JP2013188204A - リグノセルロース含有バイオマスの前処理方法 - Google Patents

リグノセルロース含有バイオマスの前処理方法 Download PDF

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【課題】リグノセルロースを含有するバイオマスから効率的に糖類を製造する方法を提供する。
【解決手段】
リグノセルロース原料(乾燥重量)に対して10〜70質量%の亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤として0.1〜20質量%のアルカリを添加し、前記亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤を添加した原料懸濁液を加熱処理し、得られた原料懸濁液を糖化処理する。加熱処理後の原料懸濁液をリファイナーで磨砕処理する。糖化処理に酵素を用いる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、リグノセルロースを含有するバイオマスからエタノール製造に適した原料を調製する方法において、糖化に適した原料を調製する方法に関する。
糖化に適した処理を施したリグノセルロース原料から糖を製造する技術は、この糖を微生物の発酵基質として用いることによりガソリンの代替燃料となるアルコールや、プラスチック原料となるコハク酸や乳酸などの化成品原料を製造することができることから、循環型社会の形成に有益な技術である。
植物系バイオマス中の多糖類から発酵基質となる単糖や小糖類を製造する方法として酵素やその酵素を生産する微生物を用いて加水分解する酵素糖化法がある。リグニンを除去していないリグノセルロース材料は、リグニンを除去したリグノセルロース材料と比べて酵素によって分解されにくく、糖化されずに樹脂、金属などの不純物と一緒に糖化液中に残渣として残る。リグニンを除去するために糖化を行う前にリグノセルロースが糖化され易くするための前処理を行う方法が報告されている。化学薬品を用いて前処理を行う方法としては、リグノセルロースを希硫酸で酸処理する方法(特許文献1)、リグノセルロースに水酸化カルシウムを添加し酸素の存在下で加熱処理を行う方法(特許文献2)、バイオマスをアンモニアで処理する方法(特許文献3)等が報告されている。しかし、酸やアルカリを前処理の薬品として使用する場合、前処理後の廃液(酸、アルカリ)を処理するための設備が必要となるため製造コストが増大する。酸処理を行う方法ではリグノセルロースの加熱処理中にエタノールの発酵阻害物質となるフルフラールが生成されるという問題がある。エタノール製造工程において、発酵を行う前にフルフラールを除去するための設備が必要となるため製造コストが増大する。また、フルフラールは、キシロースから生成されるため加熱処理中に発酵原料であるキシロースの収率が低下し、その結果としてエタノール生産効率が低下する。リグノセルロースからの糖収率を高める方法として、樹皮にアルカリ薬品を添加して加熱処理を行った後、加熱処理した樹皮をレファイナー等で磨砕する方法が報告されている(特許文献4)。しかし、この方法では、アルカリ薬品を使用するためアルカリ廃液の処理に中和等の方法により廃液処理を行う必要があるため、廃液処理設備を設置するための設備コストや操業に要する時間が増大するという問題がある。
以上の問題を解決するために、リグノセルロース原料の加熱処理中に生成されるフルフラール(発酵阻害物質)の生成を抑制し、かつ前記前処理を施した原料から効率的に糖類を生産する方法の開発が望まれている。
特開2007−124933号公報 特表平8−503126号公報 特表2008−535523号公報 特開2010−131004号公報
本発明の課題は、リグノセルロースを含有するバイオマスからエタノールを製造する方法において、リグノセルロースの化学的処理中に生成されるフルフラール(発酵阻害物質)の生成量を抑制し、かつ前記化学的処理した原料から効率的に糖類を生産する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、リグノセルロース原料からエタノールを製造する方法において、リグノセルロース原料(乾燥重量)に対して10〜70質量%亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤として0.1〜10質量%のアルカリを添加し、前記原料懸濁液を加熱処理(化学的処理)することにより、化学的処理後の処理液中に含まれるフルフラール(発酵阻害物質)の含有量が低減され、かつ前記化学的処理を施した原料を糖化処理することにより効率的に糖類を生産できることを見出し、下記発明を完成した。
(1)リグノセルロース原料(乾燥重量)に対して10〜70質量%の亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤として0.1〜20質量%のアルカリを添加し、前記亜流酸ナトリウム及びpH調整剤を添加した原料懸濁液を加熱処理し、前記加熱処理した原料懸濁液を糖化処理することを特徴とするリグノセルロース系原料の糖化処理方法。
(2)前記糖化処理が酵素による糖化処理であることを特徴とする(1)項に記載のリグノセルロース系原料の糖化処理方法。
(3)前記加熱処理した原料懸濁液をレファイナーで磨砕処理することを特徴とする(1)項又は(2)項に記載のリグノセルロース系原料の糖化処理方法。
(4)前記レファイナーのディスクのクリアランスが0.1〜2.0mmで磨砕処理することを特徴とする(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料の糖化処理方法。
(5)前記リグノセルロース原料が、ユーカリ属、アカシア属、ヤナギ属に属する植物から選ばれる少なくとも1種以上の植物であることを特徴とする(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料の糖化処理方法。
本発明により、化学的処理後の処理液中に含まれるフルフラール(発酵阻害物質)の含有量が低減され、かつ前記化学的処理を施した原料を糖化処理することにより効率的に糖類を生産することが可能となる。
本発明の実施例1で使用したリファイナーのディスクのパターンを示す図である。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
<リグノセルロース系原料>
本発明の方法で原料として使用するリグノセルロース系原料としては、木質系として、製紙用樹木、林地残材、間伐材等のチップ又は樹皮、木本性植物の切株から発生した萌芽、製材工場等から発生する鋸屑又はおがくず、街路樹の剪定枝葉、建築廃材等が挙げられ、草本系としてケナフ、稲藁、麦わら、コーンコブ、バガス等の農産廃棄物、油用作物やゴム等の工芸作物の残渣及び廃棄物(例えば、EFB: Empty Fruit Bunch)、草本系エネルギー作物のエリアンサス、ミスカンサスやネピアグラス等が挙げられる。
また、バイオマスとしては、木材由来の紙、古紙、パルプ、パルプスラッジ、スラッジ、下水汚泥等、食品廃棄物、等を原料として利用することができる。これらのバイオマスは、単独、あるいは複数を組み合わせて使用することができる。また、バイオマスは、乾燥固形物であっても、水分を含んだ固形物であっても、スラリーであっても用いることができる。
前記木質系のリグノセルロース系原料としては、ユーカリ(Eucalyptus)属植物、アカシア(Acacia)属植物、ヤナギ(Salix)属植物、ポプラ属植物、スギ(Cryptomeria)属植物等が利用できるが、ユーカリ属植物、アカシア属植物、ヤナギ属植物が原料として大量に採取し易いため好ましい。特に、ユーカリ属植物としては、Eucalyptus globulus、Eucalyptus pelita、 アカシア属としては、Acacia mangium、Acacia auriculiforimis、アカシアハイブリッド(Acacia mangiumとAcacia auriculiforimisの交雑種)、ヤナギ属植物としては、Salix schweriniiを用いるのが好ましい。
木本性植物由来のリグノセルロース系原料の中では、林地残材(樹皮、枝葉を含む)、樹皮を用いるのが好ましい。例えば、製紙原料用として一般に用いられるユーカリ(Eucalyptus)属又はアカシア(Acacia)属等の樹種の樹皮は、製紙原料用の製材工場やチップ工場等から安定して大量に入手可能であるため、特に好適に用いられる。
