JP2015000617A - 電動フォークリフトのパワーステアリング用の電力変換装置およびそれを用いた電動フォークリフト - Google Patents
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Abstract
【課題】パワーステアリング用のDCモータに流れる過電流を抑制する。【解決手段】電力変換装置300は、電動フォークリフトに搭載され、電動フォークリフトのステアリングホイールの回転角を示す制御指令値S3にもとづき、ステアリングモータM3を駆動する。電圧指令値生成部304は、制御指令値S3に応じて、ステアリングモータM3に印加すべき駆動電圧を指示する電圧指令値S5を生成する。電圧調節部306は、電動フォークリフトの転舵輪の状態に応じた係数を電圧指令値S5に乗算する。パルス変調器308は、電圧調節部306を経た電圧指令値S6に応じたデューティ比を有する駆動パルスS4を生成する。ドライバ310は、駆動パルスS4にもとづいてチョッパスイッチ302を駆動する。【選択図】図5
Description
本発明は、電動フォークリフト用のパワーステアリング用のモータを駆動する電力変換装置に関する。
産業車両のひとつに、電池を動力源とする電動フォークリフトがある。電動フォークリフト(以下単にフォークリフトとも称する)は、油圧操舵パワーアシスト機構(パワーステアリング機構ともいう)を備えている。パワーステアリング機構は、パワーステアリング用の油圧アクチュエータと、油圧アクチュエータに動力を与えるステアリングモータ、ステアリングモータを駆動する電力変換装置(モータ駆動装置)を備える。
ステアリングモータには、直流(DC)モータが用いられ、電力変換装置300rはDCモータをチョッパ制御し、その回転状態を制御する。図1は、本発明者らが検討した電力変換装置300rの構成を示す図である。
直流バス(P線およびN線)の間には、直流電圧VDCが供給される。チョッパスイッチ302は、直流バスの間に、ステアリングモータM3と直列に設けられる。コントローラ390は、図示しないステアリングホイール用のエンコーダから、ステアリングホイールの回転角を示す制御指令値S3を受ける。コントローラ390は、制御指令値S3にもとづいて、チョッパスイッチ302をスイッチングするための駆動パルスS4を生成する。ドライバ392は、駆動パルスS4に応じてチョッパスイッチ302をスイッチングする。
駆動パルスS4のデューティ比をD4とするとき、ステアリングモータM3に印加される駆動電圧VDRVの時間平均値(実効値)は、VDC×D4で与えられる。
DCモータに流れる電流は、同じ駆動電圧を印加した状態において、その負荷に応じて変化する。フォークリフトの転舵輪が段差などに接触したり、あるいは、転舵輪の機構上の回動範囲の両端(つまりハンドルをいっぱいに切った状態、以下、エンドという)に到達した状態では、DCモータの負荷が大きくなり、DCモータに流れる電流が増大する。かかる状況は、省エネの観点から好ましくなく、またDCモータに過電流が流れ続けると、DCモータあるいはチョッパスイッチ302の信頼性に影響を及ぼすおそれがある。
そこで図1の電力変換装置300rは、過電流保護を目的として、ステアリングモータM3およびチョッパスイッチ302と直列に設けられた検出抵抗Rsを備える。検出抵抗Rsには、ステアリングモータM3に流れる電流IM3に比例した電圧降下(電流検出値)Vsが発生する。コントローラ390には、電流検出値Vsがフィードバックされ、検出電圧Vsが所定のしきい値を超えないように、駆動パルスS4のデューティ比に制限をかける。たとえば特許文献3の段落[0009]には、ステアリング機構の保護の観点から、ステアリングモータM3の電流の上限値を小さく設定することが記載されている。
しかしながら、ステアリングモータM3の電流の上限値を低く設定すると、パワーステアリングの効果が抑制されることになり、これはすなわち操舵性能の低下につながる。
本発明は係る課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、過電流を抑制可能な、パワーステアリングモータ用の電力変換装置の提供にある。
