JP2013194118A - 界面活性剤混合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】陰イオン界面活性剤を多量に配合しても安定かつ均一な界面活性剤混合物が得られる製造方法を提供する。
【解決手段】(A)非イオン界面活性剤、(B)無水硫酸を反応することで調製された、スルホン酸基又は硫酸基を有する陰イオン界面活性剤の酸型前駆体、及び(C)(B)の中和剤、を含む原料を混合して、(B)の中和物を含む混合物を得ること、前記混合物から、水分量が15質量%以下の懸濁した混合物を得ること、前記懸濁した混合物から、(A)と(B)の中和物とを含む連続相とそれ以外の相とを分離すること、を行う、流動性の界面活性剤混合物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤を高濃度に含有する均一な液体界面活性剤混合物の製造方法及び該界面活性剤混合物から調製される液体洗浄剤組成物の製造方法に関する。
近年、環境保全などの観点から、液体洗剤の濃縮化が求められている。濃縮化を行うことにより、容器に使用される材料使用量の削減のみならず、各地への配送の上で、一度の搬送における出荷本数を増やすことができることからも非常に有意義である。ところで洗剤の濃縮化として衣料用の粉末洗剤の場合、成分の見直しと新しい製造方法を導入することにより高密度化することで達成され、既に製品として普及されている。一方、液体洗剤の濃縮化のためには、界面活性剤濃度を高めて水分量を減らすことが必要である。更に液体洗剤を設計する上で界面活性剤以外にアルカリ剤、キレート剤、酵素、香料、蛍光染料、防腐剤、分散剤、及び着色料などの成分も考慮する必要があり、製造の際にそれらの成分から水、有機溶剤及びその他不純分が持ち込まれることを考慮する必要がある。不純物は高濃度化に伴ってそれ自体の析出或いはその他成分の析出を助長することが懸念される。また原料としての界面活性剤ないし複数の界面活性剤からなる界面活性剤混合物は、水や有機溶媒の添加によって濁りなどを生じることなく、その他洗浄成分の添加による濁りや相分離が抑制されていることが好ましい。更に、なるべくならそれ自体が配管輸送可能な濃縮されたものが望まれ、高粘度化しないことが好ましい。当然ながら洗浄力を考慮して、洗浄性能の高い界面活性剤が選ばれるべきである。液体濃厚洗浄剤組成物として、洗浄効率を高めるには、非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤との併用が望ましいことが知られている(特許文献1)。また、洗剤組成物用の界面活性剤混合物の調製方法として、陰イオン界面活性剤の液体酸性前駆体と該酸性前駆体と等モル量の中和剤とを非イオン界面活性剤の存在下で同時にブレンドして、陰イオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤を含み、比較的低い含水率の液体界面活性剤組成物を製造する方法が知られている(特許文献2)。また、アルキルベンゼンスルホン酸に所定の非イオン界面活性剤を添加して、遊離硫酸の含有量を低下させるアルキルベンゼンスルホン酸の製造方法の改良技術が知られている(特許文献3)。更に、第二級(2,3)アルキル硫酸塩の1種以上と公知の洗浄剤補助添加物および水系キャリアー物質からなる均質な液状もしくはゲル状洗剤組成物を調製するために、水溶性無機硫酸塩汚染物を水で除去する方法が知られている(特許文献4)
なお、陰イオン界面活性剤の製造段階で遊離硫酸を除く技術には、トルエン・アルコール・水銀・有機アミン・カルボン酸アミド等を添加する方法または濃塩酸抽出方、空気処理法などが知られている。
特開平9−31489号公報 特開平5−112797号公報 特公昭40−3978号公報 特表平8−509017号公報
しかしながら、界面活性剤を高濃度(水の非常に少ない系)で含有する液体洗浄剤組成物であって、主たる界面活性剤として非イオン界面活性剤とスルホン酸基又は硫酸基を有する陰イオン界面活性剤とを併用する場合、配合物が分離してしまうという問題がある。この分離の傾向は、陰イオン界面活性剤及びその酸前駆体の含有量よりも非イオン界面活性剤の含有量が多い場合において、より生じやすい。非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤及びその酸前駆体とを多量に配合しても均一な液体洗浄剤組成物を得るためには、相安定剤として作用する有機溶剤などを多量に配合する必要があり、洗浄力の観点から濃縮化の障害となっている。
すなわち本発明は、非イオン界面活性剤とスルホン酸基又は硫酸基を有する陰イオン界面活性剤及びその酸前駆体とを主に含有する安定かつ均一な界面活性剤混合物を得ること、またその界面活性剤混合物を原料として用いる場合に、安定かつ均一な液体洗浄剤組成物を得ることを課題とする。
この課題に対し、本発明者らは、非イオン界面活性剤、無水硫酸を反応することで調製されたスルホン酸基または硫酸基を有する陰イオン界面活性剤の酸前駆体、さらにその中和剤を混合した混合液が、濁りなどの相分離をしやすいことを見出し、該混合物を放置や遠心分離を行うことにより2又は3層を形成し、最上層が非イオン界面活性剤と酸前駆体に対応する陰イオン界面活性剤とを含む界面活性剤混合物溶液であり、下層が遊離硫酸及びその塩、又は場合によっては遊離硫酸塩の固体層を含有する水溶液であることを見出した。そして、安定性に影響を与えない均一な界面活性剤混合物を上層部に得られることを見出した。
本発明は、(A)非イオン界面活性剤〔以下、(A)成分という〕、(B)無水硫酸を反応することで調製された、スルホン酸基又は硫酸基を有する陰イオン界面活性剤の酸型前駆体〔以下、(B)成分という〕、及び(C)(B)の中和剤〔以下、(C)成分という〕、を含む原料(以下、混合原料という)を混合して、(B)成分の中和物を含む混合物を得ること、
前記混合物から、水分量が15質量%以下の懸濁した混合物を得ること、
