JP2012038616A - 有機el素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機ELディスプレイの表示リペア部を容易に修正することが可能であり、EL発光特性が低下することなく、また、薄型固体封止をしても長期間に亘って封止性能を維持することが可能な有機EL素子と、この有機EL素子の製造方法を提供する。
【解決手段】基材2上に、第一電極層4、有機発光媒体層6、第二電極層8、第一パッシベーション層10、第二パッシベーション層14、封止層16が順に積層された有機EL素子1であって、有機発光媒体層6の一部を除去して形成されたリペア部Rと、第一パッシベーション層10と第二パッシベーション層14との間に形成され、且つ各層の積層方向から見て少なくともリペア部Rと重なる有機層12を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、テレビ、パソコンモニタ、携帯電話等の携帯端末等に使用されるフラットパネルディスプレイや、面発光光源、照明、発光型広告体等として、幅広い用途に用いられる有機EL素子及びその製造方法に関する。
一般的に、有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子は、広視野角、速い応答速度、低消費電力等の利点から、ブラウン管や液晶ディスプレイに替わるフラットパネルディスプレイの材料として有効に用いられることが期待されている。
このような有機ELは、少なくともどちらか一方が透光性を有する二枚の電極層(第一電極層と第二電極層)の間に、有機発光媒体層を挟持した構造であり、両電極間に電圧を印可して電流を流すことにより、有機発光媒体層で発光が生じる自発光型の表示素子である。
しかしながら、有機EL素子は、電流注入型の発光素子であるために、例えば、厚みが0.1[μm]程度の有機発光層の中に、例えば、直径が1.0[μm]程度の金属異物が存在すると、第一電極層と第二電極層とが短絡してしまい、一画素あたりの輝度低下が生じるという問題や、一画素全体が光らなくなり滅点不良と呼ばれるパネル表示不良となるという問題があった。
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1及び2に記載されているような技術がある。これらの技術は、異物等により形成されたリペア部分にレーザーを照射して、異物等や、有機層、電極層、リペア部分を除去するものである。
特開2003‐217849号公報 特開2009‐206103号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載されている技術では、レーザーを照射した有機層と電極層に穴が空き、この穴が水分や酸素の浸入経路となるという問題が発生するおそれがある。また、レーザーの照射により除去した、異物、有機層、電極層、リペア部分等の除去物が、周囲の画素に飛散するという問題が発生するおそれがある。
特に、近年において一般的な封止構造である薄型固体封止は、パッシベーション膜、接着剤層、ガラスを、順に積層した構造である場合が多い。このため、薄型固体封止をした後にレーザーの照射を行うと、レーザーで除去された除去物の逃げ道がないだけでなく、パッシベーション膜に亀裂等の欠陥が生じるといった問題や、レーザー照射時の熱により接着剤層の剥離が生じ、パネルの表示不良となるだけでなく、薄型固体封止の有する封止性能が大幅に低下するといった問題が発生するおそれがある。
したがって、薄型固体封止の場合、封止する前にリペア部分を除去することが好ましいが、薄型固体封止では、有機層や電極層に空いた穴の端面にバリが生じるため、この穴をパッシベーション膜で完全に塞ぐことは困難である。
また、薄型固体封止では、レーザーの照射により、周囲に除去物が飛散するため、飛散物上に成膜されたパッシベーション膜には膜欠陥が生じてしまい、その膜欠陥が生じた部分から水分が浸入して、有機EL素子が劣化するといった問題が発生するおそれがある。
本発明では、有機ELディスプレイの表示リペア部を容易に修正することが可能であり、EL発光特性が低下することなく、また、薄型固体封止をしても長期間に亘って封止性能を維持することが可能な、有機EL素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のうち、請求項1に記載した発明は、基材上に、第一電極層、有機発光媒体層、第二電極層、第一パッシベーション層、第二パッシベーション層、封止層が順に積層された有機EL素子であって、
前記有機発光媒体層の一部を除去して形成されたリペア部と、前記第一パッシベーション層と前記第二パッシベーション層との間に形成され、且つ前記積層方向から見て少なくとも前記リペア部と重なる有機層と、を備えることを特徴とするものである。
次に、本発明のうち、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明であって、前記第一パッシベーション層及び前記第二パッシベーション層は、酸化ケイ素膜、酸窒化珪素膜、窒化珪素膜のいずれかで形成されていることを特徴とするものである。
次に、本発明のうち、請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載した発明であって、前記第一パッシベーション層の膜厚は、100nm以下であることを特徴とするものである。
次に、本発明のうち、請求項4に記載した発明は、請求項1から3のうちいずれか1項に記載した発明であって、前記有機層は、前記積層方向から見て半径100μm以上の円状に形成されていることを特徴とするものである。
次に、本発明のうち、請求項5に記載した発明は、請求項1から4のうちいずれか1項に記載した発明であって、前記第一パッシベーション層の膜密度は、前記第二パッシベーション層の膜密度よりも低いことを特徴とするものである。
次に、本発明のうち、請求項6に記載した発明は、請求項1から5のうちいずれか1項に記載した有機EL素子を製造する有機EL素子の製造方法であって、