本発明のある態様は、電動フォークリフトに搭載され、電動フォークリフトのステアリングホイールの回転角を示す制御指令値にもとづき、パワーステアリング用の直流モータを駆動する電力変換装置に関する。電力変換装置は、直流モータと直列に設けられたチョッパスイッチと、制御指令値に応じて、直流モータに印加すべき駆動電圧を指示する電圧指令値を生成する電圧指令値生成部と、電動フォークリフトの転舵輪の状態に応じて電圧指令値を調節する電圧調節部と、電圧調節部を経た電圧指令値に応じたデューティ比を有する駆動パルスを生成するパルス変調器と、駆動パルスにもとづいてチョッパスイッチを駆動するドライバと、を備える。
この態様によれば、転舵輪の状態にもとづき、直流モータに大電流が流れるおそれがあるときには、電圧指令値を小さくすることにより、直流モータに印加される駆動電圧を小さくでき、それにより大電流が流れ続けるのを防止できる。
この態様によれば、転舵輪の状態にもとづき、直流モータに大電流が流れるおそれがあるときには、電圧指令値を小さくすることにより、直流モータに印加される駆動電圧を小さくでき、それにより大電流が流れ続けるのを防止できる。
電圧調節部は、電動フォークリフトの転舵輪の状態に応じた係数を電圧指令値に乗算してもよい。
直流モータに大電流が流れるおそれがあるときには、係数を小さくすることにより、直流モータに印加される駆動電圧を小さくでき、それにより大電流が流れ続けるのを防止できる。
直流モータに大電流が流れるおそれがあるときには、係数を小さくすることにより、直流モータに印加される駆動電圧を小さくでき、それにより大電流が流れ続けるのを防止できる。
係数は、転舵輪の転舵角に応じていてもよい。係数は、転舵輪がエンドに近づくほど小さくなるように定められてもよい。この態様によれば、転舵輪がエンドに到達したときに、直流モータに印加される駆動電圧を小さくできる。
係数は、転舵角に対してヒステリシスを有してもよい。この場合、転舵角が、転舵輪がエンドから離れる方向に変化するとき、係数を緩やかに上昇させてもよい。
転舵輪がエンドから遠ざかる方向にステアリングホイールを回転させたときに、急激に係数を大きくすると、パワーステアリングのアシストが過剰となるおそれがある。そこで、係数を緩やかに変化させることで、自然な操作感を提供できる。
転舵輪がエンドから遠ざかる方向にステアリングホイールを回転させたときに、急激に係数を大きくすると、パワーステアリングのアシストが過剰となるおそれがある。そこで、係数を緩やかに変化させることで、自然な操作感を提供できる。
係数は、直流モータに流れる電流と制御指令値に応じていてもよい。この場合、転舵輪がエンドに到達した場合のみでなく、転舵輪が障害物に接触した場合にも、直流モータに印加される駆動電圧を小さくできる。
係数は、ステアリングホイールの回転角速度が所定のしきい値速度より小さく、かつ直流モータに流れる電流が所定のしきい値電流より大きいときに、係数を通常の値より低下させてもよい。この場合、2つのしきい値を電流制御の効き具合を設定するためのパラメータとすることができ、操作感と電流抑制の効果のバランスをとることができる。
電圧調節部は、係数を通常の値から低下させるときには直ちに変化させ、係数を通常の値に戻すときには緩やかに変化させてもよい。急激に係数を大きくすると、パワーステアリングのアシストが過剰となるおそれがある。そこで、係数を緩やかに変化させることで、自然な操作感を提供できる。
本発明の別の態様は、電動フォークリフトに関する。電動フォークリフトは、パワーステアリング用の直流モータと、直流モータを駆動する上述のいずれかの電力変換装置と、を備える。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、ステアリングモータに大電流が流れるのを抑制できる。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
図2は、フォークリフトの外観図を示す斜視図である。フォークリフト600は、車体(シャーシ)602、フォーク604、昇降体(リフト)606、マスト608、車輪610、612を備える。マスト608は車体602の前方に設けられる。昇降体606は、油圧アクチュエータ(図2に不図示、図4の816)などの動力源によって駆動され、マスト608に沿って昇降する。昇降体606には、荷物を支持するためのフォーク604が取り付けられている。
図3は、フォークリフトの操縦パネル700の一例を示す図である。操縦パネル700は、イグニッションスイッチ702、ステアリングホイール704、リフトレバー706、アクセルペダル708、ブレーキペダル710、ダッシュボード714、前後進レバー712を備える。
