JP2013191279A - 導電性高分子分散液及びその製造方法 - Google Patents

導電性高分子分散液及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】π共役系導電性高分子が低極性の有機溶媒に高い分散性で分散した導電性高分子分散液を提供する。
【解決手段】本発明の導電性高分子分散液は、π共役系導電性高分子と、アニオン基および電子吸引基の少なくとも一方を有する可溶化高分子と、該可溶化高分子に配位または結合するシリコーン化合物と、有機溶媒とを含有する。前記シリコーン化合物は、アミノ変性シリコーンオイルであることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、π共役系導電性高分子が有機溶媒に分散している導電性高分子分散液及びその製造方法に関する。
導電性の塗膜を形成するための塗料として、ポリチオフェン等のπ共役系導電性高分子を水に分散させた導電性高分子水分散液が使用されている。
特許文献1には、導電性高分子水分散液の製造方法として、ポリスチレンスルホン酸等のポリアニオンの存在下、酸化剤を用いて、3,4−ジアルコキシチオフェンを化学酸化重合してポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)水分散液を得る方法が提案されている。
ところで、上記のような導電性高分子水分散液では、塗布により導電性塗膜を形成する際に乾燥時間が長くなるため、導電性塗膜の生産性が低くなるという問題を有していた。また、塗膜に耐水性、硬度、柔軟性、紫外線硬化性等を付与するため、種々の反応性モノマー、高分子、添加物等の配合物を配合する場合、水に溶解または分散しないものが多く、必要な配合に支障をきたす場合があった。
そこで、乾燥時間を短くし、水に溶解または分散しない配合物を配合可能にするため、導電性高分子水分散液の分散媒である水を有機溶剤に置換した導電性高分子分散液が開示されている。
特許文献2には、導電性高分子水分散液に有機溶剤を添加し、エバポレータによって水を揮発させて除去する方法が開示されている。
また、特許文献3には、導電性高分子水分散液を噴霧乾燥し、得られた固形物に有機溶剤とアミン化合物とノニオン界面活性剤を添加して分散する方法、導電性高分子水分散液に沈殿剤および有機溶剤を添加し、水を除去した後に、アミン化合物およびノニオン界面活性剤を添加して分散する方法が開示されている。
特許第2636968号公報 特表2004−532292号公報 特開2008−45116号公報
しかし、特許文献2に記載の方法では、有機溶剤として、沸点が水よりも大幅に高く、水と混合し得るものを使用しなければならず、高極性の有機溶剤に分散した導電性高分子分散液しか得られなかった。
特許文献3に記載の方法でも、水分が多く残留しやすく、また、分散に用いる有機溶媒としてメタノール、エタノール、メチルエチルケトンのような高極性の溶媒のみが用いられており、主溶媒成分が芳香族系溶媒、炭化水素系溶媒のような低極性の溶媒に分散することは開示されていなかった。
そこで、本発明は、π共役系導電性高分子が低極性の有機溶媒に高い分散性で分散した導電性高分子分散液及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の発明を包含する。
[1]π共役系導電性高分子と、アニオン基および電子吸引基の少なくとも一方を有する可溶化高分子と、該可溶化高分子に配位または結合するシリコーン化合物と、有機溶媒とを含有することを特徴とする導電性高分子分散液。
[2]前記シリコーン化合物が、アミノ変性シリコーンオイルである、[1]に記載の導電性高分子分散液。
[3]有機溶媒が、芳香族系有機溶媒、炭化水素系有機溶媒およびハロゲン系有機溶媒よりなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である、[1]または[2]に記載の導電性高分子分散液。
[4]シリコーン樹脂をさらに含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の導電性高分子分散液。
[5]π共役系導電性高分子及び可溶化高分子を含む導電性高分子複合体の乾燥固体に、前記可溶化高分子に配位または結合するシリコーン化合物を含有する分散剤と有機溶媒とを添加し、分散処理することを特徴とする導電性高分子分散液の製造方法。
本発明の導電性高分子分散液は、π共役系導電性高分子が低極性の有機溶媒に高い分散性で分散したものである。このような導電性高分子分散液は、シリコーン樹脂等の低極性の溶媒のみに溶解可能な樹脂を配合することもできる。
本発明の導電性高分子分散液の製造方法によれば、上記導電性高分子分散液を容易に製造することができる。
<導電性高分子分散液>
本発明の導電性高分子分散液は、π共役系導電性高分子と、可溶化高分子と、該可溶化高分子に配位または結合するシリコーン化合物と、有機溶媒とを含有するものである。
(π共役系導電性高分子)
π共役系導電性高分子は、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば使用できる。例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、およびこれらの共重合体等が挙げられる。重合の容易さ、空気中での安定性の点からは、ポリピロール類、ポリチオフェン類およびポリアニリン類が好ましい。
π共役系導電性高分子は無置換のままでも、充分な導電性を得ることができるが、導電性をより高めるために、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基等の官能基をπ共役系導電性高分子に導入してもよい。
