JP6056081B2 - コネクタ端子 - Google Patents

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Description

本発明は、コネクタ端子に関し、さらに詳しくはアルミニウムまたはアルミニウム合金を母材とするコネクタ端子に関する。
近年、自動車用配線にアルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる電線導体が用いられることが増えている。この場合、異種金属間での酸化還元電位の差異による腐食を回避するため、電線導体に接続するコネクタ端子としても、母材がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるものを使用することが望ましい。
アルミニウムおよびアルミニウム合金のようなアルミニウム系材料の表面には通常、非常に硬くて破壊されにくく、化学的にも安定な厚い酸化物被膜が形成される。よって、コネクタ端子において、相手方コネクタ端子と電気的に接触する接点部の最表面にアルミニウム系材料が露出していると、この酸化物被膜の影響で、大きな接触抵抗が発生してしまう。さらに、酸化物被膜の厚さのばらつき等に起因し、接触抵抗のばらつきも大きくなってしまう。
そこで、従来の銅または銅合金を母材とするコネクタ端子において行われてきたのと同様に、アルミニウムまたはアルミニウム合金を母材とするコネクタ端子においても、他の導電性部材と電気的に接触する接点部の表面にスズ層を形成することが考えられる。スズ層が接点部の表面に形成されたコネクタ端子においては、最表面に比較的硬い絶縁性の酸化スズ被膜が形成されるが、酸化スズ被膜は弱い力で破壊され、容易に軟らかい金属スズが露出するので、良好な電気的接触が形成される。
銅または銅合金の表面にスズ層を形成する際には、電解めっき法が汎用されている。しかし、アルミニウムは非常に低い酸化還元電位を有する金属であり、また、アルミニウムの表面は、絶縁体である硬く厚い酸化物被膜に覆われており、表面に電場が形成されにくいため、アルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に直接に電解めっき法によってスズ層を形成することは困難である。そこで、アルミニウム系母材の表面酸化物の少なくとも一部を、化学反応によって亜鉛に代表される他の金属に置換することで、アルミニウム系母材の表面に金属被膜を形成し、その上に電解めっき法を用いて金属めっき層を亜鉛との置換により形成するという方法がとられる(ジンケート処理)。
しかし、ジンケート処理を経てスズ層が形成されたアルミニウムまたはアルミニウム合金を母材とするコネクタ端子においては、亜鉛がコネクタ端子材料に不可避的に残存する。そして、亜鉛とスズとの酸化還元電位の差によって、スズ層の腐食が発生するおそれがある。
そこで、ジンケート処理を行わずにスズ層をアルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる母材の表面に形成するため、電解めっき以外の方法でスズ層を形成することが試みられている。電解めっきを用いることなくアルミニウムまたはアルミニウム合金とスズ層を接合する方法としては、特許文献1に記載されるようなクラッド圧延法が挙げられる。クラッド圧延法においては、異種金属を重ね合わせて圧延し、異種金属同士を原子レベルに接近させることにより、異種金属間に接合が形成される。アルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に酸化物被膜が存在していても、圧延時に酸化物被膜が破壊され、露出した金属面がスズと接合される。
特開2002−216787号公報
クラッド圧延法を用いれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金の表面に、他の金属層を介在させずに、直接スズ層を形成することができる。しかし、アルミニウムまたはアルミニウム合金とスズ層の間の接合界面は、高い密着性を有さない。コネクタ端子材料の表面において、母材と表面被覆層の間の密着性が低いと、コネクタ端子の電気的、機械的特性が低くなってしまう。
本発明が解決しようとする課題は、アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる母材の表面に、スズを主成分とする金属層がクラッド圧延法によって接合されたコネクタ端子において、母材表面とスズ層の間の密着性が高いネクタ端子を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかるコネクタ端子はアルミニウムまたはアルミニウム合金を母材としてなり、少なくとも他の導電部材と電気的に接触する接点部が、前記母材の表面に、アルミニウムと合金を形成する元素を含んでなるスズ合金層が接合されたクラッド材よりなることを要旨とする。
