JP2013191389A - 積層構造電池 - Google Patents

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健児 小原
Takashi Yoshida
吉田  孝
Motoharu Obika
基治 小比賀
Kazuyuki Sakamoto
和幸 坂本
Masanobu Sato
雅信 佐藤
Masanori Suenaga
真規 末永
Yasuta Nakai
康太 中井
Yoshio Shimoida
良雄 下井田
Yoshiaki Nitta
芳明 新田
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Abstract

【課題】積層構造電池における積層方向の内側と外側の温度差を低減し、積層方向の内側と外側の単電池層の出力ムラを抑制し、耐久性を向上することのできる積層構造電池を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも正極と負極と電解質層とを有し、該正極と負極を電解質層を介して対向させてなる単電池層を、3層以上積層してなる積層構造を有する電池において、積層された単電池層の抵抗が、積層方向の内側>外側であることを特徴とする積層構造電池により達成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、電子とイオンが電気化学的に作用することで外部に対して仕事を行う電気デバイスの1種である積層構造電池に関する。詳しくは、積層型(積層構造)のリチウムイオン二次電池などに代表される積層構造電池に関するものである。
近年、大気汚染や地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、携帯電話やノートパソコン等に使用される民生用リチウムイオン二次電池と比較して極めて高い出力特性、及び高いエネルギーを有することが求められている。従って、全ての電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。
リチウムイオン二次電池は、一般に、バインダを用いて正極活物質等を正極集電体の両面に塗布した正極と、バインダを用いて負極活物質等を負極集電体の両面に塗布した負極とが、電解質層を介して接続され、電池外装材に収納される構成を有している。例えば、特許文献1には、正極19枚と負極20枚を電解質層を介して交互に積層した積層構造のリチウムイオン二次電池(積層構造電池)が記載されている。
特開2009−272048号公報
しかしながら、特許文献1のような既存の積層構造のリチウムイオン二次電池の充放電反応には発熱を伴う。特に車載用電池のような大型の電池では、正極と負極を電解質層を介して対向させてなる単電池層を複数積層してなる積層構造電池が用いられている。しかしながら、こうした車載用電池のような大型の積層構造電池では、一般に携帯電話やモバイルパソコンに用いられる巻回構造等の小型電池と異なり、大型ゆえ積層内部(積層方向の内側)と端部(積層方向の外側)で大きな温度差が生まれることが懸念される(図2参照)。
更に本発明者らは、LiNiOやLi(Ni,Co,Mn)Oのような層状岩塩型構造をもつ正極活物質では、温度依存性があるため発熱による受熱状態で電池特性に大きな不均一性を伴うことを見出したものである。このことから、積層構造電池、とりわけ層状岩塩型構造の正極活物質を使用する大型の車載用電池では、積層方向内部(内側)がより一層温度が上昇しやすいことがわかる。一方、積層方向内部(内側)から積層方向端部(積層方向の外側)に近付くに従い、電池外装材への放熱、更には電池外装材から系外への放熱により温度が低下する。そのため、積層方向端部の放熱現象による温度低下と、積層方向内部(内側)の電池温度依存性による温度上昇により、積層方向の内側と外側とで温度差がより一層拡大し、積層方向の内側と外側の単電池層(単セル)に出力ムラが生じてしまう。その結果、耐久性の低下を招く恐れがあることがわかった。
そこで本発明の目的は、積層構造電池における積層方向の内側(内部)と外側(外部)の温度差を低減し、積層方向の内側と外側の単電池層(単セル)の出力ムラを抑制し、耐久性を向上することのできる積層構造電池を提供することにある。
本発明の積層構造電池は、電池内に3層以上積層された単電池層(単セル)の抵抗が、積層方向(電池の厚さ方向)の内側>外側である点に特徴を有する。即ち、積層方向(電池の厚さ方向)の外側の単電池層(単セル)の抵抗が、内側の単電池層(単セル)の抵抗より小さくした構成となっている。
本発明によれば、積層構造電池のセル特性(電極抵抗)が電池の積層方向内部(内側ないし中央側)と外部(外側ないし端側)で変わる。そのため、外側の単電池層(正極、負極、電解質層(セパレータ、電解液等の電解質))を内側の単電池層(単セル)よりも反応を活性化させるよう設計する(=単セル抵抗を小さくする)ことで、複数積層した単セルごとに均一な出力を得ることができる。その結果、電池の耐久性を向上させることができる。
積層構造電池の代表的な一実施形態である、積層型(扁平型)の非水電解質リチウムイオン二次電池の基本構成を示す断面概略図である。 図2Aは、同じセル特性の単電池層を複数積層した従来の積層構造のリチウムイオン二次電池電池)の部分断面図であり、図2Bは、図1と図2Aの各積層構造電池の積層方向に対する面内温度の変化の様子をそれぞれ表した図面である。 温度依存性なる正極活物質と温度依存性のない正極活物質を用いた正極の容量増減を表したイメージ図である。 図4Aは、電極表面にストライプ状の接着部を設けた様子を表す平面図である。図4B、4Cは、電極表面にドット状の接着部を設けた様子を表す平面図である。 二次電池の代表的な実施形態である扁平なリチウムイオン二次電池外観を表した斜視図である。 図6は、積層構造電池(24V、50mAh)を2直20並に接続した組電池(42V、1Ah)の模式図である。 複合組電池の一例を示す図面であり、図1に記載の積層構造電池を用いた図6の組電池(42V、1Ah)6組を並列に接続した複合組電池(42V、6Ah)の模式図である。
<第1実施形態の積層構造電池>
本実施形態(第1実施形態)の積層構造電池は、少なくとも正極と負極と電解質層とを有し、該正負極の電極を電解質層を介して対向させてなる単電池層を3層以上積層してなる構造を有する電池において、積層された単電池層の抵抗が積層方向の内側>外側であることを特徴とする。かかる構成とすることで、上記した発明の効果を奏することができる。
積層構造電池の好ましい実施態様として、積層型(積層構造)の非水電解質リチウムイオン二次電池について説明するが、以下の実施形態のみには制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本実施形態の積層型(積層構造)のリチウムイオン二次電池は、特に車載用電池のような大型の電池に適用するのが好ましいが、電池の大きさや用途に制限されるものではない。従来公知の任意のサイズ及び用途に用いられる積層構造のリチウムイオン二次電池に適用されうる。
本実施形態の積層型(積層構造)のリチウムイオン二次電池を電解質の形態で区別した場合にも、特に制限はない。例えば、非水電解液をセパレータに含浸させた液体電解質型電池、ポリマー電池とも称される高分子ゲル電解質型電池および固体高分子電解質(全固体電解質)型電池のいずれにも適用されうる。本実施形態では、高分子ゲル電解質および固体高分子電解質に関しても、これら高分子ゲル電解質や固体高分子電解質をセパレータに含浸させたものを使用することができる。
以下の説明では、双極型でない(内部並列接続タイプの)積層型(積層構造)のリチウムイオン二次電池につき図面を用いて説明するが、決してこれらに制限されるべきものではない。
図1は、積層型(扁平型)の非水電解質リチウムイオン二次電池(以下、単に「積層構造電池」ともいう)の一実施形態の基本構成を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態の積層構造電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素21が、外装体である電池外装材29の内部に封止された構造を有する。ここで、発電要素21は、正極と、電解質層17と、負極とを積層した構成を有している。正極は、正極集電体11の両面に正極活物質層13が配置された構造を有する。負極は、負極集電体12の両面に負極活物質層15が配置された構造を有する。具体的には、1つの正極活物質層13とこれに隣接する負極活物質層15とが、電解質層17を介して対向するようにして、負極、電解質層および正極がこの順に積層されている。これにより、隣接する正極、電解質層および負極は、1つの単電池層(単セル)19を構成する。したがって、本実施形態の積層構造電池10は、単電池層(単セル)19が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。なお、双極型(内部直列接続タイプ)の積層型(積層構造)のリチウムイオン二次電池では、単電池層(単セル)が複数積層されることで、電気的に直列接続されてなる構成を有するともいえる。さらに、電解質層17のセパレータと正極および/または負極との間に接着層(図示せず)がさらに配置されているようにしてもよい。
なお、発電要素21の両最外層に位置する最外層正極集電体には、いずれも片面のみに正極活物質層13が配置されているが、両面に活物質層が設けられてもよい。すなわち、片面にのみ活物質層を設けた最外層専用の集電体とするのではなく、両面に活物質層がある集電体をそのまま最外層の集電体として用いてもよい。また、図1とは正極および負極の配置を逆にすることで、発電要素21の両最外層に最外層負極集電体が位置するようにし、該最外層負極集電体の片面または両面に負極活物質層が配置されているようにしてもよい。
また、本実施形態では、電極(正極ないし負極)には、自立電極を含むものである。自立電極とは金属箔(集電体)がなくても形状を担保するものである。即ち、自立電極(自立構造)は、構造的(ないし強度的)には、金属箔(集電体)がなくても活物質層だけで形状を担保できるものである。但し、自立電極(自立構造)といえども、電極要素としては、集電体(但し、金属箔以外にも金属箔より機械的強度が低く、形状を担保し得ない金属の蒸着膜やメッキ薄膜、更には金属配線などでもよい)と活物質層とが必要である。上記に定義した自立電極は、活物質層(正極活物質層、負極活物質層)と、前記活物質層の片面に直接形成されてなる集電体(正極集電体、負極集電体)とを有する。そして、前記活物質層が、多孔質骨格体と、前記多孔質骨格体の空孔内に保持される活物質(正極活物質,負極活物質)とを含むものである。
本明細書中、「集電体」と記載する場合、正極集電体、負極集電体の両方を指す場合もあるし、片方のみを指す場合もあるし、双極型電池の双極型電極用集電体を指す場合もある。同様に、「活物質層」と記載する場合、正極活物質層、負極活物質層の両方を指す場合もあるし、片方のみを指す場合もある。同様に、「活物質」と記載する場合、正極活物質,負極活物質の両方を指す場合もあるし、片方のみを指す場合もある。
正極集電体11および負極集電体12には、各電極(正極および負極)と導通される正極集電タブ(正極集電板)25および負極集電タブ(負極集電板)27の一方の先端部がそれぞれ取り付けられている。また正極集電タブ25および負極集電タブ27のもう一方の先端部は、電池外装材29の端部に挟まれるようにして電池外装材29の外部に導出される構造を有している。正極集電タブ25および負極集電タブ27はそれぞれ、必要に応じて電極リード(正極リードおよび負極リード)(図示せず)を介して、各電極の正極集電体11および負極集電体12に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられていてもよい。
更に本実施形態の積層構造電池10の特徴部分の構成としては、単セル抵抗を積層方向の内側>外側とする(=積層方向の外側(外部、端部ないし端側ともいう)を内側(内部、中央部ないし中央側ともいう)よりも反応を活性化させる)ことを特徴とする。即ち、複数積層してなる単電池層(単セル)19の抵抗を、積層方向の内側(中心側)>外側(端側)とすることで、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。これにより、外側を内側よりも反応を活性化させることができ、複数積層した単セル10ごとに均一な出力を得ることができ、その結果、積層構造電池10の耐久性を向上させることができるものである(実施例の表1〜8参照のこと)。
ここで、単電池層(単セル)の抵抗が積層方向の中央側(内側:中央部)と端側(外側:端部)の抵抗の差の好適な範囲としては、本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏するすることができればよい。即ち、外側の単セルの抵抗を小さくして、単セルの反応を活性化することにより、発熱量が高めることができる。その結果、積層構造電池における積層方向の内側(内部)と外側(外部)の温度差を縮小し、積層方向の内側と外側の単電池層(単セル)の出力ムラを抑制し、耐久性を向上することができる。
具体的には、積層方向の中央部の単セルの抵抗が、外側の単セルの抵抗よりも、高ければよく、0.1%でも高ければよいといえるが、好ましくは1〜10%高いのが望ましく、1.5〜5%高いのがより好ましい。積層方向の中央部の単セルの抵抗が、外側の単セルの抵抗よりも1%未満しか高くなければ、上記した目的を十分に達成することができないおそれがある。一方、10%を超えて高い場合には、積層数にもよるが、外部が活性化されすぎて、内側(内部)と外側(外部)の温度差が逆転して拡大し(外部が高温になりすぎ)、温度差を十分に低減するのが困難となる恐れがある。
図2Aは、同じセル特性の単電池層を複数積層した従来の積層構造のリチウムイオン二次電池電池)の部分断面図であり、図2Bは、図1と図2Aの各積層構造電池の積層方向に対する面内温度の変化の様子をそれぞれ表した図面である。上記(1)の要件を満足する図1の積層構造電池では、図2Bに示すように、従来の積層構造電池に比べて、積層構造電池の充放電による発熱による面内温度の積層方向の分布、即ち、積層方向の内側(内部)と外側(外部)との温度差が低減できるものである。これは、上記したように外側(外部)の単セル内の反応を活性化することにより発熱量が増加し、内側(内部)の単セル内の発熱量と同程度になるようにしてもよい(一点破線参照)。あるいは、後述するように内側の集電体等の厚さを薄くすることで、抵抗を高め、内側の単セルの反応(活性化)を抑制し、内側の単セルの発熱量を低減することで、内側と外側の温度差が低減ないしは無くなり、出力ムラを防ぐことも有効な手段である(二点破線参照)。
尚、各単電池層の(単セル)の抵抗は、例えば、積層構造電池の各単電池層の正極、負極、セパレータ(接着層により正極または負極とセパレータが一体化していれば、一体化した状態のもの)を取り出す。その後各単電池層(未注液状態)を組み直し同様の電解液を注液して各単電池層(単セル)とした状態で、一定時間電流を流して電圧降下量を測定することにより抵抗を算出することができる。なお、ラミネートフィルム外装材の一片を開封した状態で、各単電池層に一定時間電流を流して電圧降下量を測定できれば、この状態で抵抗を算出すればよい。また、製造段階でも同様で、各単電池を組んだ状態で、一定時間電流を流して電圧降下量を測定することにより抵抗を測定することができる。
以下、本実施形態の積層構造電池10の各構成要件(構成部材)について説明すると共に、積層方向の外側を内側よりも反応を活性化させる(=単セル抵抗を小さくする)ための具体的な要件(手段)につき、説明する。なお、積層構造電池10の各構成要件(構成部材)については、下記の形態のみに制限されることはなく、従来公知の形態も同様に採用されうる。
(1)集電体
(1−i)構成要件について
集電体は、導電性材料から構成され、その一方の面または両面に活物質層が配置される。集電体を構成する材料に特に制限はなく、例えば、金属や、導電性高分子材料または非導電性高分子材料に導電性フィラーが添加された導電性を有する樹脂が採用されうる。
金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、銅などが挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも導電性や電池作動電位の観点からは、アルミニウム、ステンレス鋼、および銅が好ましい。
金属を用いた集電体の形態としては金属箔の他に、金属蒸着層、金属メッキ層、導電性プライマ層、金属配線を用いてもよい。金属蒸着層及び金属メッキ層は、活物質層の片面に、真空蒸着法や各種メッキ法により、極めて薄い金属蒸着層や金属メッキ層を形成(配置)することができる。金属配線も活物質層の片面に、真空蒸着法や各種メッキ法により、極めて薄い金属配線を形成(配置)することができる。また、金属配線にプライマ層を含浸させて、熱圧着により貼り付けることができる。さらに、金属配線としてパンチングメタルシートやエキスパンドメタルシートを用いる場合には、パンチングメタルシートやエキスパンドメタルシートの両面に電極スラリーを塗布、乾燥することで活物質層に挟まれた金属配線(集電体)を配置することができる。金属箔を用いる場合にも、金属箔上(片面又は両面)に電極スラリーを塗布、乾燥することで、活物質層の片面に金属箔(集電体)を配置することができる。また、導電性プライマ層は、基本的にはカーボン(鎖状、繊維状)や金属フィラー(集電体材料に用いられるアルミニウム、銅、ステンレス鋼、ニッケル粉など)に樹脂を混合して作製することができる。配合は様々である。これを活物質層の片面に塗布、乾燥することで形成(配置)することができる。
上記導電性プライマ層は、導電性を有する樹脂層を含む。好適には、導電性プライマ層は、導電性を有する樹脂層からなる。導電性プライマ層が導電性を有するには、具体的な形態として、1)樹脂を構成する高分子材料が導電性高分子である形態、2)樹脂層が樹脂および導電性フィラー(導電材)を含む形態が挙げられる。
導電性高分子は、導電性を有し、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料から選択される。これらの導電性高分子は、共役したポリエン系がエネルギー帯を形成し伝導性を示すと考えられている。代表的な例としては電解コンデンサなどで実用化が進んでいるポリエン系導電性高分子を用いることができる。具体的には、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、ポリオキサジアゾール、またはこれらの混合物などが好ましい。電子伝導性および電池内で安定に使用できるという観点から、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレンがより好ましい。
上記2)の形態に用いられる導電性フィラー(導電材)は、導電性を有する材料から選択される。好ましくは、導電性を有する樹脂層内のイオン透過を抑制する観点から、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料を用いるのが望ましい。
