JP2013212977A - セメント用添加剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンクリートの収縮低減効果に優れ、空気量の増減が少なく空気量の管理が容易なセメント用添加剤を提供する。
【解決手段】一般式(1)で示される化合物(a)と、一般式(2)で示される化合物(b1)、一般式(3)で示される化合物(b2)および一般式(4)で示される化合物(b3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(b)とを含有するセメント用添加剤(E)。
〔O(AO)n〕m (1)
N〔(AO)nH〕2 (2)
N(AO)nH (3)
N (4)
[式中、Rは1〜6価の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、nは1〜100、mは1〜6、R〜Rはアルキル基又はアルケニル基、AO〜AOはオキシアルキレン基、n、nは0〜10。]
【選択図】なし

Description

本発明はセメント用添加剤に関する。
近年、コンクリート構造物の耐久性向上に対する意識が高まっており、コンクリートのひび割れの原因となる乾燥収縮を低減できる収縮低減剤に対する期待が高まっている。この乾燥収縮低減剤としては、例えば、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル(特許文献1、2)、ポリエーテルポリオール(特許文献3〜5)、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルとポリエーテルポリオールの混合物(特許文献6、7)が、従来より知られている。
特開昭56−37259号公報 特開平2−124750号公報 特開昭59−21557号公報 特開2010−53026号公報 特開2010−150115号公報 特開2007−210842号公報 特開2009−274913号公報
国内で流通するコンクリートのほとんどは、JIS A5308(レディーミクスト コンクリート)の規定に基づくコンクリートであることから、日本国内では耐凍害性を付与するために空気量を4.5±1.5%に調整したコンクリートが一般的になっている。コンクリートの空気量は、生コンミキサーでセメント、水、骨材、添加剤等の原料を混練する際に空気量調節剤(以下、AE剤ともいう。)等の添加量で調整され、生産された生コンは所定の空気量であることを確認した後に、アジテータートラック(生コン車)にて現場に搬送される。現場では打設前に空気量を確認し、必要により再調整を行うが、搬送中における空気量の変動は若干程度であることから、通常、現場での再調整は必要とならない。それに対し収縮低減剤を添加したコンクリートは、アジテータートラックによる搬送中に空気量が大きく増加することから、現場での空気量再調整が欠かせない作業となっている。なぜならコンクリートの強度は空気量に逆比例することから、所定量以上の空気を含むコンクリートは建築物の安全基準、耐震基準を満足していない危険性があるためである。また、収縮低減剤を添加した生コンが生コンミキサーやアジテータートラックを通じて他の生コンにコンタミすると、コンタミを受けた生コンの空気量が大きく増加してしまうことから、収縮低減剤を添加した生コンを生産した後には、普段行う必要のない生産バッチ間での生産設備の洗浄が必要になる。このような収縮低減剤を添加した生コンの施工管理の難しさ、煩わしさが、収縮低減剤の普及を妨げる大きな要因になっており、早急な改善が望まれる状況にある。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、従来の収縮低減剤と同様にコンクリートの収縮低減効果に優れる上、コンクリートの空気量の増減が少なく空気量の管理が極めて容易となるセメント用添加剤を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。本発明は、一般式(1)で示される化合物(a)と、一般式(2)で示される化合物(b1)、一般式(3)で示される化合物(b2)および一般式(4)で示される化合物(b3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(b)とを含有するセメント用添加剤(E);
〔O(AO)n〕m (1)
[式中、Rは炭素数1〜30である1〜6価の脂肪族アルコールからすべての水酸基を除いた残基、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは1〜100の整数であり、n及び/又はmが2以上の場合、2個以上のAOはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、mは1〜6の整数である。m個の〔−O(AO)n〕基は同じであっても異なっていてもよい。]、
N〔(AO)nH〕2 (2)
[式中、Rは炭素数1〜30のアルキル基又はアルケニル基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは0〜10の整数であり、nが1以上の場合、2個以上のAOは同一でも異なっていてもよい。2個の〔−(AO)nH〕基は同じであっても異なっていてもよい。]、
N(AO)nH (3)
[式中、R、Rは炭素数1〜30のアルキル基又はアルケニル基であり同一でも異なっていてもよく、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは0〜10の整数であり、nが2以上の場合のn個のAOは同一でも異なっていてもよい。]、
N (4)
[式中、R、R、Rは炭素数1〜30のアルキル基又はアルケニル基であり同一でも異なっていてもよい。];及び
該セメント用添加剤(E)を含有してなるセメント組成物(Z)である。
本発明のセメント用添加剤は、従来の収縮低減剤と同様にコンクリートの収縮低減効果に優れる上、コンクリートの空気量の増減が少なく空気量の管理が極めて容易となる。また、ミキサー車やアジテーター車等の設備の洗浄に慎重かつ多大な労力をかける必要もない。
<化合物(a)>
(a)はセメント用収縮低減剤であり、上記一般式(1)で示される。
一般式(1)において、Rは炭素数1〜30である1〜6価の脂肪族アルコールから水酸基を除いた残基である。Rの具体例としては、1価:メチル、エチル、n−、i−プロピル、n−、i−又はt−ブチル、ペンチル、ヘキシル、2−エチル−ヘキシル、n−、i−オクチル、n−、i−デシル、ドデシル、テトラデシル、セチル、ステアリル、オレイル基等のアルキル基、2価:ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール等からすべての水酸基を除いた残基、3価以上:グリセリン、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトール等からすべての水酸基を除いた残基等が挙げられる。これらの内、収縮低減効果の観点から、好ましいのは、炭素数1〜8のアルキル基および炭素数2〜8のグリコールからすべての水酸基を除いた残基であり、更に好ましくは、メチル、ブチル、2−エチルヘキシル基およびエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコールからすべての水酸基を除いた残基であり、特に好ましいのは、エチレングリコール及びプロピレングリコールからすべての水酸基を除いた残基である。
