JP2013206613A - 有機el装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度であって、水分の侵入を効果的に防止できる高信頼性の有機EL装置の製造方法等を提供すること。
【解決手段】封止基板に1以上の接着層を貼付ける接着層貼付けステップと、封止基板における各接着層の外周位置の少なくとも一部に補強シール剤を塗布する補強シール剤塗布ステップと、封止基板の外周内側に、補強シール剤を囲う外周シール剤を塗布する外周シール剤塗布ステップと、封止基板と素子基板とを、各接着層が、対応する有機EL素子群を覆うように、減圧雰囲気下で貼り合わせる貼合わせステップと、貼り合わされた封止基板と素子基板との間に位置する接着層と補強シール剤と外周シール剤とを、大気圧下で硬化させる硬化ステップとを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、テレビ、パソコンモニタ、携帯電話等の携帯端末などに使用されるフラットパネルディスプレイや、面発光光源、照明、発光型広告体などとして、幅広い用途が期待される有機EL素子を用いた有機EL装置及びその製造方法に関する。
有機EL素子は、広視野角、高速度応答、低消費電力などの利点から、ブラウン管や液晶ディスプレイに替わるフラットパネルディスプレイへの利用が期待されている。
有機EL素子は、少なくともどちらか一方が透光性を有する二枚の電極層(陽極層と陰極層)の間に、有機発光媒体層を挟持した構造であり、両電極間に電圧を印可し電流を流すことにより有機発光媒体層(有機EL(エレクトロルミネッセンス)層と呼んでもよい)で発光が生じる自発光型の表示素子である。しかし、有機EL素子には、大気中の水分や酸素の影響により劣化するといった問題があるため、図7に示すように、乾燥剤を内包した金属缶やガラスキャップで覆い、大気から遮断する封止方法が一般的に用いられている。なお、図7において、11は素子基板であり、12は第一電極層であり、13は有機発光媒体層であり、14は第二電極層であり、15は隔壁であり、16は乾燥剤であり、17は接着層であり、18は封止基板である。
しかし、上記図7に示した中空構造による封止方法では、機械的強度が弱い、放熱性が悪い、ガラスキャップの加工にコストがかかる等のデメリットがある。そのため、特許文献1では、平板の封止基板と有機発光媒体層を形成した素子基板との間をパッシベーション層とする図8に示す固体封止が提案されている。なお、図8において、21は素子基板であり、22は第一電極層であり、23は有機発光媒体層であり、24は第二電極層であり、25は隔壁であり、26はパッシベーション層であり、27は接着層であり、28は封止基板である。
しかし、図8に示した固体封止においては、封止性能を維持するために、接着層27の数ミクロンの厚みギャップを均一に維持する必要がある、また、接着層27に剥がれなどがあると、そこから水分が浸入し、有機発光媒体層の劣化要因となるため、落下試験など実施しても剥がれなどに耐えられる強度が必要である。
そこで、接着層のギャップを均一に貼り合せる手法の一例として、フィルム状の接着性樹脂層(接着層)をラミネートする方法が近年試みられている。フィルム状の接着層は両面にセパレータ基材が貼付されており、一方の面のセパレータ基材を剥がしてガラス基材にラミネートして封止基材を作製した後に、他方の面のセパレータ基材を剥がして、有機発光媒体層が形成された素子基材に貼り合せることにより、有機エレクトロルミネッセンス層を封止することができる(例えば特許文献2)。
特開2010−067350号公報 特開2006−179352号公報
しかしながら、前述の方法では封止基板と有機発光媒体層とがフィルム状の接着層のみで接合しているため、十分な強度が確保できず、衝撃による剥がれなどが発生する。するとそこから水分が進入し表示部の劣化を招き、製品の信頼性が低くなってしまう問題があった。
それ故に、本発明の目的は、高強度であって、水分の侵入を効果的に防止できる高信頼性の有機EL装置の製造方法等を提供することである。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の第1の局面は、封止基板と、1以上の有機EL素子群が形成された素子基板とを、当該1以上の有機EL素子群を覆うように接着層を介して貼り合せて1以上の有機EL装置を形成する有機EL装置の製造方法であって、前記封止基板に1以上の接着層を貼付ける接着層貼付けステップと、前記封止基板における各前記接着層の外周位置の少なくとも一部に補強シール剤を塗布する補強シール剤塗布ステップと、前記封止基板の外周内側に、前記補強シール剤を囲う外周シール剤を塗布する外周シール剤塗布ステップと、前記封止基板と前記素子基板とを、各前記接着層が、対応する前記有機EL素子群を覆うように、減圧雰囲気下で貼り合わせる貼合わせステップと、貼り合わされた前記封止基板と前記素子基板との間に位置する前記接着層と前記補強シール剤と前記外周シール剤とを、大気圧下で硬化させる硬化ステップとを備える。
また、第2の局面では、前記補強シール剤塗布ステップにおいて、前記補強シール剤は、前記接着層の外周に接触するように、又は、前記接着層の外周と空間を有するように、前記封止基板に塗布されてもよい。