前記懸濁した混合物から、(A)成分と(B)成分の中和物とを含む連続相とそれ以外の相とを分離すること、
を行う、流動性の界面活性剤混合物の製造方法に関する。
また、本発明は、上記本発明の製造方法によって得られた界面活性剤混合物、水、水溶性有機溶剤、(A)及び(B)の中和物以外の洗浄成分、並びに任意の補助成分を混合してなる、液体洗浄剤組成物に関する。
また、本発明は、
(A)非イオン界面活性剤、(B)無水硫酸を反応することで調製された、スルホン酸基又は硫酸基を有する陰イオン界面活性剤の酸型前駆体、及び(C)(B)の中和剤、を含む原料(以下、混合原料という)を混合して、(B)の中和物を含む混合物を得ること、
前記混合物から、水分量が15質量%以下の懸濁した混合物を得ること、
前記懸濁した混合物から、(A)と(B)の中和物とを含む連続相とそれ以外の相とを分離すること、
分離により得られた(A)と(B)の中和物とを含む連続相からなる流動性の界面活性剤混合物に、水、水溶性有機溶剤、(A)及び(B)の中和物以外の洗浄成分、並びに任意の補助成分を混合すること、
を行う、液体洗浄剤組成物の製造方法に関する。
なお本発明でいう流動性とは、20℃で流動するものを指す。具体的には、20℃における粘度が、好ましくは1500mPa・s以下、更に好ましくは1000mPa・s以下、より好ましくは500mPa・s以下であるものを流動性の界面活性剤混合物とすることができる。なお、この粘度の下限値として、具体的には10mPa・s以上のものが得られる。界面活性剤混合物の流動性は、組み合わせる界面活性剤やアルカリ剤によって異なる。
また、本発明において、界面活性剤混合物の粘度はB型粘度計により測定する。ローターは粘度に合ったものを選択する。回転数60r/minで回転し、回転開始から60秒後の粘度を界面活性剤混合物の粘度とする。
本発明により、陰イオン界面活性剤を多量に含みながらも均一な界面活性剤混合物を得ることができ、更にはこれにより、界面活性剤高濃度での液体洗剤の安定性を高めることができる。
本発明者らは、高濃度界面活性剤の液体洗浄剤組成物の分離の原因として、陰イオン界面活性剤の製造工程、特には無水硫酸を反応することで調製されたスルホン酸基又は硫酸基を有する陰イオン界面活性剤の製造中に生じ混入してくる遊離硫酸等が従来の方法では十分に除去できておらず、これが液体洗浄剤組成物の安定性に影響する物質の生成につながっていることを見出した。そして、この液体洗浄剤組成物の安定性の課題は、特定の方法で製造した安定な界面活性剤混合物を用いることで改善される事を見出した。
本発明では、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含む混合原料を混合して、(B)の中和物を含む混合物を得る。混合原料中、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計が90〜100質量%、更には95〜100質量%、特には100質量%を占めることが好ましい。このような範囲において遊離硫酸及びその塩などの懸濁物質が生成し易くなる。また、観点から好ましい。また配合原料において、(A)成分、(B)成分、(C)成分の割合は、(A)/〔(B)+(C)〕が40/60〜95/5(質量比)、更に50/50〜90/10であることが好ましい。このような非イオン界面活性剤比率の多い混合物において遊離硫酸及びその塩などの懸濁物質が生成し易くなる。
また、本発明では、前記混合物から、水分量が15質量%以下の懸濁した混合物を得る。(A)〜(C)成分を含む配合原料の混合物が、水分量15質量%以下で懸濁している場合は、そのままこれを懸濁した混合物とすることができる。また、(A)〜(C)成分を含む配合原料の混合物が、懸濁していない場合は、水を加えて懸濁させることができる。ただし、水の添加量は、懸濁した混合物中、15質量%以下となる量である。本発明において、懸濁した混合物中の水分量を15質量%以下とするのは、水が多すぎると遊離硫酸及びその塩などの懸濁物質が水と伴に界面活性剤混合物相に溶け込んでしまう恐れがあるためである。(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含む原料を混合して得られる最初の混合物が懸濁していない場合は、該混合物に水を添加して、(B)の中和物を含む懸濁した混合物を得ることができる。また、水の添加は、複数回行うことができる。
本発明では、前記懸濁した混合物から、(A)と(B)の中和物とを含む連続相とそれ以外の相とを分離する。これにより取得された前記連続相は、流動性の界面活性剤混合物である。懸濁した混合物は、それ自体相分離した混合物であることから、前記連続相とそれ以外の相への分離は、各相が層を形成するような方法により容易に達成できる。例えば、静置により固体成分を沈降させる方法、遠心分離する方法などが挙げられる。
本発明は、下記工程1〜工程3を有する界面活性剤混合物の製造方法であることが好ましい。
<工程1>
(A)非イオン界面活性剤、(B)無水硫酸を反応することで調製された、スルホン酸基又は硫酸基を有する陰イオン界面活性剤の酸型前駆体、及び(C)(B)を中和するアルカリ剤を含む成分から、水分量が15質量%以下の懸濁した混合物を得る工程
<工程2>
工程1で得られた懸濁した混合物を、(A)と(B)の中和物とを含む連続相が最上層となるように分離させる工程
<工程3>
前記最上層を回収して界面活性剤混合物を得る工程
以下、これら工程1〜工程3に基づいて説明するが、ここで述べている事項は、工程1〜工程3の全部を含まない本発明の方法にも適用される。
〔工程1〕
