JP2013227655A - アルミナバリア層を有する鋳造製品 - Google Patents

アルミナバリア層を有する鋳造製品 Download PDF

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Abstract

【課題】アルミナバリア層を有し、高温引張延性にすぐれる鋳造製品を提供する。
【解決手段】本発明のアルミナバリア層を有する鋳造製品は、鋳造体の表面にAlを含むアルミナバリア層が形成された鋳造製品であって、鋳造体は、質量%にて、C:0.3〜0.7%、Si:0.1%〜1.5%、Mn:0.1%〜3%、Cr:15〜40%、Ni:18〜55%、Al:2〜4%、希土類元素:0.005〜0.4%、W:0.5〜5%及び/又はMo:0.1〜3%を含有し、残部25%以上のFe、及び不可避的不純物からなり、前記希土類元素は、80%以上がLaである。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルミナバリア層を有するオーステナイト系の鋳造製品に関するものであり、より具体的には、高温引張延性にすぐれる鋳造製品に関するものである。
エチレン製造用反応管や分解管、浸炭熱処理炉のハースロール、ラジアントチューブ、耐メタルダスティング材などの耐熱鋳鋼品では、高温雰囲気に曝されるため、高温強度にすぐれるオーステナイト系の耐熱合金が用いられている。
この種オーステナイト系耐熱合金では、高温雰囲気での使用中に表面に金属酸化物層が形成され、この酸化物層がバリアとなって、高温雰囲気下で母材を保護する。
一方、これら金属酸化物としてCr酸化物(主にCrからなる)が形成されてしまうと、緻密性が低いため、酸素や炭素の侵入防止機能が十分ではなく、高温雰囲気下で内部酸化を起こし、酸化物被膜が肥大化する。また、これらCr酸化物は、加熱と冷却の繰り返しサイクルにおいて剥離し易く、剥離に到らない場合であっても、外部雰囲気からの酸素や炭素の侵入防止機能が十分でないから、被膜を通過して母材に内部酸化や浸炭を生じる不都合がある。
これに対し、一般的なオーステナイト系耐熱合金よりもAlの含有量を増やすことで、緻密性が高く、酸素や炭素を透過し難いアルミナ(Al)を主体とする酸化物層を母材の表面に形成することが提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
しかしながら、Alはフェライト生成元素であるため、含有量が多くなると材料の延性が劣化して高温強度が低下してしまう。この延性の低下傾向は、特にAlの含有量が4%を越えると観察される。
このため、上記特許文献のオーステナイト系耐熱合金は、Alによるバリア機能の向上を期待することはできても、母材の延性低下を招来する不都合がある。
そこで、Al含有量を4%超にすることなくAlの高温安定性を確保することができ、さらに、材料の延性を低下させることなく、高温雰囲気下ですぐれたバリア機能を発揮することのできる鋳造製品を提供するために、特許文献3では、鋳造体の表面粗さ(Ra)が0.05〜2.5μmとなるように内面加工を行なった後、酸化性雰囲気下で熱処理を施すことにより、鋳造体の内面にAlを含むアルミナバリア層が形成され、アルミナバリア層と鋳造体との界面に母材基地よりもCr濃度の高いCr基粒子が分散した鋳造製品を提案している(例えば、特許文献3参照)。
特許文献3の鋳造製品は、安定したアルミナバリア層の存在により、高温雰囲気下での使用において、すぐれた耐酸化性、耐浸炭性、耐窒化性、耐食性等を長期に亘って維持することができる。
特開昭51−78612号公報 特開昭57−39159号公報 国際公開第WO2010/113830号公報
特許文献3の鋳造製品において、高温における引張延性が低下してしまうものがあった。