具体的には、アルミニウム材、ステンレス(SUS)材、カーボン材、銀材、金材、銅材、チタン材などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの導電性フィラーは1種単独で用いられてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金材が用いられてもよい。好ましくは銀材、金材、アルミニウム材、ステンレス材、カーボン材、さらに好ましくはカーボン材である。また、これらの導電性フィラー(導電材)は、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記導電材)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
前記カーボン材としては、例えば、アセチレンブラック、バルカン、ブラックパール、カーボンナノファイバー、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、ハードカーボン、およびフラーレンからなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。これらのカーボン材は電位窓が非常に広く、正極電位および負極電位の双方に対して幅広い範囲で安定であり、さらに導電性に優れている。また、カーボン材は非常に軽量なため、質量の増加が最小限になる。さらに、カーボン材は、電極の導電助剤として用いられることが多いため、これらの導電助剤と接触しても、同材料であるがゆえに接触抵抗が非常に低くなる。なお、カーボン材を導電性粒子として用いる場合には、カーボンの表面に疎水性処理を施すことにより電解質のなじみ性を下げ、集電体の空孔に電解質が染み込みにくい状況を作ることも可能である。
導電性フィラー(導電材)の形状は、特に制限はなく、粒子状、粉末状、繊維状、板状、塊状、布状、またはメッシュ状などの公知の形状を適宜選択することができる。例えば、樹脂に対して広範囲に亘って導電性を付与したい場合は、粒子状の導電材料を使用することが好ましい。一方、樹脂において特定方向への導電性をより向上させたい場合は、繊維状等の形状に一定の方向性を有するような導電材料を使用することが好ましい。
導電性フィラーの平均粒子径は、特に限定されるものではないが、0.01〜10μm程度であることが望ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、導電性フィラーの輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。後述する活物質粒子などの粒子径や平均粒子径も同様に定義することができる。
また、樹脂層が導電性フィラーを含む形態の場合、樹脂層を形成する樹脂は、上記導電性フィラーに加えて、当該導電性フィラーを結着させる導電性のない高分子材料を含んでいてもよい。樹脂層の構成材料として導電性のない高分子材料を用いることで、導電性フィラーの結着性を高め、電池の信頼性を高めることができる。高分子材料は、印加される正極電位および負極電位に耐えうる材料から選択される。
導電性のない高分子材料の例としては、好ましくは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)またはこれらの混合物が挙げられる。これらの材料は電位窓が非常に広く正極電位、負極電位のいずれに対しても安定である。また軽量であるため、電池の高出力密度化が可能となる。
導電性フィラーの含有量も特に制限はない。特に、樹脂が導電性高分子材料を含み、十分な導電性が確保できる場合は、導電性フィラーを必ずしも添加する必要はない。しかしながら、樹脂が非導電性高分子材料のみからなる場合は、導電性を付与するために導電性フィラーの添加が必須となる。この際の導電性フィラーの含有量は、非導電性高分子材料の全質量に対して、好ましくは5〜90質量%であり、より好ましくは30〜85質量%であり、さらに好ましくは50〜80質量%である。かような量の導電性フィラーを樹脂に添加することにより、樹脂の質量増加を抑制しつつ、非導電性高分子材料にも十分な導電性を付与することができる。
上記導電性プライマ層には、導電性フィラーおよび樹脂の他、他の添加剤を含んでいてもよいが、好ましくは、導電性フィラーおよび樹脂からなる。
また、上記集電体を構成する材料のうち、導電性高分子材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、およびポリオキサジアゾールなどが挙げられる。かような導電性高分子材料は、導電性フィラーを添加しなくても十分な導電性を有するため、製造工程の容易化または集電体の軽量化の点において有利である。
非導電性高分子材料としては、例えば、ポリエチレン(PE;高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、およびポリスチレン(PS)などが挙げられる。かような非導電性高分子材料は、優れた耐電位性または耐溶媒性を有しうる。
上記の導電性高分子材料または非導電性高分子材料には、必要に応じて導電性フィラーが添加されうる。特に、集電体の基材となる樹脂が非導電性高分子のみからなる場合は、樹脂に導電性を付与するために必然的に導電性フィラーが必須となる。導電性フィラーは、導電性を有する物質であれば特に制限なく用いることができる。例えば、導電性、耐電位性、またはリチウムイオン遮断性に優れた材料として、金属および導電性カーボンなどが挙げられる。金属としては、特に制限されないが、Ni、Ti、Al、Cu、Pt、Fe、Cr、Sn、Zn、In、Sb、およびKからなる群から選択される少なくとも1種の金属もしくはこれらの金属を含む合金または金属酸化物を含むことが好ましい。また、導電性カーボンとしては、特に制限されないが、アセチレンブラック、バルカン、ブラックパール、カーボンナノファイバー、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、およびフラーレンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。導電性フィラーの添加量は、集電体に十分な導電性を付与できる量であれば特に制限はなく、一般的には、5〜35質量%程度である。
集電体の大きさは、電池の使用用途に応じて決定される。例えば、高エネルギー密度が要求される大型の電池に用いられるのであれば、面積の大きな集電体が用いられる。
集電体の厚さは、好ましくは1〜100μm、より好ましくは3〜80μm、さらに好ましくは5〜40μmである。後述する自立電極では、薄膜化が可能であることから、好ましくは1〜18μm、より好ましくは2〜15μm、さらに好ましくは3〜13μmである。これは、自立電極を作製する際には、従来の塗工・乾燥工程を経ることなく作製可能である。そのため、従来の塗工・乾燥工程を経る必要のない金属蒸着層、金属メッキ層、導電性プライマ層若しくは金属配線を集電体を用いる場合には、塗工・乾燥工程で必要とされる引張り強度を有している必要がない。その分、必要に応じ、集電体の厚みを薄くすることができ、集電体の設計の自由度が向上し、電極、ひいては電池の軽量化にも寄与する。
集電体として複数の貫通孔を有するパンチングメタルシートやエキスパンドメタルシート等を用いる場合、当該貫通孔の形状としては、四角形、菱形、亀甲形状、六角形、丸形、角型、星形、十文字形などが挙げられる。かような所定形状の多数の孔をプレス加工により、例えば、千鳥配置や、並列配置となるように形成したものが、いわゆるパンチングメタルシートなどである。また、千鳥状の切れ目を入れたシートを引き伸ばして略ひし形の貫通孔を多数形成したものが、いわゆるエキスパンドメタルシートなどである。
集電体に、上記した複数の貫通孔を有する集電体を用いる場合、集電体の貫通孔の開口率は、特に限定されない。ただし、集電体の開口率の下限の目安は、好ましくは10面積%以上、より好ましくは30面積%以上、さらに好ましくは50面積%以上、さらに好ましくは70面積%以上、さらに好ましくは90面積%以上である。このように、本実施形態の電極においては、90面積%以上の開口率を有する集電体も使用することができる。また、上限としては、例えば、99面積%以下、あるいは、97面積%以下などである。このように、有意に大きな開口率を有する集電体を有して形成される電極を備える積層構造電池10は、その重量を有意に減少させることができ、ひいては、容量を増加させることができ、高密度化をすることができる。
集電体に、上記した複数の貫通孔を有する集電体を用いる場合、集電体の貫通孔の孔径(開口径)も同様に、特に制限されない。ただし、集電体の開口径の下限の目安は、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは50μm以上、特に好ましくは150μm以上である。上限としては、例えば、300μm以下、好ましくは、200μm以下程度である。なお、ここでいう開口径とは、貫通孔=開口部の外接円の直径である。外接円の直径は、レーザー顕微鏡や工具顕微鏡などにより集電体の表面観察を行い、開口部に外接円をフィッティングさせ、それを平均化したものである。
(1−ii)単セル抵抗を外側<内側とするための具体的な要件(手段)
(第1手段)
集電体を用いて単セル抵抗を積層方向の外側<内側とする(=外側を内側よりも反応を活性化させ)ための具体的な要件(第1手段)としては、電極の集電体の厚みを、積層方向の外側>内側とすることを特徴とするものである。これにより、上記要件(単セル抵抗を小さくする要件)を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特に、集電体の厚みを外側に従い厚くすることで電子移動抵抗を軽減でき、上記課題を達成できる。
具体的には積層方向の内側の集電体(例えば、金属箔やスパッタ薄膜)の厚みを20μm以下、好ましくは1〜15μmとし、外側の集電体(例えば、金属箔や複数の貫通孔を有する集電体)の厚みを10μm以上(100μm以下)、好ましくは10〜25μmとする(表4の実施例7〜9参照)。特に、内側の集電体の厚さを抵抗が生じる程度に薄くするのが望ましい。即ち、内側の集電体の厚さが20μmを超えるようになると、外側の集電体の厚さを25μmにしても、集電体の抵抗に優位差を生じさせにくくことから、内側の集電体の厚さは20μm以下が望ましい。上記構成により、上記した目的を十分に達成し、所望の効果を奏することができる。また、内側の集電体の厚さの下限値は特に制限されるものではないが、1μm以上であれば、製造上、金属箔やスパッタ蒸着により均一な薄膜を得やすい点で有利である。以上のように、当該手段では、内側の集電体の厚さを薄くすることで、抵抗が上がる。抵抗が上がると電流が下がるため、Q=I×Rから発熱量は下がる。即ち、内側の単セルの反応(活性化)が抑制され、内側の単セルの発熱量が下がることで、内側と外側の温度差が低減ないしは無くなり、出力ムラを防ぐことができるものである。
なお、当該手段として用いる集電体には、後述する電極(外部)端子リードや集電板(集電タブ)を含むものである。概ね、これらは同一部材で形成されてており、また、集電体の一部を延伸して電極(外部)端子リードや集電板(集電タブ)の機能を持たせることもあるからである。但し、集電体には当該手段を用いずに、後述するて電極(外部)端子リードや集電板(集電タブ)のみに集電体と同様の具体的な手段を採用することも可能である。そのため、後述する電極端子リードや集電板(集電タブ)の説明においても、当該集電体と同様の具体的な手段を示している。
(第2手段)
集電体を用いて単セル抵抗を積層方向の外側<内側とする(=外側を内側よりも反応を活性化させ)ための具体的な要件(第2手段)としては、複数の貫通孔を有する集電体を用い、該集電体の断面積を、積層方向の外側>内側とすることを特徴とするものである。かかる構成によっても、上記要件(単セル抵抗を小さくする要件)を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特に、集電体の断面積を外側に従い大きくする(=開口率を外側に従い小さくする)ことで電子移動抵抗を軽減でき、上記課題(目的)を達成できる。この場合、集電体の厚さを変えなくとも、集電体の断面積(ないし開口率)を変えることで、上記目的を達成できる。ここでいう複数の貫通孔を有する集電体の断面積+開口率=100面積%の関係を有するものとする。
具体的には積層方向の内側の集電体の断面積を50面積%以下、好ましくは40面積%以下とする。言い換えれば、内側の集電体の開口率を50面積%以上、好ましくは60面積%以上とする。一方、外側の集電体の断面積を50面積%以上、好ましくは60面積%以上とする。言い換えれば、外側の集電体の開口率を50面積%以下、好ましくは40面積%以下とする。特に、内側の集電体の断面積を抵抗が生じる程度に小さくするのが望ましく、内側の集電体の断面積は40面積%以下が望ましい。上記構成により、上記した目的を十分に達成し、所望の効果を奏することができる。また、内側の集電体の断面積の下限値は特に制限されるものではないが、上記したように20面積%以上であれば、製造上問題なく形成できる点で有利である。外側の集電体の断面積の上限値は特に制限されるものではなく、100面積%=貫通孔を有さない金属箔を用いてもよいといえる。以上のように、当該第2手段でも、内側の集電体の断面積を大きくすることで、抵抗が上がる。抵抗が上がると電流が下がるため、Q=I×Rから発熱量は下がる。即ち、内側の単セルの反応(活性化)が抑制され、内側の単セルの発熱量が下がることで、内側と外側の温度差が低減ないしは無くなり、出力ムラを防ぐことができるものである。
(第3手段)
集電体を用いて単セル抵抗を積層方向の外側<内側とする(=外側を内側よりも反応を活性化させ)ための具体的な要件(第3手段)としては、電極の集電体の単位面積当たりの導電率を、積層方向の外側>内側とすることを特徴とするものである。これにより、上記要件(単セル抵抗を小さくする要件)を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特に、集電体の単位面積当たりの導電率を外側に従い大きくすることで電子移動抵抗を軽減でき、上記課題を達成できる。
積層方向の内側の集電体の単位面積当たりの導電率を変える方法としては、例えば、外側の集電体にCu等の金属箔やエキスパンドメタルシート等を用い、内側にCu等の金属材にアルミナ等の絶縁物を入れた箔やエキスパンドメタルシート等を用いる。かかる構成とすることで内側の導電率を下げることができる。また、ステンレス鋼等の合金の箔やエキスパンドメタルシート等でも導電率の異なるものを任意に選択することができる。更に、双極型の積層構造電池において、導電性又は絶縁性の樹脂材に導電性フィラーを入れて形成した、いわゆる樹脂集電体では、導電率の異なる導電性フィラー又は導電性樹脂材を用い、内側より外側に高導電率の導電性フィラー又は導電性樹脂材を用いる。かかる構成とすることでも導電率を外側>内側となるように変えることができる。同様に導電率が同じ導電性フィラーであっても、樹脂集電体への含有量を内側より外側が高くなるようにすることでも導電率を外側>内側となるように変えることができる。
具体的には積層方向の内側と外側の集電体の単位面積当たりの導電率は、内側の単セルの反応(活性化)が抑制され、内側の単セルの発熱量が下がることで、内側と外側の温度差が低減ないしは無くなるように、適宜決定すればよい。
(2)電極(正極および負極)及び電極活物質層
(2−i)構成要件について
正極および負極は、リチウムイオンの授受により電気エネルギーを生み出す機能を有する。正極は、正極活物質を必須に含み、負極活は負極活物質を必須に含む。
これらの電極構造は、積層構造電池の場合、図1の形態のように上記集電体の表面に活物質を含む活物質層が形成されてなる構造である。一方、双極型二次電池の場合の電極(双極型電極)は、集電体の一方の面に正極活物質を含む正極活物質層が形成され、他方の面に負極活物質を含む負極活物質層が形成されてなる構造を有する。すなわち、集電体を介して正極(正極活物質層)および負極(負極活物質層)が一体化した形態を有する。なお、活物質層には、活物質以外にも必要に応じて導電助剤、バインダ、更には電解質として電解質塩(リチウム塩)やイオン伝導性ポリマーなどの添加剤が含まれうる。
(2−ii)単セル抵抗を外側<内側とするための具体的な要件(手段)
(第1手段)
電極間の空間を用いて単セル抵抗を積層方向の外側<内側とする(=外側を内側よりも反応を活性化させ)ための具体的な要件(第1手段)としては、正負極の電極間に存在する空間を、積層方向の外側>内側とするものである。これにより、上記要件(単セル抵抗を小さくする要件)を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特に正負極の短絡を防ぎ、イオンの通り道となるセパレータの空間量、更にはその他必要に応じて正極間に設けられる接着層等の空間量を外側に従い、多く設けることで、Liイオンの移動抵抗を軽減し、上記課題を達成できる。
なお、電極間の空間とは、電池(製品)の段階では、電解質(電解液やゲル電解質等)が充填(保持)されている部分(領域)をいうものである。
具体的には積層方向の内側の電極間に存在する空間の割合(空孔率)を45〜55%、好ましくは50〜55%とし、外側の電極間に存在する空間の割合(空孔率)を55〜65%、好ましくは60〜65%とする(表6の実施例11〜12参照)。内側と外側の電極間に存在する空間(空孔率)の割合を上記範囲内とすることにより、上記した目的を十分に達成し、所望の効果を奏することができる。以上のように、当該手段では、特に電極間に存在する空間の割合を外側に従い大きくすることで、正負極の短絡を防ぐと共に、Liイオンの移動抵抗を軽減し、外側の単セルの反応(活性化)を高め、発熱量を上げることができる。即ち、外側の単セルの反応(活性化)を高め、外側の単セルの発熱量を上げることで、内側と外側の温度差を縮小し、出力ムラを防ぐことができ、上記課題(目的)を達成できる。
なお、上記電極間の空間の割合を変化させる方法としては、特に制限されるものではない。例えば、(a)セパレータの厚さは変えずに気孔率(以下、空孔率ともいう)を変化させてもよいし、(b)その他、電極間に存在する他の層(例えば、接着層など)の厚さを変えずに気孔率を変化させてもよい。あるいは、(c)セパレータの気孔率は変えずに、厚さを変えてもよいし、(d)電極間に存在する他の層(例えば、接着層など)の厚さを変えてもよい。あるいは(e)セパレータの透気度を変化させてもよいし、(f)その他、電極間に存在する他の層(例えば、接着層など)の透気度を変化させてもよい。あるいは上記した(a)〜(f)の2以上を適当に組合せてもよい。但し、電極間の空間量を変化させる方法は上記の方法に何ら制限されるものではなく、従来公知の方法を適宜利用してもよい。ここで、電極間に存在する他の層としては、接着層以外にも、従来公知のものとして、例えば、オーバーコート層、電極の上に形成される不活性な層(具体的には、短絡防止目的で形成されるアルミナの粒子の層;固体セパレータ層)などが挙げられる。但し、これらに何ら制限されるものではなく従来公知のものを適宜利用することができる。また、セパレータには単層構造のほか、多層構造のセパレータ(複合セパレータ)を含むものとする。
なお、電池(製品)の電極間に存在する空間の割合(空孔率)は、電池を解体して、各セパレータ、その他必要に応じて正極間に設けられる接着層等を取り出し、電解質を洗浄除去し、乾燥した後に水銀圧入法などを用いて測定することができる。
(第2手段)
活物質層の空間を用いて単セル抵抗を積層方向の外側<内側とする(=外側を内側よりも反応を活性化させ)ための具体的な要件(第2手段)としては、正極および負極の少なくとも一方の活物質層内に存在する空孔率を、積層方向の外側>内側とするものである。これにより、上記要件(単セル抵抗を小さくする要件)を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特に正負極活物質層内に存在する空孔率を外側に従い増加させることで、Liイオンの移動抵抗を軽減し上記課題を達成できる。