本発明の工程1では、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を混合する。その際、混合の順序は問わないが、(B)成分と(C)成分を混合する際に発生する中和熱を緩和し、また中和物がゲル化することを防ぐという点で、(A)成分と(B)成分を先に攪拌して混合し、その後、攪拌しながら(C)成分を加えて混合することが好ましい。また、混合物の懸濁の発生状況に応じて、懸濁のための任意の水を混合することができる。懸濁のための任意の水とは、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を混合しても懸濁を生じない場合に、添加することで懸濁状態とできる水である。なお、この記載は既に懸濁状態になっている混合物に追加的に水を添加することを否定するものではない。興味深いことに、遊離硫酸又はその塩などの界面活性剤混合物ひいては液体洗浄剤組成物の安定性に影響する物質が存在する場合、水は界面活性剤混合物相に全部取り込まれることなく、遊離硫酸又はその塩を含有する水相として存在し、懸濁という相分離を生じる。
工程1の温度は、その工程にかかる加熱、冷却といったエネルギーを最小限に抑えて簡便に行うといった観点から、好ましくは(A)成分〜(C)成分及び任意の水を含有する混合物が流動性を得られる温度、より好ましくは20℃〜50℃、更により好ましくは20〜30℃で行うことが好ましい。各成分はあらかじめ加熱したものを用いてもよく、(A)成分の融点が高い場合には、それ以上の温度で溶解させたものを、その温度を保ったまま混合することが好ましい。攪拌は泡立たない程度に行うべきである。
以下に工程1に用いる(A)成分、(B)成分及び(C)成分について説明する。(A)成分、(B)成分及び(C)成分は、実質的には洗浄剤などの製品を調製する上で使用される基材、すなわち配合原料であり、水や任意の不純物などを含んでいる場合がある。本発明は、(B)成分に含まれる遊離硫酸及びその塩が、(B)成分の中和物を含む界面活性剤混合物の安定性に大きく影響していることを見出した点に特徴がある。
<(A)成分>
非イオン界面活性剤は、水酸基やエーテル結合などを親水基として有している界面活性剤であり、一般に洗浄剤に用いることが知られている非イオン界面活性剤を配合することができる。
非イオン性界面活性剤としては、炭素数(ただし炭化水素基がカルボニル基に結合している場合はカルボニル炭素を含んだ炭素数である)が8〜22、好ましくは10〜18、より好ましくは12〜14の鎖式炭化水素基からなる疎水性基1つと、(ポリ)オキシエチレン基、ヒドロキシ基、アミド基などの親水性基とを有する非イオン界面活性剤が挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等、更に、具体的には炭素数8〜22、更に10〜18、より更に12〜14のアルキル基を有し、エチレンオキシドの平均付加モル数が3〜30であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、同アルキル基を有し、エチレンオキシドの平均付加モル数が3〜30、炭素数3〜5のアルキレンオキシドの平均付加モル数0超5以下であるポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤、炭素数8〜22、更に10〜18、より更に12〜14のアルキル基(ただしアルキル基がカルボニル基に結合している場合はカルボニル炭素を含んだ炭素数である)を有する(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、同アルキル基を有するショ糖脂肪酸エステル、同アルキル基を有するソルビタン脂肪酸エステル、同アルキル基を有するアルキルポリグリセリルエーテル、同アルキル基を有するアルキルポリグリコシド等の多価アルコール誘導体型非イオン界面活性剤、炭素数1〜3のアルカノール基を1〜2有する脂肪酸アルカノールアミド、メトキシポリオキシエチレン脂肪酸エステル等を挙げることができる。なお非イオン界面活性剤は、前記化合物の“アルキル”をアルケニルに書き換えた場合の化合物も含む。
本発明では、(A)成分として、下記一般式(1)で示される非イオン界面活性剤を用いることが好ましい。
1O−[(C24O)m(AO)n]H (1)
〔式中、R1は炭素数8以上、22以下の鎖式炭化水素基、AOは炭素数3以上、5以下のオキシアルキレン基である。m、nは平均付加モル数であって、mは3以上、30以下の数、nは0以上、3以下の数である。AOとC24Oは、ランダム結合、ブロック結合又はランダム結合とブロック結合とが混合した結合である。AOとC24Oの結合の順序は問わない。〕
一般式(1)において、R1の炭素数は10以上、18以下が好ましく、12以上、14以下がより好ましい。またR1はアルキル基又はアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。特にはR1Oの酸素原子に結合するR1の炭素原子は第1炭素原子であることが好ましい。mは、好ましくは4以上、25以下、より好ましくは5以上、20以下の数である。nは、0超の数であってよい。また、nは、好ましくは1以上、2.5以下の数である。
(A)成分は、工程2での分離を開放系、すなわち1atmで行う場合、融点が30℃以下のものが好ましい。
一般式(1)で表される非イオン界面活性剤としては、下記一般式(1−1)〜(1−7)で表される非イオン界面活性剤が挙げられる。
1O−(C24O)mH (1−1)
1O−(AO)n−(C24O)mH (1−2)
1O−(C24O)m−(AO)nH (1−3)
1O−[(C24O)m1・(AO)n]−(C24O)m2H (1−4)
1O−(C24O)m1−[(AO)n・(C24O)m2]H (1−5)
1O−(C24O)m1−(AO)n−(C24O)m2H (1−6)
1O−(C24O)m1−[(AO)n・(C24O)m2](C24O)m3H (1−7)
〔式中、R1、m、n、AOは前記の意味であり、m1及びm2、m3は平均付加モル数であり、それぞれ、0ではない数であって、m=m1+m2又はm=m1+m2+m3である。“・”は(AO)と(C24O)がランダム結合であることを示す。また“−”で結合した(AO)と(C24O)はブロック結合であることを示す。〕
