JP2013237824A - 含フッ素アルコール化合物を含む硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬化により撥水性、撥油性、耐指紋性、防汚性に優れた表面を有する硬化物層を形成することができ、熱硬化型防汚コーティング剤の形成材料として有用な硬化性組成物を提供する。
【解決手段】下記式(1)
Figure 2013237824

(Rfはフルオロポリエーテル構造を含む分子量100〜40,000の一価又は二価の基、Q1は(a+b)個以上のSi原子を有する、シロキサン構造、非置換又はハロゲン置換のシルアルキレン構造、シルアリーレン構造又はこれらの組み合せからなる(a+b)価の連結基で、環状構造をなしていてもよい。Q2は炭素数1〜20の二価の炭化水素基で、環状構造をなしていてもよく、途中エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい。Rfが一価のときcは1、aは1〜6、Rfが二価のときaは1、cは2。bは1〜20。)
で表される含フッ素アルコール化合物(A)を組成物全体100質量部中、0.005〜20質量部含む硬化性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素アルコール化合物を含む硬化性組成物に関し、特に撥水性に優れた各種基材の熱硬化型コーティング剤や塗料組成物として有用な硬化性組成物に関する。
アルキド樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂材料は構造材料としてのみならず、塗料としてもさまざまに用いられている。
例えば、ポリイソシアネートを必須成分として含むウレタン系塗料は、耐候性や耐摩耗性に優れた塗膜を与えることができ、建材、土木構築物等の屋外機材の塗装、自動車の補修、プラスチックの塗装など幅広い分野に使用されている。近年、こうした塗料の応用範囲の広がりに伴い、塗料そのものの高機能化が求められてきている。中でも撥水性、撥油性、防汚性など更に優れた特性を得るためにフッ素系化合物を樹脂塗料に導入するさまざまな試みがなされている。
ウレタン系塗料を例に取れば、パーフルオロポリエーテルをジイソシアネートで変性し、ポリオールと配合するもの(非特許文献1:C. Toneelli,. et. al., Journal of Applied polymer science, Vol. 57 1031−1042(1995))や、2液型のフッ素系塗料組成物の硬化剤として、炭素数1〜10のモノアルコールと、脂肪族系有機ポリイソシアネートとの反応によって得られるアロファネート基含有ポリイソシアネートを用いる技術(特許文献1:特開平5−287240号公報)が開示されている。
しかし、こうした手法は、組成物中の含フッ素成分がポリウレタン系塗料皮膜を構成する主成分となるため、従来のウレタン系塗料と比較して取り扱い性や機械的物性に大きな影響を与えることになる。
一方、特に塗膜表面の防汚性、耐指紋性などに着目し、既存の塗料の取り扱い性や塗膜の機械的物性はそのままに、表面に撥水性、撥油性などフッ素系化合物の性能を付与する方法への要求が高まってきている。
特開平5−287240号公報
C. Toneelli,. et. al., Journal of Applied polymer science, Vol. 57 1031−1042(1995)
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、硬化により撥水性、撥油性、耐指紋性、防汚性に優れた表面を有する硬化物層を形成することができ、熱硬化型防汚コーティング剤の形成材料として有用な硬化性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(1)で表される含フッ素アルコール化合物を組成物全体100質量部中、0.005〜20質量部含む硬化性組成物をコーティング剤として用いた場合に、上述したような既存の塗料の性質を維持しつつ、表面にフッ素系化合物の特性を付与できることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記に示す硬化性組成物を提供する。
〔1〕
下記一般式(1)
Figure 2013237824
(式中、Rfはフルオロポリエーテル構造を含む分子量100〜40,000の一価又は二価の基である。Q1は少なくとも(a+b)個のSi原子を有する、シロキサン構造、非置換又はハロゲン置換のシルアルキレン構造、シルアリーレン構造又はこれらの2種以上の組み合せからなる(a+b)価の連結基であり、環状構造をなしていてもよい。Q2は炭素数1〜20の二価の炭化水素基であり、環状構造をなしていてもよく、途中エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい。Rfが一価のときにはcは1であり、かつaは1〜6の整数であり、Rfが二価のときにはaは1であり、かつcは2である。bは1〜20の整数である。)
で表される含フッ素アルコール化合物(A)を組成物全体100質量部中、0.005〜20質量部含むことを特徴とする硬化性組成物。
〔2〕
