JP2018075606A - 肉盛溶接用合金及び溶接用粉末 - Google Patents

肉盛溶接用合金及び溶接用粉末 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、反応管の内面に肉盛溶接される突起にAl酸化物を含むアルミナバリア層を形成することのできる肉盛溶接用合金及び溶接用粉末を提供する。【解決手段】本発明に係る肉盛溶接用合金は、肉盛溶接に用いられる肉盛溶接用合金であって、質量%にて、C:0.2%〜0.6%、Si:0%を越えて1.0%、Mn:0%を越えて0.6%以下、Cr:25%〜35%、Ni:35%〜50%、Nb:0.5%〜2.0%、Al:3.0%〜6.0%、Y:0.005%〜0.05%、残部Fe及び不可避的不純物からなる。【選択図】図2

Description

本発明は、肉盛溶接に用いられる肉盛溶接用合金及び溶接用粉末に関するものであり、より具体的には、炭化水素ガスの熱分解管の如き反応管の内面に肉盛溶接される突起に好適な肉盛溶接用合金及び溶接用粉末に関するものである。
エチレンやプロピレン等のオレフィンは、炭化水素ガス(ナフサ、天然ガス、エタン等)の原料流体を外部から加熱された反応管に流通させ、原料流体を反応温度域まで加熱して熱分解することにより生成される。
反応管は、高温雰囲気に曝され、また、流通するガスによる酸化、浸炭、窒化等の影響を受けやすいため、これらに対する耐性にすぐれた材料の適用が求められている。そこで、出願人は、特許文献1において、管本体の内面にAl酸化物を含むアルミナバリア層が形成された反応管を提案している。
管本体の内面にアルミナバリア層が形成されることで、高温雰囲気下での使用において、すぐれた耐酸化性、耐浸炭性、耐窒化性等を実現できる。
一方で、反応管には、熱伝達効率の向上と、圧力損失の低減が求められる。そこで、出願人は、特許文献2において、管本体の内面に撹拌部材として螺旋状の突起を形成した反応管を提案している。螺旋状の突起の材料として、25Cr−Ni(SCH22)、25Cr−35Ni(SCH24)、インコロイ(商標名)が開示されており、肉盛溶接によって、管本体の内面に突起を形成している。
WO2010/113830号公報 特開2008−249249号公報
管本体の内面に突起を形成することで、熱伝達効率の向上や圧力損失の低減は達成される。しかしながら、突起は、管本体の内面に比べて突出しているから、管本体の内面に比べてガスの当たりが強く、酸化、浸炭、窒化等の影響を受け易い。また、突起の表面に炭化水素ガスの変質や分解によって生ずるコークが付着して、熱伝達効率の低下や圧力損失を招く虞がある。さらに、付着したコークを除去するためのデコーキング作業の頻度が高まり、操業効率の低下を招く虞もある。
本発明の目的は、反応管の内面に肉盛溶接される突起にAl酸化物を含むアルミナバリア層を形成することのできる肉盛溶接用合金及び溶接用粉末を提供することである。
本発明に係る肉盛溶接用合金は、
肉盛溶接に用いられる肉盛溶接用合金であって、質量%にて、
C:0.2%〜0.6%、Si:0%を越えて1.0%、Mn:0%を越えて0.6%以下、Cr:25%〜35%、Ni:35%〜50%、Nb:0.5%〜2.0%、Al:3.0%〜6.0%、Y:0.005%〜0.05%、残部Fe及び不可避的不純物からなる。
前記肉盛溶接用合金は、質量%にて、希土類元素:0.01%〜0.20%をさらに含むことができる。
前記肉盛溶接用合金は、質量%にて、W:0%を越えて2.0%以下、Mo:0%を越えて1.0%以下、Ti及び/又はZrを合計量:0%を越えて0.5%以下、及び、Hf:0%を越えて0.5%以下からなる群より選択される1種以上の元素をさらに含むことができる。
また、本発明の溶接用粉末は、
上記記載の肉盛溶接用合金からなる。
肉盛溶接用合金は、Al含有量が多いため、溶接性と伸びの低下を招きやすい。しかしながら、本発明では、肉盛溶接用合金や溶接用粉末にNbを含有させることで、溶接時にNbがCと結合してNbCを形成するため、溶接材中の炭素濃度を低減させることができ、溶接性が高められて溶接時の割れを防止するようにしている。また、溶接により形成された突起に含まれるNbは、溶接時にNbC(ニオブ炭化物)を形成し、結晶粒界強化によってクリープ強度を高めることができる。また、ブラスト加工などによって突起の酸化物を除去する際に、直線性のよい方が酸化物を除去し易く、Al酸化物の形成能を向上させることができる。突起に好適にアルミナバリア層が形成されることで、コーキングを防止でき熱分解効率を高めることができるから、オレフィンの収率を高めることができる。
