JP2011076759A - 有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法およびパッシベーション層成膜用マスク - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法およびパッシベーション層成膜用マスク Download PDF

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【課題】パッシベーション層本来の性能を低下させることなく、有機エレクトロルミネッセンス基板上の電極接続部にのみパッシベーション層が被覆しないようにパターニング成膜することのできる有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法とそれに用いるマスクを提供する。
【解決手段】基板と、前記基板上に、第一電極と、前記第一電極上に有機発光層を含む有機発光媒体層と、前記有機発光媒体層を挟んで第一電極と対向するように第二電極を有し、前記第二電極上にパッシベーション層を有し、前記パッシベーション層上に接着層を有し、前記接着層上に封止基板を有する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、前記パッシベーション層は、マスク開口部の上下端に突起部を設けたパッシベーション層成膜用マスクを用いて、CVD法によりパターニング成膜される。
【選択図】図3

Description

本発明は、表示領域上に保護膜(パッシベーション層)を有する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法およびそれに用いるパッシベーション層成膜用マスクに関する。
有機エレクトロルミネッセンスパネルは、テレビやパソコンモニタ、モバイル機器等に使用されるフラットパネルディスプレイ、照明などとして、幅広い用途が期待されている。有機エレクトロルミネッセンスパネルは、液晶ディスプレイなどとは異なり、自発光型である。そのため、構造的に極薄化できること、表示画像が広視野角で見え、その表示画像の応答速度が速く、低消費電力であり、高コントラストが期待できるなどの利点から、ブラウン管や液晶ディスプレイに変わるフラットパネルディスプレイとして期待されている。
図1に、従来技術による有機エレクトロルミネッセンスパネルの断面構造を模式的に示す。有機エレクトロルミネッセンスパネルは、ガラス、あるいはプラスチック等の基板11上に、少なくともどちらか一方の電極が透光性を有する第一電極層12と第二電極層14があり、それら電極層間に、有機発光媒体層13を挟持した構造である。両電極層間に電圧を印可し電流を流すことにより、有機発光媒体層13で発光が生じる、自発光型の表示パネルである。
ここで、有機発光媒体層とは正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を含む層である。それぞれの例としては、正孔注入層に銅フタロシアニン、正孔輸送層に(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)、有機発光層にトリス(8―キノリノール)アルミニウム、電子輸送層に、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4オキサジアゾール、電子注入層にフッ化リチウムが挙げられる。また、発光層として赤、青、緑の三色に光る材料を用いて、隔壁19を設けた中で塗り分けると、ディスプレイとして表現することができ、薄膜構造で極薄のディスプレイを製造することが可能である。
しかし、有機エレクトロルミネッセンスパネルは、大気中の酸素や水の影響により劣化するといった問題があるため、例えば、特許文献1、2に開示されているように、パッシベーション層15により酸素や水を遮断し、更に、乾燥剤7を内包した金属缶やガラスキャップ18で接着層16を用いて封止し、大気から遮断する方法が一般的に用いられていた。ここで、パッシベーション層とは、酸素や水に対するバリア性が高く、また陰極上に形成するため絶縁性があるものが望ましく、例えば、酸化珪素が挙げられる。また、接着層としては、エポキシ系樹脂が挙げられ、乾燥剤としては酸化カルシウムが挙げられる。
しかしながら、前記ガラスキャップは、コストの観点や、薄型化の面から望ましくないため、平板構造の封止基板を用いた構造が求められているが、前記のような吸湿剤を入れることができないため、接着層そのものと、接着層と封止基板間の界面における酸素や水の透過が重要となる。これら劣化要因から有機エレクトロルミネッセンスパネルを保護するために、パッシベーション層を有機エレクトロルミネッセンス層を覆うように形成する。
パッシベーション層を形成する場合、真空成膜法を用いて成膜することができる。たと
