JP2004106470A - インクジェット記録装置、インクジェット記録方法及びインクジェット記録用プログラム - Google Patents

インクジェット記録装置、インクジェット記録方法及びインクジェット記録用プログラム Download PDF

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渡邉 英博
Atsushi Kubota
久保田 敦
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Abstract

【課題】ライン型のインクジェットプリンタヘッドを用いた1パス記録方式を採用したとしても、ノズルのインク吐出不良を発生しにくくする。
【解決手段】1パス記録方式を実行するライン型のインクジェットプリンタヘッド3をそのノズルの配列方向、つまり主走査方向に往復移動させるヘッド移動駆動部10を設け、このヘッド移動駆動部10を駆動制御してインクジェットプリンタヘッドをノズルの配列方向に移動させるヘッド移動処理と、このときのインクジェットプリンタヘッド3の移動量に応じたピッチでヘッド移動方向と逆方向に、インク滴を吐出させるノズルの位置をインクジェットプリンタヘッド3全体としてずらすノズル位置変更処理とを実行する。これにより、インク滴を吐出させるノズルの位置がインクジェットプリンタヘッド3全体としてずれ、インクを吐出しないノズルが減少し、ノズルのインク吐出不良が発生しにくくなる。
【選択図】  図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のノズルが配列されたライン型のインクジェットプリンタヘッドを使用し、このインクジェットプリンタヘッドを画像信号に基づいて駆動制御し、各ノズルから記録媒体に選択的にインク滴を飛翔させて画像形成を行なうインクジェット記録装置、そのようなインクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に用いられるインクジェット記録用のコンピュータプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット記録装置では、シリアル型のインクジェットプリンタヘッドを用いたシリアル方式の記録動作を行なうものが広く普及している。ところが、シリアル方式のインクジェット記録装置では、ノズル数が少ないインクジェットプリンタヘッドを記録媒体の搬送方向と直交する方向に何度も走査しながら記録動作を完遂するという構造上、自ずとヘッド走査回数が増え、記録時間が長くなってしまうという問題がある。
【0003】
これに対して、高速度な記録を実現するための手法として、ライン型のインクジェットプリンタヘッドを用いたライン方式の記録手法がある。このようなライン方式の記録は、一回の記録媒体の搬送で記録動作を終了する1パス記録方式であり、そのために極めて高速な記録動作を実現することが可能である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このようなライン方式の記録は、例えばレシート印字等のような幅が比較的狭い記録媒体に対して印字を行なう方式として広く普及しているが、近年、ある程度の長さを持ったライン型のインクジェットプリンタヘッドが開発され、例えばA4用紙のような幅が広い記録媒体に対してもライン方式を用いた記録動作が可能になっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平06−210879号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ライン型のインクジェットプリンタヘッドを用いた1パス記録方式での記録動作を実行する場合、インクジェットプリンタヘッドの各ノズルの位置と記録媒体の主走査方向の位置とは常に一定となる。それにも拘らず、記録される画像、特に文書やレイアウトされた画像等では、記録媒体の主走査方向の位置が常に一定であることが珍しくない。このため、インクジェットプリンタヘッドにおいて、使用するノズルに偏りが生じてしまい、長時間インクの吐出が行なわれないノズルが発生してしまうことがある。例えば、図8に例示するように、記録媒体101に文字だけの文書を複数枚記録するような場合、インクジェットヘッド102においては、文字と文字との間の行間部分に対応するノズル群103が全く使用されず、これらのノズル群103に含まれているノズル(図示せず)は長時間非吐出状態となってしまう。これに対して、インクジェットプリンタヘッドでは、ノズルからインクを吐出しない時間が長くなるにつれ、そのノズルに吐出不良が発生し易くなる。
【0007】
このようなことから、ライン型のインクジェットプリンタヘッドを用いた1パス記録方式を採用すると、ノズルのインク吐出不良が発生しやすくなるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、ライン型のインクジェットプリンタヘッドを用いた1パス記録方式を採用したとしても、ノズルのインク吐出不良を発生しにくくすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェット記録装置は、複数のノズルが配列されたライン型のインクジェットプリンタヘッドを記録媒体に規定の間隔を開けて位置付け、インクジェットプリンタヘッドと記録媒体とをノズルの配列方向と直行する副走査方向に相対的に移動させる副走査駆動部を設け、画像信号に基づいて、インクジェットプリンタヘッドを駆動制御してノズルから選択的にインク滴を吐出させる主走査駆動処理と、副走査駆動部を駆動制御してインクジェットプリンタヘッドと記録媒体とを相対的に副走査方向に移動させる副走査駆動処理とを実行することで、画像信号に応じた記録動作を行なう。そして、本発明のインクジェット記録装置は、インクジェットプリンタヘッドをノズルの配列方向に往復移動させるヘッド移動駆動部を設け、このヘッド移動駆動部を駆動制御してインクジェットプリンタヘッドをノズルの配列方向に移動させるヘッド移動処理と、このときのインクジェットプリンタヘッドの移動量に応じたピッチでヘッド移動方向と逆方向に、インク滴を吐出させるノズルの位置をインクジェットプリンタヘッド全体としてずらすノズル位置変更処理とを実行する。これにより、インク滴を吐出させるノズルの位置がインクジェットプリンタヘッド全体としてずれ、インクを吐出しないノズルが減少し、ノズルのインク吐出不良が発生しにくくなる。
【0010】
この際、ヘッド移動駆動部が駆動制御されてインクジェットプリンタヘッドがノズルの配列方向に移動することから、画像のずれを生じさせないようにも、あるいは画像のずれが多少生じてもそれをユーザに視認させないようにもすることが可能である。このような画像のずれを気にしなければ、別の面から見た本発明のインクジェット記録装置として、ヘッド移動駆動部とヘッド移動処理とを省略したインクジェット記録装置とすることも可能である。
【0011】
本発明のインクジェット記録方法の発明は、上記インクジェット記録装置を用いて、ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングを判定する工程と、ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングの判定に応じて、ヘッド移動駆動部を駆動制御してインクジェットプリンタヘッドをノズルの配列方向に移動させるヘッド移動処理を実行する工程と、このときのインクジェットプリンタヘッドの移動量に応じたピッチを判定する工程と、インクジェットプリンタヘッドの移動量に応じたピッチとして判定されたピッチでヘッド移動方向と逆方向に、インク滴を吐出させるノズルの位置をインクジェットプリンタヘッド全体としてずらすノズル位置変更処理を実行する工程と、を実行することで、インク滴を吐出させるノズルの位置をインクジェットプリンタヘッド全体としてずらし、インクを吐出しないノズルを減少させてノズルのインク吐出不良を発生しにくくすることが可能である。
【0012】
この際、ヘッド移動駆動部が駆動制御されてインクジェットプリンタヘッドがノズルの配列方向に移動することから、画像のずれを生じさせないようにも、あるいは画像のずれが多少生じてもそれをユーザに視認させないようにもすることが可能である。このような画像のずれを気にしなければ、別の面から見た本発明のインクジェット記録方法として、ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングが判定された場合、ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングの判定に応じて、インク滴を吐出させるノズルの位置をインクジェットプリンタヘッド全体としてずらすノズル位置変更処理を実行する工程を実行し、インクジェットプリンタヘッドの移動量に応じたピッチを判定する工程等を省略したインクジェット記録方法とすることも可能である。