また、形成された突起中のCが、優先的にNbCを形成することで、Cr炭化物の形成を抑えることができ。その結果、熱処理によって突起にAl酸化物の形成を促すことができる。突起にアルミナバリア層が形成されることで、コークの付着も抑えることができるから、熱伝達効率の低下や圧力損失を防止でき、デコーキング作業による操業効率の低下も防ぐことができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る内面突起付反応管の管軸方向に沿う断面図である。 図2は、発明例3の写真である。 図3は、比較例1の写真である。 図4は、比較例2の写真である。 図5は、比較例3の写真である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、特に明記しない限り、「%」は質量%を意味する。
本発明の肉盛溶接用合金は、エチレン製造用熱分解管や炭化水素ガスの熱分解用分解管などの反応管の内面に肉盛溶接される突起の材料として使用することができる。反応管は、たとえば、エチレン等の炭化水素製造用の加熱炉に配備される。
図1に示すように、本発明の内面突起付反応管10は、管本体12の内面に撹拌部材である突起14を形成したものである。突起14は、後述する肉盛溶接用合金を管本体12の内面に肉盛溶接することで形成することができる。突起14は、図1(a)に示すように、連続した螺旋状の突起列として形成することができる。突起列の数は、1又は複数条とすることができる。また、図1(b)及び図1(c)は、突起14と突起14の間にスリット16を設けた形状である。スリット16は、隣り合う突起列どうしで管軸方向に平行に設けることもできるし、隣り合う突起列どうしのスリット16を管本体12の周面方向にずらして形成することもできる。突起14は、螺旋状の突起列に限定されず、管軸に垂直な向きに形成することもできる。
管本体12の内面に突起14を形成することで、管本体12の内部を流通する炭化水素ガスは、突起14を乗り越える際に突起14の周縁で旋回するスワール流を生じ、撹拌されることで、管本体12との熱交換を行なうことができ、熱分解効率を可及的に高めることができる。
管本体12は、Alを2.0%以上含有する材料を用いる。Alを2.0%以上含有させることで、熱処理によって管本体12の内面にAl酸化物を含むアルミナバリア層を形成することができ、高温雰囲気下での使用において、すぐれた耐酸化性、耐浸炭性、耐窒化性等を発揮することができる。管本体12は、たとえば遠心力鋳造により製造することができる。
また、管本体12は、Nbを含有することができる。Nbは、Cと結合し、NbCを形成して粒界強化によるクリープ強度を高めることができる。しかしながら、管本体12へ0.5%以上添加してもその効果は飽和するため、含有する場合であってもNb:0%を越えて0.5%以下とすることが望ましい。
この種の材料として、C:0.40%〜0.60%、Si:0%を越えて1.0%以下、Mn:0%を越えて1.0%以下、Cr:22%〜28%、Ni:29%〜37%、W:0.5%〜2.0%、Nb:0%を越えて0.50%以下、Al:2.0%〜4.0%、希土類元素:0.05%〜0.40%、Ti:0.05〜0.20%、残部Fe及び不可避的不純物からなる材料を例示できる。希土類元素は、周期律表のLaからLuに至る15種類のランタノイドを意味する。希土類元素は、Laを主体とすることが好適であり、Laが前記希土類元素のうち80%以上、望ましくは90%以上占めることが望ましい。なお、不可避的不純物として、P、Sを例示でき、これらは合計量で0.06%を上限とする。
突起14は、下記組成の肉盛溶接用合金からなる溶接用粉末を、管本体12の内面にPPW(Plasma Powder Welding)や粉体プラズマ溶接(PTA(Plasma Transferred Arc)溶接)などの肉盛溶接法により、肉盛ビードとして形成することができる。