イグニッションスイッチ702は、フォークリフト600の起動用のスイッチである。ステアリングホイール704は、フォークリフト600の操舵を行うための操作手段である。リフトレバー706は、昇降体606を上下に移動させるための操作手段である。アクセルペダル708は、走行用の車輪の回転を制御する操作手段であり、ユーザが踏み込み量を調節することでフォークリフト600の走行が制御される。ユーザがブレーキペダル710を踏み込むと、ブレーキがかかる。前後進レバー712は、フォークリフト600の走行方向を、前進と後進で切りかえるためのレバーである。
続いて、フォークリフト600の構成を、走行、荷役、操舵それぞれについて説明する。図4は、フォークリフト600の電気系統、機械系統の構成を示すブロック図である。コントローラ810は、フォークリフト600全体を制御するためのプロセッサである。
電池806は、P線およびN線の間に、電池電圧VBATを出力する。
電力変換装置800は、コントローラ810からの、第1制御指令値S1〜第3制御指令値S3にもとづき、走行モータM1、荷役モータM2、ステアリングモータ(操舵モータ)M3それぞれを駆動する。電力変換装置800は、第1電力変換装置100、第2電力変換装置200、第3電力変換装置300を含む。第1電力変換装置100は、電池電圧VBATを3相交流信号に変換して、走行モータM1に供給する。第2電力変換装置200は、電池電圧VBATを3相交流信号に変換して、荷役モータM2に供給する。第3電力変換装置300は、電池電圧VBATを受け、チョッパ制御によりDCモータであるステアリングモータM3を駆動する。
電力変換装置800は、コントローラ810からの、第1制御指令値S1〜第3制御指令値S3にもとづき、走行モータM1、荷役モータM2、ステアリングモータ(操舵モータ)M3それぞれを駆動する。電力変換装置800は、第1電力変換装置100、第2電力変換装置200、第3電力変換装置300を含む。第1電力変換装置100は、電池電圧VBATを3相交流信号に変換して、走行モータM1に供給する。第2電力変換装置200は、電池電圧VBATを3相交流信号に変換して、荷役モータM2に供給する。第3電力変換装置300は、電池電圧VBATを受け、チョッパ制御によりDCモータであるステアリングモータM3を駆動する。
(走行)
コントローラ810は、前後進レバー712からの前進、後進を指示する信号と、アクセルペダル708からの、踏み込み量に応じた走行操作量を示す信号を受け、それに応じた第1制御指令値S1を第1電力変換装置100に出力する。第1電力変換装置100は、第1制御指令値S1に応じて走行モータM1に供給する電力を制御する。第1制御指令値S1は、走行モータM1の目標速度を指示する速度指令値と相関を有する。駆動輪である左前輪(左駆動輪)610Lおよび右前輪(右駆動輪)610Rは、ディファレンシャルギア828を介して走行モータM1の動力により回転する。
コントローラ810は、前後進レバー712からの前進、後進を指示する信号と、アクセルペダル708からの、踏み込み量に応じた走行操作量を示す信号を受け、それに応じた第1制御指令値S1を第1電力変換装置100に出力する。第1電力変換装置100は、第1制御指令値S1に応じて走行モータM1に供給する電力を制御する。第1制御指令値S1は、走行モータM1の目標速度を指示する速度指令値と相関を有する。駆動輪である左前輪(左駆動輪)610Lおよび右前輪(右駆動輪)610Rは、ディファレンシャルギア828を介して走行モータM1の動力により回転する。
(荷役)
リフトレバー706の傾きによって、昇降体606の上下動が制御される。コントローラ810は、リフトレバー706の傾きを検出し、傾きに応じた荷役操作量を示す第2制御指令値S2を第2電力変換装置200に出力する。第2電力変換装置200は、第2制御指令値S2に応じた電力を荷役モータM2に供給し、その回転を制御する。昇降体606は、油圧アクチュエータ816と連結される。油圧アクチュエータ816は、荷役モータM2が生成する回転運動を、直線運動に変換し、昇降体606を制御する。
リフトレバー706の傾きによって、昇降体606の上下動が制御される。コントローラ810は、リフトレバー706の傾きを検出し、傾きに応じた荷役操作量を示す第2制御指令値S2を第2電力変換装置200に出力する。第2電力変換装置200は、第2制御指令値S2に応じた電力を荷役モータM2に供給し、その回転を制御する。昇降体606は、油圧アクチュエータ816と連結される。油圧アクチュエータ816は、荷役モータM2が生成する回転運動を、直線運動に変換し、昇降体606を制御する。
