JP2013247075A - 透明導電フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明導電フィルム1は、透明な熱可塑性樹脂からなる基材フィルム2と、基材フィルム2の表面に形成された酸化ジルコニウムからなる下地層4と、下地層4上に形成された結晶質の金属酸化物からなる透明導電層3とを有する。下地層4は、10nm以上の膜厚を有する。下地層4を構成する酸化ジルコニウムの酸素組成比は、2.0〜2.4である。下地層4は、酸素分圧4〜90%の雰囲気下において、スパッタリングによって成膜されるものである。
【選択図】図1
Description
また、このような透明導電フィルムは、タッチパネルなどに用いられる際には、透明導電層の密着性、打鍵耐久性、筆記耐久性が不充分となりやすいという課題がある。
また、表示デバイス等の電極として用いられている導電膜付き基体として、基体上に酸化ジルコニウムを主成分とする下地層を形成し、その上にITOを主成分とする導電層を形成したものがある(特許文献2)。
また、基材と導電層との間に下地層が形成された透明導電性基板において、下地層として酸化ジルコニウムを用いた実施例が開示されている(特許文献3)。
したがって、特許文献2に記載の方法では、熱可塑性樹脂からなる基材フィルムを用いて透明導電フィルムを得ることはできない。
該基材フィルムの表面に形成された酸化ジルコニウムからなる下地層と、
該下地層上に形成された結晶質の金属酸化物からなる透明導電層とを有し、
上記下地層は、10nm以上の膜厚を有し、
上記下地層を構成する酸化ジルコニウムの酸素組成比は、2.0〜2.4であり、
また、上記下地層は、酸素分圧4〜90%の雰囲気下において、スパッタリングによって成膜されるものであることを特徴とする透明導電フィルムにある(請求項1)。
なお、上記酸化ジルコニウムの酸素組成比とは、酸化ジルコニウムをZrOxにて表したときのxの値を意味する。
該下地層の表面に金属酸化物を成膜すると共に結晶化させることによって透明導電層を成膜する導電層形成工程とを有し、
上記下地層形成工程は、酸素分圧4〜45%の雰囲気下においてスパッタリングすることにより行い、
また、上記下地層形成工程及び上記導電層形成工程は、100℃以下の低温にて行うことを特徴とする透明導電フィルムの製造方法にある(請求項4)。
また、上記下地層形成工程は、酸素分圧4〜45%の雰囲気下において行い、10nm以上の膜厚の下地層を形成することにより、透明導電層の結晶性や基材フィルムとの密着性を向上させることができる。
上記基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることができるが、PET以外でも、充分な透明性を確保可能な樹脂フィルムであればよく、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂フィルムを用いることができる。
なお、透明性が確保されていれば、ポリエステル樹脂以外のフィルム材でもよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオフィレン樹脂、ナイロン6、ナイロン12等のポリアミド樹脂、ポリビニルアルコールやエチレンビニルアルコール共重合体等のビニルアルコール樹脂、さらには、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルサルホン、環状ポリオレフィン等の合成樹脂からなるフィルムを用いることができる。特に、透明性が高く、機械的強度も高く、寸法安定性に優れているポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
上記透明導電フィルムの実施例について図1を用いて説明する。
本例の透明導電フィルム1は、透明な熱可塑性樹脂からなる基材フィルム2と、基材フィルム2の表面に形成された酸化ジルコニウムからなる下地層4と、該下地層4上に形成された結晶質の金属酸化物からなる透明導電層3とを有する。
また、下地層4は、10nm以上の膜厚を有する。
下地層4を構成する酸化ジルコニウムの酸素組成比は、2.0〜2.4である。
また、下地層4は、酸素分圧4〜90%の雰囲気下において成膜されるものである。
次いで、導電層形成工程において、下地層4の表面に金属酸化物を100℃以下の低温にて成膜すると共に結晶化させる。これによって、下地層4の表面に透明導電層3が形成される。以上の工程によって、本例の透明導電フィルム1を得ることができる。
すなわち、成膜には、ロール・トゥ・ロール方式のマグネトロンスパッタリング装置を用いる。スパッタリング設備のチャンバー内に基材フィルム2として、ハードコートPETフィルム(GSCB:厚み135μm 株式会社きもと社製)を取付ける。
基材フィルム2を配置したチャンバー内を真空排気して、その真空度を5×10−4Pa以下になるまで減圧する。
次いで、チャンバー内に放電ガスであるアルゴンガスをマスフローコントローラで流量制御しながら導入する。そして、放電ガス導入後、アルゴンガス流量を調整して、チャンバー内の圧力を0.4Paとする。
プレスパッタ開始から10分が経過したら、反応ガスとして、酸素ガスをマスフローコントローラで流量制御しながら、チャンバー内に導入する。
次に、その上にITO(Sn量5wt%)ターゲットを取り付けたカソードに電源から電力を配給し、酸化ジルコニウムと同様の手順でスパッタリング成膜して所期の透明導電層を得る(導電層形成工程)。
