける場合に、全てを上記のような特定の材料構成よりなる第一の接点10と第二の接点20を有するコネクタ端子対としても、一部のみそのようなコネクタ端子対としてもよい。
コネクタ対が、上記のような特定の材料構成よりなる第一の接点10と第二の接点20を有するコネクタ端子対を備えることにより、コネクタ対において、低接触抵抗による高接続信頼性と、低摩擦係数による低挿入力性が両立される。特に、コネクタ対が複数のコネクタ端子対を備える場合に、低挿入力化することの意義が大きくなる。一般に、コネクタ端子対の数が多くなるほど、コネクタ対における合計の挿入力は大きくなるが、コネクタ対を構成する各コネクタ端子対において低挿入力化が達成されることで、コネクタ対全体として、挿入力を低く抑えることが可能となるからである。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
[めっき試料の作製]
清浄な銅基板の表面に、電解めっきを行うことで、スズめっき試料、スズ/パラジウムめっき試料、ニッケルめっき試料を作製した。それぞれ、めっき層の膜厚を表1に示す。スズ/パラジウムめっき試料については、ニッケルめっき層を下地層として形成したうえで、パラジウムめっき層およびスズめっき層を、それぞれ記載の膜厚でこの順に形成した。
スズ/パラジウムめっき試料については、さらに、300℃での加熱を行うことで、スズとパラジウムの間の合金形成を行い、スズ−パラジウム合金試料とした。得られた試料の断面および表面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、スズ−パラジウム合金試料の最表面に、合金部とスズ部がともに露出していること、さらに、最表面における合金部の粒径およびスズ部が連続している領域の大きさが、電気接点を構成した際に相手方接点と接触する実接触面の面積と比較して十分に小さいことを確認した。さらに、下地層としてのニッケルめっき層の一部が、ニッケル−スズ合金を形成していることも確認した。
Figure 2018070909
[電気接点の作製]
上記で得られた各試料を用いて、膨出状接点と板状接点を作製した。膨出状接点は、各試料を曲率半径3mmのエンボス形状に加工することで形成した。また、得られた試料をそのまま切り出したものを板状接点とした。
そして、膨出状接点と板状接点を組み合わせることで、実施例1および比較例1,2にかかる電気接点を構成した。膨出状接点と板状接点の材料の組み合わせは、表2に示すとおりとした。
[試験方法]
(摩擦係数の評価)
実施例1および比較例1,2にかかる電気接点について、膨出状接点を板状接点に接触させ、5Nの接触荷重を印加した状態で、板状接点の面に沿って膨出状接点を10mm/minの速度で5mm摺動させた。この摺動中に、ロードセルを用いて、接点間に働く動摩擦力を測定した。そして、動摩擦力を荷重で割った値を(動)摩擦係数とした。
(接触抵抗の評価)
実施例1および比較例1,2にかかる電気接点について、上記の摩擦係数評価のために摺動を行った後の状態に対して、そのまま、接触抵抗の測定を行った。測定は、5Nの接触荷重を印加しながら、四端子法によって行った。この際、開放電圧を100mV、通電電流を10mAとした。
[試験結果]
図3に、摩擦係数の計測結果を摺動距離の関数として示す。また、下の表2に、各接点を構成するめっき材料の組み合わせとともに、摩擦係数および接触抵抗の測定結果を示す。摩擦係数は、ごく初期の立ち上がりの部分を除いて、全摺動距離にわたる平均値として示している。
Figure 2018070909
図3および表2から分かるように、スズ−パラジウム合金部を含む合金含有層(Sn−Pd合金)を最表面に有する材料と、ニッケル層を最表面に有する材料とを組み合わせて電気接点を構成している実施例1において、比較例1および比較例2の場合よりも、顕著に低い摩擦係数が得られている。軟らかく、凝着を起こしやすいスズよりなる層を両接点に有する比較例2においては、摩擦係数が特に高くなっており、しかも、摺動距離が長くなるに従って、摩擦係数が高くなっている。これは、両接点間のスズの凝着によるものである。比較例1においては、一方の接点に硬質のニッケル層を用いていることで、摩擦係数が比較例2の場合よりは低くなっているものの、スズ自体の軟らかさ、およびスズとニッケルとの間の凝着に起因して、依然として0.30を超える高い摩擦係数を示している。これらに対し、実施例1においては、硬度の高いスズ−パラジウム合金含有層を一方の接点に有し、さらに硬度が高く、かつスズおよびパラジウムを含有しない材料であるニッケル層を他方の接点に有することにより、両接点の硬さの効果、同種金属間の凝着現象を排除していることの効果として、非常に低い摩擦係数が得られていると解釈される。