π共役系導電性高分子の具体例としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(チオフェン)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブテンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
中でも、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)から選ばれる1種又は2種からなる(共)重合体が抵抗値、反応性の点から好適に用いられる。さらには、ポリピロール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)は、導電性がより高い上に、耐熱性が向上する点から、より好ましい。
また、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)のようなアルキル置換化合物は溶媒溶解性や、疎水性樹脂を添加した場合の相溶性及び分散性を向上させるためより好ましい。アルキル基の中では導電性に悪影響を与えることがないため、メチル基が好ましい。
さらに、ポリスチレンスルホン酸をドープしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(以下、「PEDOT−PSS」という。)は、比較的熱安定性が高く、塗膜成形後の透明性が高い点で好ましい。
(可溶化高分子)
可溶化高分子とは、π共役系導電性高分子を可溶化して水分散性を高める高分子であり、具体的には、アニオン基及び電子吸引基の少なくとも一方を有する高分子である。
シリコーン化合物による配位あるいは結合のしやすさからは、可溶化高分子は、アニオン基を有する高分子が好ましい。
[アニオン基を有する高分子]
本発明に用いるアニオン基を有する高分子(以下、「ポリアニオン」という。)は、一分子中に複数のアニオン基を有する高分子であり、アニオン基を有する単量体を重合、またはアニオン基を有する単量体とアニオン基を有さない単量体を共重合する方法により得ることができる。これらの単量体は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、アニオン基を有さない高分子を得た後、硫酸、発煙硫酸、スルファミン酸等のスルホン化剤によりスルホン化することにより得ることもできる。さらに、アニオン基を有する高分子をいったん得た後に、さらにスルホン化することにより、アニオン基含量のより多いポリアニオンを得ることもできる。
本発明に用いるポリアニオンを構成する単量体としては、−O−SO 、−SO 、−COO、−O−PO 、−PO (各式においてXは水素イオン、アルカリ金属イオンを表す。)等の強酸基を含有する単量体が挙げられる。これらの中でも、π共役系導電性高分子へのドーピング効果の点から、−SO 、−COOが好ましい。また、このアニオン基は、隣接して又は一定間隔をあけてポリアニオンの主鎖に配置されていることが好ましい。
スルホン酸基を含有する単量体としては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、2−(メタクリロキシ)エタンスルホン酸、4−(メタクリロキシ)ブタンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられる。これらの単量体は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよく、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化ナトリウムなどの塩基で中和した塩の状態で使用してもよい。
リン酸基を含有する単量体としては、例えば、3−クロロ−2−アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)アシッドホスフェート、モノ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)アシッドホスフェート、モノ(2−ヒドロキシプロピルアクリレート)アシッドホスフェート、モノ(2−ヒドロキシプロピルメタクリレート)アシッドホスフェート、モノ(3−ヒドロキシプロピルアクリレート)アシッドホスフェート、モノ(3−ヒドロキシプロピルメタクリレート)アシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で、または2種以上を組み合わせていてもよく、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化ナトリウムなどの塩基で中和した塩の状態で使用してもよい。
カルボキシル基を含有する単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸およびそれらの酸無水物;マレイン酸メチル、イタコン酸メチル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物;等を挙げることができる。これらの単量体は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよく、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化ナトリウムなどの塩基で中和した塩の状態で使用してもよい。