【0013】
本発明のインクジェット記録用のコンピュータプログラムの発明は、上記インクジェット記録装置が具備するコンピュータにインストールされ、このコンピュータに、ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングを判定する機能と、ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングの判定に応じて、ヘッド移動駆動部を駆動制御してインクジェットプリンタヘッドをノズルの配列方向に移動させるヘッド移動処理を実行する機能と、このときのインクジェットプリンタヘッドの移動量に応じたピッチを判定する機能と、インクジェットプリンタヘッドの移動量に応じたピッチとして判定されたピッチでヘッド移動方向と逆方向に、インク滴を吐出させるノズルの位置をインクジェットプリンタヘッド全体としてずらすノズル位置変更処理を実行する機能と、を実行させることで、インク滴を吐出させるノズルの位置をインクジェットプリンタヘッド全体としてずらし、インクを吐出しないノズルを減少させてノズルのインク吐出不良を発生しにくくすることが可能である。
【0014】
この際、ヘッド移動駆動部が駆動制御されてインクジェットプリンタヘッドがノズルの配列方向に移動することから、画像のずれを生じさせないようにも、あるいは画像のずれが多少生じてもそれをユーザに視認させないようにもすることが可能である。このような画像のずれを気にしなければ、別の面から見た本発明のインクジェット記録用のコンピュータプログラムとして、ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングが判定された場合、ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングの判定に応じて、インク滴を吐出させるノズルの位置をインクジェットプリンタヘッド全体としてずらすノズル位置変更処理を実行する機能をコンピュータに実行させ、ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングの判定に応じてヘッド移動駆動部を駆動制御してインクジェットプリンタヘッドをノズルの配列方向に移動させるヘッド移動処理を実行する機能や、このときのインクジェットプリンタヘッドの移動量に応じたピッチを判定する機能等を省略したインクジェット記録用のコンピュータプログラムとすることも可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態を図1ないし図4に基づいて説明する。
【0016】
図1はインクジェット記録装置の機能ブロック図、図2はインクジェット記録装置の外観を概略的に示す斜視図である。
【0017】
本実施の形態のインクジェット記録装置は、図2に示すように、記録媒体1を搬送するベルト搬送機構2上にライン型のインクジェットプリンタヘッド3が位置付けられて構成されており、図1に示す制御系51によって各部が駆動制御され、入力された画像信号に基づく記録動作を実行する。
【0018】
インクジェットプリンタヘッド3は、ライン型であれば、そのインク吐出方式を問わない。つまり、バブルジェット(登録商標)方式、電歪素子を用いて圧力室を変形させる方式、その他のあらゆる方式のインク吐出方式をインクジェットプリンタヘッド3に適用することが可能である。但し、本明細書中では、インクジェットプリンタヘッド3に適用するインク吐出方式の種類を問わず、ノズルからインク滴を吐出させるための駆動源をアクチュエータと呼ぶ。
【0019】
ベルト搬送機構2は、一対のプーリ4に記録媒体1よりも幅広の平ベルトである媒体搬送ベルト5がエンドレスに架け渡されて構成されている。このようなベルト搬送機構2は、図1に示す用紙搬送系52に含まれている図示しない用紙搬送用モータに一方のプーリ4が駆動されて回転することにより媒体搬送ベルト5が回転動作することで、この媒体搬送ベルト5上に位置する記録媒体1を上流(図2中の手前側)から下流(図2中の奥側)に向けて搬送する。このような記録媒体1の搬送方向は、インクジェット記録装置における記録動作という観点から見ると、副走査方向である。この意味で、ベルト搬送機構2及び用紙搬送系52に含まれている図示しない用紙搬送用モータ等のハードウェア資源は、インクジェットプリンタヘッド3と記録媒体1とをノズルの配列方向と直行する副走査方向に相対的に移動させる副走査駆動部6を構成する。
【0020】
図2では省略されているが、本実施の形態のインクジェット記録装置には、媒体搬送ベルト5の上流側に図示しない給紙装置が設けられ、媒体搬送ベルト5の下流側には図示しない媒体ストッカが設けられている。給紙装置は、複数枚の記録媒体1を積層収容し、図1に示す用紙搬送系52で生成された給紙命令信号に応じて最上位又は最下位の記録媒体1を媒体搬送ベルト5上に給送する。媒体ストッカは、媒体搬送ベルト5によって搬送された記録済みの記録媒体1を次々と積層状態で収容する。
【0021】
インクジェットプリンタヘッド3は、図示しない複数個のノズルがライン上に配列されたライン型のプリンタヘッドである。そこで、インクジェットプリンタヘッド3は、ベルト搬送機構2による記録媒体1の搬送方向(図2中、矢印で示す)と直交する方向に図示しないノズルが配列され、しかもそれらのノズルが媒体搬送ベルト5の上に位置する記録媒体1に対して規定の間隔を開けて位置付けられるように配置される。このようなインクジェットプリンタヘッド3の配置を実現する配置構造7として、本実施の形態では、媒体搬送ベルト5の両側に配置された一対の支持体8に一本の支持軸9が架け渡され、この支持軸9にインクジェットプリンタヘッド3が取り付けられた構造が設けられている。
【0022】
こうして、配置構造7によって所定の位置に位置付けられたインクジェットプリンタヘッド3は、そのノズルの配列方向である主走査方向に往復移動自在に支持されている。このようなインクジェットプリンタヘッド3の往復移動を実現するヘッド移動駆動部10として、本実施の形態では、一対の支持体8に対してインクジェットプリンタヘッド3が取り付けられる支持軸9が主走査方向に往復移動自在に取り付けられ、このような支持軸9を往復駆動するための機構及びヘッド移動用モータ53(図1参照)が設けられている。つまり、支持軸9は、一対の支持体8内で、例えば図示しないレールに主走査方向にスライド自在に保持されている。そして、一方の支持体8には、一例として挙げるとラックアンドピニオン機構を介してヘッド移動用モータ53の回転運動を支持軸9の直線往復運動に変換する図示しない機構が収容されている。ヘッド移動用モータ53の回転は、必要に応じて支持体8に収容された減速機構によって減速される。
【0023】
ここで、図1に示す制御系51について説明する。制御系51には、プリンタコントローラ54が設けられている。このプリンタコントローラ54は、図示しないCPU及びメモリから構築されるマイクロコンピュータであり、メモリに保存されているコンピュータプログラムに従いCPUが各種の演算処理を実行し、各部に制御信号を出力する。この意味で、メモリはコンピュータプログラムを記憶する記憶媒体となる。
【0024】
プリンタコントローラ54が制御信号を出力する各部として、本実施の形態では、前述した用紙搬送系52の他に、画像処理部55、印字データバッファ56、印字データシフト部57、及びヘッド移動制御部58が設けられている。以下、それらの各部について説明する。
【0025】
画像処理部55は、一例として集積回路によって構築されており、入力された画像信号に対してγ補正や擬似中間調補正等の画像処理を実行し、インクジェットプリンタヘッド3に適した印字データに変換する。
【0026】
印字データバッファ56は、画像メモリであり、画像処理部55で生成された印字データを一時的に格納する。
【0027】
用紙搬送系52は、図示しない用紙搬送用モータを駆動制御し、これによって媒体搬送ベルト5を回転動作させることでこの媒体搬送ベルト5上に位置する記録媒体1を上流(図2中の手前側)から下流(図2中の奥側)に向けて搬送する。つまり、本実施の形態のインクジェット記録装置は、ライン型のインクジェットプリンタヘッド3を用いたライン方式(1パス記録方式)の記録動作を実行するので、インクジェットプリンタヘッド3の主走査方向の記録動作と記録媒体1の副走査方向の移動動作との組み合わせによって記録動作が実行されることになる。この際における記録媒体1の副走査方向の移動動作を実現させるのが用紙搬送系52である。このような用紙搬送系52は、図示しない給紙装置から媒体搬送ベルト5への記録媒体1の給送動作、媒体搬送ベルト5から記録済み記録媒体1の図示しない媒体ストッカへの排紙動作等をも実行する。