えば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などが挙げられるが、バリア性、膜質の制御の面からCVD法を用いることが望ましい。しかしながら、有機エレクトロルミネッセンスパネルには外部との電気接続を行うための電極接続部が設けられており、この電極接続部にはパッシベーション層は形成しないようにする必要がある。
従来は基板全体にパッシベーション層を形成し、次にフォトリソグラフ、エッチングにより電極接続部上のパッシベーション層を除去して電極接続部を露出させる方法が一般的であった。これは、工程数が増え、エッチング材料などコストが嵩むなどの問題があった。これに対し、特許文献3には、パッシベーション層形成前に、予め金属やセラミックスなどのマスクの枠部で電極パッド領域を覆うと共に開口部内に表示領域を露出させ、プラズマCVD法により表示領域に窒化ケイ素などの保護膜を形成する方法がされている。
しかし、これらマスクを使用しての成膜時には、基板上からマスク上へと膜が連続して成膜されるため、マスクを取外す際に基板へ密着していた膜が剥がれ、パッシベーション層と基板との界面でのバリア性が保持できず、有機エレクトロルミネッセンスパネルの輝度低下、ダークスポットの発生などの不具合の原因となる問題があった。
特開平7−169567号公報 特開2001−176655号公報 特開2007−134243号公報
上述したように、有機エレクトロルミネッセンスパネルの性能向上のためには、パッシベーション層が不可欠であり、また電極接続部をマスクで覆ってパッシベーション層を成膜することで工程的、コスト的にメリットが生じるが、マスク取外時にパッシベーション層が剥がれてしまい、パッシベーション層本来のバリア性を保持することが困難である。よって、パッシベーション層の持つ性能を維持できるパターニング成膜方法が必要である。
そこで、本発明は、パッシベーション層本来の性能を低下させることなく、有機エレクトロルミネッセンス基板上の電極接続部にのみパッシベーション層が被覆しないようにパターニング成膜することのできる有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法とそれに用いるマスクを提供することを課題としている。
本発明の請求項1に係る発明は、基板と、前記基板上に、第一電極と、前記第一電極上に有機発光層を含む有機発光媒体層と、前記有機発光媒体層を挟んで第一電極と対向するように第二電極を有し、前記第二電極上にパッシベーション層を有し、前記パッシベーション層上に接着層を有し、前記接着層上に封止基板を有する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、
前記パッシベーション層は、マスク開口部の上下端に突起部を設けたパッシベーション層成膜用マスクを用いて、CVD法によりパターニング成膜されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法である。
また、本発明の請求項2に係る発明は、前記パッシベーション層成膜マスクが耐腐食性を持ち、耐熱性の高いセラミックスを用いたものであることを特徴とする請求項1に記載する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法である。
次に、本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載のパッシベーション層成膜用マスクであって、
前記マスク開口部の上下端に設けられた突起部の形状は、下端より上端の突起が開口内側へ長いことを特徴とするパッシベーション層成膜用マスクである。
また、本発明の請求項4に係る発明は、前記マスク開口部の前記突起部のマスク内側と基板面との角度は、上端の突起が35度以上40度以下、下端の突起が10度以上15度以下であることを特徴とする請求項3に記載のパッシベーション層成膜用マスクである。
また、本発明の請求項5に係る発明は、マスクの厚みが、前記マスク開口部上端からマスク外枠に向かって10±2度の傾斜を持ち薄くなることを特徴とする請求項3または4に記載のパッシベーション層成膜用マスクである。
本発明によれば、パッシベーション層形成工程に於いて、開口部を持つマスクを使用することにより、基板上の電極部はマスクで被覆することにより成膜されないため、後の工程、例えばエッチング等の工程が減り、コスト面で有利になる。また、マスク開口部の上下端に突起物を構成することにより、基板上のパッシベーション層がマスクへと連続することなく形成されるため、成膜後にマスクを取外す時の膜の剥がれを防止し、膜性能を低下させることなく長寿命、高品質な有機エレクトロルミネッセンスパネルを提供することができる。