前記基材上に、前記第一電極層、前記有機発光媒体層、前記第二電極層、前記第一パッシベーション層を順に積層した後に、前記第一パッシベーション層に対して前記有機発光媒体層の一部を除去する箇所を検出する欠陥検査を行い、
前記欠陥検査で検出した箇所をレーザー照射により除去して前記リペア部を形成した後に、前記積層方向から見て少なくとも前記リペア部と重なるように前記有機層を形成し、
前記有機層上に、前記第二パッシベーション層、前記封止層を順に積層することを特徴とするものである。
次に、本発明のうち、請求項7に記載した発明は、請求項6に記載した発明であって、前記欠陥検査では、前記有機発光媒体層に対する点灯検査で他の画素と比較して単位面積当たりの輝度が低い発光欠陥画素を特定した後に、当該特定した発光欠陥画素に対する異物検査で前記レーザー照射により除去する箇所を特定することを特徴とするものである。
次に、本発明のうち、請求項8に記載した発明は、請求項7に記載した発明であって、前記欠陥検査を不活性雰囲気下で行うことを特徴とするものである。
次に、本発明のうち、請求項9に記載した発明は、請求項7または8に記載した発明であって、前記発光欠陥画素は、非点灯画素と、正常画素に対する単位面積当たりの輝度が70%以下の画素と、であることを特徴とするものである。
次に、本発明のうち、請求項10に記載した発明は、請求項7から9のうちいずれか1項に記載した発明であって、前記異物検査では、検査光源として赤外光を使用することを特徴とするものである。
次に、本発明のうち、請求項11に記載した発明は、請求項6から10のうちいずれか1項に記載した発明であって、前記有機層を、吐出法、印刷法、転写法のうちいずれかにより形成することを特徴とするものである。
次に、本発明のうち、請求項12に記載した発明は、請求項6から11のうちいずれか1項に記載した発明であって、前記第一パッシベーション層及び前記第二パッシベーション層を、CVD法で形成することを特徴とするものである。
本発明によれば、封止層によって第二パッシベーション層までの順に積層した各層を封止する前にリペア部を形成した後、有機層と第二パッシベーション層を形成することにより、異物短絡による表示欠陥を修復すると共に、長期に亘って有機EL素子の劣化を抑制することが可能となる。
本発明の第一実施形態における有機EL素子の構成を示す断面図である。 有機EL素子の製造方法を示す図である。 有機EL素子の製造方法を示す図である。
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
以下、本実施形態に係る有機EL素子と、有機EL素子の製造方法について説明する。
(構成)
まず、図1を用いて、本実施形態の有機EL素子1の構成を説明する。
図1は、本実施形態における有機EL素子1の構成を示す断面図である。
図1中に示すように、有機EL素子1は、基材2と、第一電極層4と、有機発光媒体層6と、第二電極層8と、第一パッシベーション層10と、有機層12と、第二パッシベーション層14と、封止層16を備えている。
また、有機EL素子1は、図1中に示すように、基材2上、具体的には、基材2の面(図1中では、上側の面)上に、第一電極層4、有機発光媒体層6、第二電極層8、第一パッシベーション層10、第二パッシベーション層14、封止層16を順に積層して形成されている。
基材2(電極基材)は、第一電極層4としての薄膜トランジスタ(TFT)が形成された駆動用基板を用いて形成されている。なお、基材2は、薄膜トランジスタが形成された駆動用基板以外に、ガラスや石英、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート等のプラスチックフィルムに、少なくとも第一電極層4が形成されている構成としてもよい。
薄膜トランジスタとしては、公知の薄膜トランジスタを用いることが可能である。これは、具体的には、主として、ソース/ドレイン領域及びチャネル領域が形成される活性層と、ゲート絶縁膜と、ゲート電極から構成される薄膜トランジスタが挙げられる。
また、薄膜トランジスタの構造としては、特に限定されるものではなく、例えば、スタガ型、逆スタガ型、トップゲート型、コプレーナ型等を用いることが可能である。
また、薄膜トランジスタは、シングルゲート構造、ダブルゲート構造、ゲート電極が三つ以上のマルチゲート構造であってもよい。また、LDD構造、オフセット構造を有していてもよい。さらに、一つの画素中に二つ以上の薄膜トランジスタが配置されていてもよい。
ここで、有機EL素子1を用いて形成される有機ELディスプレイは、薄膜トランジスタが有機ELディスプレイのスイッチング素子として機能するように接続する。このため、薄膜トランジスタのドレイン電極と、有機ELディスプレイの第一電極層4が電気的に接続されることとなる。
したがって、薄膜トランジスタとドレイン電極と有機ELディスプレイの第一電極層4との接続は、平坦化膜を貫通するコンタクトホール内に形成された接続配線を介して行われることとなる。
活性層は、特に限定されるものではなく、例えば、非晶質シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコン、セレン化カドミウム等の無機半導体材料又はチオフエンオリゴマー、ポリ(p‐フェリレンビニレン)等の有機半導体材料により形成することが可能である。
これらの活性層を形成する方法としては、例えば、アモルファスシリコンをプラズマCVD法により積層し、イオンドーピングする方法や、SiH4ガスを用いてLPCVD法によりアモルファスシリコンを形成し、固相成長法によりアモルファスシリコンを結晶化してポリシリコンを得た後、イオン打ち込み法によりイオンドーピングする方法を用いることが可能である。
また、活性層を形成する方法としては、例えば、Si26ガスを用いたLPCVD法や、SiH4ガスを用いてPECVD法によりアモルファスシリコンを形成し、エキシマレーザー等のレーザーによりアニールし、アモルファスシリコンを結晶化してポリシリコンを得た後、イオンドーピング法によりイオンドーピングする方法(低温プロセス)を用いることが可能である。
