JP6055940B2 - 導電性高分子分散液及びその製造方法 - Google Patents
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特許文献1には、導電性高分子水分散液の製造方法として、ポリスチレンスルホン酸等のポリアニオンの存在下、酸化剤を用いて、3,4−ジアルコキシチオフェンを化学酸化重合してポリ(3,4−ジアルコキシチオフェン)水分散液を得る方法が提案されている。
ところで、上記のような導電性高分子水分散液では、塗布により導電性塗膜を形成する際に乾燥時間が長くなるため、導電性塗膜の生産性が低くなるという問題を有していた。
また、塗膜に耐水性、硬度、柔軟性、紫外線硬化性等を付与するため、種々の反応性モノマー、高分子、添加物等の配合物を配合する場合、水に溶解または分散しないものが多く、必要な配合に支障をきたす場合があった。
そこで、乾燥時間を短くし、水に溶解または分散しない配合物を配合可能にするため、導電性高分子水分散液の分散媒である水を有機溶剤に置換した導電性高分子分散液が開示されている。
特許文献2には、導電性高分子水分散液に有機溶剤を添加し、エバポレータによって水を揮発させて除去する方法が開示されている。
また、特許文献3には、導電性高分子水分散液を噴霧乾燥し、得られた固形物に有機溶剤とアミン化合物とノニオン界面活性剤を添加して分散する方法、導電性高分子水分散液に沈殿剤および有機溶剤を添加し、水を除去した後に、アミン化合物およびノニオン界面活性剤を添加して分散する方法が開示されている。
特許文献3に記載の方法でも、水分が多く残留しやすく、また、分散に用いる有機溶媒としてメタノール、エタノール、メチルエチルケトンのような高極性の溶媒のみが用いられており、主溶媒成分が芳香族系溶媒、炭化水素系溶媒のような低極性の溶媒に分散することは開示されていなかった。
そこで、本発明は、π共役系導電性高分子が低極性の有機溶媒に高い分散性で分散した導電性高分子分散液及びその製造方法を提供することを目的とする。
[1]疎水性の導電性複合体及び溶媒を含有する導電性高分子分散液であって、
前記疎水性の複合体は、π共役系導電性高分子とアニオン基を有するポリアニオンとを含む複合体の前記アニオン基にアミノ変性シリコーンのアミノ基が配位または結合しているものであり、前記溶媒は、20℃における水100gに対する溶解量が2g以下の非水溶性の有機溶媒を20質量%以上含有する、導電性高分子分散液。
[2]前記有機溶媒が、芳香族系有機溶媒、炭化水素系有機溶媒およびハロゲン系有機溶媒よりなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である、[1]に記載の導電性高分子分散液。
[3]シリコーン樹脂をさらに含有する、[1]または[2]に記載の導電性高分子分散液。
[4]π共役系導電性高分子とアニオン基を有するポリアニオンとを含む複合体の乾燥固体に、アミノ変性シリコーンと、20℃における水100gに対する溶解量が2g以下の非水溶性の有機溶媒を20質量%以上含有する溶媒とを添加し、前記複合体を構成するポリアニオンのアニオン基に前記アミノ変性シリコーンのアミノ基を配位または結合させ、分散処理する、導電性高分子分散液の製造方法。
本発明の導電性高分子分散液の製造方法によれば、上記導電性高分子分散液を容易に製造することができる。
本発明の導電性高分子分散液は、π共役系導電性高分子と、可溶化高分子と、該可溶化高分子に配位または結合するシリコーン化合物と、有機溶媒とを含有するものである。
π共役系導電性高分子は、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば使用できる。例えば、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、およびこれらの共重合体等が挙げられる。重合の容易さ、空気中での安定性の点からは、ポリピロール類、ポリチオフェン類およびポリアニリン類が好ましい。
π共役系導電性高分子は無置換のままでも、充分な導電性を得ることができるが、導電性をより高めるために、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基等の官能基をπ共役系導電性高分子に導入してもよい。
また、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルチオフェン)のようなアルキル置換化合物は溶媒溶解性や、疎水性樹脂を添加した場合の相溶性及び分散性を向上させるためより好ましい。アルキル基の中では導電性に悪影響を与えることがないため、メチル基が好ましい。
さらに、ポリスチレンスルホン酸をドープしたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(以下、「PEDOT−PSS」という。)は、比較的熱安定性が高く、塗膜成形後の透明性が高い点で好ましい。
可溶化高分子とは、π共役系導電性高分子を可溶化して水分散性を高める高分子であり、具体的には、アニオン基及び電子吸引基の少なくとも一方を有する高分子である。
シリコーン化合物による配位あるいは結合のしやすさからは、可溶化高分子は、アニオン基を有する高分子が好ましい。