ここで、前記スズ合金層は、銅またはニッケルの少なくとも一方を含有することが好ましい。
さらに、前記スズ合金層に含まれる銅の含有量は0.1〜1質量%の範囲にあり、ニッケルの含有量は0.01〜1質量%の範囲にあるとよい。
また、前記スズ合金層は、さらにリンおよびゲルマニウムの少なくとも一方を含有することが好ましい。
そして、前記スズ合金層を構成する微結晶の平均粒径は、5μm以下であるとよい。
上記発明にかかるコネクタ端子においては、アルミニウムまたはアルミニウム合金の表面にクラッド圧延法によって接合されるスズ合金層に、アルミニウムと合金を形成する元素が含まれている。スズとアルミニウムが合金を形成しないことに起因し、純スズ層をクラッド圧延法によってアルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる母材の表面に接合した場合には、母材表面とスズ層との間の密着性が低くなってしまう。しかし、上記発明にかかるコネクタ端子においては、スズ合金層に含まれる添加元素が母材のアルミニウムとの間に合金を形成することにより、クラッド圧延法によって接合されたスズ合金層と母材の表面の間に強固な結合が形成され、スズ合金層と母材表面との間に高い密着性が得られる。
ここで、スズ合金層が、銅またはニッケルの少なくとも一方を含有する場合には、銅およびニッケルは、アルミニウムとの間に非常に合金を形成しやすく、スズ合金層が母材表面に非常に高い密着性をもって接合される。
さらに、スズ合金層に含まれる銅の含有量が0.1〜1質量%の範囲にあり、ニッケルの含有量が0.01〜1質量%の範囲にある場合には、アルミニウムとスズ合金層の間の密着性が十分に高められるとともに、ニッケルや銅の存在によってアルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる母材が腐食を受けることが防止される。
また、スズ合金層が、さらにリンおよびゲルマニウムの少なくとも一方を含有する場合には、母材表面とスズ合金層の間の密着性が一層高められる。
そして、スズ合金層を構成する微結晶の平均粒径が、5μm以下である場合には、母材表面とスズ合金層の間の密着性がさらに向上する。
本発明にかかるコネクタ端子を構成するクラッド材を示す模式断面図である。 本発明にかかるコネクタ端子の一例を示す断面図である。 クラッド材の断面を観察した走査電子顕微鏡(SEM)像であり、(a)および(b)は、スズ合金を用いた場合、(c)および(d)は純スズを用いた場合を示している。(b)および(d)は、それぞれ(a)および(c)中に長方形で表示した部位の拡大観察像である。 (a)アルミニウム合金母材にスズ合金クラッド層を形成した場合(実施例1)、および(b)銅合金母材上にスズめっき層を形成した場合(比較例2)の接触荷重−接触抵抗特性の測定結果である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
本発明の一実施形態にかかるコネクタ端子は、少なくとも他の導電部材と電気的に接触する接点部が、図1に示すように、アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる母材12の表面に接触して、スズ合金層11が形成されたクラッド材1よりなる。スズ合金層11は、主成分であるスズに加えて、アルミニウムと合金を形成する添加元素を含有するスズ合金よりなる。クラッド材は、異種金属を積層し、圧延、熱処理等の工程を施すことで、異種金属層が接合されたものである。
母材12がアルミニウムまたはアルミニウム合金より形成されているため、コネクタ端子をアルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる電線導体に接続した際にも、それらの界面で腐食が発生しにくい。
スズ合金層11は、端子接点部において、別の導電部材との良好な電気的接触を確保する機能を果たす。スズ合金層11の最表面には比較的硬いスズ酸化膜が形成されるが、荷重を印加することで容易に破壊され、軟らかいスズ合金が露出して相手方導電部材と密着する。スズ合金は、低い接触抵抗を安定して示すので、スズ合金層11の表面は、高い電気的接続信頼性を示す。接続信頼性向上の効果を十分に得るため、スズ合金層11は1μm以上の厚さを有していることが望ましい。