また、第3の局面は、封止基板と、1以上の有機EL素子群が形成された素子基板とを、当該1以上の有機EL素子群を覆うように接着層を介して貼り合せて1以上の有機EL装置を形成する有機EL装置の製造方法であって、前記素子基板上の各前記有機EL素子群を覆うように接着層をそれぞれ貼付ける接着層貼付けステップと、前記素子基板における各前記接着層の外周位置の少なくとも一部に補強シール剤を塗布する補強シール剤塗布ステップと、前記素子基板の外周内側に、前記補強シール剤を囲う外周シール剤を塗布する外周シール剤塗布ステップと、前記封止基板と前記素子基板とを、前記有機EL素子群を挟むように、減圧雰囲気下で貼り合わせる貼合わせステップと、貼り合わされた前記封止基板と前記素子基板との間に位置する前記接着層と前記補強シール剤と前記外周シール剤とを、大気圧下で硬化させる硬化ステップとを備える。
また、第4の局面では、前記補強シール剤塗布ステップにおいて、前記補強シール剤は、前記接着層の外周に接触するように、又は、前記接着層の外周と空間を有するように、前記素子基板に塗布されてもよい。
また、第5の局面では、前記補強シール剤塗布ステップにおいて、前記補強シール剤は、各前記接着層の外周位置の全て、あるいは、各前記接着層が矩形の場合にはそのコーナーの位置又は辺の位置に塗布されてもよい。
また、第6の局面では、前記硬化ステップの後において、前記補強シール剤の厚さは、前記接着層の厚さ以下であってもよい。
また、第7の局面では、前記補強シール剤は、前記外周シール剤と同材料から成てもよい。
また、第8の局面では、前記硬化ステップより後のステップにおいて、各前記有機EL素子群に対して、各前記有機EL素子群が前記補強シール剤を有するようにスクライブ・ブレイクを行なって有機EL装置毎に分断する分断ステップを備えてもよい。
また、第9の局面では、各前記有機EL素子群を保護する保護層として、組成の異なる複数の膜が積層されて成るパッシベーション層を、各前記有機EL素子群を覆うように形成するパッシベーション層形成ステップを備えてもよい。
また、第10の局面では、有機EL装置であって、素子基板と、前記素子基板上に形成された第一電極層と、当該第一電極層上に形成された有機発光媒体層と、当該有機発光媒体層上に形成された第二電極層とを有する有機EL素子の1以上から成り、前記素子基板上に形成された有機EL素子群と、前記有機EL素子群を覆うように形成された接着層と、前記接着層の外周位置の少なくとも一部に形成された補強シール剤と、前記接着層及び前記補強シール剤上に配置された封止基板とを備える。
また、第11の局面では、前記補強シール剤の厚さは、前記接着層の厚さ以下であってもよい。
本発明によれば、高強度であって、水分の侵入を効果的に防止できる高信頼性の有機EL装置の製造方法等を提供することができる。
第1の実施形態に係る有機EL装置の一例を説明するための断面図及び平面図 第1の実施形態に係る有機EL装置の製造工程において、複数の有機EL装置が同時に形成される状態を説明するための平面図 第2の実施形態に係る補強シール剤の配置位置を説明するための平面図 第3の実施形態に係る補強シール剤の配置位置を説明するための平面図 第4の実施形態に係る補強シール剤の配置位置を説明するための平面図 第5の実施形態に係る補強シール剤の配置位置を説明するための平面図 従来の有機EL装置を示す断面図 従来の有機EL装置を示す断面図
(第1の実施形態)
本実施形態では、有機電子デバイスの製造方法を、有機エレクトロルミネッセンスパネル(有機EL装置)を一例に挙げて、図1を用いて以下に説明するが、これに限定するものではない。また、本実施形態では、有機EL装置としてトップエミッション構造を一例として挙げるが、両面発光構造やボトムエミッション構造でも適用できる。図1は、本実施形態の有機EL装置100の一例を示す断面図である。本発明の有機EL装置100は、素子基板31上に少なくとも第一電極層32と有機発光媒体層33と第二電極層34とから成る有機EL素子を複数備えている。以下では、この複数の有機EL素子を、有機EL素子群と言う場合がある。より詳細には、素子基板31上にパターン形成された複数の第一電極層32と、これら複数の第一電極層32上にそれぞれ形成された複数の有機発光媒体層33と、これら複数の有機発光媒体層33を覆うように形成された第二電極層34と、第二電極層34を覆うように形成されたパッシベーション層36と、素子基板31と封止基板38とを張り合わせるために形成された接着層37と、接着層37の外周位置に形成される補強シール材39とからなる。なお、パッシベーション層36は有機発光媒体層33を外気から保護するための保護層として働く。
素子基板31としては、例えばガラスやプラスチックフィルムなどの絶縁性を有する基板が使用でき、特に、素子基板31側から光を取り出すボトムエミッション型の場合には当該基板の材料として透光性のある材料を用いる。この透光性のある基材の材料としては、ガラスや石英、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート等のプラスチックフィルムに、第一電極層32が少なくとも形成されているものであれば良い。アクティブマトリックス方式の有機EL素子を形成する場合には、素子基板31としては薄膜トランジスタ(TFT)が形成された駆動用基板とし、用いる薄膜トランジスタとしては、公知の薄膜トランジスタを用いることができる。具体的には、主として、ソース/ドレイン領域及びチャネル領域が形成される活性層、ゲート絶縁膜及びゲート電極から構成される薄膜トランジスタが挙げられる。薄膜トランジスタの構造としては、特に限定されるものではなく、例えば、スタガ型、逆スタガ型、ボトムゲート型、トップゲート型、コプレーナ型等が挙げられる。薄膜トランジスタの半導体層の材料としては、ポリチオフェンやポリアニリン、銅フタロシアニンやペリレン誘導体等の材料を用いてもよく、また、アモルファスシリコンやポリシリコン、金属酸化物を用いてもよい。さらに、素子基板31のどちらかの面にカラーフィルタ層や光散乱層、光偏光層等を設けてもよい。