本発明に用いるアニオン基を有する高分子(以下、「ポリアニオン」という。)は、一分子中に複数のアニオン基を有する高分子であり、アニオン基を有する単量体を重合、またはアニオン基を有する単量体とアニオン基を有さない単量体を共重合する方法により得ることができる。これらの単量体は単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、アニオン基を有さない高分子を得た後、硫酸、発煙硫酸、スルファミン酸等のスルホン化剤によりスルホン化することにより得ることもできる。さらに、アニオン基を有する高分子をいったん得た後に、さらにスルホン化することにより、アニオン基含量のより多いポリアニオンを得ることもできる。
本発明に用いるポリアニオンを構成する単量体としては、−O−SO3 −X+、−SO3 −X+、−COO−X+、−O−PO4 −X+、−PO4 −X+(各式においてX+は水素イオン、アルカリ金属イオンを表す。)等の強酸基を含有する単量体が挙げられる。
これらの中でも、π共役系導電性高分子へのドーピング効果の点から、−SO3 −X+、−COO−X+が好ましい。また、このアニオン基は、隣接して又は一定間隔をあけてポリアニオンの主鎖に配置されていることが好ましい。
上記酸基含有単量体、必要に応じて他の単量体を、ラジカル重合開始剤を用いて重合することにより、本発明に用いるポリアニオンを得ることができる。
あるいは、ポリスチレン、ポリメチルスチレン等を重合した後、硫酸、発煙硫酸、スルファミン酸等のスルホン化剤によりスルホン化することにより本発明に用いるポリアニオンを得ることもできる。
さらに、ポリエーテルケトンのスルホン化(EP041780号明細書)、ポリエーテルエーテルケトンのスルホン化(特開2008−108535号公報)、ポリエーテルスルホンのスルホン化(特開平10−309449号公報)、ポリフェニレン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾールのスルホン化(特表2010−514161号公報)、ポリフェニレンオキシドのスルホン化、ポリフェニレンスルフィドのスルホン化等により、本発明に用いるポリアニオン得ることもできる。
アルキル基は、極性溶媒又は非極性溶媒への溶解性及び分散性、樹脂への相溶性及び分散性等を高くすることができ、ヒドロキシル基は、他の水素原子等との水素結合を形成しやすくでき、有機溶剤への溶解性、樹脂への相溶性、分散性、接着性を高くすることができる。また、シアノ基及びヒドロキシフェニル基は、極性樹脂への相溶性、溶解性を高くすることができ、しかも、耐熱性も高くすることができる。
上記置換基の中では、アルキル基、ヒドロキシル基、エステル基、シアノ基が好ましい。
ポリアニオンの分子量は2万〜100万が好ましい。上記下限値以下ではπ共役系導電性高分子が均一な分散液になりづらく、上限値以上では導電性が悪化することがある。
電子吸引基を有する高分子は、電子吸引基として、例えば、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、カルボニル基、アセチル基から選ばれる少なくとも1種を有する化合物を構成単位とした高分子が挙げられる。これらの中でも、シアノ基は極性が高く、π共役系導電性高分子をより可溶化できることから好ましい。また、バインダとの相溶性、分散性をより高くできることから好ましい。
電子吸引性基を有する高分子の具体例としては、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂や、ヒドロキシル基あるいはアミノ基含有樹脂をシアノエチル化した樹脂(例えば、シアノエチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、アルキル化ポリビニルピロリドン、ニトロセルロースなどが挙げられる。
電子吸引基は、π共役系導電性高分子に配位している。そのため、π共役系導電性高分子と電子吸引機を有する高分子とは複合体を形成している。
上記π共役系導電性高分子と可溶化高分子との複合体は、例えば、上記π共役系導電性高分子の前駆体モノマーを、上記可溶化高分子、酸化剤、酸化触媒及び反応溶媒中で化学酸化重合することで得ることができる。
これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物としてもよいし、他の有機溶媒との混合物としてもよい。
本発明で使用されるシリコーン化合物は、可溶化高分子のアニオン基、電子吸引基またはその他の官能基に配位または結合するものである。シリコーン化合物が可溶化高分子に配位または結合していると、親水性であるπ共役系導電性高分子と可溶化高分子との複合体を疎水性にすることができる。ここで、配位または結合とは、可溶化高分子とシリコーン化合物とが電子を互いに供与/受容することにより、あるいは共有結合、イオン結合、吸着等により、それらの分子間距離が短くなる結合形態のことである。なお、シリコーン化合物が可溶化高分子に配位あるいは結合しているか否かは、例えば、水と、水と同量の有機溶媒(例えば、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル等)を入れた容器に導電性高分子分散液を滴下した後に、導電性高分子分散液が有機溶媒層に分配するか否かで確認できる。導電性高分子分散液が有機溶媒層に分配した場合には、シリコーン化合物が可溶化高分子に配位または結合している。