肉盛溶接用合金は、C:0.2%〜0.6%、Si:0%を越えて1.0%、Mn:0%を越えて0.6%以下、Cr:25%〜35%、Ni:35%〜50%、Nb:0.5%〜2.0%、Al:3.0%〜6.0%、Y:0.005%〜0.05%、残部Fe及び不可避的不純物からなる合金を使用することが好適である。なお、不可避的不純物として、P、Sを例示でき、これらは合計量で0.01%を上限とする。
上記肉盛溶接用合金の成分限定理由は、以下の通りである。
C:0.2%〜0.6%
Cは、高温クリープ破断強度を高める作用がある。このため、少なくとも0.2%を含有させる。しかし、含有量があまり多くなると、突起中にCrの一次炭化物が幅広く形成され易くなり、アルミナバリア層を形成するAlの母材内での移動が抑制されるため、鋳造体の表面部へのAlの供給不足が生じて、アルミナバリア層の局部的な寸断が起こり、アルミナバリア層の連続性が損なわれる。このため、上限は0.6%とする。なお、Cの含有量は0.3%〜0.5%がより望ましい。
Si:0%を超えて1.0%以下
Siは、脱酸剤として、また溶接時の材料の流動性を高めるために含有させる。しかしながら、含有量があまり多くなると高温クリープ破断強度の低下や酸化されて緻密性の低い酸化物層の形成を招き、また、溶接性を低下させるので上限は1.0%とする。なお、Siの含有量は0.6%以下がより望ましい。
Mn:0%を超えて0.6%以下
Mnは、溶湯合金の脱酸剤として、また溶湯中のSを固定するために含有させるが、含有量があまり多くなるとMnCrの酸化物被膜が形成され、また、高温クリープ破断強度の低下を招くので上限は0.6%とする。なお、Mnの含有量は0.3%以下がより望ましい。
Cr:25%〜35%
Crは、高温強度及び耐酸化性の向上への寄与の目的のため、25%以上含有させる。しかし、含有量があまり多くなるとクロム酸化物(Cr等)が形成され、アルミナバリア層の形成が阻害されるため、上限は35%とする。なお、Crの含有量は27%〜33%がより望ましい。
Ni:35%〜50%
Niは、耐浸炭性、耐酸化性及び金属組織の安定性の確保に必要な元素である。また、Niは、アルミナバリア層の再生能を高める働きがある。また、Niの含有量が少ないと、Feの含有量が相対的に多くなる結果、鋳造体の表面にCr−Fe−Mn酸化物が生成され易くなるため、アルミナバリア層の生成が阻害される。このため、少なくとも35%以上含有させるものとする。一方で、50%を超えて含有させても、増量による効果は飽和するので、上限は50%とする。なお、Niの含有量は38%〜47%がより望ましい。
Nb:0.5%〜2.0%
Nbは、溶接割れの発生を抑え、さらには、NbCを形成してクリープ強度を高めることができるため、0.5%以上含有させる。一方で、Nbは、アルミナバリア層の耐剥離性を低下させるため上限は2.0%とする。なお、Nbの含有量は1.0%〜1.5%がより望ましい。
Al:3.0%〜6.0%
Alは、アルミナバリア層を形成するAl酸化物の必須材料である。肉盛溶接された突起14のアルミナバリア層の安定形成能や再生能を発揮するために、Alは3.0%以上含有させる。一方で、Alの含有量が6.0%を越えると、これら能力は飽和するから、上限は6.0%とする。なお、Alの含有量は3.0%を越えて5.0%未満がより望ましく、4.0%を越えて5.0%未満がさらに望ましい。
Y:0.005%〜0.05%
Yは、肉盛溶接の際に、溶接ビードの蛇行を抑え、溶接性を高めるために0.005%以上添加する。一方で、Yの含有量が0.05%を越えると、肉盛溶接された突起14の延靭性の低下を招くので、上限は0.05%とする。なお、Yの含有量は0.01%〜0.03%がより望ましい。
なお、Yは、Alの含有量に対して、0.002倍以上含有させることが望ましい。すなわち、Y/Al≧0.002である。これにより、Alの添加によって阻害される溶接性の低下を、Yによって補うことができる。なお、次に示す希土類元素をさらに添加する場合には、(Y+希土類元素)/Al≧0.002とすることが望ましい。
その他、肉盛溶接用合金には、下記元素を添加することができる。
希土類元素:0.01%〜0.20%
希土類元素は、周期律表のLaからLuに至る15種類のランタノイドを意味する。希土類元素は、Laを主体とすることが好適であり、Laが前記希土類元素のうち80%以上、望ましくは90%以上占めることが望ましい。希土類元素は、アルミナバリア層の安定形成能に寄与するため、0.01%以上含有させる。一方で、希土類元素の含有量が0.20%を越えると、この能力は飽和するから、上限は0.20%とする。なお、希土類元素の含有量は0.01%を越えて0.10%以下がより望ましい。
