JP2013184160A - 有機凝結剤を用いる廃水処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記式(1)
CH2=CR1−CO−X−Q−N+R2R3R4・Z− (1)
のカチオン性モノマーを5〜40モル%と、下記式(2)
R5CH=CR6−A−B1 (2)
のアニオン性モノマーを0〜10モル%と、その他のモノマーを60〜95モル%とを含有し、25℃で測定した場合の0.5%溶液粘度を0.5%塩粘度で除した値が5〜50であって、0.5%塩粘度が5〜30mPa・sである水溶性重合体からなる有機凝結剤を廃水に添加し、更に高分子凝集剤を添加する廃水処理方法。
【選択図】なし
Description
PAC(ポリ塩化アルミニウム)や硫酸バンドなどの無機凝結剤の凝結作用は、主にそのカチオン性に基づく荷電中和作用によるものであることから、従来の有機凝結剤は、高カチオン性で比較的低分子量の水溶性高分子について研究開発が行われてきた。しかしながら、本発明者らが種々の構造及び物性を持った水溶性高分子について有機凝結剤としての性能を調べたところ、特定の構造をした低カチオン性の水溶性高分子が有機凝結剤として高い性能を示すことを見出した。これは、水溶性高分子の場合、無機凝結剤の主たる凝結作用である荷電中和作用だけでなく、高分子物質であることにより生じる、懸濁物に対する吸着や懸濁物間の架橋作用も寄与するためと考えられる。
上記の所定の組成と物性を有する水溶性重合体は、添加対象に塩類が溶解する場合にも分子の広がりが良好で、廃水中で懸濁物と効果的に架橋し、懸濁物の凝集に寄与する。
本発明者らは、上記の水溶性重合体からなる有機凝結剤に関する知見に基づき、無機凝結剤の添加量を抑制し、かつ清澄性の高い処理水を得ることができる廃水処理方法を完成するに至った。
CH2=CR1−CO−X−Q−N+R2R3R4・Z− (1)
[式(1)中、XはOまたはNH;Qは炭素数1〜4のアルキレン基または炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基;R1はHまたはメチル基;R2は炭素数1〜3のアルキル基、ベンジル基、R3、R4はそれぞれ独立にH、炭素数1〜3のアルキル基、Z−は対アニオンを表す。]
で表されるカチオン性モノマーに由来する構成単位を5〜40モル%と、下記一般式(2)
R5CH=CR6−A−B1 (2)
[式(2)中、R5は水素、メチル基、またはCOOB2、R6は水素、メチル基、またはCH2COOB2、AはCOO、SO3、C6H5SO3、CONHC(CH3)2CH2SO3、C6H5COOでありB1、B2は水素または陽イオンをそれぞれ表す。]
で表されるアニオン性モノマーに由来する構成単位を0〜10モル%と、その他のモノマーに由来する構成単位を60〜95モル%とを含有し、25℃で測定される場合の0.5%溶液粘度を0.5%塩粘度で除した値が5〜50であり、25℃で測定される場合の0.5%塩粘度が5〜30mPa・sである水溶性重合体からなる有機凝結剤を廃水に添加混合して1次凝集フロックを形成する1次凝集工程と、前記1次凝集フロックを形成した廃水に、さらに高分子凝集剤を添加、混合して2次凝集フロックを形成する2次凝集工程と、を含む廃水処理方法である。上記水溶性重合体は、両性またはカチオン性水溶性重合体であることが好ましい。本発明は、1次凝集工程でさらに無機凝結剤を添加混合させることが好ましい。上記カチオン性モノマーは、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの塩化メチル4級化物であることが好ましい。本発明は製紙廃水の処理方法として好ましい。
本発明の処理対象となる廃水には産業廃水、無機物質懸濁廃水等が含まれる。廃水については後に詳説する。
本発明の1次凝集工程では、廃水に、後に詳説する所定の有機凝結剤を添加混合する。
廃水に所定の有機凝結剤を添加し、通常の凝集沈殿法と同様にして撹拌することにより、廃水中のSS等が凝集して1次凝集フロックが形成される。
本発明で用いられる有機凝結剤は、上記式(1)で表されるカチオン性モノマーに由来する構成単位を5〜40モル%と、上記式(2)で表されるアニオン性モノマーに由来する構成単位を0〜10モル%と、その他のモノマーに由来する構成単位を60〜95モル%とを含有する水溶性重合体からなる。
上記の水溶性重合体は、25℃で測定される場合の0.5%溶液粘度を0.5%塩粘度で除した値が5〜50であり、7〜40であることがより好ましく、8〜35であることがさらに好ましい。「0.5%溶液粘度を0.5%塩粘度で除した値」が50を超えると、廃水の処理性が悪化し、微小SSをとりきれず、処理水の清澄性が悪化する。
