JPH07255388A - 食品加熱処理方法及び装置 - Google Patents

食品加熱処理方法及び装置

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JPH07255388A
JPH07255388A JP6050616A JP5061694A JPH07255388A JP H07255388 A JPH07255388 A JP H07255388A JP 6050616 A JP6050616 A JP 6050616A JP 5061694 A JP5061694 A JP 5061694A JP H07255388 A JPH07255388 A JP H07255388A
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JP
Japan
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food
microwave
microwaves
chamber
heating
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JP6050616A
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English (en)
Inventor
Hikari Kobayashi
光 小林
Ichiro Komatsu
一郎 小松
Masanori Watanabe
正徳 渡邊
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Otsuka Chemical Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】加熱ムラの小さい状態で被加熱食品全体を所定
の温度まで急速に昇温させることができ、それにより栄
養、風味、外観等の品質劣化を軽度に抑えることができ
る食品加熱処理方法及び装置を提供する。さらに詳しく
は、被加熱食品の中心部分と周辺部分との昇温の度合い
の差が小さい状態で被加熱食品全体を所定の温度まで急
速に昇温させることができる食品加熱処理方法及び装置
を提供する。 【構成】被加熱食品にマイクロ波を照射することで食品
を加熱処理する食品加熱処理方法において、マイクロ波
として周波数の異なる少なくとも2種類のマイクロ波を
採用して、それら周波数の異なるマイクロ波を導波管
(21a、21b)及び導波管(31a、31b)にて
照射することで食品8を加熱処理する食品加熱処理方法
及び装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被加熱食品にマイクロ
波を照射することにより加熱処理して、該食品の調理、
殺菌、調理及び殺菌、乾燥又は解凍等を行う食品加熱処
理方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】マイクロ波照射による食品加熱において
は、被加熱食品にマイクロ波エネルギが浸透し吸収され
ることで該食品が加熱される。このマイクロ波エネルギ
の浸透の度合いは、浸透深度(入射電界強度が1/eに
なる深さ)により表され、浸透深度は照射するマイクロ
波の周波数や被加熱食品の電気的性質によって異なる。
浸透深度は、一般に照射するマイクロ波の周波数が高い
ほど浅くなるが、通常の食品加熱処理においては周波数
約2450MHzのマイクロ波が用いられている。また
食品の電気的性質として、一般に誘電体損失係数が大き
いほどマイクロ波を吸収し易く、またそのために浸透深
度が浅くなる。誘電体損失係数は、食品に含まれる水
分、塩分等の成分や食品の温度等によって異なる。水の
ような物質は誘電体損失係数が小さいため浸透深度が深
く、比較的急速に内部まで昇温させることができる。し
かし、塩分を含む食品の場合は、誘電体損失係数が大き
いため浸透深度が浅く、該食品表面部分に比べて中心部
分の昇温が遅れ易い。
【0003】そのため被加熱食品が均一に加熱されるよ
うに、該食品を収納する容器の大きさや形状を工夫した
り、マイクロ波照射方法を工夫する等、様々の試みがな