は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。Rとしては、水素原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル基等が上げられ、これらの内好ましいのは、水素原子である。
(AO)は、炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。(AO)としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基が挙げられる。プロピレン基には、1,2−及び1,3−プロピレン基が含まれ、ブチレン基には、1,2−、1,3−、1,4−及び2,3−ブチレン基が含まれる。これらの内、製造しやすさの観点等から、オキシエチレン基及び1,2−オキシプロピレン基が好ましい。式(1)においてn及び/又はmが2以上の場合、複数のAOにおいて、オキシアルキレン基は、1種類でも2種類以上の混合でもよい。AOが2種類以上の混合のとき、結合形式はブロック付加、ランダム付加及びこれらの併用のいずれでもよいが、好ましいのはブロック付加である。セメント用添加剤(E)に含有される化合物(a)の全体において、収縮低減効果の観点からAOにオキシエチレン基が含まれる場合のオキシエチレン基の割合は20〜80モル%が好ましく、更に好ましくは30〜70モル%、特に好ましくは40〜60モル%である。
は1〜100の整数である。nは好ましくは3〜90、更に好ましくは4〜80、特に好ましくは4〜70の数である。この範囲であると収縮低減効果が良好となる。
mは1〜6の整数である。mは好ましくは1〜5、更に好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2、特に好ましくは2の数である。この範囲であると収縮低減効果が良好となる。
化合物(a)の具体例としては、メタノール、ブタノール、2エチルヘキサノール各のエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物およびエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加物(ランダムでもブロックでも良い)およびブチルカルビトール、2エチルヘキシルカルビトールなどアルキレンオキサイド付加物の精製物、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール各のエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物およびエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加物(ランダムでもブロックでも良い)、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール各のエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物およびエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加物(ランダムでもブロックでも良い)が挙げられる。
一般式(1)において、化合物(a)が、下記一般式(5)で表されるブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a1)、下記一般式(6)で表されるブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a2)、または(a1)と(a2)の混合物である場合、少量の添加量で収縮低減効果を発揮できるために好ましい。さらには(a1)単独の場合が特に好ましい。
〔O−(CHCHO)v−(CHCHCHO)w−R10〕h (5)
[一般式(5)中、Rは炭素数1〜30である1〜6価の脂肪族アルコールからすべての水酸基を除いた残基、R10は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、hは1〜6の整数、v、wはそれぞれ独立に5〜50の整数である。h個の下記一般式(5’)で表される基は同じであっても異なっていてもよい。]
−O−(CHCHO)v−(CHCHCHO)w−R10 (5’)
一般式(5)においてvは5〜50の整数であり、収縮低減効果の観点から好ましくは7〜40であり、更に好ましくは10〜30である。wは5〜50の整数であり、収縮低減効果の観点から好ましくは10〜40であり、更に好ましくは15〜30である。また、vとwは、7〜40と10〜40との組み合わせが好ましく、10〜30と15〜30との組み合わせが更に好ましい。
11〔O−(CHCHCHO)x−(CHCHO)y−R12〕i (6)
[一般式(6)中、R11は炭素数1〜30である1〜6価の脂肪族アルコールからすべての水酸基を除いた残基、R12は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、iは1〜6の整数、x、yはそれぞれ独立に5〜50の整数である。i個の下記一般式(6’)で表される基5〜50の整数である。i個の下記一般式(6’)で表される基は同じであっても異なっていてもよい。]
−O−(CHCHCHO)x−(CHCHO)y−R12 (6’)
一般式(6)においてxは5〜50の整数であり、収縮低減効果の観点から好ましくは10〜40であり、更に好ましくは15〜30である。yは5〜50の整数であり、収縮低減効果の観点から好ましくは7〜40であり、更に好ましくは10〜30である。また、xとyは、10〜40と15〜30との組み合わせが好ましく、7〜40と10〜30との組み合わせが更に好ましい。
一般式(1)においてmが2である場合のうちでも、化合物(a)が、下記一般式(7)で表されるトリブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a3)、下記一般式(8)で表されるトリブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a4)、または(a3)と(a4)の混合物である場合、特に少量の添加量で収縮低減効果を発揮できるために好ましい。さらには(a3)単独の場合が特に好ましい。
HO−(CHCHCHO)p−(CHCHO)k−(CHCHCHO)q−H (7)
HO−(CHCHO)s−(CHCHCHO)r−(CHCHO)t−H (8)
一般式(7)においてkは10〜100の整数であり、収縮低減効果の観点から好ましくは15〜80であり、更に好ましくは20〜60である。p+qは10〜100の整数であり、収縮低減効果の観点から好ましくは21〜80、更に好ましくは30〜60である。また、kとp+qは、15〜80と21〜80との組み合わせが好ましく、20〜60と30〜60との組み合わせが更に好ましい。一般式(8)においてrは10〜100の整数であり、収縮低減効果の観点から好ましくは21〜100、更に好ましくは25〜80、もっとも好ましくは30〜60である。s+tは10〜100の整数であり、収縮低減効果の観点から好ましくは15〜80であり、更に好ましくは20〜60である。また、rとs+tは、25〜80と15〜80との組み合わせが好ましく、30〜60と20〜60との組み合わせが更に好ましい。