W:0%を越えて2.0%以下、Mo:0%を越えて1.0%以下、Ti及び/又はZrを合計量:0%を越えて0.5%以下、及び、Hf:0%を越えて0.5%以下からなる群より選択される1種以上の元素
これら元素は、耐浸炭性を高める効果を有し、高温強度改善のために添加する。しかしながら、過剰の添加は延靭性の低下等を招くため、含有量は上記規定のとおりとする。
本発明では、肉盛溶接用合金にNbを含有することで、溶接割れの発生を抑えるようにしている。肉盛溶接用合金に含まれるNbは、突起形成の溶接時にNbCを形成し、結晶粒界強化によってクリープ強度を高めることができる。また、NbがCと結合してNbCを形成することで、溶接材中の炭素濃度を低減させることができ、溶接性が高められる。
また、形成された突起中のCが、優先的にNbCを形成することで、Cr炭化物の形成を抑えることができ。その結果、熱処理によって突起にAl酸化物の形成を促すことができる。突起にアルミナバリア層が形成されることで、コークの付着も抑えることができるから、熱伝達効率の低下や圧力損失を防止でき、デコーキング作業による操業効率の低下も防ぐことができる。
形成された突起14のNbを管本体12のNb濃度よりも高くするために、肉盛溶接用合金のNb濃度は、管本体12のNb濃度よりも高くすることが望ましい。これは、形成される突起14のAl濃度を高くすることにより皮膜形成性を高めると同時に突起には溶接性が求められるため、Nb濃度を高めることによって皮膜形成性と溶接性を両立させるためである。なお、突起14のNb濃度は管本体12のNb濃度よりも2倍以上が好ましく、5倍以上がより好ましい。
また、形成される突起にAlを含有することで、熱処理によってAl酸化物を含むアルミナバリア層を好適に形成させることができる。これは、肉盛溶接用合金中のAlの含有量を、管本体12よりもAlの含有量を多くすることで実現できる。突起14は、管本体12の内面に比べて炭化水素ガスの当たりが強く、酸化、浸炭、窒化等の影響を受け易く、安定したアルミナバリア層を形成する必要があるためである。望ましくは、肉盛溶接用合金のAl含有量は、管本体12のAl含有量に比して0.5%以上とする。
なお、管本体12のAlの含有量も突起14のように多くすることで、アルミナバリア層の安定形成能を高めることが考えられる。しかしながら、管本体12のAl含有量を高めると、管本体の鋳造性、とくに遠心力鋳造における鋳造性が低下してしまう。また、管本体12のクリープ破断強度、引張延性等の機械的特性が低下する虞がある。さらに、反応管10は、複数を溶接して接合し加熱炉内に設置されるが、管本体12のAl含有量が多くなると、その溶接性が低下する。従って、本発明では、管本体12のAl含有量を、肉盛溶接用合金のAl含有量に比べて少なく抑えている。
上記のように、肉盛溶接用合金は、Nb、Al及びYを含有することで、溶接性にすぐれ、形成された突起14は、クリープ強度が高く、アルミナバリア層の安定形成能を高めることができる。従って、突起14は、高温雰囲気下での使用において、すぐれた耐酸化性、耐浸炭性、耐窒化性等を発揮する。また、突起14にコークが付着することを防止できるから、熱伝達効率や圧力損失の低下を防ぐことができる。さらに、コークの付着が抑えられるから、デコーキング作業の頻度を低くし、操業効率の向上を達成できる。
本発明の肉盛溶接用合金により内面に突起14を形成した反応管10は、たとえば、以下の要領で製造することができる。
<管本体12の鋳造>
管本体12は、上記成分組成の溶湯を溶製し、遠心力鋳造、静置鋳造等により管状に鋳造される。本発明は、遠心力鋳造により作製される管本体に特に好適である。遠心力鋳造を適用することで、金型による冷却の進行によって径方向に微細な金属組織が配向性をもって成長し、Alが移動し易い合金組織を得ることができるためである。これにより、後述する熱処理において、従来よりも薄いアルミナバリア層でありながら、繰り返し加熱の環境下でもすぐれた強度を有する被膜の形成された管本体12を得ることができる。
<機械加工>
得られた管本体12を所定の寸法に切断し、曲直しによって曲がりを矯正した後、内面に粗加工を施し、端部に溶接のための開先加工を行なう。