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
様々の試みにもかかわらず、マイクロ波照射による食品
加熱処理においては、部分的な昇温速度の違いによる加
熱ムラは必ず生じ、食品全体を所定の温度まで上昇させ
ようとすると必然的に過加熱部分が生じて栄養、風味、
外観等の品質劣化を来すことがある。特に商業規模で加
熱処理された食品を供給する場合の連続的な加熱処理工
程においては、品質劣化を招く加熱ムラの発生を最小限
に抑えなければならない。
【0005】そこで本発明の第1の課題は、加熱ムラの
小さい状態で被加熱食品全体を所定の温度まで速やかに
昇温させることができ、それにより栄養、風味、外観等
の品質劣化を軽度に抑えることができる食品加熱処理方
法及び装置を提供することである。また本発明の第2の
課題は、常温流通させる密封包装食品を製造するために
食品を加熱処理する方法であって、加熱ムラの小さい状
態で被加熱食品全体を所定の温度まで速やかに昇温させ
ることができ、それにより栄養、風味、外観等の品質劣
化を軽度に抑えることができる密封包装食品製造のため
の食品加熱処理方法及びこの方法を実施する装置を提供
することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記第1の課題を解決す
る本発明の第1の食品加熱処理方法は、被加熱食品にマ
イクロ波を照射することで該食品を加熱処理する食品加
熱処理方法において、前記マイクロ波として周波数の異
なる少なくとも2種類のマイクロ波を採用して、それら
周波数の異なるマイクロ波を照射することで前記食品を
加熱処理することを特徴とする。
【0007】また、前記第1の課題を解決する本発明の
第1の食品加熱処理装置は、被加熱食品にマイクロ波照
射手段にてマイクロ波を照射することで該食品を加熱処
理する食品加熱処理装置において、前記マイクロ波照射
手段が、周波数の異なる少なくとも2種類のマイクロ波
を照射できるものであることを特徴とする。さらに前記
第2の課題を解決する本発明の第2の食品加熱処理方法
は、被加熱食品をマイクロ波透過性容器内に密封し、所
定圧力下で該容器外からマイクロ波を照射することで前
記食品を110〜130℃まで昇温させ、その後、前記
圧力と実質上同圧力下で相対湿度30%以下、温度11
0〜130℃の乾熱加熱雰囲気下にて前記上昇した食品
温度を所定時間維持し、前記マイクロ波加熱は、マイク
ロ波として周波数の異なる少なくとも2種類のマイクロ
波を採用してそれら周波数の異なるマイクロ波を照射す
ることで行うことを特徴とする。
【0008】前記第2の食品加熱処理方法は、マイクロ
波透過性の容器内に密封された食品を該容器外から加圧
手段にて所定圧力下で加圧しつつマイクロ波照射手段に
てマイクロ波を照射することで110〜130℃まで昇
温させるマイクロ波照射部と、前記マイクロ波照射部に
連設され、前記マイクロ波照射部から送られてくる前記
密封食品を、加圧手段にて所定圧力下で加圧しつつ加熱
手段にて乾熱加熱して前記マイクロ波照射で上昇した食
品の温度を所定時間維持する加圧加熱維持部とを備え、
前記マイクロ波照射手段が、周波数の異なる少なくとも
2種類のマイクロ波を照射できるものである食品加熱処
理装置を用いて実施できる。
【0009】前記第1の本発明方法及び装置、前記第2
の本発明方法、並びに第2の本発明方法実施に用いる前
記装置において、前記周波数の異なる少なくとも2種類
のマイクロ波は、少なくとも前記食品の主として中心部
分を加熱できる周波数のマイクロ波及び前記食品の主と
して周辺部分を加熱できる周波数のマイクロ波であるこ
とが考えられる。何故なら、食品のマイクロ波加熱処理
における加熱ムラは、特に、食品の周辺部分、換言すれ
ば、食品の表面部分、又は表面部分及びそれに近い部分
と食品の中心部分とにおける昇温の速度差により生じ易
いからである。
【0010】また、被加熱食品の通常の大きさや電気的
性質を考慮すると、前記の食品の主として中心部分を加
熱できる周波数のマイクロ波としては、UHF−Cバン
ド高周波帯、即ち周波数がほぼ500〜1000MHz
のマイクロ波を用いることが考えられ、前記の食品の主
として周辺部分を加熱できる周波数のマイクロ波として
は、周波数がほぼ1000〜2000MHzのUHF−