化合物(a)の数平均分子量(Mn)は好ましくは150〜20000、更に好ましくは500〜15000、特に好ましくは1000〜10000の数である。この範囲であるとより収縮低減効果が良好となる。
化合物(a)は、1〜6価の脂肪族アルコールを加圧反応容器に仕込み、無触媒又は触媒の存在下に炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを吹き込み、常圧又は加圧下に1段階又は多段階で反応を行なう。触媒としては、アルカリ触媒[例えばアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム及びセシウム等)]の水酸化物、酸[過ハロゲン酸(過塩素酸、過臭素酸及び過ヨウ素酸等)、硫酸、燐酸及び硝酸等(好ましくは過塩素酸)]及びこれらの塩[好ましくは2価又は3価の金属(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Co、Ni、Cu及びAl等)の塩]が挙げられる。反応温度は通常40〜200℃であり、反応時間は通常2〜20時間である。アルキレンオキサイドの付加反応終了後は、必要により触媒を中和し、吸着剤で処理して触媒を除去・精製することができる。
<化合物(b)>
(b)は、上記一般式(2)で示される化合物(b1)、上記一般式(3)で示される化合物(b2)および上記一般式(4)で示される化合物(b3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。
(b1)を示す一般式(2)において、R3は炭素数1〜30のアルキル又はアルケニル基である。これらの内モルタルやコンクリートの空気量を安定化させる効果の観点から、好ましいのは、炭素数8〜24、より好ましくは炭素数8〜18のアルキル又はアルケニル基であり、更に好ましいのは、オクチル、デシル、ラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリル、オクテニル、オレイル、リノレイルである。
は平均値で0〜10の数であり、好ましくは0〜3、更に好ましくは0〜2、特に好ましくは0の数である。nが0であると空気量を安定化させる効果が特に高い。また、nが1以上の場合、一般式(2)に2個以上のAOが含まれるが、それらは同一でも異なっていてもよい。AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。(AO)としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基が挙げられる。プロピレン基には、1,2−又は1,3−プロピレン基が含まれ、ブチレン基には、1,2−、1,3−、1,4−又は2,3−ブチレン基が含まれる。これらの内、製造しやすさの観点等から、オキシエチレン及び1,2−オキシプロピレンが好ましい。
化合物(b1)の具体例としてはオクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オクテニルアミン、オレイルアミン、リノレイルアミンおよびそのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。化合物(b1)の内、好ましいものは、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オクテニルアミン、オレイルアミン、リノレイルアミンおよびこれらアルキル又はアルケニルアミンのエチレンオキサイド(3モル以下)付加物およびプロピレンオキサイド(3モル以下)付加物、更に好ましくはラウリルアミン、ステアリルアミンオレイルアミンが挙げられる。
(b2)を示す一般式(3)において、R、Rは炭素数1〜30のアルキル基又はアルケニル基であり同一でも異なっていてもよい。これらの内モルタルやコンクリートの空気量を安定化させる効果の観点から、好ましいのは、炭素数8〜24、より好ましくは8〜18のアルキル基又はアルケニルを一方もしくは両方のアルキル又はアルケニル基とするジアルキルアミンであり、更に好ましいのは、オクチル、デシル、ラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリル、オクテニル、オレイル、リノレイルを一方もしくは両方のアルキル又はアルケニル基とするジアルキルアミンである。
は平均値で0〜10の数であり、好ましくは0〜3、更に好ましくは0〜2、特に好ましくは0の数である。この範囲であると空気量を安定化させる効果が特に高い。また、nが2以上の場合のn個のAOは同一でも異なっていてもよい。AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。(AO)としては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基及びオキシブチレン基が挙げられる。プロピレン基には、1,2−及び1,3−プロピレン基が含まれ、ブチレン基には、1,2−、1,3−、1,4−及び2,3−ブチレン基が含まれる。これらのうち、製造しやすさの観点等から、オキシエチレン及び1,2−オキシプロピレンが好ましい。
化合物(b2)の具体例としてはオクチル、デシル、ラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリル、オクテニル、オレイル、リノレイル基を一方もしくは両方のアルキル又はアルケニル基とするジアルキルアミンおよびそのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。化合物(b2)の内、好ましいものは、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジラウリルアミン、ジミリスチルアミン、ジセチルアミン、ジステアリルアミン、ジオクテニルアミン、ジオレイルアミン、ジリノレイルアミン、オクチルメチルアミン、デシルメチルアミン、ラウリルメチルアミン、ミリスチルメチルアミン、セチルメチルアミン、ステアリルメチルアミン、オクテニルメチルアミン、オレイルメチルアミン、リノレイルメチルアミンおよびこれらアルキルアミンのエチレンオキサイド(3モル以下)付加物およびプロピレンオキサイド(3モル以下)付加物、更に好ましくはラウリルメチルアミン、ステアリルメチルアミン、オクテニルメチルアミン、オレイルメチルアミン、リノレイルメチルアミンが挙げられる。
(b3)を示す一般式(4)において、R、R、Rは炭素数1〜30のアルキル基又はアルケニル基であり同一でも異なっていてもよい。これらのうちモルタルやコンクリートの空気量を安定化させる効果の観点から、好ましいのは、炭素数8〜24、より好ましくは8〜18のアルキル基を一つ以上含むトリアルキルアミンであり、更に好ましいのは、オクチル、デシル、ラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリル、オクテニル、オレイル、リノレイルを一つ以上含むトリアルキル又はアルケニルアミンである。
