以下、図1〜図10に基づき実施形態を説明する。本実施形態では、インクジェット記録装置として、固定式のラインヘッド4(ヘッド部に相当)を有するプリンター100(インクジェット記録装置に相当)を例に挙げて説明する。
(プリンター100の概要)
まず、図1を用いて、実施形態に係るプリンター100の概要を説明する。図1はプリンター100の概略構成を示す正面視模型的断面図である。
図1に示すように、給紙トレイ1がプリンター100の左側部に設けられる。給紙トレイ1は用紙を積載して収容する。この給紙トレイ1の用紙搬送方向下流側の端部に給紙ローラー対11が設けられる。給紙ローラー対11は収容された用紙を最上位の用紙から一枚ずつ順に搬送ユニット2に向けて送り出す。
給紙ローラー対11の用紙搬送方向下流側(図1において右側)に、搬送ユニット2が設けられる。搬送ユニット2は駆動ローラー21と、駆動ローラー21と軸線が平行な従動ローラー22と、駆動ローラー21と従動ローラー22に張架される搬送ベルト2323を含む。駆動ローラー21はベルト駆動モーター25(図2参照)の駆動力を受けて回転する。搬送ベルト23は駆動ローラー21の回転により周回する。これにより、搬送ベルト23上の用紙は図1の矢印Xの方向に搬送される。また、搬送ベルト23の用紙搬送方向下流側に、画像が記録された(印刷された)用紙を排出する排出ローラー対31が設けられる。又、排出ローラー対31は排出トレイ3に印刷済みの用紙を排出する。
そして、搬送される各用紙に画像の記録(印刷)を行うラインヘッド4が配される。具体的に、給紙ローラー対11と排出ローラー対31の間、かつ、搬送ベルト23の上方で用紙搬送方向上流側からシアンのインクを吐出するラインヘッド4C、マゼンタのインクを吐出するラインヘッド4M、イエローのインクを吐出するラインヘッド4Y、ブラックのインクを吐出するラインヘッド4Bkが順に並べて設けられる。これらのラインヘッド4C〜4Bkには、それぞれ異なる4色(シアン、 マゼンタ、イエロー及びブラック)のインクが充填される。そして、各ラインヘッド4C〜4Bkからそれぞれの色のインクが吐出され、用紙上にカラー画像が記録される(印刷される)。尚、本実施形態では、4色分のラインヘッド4を設ける例を説明するが、更に他の色のラインヘッド4を設けてもよい。各ラインヘッド4C〜4Bkは同様のものであり、共通する説明について、以下では色を示す符号(C、M、Y、Bk)を省略し、単にラインヘッド4と称することがある。
(ハードウェア構成)
次に、図2を用いて、実施形態に係るプリンター100のハードウェア構成の一例を説明する。図2はプリンター100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
まず、プリンター100には、記録動作(印刷動作)を制御する制御部5が設けられる。尚、制御部5は全体制御や画像処理を行うメイン制御部と、画像記録や各種回転体を回転させるモーター等のON/OFF等を制御するエンジン制御部、画像処理を行う画像処理制御部等、機能や処理内容に応じて分割して複数種の制御部を設けてもよい。
制御部5には、例えば、中央演算処理装置としてのCPU51が設けられる。そして、制御部5は記憶部52と通信可能に接続される。例えば、記憶部52はROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュROMの不揮発性と揮発性の記憶装置を含む。記憶部52は制御プログラムや制御データ、画像データ等を記憶する。CPU51は記憶部52に記憶される制御プログラムや制御データに基づき演算等を行い、プリンター100の各部に制御信号を発する。
又、制御部5は通信部53と接続される。通信部53は外部のコンピューター200(例えば、パーソナルコンピューターやサーバー)や、用紙に記録された画像を読み取り画像データを生成するスキャナ−300とネットワークやケーブル等によって通信可能に接続される。通信部53は各種コネクタ、ソケット、通信制御用のコントローラー、チップ、メモリー等を含む。そして、通信部53は外部のコンピューター200やスキャナ−300からプリンター100に印刷を行わせるための印刷用データ(例えば、画像データや印刷の設定データ等を含むデータ)を受信する。通信部53が印刷用データを受信すると、制御部5は印刷用データに基づき、各ラインヘッド4や搬送ユニット2等を動作させ、印刷を行わせる。
画像処理部6はコンピューター200から受信した画像データや、記憶部52に記憶される画像データ等の各種画像データに対し、各種画像処理を行う。尚、画像処理部6が行える画像処理は多岐にわたり、画像処理部6は、公知の画像処理を行えるものとして、便宜上、各画像処理の内容の説明は省略する。そして、画像処理部6は用紙に印刷する内容を示す画像データに基づき、最終的に、1ページ内の各画素(各ドット)につき、ドットの形成(インクの吐出)の有無や吐出量を表すドットデータに変換する。画像処理部6は各色につきノズル8の用紙搬送方向での位置に応じドットデータを調整し、調整後のドットデータ(詳細は後述)を各ラインヘッド4のドライバー7に送信する。尚、制御部5のCPU51、記憶部52、プログラムによって、機能的に画像処理部6が実現されても良い。