(操舵)
回転センサ822は、ステアリングホイール704の回転角を検出し、回転角を示す信号をコントローラ810に出力する。コントローラ810は、回転角に応じた第3制御指令値S3を第3電力変換装置300に出力する。第3電力変換装置300は、第3制御指令値S3に応じてステアリングモータM3を制御する。ステアリングモータM3の回転運動によって、油圧アクチュエータ818を介して、操舵が制御される。電力変換装置300、ステアリングモータM3、油圧アクチュエータ818は、いわゆるパワーステアリング機構を構成する。
回転センサ822は、ステアリングホイール704の回転角を検出し、回転角を示す信号をコントローラ810に出力する。コントローラ810は、回転角に応じた第3制御指令値S3を第3電力変換装置300に出力する。第3電力変換装置300は、第3制御指令値S3に応じてステアリングモータM3を制御する。ステアリングモータM3の回転運動によって、油圧アクチュエータ818を介して、操舵が制御される。電力変換装置300、ステアリングモータM3、油圧アクチュエータ818は、いわゆるパワーステアリング機構を構成する。
以上がフォークリフト600の全体構成である。以下、実施の形態に係る第3電力変換装置300について、第1の実施例に則して説明する。
(第1の実施例)
図5は、実施の形態に係る電力変換装置(第3電力変換装置)300の構成を示すブロック図である。ステアリング用のステアリングモータM3には、DC(直流)モータが使用される。電力変換装置300は、図3の回転センサ822から、ステアリングホイール704の回転角を示す第3制御指令値S3を受け、ステアリングホイール704の回転角速度に比例した駆動電圧VDRVをステアリングモータM3に印加し、ステアリングモータM3にトルクを発生させる。
図5は、実施の形態に係る電力変換装置(第3電力変換装置)300の構成を示すブロック図である。ステアリング用のステアリングモータM3には、DC(直流)モータが使用される。電力変換装置300は、図3の回転センサ822から、ステアリングホイール704の回転角を示す第3制御指令値S3を受け、ステアリングホイール704の回転角速度に比例した駆動電圧VDRVをステアリングモータM3に印加し、ステアリングモータM3にトルクを発生させる。
電力変換装置300は、いわゆるDCチョッパ制御を行う。電力変換装置300は、P線およびN線の間に、ステアリングモータM3と直列に設けられたチョッパスイッチ302を備える。チョッパスイッチ302がオンすると、ステアリングモータM3の両端間には、P−N間の直流電圧VBATが印加され、チョッパスイッチ302がオフするとステアリングモータM3の両端間はハイインピーダンスとなる。電力変換装置300は、チョッパスイッチ302を所定の周波数でスイッチングし、その周期に対するオン時間の時間比率(デューティ比)を変化させることで、ステアリングモータM3の両端間に印加される駆動電圧VDRVの時間平均値を変化させる。
電力変換装置300は、チョッパスイッチ302に加えて、電圧指令値生成部304、電圧調節部306、パルス変調器308、ドライバ310を備える。
電圧指令値生成部304は、制御指令値S3に応じて、ステアリングモータM3に印加すべき駆動電圧VDRVを指示する電圧指令値S5を生成する。たとえば電圧指令値生成部304は、制御指令値S3の変化速度、つまり、ステアリングホイール704の回転角速度に比例した電圧指令値S5を生成する。電圧指令値生成部304は、制御指令値S3を微分する微分器を含んでもよい。
電圧調節部306は、電動フォークリフト600の転舵輪である後輪612の状態に応じた係数Kを電圧指令値S5に乗算する。
より具体的には、電圧調節部306は、転舵輪の状態にもとづき、ステアリングモータM3に大電流が流れるおそれがある状況を検出、あるいは推定し、ステアリングモータM3に大電流が流れるおそれがある場合には、係数Kを小さくすることにより、ステアリングモータM3に印加される駆動電圧VDRVを小さくする。
以下、電圧調節部306による係数Kの制御方法について説明する。
本実施例において、電圧調節部306は、転舵輪である後輪612の転舵角(トレイル角ともいう)に応じて、係数Kを変化させる。フォークリフト600の後輪612は、たとえばアッカーマンリンク機構によって回動可能となっている。そして、左右の後輪612の少なくとも一方には、その転舵角を示す転舵角検出値θrを生成するトレイル角センサが取り付けられている。本実施の形態では、転舵角θrは、右後輪の回転角を示すものとし、直進時においてθr=0であり、左旋回時に正の値を、右旋回時に負の値をとるものとする。なお、本発明において転舵角θrのとりかたは特に限定されない。