水溶性重合体の分子形状は、水中の塩濃度に影響をうけることが知られている。塩類が溶解した水溶液に水溶性重合体を添加する場合、分子の広がりは純水中に比べて大きく減少する。
廃水には、様々な塩類を含むものが種々存在する。従って塩類を含む廃液に、通常の水溶性重合体を添加する場合、分子の広がりが小さくなる。
本発明で使用する有機凝結剤は、0.5%溶液粘度や0.5%塩粘度に関して上記所定の値を示し、廃水中で分子の広がりが減少しがたい水溶性高分子からなる。その結果、本発明で用いる有機凝結剤は、廃液中の有機物や懸濁物、無機物等の物質に対する電荷中和や吸着・架橋反応が廃水中で十分に行われ、凝集性能が良好である。
本発明で用いる両性水溶性重合体は、両性水溶性重合体の全構成単位に対し、上記式(1)で表されるカチオン性モノマーに由来する構成単位を5〜40モル%含有し、より好ましくは、20〜40モル%含有する。さらに上記式(2)で表されるアニオン性モノマーに由来する構成単位を、1〜10モル%含有し、より好ましくは5〜10モル%含有する。また、更にその他のモノマーに由来する構成単位を60〜94モル%含有する。
カチオン性モノマーの含有量が5モル%より少ない場合は、十分な荷電中和性能が備わらず効果的に1次凝集フロックを形成することができない。
ノニオン性モノマーとしては、ラジカル重合性を有するものであれば種々の化合物を使用でき、具体的には、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド及びジエチル(メタ)アクリルアミド等のジアルキル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。これらの中でも、(メタ)アクリルアミドが好ましい。
疎水性モノマーとしては、ラジカル重合性を有するものであれば種々の化合物を使用でき、具体的には、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート及びビニルアセテート等を挙げることができる。
これら他のモノマーは単独でも2種類以上を使用してもよい。
いずれの重合方法を用いるかは、有機凝結剤に必要とされる物性により適宜選択される。架橋度が高い場合はエマルション重合、低い場合は水溶液ゲル重合を選択することが好ましい。
水溶液ゲル重合の場合、重合開始温度は、0〜35℃が好ましい。重合時間は、0.1〜3時間が好ましい。重合反応は酸素の存在しない不活性雰囲気で行うことが好ましい。重合反応終了後には、必要に応じて適宜熱処理や乾燥を行う。
本発明で有機凝結剤として用いるカチオン性水溶性重合体は、少なくとも上記式(1)で表されるカチオン性モノマーに由来する構成単位を、5〜40モル%含有し、好ましくは10〜30モル%、より好ましくは15〜30モル%含有する。カチオン性水溶性重合体には、その他のモノマーに由来する構成単位を含んでも良い。その他のモノマーの構成単位は、60〜95モル%であり、好ましくは70〜90モル%であり、より好ましくは70〜85モル%である。
重合体の構成単位となる上記式(1)で表されるカチオン性モノマーやその他のモノマーは、上記の両性水溶性重合体の製造に用いるカチオン性モノマーおよびその他のモノマーと同じものを用いることができる。
廃水に添加される有機凝結剤の態様は、溶液、粉末、エマルション等、特に限定されないが水溶液であることが好ましい。
本発明の有機凝結剤は本発明の効果を阻害しない範囲で、消泡剤、酸化防止剤、pH調整剤等の添加剤を加えてもよい。
本発明は、1次凝集工程において凝結作用を向上させるために、本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに公知の無機凝結剤や、上記に説明した所定の有機凝結剤と異なる他の有機凝結剤を併用することができる。
公知の無機凝結剤の例としては、硫酸バンドやポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化アルミ、塩化第2鉄、硫酸第1鉄、ポリ鉄、ポリシリカ鉄等を挙げることができる。これらの無機凝結剤は単独でも2種類以上用いてもよい。
廃水に添加される無機凝結剤の態様は、溶液、粉末等、特に限定されないが水溶液であることが好ましい。
本発明の処理対象となる廃水には、産業廃水、無機物質懸濁廃水等が含まれる。