制御部5(画像処理部6)は各ラインヘッド4と接続され、各ラインヘッド4に動作指示を行う。各ラインヘッド4には実際に各ノズル8からのインクの吐出を制御するドライバー7が設けられる。各ドライバー7は一定の周期で各ノズル8から同時にインクを吐出させる。又、各ドライバー7は調整後のドットデータに基づき、各ノズル8からのインクの吐出の有無や吐出されるインク量を調整し、記録媒体上に形成されるドットの階調(ドット面積)を制御する。例えば、各ドライバー7は制御部5の指示に基づき、各ノズル8に印加される駆動電圧値や駆動パルス幅を変化させて、インクの吐出の有無や吐出量を調整する。
又、図2に示すように、制御部5は給紙ローラー対11、搬送ユニット2、排出ローラー対31、操作パネル54等のプリンター100を構成する各部と接続される。そして、制御部5は、各部の動作の制御、指示を行う。例えば、操作パネル54はハードキー(不図示)や、タッチパネルを備えソフトキーを表示する表示部(不図示)を含む。操作パネル54はハードキーやソフトキーが押されることによりなされた入力を受け付ける。操作パネル54は入力内容を認識し、入力内容を示すデータを制御部5に送信する。制御部5は入力内容に沿った動作を各部分に行わせる。
搬送ユニット2のエンコーダ24は搬送ベルト23を張架する駆動ローラー21又は従動ローラー22に接続される。エンコーダ24は駆動ローラー21又は従動ローラー22の回転軸の回転変位量(回転角度)に応じてパルスを出力する(例えば、数分の1周や半周に1パルス。任意に設定可能)。制御部5はエンコーダ24から送信されるパルスの数をカウントし、回転量から用紙の送り量を把握する。又、制御部5はエンコーダ24からの信号の周期に基づいて、ベルト駆動モーター25の回転速度を把握し、用紙搬送速度が一定となるようにベルト駆動モーター25の回転速度を制御する。そして、制御部5は1回のノズル8からのインクの吐出に対し、1ドット分(1ライン幅分)用紙が進むように搬送ユニット2に用紙を搬送させる。
又、用紙センサー26は画像の記録開始タイミングを計るためのセンサーである。例えば、用紙センサー26は光センサーであり、用紙が検知領域に存在するときと、存在しないときで出力が変化する。そして、用紙センサー26は制御部5に接続される。用紙センサー26と各ラインヘッド4のノズル8の位置までの距離と用紙の搬送速度に基づき、制御部5はラインヘッド4ごとに時間を計時する。ラインヘッド4ごと(ラインヘッド4ごと)に定められた時間を計時した際、制御部5は各ラインヘッド4にインクの吐出を開始させる。言い換えると、制御部5は用紙の先端検知時点から、用紙センサー26から各ノズル8までの距離を搬送するのに要する時間が経過すると各ラインヘッド4にインクの吐出を開始させる(1ページの印刷開始)。
尚、吸着部27は制御部5からの信号に基づき、給紙側の従動ローラー22に電圧を印加して、搬送ベルト23に用紙を静電吸着させる(吸気による吸着でもよい)。静電吸着の解除は制御部5の指示に基づき、吸着部27が接地を行うことにより行われる。
(インクの吐出制御の機構)
次に、図3を用いて、実施形態に係るプリンター100でのインクの吐出に関する機構の一例を説明する。図3はインクの吐出に関する機構の一例を示すブロック図である。
各ラインヘッド4(4C〜4Bk)は複数のノズル8と、各ノズル8に対して1つの圧電素子81(ピエゾ素子、PZN等)と、各圧電素子81に対し電圧を印加し、インクの吐出を実際に制御する複数のドライバー7を含む。仕様上の印刷可能な用紙サイズによるが、例えば、各ラインヘッド4にノズル8が2500個(2500ドット)程度設けられる。尚、各ラインヘッド4に設けられるノズル8は2500個未満でもよいし、2500個以上でもよい。尚、図3では、便宜上、各ラインヘッド4のうち、1つのラインヘッド4Bkのみ内部構成の一部を図示しているが、各ラインヘッド4の構成は基本的に同様であり、図示を省略している。
各ノズル8はエッチング等によって金属板に穴を開けることにより形成される。そして、各ノズル8に対し、圧電素子81が設けられる。ドライバー7は管轄する各圧電素子81のうち、ドットデータにあわせ、インクを吐出させる圧電素子81に対し、電圧を印加する。例えば、制御部5(画像処理部6)は各ドライバー7に対し、1回の吐出駆動単位で各ノズル8の動作を示す情報(吐出の有無や、濃度を示す情報、調整後のドットデータ)を送信する。各ドライバー7は各ノズル8の動作を示す情報に基づき、インクを吐出すべきノズル8に対応する圧電素子81に電圧を印加する。この結果、圧電素子81は電圧印加により、形状が変形し、ノズル8にインクを供給する流路(不図示)に圧力が加えられる。そして、流路に対する圧力が伝搬し、ノズル8からインクが吐出する。
又、各ドライバー7は圧電素子81に印加する電圧を変えることができる。例えば、圧電素子81に印加する基準の電圧に対し、圧電素子81に印加する電圧を小さくすることができる。これにより、ドライバー7は基準のインク吐出速度や吐出量に対し、インク吐出速度や吐出量を調整し、1ドットの濃度に差を持たせることができる。