従来の、有機エレクトロルミネッセンスパネルの一例の断面模式図。 本発明に係る、一実施形態での有機エレクトロルミネッセンスパネルの断面模式図。 本発明に係る、パッシベーション層成膜用マスクの一例を断面で説明する概略図。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス(以下ELと略称する)パネルの製造方法を、その一実施形態に基づいて、図2を用いて以下説明する。以下の説明ではパッシブ駆動の有機ELパネルについて例を挙げるが、アクティブ駆動についても同様の工程を経て作成できる。また、本説明ではボトムエミッション構造を例として挙げるが、トップエミッション構造でも適用できる。
本発明に係る基板21としては、例えばガラスやプラスチックフィルムなどの絶縁性を有する基板が使用できる。
これらの基板21は、あらかじめ加熱処理を行うことにより、基板内部あるいは表面の水分を極力低減させることが望ましい。また、基板21上に積層される材料に応じて、密着性を向上させるために、超音波洗浄処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、UV(紫外線)オゾン処理などの表面処理を施してから使用することが好ましい。
また、前記基板上に薄膜トランジスタ(TFT)を形成して、駆動用基板としても良い。TFTの材料としては、ポリチオフェンやポリアニリン、銅フタロシアニンやペリレン誘導体等の材料を用いてもよく、また、アモルファスシリコンやポリシリコンを用いてもよい。また、前記基板のどちらかの面にカラーフィルタ層や光散乱層、光偏光層等を設けてもよい。
まず、この基板21上に第一電極層22を形成する。第一電極層22は、第二電極層24とともに、有機発光媒体層23に電圧を印加するものである。画素ごとに電圧を印加するため、第一電極層22はストライプにパターニングすることができる。これに対して第二電極層24は第一電極層22と交差する形でストライプにパターニングすることができる。
第一電極層22と第二電極層24の少なくともどちらか一方は透明電極である必要がある。これは、有機発光媒体層23からの発光を取り出すためである。例えば、第一電極層22にITO(インジウムスズ複合酸化物)やIZO(インジウム亜鉛複合酸化物)を使用することができる。膜形成方法としては真空成膜法を用いることができ、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などを用いて成膜することができる。
第一電極層22を形成後、隣接する陽極パターンの間に感光性材料を用いて、フォトリソグラフィ法により隔壁25が形成される。さらに詳しくは、感光性樹脂組成物を基板に塗布する工程と、パターン露光、現像、焼成して隔壁パターンを形成する工程を少なくとも有する。
隔壁25を形成する感光性材料としてはポジ型レジスト、ネガ型レジストのどちらであってもよく、市販のもので構わないが、絶縁性を有する必要がある。隔壁が十分な絶縁性を有さない場合には隔壁を通じて隣り合う画素電極に電流が流れてしまい表示不良が発生してしまう。また、TFTの誤作動により適正な表示ができないことがある。感光性材料としては、具体的にはポリイミド系、アクリル樹脂系、ノボラック樹脂系、フルオレン系といったものが挙げられるがこれに限定するものではない。また、有機ELディスプレイの表示品位を上げる目的で、光遮光性の材料を感光性材料に含有させても良い。
隔壁25を形成する感光性樹脂はスピンコーター、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の公知の塗布方法を用いて塗布される。次に、パターン露光、現像して隔壁パターンを形成する工程では、従来公知の露光、現像方法により隔壁部のパターンを形成できる。また焼成に関してはオーブン、ホットプレート等での従来公知の方法により焼成を行うことができる。
隔壁25は、厚みが0.5μmから5.0μmの範囲にあることが望ましい。これは、異なる発光色を有する有機発光材料を溶媒に溶解または分散させた有機発光インキを用いて画素ごとに塗り分けをおこなう場合、隣接する画素との混色を防止することが出来る。隔壁が低すぎると隣接画素間でのリーク電流の発生やショートの防止、有機発光インキの混色防止の効果が得られないことがあり注意が必要である。
次に、有機発光媒体層23は、電圧の印加によって発光する有機発光層を含む。この有機発光層から成る単独の層によって構成されていても良いが、この発光層に加えて、発光効率を向上させる発光補助層を積層した積層構造から構成されたものであっても良い。発光補助層としては、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層等が挙げられる。
有機媒体層23の典型的な例を挙げると、正孔注入層には銅フタロシアニン、テトラ(