Dバンド又は周波数がほぼ2000〜3000MHzの
UHF−Eバンドの高周波帯のマイクロ波を用いること
が考えられる。
【0011】被加熱食品としては、比較的誘電損失係数
が大きい食品、例えば周波数2450MHzのマイクロ
波照射時に誘電損失係数が10を超える食品、中でも1
5を超える食品が適している。このような食品は、マイ
クロ波の浸透深度が浅いために従来のマイクロ波照射で
は周辺部分に比べて中心部分の昇温が遅れ易いものであ
る。
【0012】前記第2の本発明方法及び該方法実施に用
いる装置において、使用する包装容器は、少なくとも一
部、又は全部がマイクロ波透過性を有し、加熱条件に応
じた耐熱性を有する必要があり、その材質としては、ポ
リオレフィン系樹脂、例えばポリエチレン、、ポリプロ
ピレン等、ポリエステル、ポリアミド、塩化ビニリデン
等の重合体やエチレン−ビニルアルコール共重合体等及
びこれらの組合せからなる積層体を挙げることができ
る。これらのうちポリアミド、塩化ビニリデン及びエチ
レン−ビニルアルコール共重合体は酸素透過遮断性に優
れ、これらの樹脂からなる包装容器は密封性の高いもの
になる。
【0013】また、前記密封包装食品の温度を110〜
130℃まで昇温させるが、これは加熱温度が110℃
より低い場合は、短時間で十分な殺菌を行うことができ
ず、加熱温度が130℃より高い場合には加熱時間は短
縮されるが、過加熱することになり、何れにしても食品
の品質を劣化させるからである。また、過加熱による耐
熱性の問題が生じる場合もある。
【0014】さらに、110〜130℃の温度を被加熱
食品の種類等に応じて所定圧力下で所定時間維持するこ
とにより、予想される食品変敗原因菌の栄養細胞を殺菌
することができる。また、このときの相対湿度は0〜3
0%が望ましく、これにより前記包装容器における酸素
透過を低くすることができ、該容器の密封性を高めるこ
とができる。
【0015】また、食品を加圧する圧力は、ほぼ0.5
〜2.8kg/cm2 の範囲であることが考えられる
が、これはマイクロ波照射による昇温で包装内容物が突
沸したり、包装容器が変形したりすることを防ぐためで
あり、0.5kg/cm2 より低圧の場合、加圧による
十分な効果が得られず、2.8kg/cm2 より高圧の
場合、包装容器及び内容物に損傷を与える恐れがある。
【0016】また、第2の本発明方法及び該方法実施に
用いる装置において、被加熱食品として、調理されてい
ない食品を用い調理及び殺菌を行ってもよく、また調理
済みの食品を用い殺菌のみを行ってもよい。第2の本発
明方法実施に用いる装置において、前記マイクロ波照射
部及び加圧加熱維持部における加圧手段は別々に設けら
れていてもよいが、全部又は一部が両者に共通のもので
あってもよい。加圧手段は代表例として、圧縮空気を供
給してその圧力下で加圧できるものを挙げることができ
る。
【0017】
【作用】本発明の食品加熱処理方法及び装置によると、
被加熱食品に周波数の異なる少なくとも2種類のマイク
ロ波を照射することで、該食品を加熱処理する。このと
き前記食品の形状や電気的性質に応じて、所望の浸透深
度が得られる周波数のマイクロ波を採用し、照射するこ
とで、部分的な昇温速度の違いによる加熱ムラを低減さ
せることができる。これにより、部分的な過加熱を生じ
ることなく前記食品全体を所定温度まで急速に昇温させ
ることができ、該食品の栄養、風味、外観等の品質劣化
が低減する。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。1実施例として、常温で長期保存可能、しかも簡
便な再調理で喫食することができるインスタント食品や
レンジ用食品等の密封包装食品の製造に係る食品加熱処
理について説明する。これは、密封包装済の被加熱食品
を搬送ライン上に少なくとも1個ずつ供給する運搬工程
(A)と、0.5〜2.8kg/cm2 の加圧条件下に
て、前記搬送ラインに臨設された導波管より前記食品に
周波数500〜1000MHzのマイクロ波を照射して
該食品の主として中心部分の温度を80〜100℃に上
昇させる前期マイクロ波照射工程(B)と、前記加圧条
件下にて前記搬送ラインに臨設された導波管より前記食
品に周波数1000〜3000MHzのマイクロ波を照