さらに、活性層を形成する方法としては、例えば、減圧CVD法又はLPCVD法によりポリシリコンを積層し、1000℃以上で熱酸化してゲート絶縁膜を形成し、その上にn+ポリシリコンのゲート電極を形成し、その後、イオン打ち込み法によりイオンドーピングする方法(高温プロセス)を用いることが可能である。
ゲート絶縁膜としては、通常、ゲート絶縁膜として使用されているものを用いることが可能であり、例えば、PECVD法、LPCVD法等により形成されたSiO2;ポリシリコン膜を熱酸化して得られるSiO2等を用いることが可能である。
ゲート電極としては、通常、ゲート電極として使用されているものを用いることが可能である。このようなゲート電極としては、例えば、アルミ、銅等の金属、チタン、タンタル、タングステン等の高融点金属、ポリシリコン、高融点金属のシリサイド、ポリサイド等が挙げられる。
第一電極層4は、隔壁によって区画されており、各画素に対応した画素電極となっている。
第一電極層4の材料としては、ITO等仕事関数の高い材料を選択することが好ましく、例えば、ITO(インジウムスズ複合酸化物)やインジウム亜鉛複合酸化物、亜鉛アルミニウム複合酸化物等の金属複合酸化物や、金、白金等の金属材料や、これら金属酸化物や金属材料の微粒子をエポキシ樹脂やアクリル樹脂等に分散した微粒子分散膜を、単層もしくは積層したものを用いることが可能である。
また、上面発光型の有機ELディスプレイの場合のように、第一電極層4として、正孔注入性と反射性が必要な場合には、AgやAlのような金属材料の上にITO膜を積層すればよい。
第一電極層4の膜厚は、有機ELディスプレイの素子構成により最適値が異なるが、単層、積層にかかわらず、100[Å]以上10000[Å]以下の範囲内であり、より好適には、3000[Å]以下とする。
有機発光媒体層6は、発光物質を含む単層膜、あるいは多層膜で形成することが可能である。
ここで、有機発光媒体層6を多層膜で形成する場合の構成例としては、正孔輸送層、電子輸送性発光層または正孔輸送性発光層と、電子輸送層からなる二層構成や、正孔輸送層と、発光層と、電子輸送層からなる三層構成、さらには、必要に応じて正孔(電子)注入機能と正孔(電子)輸送機能を分けた構成や、正孔や電子の輸送をブロックする層等を挿入することにより、さらに多層形成することがより好適である。
正孔輸送層の材料としては、例えば、銅フタロシアニン、テトラ(t‐ブチル)銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類及び無金属フタロシアニン類、キナクリドン化合物、1,1‐ビス(4‐ジ‐p‐トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N'‐ジフェニル‐N,N'‐ビス(3‐メチルフェニル)‐1,1'‐ビフェニル‐4,4'‐ジアミン、N,N'‐ジ(1‐ナフチル)‐N,N'‐ジフェニル‐1,1'‐ビフェニル‐4,4'‐ジアミン等の芳香族アミン系低分子正孔注入輸送材料や、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物等の高分子正孔輸送材料、ポリチオフェンオリゴマー材料、Cu2O,Cr23,Mn23,FeOx(x〜0.1),NiO,CoO,Pr23,Ag2O,MoO2,Bi23,ZnO,TiO2,SnO2,ThO2,V25,Nb25,Ta25,MoO3,WO3,MnO2等の無機材料、その他既存の材料の中から選ぶことが可能である。また、上述した材料を組み合わせたものでも良い。
ここで、高分子ELディスプレイの場合には、正孔輸送層の材料に、インターレイヤ層を形成することが好ましい。この場合、インターレイヤ層に用いる材料としては、例えば、ポリビニルカルバゾールまたはその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミンを有するポリアリーレン誘導体、アリールアミン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等の、芳香族アミンを含むポリマー等を用いる。これらの材料は、溶媒に溶解または分散させ、スピンコート法等を用いた各種塗布方法や、凸版印刷方法を用いて形成することが可能である。
発光層の材料としては、例えば、9,10‐ジアリールアントラセン誘導体、ピレン、コロネン、ペリレン、ルブレン、1,1,4,4‐テトラフェニルブタジエン、トリス(8‐キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4‐メチル‐8‐キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(8‐キノリノラート)亜鉛錯体、トリス(4‐メチル‐5‐トリフルオロメチル‐8‐キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4‐メチル‐5‐シアノ‐8‐キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(2‐メチル‐5‐トリフルオロメチル‐8‐キノリノラート)[4‐(4‐シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、ビス(2‐メチル‐5‐シアノ‐8‐キノリノラート)[4‐(4‐シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、トリス(8‐キノリノラート)スカンジウム錯体、ビス〔8‐(パラ‐トシル)アミノキノリン〕亜鉛錯体及びカドミウム錯体、1,2,3,4‐テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、ポリ‐2,5‐ジヘプチルオキシ‐パラ‐フェニレンビニレン、クマリン系蛍光体、ペリレン系蛍光体、ピラン系蛍光体、アンスロン系蛍光体、ポルフィリン系蛍光体、キナクリドン系蛍光体、N,N'‐ジアルキル置換キナクリドン系蛍光体、ナフタルイミド系蛍光体、N,N'‐ジアリール置換ピロロピロール系蛍光体等、Ir錯体等の燐光性発光体等の低分子系発光材料を用いることが可能である。