鋭意研究の結果、高温引張延性の低下は、アルミナバリア層の生成と安定化の促進を目的として鋳造体に含有させる希土類元素の構成成分が一因であることを見出した。
本発明の目的は、アルミナバリア層を有し、高温引張延性にすぐれるオーステナイト系の鋳造製品を提供することである。
本発明のアルミナバリア層を有する鋳造製品は、
鋳造体の表面にAlを含むアルミナバリア層が形成された鋳造製品であって、
鋳造体は、質量%にて、C:0.3〜0.7%、Si:0.1%〜1.5%、Mn:0.1%〜3%、Cr:15〜40%、Ni:18〜55%、Al:2〜4%、希土類元素:0.005〜0.4%、W:0.5〜5%及び/又はMo:0.1〜3%を含有し、残部25%以上のFe、及び不可避的不純物からなり、
前記希土類元素は、80%以上がLaである。
本発明の鋳造製品によれば、鋳造体に含まれる希土類元素の構成成分として、Laの含有量を高めたことで、酸化被膜を安定化させながら、高温引張延性に優れた鋳造体を得ることができ、鋳造体を熱処理する時のAlを含むアルミナバリア層の形成効率が高まり、より薄膜化した状態で強固なアルミナバリア層を被膜形成できる。
また、C濃度を0.3〜0.7%とすることにより、炭化物を形成し易くし、比較的大きな粒径の炭化物を形成する元素であるWとMoの上限濃度を低下させた環境を構築したこと、Fe濃度を少なくとも25%以上有する鉄基合金としたこと、さらに、希土類元素の中でもLaの成分を80%以上とすることによって、アルミナバリア層の形成時にAlが表面に移動し易い合金組成とした。
本発明の鋳造製品は、希土類元素中のLaを80%以上とすることで、Ni−La系化合物の生成量を高めることができ、高温引張延性、特に1100℃以上での高温引張延性にすぐれる。
本発明の鋳造製品は、鋳造体を遠心鋳造することで、金型による冷却の進行によって径方向に微細な金属組織が配向性をもって成長し、Alが移動し易い合金組織を得ることができる。従って、従来よりも薄いアルミナバリア層でありながら、繰り返し加熱の環境下でもすぐれた強度を有する被膜の形成された鋳造製品を得ることができる。遠心鋳造により作製される鋳造製品として、管、特に高温下で使用される反応管を例示することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、鋳造体の表面にAlを含むアルミナバリア層が形成された鋳造製品であって、鋳造体は、質量%にて、C:0.3〜0.7%、Si:0.1%〜1.5%、Mn:0.1%〜3%、Cr:15〜40%、Ni:18〜55%、Al:2〜4%、希土類元素:0.005〜0.4%、W:0.5〜5%及び/又はMo:0.1〜3%を含有し、残部25%以上のFe、及び不可避的不純物からなり、前記希土類元素は、80%以上がLaである鋳造製品を得るものである。なお、本明細書において、「%」は、特に表示がないときは、全て質量%である。
<成分限定理由の説明>
C:0.3〜0.7%
Cは、鋳造性を良好にし、高温クリープ破断強度を高める作用がある。このため、少なくとも0.3%を含有させる。しかし、含有量があまり多くなると、Crの一次炭化物が幅広く形成され易くなり、アルミナバリア層を形成するAlの移動が抑制されるため、鋳造体の表面部へのAlの供給不足が生じて、アルミナバリア層の局部的な寸断が起こり、アルミナバリア層の連続性が損なわれる。また、二次炭化物が過剰に析出するため、延性、靱性の低下を招く。このため、上限は0.7%とする。なお、Cは0.4〜0.6%がより好ましい。
Si:0.1%〜1.5%
Siは、溶湯合金の脱酸剤として、また溶湯合金の流動性を高めるために少なくとも0.1%含有させるが、含有量があまり多くなると高温クリープ破断強度の低下を招くので上限は1.5%とする。なお、Siの上限は1.0%がより好ましい。