更に、(B)1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物を含有することを特徴とする〔1〕記載の硬化性組成物。
〔3〕
更に、(C)1分子中にヒドロキシル基を2個以上有し、フッ素原子を含まない多官能ヒドロキシル基含有化合物を含有することを特徴とする〔1〕又は〔2〕記載の硬化性組成物。
〔4〕
一般式(1)において、Q1が、下記式(2)
Figure 2013237824
[式中、a、bは式(1)におけるa、bと同じであり、破線は結合手を示し、aの繰り返し単位を有するユニットはRfと結合し、bの繰り返し単位を有するユニットは下記式
−Q2−OH
(式中、Q2は式(1)で定義した通りである。)
で示される基と結合する。また、2種類の繰り返し単位の並びはランダムである。Rfは式(1)で定義した通りである。]
で表される〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の硬化性組成物。
〔5〕
一般式(1)において、Q2
−CH2CH2CH2
−CH2CH2CH2CH2
−CH2CH2CH2CH2CH2
−CH2CH2CH2OCH2CH2
−CH2CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2
−CH2CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2
Figure 2013237824
で示される群の中より選ばれる〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の硬化性組成物。
本発明の含フッ素アルコール化合物を含む硬化性組成物は、硬化により撥水性、撥油性、耐指紋性、防汚性に優れた表面を有する硬化物層を形成することができ、熱硬化型防汚コーティング剤の形成材料として有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の硬化性組成物は、
(A)下記一般式(1)で表される含フッ素アルコール化合物
を含むことを特徴とし、好ましくは、
(B)1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物、
更に好ましくは、
(C)1分子中にヒドロキシル基を2個以上有し、フッ素原子を含まない多官能ヒドロキシル基含有化合物
を含有する。
本発明の硬化性組成物には、(A)成分として、下記一般式(1)
Figure 2013237824
(式中、Rfはフルオロポリエーテル構造を含む分子量100〜40,000の一価又は二価の基である。Q1は少なくとも(a+b)個のSi原子を有する、シロキサン構造、非置換又はハロゲン置換のシルアルキレン構造、シルアリーレン構造又はこれらの2種以上の組み合せからなる(a+b)価の連結基であり、環状構造をなしていてもよい。Q2は炭素数1〜20の二価の炭化水素基であり、環状構造をなしていてもよく、途中エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい。Rfが一価のときにはcは1であり、かつaは1〜6の整数であり、Rfが二価のときにはaは1であり、かつcは2である。bは1〜20の整数である。)
で表される含フッ素アルコール化合物を用いる。含フッ素アルコール化合物を配合することにより、硬化性組成物の硬化物表面に防汚性、耐指紋性、撥水性、撥油性を付与することができる。
式(1)において、Rfはフルオロポリエーテル構造を含む分子量100〜40,000、好ましくは500〜20,000の一価又は二価の基である。なお、本発明において、分子量は、1H−NMR及び19F−NMRに基づく末端構造と主鎖構造との比率から算出される数平均分子量である。
Rfとしては、下記式
−Ch2hO−
(hは、単位毎に独立に、1〜6の整数である。)
で表される繰り返し単位を1〜500個、好ましくは2〜400個、更に好ましくは4〜200個含むものが好適である。
Rfとして特に好ましい構造としては、下記一般式(3)又は(3’)で表すことができる。
−[Q3−Rf’−Q3−T]v−Qf−Rf’−Q3− (3)
F−Rf’−Q3− (3’)
Rf’は二価の分子量300〜30,000、特に500〜20,000のパーフルオロポリエーテル基であり、途中分岐を含んでいてもよく、特に下記式(5)〜(7)で表される二価のパーフルオロポリエーテル基が好ましい。
Figure 2013237824
(式(5)中、Yはそれぞれ独立にF又はCF3基、rは2〜6の整数、m、nはそれぞれ0又は1〜200、好ましくは0又は1〜100の整数、但し、m+nは2〜200、好ましくは3〜150の整数である。sは0又は1〜6の整数であり、各繰り返し単位はランダムに結合されていてよい。)
Figure 2013237824
(式中、jは1〜3の整数、kは1〜200、好ましくは1〜60の整数である。)
Figure 2013237824
(式中、YはF又はCF3基、jは1〜3の整数、t、uはそれぞれ0又は1〜200、好ましくは2〜100の整数、但し、t+uは2〜300、好ましくは4〜200の整数である。各繰り返し単位はランダムに結合されていてもよい。)
3は二価の有機基であり、好ましくは炭素数2〜20、特に3〜12の二価炭化水素基であり、酸素原子、窒素原子、フッ素原子又はケイ素原子を含んでいてもよく、また、環状構造あるいは不飽和結合を有する基であってもよい。このようなQ3としては、下記のものが例示される。なお、式中、Phはフェニル基を示す。