<機械的処理>
本発明では、前記リグノセルロース原料に機械的処理を施すことができる。機械的処理としては、切断、裁断、破砕、磨砕等の任意の機械的手段が挙げられ、リグノセルロースを次工程の化学的処理工程で糖化され易い状態にすることである。使用する機械装置については特に限定されないが、例えば、切出し装置、一軸破砕機、二軸破砕機、ハンマークラッシャー、レファイナー、ニーダー、ボールミル等を用いることができる。
前記機械的処理の前工程又は後工程として、不純物(石、ゴミ、金属、プラステック等のリグノセルロース以外の不純物)を除去するための洗浄などによる不純物除去工程を導入することもできる。
原料を洗浄する方法としては、例えば、原料に水を噴射して原料に混合されている不純物を除く方法、あるいは、原料を水中に浸漬し不純物を沈降させて取り除く方法等が挙げられる。また、メタルトラップ等の装置を用いて、不純物を原料から分離する方法が挙げられる。
原料に不純物が含まれていると、リファイナーのディスク(プレート)等の機械的処理で用いる装置の部品を破損させる可能性があるし、配管が詰まる等の製造工程内でトラブルを起こす等の問題が発生するため、不純物除去工程を導入することが望ましい。
<化学的処理>
前記、機械的処理を施したリグノセルロース原料を次に化学的処理する。化学的処理としては、リグノセルロース原料(乾燥重量)に対して10〜70質量%の亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤として0.1〜20質量%のアルカリを添加した原料懸濁液を加熱処理することが望ましい。リグノセルロースに亜硫酸ナトリウムを前記の添加量で単独で添加して加熱処理すると、加水分解中に酢酸等の有機酸が生成するためpHの低下が起こり加水分解液が酸性となる。酸性条件下で加水分解を継続するとリグノセルロースの加水分解で生成されたキシロースがフルフラールに変換するという問題が発生する。フルフラールは、エタノール発酵の阻害物質となるため可能な限りフルフラールを生成させないことが望ましい。また、酸性条件下では、キシロースの分解が促進されるためキシロース(発酵基質)の収率が低下し、結果としてエタノール生産効率が低下する。
リグノセルロース原料に前記の添加量で亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤としてアルカリを添加して加熱処理することにより、加水分解中に加水分解液のpHが中性〜弱アルカリ性に維持されるため、発酵阻害物質であるフルフラールの生成を抑制し、また、発酵基質であるキシロースの収率低下を抑制することができる。また、加熱処理後(加水分解後)のリグノセルロースを含む水溶液のpHが4.0〜9.0(中性〜弱アルカリ性)となるため、加水分解処理後の廃液あるいは加水分解物を中和するための薬品の使用量を低減できるというメリットがある。安全面でも酸やアルカリによる危険性を低減することができる。さらに、従来のアルカリ処理を行う方法と比較し高い糖収率が得られる。
又、化学的処理に用いる薬品として、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリを単独で用いることもできる。フルフラールの生成を抑制するためには、リグノセルロース原料(乾燥重量)に対して10〜70質量%の亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤として0.1〜20質量%のアルカリを添加した原料懸濁液を加熱処理することが望ましい。前記の亜硫酸ナトリウムとpH調整剤を用いる場合、リグノセルロース原料(乾燥重量)に対する亜流酸ナトリウムの添加量は、10〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がさらに好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。一方、前記の亜硫酸ナトリウムとpH調整剤を用いる場合、リグノセルロース原料(乾燥重量)に対するpH調整剤(アルカリ)の添加量は、0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がさらに好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。リグノセルロース原料(乾燥重量)に対する亜流酸ナトリウムの添加量が70質量%あるいはpH調整剤の添加量が20質量%を超えると薬品コストが上昇するため好ましくない。また、リグノセルロース原料(乾燥重量)に対する亜流酸ナトリウムの添加量が10質量%あるいはpH調整剤の添加量が0.1質量%より低いとリグニン除去効果あるいはフルフラール低減効果が低下するため好ましくない。
pH調整剤として用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられるが、これらの薬品に限定されない。
加熱処理温度は、80〜230℃が好ましく、120〜200℃がさらに好ましい。また、加熱処理時間は、10〜300分で行うことができるが、30〜120分が好ましい。処理条件を厳しくすることで、原料中のセルロースの液側への溶出又は過分解が起こる場合もあるため、処理温度は、180℃以下、処理時間は120分以下であることが好ましい。
前記化学的処理により得られたリグノセルロース原料を次工程で磨砕処理を施す前に化学的処理で使用した薬品を除去するためにリグノセルロース原料を洗浄してもよい。洗浄方法としては、例えば、リグノセルロース原料に洗浄水を添加しながら、洗浄ドレーナー等の洗浄装置、固液分離装置等で固形分と液体分に分離する方法が挙げられる。固液分離装置としては、スクリュープレス、フィルタープレス、ベルトプレス、ロータリープレス、ドラムフィルター、ディスクフィルター、スクリーン等が挙げられる。
(磨砕処理)
本発明では、前記化学的処理により得られたリグノセルロース原料をレファイナーのディスク(プレート)のクリアランスを0.1〜2.0mmの範囲で磨砕することが好ましく、0.1〜1.0mmの範囲がさらに好ましく、0.1〜0.5mmの範囲が特に好ましい。使用するレファイナーとしては、シングルディスクレファイナー、ダブルディスクレファイナー等を使用することができ相対するディスクのクリアランスを0.1〜2.0mmの範囲に設定できるレファイナーであれば特に制限なく使用することができる。ディスクのクリアランスが2.0mmを超えると糖化または併行糖化発酵で得られる糖収率が低下するため好ましくない。一方、ディスクのクリアランスが0.1mmより小さいとレファイナーで磨砕処理した後の加水分解物(固形分)の収率が低下し、また、レファイナーの運転に要する電気消費量が増大するため好ましくない。
レファイナーのディスク(プレート)の材質、ディスクの型、ディスク面の刃の型、ディスク面に対する刃の方向等のディスクの形状については効果が得られる材質、形状であれば、特に制限なく使用することができる。
前記の磨砕処理が施されているリグノセルロース系原料を水溶液と固形分に固液分離し、固形分を糖化または併行糖化発酵の原料として用いる。固液分離する方法としては、例えば、スクリュープレス等を用いて水溶液と固形分に分離することができるが、水溶液と固形分に分離することができる装置であれば制限なく使用することができる。
前記の固形分離後の原料を用いて糖化または併行糖化発酵を行う前に殺菌処理を行うことが好ましい。リグノセルロース系バイオマス原料中に雑菌が混入していると、酵素による糖化を行う際に雑菌が糖を消費して生成物の収量が低下してしまうという問題が発生する。
殺菌処理は、酸やアルカリなど、菌の生育困難なpHに原料を晒す方法でも良いが、高温下で処理する方法でも良く、両方を組み合わせても良い。酸、アルカリ処理後の原料については、中性付近、もしくは、糖化及び/又は糖化発酵工程に適したpHに調整した後に原料として使用することが好ましい。また、高温殺菌した場合も、室温もしくは糖化発酵工程に適した温度まで降温させてから原料として使用することが好ましい。このように、温度やpHを調整してから原料を送り出すことで、好適pH、好適温度外に酵素が晒されて、失活することを防ぐことができる。
前記前処理が施されているリグノセルロース原料が、糖化工程または併行糖化発酵工程へ供給される。
<糖化工程>
酵素糖化反応に適した前処理が施されたリグノセルロース系原料は、適量の水と酵素と混合されて原料懸濁液とされ、糖化工程へ供給される。リグノセルロース系原料は酵素(セルラーゼ、ヘミセルラーゼ)により糖化(セルロース→グルコース、ヘミセルロース→グルコース、キシロース)される。
