JP2013201808A - フォークリフトの走行モータ用の電力変換装置およびそれを用いたフォークリフト - Google Patents

フォークリフトの走行モータ用の電力変換装置およびそれを用いたフォークリフト Download PDF

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Abstract

【課題】消費電力を低減する。
【解決手段】第1電力変換装置200は、フォークリフトの車輪に動力を伝達する走行モータM1に電力を供給する。指令値生成部203は、ユーザが走行モータM1を制御するための走行操作手段から走行操作量S1を受け、当該走行操作量S1に応じたトルク指令値S5を生成する。トルク制限部208は、トルク指令値S5を、走行モータM1の回転−トルク(N−T)特性の上限を規定する制限曲線以下に制限する。トルク制限部208は、複数のモードごとにあらかじめ定められた制限曲線を保持しており、走行操作量に応じて、モードを切りかえることにより制限曲線を切りかえる。インバータ220は、トルク指令値S6に応じた電力を走行モータM1に供給する。
【選択図】図4

Description

本発明は、フォークリフトの走行モータ用の電力変換装置に関する。
産業車両のひとつに、電池を動力源とする電動フォークリフトがある。電動フォークリフト(以下単にフォークリフトとも称する)は、走行用車輪(駆動輪)である前輪に動力を伝達する走行モータと、転舵輪である後輪の転舵角(操舵角)を制御する油圧ポンプに動力を伝達する油圧アクチュエータ用モータ(ステアリングモータ)と、昇降体を制御する油圧ポンプに動力を伝達する油圧アクチュエータ用モータ(荷役モータ)と、走行モータ、ステアリングモータ、荷役モータそれぞれを駆動する電力変換装置を備える。
特開2001−113989号公報
電池の容量は有限である一方、フォークリフトには長い動作可能時間が要求される。限られた電池容量内で長時間動作を実現するためには、走行モータおよび荷役モータでの消費電力を抑制する必要がある。走行モータや荷役モータの消費電力を制限するには、電流すなわちトルクを制限する必要があるが、それを一律に制限すると、加速したいときに加速しない、坂が上れない、あるいは重い荷物を持ち上げたいときに時間がかかるなど、快適な操作感が損なわれ、ユーザがストレスを感じるという問題が生ずる。
本発明者は、この問題を解決するために、トルクの制限値が異なる複数のモード、たとえば通常モードとエコモードを用意することを検討した。通常モードではストレスのない操作感が得られ、エコモードでは操作感が犠牲となる代わりに、電池の寿命を延ばすことができる。
しかしながらこの場合に、フォークリフトのフロントパネルに、モードを切りかえるためのセレクタを設け、ユーザが任意に選択できるようにすると、ユーザはモードの切りかえが煩わしくなり、結局はモードを切りかえることなく、同じモード、おそらく通常モードで固定的に使用するという状況が生ずることが予想される。
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、消費電力を低減可能なフォークリフトの提供にある。
本発明のある態様は、フォークリフトの車輪に動力を伝達する走行モータに電力を供給する電力変換装置に関する。電力変換装置は、ユーザが走行モータを制御するための走行操作手段から走行操作量を示す信号を受け、当該走行操作量に応じたトルク指令値を生成する指令値生成部と、トルク指令値を、走行モータの回転−トルク(N−T)特性の上限を規定する制限曲線以下に制限するトルク制限部であって、複数のモードごとにあらかじめ定められた制限曲線を保持しており、走行操作量に応じて、モードを切りかえることにより制限曲線を切りかえるトルク制限部と、トルク指令値に応じた電力を走行モータに供給するインバータと、を備える。
この態様によると、ユーザがモードを意識せずに、走行操作手段を操作すると、走行操作量に応じてモードが自動的に切りかわる。その結果、ユーザが意図的にモードを切りかえる必要がなくなり、消費電力を低減できる。
トルク制限部は、走行操作量と所定のしきい値との比較結果に応じて、モードを切りかえてもよい。