これらの素子基板31は、あらかじめ加熱処理を行うことにより、基板内部あるいは表面の水分を極力低減させることが望ましい。また、素子基板31上に積層される材料に応じて、密着性を向上させるために、超音波洗浄処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、UVオゾン処理などの表面処理を施してから使用することが好ましい。
次に、素子基板31上に第一電極層32を形成する。
薄膜トランジスタを有機EL装置(有機ELディスプレイ)のスイッチング素子として機能するように接続するために、薄膜トランジスタのドレイン電極と、有機EL装置の各画素を構成する有機EL素子の第一電極層32とが電気的に接続される。薄膜トランジスタとドレイン電極と第一電極層32との接続は、平坦化膜を貫通するコンタクトホール内に形成された接続配線を介して行われる。
また、第一電極層32は、後に形成される隔壁35によって区画され、各画素に対応した画素電極となる。第一電極層32の材料としては、ITO(インジウムスズ複合酸化物)など仕事関数の高い材料を選択することが好ましく、ITOやインジウム亜鉛複合酸化物、亜鉛アルミニウム複合酸化物などの金属複合酸化物や、金、白金などの金属材料や、これら金属酸化物や金属材料の微粒子をエポキシ樹脂やアクリル樹脂などに分散した微粒子分散膜を、単層もしくは積層したものをいずれも使用することができる。本実施形態はトップエミッション型の有機EL装置(有機ELディスプレイ)であるため、第一電極層32として正孔注入性と反射性が必要なAgやAlのような金属材料の上にITO膜を積層すればよい。第一電極層32の膜厚は、有機EL装置の素子構成により最適値が異なるが、単層、積層にかかわらず、10nm以上1000nm以下であり、より好ましくは、300nm以下である。
第一電極層32の形成方法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの乾式成膜法や、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法などを用いることができる。
第一電極層32を形成後、隣接する陽極パターンの間にフォトリソグラフィ法により隔壁35が形成される。さらに詳しくは、感光性樹脂組成物を基板に塗布する工程と、パターン露光、現像、焼成して隔壁パターンを形成する工程を少なくとも有する。隔壁35は、画素に対応した発光領域を区画するように形成する。一般的にアクティブマトリクス駆動型の表示装置は各画素に対して第一電極層32が形成され、それぞれの画素ができるだけ広い面積を占有しようとするため、第一電極層32の端部を覆うように形成される隔壁35の最も好ましい形状は、格子状を基本とする。また、隔壁35を多段状にすることもでき、その場合には、素子基板31上の全面に形成されたSiO2やSiNからなる絶縁性の無機膜をフォトリソグラフィ工程により画素を区切る格子状に形成して1段目の隔壁とし、当該1段目の隔壁上に感光性樹脂からなる2段目の隔壁をフォトリソグラフィにより形成する。
隔壁35を形成する感光性材料としては、ポジ型レジスト、ネガ型レジストのどちらであってもよく、市販のもので構わないが、絶縁性を有する必要がある。隔壁35が十分な絶縁性を有さない場合には隔壁35を通じて隣り合う画素電極に電流が流れてしまい表示不良が発生してしまう。また、TFTの誤作動により適正な表示ができないことがある。感光性材料としては、具体的には、ポリイミド系、アクリル樹脂系、ノボラック樹脂系、フルオレン系といったものが挙げられるが、これに限定するものではない。また、有機EL装置の表示品位を上げる目的で、光遮光性の材料を感光性材料に含有させても良い。さらに、必要に応じて撥水剤を添加したり、プラズマやUVを照射して形成後にインクに対する撥液性を付与したりすることもできる。
隔壁35を形成する感光性樹脂は、スピンコーター、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の公知の塗布方法を用いて塗布される。次に、パターン露光、現像して隔壁パターンを形成する工程では、従来公知の露光、現像方法により隔壁部のパターンを形成できる。また焼成に関しては、オーブン、ホットプレート等での従来公知の方法により焼成を行うことができる。
隔壁35は、厚みが0.5μmから5.0μmの範囲にあることが望ましい。これは、異なる発光色を有する有機発光材料を溶媒に溶解または分散させた有機発光インキを用いて画素ごとに塗り分けをおこなう場合に、隣接する画素との有機発光インキの混色を防止することが出来るからである。また、隔壁35が低すぎると隣接画素間でのリーク電流の発生やショートの防止の効果が得られないことがあるからである。
隔壁35の形成後、有機発光媒体層33が形成される。有機発光媒体層33は、電圧の印加によって発光する有機発光層を含む。有機発光媒体層33は、この有機発光層から成る単独の層によって構成されていても良いが、この有機発光層に加えて、発光効率を向上させる発光補助層を積層した積層構造から構成されたものであっても良い。この発光補助層としては、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層等が挙げられる。