<併行糖化発酵工程>
酵素糖化反応に適した前処理が施されたリグノセルロース系原料は、適量の水と酵素と混合されて原料懸濁液とされ、さらに酵母等の微生物と混合されて併行糖化発酵工程へ供給される。リグノセルロース系原料は酵素により糖化され、生成された糖が微生物によりエタノールに発酵される。
糖化工程又は併行糖化発酵工程で用いるリグノセルロース系原料の懸濁濃度は、1〜30質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、最終的に生産物の濃度が低すぎて生産物の濃縮のコストが高くなるという問題が発生する。また、30質量%を超えて高濃度となるにしたがって原料の攪拌が困難になり、生産性が低下するという問題が発生する。
併行糖化発酵で使用するセルロース分解酵素は、セロビオヒドロラーゼ活性、エンドグルカナーゼ活性、ベーターグルコシダーゼ活性を有する、所謂セルラーゼと総称される酵素である。
各セルロース分解酵素は、夫々の活性を有する酵素を適宜の量で添加しても良いが、市販されているセルラーゼ製剤は、上記の各種のセルラーゼ活性を有すると同時に、ヘミセルラーゼ活性も有しているものが多いので市販のセルラーゼ製剤を用いれば良い。
市販のセルラーゼ製剤としては、トリコデルマ(Trichoderma)属、アクレモニウム(Acremonium)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ファネロケエテ(Phanerochaete)属、トラメテス(Trametes)属、フーミコラ(Humicola)属、バチルス(Bacillus)属などに由来するセルラーゼ製剤がある。このようなセルラーゼ製剤の市販品としては、全て商品名で、例えば、セルロイシンT2(エイチピィアイ社製)、メイセラーゼ(明治製菓社製)、ノボザイム188(ノボザイム社製)、マルティフェクトCX10L(ジェネンコア社製)、GC220(ジェネンコア社製)等が挙げられる。
原料固形分100質量部に対するセルラーゼ製剤の使用量は、0.5〜100質量部が好ましく、1〜50質量部が特に好ましい。
糖化工程または併行糖化発酵工程でのpHは3.5〜10.0の範囲に維持することが好ましく、4.0〜7.5の範囲に維持することがより好ましい。
糖化工程または併行糖化発酵工程の温度は、酵素の至適温度の範囲内であれば特に制限はなく、25〜50℃が好ましく、30〜40℃がさらに好ましい。反応は、連続式が好ましいが、セミバッチ式、バッチ式でも良い。反応時間は、酵素濃度によっても異なるが、バッチ式の場合は10〜240時間、さらに好ましくは15〜160時間である。連続式の場合も、平均滞留時間が、10〜150時間、さらに好ましくは15〜100時間である。
発酵用に用いられる微生物としては酵母、細菌等が用いられ、培地などを同時に添加しても良い。前記微生物としては、サッカロマイセス・セラビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等の酵母や細菌等が使用できる。また、遺伝子組換技術を用いて作製した遺伝子組換微生物を用いることができる。遺伝子組換微生物としては、六炭糖と五炭糖を同時に発酵できる微生物(酵母、細菌等)を特に制限なく用いることができる。前記微生物は、培地などと同時に添加しても良い。
また、微生物は固定化しておいてもよい。微生物を固定化しておくと、次工程に微生物を液と共に送り出して再回収するという工程を省くことができるか、少なくとも回収工程にかかる負担を軽減することができるし、微生物をロスするリスクを軽減することもできる。また、微生物を固定化するほどでのメリットはないが、凝集性のある微生物を選択することにより微生物の回収を容易にすることができる。
本発明では、酵素糖化処理工程内に電解質として水溶性塩を添加することができる。酵素糖化処理工程において、電解質を原料懸濁液に添加し原料懸濁液の電気伝導度を5〜25mS/cmの範囲に維持することが好ましい。電気伝導度を5〜25mS/cmの範囲に維持することによりリグノセルロース原料の未反応成分や反応残渣等への酵素の吸着が抑制されるため、酵素糖化処理工程内における酵素の循環率が長期にわたって高い水準に維持することができる。酵素糖化処理工程内において、操作上、電解質を添加することが可能な工程であれば、いずれの工程においても制限なく電解質を添加することができる。一次糖化発酵工程内で添加することが操作が容易なため望ましい。
水溶性塩としては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩から選ばれる塩類が好ましい。アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属のハロゲン化物、硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、リン酸二水素塩、リン酸水素二塩、酢酸塩、クエン酸塩からなる群から選ばれる水溶性塩が挙げられる。
糖化工程または併行糖化発酵工程を出た培養液は、固液分離工程へ移送され、液体分(濾液)と固形分(残渣)に分離される。固液分離を行う装置としては、スクリュープレス、スクリーン、フィルタープレス、ベルトプレス、ロータリープレス等を用いることができる。スクリーンとしては、振動装置が付加された振動スクリーンなどを用いることができる。
回収された固形分(残渣)は糖化工程または併行糖化発酵工程へ移送し糖化発酵の原料として用いることもできる。
固液分離工程で分離された液体分(濾液)は蒸留工程へ移送される。
<蒸留工程>
蒸留工程では、減圧蒸留装置により発酵生成物としてエタノールが蒸留分離される。減圧下では低い温度で発酵生成物を分離できるため、酵素の失活を防ぐことができる。減圧蒸留装置としては、ロータリーエバポレーター、フラッシュエバポレーターなどを用いることができる。
蒸留温度は25〜60℃が好ましい。25℃未満であると、生成物の蒸留に時間がかかって生産性が低下する。また、60℃より高いと、酵素が熱変性して失活してしまい、新たに追加する酵素量が増加するため経済性が悪くなる。
蒸留後の蒸留残渣留分中に残る発酵生成物濃度は0.1質量%以下であることが好ましい。このような濃度にすることによって、後段の固液分離工程において固形物とともに排出される発酵生成物量を低減することができ、収率を向上させることができる。
<遠心分離工程>
蒸留残液は、遠心分離工程へ移送され残留している残渣を遠心分離によって除去した後、液体留分は併行糖化発酵工程に循環されるか又は二次併行糖化発酵工程(前記、一次併行糖化発酵工程とは異なる第2の併行糖化発酵工程)へ移送される。二次併行糖化発酵工程では、新しいリグノセルロース原料を添加して糖化発酵させることもできるし、キシロース等の五炭糖の発酵を目的とした発酵を行うことができる。遠心分離後の液体留分には酵素が含まれており、併行糖化発酵工程または二次併行糖化発酵工程で再利用される。一方、遠心分離後の残渣には、リグニンや酵母が含まれている。リグニンは、燃焼原料として回収しエネルギーとして利用することもできるし、リグニンを回収し有効利用することもできる。また、酵母を残渣から分離して、糖化発酵工程で再利用することもできる。
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等によって限定されるものではない。
[実験例1〜6]
[前処理]
チップ状のEucalyptus globulus(ユーカリ)の林地残材(樹皮70%、枝葉30%)を20mmの丸孔スクリーンを取り付けた一軸破砕機(西邦機工社製、SC−15)で破砕し原料として用いた。
上記原料1kg(絶乾重量)に対して97%亜硫酸ナトリウム50g及び水酸化ナトリウム1gを添加後、水を添加し水溶液の容量を10Lに調製した。前記原料懸濁液を混合後、170℃で1時間加熱した。加熱処理後の原料懸濁液をレファイナー(熊谷理器工業製、KRK高濃度ディスクレファイナー)でディスク(プレート:図1参照)のクリアランスを3.0mm(実験例1)、2.0mm(実験例2)、1.0mm(実験例3)、0.5mm(実験例4)、0.3mm(実験例5)、0.1mm(実験例6)に設定し磨砕した。実験例1を比較例とした。次に60メッシュ(250um)のスクリーンを用いて磨砕処理後の原料源濁液を固液分離(脱水)することにより溶液の電気伝導度が30uS/cmになるまで水で洗浄した。固液分離後の固形分を原料として糖化試験を実施した。
[糖化試験(試験管内実験)]