通常、該シリコーン化合物は、導電性高分子分散液中では、可溶化高分子に配位または結合しているが、配位または結合していなくてもよい。
さらに具体的には、シリコーン化合物としては、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、シリコーンオイルに結合した官能基は一分子中に一つでもよいし、二つ以上でもよい。また、官能基の位置は、分子の片末端でも両末端でもよいし、分子の末端以外にでもよい。シリコーン鎖は、ジメチルシリコーンでもよいし、ジフェニルシリコーンでもよいし、メチル基とフェニル基が混合したシリコーンでもよく、その形状は直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
上記シリコーン化合物の中でも、分散の容易さから、アミノ変性シリコーンオイルが好ましく、さらに有機溶媒中での安定性からは分子中に1個のアミノ基を含有するアミノ変性シリコーンオイルがより好ましい。
シリコーン化合物の分子量は、有機溶剤への溶解性を考慮すると、500〜20000であることが好ましい。
シリコーン化合物の含有量が前記下限値以上であれば、官能基が可溶化高分子のアニオン基および電子吸引基のほぼ全部に配位するため、π共役系導電性高分子の有機溶媒への分散性がより高くなる。また、前記上限値以下であれば、余剰なシリコーン化合物が導電性高分子分散液中に含まれないため、得られる導電性塗膜の導電性や機械的物性の低下を防止できる。
なお、π共役系導電性高分子のドープに寄与していない可溶化高分子のアニオン基の当量は、π共役系導電性高分子および可溶化高分子を含む液を、水酸化ナトリウム、アンモニア、イミダゾール等のアミンやアルカリ化合物を用いて中和滴定を行うことにより求めることができる。
導電性高分子分散液に使用される有機溶媒は、低極性の有機溶媒であり、非水溶性であり、シリコーン樹脂等の疎水性の高い樹脂を溶解させることができるものである。ここで、非水溶性とは、20℃における水100gに対する溶解量が2g以下のことである。
低極性の有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族系有機溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン等の脂肪族炭化水素系有機溶媒またはクロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロメタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン系有機溶媒が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
高極性の有機溶媒を含む場合、低極性有機溶媒の割合は、疎水性の高い樹脂をより容易に溶解させるため、全溶媒の20質量%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、40%以上であることがさらに好ましい。
導電性高分子分散液は、シリコーン樹脂を含有してもよい。ここで、シリコーン樹脂とは、可溶化高分子に配位または結合せず、質量平均分子量が1000〜1000000の高分子のことである。
導電性高分子分散液がシリコーン樹脂を含有すれば、厚みのある塗膜を容易に形成できる。
シリコーン樹脂としては、成型用、ゴム用、塗料用等が挙げられる。硬化方法も熱硬化型、UV硬化型のいずれも用いることができる。
シリコーン樹脂の含有量は、π共役系導電性高分子の1〜10000倍(質量比)であることが好ましい。シリコーン樹脂の含有量が前記上限値以下であれば、得られる導電性塗膜中でのπ共役系導電性高分子含有量を充分に確保できるため、導電性を高くできる。
一方、シリコーン樹脂の含有量が前記下限値以上であれば、導電性高分子分散液中のπ共役系導電性高分子の分散性をより高くできる。
本発明の導電性高分子分散液では、可溶化高分子に配位または結合するシリコーン化合物を含むため、π共役系導電性高分子と可溶化高分子との複合体を低極性の有機溶媒に高い分散性で分散することができる。
また、導電性高分子分散液は、低極性の有機溶媒を含むことにより、シリコーン樹脂のような低極性の樹脂を容易に分散できる。
上記導電性高分子分散液を製造する方法は、π共役系導電性高分子及び可溶化高分子を含む導電性高分子複合体の乾燥固体に、可溶化高分子に配位または結合するシリコーン化合物を含有する分散剤と有機溶媒とを添加し、分散処理する方法である。
また、上記π共役系導電性高分子及び可溶化高分子を含む導電性高分子水分散液に有機溶媒や酸等の沈殿剤を添加し、得られたゲル状膨潤体から水及び有機溶媒や酸等の沈殿剤を取り除くことで得ることもできる。生成した上記ゲル状膨潤体の分離は、例えば、従来公知のろ過、有機溶媒及び水の蒸発により行うことができる。