(ラインヘッド4でのノズル8の配置)
次に、図4を用いて、実施形態に係るプリンター100での各ノズル8の配置の一例を説明する。図4は各ノズル8の配置の一例を示す説明図である。
まず、図4は各ラインヘッド4に設けられる複数のノズル8のうち、抽出した16個のノズル8の配置を示している。そして、図4の左右方向は用紙搬送方向(印刷方向)である。又、図4の上下方向はライン方向(ラインヘッド4の長手方向、用紙搬送方向に直交する方向)である。又、図4の方形(矩形)は1ドット(1画素)を示す。そして、各ノズル8は1画素(1ドット)のピッチにあわせた直径で形成される。
そして、各ノズル8の位置を座標として示すため、図4において、用紙搬送方向での各列(各ドット)に対し、0〜23の数字を何列目かを示す目盛として付し、上下方向(ライン方向)での各行(各ドット)に対し、A〜Pのアルファベットを何行目かを示す目盛として付す。
ラインヘッド4に各ノズル8をライン方向で一直線状に形成すれば、ドットデータのシフトが不要となり、ヘッド部分を小型化もでき、理想的である。しかし、プリンター100の解像度が大きいほど(ノズル8の直径が短くなるほど)、ノズル8をライン方向で一直線状に形成すること(加工すること)が難しくなる。
そこで、本実施形態の各ラインヘッド4では、ライン方向では重複しないように1ドットにつき1つのノズル8を設ける。そして、用紙搬送方向(印刷方向)では、ドットピッチ単位(ライン幅単位)で間隔を設けつつ、ライン方向で隣接しあうノズル8の位置をずらす。具体的に、図4の例では、座標で言えば、A0(A行0列)、B3(B行3列)、C6(C行6列)、D9(D行9列)、E12(E行12列)、F15(F15列)、G18(G行18列)、H21(H行21列)、I0(I行0列)、J3(J行3列)、K6(K行6列)、L9(行L9列)、M12(M行12列)、N15(N行15列)、O18(O行18列)、P21(P行21)にノズル8が配される。
まず、本実施形態のラインヘッド4では、最も用紙搬送方向上流側にノズル8がライン方向でaドットごとに(図4の例では8ドットごと。8ドット以外でもよい)設けられる(図4でのA行とI行)。言い換えると、ノズル8は最も用紙搬送方向上流側の位置にライン方向で、8ドット周期で設けられる。
そして、本実施形態のラインヘッド4では、最も用紙搬送方向上流側のノズル8に対し、用紙搬送方向で下流側に向かうに従って、bドットごとに(図4にて点線矢印で図示。図4の例では3ドットごと。3ドット以外でもよい)7つのノズル8が設けられる(図4での3、6、9、12、15、18、21列)。又、本実施形態のラインヘッド4では、最も用紙搬送方向上流側のノズル8に対し、用紙搬送方向で下流側に向かうに従って、ノズル8の位置がライン方向で1ドットずつ上方にずらされる(B行〜H行、J行からP行)。
最も用紙搬送方向上流側のノズル8の位置を(X(行)=0,Y(列)=0)とすると、下流側のノズル8の位置は(X=b×n,Y=n)の位置となる。又、bは用紙搬送方向での間隔であり、nは任意の整数であり、単位はドットあたりのピッチである。このように、本実施形態の各ラインヘッド4では、用紙搬送方向での位置をずらしつつ、各ノズル8が一定の規則に基づき形成される。言い換えると、一定数(8つ)のノズル8ごとに用紙搬送方向での位置が同じ位置となるように各ノズル8が形成される。
(ドットデータの調整の必要性)
次に、図4及び図5を用いて、ドットデータの調整の必要性を説明する。図5はドットデータの調整の一例を示す説明図である。
図4を用いて説明したように、本実施形態の各ラインヘッド4のノズル8の位置が用紙搬送方向(印刷方向)でずれている。そのため、印刷された状態を示すドットデータを調整しないまま、1ラインずつ各ドライバー7に与えてインクをノズル8から吐出させると各ノズル8の位置のずれが印刷で反映される。
図5を用いて、具体的に説明する。図5はドットデータの一例を示す。図5での1マスは1ドットを示す。そして、各ドット(各マス)内に記された「0」は「吐出無し」
を示し、「1」は「高濃度で吐出」を示し(図5において強めの網掛けで図示)、「2」は「低濃度で吐出」を示す(図5において弱めの網掛けで図示)。尚、上述のように、本実施形態の各ドライバー7はドット単位でインクの吐出量を異ならせて濃度を変えることができる。
そして、図5のうち、左側のドットデータは調整前の画像データ(印刷された状態を示すドットデータ)を示す。このデータは2ライン分高濃度でベタ塗りをした後、低濃度でベタ塗りする旨を示している。
本実施形態では、制御部5は搬送ユニット2に1ドット分(1ライン分)搬送させるごとに各ドライバー7に1回、インクを各ノズル8から吐出させる。言い換えると、各ノズル8からのインクの吐出は同時に行われ(吐出周期が一致)し、制御部5はインクの吐出と吐出の間に用紙を1ドット分(1ライン分)、搬送ユニット2に搬送させる。