【0028】
ヘッド移動制御部58は、一例として集積回路によって構築されており、ヘッド移動用モータ53を駆動制御してインクジェットプリンタヘッド3を主走査方向に移動させる。この際のインクジェットプリンタヘッド3の移動量、換言するとヘッド移動用モータ53の駆動量の設定は、プリンタコントローラ54の支配下にある。また、インクジェットプリンタヘッド3の移動方向は、記録媒体1に対して左方向に移動し、ある限界値に達したら初期位置に復帰するように右方向に移動する方向である。
【0029】
印字データシフト部57は、一例として集積回路によって構築されており、印字データバッファ56に格納した印字データに基づいてインクジェットプリンタヘッド3を駆動制御する。つまり、印字データシフト部57は、インクジェットプリンタヘッド3のドライバ回路を構成する。このような印字データシフト部57が一般的なインクジェットプリンタヘッド3のドライバ回路と異なる点は、印字データに基づいてインク滴を吐出させるノズル位置をインクジェットプリンタヘッド3全体としてずらす点である。つまり、印字データバッファ56に格納した印字データは、一例として、インクジェットプリンタヘッド3のドライバ回路として機能する印字データシフト部57に1ライン毎にシリアル転送され、印字データシフト部57においてノズルとの対応付けがなされる。ここでいうノズルとの対応付けというのは、1ライン中の印字データのどの印字データがどのノズルに対応するか、換言すると、ある印字データとこの印字データに基づき駆動してインクを吐出させるべきノズルとを対応付けることを意味する。一例として述べれば、一般的なインクジェット記録装置では、印字データのうち1番目のデータはx番目のノズルに対応させ、n番目のデータはx+n番目のノズルに対応させる、という対応構造になっている。これにより、インクジェットプリンタヘッド3において、n番目のノズルからは、x+n番目のデータに応じてインクが吐出されることになる。これに対して、印字データシフト部57は、このような印字データとノズルとの対応ルールを適宜変更する機能を果たす。つまり、印字データシフト部57は、1ライン分の印字データ中、n番目の印字データに対応付けるノズルをx+n+m番目のノズルに変更する。
【0030】
ここで、印字データシフト部57において、1ライン分の印字データ中、n番目の印字データに対応付けるノズルをx+n+m番目のノズルに変更するための手法としては、各種の手法が実現可能である。
【0031】
その一例としては、印字データをレジストするレジスタを変更する手法がある。つまり、印字データシフト部57が有するインクジェットプリンタヘッド3のドライバ回路では、一例として、印字データバッファ56から1ライン毎にシリアル転送される印字データ、つまり2値データを、ノズル毎に対応させて設けられたレジスタに順にレジストし、ラッチしておく。2値データというのは、インク吐出の指示の有無を指定するデータである。そして、トリガに従いラッチが開放されることで、インク吐出を指示するデータがレジストされたレジスタに対応するノズルに対応付けられた図示しないアクチュエータが駆動され、このアクチュエータの駆動に応じて対応するノズルからインクが吐出される。そこで、1ライン分の印字データ中、n番目の印字データに対応付けるノズルをx+n+m番目のノズルに変更するには、n番目の印字データをx+n番目のノズルに対応するレジスタにレジストするのではなく、x+n+m番目のノズルに対応するレジスタにレジストすれば良い。
【0032】
1ライン分の印字データ中、n番目の印字データに対応付けるノズルをx+n+m番目のノズルに変更するための手法の別の一例としては、ダミーデータを用いる手法も実施可能である。つまり、印字データシフト部57において、印字データバッファ56から転送される1ライン分の印字データ中、実印字データの先頭から所定数のダミーデータを付加する。例えば、n番目の印字データに対応付けるノズルをx+n+m番目のノズルに変更する場合であれば、実印字データの先頭から(m−1)個分のダミーデータを印字データに付加する。この場合のダミーデータは、インクの吐出、つまりアクチュエータの駆動を指定しないデータである。
【0033】
以上、1ライン分の印字データ中、n番目の印字データに対応付けるノズルをx+n+m番目のノズルに変更するための手法として、二つの手法を紹介したが、言うまでも無く、本発明におけるノズル位置変更処理は、これらの二つの手法だけに限定されるわけではない。そして、印字データシフト部57は、集積回路によって構築されていることを例示したが、この例示は、印字データシフト部57の一部がマイクロコンピュータ構成となっていることを妨げるわけではない。しかも、印字データシフト部57によるノズル位置変更処理は、印字データシフト部57が単独で実行することに限定するわけではなく、他のアーキテクチャ、例えばプリンタコントローラ54と協力してノズル位置変更処理を実行するような構成であっても良い。加えて、本実施の形態では、印字データシフト部57がインクジェットプリンタヘッド3のドライバ回路を有している例を示したが、これに限らず、そのようなドライバ回路と独立して印字データシフト部57が設けられ、ノズル位置変更処理を実行しても良い。
【0034】
以上、本実施の形態のハードウェア資源について説明した。そこで、以下では、このようなハードウェア資源を用いた記録処理について説明する。
【0035】
本実施の形態のインクジェット記録装置は、ライン方式(1パス記録方式)で記録動作を行なう。つまり、記録動作は、記録手段の機能が実行されることでなされる。つまり、画像信号に基づいてインクジェットプリンタヘッド3を駆動制御してノズルから選択的にインク滴を吐出させる主走査駆動処理と、副走査駆動部6を駆動制御してインクジェットプリンタヘッド3と記録媒体1とを相対的に副走査方向に移動させる副走査駆動処理とによって記録動作が実行される。このような記録動作の詳細を次に述べる。
【0036】
インクジェット記録装置は、外部機器から記録命令と共に画像信号を受信すると、プリンタコントローラ54によって用紙搬送系52に記録媒体1の給送動作を命じ、媒体搬送ベルト5によって記録媒体1を搬送させる。そして、プリンタコントローラ54は、媒体搬送ベルト5による記録媒体1の搬送動作に同期させて、入力された画像信号に基づいてインクジェットプリンタヘッド3に記録動作を実行させる。つまり、入力された画像信号を画像処理部55でγ補正、擬似中間調補正する。これにより、画像信号は、インクジェットプリンタヘッド3に対応する2値データである印字データに変換される。そこで、2値データに変換された印字データは、印字データバッファ56に一時的に格納された後、印字データシフト部57に1ライン分ずつ転送される。そして、この印字データシフト部57が備える印字ドライバ機能によってインクジェットプリンタヘッド3が駆動され、そのノズルから選択的にインクが吐出される。このようなインクの選択的な吐出は、印字データバッファ56から印字データシフト部57への1ライン分のデータ転送が繰り返される毎に実行される。この際、媒体搬送ベルト5による記録媒体1の搬送が続行されているので、インクジェットプリンタヘッド3の各ノズルからの選択的なインクの吐出による主走査方向の記録動作と、媒体搬送ベルト5による記録媒体1の搬送による副走査方向の記録動作とが組み合わされ、これによって記録媒体1に画像信号に応じた画像が記録される。
【0037】
次いで、本実施の形態では、インクジェットプリンタヘッド3のノズルの乾燥を防止するために、インクを吐出させるノズルの位置をインクジェットプリンタヘッド3全体として変更する処理が実行される。そこで、このような処理として、二種類の処理の例を図3と図4とに基づいてそれぞれ紹介する。
(1)インクジェットプリンタヘッド3のノズル乾燥防止処理(その一)
図3は、ノズル乾燥防止のための処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。インクジェット記録装置では、外部機器から記録命令と共に画像信号を受信すると、プリンタコントローラ54が図3に例示する処理ルーチンを起動させる。この処理ルーチンを実行するコンピュータプログラムは、一例としてプリンタコントローラ54のメモリに記憶されてそのCPUによって実行されるが、これに限るわけでなく、他のコンピュータにおいて記憶され実行されるものであっても良い。そして、このようなノズル乾燥防止のための処理によって、ノズル乾燥防止手段が実行されることになる。