射して該食品全体の温度を110〜130℃に上昇させ
る後期マイクロ波照射工程(C)と、該食品の110〜
130℃の温度を、前記加圧条件下で、且つ相対湿度0
〜30%、雰囲気温度110〜130℃の乾熱加熱雰囲
気下にて所定時間維持する加熱処理工程(D)とを順次
経て、加熱加圧殺菌、又は加熱加圧調理及び殺菌された
密封包装食品を製造するものである。また、加熱処理工
程(D)のあとに、密封包装食品を冷却し、大気圧下へ
戻す工程(E)を採用する。
【0019】以上のことをさらに具体的に以下に詳述す
る図1は本発明に係る食品加熱処理装置の1例である密
封包装食品の製造に用いる連続式マイクロ波加熱加圧殺
菌装置の概略構成を示している。この装置は第一圧力調
整室1、第一マイクロ波照射室2、第二マイクロ波照射
室3、乾熱加熱室4、冷却室5及び第二圧力調節室6を
この順序で連続的に備え、外部と室1との間、室1と室
2との間、室5と室6との間及び室6と外部との間には
ゲート弁a、b、c、dが設けられている。室2、3、
4及び5の間には後記コンベアラインL上の被処理食品
が通過しうる大きさの通過孔e、f、gが設けられてい
る。またこの装置は、装置の一方の外部から各ゲート
弁、各通過孔及び各室内部を通り、他方の外部まで伸び
る食品搬送コンベアラインLを備えている。室1と、室
2、3、4、5からなる室と、室6とはそれぞれ圧力計
1A、2A、3A及び圧力調整弁1B、2B、3Bを介
して1つのコンプレッサ7に配管接続され、これにより
各室をそれぞれ所定の空気圧とすることができる。
【0020】なお、ここでは各室共通のコンプレッサ7
を用いているが、各室別々のコンプレッサ等を備えてい
てもよい。また、ここでは室2、3、4、5内は通過孔
e、f、gにより連続し、常時同一圧力とされるが、各
室の温度制御に支障が生じる場合は、各室間にゲート弁
を設け、各室別々にコンプレッサ7に配管接続してもよ
い。
【0021】第一マイクロ波照射室2は、その内部の上
部及び下部にそれぞれ2本ずつマイクロ波導波管21
a、21bを備えており、導波管21a、21bは室2
外のマイクロ波発生装置22に接続されている。被処理
食品8はマイクロ波透過性の容器9に収容され、同じく
マイクロ波透過性の蓋91にて密封されてコンベアライ
ンLにて搬送される。そして導波管21a、21bは、
被加熱食品8の主に中心部分を加熱できるように、コン
ベアラインL上の密封包装食品8との距離が、照射する
マイクロ波の波長と同じか又はそれより短くなるように
配置されている。第二マイクロ波照射室3は、その内部
の上部及び下部にそれぞれ2本ずつマイクロ波導波管3
1a、31bを備えており、導波管31a、31bは室
3外のマイクロ波発生装置32に接続されている。上部
の導波管31aは、食品8の主に周辺部分を加熱できる
ように、コンベアラインL上の密封包装食品8との距離
が、照射するマイクロ波の波長と同じか又はそれより長
くなるように配置されており、下部の導波管31bは、
食品8の主に中心部分を加熱できるように、密封包装食
品8との距離が、照射するマイクロ波の波長と同じか又
はそれより短くなるように配置されている。なお、導波
管21、31の設置数は、これに限らず、包装された食
品の大きさ、性状、包装容器の形状、材質及び加熱条件
等に応じて適宜数を設置できる。また、マイクロ波発生
装置22及び32は任意の周波数や波形のマイクロ波を
発振できるものであってもよく、又は、所定の周波数や
波形のマイクロ波のみ発振できるように設定されたもの
であってもよい。
【0022】乾熱加熱室4は熱風循環式ヒータ41を備
え、冷却室5は冷風循環式冷却器51を備えている。以
上説明したマイクロ波加熱加圧殺菌装置により、次のよ
うに密封包装食品が製造される。まず、マイクロ波透過
性包装容器9に充填し、蓋体91にて密封した、調理済
み又は未調理の被加熱食品8を被加熱食品搬送コンベア
ラインL上に載置する。次いでゲート弁aを開け、この
密封された食品を被加熱食品搬送コンベアラインLによ
り第一圧力調整室1内に搬入し、ゲート弁aを閉じた
後、室1内をコンプレッサ7の運転及び圧力調整弁1B
による調整により殺菌(及び調理)のための所定圧力に
する。次いで予め弁2Bの操作で室1内と同気圧に設定
された第一マイクロ波照射室2のゲート弁bを開けて被