図5に示す調整前のドットデータをそのままドライバー7に与えた場合、各ノズル8の位置ずれが反映されたままインクの吐出が行われる。図4に示すノズル8の配置であれば、調整前のドットデータに基づきインクの吐出が行われると、ラインに沿って一直線上ではなく、斜線状のラインが印刷される。
そこで、ノズル8の配置にあわせ、1ラインのドットデータに対し、各ドットのインクの吐出タイミングをずらす調整が必要になる。具体的には、最も用紙搬送方向上流側のノズル8に対しての用紙搬送方向での距離に応じ、吐出タイミングを遅らせる。
例えば、図4に示したB3のノズル8はA0のノズル8に対し、用紙搬送方向で3ドット分(3ライン分)ずれている。そのため、ライン方向での直線を描くとき、A0のノズル8の吐出駆動(1回目)から3回後の吐出駆動(4回目の吐出駆動、3ライン分移動した後に)のときにB3のノズル8にインクを吐出させればよい。同様に、C6のノズル8については、A0のノズル8の吐出駆動(1回目)から6回後の吐出駆動(7回目の吐出駆動)のときにC6のノズル8にインクを吐出させればよく、D9のノズル8については、A0のノズル8の吐出駆動(1回目)から9回後の吐出駆動(10回目の吐出駆動)のときにD9のノズル8にインクを吐出させればよく、E12のノズル8については、A0のノズル8の吐出駆動(1回目)から12回後の吐出駆動(13回目の吐出駆動)のときにE12のノズル8にインクを吐出させればよく、F15のノズル8については、A0のノズル8の吐出駆動(1回目)から15回後の吐出駆動(16回目の吐出駆動)のときにF15のノズル8にインクを吐出させればよく、G18のノズル8については、A0のノズル8の吐出駆動(1回目)から18回後の吐出駆動(19回目の吐出駆動)のときにG18のノズル8にインクを吐出させればよく、H21のノズル8については、A0のノズル8の吐出駆動(1回目)から21回後の吐出駆動(22回目の吐出駆動)のときにH21のノズル8にインクを吐出させればよい。尚、I0〜P21については同様であるので省略する。
このように、意図する印刷物を得るには、用紙搬送方向で最も上流側のノズル8からの用紙搬送方向での距離に応じ、インクの吐出タイミングをずらす(シフトする)調整をドットデータに対して行う必要がある。
(画像処理部6による画像処理の流れ)
次に、図6〜図8を用いて、ドットデータの調整を含む画像処理部6による画像処理の流れの一例を説明する。図6は画像処理部6の一例を示すブロック図である。図7は抽出処理部91の一例を示すブロック図である。図8はメインメモリー95に蓄えられるバインドデータの一例を示す説明図である。
上述のように、通信部53はコンピューター200等からプリンター100で印刷させる内容や設定情報を含む印刷用データを受信する。そして、例えば、画像処理部6にはラスターデータ生成部61が設けられる。印刷用データに含まれるページ記述言語による記述内容に基づき、例えば、ラスターデータ生成部61はビットマップ形式の画像データを生成する。言い換えると、ラスターデータ生成部61は各画素が濃度を示す画素値を含む画像データを生成する。
ラスターデータ生成部61が生成した画像データは画像処理回路62に引き渡される。画像処理回路62は画像データに対し各種の画像処理を行う。尚、コンピューター200等からラスターデータ形式の画像データを受信したとき、ラスターデータ生成部61を介さずに、画像データを画像処理回路62に引き渡してもよい。
画像処理回路62は複数の画像処理を行う回路を含む。例えば、画像処理回路62は画像データの形式変換(色変換等)を行う回路や、画像データの加工(例えば、濃度変換やズームなど)を行う回路を含む。印刷用データに含まれる設定データに応じ、画像処理回路62は画像データに対して画像処理を行う。
画像処理回路62により画像処理が施された画像データはハーフトーン処理部63に与えられる。ハーフトーン処理部63はハーフトーン処理を行って画像データをドットデータに変換する。ハーフトーン処理部63はドットのON/OFFを示すデータ(各画素のインクの吐出の有無や濃度を示すデータ)であるドットデータを各色分生成する。例えば、ハーフトーン処理部63はディザ法等の技術を用いて、各色のドットデータを生成する。
ハーフトーン処理部63が生成したドットデータは画像メモリー64に蓄えられる。そして、画像メモリー64はドットデータを1ラインずつ出力処理部9に入力する。尚、画像メモリー64を設けず、ハーフトーン処理部63からドットデータが1ラインずつ出力処理部9に入力するようにしてもよい。
出力処理部9はラインヘッド4のノズル8の配置に応じてドットデータを調整し、調整後のドットデータをラインヘッド4(ドライバー7)に出力する部分である。尚、出力処理部9は各色に対して1つずつ設けられてもよい。しかし、各出力処理部9が行う処理の内容や手法に差はないので、以下の説明では、色の区別に言及せずに説明し、図6でも出力処理部9は1つのみ図示する。尚、以下の説明はいずれの色の出力処理部9にもあてはまる。