Mn:0.1%〜3%
Mnは、溶湯合金の脱酸剤として、また溶湯中のSを固定するために少なくとも0.1%含有させるが、含有量があまり多くなると高温クリープ破断強度の低下を招くので上限は3%とする。なお、Mnの上限は1.0%がより好ましい。
Cr:15%〜40%
Crは、高温強度及び繰返し耐酸化性の向上への寄与の目的のため15%以上含有させる。しかし、含有量があまり多くなると高温クリープ破断強度の低下を招くので上限は40%とする。なお、Crは20〜30%がより好ましい。
Ni:18%〜55%
Niは、繰返し耐酸化性及び金属組織の安定性の確保に必要な元素であるため18%以上含有させる。しかしながら、55%を超えて含有しても増量に対応する効果が得られないので、上限は55%とする。なお、Niは20〜45%がより好ましい。
Al:2〜4%
Alは耐浸炭性及び耐コーキング性の向上に有効な元素である。また、本発明では、鋳造体の表面にアルミナバリア層を生じさせるために必要不可欠の元素である。このため、少なくとも2%以上含有させる。しかし、含有量が4%を超えると、前述したように延性が劣化するため、本発明では上限を4%に規定する。なお、Alの含有量は2.5〜3.8%がより望ましい。
希土類元素:0.005〜0.4%。但し、その80%以上がLa
希土類元素とは、周期律表のLaからLuに至る15種類のランタン系列に、YとScを加えた17種類の元素を意味するが、本発明の耐熱合金に含有させる希土類元素は、80%以上をLaとする。Laを80%以上とすることで、高温引張延性、特に1100℃以上での高温引張延性にすぐれるNiLa、NiLaなどのNi−La系化合物の生成量を高めることができる。
希土類元素は、S固定能や希土類酸化物による酸化被膜の固定能を有しており、アルミナバリア層の生成と安定化の促進に寄与するため、0.005%以上含有する。一方、あまりに多く含有すると、延性、靱性が悪化するので、上限は0.4%とする。
さらに、希土類元素は、Ce含有量が、0.1%以下とすることが望ましい。Ce含有量を抑えることで、NiCeやNiCeなどの高温脆性の原因となるCe化合物の生成量を低減でき、高温引張延性を高めることができる。なお、希土類元素は、Ceを含まずLaのみで構成することがより好ましい。
W:0.5〜5%及び/又はMo:0.1〜3%
W、Moは、基地中に固溶し、基地のオーステナイト相を強化することにより、クリープ破断強度を向上させる。この効果を発揮させるために、W及びMoの少なくとも一種を含有させるものとし、Wの場合は0.5%以上、Moの場合は0.1%以上含有させる。
しかし、W及びMoは、含有量があまり多くなると、延性の低下や、耐浸炭性の劣化を招き、WやMoは原子半径が大きいため、基地中に固溶することにより、Alの移動を抑制してアルミナバリア層の生成を妨げる作用がある。
このため、Wは5%以下、Moは3%以下とする。なお、Wは0.5〜3%、Moは2%以下であることがより好ましい。
Ti:0.01〜0.6%、Zr:0.01〜0.6%及びNb:0.1〜3.0%の少なくとも一種
Ti、Zr及びNbは、炭化物を形成し易い元素であり、WやMoほど基地中には固溶しないため、アルミナバリア層の形成には特段の作用は認められないが、クリープ破断強度を向上させる作用がある。必要に応じて、Ti、Zr及びNbの少なくとも一種を含有させることができる。含有量は、Ti及びZrが0.01%以上、Nbが0.1%以上である。
しかし、過剰に添加すると、延性の低下を招く。Nbは、さらに、アルミナバリア層の耐剥離性を低下させる。このため、上限は、Ti及びZrは0.6%、Nbは3.0%とする。なお、Ti及びZrは0.3%、Nbは1.5%を上限とすることがより好ましい。
B:0.1%以下
