JP6550782B2 - 廃水の凝集処理剤および廃水の凝集処理方法 - Google Patents

廃水の凝集処理剤および廃水の凝集処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、廃水の凝集処理剤に関し、詳しくは、薬剤使用量が少なくても、良好な凝集フロックを形成でき、汚泥の発生量が低減され、かつ色度を大幅に低減し、良好な水質の処理水が得られる廃水の凝集処理剤に関する。
飲料の抽出工程や食品の加工工程で発生する着色廃水、染色廃水、ダストコントロール用品の洗浄廃水、洗濯廃水、その他、様々な工場施設より発生する着色廃水の凝集処理は、一般的に、無機凝結剤を添加後、さらにアニオン性高分子凝集剤を添加し、凝集フロックを形成させて凝集沈殿または加圧浮上させる。そして、浄化された処理水は、河川、海域などに放流されるのが一般的である。
従来より、河川、海域への放流水質の規制強化への対応策として、廃水処理の装置や方法の改良により処理水の水質改善が図られてきた。しかし、着色廃水は、BOD、SSなどが規制値を満足していても、色度が高い場合が多く、地域住民に著しい汚染感を与えてしまう場合が多い。そのため、色度の規制が設定される場合があり、着色廃水に対する効率的な脱色方法が強く望まれている。
一般的に、処理水の水質は、凝集分離で用いる硫酸アルミニウム(以下「バンド」と記す)、ポリ塩化アルミニウム(以下「PAC」と記す)、ポリ硫酸第二鉄(以下「ポリ鉄」と記す)、塩化第二鉄などの無機凝結剤の添加量を増加させると向上する。しかし、色度については、ある程度は無機凝結剤の添加で除去できるが、満足できるレベルまで脱色することは困難な場合が多い。さらに、多様な着色の原因物質や廃水中に共存する種々の物質が凝集効果に悪影響を与えることから、安定した脱色性能を得るために無機凝結剤の必要添加量が増加する。その結果、汚泥発生量が増加して総合的な処理コストが高くなる場合が多い。
処理水の脱色性の向上を図る目的で水溶性カチオン重合体の一種である有機凝結剤を処理水に適用する処理方法が提案されている。有機凝結剤は、分子内に多数のカチオン基を有する高分子電解質であるため、無機凝結剤と同様に被処理水中の懸濁物質の荷電を中和する目的で用いられる。有機凝結剤は、無機凝結剤よりもカチオン密度が高く、分子量も無機凝結剤よりも高いため、その凝結作用および凝集作用は無機凝結剤より遥かに大きいという特徴を持っている。また、有機凝結剤は、懸濁物質を荷電中和するだけでなく、負に帯電しているリグニンスルホン酸、フミン酸などの溶解物質と反応して不溶性塩を形成する作用があり、色度およびCODの減少効果も期待される。
現在用いられている有機凝結剤の代表的なものとしては、アルキルアミン・エピクロルヒドリン縮合物、アルキレンジクロライドとポリアルキレンポリアミンの縮合物、ジシアンジアミド・ホルマリン縮合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドポリマーなどの低分子量かつ強カチオン密度の水溶性ポリマーが挙げられる。これらの有機凝結剤を用いた処方では、ある程度の脱色効果は得られるものの、種々の着色廃水に対し満足のいく脱色効果は得られない場合が多い。
凝集処理による廃水の水質浄化は、負に帯電した溶解物質(廃水中の懸濁物質、コロイド状物質、BODおよびCOD成分など)と無機凝結剤および有機凝結剤とが反応し荷電中和されて不溶化した後、凝集分離されることにより達成される。
懸濁物質やコロイド状物質は粒子径が比較的大きく、水に不溶性な粒子なので荷電中和されれば凝結して微細フロックを形成する。しかし、水への溶解性が高い染料などの着色物質は、無機凝結剤および有機凝結剤を添加して、荷電中和されても、一部は親水性を保ったまま、水に溶解した状態を維持するため、不溶化せず微細フロックを形成しない場合がある。そのため、高分子凝集剤を添加しても凝集フロックが形成されず、着色物質が水中に溶存し、処理水の脱色効果が得られない場合が多い。