<突起14の肉盛溶接>
次に、管本体12の内面にPPWやPTA溶接などによって、上記組成の肉盛溶接用合金からなる粉末を肉盛溶接する。肉盛溶接用合金粉末には、上記範囲でYを含有しているため、溶接ビードの蛇行が抑えられ、良好な溶接性を具備する。これにより、管本体12の内面に突起14が肉盛溶接された反応管10を得る。
<内面精加工>
管本体12の内面や突起14の表面には、突起14の肉盛溶接で発生した溶金部とその周囲に表面酸化物が残留している。これら酸化物を研削によって除去する。本発明では、突起は溶接性にすぐれるから酸化物を除去し易く、Al酸化物の形成能を向上させることができる。研削方法として、平面研削、グラインダー研磨、ブラスト処理を例示できる。特に、ブラスト処理は内面に突起がある場合に優れた施工性を備えている。
<熱処理>
反応管10の内面に内面精加工を施した後、反応管10を酸化性雰囲気下で熱処理することで、管本体12の内面及び突起14の表面にアルミナバリア層が形成される。なお、この熱処理は、独立した工程として実施することもできるし、加熱炉において反応管10を設置して使用される際の高温雰囲気においても実施することができる。
熱処理は、酸化性雰囲気下にて実施される。酸化性雰囲気とは、酸素を20体積%以上含む酸化性ガス、スチームやCOが混合された酸化性環境である。
熱処理を施すことにより、管本体12の内面及び突起14の表面が酸素と接触し、基地表面に拡散したAl、Cr、Ni、Si、Feを酸化させて酸化物層が形成される。800℃以上の好適な温度範囲において1時間以上の熱処理を行なうことで、管本体12の内面及び突起14の表面では、Cr、Ni、Si、Feよりも優先してAlが酸化物(Al)を形成し、Al酸化物が主体のアルミナバリア層が形成される。とくに、突起14は、Nbを含有することで、優先的にNbCを形成することでCが消費され、アルミナバリア層の形成を阻害するCr炭化物の生成を抑えることができ、アルミナバリア層の形成を促進することができる。
本発明の反応管10は、管本体12の内面及び突起14の表面に形成されたアルミナバリア層によって、高温雰囲気下の使用において、すぐれた耐酸化性、耐浸炭性、耐窒化性、耐食性を長期に亘って維持できる。また、管本体12は、突起14よりもAlの含有量が少ないから、機械的特性にすぐれ、さらには、加熱炉への据付時の溶接性にもすぐれる。従って、反応管10の寿命を大幅に向上でき、操業効率を可及的に高めることができる。
さらに、突起14は、溶接性にすぐれて蛇行や溶接割れがないから、ブラスト加工などによって突起14の酸化物を除去する際に酸化物を除去し易く、Al酸化物の形成能を向上させることができる。突起14にAl酸化物が好適に形成されることで、コーキングの発生を低減でき、熱分解効率を高めることができるから、オレフィンの収率を高めることができる。
高周波誘導溶解炉の大気溶解により管本体12の合金溶湯(表1:レードル分析)を溶製し、遠心力鋳造により管本体12(供試管1〜3)を作製し、内面に粗加工を施すと共に、機械加工を施した。得られた供試管は、内径80mm、外径100mm、長さ3mである。
得られた供試管を径方向に4分割し、PPWにより表2に示す肉盛溶接用合金粉末を用いて突起14を肉盛溶接した(発明例1〜発明例4、比較例1〜比較例3)。なお、(Y+希土類元素)/Alを合わせて表2に示している。
突起の形成された供試管(発明例1〜発明例4、比較例1〜比較例3)を図2乃至図5に示す。図を参照すると、何れも供試管の内面に肉盛溶接によって突起が形成されていることがわかる。
そして、この段階で、目視により肉盛溶接時の溶接性を評価した。溶接性は、直線性の優劣、すなわち突起の蛇行の程度に基づいて評価A〜評価Cとして判断した。結果を表3に示す。
図2乃至図5、表3を参照すると、溶接性について、発明例の突起は蛇行することなく直線状に形成されており、すぐれていることがわかる(評価A)。一方、比較例について、比較例1はすぐれた溶接性(評価A)を具備するが、比較例2は突起が大きく蛇行しており、溶接性に非常に劣っている(評価C)。また、比較例3は、突起に大きな蛇行はないが、多数の微小な歪みが見られ、直線性は中程度であった(評価B)。