なお、活物質層内に存在する空間(空孔部分)は、電池(製品)の段階では、電解質(電解液やゲル電解質等)が充填(保持)されている部分(領域)をいうものである。
具体的には積層方向の内側の電極活物質層内に存在する空間の割合(空孔率)を20〜30%、好ましくは20〜28%とし、外側の電極活物質層内に存在する空間の割合(空孔率)を25〜40%、好ましくは28〜35%とするのが望ましい(表3の実施例4〜6の正極/負極活物質層の空孔率参照)の。内側と外側の電極活物質層内に存在する空間の割合(空孔率)の割合を上記範囲内とすることにより、上記した目的を十分に達成し、所望の効果を奏することができる。以上のように、当該手段では、特に電極活物質層内に存在する空間の割合(空孔率)を外側に従い大きくすることで、Liイオンの移動抵抗を軽減し、外側の単セルの反応(活性化)を高め、発熱量を上げることができる。即ち、外側の単セルの反応(活性化)を高め、外側の単セルの発熱量を上げることで、内側と外側の温度差を縮小し、出力ムラを防ぐことができ、上記課題(目的)を達成できる。
なお、上記電極活物質層内に存在する空間の割合(空孔率)を変化させる方法としては、特に制限されるものではない。例えば、電極スラリーを塗布し、乾燥した後、電極をプレスする際のプレス圧力(荷重)を変化させる方法などを用いることができる。但し、電極活物質層内に存在する空間の割合(空孔率)を変化させる方法は上記の方法に何ら制限されるものではなく、従来公知の方法を適宜利用してもよい。
なお、電池(製品)の電極活物質層内に存在する空間の割合(空孔率)は、電池を解体して、電極を取り出し、電解質を洗浄除去し、乾燥した後に水銀圧入法などを用いて測定することができる。あるいは電池を解体して、断面だしして、SEM(走査型電子顕微鏡)の断面画像から空孔部分(電解液保持部分)をマッピングにより体積割合(空孔率)を算出することができる。
(2a)正極活物質
(2a−i)構成要件について
正極活物質としては、従来公知のものを使用することができる。
正極活物質としては、例えば、LiMn、LiCoO、LiNiO、Li(Ni,Co,Mn)O、LiMnO、LiMnO−LiMO系(M=Co、Niなど)固溶体およびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等のリチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物などが挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、リチウム−遷移金属複合酸化物が、正極活物質として用いられる。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
特に本実施形態では、上記したように温度依存性があり発熱による受熱状態で電池特性に大きな不均一性を伴う正極活物質に対して好適に適用し得るものである。具体的には、LiNiO、LiNiOのNiの一部がCoやAl等の他の元素により置換されたもの、LiCoO、Li(Ni,Co,Mn)O(=LiNiCoMn;x+y+z=1等とも称されている)、LiMnO、LiMnO−LiMO系(M=Co、Niなど)固溶体などの(最密充填)層状岩塩型構造(岩塩型層状構造)を持つ正極活物質である。
図3は、温度依存性なる正極活物質と温度依存性のない正極活物質を用いた正極の容量増減を表したイメージ図である。
図3に示すように、正極活物質のうち、マンガン酸リチウム(LiMn)では、セル温度の変化に対する容量増減率に変化がなく、温度依存性がないことがわかる。即ち、LiMnは温度依存性がない反面、エネルギー密度は低い。こうした正極活物質では、発熱による受熱状態で電池特性に大きな不均性を伴うわけではない。しかしながら、図2に示すように積層構造電池、特に車載用電池では、一般に携帯電話やモバイルパソコンに用いられる巻回構造等の小型電池と異なり大型ゆえ積層内部(積層方向の内側)と外部(積層方向の外側)で大きな温度差が生まれる。そのため、温度依存性がない正極活物質に対しても本実施形態の電池構成は有効に手段と成り得るものである。
一方、図3に示す正極活物質のうち、Niの一部をAl、Co等に置換したLi(Ni,Co,Al)Oやニッケルコバルトマンガン酸リチウムLi(Ni,Co,Mn)Oでは、セル温度の変化(増加)に対する容量増減率の変化(増加)とが正比例の関係にある。こうした温度依存性がある正極活物質は層状岩塩型構造であり、充放電時の発熱による受熱状態で電池特性に大きな不均一性を伴う。その結果、積層構造による積層内部(積層方向の内側)と外部(端部;積層方向の外側)での大きな温度差に加え、電池温度依存性による内側と外側の温度差も加わり、より温度差が顕在化する。そのため、そのため、温度依存性がのある正極活物質に対して本実施形態の構成はとりわけ有効に手段と成り得るものといえる。またLi(Ni,Co,Al)O、Li(Ni,Co,Mn)O、LiNiO、LiMnO等のエネルギー密度が高い正極活物質は、電池を高容量化しやすく、車載用電池に用いた場合、1回の充電での走行距離を延ばすことができるなどの点でも有利である。
正極活物質の平均粒子径は特に制限されないが、高出力化の観点からは、好ましくは1〜25μmである。
正極活物質の量は、特に制限されないが、好ましくは正極活物質層形成用原料の総量に対して、50〜99質量%、より好ましくは70〜97質量%、さらに好ましくは80〜96質量%の範囲である。
(2b)負極活物質
(2b−i)構成要件について
負極活物質は、放電時にリチウムイオンを放出し、充電時にリチウムイオンを吸蔵できる組成を有する。負極活物質は、リチウムを可逆的に吸蔵および放出できるものであれば特に制限されないが、負極活物質の例としては、SiやSnなどの金属、あるいはTiO、Ti、TiO、もしくはSiO、SiO、SnOなどの金属酸化物、Li4/3Ti5/3もしくはLiMnNなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物、Li−Pb系合金、Li−Al系合金、Li、または天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、もしくはハードカーボンなどの炭素材料などが好ましく挙げられる。このうち、リチウムと合金化する元素を用いることにより、従来の炭素系材料に比べて高いエネルギー密度を有する高容量および優れた出力特性の電池を得ることが可能となる。上記負極活物質は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。上記のリチウムと合金化する元素としては、以下に制限されることはないが、具体的には、Si、Ge、Sn、Pb、Al、In、Zn、H、Ca、Sr、Ba、Ru、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Au、Cd、Hg、Ga、Tl、C、N、Sb、Bi、O、S、Se、Te、Cl等が挙げられる。
上記活物質のうち、炭素材料、ならびに/またはSi、Ge、Sn、Pb、Al、In、およびZnからなる群より選択される少なくとも1種以上の元素を含むことが好ましく、炭素材料、Si、またはSnの元素を含むことがより好ましい。炭素材料のうち、リチウム対比放電電位が低い黒鉛を用いることがさらに好ましい。
上記負極活物質を負極として使用する際には、負極活物質を含む負極活物質層を板状に成形しそのまま負極としてもよいし、集電体の表面に上記負極活物質粒子を含む負極活物質層を形成して負極としてもよい。後者の形態における負極活物質粒子の平均粒子径は、特に制限されないが、負極活物質の高容量化、反応性、サイクル耐久性の観点からは、好ましくは1〜100μmであり、さらに高出力化の観点から、より好ましくは1〜25μmである。このような範囲であれば、二次電池は、高出力条件下での充放電時における電池の内部抵抗の増大が抑制され、充分な電流を取り出しうる。なお、負極活物質が二次粒子である場合には該二次粒子を構成する一次粒子の平均粒子径が10nm〜1μmの範囲であるのが望ましいといえるが、本実施形態では、必ずしも上記範囲に制限されるものではない。ただし、製造方法にもよるが、負極活物質が凝集、塊状などにより二次粒子化したものでなくても良いことはいうまでもない。かかる負極活物質の粒径および一次粒子の粒径は、レーザー回折法を用いて得られたメディアン径を使用できる。なお、負極活物質粒子の形状は、その種類や製造方法等によって取り得る形状が異なり、例えば、球状(粉末状)、板状、針状、柱状、角状などが挙げられるがこれらに限定されるものではなく、いずれの形状であれ問題なく使用できる。好ましくは、充放電特性などの電池特性を向上し得る最適の形状を適宜選択するのが望ましい。
負極活物質の量は、特に制限されないが、好ましくは負極活物質層形成用原料の総量に対して、50〜99質量%、より好ましくは70〜97質量%、さらに好ましくは80〜96質量%の範囲である。
(2b)導電助剤
(2b−i)構成要件について
導電助剤とは、活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト等のカーボン粉末や、気相成長炭素繊維(VGCF;登録商標)等の種々の炭素繊維、膨張黒鉛などが挙げられる。しかし、導電助剤がこれらに限定されないことはいうまでもない。活物質層が導電助剤を含むと、活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。
正極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量は、正極活物質層形成用原料の総量に対して、1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上の範囲である。また、正極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量は、正極活物質層形成用原料の総量に対して、15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは7質量%以下の範囲である。活物質自体の電子導電性は低く導電助剤の量によって電極抵抗を低減できる正極活物質層での導電助剤の配合比(含有量)を上記範囲内に規定することで以下の効果が発現される。即ち、電極反応を阻害することなく、本実施形態の効果を発現できる。加えて、電子導電性を十分に担保することができ、電極密度の低下によるエネルギー密度の低下を抑制でき、ひいては電極密度の向上によるエネルギー密度の向上を図ることができる。
負極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量としては、負極活物質により異なることから一義的には規定することができない。即ち、負極活物質自体が優れた電子導電性を有する、グラファイト(黒鉛)、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料、金属材料を用いる場合には、負極活物質層への導電助剤の含有は特に必要がない。導電助剤を含有するとしても、負極側の電極構成材料の総量に対して、せいぜい0.1〜1質量%の範囲で十分である。一方、正極活物質と同様に電子導電性は低く導電助剤の量によって電極抵抗を低減できる。リチウム合金系負極材料、リチウム−遷移金属複合酸化物(例えば、LiTi12)などの負極活物質を用いる場合には、正極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量と同程度の含有量とするのが望ましい。即ち、負極活物質層へ混入されてなる導電助剤の含有量も、負極側の電極構成材料の総量に対して、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、特に好ましくは3〜7質量%の範囲とするのが望ましい。
(2b−ii)単セル抵抗を外側<内側とするための具体的な要件(手段)
(第1手段)
導電助剤を用いて単セル抵抗を積層方向の外側<内側とする(=外側を内側よりも反応を活性化させ)ための具体的な要件(第1手段)としては、正極および負極の少なくともいずれか一方の活物質層に混入する導電助剤量を、積層方向の外側>内側とするものである。これにより、上記要件(単セル抵抗を小さくする要件)を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特に、電子導電性の低い正極活物質層に使用する導電助剤を外側に多く混入することで上記課題を達成できる。同様に、電子導電性の低い負極活物質を用いた場合には、負極活物質層に使用する導電助剤を外側に多く混入することによって上記課題を達成できる。
具体的には、積層方向の外側の導電助剤量を100質量部とした場合に、電極活物質のサイズによっても異なるが、内側の導電助剤量は50〜80質量部とする。この場合、同じ材質、形状(アスペクト比)、大きさの導電助剤材料を用いた場合の導電助剤量を示している。言い換えれば、電極(正極または負極)活物質層全体(総量)に対する導電助剤の割合(質量の比率)が、積層方向の外側と内側との差で0.5〜2、好ましくは0.5〜1(表1の実施例1〜2参照)の範囲である。上記構成により、上記した目的を十分に達成し、所望の効果を奏することができる。以上のように、当該手段では、導電助剤を外側に多く混入することで、抵抗が下がる。抵抗が下がると電流が上がるため、Q=I×Rから発熱量は上がる。即ち、外側の単セルの発熱量が上がることで、内側と外側の温度差が低減ないしは無くなり、出力ムラを防ぐことができるものである。
(第2手段)
導電助剤を用いて単セル抵抗を積層方向の外側<内側とする(=外側を内側よりも反応を活性化させ)ための具体的な要件(第2手段)としては、正極および負極の少なくともいずれか一方の活物質層に混入する導電助剤のアスペクト比を、積層方向の外側>内側とするものである。これにより、上記要件(単セル抵抗を小さくする要件)を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特に、電子導電性の低い正極活物質層にアスペクト比の大きい導電助剤を外側に混入することで上記課題を達成できる。同様に、電子導電性の低い負極活物質を用いた場合には、負極活物質層にアスペクト比の大きい導電助剤のを外側に混入することによって上記課題を達成できる。
具体的には、積層方向の外側に用いるアスペクト比(長さ又は長辺)/直径又は短辺)の大きい導電助剤としては、相対的に抵抗の低く、3次元の導電性ネットワークを形成しやすいカーボンファイバ、カーボンナノチューブなどの繊維状カーボン等が用いられる。外側の導電助剤のアスペクト比は、10〜500の範囲が望ましい。積層方向の内側に用いるアスペクト比の小さい導電助剤としては、相対的に抵抗の高い鎖状カーボンやカーボン微粉末などが用いられる。内側の導電助剤のアスペクト比は、1.5〜5の範囲が望ましい。この場合、同じ材質、大きさ及び量の導電助剤を用いた場合の導電助剤の形状(形態)を示している。上記構成によっても、上記した目的を十分に達成し、所望の効果を奏することができる。以上のように、当該手段では、外側にアスペクト比の大きい導電助剤を混入することで、抵抗が下がる。抵抗が下がると電流が上がるため、Q=I×Rから発熱量は上がる。即ち、外側の単セルの発熱量が上がることで、内側と外側の温度差が低減ないしは無くなり、出力ムラを防ぐことができるものである。
(第3手段)
導電助剤を用いて単セル抵抗を積層方向の外側<内側とする(=外側を内側よりも反応を活性化させ)ための具体的な要件(第3手段)としては、正極および負極の少なくともいずれか一方の活物質層に混入する導電助剤の平均粒子径を、積層方向の外側<内側とするものである。これにより、上記要件(単セル抵抗を小さくする要件)を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特に、導電性の低い正極活物質層に平均粒子径の小さい導電助剤を内側に混入することで上記課題を達成できる。同様に、導電性の低い負極活物質を用いた場合には、負極活物質層に平均粒子径の小さい導電助剤を内側に混入することによって上記課題を達成できる。
具体的には、積層方向の外側に用いる導電助剤の平均粒子径(平均直径)は、37〜43nmの範囲が望ましい。一方、内側に用いる導電助剤に平均粒子径(平均直径)は、27〜33nmの範囲が望ましい。この場合、同じ材質、形状(アスペクト比)及び量の導電助剤を用いた場合の導電助剤の大きさ(平均粒子径)を示している。上記構成によっても、上記した目的を十分に達成し、所望の効果を奏することができる。以上のように、当該手段では、外側に用いる導電助剤に平均粒子径(平均直径)の小さいものを混入することで、表面積が増大し接触面積が増えるため抵抗が下がる。抵抗が下がると電流が上がるため、Q=I×Rから発熱量は上がる。即ち、外側の単セルの発熱量が上がることで、内側と外側の温度差が低減ないしは無くなり、出力ムラを防ぐことができるものである。
上記した導電助剤の量、形状(アスペクト比)、大きさ(平均粒子径)の測定は、電池を解体し、断面だしして、SEM(走査型電子顕微鏡)の断面画像から導電助剤部分をマッピングにより大きさ(面積)、長さ、粒子径(直径)等を計測(カウント)することができる。これによる体積割合を出して質量%に換算することができる。
(2c)バインダ
(2c−i)構成要件について
バインダは、活物質層中の構成部材同士または活物質層と集電体とを結着させて電極構造を維持する目的で添加される。バインダとしては、上記目的を達成できる絶縁性材料であって、充放電時に副反応(酸化還元反応)を起こさない材料であればよく、特に限定されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。これらの好適なバインダは、耐熱性に優れ、さらに電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定であり活物質層に使用が可能となる。これらのバインダは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。しかし、バインダがこれらに限定されないことはいうまでもない。
バインダの量は、活物質等を結着することができる量であれば特に限定されるものではないが、好ましくは電極活物質層形成用原料の総量に対して、0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。
(2c−ii)単セル抵抗を外側<内側とするための具体的な要件(手段)
バインダを用いて単セル抵抗を積層方向の外側<内側とする(=外側を内側よりも反応を活性化させ)ための具体的な要件(手段)としては、まず上記した導電助剤量をの関係を担保した上で、バインダ量を積層方向の外側<内側とするものである。即ち、正極および負極の少なくともいずれか一方の活物質層に混入する導電助剤量を積層方向の外側>内側とし、バインダ量を積層方向の外側<内側とするものである。これにより、上記要件(単セル抵抗を小さくする要件)を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特に、単セル抵抗を小さくするための具体的な要件(手段)として、上記した導電助剤量を満足した状態の電極からバインダ(結着材)量を外側に少なく混入することで活物資の反応阻害部分を減らし、更に電子導電性をより向上させるため、上記課題を達成できる。同様に、電子導電性の低い負極活物質を用いた場合にも、負極活物質層に使用する導電助剤を外側に多く混入した状態の電極からバインダ(結着材)量を外側層に少なく混入することすることによって、上記課題を達成できる。