次に、接触抵抗を比較すると、実施例1において、比較例2には劣るものの、比較例1より低い値が得られている。スズは、軟らかさ等の要因により、表面において、きわめて低い接触抵抗を与える金属であり、電気接点においてスズ同士が接触している比較例2において、最も低い接触抵抗が得られている。一方、比較例1においては、一方の接点にそのような特性を有するスズが露出されているにもかわらず、他方の接点にニッケルが露出されていることにより、接触抵抗が高くなってしまっている。これは、ニッケルの表面に硬い酸化膜が形成されており、スズ層との摺動では、この酸化膜を剥離するのが困難であることによると考えられる。これに対し、実施例1においては、ニッケル層が露出された接点と接触するもう一方の接点の最表面に、高い硬度を有するスズ−パラジウム合金含有層が形成されており、摺動時に、ニッケル表面の酸化膜を剥離することができるため、ニッケルの金属面が露出し、スズ−パラジウム合金含有層、特にスズ部との間に、良好な電気的接触を形成する。その結果、比較例1の場合よりも接触抵抗が低くなっていると解釈される。なお、0.8mΩ以下の実施例1の接触抵抗は、例えば自動車用コネクタ端子に用いるのに十分低いものであると言える。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
10 第一の接点
11 母材
12 ニッケル層
13 ニッケル−スズ合金層
14 合金含有層
14a 合金部
14b スズ部
20 第二の接点
21 母材
22 異種金属層
40 メス型コネクタ端子
41 弾性接触片
41a エンボス部
42 内部対向接触面
43 挟圧部
50 オス型コネクタ端子
51 タブ
60 端子対

Claims (9)

  1. 相互に電気的接触を形成可能な第一の接点と第二の接点とよりなる電気接点において、
    前記第一の接点は、スズとパラジウムを含む合金よりなる合金部と、スズまたは前記合金部よりもパラジウムに対するスズの割合が高い合金よりなるスズ部と、を有し、前記合金部と前記スズ部とがともに最表面に露出した合金含有層を備え、
    前記第二の接点は、最表面に、前記合金含有層よりも高い硬度を有し、スズおよびパラジウムをいずれも含まない金属よりなる異種金属層を備えていることを特徴とする電気接点。
  2. 前記異種金属層は、ニッケルまたはニッケル合金よりなることを特徴とする請求項1に記載の電気接点。
  3. 前記合金含有層において、前記合金部が前記スズ部の中に分散していることを特徴とする請求項1または2に記載の電気接点。
  4. 前記合金含有層中において、スズとパラジウムの合計量に対するパラジウムの含有量が、7原子%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電気接点。
  5. 前記合金含有層全体に占める前記合金部の体積比率が、1.0体積%以上、95体積%以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電気接点。
  6. 前記第一の接点の最表面に占める前記合金部の面積比率が、1.0%以上、95%以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電気接点。
  7. 前記第一の接点および第二の接点の一方は、表面側に膨出した形状を有する膨出状接点であり、
    他方は、板形状を有し、前記膨出状接点の頂部と電気的に接触する板状接点であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電気接点。
  8. 接点部において相互に電気的に接触する一対のコネクタ端子よりなり、
    前記接点部は、請求項1から7のいずれか1項に記載の電気接点を有することを特徴とするコネクタ端子対。
  9. 請求項8に記載の端子対を有することを特徴とするコネクタ対。
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