Bは、鋳造体の粒界を強化する作用があるので、必要に応じて含有させることができる。なお、含有量が多くなるとクリープ破断強度の低下を招くため、添加する場合でも0.1%以下とする。
Fe:25%以上
Fe、Ni及びCr中のAlの拡散速度は、原子の大きさが小さい程速いと考えられる。このため、原子の小さいFeを増加させ、Crの量を低減することで、合金中でのAlの拡散を高め、Alを移動し易くして、Alの被膜の生成を促進させることができる。また、Crを低減させたことで、Cr酸化物の生成を抑制することもできる。
上記理由により、Feを25%以上含有する。なお、Feは30%以上とすることがより好ましい。
不可避的不純物
合金の溶製時に不可避的に混入するP、Sその他の不純物は、この種の合金材に通常許容される範囲であれば存在しても構わない。
<鋳造体>
本発明の鋳造製品を構成する鋳造体は、上記成分組成の溶湯を溶製し、遠心力鋳造、静置鋳造等により上記組成に鋳造される。
得られる鋳造体は、目的とする用途に応じた形状とすることができる。
なお、本発明は、遠心鋳造により作製される鋳造体に特に好適である。遠心鋳造を適用することで、金型による冷却の進行によって径方向に微細な金属組織が配向性をもって成長し、Alが移動し易い合金組織を得ることができるためである。これにより、後述する熱処理において、従来よりも薄いアルミナバリア層でありながら、繰り返し加熱の環境下でもすぐれた強度を有する被膜の形成された鋳造製品を得ることができる。
遠心鋳造により作製される鋳造製品として、管、特に高温環境下で使用される反応管を例示することができる。
鋳造体には、製品使用時に高温雰囲気と接触することとなる対象部位に表面処理を行ない、該部位の表面粗さを調整した上で、酸化雰囲気中での加熱処理を行なうようにしている。
<表面処理>
表面処理は、研磨処理を例示することができる。この表面処理は、製品使用時に高温雰囲気と接触することとなる対象部位の全体に行なうことが望ましい。
表面処理は、対象部位の表面粗さ(Ra)が0.05〜2.5μmとなるように実施することができる。より望ましくは、表面粗さ(Ra)は0.5〜2.0μmとする。表面粗さ(Ra)が0.05μm未満であると、CrがAlに優先して酸化するが、0.05μm以上であると、Cr酸化物スケールの生成を抑えることができ、続く熱処理によりより好適にアルミナバリア層を形成することができる。2.5μm以上となると加工歪みが残留することによってCr酸化物スケールが生成されやすくなると考えられる。また、このとき表面処理により表面粗さを調整することによって、熱影響部の残留応力や歪みも同時に除去することができる。
表面処理を研磨処理により行なう場合、番手12〜220にてペーパー研磨を行なった後、さらに番手240〜1200にて仕上げ研磨することが望ましい。
<熱処理>
表面処理を施した後、以下の条件の熱処理を行なう。
熱処理は、酸化性雰囲気下にて加熱処理を施すことで実施される。
酸化性雰囲気とは、酸素を20体積%以上含む酸化性ガス、又はスチームやCOが混合された酸化性環境である。また、加熱処理は、900℃以上、好ましくは1000℃以上、より好ましくは1050℃以上の温度で行ない、加熱時間は1時間以上である。
<鋳造製品>
上記のように、鋳造体に表面処理及び熱処理を順に行なうことで、鋳造体の表面にAlを含むアルミナバリア層が安定して形成された鋳造製品を得ることができる。
<アルミナバリア層>
本発明の鋳造製品に形成されるAlを含むアルミナバリア層は、緻密性が高く、外部から酸素、炭素、窒素の母材への侵入を防ぐバリアとしての作用を有する。本発明では、製品使用時に高温雰囲気と接触することとなる部位に表面処理を行ない、該部位の表面粗さを調整し、その後に、前記部位を酸化性雰囲気中で加熱処理することにより、鋳造製品の表面に、アルミナバリア層として、連続してAlが形成できる。