化合物(b3)の具体例としてはオクチル、デシル、ラウリル、ミリスチル、セチル、ステアリル、オクテニル、オレイル、リノレイル基を一つ以上有するトリアルキルアミンであり、好ましいものは、トリオクチルアミン、トリデシルアミン、トリラウリルアミン、トリミリスチルアミン、トリセチルミン、トリステアリルアミン、トリオクテニルアミン、トリオレイルアミン、トリリノレイルアミン、ジオクチルメチルアミン、ジデシルメチルアミン、ジラウリルメチルアミン、ジミリスチルメチルアミン、ジセチルメチルアミン、ジステアリルメチルアミン、ジオクテニルメチルアミン、ジオレイルメチルアミン、ジリノレイルメチルアミン、オクチルジメチルアミン、デシルジメチルアミン、ラウリルジメチルアミン、ミリスチルジメチルアミン、セチルジメチルアミン、ステアリルジメチルアミン、オクテニルジメチルアミン、オレイルジメチルアミン、リノレイルジメチルアミン、が挙げられる。
化合物(b1)、(b2)、(b3)のうち、化合物(b1)がとりわけ空気量を安定化させる効果が特に高く非常に好ましい。また、化合物(a)と化合物(b1)、(b2)、(b3)の好ましい組合せとしては、エチレングリコール、プロピレングリコールのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加物(ランダムでもブロックでも良い)と(b1)の1級のオクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オクテニルアミン、オレイルアミン、リノレイルアミンとの組み合わせが好ましい。
収縮低減効果の観点から、化合物(b1)、(b2)、(b3)の重量は化合物(a)の重量に対して0.01〜20重量%が含有される。更に好ましくは0.1〜15重量%、特に好ましくは0.5〜12重量%、最も好ましくは1〜10重量%が含有される。化合物(b1)、(b2)、(b3)の重量が0.01〜20重量%の範囲であると、特に空気量の安定化と収縮低減効果との両方に優れたセメント用添加剤を得ることができる。
本発明のセメント添加剤は、必要によりポリエーテル系消泡剤(c)を併用することもできる。(c)は、オキシアルキレンの繰り返し単位を持つ化合物であり、例として以下の式で表されるものを挙げることができる。
HO−(AO)n−H
13−O−(AO)n−H
13−O−(AO)n−R13
13−COO−(AO)n−R13
13−COO−(AO)n−OCOR13
[式中、R13は炭素数1〜30のアルキル又はアルケニル基、AOは炭素数が1〜4のアルキレンオキサイドを表し、nは101〜300、nは10〜300である。AOの付加形態はランダム付加、ブロック付加またはこれらの混合付加である。]
本発明のセメント組成物は、本発明のセメント用添加剤、セメント、水及び骨材を必須成分とするものである。該組成物は、例えば日本土木学会制定のコンクリート標準示方書や建築学会制定の日本建築学会が作成した建築工事標準仕様書に準じた公知の設備、公知の手法で作製することができる。(E)の添加手段は、普通一般に行われているセメント用混和材料の場合と同様でよく、例えば、予め混練水に(E)を混和した後他の原材料を投入することもできるし、他の原材料とともに一括して、ミキサーに投入してもよい。
また、本発明のセメント用添加剤は、化合物(a)及び化合物(b)を含有するが、本発明のセメント組成物を製造する際に、(a)と(b)を予め一剤化したものを添加してもよいし、各成分を別々に添加してもよい。また、(a)と(b)以外にも例えば水やセメント用減水剤等の他の混和剤と一剤化したものを添加してもよい。
本発明のセメント組成物に使用されるセメントとしては、通常の水硬性セメント[普通ポルトランドセメント、特殊ポルトランドセメント(早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント及びビーライトセメント)並びに混合セメント(高炉セメント、フライアッシュセメント及びシリカセメント)等]等が挙げられる。
混練水としては、海水、河川水、湖沼水、水道水、工業用水及び脱イオン水等が挙げられる。骨材としては、細骨材と粗骨材とがあり、JIS A5308:1998の付属書1(規定)レディーミクストコンクリート用骨材に準拠される骨材が使用できる。
更に本発明のセメント組成物には、「新セメント・コンクリート混和材料(技術書院、2007年発行)」に記載されている公知のセメント用混和材及び混和剤を添加することができる。具体的には混和材としてフライアッシュ(JIS A6201:2008コンクリート用フライアッシュに準拠するもの)、高炉スラグ(JIS A6206:2008コンクリート用高炉スラグ微粉末に準拠するもの)、シリカフューム(JIS A6207:2011コンクリート用シリカフュームに準拠するもの)、膨張材(JIS A6202:2008コンクリート用膨張材に準拠するもの))等、混和剤としてAE剤、高性能減水剤、減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤、硬化促進剤、起泡剤、発泡剤、消泡剤(抑泡剤及び破泡剤)、急結剤、硬化遅延剤、防錆剤、増粘剤、ポリマーセメントコンクリート又はポリマーモルタル用のポリマーディスパージヨン及等が挙げられる。
本発明のセメント用添加剤の使用量(重量%)は、収縮低減効果を効率的に発揮するという観点から、セメントの重量に基づいて、0.5〜20重量%が好ましく、更に好ましくは1〜10重量%、特に好ましくは1.5〜7.5重量%、最も好ましくは2〜5重量%である。セメント組成物を構成するセメント、水及び骨材の使用量は、特に制限はなく、通常使用される量(例えば、上記セメント日本土木学会制定のコンクリート標準示方書に記載されている量等)であればよい。公知のセメント用混和材及び混和剤の使用量は、特に制限はなく、通常使用される範囲であればよい。
本発明のセメント組成物(モルタル及びコンクリート等)の施工方法は従来の場合と同様でよい。また、硬化ないし養生方法としては、気乾養生、湿空養生、水中養生又は加熱促進養生(蒸気養生及びオートクレーブ養生)のいずれでもよく、また、各々の併用でもよい。
[実施例]
以下、実施例により本発明を更に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。以下において特記しない限り、部は重量部、%は重量%を表す。
<化合物(a)、化合物(b)の数平均分子量(Mn)の測定方法>
数平均分子量はGPC法で測定した。GPC法の測定条件は以下の通りである。
測定機器:日本ウォータズ(株)社製 Aliiance
カラム:以下3本を連結して測定した。
東ソー社製
TSKgel Super H4000、
TSKgel Super H3000、
TSKgel Super H2000
溶媒:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
検出器:屈折率(RI)
分子量較正標準物質:ポリスチレン。
<製造例1>
撹拌機及び温度調節機能を備えた耐圧反応容器にエチレングリコール62部(1モル部)及び水酸化カリウム13部を仕込み、攪拌下に25℃で系内の気相部を窒素で置換し、150℃でエチレンオキサイド1012部(23モル部)の滴下を開始した後、系内温度を150℃に、ゲージ圧を0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させた。引き続きプロピレンオキサイド2088部(36モル部)の滴下を開始し系内温度を120℃に、ゲージ圧を0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させた。25℃に冷却後、水酸化カリウムを吸着処理により除去して、トリブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a3−1)3162部を得た。仕込みモル比から(a3−1)は一般式(7)においてkの平均値が24、p+qの平均値が36である化合物である。(a3−1)について、上記に記載した測定方法により数平均分子量(Mn)を測定した結果、Mnは3100であった。
