JP2013208058A - 連続加熱方法および前記方法を用いた密封食品の製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
食品で搬送し、前記搬送の手段に食品を設置する工程と、食品を100℃以上にマイクロ波で加熱する工程と、食品を100℃以上に保ち滅菌する熟成工程と、滅菌された食品を流体で冷却する冷却工程と、冷却され100℃以下となった食品を取り出す取出工程と有する食品の製造方法および製造装置。密封された食品を気体加圧雰囲気内で搬送し連続加熱することもでき、気体加圧雰囲気内の圧力は2.0〜3.0気圧とし、マイクロ波加熱による食品温度は110〜120℃とし、加熱時間は、80〜120秒とし、熟成工程は110〜120℃を保つものとすることもできる。
【選択図】図4
Description
この加圧加熱は、熱風や蒸気や熱水などを用いてレトルトパウチ内の食品を加熱し、殺菌・滅菌するものである。しかしながら、熱伝導による加熱は、目標とする120℃まで加熱するのに長い時間がかかり、いわゆるレトルト臭を発生させてしまうものであった。
その結果、レトルトパウチに密封された食品として、カレー、シチュー スープ、パスタソース、丼物の具、ハンバーグなどが代表的なものとなった。これらの食品は元々の臭いが強いものであり、レトルト臭があまり気にならないものだからである。
しかしながら、特許文献2記載の技術は、いわゆるバッチ式の加熱装置であり、大量のレトルト食品を加圧加熱し滅菌殺菌するには時間がかかりすぎるという問題があった。
また、特許文献1記載の発明においても、袋詰めのレトルトパウチ食品を加圧加熱し滅菌殺菌できるものではなかった。
(請求項1記載の発明)
請求項1記載の連続加熱方法は、複数の食品を順々に搬送し、前記搬送と共に複数の工程によってなされる連続加熱方法であって、前記複数の工程は、少なくとも、設置工程と、マイクロ波加熱工程と、熟成工程と、冷却工程とを有し、設置工程は、前記搬送の手段に食品を設置する工程であり、これによって、食品は搬送されるものであり、マイクロ波加熱工程は、搬送されてきた食品を、マイクロ波によって、加熱する工程であり、これによって、食品は100℃以上となり、熟成工程は、食品を100℃以上に保つ工程であり、これによって、食品は滅菌されたものとなり、冷却工程は、滅菌された食品を流体で冷却する工程であり、これによって、食品は100℃以下となることを特徴とする。
(請求項2記載の発明)
請求項2記載の連続加熱方法は、請求項1記載の連続加熱方法において、密封された食品を気体加圧雰囲気内で連続加熱することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の連続加熱方法において、気体加圧雰囲気内の圧力は2.0〜3.0気圧とし、マイクロ波加熱による食品温度は110〜120℃とし、加熱時間は、80〜120秒とし、熟成工程は110〜120℃を保つものであることを特徴とする。
(請求項4記載の発明)
請求項4記載の発明は、請求項3記載の連続加熱方法を用いた密封食品の製造装置であって、製造装置は、搬送手段により食品を移動させ、食品にライン工程を受けさせるものであり、搬送手段の周囲は、壁で囲まれており、壁内の気体圧力は、加圧装置により増加されたものであり、搬送手段上の食品は、周囲の気体圧力が加圧された状態で移動するものであり、ライン工程は、搬送手段で食品が開始側から終了側に進むにつれて、設置工程部、マイクロ波加熱工程部、熟成工程部、冷却工程部を通過させるものであり、設置工程部は、開始側に食品投入口と、入口エアロック室と、供給設置部とを有し、設置工程部終了側の壁に電波吸収体を有し、マイクロ波加熱工程部は、マイクロ波が通過可能な壁の外側にキャビティを有し、2450MHzのマイクロ波を、キャビティに取り付けられた導波管に通過させ、キャビティ内で反射させ、壁内の前記食品に照射し加熱するものであり、熟成工程部は、熟成工程部開始側の壁内側に電波波吸収体を有し、加熱が完了し目標温度となった食品を搬送時間で熟成させるものであり、冷却工程部は、壁に取り付けられた冷却管に、冷却用流体を通過させ、前記食品に吹き掛けて冷却するものであることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の密封食品の製造装置であって、マイクロ波が通過可能な壁の材料は、ポリテトラフルオロエチレンからなることを特徴とする。
(請求項6記載の発明)
請求項6記載の発明は、請求項5記載の密封食品の製造装置であって、キャビティを多角形とし、キャビティ内でマイクロ波を乱反射させることを特徴とする。