酸基含有単量体と共重合可能な、酸基を含まない他の単量体は、公知の化合物を何等制限なく使用することができる。例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン単量体;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等のエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジ(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル単量体;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル単量体;(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリン、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。
上記酸基含有単量体、必要に応じて他の単量体を、ラジカル重合開始剤を用いて重合することにより、本発明に用いるポリアニオンを得ることができる。
また、スルホン化ジカルボン酸とジオールによるスルホン化ポリエステルの製造(特開2007−102224号公報)、スルホン化ジアミノ化合物とテトラカルボン酸二無水物によるスルホン化ポリイミドの製造(特開2006−152009号公報、特開2007−302743号公報)、スルホン化ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの重合によるスルホン化ポリウレタンの製造(特表2002−514233号公報)等、公知の方法で本発明に用いるポリアニオンを得ることができる。
あるいは、ポリスチレン、ポリメチルスチレン等を重合した後、硫酸、発煙硫酸、スルファミン酸等のスルホン化剤によりスルホン化することにより本発明に用いるポリアニオンを得ることもできる。
さらに、ポリエーテルケトンのスルホン化(EP041780号明細書)、ポリエーテルエーテルケトンのスルホン化(特開2008−108535号公報)、ポリエーテルスルホンのスルホン化(特開平10−309449号公報)、ポリフェニレン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾールのスルホン化(特表2010−514161号公報)、ポリフェニレンオキシドのスルホン化、ポリフェニレンスルフィドのスルホン化等により、本発明に用いるポリアニオン得ることもできる。
上記ポリアニオンの中でも、分散性及び導電性の点から、ポリイソプレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸を含む共重合体、ポリスルホエチルメタクリレート、ポリスルホエチルメタクリレートを含む共重合体、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)、ポリ(4−スルホブチルメタクリレート)を含む共重合体、ポリメタリルオキシベンゼンスルホン酸、ポリメタリルオキシベンゼンスルホン酸を含む共重合体、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸を含む共重合体等が好ましい。中でもポリスチレンスルホン酸がより好ましい。
ポリアニオンが置換基を有する場合、その置換基としては、アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、フェニル基、フェノール基、エステル基、アルコキシル基等が好ましい。溶媒への溶解性、耐熱性及び樹脂への相溶性等を考慮すると、アルキル基、ヒドロキシル基、フェノール基、エステル基がより好ましい。
アルキル基は、極性溶媒又は非極性溶媒への溶解性及び分散性、樹脂への相溶性及び分散性等を高くすることができ、ヒドロキシル基は、他の水素原子等との水素結合を形成しやすくでき、有機溶剤への溶解性、樹脂への相溶性、分散性、接着性を高くすることができる。また、シアノ基及びヒドロキシフェニル基は、極性樹脂への相溶性、溶解性を高くすることができ、しかも、耐熱性も高くすることができる。
上記置換基の中では、アルキル基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基が好ましい。
ポリアニオンの重合度は、モノマー単位が10〜100,000個の範囲であることが好ましく、分散性及び導電性の点からは、50〜10,000個の範囲がより好ましい。ポリアニオンの分子量は2万〜100万が好ましい。上記下限値以下ではπ共役系導電性高分子が均一な分散液になりづらく、上限値以上では導電性が悪化することがある。
ポリアニオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に配位している。そのため、π共役系導電性高分子とポリアニオンとは複合体を形成している。導電性高分子分散液中のπ共役系導電性高分子とポリアニオンの合計の含有量は0.05〜5.0質量%であることが好ましい。π共役系導電性高分子とポリアニオンの合計含有量が0.05質量%未満であると、十分な導電性が得られないことがあり、5.0質量%を超えると、均一な導電性塗膜が得られないことがある。
ポリアニオンのアニオン基の含有量は、π共役系導電性高分子のモノマー単位1モルに対して0.1〜20モルの範囲であることが好ましく、1〜12モルの範囲であることがより好ましい。アニオン基の含有量が0.1モルより少なくなると、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が弱くなる傾向にあり、導電性が不足することがある。また、アニオン基の含有量が20モルより多くなると、π共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得られにくい。