発明例が溶接性にすぐれるのは、溶接性を阻害するAlを多く含有しているにも拘わらず、その阻害効果を補う量のYを添加しているためである。なお、(Y+希土類元素)/Alは何れも0.002以上であった(表2)。一方、比較例1はYの添加はないが、溶接性を阻害するAlの含有量が低いため同様に評価Aであった。また、比較例2は、溶接性を阻害するAlが多く添加されているにも拘わらず、その阻害効果を補うYを含有しておらず、(Y+希土類元素)/Alも0であるため、突起が蛇行し、評価がCであった。また、比較例3もYを含有していないが、Alの含有量が少ないため、比較例2よりも溶接性は良く、その評価がBであった。
次に、発明例及び比較例について、アルミナバリア層の形成能を評価した。具体的には、突起を平面研削、グラインダー研磨又はブラスト処理し、酸化性大気雰囲気中(酸素約21%)で加熱、炉冷する処理を行なって、突起表面にアルミナバリア層を形成し、その面積%を測定することで形成能を評価した。各供試材について、アルミナバリア層の形成能を合わせて表3に示す。
表3を参照すると、すべての発明例、比較例2及び比較例3はアルミナバリア層の形成能が90面積%以上と高く、その形成能にすぐれていることがわかる。これは、Alを多く含んでいること、また、NbがNbCを形成し、Al酸化物の形成を阻害するCr炭化物の形成を抑えることができたためと考えられる。一方、比較例1は、Al酸化物を形成するAl自体が少ないため、アルミナバリア層が形成されていない。また、比較例3は、Alが多く、Nbも多いが、溶接性が悪いため表面研削によっても十分に突起の表面が粗いままであり、Al酸化物の形成が阻害されたものと考えられる。
<総合評価>
発明例及び比較例を総合的に評価し、表3中「総合評価」に示している。表3を参照すると、発明例は突起の溶接性にすぐれ、さらにはアルミナバリア層の形成能が90%以上であり、総合評価はAである。すなわち、本発明の反応管10は、突起14の溶接性にすぐれるから、ブラスト加工などによって突起の酸化物を除去する際に酸化物を除去し易く、Al酸化物の形成能を向上させることができる。これにより、コーキングの発生を低減でき、熱分解効率を高めることができる結果、オレフィンの収率を高めることができる。また、管本体12だけでなく、突起14にも良好なアルミナバリア層が形成されるから、加熱と冷却の繰返しサイクルを受けてもアルミナバリア層が剥離し難い。従って、高温雰囲気下での使用において、すぐれた耐酸化性、耐浸炭性、耐窒化性、耐食性、耐コーキング性等を長期に亘って具備でき、また、クリープ破断強度や引張延性等などの機械的特性にもすぐれ、反応管10どうしの溶接性にもすぐれる。さらに、管本体12及び突起14にコーキングが生じ難いから、デコーキング作業等のメンテナンス時間や頻度を削減でき、操業効率を可及的に高めることができる。
一方、比較例は溶接性、アルミナバリア層の形成能の何れかに劣るから、熱分解管として使用したときに、コーキングが発生し、耐酸化性、耐浸炭性、耐窒化性に劣る。このため、総合評価はB又はCであった。
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
10 反応管
12 管本体
14 突起

Claims (4)

  1. 肉盛溶接に用いられる肉盛溶接用合金であって、質量%にて、
    C:0.2%〜0.6%、Si:0%を越えて1.0%、Mn:0%を越えて0.6%以下、Cr:25%〜35%、Ni:35%〜50%、Nb:0.5%〜2.0%、Al:3.0%〜6.0%、Y:0.005%〜0.05%、残部Fe及び不可避的不純物からなる。
    ことを特徴とする肉盛溶接用合金。
  2. 質量%にて、希土類元素:0.01%〜0.20%をさらに含んでいる、
    請求項1に記載の肉盛溶接用合金。
  3. 質量%にて、W:0%を越えて2.0%以下、Mo:0%を越えて1.0%以下、Ti及び/又はZrを合計量:0%を越えて0.5%以下、及び、Hf:0%を越えて0.5%以下からなる群より選択される1種以上の元素をさらに含んでいる、
    請求項1又は請求項2に記載の肉盛溶接用合金。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の肉盛溶接用合金からなる、
    溶接用粉末。
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