Figure 2013237824
Figure 2013237824
これらの中でも特に
Figure 2013237824
が好ましい。
また、Tは、下記式(4)
Figure 2013237824
(式中、Q2、a、bは前述の通りであり、Q4は少なくとも(a+b)個のSi原子を有する、シロキサン構造、非置換又はハロゲン置換のシルアルキレン構造、シルアリーレン構造又はこれらの2種以上の組み合せからなる(a+b)価の連結基であり、上記Q1の(a+b)価のうち、二価分がQ3との結合に使用されたシロキサン構造、非置換又はハロゲン置換のシルアルキレン構造、シルアリーレン構造又はこれらの2種以上の組み合せからなる構造である。)
で表される二価の連結基である。
4としては、下記のものが例示される。但し、下記式中、実線で示される2価分の結合手は、Q3と結合しているものであり、破線で示される(a+b−2)個分の結合手は、−Q2−OH(式中、Q2は上記の通りである。)で示される基と結合しているものである。なお、下記式(a)の場合は、両末端の単位の破線にも−Q2−OHが連結し、これら両末端の単位と(a+b−4)の単位とで、(a+b−2)個分の結合手に−Q2−OHで示される基を結合する。また、実線で示される2価分の上記ユニット、(a+b−2)個のユニット及びp個のユニットの並びはランダムである。a、bは、好ましくはa、b共に1〜4の整数であり、かつa+bは3〜6、特に3〜5の整数である。pは0又は1以上の整数であり、pの上限は12以下、特に6以下であることが好ましい。
Figure 2013237824
ここで、Q5は(a+b)価の連結基であり、例えば以下のものが例示される。
Figure 2013237824
fはQ3、又はv=0の場合、フッ素原子である。
また、vは0又は1〜5の整数、特に0又は1、とりわけ0であるが、Qfがフッ素原子のときvは0であり、Rfは下記構造(3’)となる。
F−Rf’−Q3− (3’)
Rfの具体例としては、下記のものが挙げられる。
Figure 2013237824
Figure 2013237824
(上記式中、j、k、m、n、r、s、t、uは上述した通りである。)
式(1)において、aは1〜6、好ましくは1〜4の整数であり、bは1〜20、好ましくは1〜4の整数であり、cは1又は2であるが、Rfが一価の場合、aは1〜6の整数、かつcは1であり、Rfが二価の場合、aは1、かつcは2である。bは1〜20の整数であり、特に1〜6の整数が好ましく、a+bは3〜6、特に3〜5の整数が好ましい。
式(1)において、Q1は少なくとも(a+b)個のSi原子を有するシロキサン構造、非置換又はハロゲン置換のシルアルキレン構造、シルアリーレン構造又はこれらの2種以上の組み合せからなる(a+b)価の連結基であり、環状構造をなしていてもよく、具体的には以下の構造が示される。
但し、下記式中、a、bは前述の定義通りであり、好ましくはa、b共に1〜4の整数であり、かつa+bは3〜6、特に3〜5の整数である。pは0又は1以上の整数であり、a個及びb個、更にp個の各ユニットの並びはランダムであり、a個及びb個の各ユニットの破線で示される結合手は、Rf−又は−Q2−OH(式中、Rf、Q2は上記の通りである。)で示される基のいずれか一方の基と結合する。なお、pの上限は12以下、特に6以下であることが好ましい。
Figure 2013237824
なお、a+bのユニットは、aのユニットとbのユニットにそれぞれ分離して表すことができ、aのユニットの結合手にはRfが連結し、bのユニットの結合手には−Q2−OHが連結する(Rf、Q2は上記の通りである。)。式(b)の場合は、両末端の単位の破線にそれぞれRf又は−Q2−OHが連結し、これら両末端の単位と(a+b−2)の単位とで(a+b)個のユニットを構成する。
また、Q5は前述の通りであり、Q5としては上記と同様のものを例示することができる。
1としては、下記式(2)で表される構造がより好ましい。
Figure 2013237824
[式中、a、bは上記と同じであり、破線は結合手を示し、aの繰り返し単位を有するユニットは上記Rfと結合し、bの繰り返し単位を有するユニットは下記式
−Q2−OH
(式中、Q2は上記と同じである。)
で示される基と結合する。また、2種類の繰り返し単位の並びはランダムである。]
式(1)において、Q2は炭素数1〜20、好ましくは2〜15の二価の炭化水素基であり、環状構造をなしていてもよく、途中エーテル結合(−O−)又はエステル結合(−COO−)を含んでいてもよい。具体的には、下記構造のものが挙げられる。
−CH2CH2CH2
−CH2CH2CH2CH2
−CH2CH2CH2CH2CH2
−CH2CH2CH2OCH2CH2
−CH2CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2
−CH2CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2
Figure 2013237824
以上のような一般式(1)で示される含フッ素アルコール化合物は、例えば次のような方法で合成することが可能である。