具体的には、積層方向の外側のバインダを100質量部とした場合に、電極活物質のサイズによっても異なるが、内側のバインダは110〜150質量部とする。この場合、同じ材質、形状(アスペクト比)、大きさのバインダ材料を用いた場合のバインダ量を示している。電極(正極または負極)活物質層全体(総量)に対するバインダの割合(質量の比率)が、積層方向の外側と内側との差で0.5〜2、好ましくは0.5〜1(表2の実施例3参照)の範囲である。上記構成により、上記した目的を十分に達成し、所望の効果を奏することができる。以上のように、当該手段では、上記した導電助剤量を満足した状態の電極からバインダ(結着材)量を外側に少なく混入することで、抵抗が下がる。抵抗が下がると電流が上がるため、Q=I×Rから発熱量は上がる。即ち、外側の単セルの発熱量が上がることで、内側と外側の温度差が低減ないしは無くなり、出力ムラを防ぐことができるものである。
上記したバインダ量の測定は、電池を解体し、断面だしして、SEM(走査型電子顕微鏡)の断面画像から導電助剤部分をマッピングによりカウント(計測)する。これから体積割合を出して重量%に換算することができる。なお、PVDFの場合には、EPMA元素マッピングすればよい(F(フッ素)を計測することで、全体量を換算できる)。SBRの場合、SBRの二重結合を染色させてマッピングすればよい(これにより全体量を換算できる)。
(2d)電解質塩(リチウム塩)
電解質塩(リチウム塩)としては、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。更には、後述する電解質層に用いられる電解質塩(リチウム塩)を適宜利用することができる。
(2e)イオン伝導性ポリマー
イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。更には、後述する電解質層に用いられる電解質塩(リチウム塩)を適宜利用することができる。
(2f)自立電極に用いられる多孔質骨格体
多孔質骨格体としては、不織布、織布、金属発泡体(ないし金属多孔体)、カーボンペーパーなどが望ましい。このうち、多孔質骨格体に用いられる不織布は、繊維が異方向に重なって形成されている。不織布には、樹脂製の材料が使用されており、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、セルロース、ナイロン、EVA樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂)等の繊維が適用されうる。なお、多孔質骨格体として、不織布以外の形態としては、樹脂製の織布(規則性のある樹脂多孔体)、金属発泡体ないし金属多孔体、カーボンペーパーなどが挙げられる。ここで、樹脂製の織布に用いられる樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、EVA樹脂などが例示できるが、これらに何ら制限されるものではない。金属発泡体ないし金属多孔体としては、好ましくは、Cu、Ni、Al、Tiの少なくとも1種の金属発泡体ないし金属多孔体などが例示できるが、これらに何ら制限されるものではない。好ましくは、Cu、Alの少なくとも1種の金属多孔体、カーボンペーパー、ポリプロピレン、ポリエチレン、EVA樹脂製の不織布である。
活物質層に占める骨格部の多孔質骨格体の割合は、2体積%以上、好ましくは7体積%以上の範囲にである。一方、活物質層に占める骨格部の多孔質骨格体の割合は、28体積%以下、好ましくは12体積%以下の範囲である。活物質層に占める多孔質骨格体の割合が上記範囲内であれば、電極反応を阻害することない点で優れている。
多孔質骨格体の空孔率(空隙率)としては、好ましくは70%〜98%、より好ましくは90〜95%である。上記範囲内であれば、発明の効果が有効に得られる点で優れている。
多孔質骨格体の空孔径としては、世の中で使用されている活物質が十分に充填できる50〜100μm程度が望ましい。上記範囲内であれば、発明の効果が有効に得られる点で優れている。即ち、多孔質骨格体の空孔径が100μm以下であれば、本実施形態の効果が有効に得られ、当該空孔径が50μm以上であれば、使用する活物質の粒径の制約なく使用用途に応じて適切な活物質を適宜選択することができる点で優れている。
多孔質骨格体の厚さは、活物質層の厚さより小さければよく、通常1〜120μm程度、好ましくは1〜20μm程度であることが好ましい。
各活物質層の厚さについても特に制限はないが、電子抵抗を抑えるという観点から、各活物質層の厚さ(片面)は、1〜120μm程度であることが好ましい。
(3)電解質層
(3−i)構成要件について
電解質層は、正極と負極との間の空間的な隔壁(スペーサ)として機能する。また、これと併せて、充放電時における正負極間でのリチウムイオンの移動媒体である電解質を保持する機能をも有する。
電解質層を構成する電解質に特に制限はなく、液体電解質、ならびに高分子ゲル電解質および高分子固体電解質などのポリマー電解質が適宜用いられうる。なお、液体電解質、ならびに高分子ゲル電解質および高分子固体電解質などのポリマー電解質のいずれの場合でも、電解質層にセパレータを用いるのが望ましい。
(3a)液体電解質
液体電解質は、溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解したものである。溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、プロピオン酸メチル(MP)、酢酸メチル(MA)、ギ酸メチル(MF)、4−メチルジオキソラン(4MeDOL)、ジオキソラン(DOL)、2−メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン(DME)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、およびγ−ブチロラクトン(GBL)などが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせた混合物として使用してもよい。また、支持塩(リチウム塩)としては、特に制限はないが、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiSbF、LiAlCl、Li10Cl10、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF、LiSCN等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)、LiBETI(リチウムビス(パーフルオロエチレンスルホニルイミド);Li(CSONとも記載)等の有機酸陰イオン塩などが挙げられる。これらの電解質塩は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない高分子固体電解質に分類される。
(3b)ゲル電解質
ゲル電解質は、リチウムイオン伝導性を有するマトリックスポリマーに、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。リチウムイオン伝導性を有するマトリックスポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PEO)、ポリプロピレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリル酸エステル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(PVdF−HFP)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ(メチルアクリレート)(PMA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)などが挙げられる。また、上記のポリマー等の混合物、変成体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体なども使用できる。これらのうち、PEO、PPOおよびそれらの共重合体、PVdF、PVdF−HFPを用いることが望ましい。かようなマトリックスポリマーには、リチウム塩等の電解質塩がよく溶解しうる。
(3c)高分子固体電解質
(3c−i)構成要件について
高分子固体電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、有機溶媒を含まない。したがって、電解質層が高分子固体電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
高分子ゲル電解質や高分子固体電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発揮しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合などの重合処理を施せばよい。なお、上記電解質は、電極の活物質層中に含まれていてもよい。
(3c−ii)単セル抵抗を外側<内側とするための具体的な要件(手段)
高分子固体電解質を用いて単セル抵抗を積層方向の外側<内側とする(=外側を内側よりも反応を活性化させ)ための具体的な要件(手段)としては、高分子固体電解質を用いた電解質層の厚みを、積層方向の内側>外側とするものである。これにより、上記要件(単セル抵抗を小さくする要件)を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特に高分子固体電解質を用いた電解質層の厚みを外側に従い薄くすることで、Liイオンの移動抵抗を軽減し、上記課題(目的)を達成できる。これは、高分子固体電解質に関しては、高分子固体電解質単独で形状保持機能及び機械的強度を持たせることができることから、高分子固体電解質だけで電解質層を形成し得るためである。なお、高分子固体電解質と共にセパレータを用いる場合には、後述するセパレータによる手段を併用してもよい。
具体的には積層方向の内側と外側との高分子固体電解質層の厚みの差を0.5〜1μmとする。内側と外側との高分子固体電解質層の厚みの差を上記範囲内とすることにより、上記した目的を十分に達成し、所望の効果を奏することができる。以上のように、当該手段では、高分子固体電解質層の厚みを外側に従い薄くする(Liイオンの拡散距離を短くする)ことで、Liイオンの移動抵抗を軽減し、外側の単セルの反応(活性化)を高め、発熱量を上げることができる。即ち、外側の単セルの反応(活性化)を高め、外側の単セルの発熱量を上げることで、内側と外側の温度差を縮小し、出力ムラを防ぐことができ、上記課題(目的)を達成できる。
なお、電池(製品)の高分子固体電解質層の厚さも、電池を解体して、断面だしをして厚さを測定することができる。また、電極と電解質層との境界は抵抗を図ることで確認できる。
(3d)セパレータ
(3d−i)構成要件について
セパレータとしては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを適宜利用することができる。例えば、上記電解質を吸収保持するポリマーや繊維からなる多孔性シートのセパレータや不織布セパレータ等を挙げることができる。
前記ポリマーないし繊維からなる多孔性シートのセパレータとしては、例えば、微多孔質(微多孔膜)を用いることができる。該ポリマーないし繊維からなる多孔性シートの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;これらを複数積層した積層体(例えば、PP/PE/PPの3層構造をした積層体など)、ポリイミド、アラミド、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)等の炭化水素系樹脂、ガラス繊維などからなる微多孔質(微多孔膜)セパレータが挙げられる。
前記微多孔質(微多孔膜)セパレータの厚みとして、使用用途により異なることから一義的に規定することはできない。1例を示せば、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)、燃料電池自動車(FCV)などのモータ駆動用二次電池などの用途においては、単層あるいは多層で4〜60μmであることが望ましい。前記微多孔質(微多孔膜)セパレータの微細孔径は、最大で1μm以下(通常、数十nm程度の孔径である)、その気孔率(空孔率)は20〜80%であることが望ましい。
前記不織布セパレータとしては、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル;PP、PEなどのポリオレフィン;ポリイミド、アラミドなど従来公知のものを、単独または混合して用いる。また、不織布のかさ密度は、含浸させた高分子ゲル電解質により十分な電池特性が得られるものであればよく、特に制限されるべきものではない。
前記不織布セパレータの気孔率(空孔率)は45〜90%であることが好ましい。さらに、不織布セパレータの厚さは、電解質層と同じであればよく、好ましくは5〜200μmであり、特に好ましくは10〜100μmである。厚さが5μm未満では電解質の保持性が悪化し、200μmを超える場合には抵抗が増大することになる。
(3d−ii)単セル抵抗を外側<内側とするための具体的な要件(手段)
(第1手段)
セパレータを用いて単セル抵抗を積層方向の外側<内側とする(=外側を内側よりも反応を活性化させ)ための具体的な要件(第1手段)としては、電極間に介在するセパレータの透気度を、積層方向の外側>内側とするものである。これにより、上記要件(単セル抵抗を小さくする要件)を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特にセパレータの透気度を外側に従い大きくする(Liイオン伝導性を高める)ことで、Liイオンの移動抵抗を軽減し、上記課題(目的)を達成できる。なお、セパレータの透気度(単位;秒/100cc)は、非水電解液中のイオン透過性の代用物性として膜の透気度を測定することは、当業者の間で一般的に行われている。透気度はJIS P−8117に準拠して室温にて測定した値である。
ここで、セパレータの透気度を変えるには、セパレータの厚み、気孔率(空孔率)、気孔の形状などを変えることにより、任意の透気度に調整することができる。なお、電池(製品)のセパレータの透気度を測定するには、電池を解体して、各セパレータを取り出し、電解質を洗浄除去し、乾燥した後に測定することができる。
具体的には積層方向の外側のセパレータの透気度(JIS P−8117に準拠した方法)を1〜200秒/100cc、好ましくは10〜50秒/100ccとし、内側のセパレータの透気度を0.5〜100秒/cc、好ましくは1〜5秒/100ccとする。内側と外側のセパレータの透気度を上記範囲内とすることにより、上記した目的を十分に達成し、所望の効果を奏することができる。以上のように、当該手段では、特にセパレータの透気度を外側に従い大きくする(Liイオン伝導性を高める)ことで、Liイオンの移動抵抗を軽減し、外側の単セルの反応(活性化)を高め、発熱量を上げることができる。即ち、外側の単セルの反応(活性化)を高め、外側の単セルの発熱量を上げることで、内側と外側の温度差を縮小し、出力ムラを防ぐことができ、上記課題(目的)を達成できる。
(第2手段)
セパレータを用いて単セル抵抗を積層方向の外側<内側とする(=外側を内側よりも反応を活性化させ)ための具体的な要件(第2手段)としては、電極間に介在するセパレータ厚みを、積層方向の内側>外側とするものである。これにより、上記要件(単セル抵抗を小さくする要件)を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特にセパレータの厚みを外側に従い薄くすることで、Liイオンの移動抵抗を軽減し、上記課題(目的)を達成できる。電池(製品)のセパレータの厚さを測定するには、電池を解体して、各セパレータを取り出し、電解質を洗浄除去し、乾燥した後に測定することができる。
具体的には積層方向の内側のセパレータの厚みを25〜35μm、好ましくは25〜30μmとし、外側のセパレータの厚みを15〜25μm、好ましくは15〜20μmとする(表5の実施例10参照)。内側と外側のセパレータの厚みを上記範囲内とすることにより、上記した目的を十分に達成し、所望の効果を奏することができる。以上のように、当該手段では、特にセパレータの厚みを外側に従い小さくする(Liイオンの拡散距離を短くする)ことで、Liイオンの移動抵抗を軽減し、外側の単セルの反応(活性化)を高め、発熱量を上げることができる。即ち、外側の単セルの反応(活性化)を高め、外側の単セルの発熱量を上げることで、内側と外側の温度差を縮小し、出力ムラを防ぐことができ、上記課題(目的)を達成できる。
なお、電池(製品)のセパレータの厚さは、電池を解体した状態で直接測定することができる(セパレータの厚さ自身は、使用前後で変化しない為である)ほか、電池を解体して、各セパレータを取り出し、電解質を洗浄除去し、乾燥した後に測定することもできる。
(第3手段)
セパレータを用いて単セル抵抗を積層方向の外側<内側とする(=外側を内側よりも反応を活性化させ)ための具体的な要件(第3手段)としては、電極間に介在するセパレータの気孔率(空孔率)を、積層方向の外側>内側とするものである。これにより、上記要件(単セル抵抗を小さくする要件)を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特にセパレータの気孔率を外側に従い大きくする(電解質充填率を高める)ことで、Liイオンの移動抵抗を軽減し、上記課題(目的)を達成できる。
具体的には積層方向の内側のセパレータの気孔率(空孔率)を45〜55%、好ましくは50〜55%とし、外側のセパレータの気孔率を55〜65%、好ましくは60〜65%とする(表6の実施例11〜12参照)。内側と外側のセパレータの気孔率を上記範囲内とすることにより、上記した目的を十分に達成し、所望の効果を奏することができる。以上のように、当該手段では、特にセパレータの気孔率を外側に従い大きくする(気孔内の電解質量を増大させ、Liイオン伝導性を高める)ことで、Liイオンの移動抵抗を軽減し、外側の単セルの反応(活性化)を高め、発熱量を上げることができる。即ち、外側の単セルの反応(活性化)を高め、外側の単セルの発熱量を上げることで、内側と外側の温度差を縮小し、出力ムラを防ぐことができ、上記課題(目的)を達成できる。
なお、電池(製品)のセパレータの気孔率(空孔率)も、電池を解体して、各セパレータを取り出し、電解質を洗浄除去し、乾燥した後に水銀圧入法などを用いて測定することができる。
(4)接着層
(4−i)構成要件について
接着層は、正極ないし負極と、電解質層のセパレータのいずれにも接着して、セパレータの熱収縮による短絡を防止する目的で設けられてなるものであればよい。