t−ブチル)銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類及び無金属フタロシアニン類、キナクリドン化合物、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1'−ビフェニル−4,4'−ジアミン、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1'−ビフェニル−4,4'−ジアミン等の芳香族アミン系低分子を用いることができる。
正孔輸送層としてはポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)が挙げられる。
有機発光層としては9,10−ジアリールアントラセン誘導体、ピレン、コロネン、ペリレン、ルブレン、1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(8−キノリノラート)亜鉛錯体、トリス(4−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、トリス(8−キノリノラート)スカンジウム錯体、ビス〔8−(パラ−トシル)アミノキノリン〕亜鉛錯体及びカドミウム錯体、1,2,3,4−テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、ポリ−2,5−ジヘプチルオキシ−パラ−フェニレンビニレン、クマリン系蛍光体、ペリレン系蛍光体、ピラン系蛍光体、アンスロン系蛍光体、ポルフィリン系蛍光体、キナクリドン系蛍光体、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系蛍光体、ナフタルイミド系蛍光体、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系蛍光体等、Ir錯体等の燐光性発光体などの低分子系発光材料や、ポリフルオレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリスピロなどの高分子材料や、これら高分子材料に前記低分子材料の分散または共重合した材料や、その他既存の発光材料を用いることができる。
これら有機発光媒体層23は、その分子特性によって、ドライコーティングまたはウェットコーティングにより成膜される。ウェットコーティング法としては、スピンコート法、バーコート法、突出コート法、ディップコート法等があり、ドライコーティング法としては、真空成膜法を用いることができ、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などを用いて成膜することができる。
続いて、第二電極層24を成膜する。例えばリチウム、マグネシウム、カルシウム、イッテルビウム及びアルミニウムなどの金属単体やこれらと金、銀、などの安定な金属との合金などが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。これらは真空成膜法を用いて成膜することができ、たとえば、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などが挙げられる。
さらに、第二電極層24上に、CVD法を用いてパッシベーション層25を成膜する。例えば、窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素、ダイヤモンドライクカーボンなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。有機EL層の特性劣化防止のため、絶縁体であり、酸素や水に対して安定な物質を用いることが望ましい。
次に、パッシベーション層をCVD法で成膜する際に用いるパッシベーション層成膜用マスク(以下マスクと略称する)について説明する。このマスクは基板上に配置され、電極接続部にはパッシベーション層が成膜されず、必要な箇所にのみパッシベーション層が
成膜されることを目的として使用する。
CVDで使用するマスクは、セラミックスなどの成膜時の温度やプラズマに耐えうる材料が望ましい。たとえばアルミナやジルコニアなどが挙げられる。また、三フッ化窒素ガスなどを用いたチャンバークリーニング時に、マスクも同時にクリーニングできるよう、耐腐食性をもつものが望ましい。
マスクの形状は、図3に示すように、マスク開口部の上端と下端に突起部を設ける。また、マスク上端の突起は十分に下端の突起を覆い、かつ有機EL層の発光部に架からない長さである。突起部のマスク内側と基板面との角度θは、30度以上40度以下が望ましい。θが大きすぎるとガスの回りこみを十分に防げない。下端の突起は電極接続部を十分に覆い、基板へ密着している。突起の角度θ’は10度以上15度以下が望ましい。θ’が小さすぎると突起部の強度が不十分となり、またθ’が大きすぎると有機EL層上の膜がぼやけ、本来必要とする膜厚を成膜できなくなるためである。さらに、マスク開口端からマスク外枠までは概ね10度の傾斜(θ’’)を設けることが望ましい。これは、マスク上に当たる材料ガスを容易に外に流れるようにするためである。