通常、アルミニウムやアルミニウム合金の表面には、非常に硬く厚い絶縁性の酸化物被膜が形成されている。しかし、これらの酸化物被膜は、下層の金属アルミニウムとは異なり、高い延性を有さないため、クラッド材の形成工程においてアルミニウム材の表面積が圧延に従って拡大された際に、伸張することができない表面酸化物被膜が破断し、金属アルミニウムおよび添加金属よりなる新生面が露出する。この露出されたアルミニウムまたはアルミニウム合金の金属面と、同様に圧延によって露出されたスズ合金の金属面との間で、金属結合が形成され、母材12とスズ合金層11の間の接合が達成される。その結果、母材12との間に導通が形成された状態でスズ合金層11が母材12に接合されたクラッド材1が得られる。
スズは、アルミニウムとの間に合金を形成しないので、アルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる母材12の表面にクラッド圧延法によって接合される金属層が純スズ層である場合には、その純スズ層と母材の間に、空隙が生じやすく、高い密着性が得られない。あるいは、クラッド材の形成においては、金属原子がファンデルワールス半径以下に近づく程度に圧延を行うので、圧延直後には、母材と純スズ層の間に比較的高い密着が得られるとしても、時間の経過やコネクタ端子の使用によって、母材と純スズ層の間の密着性が低下してしまう。
しかし、本クラッド材1においては、スズ合金層11が、アルミニウムと合金を形成する添加元素を含んでなる。すると、スズ合金を母材原料と積層して圧延を行った際に、その添加元素と母材12のアルミニウムの間に、合金が形成される。この合金形成により、スズ合金層11と母材12との間に、空隙がないか非常に小さい状態で、強固な接合が実現され、高い密着性が得られる。そして、時間の経過やコネクタ端子の使用を経ても、添加元素とアルミニウムの間の結合は容易には解消されないので、この高い密着性が維持される。
このように、スズ合金層11と母材12の間に、合金形成を伴う高い密着性が得られることにより、クラッド材11をコネクタ端子として使用した場合に、高い電気的特性および機械的特性が得られやすくなる。例えば、端子接点部において摺動を経ても、スズ合金層11が母材12に密着した状態が維持されるため、表面の摩擦係数が上昇したり、接触抵抗が上昇したりということが起こりにくく、長期にわたり、高い接続信頼性が維持される。
スズ合金層11に含有されるアルミニウムと合金を形成する添加元素としては、ニッケルおよび銅を例示することができる。ニッケルおよび銅は、スズおよびアルミニウムの両方と安定な合金を形成しやすいので、スズ合金層11に含まれることで、スズ合金層11と母材12表面を強固に結びつける役割を果たす。銅およびニッケルは、いずれか一方のみスズ合金層11に含まれても、両方とも含まれてもよい。また、スズ合金層11中に含まれる銅の濃度は、0.1〜1質量%の範囲にあることが好ましく、ニッケルの濃度は、0.01〜1質量%の範囲にあることが好ましい。これらの濃度範囲は、アルミニウムとの合金形成によって、スズ合金層11と母材12の間の密着性を効果的に高めるのに十分なものである。また、ニッケルや銅はアルミニウムよりも高い酸化還元電位を有する金属であるが、スズ合金層中での含有量が上記範囲に抑えられていれば、腐食環境において、母材12のアルミニウムの腐食をもたらすことが防止される。さらに、上記範囲のニッケルや銅を含有するスズ合金は、市場において一般に入手しやすく、密着性の良好なスズ合金層11を安価に形成することができる。
銅やニッケルを含有するスズ合金層11には、さらにリンおよびゲルマニウムが含まれていてもよい。これらの元素は、銅やニッケルを含有するスズ合金層11の、母材12表面への密着性を一層高めるのに効果を有する。スズ合金層11中のリンの含有量は、0〜0.1質量%であることが好ましく、ゲルマニウムの含有量は、0〜0.1質量%であることが好ましい。
なお、スズ合金層11には、スズ合金層11と母材12の間の密着性を高めるのに寄与する添加元素だけでなく、スズ合金層11に他の機能を付与する種々の添加元素が添加されてもよい。
また、スズ合金層11を構成するスズ合金の微結晶の平均粒径は、5μm以下であることが好ましい。すると、スズ合金層11と母材12の界面において、5μm以下のオーダーでスズ合金とアルミニウムまたはアルミニウム合金が密着し、合金を形成することができる。すると、界面の密着性が、ますます高くなる。平均粒径5μm以下の微結晶よりなるスズ合金層11を形成するためには、クラッド圧延を行う前のスズ合金材を、5μm以下の平均粒径を有する微結晶からなるものとしておけばよい。この程度に小さいスズ合金微結晶は、非常に高い強度を有するため、クラッド圧延時に破壊をほとんど受けず、形成されたスズ合金層11において、5μm以下の平均粒径を有する微結晶の状態が、ほとんどそのまま維持され、母材12表面との間に高い密着性を与える。上記のように、スズ合金中の添加元素として銅やニッケルを含有させておけば、これらの元素は、スズ合金の結晶組織を微細化する効果を有するため、アルミニウムとの合金形成自体の効果に加え、結晶組織の微細化の効果も通じて、スズ合金層11の母材12に対する密着性を高めることができる。