接着層に用いられる材料としては、上記目的を達成できる絶縁性材料であって、充放電時に副反応(酸化還元反応)を起こさない材料であればよく、特に制限されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデン(カルボキシル基を一部側鎖に持つもの)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、アラミド等が挙げられる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。これらの好適な接着層に用いられる材料は、耐熱性に優れ、さらに電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定であり接着層に使用が可能となる。これらの接着層に用いられる材料は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。しかし、接着層に用いられる材料がこれらに限定されないことはいうまでもない。これらのうち、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂などは、正極側、負極側のいすれの電位にも強いことから、いずれにも適用可能である。また、SBRなどは、負極電位に強いことから負極側に用いるのが好ましい。更に、PTFEなどは、正極電位に強いことから正極側に用いるのが好ましい。
接着層の厚さは、上記目的が達成できる範囲内でできるだけ薄くするのが,Liイオンの拡散距離が長くなるのを抑制でき、電池の軽量化にも寄与する点で望ましい。かかる観点から接着層の厚さは、接着層の形態にもよるが、セパレータ及び電極表面全体(全面)に接着層が存在している場合には、0.1〜5μm、好ましくは1〜2μmの範囲である。接着層の厚さが0.1μm以上であれば、製造が容易にできるため好ましく、接着層の厚さが5μm以下であれば、電池の負荷特性に悪影響を及ぼす虞が小さいため好ましい。
また、セパレータ及び電極表面全体ににストライプ状またはドット状に接着部(接着層)が存在している場合には、接着層の厚さは、0.1〜5μm、好ましくは1〜2μmの範囲である。接着層の厚さが0.1μm以上であれば、製造が容易にできるため好ましく、接着層の厚さが5μm以下であれば、電池の負荷特性に悪影響を及ぼす虞が小さいため好ましい。
接着層の厚さは、接着層が脆くうまく剥がせない場合もあり得ることから、電池を解体し、断面だしして、SEM(走査型電子顕微鏡)の断面画像から計測することができる。
接着層の気孔率(以下、空孔率ともいう)は、接着層の形態にもよるが、セパレータ及び電極表面全体(全面)に接着層が存在している場合やストライプ状またはドット状に接着部(接着層)が存在している場合には、60%以上、好ましくは60〜90%である。60%以上とすることで、Liイオンの拡散を妨げない点で優れている。
但し、ドット状に接着部を設ける場合であって、接着部の割合が非常に小さい場合に、接着部(接着層)の空孔率は、むしろ小さい方がよく、10%以下、好ましくは0%である。これは、割合の大きい非接着部が、新たな電解液保持部として有効に機能するためである。樹脂部の割合が非常に小さい場合の樹脂部の割合は、接着性と電池性能とを考慮して適宜決定すればよい。
接着層の形態としては、上記目的を達成できるものであればよく、例えば、(i)セパレータ及び電極の表面全体(全面)に接着層が存在していてもよい。この場合には、当該接着部が、保液空間を有するべく、多孔質層となっている必要がある(上記空孔率参照)。あるいは、(ii)セパレータ及び電極表面に、接着層の存在する接着部と接着層の存在しない非接着部が形成されるように接着層が間隔をあけて存在していてもよい。接着部は、セパレータ及び電極表面に均等性が保たれるように配置されているのが望ましい。上記(ii)の場合には、非接着部が保液空間として有効に機能することから、当該接着部(接着層)は、保液空間を有する多孔質層であってもよい。或いは、保液空間が存在しない無孔質(=気孔率(空孔率)0%)であってもよい。特にドット状に接着部を設ける場合(=接着部の割合が非常に小さい場合)に、当該接着部を保液空間が存在しない無孔質(=気孔率(空孔率)0%)とするのがよい。
図4Aは、電極表面にストライプ状の接着部を設けた様子を表す平面図である。図4B、4Cは、電極表面にドット状の接着部を設けた様子を表す平面図である。
具体的には、(iia)図4Aに示すように、セパレータ及び電極表面31に、ストライプ状の接着部33aとストライプ(33a)ストライプ(33a)の間に非接着部35が形成されるように接着層(33a)が間隔をあけて存在していてもよい。(iib)図4B、Cに示すように、セパレータ及び電極表面31に、ドット状の接着部33bとドット(33b)とドット(33b)の間に非接着部35が形成されるように接着層(33b)が間隔をあけて点在して存在していてもよい。(iib)の例としては、(b1)セパレータ及び電極表面31の四隅だけにドット状の接着部33bが存在し、四隅のドット(接着部33b)以外のセパレータ及び電極表面31に非接着部35が形成されるように接着層が間隔をあけて存在していてもよい(図4B)。或いは(b2)セパレータ及び電極表面31にドット状の接着部33bが均等性を保つように点在し、ドット(33b)とドット(33b)の間のセパレータ及び電極表面31に非接着部35が形成されるように接着層が間隔をあけて存在していてもよい。例えば、セパレータ及び電極表面31に、横3点×縦4点で合計12点のドット状の接着部33bが等間隔に点在し、12点のドット(接着部33b)以外のセパレータ及び電極表面31に非接着部35が形成されるように接着層が間隔をあけて存在していてもよい(図4C)。但し、これらの形態に何ら制限されるものではなく、格子状、菱形格子状、短冊状、連続又は不連続な円や楕円などのリング状や多角形状、波形状、半円状、不定形状など、上記目的を達成できるものであれば他のいかなる形態でもよい。
また、接着層の軟化点は、セパレータの軟化点よりも低いのが好ましい。これは、セパレータの形状を保ちながら、接着層の表面を軟化させて接着性を出すことで十分に接着させることができる点で優れている。かかる観点から、最も軟化点の高い積層方向の外側の接着層の軟化点が、セパレータの軟化点よりも低いのが望ましい。具体的には、最も軟化点の高い積層方向の外側の接着層の軟化点を、セパレータの軟化点より5〜10℃低くするのが好ましい(実施例のセパレータの軟化点温度と接着層A〜Dの軟化点温度参照)。
ここで、接着層の軟化点温度およびセパレータの軟化点温度は、いずれもビカット軟化温度(ビカット軟化点、Vicat Softening Temperature、VST)とし、JIS K7206により測定することができる。JIS K7206の概要を説明すれば、加熱浴槽の中に規定された寸法の試験片を据え、中央部に一定の断面積(JIS K7206では1mm)の端面を押し当てた状態で浴槽の温度を上昇させる。試験片に端面が一定の深さまで食い込んだ時の温度をビカット軟化温度(単位:℃)とするものである。
接着層の形成は、実施例に示すように、予めセパレータ表面に、接着層を形成するための接着材料を適当な溶剤に溶解した接着スラリー(濃度変化により接着層の空孔率を調整可能)を所望の厚さ、形状(全面、ストライプ状、ドット状等)に塗布、乾燥する。これによりセパレータと接着層を一体化できる(接着セパレータという)。なお、正負極のいずれか一方に接着層を設ける場合、いずれでも本実施形態の効果は同じである。ただ、電極サイズが異なる場合には、サイズの大きい電極側(通常、負極側)に設けた方が、サイズの大きい電極と同じサイズのセパレータが熱収縮して、サイズの小さい電極よりも小さくなるまでは、対向する電極同士が接触しないため有利ともいえる。この接着セパレータを通常のセパレータと同様にして、正極、負極の間に挟み込んで、発電要素21を形成する。その後、発電要素21の上下方向から熱プレス装置(図2、5参照)でホットプレスすることで、接着セパレータの接着層(接着部)の表面部分を軟化させて接着性をださせて電極とも接着させる。これにより、電極−セパレータ間を接着してなる接着層を形成することができる。なお、予め電極(正極ないし負極)側に接着スラリーを塗布して樹脂電極(電極と接着層を一体化したもの)を作製してもよい。その後は、同様にして発電要素21を形成し、ホットプレスすることで、電極−セパレータ間を接着してなる接着層を形成することもできる。
(4−ii))単セル抵抗を外側<内側とするための具体的な要件(手段)
(第1手段)
接着層を用いて単セル抵抗を積層方向の外側<内側とする(=外側を内側よりも反応を活性化させ)ための具体的な要件(第1手段)としては、接着層内に存在する空間を、積層方向の外側>内側とすることを特徴とするものである。これにより、上記要件(単セル抵抗を小さくする要件)を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特に、セパレータと電極(活物質層)の間に積層ズレを防ぐ接着層を設け、その接着層に空間を外側に従い多く設けることで、Liイオンの移動抵抗を軽減し、上記課題を達成できる。
なお、接着層内に存在する空間とは、電池(製品)の段階では、電解質(電解液やゲル電解質等)が充填(保持)されている部分(領域)をいうものである。
具体的には接着層内に存在する空間の割合(気孔率(空孔率))を、積層方向の外側と内側で10±7%の範囲、好ましくは10±5%の範囲の差とする。また接着層内に存在する空間の割合(気孔率)を積層方向の内側は55〜65%の範囲とし、外側は60〜70%の範囲とする(実施例の接着セパレータA、Bの空孔率と、表7の実施例13参照)。内側と外側の接着層内に存在する空間の割合(気孔率)及びその差を上記範囲内とすることにより、上記した目的を十分に達成し、所望の効果を奏することができる。以上のように、当該手段では、特に接着層内に存在する空間の割合(気孔率)を外側に従い大きくする(Liイオンの拡散を妨げない)ことで、Liイオンの移動抵抗を軽減し、外側の単セルの反応(活性化)を高め、発熱量を上げることができる。即ち、外側の単セルの反応(活性化)を高め、外側の単セルの発熱量を上げることで、内側と外側の温度差を縮小し、出力ムラを防ぐことができ、上記課題(目的)を達成できる。
なお、上記接着層内に存在する空間の割合を変化させる方法としては、特に制限されるものではなく、(a)接着層の厚さは変えずに気孔率(空孔率)を変化させてもよい。また(b)接着層の気孔率(空孔率)は変えずに、厚さを変えてもよい。あるいは(c)接着層を間隔をあけて形成する場合には、当該間隔を変えてもよい。あるいは上記した(a)〜(c)の2以上を適当に組合せてもよい。但し、接着層内に存在する空間の割合を変化させる方法は上記の方法に何ら制限されるものではなく、従来公知の方法を適宜利用してもよい。
接着層内に存在する空間の割合(気孔率)は、ます、電池を解体して、各接着層を取り出し、電解質を洗浄除去し、乾燥した後に水銀圧入法などを用いて測定することができる。但し、接着層が脆くうまく剥がせない場合などには、電池を解体し、断面だしして、SEM(走査型電子顕微鏡)の断面画像から接着層の空間部分をマッピングによりカウント(計測)することもできる。
(第2手段)
接着部と非接着部が形成された接着層を用いて単セル抵抗を積層方向の外側<内側とする(=外側を内側よりも反応を活性化させ)ための具体的な要件(第2手段)としては、非接着部の割合が、積層方向の外側>内側とすることを特徴とするものである。これにより、上記要件(単セル抵抗を小さくする要件)を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特に、セパレータと電極(活物質層)の間に積層ズレを防ぐ接着層を設け、例えその接着層(接着部)自体に十分な保液空間を持たなくとも、非接触部(=保液空間となる)を設け、その割合を外側に従い広げることで、Liイオンの移動抵抗を軽減し、上記課題を達成できる。
具体的には、セパレータ及び電極表面に存在する非接着部の割合を、積層方向の内側は55〜85%の範囲とし、外側は65%以上(99%以下)の範囲とする(接着セパレータC、Dの非接着部の割合と、表7の実施例14参照)。内側と外側のセパレータ及び電極表面に存在する非接着部の割合を上記範囲内とすることにより、上記した目的を十分に達成し、所望の効果を奏することができる。以上のように、当該手段では、セパレータ及び電極表面に存在する非接着部の割合を外側に従い大きくすることで、接着層自体に十分な保液空間を持たなくとも、非接触部が保液空間として有効に機能することができる。そのため、Liイオンの移動抵抗を軽減し、外側の単セルの反応(活性化)を高め、発熱量を上げることができる。即ち、外側の単セルの反応(活性化)を高め、外側の単セルの発熱量を上げることで、内側と外側の温度差を縮小し、出力ムラを防ぐことができ、上記課題(目的)を達成できる。
セパレータ及び電極表面に存在する非接着部の割合は、電池を解体し、断面だしして、SEMの断面画像から接着部(ドット)をマッピングによりカウント(計測)することで算出できる。
(5)集電板(集電タブ;外部リード)
(5−i)構成要件について
リチウムイオン二次電池においては、電池外部に電流を取り出す目的で、集電板(集電タブ)25、27を用いてもよい。集電板(集電タブ)25、27は、集電体11、12に電気的に接続され、外装材29であるラミネートフィルム等の外部に取り出されている。
集電板25、27を構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用の集電板として従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。集電板の構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましい。軽量、耐食性、高導電性の観点から、より好ましくはアルミニウム、銅であり、特に好ましくはアルミニウムである。なお、正極集電板(正極タブ)25と負極集電板(負極タブ)27とでは、同一の材料が用いられてもよいし、異なる材料が用いられてもよい。
(5−ii)単セル抵抗を外側<内側とするための具体的な要件(手段)
(第1手段)
集電板(集電タブ)を用いて単セル抵抗を積層方向の外側<内側とする(=外側を内側よりも反応を活性化させ)ための具体的な要件(第1手段)としては、集電タブ(外部リード)の厚みを、積層方向の外側>内側とすることを特徴とするものである。これにより、上記要件(単セル抵抗を小さくする要件)を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特に、集電タブ(外部リード)の厚みを外側に従い厚くすることで電子移動抵抗を軽減でき、上記課題を達成できる。
具体的には積層方向の内側の集電タブの厚みを5μm以下、好ましくは1〜5μmとし、外側の集電タブの厚みを10μm以上(300μm以下)、好ましくは10〜15μmとする。特に、内側の集電タブの厚さを抵抗が生じる程度に薄くするのが望ましい。即ち、内側の集電タブの厚さが10μm以上になると、外側の集電タブの厚さを20μmにしても、集電体の抵抗に優位差を生じさせにくくことから、内側の集電タブの厚さは5μm以下が望ましい。上記構成により、上記した目的を十分に達成し、所望の効果を奏することができる。また、内側の集電タブの厚さの下限値は特に制限されるものではないが、1μm以上であれば、製造上、均一な集電タブを得やすい点で有利である。以上のように、当該手段では、内側の集電タブの厚さを薄くすることで、抵抗を高め、内側の単セルの反応(活性化)を抑制し、内側の単セルの発熱量を低下することで、内側と外側の温度差が低減ないしは無くなり、出力ムラを防ぐことができるものである。
(第2手段)
集電タブを用いて単セル抵抗を積層方向の外側<内側とする(=外側を内側よりも反応を活性化させ)ための具体的な要件(第2手段)としては、集電タブの断面積を、積層方向の外側>内側とすることを特徴とするものである。かかる構成によっても、上記要件(単セル抵抗を小さくする要件)を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特に、集電タブの断面積を外側に従い大きくすることで電子移動抵抗を軽減でき、上記課題(目的)を達成できる。この場合、集電タブの厚さを変えなくとも、集電タブの断面積を変えることで、上記目的を達成できる。
具体的には積層方向の内側の集電タブの断面積を20μm以下、好ましくは0.8〜20μmとする。一方、外側の集電タブの断面積を75μm以上(300μm以下)、より好ましくは75〜180μmとする。特に、内側の集電タブの断面積を抵抗が生じる程度に小さくするのが望ましく、内側の集電タブの断面積は20μm以下が望ましい。上記構成により、上記した目的を十分に達成し、所望の効果を奏することができる。また、内側の集電タブの断面積の下限値は、車載用電池など外部からの振動衝撃に耐え得るのが望ましいことから0.8μmとするのが有利である。外側の集電タブの断面積の上限値は特に制限されるものではないが、300μm以下とするのが、電池の軽量化等の観点から望ましいといえる。以上のように、当該手段でも、内側の集電タブの断面積を大きくすることで、抵抗が上がる。抵抗が上がると電流が下がるため、Q=I×Rから発熱量は下がる。即ち、内側の単セルの反応(活性化)が抑制され、内側の単セルの発熱量が下がることで、内側と外側の温度差が低減ないしは無くなり、出力ムラを防ぐことができるものである。
(5a)電極(正極および負極)端子リード(内部リード)
(5a−i)構成要件について
図1に示す積層構造電池10においては、負極端子リードおよび正極端子リード(図示せず)をそれぞれ介して、集電体は集電板(集電タブ)と電気的に接続されていてもよい。但し、集電体の一部を電極端子リード(内部リード)のように伸ばして、直接集電板(集電タブ)と電気的に接続することもできる。したがって、電極端子リードは、必要に応じて適宜用いればよい、任意構成部材といえるものである。
負極および正極端子リードの材料は、公知の積層型二次電池で用いられるリードを用いることができる。なお、電池外装材から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆するのが好ましい。
(5a−ii)単セル抵抗を外側<内側とするための具体的な要件(手段)
(第1手段)
電極端子リードを用いて単セル抵抗を積層方向の外側<内側とする(=外側を内側よりも反応を活性化させ)ための具体的な要件(第1手段)としては、電極(正極及び/又は負極)端子リードの太さ(厚み)を、積層方向の外側>内側とすることを特徴とするものである。これにより、上記要件(単セル抵抗を小さくする要件)を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特に、電極端子リードの太さ(厚み)を外側に従い太く(厚く)することで電子移動抵抗を軽減でき、上記課題を達成できる。
具体的には積層方向の内側の電極端子リードの太さ(直径ないし厚み)を5μm以下、好ましくは1〜5μmとし、外側の電極端子リードの太さ(直径ないし厚み)を10μm以上(100μm以下)、好ましくは10〜15μmとする。特に、内側の電極端子リードの太さを抵抗が生じる程度に薄くするのが望ましい。即ち、内側の電極端子リードの太さが10μm以上になると、外側の電極端子リードの太さを20μmにしても、電極端子リードの抵抗に優位差を生じさせにくくことから、内側の電極端子リードの太さは5μm以下が望ましい。上記構成により、上記した目的を十分に達成し、所望の効果を奏することができる。また、内側の電極端子リードの太さの下限値は特に制限されるものではないが、1μm以上であれば、製造上、均一な太さのリードを得やすい点で有利である。以上のように、当該手段では、内側の電極端子リードの太さを小さく(薄く)することで、抵抗を高め、内側の単セルの反応(活性化)を抑制し、内側の単セルの発熱量を低下することで、内側と外側の温度差が低減ないしは無くなり、出力ムラを防ぐことができるものである。
(第2手段)