まず初めに、末端にオレフィン基を有する含フッ素化合物(i)に対して、多官能Si−H化合物(例えば、分子中に2個以上、好ましくは3個以上のSi−H基を有するシロキサン、シルアルキレン、シルアリーレン又はこれらの2種以上の組み合せからなる有機ケイ素化合物)(ii)をSi−H基が過剰の条件下でヒドロシリル化付加反応させ、含フッ素多官能Si−H化合物(iii)を合成する。
このような化合物(i)のうち、特に望ましい構造を一般化した例として、下記式(8)を示すことができる。
Rf0−(CH=CH2x (8)
ここで、Rf0は下記式
−[Q6−Rf’−Q3−T]v−Qf−Rf’−Q6
F−Rf’−Q6
で表される。上記式中、Rf’、T、Qf、Q3、vは上述した通りであり、Q6は二価の有機基であり、好ましくは炭素数1〜20、特に1〜10の二価炭化水素基であり、酸素原子、窒素原子、フッ素原子又はケイ素原子を含んでいてもよく、また、環状構造又は不飽和結合を有する基であってもよい。xはRf0が一価のとき1、二価のとき2である。
6としては、下記のものが挙げられる。なお、下記例中、Phはフェニル基を示す。
Figure 2013237824
Figure 2013237824
化合物(i)の特に好ましいものとして、以下のものが例示できる。
Figure 2013237824
Figure 2013237824
(上記式中、j、k、m、n、r、sは上述した通りである。)
また、化合物(ii)は、下記式(9)のような形で一般式として表現できる。
1−(H)a+b (9)
(式中、Q1、a、bは前述の通りであり、かっこ内に示されたHはQ1構造中のSi原子に直接結合した水素原子である。)
このようなもののうち、好ましい化合物(ii)としては、以下のものが例示できる。
Figure 2013237824
Figure 2013237824
(上記式中、a、bは前述の通りであり、pは0又は1以上の整数である。)
以上のような化合物(i)及び化合物(ii)を任意の組み合せで、白金族金属系の付加反応触媒存在下、反応温度60〜150℃、好ましくは70〜120℃で付加反応を行うことで含フッ素多官能Si−H化合物(iii)を得ることができる。
例えば、化合物(i)が1官能性の場合(式(8)においてx=1)、化合物(ii)1分子に対して付加させる化合物(i)の数は(a+b)個未満であれば1個でも、複数個でも問題なく、例えばa個付加させた場合に得られる化合物(iii)は次のような一般式(10)で表すことができる。
(Rf0−C24a−Q1−(H)b (10)
(Rf0、Q1、a、bは上記の通りであり、かっこ内に示されたHはQ1構造中のSi原子に直接結合した水素原子である。)
一方、化合物(i)が2官能性の場合には(式(8)においてx=2)、化合物(i):化合物(ii)=v+1:v+2の比率(モル比)で付加させることが望ましく(vは前述の通りである。)、得られる化合物(iii)は、例えば式(11)のように表現でき、v=0のときは、化合物(i)の両末端に1分子ずつの化合物(ii)が導入された構造となる。
Figure 2013237824
(式中、T2
Figure 2013237824
で示される基であり、Q1、Q4、Rf0、a、b、vは上記の通りであり、かっこ内に示されたHはQ1又はQ4構造中のSi原子に直接結合する水素原子である。)
上記の付加反応は溶剤が存在しなくても実施可能であるが、必要に応じて溶剤で希釈してもよい。このとき希釈溶剤は、トルエン、キシレン、イソオクタンなど広く一般に用いられている有機溶剤を利用することができるが、沸点が目的とする反応温度以上でかつ反応を阻害せず、反応後に生成する化合物(iii)が反応温度において可溶であることが好ましい。例えば、m−キシレンヘキサフロライド、ベンゾトリフロライド等のフッ素変性芳香族炭化水素系溶剤、メチルパーフルオロブチルエーテル等のフッ素変性エーテル系溶剤等の部分フッ素変性された溶剤が望ましく、特にm−キシレンヘキサフロライドが好ましい。
付加反応触媒は、例えば白金、ロジウム又はパラジウムを含む化合物を使用することができる。中でも白金を含む化合物が好ましく、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物、白金カルボニルビニルメチル錯体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金−オクチルアルデヒド/オクタノール錯体、あるいは活性炭に担持された白金を用いることができる。触媒の配合量は、化合物(i)に対し、含まれる金属量が0.1〜5,000質量ppmとなることが好ましく、より好ましくは1〜1,000質量ppmである。
付加反応において、各成分の仕込み順序は特に制限されないが、例えば化合物(i)、化合物(ii)及び触媒の混合物を室温から徐々に付加反応温度まで加熱する方法、化合物(i)、化合物(ii)及び希釈溶剤の混合物を目的とする反応温度にまで加熱した後に触媒を添加する方法、目的とする反応温度まで加熱した化合物(ii)と触媒の混合物に化合物(i)を滴下する方法、目的とする反応温度まで加熱した化合物(ii)に化合物(i)と触媒の混合物を滴下する方法等をとることができる。この中でも、化合物(i)、化合物(ii)及び希釈溶剤の混合物を目的とする反応温度にまで加熱した後に触媒を添加する方法、あるいは、目的とする反応温度まで加熱した化合物(ii)に化合物(i)と触媒の混合物を滴下する方法が特に好ましい。これらの方法は、各成分あるいは混合物を必要に応じて溶剤で希釈して用いることができる。上記反応は、乾燥雰囲気下で、空気あるいは不活性ガス(N2、Ar等)中、反応温度50〜150℃、好ましくは60〜120℃で、0.5〜96時間、好ましくは1〜48時間行うことが望ましい。