走行操作量が大きい場合、すなわちアクセルの踏み込み量が大きく、あるいは走行レバーを大きく傾けた場合には、ユーザが高速走行を意図している可能性が高く、走行操作量が小さい場合、それほどの高い速度は必要ない可能性が高い。そこで走行操作量が大きい場合には、高トルクを出力するモードを選択し、走行操作量が小さい場合には、低トルクを出力するモードを選択することにより、ユーザの操作感を損なわずに、消費電力を低減できる。
トルク制限部は、走行操作量と所定のしきい値との比較結果に加えて、操作時間に応じて、モードを切りかえてもよい。
トルク制限部は、あらかじめ定められたイベントの発生を監視し、その結果にもとづいてモードを切りかえてもよい。
トルク制限部は、走行モータが加減速を繰り返したか否かを検出する加減速検出部を含み、検出結果に応じてモードを切りかえてもよい。
フォークに荷物を載せる際には、荷物に対してフォークを高い精度で制御する必要がある。またフォークから荷物をおろす際にも、荷物を下ろす場所に対してフォークを高い精度で制御する必要がある。この場合、フォークリフトのユーザは走行操作手段を頻繁に動かしながら、車体を前後に動かす動作を繰り返し、位置決めを行う。そしてこのように車体を細かく動かす際には、走行モータのトルクが低くても、ユーザはストレスを感じにくい。そこで、加減速の繰り返しを検出し、検出された場合には、低トルクを出力するモードを選択することにより、ユーザの操作感を損なわずに、消費電力を低減できる。
トルク制限部は、フォークリフトが登坂中か否かを検出する登坂検出部を含み、検出結果に応じてモードを切りかえてもよい。
登坂には高トルクが必要とされる。そこで登坂を検出した場合には、高トルクを出力するモードを選択することにより、操作感を高めることができる。
トルク制限部は、フォークリフトの車体の急旋回を検出する急旋回検出部をさらに備え、検出結果に応じてモードを切りかえてもよい。
急旋回を行う際には、走行モータのトルクが低くても、ユーザはストレスを感じにくい。そこで、急旋回が検出された場合には、低トルクを出力するモードを選択することにより、ユーザの操作感を損なわずに、消費電力を低減できる。
トルク制限部は、フォークに荷物が積載されているか否かを検出する荷物検出部をさらに備え、検出結果に応じてモードを切りかえてもよい。
フォークリフトが荷物を搭載した状態で、急発進、高速移動、急停止を行うと、車体が不安定となるため、かえってトルクは制限することが望ましい。そこで荷物の搭載が検出された場合には、低トルクを出力するモードを選択することにより、車体の安定性を確保しつつ、消費電力を低減できる。
トルク制限部は、荷物の重さを検出する重力検出部をさらに備え、検出結果に応じてモードを切りかえてもよい。
荷物が重い場合に、トルクが低いと加速が遅くなり、操作感が損なわれる。そこで、高トルクを出力するモードを選択することで操作感を維持できる。
トルク制限部は、所定のアップシーケンスイベントを検出すると、トルクの制限値が1段階高いモードに切りかえ、所定のダウンシーケンスイベントを検出すると、トルクの制限値が1段階低いモードに切りかえてもよい。
トルク制限部は、第1モードと、第2モードが切りかえ可能に構成され、第1モードに対して第1制限曲線が規定され、第2モードに対して第1制限曲線よりも上限が高い第2制限曲線が規定されてもよい。
トルク制限部は、第1モード、第2モードに加えて第3モードが規定され、第3モードに対して第2制限曲線よりも上限が高い第3制限曲線が規定されてもよい。
本発明の別の態様はフォークリフトに関する。フォークリフトは、車体と、車体を支持する車輪と、車輪に動力を伝達する走行モータと、走行モータを駆動する上述のいずれかの態様の電力変換装置と、を備えてもよい。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、消費電力を低減できる。
フォークリフトの外観図を示す斜視図である。 フォークリフトの操縦パネルの一例を示す図である。 フォークリフトの電気系統、機械系統の構成を示すブロック図である。 第1電力変換装置の構成を示すブロック図である。 回転−トルク特性を示す図である。 図6(a)〜(d)は、走行操作量に応じたモード切りかえの例を示す波形図である。 トルク制限部の構成例を示すブロック図である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