アミジン構成単位を含むアミジン系カチオン性ポリマー(以下「アミジンポリマー」と記す)はカチオン密度が高く、荷電中和や架橋吸着の作用において優れた性能を有することから、アミジンポリマーを添加することで、染料などの着色物質が不溶化し、その結果、良好な脱色効果が得られることが知られている。これは、アミジンポリマーの特有の効果であり、負に帯電した着色物質を荷電中和すると同時に、アミジンポリマーが着色物質以外のイオン性成分と反応してイオンコンプレックスを形成し、着色物質を巻き込みながら不溶化するため、着色物質が良好に不溶化されて脱色効果が改善する。
アミジンポリマーを用いた着色廃水の凝集処理方法としては、例えば、着色廃水に無機凝結剤とアミジンポリマーを添加した後、アニオン性高分子凝集剤を用いて凝集分離する方法(特許文献1)、着色廃水に不溶性吸着剤として、ゼオライトや活性炭粉末などの無機系固形粉末を添加した後、アミジンポリマーおよびジアリルアミン系カチオン性ポリマーなどを添加し凝集分離する方法(特許文献2)が提案されている。これらの方法は、良好な脱色効果が得られるものの、何れの方法も多量の無機系添加剤を併用するため、凝集分離後の汚泥の発生量が多くなり、処理コストが高くなる。
無機系の添加剤を使用せず、有機凝結剤や有機高分子凝集剤を用いて着色廃水を凝集処理する処理方法としては、例えば、浮遊固形物(以下「SS」と記す)濃度が500mg/L以上である着色廃水にアミジンポリマーとジアリルアミン系カチオン性ポリマーなどを添加し凝集分離する方法(特許文献3)、食品加工着色廃水にジシアンジアミド・ホルマリン縮合物を添加した後、余剰汚泥を混合し、さらにアミジンポリマーを含む高分子凝集剤を添加し凝集分離する方法(特許文献4)が提案されている。
一般的に、着色廃水に高分子凝集剤を添加して凝集処理を行う場合は、初めに無機凝結剤や有機凝結剤で荷電中和することによって着色成分が不溶化して核となる。その後、不溶化した着色成分を巻き込みながら凝集剤の作用で微細フロックを形成する。このため、着色廃水のSS濃度が高いほど、凝集性能は良好となる。前記の方法は、何れも、SS濃度が所定濃度以上であるような着色廃水、またはSS濃度を所定濃度に調整した着色廃水に対して有効な凝集処理方法であるが、SS濃度が低い着色廃水に対しては、凝集性が悪化するため、脱色効果の低下を招くことになる。
特開2012−5993号公報 特開2011−50945号公報 特開2011−50946号公報 特開2001−162285号公報
廃水の凝集処理において、薬剤使用量が少なくても、良好な凝集フロックを形成でき、汚泥の発生量が低減され、かつ色度を大幅に低減し、良好な水質の処理水が得られる凝集処理剤を提供することにある。
本発明者らは、前記実情に鑑みて、鋭意探索の結果、次のような知見を得た。
即ち、前記の性状の着色廃水の場合には、アミジンポリマーによる負に帯電した溶解性の着色物質を荷電中和する作用と、廃水中に含まれる着色物質以外のアニオン性もしくは両性の有機高分子成分や無機塩由来のアニオン成分から成るイオン性成分がアミジンポリマーと反応してイオンコンプレックスを形成し着色物質を巻き込みながら不溶化する作用によって、着色物質を良好に不溶化させる。しかし、その後、不溶化した着色物質が微細フロックを形成して、更に、凝集分離に有効なフロック径の凝集フロックにまで粗大化させるには、アミジンポリマーの必要添加量が多くなる。そこで、アミジンポリマーと特定の両性ポリマーを混合し使用することによって、アミジンポリマーの必要添加量が増加することなく、不溶化した着色物質が微細フロックを形成する反応と、微細フロックが粗大化して凝集フロックに成長する反応が効率よく進行することを見出した。