化合物(i)に対する、化合物(ii)の配合量は、化合物(ii)1分子に対して、付加させる化合物(i)の数は(a+b)個未満で、かつ化合物(iii)におけるvが0又は1〜5の整数となる条件であればどのような配合量であってもよいが、三次元架橋を防ぐため、化合物(i)のアリル基等の末端オレフィン基に対し、化合物(ii)を過剰量用いて付加反応を行った後に、未反応の化合物(ii)を減圧留去等により除去することが望ましく、化合物(i)のアリル基等の末端オレフィン基1当量に対し、化合物(ii)を1〜10当量、特に2〜6当量の存在下で反応させるのが好ましい。また必要に応じて、vが小さい中間体を合成してから、段階的に付加反応を行ってもよい。例えば、式(8)におけるx=2の化合物(i)を用いて、式(11)におけるv=0の化合物(iii)を合成した後に、該化合物(iii)2モルに対して、式(8)におけるx=2の化合物(i)1モルを再度反応させることでv=3の化合物(iii)を得ることができる。あるいは、化合物(iii)において、vの異なる混合物中から任意の分離手段により目的とするvの値を持つ成分を分離することもできる。例えば、化合物(iii)におけるv=0〜3の混合物から、分取クロマトグラフ等の手段によりv=1の成分のみを取り出してもよい。
本発明で用いられる含フッ素アルコール化合物は、以上のようにして得られる化合物(iii)のSi−H基と、1分子中に末端オレフィン基とアルコール性水酸基を有する化合物(iv)との付加反応を行うことで得ることができる。このような化合物(iv)としては、特に以下のものが好ましい。これらの化合物(iv)は1種単独で又は任意の2種以上を組み合せて用いることができる。
CH2=CHCH2OH
CH2=CHCH2CH2OH
CH2=CHCH2CH2CH2OH
CH2=CHCH2OCH2CH2OH
CH2=CHCH2OCH2CH2OCH2CH2OH
CH2=CHCH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OH
Figure 2013237824
化合物(iii)と化合物(iv)の付加反応は、前述した化合物(i)と化合物(ii)の付加反応と同様の手法で行うことができる。即ち、上述した付加反応触媒存在下、乾燥雰囲気下で、空気あるいは不活性ガス(N2、Ar等)中、反応温度50〜150℃、好ましくは60〜120℃で0.5〜96時間、好ましくは1〜48時間、必要に応じて希釈を行い任意の添加順序での反応を実施することができる。
化合物(iii)に対する、化合物(iv)の配合量は任意の量とすることができるが、化合物(iii)のSi−H基に対して、化合物(iv)を等モルもしくは過剰量用いて付加反応を行った後に、未反応の化合物(iv)を減圧留去等により除去することが望ましく、特には化合物(iii)のSi−H基1当量に対し、化合物(iv)を1.0〜5.0当量、好ましくは1.0〜2.0当量存在下で反応を行うことが望ましい。
本発明において、含フッ素アルコール化合物(A)は、上記手法以外に、下記式
(Rf)a−[Q1−(H)bc
(Q1、b及びRfは上述した通りである。)
で示される含フッ素有機ケイ素化合物(v)と化合物(iv)との付加反応を行うことで得ることもできる。この場合、反応条件等は上述した化合物(iii)と化合物(iv)との反応条件と同様とすることができる。
このようにして得られる式(1)で示される含フッ素アルコール化合物(A)として、特に好ましい構造としては、例えば以下のものが例示できる。
Figure 2013237824
Figure 2013237824
(上記式中、n、j、t、uは上記と同じである。)
本発明の硬化性組成物は、以上のようにして得られる含フッ素アルコール化合物を配合することを特徴とし、該組成物を硬化させることにより、硬化物表面に防汚性、耐指紋性、撥水性、撥油性を付与することができる。
上記含フッ素アルコール化合物の配合量は、組成物の全体100質量部中0.005〜20質量部であり、好ましくは0.01〜10質量部であり、更に好ましくは0.05〜5質量部である。上記の上限値を超える値では含フッ素アルコール化合物量が多くなりすぎ、硬化物としての性能を損なう可能性があり、下限値未満ではフッ素成分が少なくなり、ハードコート層の表面を十分に覆うことができなくなる場合がある。
本発明の組成物には、(B)成分として、1分子中にイソシアネート基を2個以上、好ましくは2〜20個有する化合物を配合することができる。(B)成分としては、多官能イソシアネート化合物であれば、特に制限されないが、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、2,4−イソシアナトシクロヘキシル−2’−イソシアナトシクロヘキシルメタン、4−イソシアナトシクロヘキシル−2’−イソシアナトシクロヘキシルメタン、ビス−(4−イソシアナト−3−メチルシクロヘキシル)メタン、1,3−テトラメチルキシリデンジイソシアネート、1,4−テトラメチルキシリデンジイソシアネート、2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