電極端子リードを用いて単セル抵抗を積層方向の外側<内側とする(=外側を内側よりも反応を活性化させ)ための具体的な要件(第2手段)としては、電極端子リードの断面積を、積層方向の外側>内側とすることを特徴とするものである。かかる構成によっても、上記要件(単セル抵抗を小さくする要件)を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特に、電極端子リードの断面積を外側に従い大きくすることで電子移動抵抗を軽減でき、上記課題(目的)を達成できる。この場合、電極端子リードの厚さを変えなくとも、電極端子リードの断面積を変えることで、上記目的を達成できる。
具体的には積層方向の内側の電極端子リードの断面積を20μm以下、好ましくは0.8〜20μmとする。一方、外側の電極端子リードの断面積を75μm以上(300μm以下)、より好ましくは75〜180μmとする。特に、内側の電極端子リードの断面積を抵抗が生じる程度に小さくするのが望ましく、内側の電極端子リードの断面積は20μm以下が望ましい。上記構成により、上記した目的を十分に達成し、所望の効果を奏することができる。また、内側の電極端子リードの断面積の下限値は、車載用電池など外部からの振動衝撃に耐え得るのが望ましいことから0.8μmとするのが有利である。外側の電極端子リードの断面積の上限値は特に制限されるものではないが、300μm以下とするのが、電池の軽量化等の観点から望ましいといえる。以上のように、当該手段でも、内側の電極端子リードの断面積を大きくすることで、抵抗が上がる。抵抗が上がると電流が下がるため、Q=I×Rから発熱量は下がる。即ち、内側の単セルの反応(活性化)が抑制され、内側の単セルの発熱量が下がることで、内側と外側の温度差が低減ないしは無くなり、出力ムラを防ぐことができるものである。
(第3手段)
電極端子リードを用いて単セル抵抗を積層方向の外側<内側とする(=外側を内側よりも反応を活性化させ)ための具体的な要件(第3手段)としては、電極端子リードの単位面積当たりの導電率を、積層方向の外側>内側とすることを特徴とするものである。これにより、上記要件(単セル抵抗を小さくする要件)を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特に、電極端子リードの単位面積当たりの導電率を外側に従い大きくすることで電子移動抵抗を軽減でき、上記課題を達成できる。
具体的には積層方向の内側の電極端子リードの単位面積当たりの導電率を変える方法としては、例えば、外側の電極端子リードにCu等の金属材を用い、内側にCu等の金属材にアルミナ等の絶縁物を入れた複合材を用いることで内側の導電率を下げることができる。また、ステンレス鋼のような合金材でも導電率の異なるものを任意に選択することができる。更に、樹脂材に導電性フィラーを入れて形成した、いわゆる樹脂集電タブでは、導電率の異なる導電性フィラーを用い、内側より外側に高導電率の導電性フィラーを用いることでも導電率を外側>内側となるように変えることができる。同様に導電率が同じ導電性フィラーであっても、樹脂集電タブへの含有量を内側より外側が高くなるようにすることでも導電率を外側>内側となるように変えることができる。
なお、積層方向の内側と外側の電極端子リード(内部リード)の単位面積当たりの導電率は、内側の単セルの反応(活性化)が抑制され、内側の単セルの発熱量が下がることで、内側と外側の温度差が低減ないしは無くなるように、適宜決定すればよい。
(6)電池外装材
電池外装材としては、従来公知の金属缶ケースを用いることができる。そのほか、図1に示すようなラミネートフィルム29を外装材として用いて、発電要素21をパックしてもよい。ラミネートフィルムは、例えば、ポリプロピレン、アルミニウム、ナイロンがこの順に積層されてなる3層構造として構成されうる。このようなラミネートフィルムを用いることにより、外装材の開封、容量回復材の添加、外装材の再封止を容易に行うことができる。また、高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるという観点からもラミネートフィルム外装材が望ましい。
上記の積層構造のリチウムイオン二次電池10は、従来公知の製造方法により製造することができる。
なお、電池の製造段階で、集電体、正極、負極、セパレータ(接着層を含む場合もある)、タブ、リード等は出来上がった時点でどうしても、重量や厚みにばらつきが生じる。そのためこれら電極などにつき、1枚づつ導通チェック(電子抵抗の違い、若しくは電極をX線で見たときのバインダの偏析等のチェックなど、より簡単に特性(抵抗の違いによる序列)がチェックの手法があれば、その手法を用いればよい)がなされる。この際に、例えば、導通性の良い(抵抗に低い)ものから順に整理したり、導通性能ごとにまとめて(2以上のグループに)区分しておくようにしておく。その後、単セルを組む際に、上記した単セル抵抗を小さくするための具体的な要件(手段)に合致するように整理ないし区分したもののの中から選択的に抜き出して組合せることで、本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することもできる。この場合にも製造段階で、わざわざ特性の異なる集電体、正極、負極、セパレータ(接着層を含む場合もある)、タブ、リードなどを別々に作製する必要がない。例えば、上記した単セル抵抗を小さくするための具体的な要件(手段)に要件に合致する原材料(セパレータや集電体等)を揃える(=部品点数の増大及び管理の煩雑さ)必要がない。また正極、負極等の製造条件(導電助剤量、バインダ量、プレス条件(=空孔率の調整)等を細かく変更する必要もない。そのため、本実施形態を実現する上で、極めて有効な手段と成り得るものである。当該手法は、組電池及び複合組電池においても適用できる、極めて有効な手段と成り得るものである。
[リチウムイオン二次電池の外観構成]
図5は、積層構造電池の代表的な実施形態である扁平な積層型(積層構造)のリチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。
図5に示すように、扁平な積層型のリチウムイオン二次電池30では、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極タブ38、負極タブ39が引き出されている。発電要素37は、リチウムイオン二次電池30の電池外装材52によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素37は、正極タブ38および負極タブ39を外部に引き出した状態で密封されている。ここで、発電要素37は、先に説明した図1に示す積層型のリチウムイオン二次電池(積層構造電池)10の発電要素21に相当するものである。発電要素37は、正極、電解質層および負極で構成される単電池層(単セル)19が複数積層されたものである。
また、図5に示すタブ38、39の取り出しに関しても、特に制限されるものではない。正極タブ38と負極タブ39とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、正極タブ38と負極タブ39をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出しようにしてもよいなど、図5に示すものに制限されるものではない。
上記リチウムイオン二次電池(積層構造電池)10は、電気自動車やハイブリッド電気自動車や燃料電池車やハイブリッド燃料電池自動車などの大容量電源として、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に好適に利用することができる。
なお、上記実施形態は、積層構造電池として、積層型のリチウムイオン二次電池を例示したが、これに制限されるわけではなく、他のタイプの二次電池、さらには、一次電池にも適用できる。
以上説明した本実施形態の積層構造電池は、以下の効果を有する。
本実施形態の電池10は、単セル抵抗を外側<内側とすることで、積層される各単セルごとに均一な出力を得ることができ、電池の耐久性が向上することができる。
以下は、単セル抵抗を外側<内側とする(=外側の単セルを内側の単セルよりも反応を活性化させるための具体的な構成(手段)による効果である。
(1)セパレータの透気度を外側に従い大きくすることで、Liイオンの移動抵抗を軽減し、上記効果(外側の単セルを内側の単セルよりも反応を活性化させるよう設計する=単セルの抵抗を小さくする効果)を奏することができる。
(2)セパレータの厚みを外側に従い薄くすることで、Liイオンの移動抵抗を軽減し、上記効果を奏することができる。
(3)イオンの通り道となるセパレータの気孔率(空孔率;空間量)を外側に従い、多く設けることで、正負極の短絡を防ぎ、Liイオンの移動抵抗を軽減し、上記効果を奏することができる。
(4)正極と負極の電極間に存在する空間の割合(気孔率(空孔率))を外側に従い、多く設けることで、正負極の短絡を防ぎ、Liイオンの移動抵抗を軽減し、上記効果を奏することができる。
(5)セパレータと電極層の間に積層ズレを防ぐ接着層を設け、その接着層に空間(気孔率(空孔率))を外側に従い多く設けることで、Liイオンの移動抵抗を軽減し、上記効果を奏することができる。
(6)セパレータと電極層の間に積層ズレを防ぐ接着層を設け、接着層の存在する接着部と接着層の存在しない非接着部が形成されるように接着層が間隔をあけて存在させ、前記非接着部の割合を外側に従い広げる。こうすることで、たとえ、その接着部自体に十分な保液空間を持たなくとも、非接着部が十分な保液空間と成り得るため、Liイオンの移動抵抗を軽減し、上記効果を奏することができる。
(7)電子導電性の低い正極活物質層に使用する導電助材を外側層に多く混入することで、上記効果を奏することができる。
(8)正極活物質層に使用する導電助材を外側層に多く混入し、更にバインダ量を外側層に少なく混入することで活物資の反応阻害部分を減らし、更に電子導電性をより向上させるため、上記効果を奏することができる。
(9)正負極活物質層内の空間量(空孔率=電解液保持部)を外側に従い増加させることで、Liイオンの移動抵抗を軽減し、上記効果を奏することができる。
(10)集電体の厚みを外側に従い厚くすることで電子移動抵抗を軽減でき、上記効果を奏することができる。
(11)複数の貫通孔を有する集電体を用いる場合に、集電体の断面積を外側に従い増加させることで、電子移動抵抗を軽減でき、上記効果を奏することができる。
(12)集電体の単位面積当たりの導電率を外側に従い高くすることで電子移動抵抗を軽減でき、上記効果を奏することができる。
(13)集電タブないし電極端子リード体の断面積を外側に従い大きくすることで電子移動抵抗を軽減でき、上記効果を奏することができる。
(14)集電タブないし電極端子リード体の単位面積当たりの導電率を外側に従い高くすることで電子移動抵抗を軽減でき、上記効果を奏することができる。
(15)高分子固体電解質からなる電解質層を用いる場合に、前記電解質層の厚みを外側に従い薄くすることでLiイオンの移動抵抗を軽減し、上記効果を奏することができる。
<第2実施形態の組電池>
(i)構成要件について
本実施形態(第2実施形態)では、3個以上の積層構造電池(好ましくは上記した本発明の第1実施形態の積層構造電池)を直列及び/又は並列に接続して積層した組電池(モジュール)とするものである。詳しくは、3個以上の積層構造電池を並列接続または直列接続または並列−直列接続または直列−並列接続の少なくとも一つを用いて組電池(モジュール)とするものである。
特に本実施形態の組電池では、電池の内部抵抗を、組電池の積層方向に中央側>端側とすることを特徴とするものである。本実施形態では、配置構造上、放熱性が低く、充放電時の電池温度が高くなる位置(組電池の中央側)の電池の内部抵抗を、組電池内の積層方向の端側よりも高くする。こうすることで、当該組電池の中央側の電池の充電時における発熱量を減少させることができる。即ち、3個以上の電池を並列に接続した組電池において、各電池の電圧値は一定であることから、電池の抵抗値を下げた場合、V=IRよりその電池に流れる電流値は増加する。その結果、Q=I×Rより、発熱量は却って増加してしまう。そのため、充放電時の電池温度が高くなる位置(組電池の中央側)の電池の内部抵抗を組電池の端側の電池の内部抵抗より高くする。こうすることで、当該組電池の中央側の電池の充電時における発熱量を減少させることができる。その結果、充電時において他の電池(組電池の端側)との温度差が小さくなるので、全ての電池が均等に充電され、組電池(モジュール)全体としての電池寿命が長くなる。なお、組電池内の各電池温度は、例えば、電池外装材の表面温度を温度センサなどを用いて測定することができる。或いは電池外装材の内部に設けた温度センサなどを用いて測定することもできる。組電池の場合には、組電池ケースから温度センサのリード線を取り出して計測(外部モニタ)することで、個々の電池外装材の表面温度または電池外装材の内部温度を、充放電しながら測定可能である。これにより放熱性の低い電池を特定することができる。また電池の内部抵抗は、電池外部に取り出した正負極の集電タブ間を適当な抵抗測定装置を用いて測定することができる。組電池の場合には、組電池ケースを開封して、個々の電池の内部抵抗を測定可能である。
以下、当該組電池の実施形態につき、図面を用いて説明する。代表的な組電池には、積層構造電池を組合せた電池が挙げられる。
図6は、積層構造電池(24V、50mAh)を2直20並に接続した組電池(42V、1Ah)の模式図である。(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。ここで、2直20並に接続した組電池とは、40個の積層構造電池を用い、2個ずつ20組に分け、2個の電池を直列に接続し、かつ、直列に接続した20組の電池全部を並列に接続した電池をいう。図6において、40個の積層構造電池を準備し、2行5列で配列し、これを4段重ねる。1段目において、上下2個ずつ直列に接続し、直列に接続した5組全てを並列で接続し、さらに2〜4段目も同様に行って、最終的に直列に接続した20組の電池全部を並列に接続して素組電池を得る。なお、直列部分はタブ48、49同士を振動溶着して接続し、並列部分のタブは銅のバスバー56、58で接続する。
得られた素組電池を金属製の組電池ケース55に収納する。このように、複数個の積層構造電池41を直並列に接続することによって、所望の電流、電圧、容量に対応できる組電池51を提供することができる。
直列部分の端部を組電池ケースに取り付けられた端子62、64に接続し、正負の端子を構成する。具体的には、組電池ケース55の側面前部に形成された正極端子62、負極端子64のそれぞれは、各外部端子リード59を介して各バスバー56に接続される。
また、該組電池51には、各単電池層、更には積層構造電池の端子間電圧などの電池電圧を監視するため、組電池ケース55の側面前部に、検知タブ端子54が設置される。そして、検知タブ端子54は、検知線53を介して積層構造電池41の電圧検知タブ60に接続される。
組電池ケース55の底部には、合成ゴムなどの外部弾性体52が取り付けられる。組電池51を複数積層して複合組電池を形成する場合に、組電池51間の距離を一定に保ち、防振性、耐衝撃性、絶縁性、放熱性などを向上することができる。
また、この組電池51には、使用用途に応じて、上記検知タブ端子54以外にも各種計測機器や制御機器類を設けることができる。
さらに、積層構造電池41の電極タブ(48、49)同士や検知タブ60と検知線53さらにバスバー56、58と外部端子リード59等を連結する方法は、特に制限されることはなく、例えば、超音波溶接、熱溶接、レーザ溶接または電子ビーム溶接、または、リベットのようなバスバー56、58を用いる方法、カシメの手法を挙げることができる。
また、本実施形態の組電池では、双極型の積層構造電池(図示せず)と、該双極型の積層構造電池と電圧を同一にした非双極型の積層構造電池(図1参照)と、を並列に接続したものであってもよい。すなわち、組電池を形成する電池は、双極型の積層構造電池と非双極型の積層構造電池とを混在させてもよい。これにより、出力重視の双極型の積層構造電池と、エネルギー重視の非双極型の積層構造電池の組み合わせでお互いの弱点を補う組電池ができ、組電池の質量・サイズを小さくすることができる。双極型の積層構造電池と非双極型の積層構造電池をどの程度の割合で混在させるかは、組電池として要求される安全性能、出力性能に応じて決める。
例えば、双極型の積層構造電池(42V、50mAh)と非双極型の積層構造電池(4.2V、1Ah)10直(42V)を並列に連結して組電池とすることもできる。この場合、非双極型の積層構造電池10個を端から順番にバスバーを介して振動溶着し、直列に接続する。さらに、双極型の積層構造電池と直列接続された両端の非双極型の積層構造電池とをそれぞれバスバーで並列に接続し、その後金属製の組電池ケースに収納する。この組電池でも、並列部分及び横方向に隣り合う非双極型の積層構造電池間を直列接続する部分のタブは銅のバスバーで接続し、縦方向に隣り合う非双極型の積層構造電池間を直列接続する部分はタブ同士を振動溶着して接続する。このような構成により、非双極型の積層構造電池と双極型の積層構造電池は電圧が等しくなり、その部分で並列接続を形成している。この組電池は、出力の分担を双極型の積層構造電池が有し、エネルギーの分担を非双極型の積層構造電池が有する構造である。これは、出力とエネルギーを両立することが困難な組電池において、非常に有効な手段である。このように、双極型の積層構造電池を任意の個数直並列に接続することによって、所望の電流、電圧、容量に対応できる組電池を提供することができる。
双極型の積層構造電池の両側には、双極型の積層構造電池の各層の電圧を検知するタブを取り出し、それらの検知線を組電池の前部に取り出す以外は、図4の組電池51と同様の構成ある。
該組電池にも、正極端子、負極端子が組電池ケースの側面前部に形成されており、各端子に、例えば、各バスバーが端子リードで接続される。電極タブはそれぞれバスバーと接続する。
また、該組電池には、双極型の積層構造電池の各単電池層、更には双極型の積層構造電池及び非双極型の積層構造電池の端子間電圧などの電池電圧を監視するため、検知タブ端子が組電池ケースの側面前部に設置されている。そして、各双極型の積層構造電池(更には双極型の積層構造電池)の検知タブが全て検知線を介して検知タブ端子に接続されている。
組電池ケースの低部には、合成ゴムなどの外部弾性体が取り付けられている。組電池を複数積層して複合組電池を形成する場合に、組電池間の距離を一定に保ち、防振性、耐衝撃性、絶縁性、放熱性などを向上することができる。
さらに、本実施形態の組電池では、上記の組電池を第1組電池ユニットとし、この第1組電池ユニットの端子間電圧と電圧を同一にする双極型の積層構造電池以外の積層構造電池が直並列接続されてなる第2組電池ユニットを形成し、この第1組電池ユニットと第2組電池ユニットを並列接続することによって組電池とすることもできる。
なお、組電池の他の構成要件に関しては、何ら制限されるべきものではなく、従来公知の組電池用の構成部材および製造技術が利用できる。
(ii)放熱性の低い電池の内部抵抗を小さくするための手段(要件)
配置上、放熱性の低い位置の電池の内部抵抗を小さくするための手段(要件)としては、組電池の積層方向に中央側>端側とするものである。これにより、上記要件を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特に、配置構造上、放熱性が低く、充放電時の電池温度が高くなる位置(組電池の中央側)の電池の内部抵抗を、組電池内の積層方向の端側よりも高くする。こうすることで、当該組電池の中央側の電池の充電時における発熱量を減少させることができる。その結果、充電時において他の電池(組電池の端側)との温度差が小さくなるので、全ての電池が均等に充電され、組電池(モジュール)全体としての電池寿命が長くなる。