<製造例2>
水酸化カリウム13部を17部に、エチレンオキサイド1012部(23モル部)を1716部(39モル部)に、プロピレンオキサイド2088部(36モル部)を2320部(40モル部)にする以外は実施例1と同様にしてトリブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a3−2)4098部を得た。仕込みモル比から(a3−2)は一般式(7)においてkの平均値が40、p+qの平均値が40である化合物である。(a3−2)について、Mnは3920であった。
<製造例3>
水酸化カリウム13部を11部に、エチレンオキサイド1012部(23モル部)を1100部(25モル部)にプロピレンオキサイド2088部(36モル部)を1508部(26モル部)にする以外は実施例1と同様にしてトリブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a3−3)2670部を得た。仕込みモル比から(a3−3)は一般式(7)においてkの平均値が26、p+qの平均値が26である化合物である。(a3−3)について、Mnは2650であった。
<製造例4>
水酸化カリウム13部を5部に、エチレンオキサイド1012部(23モル部)を484部(11モル部)に、プロピレンオキサイド2088部(36モル部)を696部(12モル部)にする以外は実施例1と同様にしてトリブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a3−4)1242部を得た。仕込みモル比から(a3−4)は一般式(7)においてkの平均値が12、p+qの平均値が12である化合物である。(a3−4)について、Mnは1240であった。
<製造例5>
水酸化カリウム13部を41部に、エチレンオキサイド1012部(23モル部)を4268部(97モル部)に、プロピレンオキサイド2088部(36モル部)を5684部(98モル部)にする以外は実施例1と同様にしてトリブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a3−5)10014部を得た。仕込みモル比から(a3−5)は一般式(7)においてkの平均値が98、p+qの平均値が98である化合物である。(a3−5)について、Mnは8030であった。
<製造例6>
撹拌機及び温度調節機能を備えた耐圧反応容器にプロピレングリコール76部(1モル部)及び水酸化カリウム13部を仕込み、攪拌下に25℃で系内の気相部を窒素で置換し、120℃でプロピレンオキサイド1914部(33モル部)の滴下を開始した後、系内温度を120℃に、ゲージ圧を0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させた。引き続きエチレンオキサイド部1144部(26モル部)の滴下を開始し系内温度を120℃に、ゲージ圧を0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させた。25℃に冷却後、水酸化カリウムを吸着処理により除去して、トリブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a4−1)3134部を得た。仕込みモル比から(a4−1)は一般式(8)においてrの平均値が34、s+tの平均値が26である化合物である。(a4−1)について、Mnは3050であった。
<製造例7>
水酸化カリウム13部を17部に、プロピレンオキサイド1914部(33モル部)を2262部(39モル部)にエチレンオキサイド1144部(26モル部)を1760部(40モル部)にする以外は実施例6と同様にしてトリブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a4−2)4098部を得た。仕込みモル比から(a4−2)は一般式(8)においてrの平均値が40、s+tの平均値が40である化合物である。(a4−2)について、Mnは4010であった。
<製造例8>
水酸化カリウム13部を8部に、プロピレンオキサイド1914部(33モル部)を1218部(21モル部)にエチレンオキサイド1144部(26モル部)を528部(12モル部)にする以外は実施例6と同様にしてトリブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a4−3)1822部を得た。仕込みモル比から(a4−3)は一般式(8)においてrの平均値が22、s+tの平均値が12である化合物である。(a4−3)について、Mnは1780であった。
<製造例9>
水酸化カリウム13部を41部に、プロピレンオキサイド1914部(33モル部)を5626部(97モル部)にエチレンオキサイド1144部(26モル部)を4312部(98モル部)にする以外は実施例6と同様にしてトリブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a4−4)10014部を得た。仕込みモル比から(a4−4)は一般式(8)においてrの平均値が98、s+tの平均値が98である化合物である。(a4−4)について、Mnは8020であった。
<製造例10>
水酸化カリウム13部を4部に、プロピレンオキサイド1914部(33モル部)を754部(13モル部)にエチレンオキサイド1144部(26モル部)を176部(4モル部)にする以外は実施例6と同様にしてトリブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a4−5)1006部を得た。仕込みモル比から(a4−5)は一般式(8)においてrの平均値が14、s+tの平均値が4である化合物である。(a4−5)について、Mnは997であった。
<製造例11>
撹拌機及び温度調節機能を備えた耐圧反応容器にグリセリン92部(1モル部)及び水酸化カリウム20部を仕込み、攪拌下に25℃で系内の気相部を窒素で置換し、150℃でエチレンオキサイド1584部(36モル部)の滴下を開始した後、系内温度を150℃に、ゲージ圧を0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させた。引き続きプロピレンオキサイド3132部(54モル部)の滴下を開始し系内温度を120℃に、ゲージ圧を0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させた。25℃に冷却後、水酸化カリウムを吸着処理により除去して、ブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a1−1)4808部を得た。仕込みモル比から(a1−1)は一般式(5)においてvの平均値が12、wの平均値が18である化合物である。(a1−1)について、上記に記載した測定方法により数平均分子量(Mn)を測定した結果、Mnは4530であった。
<製造例12>