(B)成分の配合量は、目的とする硬化層の物性や各成分の性状により任意に設定することができるが、通常(A)成分と(C)成分の合計を100質量部としたときに、5〜100質量部、特に10〜50質量部の範囲にあることが望ましい。(B)成分が少なすぎると組成物中のイソシアネート基の分布に偏りが生じ、(A)成分と(B)成分が十分に反応できなくなる場合があり、多すぎると組成物中で(A)成分が移動しにくくなり、目的とする表面に対する硬化が得られなくなる場合がある。
また、本発明の実施の一形態として、1分子中にヒドロキシル基を2個以上、好ましくは2〜20個有し、フッ素原子を含まない多官能ヒドロキシル基含有化合物、即ち非フッ素化多官能ヒドロキシル基含有化合物を(C)成分として配合することができる。
このような(C)成分としては、非フッ素化多官能アルコール、例えば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4,4’−(1−メチルエチリデン)−ビス−シクロヘキサノール、1,2,3−プロパントリオール、1,1,1−トリメチノールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,1,1−トリメチロールプロパン、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ヒドロキノン、1,2,4−トリヒドロキシシクロヘキサン、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールが挙げられる。
また、上記のような多官能アルコールと、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、二量体又は三量体脂肪酸、テレフタル酸ジメチルエステル及びテレフタル酸ビスグリコールエステル等の酸又は酸誘導体と反応させることで得られるポリエステルポリオール及びその反応混合物も使用できる。
また、上記の多官能アルコールで、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−及びδ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、3,5,5−及び3,3,5−トリメチルカプロラクトン又はこれらラクトンの混合物を開環させたポリエステルポリオール、上記多官能アルコールとジフェニルカーボネート、ジアルキルカーボネート(例えば、ジメチルカーボネート)又はホスゲンと反応させて製造することができるポリカーボネートジオール、ジアリールカーボネート(例えば、ジフェニルカーボネート)、ジアルキルカーボネート(例えば、ジメチルカーボネート)又はホスゲンと反応させて製造することができるポリカーボネートジオールエチレンオキシド、更に2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルの6−ヘキサノリド付加重合物、グリセリル(メタ)アクリレート、グリセリル−1−メタクリロイルオキシエチルウレタンプロピレンオキシド等を共重合成分として含むアクリルポリオール類、テトラヒドロフランの重合体によって得られるポリエーテルグリコール類等を用いることもできる。
これらは単独で用いても混合物として用いてもよい。
(C)成分の配合量は、(A)成分を1質量部としたときに、1〜1,000質量部、特に50〜500質量部であることが望ましい。(C)成分が少なすぎると硬化物層の物性に(A)成分が与える影響が大きくなりすぎ、ハードコート層との特性を損なう場合があり、多すぎると組成物中で(A)成分が移動しにくくなり、目的とする表面に対する硬化が得られなくなる場合がある。
また、本発明においては、上記多官能イソシアネートと非フッ素化多官能ヒドロキシル基含有化合物と反応させることで得られる、いわゆるウレタンプレポリマーを(B)成分として使用することもできる。
また、本発明の硬化性組成物には、希釈、相溶性、レベリング性向上のため、(A)成分に該当しないフッ素原子を含んだアルコール類を配合することもできる。
この場合の(A)成分に該当しないフッ素原子を含んだアルコール類の配合量は、(A)成分を1質量部としたときに、0.01〜0.2質量部であることが望ましい。
本発明の硬化性組成物は、上述したように、上記(A)成分を組成物中の全成分、特に上記(A)、(B)、(C)成分の合計100質量部に対して0.005〜20質量部配合するものであるが、好ましくは更に、組成物中のヒドロキシル基に対するイソシアネート基、即ちNCO/OH(組成物中の全成分のヒドロキシル基の総量)の当量比が0.5〜2.0、特に0.8〜1.2の割合になるように混合して用いることが望ましい。上記当量比が0.5より小さいと、塗膜の架橋密度が低くなり、耐溶剤性、耐水性、耐候性が不良となる場合がある。一方、2.0を超えてイソシアネートが過剰になると、塗膜が脆くなり耐候性が低下するばかりでなく、乾燥性において満足しうる結果が得られない場合がある。