上記沈殿剤として用いられる有機溶媒としては特に限定されず、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル等が挙げられる。また、上記沈殿剤として用いられる酸類としては特に限定されず、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸類、酢酸、酪酸、シュウ酸、アジピン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、マレイン酸樹脂等のポリカルボン酸、ポリスチレンスルホン酸等のポリスルホン酸等の有機酸が挙げられる。これら沈殿剤として用いられる有機溶媒や酸類は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、この場合、沈殿剤としての有機溶媒を必ずしも完全に除去する必要はなく、有機溶媒で洗浄した後のゲル状膨潤体をそのまま後述する分散処理に用いてもよい。
シリコーン化合物以外の分散性成分としては、ミリスチン酸イソプロピル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等の脂肪酸類、セチルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、グリセリン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、プロピレングリコール脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ソルビトールの脂肪酸エステル及びそのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルアミン類等が挙げられる。
高圧ホモジナイザーの具体例としては、吉田機械興業製の商品名ナノマイザー、パウレック製の商品名マイクロフルイダイザー、スギノマシン製のアルティマイザーなどが挙げられる。
高圧ホモジナイザーを用いた分散処理としては、例えば、分散処理を施す前の複合体分散液を高圧で対向衝突させる処理、オリフィスやスリットに高圧で通す処理等が挙げられる。
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間攪拌した。
得られたスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、限外ろ過法を用いてポリスチレンスルホン酸含有溶液の約1000ml溶液を除去し、残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。上記の限外ろ過操作を3回繰り返した。
さらに、得られたろ液に約2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。この限外ろ過操作を3回繰り返した。得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形物を得た。
14.2gの3,4−エチレンジオキシチオフェンと、36.7gのポリスチレンスルホン酸を2000mlのイオン交換水に溶かした溶液とを20℃で混合した。
これにより得られた混合溶液を20℃に保ち、掻き混ぜながら、200mlのイオン交換水に溶かした29.64gの過硫酸アンモニウムと8.0gの硫酸第二鉄の酸化触媒溶液とをゆっくり添加し、3時間攪拌して反応させた。
得られた反応液に2000mlのイオン交換水を添加し、限外ろ過法を用いて約2000ml溶液を除去した。この操作を3回繰り返した。
そして、得られた溶液に200mlの10質量%に希釈した硫酸と2000mlのイオン交換水とを加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去し、これに2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの液を除去した。この操作を3回繰り返した。
さらに、得られた溶液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法を用いて約2000mlの溶液を除去した。この操作を5回繰り返し、約1.2質量%の青色のPEDOT−PSSの水分散液を得た。
Orgacon DRY(アグファ社製)1.2g及びイソプロパノール85gをビーカーに採り、3時間攪拌した後、ホモジナイザー SILVERSON L4RT(NOVATECH社製)を用いて、6000rpm、10分間処理して、均一な溶液とした。
この溶液に、変性シリコーンオイルTSF4701(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)6.0gを添加し、24時間室温で攪拌した。得られた溶液を、ナスフラスコに移し、トルエン150mlを添加し、エバポレーターで溶媒を除去した。さらにトルエン200mlを加え、再びエバポレーターで溶媒を除去した。これに、分散媒としてトルエン390gを添加し、ナノマイザー(吉田機械興業製)で処理して、導電性高分子分散液を得た。
変性シリコーンオイルTSF4701を4.9gとした他は、実施例1と同様にして導電性高分子分散液を得た。
変性シリコーンオイルTSF4701の代わりに変性シリコーンオイルKF−865(信越化学工業社製)11gを用いた他は、実施例1と同様にして導電性高分子分散液を得た。