[電子吸引基を有する高分子]
電子吸引基を有する高分子は、電子吸引基として、例えば、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、カルボニル基、アセチル基から選ばれる少なくとも1種を有する化合物を構成単位とした高分子が挙げられる。これらの中でも、シアノ基は極性が高く、π共役系導電性高分子をより可溶化できることから好ましい。また、バインダとの相溶性、分散性をより高くできることから好ましい。
電子吸引性基を有する高分子の具体例としては、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂や、ヒドロキシル基あるいはアミノ基含有樹脂をシアノエチル化した樹脂(例えば、シアノエチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、アルキル化ポリビニルピロリドン、ニトロセルロースなどが挙げられる。
電子吸引基は、π共役系導電性高分子に配位している。そのため、π共役系導電性高分子と電子吸引機を有する高分子とは複合体を形成している。
電子吸引基を有する高分子に含まれる電子吸引基の含有量は、π共役系導電性高分子のモノマー単位1モルに対して0.1〜20モルの範囲であることが好ましく、1〜12モルの範囲であることがより好ましい。電子吸引基の含有量が0.1モルより少なくなると、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が弱くなる傾向にあり、導電性が不足することがある。また、電子吸引基の含有量が20モルより多くなると、π共役系導電性高分子の含有量が少なくなり、やはり充分な導電性が得られにくい。その上、分散媒への分散性が低くなり、均一な導電性高分子分散液を得ることが困難になる。
(π共役系導電性高分子と可溶化高分子との複合体の製造方法)
上記π共役系導電性高分子と可溶化高分子との複合体は、例えば、上記π共役系導電性高分子の前駆体モノマーを、上記可溶化高分子、酸化剤、酸化触媒及び反応溶媒中で化学酸化重合することで得ることができる。
上記酸化剤、酸化触媒としては、例えば、ぺルオキソ二硫酸アンモニウム、ぺルオキソ二硫酸ナトリウム、ぺルオキソ二硫酸カリウム等のぺルオキソ二硫酸塩、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、塩化第二銅等の遷移金属化合物、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウムなどの金属ハロゲン化合物、酸化銀、酸化セシウム等の金属酸化物、過酸化水素、オゾン等の過酸化物、過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物、酸素等が挙げられる。
上記反応溶媒としては特に限定されず、例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の極性溶媒、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類、ギ酸、酢酸等のカルボン酸、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物、エチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等の鎖状エーテル類、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物等が挙げられる。
これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物としてもよいし、他の有機溶媒との混合物としてもよい。
また、π共役系導電性高分子と可溶化高分子との複合体は、市販品を用いることもできる。市販品の複合体としては、例えば、Clevios(商品名、ヘラウス社製)、Orgacon(商品名、アグファ社製)等が挙げられる。
(シリコーン化合物)
本発明で使用されるシリコーン化合物は、可溶化高分子のアニオン基、電子吸引基またはその他の官能基に配位または結合するものである。シリコーン化合物が可溶化高分子に配位または結合していると、親水性であるπ共役系導電性高分子と可溶化高分子との複合体を疎水性にすることができる。ここで、配位または結合とは、可溶化高分子とシリコーン化合物とが電子を互いに供与/受容することにより、あるいは共有結合、イオン結合、吸着等により、それらの分子間距離が短くなる結合形態のことである。なお、シリコーン化合物が可溶化高分子に配位あるいは結合しているか否かは、例えば、水と、水と同量の有機溶媒(例えば、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル等)を入れた容器に導電性高分子分散液を滴下した後に、導電性高分子分散液が有機溶媒層に分配するか否かで確認できる。導電性高分子分散液が有機溶媒層に分配した場合には、シリコーン化合物が可溶化高分子に配位または結合している。
通常、該シリコーン化合物は、導電性高分子分散液中では、可溶化高分子に配位または結合しているが、配位または結合していなくてもよい。