本発明の熱硬化性組成物には、硬化速度を制御するために、適当な触媒を配合することができる。例えば、トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N−エンドエチレンピペラジン、N−メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノシクロヘキサン、N,N’−ジメチルピペラジン等の3級アミン、塩化鉄(III)、塩化亜鉛、亜鉛−2−エチルカプロエート、オクタン酸スズ(II)、スズ(II)エチルカプロエート、ジブチルスズ(IV)ジラウレート、ビスマス(III)−2−エチルヘキサノエート、ビスマス(III)オクトエート又はモリブデングリコラート等の金属塩等が挙げられる。
触媒の添加量としては、硬化性組成物の全質量を100質量部としたときに0.01〜5質量部、特に0.05〜1質量部であることが望ましい。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて種々の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、フィラー、染顔料、レベリング剤、反応性希釈剤、非反応性高分子樹脂、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、分散剤、帯電防止剤、チキソトロピー付与剤が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、任意の溶剤で希釈して使用することもできる。特に好ましい溶剤としては、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、乳酸エチル等のエステル類、フッ素系溶剤等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、基材表面に塗布硬化、あるいは単体で硬化させることにより、硬化物表面に防汚性、撥水性、撥油性、耐指紋性等を付与することができる。これによって、指紋、皮脂、汗等の人脂、化粧品等により汚れ難くなり、汚れが付着した場合であっても拭き取り性に優れた硬化物表面を与える。このため、本発明の硬化性組成物は、人体が触れて人脂、化粧品等により汚される可能性のある物品の表面に施与される塗装膜もしくは保護膜を形成するために使用されるハードコート材料として特に有用である。
このような基材表面が処理される物品としては、例えば、光磁気ディスク、CD・LD・DVD・ブルーレイディスク等の光ディスク、ホログラム記録等に代表される光記録媒体;メガネレンズ、プリズム、レンズシート、ペリクル膜、偏光板、光学フィルター、レンチキュラーレンズ、フレネルレンズ、反射防止膜、光ファイバーや光カプラー等の光学部品・光デバイス;CRT、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、背面投写型ディスプレイ、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションプロジェクションディスプレイ、トナー系ディスプレイ等の各種画面表示機器;特にPC、携帯電話、携帯情報端末、ゲーム機、電子ブックリーダー、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、自動現金引出し預け入れ装置、現金自動支払機、自動販売機、自動車用等のナビゲーション装置、セキュリティーシステム端末等の画像表示装置、及びその操作も行うタッチパネル(タッチセンサー、タッチスクリーン)式画像表示入力装置;携帯電話、携帯情報端末、電子ブックリーダー、携帯音楽プレイヤー、携帯ゲーム機、リモートコントローラ、コントローラ、キーボード等、車載装置用パネルスイッチなどの入力装置;携帯電話、携帯情報端末、カメラ、携帯音楽プレイヤー、携帯ゲーム機等の筐体表面;自動車の外装、ピアノ、高級家具、大理石等の塗装及び表面;美術品展示用保護ガラス、ショーウインドー、ショーケース、広告用カバー、フォトスタンド用のカバー、腕時計、自動車用フロントガラス、列車、航空機等の窓ガラス、自動車ヘッドライト、テールランプ等の透明なガラス製又は透明なプラスチック製(アクリル、ポリカーボネート等)部材;各種ミラー部材等が挙げられる。これら用途において、本発明の硬化性組成物は、ただ単に目的物の表面への塗工によるものだけでなく、インモールド成形等で広く用いられている転写型ハードコートにも使用することができる。
本発明の硬化性組成物を基材表面に塗布する場合、その塗布方法としては、例えば、ロールコート、グラビアコート、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、バーコート、スクリーン印刷等が挙げられる。
また、本発明の硬化性組成物の硬化条件としては、特に制限されることはないが、好ましくは15〜150℃で数分〜数十時間、特に好ましくは50〜100℃で、10分〜2時間程度が望ましい。また、空気中の水分と(B)成分のイソシアネート基との反応を抑えるため、湿度は70%以下の環境であることが望ましい。
なお、本発明の硬化性組成物を塗布硬化して得られる硬化膜の厚さは、通常数nm〜100μm程度であり、好ましくは数nm〜10μmである。得られる膜厚が下限値以下の場合、十分な表面硬度は得られず、また100μm以上であると塗膜の機械的強度が低下し、クラックが入りやすくなる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1〜3、比較例1,2]