変性シリコーンオイルTSF4701の代わりに変性シリコーンオイルX22−3939A(信越化学工業社製)4.3gを用いた他は、実施例1と同様にして導電性高分子分散液を得た。
変性シリコーンオイルTSF4701の代わりに変性シリコーンオイルKF−8012(信越化学工業社製)6.6gを用いた他は、実施例1と同様にして導電性高分子分散液を得た。
変性シリコーンオイルTSF4701の代わりに変性シリコーンオイルX−22−9192(信越化学工業社製)15.6gを用いた他は、実施例1と同様にして導電性高分子分散液を得た。
変性シリコーンオイルTSF4701を3.8gとし、さらにトリオクチルアミン0.42gを添加した他は、実施例1と同様にして導電性高分子分散液を得た。
変性シリコーンオイルTSF4701(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)6.0gの代わりに変性シリコーンオイルTSF4701(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)4.9g及び変性シリコーンオイルX−22−176DX(信越化学工業社製)0.8gを用い、分散媒としてのトルエン390gの代わりに、トルエン370g及びヘプタン20gを用いた他は、実施例1と同様にして導電性高分子分散液を得た。
製造例2で得たPEDOT−PSSの水分散液(固形分濃度1.2質量%)100gをフラスコに入れ、エタノール120gを添加し、撹拌しながら10%塩酸0.5mlを加えた。15分撹拌後、1時間静置した。得られたゲル状物を、ろ紙を用いて減圧ろ過し、エタノールで洗浄し、さらにイソプロパノール200g中に懸濁し、減圧ろ過という操作を3回繰り返した。固形分が完全に乾燥しない状態で加熱質量減少から固形分質量を算出、固形分15.1%の青色ゲル状物7.6gを得た。
この青色ゲル状物7.6gとイソプロパノール85gをビーカーにとり、3時間攪拌後、ホモジナイザーで6000rpm、10分間処理し、均一な溶液とした。この溶液に変性シリコーンオイルTSF4701(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)6.0gを添加し、24時間室温で攪拌した。この溶液をナスフラスコに移し、トルエン150mlを添加し、エバポレーターで溶媒を除去した。さらにトルエン200mlを加え、再びエバポレーターで溶媒を除去した。これにトルエン390gを添加し、ナノマイザー(吉田機械興業製)で処理して、導電性高分子分散液を得た。
変性シリコーンオイルTSF4701の代わりにエソミン C/15(アミンアルキレンオキサイド付加物、ライオンアクゾ社製)を0.5g使用した他は、実施例1と同様にして導電性高分子分散液を得た。
変性シリコーンオイルTSF4701の代わりにトリオクチルアミンを0.64g使用した他は、実施例1と同様にして導電性高分子分散液を得た。
付加型シリコーン樹脂KS−847H(信越化学工業社製、固形分濃度30質量%、トルエン溶液)100g、CAT−PL−50T(信越化学工業社製)1.0g及びトルエン299gを混合した。これにより得た液に、実施例1〜9及び比較例1〜2のいずれかの導電性高分子分散液200gを混合して、シリコーン樹脂を含む導電性高分子分散液を得た。
この導電性高分子分散液を、#16のバーコータを用いてポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ポリエステル社製T680E)上に塗布し、120℃で1分間焼成し、硬化させて、導電性塗膜を形成した。導電性塗膜の表面抵抗値をハイレスタ(三菱化学製)により測定した。その測定結果を表1に示す。
これに対し、ポリアニオンに配位または結合するシリコーン化合物を含まない比較例1〜2の導電性高分子分散液では、沈降物を生じ、塗膜を形成するための塗布すらできなかった。
Claims (4)
- 疎水性の導電性複合体及び溶媒を含有する導電性高分子分散液であって、
前記疎水性の複合体は、π共役系導電性高分子とアニオン基を有するポリアニオンとを含む複合体の前記アニオン基にアミノ変性シリコーンのアミノ基が配位または結合しているものであり、
前記溶媒は、20℃における水100gに対する溶解量が2g以下の非水溶性の有機溶媒を20質量%以上含有する、導電性高分子分散液。 - 前記有機溶媒が、芳香族系有機溶媒、炭化水素系有機溶媒およびハロゲン系有機溶媒よりなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒である、請求項1に記載の導電性高分子分散液。
- シリコーン樹脂をさらに含有する、請求項1または2に記載の導電性高分子分散液。
- π共役系導電性高分子とアニオン基を有するポリアニオンとを含む複合体の乾燥固体に、アミノ変性シリコーンと、20℃における水100gに対する溶解量が2g以下の非水溶性の有機溶媒を20質量%以上含有する溶媒とを添加し、前記複合体を構成するポリアニオンのアニオン基に前記アミノ変性シリコーンのアミノ基を配位または結合させ、分散処理する、導電性高分子分散液の製造方法。
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