【0038】
図3に例示する処理ルーチンの起動は、プリンタコントローラ54において、ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングの判定がなされ、この判定に応じてノズル乾燥防止処理を実行することを宣言していることに他ならない。したがって、図3に例示する処理ルーチンの起動に先立ち、プリンタコントローラ54では、外部機器からの記録命令を伴う画像信号の受信によって、ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングを判定する工程、機能が実行されることになる。
【0039】
ノズル乾燥防止処理では、まず、ヘッド移動処理が実行される(ステップS101)。この処理は、ヘッド移動駆動部10を駆動制御してインクジェットプリンタヘッド3を主走査方向に移動させる処理である。この処理は、外部から送信された画像信号に基づいて印字データバッファ56に展開された印字データの1ページ分が終了するまで続行する(ステップS103のN)。1ページ分の印字が終了する前にヘッド移動量が予め決められた制限値を越えた場合には(ステップS102のN)、ヘッド移動方向を反転する設定がなされる(ステップS104)。これにより、ヘッド移動駆動部10によるインクジェットプリンタヘッド3の移動方向が反転する。
【0040】
ここで、インクジェットプリンタヘッド3の移動方向は、最初に、記録媒体1に対して左方向に移動し、ある限界値に達したら初期位置に復帰するように右方向に移動し、これを繰り返す方向である。
【0041】
こうして、ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングの判定に応じて、ヘッド移動駆動部10を駆動制御してインクジェットプリンタヘッド3をそのノズルの配列方向に移動させるヘッド移動処理を実行する工程、機能が実行される。
【0042】
印字データバッファ56に展開された印字データの1ページ分が終了すると(ステップS103のY)、ノズル位置変更処理が実行される(ステップS105)。つまり、印字データシフト部57でシフトする画像シフト量、換言すると、インクを吐出させるノズルの位置の変更ピッチ数を設定する。これにより、インク滴を吐出させるノズルの位置がインクジェットプリンタヘッド3全体としてずらされる。
【0043】
こうして設定される変更ピッチ数は、ステップS101に従い実行されるインクジェットプリンタヘッド3の移動量であるヘッド移動量に対応する。つまり、インクジェットプリンタヘッド3におけるノズル間の間隔を1ピッチとすると、ヘッド移動量が−1ピッチであれば画像シフト量は1ピッチだけずらした値に、ヘッド移動量が1ピッチであれば画像シフト量は−1ピッチだけずらした値に設定する。これにより、ヘッド移動が左側に向けてなされた場合には画像シフトは右側に向けてなされ、ヘッド移動が右側に向けてなされた場合には画像シフトは左側に向けてなされる。
【0044】
この場合、インクジェットプリンタヘッド3におけるノズル間の間隔を1ピッチとしているため、画像シフト量は必ず整数になるが、ヘッド移動量は整数になるとは限らない。そこで、ヘッド移動量が整数とならない場合における設定する画像シフト量は、ヘッド移動量に近似した値とすることが望ましい。一例を挙げると、ヘッド移動量が−0.3ピッチであるとすると画像シフト量は0ピッチ、ヘッド移動量が−0.7ピッチであるとすると画像シフト量は1ピッチ、ヘッド移動量が−2.3ピッチであるとすると画像シフト量は2ピッチ、ヘッド移動量が−2.7ピッチであるとすると画像シフト量は3ピッチ、というように画像シフト量を設定する。また、画像シフト量は、ヘッド移動量の履歴を参照して設定することが望ましい。例えば、1ページから2ページまでのヘッド移動量が−0.5ピッチ、−0.5ピッチと続いた場合、1ページ目の終了後(ステップS103のY)の画像シフト量の設定では画像シフト量を0ピッチとし、2ページ目の終了後(ステップS103のY)の画像シフト量の設定では画像シフト量を1ピッチとする。
【0045】
ここに、インクジェットプリンタヘッド3の移動量に応じたピッチを判定する工程、機能が実行される。
【0046】
そして、このようなステップS101〜ステップS104の処理は、外部から送信された画像信号に基づいて画像の記録動作が終了するまで、つまり1ジョブが終了するまで続けられる(ステップS106のN)。
【0047】
以上説明したヘッド移動処理及びノズル位置変更処理が実行された場合のインクジェット記録装置での動作を次に説明する。
【0048】
まず、ヘッド移動処理(ステップS101)が実行されると、記録媒体1に対する印字位置が、インクジェットプリンタヘッド3の移動量分だけ主走査方向にずれる。そこで、ヘッド移動量は、人間がずれを視認し得ない程度に設定される。
【0049】
1ページ分の印字が終了すると、画像シフト量の設定処理が実行されることから(ステップS105)、印字データシフト部57において、1ライン分の印字データ中でn番目の印字データに対応付けるノズルがx+n+m番目のノズルに変更される。これにより、次ページの印字では、インクジェットプリンタヘッド3全体で、+mピッチだけずれたノズルからインク吐出がなされることになる。
【0050】
この場合、画像シフト量の設定はヘッド移動量に応じてなされ、両者が−1ピッチ対1ピッチ又は1ピッチ対−1ピッチの関係となることが望ましいことは既に述べた通りである。そこで、画像シフト量とヘッド移動量とが−1ピッチ対1ピッチ又は1ピッチ対−1ピッチの関係にあると想定すると、各ページの先頭位置、つまり、記録媒体1の(X=0,Y=0)座標に対する印字位置は全くずれないことになる。これは、例えばインクジェットプリンタヘッド3が左側に1ピッチ移動した場合、インクを吐出するノズルの位置がインクジェットプリンタヘッド3全体として1ピッチ右側にずれるからである。
【0051】
したがって、記録媒体1に記録された画像は、その上方位置と下方位置との間で主走査方向に僅かにずれた状態となるが、このずれは人間が視認できない程度である。これにより、記録媒体1に記録された画像に不都合は生じない。
【0052】
そして、1ジョブの印字中においては、インク滴を吐出させるノズルの位置はインクジェットプリンタヘッド3全体として徐々にずれる。これにより、インクを吐出しないノズルが減少し、ノズルのインク吐出不良が発生しにくくなる。
【0053】
また、図3に基づいて説明したインクジェットプリンタヘッド3のノズル乾燥防止処理では、主走査駆動処理と副走査駆動処理とによって実行される記録動作中にヘッド移動処理が実行される。これにより、1ジョブ中のページ間においてヘッド移動処理を実行する必要がないため、ページ間における処理速度を高速にすることができ、1ジョブ全体としてみた場合の画像の記録速度を高速にすることができる。
【0054】
さらに、図3に基づいて説明したインクジェットプリンタヘッド3のノズル乾燥防止処理では、ヘッド移動処理に伴うインクジェットプリンタヘッド3の往路と復路との双方でノズル乾燥防止手段(ヘッド移動処理及びノズル位置変更処理)が実行される。これにより、往路又は復路の一方でのみノズル乾燥防止手段を実行した場合と比較すると、インクジェットプリンタヘッド3をホームポジションに復帰させるための処理が不要となり、その分だけ処理速度を高速にすることができる。
(2)インクジェットプリンタヘッド3のノズル乾燥防止処理(その二)
図4はノズル乾燥防止のための処理ルーチンの別の一例を示すフローチャートである。図4に示す処理ルーチンが図3に示す処理ルーチンと異なる点は、主走査駆動処理と副走査駆動処理とによって実行される記録動作中にヘッド移動処理が実行されず、ヘッド移動処理は、1ジョブ中のページ間において実行される点である。
【0055】
インクジェット記録装置では、外部機器から記録命令と共に画像信号を受信すると、プリンタコントローラ54が図4に例示する処理ルーチンを起動させる。この処理ルーチンを実行するコンピュータプログラムは、一例としてプリンタコントローラ54のメモリに記憶されてそのCPUによって実行されるが、これに限るわけでなく、他のコンピュータにおいて記憶され実行されるものであっても良い。そして、このようなノズル乾燥防止のための処理によって、ノズル乾燥防止手段が実行されることになる。
【0056】