一般式(1−1)〜(1−7)で示される非イオン界面活性剤は、R1OHに対するアルキレンオキサイドの反応割合及び反応順序を考慮することで調製することができる。一般式(1−1)〜(1−7)において、各アルキレンオキシ基の平均付加モル数は、反応時のR1OHに対して用いた各アルキレンオキシドのモル数であってもよく、或いは得られた化合物のアルキレンオキシ基の平均付加モル数のいずれの場合であってもよい。なお、m1及びm2は独立して好ましくは1以上、20以下、より好ましく3以上、15以下、またm3は0.1以上、10以下が好ましい。nは、0超、3以下の数であってよい。
一般式(1)で表される非イオン界面活性剤としては、洗浄力に優れ且つ溶剤の含有量が殆ど無い場合でも流動性のある界面活性剤混合物を得る上で、一般式(1−1)であって、R1が直鎖の炭素数10〜18であって、酸素原子と結合する炭素が第1級炭素原子又は第2級炭素原子であり、mが3以上、8以下で表される非イオン界面活性剤、及び一般式(1−6)であってR1が直鎖の炭素数10〜18であって、酸素原子と結合する炭素が第1級炭素原子又は第2級炭素原子であり、またm1+m2が14以上20以下、且つm1及びm2がそれぞれ独立して3以上15以下であって、nが0.5〜3で表される非イオン界面活性剤から選ばれる非イオン界面活性剤が好ましい。
(A)成分は、一般に知られている製法で調製することができる。例えば、一般式(1)の非イオン界面活性剤は、アルカリ又は酸触媒下でR1OHのアルコールにC24O基(以下、EO基という場合もある)エチレンオキシドやAO基の元となるアルキレンオキシドを付加反応させることによって製造される。アルカリ触媒下製造する場合、反応後、酢酸、乳酸などで中和されるため、少量の有機酸塩を含有し、また反応時は副反応を抑制するため水を少なくする事が好ましいが、水由来のポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール類が不純物として含有する。
一般式(1)の化合物を用いる場合、(A)成分の非イオン界面活性剤中の割合は、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、更により好ましくは95〜100質量%である。
<(B)成分>
(B)成分は、無水硫酸を反応することで調製された、スルホン酸基又は硫酸基を有する陰イオン界面活性剤の酸型前駆体である。遊離硫酸は該酸型前駆体の合成過程において、無水硫酸を用いることによって生じる。合成過程でこれを十分に取り除くことは非常に困難である。遊離硫酸濃度は、製造する陰イオン界面活性剤の種類によって異なる。本発明の製造方法は、硫酸基よりもスルホン酸基を有する陰イオン界面活性剤の酸前駆体を用いる場合に効果を発揮する。具体的には(B)成分中の遊離硫酸濃度が0.5〜3質量%、更に1〜2質量%程度の場合に有効である。
(B)成分としては、炭素数が10〜20、好ましくは12〜18の鎖式炭化水素基、更には直鎖アルキル基、及びスルホン酸基又は硫酸基を有するスルホン酸塩型又は硫酸エステル塩型の陰イオン界面活性剤の酸前駆体好ましく、具体的にはアルキルベンゼンスルホン酸、アルカンスルホン酸、オレフィンスルホン酸、アルキル硫酸、炭素数2又は3のアルキレンオキシ基を1〜5有するアルキルエーテル硫酸を挙げることができる。本発明は、スルホン酸基を有する陰イオン界面活性剤の酸前駆体の場合に、より有効な製造方法である。特には直鎖アルキルベンゼンスルホン酸を含む界面活性剤混合物を調製するために好適に用いられる。
(B)成分は、前記炭素数の鎖状炭化水素基を有する脂肪族アルコールもしくはそのアルキレンオキシド付加物、アルキルベンゼン並びに不飽和結合を有する鎖状炭化水素に、無水硫酸を反応させて得られた、陰イオン界面活性剤の酸型前駆体が好ましい。(B)成分が含み得る不純物として、遊離硫酸以外に、微量の基材由来の脂肪族アルコール、アルキルベンゼン、燐酸、少量の水分などが挙げられる。
<(C)成分>
(B)成分を中和するためのアルカリ剤としては、アルカリ金属の水酸化物、アミン化合物などを挙げることができる。アルカリ金属水酸化物を用いる場合は、水酸化カリウムが好ましい。本発明では(C)アルカリ剤として、高濃度界面活性剤系において、安定性の観点からアミン化合物が好ましい。アミン化合物としては、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を1〜3有する1級から3級のアルカノールアミンが好ましく、このうちアルカノールはヒドロキシエチル基であるものがより好ましい。アルカノール基以外は水素原子又はメチル基が好ましい。アルカノールアミンとしては、2−アミノエタノール(以下、モノエタノールアミンという場合もある)、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、イソプロパノールアミン混合物(モノ、ジ、トリの混合物)等のアルカノールアミンが挙げられる。この中でもモノエタノールアミンが好ましい。
工程1において、(A)、(B)及び(C)成分の比率は、遊離硫酸やその塩などの不安定物質を除去し易くする上で、界面活性剤混合物を構成する(A)成分の非イオン界面活性剤が多い組成が好ましい。従って質量比として(A)/〔(B)+(C)〕で、40/60〜95/5、更に50/50〜90/10が好ましい。また工程1に用いる成分として、懸濁のための任意の水を除いて、(A)、(B)及び(C)成分以外には他の成分を配合しないことが好ましく、混合原料中、好ましくは懸濁のための任意の水を除く混合原料中、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計が90質量%以上、更に95質量%以上であることが好ましい。従って、混合原料中、好ましくは懸濁のための任意の水を除く混合原料中、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計が90〜100質量%、更に95〜100質量%を占めることが好ましい。