加熱食品8を室2内へ搬入し、ゲート弁bを閉じる。室
2内ではマイクロ波発生装置22で発生させたマイクロ
波を導波管21a、21bから被加熱食品8に所定時間
照射し、該食品の主に中心部分の温度を所定温度まで昇
温させる。
【0023】次に、食品8を第二マイクロ波照射室3に
搬入し、マイクロ波発生装置32で発生させたマイクロ
波を導波管31a、31bから被加熱食品8に所定時間
照射し、該食品全体を所定温度まで昇温させる。次に、
食品8を、ヒータ41により前記昇温した食品8と実質
上同温度に設定された乾熱加熱室4内に搬入し、該温
度、圧力を所定時間維持する。次いで加熱殺菌(及び調
理)された食品8を冷却器51で冷やされた冷却室5内
に搬入し、該食品を常温に戻す。次いで、予め弁3Bの
操作で室5と同気圧に設定された第二圧力調整室6のゲ
ート弁cを開けて加熱処理済みの食品を搬入し、ゲート
弁cを閉じ、室6内を除々に減圧して常圧に戻す。その
後、ゲート弁dを開けて該食品を装置から搬出する。以
上、被処理食品を装置内に搬入し、各室内を通り、装置
外へ搬出する操作は、全て食品搬送コンベアラインLに
より行う。
【0024】このように、被加熱食品を、周波数の異な
る2種類のマイクロ波を照射することで昇温させ、しか
もマイクロ波を照射する導波管と被加熱食品との間の距
離を照射するマイクロ波の波長と同じか、或いはそれよ
り短く又は長くなるよう適宜設定することで、食品周辺
部分と中心部分との温度差を小さく抑制し、延いては食
品各部の加熱ムラを抑えつつ、被加熱食品全体を所定の
殺菌(及び調理)のための温度にまで急速に上昇させる
ことができる。これにより過加熱による被処理食品の栄
養、風味、外観等の品質劣化を低減することができる。
【0025】なお、ここでは2台のマイクロ波発生装置
を備え、周波数の異なる2種類のマイクロ波を照射して
いるが、包装された食品の大きさ、性状、包装容器の形
状、材質及び加熱条件等に応じて、マイクロ波発生装置
及びこれに接続する導波管を適宜数増設してもよい。こ
の場合、照射するマイクロ波の波長は全て異なっていて
もよく、又は一部同じ波長のマイクロ波であってもよ
い。
【0026】また、ここでは均一な食品の中心部分及び
周辺部分での加熱ムラを低減させる例を示したが、本発
明はこれに限らず、例えば電気的性質が不均一な食品の
加熱ムラを低減させること等にも適用可能である。次に
前記装置を用い調理済みの高粘度のポタージュスープを
加熱殺菌処理する本発明方法実施の具体例と比較例につ
いて説明する。 本発明例 高粘度のポタージュスープ180gをポリエチレン及び
エチレン─ビニルアルコール共重合体を積層させた包装
容器に充填し、該包装容器と同材質の蓋で密封したもの
を用意した。次いで、図1に示すマイクロ波加熱加圧殺
菌装置における室2内で、2.1kg/cm2 の加圧下
に、マイクロ波照射出力を0.6kWとした上部導波管
21a及び出力を1.5kWとした下部導波管21bか
ら各々周波数915MHzのマイクロ波を照射して、ポ
タージュスープの中心部分の温度が約90℃になるまで
加熱した。次いで室3内で同様に2.1kg/cm2
加圧下に、出力を0.6kWとした上部導波管31a及
び出力を0.9kWとした下部導波管31bから各々周
波数2450MHzのマイクロ波を照射して、ポタージ
ュスープ全体の温度が約120℃になるまで加熱した。
次いで室4内で相対湿度2%の乾熱加熱雰囲気下で、温
度123℃、圧力2.1kg/cm2 を6分間維持して
殺菌を行い、さらに冷却室5及び圧力調整室6で冷却及
び圧力調整した。 比較例 図1に示すマイクロ波加熱加圧殺菌装置を用い、第一マ
イクロ波照射室2内で照射するマイクロ波を周波数24
50MHzのマイクロ波とし、上部導波管21aから出
力0.6kWで、下部導波管21bから出力1.5kW
で照射した。その他の条件は前記本発明例と同様にし
た。
【0027】次に、本発明例及び比較例による加熱殺菌
工程における、密封包装されたポタージュスープの中心
部分及び周辺部分の温度変化を、経時的にサンプリング
して温度測定することにより調べた。結果を図2に示
す。図2(A)に示すように、本発明例では、中心部分
及び周辺部分がほぼ同時に所定の殺菌温度である120
℃に達し、マイクロ波照射による所要加熱時間は10.