具体的には組電池の積層方向の中央側の電池の内部抵抗が、端側の電池の内部抵抗よりも、1〜15%、好ましくは2〜15%高いのが好ましい(実施例15〜16、表9参照)。積層方向の中央側の電池の内部抵抗が、端側の電池の内部抵抗よりも1%未満しか高くなければ、上記した目的を十分に達成することができないおそれがある。一方、15%を超えて高い場合には、積層数にもよるが、端側が活性化されすぎて、中央側(内部)と端側(外部)の温度差が逆転して拡大し(端側が高温になりすぎ)、温度差を十分に低減するのが困難となる恐れがある。以上のように、当該手段では、中央側の電池の内部抵抗を大きくすることで、抵抗が上がる。抵抗が上がると電流が下がるため、Q=I×Rから発熱量は下がる。即ち、当該組電池の中央側の電池の充電時における発熱量を減少させることができる。その結果、充電時において他の電池(組電池の端側)との温度差が小さくなるので、全ての電池が均等に充電され、組電池(モジュール)全体としての電池寿命が長くなる。
なお、電池の内部抵抗を変える手段としては、上記した積層構造電池の単セルの抵抗を変える手段をそのまま適用することができる。即ち、(1)端側の電池のセパレータの透気度を、中央側の電池のセパレータの透気度よりも高くしてもよい。(2)中央側の電池のセパレータの厚みを、端側の電池のセパレータの厚みよりも厚くしてもよい。(3)(1)端側の電池のセパレータの気孔率(空孔率)を、中央側の電池のセパレータの気孔率(空孔率)よりも大きくしてもよい。(4)端側の電池内の単セルの電極間に存在する空間を、中央側の電池内の単セルの電極間に存在する空間よりも大きくしてもよい。(5)端側の電池の接着層内に存在する空間を、中央側の電池の接着層内に存在する空間よりも大きくしてもよい。(6)端側の電池の接着層の非接着部の割合を、中央側の電池の接着層の非接着部の割合よりも大きくしてもよい。(7)端側の電池の活物質層に混入する導電助剤量を、中央側の電池の活物質層に混入する導電助剤量よりも大きくしてもよい。(8)端側の電池の活物質層に混入する導電助剤量を、中央側の電池の活物質層に混入する導電助剤量よりも多くし、尚且つ端側の電池の活物質層に混入するバインダ量を、中央側の電池の活物質層に混入するバインダ量よりも少なくしてもよい。(9)端側の電池の活物質層内に存在する空孔率を、中央側の電池の活物質層内に存在する空孔率よりも大きくしてもよい。(10)端側の電池の集電体の厚みを、中央側の電池の集電体の厚みよりも厚くしてもよい。(11)端側の電池の集電体の断面積を、中央側の電池の集電体の断面積よりも大きくしてもよい。(12)端側の電池の集電体の単位面積当たりの導電率を、中央側の電池の集電体の単位面積当たりの導電率よりも高くしてもよい。(13)端側の電池の集電タブないし電極端子リードの断面積を、中央側の電池の集電タブないし電極端子リードの断面積よりも大きくしてもよい。(14)端側の電池の集電タブないし電極端子リードの単位面積当たりの導電率を、中央側の電池の集電タブないし電極端子リードの単位面積当たりの導電率よりも大きくしてもよい。(15)中央側の電池の高分子固体電解層の厚みを、端側の電池の高分子固体電解層の厚みよりも厚くしてもよい。
上記の組電池は、従来公知の製造方法により製造することができる。
なお、組電池の製造段階で、各電池が出来上がった時点でどうしてもばらつきが生じる。そのため各電池につき、電池1個づつ導通チェックがなされる。この際に、例えば、導通性の良い(抵抗に低い)ものから順に整理したり、導通性能ごとにまとめて(2以上のグループに)区分しておくようにしておく。その後、組電池を組む際に、上記した放熱性の低い電池の内部抵抗を小さくするための手段(要件)に合致するように整理ないし区分したもののの中から選択的に抜き出して組合せることで、本実施形態の目的を達成した組電池を作製することができる。その結果、所望の効果を奏することもできる。この場合にも製造段階で、わざわざ特性の異なる集電体、正極、負極、セパレータ(接着層を含む場合もある)、タブ、リードなどを別々に作製して内部抵抗の異なる電池を作製する必要がない。例えば、上記した放熱性の低い電池の内部抵抗を小さくするための手段(要件)に合致する原材料(セパレータや集電体等)を揃える(=部品点数の増大及び管理の煩雑さ)必要がない。また正極、負極等の製造条件(導電助剤量、バインダ量、プレス条件(=空孔率の調整)等を細かく変更して内部抵抗の異なる電池を作製する必要もない。そのため、本実施形態を実現する上で、極めて有効な手段と成り得るものである。
以上説明した本実施形態の組電池は、以下の効果を有する。
本実施形態の組電池51は、組電池の中央側の電池の充電時における発熱量を減少させることができる。
その結果、充電時において他の電池(組電池の端側)との温度差が小さくなるので、全ての電池が均等に充電され、組電池(モジュール)全体としての電池寿命が長くなる。
<第3実施形態の組電池>
(i)構成要件について
本実施形態(第3実施形態)では、3組以上の組電池(好ましくは上記した本発明の第2実施形態の組造電池)を直列及び/又は並列に接続した複合組電池(パック)とするものである。詳しくは、3個以上の組電池を並列接続または直列接続または並列−直列接続または直列−並列接続の複合接続の少なくとも一つを用いて複合組電池(パック)とするものである。複合組電池とすることによって、使用目的ごとの電池容量や出力に対する要求に、新たに組電池を作製することなく、比較的安価に対応することができる。すなわち、複合組電池は、組電池(好ましくは上記した本発明の第2実施形態の組造電池)を3個以上直列、並列、または直列と並列の複合接続するものである。したがって、基準の組電池を製造し、それを組み合わせて複合組電池とすることで、組電池の仕様をチューニングできる。これにより、仕様の異なる組電池種を製造しなくてよく、複合組電池コストを減少できる。
特に本実施形態の複合組電池では、組電池の内部抵抗を、複合組電池の積層方向に中央側>端側とすることを特徴とするものである。本実施形態では、配置構造上、放熱性が低く、充放電時の組電池温度が高くなる位置(複合組電池の中央側)の組電池の内部抵抗を、複合組電池の積層方向に中央側>端側にすることで、当該複合組電池の中央側の組電池の充電時における発熱量を減少させることができる。即ち、3個以上の組電池を並列に接続した組電池において、各組電池の電圧値は一定であることから、組電池の抵抗値を下げた場合、V=IRよりその組電池に流れる電流値は増加する。その結果、Q=I×Rより、発熱量は却って増加してしまう。そのため、充放電時の組電池温度が高くなる位置(複合組電池の中央側)の組電池の内部抵抗を、複合組電池の端側の組電池の内部抵抗より高くする。こうすることで、当該複合組電池の中央側の組電池の充電時における発熱量を減少させることができる。その結果、充電時において他の組電池(複合組電池の端側)との温度差が小さくなるので、全ての組電池が均等に充電され、複合組電池(パック)全体としての電池寿命が長くなる。なお、複合組電池内の各組電池温度は、例えば、組電池ケースの表面温度を温度センサなどを用いて測定することができる。或いは組電池ケースの内部に設けた温度センサなどを用いて測定することもできる。複合組電池の場合にも、各組電池から温度センサのリード線を取り出して計測(外部モニタ)することで、個々の組電池ケース外部に取り出した正負極タブ間を適当な抵抗測定装置を用いて測定することができる。複合組電池ケースを用いない複合組電池の場合(図7参照)には、そのまま個々の組電池の内部抵抗を測定可能である。なお、複合組電池ケースに組電池が収納されてなる場合には、複合組電池ケースを開封して、個々の組電池の内部抵抗を測定可能である。
以下、当該複合組電池の実施形態につき、図面を用いて説明する。代表的な複合組電池には、3個以上の組電池を組合せた(積層した)複合組電池が挙げられる。
図7は複合組電池の一例を示す図面である。例えば、図1に記載の積層構造電池を用いた図6の組電池(42V、1Ah)6組を並列に接続した複合組電池(42V、6Ah)の模式図が図7である。ここで、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。複合組電池を構成する各組電池は連結板と固定ねじにより一体化し、組電池の間に弾性体を設置して防振構造を形成する。また、組電池のタブは板状のバスバーで連結している。すなわち、図7において、上記の組電池51を6組並列に接続して複合組電池70とするには、各組電池ケース55の蓋体に設けられた組電池51のタブ(正極端子62および負極端子64)を、板状のバスバーである外部正極端子部を有する組電池正極端子連結板72、外部負極端子部を有する組電池負極端子連結板74を用いてそれぞれ電気的に接続する。また、各組電池ケース55の両側面に設けられた各ネジ孔部(図示せず)に、該固定ネジ孔部に対応する開口部を有する連結板76を固定ネジ77で固定し、各組電池51同士を連結する。また、各組電池51の正極端子62および負極端子64は、それぞれ正極および負極絶縁カバーにより保護され、適当な色、例えば、赤色と青色に色分けすることで識別されている。また、組電池51の間、詳しくは組電池ケース55の底部に合成ゴムなどの外部弾性体52を設置して防振構造を形成している。
このように、基本となる積層構造のリチウムイオン二次電池(積層構造電池10)を組み合わせることにより種々の車両ごとの容量・電圧の要望を満たすことができる。その結果、種々の車両ごとに異なる電池を設計、生産する必要がなく、基本となる電池の大量生産が可能となり、量産化によるコスト削減が可能となる。
また、上記複合組電池では、これを構成する複数の組電池をそれぞれ脱着可能に接続しておくのが望ましい。このように、組電池を複数直並列接続されてなる複合組電池では、一部の電池、組電池が故障しても、その故障部分を交換するだけで修理が可能となる。
(ii)放熱性の低い組電池の内部抵抗を小さくするための手段(要件)
配置上、放熱性の低い位置の組電池の内部抵抗を小さくするための手段(要件)としては、複合組電池の積層方向に中央側>端側とするものである。これにより、上記要件を満足することができ、上記した本実施形態の目的を達成し、所望の効果を奏することができる。特に、配置構造上、放熱性が低く、充放電時の組電池温度が高くなる位置(複合組電池の中央側)の組電池の内部抵抗を、複合組電池内の積層方向の端側よりも高くする。こうすることで、当該複合組電池の中央側の組電池の充電時における発熱量を減少させることができる。その結果、充電時において他の組電池(複合組電池の端側)との温度差が小さくなるので、全ての組電池が均等に充電され、複合組電池(パック)全体としての電池寿命が長くなる。
具体的には複合組電池の積層方向の中央側の組電池の内部抵抗が、端側の組電池の内部抵抗よりも、1〜15%、好ましくは2〜15%高いのが好ましい(実施例15〜16、表9参照)。積層方向の中央側の組電池の内部抵抗が、端側の組電池の内部抵抗よりも1%未満しか高くなければ、上記した目的を十分に達成することができないおそれがある。一方、15%を超えて高い場合には、積層数にもよるが、端側の組電池が活性化されすぎて、中央側(内部)と端側(外部)の温度差が逆転して拡大し(端側が高温になりすぎ)、温度差を十分に低減するのが困難となる恐れがある。以上のように、当該手段では、中央側の組電池の内部抵抗を大きくすることで、抵抗が上がる。抵抗が上がると電流が下がるため、Q=I×Rから発熱量は下がる。即ち、当該複合組電池の中央側の組電池の充電時における発熱量を減少させることができる。その結果、充電時において他の組電池(複合組電池の端側)との温度差が小さくなるので、全ての組電池が均等に充電され、複合組電池(パック)全体としての電池寿命が長くなる。
なお、組電池の内部抵抗を変える手段としては、組電池内の電池同士を接続する外部端子等の電池外部の接続部材の太さなどを変えるなどして抵抗を変化させてもよい。これにより中央側の組電池の反応を抑制することで、複合組電池の中央側と端側の組電池の温度差が小さくなるので、全ての組電池が均等に充電され、複合組電池(パック)全体としての電池寿命が長くすることができる。この他にも上記した積層構造電池の単セルの抵抗を変える手段をそのまま適用することができる。即ち、(1)端側の電池のセパレータの透気度を、中央側の電池のセパレータの透気度よりも高くしてもよい。(2)中央側の電池のセパレータの厚みを、端側の電池のセパレータの厚みよりも厚くしてもよい。(3)(1)端側の電池のセパレータの気孔率(空孔率)を、中央側の電池のセパレータの気孔率(空孔率)よりも大きくしてもよい。(4)端側の電池内の単セルの電極間に存在する空間を、中央側の電池内の単セルの電極間に存在する空間よりも大きくしてもよい。(5)端側の電池の接着層内に存在する空間を、中央側の電池の接着層内に存在する空間よりも大きくしてもよい。(6)端側の電池の接着層の非接着部の割合を、中央側の電池の接着層の非接着部の割合よりも大きくしてもよい。(7)端側の電池の活物質層に混入する導電助剤量を、中央側の電池の活物質層に混入する導電助剤量よりも大きくしてもよい。(8)端側の電池の活物質層に混入する導電助剤量を、中央側の電池の活物質層に混入する導電助剤量よりも多くし、尚且つ端側の電池の活物質層に混入するバインダ量を、中央側の電池の活物質層に混入するバインダ量よりも少なくしてもよい。(9)端側の電池の活物質層内に存在する空孔率を、中央側の電池の活物質層内に存在する空孔率よりも大きくしてもよい。(10)端側の電池の集電体の厚みを、中央側の電池の集電体の厚みよりも厚くしてもよい。(11)端側の電池の集電体の断面積を、中央側の電池の集電体の断面積よりも大きくしてもよい。(12)端側の電池の集電体の単位面積当たりの導電率を、中央側の電池の集電体の単位面積当たりの導電率よりも高くしてもよい。(13)端側の電池の集電タブないし電極端子リードの断面積を、中央側の電池の集電タブないし電極端子リードの断面積よりも大きくしてもよい。(14)端側の電池の集電タブないし電極端子リードの単位面積当たりの導電率を、中央側の電池の集電タブないし電極端子リードの単位面積当たりの導電率よりも大きくしてもよい。(15)中央側の電池の高分子固体電解層の厚みを、端側の電池の高分子固体電解層の厚みよりも厚くしてもよい。
上記の複合組電池は、従来公知の製造方法により製造することができる。
なお、複合組電池の製造段階で、各組電池が出来上がった時点でどうしてもばらつきが生じる。そのため各組電池につき、組電池1組づつ導通チェックがなされる。この際に、例えば、導通性の良い(抵抗に低い)ものから順に整理したり、導通性能ごとにまとめて(2以上のグループに)区分しておくようにしておく。その後、複合組電池を組む際に、上記した放熱性の低い組電池の内部抵抗を小さくするための手段(要件)に合致するように整理ないし区分したもののの中から選択的に抜き出して組合せることで、本実施形態の目的を達成した複合組電池を作製できる。その結果、所望の効果を奏することもできる。この場合にも製造段階で、わざわざ特性の異なる、集電体、正極、負極、セパレータ(接着層を含む場合もある)、タブ、リード、外部接続部材などを別々に作製して内部抵抗の異なる組電池を作製する必要がない。例えば、上記した放熱性の低い組電池の内部抵抗を小さくするための手段(要件)に合致する原材料(セパレータや集電体や外部接続部材等)を揃える(=部品点数の増大及び管理の煩雑さ)必要がない。また正極、負極等の製造条件(導電助剤量、バインダ量、プレス条件(=空孔率の調整)等を細かく変更して内部抵抗の異なる組電池を作製する必要もない。そのため、本実施形態を実現する上で、極めて有効な手段と成り得るものである。
また、上記組電池および/または上記複合組電池の用途としては、例えば、車両に搭載することができる。これにより、電池寿命を長くすることができ、1回の充電で長い距離を走行することが要望されている電気自動車やハイブリッド自動車に適用できる。
例えば、電気自動車の車体中央部の座席下に複合組電池または組電池を搭載することができる。電気自動車の座席下に複合組電池を搭載すれば、車内空間およびトランクルームを広く取ることができる。なお、かかる複合組電池等を搭載する場所は、座席下に限らず、車両の床下、シートバック裏、後部トランクルームの下部または、車両前方のエンジンルームでもよい。
また、複合組電池単独、組電池単独、更には複合組電池と組電池を組み合わせて車両に搭載することができる。そのため上記複合組電池等などの大容量電源として、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両用駆動電源や補助電源に好適に利用することができる。かかる車両用駆動電源や補助電源として搭載することのできる車両としては、上記の電気自動車、燃料電池自動車やこれらのハイブリッドカー(プラグインハイブリッドカーを含む)が好ましいが、これらに制限されるものではない。複合組電池や組電池等を電気自動車、燃料電池自動車やこれらのハイブリッドカーに用いることにより、高寿命で信頼性の高い車両とすることができる。なお車両には、自動車以外にも、電気二輪車(バイク)や三輪車、ハイブリッド電車や電気列車などにも十分適用できる。
以上説明した本実施形態の複合組電池は、以下の効果を有する。
本実施形態の複合組電池70は、複合組電池の中央側の組電池の充電時における発熱量を減少させることができる。
その結果、充電時において他の組電池(複合組電池の端側)との温度差が小さくなるので、全ての組電池が均等に充電され、複合組電池(パック)全体としての電池寿命が長くなる。
本発明につき、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明するが、以下の実施例のみに何ら限定されるわけではない。
1.正極の作製
正極活物質としてLiNiO(平均粒子径10μm)、導電助剤としてアセチレンブラックおよびバインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を所望の質量比で混合して正極スラリーを得た。
上記スラリーをNMP(N−メチル−2−ピロリドン)を用いて粘度調整しながら、Al箔の両面へ単位面積あたりの活物質量が片面13mg/cmとなるよう塗工した。十分乾燥の後、ロールプレス機を用いて正極の厚み(正極集電体+正極活物質層(両面)の合計厚さ)を調整した。
2.負極の作製
負極活物質として天然黒鉛(平均粒径20μm)、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を所望の質量比で混合して負極スラリーを得た。
上記スラリーをNMP(N−メチル−2−ピロリドン)を用いて粘度調整しながら、Cu箔の両面へ単位面積あたりの活物質量が片面9mg/cmとなるよう塗工した。十分乾燥の後、ロールプレス機を用いて負極の厚み(負極集電体+負極活物質層(両面)の合計厚さ)を調整した。
3.セパレータ+接着層A(以下、単に接着セパレータAとも称する)の作製
ポリエチレンとポリプロピレンの積層微多孔膜の全面に、接着層としてポリフッ化ビニリデン層(融点175℃、軟化点温度110℃)を厚さ2μm(空孔率65%)で設けた。
4.セパレータ+接着層B(以下、単に接着セパレータBとも称する)の作製
ポリエチレンとポリプロピレンの積層微多孔膜の全面に、接着層としてポリフッ化ビニリデン層(融点175℃、軟化点温度110℃)を厚さ2μm(空孔率60%)で設けた。
5.セパレータ+接着層C(以下、単に接着セパレータCとも称する)の作製