(1.食品の製造方法の概要について)
図1は本件製造方法の食品温度推移グラフである。
この製造方法は、密封された食品を気体加圧雰囲気内で搬送し、前記搬送と共に複数の工程によってなされるものである。
前記複数の工程は、図1に示すように、少なくとも、設置工程と、マイクロ波加熱工程と、熟成工程と、冷却工程からなる。
図2は、従来製造方法の食品温度推移グラフである。図3は、図1と図2グラフを重ね合わせたグラフである。以下に各工程について比較する。
設置工程は、前記搬送の手段に食品を設置する工程であり、これによって、食品は搬送されるものとなる。
従来技術のバッチ式の加熱加圧であると、例えばレトルト食品50袋を容器内に毎回設置する必要があった。したがって図2に示すように、設置工程に時間浪費するものであった。
本件は、搬送手段と設置工程を有しており、短時間で加熱準備を行なうことができる。
マイクロ波加熱工程は、図1に示すように、搬送されてきた食品を、マイクロ波によって、加熱する工程であり、これによって、食品は加圧雰囲気内で100℃以上となる。マイクロ波加熱による食品温度は115〜120℃とすることができる。前記温度は、118℃〜120℃とするのが好ましい。
このマイクロ波加熱は、例えば、食品50g〜200gあたり1500Wを90秒照射するものである。これにより食品は120℃付近にまで加熱される。(温度は食品の水分含有量にも依存する。)加熱時間は、80秒〜120秒とするのが好ましい。
したがって、食品が熱を受ける時間を総合的に減らすことができる。これによりレトルト臭を減少させることができ、淡白な風味の食品であっても、レトルト化させることができるようになる。
熟成工程は、食品を100℃以上に保つ工程であり、これによって、食品は滅菌されたものとなる。図1に示すように、熟成工程は110〜120℃を保つものとするのが好ましい。
このような温度であっても、加圧雰囲気中であるから、食品の水分は沸騰しないものである。
加熱による滅菌は、芽胞菌の場合120℃であると言われており、温度および時間を最適なものに調整することができる。
冷却工程は、滅菌された食品を流体で冷却する工程であり、これによって、食品は100℃以下となる。冷却工程は、食品に冷えた流体を吹き付ける方法が好ましい。吹き付ける流体は、液体および気体を利用することができる。気体を用いるのが衛生上好ましい。加圧雰囲気中の冷風吹きつけは、冷風の圧力を2.0〜2.2気圧の加圧雰囲気よりも大きくすることによってなされるものである。
これによって、通常大気圧であっても沸騰が起こらない100℃まで食品温度を下げることができる。
100℃以下となった食品を取り出し、食品は加圧雰囲気から通常圧雰囲気に移動される。70℃〜95℃で取り出しても良い。このようにすると、沸点の低い液体を含有する食品にも対応可能となる。
このような製造方法であるから、600秒以内(10分以内)でレトルトパウチ食品に加熱を行い、滅菌殺菌処理が終了する。また、製造装置のラインを複数ラインとし、食品内容量に応じて、マイクロ波のワット数を変更することができる。この製造方法においては製造ラインを増やした場合であっても、滅菌殺菌処理時間が長くなることはない。
従来の熱伝導式のものや従来のバッチ式のものを業務用に大型化すると、図2に示す設置工程はさらに長いものとなり、加熱工程は40分近くかかるものとなり、前述のレトルト臭を生じるものであった。また、図2は家庭用の小型圧力鍋を用いた場合のデータであり、食品一袋(50〜200g)を滅菌殺菌処理するのが限界であり、連続で利用できるものではない。
以下にこの製造方法を行なう為の製造装置を実施例として示す各図と共に説明する。
図4は、製造装置Rの全体側面図である。製造装置Rは、未加熱の食品Fを加熱し、滅菌・殺菌し、食品Fを常温保存可能なものとする装置である。製造装置Rは、図4に示すように、設置工程部1と、加熱工程部2と、熟成工程部3と、冷却工程部4と、取出工程部5とを有する。
前述の工程部2〜4と設置工程1終了側と取出工程5開始側は、加圧雰囲気である。
前述の加圧は、加圧装置Pによってなされている。加圧装置Pによって加圧された大気は、壁W(W1〜W5)によって密封されており、圧力が下がらない態様となっている。加圧装置Pとして、加圧ポンプなどを例示することができる。
壁Wで囲まれ、加圧された雰囲気内では搬送手段Tが設けられており、搬送手段Tはベルトコンベヤとするのが好ましい。ベルトコンベヤT幅を大きいものとして、2列以上の食品Fを並べても良い。また、壁W1〜W5はそれぞれ加圧空気が漏れない態様で接続されている。キャビティO内部の気体圧力を上げることもできる。