前記で得られた固形分を原料として試験管内で糖化試験を下記の方法で行った。
300ml容三角フラスコ(滅菌済)に原料の最終濃度が、2.5質量%になるように添加した。次に、市販セルラーゼ(Accellerase DUET、ジェネンコア社製)2.5mlを添加し、最終容量を蒸留水で100mlにメスアップした。この混合液を37℃で24時間培養(糖化)した。培養後の培養液を遠心分離(5000rpm、20分間)し、上清液の全糖濃度を測定した。得られたデータより糖収率(得られた全糖量/原料に含まれる炭水化物量 x 100)を算出した。また、パルプ収率(固液分離後の固形分(乾燥重量)/原料(乾燥重量) x 100)についても算出した。結果を表1に示す。
[実験例7〜12]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム100g及び水酸化ナトリウム1gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを3.0mm(実験例7)、2.0mm(実験例8)、1.0(実験例9)、0.5mm(実験例10)、0.3mm(実験例11)、0.1mm(実験例12)に設定し処理した。実験例7を比較例とした。結果を表1に示す。
[実験例13〜18]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム150g及び水酸化ナトリウム1gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例13)、2.0mm(実験例14)、1.0(実験例15)、0.5mm(実験例16)、0.3mm(実験例17)、0.1mm(実験例18)に設定し処理した。実験例13を比較例とした。結果を表1に示す。
[実験例19〜24]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム200g及び水酸化ナトリウム1gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例19)、2.0mm(実験例20)、1.0(実験例21)、0.5mm(実験例22)、0.3mm(実験例23)、0.1mm(実験例24)に設定し処理した。実験例19を比較例とした。結果を表1に示す。
[実験例25〜30]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム300g及び水酸化ナトリウム1gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例25)、2.0mm(実験例26)、1.0(実験例27)、0.5mm(実験例28)、0.3mm(実験例29)、0.1mm(実験例30)に設定し処理した。実験例25を比較例とした。結果を表1に示す。
[実験例31〜36]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム500g及び水酸化ナトリウム1gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例31)、2.0mm(実験例32)、1.0(実験例33)、0.5mm(実験例34)、0.3mm(実験例35)、0.1mm(実験例36)に設定し処理した。実験例31を比較例とした。結果を表1に示す。
[実験例37〜42]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム700g及び水酸化ナトリウム1gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例37)、2.0mm(実験例38)、1.0(実験例39)、0.5mm(実験例40)、0.3mm(実験例41)、0.1mm(実験例42)に設定し処理した。実験例37を比較例とした。結果を表1に示す。
[実験例43〜48]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム50g及び水酸化ナトリウム10gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを3.0mm(実験例43)、2.0mm(実験例44)、1.0(実験例45)、0.5mm(実験例46)、0.3mm(実験例47)、0.1mm(実験例48)に設定し処理した。実験例43を比較例とした。結果を表2に示す。
[実験例49〜54]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム100g及び水酸化ナトリウム10gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランス3.0mm(実験例49)、2.0mm(実験例50)、1.0(実験例51)、0.5mm(実験例52)、0.3mm(実験例53)、0.1mm(実験例54)に設定し処理した。実験例49を比較例とした。結果を表2に示す。
[実験例55〜60]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム150g及び水酸化ナトリウム10gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例55)、2.0mm(実験例56)、1.0(実験例57)、0.5mm(実験例58)、0.3mm(実験例59)、0.1mm(実験例60)に設定し処理した。実験例55を比較例とした。結果を表2に示す。
[実験例61〜66]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム200g及び水酸化ナトリウム10gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例61)、2.0mm(実験例62)、1.0(実験例63)、0.5mm(実験例64)、0.3mm(実験例65)、0.1mm(実験例66)に設定し処理した。実験例61を比較例とした。結果を表2に示す。
[実験例67〜72]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム300g及び水酸化ナトリウム10gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例67)、2.0mm(実験例68)、1.0(実験例69)、0.5mm(実験例70)、0.3mm(実験例71)、0.1mm(実験例72)に設定し処理した。実験例67を比較例とした。結果を表2に示す。
[実験例73〜78]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム500g及び水酸化ナトリウム10gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例73)、2.0mm(実験例74)、1.0(実験例75)、0.5mm(実験例76)、0.3mm(実験例77)、0.1mm(実験例78)に設定し処理した。実験例73を比較例とした。結果を表2に示す。
[実験例79〜84]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム700g及び水酸化ナトリウム10gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例79)、2.0mm(実験例80)、1.0(実験例81)、0.5mm(実験例82)、0.3mm(実験例83)、0.1mm(実験例84)に設定し処理した。実験例79を比較例とした。結果を表2に示す。
[実験例85〜90]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム50g及び水酸化ナトリウム30gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例85)、2.0mm(実験例86)、1.0(実験例87)、0.5mm(実験例88)、0.3mm(実験例89)、0.1mm(実験例90)に設定し処理した。実験例85を比較例とした。結果を表3に示す。
[実験例91〜96]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム100g及び水酸化ナトリウム30gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例91)、2.0mm(実験例92)、1.0(実験例93)、0.5mm(実験例94)、0.3mm(実験例95)、0.1mm(実験例96)に設定し処理した。実験例91を比較例とした。結果を表3に示す。