図6は、転舵角θrと係数Kの関係を示す図である。なお、転舵角θrを右後輪の回転角として定義する関係上、厳密にいえば、θrとKの関係は左右非対称となるが、ここでは簡潔に左右対称として示している。
図6に示すように、転舵輪がエンドから遠い状態、つまりトレイル角θrの、θa〜θbの範囲内では、係数Kは1となり、電圧指令値生成部304により生成された電圧指令値S5がそのまま、パルス変調器308に入力される。一方、転舵輪θrが左右それぞれのエンド角θENDL、θENDRに近づくにしたがって係数Kの値は小さくなり、パルス変調器308に入力される電圧指令値S6のレベルが小さくなる。
なお電圧調節部306の構成は特に限定されず、当業者によれば、上述の機能を有する電圧調節部306を、デジタル回路、あるいはアナログ回路、もしくはそれらの組み合わせによって実現しうることが理解される。
パルス変調器308は、電圧調節部306を経た電圧指令値S6を受け、電圧指令値S6に応じたデューティ比を有する駆動パルスS4を生成する。ドライバ310は、駆動パルスS4にもとづいてチョッパスイッチ302を駆動する。
以上が電力変換装置300の構成である。続いてその動作を説明する。
図7は、図5の電力変換装置300の動作波形図である。図7には上から順に、転舵角θr、電圧指令値S5、係数K、電圧調節部306を経た電圧指令値S6、ステアリングモータM3に流れる電流IM3が示される。
図7は、図5の電力変換装置300の動作波形図である。図7には上から順に、転舵角θr、電圧指令値S5、係数K、電圧調節部306を経た電圧指令値S6、ステアリングモータM3に流れる電流IM3が示される。
ここでは、運転者がステアリングホイール704を左方向に回転させたときの動作を説明する。本明細書における波形図やタイムチャートの縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化されている。
はじめに、電圧調節部306の効果を明確とするため、電圧調節部306を動作させないときの動作を説明する。このときの電流波形は一点鎖線で示される。
時刻t0以前は直進しており、時刻t0に運転者がステアリングホイール704を左方向に回転しはじめる。本実施の形態において、電圧指令値S5は制御指令値S3の微分値に比例する。
電圧調節部306を動作させないとき、パルス変調器308には、電圧指令値S5が直接入力される。時刻t1に転舵角θrがエンド角θENDRに到達する。その直前において、ステアリングモータM3の負荷が非常に大きくなるため、一点鎖線で示すように、ステアリングモータM3には大電流IM3が流れる。
続いて、電圧調節部306を動作させたときの動作を説明する。
転舵角θrがエンド角θENDRに近づくにしたがい、係数Kは最小値KMINに向かって低下していく。これによりパルス変調器308に入力される電圧指令値S6の値も低下していく。これにより、ステアリングモータM3に印加される駆動電圧VDRVが小さくなり、ステアリングモータM3に流れる電流IM3は実線で示すように抑制される。
以上が電力変換装置300の動作である。
実施の形態に係る電力変換装置300によれば、トレイル角センサからの出力にもとづいて転舵輪612がそのエンドに近づいたことを検出し、エンドに近づくと、電圧指令値S6を低下させることにより、過電流を防止することができる。これにより省エネ化を図ることができ、また、回路保護を実現できる。
(第2の実施例)
図8(a)は、転舵角θrと係数Kの関係を示す図であり、図8(b)は、図8(a)の関係にもとづく電力変換装置300の動作波形図である。
図8(a)は、転舵角θrと係数Kの関係を示す図であり、図8(b)は、図8(a)の関係にもとづく電力変換装置300の動作波形図である。
図8(a)に示すように、第2の実施例において、係数Kは転舵角θrに対してヒステリシスを有している。具体的には転舵角θrが、転舵輪がエンドに近づく方向に変化するとき、つまりその絶対値が大きくなる方向に変化するとき、転舵角θrに対する係数Kの傾きは小さく、(ii)反対に転舵角θrが、転舵輪がエンドから遠ざかる方向に変化するとき、つまりその絶対値が小さくなる方向に変化するとき、係数Kの傾きは大きくなる。