図1は、フォークリフトの外観図を示す斜視図である。フォークリフト600は、車体(シャーシ)602、フォーク604、昇降体(リフト)606、マスト608、車輪610、612を備える。マスト608は車体602の前方に設けられる。昇降体606は、油圧アクチュエータ(図1(a)に不図示、図3の116)などの動力源によって駆動され、マスト608に沿って昇降する。昇降体606には、荷物を支持するためのフォーク604が取り付けられている。
図2は、フォークリフトの操縦パネル700の一例を示す図である。操縦パネル700は、イグニッションスイッチ702、ステアリングホイール704、リフトレバー706、アクセルペダル708、ブレーキペダル710、ダッシュボード714、前後進レバー712を備える。
イグニッションスイッチ702は、フォークリフト600の起動用のスイッチである。ステアリングホイール704は、フォークリフト600の操舵を行うための操作手段である。リフトレバー706は、昇降体606を上下に移動させるための操作手段である。アクセルペダル708は、走行用の車輪の回転を制御する操作手段であり、ユーザが踏み込み量を調節することでフォークリフト600の走行が制御される。ユーザがブレーキペダル710を踏み込むと、ブレーキがかかる。前後進レバー712は、フォークリフト600の走行方向を、前進と後進で切りかえるためのレバーである。そのほか、図示しないインチングペダルが設けられてもよい。
続いて、フォークリフト600の構成を、走行、荷役、操舵それぞれについて説明する。図3は、フォークリフト600の電気系統、機械系統の構成を示すブロック図である。ECU(電子制御コントローラ)110は、フォークリフト600全体を制御するためのプロセッサである。
(走行)
ECU110は、前後進レバー712からの前進、後進を指示する信号と、アクセルペダル708からの、踏み込み量に応じた走行操作量を示す信号を受け、それに応じた信号(走行操作量ともいう)S1を第1電力変換装置200に出力する。第1電力変換装置200は、走行操作量S1に応じて走行モータM1に供給する電力を制御する。走行操作量S1は、走行モータM1の目標回転数を指示する速度指令値と相関を有する。駆動輪である前輪610は、ドライブシャフト114と接続される。ギアボックス112およびドライブシャフト114は、走行モータM1からの動力を前輪610に伝達する。
(荷役)
リフトレバー706の傾きによって、昇降体606の上下動が制御される。ECU110は、リフトレバー706の傾きを検出し、傾きに応じた荷役操作量S2を示す信号を第2電力変換装置102に出力する。第2電力変換装置102は、荷役操作量S2に応じた電力を荷役モータM2に供給し、その回転を制御する。昇降体606は、油圧アクチュエータ116と連結される。油圧アクチュエータ116は、荷役モータM2が生成する回転運動を、直線運動に変換し、昇降体606を制御する。
(操舵)
レゾルバ122は、ステアリングホイール704の回転角を検出し、回転角を示す信号をECU110に出力する。ECU110は、回転角に応じた制御信号S3を第3電力変換装置104に出力する。第3電力変換装置104は、制御信号S3に応じた電力をステアリングモータM3に供給し、その回転数を制御する。転舵輪である後輪612は、タイロッド126を介してギアボックス124と連結される。ステアリングモータM3の回転運動は、油圧アクチュエータ118およびギアボックス124を介して、タイロッド126に伝達され、操舵が制御される。
以上がフォークリフト600全体の構成の説明である。続いて実施の形態に係る第1電力変換装置200の構成を説明する。
図4は、第1電力変換装置200の構成を示すブロック図である。第1電力変換装置200は、コントローラ202およびインバータ220を備える。インバータ220は、出力段224U〜224W、ゲート駆動回路222U〜222Wを備える。出力段224はそれぞれ、P線とN線の間に直列に設けられた上アームと下アームを含む。ゲート駆動回路222U〜Wはそれぞれ、コントローラ202からの駆動信号S7に応じて、対応する出力段224U〜Wをスイッチングする。
コントローラ202は、指令値生成部203、トルク制限部208、メモリ212、パルス変調器210を含む。