鋳造体に形成されるアルミナバリア層の厚さは、バリア機能を効果的に発揮するために、0.05μm以上3μm以下に形成することが好適である。アルミナバリア層の厚さは、0.05μm未満であると、耐浸炭性が低下する虞があり、また、3μmを越えると、母材と被膜との熱膨張係数の差の影響によってアルミナバリア層の剥離が進行しやすい虞がある。
上記影響を避けるために、アルミナバリア層の厚さは、0.1μm以上2.5μm以下とすることがより好適である。一方で、被膜厚さに差があると、温度の変化が激しい場合に被膜の剥離が進行してしまう虞もある。このため、アルミナバリア層の厚さは、0.5μm以上1.5μm以下が望ましく、平均1μm程度となることが最も望ましい。
なお、本発明の鋳造製品の表面をSEM/EDXで調べたとき、アルミナバリア層の上にCr酸化物スケールが一部形成されることがある。その理由として、アルミナバリア層の内部に形成されたCr酸化物スケールが、Alにより製品表面まで押し上げられるからである。しかしながら、この酸化物スケールは少ない方がよく、製品表面の20面積%未満となるようにして、Alが80面積%以上を占めるようにすることが好適である。
<Laについて>
本発明の鋳造製品は、希土類元素中、Laの含有量を80%としたことで、後述する実施例にて説明するとおり、高温(具体的には1100℃以上)における引張延性を可及的に高めることができる。
その理由として、Ni−La系化合物の溶融温度は、Ni−Ce系化合物の溶融温度に比較して高く、La添加材の高温脆化は1200℃よりも高温側にあるためである。より具体的には、NiCe、NiCeの融点は夫々1000℃、1180℃であるのに対し、NiLa、NiLaの融点は夫々1100℃、1240℃である。
従って、特に反応管に使用する場合、Ceその使用温度域(約1100℃)にて脆化しないLaを希土類元素として80%以上含有することが有効である。
本発明では、希土類元素中、Ceの含有量を抑えて、Laを80%以上含有するようにしているが、Ce添加材とLa添加材に対して、1050℃、10時間保持、炉冷の大気中繰り返し酸化試験を行なったところ、Ce添加材とLa添加材には、Alの耐剥離性に差異は殆んど認められなかった。
また、希土類元素中、Ceの含有量を抑えて、Laを80%以上含有した場合における割れ感受性(割れ易さ)を、ビード置き試験(亀裂感度試験:社団法人日本溶接協会のホームページhttp://www-it.jwes.or.jp/qa/details.jsp?pg_no=0100080100参照)により評価したが、殆んど影響はないことを確認した。
本発明は、高温引張延性にすぐれ、アルミナバリア層による外部雰囲気からの酸素、炭素、窒素等の侵入防止を効果的に防止できる鋳造製品として好適である。
高周波誘導溶解炉の大気溶解により溶湯を溶製し、遠心力鋳造により、下記表1に掲げる合金化学組成の供試管(外径59mm、肉厚8mm、長さ3000mm)を鋳造した。供試No.11〜23は発明例、供試No.101〜105は比較例である。
より具体的には、比較例は、供試No.101〜104が本発明の合金化学組成に対してLaよりもCeを多く含む比較例、供試No.105がLaとCeの合計量に対して、Laの含有量が80%未満の比較例である。
Figure 2013227655
<表面処理>
これら供試管に対し、管内面に粗加工であるスカイビング加工と、ペーパー研磨による表面処理を行ない、表面粗さ(Ra)が1.0μmとなるように調整した。
<熱処理>
表面処理の後、すべての供試管について、大気中(酸素約21%)、1000℃、10時間の加熱を施し、加熱後、炉冷する処理を行なった。
<高温延性試験>
供試管から引張試験片をJIS Z 2201に準拠して作製し、延性試験を行なった。具体的には、試験片は、平行部径10mm、平行部長さ50mmを加工し、JIS G 0567の金属材料引張試験方法に従って延性試験を行なった。なお、試験は1100℃で行なった。