また、発光層の材料としては、上述した低分子系発光材料以外にも、例えば、ポリフルオレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリスピロ等の高分子材料を用いることが可能である。
また、発光層の材料としては、上記の高分子材料に、上述した低分子材料を分散または共重合した材料や、その他既存の蛍光発光材料や燐光発光材料を用いることが可能である。
電子輸送層の材料としては、例えば、2‐(4‐ビフェニルイル)‐5‐(4‐t‐ブチルフェニル)‐1,3,4‐オキサジアゾール、2,5‐ビス(1‐ナフチル)‐1,3,4‐オキサジアゾール、オキサジアゾール誘導体やビス(10‐ヒドロキシベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム錯体、トリアゾール化合物等を用いることが可能である。
また、例えば、これらの電子輸送材料に、ナトリウムやバリウム、リチウムといった仕事関数が低いアルカリ金属やアルカリ土類金属を少量ドープすることにより、電子注入層として電子輸送層を形成することも可能である。
有機発光媒体層6の膜厚は、単層または積層により形成する場合においても、1000[nm]以下とし、好適には、50〜200[nm]程度とする。
第二電極層8の構成は、有機発光媒体層6の面上に形成されている点を除き、上述した第一電極層4と同様であるため、その説明を省略する。
第一パッシベーション層10は、材料として、例えば、バリア性に優れた酸化珪素膜や、酸窒化珪素膜、窒化珪素膜を用いて形成されている。これにより、後述する点灯検査と異物検査をしている間に、有機EL素子1が劣化するのを抑制することが可能となっている。
また、第一パッシベーション層10は、第二パッシベーション層14よりも膜密度が低くなるように形成されている。
上記のバリア性としては、酸化珪素が最も悪く、酸窒化珪素、窒化珪素と窒素の割合を増やしていくとバリア性が良くなる。しかしながら、酸窒化珪素、窒化珪素と窒素の割合を増やしていくと、逆にレーザーリペアにより生じる熱による膜欠陥が生じやすいといった問題がある。
したがって、膜特性としては、同じ窒化珪素膜でも、膜密度を低くすればするほど、レーザーリペアによる膜欠陥は生じにくく、さらに、酸素の割合を増やしていき、酸窒化珪素、酸化珪素とすることにより、膜密度は低下し、熱による膜欠陥が生じにくいことがわかった。
また、第一パッシベーション層10の膜厚としては、膜の種類や膜密度にもよるが、100[nm]以下とすることが好ましい。これは、第一パッシベーション層10の膜厚を、100[nm]を超える厚さとすると、レーザーリペアによる熱変形に対して追従しにくくなり、膜が割れやすくなるといった問題がある。すなわち、第一パッシベーション層10の膜厚を、100[nm]以下の薄膜とすることにより、レーザーリペアによる熱の影響を抑えることが可能となる。
ただし、膜厚を薄くすればするほど、バリア性は低下してしまうため、第一パッシベーション層10の膜厚は、膜の種類に応じて適宜設定する必要がある。
有機層12は、第一パッシベーション層10と第二パッシベーション層14との間に形成されており、各層(第一電極層4、有機発光媒体層6、第二電極層8、第一パッシベーション層10、第二パッシベーション層14、封止層16)の積層方向から見て、少なくともリペア部Rと重なっている。
ここで、リペア部Rは、有機発光媒体層6の一部を除去して形成されている。なお、リペア部Rの形成に関する説明は、後述する。
有機層12の材料は、無溶剤、低含水の樹脂で、平坦性の効果がある有機樹脂層であれば特に制限はなく、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂等の一般的な熱硬化性樹脂や、光硬化性樹脂、二液硬化性樹脂、高分子樹脂材料を用いて形成することが可能である。
特に、有機層12の材料としては、不純物の混入により素子特性の劣化が懸念されるため、有機発光媒体層6で用いた、いずれかの材料を用いることが好適である。
第二パッシベーション層14は、材料として、酸化珪素、酸化アルミニウム等の金属酸化物、弗化アルミニウム、弗化マグネシウム等の金属弗化物、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化炭素等の金属窒化物、酸窒化珪素等の金属酸窒化物、炭化ケイ素等の金属炭化物、必要に応じて、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等の高分子樹脂膜との積層膜を用いて形成されている。
ここで、特に、バリア性と透明性の面から、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素を材料として用いることが好適である。さらには、材料として、膜密度を可変した積層膜や勾配膜を用いると、段差被覆性とバリア性を両立することが可能な膜となる。
封止層16は、接着層18と、封止基材20を備えており、第二パッシベーション層14の面上から、接着層18、封止基材20の順に積層した状態で形成されている。
封止層16の膜厚は、有機EL素子1の電極段差や基板の隔壁高さ、要求されるバリア特性等により異なるが、異物22や隔壁等の段差被覆性を考えると、1.0[μm]以上、さらに好適には、3.0[μm]以上とする。
接着層18の材料としては、例えば、公知の接着性樹脂シートを用いることが可能であるが、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の光硬化型接着性樹脂や、熱硬化型接着性樹脂ポリエチレン、ポリプロピレン等の酸変性物からなる熱可塑性接着性樹脂等を用いてもよい。