このようなマスク形状にすることで、マスク取外し時にパッシベーション層の剥がれを防止することができ、また電極接続部への膜付を防止することができる。また、従来のフォトリソグラフ、エッチングにより電極接続部を露出させていた方法では、パッシベーション層端部が直角に切り立った形状をしてしまうが、本発明による形状は端部より比較的緩やかに膜が立ち上がる。このため、パッシベーション層上の接着層がより馴染みやすくなるため、パッシベーション層と接着層の間の気泡を少なくすることができる。なお、このような形状のマスクは、例えばマスク材料を機械研磨により加工して形成することができる。
続いて、接着剤を用いて接着層27を形成し、その上に封止基板28を積層して封止する。熱硬化型の接着剤も使用することができるが、有機ELパネルへの影響を考慮すると光硬化型の接着層が好ましい。例えば、エステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート等の各種アクリレート等の各種アクリレート、ウレタンポリエステル等の樹脂を用いたラジカル系接着層や、エポキシ、ビニルエーテル等の樹脂を用いたカチオン系接着層、チオール・エン付加型樹脂系接着層等が挙げられ、中でも酸素による阻害がなく、光照射後も重合反応が進行するカチオン系接着層が好ましい。カチオン硬化型タイプとしては、紫外線硬化型エポキシ樹脂接着層が好ましい。特に好ましいものは、100mW/cm以上の紫外線を照射した際に、10秒〜90秒以内に硬化する紫外線硬化型接着層である。この時間範囲内で硬化させることにより、紫外線照射による他の構成要素への悪影響をもたらすことなく、紫外線硬化型接着層が充分に硬化して適切な接着強さを備えることができる。また、生産工程の効率の観点からも、前記の時間範囲内であることが好ましい。また、接着層27は、低透湿性かつ高接着性のものが望ましい。接着層をパッシベーション層の上に形成する方法の一例として、溶剤溶液法、押出ラミ法、溶融・ホットメルト法、カレンダー法、ノズル塗布法、スクリーン印刷法、真空ラミネート法、熱ロールラミネート法などを挙げることができる。接着層27の厚みとしては特に制限はないが、なるべく薄膜であることが好ましく、1μm〜100μm程度、好ましくは5μm〜50μmである。
封止基板28としては、ガラス基板、及び、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのプラスチックフィルムを用いることができる。
以下に、本発明の実施例について説明する。なお、以下の実施例においては、上記した図2の説明で用いた符号を、同一機能の部分については同じ符号を用いて説明する。
<実施例1>
基板21として、予め第一電極層22、取り出し電極、TFT回路を保護するためのSiNx膜からなる絶縁層およびポリイミドからなる絶縁層を備えたTFT基板を用いた。なお、このTFT基板では、ポリイミドからなる絶縁層は画素を仕切るように形成されており、各画素の隔壁25としても機能する。
次に、第一電極層22上にポリ(3,4エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物からなる正孔輸送層をスピンコート法により20nm厚形成した。
次に、正孔輸送層上に有機発光材料であるポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチル−ヘキシロキシ)―1,4−フェニレンビュレン]をトルエンに溶解させ、スピンコート法により有機発光層を形成し、前記正孔輸送層と合わせて有機発光媒体層23を80nm厚形成した。
次に、Ca、Alからなる第二電極層24を、Caは蒸着法により、Alは抵抗加熱蒸着法によりそれぞれ5nm厚、50nm厚形成した。
続いて、上記した有機ELパネル上に、窒化珪素からなるパッシベーション層26をプラズマCVD法により、SiH:60sccm、NH:20sccm、H:200sccm、全圧100Pa、電力1kWの条件で、図3に示した断面形状のマスクを用いて2000nm厚形成した。このとき、マスクの上部突起部の角度θは40度、下部突起部の角度θ’は10度とし、マスク上端の傾斜は10度とした。
次に、マスクを除いて、パッシベーション層26上に紫外線硬化型接着層を用いて接着層27を形成し、平板ガラスでできた封止基板28を貼り合わせ、UVを5000mJ照射し封止した。