撹拌機及び温度調節機能を備えた耐圧反応容器にペンタエリスリトール136部(1モル部)及び水酸化カリウム27部を仕込み、攪拌下に25℃で系内の気相部を窒素で置換し、150℃でエチレンオキサイド2112部(48モル部)の滴下を開始した後、系内温度を150℃に、ゲージ圧を0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させた。引き続きプロピレンオキサイド4176部(72モル部)の滴下を開始し系内温度を120℃に、ゲージ圧を0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させた。25℃に冷却後、水酸化カリウムを吸着処理により除去して、ブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a1−2)6424部を得た。仕込みモル比から(a1−2)は一般式(5)においてvの平均値が12、wの平均値が18である化合物である。(a1−2)について、上記に記載した測定方法により数平均分子量(Mn)を測定した結果、Mnは6020であった。
<製造例13>
撹拌機及び温度調節機能を備えた耐圧反応容器にグリセリン92部(1モル部)及び水酸化カリウム20部を仕込み、攪拌下に25℃で系内の気相部を窒素で置換し、120℃でプロピレンオキサイド2958部(51モル部)の滴下を開始した後、系内温度を120℃に、ゲージ圧を0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させた。引き続きエチレンオキサイド1716部(39モル部)の滴下を開始し系内温度を120℃に、ゲージ圧を0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させた。25℃に冷却後、水酸化カリウムを吸着処理により除去して、ブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a2−1)4766部を得た。仕込みモル比から(a2−1)は一般式(6)においてxの平均値が17、yの平均値が13である化合物である。(a2−1)について、Mnは4580であった。
<製造例14>
撹拌機及び温度調節機能を備えた耐圧反応容器にペンタエリスリトール136部(1モル部)及び水酸化カリウム27部を仕込み、攪拌下に25℃で系内の気相部を窒素で置換し、120℃でプロピレンオキサイド3944部(68モル部)の滴下を開始した後、系内温度を120℃に、ゲージ圧を0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させた。引き続きエチレンオキサイド2288部(52モル部)の滴下を開始し系内温度を120℃に、ゲージ圧を0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させた。25℃に冷却後、水酸化カリウムを吸着処理により除去して、ブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a2−2)6368部を得た。仕込みモル比から(a2−2)は一般式(6)においてxの平均値が17、yの平均値が13である化合物である。(a2−2)について、Mnは5850であった。
<製造例15>
撹拌機及び温度調節機能を備えた耐圧反応容器にエタノール46部(1モル部)及び水酸化カリウム2.3部を仕込み、攪拌下に25℃で系内の気相部を窒素で置換し、80℃でエチレンオキサイド176部(4モル部)とプロピレンオキサイド232部(4モル部)との混合液の滴下を開始した後、系内温度を80℃に、ゲージ圧を0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させた。25℃に冷却後、水酸化カリウムを吸着処理により除去して、エタノールのエチレンオキサイド4モルプロピレンオキサイド4モルランダム付加物(a−1)454部を得た。(仕込みモル比から(a−1)は一般式(1)においてmが1、n1の平均値が8である化合物である。(a−1)について、Mnは454であった。
<製造例16>
撹拌機及び温度調節機能を備えた耐圧反応容器にソルビトール182部(1モル部)及び水酸化カリウム14部を仕込み、攪拌下に25℃で系内の気相部を窒素で置換し、150℃でエチレンオキサイド2640部(60モル部)の滴下を開始した後、系内温度を150℃に、ゲージ圧を0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させた。25℃に冷却後、水酸化カリウムを吸着処理により除去して、ソルビトールのエチレンオキサイド60モル付加物(a−2)2822部を得た。(仕込みモル比から(a−2)は一般式(1)においてmが6、n1の平均値が10である化合物である。(a−2)について、Mnは2820であった。
<製造例17>
撹拌機及び温度調節機能を備えた耐圧反応容器にブタノール74部(1モル部)及び水酸化カリウム26部を仕込み、攪拌下に25℃で系内の気相部を窒素で置換し、プロピレンオキサイド5220部(90モル部)を系内温度を120℃に、ゲージ圧を0.1〜0.3MPaになるように制御しながら、系内の圧力変化が無くなるまで反応させた。25℃に冷却後、水酸化カリウムを吸着処理により除去して、消泡剤であるブタノールのプロピレンオキサイド90モル付加物(c−1)5294部を得た。
実施例1〜16
セメント用添加剤の調製
表1、2に化合物(a)と化合物(b)からなる本発明のセメント用添加剤(E−1)〜(E−16)である実施例1〜16を示した。
実施例17〜32、比較例1〜16
セメント組成物の調製
表3に(E−1)〜(E−16)を含有する本発明のセメント組成物(Z−1)〜(Z−16)である実施例17〜32、(Z−1)〜(Z−16)において(b)を含有しないセメント組成物(Z−1’)〜(Z−16’)である比較例1〜16を記載した。化合物(b)は以下に示す化合物を使用した。プレーンは、表3の配合によるプレーンモルタルである。
b1−1:オレイルアミン(東京化成工業(株)社製)
b1−2:オクチルアミン(東京化成工業(株)社製)
b1−3:オレイルアミンエチレンオキサイド2モル付加物(ライオン・アクゾ(株)製、商品名エソミンO/12」)
b2−1:ジラウリルアミン(東京化成工業(株)社製)
b3−1:トリラウリルアミン(東京化成工業(株)社製)
また表3中、
AE剤:マイクロエアー303A、BASFポゾリス(株)社製、
AE減水剤:ポゾリスNo.70、BASFポゾリス(株)社製
標準砂:社団法人セメント協会製セメント強さ試験用標準砂
セメント:太平洋セメント株式会社製普通ポルトラントセメント
水:水道水
である。
Figure 2013212977
Figure 2013212977
Figure 2013212977
表3中の数字は重量部を示す。表3に示すセメント組成物について、高速回転混練時の0分、5分、10分のモルタル空気量、各モルタルの圧縮強度、空気量を調整し高速回転混練を行わないモルタルの収縮率を以下に示す方法で測定し、結果を表4に示した。
プレーンモルタルの空気量評価