ただし、転舵角θrの絶対値が小さくなるときに、係数Kを瞬時に増大させると、パルス変調器308に入力される電圧指令値S6が急激に増大することになり、好ましくない。そこで係数Kを増大させるときには、図8(c)に一点鎖線で示すように、その増大速度を制限し、緩やかに変化させることが好ましい。
転舵輪がエンドから遠ざかる方向にステアリングホイール704を回転させたときに、急激に係数Kを大きくすると、パワーステアリングのアシストが過剰となるおそれがある。この実施例によれば、係数Kを緩やかに変化させることで、自然な操作感を提供できる。
(第3の実施例)
第1、第2の実施例では、トレイル角センサの検出値に応じて、転舵輪が機械的なエンドに到達したことを検出していた。したがって、転舵輪の回転が機械的なエンドではなく、障害物との接触によって妨げられているときには、大電流を抑制することはできない。これに対して、第3の実施例では、障害物との接触に起因する大電流を抑制可能な技術を説明する。
第1、第2の実施例では、トレイル角センサの検出値に応じて、転舵輪が機械的なエンドに到達したことを検出していた。したがって、転舵輪の回転が機械的なエンドではなく、障害物との接触によって妨げられているときには、大電流を抑制することはできない。これに対して、第3の実施例では、障害物との接触に起因する大電流を抑制可能な技術を説明する。
この実施例において電圧調節部306は、ステアリングモータM3に流れる電流IM3および制御指令値S3に応じて、係数Kを設定する。制御指令値S3の変化がゼロ近傍の値をとるとき、それは、(i)運転者がハンドル操作を行っていないか、(ii)運転者がステアリングホイール704を回転させようとしているにもかかわらず、転舵輪の回転が障害物により妨げられているか、のいずれかである可能性が高い。前者(i)の場合、パワーアシストは行われていないから、ステアリングモータM3の電流IM3は実質的にゼロであり、後者(ii)の場合、パワーアシストは働いているため、ステアリングモータM3には非ゼロの電流IM3が流れる。したがって、電流IM3および制御指令値S3の双方を参照することにより、転舵輪の回転が障害物に妨げられている状況を検出することができる。
具体的には、係数Kは、ステアリングホイール704の回転角速度、つまりトレイル角の微分値(トレイル角速度ともいう)θr’が所定のしきい値速度θTH’より小さく、かつステアリングモータM3に流れる電流IM3が所定のしきい値電流ITHより大きいときに、係数Kを通常の値より低下させる。電圧指令値S5が、転舵角θrの微分値に比例するよう生成される場合、電圧調節部306は、電圧指令値S5をトレイル角速度θr’として扱い、電圧指令値S5を、しきい値速度θTH’に対応するしきい値STHと比較してもよい。
より好ましくは、電圧調節部306は、係数Kを通常の値から低下させるときには直ちに変化させ、係数Kを通常の値に戻すときには緩やかに変化させる。
以上が第3の実施例に係る電力変換装置300の構成である。続いてその動作を説明する。図9は、第3の実施例に係る電力変換装置300の動作波形図である。
時刻t0以前は直進しており、時刻t0に運転者がステアリングホイール704を左方向に回転しはじめる。時刻t1に、転舵輪が障害物に接触すると、トレイル角速度θr’が小さくなる。このとき、ステアリングモータM3の負荷が大きくなり、障害物に逆らう高トルクを発生させるため電流IM3が増大する。
時刻t1に、トレイル角速度θr’がしきい値θTH’より小さくなり、電流IM3がしきい値ITHより大きくなると、電圧調節部306は係数Kを低下させる。これにより、ステアリングモータM3に印加される駆動電圧VDRVが小さくなり、電流IM3が抑制される。
時刻t2に、電流IM3がしきい値ITHより小さくなると、電圧調節部306は、係数Kを通常の値に戻す。このとき、電圧調節部306は、係数Kを所定の傾き、あるいは所定の時定数にしたがって緩やかに変化させる。
以上が第3の実施例に係る電力変換装置300の動作である。
この実施例によれば、転舵輪の回転が機械的なエンドと接触した場合のみでなく、障害物との接触によって妨げられているときにも、大電流を抑制することができる。
また、2つのしきい値θTH’およびITHの値をパラメータとして、電流制御の効き具合を調節することが可能となるため、操作感と電流抑制の効果のバランスをとることができる。
さらに、係数Kを通常の値に復帰させるときに、緩やかに変化させることにより、ユーザが反対にハンドルを切ったときに、パワーステアリングの過剰なアシストを抑制でき、自然な操作感を提供できる。