図5は、設置工程部1の部分断面側面図である。図5に示すように、食品Fは、投入コンベヤ10によって投入口11に投入される。
投入された食品Fは、エアロック室13の入り口12を通過し、一定数が運び込まれるまで一旦エアロック室13内に留められる。一定数を10袋とした場合、10袋の食品Fがエアロック室13に溜まったのをセンサー等で確認し、エアロック室の入口12を閉じる。入口12の閉鎖は、仕切弁V1によってなされる。次に、エアロック室13の出口14を、仕切弁V2を用いて解放する。食品Fは、出口14より供給設置部15に落下し、移動する。
食品Fが落下し、空になったエアロック室13は、出口14を閉じ、その後入口12を開き、食品Fを取り込むものである。このようにすると、壁W1〜W5内の圧力を保つことができる。
供給設置部15に移動した食品Fは、設置アーム16によって、ベルトコンベヤ往路Tfに載置される。ベルトコンベヤ往路Tfの下には、ベルトコンベヤ復路Tbがある。
ベルトコンベヤ往路Tf上に載せられた食品Fは、加熱工程部2側へ移動する。加熱工程部2側の壁W1内側には、電波吸収体17が設けられている。
図5のA−A断面は、図10であり、電波遮蔽板18が設けられている。
図6は、加熱工程部2の部分断面側面図である。図11は、図6のB−B断面の断面図である。設置工程部1から移動してきた食品Fは、加熱工程部2で加熱される。
加熱工程部2は、図6に示すように、マイクロ波制御部20と、マイクロ波導波管21と、冷却ファン22と壁W2とキャビティOを有する。加熱工程部2において、キャビティOは、多角形とするのが好ましい。図6及び図11においては、八角形のキャビティOとした。このキャビティO内には、図11に示すように円筒状の壁W2が設けられている。壁W2には、PTFEパイプ(ポリテトラフルオロエチレンパイプ)を用いるのが好ましい。
食品Fは、内容量が50〜200gである場合、1500Wマイクロ波によって90秒で120℃を越えるあたりまで加熱される。これに基づき、ベルトコンベヤTの移動速度は、加熱工程部2の幅が1800mmである場合、毎秒20mmとすることができる。
すなわち、マイクロ波のワット数、食品Fの内容量に合わせて、ベルトコンベヤTの速度を調整することができる。マイクロ波のワット数を一定に保ち、ベルトコンベヤTの移動速度で調整するのが好ましい。
加熱工程部2の壁Oは、図11に示すように、2〜3mmのステンレス板を用いて断面正八角形に形成されている。これによって、導波管21より導入されたマイクロ波は、乱反射し、食品Fにまんべんなく照射され、局所的な加熱を防ぐことができる。
また、10〜15mm厚のPTFEパイプW2(ポリテトラフルオロエチレンパイプW2)を用いたことにより、マイクロ波を食品Fに照射可能しつつ、加圧装置Pからの圧力を円筒形状で受け止めることができる。これにより、加圧装置Pの加圧によって、キャビティOのステンレス板が膨らんで変形することはない。
また、ベルトコンベヤTのベルトもポリテトラフルオロエチレンで作成するのが好ましい。
図7は、熟成行程部3の部分断面側面図である。図12は、図7のC−C断面図である。
熟成行程部3は、前述の加熱行程部2で加熱され120℃前後状態となった食品Fを温度維持しつつ移動させる。前述の温度維持は、180秒程度なされるものである。即ち、ベルトコンベアTの移動速度が一定である場合、移動に90秒かかる加熱工程部2の幅の2倍の距離が熟成工程部3ラインとして設けられている。
また、熟成工程部3も壁Wに囲まれており、加熱工程部2側には電波遮断板30と電波吸収体31とが設けられている。
マイクロ波の漏洩は人体に有害であることから加熱工程部2の入口には、図10に示すように電波遮断板18を設けている。加熱工程部2の出口も同様に電波遮断板30を設けている。電波遮断板として、マイクロ波を遮断するステンレスメッシュ板などを例示することができる。
前述の電波遮断板30において遮断しきれなかったマイクロ波に関しては、加熱工程部2の出口付近に図12に示すように、電波吸収体31を設置することによって、より確実にマイクロ波の漏洩を防ぐことができる。加熱工程部2の入口付近も同様に、電波吸収体17を設置している。
電波吸収タイ17、31として、多孔質大型セラミック板やトイシなどを例示することができる。
図8は冷却工程部4の部分断面側面図である。図13は図8のD−D断面図である。