[実験例97〜102]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム150g及び水酸化ナトリウム30gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例97)、2.0mm(実験例98)、1.0(実験例99)、0.5mm(実験例100)、0.3mm(実験例101)、0.1mm(実験例102)に設定し処理した。実験例97を比較例とした。結果を表3に示す。
[実験例103〜108]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム200g及び水酸化ナトリウム30gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例103)、2.0mm(実験例104)、1.0(実験例105)、0.5mm(実験例106)、0.3mm(実験例107)、0.1mm(実験例108)に設定し処理した。実験例103を比較例とした。結果を表3に示す。
[実験例109〜114]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム300g及び水酸化ナトリウム30gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例109)、2.0mm(実験例110)、1.0(実験例111)、0.5mm(実験例112)、0.3mm(実験例113)、0.1mm(実験例114)に設定し処理した。実験例109を比較例とした。結果を表3に示す。
[実験例115〜120]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム500g及び水酸化ナトリウム30gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例115)、2.0mm(実験例116)、1.0(実験例117)、0.5mm(実験例118)、0.3mm(実験例119)、0.1mm(実験例120)に設定し処理した。実験例85を比較例とした。結果を表3に示す。
[実験例121〜126]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム700g及び水酸化ナトリウム30gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例121)、2.0mm(実験例122)、1.0(実験例123)、0.5mm(実験例124)、0.3mm(実験例125)、0.1mm(実験例126)に設定し処理した。実験例121を比較例とした。結果を表3に示す。
[実験例127〜132]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム50g及び水酸化ナトリウム50gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例127)、2.0mm(実験例128)、1.0(実験例129)、0.5mm(実験例130)、0.3mm(実験例131)、0.1mm(実験例132)に設定し処理した。実験例127を比較例とした。結果を表4に示す。
[実験例133〜138]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム100g及び水酸化ナトリウム50gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例133)、2.0mm(実験例134)、1.0(実験例135)、0.5mm(実験例136)、0.3mm(実験例137)、0.1mm(実験例138)に設定し処理した。実験例133を比較例とした。結果を表4に示す。
[実験例139〜144]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム150g及び水酸化ナトリウム50gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例139)、2.0mm(実験例140)、1.0(実験例141)、0.5mm(実験例142)、0.3mm(実験例143)、0.1mm(実験例144)に設定し処理した。実験例139を比較例とした。結果を表4に示す。
[実験例145〜150]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム200g及び水酸化ナトリウム50gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例145)、2.0mm(実験例146)、1.0(実験例147)、0.5mm(実験例148)、0.3mm(実験例149)、0.1mm(実験例150)に設定し処理した。実験例145を比較例とした。結果を表4に示す。
[実験例151〜156]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム300g及び水酸化ナトリウム50gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例151)、2.0mm(実験例152)、1.0(実験例153)、0.5mm(実験例154)、0.3mm(実験例155)、0.1mm(実験例156)に設定し処理した。実験例151を比較例とした。結果を表4に示す。
[実験例157〜162]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム500g及び水酸化ナトリウム50gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例157)、2.0mm(実験例158)、1.0(実験例159)、0.5mm(実験例160)、0.3mm(実験例161)、0.1mm(実験例162)に設定し処理した。実験例157を比較例とした。結果を表4に示す。
[実験例163〜168]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム700g及び水酸化ナトリウム50gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例163)、2.0mm(実験例164)、1.0(実験例165)、0.5mm(実験例166)、0.3mm(実験例167)、0.1mm(実験例168)に設定し処理した。実験例163を比較例とした。結果を表4に示す。
[実験例169〜174]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム50g及び水酸化ナトリウム200gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例169)、2.0mm(実験例170)、1.0(実験例171)、0.5mm(実験例172)、0.3mm(実験例173)、0.1mm(実験例174)に設定し処理した。実験例169を比較例とした。結果を表5に示す。
[実験例175〜180]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム100g及び水酸化ナトリウム200gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例175)、2.0mm(実験例176)、1.0(実験例177)、0.5mm(実験例178)、0.3mm(実験例179)、0.1mm(実験例180)に設定し処理した。実験例175を比較例とした。結果を表5に示す。
[実験例181〜186]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム150g及び水酸化ナトリウム200gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例181)、2.0mm(実験例182)、1.0(実験例183)、0.5mm(実験例184)、0.3mm(実験例185)、0.1mm(実験例186)に設定し処理した。実験例181を比較例とした。結果を表5に示す。