本クラッド材1において、スズ合金層11は、母材12の全表面を被覆して形成されても、母材12の表面の一部のみを被覆して形成されてもよい。スズ合金層11を母材12の表面の一部を覆って形成する場合には、コネクタ端子の接点部となる箇所にスズ合金層11を含むようにスズ合金層11を形成すればよい。すると、スズ合金層11が最表面に露出していることで、接点部が高い接続信頼性を獲得する。また、スズ合金層11を母材12の表面の一部に形成する場合に母材12の表面に縞状にスズ合金層11が形成された構造とすることが好ましい。クラッド材は、積層した金属材料をロール等の圧延手段を用いて圧延することによって形成され、圧延面内に異方性を生じやすく、縞状構造のように異方性の高い構造を形成するのに特に適しているからである。
クラッド材1において、スズ合金層11および母材12の厚さは、使用するスズ材および母材用材料の厚さおよび/または圧延率を調整することで適宜規定することができる。また、母材12表面の一部にのみスズ合金層11を形成する場合には、スズ合金材料の形状および配置を規定して、圧延を行えばよい。
本発明にかかるコネクタ端子は、クラッド材1を使用して、任意の形状に形成することができる。一例として、メス型コネクタ端子2の構成を図2に示す。メス型コネクタ端子2は、公知のメス型コネクタ端子と同様の形状を有する。すなわち、メス型コネクタ端子2の挟圧部23は、前方が開口した四角筒状に形成され、挟圧部23内に相手方接続部材であるオス型コネクタ端子29が挿入される。挟圧部23の底面の内側には、内側後方へ折り返された形状の弾性接触片21が形成されている。弾性接触片21はオス型コネクタ端子29とエンボス状の接点部21aにおいて接触し、オス型コネクタ端子29に上向きの力を加える。弾性接触片12と相対する挟圧部23の天井部の表面が内部対向接触面22とされ、オス型コネクタ端子29が弾性接触片21によって内部対向接触面22に押し付けられることにより、オス型コネクタ端子29が挟圧部23内において挟圧保持される。
コネクタ端子2は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を母材12として形成されている。このうち、弾性接触片21と内部対向接触面22の挟圧部23の内側に露出される表面に、スズ合金層11がクラッド圧延法によって形成されている。スズ合金層11の存在により、弾性接触片21および内部対向接触面22と、オス型コネクタ端子29との接点部において、高い接続安定性が実現されている。また、スズ合金層11と母材12の間に高い密着性が得られているため、オス型コネクタ端子29の挿抜時に、これらの接点部が摺動を受けても、スズ合金層11が剥離や摩耗を受けにくい。
ここで、スズ合金層11は、弾性接触片21の表面全体に形成されていなくても、弾性接触片21のうち、接点部21aにのみ形成されていれば、十分である。逆に、さらに広い領域にわたってスズ合金層11が形成されていてもよく、コネクタ端子2を構成する母材12の表面全体を被覆していてもよい。また、オス型コネクタ端子29もアルミニウムまたはアルミニウム合金を母材として形成されるものである場合、その最表面にも、クラッド圧延法によってスズ合金層が形成されていれば、両端子の接点部において、一層良好な電気的接続が達成される。
コネクタ端子を製造するには、クラッド材1を所望のコネクタ端子の展開形状に打ち抜き、プレス加工等を行って、コネクタ端子の形状に成形すればよい。母材12の表面の一部にのみスズ合金層11が形成されている場合には、コネクタ端子の接点部となる位置にスズ合金層11が配置されるように打ち抜きを行えばよい。
クラッド材は金属材料を大面積に圧延して形成されるものであるので、一度に大面積のクラッド材を形成することができ、生産性に優れる。また、一般にクラッド材は、圧延ロール等の製造手段を一旦構築すれば、低い製造コストで製造することができる。また、母材12表面の必要な箇所にのみスズ合金層11を形成する構成とすれば、材料コストの削減により、さらに製造コストを低減することが可能である。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
[資料の作製]
(実施例1)
アルミニウム材と、Sn−0.7%Cu−0.03Ni%−0.01%P−0.01%Geの組成(含有量は全て合金全体に対する質量%で表示)を有するスズ合金材料を積層してクラッド圧延した。これにより、アルミニウム母材の表面に約20μmの厚さを有するスズ合金層が形成された実施例1にかかるクラッド材を得た。