上記した正孔輸送層の材料の例としては、銅フタロシアニン、テトラ(t−ブチル)銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類、及び無金属フタロシアニン類、キナクリドン化合物、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン系低分子正孔注入輸送材料や、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物などの高分子正孔輸送材料、ポリチオフェンオリゴマー材料、Cu2O,Cr23,Mn23,FeOx(x〜0.1),NiO,CoO,Pr23,Ag2O,MoO2,Bi23,ZnO,TiO2,SnO2,ThO2,V25,Nb25,Ta25,MoO3,WO3,MnO2などの無機材料、その他既存の正孔輸送材料の中から選ぶことができる。
有機EL装置100として高分子ELディスプレイを製作する場合には、正孔輸送層に、インターレイヤ層を形成することが好ましい。このインターレイヤ層に用いる材料として、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリアリーレン誘導体、アリールアミン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などの、芳香族アミンを含むポリマーなどが挙げられる。これらの材料は溶媒に溶解または分散させ、スピンコート法等を用いた各種塗布方法や凸版印刷方法を用いて形成することができる。
上記した有機発光層の材料としては、9,10−ジアリールアントラセン誘導体、ピレン、コロネン、ペリレン、ルブレン、1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(8−キノリノラート)亜鉛錯体、トリス(4−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、トリス(8−キノリノラート)スカンジウム錯体、ビス〔8−(パラ−トシル)アミノキノリン〕亜鉛錯体及びカドミウム錯体、1,2,3,4−テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、ポリ−2,5−ジヘプチルオキシ−パラ−フェニレンビニレン、クマリン系蛍光体、ペリレン系蛍光体、ピラン系蛍光体、アンスロン系蛍光体、ポルフィリン系蛍光体、キナクリドン系蛍光体、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系蛍光体、ナフタルイミド系蛍光体、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系蛍光体等、Ir錯体等の燐光性発光体などの低分子系発光材料や、ポリフルオレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリスピロなどの高分子材料や、これら高分子材料に前記低分子材料の分散または共重合した材料や、その他既存の蛍光発光材料や燐光発光材料を用いることができる。
上記した電子輸送層の材料の例としては、2−(4−ビフェニルイル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、オキサジアゾール誘導体やビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム錯体、トリアゾール化合物等を用いることができる。また、これらの電子輸送材料に、ナトリウムやバリウム、リチウムといった仕事関数が低いアルカリ金属、アルカリ土類金属を少量ドープすることにより、電子注入層としてもよい。
有機発光媒体層33の膜厚は、単層または積層のいずれにより形成する場合においても、1000nm以下であり、好ましくは50〜200nm程度である。有機発光媒体層33の形成方法としては、材料に応じて、真空蒸着法や、スリットコート、スピンコート、スプレーコート、ノズルコート、フレキソ印刷、グラビア印刷、凹版オフセット印刷、凸版オフセット印刷などのコーティング法や印刷法、インクジェット法などを用いることができる。
有機発光媒体層33の形成後、第二電極層34を成膜する。第二電極層34としては、有機発光媒体層33への電子注入効率の高い、仕事関数の低い物質を用いる。具体的には、第二電極層34として、Mg,Al,Yb等の金属単体を用いたり、発光媒体と接する界面にBa、Ca、Liやその酸化物,フッ化物等の化合物を1nm程度挟んで、安定性・導電性の高いAlやCuを積層して用いることができる。または、電子注入効率と安定性を両立させるため、仕事関数が低いLi,Mg,Ca,Sr,La,Ce,Er,Eu,Sc,Y,Yb等の金属1種以上と、安定なAg,Al,Cu等の金属元素との合金系を用いてもよい。具体的には、第二電極層34として、MgAg,AlLi,CuLi等の合金が使用できる。第二電極層34側から光を取り出す、いわゆるトップエミッション構造とする場合には、透光性を有する材料を選択することが好ましい。この場合、仕事関数が低いLi,Caを薄く設けた後に、ITO(インジウムスズ複合酸化物)やインジウム亜鉛複合酸化物、亜鉛アルミニウム複合酸化物などの金属複合酸化物を積層してもよく、有機発光媒体層33に、仕事関数が低いLi,Caなどの金属を少量ドーピングして、ITOなどの金属酸化物を積層してもよい。第二電極層34の形成方法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法を用いることができる。第二電極層34の厚さに特に制限はないが、10nm〜1000nm程度が望ましい。また、第二電極層34を透光性電極層として利用する場合、CaやLiなどの金属材料を用いる場合の膜厚は0.1〜10nm程度が望ましい。