図4に例示する処理ルーチンの起動は、プリンタコントローラ54において、ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングの判定がなされ、この判定に応じてノズル乾燥防止処理を実行することを宣言していることに他ならない。したがって、図4に例示する処理ルーチンの起動に先立ち、プリンタコントローラ54では、外部機器からの記録命令を伴う画像信号の受信によって、ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングを判定する工程、機能が実行されることになる。
【0057】
ノズル乾燥防止処理では、まず、1ジョブにおける1ページ分の印字の終了に待機する(ステップS201)。そして、1ジョブにおける1ページ分の印字が終了したら、ヘッド移動処理が実行される(ステップS202)。この処理は、ヘッド移動駆動部10を駆動制御してインクジェットプリンタヘッド3を主走査方向に移動させる処理である。ステップS202でヘッド移動処理がなされた後、ヘッド移動量が予め決められた制限値を越えたと判定された場合には(ステップS203のN)、ヘッド移動方向を反転する設定がなされる(ステップS204)。これにより、ヘッド移動駆動部10によるインクジェットプリンタヘッド3の移動方向が反転する。
【0058】
ここで、インクジェットプリンタヘッド3の移動方向は、最初に、記録媒体1に対して左方向に移動し、ある限界値に達したら初期位置に復帰するように右方向に移動し、これを繰り返す方向である。
【0059】
こうして、ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングの判定に応じて、ヘッド移動駆動部10を駆動制御してインクジェットプリンタヘッド3をそのノズルの配列方向に移動させるヘッド移動処理を実行する工程、機能が実行される。
【0060】
その後、ノズル位置変更処理が実行される(ステップS205)。つまり、印字データシフト部57でシフトする画像シフト量、換言すると、インクを吐出させるノズルの位置の変更ピッチ数を設定する。これにより、インク滴を吐出させるノズルの位置がインクジェットプリンタヘッド3全体としてずらされる。
【0061】
こうして設定される変更ピッチ数は、ステップS101に従い実行されるインクジェットプリンタヘッド3の移動量であるヘッド移動量に対応する。つまり、インクジェットプリンタヘッド3におけるノズル間の間隔を1ピッチとすると、ヘッド移動量が−1ピッチであれば画像シフト量は1ピッチだけずらした値に、ヘッド移動量が1ピッチであれば画像シフト量は−1ピッチだけずらした値に設定する。これにより、ヘッド移動が左側に向けてなされた場合には画像シフトは右側に向けてなされ、ヘッド移動が右側に向けてなされた場合には画像シフトは左側に向けてなされる。
【0062】
この場合、インクジェットプリンタヘッド3におけるノズル間の間隔を1ピッチとしているため、画像シフト量は必ず整数になるが、ヘッド移動量は整数になるとは限らない。そこで、ヘッド移動量が整数とならない場合における設定する画像シフト量は、ヘッド移動量に近似した値とすることが望ましい。一例を挙げると、ヘッド移動量が−0.3ピッチであるとすると画像シフト量は0ピッチ、ヘッド移動量が−0.7ピッチであるとすると画像シフト量は1ピッチ、ヘッド移動量が−2.3ピッチであるとすると画像シフト量は2ピッチ、ヘッド移動量が−2.7ピッチであるとすると画像シフト量は3ピッチ、というように画像シフト量を設定する。また、画像シフト量は、ヘッド移動量の履歴を参照して設定することが望ましい。例えば、1ページから2ページまでのヘッド移動量が−0.5ピッチ、−0.5ピッチと続いた場合、1ページ目の終了後(ステップS201)の画像シフト量の設定では画像シフト量を0ピッチとし、2ページ目の終了後(ステップS201)の画像シフト量の設定では画像シフト量を1ピッチとする。
【0063】
ここに、インクジェットプリンタヘッド3の移動量に応じたピッチを判定する工程、機能が実行される。
【0064】
そして、このようなステップS201〜ステップS204の処理は、外部から送信された画像信号に基づいて画像の記録動作が終了するまで、つまり1ジョブが終了するまで続けられる(ステップS206のN)。
【0065】
以上説明したヘッド移動処理及びノズル位置変更処理が実行された場合のインクジェット記録装置での動作を次に説明する。
【0066】
図4に基づいて説明したインクジェットプリンタヘッド3のノズル乾燥防止処理では、ヘッド移動処理(ステップS202)が実行され、画像シフト量の設定処理が実行され(ステップS205)、その後に記録媒体1に対する記録動作が実行されることから、記録媒体1に対する印字動作中には印字位置がずれない。これが、図4に基づいて説明したインクジェットプリンタヘッド3のノズル乾燥防止処理と異なる点である。したがって、図4に基づいて説明したインクジェットプリンタヘッド3のノズル乾燥防止処理では、印字品質を高品質に維持することができる。特に、縦罫線など場合、副走査方向への僅かなずれが視認され易いが、図4に示す処理ルーチンによるノズル乾燥防止処理が実行された場合、ノズル乾燥防止処理を原因として発生するそのような縦罫線を記録した場合のずれをなくすことができる。
【0067】
この際、画像シフト量の設定はヘッド移動量に応じてなされ、両者が−1ピッチ対1ピッチ又は1ピッチ対−1ピッチの関係となることが望ましいことは既に述べた通りである。そこで、画像シフト量とヘッド移動量とが−1ピッチ対1ピッチ又は1ピッチ対−1ピッチの関係にあると想定すると、各ページ間で、印字位置が全くずれないことになる。これは、例えばインクジェットプリンタヘッド3が左側に1ピッチ移動した場合、インクを吐出するノズルの位置がインクジェットプリンタヘッド3全体として1ピッチ右側にずれるからである。
【0068】
そして、1ジョブの印字中においては、インク滴を吐出させるノズルの位置はインクジェットプリンタヘッド3全体として徐々にずれる。これにより、インクを吐出しないノズルが減少し、ノズルのインク吐出不良が発生しにくくなる。
【0069】
さらに、図4に基づいて説明したインクジェットプリンタヘッド3のノズル乾燥防止処理では、ヘッド移動処理に伴うインクジェットプリンタヘッド3の往路と復路との双方でノズル乾燥防止手段(ヘッド移動処理及びノズル位置変更処理)が実行される。これにより、往路又は復路の一方でのみノズル乾燥防止手段を実行した場合と比較すると、インクジェットプリンタヘッド3をホームポジションに復帰させるための処理が不要となり、その分だけ処理速度を高速にすることができる。
【0070】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態を図5ないし図7に基づいて説明する。図5はインクジェット記録装置の機能ブロック図、図6はインクジェット記録装置の外観を概略的に示す斜視図、図7はノズル乾燥防止のための処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【0071】
なお、第1の実施の形態と同一又は相当する部分は同一符号で示す。
【0072】
本実施の形態のインクジェット記録装置は、図6に示すように、記録媒体1を搬送するベルト搬送機構2上にライン型のインクジェットプリンタヘッド3が位置付けられて構成されており、図2に示す制御系51によって各部が駆動制御され、入力された画像信号に基づく記録動作を実行する。
【0073】
インクジェットプリンタヘッド3は、ライン型であれば、そのインク吐出方式を問わない。つまり、バブルジェット(登録商標)方式、電歪素子を用いて圧力室を変形させる方式、その他のあらゆる方式のインク吐出方式をインクジェットプリンタヘッド3に適用することが可能である。但し、本明細書中では、インクジェットプリンタヘッド3に適用するインク吐出方式の種類を問わず、ノズルからインク滴を吐出させるための駆動源をアクチュエータと呼ぶ。
【0074】
ベルト搬送機構2は、一対のプーリ4に記録媒体1よりも幅広の平ベルトである媒体搬送ベルト5がエンドレスに架け渡されて構成されている。このようなベルト搬送機構2は、図5に示す用紙搬送系52に含まれている図示しない用紙搬送用モータに一方のプーリ4が駆動されて回転することにより媒体搬送ベルト5が回転動作することで、この媒体搬送ベルト5上に位置する記録媒体1を上流(図6中の手前側)から下流(図6中の奥側)に向けて搬送する。このような記録媒体1の搬送方向は、インクジェット記録装置における記録動作という観点から見ると、副走査方向である。この意味で、ベルト搬送機構2及び用紙搬送系52に含まれている図示しない用紙搬送用モータ等のハードウェア資源は、インクジェットプリンタヘッド3と記録媒体1とをノズルの配列方向と直行する副走査方向に相対的に移動させる副走査駆動部6を構成する。