また(C)成分は、(B)成分の中和に必要なモル数に対しておおよそ中和に必要な量以上で添加することが好ましい。より具体的には(B)成分の中和に必要なモル数に対する(C)成分のモル数が、モル比〔[(C)成分のモル数]/[(B)成分の中和に必要なモル数]〕として、好ましくは0.8以上、より好ましくは1.0以上で添加することが界面活性剤混合物の安定性の点から好ましく、またアルカリ剤によっては安定性に影響することから、このモル比は2.0以下であることが好ましい。前記したように本発明では(C)成分としてアルカノールアミン、特にはモノエタノールアミンを用いることが界面活性剤混合物ひいては液体洗浄剤組成物の安定性が更に高められることから好ましい。アルカノールアミンを用いる場合、(B)成分とのモル比は、(C)/(B)で0.8〜2.0であることが好ましい。
工程1後、工程2を行うために、相分離を生じ易くするために、混合原料から得た混合物中の水分量は、懸濁のための水を除いて、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更により好ましい。下限値は0.1質量%以上が好ましく、更には0.5質量%以上がより好ましく、特には1質量%以上が更により好ましい。水分量は、カールフィッシャー法によって測定される。工程1の混合物において、中和反応で生成される水や原料成分から持ち込まれる水が少ない場合、遊離硫酸は硫酸塩として固体として析出することがある。この場合は懸濁した混合物が得られるので、そのままこれを工程2で分離すればよい。一方、配合原料の混合物中、中和の程度として(B)成分のアルカリ剤に対する(A)成分及び遊離硫酸の割合が過剰に存在する場合、遊離硫酸やその塩は析出しにくくなる場合がある。この場合、少量の水が系内に存在することで、遊離硫酸及びその塩が水層に移り、一部が水層として界面活性剤混合層から除去可能になる。従って、本発明では、水が工程1において存在した方が好ましい。水は(A)〜(C)成分から持ち込まれるものであってもよい。しかしながら、混合される基材によっては、水が殆ど存在しない状態で、最初から均一で透明な界面活性剤混合物が得られる場合がある。このような場合、遊離硫酸及びその塩が界面活性剤層に可溶化されており、界面活性剤混合物の安定性は不十分である。これに水を、工程1での混合物中の割合(言い換えれば添加する水を含めた配合原料の全量を100質量%とする場合の割合)として、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であって、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下の範囲で添加すると濁りを生じる。この水は前記した懸濁のための水である。(A)〜(C)成分から持込まれる又は中和によって生成する水が少ない場合もあるので、(A)、(B)及び(C)成分の混合物として懸濁液が得られる場合であっても水を添加してもよい。従って本発明では工程(1)において、水を添加することがより好ましい。濁りの原因は遊離硫酸及びその塩が溶けた水滴である。ただし添加した水すべてが水滴となるわけではない。不純物に対応する量が分離する水層へ分配され、残りの水は界面活性剤を含む混合物層の中に取り込まれる。また飽和した遊離酸塩が固体として分離してくる場合もある。
また、成分の組合せによっては、前記した固体塩として遊離硫酸が析出することがある。この場合、工程2の操作で固体塩のみを除去しても、界面活性剤混合物相には遊離硫酸又はその塩が溶解している場合があり、十分な安定性が得られないことが懸念される。従って本発明では、工程1において、上記範囲内で水を添加して水による濁りを生じさせる操作を加えることがより好ましい。このようにして工程1で析出した遊離硫酸やその塩あるいはそれらを溶解ないし分散する水が懸濁した界面活性剤等を含む混合物を、工程2で分離することで混合物系内の遊離硫酸や硫酸塩を容易に低減することができ、結果として、相対的に高濃度で界面活性剤を含有する界面活性剤混合物を調製する場合において、安定性に優れた混合物を得ることができる。
〔工程2〕
次に工程2について説明する。
工程2は、工程1で得られた懸濁した混合物を、(A)と(B)の中和物とを含む連続相が最上層となるように分離させる工程であり、例えば、析出した塩又は水溶液を沈殿させ、層を形成させる工程である。沈殿させる方法としては、静置により沈降させる方法、遠心分離する方法などを挙げることができる。静置により沈降させる場合は、懸濁した混合物をそのまま長時間放置することにより分離する方法があり、沈降スピードを高めるために結晶の核物質を添加して結晶化を促進する方法などが考えられる。
また遠心分離を用いて行って分離を行う方法もある。実験室規模の実施ではこの方法が簡易である。回転数は分離可能な回転速度が選択されるが、1000pm〜15000rpm程度で分離可能である。
分離操作により遊離酸塩が析出する場合があり、最上層の下方に位置する下層の固体層を形成する。また水層分離する場合は、下層が水層又は水層と固体層となり、最上層が界面活性剤を含有する混合物層になる。
〔工程3〕
次に工程3について説明する。
工程3は、工程2で生じた最上層を回収して界面活性剤混合物を得る工程である。最上層を回収する方法は問わないが、見かけ上、工程2と工程3が同時に連続的に行われているような方法を採用してもよい。例えば横型遠心分離機(関西遠心分離機製作所の製品を参照することができる)を用いる場合、連続的に上澄みだけを抽出することができる。
〔工程4〕