第二電極層34の形成後、有機EL素子を空気や水分から守るためのバリア層として、第二電極層34上にパッシベーション層36を成膜する。パッシベーション層36の材料としては、酸化珪素、酸化アルミニウム等の金属酸化物、弗化アルミニウム、弗化マグネシウム等の金属弗化物、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化炭素などの金属窒化物、酸窒化珪素などの金属酸窒化物、炭化ケイ素などの金属炭化物のいずれか又はこれらの積層体を用いることができ、さらに必要に応じて、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂などの高分子樹脂膜との積層膜として用いても良い。特に、バリア性と被覆性と成膜速度の面から、CVD方による酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素を成膜することが好ましい。
パッシベーション層36は第二電極層34の全面を覆うように形成され、第二電極層34が素子基板31とパッシベーション層36とによって覆われる様に形成することが望ましい。パッシベーション層36の形成方法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法を用いることができるが、特に、バリア性や段差被覆性の面、さらには成膜条件により膜密度や膜組成を容易に可変できることから、CVD法を用いることが好ましい。CVD法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、触媒CVD法、VUV−CVD法などを用いることができる。また、CVD法における反応ガスとしては、モノシランや、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)やテトラエトキシシランなどの有機シラン化合物に、N2、O2、NH3、H2、N2Oなどのガスを必要に応じて添加してもよく、必要に応じて、シランなどのガス流量や、プラズマ電力を変えることにより膜密度を変化させてもよく、使用する反応性ガスにより膜中に水素や炭素が含有させることもできる。
パッシベーション層36の成膜速度は、成膜圧力、成膜電力、反応ガス流量などの成膜条件に依存するが、成膜速度が遅いとタクトが悪くなるばかりか、温度蓄積やプラズマによるダメージが有機EL装置(有機エレクトロルミネッセンスパネル)にみられるようになるため、200nm/min程度が好ましい。特に、成膜時温度は有機EL装置の特性劣化に顕著に効くため、50℃以上90℃以下が好ましい。
次に、外部からの水分等の侵入を防止するために発光表示エリアの外周部に、水蒸気透過率を重視したバリア層を成膜する。このとき、発光表示エリアの外周部では、可視光透過率は特性として必要ないため、このバリア層として、水蒸気透過率を重視した特性のパッシベーション層を成膜する。このバリア層は、水蒸気透過率0.001g/m2/day以下であることが好ましい。また、このバリア層は、水蒸気透過率を十分に低くできる膜厚の範囲内で成膜することが望ましい。
続いて、パッシベーション層36をCVD法で成膜する際に用いるマスクについて説明する。絶縁層であるパッシベーション層36が電極部に成膜してしまうとその後の電極部を露出させるために部分的にパッシベーション層36をエッチングなどの除去工程が必要になるが、成膜時にマスキングすることでこの除去工程が不要となる。CVD法で使用するマスクは、セラミックスなどの成膜時の温度やプラズマに耐えうる材料が望ましく、たとえばアルミナやジルコニアなどが挙げられる。また、三フッ化窒素ガスなどを用いたチャンバークリーニング時、マスクも同時にクリーニングできるように、耐腐食性をもつものが望ましい。さらに、マスクの開口端の形状は、開口端からマスク端部に向かって傾斜を持ち厚くなることが望ましい。これは、CVD成膜時のガスの流れをスムーズにすることで開口端付近の膜の目標膜厚までの立ち上がり距離を短くすることができるからである。傾斜の角度としては、15度以下とすることが望ましい。
パッシベーション層36の形成後、パッシベーション層36上に接着層37が積層され、接着層37上に封止基板38を積層して配置して、封止を行う。ここで、詳細は後述するが、この積層工程において補強シール剤39が形成される。
接着層37としては、熱硬化型の接着層も使用することができるが、有機エレクトロルミネッセンスパネルへの影響を考慮すると光硬化型の接着層が好ましい。例えば、接着層37としては、エステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート等の各種アクリレート等の各種アクリレート、ウレタンポリエステル等の樹脂を用いたラジカル系接着層や、エポキシ、ビニルエーテル等の樹脂を用いたカチオン系接着層、チオール・エン付加型樹脂系接着層等が挙げられ、中でも酸素による阻害がなく、光照射後も重合反応が進行するカチオン系接着層が好ましい。カチオン硬化型タイプとしては、紫外線硬化型エポキシ樹脂接着層が好ましい。特に好ましいものは、100mW/cm2以上の紫外線を照射した際に、10秒〜90秒以内に硬化する紫外線硬化型接着層である。この時間範囲内で硬化させることにより、紫外線照射による他の構成要素への悪影響をもたらすことなく、紫外線硬化型接着層が充分に硬化して適切な接着強さを備えることができる。また、生産工程の効率の観点からも、上記の時間範囲内であることが好ましい。また、接着層37の種類に関わらず、低透湿性かつ高接着性のものが望ましい。接着層を封止基板の上に形成する方法の一例として、溶剤溶液法、押出ラミ法、溶融・ホットメルト法、カレンダー法、ノズル塗布法、スクリーン印刷法、真空ラミネート法、熱ロールラミネート法などを挙げることができる。接着層27の厚みとしては特に制限はないが、なるべく薄層であることが好ましく、1μm〜100μm程度、好ましくは5μm〜50μmである。