指令値生成部203は、ECU110から制御指令値として、走行操作量S1を示す信号を受け、走行操作量S1に応じたトルク指令値S5を生成する。指令値生成部203の構成は特に限定されないが、たとえば指令値生成部203は、減算器204およびPI(比例・積分)制御部206を含む。減算器204には、走行モータM1の回転状態(回転数)を示す検出信号S4がフィードバックされる。減算器204は、走行操作量S1と検出信号S4の偏差を算出する。PI制御部206は、偏差を受け、偏差がゼロとなるように値が制御されるトルク指令値S5を出力する。
トルク制限部208は、トルク指令値S5を、走行モータM1の回転−トルク(N−T)特性の上限を規定する制限曲線以下に制限する。図5は、回転−トルク特性を示す図である。トルク制限部208は複数のモードが切りかえ可能に構成され、モードごとに、制限曲線が定義される。本実施の形態では、トルク制限部208は3つのモード(第1〜第3モード)が切りかえ可能であり、図5には3つの制限曲線(i)〜(iii)が例示される。第1モードを省エネモード、第2モードを通常モード、第3モードをパワーモードとも称する。モードごとの制限曲線は、メモリ212に格納される。
後述するようにトルク制限部208は、フォークリフト600に対する操作入力、フォークリフト600の動作状態に応じて、自律的にモードを切りかえ、トルク指令値S5に対して適用する制限曲線を切りかえる。
パルス変調器210は、トルク制限部208によって制限を受けたトルク指令値S6を受け、トルク指令値S6に応じてパルス変調された駆動信号S7を生成する。その結果、インバータ220は、トルク指令値S6に応じた電力を、走行モータM1に供給する。
以上が第1電力変換装置200の構成である。続いてトルク制限部208によるモード制御を説明する。
(走行操作量にもとづくモード制御)
トルク制限部208は、走行操作量S1に応じて、モードを切りかえることにより、制限曲線を切りかえる。カウンターフォークリフトにおいては、走行操作量S1は、アクセルペダル708の踏み込み量に対応し、リーチフォークリフトでは、走行レバー(アクセルレバー)の傾きが走行操作量S1に対応する。
図6(a)〜(d)は、走行操作量に応じたモード切りかえの例を示す波形図である。縦軸は、走行操作量S1を、横軸は、アクセルペダル708を踏み込みはじめてからの経過時間(操作時間)を示す。MODE1〜MODE3はそれぞれ、第1モード(省エネモード)、第2モード(通常モード)、第3モード(ハイパワーモード)を示す。図6(a)では、トルク制限部208は、走行操作量S1と所定のしきい値TH1、TH2との比較結果に応じて、モードを切りかえる。走行操作量S1が大きい場合、すなわちアクセルの踏み込み量が大きく、あるいは走行レバーを大きく傾けた場合には、ユーザが高速走行を意図している可能性が高く、走行操作量S1が小さい場合、それほどの高い速度は必要ない可能性が高い。そこで走行操作量S1が大きい場合には、高トルクを出力するモードを選択し、走行操作量S1が小さい場合には、低トルクを出力するモードを選択することにより、ユーザの操作感を損なわずに、消費電力を低減できる。
図6(b)〜(d)の例では、トルク制限部208は、走行操作量S1と所定のしきい値TH1、TH2との比較結果に加えて、アクセルペダル708の操作時間tを、モードの切りかえに反映させる。図6(b)では、t<t1においては、S1<TH1のとき第1モードが選択され、TH1<S1<TH2のとき第2モードが選択され、TH2<S1の範囲のとき第3モードが選択される。t1<t<t2においては、S1<TH2のとき第2モードが選択され、TH2<S1のとき第3モードが選択される。t2<t<t3においては、S1<TH2のとき第2モードが選択され、TH2<S1のとき第3モードが選択される。t3<tにおいては、第3モードが選択される。
図6(c)では、t<t1においては第1モードが選択される。t1<t<t2においては、S1<TH1のとき第1モードが選択され、TH1<S1のとき第2モードが選択される。t2<tにおいては、S1<TH1のとき第1モードが選択され、TH1<S1<TH2のとき第2モードが選択され、TH2<S1のとき第3モードが選択される。
図6(d)では、t<t1においては、S1<TH1のとき第1モードが選択され、TH1<S1のとき第2モードが選択される。t1<tにおいては、S1<TH1のとき第2モードが選択され、TH1<S1のとき第3モードが選択される。