このようにして得た有機ELパネルのパッシベーション層端部を電子顕微鏡で観察したところ、膜の浮き上がりや剥がれはなく、得られた有機ELパネルに5Vの電圧を印加した結果、3200cd/mの輝度が得られ、電流効率は5cd/Aであった。また、60℃90%R.H.下で1500時間放置したが、発光領域減少率は1%未満であった。
<比較例1>
開口部に上部突起部を設けず、下部突起部角度θ’が10度となるように作成したマスクを用いたことを除いて、実施例1と同様の手順で有機ELパネルを作成した。
得られた有機ELパネルのパッシベーション層端部を電子顕微鏡で断面を観察したところ、膜端部に剥がれが見られ、剥がれ部の段差によって接着層とパッシベーション間に空間が確認できた。また、得られた有機ELパネルに5Vの電圧を印加した結果、3100cd/mの輝度が得られ、電流効率は4.8cd/Aであった。これは有機ELパネル作成後の初期特性は実施例1と比較しダメージを与えていないことを示す。しかしながら、比較例1でえられた有機ELパネルを60℃90%R.H.下で1000時間放置したところ、発光領域減少率は30%にまで及んだ。これは、有機EL層の劣化要因として、接着層やパッシベーション層と基板との界面が大きな原因となっていることを示唆している。この結果、前記した実施例1では、それぞれの界面を十分に密着させることができたことで、有機ELパネルの信頼性が向上したと考えられる。
<比較例2>
下部突起部を設けず、上部突起部角度θが40度となるように作成したマスクを用いたことを除いて、実施例1と同様の手順で有機エレクトロルミネッセンスパネルを作成した。
得られた有機ELパネルのパッシベーション層端部を観察したところ、膜端部周辺に向かって膜厚が不均一になり、ぼやけていた。得られた有機ELパネルに5Vの電圧を印加した結果、3200cd/mの輝度が得られ、電流効率は4.8cd/Aであった。これは有機ELパネル作成後の初期特性は実施例1と比較しダメージを与えていないことを示す。しかしながら、比較例2で得られた有機ELパネルを60℃90%R.H.下で1000時間放置したところ、発光領域減少率は60%にまで及んだ。これは、下部突起を設けないことで膜厚や膜質が不安定になってしまい、本来パッシベーション膜が持つバリア性や密度を得られなかったと考えられる。その結果、実施例1のようにパッシベーション層の膜特性が有機ELパネル上で均一に保持されていることが重要であり、開口部の上下端へ一定の突起形状を設けた本発明のマスクを用いることで、高品質なパッシベーション膜及び高信頼性の有機エレクトロルミネッセンスパネルを提供することができる。
11・・・基板 12・・・第一電極層 13・・・有機発光媒体層
14・・・第二電極層 15・・・パッシベーション層 16・・・接着層
17・・・乾燥剤 18・・・封止基板 19・・・隔壁
21・・・基板 22・・・第一電極層 23・・・有機発光媒体層
24・・・第二電極層 25・・・隔壁 26・・・パッシベーション層
27・・・接着層 28・・・封止基板
31・・・基板 32・・・マスク 33・・・パッシベーション層

Claims (5)

  1. 基板と、前記基板上に、第一電極と、前記第一電極上に有機発光層を含む有機発光媒体層と、前記有機発光媒体層を挟んで第一電極と対向するように第二電極を有し、前記第二電極上にパッシベーション層を有し、前記パッシベーション層上に接着層を有し、前記接着層上に封止基板を有する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法において、
    前記パッシベーション層は、マスク開口部の上下端に突起部を設けたパッシベーション層成膜用マスクを用いて、CVD法によりパターニング成膜されることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  2. 前記パッシベーション層成膜マスクが耐腐食性を持ち、耐熱性の高いセラミックスを用いたものであることを特徴とする請求項1に記載する有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載のパッシベーション層成膜用マスクであって、前記マスク開口部の上下端に設けられた突起部の形状は、下端より上端の突起が開口内側へ長いことを特徴とするパッシベーション層成膜用マスク。
  4. 前記マスク開口部の前記突起部のマスク内側と基板面との角度は、上端の突起が35度以上40度以下、下端の突起が10度以上15度以下であることを特徴とする請求項3に記載のパッシベーション層成膜用マスク。
  5. マスクの厚みが、前記マスク開口部上端からマスク外枠に向かって10±2度の傾斜を持ち薄くなることを特徴とする請求項3または4に記載のパッシベーション層成膜用マスク。
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