封止基材38としては、透明性が必要なトップエミッション型の有機EL素子の場合には、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのプラスチックフィルムを用いることができ、特に透明性が必要ないボトムエミッション型の有機EL素子の場合には上記の材料に加えてステンレスやアルミなどの金属材料や不透明なガラス、プラスチック材料を用いることができる。
ここで、図8を用いて説明したように、従来の有機EL装置では、封止基板28は、既に素子基板21に第一電極層22、有機発光媒体層23、第二電極層24、隔壁25、及びパッシベーション層26が形成された素子基板と、接着層27のみで接合されているため、接着層27の強度が弱い場合はパネル落下衝撃や局所的なストレスなどにより、剥がれなどが発生するため強度的には不十分である。接着層27が剥がれると、そこから水分が浸入しパッシベーション層26を水分が透過し、いずれはダークエリアなどの表示劣化を引き起こす原因となるため、高信頼性有機エレクトロルミネッセンスパネル(有機EL装置)を狙うには不十分となる。
そこで、本実施形態では、上記した封止を行う積層工程において補強シール剤39を形成することによって、上記問題を解決している。以下、具体的に説明する。
まず、封止基板38上に接着層37を形成し、その後、封止基板38上に形成された接着層37を取り囲むように補強シール剤39を形成する。その後、封止基板38を接着層37によってパッシベーション層36に接着して封止を行う。補強シール剤39を形成する手法としては、ディスペンサー塗布方式、スクリーン印刷方式などがあげられる。ここで、他の方法としては、パッシベーション層36上に接着層37を形成して、その後、接着層37を取り囲むように補強シール剤39を形成し、その後に接着層37上に封止基板38を接着して封止を行ってもよい。
また、補強シール剤39を形成する際に、接着層37と補強シール剤39との間に空間を有する様に形成しても良い。接着層37と補強シール剤39との間に空間があることで、減圧雰囲気下での接着層37による貼り合わせ後は大気圧で押された状態となるため、加熱工程により接着層37は濡れ広がり、封止することができる。一方、補強シール剤39は接着層37と接する様に形成しても良く、この場合、補強シール剤39と接着層27とが接することで空気が侵入する空間を無くし、封止性をより向上することが出来る。
また、補強シール剤39には、封止基板38と素子基板31との間の離間距離(ギャップともいう)を制御(設定)するためのスペーサを含むことが好ましい。このことによって、封止基板38と素子基板31との間の距離を均一にし、かつ、両基板の貼り合わせ時の押圧により接着層37や補強シール材39が貼り合わせ領域外まで押し出されるのを防ぐことができる。スペーサの形状としては球状のものを用いることが出来るが、上記の両基板間のギャップを制御することができれば特に限定されるものではない。また、スペーサの大きさとしては、球状の場合であれば、直径1.0μm以上100μm以下のものを用いることができるが、接着層37の厚さ以下であることが好ましい。接着層37の厚さよりもスペーサが大きいと接着層37を介した基板同士の貼り合わせがギャップにより阻害されてしまうからである。スペーサの材料としては、樹脂やガラスなどを用いることができるが、両基板の貼り合わせ時の押圧に耐えうる材料であれば特に限定されるものではない。
以上では、有機EL装置100単体の製造方法として説明を行ったが、図2に示す様に、母基板上に複数の有機EL装置100をまとめて形成して、スクライブ・ブレイク工程によって各有機EL装置100に切断してもよい。この場合には、図2に示すように、母基板の端部位置に、複数の有機EL装置100を囲う様に形成された閉ループ状の外周シール剤40を形成することが好ましい。この場合、外周シール剤40は、複数の封止基板38になる封止側母基板に塗布されることによって形成されてもよいし、複数の基板31になる素子側母基板に塗布されることによって形成されてもよい。減圧雰囲気下において封止側母基板と素子側母基板とを貼り合わせた後に、これが大気中に取り出されると、各接着層37及び各補強シール剤39は外周シール材40の内側にあるため、各封止基板38と各素子基板31は、外部から均一な圧力を受けて均一な厚さで貼り合わされ、それぞれが均一な厚さの有機EL装置100となる。この様に、外周シール剤40を形成することにより、補強シール剤39が硬化する前に封止基板38と素子基板31とが剥がれたり、又、外周シール剤40内部に空気が侵入することを防止できるので、各有機EL装置100内部に空気が侵入することを防ぐことができる。外周シール剤40としては、補強シール剤39と同じ材料を用いることができ、熱硬化型の接着剤を用いることが望ましく、熱硬化型の接着剤としては、一液性のエポキシ系接着剤が好ましく、補強シール剤39と同様にスペーサを混入させることが好ましい。また、外周シール40の形成方法も補強シール剤39と同様にディスペンスやスクリーン印刷などが挙げられ、補強シール剤39と同時の方法により形成しても良い。
補強シール剤39及び外周シール剤40の形成後、オーブンに投入し、接着層37と補強シール剤39を加熱して封止基板38素子基板31との間のギャップ形成を行う。補強シール剤39は、貼り合わせの際の圧力により封止基板38と素子基板31の両方に接するように形成される。