アミジンポリマーと両性ポリマーの混合物により着色廃水を凝集処理する場合、アミジンポリマーと両性ポリマーの合計質量に対する両性ポリマーの割合が所定の範囲であれば、アミジンポリマーにより着色物質が不溶化する。更に、両性ポリマーと反応し架橋構造を形成することで、不溶化した着色物質が微細フロックを形成し、微細フロックが粗大な凝集フロックに成長する。このため、良好な凝集フロックが得られ、着色廃水の脱色効果が改善される。
即ち、本発明の廃水の凝集処理剤は、水溶性着色廃水に高分子凝集剤を添加して凝集フロックを形成させ、次いで、形成した凝集フロックを固液分離する廃水の凝集処理剤であって、前記高分子凝集処理剤が、アミジン系カチオン性ポリマー(A)および両性ポリマー(B)を含み、前記水溶性着色廃水の浮遊固形物(SS)が450mg/L以下であり、
前記アミジン系カチオン性ポリマー(A)が下記一般式(1)または下記一般式(2)のいずれかで表されるアミジン構成単位を有するポリマーであり、
(ただし、一般式(1)および(2)中、R 、R はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、X は陰イオンを表す。)
前記両性ポリマー(B)の1規定塩化ナトリウム水溶液の25℃における還元粘度が0.1〜10dL/gであり、前記アミジン系カチオン性ポリマー(A)および前記両性ポリマー(B)の質量としての混合比が5:5〜8:2である廃水の凝集処理剤。
前記ポリマー(A)および両性ポリマー(B)の質量としての混合比が5:5〜8:2である廃水の凝集処理剤である。
また、本発明の廃水の凝集処理剤は、前記両性ポリマー(B)が下記一般式(3)で表されるカチオン性構成単位と、アニオン性構成単位と、非イオン性構成単位を有するポリマーである前記の廃水の凝集処理剤である。

(式中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子または炭素数が1〜4のアルキル基を表し、Rは、炭素数が1〜4のアルキル基またはベンジル基を表し、Yは、酸素原子またはNHを示し、Zは、陰イオンを表し、nは1〜3の整数を表す。)
また、本発明の廃水の凝集処理剤は、前記両性ポリマー(B)が有するアニオン性構成単位の全構成単位に対する割合をMaモル%、カチオン性構成単位の全構成単位に対する割合をMcモル%としたとき、比Ma/Mcが0.15〜0.55である前記の廃水の凝集処理剤である。
また、本発明の廃水の凝集処理剤は、高分子凝集剤として、前記アミジン系カチオン性ポリマー(A)と前記両性ポリマー(B)の他に、非アミジン系カチオン性ポリマー(C)を含む前記の廃水の凝集処理剤である。
また、本発明の廃水の凝集処理剤は、前記非アミジン系カチオン性ポリマー(C)が下記一般式(4)で表されるカチオン性モノマー単位を60〜100モル%含む非アミジン系カチオン性ポリマーである前記の廃水の凝集処理剤である。

(式中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子または炭素数が1〜4のアルキル基を表し、Rは、炭素数が1〜4のアルキル基またはベンジル基を表し、Yは、酸素原子またはNHを示し、Zは、陰イオンを表し、nは1〜3の整数を表す。)
また、本発明の廃水の凝集処理剤は、前記アミジン系カチオン性ポリマー(A)、前記両性ポリマー(B)および前記非アミジン系カチオン性ポリマー(C)の合計量中の前記アミジン系カチオン性ポリマー(A)と前記両性ポリマー(B)の合計量と前記非アミジン系カチオン性ポリマー(C)との質量としての比が8:2〜5:5である前記の廃水の凝集処理剤である。
また、本発明の廃水の凝集処理方法は、前記のいずれか一項に記載の凝集処理剤を用いた水溶性着色廃水の凝集処理方法である。
本発明の廃水の凝集処理剤によれば、廃水の凝集処理において、薬剤使用量が少なくても、良好な凝集フロックを形成でき、汚泥の発生量が低減され、かつ色度を大幅に低減し、良好な水質の処理水が得られる凝集処理剤を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