【0075】
図6では省略されているが、本実施の形態のインクジェット記録装置には、媒体搬送ベルト5の上流側に図示しない給紙装置が設けられ、媒体搬送ベルト5の下流側には図示しない媒体ストッカが設けられている。給紙装置は、複数枚の記録媒体1を積層収容し、図5に示す用紙搬送系52で生成された給紙命令信号に応じて最上位又は最下位の記録媒体1を媒体搬送ベルト5上に給送する。媒体ストッカは、媒体搬送ベルト5によって搬送された記録済みの記録媒体1を次々と積層状態で収容する。
【0076】
インクジェットプリンタヘッド3は、図示しない複数個のノズルがライン上に配列されたライン型のプリンタヘッドである。そこで、インクジェットプリンタヘッド3は、ベルト搬送機構2による記録媒体1の搬送方向(図2中、矢印で示す)と直交する方向に図示しないノズルが配列され、しかもそれらのノズルが媒体搬送ベルト5の上に位置する記録媒体1に対して規定の間隔を開けて位置付けられるように配置される。このようなインクジェットプリンタヘッド3の配置を実現する配置構造7として、本実施の形態では、媒体搬送ベルト5の両側に配置された一対の支持体8に一本の支持軸9が架け渡され、この支持軸9にインクジェットプリンタヘッド3が取り付けられた構造が設けられている。
【0077】
ここで、図5に示す制御系51について説明する。制御系51には、プリンタコントローラ54が設けられている。このプリンタコントローラ54は、図示しないCPU及びメモリから構築されるマイクロコンピュータであり、メモリに保存されているコンピュータプログラムに従いCPUが各種の演算処理を実行し、各部に制御信号を出力する。この意味で、メモリはコンピュータプログラムを記憶する記憶媒体となる。
【0078】
プリンタコントローラ54が制御信号を出力する各部として、本実施の形態では、前述した用紙搬送系52の他に、画像処理部55、印字データバッファ56、及び印字データシフト部57が設けられている。以下、それらの各部について説明する。
【0079】
画像処理部55は、一例として集積回路によって構築されており、入力された画像信号に対してγ補正や擬似中間調補正等の画像処理を実行し、インクジェットプリンタヘッド3に適した印字データに変換する。
【0080】
印字データバッファ56は、画像メモリであり、画像処理部55で生成された印字データを一時的に格納する。
【0081】
用紙搬送系52は、図示しない用紙搬送用モータを駆動制御し、これによって媒体搬送ベルト5を回転動作させることでこの媒体搬送ベルト5上に位置する記録媒体1を上流(図2中の手前側)から下流(図2中の奥側)に向けて搬送する。つまり、本実施の形態のインクジェット記録装置は、ライン型のインクジェットプリンタヘッド3を用いたライン方式(1パス記録方式)の記録動作を実行するので、インクジェットプリンタヘッド3の主走査方向の記録動作と記録媒体1の副走査方向の移動動作との組み合わせによって記録動作が実行されることになる。この際における記録媒体1の副走査方向の移動動作を実現させるのが用紙搬送系52である。このような用紙搬送系52は、図示しない給紙装置から媒体搬送ベルト5への記録媒体1の給送動作、媒体搬送ベルト5から記録済み記録媒体1の図示しない媒体ストッカへの排紙動作等をも実行する。
【0082】
印字データシフト部57は、一例として集積回路によって構築されており、印字データバッファ56に格納した印字データに基づいてインクジェットプリンタヘッド3を駆動制御する。つまり、印字データシフト部57は、インクジェットプリンタヘッド3のドライバ回路を構成する。このような印字データシフト部57が一般的なインクジェットプリンタヘッド3のドライバ回路と異なる点は、印字データに基づいてインク滴を吐出させるノズル位置をインクジェットプリンタヘッド3全体としてずらす点である。つまり、印字データバッファ56に格納した印字データは、一例として、インクジェットプリンタヘッド3のドライバ回路として機能する印字データシフト部57に1ライン毎にシリアル転送され、印字データシフト部57においてノズルとの対応付けがなされる。ここでいうノズルとの対応付けというのは、1ライン中の印字データのどの印字データがどのノズルに対応するか、換言すると、ある印字データとこの印字データに基づき駆動してインクを吐出させるべきノズルとを対応付けることを意味する。一例として述べれば、一般的なインクジェット記録装置では、印字データのうち1番目のデータはx番目のノズルに対応させ、n番目のデータはx+n番目のノズルに対応させる、という対応構造になっている。これにより、インクジェットプリンタヘッド3において、n番目のノズルからは、x+n番目のデータに応じてインクが吐出されることになる。これに対して、印字データシフト部57は、このような印字データとノズルとの対応ルールを適宜変更する機能を果たす。つまり、印字データシフト部57は、1ライン分の印字データ中、n番目の印字データに対応付けるノズルをx+n+m番目のノズルに変更する。
【0083】
ここで、印字データシフト部57において、1ライン分の印字データ中、n番目の印字データに対応付けるノズルをx+n+m番目のノズルに変更するための手法としては、各種の手法が実現可能である。
【0084】
その一例としては、印字データをレジストするレジスタを変更する手法がある。つまり、印字データシフト部57が有するインクジェットプリンタヘッド3のドライバ回路では、一例として、印字データバッファ56から1ライン毎にシリアル転送される印字データ、つまり2値データを、ノズル毎に対応させて設けられたレジスタに順にレジストし、ラッチしておく。2値データというのは、インク吐出の指示の有無を指定するデータである。そして、トリガに従いラッチが開放されることで、インク吐出を指示するデータがレジストされたレジスタに対応するノズルに対応付けられた図示しないアクチュエータが駆動され、このアクチュエータの駆動に応じて対応するノズルからインクが吐出される。そこで、1ライン分の印字データ中、n番目の印字データに対応付けるノズルをx+n+m番目のノズルに変更するには、n番目の印字データをx+n番目のノズルに対応するレジスタにレジストするのではなく、x+n+m番目のノズルに対応するレジスタにレジストすれば良い。
【0085】
1ライン分の印字データ中、n番目の印字データに対応付けるノズルをx+n+m番目のノズルに変更するための手法の別の一例としては、ダミーデータを用いる手法も実施可能である。つまり、印字データシフト部57において、印字データバッファ56から転送される1ライン分の印字データ中、実印字データの先頭から所定数のダミーデータを付加する。例えば、n番目の印字データに対応付けるノズルをx+n+m番目のノズルに変更する場合であれば、実印字データの先頭から(m−1)個分のダミーデータを印字データに付加する。この場合のダミーデータは、インクの吐出、つまりアクチュエータの駆動を指定しないデータである。
【0086】
以上、1ライン分の印字データ中、n番目の印字データに対応付けるノズルをx+n+m番目のノズルに変更するための手法として、二つの手法を紹介したが、言うまでも無く、本発明におけるノズル位置変更処理は、これらの二つの手法だけに限定されるわけではない。そして、印字データシフト部57は、集積回路によって構築されていることを例示したが、この例示は、印字データシフト部57の一部がマイクロコンピュータ構成となっていることを妨げるわけではない。しかも、印字データシフト部57によるノズル位置変更処理は、印字データシフト部57が単独で実行することに限定するわけではなく、他のアーキテクチャ、例えばプリンタコントローラ54と協力してノズル位置変更処理を実行するような構成であっても良い。加えて、本実施の形態では、印字データシフト部57がインクジェットプリンタヘッド3のドライバ回路を有している例を示したが、これに限らず、そのようなドライバ回路と独立して印字データシフト部57が設けられ、ノズル位置変更処理を実行しても良い。
【0087】
以上、本実施の形態のハードウェア資源について説明した。そこで、以下では、このようなハードウェア資源を用いた記録処理について説明する。
【0088】
本実施の形態のインクジェット記録装置は、ライン方式(1パス記録方式)で記録動作を行なう。つまり、記録動作は、記録手段の機能が実行されることでなされる。つまり、画像信号に基づいてインクジェットプリンタヘッド3を駆動制御してノズルから選択的にインク滴を吐出させる主走査駆動処理と、副走査駆動部6を駆動制御してインクジェットプリンタヘッド3と記録媒体1とを相対的に副走査方向に移動させる副走査駆動処理とによって記録動作が実行される。このような記録動作の詳細を次に述べる。
