JP2001085151A - 高周波加熱装置 - Google Patents

高周波加熱装置

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JP2001085151A
JP2001085151A JP25794599A JP25794599A JP2001085151A JP 2001085151 A JP2001085151 A JP 2001085151A JP 25794599 A JP25794599 A JP 25794599A JP 25794599 A JP25794599 A JP 25794599A JP 2001085151 A JP2001085151 A JP 2001085151A
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Japan
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metal
impedance conversion
frequency heating
conversion layer
resin
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JP25794599A
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English (en)
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Shogo Kawakami
尚吾 川上
Hiroyuki Kadode
宏之 門出
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Otsuka Chemical Co Ltd
Original Assignee
Otsuka Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マイクロ波キャビティ内で被加熱物をマイク
ロ波エネルギーを用いて誘電加熱する高周波加熱装置の
マイクロ波キャビティー内に配置するインピーダンス変
換層として、インピーダンス変換効率が高く、成形加工
が容易なインピーダンス変換層を得る。 【解決手段】 樹脂に、ホウ酸金属塩系化合物、ケイ酸
金属塩系化合物、チタン酸金属塩、または該チタン酸金
属塩を非晶質酸化チタンにより被覆した複合繊維を5〜
80重量%配合した組成物を成形してインピーダンス変
換層とすることを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波加熱装置に
関する。より詳しくは、被加熱物の加熱の均一化に優れ
た高周波加熱装置に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】高周波加熱装置においては、用
いる高周波の波長、キャビティ形状、被加熱物形状その
他の要因によりマイクロ波キャビティ内の加熱効率に場
所的濃淡を生じ、いわゆる加熱ムラを起こすため、これ
を均一化して被加熱物を均一に加熱する必要がある。被
加熱の全体に均一にマイクロ波を伝搬させることができ
れば、それは単に加熱ムラの解消に留まらず、短時間で
効率的な加熱を可能とするため省エネルギーの観点から
も好ましい。そのため、これまでに様々な工夫が試みら
れている。
【0003】例えば、被加熱物をキャビティ内で回転さ
せるターンテーブル方式、キャビティ内で金属性板状羽
根を回転させ電磁波を撹拌するスターラ方式等は、今日
では家庭用電子レンジにおいても一般に採用されるとこ
ろとなっている。また、キャビティ内でコンベア方式に
より被加熱物を移動させる方法、導波管を複数設け相互
に異なった位相を持つ電磁波をキャビティ内に供給する
複数給電方式(特開平6−296478号、特開平7−
255388号)、キャビティ壁面に凸凹を設け電磁波
を乱反射させる方法等も検討されており、工業的に採用
されているものもある。しかし、これらのいずれ方法に
よっても、被加熱物の種類や量に拘わらずその全体に均
一にマイクロ波を伝搬させることは困難であった。
【0004】一方、これら従来技術では達成困難だった
キャビティ内マイクロ波分布の高い均一性実現し得る手