「着色物質」とは、水溶性の着色物質を意味する。
「着色廃水」とは、着色物質を含む廃水を意味し、着色物質以外に懸濁物質、コロイド状物質、イオン性成分などを含んでいてもよい。
「イオン性成分」とは、着色廃水に含まれる着色物質以外のアニオン性もしくは両性の有機高分子成分や無機塩由来のアニオン性成分を意味する。
「浮遊固形物(SS)」とは、JIS K 0102:2008にしたがって着色廃水を孔径1μmのろ過材でろ過したとき、ろ過材上に残留する物質を意味する。
「構成単位」とは、モノマーが重合することによって形成されたモノマー分子由来の構造単位、またはモノマー分子由来の構造単位のペンダント基と他のモノマー分子由来の構造単位のペンダント基との反応によってペンダント基同士が連結した2つ以上のモノマー分子由来の構造単位からなる構造単位を意味する。
「凝集剤」とは、着色廃水に含まれる着色物質、着色物質以外の懸濁物質、コロイド状物質、イオン性成分などを凝集して、微細フロックや凝集フロックを形成する機能を有する薬剤を意味する。
「ポリマー」とは、複数の構成単位から構成された構造を有する化合物を意味する。
「凝集処理」とは、着色廃水に含まれる着色物質、着色物質以外の懸濁物質、コロイド状物質、イオン性成分などを凝集して微細フロックを形成し、さらに微細フロックを凝集フロックに成長させ、凝集フロックを分離して処理水を得ることを意味する。
「微細フロック」とは、負に帯電した水溶性の着色物質が荷電中和により、不溶化したものが凝集し微細な集合体を形成したものを意味し、それ以外に、懸濁物質やコロイド状物質などの水に不溶な粒子が荷電中和され凝集し微細な集合体を形成したものを含んでもよい。
「凝集フロック」とは、微細フロックがさらに凝集して、凝集分離に必要なフロック径にまで粗大化したものを意味する。
「SS濃度」とは、JIS K 0102:2008に記載の測定方法に準じて、ろ過材として孔径1μmのガラス繊維ろ紙を用いて測定した値を意味する。
「COD」とは、着色物質を含む有機物や無機物による廃水の汚濁を意味し、本発明においては、着色物質の含有量の指標として用いる。CODの値は、JIS K 0102:1998に記載のCODMn分析方法に準じて測定した値を意味する。
「電気伝導度」とは、着色廃水中の各種イオン、塩類の量を示す指標を意味する。電気伝導度の値は、JIS K 0102:1998に記載の電気伝導度測定方法に準じて測定した値を意味する。
(着色廃水の凝集処理方法)
着色廃水の凝集処理は、着色廃水に、特定のアミジンポリマー(A)と両性ポリマー(B)を含む混合物から成る高分子凝集剤を添加し凝集フロックを形成させ、次いで、形成した凝集フロックを固液分離する。
(着色廃水)
本発明が対象とする着色廃水としては、例えば、飲料の製造工程や食品の加工工程で発生する着色廃水、染色廃水、ダストコントロール用品の洗浄廃水、洗濯廃水、その他、様々な工場施設より発生する着色廃水などが挙げられる。
着色廃水に含まれる着色物質は、水溶性の着色物質であり、着色物質の含有量の指標として、CODの値を用いることができる。着色廃水のCODは、50〜3000mg/Lが好ましい。
本発明の着色廃水の凝集処理方法は、SS濃度が450mg/L以下の着色廃水に対しても好適に適用される。
着色廃水のSS濃度は、20mg/L以上が好ましく、50mg/L以上がより好ましい。また、450mg/L以下が好ましく、250mg/L以下がより好ましく、200mg/L以下がさらに好ましい。着色廃水のSS濃度が前記範囲内であれば、着色物質が効率よく不溶化し、良好な凝集フロックが形成され、良好な脱色効果が得られる。