トルク制限部は、フォークリフトが登坂中か否かを検出する登坂検出部を含み、検出結果に応じてモードを切りかえてもよい。
図6(b)、(d)においても、図6(c)と同様にモードの境界を傾斜させてもよい。当業者には、図6(a)〜(d)に例示されるマップ以外にも、さまざまなマップが定義しうることが理解され、それらも本発明の範囲に含まれる。
(車両の状態にもとづくモード制御)
図7は、トルク制限部208の構成例を示すブロック図である。
トルク制限部208は、イベント検出部230、モードセレクタ240、クランパ242を備える。イベント検出部230は、モードを遷移させる契機となるイベントを検出する。
モードセレクタ240は、上述の走行操作量S1に加えて、検出されたイベントの種類に応じてモードを選択する。モードセレクタ240は、選択したモードに応じた制限曲線をメモリ212から読み出し、クランパ242に出力する。クランパ242は、与えられた制限曲線を超えないように、トルク指令値S5をクランプする。
イベント検出部230は、加減速検出部232、登坂検出部234、急旋回検出部236、荷物検出部238を備える。
加減速検出部232は、走行モータM1が加減速を繰り返したか否かを検出し、連続的な加減速を検出するとアサートされる検出信号S11を生成する。加減速検出部232は、走行操作量S1、トルク指令値S5、走行モータM1のコイルに流れる電流、走行モータM1の回転状態を示す検出信号S4、あるいは前後進レバー712への操作入力のいずれか、あるいはそれらの組み合わせにもとづいて、連続的な加減速を検出してもよい。モードセレクタ240は、検出信号S11がアサートされると、複数のモードの中から、トルク制限値が低いモード、すなわち第1モード(省エネモード)、あるいは第2モード(通常モード)を選択する。
フォークに荷物を載せる際には、荷物に対してフォークを高い精度で制御する必要がある。またフォークから荷物をおろす際にも、荷物を下ろす場所に対してフォークを高い精度で制御する必要がある。この場合、フォークリフトのユーザは走行操作手段であるアクセルペダル708、前後進レバー712を頻繁に動かしながら、車体を前後に動かす動作を繰り返し、位置決めを行う。そしてこのように車体を細かく動かす際には、走行モータM1のトルクが低くても、ユーザはストレスを感じにくい。そこで、加減速の繰り返しが検出された場合には、低トルクを出力するモードを選択することにより、ユーザの操作感を損なわずに、消費電力を低減できる。
登坂検出部234は、フォークリフト600が登坂中か否かを検出し、登坂状態でアサート(たとえばハイレベル)される検出信号S12を生成する。たとえば登坂検出部234は、重力センサ、加速度センサ、傾斜センサなどを用いて構成できる。モードセレクタ240は、検出信号S12がアサートされると、複数のモードの中から、トルク制限値が高いモード、すなわち第3モード(ハイパワーモード)、あるいは第2モード(通常モード)を選択する。一般に登坂には高トルクが必要とされる。そこで登坂を検出した場合には、高トルクを出力可能なモードを選択することにより、操作感を高めることができる。
急旋回検出部236は、フォークリフトの車体の急旋回の発生を監視し、急旋回を検出するとアサートされる検出信号S13を生成する。急旋回検出部236は、回転方向の加速度センサの出力、ステアリングホイール704への操作入力などにもとづいて検出できる。モードセレクタ240は、検出信号S13がアサートされると、複数のモードの中から、トルク制限値が低いモード、すなわち第1モード(省エネモード)、あるいは第2モード(通常モード)を選択する。
急旋回を行う際には、走行モータのトルクが低くても、ユーザはストレスを感じにくい。また安全性の観点からも速度はある程度制約した方が好ましい場合もある。そこで、急旋回が検出された場合には、低トルクを出力するモードを選択することにより、ユーザの操作感を損なわずに、消費電力を低減できる。
荷物検出部238は、フォークに荷物が積載されているか否かを監視し、荷物が検出されるとアサートされる検出信号S14を生成する。荷物の積載の有無および/またはその重量は、重量センサの出力にもとづいて検出してもよい。あるいは荷物の積載の有無は、リフトレバー706の操作入力(荷役操作量S2)にもとづいて検出してもよい。モードセレクタ240は、検出信号S14がアサートされると、複数のモードの中から、トルク制限値が低いモード、すなわち第1モード(省エネモード)、あるいは第2モード(通常モード)を選択する。