段として、給電されたマイクロ波を実質的に閉じ込める
一次マイクロ波空間内に非金属材料からなるインピーダ
ンス変換層を設けてなる高周波加熱装置が提案されてい
る(特開平11−144862号)。該装置は、給電さ
れたマイクロ波がインピーダンス変換層に照射されるこ
とにより、これを透過波と反射波に分け、分けられた透
過波と反射波がそれぞれキャビティ壁や被加熱物等に反
射して再びインピーダンス変換層に照射された際に、再
びこれを透過波と反射波とに分ける、といったことを繰
り返すことにより、相互に位相の異なる無数の波をキャ
ビティ内に遍在させ、もって被加熱物の均一な加熱を可
能とするものである。
【0005】また、同様の原理を用いてスターラーの羽
根をインピーダンス変換層としてスターラー方式の加熱
均一化効率を上げたり、導波管前に角度を自由に変えら
れるインピーダンス変換層を設けキャビティ内の電磁波
分布をコントロールする等の応用が考えられる。
【0006】
【発明の解決しようとする課題】しかしながら、前記公
報は、かかるインピーダンス変換層材料として、アルミ
ナを示すに留まり、このものは加工性に劣り、誘電率を
自由に設定するのが困難であるため、未だ十分満足し得
るものとはいえなかった。
【0007】インピーダンス変換効率を上げるために
は、透過波と反射波の割合を適当な範囲に設定し得る材
料であることが必要である。例えば、全透過材や全反射
材であっては、所期の目的を達することはできない。こ
の点で、実質的に全反射材である金属は用い得ず、誘電
率の低すぎる材料もマイクロ波透過率が高くなり過ぎる
ため好ましくない。かかる見地からすると、誘電率の好
ましい範囲としては、対応する周波数やキャビティ形状
にもよるが、家庭用電子レンジ(2.45GHz帯)の
場合で比誘電率3〜20、特に多くの場合8〜15の材
料が要求される。さらに産業用高周波加熱装置において
は、それ以上の比誘電率が要求されるケースがある。
【0008】他方、比誘電率が上がると誘電損失が大き
くなり、加えて一般に、比誘電率の高い材料は誘電正接
も高いのが通常であるから、比誘電率を高く設定するこ
とにはおのずと制約がある。すなわち、インピーダンス
変換層は、マイクロ波キャビティ内で使用されるもので
あるため、それ自体が高い誘電損失を持つと使用中に加
熱し、変形、発火、火傷等の危険を生じ好ましくない。
また、発火に至らないまでも、誘電損失は装置全体のエ
ネルギー効率を引き下げ、好ましくない。
【0009】このように、インピーダンス変換層を構成
する材料としては、高いインピーダンス変換効率と低誘
電損失という一見相反する二つの特性を共に満足する材
料が要求される。
【0010】さらに、かかる材料には、キャビティ内で
物品の出し入れに伴う接触によっても容易に破損しない
ような高い剛性と、熱により変形しない材料であること
が要求される。また、高周波加熱装置自体の重量を大幅
に増加させることがないような、比較的軽量の材料であ
ることが要求される。
【0011】本発明の目的は、インピーダンス変換効率
が高く、成形加工が容易なインピーダンス変換層を備え
る高周波加熱装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記従来
の問題を解決するため各種の材料につき、鋭意検討した
結果、極めて優れた材料を見い出し、本発明を完成させ
た。
【0013】すなわち、本願の第一の発明に係る高周波
加熱装置は、マイクロ波キャビティ内で被加熱物をマイ
クロ波エネルギーを用いて誘電加熱する高周波加熱装置
であり、樹脂に、ホウ酸金属塩系化合物(A)及び/ま
たはケイ酸金属塩系化合物(B)を5〜70重量%配合
した組成物を成形してなるインピーダンス変換層を、マ
イクロ波キャビティ内に配置したことを特徴としてい
る。
【0014】本願の第二の発明に係る高周波加熱装置
は、マイクロ波キャビティ内で被加熱物をマイクロ波エ
ネルギーを用いて誘電加熱する高周波加熱装置であり、
樹脂に、一般式MO・TiO2(式中、MはBa、S
r、Ca、Mg、Co、Pd、Be、Cdより選ばれる
1種または2種以上の金属を表わす)で表わされるチタ
ン酸金属塩(C)、及び/または該チタン酸金属塩
(C)を非晶質酸化チタンが包み込んだ態様で複合一体
化した複合繊維であって、MとTiとのモル比が1:
1.005〜1.85の範囲にある複合繊維(D)を5