具体的に、シリコーン化合物は、可溶化高分子のアニオン基、電子吸引基またはその他の官能基に配位または結合可能な官能基を有する。可溶化高分子のアニオン基、電子吸引基またはその他の官能基に配位または結合可能な官能基としては、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、メルカプト基、アクリロイル基、メタクリロイル基等が挙げられる。
さらに具体的には、シリコーン化合物としては、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、シリコーンオイルに結合した官能基は一分子中に一つでもよいし、二つ以上でもよい。また、官能基の位置は、分子の片末端でも両末端でもよいし、分子の末端以外にでもよい。シリコーン鎖は、ジメチルシリコーンでもよいし、ジフェニルシリコーンでもよいし、メチル基とフェニル基が混合したシリコーンでもよく、その形状は直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
上記シリコーン化合物の中でも、分散の容易さから、アミノ変性シリコーンオイルが好ましく、さらに有機溶媒中での安定性からは分子中に1個のアミノ基を含有するアミノ変性シリコーンオイルがより好ましい。
シリコーン化合物の分子量は、有機溶剤への溶解性を考慮すると、500〜20000であることが好ましい。
シリコーン化合物の含有量は、π共役系導電性高分子のドープに寄与していない可溶化高分子のアニオン基、電子吸引基またはその他の官能基に対して0.1〜10モル当量であることが好ましく、0.4〜2.0モル当量であることがより好ましく、0.5〜1.0モル当量であることが特に好ましい。
シリコーン化合物の含有量が前記下限値以上であれば、官能基が可溶化高分子のアニオン基および電子吸引基のほぼ全部に配位するため、π共役系導電性高分子の有機溶媒への分散性がより高くなる。また、前記上限値以下であれば、余剰なシリコーン化合物が導電性高分子分散液中に含まれないため、得られる導電性塗膜の導電性や機械的物性の低下を防止できる。
なお、π共役系導電性高分子のドープに寄与していない可溶化高分子のアニオン基の当量は、π共役系導電性高分子および可溶化高分子を含む液を、水酸化ナトリウム、アンモニア、イミダゾール等のアミンやアルカリ化合物を用いて中和滴定を行うことにより求めることができる。
(有機溶媒)
導電性高分子分散液に使用される有機溶媒は、低極性の有機溶媒であり、非水溶性であり、シリコーン樹脂等の疎水性の高い樹脂を溶解させることができるものである。ここで、非水溶性とは、20℃における水100gに対する溶解量が2g以下のことである。
低極性の有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族系有機溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン等の脂肪族炭化水素系有機溶媒またはクロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン系有機溶媒が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、さらに、導電性高分子分散液の安定性や樹脂に対する溶解性を損なわない程度に、上記有機溶媒以外の極性が高い溶媒を添加することもできる。高極性の有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等の極性溶媒、クレゾール、フェノール、キシレノール等のフェノール類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物、エチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等の鎖状エーテル類、3−メチル−2−オキサゾリジノン等の複素環化合物、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物等が挙げられる。
高極性の有機溶媒を含む場合、低極性有機溶媒の割合は、疎水性の高い樹脂をより容易に溶解させるため、全溶媒の20質量%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、40%以上であることがさらに好ましい。
(シリコーン樹脂)
導電性高分子分散液は、シリコーン樹脂を含有してもよい。ここで、シリコーン樹脂とは、可溶化高分子に配位または結合せず、質量平均分子量が1000〜1000000の高分子のことである。
導電性高分子分散液がシリコーン樹脂を含有すれば、厚みのある塗膜を容易に形成できる。
シリコーン樹脂としては、成型用、ゴム用、塗料用等が挙げられる。硬化方法も熱硬化型、UV硬化型のいずれも用いることができる。
シリコーン樹脂の含有量は、π共役系導電性高分子の1〜10000倍(質量比)であることが好ましい。シリコーン樹脂の含有量が前記上限値以下であれば、得られる導電性塗膜中でのπ共役系導電性高分子含有量を充分に確保できるため、導電性を高くできる。一方、シリコーン樹脂の含有量が前記下限値以上であれば、導電性高分子分散液中のπ共役系導電性高分子の分散性をより高くできる。
(作用効果)
本発明の導電性高分子分散液では、可溶化高分子に配位または結合するシリコーン化合物を含むため、π共役系導電性高分子と可溶化高分子との複合体を低極性の有機溶媒に高い分散性で分散することができる。
また、導電性高分子分散液は、低極性の有機溶媒を含むことにより、シリコーン樹脂のような低極性の樹脂を容易に分散できる。
<導電性高分子分散液の製造方法>
上記導電性高分子分散液を製造する方法は、π共役系導電性高分子及び可溶化高分子を含む導電性高分子複合体の乾燥固体に、可溶化高分子に配位または結合するシリコーン化合物を含有する分散剤と有機溶媒とを添加し、分散処理する方法である。