5分間であった。一方、図2(B)に示すように、比較
例ではマイクロ波照射による加熱開始後10.5分間で
周辺部分が120℃に達しているが、中心部分は加熱開
始後16.5分間で120℃に達した。このように比較
例では、中心部分の昇温が周辺部分に比べて遅れるため
に、周辺部分の過加熱が生じる恐れがあるが、本発明例
では中心部分と周辺部分とがほぼ同時に急速に120℃
に達するため、部分的な過加熱を生じる恐れがない。
【0028】また本発明例では、全工程終了後に得られ
たポタージュスープの色調に部分的なムラは見られなか
った。一方、比較例では全工程終了後に得られたポター
ジュスープの周辺部分に明らかな褐変が生じ、また包装
容器内面の一部にポタージュスープの焦げつきが見ら
れ、商品価値が著しく低いものとなった。次に本発明例
及び比較例によるポタージュスープにつき、室温にて1
日間保存後及び室温にて30日間保存後の味、香り、外
観の評価及び総合評価を官能試験により実施した。結果
を表1に示す。表1中の数値は100点を満点として相
対的に示したものである。
【0029】
【表1】
【0030】本発明例によるポタージュスープは製造後
1日及び製造後30日の何れの場合も味、香り、外観及
び総合の全てについて比較例によるポタージュスープよ
り優れ、中でも外観において比較例によるポタージュス
ープとの差が大きかった。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
加熱ムラの小さい状態で被加熱食品全体を所定の温度ま
で速やかに昇温させることができ、それにより栄養、風
味、外観等の品質劣化を軽度に抑えることができる食品
加熱処理方法及び装置を提供することができる。また、
本発明によると、従来の食品のマイクロ波加熱処理にお
ける加熱ムラが食品の周辺部分と中心部分とにおける昇
温差により生じ易いことに照らし、被加熱食品の中心部
分と周辺部分との昇温の度合いの差が小さい状態で被加
熱食品全体を所定の温度まで速やかに昇温させることが
できる食品加熱処理方法及び装置を提供することができ
る。
【0032】また本発明によると、常温流通させる密封
包装食品を製造するために食品を加熱処理する方法及び
装置であって、加熱ムラの小さい状態で被加熱食品全体
を所定の温度まで速やかに昇温させることができ、それ
より栄養、風味、外観等の品質劣化を軽度に抑えること
ができる密封包装食品製造のための食品加熱処理方法及
び装置を提供することができる。また、本発明による
と、従来の食品のマイクロ波加熱処理における加熱ムラ
が食品の周辺部分と中心部分とにおける昇温差により生
じ易いことに照らし、被加熱食品の中心部分と周辺部分
との昇温の度合いの差が小さい状態で被加熱食品全体を
所定の温度まで速やかに昇温させることができる密封包
装食品製造のための食品加熱処理方法及び装置を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である連続式マイクロ波加熱
加圧殺菌装置の概略構成を示す図である。
【図2】(A)は図1の装置によるポタージュスープの
殺菌工程における温度変化を示す図であり(B)は比較
列を示す図である。
【符号の説明】
1 第一圧力調整室 2 第一マイクロ波照射室 3 第二マイクロ波照射室 21a、21b、31a、31b マイクロ波導波管 22、32 マイクロ波発生装置 4 熱風循環式ヒータ 5 冷却室 51 冷風循環式冷却器 6 第二圧力調整室 7 コンプレッサ 8 密封包装食品 9 包装容器 91 蓋体 1A、2A、3A 圧力計 1B、2B、3B 圧力調整弁 a、b、c、d ゲート弁 e、f、g 通過孔 L コンベアライン

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被加熱食品にマイクロ波を照射すること
    で該食品を加熱処理する食品加熱処理方法において、前
    記マイクロ波として周波数の異なる少なくとも2種類の
    マイクロ波を採用して、それら周波数の異なるマイクロ
    波を照射することで前記食品を加熱処理する食品加熱処
    理方法。
  2. 【請求項2】 被加熱食品をマイクロ波透過性容器内に
    密封し、所定圧力下で該容器外からマイクロ波を照射す
    ることで前記食品を110〜130℃まで昇温させ、そ
    の後、前記圧力と実質上同圧力下で相対湿度30%以
    下、温度110〜130℃の乾熱加熱雰囲気下にて前記
    上昇した食品温度を所定時間維持し、前記マイクロ波加
    熱は、マイクロ波として周波数の異なる少なくとも2種
    類のマイクロ波を採用してそれら周波数の異なるマイク
    ロ波を照射することで行う食品加熱処理方法。
  3. 【請求項3】 前記周波数の異なる少なくとも2種類の
    マイクロ波が、少なくとも前記食品の主として中心部分
    を加熱できる周波数のマイクロ波及び前記食品の主とし
    て周辺部分を加熱できる周波数のマイクロ波である請求
    項1又は2記載の食品加熱処理方法。
  4. 【請求項4】 前記食品の主として中心部分を加熱でき
    る周波数のマイクロ波が、UHF−Cバンド高周波帯の
    周波数のマイクロ波であり、前記食品の主として周辺部
    分を加熱できる周波数のマイクロ波がUHF−D又はU
    HF−Eバンド高周波帯の周波数のマイクロ波である請
    求項3記載の食品加熱処理方法。
  5. 【請求項5】 被加熱食品にマイクロ波照射手段にてマ
    イクロ波を照射することで該食品を加熱処理する食品加
    熱処理装置において、前記マイクロ波照射手段が、周波
    数の異なる少なくとも2種類のマイクロ波を照射できる
    ものである食品加熱処理装置
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