〜80重量%配合した組成物を成形してなるインピーダ
ンス変換層を、マイクロ波キャビティ内に配置したこと
を特徴としている。
【0015】本願の第三の発明に係る高周波加熱装置
は、マイクロ波キャビティ内で被加熱物をマイクロ波エ
ネルギーを用いて誘電加熱する高周波加熱装置であり、
樹脂に、(1)ホウ酸金属塩系化合物(A)及び/また
はケイ酸金属塩系化合物(B)と、(2)一般式MO・
TiO2(式中、MはBa、Sr、Ca、Mg、Co、
Pd、Be、Cdより選ばれる1種または2種以上の金
属を表わす)で表わされるチタン酸金属塩(C)、及び
/または該チタン酸金属塩(C)を非晶質酸化チタンが
包み込んだ態様で複合一体化した複合繊維であって、M
とTiとのモル比が1:1.005〜1.5の範囲にあ
る複合繊維(D)とを合計で5〜80重量部配合した組
成物を成形してなるインピーダンス変換層を、マイクロ
波キャビティ内に配置したことを特徴としている。
【0016】第一の発明、第二の発明、及び第三の発明
において、ホウ酸金属塩系化合物(A)、ケイ酸金属塩
系化合物(B)、チタン酸金属塩(C)、及び複合繊維
(D)は、繊維状であることが好ましい。繊維状物を用
いることにより、インピーダンス変換層に、優れた機械
的強度及び耐熱性を付与することができる。また、繊維
状物を用いることにより粉末状物を用いる場合に比べ、
少量で所望のインピーダンス変換効率を得ることができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】第一の発明、第二の発明、及び第
三の発明のそれぞれに共通な事項については、以下「本
発明」として説明する。
【0018】第一の発明に係る高周波加熱装置は、マイ
クロ波キャビティ内にホウ酸金属塩系化合物(A)及び
/またはケイ酸金属塩系化合物(B)を5〜70重量%
配合した樹脂組成物を成形してなるインピーダンス変換
層が配置されたものである。
【0019】ここで、樹脂としては、各種の熱可塑性樹
脂及び熱硬化性樹脂より適宜選択することができるが、
耐熱性、機械的強度、インピーダンス変換効率、及び低
誘電損失の観点からは、以下に例示する樹脂が好まし
い。すなわち、ポリフェニレンエーテル樹脂(ポリフェ
ニレンオキサイド等を含む)、変性ポリフェニレエーテ
ル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリエーテルイ
ミド樹脂とのアロイ樹脂等のポリフェニレンエーテル樹
脂、ポリスチレン樹脂(特にシンジオタクチックポリス
チレン樹脂が好ましい)、5−メチルペンテン樹脂、環
状ポリオレフィン系樹脂、耐熱性ABS樹脂、ポリアミ
ド46、ポリアミド6T、ポリアミド6/6T、ポリア
ミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド
12等のポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド
樹脂、芳香族ポリサルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹
脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケ
トン樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、サーモトロピッ
ク液晶ポリエステル樹脂、耐溶融性フッ素樹脂、熱可塑
性ポリイミド樹脂等を例示できる。
【0020】これらの樹脂の中でも、ポリフェニレンエ
ーテル樹脂(ポリフェニレンオキサイド等を含む)、変
性ポリフェニレエーテル樹脂、ポリフェニレンエーテル
樹脂とポリエーテルイミド樹脂とのアロイ樹脂等のポリ
フェニレンエーテル樹脂、シンジオタクチックポリスチ
レン樹脂、5−メチルペンテン樹脂、環状ポリオレフィ
ン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエー
テルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、サーモトロ
ピック液晶ポリエステル樹脂、耐溶融性フッ素樹脂、熱
可塑性ポリイミド樹脂が特に好ましい。
【0021】また、熱硬化性樹脂としては、トリアジン