π共役系導電性高分子及び可溶化高分子を含む導電性高分子複合体の乾燥固体は、π共役系導電性高分子及び可溶化高分子を含む導電性高分子水分散液から水分を除去することにより得られる。水分の除去方法としては、減圧または常圧で水分を蒸発させる方法や、スプレードライ、凍結乾燥等の手法で水分を除去方法が挙げられる。
また、上記π共役系導電性高分子及び可溶化高分子を含む導電性高分子水分散液に有機溶媒や酸等の沈殿剤を添加し、得られたゲル状膨潤体から水及び有機溶媒や酸等の沈殿剤を取り除くことで得ることもできる。生成した上記ゲル状膨潤体の分離は、例えば、従来公知のろ過、有機溶媒及び水の蒸発により行うことができる。
上記沈殿剤として用いられる有機溶媒としては特に限定されず、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル等が挙げられる。また、上記沈殿剤として用いられる酸類としては特に限定されず、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸類、酢酸、酪酸、シュウ酸、アジピン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、マレイン酸樹脂等のポリカルボン酸、ポリスチレンスルホン酸等のポリスルホン酸等の有機酸が挙げられる。これら沈殿剤として用いられる有機溶媒や酸類は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、この場合、沈殿剤としての有機溶媒を必ずしも完全に除去する必要はなく、有機溶媒で洗浄した後のゲル状膨潤体をそのまま後述する分散処理に用いてもよい。
本発明では、前記乾燥固体を有機溶媒に分散させるための分散剤として、可溶化高分子に配位または結合するシリコーン化合物を用いるが、該シリコーン化合物以外の分散性成分を含んでもよい。
シリコーン化合物以外の分散性成分としては、ミリスチン酸イソプロピル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等の脂肪酸類、セチルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルアミン類等が挙げられる。
分散処理としては、高い剪断力を付与できる混合分散機を用いることが好ましい。混合分散機としては、例えば、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ビーズミル等が挙げられ、中でも、高圧ホモジナイザーが好ましい。
高圧ホモジナイザーの具体例としては、吉田機械興業製の商品名ナノマイザー、パウレック製の商品名マイクロフルイダイザー、スギノマシン製のアルティマイザーなどが挙げられる。
高圧ホモジナイザーを用いた分散処理としては、例えば、分散処理を施す前の複合体分散液を高圧で対向衝突させる処理、オリフィスやスリットに高圧で通す処理等が挙げられる。
上述した導電性高分子有機溶媒分散体の製造方法では、可溶化高分子に配位または結合するシリコーン化合物を配合するため、π共役系導電性高分子と可溶化高分子との複合体を有機溶媒に容易に分散させることができる。
(製造例1)ポリスチレンスルホン酸の製造
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間攪拌した。
得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法を用いてポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000ml溶液を除去し、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。
さらに、得られたろ液に約2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形物を得た。
(製造例2)PEDOT−PSSの水分散液の製造
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合した。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、得られた溶液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去した。この操作を5回繰り返し、約1.2質量%の青色のPEDOT−PSSの水分散液を得た。
(実施例1)
Orgacon DRY(アグファ社製)1.2g及びイソプロパノール85gをビーカーに採り、3時間攪拌した後、ホモジナイザー SILVERSON L4RT(NOVATECH社製)を用いて、6000rpm、10分間処理して、均一な溶液とした。この溶液に、変性シリコーンオイルTSF4701(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)6.0gを添加し、24時間室温で攪拌した。得られた溶液を、ナスフラスコに移し、トルエン150mlを添加し、エバポレーターで溶媒を除去した。さらにトルエン200mlを加え、再びエバポレーターで溶媒を除去した。これに、分散媒としてトルエン390gを添加し、ナノマイザー(吉田機械興業製)で処理して、導電性高分子分散液を得た。
(実施例2)
変性シリコーンオイルTSF4701を4.9gとした他は、実施例1と同様にして導電性高分子分散液を得た。
(実施例3)
変性シリコーンオイルTSF4701の代わりに変性シリコーンオイルKF−865(信越化学工業社製)11gを用いた他は、実施例1と同様にして導電性高分子分散液を得た。