ここで、接着層18には、必要に応じて、ギャップ制御のために、ガラスや樹脂からなる球状、棒状等のスペーサーを混入しても良く、また、乾燥剤や酸素吸収剤等を混入してもよい。
封止基材20の材料としては、キャップ封止の場合には、掘りこみガラスやステンレス成型品を用いることが可能であり、薄型固体封止の場合には、ガラス板や、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等のプラスチックフィルムや、これらに窒化ケイ素や酸化ケイ素等のバリア膜を形成したバリアフィルム、アルミ箔等の金属箔を用いることが可能である。これらの材料には、必要に応じて、色変換層やカラーフィルター層や、光取出し層等を設けても良い。
(有機EL素子1の製造方法)
以下、図1を参照しつつ、図2及び図3を用いて、有機EL素子1の製造方法を説明する。
有機EL素子1を製造する際には、まず、基材2上(図中では上側の面上)に、第一電極層4、有機発光媒体層6、第二電極層8、第一パッシベーション層10を順に積層する。
その後に、第一パッシベーション層10に対して、有機発光媒体層6の一部を除去する箇所を検出する欠陥検査を行い、欠陥検査で検出した箇所をレーザー照射により除去して、欠陥検査で検出した箇所を補修したリペア部Rを形成する。なお、以降の説明では、レーザー照射による補修を、「レーザーリペア」と記載する場合がある。
そして、レーザーリペアによって補修したリペア部Rを覆うように有機層12を形成し、さらに、この形成した有機層12上に、第二パッシベーション層14、封止層16を順に積層して、有機EL素子1を製造する。
(第一電極層4の形成)
基材2の面上に、第一電極層4を積層する際の、第一電極層4の形成方法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の乾式成膜法や、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の湿式成膜法等を用いることが可能である。
また、第一電極層4の隔壁は、画素に対応した発光領域を区画するように形成する。
これは、一般的に、アクティブマトリクス駆動型の表示装置は、各画素に対して第一電極層4が形成され、それぞれの画素ができるだけ広い面積を占有しようとするため、第一電極層4の端部を覆うように形成される隔壁の最も好ましい形状は、第一電極層4を最短距離で区切る格子状を基本とする。
隔壁の形成方法としては、従来と同様、基体上に無機膜を一様に形成し、レジストでマスキングした後、ドライエッチングを行う方法や、基体上に感光性樹脂を積層し、フォトリソグラフィ法により所定のパターンとする方法が挙げられる。この場合、必要に応じて、撥水剤を添加してもよく、また、プラズマやUVを照射して形成後にインクに対する撥液性を付与してもよい。
隔壁の好ましい高さは、0.1[μm]以上10[μm]以下の範囲内であり、より好適には、0.5[μm]以上2[μm]以下の範囲内である。これは、隔壁の高さが10[μm]を超えると、対向電極の形成及び封止を妨げてしまい、また、隔壁の高さが0.1[μm]未満の場合、第一電極層4の端部を覆い切れない、あるいは発光媒体層の形成時に隣接する画素とショートするおそれや、混色するおそれがあるためである。
(有機発光媒体層6の形成)
第一電極層4の上に、有機発光媒体層6を積層する際の、有機発光媒体層6の形成方法としては、材料に応じて、真空蒸着法や、スリットコート、スピンコート、スプレーコート、ノズルコート、フレキソ、グラビア、マイクログラビア、凹版オフセット等のコーティング法や、印刷法、インクジェット法等を用いることが可能である。
ここで、上述した低分子系発光材料を用いて、有機発光媒体層6を形成する場合には、有機発光媒体層6の形成方法として、主に蒸着法等が用いられるため、例えば、チャンバ構成材であるSUS材の削りカスや、蒸着時に内壁やマスクに付着した蒸着材料等が、成膜時に有機発光媒体層の中に異物22として取り込まれることがある。
また、上述した低分子系発光材料を用いて、有機発光媒体層6を形成する場合、塗布型の低分子材料や高分子材料を、インクジェット法やフレキソ法等の印刷法等を用いて形成する場合には、大気中において膜を形成することとなるため、環境異物や印刷機からの発塵物を、有機発光媒体層6の中に異物22として取り込むことがある。
また、有機発光媒体層6は、100[nm]程度の薄膜で形成されているため、例えばSUS等の金属異物が混入すると、第一電極層4と第二電極層8が短絡してしまい、一画素が光らない滅点と呼ばれる表示不良となる。
また、異物22がSiO2やAl23といった絶縁物であっても、有機発光媒体層6の形成時に異物22が混入すると、異物22周辺部の有機発光媒体層が薄くなり、第一電極層4と第二電極層8が短絡することがある。
ここで、有機ELディスプレイに適用可能であり、表示不良の場所を特定する方法としては、基材2の面上に、第一電極層4、有機発光媒体層6、第二電極層8を形成した状態で、第一電極層4と第二電極層8との間に電圧電流を印加し、有機発光媒体層6で発光させる方法がある。
しかしながら、基材2の面上に、第一電極層4、有機発光媒体層6、第二電極層8を形成した状態で、図2(a)中に示すように、上述したリペア部Rにレーザーを照射(図2中に示す「レーザー照射」)し、リペア部Rや、有機発光媒体層6、第二電極層8を除去しようとすると、図2(b)中に示すように、第二電極層8に穴が空いてしまうおそれがある。なお、図2は、有機EL素子1の製造方法を示す図であり、有機EL素子1の製造方法は、図2(a)中に示す状態から図2(b)中に示す状態へ移行する。
第二電極層8に穴が空くと、この穴から、水分の浸入によるダークスポットの発生・拡大が生じるという問題が発生するおそれがある。
また、第二電極層8に穴が空くと、図2(b)中に示すように、第二電極層8の穴が空いた部分にバリ24が生じてしまい、このバリ24が原因となるショートが発生するという問題や、リペア部Rを第一パッシベーション層10によって被覆できないという問題が発生するおそれがある。