(比較例1)
スズ合金材料の代わりに、純スズよりなるスズ材料を用いて、実施例1と同様にクラッド圧延を行うことで、比較例1にかかるクラッド材を得た。
(比較例2)
銅合金母材の表面に、電解めっき法によって、厚さ1μmの純スズ層を形成し、比較例2にかかるスズめっき銅合金材を得た。
[試験方法]
(クラッド材の密着性の評価)
走査電子顕微鏡(SEM)を用いて、実施例1および比較例1にかかるクラッド材の断面を観察し、スズ(合金)層と母材との間の密着性を評価した。
(接触荷重−接触抵抗特性の評価)
実施例1にかかるクラッド材および比較例2にかかるスズめっき銅合金材について、接触抵抗を四端子法によって測定した。まず、平板状の試料片と、曲率半径3mmのエンボス状の接点部を形成した試料片の組よりなるモデル接点部を、それぞれの材料を用いて作製した。平板状試料片を水平に保持し、鉛直方向からエンボス状接点部の頂部を接触させ、水平方向に摺動させることなく、鉛直方向から接触荷重を印加した。この際、0〜40Nの荷重を増加させる方向および減少させる方向に往復で印加した。また、接触抵抗測定における開放電圧は20mV、通電電流は10mAとした。
[試験結果および考察]
(クラッド材の密着性の評価)
図3に、得られたSEM像を示す。(a)および(b)は実施例1にかかるスズ合金を用いたクラッド材のものであり、(c)および(d)は比較例1にかかる純スズを用いたクラッド材のものである。いずれのクラッド材においても、暗く観察される母材の表面に、明るく観察される厚さ約20μmのスズ(合金)層が形成されている。
図3(c)および(d)の比較例1にかかる純スズを用いたクラッド材においては、矢印で示したように、純スズ層と母材の間に、面内方向(画像の横方向)全域にわたって、ひときわ暗く観察される領域が存在している。これは、純スズ層も母材も存在していない空隙に当たる。つまり、純スズ層と母材は、密着していないことが分かる。
これに対し、図3(a)および(b)の実施例1にかかるスズ合金を用いたクラッド材においては、スズ合金層と母材の間に、比較例1で見られたような暗い領域が観察されていない。つまり、スズ合金層と母材は、間に空隙を有さない状態で、強固に密着して接合されている。
また、スズ(合金)層中に明暗の分布として観察されている微結晶の大きさに注目すると、図3(c)および(d)の純スズ層においては、その平均粒径が10μmであるのに対し、図3(a)および(b)のスズ合金層においては、その平均粒径は5μmと小さくなっている。つまり、スズ(合金)層の微結晶の粒径と密着性との間には相関があり、微結晶の粒径が小さいほど、母材との界面で高い密着性が得られると考えられる。
(接触荷重−接触抵抗特性の評価)
図4(a)の実施例1にかかるスズ合金層を有するクラッド材において、図4(b)の比較例2にかかるスズめっき銅合金部材と、ほぼ同じ接触荷重−接触抵抗特性が観測されている。このことは、クラッド圧延法によってスズ合金層をアルミニウム母材上に形成することで、現在汎用されているスズめっき銅合金材料と同等の低い接触抵抗が得られ、高い接続信頼性が実現されることを示している。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 クラッド材
11 スズ合金層
12 母材
2 メス型コネクタ端子
21 弾性接触片
21a 接点部
22 内部対向接触面

Claims (5)

  1. アルミニウムまたはアルミニウム合金を母材としてなり、
    少なくとも他の導電部材と電気的に接触する接点部が、前記母材の表面に、アルミニウムと合金を形成する元素を含んでなるスズ合金層が接合されたクラッド材よりなることを特徴とするコネクタ端子。
  2. 前記スズ合金層は、銅またはニッケルの少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項1に記載のコネクタ端子。
  3. 前記スズ合金層に含まれる銅の含有量は0.1〜1質量%の範囲にあり、ニッケルの含有量は0.01〜1質量%の範囲にあることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ端子。
  4. 前記スズ合金層は、さらにリンおよびゲルマニウムの少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項2または3に記載のコネクタ端子。
  5. 前記スズ合金層を構成する微結晶の平均粒径は、5μm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のコネクタ端子。
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