本発明が対象とする着色廃水は無機塩を多く含む。前記無機塩としては廃水に元々含まれる無機塩や、生物処理によって有機物が分解することで形成される無機塩、本発明の着色廃水の処理設備よりも前段の工程において実施される凝集沈殿や加圧浮上などの廃水処理で使用された無機凝結剤などの無機薬剤由来の無機塩などが挙げられる。着色廃水中の無機塩としては、特に限定されないが、硫酸塩、リン酸塩、珪酸塩などが挙げられる。着色廃水の電気伝導度は、廃水中に含まれる無機塩の量を示す指標として用いることができ、本発明が対象とする着色廃水は、無機塩を多量に含むため、電気伝導度が高い状態にあり、その値は0.5mS/cm以上が好ましく、1.0mS/cm以上がより好ましい。また、50mS/cm以下が好ましく、30mS/cm以下がより好ましい。
(高分子凝集剤)
本発明では、特定のアミジンポリマー(A)と特定の両性ポリマー(B)を組み合わせて高分子凝集剤として用いる。
着色物質を効率よく不溶化させ、良好な凝集フロックを形成し、優れた脱水効果を得るためにはアミジンポリマー(A)と両性ポリマー(B)を所定の混合比率で用いる必要がある。即ち、混合比率は、各ポリマーの合計質量に対するアミジンポリマー(A)の割合が50〜80質量%、両性ポリマー(B)の割合が20〜50質量%である。前記混合比率であれば、不溶化した着色成分が凝集し微細フロックを形成する反応と、微細フロックから凝集フロックへの成長反応が効率よく進行し、良好な凝集フロックが形成され、着色廃水の脱色効果が改善される。
前記ポリマー(A)と(B)の合計質量に対する前記両性ポリマー(B)の割合が50質量%を超えると、微細フロックが形成される段階で、アミジンポリマーのカチオン性を示す官能基の一部と、高粘度な両性ポリマー(B)のアニオン性を示す官能基の一部が反応し直ちに自己架橋を形成し不溶化するため、微細フロックの形成反応が抑制される。一方、前記ポリマー(A)と(B)の合計質量に対する前記両性ポリマー(B)の割合が、20質量%以下であると、不溶化した着色物質の凝集性が低下し、良好な凝集フロックを形成するためには、前記高分子凝集剤の必要添加量が増加する。
アミジンポリマー(A)は、前記一般式(1)または前記一般式(2)の少なくともいずれかで表されるアミジン構成単位を含有する。アミジンポリマー(A)におけるアミジン構成単位の含有量は、通常30モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましい。また、90モル%以下が好ましく、80モル%以下がより好ましい。前記範囲内であれば、効率よく着色物質が不溶化され、良好な凝集フロックを形成でき、脱色効果が改善される。
アミジンポリマー(A)の製造方法としては、特に限定されないが、アミノ基または変換反応によりアミノ基を形成し得る置換アミノ基を有するエチレン性不飽和モノマーと、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルなどのニトリル類とのコポリマーを製造し、当該コポリマー中のシアノ基とアミノ基を酸性下反応させてアミジン化する方法が挙げられる。
前記のエチレン性不飽和モノマーとしては、一般式(5)であるCH=CR−NHCOR(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数1〜4のアルキル基または水素原子を表す。)で表わされる化合物であることが好ましい。前記コポリマーは、加水分解あるいは加アルコール分解により容易にアミノ基に変換される。さらに、このアミノ基は、隣接したシアノ基と反応してアミジン化する。前記の一般式(5)で表される化合物の具体例としては、N−ビニルホルムアミド(R=H、R=H)、N−ビニルアセトアミド(R=H、R=CH)などが挙げられる。
前記コポリマーにおけるエチレン性不飽和モノマーとニトリル類との使用割合は、モル比で通常20:80〜80:20が好ましく、40:60〜60:40がより好ましい。