表3に記載した量のAE剤と減水剤を予め練り水に混和した。セメント、標準砂(JIS R5201:1997の付属書2セメントの試験方法−強さの測定に準拠した砂)並びに練り水を、セメント/標準砂の重量比=1/2.375、水セメント比(練り水/セメント比)=0.50となるように調整し、JIS R5201:1997の付属書2セメントの試験方法−強さの測定に準拠した方法でモルタルの練混ぜを行った。モルタルの空気量は、JIS A5308:1998の付属書3モルタルの圧縮強度に規定された測定法に準拠し測定した。なお、空気量4.5%の一般的なコンクリートから粗骨材を除いた成分の空気量がおおよそ7.5%になることから、本評価においてはモルタル空気量の目標値を7.5%とした。なお、プレーンモルタルとはセメント用添加剤(E)を含有しないモルタルである。
モルタル空気量の評価
JIS R5201:1997の付属書2セメントの試験方法−強さの測定に準拠した方法でモルタルの練混ぜを行い、空気量が7.0〜8.0%となる消泡剤(c−1)量およびAE剤量を確認した。更にそこから高速回転で5分間および10分間連続混練した後の空気量を測定することにより経時による空気量変化の状況を確認した。セメント添加剤(E)の添加量はセメントに対し2%とし、(E)は練り水の一部として扱った。(E)添加モルタルがコンタミしたときの影響については、JIS R5201:1997の付属書2セメントの試験方法−強さの測定に準拠した方法でモルタルの練混ぜを行い、(E)添加モルタルを練り鉢から取り出した後、練り鉢を洗うことなく((E)添加モルタル1%が付着)、プレーンモルタルを混練した時の空気量を測定することにより確認した。
モルタルの圧縮強度の評価
空気量評価と同様の方法でプレーンモルタル、セメント用添加剤(E)添加モルタルについて空気量を7.0〜8.0%に調整したモルタル、および更にそこから高速回転で5分間および10分間連続混練したモルタルを作成し、直径5×10cmの金属型枠3個に注ぎ、24時間後に脱型した後、20℃で7日間水中養生し、更に20℃、65%RHの雰囲気下に28日静置した後、圧縮強度を測定し、3個の測定結果を平均した値を求めた。
モルタルの収縮率の評価
空気量評価と同様の方法でプレーンモルタル、セメント用添加剤(E)添加モルタルについて空気量を7.0〜8.0%に調整したモルタルを作成し、4×4×16cmの金属型枠3個に注ぎ、24時間後に脱型した後、20℃で7日間水中養生し、更に20℃、65%RHの雰囲気下に28日静置した。水中養生から取り出した直後と20℃、65%RHの雰囲気に静置した28日目における供試体の長さをJIS A1129−3:2001(モルタル及びコンクリートの長さ変化試験方法−第3部ダイヤルゲージ法)に準拠して測定し、収縮率を長さ変化率として算出し、3個の長さ変化率を平均した値を求めた。
Figure 2013212977
表4から、本発明のセメント用添加剤を使用したセメント組成物は、現場への搬送を想定した高速回転混練条件においても、モルタル中の空気量は増加せず適量の空気を連行し続けることができる。このため、圧縮強度も低下しないことが分かる。一方、比較例の収縮低減剤を使用したセメント組成物は、高速回転混練条件においては経時的にモルタル中の空気量が増加する傾向にあり、空気量再調整作業をしなければ、圧縮強度も低下していくことが分かる。
表4から、本発明のセメント用添加剤を使用したセメント組成物は、現場への搬送を想定した高速回転混練条件においても、モルタル中の空気量は増加せず適量の空気を連行し続けることができる。このため、圧縮強度も低下しないことが分かる。一方、比較例の収縮低減剤を使用したセメント組成物は、高速回転混練条件においては経時的にモルタル中の空気量が増加する傾向にあり、空気量再調整作業をしなければ、圧縮強度も低下していくことが分かる。
実施例(バッチNo.2)〜実施例(バッチNo.4)、比較例(バッチNo.2′)〜比較例(バッチNo.4′)
表5に示す実施例及び比較例並びにプレーンの配合で、それぞれ配合して実施例配合、比較例配合、プレーン配合のコンクリートを調製した。なお、実施例配合はセメント用添加剤として本発明のセメント用添加剤(E−2)を使用し、比較例配合は従来品のセメント用添加剤(E−15′)を使用し、一方、プレーン配合ではセメント用添加剤を使用しなかった。そして、実施例配合で調製したコンクリートを用いて、表6に示した実施例(バッチNo.2)〜実施例(バッチNo.4)について評価対象とした。また、比較例配合で調製したコンクリートを用いて、表7に示した比較例(バッチNo.2′)〜比較例(バッチNo.4′)について評価対象とした。同様にプレーン配合で調製したコンクリートを用いて、表6及び表7に示したプレーン(バッチNo.1)、プレーン(バッチNo.5)、プレーン(バッチNo.1′)及びプレーン(バッチNo.5′)について評価対象とした。これらについて、コンクリートの空気量の安定性、凝結特性、圧縮強度、静弾性係数ならびに乾燥収縮ひずみを以下に示す方法で測定し、結果を表6、表7、表8、表9に示した。なお、表5〜7中、Cはセメントの重量を示す。
Figure 2013212977
コンクリートの空気量の安定性評価
表5に記載した量のAE減水剤(ポゾリスNo.70、BASFポゾリス(株)社製)と、表6、7に記載した量の空気量調整剤(マイクロエアー303A(AE剤)・マイクロエアー404(消泡剤)、BASFポゾリス(株)社製)を練り水に混和した。表5に示す配合で、セメント、粗骨材(硬質砂岩砕石)、細骨材(山砂)を用いて、JIS A 1138:2005 試験室におけるコンクリートの作り方に準拠した方法にてコンクリートの練混ぜを行った。練混ぜにはパン形強制練りミキサ(公称容積55L)を用いて、収縮低減剤を含有しないプレーンコンクリートに続いて本発明(E−2)(実施例)または従来品(E−15′)(比較例)のセメント用添加剤を添加したコンクリートの練混ぜを繰返し行い、各後バッチコンクリートの空気量の安定性を確認した。1バッチあたりの練り量は30Lとした。なお、コンクリートの空気量の測定は、JIS A 1128:2005 フレッシュコンクリートの空気量の圧力による試験方法−空気室圧力方法に準拠した。コンクリートのスランプの目標値は15±2.5cm、空気量の目標値は4.5±1.5%とした。結果を表6、7に示した。
コンクリートの凝結時間の評価
空気量評価と同様の方法でコンクリートを練混ぜて、JIS A 1147:2007 コンクリートの凝結時間試験方法に準拠して測定を行い、始発時間と終結時間を算出した。結果を表8に示した。
コンクリートの圧縮強度および静弾性係数の評価
空気量評価と同様の方法でコンクリートを練混ぜて、f10×20cmの円柱型枠を用いて供試体を作製した。打込みの24時間後に脱型し、20℃で水中養生を行った。材齢7日、28日、91日にて、JIS A 1108:2006 コンクリートの圧縮強度試験方法に準拠して圧縮強度を測定した。また、圧縮強度と同じ材齢にてJIS A 1149:2010 コンクリートの静弾性係数試験方法に準拠して測定を実施し、静弾性係数を算出した。それぞれ結果はデータ3個の平均値とした。結果を表8に示した。
コンクリートの乾燥収縮ひずみの評価
空気量評価と同様の方法でコンクリートを練混ぜて、10×10×40cmの型枠を用いて供試体を作製した。打込みの24時間後に脱型し、20℃で7日間水中養生を行った後、20℃、60%RHの乾燥環境下に静置した。乾燥開始直後、乾燥材齢7日、28日、56日、91日、182日、273日、364日において、JIS A 1129:2010 モルタル及びコンクリートの長さ変化測定方法に準拠して測定を行い、乾燥開始からのコンクリートの長さ変化をコンクリートの乾燥収縮ひずみとして算出した。それぞれ結果はデータ3個の平均値とした。結果を表9に示した。