系樹脂、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、エポキ
シ樹脂等を例示できる。これらの樹脂は単独で、または
2種以上を混合して使用することができる。
【0022】ホウ酸金属塩系化合物(A)としては、一
般式aAxy・bB23(ここでa、bはそれぞれ1〜
9の数、Aは2価または3価の金属元素、x及びyはx
=2、y=1またはx=y=1またはx=2、y=3を
それぞれ表わす。)で示される化合物を好ましく用いる
ことができ、とりわけ平均繊維径0.01〜3μm、平
均アスペクト比3〜200の繊維状物が好ましい。具体
例としては、ホウ酸アルミニウム繊維、ホウ酸マグネシ
ウム繊維、ホウ酸ニッケル繊維を例示でき、これらはい
ずれも5〜7の比誘電率を有している。
【0023】また、ケイ酸金属塩系化合物(B)として
は、一般式aMxy・bSiO2・cH2O(ここでa、
bは正の数を、cは0または正の数を表わす。x及びy
はx=2、y=1またはx=y=1またはx=2、y=
3をそれぞれ表わす。MはMg、Al、Ca、Sc、T
i、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、
Ga、Ge、As、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、R
u、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、B
a、La、W、Os、Ir、Pb、Biから選ばれた一
種または2種以上の金属を表わす。)で表わされるもの
を例示できる。
【0024】中でも、MがCa、Zn、Alより選ばれ
るものが低誘電損失であるため、好ましい。また、平均
繊維径0.01〜3μm、平均アスペクト比3〜200
の繊維状物が好ましい。
【0025】かかるケイ酸金属塩系化合物(B)の好ま
しい具体例としては、例えば、2MgO・SiO2で表
わされるオルソケイ酸マグネシウム(フォルステライ
ト)、MgO・SiO2で表わされるメタケイ酸マグネ
シウム(ステアタイト)、2ZnO・SiO2で表わさ
れるオルソケイ酸亜鉛、ZnO・SiO2で表わされる
メタケイ酸亜鉛、Al23・SiO2で表わされるオル
ソケイ酸アルミニウム、3Al23・2SiO2で表わ
されるムライト、6CaO・6SiO2・H2Oで表わさ
れるゾノトライト、CaO・SiO2を主成分とするワ
ラストナイト等を例示できる。これらは概ね5〜7程度
の比誘電率を有している。これらの中には天然に産出す
るものも多いが、本発明においては合成品もしくは分
級、焼成、洗浄等の処理により、形状や成分を調整した
ものを用いることが望ましい。
【0026】これらはいずれも繊維状物を用いることに
より、誘電損失を殆ど増大させることなく高周波におけ
る比誘電率を向上させ、所望のインピーダンス変換効率
の得られる材料とすることができ、加えて、機械的強度
の向上と耐熱性の向上にも寄与するため好ましい。
【0027】これらのホウ酸金属塩系化合物(A)及び
/またはケイ酸金属塩系化合物(B)の配合量として
は、樹脂中に5〜70重量%とするのがよい。かかる範
囲とすることで、成形性を悪化させることなく、所望の
インピーダンス変換効率を発現することができる。な
お、具体的な配合量は、インピーダンス変換層の設置位
置と使用するマイクロ波の周波数、キャビティ形状、導
波管長軸寸法等から定在波を生じさせず、マイクロ波エ
ネルギーの等分配が可能なように設計される比誘電率に
応じて決定し得る。第一の発明は、かくして得られるイ
ンピーダンス変換層の比誘電率を3〜6程度に設定する
場合に好適な高周波加熱装置を提供し得るものであり、
それ以上の比誘電率の求められる高周波加熱装置におい
ては、第二、第三の発明が適している。
【0028】第二の発明の高周波加熱装置は、樹脂に、
一般式MO・TiO2(式中、MはBa、Sr、Ca、
Mg、Co、Pd、Be、Cdより選ばれる1種または
2種以上の金属を表わす)で表わされるチタン酸金属塩
(C)及び/または該チタン酸金属塩(C)を非晶質酸
化チタンが包み込んだ態様で複合一体化した複合繊維で
あって、MとTiとのモル比が1:1.005〜1.8
5の範囲にある複合繊維(D)を合計で5〜80重量%
配合した組成物を成形してなるインピーダンス変換層