[実験例187〜192]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム200g及び水酸化ナトリウム200gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例187)、2.0mm(実験例188)、1.0(実験例189)、0.5mm(実験例190)、0.3mm(実験例191)、0.1mm(実験例192)に設定し処理した。実験例187を比較例とした。結果を表5に示す。
[実験例193〜198]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム300g及び水酸化ナトリウム200gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例193)、2.0mm(実験例194)、1.0(実験例195)、0.5mm(実験例196)、0.3mm(実験例197)、0.1mm(実験例198)に設定し処理した。実験例193を比較例とした。結果を表5に示す。
[実験例199〜204]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム500g及び水酸化ナトリウム200gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例199)、2.0mm(実験例200)、1.0(実験例201)、0.5mm(実験例202)、0.3mm(実験例203)、0.1mm(実験例204)に設定し処理した。実験例199を比較例とした。結果を表5に示す。
[実験例205〜210]
実験例1〜6において、97%亜硫酸ナトリウム700g及び水酸化ナトリウム200gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーディスクのクリアランスを3.0mm(実験例205)、2.0mm(実験例206)、1.0(実験例207)、0.5mm(実験例208)、0.3mm(実験例209)、0.1mm(実験例210)に設定し処理した。実験例205を比較例とした。結果を表5に示す。
Figure 2013188204
Figure 2013188204
Figure 2013188204
Figure 2013188204
Figure 2013188204
表1〜5に示すように、原料(乾燥重量)に対する亜硫酸ナトリウムの添加量が10〜70質量%、かつ原料(乾燥重量)に対する水酸化ナトリウムの添加量が0.1〜20質量%の範囲で原料を加熱処理(170℃、1時間)し、加熱処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを0.1〜2.0mmに設定し磨砕した場合、高い糖収率が得られた。レファイナーのディスクのクリアランスを3mmに設定し磨砕処理した場合では、糖収率が顕著に低下した。
[実験例211〜216]
実験例1〜6において、水酸化ナトリウム50gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを3.0mm(実験例211)、2.0mm(実験例212)、1.0(実験例213)、0.5mm(実験例214)、0.3mm(実験例215)、0.1mm(実験例216)に設定し処理した。実験例211〜216を比較例とした。結果を表6に示す。
[実験例217〜222]
実験例1〜6において、水酸化ナトリウム100gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを3.0mm(実験例217)、2.0mm(実験例218)、1.0(実験例219)、0.5mm(実験例220)、0.3mm(実験例221)、0.1mm(実験例222)に設定し処理した。実験例217〜222を比較例とした。結果を表6に示す。
[実験例223〜228]
実験例1〜6において、水酸化ナトリウム150gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを3.0mm(実験例223)、2.0mm(実験例224)、1.0(実験例225)、0.5mm(実験例226)、0.3mm(実験例227)、0.1mm(実験例228)に設定し処理した。実験例223〜228を比較例とした。結果を表6に示す。
[実験例229〜234]
実験例1〜6において、水酸化ナトリウム200gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを3.0mm(実験例229)、2.0mm(実験例230)、1.0(実験例231)、0.5mm(実験例232)、0.3mm(実験例233)、0.1mm(実験例234)に設定し処理した。実験例229〜234を比較例とした。結果を表6に示す。
[実験例235〜240]
実験例1〜6において、水酸化ナトリウム300gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを3.0mm(実験例235)、2.0mm(実験例236)、1.0(実験例237)、0.5mm(実験例238)、0.3mm(実験例239)、0.1mm(実験例240)に設定し処理した。実験例235〜240を比較例とした。結果を表6に示す。
Figure 2013188204
表6に示すように、水酸化ナトリムを添加した試験においては、原料(乾燥重量)に対して水酸化ナトリウムを15質量%添加した条件で加熱処理し、加熱処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを0.1mmに設定し磨砕を行った場合(実験例234)、最も高い糖収率が得られ、糖収率の値は48%であった。
一方、亜硫酸ナトリムにpH調整剤として水酸化ナトリウムを添加した試験においては、表3に示す原料(乾燥重量)に対する亜硫酸ナトリウムの添加量が20質量%、かつ原料(乾燥重量)に対する水酸化ナトリウムの添加量が3質量%で加熱処理し、加熱処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを0.1mmに設定し磨砕を行った場合(実験例108)、最も高い糖収率が得られ、糖収率の値は64%であった。実験例108の値は、実験例234と比較し顕著に高かった。
[実験例241〜246]
実験例1〜6において、水酸化カルシウム50gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを3.0mm(実験例241)、2.0mm(実験例242)、1.0(実験例243)、0.5mm(実験例244)、0.3mm(実験例245)、0.1mm(実験例246)に設定し処理した。実験例241〜246を比較例とした。結果を表7に示す。
[実験例247〜252]
実験例1〜6において、水酸化カルシウム100gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを3.0mm(実験例247)、2.0mm(実験例248)、1.0(実験例249)、0.5mm(実験例250)、0.3mm(実験例251)、0.1mm(実験例252)に設定し処理した。実験例247〜252を比較例とした。結果を表7に示す。
[実験例253〜258]
実験例1〜6において、水酸化カルシウム150gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを3.0mm(実験例253)、2.0mm(実験例254)、1.0(実験例255)、0.5mm(実験例256)、0.3mm(実験例257)、0.1mm(実験例258)に設定し処理した。実験例253〜258を比較例とした。結果を表7に示す。
[実験例259〜264]
実験例1〜6において、水酸化カルシウム200gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを3.0mm(実験例259)、2.0mm(実験例260)、1.0(実験例261)、0.5mm(実験例262)、0.3mm(実験例263)、0.1mm(実験例264)に設定し処理した。実験例259〜264を比較例とした。結果を表7に示す。
[実験例265〜270]
実験例1〜6において、水酸化カルシウム300gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを3.0mm(実験例265)、2.0mm(実験例266)、1.0(実験例267)、0.5mm(実験例268)、0.3mm(実験例269)、0.1mm(実験例270)に設定し処理した。実験例265〜270を比較例とした。結果を表7に示す。
Figure 2013188204