Figure 2013212977
Figure 2013212977
Figure 2013212977
Figure 2013212977
表6、表7、表8、表9から、本発明のセメント用添加剤(E−2)を使用したセメント組成物は、従来の収縮低減剤(E−15′)を使用したセメント組成物の場合、コンクリート練混ぜを繰返し実施すると空気量が増大するという問題を解消し、安定した空気量を得ることができる。また、収縮低減剤を含有しないプレーンコンクリートを本発明のセメント用添加剤(E−2)を使用したセメント組成物の後バッチに練混ぜても安定した空気量を得ることが可能である。さらに、本発明のセメント用添加剤(E−2)を用いたセメント組成物は、従来の収縮低減剤と比較して、凝結時間、圧縮強度、静弾性係数に及ぼす影響が小さい上、乾燥収縮ひずみの低減効果に優れることが分かる。したがって、本発明のセメント用添加剤を添加したモルタルがコンタミしても、空気連行性への影響が極めて小さいため、圧縮強度等への影響を及ぼさない上、空気量の管理が極めて容易となり、ミキサー車やアジテーター車等の設備の洗浄に慎重かつ多大な労力をかける必要もない。
本発明のセメント用収縮低減剤は、通常の水硬性セメント[普通ポルトランドセメント、特殊ポルトランドセメント(早強ポルトランドセメント及び中庸熱ポルトランドセメント)並びに混合セメント(高炉セメント及びフライアッシュセメント)等]を含むセメント組成物に適用できる。特に、従来のセメント用乾燥収縮低減剤を添加した場合と比較して、経時的な攪拌による空気連行性への影響及びコンタミによる空気連行性への影響が小さいことから、一般のモルタルおよびコンクリート配合に汎用的に用いるのに好適である。

Claims (10)

  1. 一般式(1)で示される化合物(a)と、一般式(2)で示される化合物(b1)、一般式(3)で示される化合物(b2)および一般式(4)で示される化合物(b3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(b)とを含有するセメント用添加剤(E):
    〔O(AO)n〕m (1)
    [式中、Rは炭素数1〜30である1〜6価の脂肪族アルコールからすべての水酸基を除いた残基、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは1〜100の整数であり、nが2以上及び/又はmが2以上の場合、2個以上のAOはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、mは1〜6の整数である。m個の〔−O(AO)n〕基は同じであっても異なっていてもよい。]、
    N〔(AO)nH〕2 (2)
    [式中、Rは炭素数1〜30のアルキル基又はアルケニル基、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは0〜10の整数であり、nが1以上の場合、2個以上のAOは同一でも異なっていてもよい。2個の〔−(AO)nH〕基は同じであっても異なっていてもよい。]、
    N(AO)nH (3)
    [式中、R、Rは炭素数1〜30のアルキル基又はアルケニル基であり同一でも異なっていてもよく、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは0〜10の整数であり、nが2以上の場合のn個のAOは同一でも異なっていてもよい。]、
    N (4)
    [式中、R、R、Rは炭素数1〜30のアルキル基又はアルケニル基であり同一でも異なっていてもよい。]。
  2. 化合物(b)の重量が化合物(a)の重量に対して0.01〜20重量%である請求項1に記載のセメント用添加剤(E)。
  3. 含有される化合物(a)の全体におけるAOにおいてオキシエチレン基の割合が20〜80モル%である請求項1または2に記載のセメント用添加剤(E)。
  4. 化合物(a)の数平均分子量(Mn)が150〜20000である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のセメント用添加剤(E)。
  5. 一般式(1)において、mが2である請求項1〜4のいずれか1項に記載のセメント用添加剤(E)。
  6. 化合物(a)が下記一般式(5)で表されるブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a1)および/または下記一般式(6)で表されるブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a2)である請求項1〜5のいずれか1項に記載のセメント用添加剤(E):
    〔O−(CHCHO)v−(CHCHCHO)w−R10〕h (5)
    [式中、Rは炭素数1〜30である1〜6価の脂肪族アルコールからすべての水酸基を除いた残基、R10は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、hは1〜6の整数、v、wは5〜50の整数である。h個の下記一般式(5’)で表される基は同じであっても異なっていてもよい。]、
    −O−(CHCHO)v−(CHCHCHO)w−R10 (5’)
    11〔O−(CHCHCHO)x−(CHCHO)y−R12〕i (6)
    [式中、R11は炭素数1〜30である1〜6価の脂肪族アルコールからすべての水酸基を除いた残基、R12は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基、iは1〜6の整数、x、yは5〜50の整数である。i個の下記一般式(6’)で表される基は同じであっても異なっていてもよい。]。
    −O−(CHCHCHO)x−(CHCHO)y−R12 (6’)
  7. 化合物(a)が下記一般式(7)で表されるトリブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a3)および/または下記一般式(8)で表されるトリブロックポリオキシアルキレンコポリマー(a4)である請求項1〜6のいずれか1項に記載のセメント用添加剤(E):
    HO−(CHCHCHO)p−(CHCHO)k−(CHCHCHO)q−H (7)
    [式中、kは10〜100、p+qは10〜100の整数である。]、
    HO−(CHCHO)s−(CHCHCHO)r−(CHCHO)t−H (8)
    [式中、rは10〜100、s+tは10〜100の整数である。]。
  8. 化合物(a)の重量に対して0.01〜10重量%のポリエーテル系消泡剤(c)を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載のセメント用添加剤(E)。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のセメント用添加剤(E)、セメント、水及び骨材を含有してなるセメント組成物(Z)。
  10. セメント用添加剤(E)の重量が、セメントの重量に基づいて0.5〜20重量%である請求項9に記載のセメント組成物(Z)。
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