を、マイクロ波キャビティ内に配置したことを特徴とす
る高周波加熱装置である。
【0029】ここで、樹脂としては、第一の発明の説明
で例示した樹脂を同様に使用できる。また、一般式MO
・TiO2(式中、MはBa、Sr、Ca、Mg、C
o、Pd、Be、Cdより選ばれる1種または2種以上
の金属を表わす)で表わされるチタン酸金属塩(C)の
うち好ましいものとしては、チタン酸バリウム、チタン
酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグ
ネシウム、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸
バリウムカルシウム等を例示できる。これらのうちでも
平均繊維径0.05〜3μm、平均アスペクト比3〜2
00の繊維状物が高周波域における誘電損失を抑えたま
ま所望のインピーダンス変換効率が得られるため好まし
い。
【0030】これらのチタン酸金属塩(C)のうち、繊
維状物の製造方法としては、例えば、一般式TiO2
mH2O(式中mは0≦m<8)で表わされるチタニア
化合物や、ルチルサンド等のチタン源化合物と、加熱に
より金属Mの酸化物となり得る物質の一種または二種以
上とを混合し、アルカリ金属ハロゲン化物等のフラック
スの存在下、600〜900℃で加熱反応させる方法を
例示できる。また、他の方法としては、繊維状チタニア
化合物の表面に、共沈法によりチタンと略等モル量の金
属Mの炭酸塩を被覆した後、加熱処理することにより製
造できる。
【0031】また、チタン酸金属塩(C)を非晶質酸化
チタンが包み込んだ態様で複合一体化した複合繊維であ
って、MとTiとのモル比が1:1.005〜1.85
の範囲にある複合繊維(D)としては、例えば、チタン
酸バリウムを非晶質酸化チタンが包み込んだ態様で複合
一体化した複合繊維、チタン酸バリウムストロンチウム
を非晶質酸化チタンが包み込んだ態様で複合一体化した
複合繊維等を例示できる。かかる繊維の製造方法として
は、繊維状チタニア化合物の表面に、共沈法によりチタ
ンよりも少ない所定のモル量の金属Mの炭酸塩を被覆し
た後、加熱処理することにより製造できる。かくして得
られた複合繊維は、繊維としての強度が高く、樹脂への
混練時の折損が少ないので、繊維状を維持したまま樹脂
に配合することができ、高いインピーダンス変換効率を
発揮する材料となし得るため好ましい。
【0032】第二の発明によれば、高周波加熱装置にお
けるインピーダンス変換層の比誘電率を5〜50程度の
広い範囲に設定可能であり、特に従来困難であった8〜
30程度への設定が容易に可能となる。
【0033】第三の発明は、樹脂に、(1)ホウ酸金属
塩系化合物(A)及び/またはケイ酸金属塩系化合物
(B)と、(2)チタン酸金属塩(C)及び/または複
合繊維より(D)とを合計で5〜80重量%配合した組
成物を成形してなるインピーダンス変換層を、マイクロ
波キャビティ内に配置したことを特徴とする高周波加熱
装置に係る。
【0034】第三の発明の高周波加熱装置は、第一の発
明と第二の発明で用いたインピーダンス変換層への配合
成分を共に配合したインピーダンス変換層料が配置され
たことを特徴とするものである。第一の発明で用いるホ
ウ酸金属塩系化合物(A)及びケイ酸金属塩系化合物
(B)は、インピーダンス変換層の誘電損失を低減させ
る効果を有しており、第二の発明で用いるチタン酸金属
塩系化合物(C)及び複合繊維(D)は、少量で高いイ
ンピーダンス変換効率を付与する効果を有している。こ
こで、配合量の合計が80重量%までとされるのは、加
工性を損なわないためである。
【0035】第三の発明においては、これらを併用する
ことにより、誘電損失の一層の低減と高いインピーダン
ス変換効率を共に満足し得るインピーダンス変換層を得
て、これをマイクロ波キャビティ内に配置することがで
きる。
【0036】第三の発明に用いることのできるインピー
ダンス変換層を構成する樹脂、ホウ酸金属塩系化合物
(A)、ケイ酸金属塩系化合物(B)、チタン酸金属塩
系化合物(C)、及び複合繊維(D)としては、それぞ
れ第一、第二の発明において例示したものを使用するこ
とができる。
【0037】本発明の高周波加熱装置におけるインピー
ダンス変換層は、前記の材料を従来公知の各種の成形方