なお工程1で濁った系が得られ、工程2及び工程3の工程を経た後でも界面活性剤混合物の安定性が不十分であるような場合は、遊離硫酸又はその塩等が残存していることが考えられる。このような場合、工程3の後に下記工程4を行い、工程2、工程3を再度行うことが好ましい。なお本工程1〜3を一度行ってみて、工程1における水の添加による効果が望まれる場合は、工程1での水添加を必須成分とすることで解決することができる。工程4については、工程1の水による添加が不十分であると考えられる場合に採用する工程であってもよい。
すなわち、本発明は、工程1、工程2、工程3の次に、更に、下記工程4を行い、次いで、再度、工程2及び工程3を行う、界面活性剤混合物の製造方法もまた開示する。
<工程4>
工程3で得られた界面活性剤混合物に水を1質量%以上、15質量%以下の範囲で界面活性剤混合物が懸濁する程度で添加し、混合する工程。
更に工程4、工程2及び工程3の工程は繰り返し行ってもよい。
すなわち、本発明では更に、工程4、工程2及び工程3の工程を複数回行う、界面活性剤混合物の製造方法、もまた開示する。
これにより安定な界面活性剤混合物を得ることができる。なお水の添加量が多すぎると、水相として分離が困難な状況が生じるため、工程1で添加するのは、なるべく少ない水の量であることが好ましい。
本発明では、界面活性剤混合物中の遊離硫酸及びその塩の割合が遊離硫酸に換算して0.1質量以下になったら、その界面活性剤混合物は安定な組成物であり、またそれより調製された液体洗浄剤組成物は従来と比較して安定な組成物となる。そのような場合、工程4、工程2及び工程3を行っても濁ることなく、更に遠心分離などの分離操作を行っても層分離しない。本発明では、懸濁した混合物から、分離、回収される、(A)成分と(B)成分の中和物とを含む連続相(界面活性剤混合物)中、遊離硫酸及びその塩の割合が遊離硫酸に換算して0.1質量%以下であることが好ましい。工程1〜工程3での遊離硫酸及びその塩の除去程度に応じて、この濃度となるまで工程4、並びに、工程4の後の工程2及び工程3を繰り返すことができる。
<界面活性剤混合物>
混合原料が、本発明の(A)成分、(B)成分及び(C)成分及び懸濁のための任意の水のみから構成されていれば、これらを混合し、相分離させることにより、(B)成分からの遊離硫酸とその塩などの固体成分(固体成分を含む液体相)だけを沈殿させて固液分離でき、水の含有量によっては、遊離硫酸とその塩が溶けた過剰の水が下層を形成することから液液分離をすることができる。
これにより、(B)成分に含有される遊離硫酸及び、その中和塩を有効に除去し、陰イオン界面活性剤を多量に含みながらも均一で安定な界面活性剤混合物を得ることができる。
本発明の製造方法によって得られる界面活性剤混合物中の遊離硫酸及び遊離硫酸塩の割合は、上記したように遊離硫酸に換算して0.1質量%以下である。そして界面活性剤混合物中の水分量は、液体洗浄剤組成物を調製する際の自由度の観点から、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、更により好ましくは10質量%以下である。
このようにして得られた界面活性剤混合物に対して、水や溶剤などの液体洗浄剤として公知の成分を添加することで、安定な液体洗浄剤を製造することができる。
本発明の一例として、
好ましくは10〜40℃(周囲温度)で、(A)成分、好ましくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル、(B)成分、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸、及び(C)成分、好ましくはアルカノールアミンを混合する工程、
その際の混合割合は、(A)成分、(B)成分、(C)成分の合計中、(A)成分が40〜95質量%、(B)成分が4〜50質量%、(C)成分が1〜15質量%であることが好ましく、
(A)〜(C)成分の混合物が懸濁している場合はこれを懸濁した混合物とし、また、透明である場合は、水(懸濁のための水)を添加して懸濁した混合物として用い、懸濁した混合物を、例えば遠心分離により、(A)成分と(B)成分の中和物とを含む連続相である最上層と、その下方の層とに分離させる工程、及び
前記最上層を回収して、(A)成分と、(B)成分の中和物とを含む界面活性剤混合物を得る工程、
を有する、界面活性剤混合物の製造方法が挙げられる。そして得られる界面活性剤混合物中の水分量は10質量%以下が好ましく、遊離硫酸及び遊離硫酸塩の割合は遊離硫酸に換算して0.1質量%以下である。
また、本発明により得られた界面活性剤混合物に対して、前述の、水や溶剤などの希釈剤又は安定化剤等の剤や液体洗浄剤組成物として公知の成分を添加して製造された液体洗浄剤組成物は、優れた液体安定性を得ることができる。すなわち、上記本発明の製造方法によって得られた界面活性剤混合物、水、水溶性有機溶剤、(A)及び(B)の中和物以外の洗浄成分、並びに任意の補助成分を混合してなる、液体洗浄剤組成物を提供することができる。
また、本発明は、本発明の製造方法によって得られた界面活性剤混合物に、水、水溶性有機溶剤、(A)及び(B)の中和物以外の洗浄成分、並びに任意の補助成分を添加する、液体洗浄剤組成物の製造方法、もまた開示する。すなわち、(A)非イオン界面活性剤、(B)無水硫酸を反応することで調製された、スルホン酸基又は硫酸基を有する陰イオン界面活性剤の酸型前駆体、及び(C)(B)の中和剤、を含む原料(以下、混合原料という)を混合して、(B)の中和物を含む混合物を得ること、
前記混合物から、水分量が15質量%以下の懸濁した混合物を得ること、
前記懸濁した混合物から、(A)と(B)の中和物とを含む連続相とそれ以外の相とを分離すること、
分離により得られた(A)と(B)の中和物とを含む連続相からなる流動性の界面活性剤混合物に、水、水溶性有機溶剤、(A)及び(B)の中和物以外の洗浄成分、並びに任意の補助成分を混合すること、
を行う、液体洗浄剤組成物の製造方法を提供することができる。