例えば、出力処理部9は抽出処理部91、バインドメモリー92、書込DMAコントローラー93(転送部、コントローラーに相当)、メモリーコントローラー94(転送部、コントローラーに相当)、メインメモリー95(転送部、転送用メモリーに相当)、読出DMAコントローラー96(転送部、コントローラーに相当)、出力メモリー97(転送部、転送用メモリーに相当)を含む。例えば、抽出処理部91、バインドメモリー92、書込DMAコントローラー93、メモリーコントローラー94、読出DMAコントローラー96、出力メモリー97は1つのチップとしてワンチップ化される(ASIC化される、図6において破線で囲む範囲)。
抽出処理部91はラインヘッド4の各ノズル8の用紙搬送方向でのずれに応じ(ノズル8の配置に応じ)、調整前のドットデータから、インクの吐出駆動一回単位でインクの吐出の有無やインクの吐出濃度を示す情報をそれぞれのノズル8に対して定めたバインドデータ(吐出駆動1回単位でまとめた調整後のドットデータ)を得るための回路である。
抽出処理部91の一例を説明する。図7に示すように、抽出処理部91には複数個のシフトレジスタ91Rからなるシフトレジスタ群910を含ませることができる。それぞれのシフトレジスタ91Rはライン方向でのノズルの間隔(ドット数)分だけ入力されたデータを遅延させたドットデータを出力する。図4で示した例のように、同じ列(ライン方向)で8ドットずつノズル8が設けられるのであれば、各シフトレジスタ91Rはライン方向での8ドット入力されたデータを遅延させたドットデータを出力する。
尚、シフトを行うタイミングを合わせるため、各シフトレジスタ91Rにはクロック信号(例えば、制御部5内に設けられるクロック生成部55が生成。図2参照)が供給される。クロック生成部55が生成するクロック信号の周期は1ラインあたりの時間と同じである。あるいは、各シフトレジスタ91Rにはクロック生成部55が生成したクロック信号を逓倍したクロック信号を与えてもよい。各ドライバー7はクロック信号と同期をとってインクを吐出し、制御部5はクロック信号の周期に1ライン分用紙が搬送されるように、搬送ユニット2を制御する。言い換えると、クロック信号はインクの吐出駆動や用紙搬送やシフトの同期をとるための信号である。
例えば、本実施形態の各色のヘッド4ではライン方向に沿ってノズル8が2400個(2400ドット)程度設けられるのであれば、シフトレジスタ91Rは300個程度(2400÷8)設けられる(図7ではその一部のみ図示)。
そして、抽出処理部91には、画像メモリー64からのドットデータの読み出しを制御するコントローラーとしての読出制御部911が含まれる。読出制御部911は画像メモリー64に蓄積されたドットデータ中、ノズル8の設置位置に対応するドットデータを主走査方向のライン単位(ライン方向)で読み出し、1ドットずつシフトレジスタ群910に入力する。
図4に示したノズル8の配置例を用いて説明する。例えば、読出制御部911は画像メモリーに蓄積されたドットデータ中、その吐出駆動(用紙の搬送位置に応じて、その吐出駆動でのドットデータ内から抽出すべきドットは変わる)でのノズル8の設置位置に対応するライン(図4の例では0列、3列、6列、9列、12列、15列、18列、21列に対応するライン)のドットデータをライン単位で逐次読み出し、シフトレジスタ群910に入力する。それぞれのシフトレジスタ91Rはライン方向でのノズル8の間隔(図4の例では8ドット数)分だけ入力されたデータを遅延させたドットデータを出力する。そして、バインドメモリー92は先頭(上位)ビット(例えば、A行0列のビット)が最も後段のシフトレジスタ91Rから出力されているときの各シフトレジスタ91Rのデータ(出力)をバインドデータとして取り込む(格納する)。言い換えると、バインドメモリー92はノズル8の設置位置に対応したドットデータが出力されているときの各シフトレジスタ91Rの出力を格納する。
具体的に、その吐出駆動を行うときのA行0列のノズル8の位置に対応するドットデータ、I行0列のノズル8の位置に対応するドットデータというように、0列のラインのノズル8の位置に対応するドットデータがバインドデータとしてバインドメモリー92に格納される。これにより、バインドメモリー92には、ライン方向での先頭位置のノズル8から後尾方向までの各ノズル8の設置位置のドットデータがバインドデータとして格納される。
次に、読出制御部911はノズル8の用紙搬送方向での間隔(図4の例では3ドット)に応じ、その吐出駆動を行うときの第3列のラインのノズル8の位置に対応するドットデータをシフトレジスタ群910に入力する。その結果、バインドメモリー92には、B行3列のノズル8の位置に対応するドットデータ、続いて、J行3列のノズル8の位置に対応するドットデータというように、第3列のノズル8の設置位置に対応するドットデータがバインドデータとしてバインドメモリー92に格納される。以下、6列、9列、12列、15列、18列、21列と用紙搬送方向の3ドット間隔で読出制御部911はライン単位でドットデータをシフトレジスタ群910に入力する。そして、各列のノズル8の設置位置に対応するドットデータがバインドデータとしてバインドメモリー92に格納される。尚、バインドデータの生成速度を高めるため、シフトレジスタ群910を複数設けるようにしてもよい。