【0089】
インクジェット記録装置は、外部機器から記録命令と共に画像信号を受信すると、プリンタコントローラ54によって用紙搬送系52に記録媒体1の給送動作を命じ、媒体搬送ベルト5によって記録媒体1を搬送させる。そして、プリンタコントローラ54は、媒体搬送ベルト5による記録媒体1の搬送動作に同期させて、入力された画像信号に基づいてインクジェットプリンタヘッド3に記録動作を実行させる。つまり、入力された画像信号を画像処理部55でγ補正、擬似中間調補正する。これにより、画像信号は、インクジェットプリンタヘッド3に対応する2値データである印字データに変換される。そこで、2値データに変換された印字データは、印字データバッファ56に一時的に格納された後、印字データシフト部57に1ライン分ずつ転送される。そして、この印字データシフト部57が備える印字ドライバ機能によってインクジェットプリンタヘッド3が駆動され、そのノズルから選択的にインクが吐出される。このようなインクの選択的な吐出は、印字データバッファ56から印字データシフト部57への1ライン分のデータ転送が繰り返される毎に実行される。この際、媒体搬送ベルト5による記録媒体1の搬送が続行されているので、インクジェットプリンタヘッド3の各ノズルからの選択的なインクの吐出による主走査方向の記録動作と、媒体搬送ベルト5による記録媒体1の搬送による副走査方向の記録動作とが組み合わされ、これによって記録媒体1に画像信号に応じた画像が記録される。
【0090】
次いで、本実施の形態では、インクジェットプリンタヘッド3のノズルの乾燥を防止するために、インクを吐出させるノズルの位置をインクジェットプリンタヘッド3全体として変更する処理が実行される。このような処理について、図7を参照して説明する。図7は、ノズル乾燥防止のための処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【0091】
インクジェット記録装置では、外部機器から記録命令と共に画像信号を受信すると、プリンタコントローラ54が図7に例示する処理ルーチンを起動させる。この処理ルーチンを実行するコンピュータプログラムは、一例としてプリンタコントローラ54のメモリに記憶されてそのCPUによって実行されるが、これに限るわけでなく、他のコンピュータにおいて記憶され実行されるものであっても良い。そして、このようなノズル乾燥防止のための処理によって、ノズル乾燥防止手段が実行されることになる。
【0092】
図7に例示する処理ルーチンの起動は、プリンタコントローラ54において、ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングの判定がなされ、この判定に応じてノズル乾燥防止処理を実行することを宣言していることに他ならない。したがって、図7に例示する処理ルーチンの起動に先立ち、プリンタコントローラ54では、外部機器からの記録命令を伴う画像信号の受信によって、ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングを判定する工程、機能が実行されることになる。
【0093】
ノズル乾燥防止処理では、ノズル位置変更処理が実行される(ステップS301)。つまり、印字データシフト部57でシフトする画像シフト量、換言すると、インクを吐出させるノズルの位置の変更ピッチ数を設定する。これにより、インク滴を吐出させるノズルの位置がインクジェットプリンタヘッド3全体としてずらされる。こうして設定される変更ピッチ数は、例えば1ピッチないしnピッチの間で、適宜設定される。ここに、ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングの判定に応じて、インク滴を吐出させるノズルの位置をインクジェットプリンタヘッド3全体としてずらすノズル位置変更処理を実行する工程、機能が実行される。
【0094】
その後、インク滴を吐出させるノズルの位置がインクジェットプリンタヘッド3全体としてずらされたまま、1ジョブにおける1ページ分の画像記録動作が実行される(ステップS302)。つまり、画像信号に基づいてインクジェットプリンタヘッド3を駆動制御してノズルから選択的にインク滴を吐出させる主走査駆動処理と、副走査駆動部6を駆動制御してインクジェットプリンタヘッド3と記録媒体1とを相対的に副走査方向に移動させる副走査駆動処理とによって記録動作が実行される。
【0095】
ここで、本実施の形態では、ステップS301でインク滴を吐出させるノズルの位置がインクジェットプリンタヘッド3全体としてずらされたまま、ステップS302で1ページ分の画像記録動作が実行される。このため、各ページにおいては、画像の記録位置がノズル位置のずれ分だけ全体的に主走査方向にずれる。この場合のずれ量を決定するのは、ステップS301で設定される変更ピッチ数である。この場合のずれ量は、目視によって気にならない程度であることが望ましい。
【0096】
このようなステップS301〜ステップS302の処理は、外部から送信された画像信号に基づいて画像の記録動作が終了するまで、つまり1ジョブが終了するまで続けられる(ステップS303のN)。
【0097】
もっとも、ステップS301での印字データシフト部57でシフトする画像シフト量の設定は、ステップS301〜ステップS302の処理が繰り返される1ジョブ内で、プラス方向に所定ピッチ数だけ進んだらマイナス方向に所定ピッチ数進むように設定される。これにより、記録媒体1に記録される画像の各ページ間でのずれは、例えば右方向に所定量だけずれると今度は左方向に所定量だけずれる、という具合となる。
【0098】
以上説明した図7に示すルーチンが実行されることで、1ジョブの印字中においては、インク滴を吐出させるノズルの位置がインクジェットプリンタヘッド3全体として徐々にずれる。これにより、インクを吐出しないノズルが減少し、ノズルのインク吐出不良が発生しにくくなる。
【0099】
さらに、図7に基づいて説明したインクジェットプリンタヘッド3のノズル乾燥防止処理では、一方向に所定のピッチ分だけノズルの位置をずらしたら反対方向に所定のピッチ分だけノズルの位置をずらすことが繰り返される。これにより、各ページ間での画像のずれがあたかも連続したかのようになり、そのずれを目視しにくくすることができる。
【0100】
【発明の効果】
本発明は、インク滴を吐出させるノズルの位置をインクジェットプリンタヘッド全体としてずらすノズル位置変更処理を実行するので、ライン型のインクジェットプリンタヘッドを用いた1パス記録方式を採用したとしても、インク滴を吐出させるノズルの位置をインクジェットプリンタヘッド全体としてずらし、インクを吐出しないノズルを減少させてノズルのインク吐出不良を発生しにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すインクジェット記録装置の機能ブロック図である。
【図2】インクジェット記録装置の外観を概略的に示す斜視図である。
【図3】ノズル乾燥防止のための処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】ノズル乾燥防止のための処理ルーチンの別の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示すインクジェット記録装置の機能ブロック図である。
【図6】インクジェット記録装置の外観を概略的に示す斜視図である。
【図7】ノズル乾燥防止のための処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】インクジェットプリンタヘッドのノズル群と記録媒体に記録される情報との位置関係を例示する模式図である。
【符号の説明】
1   記録媒体
3   インクジェットプリンタヘッド
6   副走査駆動部
7   配置構造
10  ヘッド移動駆動部

Claims (10)

  1. 複数のノズルが配列されたライン型のインクジェットプリンタヘッドと、
    前記インクジェットプリンタヘッドとその印字対象物である記録媒体とを規定の間隔を開けて位置付ける配置構造と、
    前記インクジェットプリンタヘッドと前記記録媒体とを前記ノズルの配列方向と直行する副走査方向に相対的に移動させる副走査駆動部と、
    前記インクジェットプリンタヘッドを前記ノズルの配列方向に往復移動させるヘッド移動駆動部と、