具体的には、自動車業、製鉄業等の工業廃水、クリーニング業廃水、金属加工業の廃液が挙げられる。金属加工業の廃液には、例えば、ダイキャスト鋳造、熱間鍛造で用いられる水溶性または水分散性の処理液や潤滑剤、切削油等を含む廃液が挙げられる。
他の例としては、半導体製造や液晶パネル製造における現像工程、剥離工程、エッチング工程、洗浄工程等で発生する電子産業廃水、塗装・染色工場で発生する有機性廃水、化学工場廃水、下水処理場等における下水の汚濁廃水がある。他に、食肉加工工場廃水、食品加工工場廃水がある。食品加工工場廃水には、有機質、油分が多く含まれる。
他の例として、動物や魚の血液等を含む畜産系処理水や、し尿及び有機性産業汚濁廃水がある。
さらに他の例として、地盤改良、トンネル掘削、ビル建設現場等で発生する工事・建設汚濁廃水、砂利採取、砂利砕石、河川、港湾等の工事現場で発生する浚渫泥漿等が挙げられる。一般的にこれらの廃水には無機懸濁物が多量に含まれる。
2次凝集工程では、1次凝集フロックが形成された廃水に、さらに高分子凝集剤を添加混合する。1次凝集フロックがさらに粗大化した2次凝集フロックが形成される。
本工程では、公知のアニオン性またはノニオン性高分子凝集剤を用いることができる。アニオン性高分子凝集剤としては、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムの共重合物、アクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合物、アクリルアミドとアクリル酸ナトリウムと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合物、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミドの部分加水分解物等を挙げることができる。ノニオン性高分子凝集剤としてはポリアクリルアミド、アクリルアミドと他のノニオン性モノマーの共重合物等を挙げることができる。
高分子凝集剤の添加量は、1次凝集工程後の廃水の性状により調整される。添加量は1次凝集工程で処理された廃水中に廃水の量に対して固形分換算で0.05〜20mg/lが好ましく、より好ましくは0.1〜10mg/lである。
2次凝集工程で高分子凝集剤が添加混合されることにより、廃水内に粗大化した2次凝集フロックが形成される。
2次凝集工程で形成される2次凝集フロックを固液分離することにより、清澄な処理水を得ることができる。
固液分離の方法は従来公知の方法で行うことができる。例えば、沈降分離、加圧浮上、濾過などにより固液分離でき、好ましくは沈降分離が行われる。2次凝集フロックやその他の懸濁物を固液分離することにより、清澄性の良好な処理水を得ることができる。
本発明の廃水処理方法は、適宜pH調整剤を廃水に添加しながら行ってもよい。
(有機凝結剤)
表1に示す組成のモノマーを重合して得られる水溶性重合体A1〜A11およぴB1〜B4の0.1質量%水溶液を用いた。表1における略号DMC、DAB、DAC、AcAおよびAMDは以下を意味する。
DMC:ジメチルアミノエチルメタクリレートの塩化メチル4級化物
DAB:ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化ベンジル4級化物
DAC:ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル4級化物
AcA:アクリル酸
AMD:アクリルアミド
有機凝結剤A5は、以下に記載する工程により合成した。
1000ml四つ口セパラブルフラスコに50%アクリルアミド水溶液284.4g、79%ジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル4級化物水溶液86.5g、連鎖移動剤としてメタリルスルホン酸ナトリウム0.42g(モノマーに対し0.2質量%)および蒸留水を投入し、濃硫酸でpHを4に調整した後、開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩を0.4g含む水溶液20gを添加し、全量400gのモノマー水溶液になるように調製した。さらに、この単量体水溶液をHLB4.2のノニオン性界面活性剤11.2gを溶解したパラフィン油160gに加え、ホモジナイザーにて高速攪拌して乳化した。フラスコに窒素ガス吹き込み管、還流冷却器、温度計を取り付け、攪拌機を通常の化学反応用の攪拌機に代え、攪拌しながらこの乳化液中に30分間窒素ガスを通し脱気した後、50℃に昇温して、窒素ガス雰囲気下で4時間重合を行った。重合終了後、HLBが13.0のノニオン性界面活性剤16.0gを加えてエマルションの有機凝結剤A5を得た。得られた有機凝結剤A5のサンプルをとり、B型粘度計により0.5%塩粘度を測定した。0.5%塩粘度は11.6mPa・sであった。