このように、ライン単位でのノズルの間隔に応じたドットデータの抽出処理を、用紙搬送方向のライン毎に繰り返すことにより、1回の吐出駆動でのノズル8の位置に応じて抽出されたノズル8の動作を示す情報がバインドデータとしてバインドメモリー92に格納される。言い換えると、抽出処理部91はラインのドットデータから、ノズル8の設置位置に対応していないドットデータを省いたドットデータを抽出、生成し、バインドメモリー92に格納する。
これにより、バインドデータは予め定められたノズル8の順序で、吐出駆動1回でのインクを吐出させるノズル8や、インクの吐出濃度を示す情報を含むことになる。
このように読出制御部911は画像メモリー64から抽出処理部91内のシフトレジスタ群910へのデータ転送を指示し、画像メモリー64はライン単位でデータを転送すれば自動的にバインドデータが生成されバインドメモリー92に格納されるので、処理速度や効率の点で良好である。
尚、ドットデータの各ドットは各印刷物での各画素に対応し、バインドデータを生成する上で各ドットを並び替えるべき順番は、ノズル8の配置に応じて固定的に決まる。そこで、シフトレジスタ群910を設けず、読出制御部911が画像メモリー64からノズル8の配置に応じて、予め定められたノズル8の順序でインクの吐出濃度を示す情報が読み出されるように、予め定められたアドレス順にドットデータを読み出し、読み出し順でバインドメモリー92に格納させることにより、バインドデータがバインドメモリー92に格納されるようにしてもよい。
バインドメモリー92に記憶されたバインドデータはメインメモリー95に転送される。メインメモリー95は転送されたバインドデータを蓄積する。図8に示すように、メインメモリー95は吐出駆動の複数回数分のバインドデータを記憶する。例えば、メインメモリー95は印刷可能な最大の用紙サイズで、1〜数十ページ分(例えば、10ページ分)のバインドデータを記憶できる容量を有する。
図8は1ページ印刷するのにL回吐出駆動を行うときのメインメモリー95での各バインドデータの格納状態を示す。そして、本実施形態のメインメモリー95は複数ページ分のバインドデータを格納でき、図8では2ページ目(L+1回目以降)のバインドデータを記憶した状態の一例を示している。
1ページ分、あるいは、複数ページ分のバインドデータがメインメモリー95に蓄積されると、バインドデータが吐出駆動1回分ずつ順次出力メモリー97に転送される。そして、吐出駆動1回分のバインドデータが出力メモリー97から順次ラインヘッド4の各ドライバー7に転送される。このバインドデータに基づき、各ドライバー7は各ノズル8からインクを吐出させる。
書込DMAコントローラー93はバインドメモリー92に記憶されたバインドデータのメインメモリー95への書込制御を行う。又、読出DMAコントローラー96はメインメモリー95に記憶されたバインドデータを読み出し、出力メモリー97への転送制御を行う。メモリーコントローラー94は書込DMAコントローラー93や読出DMAコントローラー96に指示を与え、画像処理部6でのメインメモリー95の書込、読出の制御を統括する。言い換えると、バインドメモリー92→メインメモリー95→出力メモリー97等の各転送用のメモリーはコントローラー(書込DMAコントローラー93、メモリーコントローラー94、読出DMAコントローラー96)に制御される。
(バインドデータの各メモリーへの格納)
次に、図9を用いてバインドデータの格納について説明する。図9はバインドメモリー92や出力メモリー97等に蓄積されるバインドデータの状態の一例を示す説明図である。
抽出処理部91は各ノズル8についてインクの吐出駆動1回単位でそれぞれのノズル8の動作を示す情報をバインドメモリー92に出力する。例えば、抽出処理部91はノズル8が1つのラインヘッド4につき2500個あれば、2500個のノズル8の動作を示す情報をバインドデータとして出力する。
バインドデータはバインドメモリー92、メインメモリー95、出力メモリー97の順に転送される。尚、コストと転送速度確保と容量を満たす観点からバインドメモリー92やメインメモリー95や出力メモリー97にはSDRAMが用いられる。
そして、バインドメモリー92、メインメモリー95、出力メモリー97では、それぞれ、どの場所(メモリーのアドレス)にどのノズル8の情報を格納するかが予め定められている。言い換えると、各メモリーでは、ノズル8の動作を示す情報は各ノズル8の位置に応じて予め定められた格納場所に格納され、格納場所(格納されたメモリーのアドレス)が対応するノズル8を示す。例えば、A0のノズル8に対する動作を示す情報は常に各メモリーで決まった格納場所(アドレス)に格納される。