また、第二電極層8に穴が空くと、図2(b)中に示すように、レーザー照射により除去した有機発光媒体層6や第二電極層8の材料である飛散物26が、穴の周辺部に飛散することにより、第一パッシベーション層10の膜に欠陥が発生する原因になるという問題が発生するおそれがある。
また、上述した薄型固体封止の場合には、第二パッシベーション層14の面(図中では、上側の面)上に、直接、接着層18と封止基材20を積層するために、図3(a)中に示すように、レーザーリペアを行うと、レーザーリペアにより発生する熱によって、図3(b)中に示すように、接着層18に剥離部28が生じ、封止層16が有する封止性能が、大幅に低下するといった問題が生じる。なお、図3は、有機EL素子1の製造方法を示す図であり、有機EL素子1の製造方法は、図3(a)中に示す状態から図3(b)中に示す状態へ移行する。
以上により、有機EL素子1を製造する際には、有機発光媒体層6、第二電極層8、第一パッシベーション層10を形成した後に、点灯検査と異物検査を行い、欠陥が表示された箇所をレーザー照射により除去して補修(リペア)することが好適である。
この場合、第一パッシベーション層10を形成することにより、有機発光媒体層6の中にある異物22をレーザーリペアしても、第二電極層8に穴が空くことがないため、バリ24の発生や有機発光媒体層6の飛散を防止することが可能となる。
ここで、本実施形態で用いるレーザーリペアとしては、第一電極層4と第二電極層8が短絡した部分の有機発光媒体層6を全て消失させるものではなく、短絡の原因である異物22にレーザーを照射することにより、有機発光媒体層6の一部を消失させる、もしくは、熱による電荷輸送などの機能低下、第二電極層8の酸化による短絡防止をするものであるため、第一パッシベーション層10の形成により、第二電極層8の膜破壊を最小限に抑えることが可能となる。
(第二電極層8の形成)
有機発光媒体層6の面上に、第二電極層8を積層する際の、第二電極層8の形成方法は、上述した第一電極層4の形成方法と同様であるため、その説明を省略する。
(第一パッシベーション層10の形成)
第二電極層8の面上に、第一パッシベーション層10を積層する際の、第一パッシベーション層10の形成方法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法を用いることが可能である。
ここで、第一パッシベーション層10の形成方法としては、特に、バリア性や段差被覆性の面、さらには成膜条件により、膜密度や膜組成を容易に可変できることから、CVD法を用いることが好ましい。
CVD法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、触媒CVD法、VUV‐CVD法等を用いることが可能である。
また、CVD法における反応ガスとしては、モノシランや、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)やテトラエトキシシラン等の有機シリコン化合物に、N2、O2、NH3、H2、N2O等のガスを必要に応じて添加してもよく、例えば、シランの流量や、プラズマ電力を変えることにより膜の密度を変化させてもよく、使用する反応性ガスにより膜中に水素や炭素を含有させることもできる。
(有機層12の形成)
第一パッシベーション層10の面上に、有機層12を積層する際の、有機層12の形成方法としては、上述したリペア部R及びリペア部Rの周辺部を覆うことが可能であれば、特に制限はないが、一般的な成膜方法である蒸着法やスパッタ法では、リペア部Rのような微小な領域に、選択的に絶縁材料を成膜することは困難である。
したがって、有機層12の形成方法としては、リペア部Rに選択形成可能な、インクジェットやノズル、ディスペンサを用いた吐出法、フレキソ印刷やスクリーン印刷等の印刷法、熱転写法や熱昇華法等の転写法を用いることが可能である。
第一パッシベーション層10の面上に有機層12を積層すると、この有機層12は、有機発光媒体層6の一部の消失を抑制するための層、または、第二電極層8や第一パッシベーション層10が熱変形したリペア部R分を平坦化し、第二パッシベーション層14に膜欠陥が生じないようにするための層となる。
ここで、有機層12を形成する領域は、リペア部Rを覆う領域であればよいが、第二電極層8や第一パッシベーション層10の熱変形が周囲に広がるおそれや、元々、第二電極層8にピンホール等の膜欠陥があった場合には、リペアにより発生した除去物が周囲に飛散するおそれがあるため、少なくともリペア部Rと、リペア部Rの周囲100[μm]程度を覆うことが可能な領域であれば良い。
(第二パッシベーション層14の形成)
第二電極層8の面上に、第二パッシベーション層14を積層する際の、第二パッシベーション層14の形成方法は、上述した第一パッシベーション層10の形成方法と同様であるため、その説明を省略する。
(封止層16の形成)
第二パッシベーション層14の面上に、封止層16を積層する際の、封止層16の形成方法としては、まず、接着層18と封止基材20とを貼り合わせて封止層16を成形した後、この成形した封止層16を、接着層18を第二パッシベーション層14に対向させた状態で、第二パッシベーション層14に接着する。これにより、有機EL素子1の封止を行う。
(点灯検査及び異物検査の方法)
以下、図1から図3を参照して、点灯検査及び異物検査の方法について説明する。
一般的に、CCDカメラ等を用いる異物検査は、解像度の問題やステージの平行精度等の問題により、1[μm]以下の異物を検出することは困難である。しかしながら、上述したように、有機EL素子1の有機発光媒体層6の膜厚は0.1[μm]程度であるため、1[μm]以下の異物が混入したとしても、第一電極層4と第二電極層8が短絡するといった問題が発生するおそれがある。