(A)成分:下記、本発明の化合物群(F−1〜F−3)
Figure 2013237824
Figure 2013237824
[Rf’:−CF2(OCF2CF2y(OCF2zOCF2
(y/z=0.9、y+z≒45)]
Figure 2013237824
[Rf’:−CF2(OCF2CF2y(OCF2zOCF2
(y/z=0.9、y+z≒45)]
及び、
本発明(A)成分に相当しない化合物
HOCH2Rf’CH2OH (F−4)
[Rf’:−CF2(OCF2CF2y(OCF2zOCF2
(y/z=0.9、y+z≒45)]
(B)成分:イソホロンジイソシアネート
(C)成分:メタクリル酸メチル(MMA)と2−ヒドロキシ−エチルメタクリレート(HEMA)のランダム共重合体(mol比:MMA/HEMA=88/12、数平均分子量8,400、OH基0.0011mol/g)
以上の(A)、(B)、(C)成分を以下の割合で触媒及び溶剤と配合し、組成物を調製した。
(配合比)
(A)成分 1質量部(比較例では未配合)
(B)成分 10質量部
(C)成分 89質量部
ジブチルスズ(IV)ジラウレート 0.1質量部
テトラヒドロフラン 100質量部
メチルイソブチルケトン 100質量部
得られた組成物をガラス板上でギャップ24μmのワイヤーバーで塗工し、120℃で2時間加熱した。加熱終了後、室温に戻し、硬化した塗工表面の特性を下記に示す方法により測定した。結果を表1に示す。
なお、比較例1(化合物(F−4))については配合物が相溶せず、平滑な表面が得られなかった。
〔外観〕
目視により塗膜の透明性、欠損の有無を確認した。
〔水接触角・オレイン酸接触角〕
接触角計(協和界面科学社製A3型)を用いて、硬化皮膜の水接触角及びオレイン酸に対する接触角を測定した。
〔動摩擦係数〕
表面性試験機(新東科学社製)を用いてベンコットM−3II(旭化成社製)に対する動摩擦係数を測定した。
〔マジックはじき性〕
ハイマッキー太字(ゼブラ社製)を用いて、硬化皮膜表面に線を引いたときのはじき具合を目視により確認した。
〔指紋拭き取り性〕
指紋拭き取り性は指を押し当てて指紋を付着させた後にティッシュペーパーで拭き、その拭き取り性を目視で評価した。
Figure 2013237824

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2013237824
    (式中、Rfはフルオロポリエーテル構造を含む分子量100〜40,000の一価又は二価の基である。Q1は少なくとも(a+b)個のSi原子を有する、シロキサン構造、非置換又はハロゲン置換のシルアルキレン構造、シルアリーレン構造又はこれらの2種以上の組み合せからなる(a+b)価の連結基であり、環状構造をなしていてもよい。Q2は炭素数1〜20の二価の炭化水素基であり、環状構造をなしていてもよく、途中エーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい。Rfが一価のときにはcは1であり、かつaは1〜6の整数であり、Rfが二価のときにはaは1であり、かつcは2である。bは1〜20の整数である。)
    で表される含フッ素アルコール化合物(A)を組成物全体100質量部中、0.005〜20質量部含むことを特徴とする硬化性組成物。
  2. 更に、(B)1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。
  3. 更に、(C)1分子中にヒドロキシル基を2個以上有し、フッ素原子を含まない多官能ヒドロキシル基含有化合物を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の硬化性組成物。
  4. 一般式(1)において、Q1が、下記式(2)
    Figure 2013237824
    [式中、a、bは式(1)におけるa、bと同じであり、破線は結合手を示し、aの繰り返し単位を有するユニットはRfと結合し、bの繰り返し単位を有するユニットは下記式
    −Q2−OH
    (式中、Q2は式(1)で定義した通りである。)
    で示される基と結合する。また、2種類の繰り返し単位の並びはランダムである。Rfは式(1)で定義した通りである。]
    で表される請求項1〜3のいずれか1項記載の硬化性組成物。
  5. 一般式(1)において、Q2
    −CH2CH2CH2
    −CH2CH2CH2CH2
    −CH2CH2CH2CH2CH2
    −CH2CH2CH2OCH2CH2
    −CH2CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2
    −CH2CH2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH2CH2
    Figure 2013237824
    で示される群の中より選ばれる請求項1〜4のいずれか1項記載の硬化性組成物。
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