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
本発明は、電動フォークリフトには限定されず、それと類似する機構を有するさまざまな産業車両に適用できる。
600…フォークリフト、602…車体、604…フォーク、606…昇降体、608…マスト、610…前輪、612…後輪、100…第1電力変換装置、200…第2電力変換装置、300…電力変換装置、302…チョッパスイッチ、304…電圧指令値生成部、306…電圧調節部、308…パルス変調器、310…ドライバ、800…電力変換装置、806…電池、810…コントローラ、816,818…油圧アクチュエータ、820…ステアリングシャフト、822…回転センサ、824…ギアボックス、826…タイロッド、828…ディファレンシャルギア、M1…走行モータ、M2…荷役モータ、M3…ステアリングモータ、700…操縦パネル、610L…左駆動輪、610R…右駆動輪、702…イグニッションスイッチ、704…ステアリングホイール、706…リフトレバー、708…アクセルペダル、710…ブレーキペダル、712…前後進レバー、714…ダッシュボード、S3…制御指令値、S4…駆動パルス、S5,S6…電圧指令値。
Claims (9)
- 電動フォークリフトに搭載され、前記電動フォークリフトのステアリングホイールの回転角を示す制御指令値にもとづき、パワーステアリング用の直流モータを駆動する電力変換装置であって、
前記直流モータと直列に設けられたチョッパスイッチと、
前記制御指令値に応じて、前記直流モータに印加すべき駆動電圧を指示する電圧指令値を生成する電圧指令値生成部と、
前記電動フォークリフトの転舵輪の状態に応じて前記電圧指令値を調節する電圧調節部と、
前記電圧調節部を経た前記電圧指令値に応じたデューティ比を有する駆動パルスを生成するパルス変調器と、
前記駆動パルスにもとづいて前記チョッパスイッチを駆動するドライバと、
を備えることを特徴とする電力変換装置。 - 前記電圧調節部は、前記電動フォークリフトの前記転舵輪の状態に応じた係数を前記電圧指令値に乗算することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
- 前記係数は、前記転舵輪の転舵角に応じていることを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
- 前記係数は、前記転舵輪がエンドに近づくほど小さくなるように定められることを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
- 前記係数は、前記転舵角に対してヒステリシスを有することを特徴とする請求項3または4に記載の電力変換装置。
- 前記係数は、前記直流モータに流れる電流と前記制御指令値に応じていることを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
- 前記係数は、前記ステアリングホイールの回転角速度が所定のしきい値速度より小さく、かつ前記直流モータに流れる電流が所定のしきい値電流より大きいときに、前記係数を通常の値より低下させることを特徴とする請求項6に記載の電力変換装置。
- 前記電圧調節部は、前記係数を通常の値から低下させるときには直ちに変化させ、前記係数を前記通常の値に戻すときには緩やかに変化させることを特徴とする請求項7に記載の電力変換装置。
- パワーステアリング用の直流モータと、
前記直流モータを駆動する請求項1から8のいずれかに記載の電力変換装置と、
を備えることを特徴とするフォークリフト。
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JP6352576B1 (ja) * | 2018-01-19 | 2018-07-04 | 株式会社ショーワ | 操舵装置 |
US11711066B2 (en) | 2018-10-18 | 2023-07-25 | Fraunhofer-Gesellschaft Zur Forderung Der Angewandten Forschung E.V. | Electroacoustic resonator and method for manufacturing the same |
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