冷却工程部4は、図8および図13に示すように、冷却装置40と前記装置に取り付けられた冷却管41を有する。そして冷却流体42を食品Fに吹き付けることにより食品Fを95℃以下にまで冷却する。
このとき使用する冷却流体42は、気体とするのが好ましい。冷却流体が液体であると、廃液の処理が困難でありカビ等の発生により、衛生環境が悪化するからである。
また、図8のTcは、ベルトコンベヤの操作盤Tcである。
図9は取出工程部5の部分断面側面図である。
食品Fは、ベルトコンベヤ往路Tfによって受取口50に投入される。
投入された食品Fは、エアロック室52の入り口51を通過し、一定数が運び込まれるまで一旦エアロック室52内に留められる。一定数を10袋とした場合、10袋の食品Fがエアロック室52に溜まったのをセンサー等で確認し、エアロック室の入口51を閉じる。入口51の閉鎖は、仕切弁V3によってなされる。次に、エアロック室52の出口53を、仕切弁V4を用いて解放する。食品Fは、出口53より取出コンベヤ54に落下し、移動する。
食品Fが落下し、空になったエアロック室52は、出口53を閉じ、その後入口51を開き、食品Fを受け取るものである。このようにすると、壁W内の圧力を保つことができる。
また、図9中のTgは、ベルトコンベア駆動装置Tgである。
2 加熱工程部
3 熟成工程部
4 冷却工程部
5 取出工程部
R 製造装置
W 壁
O キャビティ
F 食品
V 仕切弁
T 搬送手段(ベルトコンベヤ)
Tf 搬送手段往路
Tb 搬送手段復路
Claims (6)
- 複数の食品を順々に搬送し、
前記搬送と共に複数の工程によってなされる
連続加熱方法であって、
前記複数の工程は、少なくとも、
設置工程と、マイクロ波加熱工程と、熟成工程と、冷却工程とを有し、
設置工程は、
前記搬送の手段に食品を設置する工程であり、
これによって、食品は搬送されるものであり、
マイクロ波加熱工程は、
搬送されてきた食品を、マイクロ波によって、加熱する工程であり、
これによって、食品は100℃以上となり、
熟成工程は、
食品を100℃以上に保つ工程であり、
これによって、食品は滅菌されたものとなり、
冷却工程は、
滅菌された食品を流体で冷却する工程であり、
これによって、食品は100℃以下となること
を特徴とする連続加熱方法。
- 密封された食品を気体加圧雰囲気内で連続加熱すること
を特徴とする請求項1記載の連続加熱方法。
- 気体加圧雰囲気内の圧力は2.0〜3.0気圧とし、
マイクロ波加熱による食品温度は110〜120℃とし、
加熱時間は、80〜120秒とし、
熟成工程は110〜120℃を保つものであること
を特徴とする請求項2記載の連続加熱方法。
- 請求項3記載の連続加熱方法を用いた
密封食品の製造装置(R)であって、
製造装置(R)は、搬送手段(T)により食品(F)を移動させ、
食品(F)にライン工程を受けさせるものであり、
搬送手段(T)の周囲は、壁(W)で囲まれており、
壁(W1〜W5)内の気体圧力は、
加圧装置(P)により増加されたものであり、
搬送手段(T)上の食品(F)は、
周囲の気体圧力が加圧された状態で移動するものであり、
ライン工程は、
搬送手段(T)で食品(F)が開始側から終了側に進むにつれて、
設置工程部(1)、マイクロ波加熱工程部(2)、熟成工程部(3)、
冷却工程部(4)を通過させるものであり、
設置工程部(1)は、
開始側に食品投入口(11)と、入口エアロック室(13)と、供給設置部(15)と
を有し、
設置工程部終了側の壁(W1)に電波吸収体(17)を有し、
マイクロ波加熱工程部(2)は、
マイクロ波が通過可能な壁(W2)の外側にキャビティ(O)を有し、
2450MHzのマイクロ波を、
キャビティ(O)に取り付けられた導波管(21)に通過させ、
キャビティ(O)内で反射させ、
壁(W2)内の前記食品(F)に照射し加熱するものであり、
熟成工程部(3)は、
熟成工程部開始側の壁(W3)内側に電波波吸収体(31)を有し、
加熱が完了し目標温度となった食品(F)を搬送時間で熟成させるものであり、
冷却工程部(4)は、
壁(W4)に取り付けられた冷却管(41)に、
冷却用流体を通過させ、
前記食品(F)に吹き掛けて冷却するものである
ことを特徴とする密封食品の製造装置。
- マイクロ波が通過可能な壁(W2)の材料は、
ポリテトラフルオロエチレンからなる
ことを特徴とする請求項4記載の密封食品の製造装置。
- キャビティ(O)を多角形とし、
キャビティ(O)内でマイクロ波を乱反射させる
ことを特徴とする請求項5記載の密封食品の製造装置。
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