そこで、有機EL素子1を検査する場合には、まず、点灯検査を行い、非点灯画素の検出と、周辺画素と比較して単位面積あたりの輝度が低い画素である発光欠陥画素を検出する。
そして、異物検査を行い、それぞれの発光欠陥画素を、高解像度の顕微鏡により検査することにより、短絡の原因となる異物を検出し、その部分をレーザーリペアする。
ここで、異物検査の光源としては、有機EL素子1を劣化させないように、赤外光を使用することが好適である。
また、検査装置全体を遮光することによって、有機発光媒体層6の劣化を防ぐことがより好適であり、さらには、窒素ガスなどの不活性雰囲気下(不活性ガス雰囲気下)で、点灯検査と異物検査を行うことが好適である。
(第一実施形態の効果)
以下、本実施形態の効果を列挙する。
(1)封止層16によって第二パッシベーション層14までの順に積層した各層を封止する前に、リペア部Rの特定と補修を行い、有機層12と第二パッシベーション層14を形成することにより、異物短絡による表示欠陥を修復すると共に、長期に亘って有機EL素子1の劣化を抑制することが可能となる。
(2)第一パッシベーション層10の膜厚を100[nm]以下とすることにより、レーザー照射によるリペアを行っても、第二電極層8の破裂を抑制することが可能となる。
このため、レーザー照射によるリペアに伴う、有機層12と第二電極層8の飛散を防止することが可能となると共に、第二電極層8の破裂に伴う膜端部のバリ発生を防ぐことが可能となるため、長期に亘って、有機EL素子1の劣化を抑制することが可能となる。
(3)レーザー照射によるリペア後に生じた、第二電極層8及び第一パッシベーション層10へのダメージを、有機層12を形成することにより修復することが可能となる。さらに、第二パッシベーション層14を形成することにより、異物22による短絡をリペアしても、長期に亘って、有機EL素子1の劣化を抑制することが可能となる。
(4)点灯検査と異物検査を組み合わせて、リペア箇所を特定することにより、表示欠陥の原因となる異物22が存在している箇所のみをリペアすることが可能となる。
(5)有機層12を、吐出法、印刷法、転写法のいずれかで形成することにより、レーザー照射によるリペアにより生じた、第二電極層8と第一パッシベーション層10の膜欠陥を、効率良く修復することが可能となる。
(6)第一パッシベーション層10と第二パッシベーション層14を、CVD法で形成することにより、異物や段差に対して被覆性に優れ、かつ柔軟性に優れたバリア膜を形成することが可能となる。このため、長期に亘って、有機EL素子1の劣化を抑制することが可能となる。
(実施例)
以下、図1から図3を参照して、上述した第一実施形態の有機EL素子1と、比較例の有機EL素子を製造し、両者に対する物性の評価を行った結果について説明する。なお、以下の説明では、第一実施形態の有機EL素子1を、「本発明例の有機EL素子」と記載する。
(本発明例)
本発明例の有機EL素子1を製造する際には、まず、ガラス基材からなる基材2の面上に、第一電極層4として、ITO膜(150nm)をスパッタリング法及びフォトリソ、エッチング法を用いてパターン形成した後に、隔壁を形成して、縦100×横100(1万個)の開口部パターンを形成した。
次に、第一電極層4に形成した開口部に、有機発光媒体層6として、正孔輸送層にポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物(20nm)、発光層にポリ[2−メトキシ−5−(2'−エチル−ヘキシロキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MEHPPV)(100nm)を、それぞれ、凸版印刷法を用いてパターン形成した。
そして、有機発光媒体層6の面上に、第二電極層8として、Ba膜(5nm)とAl膜(200nm)を、蒸着法を用いて積層し、さらに、第一パッシベーション層10として、CVD法により、酸窒化珪素膜を50nm形成した(膜密度1.5g/cm3)。
このとき、不活性雰囲気下にて、第一電極層4と第二電極層8に電圧電流を印加しながら点灯検査を実施した。ここで、周辺画素と比較して、単位面積あたりの輝度が0〜70%である発光欠陥画素に対して、赤外線を光源に持つ異物検査機を用いて異物検査を実施し、異物22の座標情報を記録した。
次に、異物22の座標位置にレーザーを照射し、有機発光媒体層6の一部を除去するとともに、第二電極層8として用いたBa層を酸化することにより、短絡部のリペアを実施した。
ここで、異物22の座標位置にレーザーを照射する際の照射条件は、例えば、YAGレーザーを用いた場合では、レーザー出力1[mJ]以上10[mJ]以下、照射径は異物の大きさにより異なるが、直径4[μm]以上10[μm]以下とする。
短絡部のリペアを実施した後、このリペア部Rに、有機層12として、ディスペンサ法により発光層として用いたポリ[2−メトキシ−5−(2'−エチル−ヘキシロキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MEHPPV)を0.1[μm]の厚さで、半径約100[μm]の円状に形成した。
有機層12を形成した後、第二パッシベーション層14として、CVD法を用いて、SiNx膜を、2[μm]の厚さで形成(膜密度が1.7と2.5g/cm3の積層膜)した。
そして、第二パッシベーション層14の面上に、接着層18(光硬化型のエポキシ接着剤)と、封止基材20(ガラス基材)を順に積層して、本発明例の有機EL素子1を製造した。
上記のように製造した、本発明例の有機EL素子1を用いて作製した有機ELディスプレイを点灯し、点灯検査をした結果、非点灯画素及び、70%以下の輝度を有する発光欠陥画素が検出されなかった。
さらに、この有機ELディスプレイを、70℃の温度環境下において、240hrに亘り連続して点灯させたが、非点灯画素及び、70%以下の輝度を有する発光欠陥画素は検出されなかった。
また、この有機ELディスプレイを、60℃及び90RH%の環境下において、1000Hrに亘り保存しても、リペアした画素の非発光部の拡大は観察されなかった。