(実施例4)
変性シリコーンオイルTSF4701の代わりに変性シリコーンオイルX22−3939A(信越化学工業社製)4.3gを用いた他は、実施例1と同様にして導電性高分子分散液を得た。
(実施例5)
変性シリコーンオイルTSF4701の代わりに変性シリコーンオイルKF−8012(信越化学工業社製)6.6gを用いた他は、実施例1と同様にして導電性高分子分散液を得た。
(実施例6)
変性シリコーンオイルTSF4701の代わりに変性シリコーンオイルX−22−9192(信越化学工業社製)15.6gを用いた他は、実施例1と同様にして導電性高分子分散液を得た。
(実施例7)
変性シリコーンオイルTSF4701を3.8gとし、さらにトリオクチルアミン0.42gを添加した他は、実施例1と同様にして導電性高分子分散液を得た。
(実施例8)
変性シリコーンオイルTSF4701(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)6.0gの代わりに変性シリコーンオイルTSF4701(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)4.9g及び変性シリコーンオイルX−22−176DX(信越化学工業社製)0.8gを用い、分散媒としてのトルエン390gの代わりに、トルエン370g及びヘプタン20gを用いた他は、実施例1と同様にして導電性高分子分散液を得た。
(実施例9)
製造例2で得たPEDOT−PSSの水分散液(固形分濃度1.2質量%)100gをフラスコに入れ、エタノール120gを添加し、撹拌しながら10%塩酸0.5mlを加えた。15分撹拌後、1時間静置した。得られたゲル状物を、ろ紙を用いて減圧ろ過し、エタノールで洗浄し、さらにイソプロパノール200g中に懸濁し、減圧ろ過という操作を3回繰り返した。固形分が完全に乾燥しない状態で加熱質量減少から固形分質量を算出、固形分15.1%の青色ゲル状物7.6gを得た。
この青色ゲル状物7.6gとイソプロパノール85gをビーカーにとり、3時間攪拌後、ホモジナイザーで6000rpm、10分間処理し、均一な溶液とした。この溶液に変性シリコーンオイルTSF4701(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)6.0gを添加し、24時間室温で攪拌した。この溶液をナスフラスコに移し、トルエン150mlを添加し、エバポレーターで溶媒を除去した。さらにトルエン200mlを加え、再びエバポレーターで溶媒を除去した。これにトルエン390gを添加し、ナノマイザー(吉田機械興業製)で処理して、導電性高分子分散液を得た。
(比較例1)
変性シリコーンオイルTSF4701の代わりにエソミン C/15(アミンアルキレンオキサイド付加物、ライオンアクゾ社製)を0.5g使用した他は、実施例1と同様にして導電性高分子分散液を得た。
(比較例2)
変性シリコーンオイルTSF4701の代わりにトリオクチルアミンを0.64g使用した他は、実施例1と同様にして導電性高分子分散液を得た。
(実施例10〜18、比較例3〜4)
付加型シリコーン樹脂KS−847H(信越化学工業社製、固形分濃度30質量%、トルエン溶液)100g、CAT−PL−50T(信越化学工業社製)1.0g及びトルエン299gを混合した。これにより得た液に、実施例1〜9及び比較例1〜2のいずれかの導電性高分子分散液200gを混合して、シリコーン樹脂を含む導電性高分子分散液を得た。
この導電性高分子分散液を、#16のバーコータを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ポリエステル社製T680E)上に塗布し、120℃で1分間焼成し、硬化させて、導電性塗膜を形成した。導電性塗膜の表面抵抗値をハイレスタ(三菱化学製)により測定した。その測定結果を表1に示す。
Figure 2013191279
ポリアニオンに配位または結合するシリコーン化合物を含む実施例1〜9の導電性高分子分散液では、低極性の有機溶媒を用いているにもかかわらず、π共役系導電性高分子が高い分散性で分散しており、これより得られた実施例10〜18の導電性塗膜は高い導電性を示した。
これに対し、ポリアニオンに配位または結合するシリコーン化合物を含まない比較例1〜2の導電性高分子分散液では、沈降物を生じ、塗膜を形成するための塗布すらできなかった。

Claims (5)

  1. π共役系導電性高分子と、アニオン基および電子吸引基の少なくとも一方を有する可溶化高分子と、該可溶化高分子に配位または結合するシリコーン化合物と、有機溶媒とを含有することを特徴とする導電性高分子分散液。
  2. 前記シリコーン化合物が、アミノ変性シリコーンオイルである、請求項1に記載の導電性高分子分散液。
  3. 有機溶媒が、芳香族系有機溶媒、炭化水素系有機溶媒およびハロゲン系有機溶媒よりなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である、請求項1または2に記載の導電性高分子分散液。
  4. シリコーン樹脂をさらに含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
  5. π共役系導電性高分子及び可溶化高分子を含む導電性高分子複合体の乾燥固体に、前記可溶化高分子に配位または結合するシリコーン化合物を含有する分散剤と有機溶媒とを添加し、分散処理することを特徴とする導電性高分子分散液の製造方法。
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