本発明により得られた界面活性剤混合物を用いて、水や溶剤などの液体洗浄剤に配合することが公知の成分を添加して製造された液体洗浄剤組成物は、界面活性剤濃度が40〜90質量%、好ましくは50〜80質量%、その他洗浄成分の含有量が20質量%以下、好ましくは10質量%以下、残部が水及び水溶性溶剤であることが好ましい。また、液体洗浄剤組成物が含有する界面活性剤中、(A)成分及び(B)成分の中和物の占める割合は、80〜100質量%、更に90〜100質量%が好ましい。(A)成分、(B)成分及び(C)成分から本発明の方法により製造された界面活性剤混合物は液体洗浄剤の基本構成であることから、単純に本発明の方法により製造された界面活性剤混合物を、水又は水溶性有機溶剤で希釈したものも液体洗浄剤組成物として使用する事ができる。
(A)及び(B)の中和物以外の洗浄成分、並びに補助成分としては、液体洗浄剤組成物に含有する事が知られている洗浄助剤を挙げることができる、クエン酸などのpH変動抑制剤としても作用するヒドロキシポリカルボン酸などの水溶性キレート剤、汚れ分散剤や汚れ付着防止剤として知られているポリアクリル酸又は他のモノマーとの共重合体やポリエチレングリコールなどの高分子重合体、プロテアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼなどの酵素、陽イオン界面活性剤(但し、配合量は陰イオン界面活性剤への影響を考慮すべき)、香料、蛍光染料、青味付け剤、過酸化水素などの漂白剤、漂白活性化剤、プロキセル名で市販されている防菌・防カビ剤、香料などを挙げることができる。
水溶性有機溶剤としては、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、フェノキシエタノール、エチレンオキシドの平均付加モル数が2〜5のポリエチレングリコールモノフェニルエーテルもしくは、同付加モル数を有するポリエチレングリコールモノベンジルエーテルを挙げることができる。エタノール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、フェノキシエタノール、エチレンオキシドの平均付加モル数が2〜5のポリエチレングリコールモノフェニルエーテルから選ばれる一種以上を含有する事が好ましい。水溶性溶剤は液体洗浄剤組成物系を安定化する性質を有するが、本発明によると水溶性有機溶剤が10質量%以下で優れた安定性を得ることができる。
水は脱イオン水が好ましいが、安定性などに影響ない場合は、一般的な水道水を用いてもよい。水は液体洗浄剤組成物中15質量%以下であっても、本発明で得られた界面活性剤混合物を用いた場合は優れた保存安定性を示す。
実施例では下記成分を用いた。
(A−1):下記式で示される非イオン界面活性剤
1O−(C24O)9−(C36O)2−(C24O)9
1は炭素数12の直鎖アルキル基及び炭素数14の直鎖のアルキル基であり、R1OHで示される脂肪族アルコールにエチレンオキシドを平均9モル付加させ、次にプロピレンオキシドを平均2モル付加させ、そしてエチレンオキシドを更に平均9モル付加させて得られた化合物。(A−1)中、水を1質量%以下含有するものである。また水以外の不純物や溶剤は1質量%未満である。
(A−2):ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル
ラウリルアルコールにエチレンオキシドを平均4モル付加させたもの。(A−2)中、水を1質量%以下含有するものである。また水以外の不純物や溶剤は1質量%未満である。)
(A−3):ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル
ラウリルアルコールにエチレンオキシドを平均6モル付加させたもの。(A−2)中、水を1質量%以下含有するものである。また水以外の不純物や溶剤は1質量%未満である。
(B−1):ラウリルベンゼンスルホン酸
ラウリルベンゼンに無水硫酸を反応させて得られた化合物。(B−1)中の遊離硫酸又は硫酸塩は1.5質量%であり、水を1質量%以下含有するものである。また水以外の不純物や溶剤は石油エーテル可溶化分として2.5質量%である。
(C−1):モノエタノールアミン
また、実施例では上記成分を、混合物(表1中、「初期混合物」として示す)を得るための配合原料として、下記表1の組成で用いた。得られた初期混合物に水を添加して、又は添加せずに懸濁した混合物を得た。
Figure 2013194118
実施例1
25℃(周囲温度)で、表1の組成1の割合で(A)〜(C)成分が合計100mlとなるように混合したところ、透明な溶液が得られた。該溶液90質量部に対して脱イオン水(懸濁のための水)を10質量部添加したところ、直ちに濁りを生じ、懸濁した混合物が得られた〔工程1〕。懸濁した混合物を遠心分離(温度:25℃、回転速度:10000rpm、遠心時間:60分)することにより、懸濁した混合物を上層と下層に分離させた〔工程2〕。上層の溶液を取り出し、本発明の流動性の界面活性剤混合物を得た〔以下、界面活性剤混合物(1)という〕〔工程3〕。界面活性剤混合物(1)は、(A)成分と、(B)の中和物とを含んでいる。なお、下層は水層であり、添加した(A)〜(C)成分と水の合計100質量部のうち1質量部(その内容は、水/硫酸塩(遊離硫酸は(C)の塩に換算する)の質量比がおよそ1/1)を占める割合であった。従って、(A)〜(C)成分と水の合計100質量部に対して0.5質量部に相当する遊離硫酸及び遊離硫酸と(C)成分の塩が、下層の水層に分離された。また界面活性剤混合物(1)中の遊離硫酸及び遊離硫酸と(C)成分との塩は、遊離硫酸に換算して0.1質量%以下であった。
界面活性剤混合物(1)50mlを、50mlのポリプロピレンの内蓋付きガラス製のサンプル瓶に入れ、25℃の恒温槽にて、24時間保存試験を行ったが、界面活性剤混合物(1)は濁りを生じず、また層分離することもなく、優れた保存安定性を示した。
また、25℃の界面活性剤混合物(1)90質量部に対して、25℃の水を10質量部混合し、実施例1と同様にして25℃で24時間保存試験を行ったが、濁りや層分離を生じることはなかった。