フォークリフトが荷物を搭載した状態で、急発進、高速移動、急停止を行うと、車体が不安定となるため、安全性の観点からはかえってトルクは制限することが望ましい。そこで荷物の搭載が検出された場合には、低トルクを出力するモードを選択することにより、車体の安定性を確保しつつ、消費電力を低減できる。
一方で、フォークリフトが重い荷物を搭載した状態では、トルクを制限すると、加速が悪くなり操作感が損なわれることになる。そこである程度重い荷物の搭載が検出された場合には、高トルクを出力するモードを選択することで操作感を維持してもよい。
荷物の積載時において、低トルクとすべきか、高トルクとすべきかは、荷物の重量や運転状況に応じて選択してもよい。あるいは、重さにかかわらず、安全性を優先して第1モード、第2モードを選択してもよいし、操作感を優先して第2モード、第3モードを選択してもよい。
以上がフォークリフト600の構成である。続いてその動作を説明する。
ユーザがアクセルペダル708および前後進レバー712を操作しながら、フォークリフト600を走行させると、走行操作量S1に応じてモードが制御される。その際には、各種イベントの発生が監視されており、イベントが検出されるとモードに反映される。すなわちモードセレクタ240は、走行操作量S1にもとづくモード制御と、イベント検出部230の検出結果にもとづくモード制御を併用する。
たとえばモードセレクタ240は、イベントが検出されない状態では、走行操作量S1にもとづいてモードを選択し、イベントが発生すると、そのイベントに応じたモードを選択する。
以上がフォークリフト600の動作である。
このフォークリフト600によれば、ユーザがモードを意識せずに、走行操作手段であるアクセルペダル708、前後進レバー712を操作すると、走行操作量S1に応じてモードが自動的に切りかわる。その結果、ユーザが意図的にモードを切りかえる必要がなくなり、消費電力を低減できる。
またフォークリフト600のさまざまな動作状態に対応づけられるイベントにもとづいてモードを選択することにより、ユーザがモードを意識せずに、フォークリフト600が自律的にモードを選択することができ、消費電力を低減できる。これにより、フォークリフト600の連続動作時間を延ばすことができ、作業効率を高めることができる。
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例を説明する。
以上が、車両の状態にもとづくモード制御である。これまでの説明では、各イベントごとに、設定すべきモードが定まる場合を説明したが、本発明はそれには限定されない。モードセレクタ240は、イベントが検出されるたびに、モードを1段階ずつ遷移させてもよい。本実施の形態において、モードを1段階トルクの上限が高くなる方向に遷移させる契機となるイベントをアップシーケンスイベントと称する。反対に、モードを1段階トルクの上限が低くなる方向に遷移させる契機となるイベントをダウンシーケンスイベントと称する。たとえば「登坂状態」、「重い荷物の積載」は、アップシーケンスイベントであり、その他の「加減速の繰り返し」、「急旋回」、「軽い荷物の積載」はダウンシーケンスイベントに対応づけることができる。
600…フォークリフト、602…車体、604…フォーク、606…昇降体、608…マスト、610…前輪、612…後輪、100…電池、200…第1電力変換装置、102…第2電力変換装置、104…第3電力変換装置、110…ECU、112…ギアボックス、114…ドライブシャフト、116,118…油圧アクチュエータ、120…ステアリングシャフト、122…レゾルバ、124…ギアボックス、126…タイロッド、202…コントローラ、203…指令値生成部、204…減算器、206…PI制御部、208…トルク制限部、210…パルス変調器、212…メモリ、220…インバータ、222…ゲート駆動回路、224…出力段、230…イベント検出部、232…加減速検出部、234…登坂検出部、236…急旋回検出部、238…荷物検出部、240…モードセレクタ、242…クランパ、M1…走行モータ、M2…荷役モータ、M3…ステアリングモータ、700…操縦パネル、702…イグニッションスイッチ、704…ステアリングホイール、706…リフトレバー、708…アクセルペダル、710…ブレーキペダル、712…前後進レバー、714…ダッシュボード。