表7に示すように、水酸化カルシウムを添加した試験においては、原料(乾燥重量)に対して水酸化カルシウムを15質量%添加した条件で加熱処理し、加熱処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを0.1mmに設定し磨砕を行った場合(実験例258)、最も高い糖収率が得られ、糖収率の値は47%であった。
一方、亜硫酸ナトリムにpH調整剤として水酸化ナトリウムを添加した試験においては、表3に示す原料(乾燥重量)に対する亜硫酸ナトリウムの添加量が20質量%、かつ原料(乾燥重量)に対する水酸化ナトリウムの添加量が3質量%で加熱処理し、加熱処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを0.1mmに設定し磨砕を行った場合(実験例108)、最も高い糖収率が得られ、糖収率の値は64%であった。実験例108の値は、実験例258と比較し顕著に高かった。
[実験例271〜276]
実験例1〜6において、亜硫酸ナトリウム50gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを3.0mm(実験例271)、2.0mm(実験例272)、1.0(実験例273)、0.5mm(実験例274)、0.3mm(実験例275)、0.1mm(実験例276)に設定し処理した。実験例271〜276を比較例とした。結果を表8に示す。
[実験例277〜282]
実験例1〜6において、亜硫酸ナトリウム100gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを3.0mm(実験例277)、2.0mm(実験例278)、1.0(実験例279)、0.5mm(実験例280)、0.3mm(実験例281)、0.1mm(実験例282)に設定し処理した。実験例277〜282を比較例とした。結果を表8に示す。
[実験例283〜288]
実験例1〜6において、亜硫酸ナトリウム150gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを3.0mm(実験例283)、2.0mm(実験例284)、1.0(実験例285)、0.5mm(実験例286)、0.3mm(実験例287)、0.1mm(実験例288)に設定し処理した。実験例283〜288を比較例とした。結果を表8に示す。
[実験例289〜294]
実験例1〜6において、亜硫酸ナトリウム200gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを3.0mm(実験例289)、2.0mm(実験例290)、1.0(実験例291)、0.5mm(実験例292)、0.3mm(実験例293)、0.1mm(実験例294)に設定し処理した。実験例289〜294を比較例とした。結果を表8に示す。
[実験例295〜300]
実験例1〜6において、亜硫酸ナトリウム300gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを3.0mm(実験例295)、2.0mm(実験例296)、1.0(実験例297)、0.5mm(実験例298)、0.3mm(実験例299)、0.1mm(実験例300)に設定し処理した。実験例295〜300を比較例とした。結果を表8に示す。
[実験例301〜306]
実験例1〜6において、亜硫酸ナトリウム500gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを3.0mm(実験例301)、2.0mm(実験例302)、1.0(実験例303)、0.5mm(実験例304)、0.3mm(実験例305)、0.1mm(実験例306)に設定し処理した。実験例301〜306を比較例とした。結果を表8に示す。
[実験例307〜312]
実験例1〜6において、亜硫酸ナトリウム700gを使用した以外は全て実験例1〜6と同様の方法で試験した。前処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを3.0mm(実験例307)、2.0mm(実験例308)、1.0(実験例309)、0.5mm(実験例310)、0.3mm(実験例311)、0.1mm(実験例312)に設定し処理した。実験例307〜312を比較例とした。結果を表8に示す。
Figure 2013188204
表8に示すように、亜硫酸ナトリウムを単独で添加した試験においては、原料(乾燥重量)に対して亜硫酸ナトリウムを20質量%添加した条件で加熱処理し、加熱処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを0.1mmに設定し磨砕を行った場合(実験例294)、最も高い糖収率が得られ、糖収率の値は52%であった。
一方、亜硫酸ナトリムにpH調整剤として水酸化ナトリウムを添加した試験においては、表3に示す原料(乾燥重量)に対する亜硫酸ナトリウムの添加量が20質量%、かつ原料(乾燥重量)に対する水酸化ナトリウムの添加量が3質量%で加熱処理し、加熱処理後の原料をレファイナーのディスクのクリアランスを0.1mmに設定し磨砕を行った場合(実験例108)、最も高い糖収率が得られ、糖収率の値は64%であった。実験例108の値は、実験例294と比較し高かった。
実験例1〜210において、原料に亜硫酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを添加し、170℃で1時間加熱処理後、原料懸濁液を20℃まで冷却した。この原料懸濁液の上澄み液に含まれるフルフラール濃度をHPLC(Waters社製)を用いて定量した。カラムは、アミネックス HPX87−H(バイオラッド社製)を用い、移動層には5mM硫酸を用い、RIディテクターで検出した。
実験例271〜312において、原料に亜硫酸ナトリウムを単独で添加し、170℃で1時間加熱処理後、原料懸濁液を20℃まで冷却した。この原料懸濁液の上澄み液に含まれるフルフラール濃度を前記と同様の方法で測定した。実験例271〜312を比較例とした。
結果を表9に示す。
Figure 2013188204
表9に示すように、原料(乾燥重量)に対する亜硫酸ナトリウムの添加量が10〜70質量%、かつ原料(乾燥重量)に対する水酸化ナトリウムの添加量が0.1〜20質量%の範囲で原料を加熱処理(170℃、1時間)した場合(実験例1〜210)では、亜硫酸ナトリウムを単独で添加した場合(実験例271〜312)と比較しフルフラールの生成量が抑制された。
以上の結果から、リグノセルロースからエタノール製造工程において、亜硫酸ナトリウムの添加量が10〜70質量%、かつ原料(乾燥重量)に対する水酸化ナトリウムの添加量が0.1〜20質量%の範囲で原料を加熱処理(170℃、1時間)し、この原料を糖化の原料として用いることにより、原料に含まれるフルフラール(発酵阻害物質)の含有量が極めて低いためエタノール発酵は効率的に進むことが示唆される。
[実験例313]
チップ状のEucalyptus globulus(ユーカリ)の林地残材(樹皮70%、枝葉30%)を20mmの丸孔スクリーンを取り付けた一軸破砕機(西邦機工社製、SC−15)で破砕し原料として用いた。
上記原料1kg(絶乾重量)に対して97%亜硫酸ナトリウム200g及び水酸化ナトリウム10gを添加後、水を添加し水溶液の容量を10Lに調製した。前記原料懸濁液を混合後、120℃で1時間加熱した。加熱処理後の原料懸濁液をレファイナー(熊谷理器工業製、KRK高濃度ディスクレファイナー)でディスク(プレート:図1参照)のクリアランスを0.5mmに設定し磨砕した。次に60メッシュ(250um)のスクリーンを用いて磨砕処理後の原料源濁液を固液分離(脱水)することにより溶液の電気伝導度が30uS/cmになるまで水で洗浄した。固液分離後の固形分を原料として実験例1と同様の方法で糖化試験を実施し、糖収率を算出した。また、パルプ収率、及び加熱処理後の原料懸濁液に含まれるフルフラール濃度を上記と同様の方法で算出した。結果を表10に示す。
[実験例314]
実験例313において、加熱処理を140℃で1時間の条件で行った以外の操作は全て実験例313と同様の方法で試験した。結果を表10に示す。
[実験例315]
実験例313において、加熱処理を170℃で1時間の条件で行った以外の操作は全て実験例313と同様の方法で試験した。結果を表10に示す。
[実験例316]
実験例313において、加熱処理を200℃で1時間の条件で行った以外の操作は全て実験例313と同様の方法で試験した。結果を表10に示す。