バインドメモリー92は抽出処理部91から出力されるバインドデータ内の各ノズル8の動作を示す情報を、ノズル8の位置に対応させて予め定められたアドレスに格納する。又、書込DMAコントローラー93はバインドデータをバインドメモリー92から読み出し、各ノズル8の動作を示す情報を、ノズル8の位置に対応させて予め定められたメインメモリー95のアドレスに格納する。又、読出DMAコントローラー96はバインドデータをメインメモリー95から読み出し、各ノズル8の動作を示す情報を、ノズル8の位置に対応させて予め定められた出力メモリー97のアドレスに格納する。従って、バインドデータには、ノズル8の動作を示す情報にノズル8の位置を示すデータを付さなくて済む。
本実施形態のバインドメモリー92や出力メモリー97の容量は全ノズル8の吐出駆動1回分のバインドデータを記憶できる容量を有する(1回分以上でもよい)。例えば、動作を示す情報に吐出の有無や濃い、薄いといった情報を含めるのであれば、1ノズルあたり、少なくても2ビット分必要である。例えば、ラインヘッド4の1つあたりノズル8が2500個あれば、バインドメモリー92や出力メモリー97は2500(ノズル8数)×2(ビット)の容量を有する。尚、1ページあたり5000回吐出駆動するのであれば、1ページ分のバインドデータは2500(ノズル数)×2(ビット)×5000(吐出駆動回数)となる。例えば、メインメモリー95は記憶可能な枚数分のバインドデータを記憶できる容量を有する。
(ドットデータの調整とインク吐出駆動の流れ)
次に、図10を用いて、本実施形態に係るプリンター100でのドットデータの調整とインク吐出駆動の流れ(出力処理部9の処理の流れ)の一例を説明する。図10はドットデータの調整とインク吐出駆動の流れの一例を示すフローチャートである。
図10のフローチャートでは、1ページの印刷を行う例を説明する。複数ページにわたり印刷する場合には、複数ページ分のバインドデータをメインメモリー95に記憶してからインク吐出を開始してもよいし、1ページごとに図10のフローチャートを繰り返してもよい。
図10のスタートはコンピューター200から送信された印刷用データに基づき、印刷を開始するため、ハーフトーン処理部63が画像データに対応するドットデータを生成した時点である。
そして、画像処理部6(制御部5)は抽出処理部91に1ライン単位でドットデータを入力する(ステップ♯1)。そして、抽出処理部91はノズル8の位置にあわせドットデータ内の各ドットのノズル8の動作を示す情報をシフト(遅延)させ、1回の吐出駆動での各ノズル8の動作を示す情報をまとめたバインドデータを生成する(ステップ♯2)。そして、バインドメモリー92は生成されたバインドデータを記憶する(ステップ♯3)。次に、メモリーコントローラー94や書込DMAコントローラー93はバインドメモリー92内のバインドデータをメインメモリー95に転送する(ステップ♯4)。
そして、メモリーコントローラー94はインク吐出の開始条件として予め定められた量のバインドデータがメインメモリー95に蓄積されたか否かを確認する(ステップ♯5)。言い換えると、メモリーコントローラー94はメインメモリー95に予め定められた量のバインドデータの蓄積が完了したか否かを確認する(ステップ♯5)。
例えば、ジャム(用紙の詰まり)等のエラーにより印刷が停止したとき、再度印刷を行うに際し、コンピューター200から印刷用データの再送信や再度の画像処理を不要とするために、メインメモリー95には1ページ分や複数ページ分のバインドデータが蓄積される。尚、制御部5は用紙センサー26の出力に基づきジャムの発生を検知できる。例えば、給紙開始時点と用紙搬送速度と用紙センサー26の設置位置に基づき、用紙センサー26が用紙の到達を検知すべきなのに検知しないときや、用紙センサー26が用紙の通過を検知すべきなのに検知しないとき、制御部5はジャムが発生したと認識する。
そこで、本フローチャートでは、インク吐出の開始条件は1ページ分のバインドデータがメインメモリー95に蓄積された時点とする。尚、1つの印刷ジョブで複数ページにわたり連続して印刷する場合には、複数ページ分のバインドデータがメインメモリー95に蓄積された時点でインクの吐出が開始されてもよいし、1ページ分のバインドデータがメインメモリー95に蓄積されるごとにインクの吐出が開始されてもよい。
もし、バインドデータの蓄積が完了していなければ(ステップ♯5のNo)、フローはステップ♯1に戻る。一方、バインドデータの蓄積が完了したのであれば(ステップ♯5のYes)、読出DMAコントローラー96は出力メモリー97を介し、メインメモリー95のバインドデータを1回の吐出駆動単位ずつ、順次各ドライバー7に出力する(合計で1ページ分のバインドデータ。ステップ♯6)。これにより、ドライバー7はバインドデータに基づき一定の周期で各ノズル8からインクを吐出し、1ページ分の用紙への印刷(記録)が行われる。尚、制御部5はインクの吐出にあわせて用紙の給紙と搬送を行う。
そして、1ページの印刷が完了すると、メインメモリー95は印刷済みの1ページ分のバインドデータを消去する(ステップ♯7)。そして、本フローは終了する(エンド)。