上記各試験の結果を表2に示す。
Figure 2013227655
<試験結果の考察>
引張強さについて、表2を参照すると、発明例である供試No.11〜No.23は、比較例である供試No.101〜No.105とほぼ同等であることがわかる。
伸び(高温引張延性)については、発明例は、比較例の約10倍となっている。
発明例である供試No.11〜No.23が伸び(高温引張延性)にすぐれるのは、希土類元素中のLaの含有量を80%以上としたことにより、高温引張延性にすぐれるNiLa、NiLaなどのNi−La系化合物の生成量を高めることができたためである。
一方、比較例である供試101〜105が伸び(高温引張延性)で劣るのは、希土類元素中のCeの含有量が高い、即ちLaの含有量が80%未満である結果、NiCeやNiCeなどのNi−Ce系化合物の生成量が多く、これらが高温脆性の原因となったためである。
発明例について、希土類元素として、Laを0.12%、Ceを0.03%とした供試No.18については、他の発明例と同等の伸び(高温引張延性)を示している。これは、Ceを0.1%以下としたことにより、Ni−Ce系化合物の生成量を抑えることができたためである。
なお、発明例、比較例共に、アルミナバリア層の被膜厚さ及び面積率は何れも良好であり、発明例について、供試片にNiメッキを施して、ステンレス鋼シートで覆い、さらにその上から樹脂被覆を施し、断面SEM分析を行なったところ、何れも0.05μm以上3μm以下の好適なアルミナバリア層が形成されていたことが判った。
上記実施例に示されるように、本発明の鋳造製品は、鋳造体の表面全体に均一なアルミナバリア層を形成でき、外部雰囲気からの酸素、炭素、窒素等の侵入は効果的に防止されることは勿論、すぐれた高温引張延性を具備している。
なお、上記実施例は、遠心力鋳造により供試管を作製したが、静置鋳造であっても同様の結果を得ることができる。
本発明は、アルミナバリア層を有し、高温引張延性にすぐれる鋳造製品として有用である。

Claims (8)

  1. 鋳造体の表面にAlを含むアルミナバリア層が形成された鋳造製品であって、
    鋳造体は、質量%にて、C:0.3〜0.7%、Si:0.1%〜1.5%、Mn:0.1%〜3%、Cr:15〜40%、Ni:18〜55%、Al:2〜4%、希土類元素:0.005〜0.4%、W:0.5〜5%及び/又はMo:0.1〜3%を含有し、残部25%以上のFe、及び不可避的不純物からなり、
    前記希土類元素は、80%以上がLaである、ことを特徴とするアルミナバリア層が形成された鋳造製品。
  2. 前記希土類元素は、Ceを含んでいないことを特徴とする請求項1に記載の鋳造製品。
  3. 前記希土類元素は、Ce含有量が0.1%以下であることを特徴とする請求項1に記載の鋳造製品。
  4. さらに、Ti:0.01〜0.6%、Zr:0.01%〜0.6%及びNb:0.1〜3.0%からなる群より選択される少なくとも一種を含有する請求項1乃至請求項3の何れかに記載の鋳造製品。
  5. さらに、B:0%を越えて0.1%以下を含有する請求項1乃至請求項4の何れかに記載の鋳造製品。
  6. 前記アルミナバリア層は、厚さ0.05μm〜3μmである請求項1乃至請求項5の何れかに記載の鋳造製品。
  7. 前記アルミナバリア層に被覆された鋳造体の表面粗さ(Ra)は、0.05μm〜2.5μmである請求項1乃至請求項6の何れかに記載の鋳造製品。
  8. 前記鋳造体は、遠心鋳造により製造される請求項1乃至請求項7の何れかに記載の鋳造製品。
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