ステンレス製反応容器に、79%ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級化物水溶液88.3g、50%アクリルアミド水溶液460.6gを入れ、全重量が1kg、全単量体濃度が30質量%になるように蒸留水を加えて、その後塩酸でpH=4に調整した。続いて、窒素ガスを60分間溶液に吹き込みながら溶液温度を温度20℃に調節し、これにより重合用単量体混合物水溶液を得た。さらに、全単量体重量を基準として、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩を2300ppm、重亜硫酸ナトリウムを110ppm加えて、反応容器の上方から、13Wブラックライトを用いて0.4mW/cm2の照射強度で60分間照射して重合を行い、含水ゲル状の水溶性共重合体を得た。含水ゲル状の水溶性共重合体を容器から取り出し細断し、これを温度80℃で5時間乾燥後粉砕して粉末状の有機凝結剤A7を得た。得られた有機凝結剤A7のサンプルをとり、B型粘度計により0.5%塩粘度を測定した。0.5%塩粘度は12.6mPa・sであった。
その他の有機凝結剤については、製造例1又は2と同様にして反応条件を適宜調整することにより得た。
硫酸バンドの0.8質量%水溶液、又は塩化アルミの8質量%水溶液を用いた。
ポリアクリルアミド系凝集剤A(AcNa/AMD=12/88(mol/mol)、0.1%塩粘度=6.4)、またはポリアクリルアミド系凝集剤B(AcNa/AMD=20/88(mol/mol)、0.1%塩粘度=6.8)を用いた。AcNaは、アクリル酸ナトリウムの略号である。AMDは、アクリルアミドの略号である。
異なる製紙工場から排出される総合廃水(廃水A、廃水B)を処理対象とした。
廃水A、廃水Bの性状は以下のとおりである。
廃水A:pH=6.70、SS=700mg/l、TS=2000mg/l
廃水B:pH=7.02、SS=6400mg/l、TS=10100mg/l
ここで、SSは懸濁物質の略号であり、TSは全蒸発残留物の略号である。それぞれJIS K0102工場排水試験法に従い測定した。
表1の水溶性重合体A1〜11およびB1〜4のサンプルを、500mlトールビーカー中でイオン交換水により調整した4質量%の塩化ナトリウム水溶液500mlに、固形分換算で0.5質量%になるように加えた。サンプルが完全に溶解するまで25±1℃の恒温水槽中でスクリュー翼(約6cmφ)を用いて200rpmで撹拌した。このサンプル溶液の粘度を、M1ローターを付けた東機産業社製TV−10M型B型粘度計を用いて60rpm、25±1℃で3分間回転後の値を読み取り、これを0.5%塩粘度とした。粘度がM1ローターの測定上限を超えた場合は、M2ローターを使用した。
表1の水溶性重合体A1〜11およびB1〜4のサンプルをイオン交換水500mlに、固形分換算で0.5質量%になるように加え、上記の0.5%塩粘度の測定溶液と同様の方法で溶解させて、0.5質量%の溶液を調整した。このサンプル溶液の粘度を、M1ローターを付けた東機産業社製TV−10M型B型粘度計を用いて30rpm、25±1℃で3分間回転後の値を読み取り、これを0.5%溶液粘度とした。粘度がM1ローターの測定上限を超えた場合は、M2ローターを使用した。
2次凝集工程後、撹拌停止後に、2次凝集フロックが500mlビーカーの底に沈降するまでの時間を測定し、沈降時間とした。
JIS K0102工場排水試験法に従い、透視度計を用いて目視で測定した。
500mlのビーカーに廃水Aを500ml採取し、1N硫酸でpHを6.1に調整した。この廃水に無機凝結剤として硫酸バンドの0.8質量%水溶液を表2に示す添加量で添加し、120rpm×30秒で撹拌した。続いて、表1に示す有機凝結剤A1〜11およびB1〜4の0.1%水溶液を表2に示す添加量でそれぞれ添加し、120rpm×60秒撹拌した。その後、さらに高分子凝集剤Aを1.0mg/l添加して120rpm×60秒撹拌し、続けて60rpm×60秒撹拌して凝集フロックを形成させ、撹拌停止後にフロックが500mlビーカーの底に沈降するまでの沈降時間を測定した。1分間静置後、フロック径と、透視度を測定した。各実施例および比較例で形成されたフロックのフロック径、沈降時間および透視度を表2に示す。
比較例2は、有機凝結剤を添加しなかった。結果は実施例1〜11および比較例1に比べ凝集性能が低下し、廃水の透視度も劣った。