Claims (12)

  1. フォークリフトの車輪に動力を伝達する走行モータに電力を供給する電力変換装置であって、
    ユーザが前記走行モータを制御するための走行操作手段から走行操作量を受け、当該走行操作量に応じたトルク指令値を生成する指令値生成部と、
    前記トルク指令値を、前記走行モータの回転−トルク(N−T)特性の上限を規定する制限曲線以下に制限するトルク制限部であって、複数のモードごとにあらかじめ定められた制限曲線を保持しており、前記走行操作量に応じて、モードを切りかえることにより前記制限曲線を切りかえるトルク制限部と、
    前記トルク指令値に応じた電力を前記走行モータに供給するインバータと、
    を備えることを特徴とする電力変換装置。
  2. 前記トルク制限部は、前記走行操作量と所定のしきい値との比較結果に応じて、前記モードを切りかえることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記トルク制限部は、前記走行操作量と所定のしきい値との比較結果に加えて、操作時間に応じて、前記モードを切りかえることを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記トルク制限部は、あらかじめ定められたイベントの発生を監視し、その結果にもとづいて前記モードを切りかえることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電力変換装置。
  5. 前記トルク制限部は、前記走行モータが加減速を繰り返したか否かを検出する加減速検出部を含み、検出結果に応じて前記モードを切りかえることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電力変換装置。
  6. 前記トルク制限部は、前記フォークリフトが登坂中か否かを検出する登坂検出部を含み、検出結果に応じて前記モードを切りかえることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電力変換装置。
  7. 前記トルク制限部は、前記フォークリフトの車体の急旋回を検出する急旋回検出部を含み、検出結果に応じて前記モードを切りかえることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電力変換装置。
  8. 前記トルク制限部は、フォークに荷物が積載されているか否かを検出する荷物検出部をさらに備え、検出結果に応じてモードを切りかえることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の電力変換装置。
  9. 前記トルク制限部は、所定のアップシーケンスイベントを検出すると、トルクの制限値が1段階高いモードに切りかえ、所定のダウンシーケンスイベントを検出すると、トルクの制限値が1段階低いモードに切りかえることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の電力変換装置。
  10. 前記トルク制限部は、第1モードと、第2モードが切りかえ可能に構成され、
    前記第1モードに対して第1制限曲線が規定され、前記第2モードに対して前記第1制限曲線よりも上限が高い第2制限曲線が規定されることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の電力変換装置。
  11. 前記トルク制限部は、前記第1モード、前記第2モードに加えて第3モードが規定され、
    前記第3モードに対して前記第2制限曲線よりも上限が高い第3制限曲線が規定されることを特徴とする請求項10に記載の電力変換装置。
  12. 車体と、
    前記車体を支持する車輪と、
    前記車輪に動力を伝達する走行モータと、
    前記走行モータを駆動する請求項1から11のいずれかに記載の電力変換装置と、
    を備えることを特徴とするフォークリフト。
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