接着層37、補強シール剤39、及び外周シール剤40は、最終的に、大気圧化での硬化処理によって硬化する。
ここで、有機EL素子群がある有機EL装置100の中央部と、補強シール材39がある有機EL装置100の周辺部とでは、基板間のギャップが異なり、当該周辺部では当該中央部と比較してギャップが小さくなる。これは、基板貼り合わせ時の押圧により封止基板38又は素子基板31が撓むが、有機EL素子群のある中央部よりも有機EL素子群の無い周辺部がより撓みやすいために周辺部が中央部に比べてギャップが小さくなり、その状態で補強シール剤39が硬化するためである。
接着層37の厚さよりも補強シール剤39の厚さが小さい場合、補強シール剤39の厚さが接着層37の厚さよりも小さいまま基板同士を接着していると、補強シール剤39による引張応力が基板の間に発生するため、基板同士の接着強度をより高くすることができる。そのため、補強シール剤39の厚みとしては、接着層37と同等もしくはそれ以下の厚みが好ましい。補強シール剤39の厚みが接着層37よりも大きいと、接着層37による封止基板38と素子基板31との貼り合わせが補強シール剤39により阻害されてしまうからである。ここで、補強シール剤39の厚みの下限としては、補強シール剤39にスペーサが混入されている場合にはスペーサの大きさと等しい厚さであり、スペーサが混入されていない場合には、張り合わせ後に封止基板38及び素子基板31の両方に接触できるような厚さである。補強シール剤39として熱硬化樹脂を用いた場合には、基板同士の熱圧着により接着層37の厚さよりも小さい厚さで補強シール剤39が硬化することができる。また、補強シール剤39として光硬化樹脂を用いた場合には、基板同士の押圧後に露光することで接着層37の厚さよりも小さい厚さで補強シール剤が硬化することができる。
なお、補強シール材39の線幅は、補強シール材39の形状によって異なる。これは、補強シール材39が基板同士を接着する強度が補強シール材39が基板に接する面積によって異なるためであり、その面積は補強シール材39により異なるためである。例えば、第1の実施形態では、図1(b)に示すように周辺部分全てに補強シール材39が形成されるため、後述する第2の実施形態等よりも基板との接触面積が大きく、第2の実施形態等と比較して細い線幅でも同じ接着力を発揮することが出来る。
補強シール剤29は熱硬化型、紫外線硬化型、可視光硬化型、紫外線および熱による複合硬化型、また紫外線を用いる後硬化型の樹脂もしくは接着剤などを用いることができるが、基板の貼り合わせには熱圧着を用いるため、貼り合わせと同時に硬化可能な熱硬化型の樹脂を用いることが好ましい。
(第2の実施形態)
上記した第1の実施形態では、補強シール材39が接着層37全体を取り囲む形状で設けられる場合を例示して説明した。しかし、補強シール材39の形状はこれには限られない。図3は、第2の実施形態に係る補強シール材39の形状の一例を説明するための図である。第2の実施形態では、図3に示すように、接着層37の各コーナー部に鍵括弧の形をした補強シール剤39を設けている。このことにより、強度が確保でき、封止基板38と素子基板31との剥がれが十分に防止される。
(第3の実施形態)
図4は、第3の実施形態に係る補強シール材39の形状の一例を説明するための図である。第3の実施形態では、図4に示すように、接着層37の各辺部分に直線形状をした補強シール剤39を設けている。このことにより、強度が確保でき、封止基板38と素子基板31との剥がれが十分に防止される。
(第4の実施形態)
図5は、第4の実施形態に係る補強シール材39の形状の一例を説明するための図である。第4の実施形態では、図5に示すように、接着層37の外周部に2つのコの字形状をした補強シール剤39を設けている。このことにより、強度が確保でき、封止基板38と素子基板31との剥がれが十分に防止される。
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、図6に示すように、接着層37の各コーナー部に点形状(円形状)をした補強シール剤39を設けている。このことにより、強度が確保でき、封止基板38と素子基板31との剥がれが十分に防止される。
[実施例1]
以下、本発明の実施形態に係る実施例1及び比較例1による説明をする。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
まず、図1に示す有機EL装置を作製した。素子基板31として、既に第一電極層32、取り出し電極、TFT回路を保護するためのSiNx層からなる無機絶縁層、および無機絶縁層上のポリイミドからなる樹脂絶縁層を備え、この絶縁層は画素を仕切る隔壁35として形成されているTFT基板31を用いた。
次に、第一電極層32上にポリ(3,4エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物からなる正孔輸送層をスピンコート法により20nm厚で形成した。
次に、正孔輸送層上に有機発光材料であるポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチル−ヘキシロキシ)―1,4−フェニレンビュレン]をトルエンに溶解させ、スピンコート法により有機発光層を形成し、前記正孔輸送層と合わせて有機発光媒体層23を80nm厚で形成した。
次に、Ba、Alからなる第二電極層34を、蒸着法により抵抗加熱蒸着法により、それぞれ5nm厚、2nm厚で形成した。
続いて、窒化珪素からなる透明被覆層(パッシベーション層36)を、プラズマCVD法により3000nm厚で成膜した。