Figure 2013188204
表10に示すように、Eucalyptus globulusの林地残材を原料として用いた試験において、原料(乾燥重量)に対する亜硫酸ナトリウムの添加量が20質量%、かつ水酸化ナトリウムの添加量が1質量%で加熱処理した場合(実験例313〜316)では、120〜200℃の範囲で高い糖収率が得られることが確認された。また、加熱処理後の懸濁液に含まれるフルフラール濃度も低いレベルであった。
[実験例317]
実験例313において、チップ状のEucalyptus pelita(ユーカリ)の林地残材(樹皮70%、枝葉30%)を原料として用いた以外は全て実験例313と同様の方法で試験した。結果を表11に示す。
[実験例318]
実験例317において、加熱処理を140℃で1時間の条件で行った以外の操作は全て実験例317と同様の方法で試験した。結果を表11に示す。
[実験例319]
実験例317において、加熱処理を170℃で1時間の条件で行った以外の操作は全て実験例317と同様の方法で試験した。結果を表11に示す。
[実験例320]
実験例317において、加熱処理を200℃で1時間の条件で行った以外の操作は全て実験例317と同様の方法で試験した。結果を表11に示す。
Figure 2013188204
表11に示すように、Eucalyptus pelitaの林地残材を原料として用いた試験において、原料(乾燥重量)に対する亜硫酸ナトリウムの添加量が20質量%、かつ水酸化ナトリウムの添加量が1質量%で加熱処理した場合(実験例317〜320)では、120〜200℃の範囲で高い糖収率が得られることが確認された。また、加熱処理後の懸濁液に含まれるフルフラール濃度も低いレベルであった。
[実験例321]
実験例313において、チップ状のAcacia mangium(アカシア)の林地残材(樹皮70%、枝葉30%)を原料として用いた以外は全て実験例313と同様の方法で試験した。結果を表12に示す。
[実験例322]
実験例321において、加熱処理を140℃で1時間の条件で行った以外の操作は全て実験例321と同様の方法で試験した。結果を表12に示す。
[実験例323]
実験例321において、加熱処理を170℃で1時間の条件で行った以外の操作は全て実験例321と同様の方法で試験した。結果を表12に示す。
[実験例324]
実験例321において、加熱処理を200℃で1時間の条件で行った以外の操作は全て実験例321と同様の方法で試験した。結果を表12に示す。
Figure 2013188204
表12に示すように、Acacia mangiumの林地残材を原料として用いた試験において、原料(乾燥重量)に対する亜硫酸ナトリウムの添加量が20質量%、かつ水酸化ナトリウムの添加量が1質量%で加熱処理した場合(実験例321〜324)では、120〜200℃の範囲で高い糖収率が得られることが確認された。また、加熱処理後の懸濁液に含まれるフルフラール濃度も低いレベルであった。
[実験例325]
実験例313において、チップ状のAcacia auriculiforimis(アカシア)の林地残材(樹皮70%、枝葉30%)を原料として用いた以外は全て実験例313と同様の方法で試験した。結果を表13に示す。
[実験例326]
実験例313において、加熱処理を140℃で1時間の条件で行った以外の操作は全て実験例313と同様の方法で試験した。結果を表13に示す。
[実験例327]
実験例313において、加熱処理を170℃で1時間の条件で行った以外の操作は全て実験例313と同様の方法で試験した。結果を表13に示す。
[実験例328]
実験例313において、加熱処理を200℃で1時間の条件で行った以外の操作は全て実験例313と同様の方法で試験した。結果を表13に示す。
Figure 2013188204
表13に示すように、Acacia auriculiforimisの林地残材を原料として用いた試験において、原料(乾燥重量)に対する亜硫酸ナトリウムの添加量が20質量%、かつ水酸化ナトリウムの添加量が1質量%で加熱処理した場合(実験例325〜328)では、120〜200℃の範囲で高い糖収率が得られることが確認された。また、加熱処理後の懸濁液に含まれるフルフラール濃度も低いレベルであった。
[実験例329]
実験例313において、チップ状のアカシアハイブリッド(Acacia mangiumとAcacia auriculiforimisの交雑種)の林地残材(樹皮70%、枝葉30%)を原料として用いた以外は全て実験例313と同様の方法で試験した。結果を表14に示す。
[実験例330]
実験例313において、加熱処理を140℃で1時間の条件で行った以外の操作は全て実験例313と同様の方法で試験した。結果を表14に示す。
[実験例331]
実験例313において、加熱処理を170℃で1時間の条件で行った以外の操作は全て実験例313と同様の方法で試験した。結果を表14に示す。
[実験例332]
実験例313において、加熱処理を200℃で1時間の条件で行った以外の操作は全て実験例313と同様の方法で試験した。結果を表14に示す。
Figure 2013188204
表14に示すように、アカシアハイブリッドの林地残材を原料として用いた試験において、原料(乾燥重量)に対する亜硫酸ナトリウムの添加量が20質量%、かつ水酸化ナトリウムの添加量が1質量%で加熱処理した場合(実験例329〜332)では、120〜200℃の範囲で高い糖収率が得られることが確認された。また、加熱処理後の懸濁液に含まれるフルフラール濃度も低いレベルであった。
[実験例333]
実験例313において、チップ状のSalix schwerinii(エゾノキヌヤナギ)の林地残材(樹皮70%、枝葉30%)を原料として用いた以外は全て実験例313と同様の方法で試験した。結果を表15に示す。
[実験例334]
実験例313において、加熱処理を140℃で1時間の条件で行った以外の操作は全て実験例313と同様の方法で試験した。結果を表15に示す。
[実験例335]
実験例313において、加熱処理を170℃で1時間の条件で行った以外の操作は全て実験例313と同様の方法で試験した。結果を表15に示す。
[実験例336]
実験例313において、加熱処理を200℃で1時間の条件で行った以外の操作は全て実験例313と同様の方法で試験した。結果を表15に示す。
Figure 2013188204
表15に示すように、Salix schweriniiの林地残材を原料として用いた試験において、原料(乾燥重量)に対する亜硫酸ナトリウムの添加量が20質量%、かつ水酸化ナトリウムの添加量が1質量%で加熱処理した場合(実験例333〜336)では、120〜200℃の範囲で高い糖収率が得られることが確認された。また、加熱処理後の懸濁液に含まれるフルフラール濃度も低いレベルであった。
本発明により、リグノセルロースから効率的に糖化液が製造でき、得られた糖化液中に含まれる発酵阻害物質であるフルフラールの含量が低減されているため、前記糖化液を用いることによりエタノール生産効率が向上する。

Claims (5)

  1. リグノセルロース原料(乾燥重量)に対して10〜70質量%の亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤として0.1〜20質量%のアルカリを添加し、前記亜硫酸ナトリウム及びpH調整剤を添加した原料懸濁液を加熱処理し、前記加熱処理した原料懸濁液を糖化処理することを特徴とするリグノセルロース系原料の糖化処理方法。
  2. 前記糖化処理が酵素による糖化処理であることを特徴とする請求項1に記載のリグノセルロース系原料の糖化処理方法。
  3. 前記加熱処理した原料懸濁液をレファイナーで磨砕処理することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリグノセルロース系原料の糖化処理方法。
  4. 前記レファイナーのディスクのクリアランスが0.1〜2.0mmで磨砕処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料の糖化処理方法。
  5. 前記リグノセルロース原料が、ユーカリ属、アカシア属、ヤナギ属に属する植物から選ばれる少なくとも1種以上の植物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のリグノセルロース系原料の糖化処理方法。
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