法により層状に成形することにより作製することができ
る。かかる成形方法としては、予め樹脂に配合成分を配
合し、ブレンダーや二軸混練機を用いて混合または混練
した後、射出成形、押出成形、ブロー成形、プレス成
形、カレンダー成形等により成形する方法を例示でき
る。
【0038】インピーダンス変換層の形状としては、平
板状とするのが一般的であるが、曲面を設けることも差
し支えなく、波板状としたり凹凸を設けたりしてもよ
い。
【0039】インピーダンス変換層の配置位置として
は、マイクロ波発生源及び導波管内を含む広義のマイク
ロ波キャビティ内に適宜配置することができるが、導波
管・給電部の前面や、キャビティ天井面、側面、開閉可
能な境界面等の一次マイクロ波空間の境界面と平行に設
置する方法を例示できる。また、インピーダンス変換層
は、中空なターンテーブルとして構成することもでき
る。また、従来のスターラー羽根に代えて採用すること
もできる。
【0040】また、インピーダンス変換層は駆動装置と
連動させ、回動可能に構成することができる。その場
合、従来のスターラー同様にマイクロ波照射中、インピ
ーダンス変換層を一定の速度で回転させて、キャビティ
内のマイクロ波の撹拌、均一化を図ることもできるし、
あるいはキャビティ内の温度や配置された被加熱体の重
量、形状、水分含量等をモニターしながら1ないし2以
上のインピーダンス変換層を所定の角度に調整すること
で、キャビティ内に配置された複数の被加熱体をそれぞ
れ異なった強度のマイクロ波で加熱するといった応用も
考えられる。
【0041】以上の本発明の高周波加熱装置において、
インピーダンス変換層の具体的な配合は、使用する高周
波の周波数に応じて適宜設定することができる。本発明
の高周波加熱装置では、インピーダンス変換層が、加工
が容易で射出成形による大量生産に適した樹脂組成物に
より構成されているので、それだけ安価に製造すること
ができる。また、形状自在性に優れたものとなるという
利点を有している。
【0042】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定さ
れるものではない。
【0043】(実施例1〜5、比較例2〜3)表1に示
す割合で樹脂と充填材を混合し、射出成形により試験片
を作製した。得られた試験片について、誘電率、誘電損
失率(tanδ)、インピーダンス変換効率(共に周波
数2.45GHz)を評価した。結果を表1に示す。
【0044】なお、インピーダンス変換効率は以下によ
り計算した。 入射角θ=45° 一次反射波エネルギー=P1(入射波エネルギーに対す
る割合) 透過反射波エネルギー=P3(入射波エネルギーに対す
る割合) インピーダンス変換効率E=MIN(P1,P3)/MA
X(P1,P3
【0045】(比較例1)アルミナ板から切削加工によ
り切り出したアルミナ板につき同様に評価した結果を表
1に併せて示す。表1の加工性については、樹脂組成物
からなり射出成形等により成形可能なものを〇とし、切
削加工により成形しなければならないものを×として示
した。
【0046】
【表1】
【0047】[表1の配合に用いた樹脂] COP:環状ポリオレフィン、商品名「アペル150
R」、三井化学株式会社製 SPS:シンジオタクチックポリスチレン、特開昭63
−191811号公報に記載された処方に従って製造さ
れたもの PPS:ポリフェニレンサルファイド、商品名「トープ
レンT−4P」、トープレン社製 LCP:液晶ポリエステル、商品名「ベクトラ」、ポリ
プラスチックス株式会社製
【0048】[表1の配合に用いた充填材] PGM:ホウ酸マグネシウム繊維、平均繊維径0.4μ
m、平均アスペクト比20、商品名「スワナイト」、大
塚化学株式会社製 CTW:チタン酸カルシウム繊維、平均繊維径0.3μ
m、平均アスペクト比10、商品名「CTW」、大塚化
学株式会社製 BSTW:チタン酸バリウムストロンチウム/酸化チタ
ン複合繊維(Ba/Sr/Ti=0.490/0.50
4/1.000モル(M:Ti=1:1.006)、
(Ba,Sr)TiO3 99.4%、非晶質TiO
20.6%からなり、(Ba,Sr)TiO3を非晶質T
iO2が包み込むような形で複合一体化した繊維状
物)、平均繊維径0.4μm、平均アスペクト比10、
商品名「BSTW」、大塚化学株式会社製