比較例3は、有機凝結剤中のカチオン性モノマーの割合が本発明の規定範囲を上回った。結果は、凝集性能、清澄性が共に実施例1〜11と比較して劣った。
比較例4は、用いた水溶性重合体の、0.5%塩粘度が本発明の規定範囲の上限を超えた。結果は、凝集性能、清澄性が共に実施例1〜11と比較して劣った。
比較例5は、用いた水溶性重合体の、0.5%溶液粘度を0.5%塩粘度で除した値が本発明の規定範囲の上限を超えた。結果は、処理水の清澄性が実施例1〜11と比較して劣った。
比較例6は、用いた水溶性重合体の、0.5%溶液粘度を0.5%塩粘度で除した値が本発明の規定範囲の下限を下回った。結果は、処理水の清澄性が実施例1〜11と比較して劣った。
500mlのビーカーに廃水Bを500ml採取し、無機凝結剤として塩化アルミの8質量%水溶液を表3に示す添加量で添加し、120rpm×60秒で撹拌した。続いて、表1に示す有機凝結剤A1〜11およびB1〜4の0.1%水溶液を表3に示す添加量でそれぞれ添加し、120rpm×60秒撹拌した。その後、さらに高分子凝集剤Bを3.0mg/l添加して120rpm×60秒撹拌し、続いて60rpm×60秒撹拌して凝集フロックを形成させ、撹拌停止後にフロックが500mlビーカーの底に沈降するまでの沈降時間を測定した。1分間静置後、フロック径と、透視度を測定した。各実施例および比較例で形成されたフロックのフロック径、沈降時間および透視度を表3に示す。
比較例8は、有機凝結剤を添加しなかった。結果は実施例12〜22および比較例7に比べ凝集性能が低下し、廃水の透視度も劣った。
比較例9は、有機凝結剤中のカチオン性モノマーの割合が本発明の規定範囲を上回った。結果は、凝集性能、清澄性が共に実施例12〜22と比較して劣った。
比較例10は、用いた水溶性重合体の、0.5%塩粘度が本発明の規定範囲の上限を超えた。結果は、凝集性能、清澄性が共に実施例12〜22と比較して劣った。
比較例11は、用いた水溶性重合体の、0.5%溶液粘度を0.5%塩粘度で除した値が本発明の規定範囲の上限を超えた。結果は、処理水の清澄性が実施例12〜22と比較して劣った。
比較例12は、用いた水溶性重合体の、0.5%溶液粘度を0.5%塩粘度で除した値が本発明の規定範囲の下限を下回った。結果は、処理水の清澄性が実施例12〜22と比較して劣った。
すなわち、本発明は、無機凝結剤の添加量を従来に比べ大幅に低減しつつ良好な凝集性能を発揮する。これにより、清澄性の高い処理水を得る廃水処理方法を実現している。
Claims (4)
- 下記一般式(1)
CH2 =CR1 −CO−X−Q−N+R2R3R4・Z− (1)
[式(1)中、XはOまたはNH;Qは炭素数1〜4のアルキレン基または炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基;R1はHまたはメチル基;R2は炭素数1〜3のアルキル基、ベンジル基、R3、R4はそれぞれ独立にH、炭素数1〜3のアルキル基、Z−は対アニオンを表す。]
で表されるカチオン性モノマーに由来する構成単位を5〜40モル%と、下記一般式(2)
R5CH=CR6−A−B1 (2)
[式(2)中、R5は水素、メチル基、またはCOOB2、R6は水素、メチル基またはCH2COOB2、AはCOO、SO3、C6H5SO3、CONHC(CH3)2CH2SO3、C6H5COOでありB1、B2は水素または陽イオンをそれぞれ表す。]
で表されるアニオン性モノマーに由来する構成単位を0〜10モル%と、その他のモノマーに由来する構成単位を60〜95モル%とを含有し、25℃で測定される場合の0.5%溶液粘度を0.5%塩粘度で除した値が5〜50であり、25℃で測定される場合の0.5%塩粘度が5〜30mPa・sである水溶性重合体からなる有機凝結剤を廃水に添加混合して1次凝集フロックを形成する1次凝集工程と、
前記1次凝集フロックを形成した廃水に、さらに高分子凝集剤を添加、混合して2次凝集フロックを形成する2次凝集工程と、を含む廃水処理方法。 - 1次凝集工程において、さらに無機凝結剤を添加混合する請求項1に記載の廃水の処理方法。
- 前記カチオン性モノマーが、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの塩化メチル4級化物である請求項1又は2のいずれかに記載の廃水処理方法。
- 廃水が製紙廃水である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の廃水処理方法。
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