このようにして、本実施形態に示すインクジェット記録装置は、インクを予め定められたタイミングで吐出し、ライン方向の1ドットにつき少なくとも1つ設けられ、用紙搬送方向での位置がずらされて設けられるノズル8を複数含むヘッド部(ラインヘッド4)と、画像データを1ページ内の各画素について、ドットの形成の有無を示すドットデータに変換するハーフトーン処理部63と、ハーフトーン処理部63が生成したドットデータを用紙搬送方向でのノズル8の位置のずれに応じてシフトさせ、インクの吐出駆動1回単位でそれぞれのノズル8の動作を示す情報を含むバインドデータを生成する抽出処理部91と、抽出処理部91が出力したバインドデータを記憶するバインドメモリー92と、バインドメモリー92に蓄積されたバインドデータをヘッド部に向けて転送する転送部(メインメモリー95、出力メモリー97、書込DMAコントローラー93、メモリーコントローラー94、読出DMAコントローラー96等)と、を含み、ヘッド部の各ノズル8はバインドデータに基づき、インクの吐出駆動を行う。
これにより、最初にノズル8の設置位置(用紙搬送方向でのずれ)に応じた画像データ内の各画素の位置調整(ラインのシフト)が抽出処理部91で行われ、インクの吐出駆動1回単位でそれぞれのノズル8の動作を示す情報を含むバインドデータが生成される。従って、転送部(メインメモリー95、出力メモリー97、書込DMAコントローラー93、メモリーコントローラー94、読出DMAコントローラー96等)はヘッドに対して余分なデータを含まないバインドデータを転送するだけでよく、ヘッドへのデータ転送に際して、不要なデータ(使用しないデータ)を含む冗長なデータの読出や、同内容のデータ(調整前のドットデータ)の複数回にわたる読出などの無駄な読出処理を行うことがない。そのため、ドットデータを調整し、調整後のドットデータ(バインドデータ)をヘッド部に渡すまでの処理の高速化を図ることができる。又、ドットデータの調整と、調整後のドットデータをヘッドに渡すまでの処理が高速化されるので、クロックの高速化や、高速化したクロックに対応する高コストなデバイスを採用せずに済み、インクジェット記録装置(プリンター100)の製造コストを削減することができる。
転送部はバインドデータを記憶する転送用メモリー(メインメモリー95、出力メモリー97)を含み、バインドメモリー92及び転送用メモリーはノズル8の動作を示す情報をノズル8の位置に応じて予め定められた格納場所に記憶する。これにより、ヘッド部(ラインヘッド4)に含まれる各ノズル8と格納場所のアドレスが1対1で対応する関係となる。従って、どのノズル8の動作を示す情報がどのノズル8に対応しているかを示す情報をバインドデータに含める必要がなくなり、バインドデータのサイズを小さくすることができる。このように、バインドデータがコンパクトであるから、データ転送量が少なくて済み、調整後の画像データ(バインドデータ)をヘッドに渡すまでの処理を容易に高速化することができる。
転送部はバインドメモリー92からバインドデータを受けるメインメモリー95とメインメモリー95からバインドデータを受け、ヘッド部(ラインヘッド4)にバインドデータを出力する出力メモリー97を転送用メモリーとして含み、バインドメモリー92とメインメモリー95間、及び、メインメモリー95と出力メモリー97間のバインドデータの転送を制御するコントローラー(書込DMAコントローラー93、メモリーコントローラー94、読出DMAコントローラー96)を含む。これにより、各メモリー間でのバインドデータの転送を確実、正確に行うことができる。
又、バインドメモリー92及び出力メモリー97はインクの吐出駆動1回分のバインドデータの大きさに応じた記憶容量を有し、メインメモリー95は少なくとも1ページ印刷するうえで行う全吐出駆動回数分のバインドデータの大きさに応じた記憶容量を有する。これにより、バインドメモリー92や出力メモリー97の容量を小さくすることができ、インクジェット記録装置(プリンター100)の製造コストを削減することができる。また、メインメモリー95は1ページ分のバインドデータを記憶するので、ジャム(用紙の詰まり)等のエラーが生じ、印刷のやり直しが必要となったとき、インクジェット記録装置に再度画像データを送信(入力)しなくても、メインメモリー95からヘッドに向けてバインドデータを再送することにより印刷を再開することができる。
又、インクジェット記録装置(プリンター100)では、画像データを扱うため、数百MByte以上の容量が必要となることもある。又、読み出し速度や書き込み速度が数百MByte/Sec以上必要な場合もある。一方で、製造コストを抑える必要がある。例えば、HDD(Hard disk drive)では、容量が十分でも読み出し速度や書き込み速度の点で不十分である。又、SRAM(Static Random Access Memory)やSSD(Solid State Drive)ではインクジェット記録装置(プリンター100)の製造コストが大きく上昇してしまう。そこで、バインドメモリー92はSDRAMとする。これにより、読み出し速度や書き込み速度の要求を満たしつつ製造コストの大幅な上昇を避けることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。