本例の透明導電フィルム1においては、基材フィルム2と透明導電層3との間に酸化ジルコニウムからなる下地層4を形成してある。これにより、透明導電層3の成膜の際に、特に高温に加熱しなくても、結晶質構造の透明導電層3を得ることが可能となる。特に、下地層4が10nm以上の膜厚となるように設定されているため、上記の効果を確実に得ることができる。それゆえ、熱可塑性樹脂からなる基材フィルム2に影響を与えることなく、透明導電層3を、抵抗特性が温度や雰囲気によって変化しにくい安定状態にて形成することができる。また、透明導電層1の打鍵耐久性や筆記耐久性等を向上させることもできる。
本例は、図2に示すごとく、基材フィルム2と下地層4との間にバリヤ層5を形成した透明導電フィルム10の例である。
本例では、バリヤ層5には、例えば、酸化シリコンや酸化アルミニウムが用いられる。また、下地層4である酸化ジルコニウム薄膜は、透明導電層3に直接接触して形成されている。また、バリヤ層5の膜厚は、例えば、10nm〜100nm程度とすることができる。本例においては、バリヤ層5として、特に、酸化シリコン層を採用し、その膜厚を50nmとしている。
また、本例の下地層4の膜厚は、10nmである。
その他は、実施例1と同様である。
その他、実施例1と同様の作用効果を有する。
本例は、下地層4の膜厚を5nmとした透明導電フィルム1の例である。
その他は、実施例1と同様である。
(比較例2)
本例は、図3に示すごとく、基材フィルム2の表面に直接、透明導電層3を成膜した透明導電フィルム11の例である。
本例においては、基材フィルム2の厚みは、135μmであり、透明導電層3の膜厚は18nmである。
その他は、実施例1と同様である。
本例は、図4に示すごとく、基材フィルム2と透明導電層3との間に、下地層4として酸化シリコンを成膜した透明導電フィルム12の例である。
本例においては、基材フィルム2の厚みは、135μmであり、透明導電層3の膜厚は33nmである。また、下地層4の膜厚は50nmである。
その他は、実施例1と同様である。
本例は、実施例1、2及び比較例1〜3の透明導電フィルムにつき、結晶性及び打鍵耐久性の有無について調べた例である。
まず、実施例1、2及び比較例1〜3の透明導電フィルムを試料1〜5として用意した。下地層4の成膜時の酸素分圧、下地層4の材料、下地層4を構成する酸化ジルコニウムの酸素組成比、下地層4の膜厚、そして、透明導電層3の膜厚は、それぞれ、表2に示すとおりである。また、試料2におけるバリヤ層5は、酸化シリコンからなり、その膜厚は50nmとした。なお、各層における膜厚は、表面粗さ計DeKtak IIA(Sloan Tech社製)を用いて測定した。
評価方法としては、結晶性の有無を、X線回折装置RINT−2100(リガク社製)を用いて測定した。また、X線源としてCuの管球を用い励起電圧40kV、管電流40mAとした。そして、走査角を2θ/θとしてX線回折測定を行い評価した。
X線回折パターンの測定結果を図5に示し、評価結果を表2に示す。
なお、打鍵試験前におけるon−offチャタリングは、1ms以下である。
その結果を表2に示す。
また、打鍵耐久性の有無については、試料1、試料2については、良品、すなわち打鍵特性が充分にあることが確認でき、また、試料3、試料4、試料5については、不良、すなわち打鍵耐久性がないことが確認できた。
本例においては、表3〜表5に示すごとく、下地層4の成膜時におけるチャンバー内の雰囲気の酸素分圧、下地層4の膜厚、及び下地層の酸化ジルコニウムの酸素組成比と、透明導電層3の結晶性、密着性との関係につき、調べた。
そして、各透明導電フィルムにおける、透明導電層の結晶性の有無を調べた。評価方法は、実験例1と同様である。その結果を、表3に示す。
2 基材フィルム
3 透明導電層
4 下地層
Claims (4)
- 透明な熱可塑性樹脂からなる基材フィルムと、
該基材フィルムの表面に形成された酸化ジルコニウムからなる下地層と、
該下地層上に形成された結晶質の金属酸化物からなる透明導電層とを有し、
上記下地層は、10nm以上の膜厚を有し、
上記下地層を構成する酸化ジルコニウムの酸素組成比は、2.0〜2.4であり、
また、上記下地層は、酸素分圧4〜90%の雰囲気下において、スパッタリングによって成膜されるものであることを特徴とする透明導電フィルム。 - 請求項1に記載の透明導電フィルムにおいて、上記透明導電層は、結晶質のITOからなることを特徴とする透明導電フィルム。
- 透明な熱可塑性樹脂からなる基材フィルムの表面に酸化ジルコニウムを成膜することによって10nm以上の膜厚の下地層を形成する下地層形成工程と、
該下地層の表面に金属酸化物を成膜すると共に結晶化させることによって透明導電層を成膜する導電層形成工程とを有し、
上記下地層形成工程は、酸素分圧4〜45%の雰囲気下においてスパッタリングすることにより行い、
また、上記下地層形成工程及び上記導電層形成工程は、100℃以下の低温にて行うことを特徴とする透明導電フィルムの製造方法。 - 請求項3に記載の透明導電フィルムの製造方法において、上記導電層形成工程においては、上記下地層の表面にITOを成膜すると共に結晶化させることを特徴とする透明導電フィルムの製造方法。
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JPWO2015115237A1 (ja) * | 2014-01-28 | 2017-03-23 | 株式会社カネカ | 透明電極付き基板およびその製造方法 |
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