次に、パッシベーション層36上に紫外線硬化型接着層を用いて接着層37を形成し、その周囲に補強シール剤39として熱硬化のシール剤を塗布し、平板ガラスでできた封止基板38を貼り合わせ、紫外線を5000mJで照射して封止し、有機エレクトロルミネッセンスパネル(有機EL装置)を作成した。
このようにして得た有機エレクロルミネッセンスパネルの剥離試験を行ったところ、平均で31Nの剥離強度であった。
[比較例1]
上記した実施例1に記載した補強シール剤39を除いた有機エレクトロルミネッセンスパネル(有機EL装置:図8参照)を作製し、同じ様に剥離試験を行ったところ、平均で3.6Nの剥離強度が得られた。
以上の結果から、実施例1の有機エレクトロルミネッセンスパネルは、比較例1の有機エレクロルミネッセンスパネルに比べて、剥離強度が優れることが分かる。
本発明は、有機EL装置の製造方法等に利用可能であり、高強度の有機EL装置を製造したい場合等に有用である。
11、21、31…素子基板
12、22、32…第一電極層
13、23、33…有機発光媒体層
14、24、34…第二電極層
15、25、35…隔壁
16…乾燥剤
17、27、37…接着層
18、28、38…封止基板
26、36…パッシベーション層
39…補強シール剤
40…外周シール剤

Claims (11)

  1. 封止基板と、1以上の有機EL素子群が形成された素子基板とを、当該1以上の有機EL素子群を覆うように接着層を介して貼り合せて1以上の有機EL装置を形成する有機EL装置の製造方法であって、
    前記封止基板に1以上の接着層を貼付ける接着層貼付けステップと、
    前記封止基板における各前記接着層の外周位置の少なくとも一部に補強シール剤を塗布する補強シール剤塗布ステップと、
    前記封止基板の外周内側に、前記補強シール剤を囲う外周シール剤を塗布する外周シール剤塗布ステップと、
    前記封止基板と前記素子基板とを、各前記接着層が、対応する前記有機EL素子群を覆うように、減圧雰囲気下で貼り合わせる貼合わせステップと、
    貼り合わされた前記封止基板と前記素子基板との間に位置する前記接着層と前記補強シール剤と前記外周シール剤とを、大気圧下で硬化させる硬化ステップとを備える、有機EL装置の製造方法。
  2. 前記補強シール剤塗布ステップにおいて、前記補強シール剤は、前記接着層の外周に接触するように、又は、前記接着層の外周と空間を有するように、前記封止基板に塗布される、請求項1に記載の有機EL装置の製造方法。
  3. 封止基板と、1以上の有機EL素子群が形成された素子基板とを、当該1以上の有機EL素子群を覆うように接着層を介して貼り合せて1以上の有機EL装置を形成する有機EL装置の製造方法であって、
    前記素子基板上の各前記有機EL素子群を覆うように接着層をそれぞれ貼付ける接着層貼付けステップと、
    前記素子基板における各前記接着層の外周位置の少なくとも一部に補強シール剤を塗布する補強シール剤塗布ステップと、
    前記素子基板の外周内側に、前記補強シール剤を囲う外周シール剤を塗布する外周シール剤塗布ステップと、
    前記封止基板と前記素子基板とを、前記有機EL素子群を挟むように、減圧雰囲気下で貼り合わせる貼合わせステップと、
    貼り合わされた前記封止基板と前記素子基板との間に位置する前記接着層と前記補強シール剤と前記外周シール剤とを、大気圧下で硬化させる硬化ステップとを備える、有機EL装置の製造方法。
  4. 前記補強シール剤塗布ステップにおいて、前記補強シール剤は、前記接着層の外周に接触するように、又は、前記接着層の外周と空間を有するように、前記素子基板に塗布される、請求項3に記載の有機EL装置の製造方法。
  5. 前記補強シール剤塗布ステップにおいて、前記補強シール剤は、各前記接着層の外周位置の全て、あるいは、各前記接着層が矩形の場合にはそのコーナーの位置又は辺の位置に塗布される、請求項1〜4のいずれかに記載の有機EL装置の製造方法。
  6. 前記硬化ステップの後において、前記補強シール剤の厚さは、前記接着層の厚さ以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の有機EL装置の製造方法。
  7. 前記補強シール剤は、前記外周シール剤と同材料から成る、請求項1〜6のいずれかに記載の有機EL装置の製造方法。
  8. 前記硬化ステップより後のステップにおいて、各前記有機EL素子群に対して、各前記有機EL素子群が前記補強シール剤を有するようにスクライブ・ブレイクを行なって有機EL装置毎に分断する分断ステップを備える、請求項1〜7のいずれかに記載の有機EL装置の製造方法。
  9. 各前記有機EL素子群を保護する保護層として、組成の異なる複数の膜が積層されて成るパッシベーション層を、各前記有機EL素子群を覆うように形成するパッシベーション層形成ステップを備える、請求項1〜8のいずれかに記載の有機EL装置の製造方法。
  10. 素子基板と、
    前記素子基板上に形成された第一電極層と、当該第一電極層上に形成された有機発光媒体層と、当該有機発光媒体層上に形成された第二電極層とを有する有機EL素子の1以上から成り、前記素子基板上に形成された有機EL素子群と、
    前記有機EL素子群を覆うように形成された接着層と、
    前記接着層の外周位置の少なくとも一部に形成された補強シール剤と、
    前記接着層及び前記補強シール剤上に配置された封止基板とを備える、有機EL装置。
  11. 前記補強シール剤の厚さは、前記接着層の厚さ以下である、請求項10に記載の有機EL装置。
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