ポリエチレンとポリプロピレンの積層微多孔膜に、接着層として低密度ポリエチレン層(融点105℃、軟化点温度90℃)を直径3mm(φ3)のドット状の接着部(厚さ3μm)を3mmの間隔で等間隔(上下、左右方向に碁盤の目の格子点の位置)に付けた。非接着部の割合は概ね72%であった。
6.セパレータ+接着層D(以下、単に接着セパレータDとも称する)の作製
ポリエチレンとポリプロピレンの積層微多孔膜に、接着層として低密度ポリエチレン層(融点105℃、軟化点温度90℃)を直径3mm(φ3)のドット状の接着部(厚さ3μm)を1.5mmの間隔で等間隔(上下、左右方向に碁盤の目の格子点の位置)に付けた。非接着部の割合は概ね60%であった。
7.実施例の説明
上記1〜6の単電池層(単セル)の構成部位を組み合わせて、単電池層(単セル)を5層積層した積層構造電池(セルスタック)を作製した。
全ての実施例の各単電池層(単セル)の正極、負極は上記1、2で作製した部材を使用した。
尚、単電池層(単セル)を5層積層した積層構造電池の各単セルの積層番号は下段から順に1〜5とする。
また、特に断りがなければ、単電池層(単セル)の構成部材並びに組成は以下の通りである(以下、これらの値を基準値とも称する)。
また比較例1の単セル構成は、以下の構成部材並びに組成のものを用い、上記1〜2、7と同様にして、正極、負極、及び積層構造電池を作製した。
・正極;正極活物質:導電助剤:バインダ(質量比)=94:3.5:2.5であり、正極活物質層の空孔率30%であり、正極集電体のAl箔の厚みは20μmであり、正極の厚み(正極集電体+正極活物質層(両面)の合計厚さ)は111μmである。
・負極;負極活物質:バインダ(質量比)=96:4であり、負極活物質層の空孔率25%であり、負極集電体のCu箔の厚みは10μmであり、負極の厚み(負極集電体+正極活物質層(両面)の合計厚さ)は120μmである。
・セパレータ;ポリエチレンとポリプロピレンの積層微多孔膜の厚みは25μmであり、空孔率55%であり、軟化点温度120℃である。
・電解液;1MのLiPFを含有するECとDECとの混合溶液を使用した。
よって、実施例1〜12及び比較例1では、基準値のセパレータを用いており、接着セパレータA〜Dは用いていない。
実施例1〜2及び比較例1
各単電池層(単セル)の正極側の導電助剤量を担保した状態で、正極側の導電助剤量を以下に示す表1に記載の割合(混合比)となるようにした。
表1の実施例1、2に示す数値(導電助剤量)の単位は、いずれも質量比であり、正極活物質層全体(総量)に対する割合(質量の比率)を示すものである。また、()内は中央層(積層番号3)の抵抗を100(%)としたときの各単電池層(積層番号1〜5)のセル抵抗割合を表す。
なお、単電池層(単セル)の抵抗測定方法は対抗する正負極(介在するセパレータ等を含む)を抽出し、新たに電解液を注液し、単セルとする。所望のSOC電圧(例えば50%;全実施例・比較例も50%)に設定してから一定時間電流を放電し、電圧降下量から求めたものである。
上記した基準値の正極活物質:導電助剤:バインダ(質量比)=94:3.5:2.5に対して、導電助剤量の質量比の増加・減少分だけ、正極活物質量が減少・増加するようにして調製した。例えば、実施例1の積層番号1の単セルの場合、正極の組成は、正極活物質:導電助剤:バインダ(質量比)=93.5:4:2.5となる。また実施例1、2の積層番号3の単セルの場合、正極の組成は、正極活物質:導電助剤:バインダ(質量比)=94.5:3:2.5となる。
実施例3
実施例2の正極側の導電助剤量を担保した状態で正極側のバインダ量を以下に示す表2に記載の割合(混合比)となるようにした。
表2の実施例3に示す数値(バインダ量)の単位は、いずれも質量比であり、正極活物質層全体(総量)に対する割合(質量の比率)を示すものである。また、()内は中央層(積層番号3)の抵抗を100(%)としたときの各単電池層(積層番号1〜5)のセル抵抗割合を表す。
上記した基準値の正極活物質:導電助剤:バインダ(質量比)=94:3.5:2.5に対して、実施例2の導電助剤量の質量比の増加・減少分と、実施例3のバインダ量の質量比の増加・減少分だけ、正極活物質量が減少・増加するようにして調製した。例えば、実施例3の積層番号1の単セルの場合、正極の組成は、正極活物質:導電助剤:バインダ(質量比)=94:4:2となる。また実施例3の積層番号3の単セルの場合、正極の組成は、正極活物質:導電助剤:バインダ(質量比)=94.5:3:2.5となる。
実施例4〜6
各単電池層(単セル)の正負極活物質層の空孔率を以下に示す表3に記載の数値(空孔率;単位はいずれも%である)となるようにプレス荷重を調節した。
表3の実施例4〜6に示す数値は、いずれも正極/負極の順で各活物質層の空孔率を表記している。また、()内は中央層(積層番号3)の抵抗を100(%)としたときの各単電池層(積層番号1〜5)のセル抵抗割合を表す。
上記した基準値の正極活物質層の空孔率30%、負極活物質層の空孔率25%に対して、例えば、実施例6の積層番号3の単セルの場合、正極活物質層の空孔率27%、負極活物質層の空孔率24%となるようにプレス荷重を調節したものである。
実施例7〜9
各単電池層(単セル)の正負極に用いる集電箔の厚みを以下に示す表4に記載の数値(集電箔の厚み;単位はいずれもμmである)となるようにした。
表4の実施例7〜9に示す数値は、いずれも正極/負極の順で集電箔の厚みを表記している。また、()内は中央層(積層番号3)の抵抗を100(%)としたときの各単電池層(積層番号1〜5)のセル抵抗割合を表す。
上記した基準値の正極集電体のAl箔の厚み20μm、負極集電体のCu箔の厚み10μmに対して、例えば、実施例9の積層番号3の単セルの場合、正極集電体のAl箔の厚み15μm、負極集電体のCu箔の厚み8μmとなるようにしたものである。正極の厚み(正極集電体+正極活物質層(両面)の合計厚さ)は、正極集電体の厚さ分だけ変化するため、106μmとなるる。負極の厚み(負極集電体+正極活物質層(両面)の合計厚さ)は、負極集電体の厚さ分だけ変化するため、118μmとなる。
実施例10
各単電池層(単セル)の正負極間に用いるセパレータ(接着層含まず)の厚みを以下に示す表5に記載の数値(セパレータの厚み;単位はいずれもμmである)となるようにした。
上記した基準値のセパレータの厚み25μmに対して、例えば、実施例10の積層番号1の単セルの場合、セパレータの厚み18μmとなるようにしたものである。また、()内は中央層(積層番号3)の抵抗を100(%)としたときの各単電池層(積層番号1〜5)のセル抵抗割合を表す。
実施例11〜12
各単電池層(単セル)の正負極間に用いるセパレータ(接着層含まず)の空孔率を以下に示す表6に記載の数値(空孔率;単位はいずれも%である)となるようにした。
上記した基準値のセパレータの空孔率55%に対して、例えば、実施例11、12の積層番号3の単セルの場合、セパレータの空孔率50%となるようにしたものである。また、()内は中央層(積層番号3)の抵抗を100(%)としたときの各単電池層(積層番号1〜5)のセル抵抗割合を表す。
実施例13〜14及び比較例2〜3
各単電池層(単セル)の正負極間に用いるセパレータに代えて、以下に示す表7に記載の接着セパレータ(接着セパレータA〜D)を使用した。
上記した基準値のセパレータであるポリエチレンとポリプロピレンの積層微多孔膜に対して、例えば、実施例13や比較例2の積層番号1の単セルの場合、セパレータでは、上記3の「セパレータ+接着層A(接着セパレータA)の作製」で得られた接着セパレータAを使用したものである。また、()内は中央層(積層番号3)の抵抗を100(%)としたときの各単電池層(積層番号1〜5)のセル抵抗割合を表す。
尚、上記接着セパレータA〜Dは、すべての単電池層(単セル)において、接着層側が負極(活物質層)の表面と接着されるように配置した後、ホットプレス(加熱圧力)により接着(熱融着)した。
8.積層構造電池の作製
上記手順で正極、負極、セパレータ(接着セパレータA〜Dを含む)を□20cm(縦、横20cmの正方形)となるように裁断(この際、タブは裁断しないように残した)し、単電池層(単セル)を5層積層した。その後、積層した各単電池層(単セル)のタブ(集電体の一部を延伸して設けた集電タブ;集電タブの厚さは集電体と同じである)を接続して並列型(内部並列接続タイプ)の積層構造電池の発電要素(積層体)(図1参照)をスタックした(組み上げた)。実施例13、14、比較例2、3は上記したように接着層を熱融着させるべく、加温しながら一定圧荷重をかけた(ホットプレスした)。このときの荷重は10MPaであり、熱プレス条件1(比較例3、実施例14)では治具の温度は95℃、プレス時間は5分とし、熱プレス条件2(比較例2、実施例13)では治具の温度は110℃、プレス時間は6分とした。
各発電要素(積層体)をアルミラミネート外装体に入れて、所望の電解液(上記基準値の組成参照)を注液後、真空封止して、積層構造電池を作製した。
9.評価方法
上記手順で作製した積層構造電池を用いて、50℃保管のもとサイクル試験(耐久試験)を行った。
サイクル条件は1Cレートで4.2V〜3.0V間を500サイクルおこなった。
10.結果
耐久試験前後の容量維持率(%)を以下の表8に示す。
容量維持率(%)=500サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量×100とする。
表8に示す結果から、実施例1〜14のように積層する単電池層(単セル)ごとの単電池層(単セル)の仕様をグラデーション化することで(表1〜7参照)、77〜79%の容量維持率を担保することができた。また、比較例1〜3のように単電池層(単セル)の仕様をグラデーション化していない積層構造電池の容量維持率(73〜74%)に比して、実施例1〜14の積層構造電池では、耐久性が向上することが確認できた。
また、表1〜7からわかるように、本発明では、中央側から端側の単セル毎に抵抗が変わるように、導電助剤量、バインダ量、活物質層の空孔率、集電体の厚み、セパレータの厚みや空孔率、接着層の材質や形態などをグラディエーション化されていてもよい。幾つかの単セル数ごとに抵抗が変わるように階段状にグラディエーション化されていてもよい。例えば、単電池層(単セル)が5層積層されている場合、単セルの抵抗の大きさがA<B<C<Dの順であれば、抵抗が端側から順に以下のように変化する形態が含まれる。単セル毎に抵抗が変わるように、A<B<C>B>A、A<B<D>B>A、A<C<D>C>A、B<C<D>C>Bのようにグラディエーション化されていてもよい。更に幾つかの単セル毎に抵抗が変わるように、A=A<B>A=A、A=A<C>A=A、A=A<D>A=A、B=B<C>B=B、B=B<D>B=B、C=C<D>C=C、A<B=B=B>A、A<C=C=C>A、A<D=D=D>A、B<C=C=C>B、B<D=D=D>B、C<D=D=D>Cのように階段状にグラディエーション化されていてもよい。但し、単セルの抵抗が中央側>端側を満足するものであれば、これらに制限されるものではない。
比較例4
公知の方法(上記1、2、7に記載の作製の方法及び上記基準値のものを採用した)により、同一の構成部材で作製した、同等の内部抵抗、及び、同等の電池容量を持つリチウム二次電池(比較例1の積層構造電池)を3個作製した。これらの電池を並列接続して積層した組電池(モジュール)を作製した。
実施例15
公知の方法(上記1、2、7に記載の作製の方法及び上記基準値のものを採用した)により、同一の構成部材で作製したリチウム二次電池(積層構造電池)を3個作製した。その中で最も内部抵抗の大きい電池(上記実施例1の積層番号3の電池;電池の内部抵抗;100%)を、組電池(モジュール)中央の位置に配置し、並列接続して組電池(モジュール)を作製した。端側の内部抵抗の小さい電池には上記実施例1積層番号1の電池(電池内部抵抗;95%)を用いた。
比較例5
公知の方法(上記1、2、7に記載の作製の方法及び上記基準値のものを採用した)により、同一の構成部材で作製したリチウム二次電池(積層構造電池)を3個作製した。その中で最も内部抵抗の小さい電池(上記実施例1の積層番号1の電池;電池の内部抵抗;95%)を、組電池(モジュール)中央の最も放熱性の悪い位置に配置し、組電池(モジュール)を作製した。端側の内部抵抗の大きい電池には上記実施例1の積層番号3の電池(電池内部抵抗;100%)を用いた。
実施例16
電池の構成部材を変化させることで、積層方向で単電池層の抵抗が、中央側(内側)>外側となるように作製したリチウム二次電池(積層構造電池)を3個作製した。その中で最も内部抵抗の大きい電池(上記実施例7の積層番号3の電池;電池の内部抵抗;100%)を、組電池(モジュール)中央の位置に配置し、並列接続して組電池(モジュール)を作製した。端側の内部抵抗の小さい電池には上記実施例7の積層番号1の電池(電池内部抵抗;98%)を用いた。
11.評価方法
上記手順で作製した組電池(モジュール)を用いて、50℃保管のもとサイクル試験(耐久試験)を行った。
サイクル条件は1Cレートで12.6V〜9.0V間(電池当たり、4.2V〜3.0V間)を1000サイクルおこなった。
12.結果
耐久試験前後の容量維持率(%)を以下の表9に示す。
容量維持率(%)=1000サイクル目の組電池の放電容量/1サイクル目の組電池の放電容量×100とする。
表9に示す結果から、実施例15〜16のように組電池内の電池の仕様(電池の内部抵抗)を中央側>端側となるようにグラデーション化することで、82〜84%の容量維持率を担保することができた。また、比較例4〜5のように組電池内の電池の内部抵抗を中央側=端側及び中央側<端側とした場合の組電池の容量維持率(78〜80%)に比して、実施例15〜16の組電池では、耐久性が向上し、電池寿命が長くなることが確認できた。
10、30 本実施形態(又は従来;図2A)の積層構造のリチウムイオン二次電池、
11 正極集電体、
12 負極集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
17 電解質層、
19 単電池層、
21、37 発電要素、
25 正極集電板、
27 負極集電板、
29、32 電池外装材、
31、電極(セパレータ)表面、
33a ストライプ状の接着部、
33b ドット状の接着部
35 非接着部、
38 正極タブ、
39 負極タブ、
41 積層構造電池、
48、49 電極タブ(正極タブ、負極タブ)、
51 組電池、
52 外部弾性体、
53 検知線、
54 検知タブ端子、
55 組電池ケース、
56、58 バスバー、
59 外部端子リード、
60 電圧検知タブ、
62 正極端子、
64 負極端子、
70 複合組電池
72 組電池正極端子連結板、
74 組電池負極端子連結板、
76 連結板、
77 固定ネジ。

Claims (18)

  1. 少なくとも正極と負極と電解質層とを有し、該正極と負極を電解質層を介して対向させてなる単電池層を、3層以上積層してなる積層構造を有する電池において、
    積層された単電池層の抵抗が、積層方向の内側>外側であることを特徴とする積層構造電池。
  2. 前記正極と負極の電極間に介在する電解質層のセパレータ厚みが、積層方向の内側>外側であることを特徴とする請求項1に記載の積層構造電池。
  3. 前記正極と負極の電極間に介在する電解質層のセパレータの気孔率が、積層方向の外側>内側であることを特徴とする請求項1または2に記載の積層構造電池。
  4. 前記正極と負極の電極間に存在する空間が、積層方向の外側>内側であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層構造電池。
  5. 前記電解質層のセパレータと、前記正極および前記負極の少なくともいずれか一方との間に接着層が存在しており、
    前記接着層内に存在する空間が、積層方向の外側>内側であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層構造電池。
  6. 前記電解質層のセパレータと、前記正極及び前記負極の少なくともいずれか一方との間に、接着層の存在する接着部と接着層の存在しない非接着部が形成されるように接着層が間隔をあけて存在し、
    前記非接着部の割合が、積層方向の外側>内側であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層構造電池。
  7. 前記正極および負極の少なくともいずれか一方の活物質層に混入する導電助剤量が、積層方向の外側>内側であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層構造電池。
  8. 前記正極および負極の少なくともいずれか一方の活物質層に混入する、導電助剤量が積層方向の外側>内側であって、なおかつバインダ量が、積層方向の外側<内側であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層構造電池。
  9. 前記正極および負極の少なくともいずれか一方の活物質層内に存在する空孔率が、積層方向の外側>内側であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層構造電池。
  10. 前記正極と負極の少なくともいずれか一方の電極の集電体の厚みが、積層方向の外側>内側であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の積層構造電池。
  11. 前記正極と負極の電極間に介在する電解質層のセパレータの透気度が、積層方向の外側>内側であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層構造電池。
  12. 前記集電体として複数の貫通孔を有する集電体を用いる場合に、集電体の断面積が、積層方向の外側>内側であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の積層構造電池。
  13. 前記正極と負極の少なくともいずれか一方の電極の集電体の単位面積当たりの導電率が、積層方向の外側>内側であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の積層構造電池。
  14. 前記集電体に電気的に接続されてなる集電タブおよび電極端子リードの少なくともいずれか一方の断面積が、積層方向の外側>内側であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の積層構造電池。
  15. 前記集電体に電気的に接続されてなる集電タブおよび電極端子リードの少なくともいずれか一方の単位面積当たりの導電率が、積層方向の外側>内側であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の積層構造電池。
  16. 高分子固体電解質からなる電解質層を用いる場合に、
    前記電解質層の厚みが、積層方向の内側>外側であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のの積層構造電池。
  17. 3個以上の積層構造電池を直列及び/又は並列に接続して積層した組電池において、
    電池の内部抵抗を、組電池の積層方向に中央側>端側とすることを特徴とする組電池。
  18. 3組以上の組電池を直列及び/又は並列に接続した複合組電池において、
    組電池の内部抵抗を、複合組電池の積層方向に中央側>端側とすることを特徴とする複合組電池。
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