(比較例1)
本発明例の有機EL素子1を用いて作製した有機ELディスプレイにおいて、非点灯画素及び、単位面積あたりの輝度が50%以下の画素を検出し、その画素にある異物22についてレーザーリペアを行った。
そして、作製した有機ELディスプレイを点灯して点灯検査をした結果、点灯初期は、非点灯画素及び輝度が50%以下の画素は検出されなかったが、70℃の温度環境下において、240hrに亘り連続して点灯させた結果、非点灯画素が10画素検出され、50%以下の輝度を有する画素が、150画素検出された。
また、この有機ELディスプレイを、60℃及び90RH%の環境下において、1000Hrに亘り保存しても、リペアした画素の非発光部の拡大は観察されなかった。
(比較例2)
本発明例の有機EL素子1を用いて作製した有機ELディスプレイにおいて、第一パッシベーション層10を形成せずに、点灯検査と異物検査を行い、レーザーリペアした結果、第二電極層8に穴が空き、有機発光媒体層6が周辺部に飛散した。
その結果、有機層12を形成しても、第二電極層8に空いた穴のバリ24を被覆できず、60℃及び90RH%の環境下において、1000Hrに亘り保存した結果、リペアした画素の全てにおいて、非発光部が拡大した。
(比較例3)
本発明例の有機EL素子1を用いて作製した有機ELディスプレイにおいて、第一パッシベーション層10として、CVD法を用いてSiNx膜を、膜厚1.0[μm](膜密度2.5g/cm3)で形成した。
その結果、レーザーリペア時の熱変形により、第一パッシベーション層10に亀裂が生じて、第二電極層8に穴が空き、有機発光媒体層6が飛散した。また、有機層12を形成しても、第一パッシベーション層10に生じた亀裂を被服できなかったため、60℃及び90RH%の環境下において、1000Hrに亘り保存した結果、リペアした画素の全てにおいて、非発光部が拡大した。
以上により、本発明例の有機EL素子1を用いて作製した有機ELディスプレイは、比較例の有機EL素子1を用いて作製した有機ELディスプレイよりも、長期に亘り、有機EL素子1の劣化を抑制することが可能であるという結果を得た。
1 有機EL素子
2 基材
4 第一電極層
6 有機発光媒体層
8 第二電極層
10 第一パッシベーション層
12 有機層
14 第二パッシベーション層
16 封止層
18 接着層
20 封止基材
22 異物
24 バリ
26 飛散物
28 剥離部
R リペア部

Claims (12)

  1. 基材上に、第一電極層、有機発光媒体層、第二電極層、第一パッシベーション層、第二パッシベーション層、封止層が順に積層された有機EL素子であって、
    前記有機発光媒体層の一部を除去して形成されたリペア部と、前記第一パッシベーション層と前記第二パッシベーション層との間に形成され、且つ前記積層方向から見て少なくとも前記リペア部と重なる有機層と、を備えることを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記第一パッシベーション層及び前記第二パッシベーション層は、酸化ケイ素膜、酸窒化珪素膜、窒化珪素膜のいずれかで形成されていることを特徴とする請求項1に記載した有機EL素子。
  3. 前記第一パッシベーション層の膜厚は、100nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載した有機EL素子。
  4. 前記有機層は、前記積層方向から見て半径100μm以上の円状に形成されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載した有機EL素子。
  5. 前記第一パッシベーション層の膜密度は、前記第二パッシベーション層の膜密度よりも低いことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載した有機EL素子。
  6. 請求項1から5のうちいずれか1項に記載した有機EL素子を製造する有機EL素子の製造方法であって、
    前記基材上に、前記第一電極層、前記有機発光媒体層、前記第二電極層、前記第一パッシベーション層を順に積層した後に、前記第一パッシベーション層に対して前記有機発光媒体層の一部を除去する箇所を検出する欠陥検査を行い、
    前記欠陥検査で検出した箇所をレーザー照射により除去して前記リペア部を形成した後に、前記積層方向から見て少なくとも前記リペア部と重なるように前記有機層を形成し、
    前記有機層上に、前記第二パッシベーション層、前記封止層を順に積層することを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  7. 前記欠陥検査では、前記有機発光媒体層に対する点灯検査で他の画素と比較して単位面積当たりの輝度が低い発光欠陥画素を特定した後に、当該特定した発光欠陥画素に対する異物検査で前記レーザー照射により除去する箇所を特定することを特徴とする請求項6に記載した有機EL素子の製造方法。
  8. 前記欠陥検査を不活性雰囲気下で行うことを特徴とする請求項7に記載した有機EL素子の製造方法。
  9. 前記発光欠陥画素は、非点灯画素と、正常画素に対する単位面積当たりの輝度が70%以下の画素と、であることを特徴とする請求項7または8に記載した有機EL素子の製造方法。
  10. 前記異物検査では、検査光源として赤外光を使用することを特徴とする請求項7から9のうちいずれか1項に記載した有機EL素子の製造方法。
  11. 前記有機層を、吐出法、印刷法、転写法のうちいずれかにより形成することを特徴とする請求項6から10のうちいずれか1項に記載した有機EL素子の製造方法。
  12. 前記第一パッシベーション層及び前記第二パッシベーション層を、CVD法で形成することを特徴とする請求項6から11のうちいずれか1項に記載した有機EL素子の製造方法。
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