    画像信号に基づいて、前記インクジェットプリンタヘッドを駆動制御して前記ノズルから選択的にインク滴を吐出させる主走査駆動処理と、前記副走査駆動部を駆動制御して前記インクジェットプリンタヘッドと前記記録媒体とを相対的に副走査方向に移動させる副走査駆動処理とを実行する記録手段と、
    前記ヘッド移動駆動部を駆動制御して前記インクジェットプリンタヘッドを前記ノズルの配列方向に移動させるヘッド移動処理と、このときの前記インクジェットプリンタヘッドの移動量に応じたピッチでヘッド移動方向と逆方向に、インク滴を吐出させる前記ノズルの位置を前記インクジェットプリンタヘッド全体としてずらすノズル位置変更処理とを実行するノズル乾燥防止手段と、
    を具備するインクジェット記録装置。
  2. 前記ノズル乾燥防止手段は、前記記録手段による前記主走査駆動処理と前記副走査駆動処理との実行中に前記ヘッド移動処理を実行する請求項1記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記ノズル乾燥防止手段は、前記記録手段による前記主走査駆動処理と前記副走査駆動処理とが実行されない間に前記ヘッド移動処理を実行する請求項1記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記ノズル乾燥防止手段は、前記ヘッド移動処理に伴う前記インクジェットプリンタヘッドの往路と復路との双方で前記ヘッド移動処理と前記ノズル位置変更処理とを実行する請求項1、2又は3記載のインクジェット記録装置。
  5. 複数のノズルが配列されたライン型のインクジェットプリンタヘッドと、
    前記インクジェットプリンタヘッドとその印字対象物である記録媒体とを規定の間隔を開けて位置付ける配置構造と、
    前記インクジェットプリンタヘッドと前記記録媒体とを前記ノズルの配列方向と直行する副走査方向に相対的に移動させる副走査駆動部と、
    画像信号に基づいて、前記インクジェットプリンタヘッドを駆動制御して前記ノズルから選択的にインク滴を吐出させる主走査駆動処理と、前記副走査駆動部を駆動制御して前記インクジェットプリンタヘッドと前記記録媒体とを相対的に副走査方向に移動させる副走査駆動処理とを実行する記録手段と、
    インク滴を吐出させる前記ノズルの位置を前記インクジェットプリンタヘッド全体としてずらすノズル位置変更処理を実行するノズル乾燥防止手段と、
    を具備するインクジェット記録装置。
  6. 前記ノズル乾燥防止手段は、一方向に所定のピッチ分だけ前記ノズルの位置をずらしたら反対方向に所定のピッチ分だけ前記ノズルの位置をずらすことを繰り返す請求項5記載のインクジェット記録装置。
  7. 複数のノズルが配列されたライン型のインクジェットプリンタヘッドと、前記インクジェットプリンタヘッドとその印字対象物である記録媒体とを規定の間隔を開けて位置付ける配置構造と、前記インクジェットプリンタヘッドと前記記録媒体とを前記ノズルの配列方向と直行する副走査方向に相対的に移動させる副走査駆動部と、前記インクジェットプリンタヘッドを前記ノズルの配列方向に往復移動させるヘッド移動駆動部と、画像信号に基づいて、前記インクジェットプリンタヘッドを駆動制御して前記ノズルから選択的にインク滴を吐出させる主走査駆動処理と、前記副走査駆動部を駆動制御して前記インクジェットプリンタヘッドと前記記録媒体とを相対的に副走査方向に移動させる副走査駆動処理とを実行する記録手段とを具備するインクジェット記録装置を用い、
    ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングを判定する工程と、
    ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングの判定に応じて、前記ヘッド移動駆動部を駆動制御して前記インクジェットプリンタヘッドを前記ノズルの配列方向に移動させるヘッド移動処理を実行する工程と、
    このときの前記インクジェットプリンタヘッドの移動量に応じたピッチを判定する工程と、
    前記インクジェットプリンタヘッドの移動量に応じたピッチとして判定されたピッチでヘッド移動方向と逆方向に、インク滴を吐出させる前記ノズルの位置を前記インクジェットプリンタヘッド全体としてずらすノズル位置変更処理を実行する工程と、
    を具備するインクジェット記録方法。
  8. 複数のノズルが配列されたライン型のインクジェットプリンタヘッドと、前記インクジェットプリンタヘッドとその印字対象物である記録媒体とを規定の間隔を開けて位置付ける配置構造と、前記インクジェットプリンタヘッドと前記記録媒体とを前記ノズルの配列方向と直行する副走査方向に相対的に移動させる副走査駆動部と、画像信号に基づいて、前記インクジェットプリンタヘッドを駆動制御して前記ノズルから選択的にインク滴を吐出させる主走査駆動処理と、前記副走査駆動部を駆動制御して前記インクジェットプリンタヘッドと前記記録媒体とを相対的に副走査方向に移動させる副走査駆動処理とを実行する記録手段とを具備するインクジェット記録装置を用い、
    ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングを判定する工程と、
    ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングの判定に応じて、インク滴を吐出させる前記ノズルの位置を前記インクジェットプリンタヘッド全体としてずらすノズル位置変更処理を実行する工程と、
    を具備するインクジェット記録装置。
  9. 複数のノズルが配列されたライン型のインクジェットプリンタヘッドと、前記インクジェットプリンタヘッドとその印字対象物である記録媒体とを規定の間隔を開けて位置付ける配置構造と、前記インクジェットプリンタヘッドと前記記録媒体とを前記ノズルの配列方向と直行する副走査方向に相対的に移動させる副走査駆動部と、前記インクジェットプリンタヘッドを前記ノズルの配列方向に往復移動させるヘッド移動駆動部と、画像信号に基づいて、前記インクジェットプリンタヘッドを駆動制御して前記ノズルから選択的にインク滴を吐出させる主走査駆動処理と、前記副走査駆動部を駆動制御して前記インクジェットプリンタヘッドと前記記録媒体とを相対的に副走査方向に移動させる副走査駆動処理とを実行する記録手段とを具備するインクジェット記録装置が具備するコンピュータにインストールされ、このコンピュータに、
    ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングを判定する機能と、
    ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングの判定に応じて、前記ヘッド移動駆動部を駆動制御して前記インクジェットプリンタヘッドを前記ノズルの配列方向に移動させるヘッド移動処理を実行する機能と、
    このときの前記インクジェットプリンタヘッドの移動量に応じたピッチを判定する機能と、
    前記インクジェットプリンタヘッドの移動量に応じたピッチとして判定されたピッチでヘッド移動方向と逆方向に、インク滴を吐出させる前記ノズルの位置を前記インクジェットプリンタヘッド全体としてずらすノズル位置変更処理を実行する機能と、
    を実行させる機械読み取り可能なインクジェット記録用のコンピュータプログラム。
  10. 複数のノズルが配列されたライン型のインクジェットプリンタヘッドと、前記インクジェットプリンタヘッドとその印字対象物である記録媒体とを規定の間隔を開けて位置付ける配置構造と、前記インクジェットプリンタヘッドと前記記録媒体とを前記ノズルの配列方向と直行する副走査方向に相対的に移動させる副走査駆動部と、画像信号に基づいて、前記インクジェットプリンタヘッドを駆動制御して前記ノズルから選択的にインク滴を吐出させる主走査駆動処理と、前記副走査駆動部を駆動制御して前記インクジェットプリンタヘッドと前記記録媒体とを相対的に副走査方向に移動させる副走査駆動処理とを実行する記録手段とを具備するインクジェット記録装置が具備するコンピュータにインストールされ、このコンピュータに、
    ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングを判定する機能と、
    ノズル乾燥防止処理をすべきタイミングの判定に応じて、インク滴を吐出させる前記ノズルの位置を前記インクジェットプリンタヘッド全体としてずらすノズル位置変更処理を実行する機能と、
    を実行させる機械読み取り可能なインクジェット記録用のコンピュータプログラム。
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