実施例2
25℃(周囲温度)で、表1の組成2の割合で(A)〜(C)成分が合計100mlとなるように混合したところ、懸濁液が得られた。懸濁液を遠心分離(温度:25℃、回転速度:10000rpm、遠心時間:60分)することにより、懸濁液は上層と下層に分離し、上層に均一かつ透明な流動性の界面活性剤混合物を得た〔以下、界面活性剤混合物(2)という〕が得られた。界面活性剤混合物(2)は、(A)成分と、(B)の中和物とを含んでいる。界面活性剤混合物(2)中の遊離硫酸及び遊離硫酸と(C)成分との塩は、遊離硫酸に換算して0.1質量%以下であった。
界面活性剤混合物(2)50mlを、50mlのポリプロピレンの内蓋付きガラス製のサンプル瓶に入れ、25℃の恒温槽にて、24時間保存試験を行ったが、界面活性剤混合物(2)は濁りを生じず、また層分離することもなく、優れた保存安定性を示した。
また、25℃の界面活性剤混合物(2)90質量部に対して、25℃の水を10質量部混合したが、濁りや相分離を生じることはなかった。
実施例3〜6
実施例2と同様にして、表1に示す配合原料から流動性の界面活性剤混合物(3)〜(6)を得た。界面活性剤混合物(3)〜(6)は、(A)成分と、(B)の中和物とを含んでいる。また、何れも、界面活性剤混合物中の遊離硫酸及び遊離硫酸と(C)成分との塩は、遊離硫酸に換算して0.1質量%以下であった。なお組成6については、水を当初から10質量%の割合で添加している。実施例3は組成3による界面活性剤混合物(3)、実施例4は組成4による界面活性剤混合物(4)、実施例5は組成5による界面活性剤混合物(5)、実施例6は組成6による界面活性剤混合物(6)を製造した。
界面活性剤混合物(3)〜(6)は、実施例2によって得られた界面活性剤混合物(2)と同じ保存安定性、相分離抑制の結果が得られた。
配合例1〜3
下記、表2に本発明の界面活性剤混合物から得られた液体洗浄剤組成物を示す。これら液体洗浄剤組成物は、本発明の製造工程を経ることなく調製された界面活性剤混合物を用いた液体洗浄剤組成物よりも安定性に優れる。
Figure 2013194118
(注1)適量は、pHを表中の値とするための量である。
(注2)液体洗浄剤組成物を調製する際に別途添加した水の割合であり、界面活性剤混合物中の水は除くものとする。

Claims (8)

  1. (A)非イオン界面活性剤、(B)無水硫酸を反応することで調製された、スルホン酸基又は硫酸基を有する陰イオン界面活性剤の酸型前駆体、及び(C)(B)の中和剤、を含む原料(以下、混合原料という)を混合して、(B)の中和物を含む混合物を得ること、
    前記混合物から、水分量が15質量%以下の懸濁した混合物を得ること、
    前記懸濁した混合物から、(A)と(B)の中和物とを含む連続相とそれ以外の相とを分離すること、
    を行う、流動性の界面活性剤混合物の製造方法。
  2. 下記工程1〜工程3を有する、請求項1記載の界面活性剤混合物の製造方法。
    <工程1>
    (A)非イオン界面活性剤、(B)無水硫酸を反応することで調製された、スルホン酸基又は硫酸基を有する陰イオン界面活性剤の酸型前駆体、及び(C)(B)を中和するアルカリ剤を含む成分から、水分量が15質量%以下の懸濁した混合物を得る工程
    <工程2>
    工程1で得られた懸濁した混合物を、(A)と(B)の中和物とを含む連続相が最上層となるように分離させる工程
    <工程3>
    前記最上層を回収して界面活性剤混合物を得る工程
  3. (A)が下記一般式(1)で示される非イオン界面活性剤である、請求項1又は2記載の界面活性剤混合物の製造方法。
    1O−[(C24O)m(AO)n]H (1)
    〔式中、R1は炭素数8以上、22以下の鎖式炭化水素基、AOは炭素数3以上、5以下のオキシアルキレン基である。m、nは平均付加モル数であって、mは3以上、30以下の数、nは0以上、3以下の数である。AOとC24Oは、ランダム結合、ブロック結合又はランダム結合とブロック結合とが混合した結合である。〕
  4. 混合原料中、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計が90〜100質量%を占め、(A)/〔(B)+(C)〕が40/60〜95/5(質量比)である、請求項1〜3の何れかに記載の界面活性剤混合物の製造方法。
  5. 界面活性剤混合物中の遊離硫酸及び硫酸塩が、遊離硫酸に換算して0.1質量%以下である、請求項1〜4の何れかに記載の界面活性剤混合物の製造方法。
  6. (C)成分がアルカノールアミンである、請求項1〜5の何れかに記載の界面活性剤混合物の製造方法。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の製造方法によって得られた界面活性剤混合物、水、水溶性有機溶剤、(A)及び(B)の中和物以外の洗浄成分、並びに任意の補助成分を混合してなる、液体洗浄剤組成物。
  8. (A)非イオン界面活性剤、(B)無水硫酸を反応することで調製された、スルホン酸基又は硫酸基を有する陰イオン界面活性剤の酸型前駆体、及び(C)(B)の中和剤、を含む原料(以下、混合原料という)を混合して、(B)の中和物を含む混合物を得ること、
    前記混合物から、水分量が15質量%以下の懸濁した混合物を得ること、
    前記懸濁した混合物から、(A)と(B)の中和物とを含む連続相とそれ以外の相とを分離すること、
    分離により得られた(A)と(B)の中和物とを含む連続相からなる流動性の界面活性剤混合物に、水、水溶性有機溶剤、(A)及び(B)の中和物以外の洗浄成分、並びに任意の補助成分を混合すること、
    を行う、液体洗浄剤組成物の製造方法。
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