【0049】表1に示す結果から、本発明の実施例1〜
5の高周波加熱装置のインピーダンス変換層材料は、比
較例2及び3の材料に比較して、高いインピーダンス変
換効率を示し、それだけ加熱ムラの解消に寄与し得るこ
とがわかる。また、本発明の高周波加熱装置のインピー
ダンス変換層材料は、加工が容易な樹脂組成物からなる
ものであるにもかかわらず、配合比率の調整によりアル
ミナ(比較例1)を超える高いインピーダンス変換効率
を示し得る(実施例1、2)ことがわかる。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、インピーダンス変換効
率が高く、成形加工が容易なインピーダンス変換層を備
える高周波加熱装置とすることができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マイクロ波キャビティ内で被加熱物をマ
    イクロ波エネルギーを用いて誘電加熱する高周波加熱装
    置において、 樹脂に、(A)ホウ酸金属塩系化合物及び/または
    (B)ケイ酸金属塩系化合物を5〜70重量%配合した
    組成物を成形してなるインピーダンス変換層を、マイク
    ロ波キャビティ内に配置したことを特徴とする高周波加
    熱装置。
  2. 【請求項2】 ホウ酸金属塩系化合物(A)及び/また
    はケイ酸金属塩系化合物(B)が繊維状であることを特
    徴とする請求項1に記載の高周波加熱装置。
  3. 【請求項3】 マイクロ波キャビティ内で被加熱物をマ
    イクロ波エネルギーを用いて誘電加熱する高周波加熱装
    置において、 樹脂に、(C)一般式MO・TiO2(式中、MはB
    a、Sr、Ca、Mg、Co、Pd、Be、Cdより選
    ばれる1種または2種以上の金属を表わす)で表わされ
    るチタン酸金属塩、及び/または(D)該チタン酸金属
    塩(C)を非晶質酸化チタンが包み込んだ態様で複合一
    体化した複合繊維であって、MとTiとのモル比が1:
    1.005〜1.85の範囲にある複合繊維を5〜80
    重量%配合した組成物を成形してなるインピーダンス変
    換層を、マイクロ波キャビティ内に配置したことを特徴
    とする高周波加熱装置。
  4. 【請求項4】 チタン酸金属塩(C)が繊維状であるこ
    とを特徴とする請求項3に記載の高周波加熱装置。
  5. 【請求項5】 マイクロ波キャビティ内で被加熱物をマ
    イクロ波エネルギーを用いて誘電加熱する高周波加熱装
    置において、 樹脂に、(1)(A)ホウ酸金属塩系化合物及び/また
    は(B)ケイ酸金属塩系化合物と、(2)(C)一般式
    MO・TiO2(式中、MはBa、Sr、Ca、Mg、
    Co、Pd、Be、Cdより選ばれる1種または2種以
    上の金属を表わす)で表わされるチタン酸金属塩、及び
    /または(D)該チタン酸金属塩(C)を非晶質酸化チ
    タンが包み込んだ態様で複合一体化した複合繊維であっ
    て、MとTiとのモル比が1:1.005〜1.5の範
    囲にある複合繊維とを合計で5〜80重量部配合した組
    成物を成形してなるインピーダンス変換層を、マイクロ
    波キャビティ内に配置したことを特徴とする高周波加熱
    装置。
  6. 【請求項6】 (1)ホウ酸金属塩系化合物(A)、ケ
    イ酸金属塩系化合物(B)、チタン酸金属塩(C)、ま
    たは複合繊維(D)が繊維状であることを特徴とする請
    求項5に記載の高周波加熱装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006035056A (ja) * 2004-07-23 2006-02-09 National Institute Of Advanced Industrial & Technology マイクロ波加熱用容器
JP2013208058A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Kiyotsune Shino 連続加熱方法および前記方法を用いた密封食品の製造装置

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