アミジンポリマー(A)は、最も典型的には、前記で説明したところに従い、N−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルとを共重合させ、形成したコポリマーを、塩酸の存在下、加熱し加水分解で形成したアミノ基と隣接するシアノ基からアミジン構成単位を形成させることにより製造される。この場合、共重合に供するN−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルとのモル比、およびコポリマーのアミジン化条件を適宜、選択することにより、各種の組成を持つアミジンポリマー(A)が得られる。なお、アミジンポリマー(A)としては、入手し易い市販品から選択して使用しても良い。
アミジンポリマー(A)の粘度を示す物性値としては、アミジンポリマー(A)を0.1g/dL含む1規定塩化ナトリウム水溶液の25℃における還元粘度(以下、「還元粘度」と記す)が、通常は0.1dL/g以上が好ましく、1dL/g以上がより好ましい。また、10dL/g以下が好ましく、5dL/g以下がより好ましい。
両性ポリマー(B)は、カチオン性構成単位として前記一般式(3)で表される構成単位を有するポリマーである。カチオン性構成単位としては、例えば、カチオン性モノマーであるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートのアミン塩もしくはアルキルクロライド4級塩に由来するカチオン性構成単位、またはジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドのアミン塩もしくはアルキルクロライド4級塩に由来するカチオン性構成単位が挙げられる。特に、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートアルキルクロライド4級塩が好ましい。モノマーは、カチオン性モノマー1種を単独で用いても良く、2種類以上を併用しても良い。
両性ポリマー(B)におけるカチオン性構成単位の含有量は、通常25モル%以上が好ましい。また、80モル%以下が好ましく、55モル%以下がより好ましい。このような構成単位を有する両性ポリマー(B)であれば、不溶化した着色物質が凝集し微細フロックを形成する反応と、微細フロックから凝集フロックに成長する反応が効率よく進行し、良好な凝集フロックが形成され、脱色効果が改善される。
両性ポリマー(B)は、アニオン性構成単位を有するポリマーであるが、アニオン性を示す官能基を有する構成単位としては、(メタ)アクリル酸、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸など挙げられ、これらの中では、アクリル酸が好ましい。両性ポリマー(B)におけるアニオン性構成単位の含有量は、通常3モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましい。また、75モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましい。
両性ポリマー(B)は、前記カチオン性構成単位と前記アニオン性構成単位の他に非イオン性構成単位を有するポリマーであるが、非イオン性構成単位としては(メタ)アクリルアミドが挙げられる。両性ポリマー(B)における非イオン性構成単位の含有量は通常1〜70モル%である。
両性ポリマー(B)の還元粘度は、通常0.1dL/g以上が好ましく、3.0dL/g以上がより好ましい。また、10.0dL/g以下が好ましく、7.5dL/g以下がより好ましい。両性ポリマー(B)の還元粘度が前記範囲内であれば、凝集フロックへ成長する段階で、アミジンポリマーのカチオン性を示す官能基の一部と、両性ポリマーのアニオン性を示す官能基の一部が効率よく反応するため、良好な凝集フロックが形成され、着色廃水の脱色効果が改善される。
両性ポリマー(B)が有するアニオン性構成単位の含有率をMaモル%、カチオン性構成単位の含有率をMcモル%としたとき、アニオン性構成単位とカチオン性構成単位の含有率の比Ma/Mc(以下、「A/C」という)は、通常は0.15以上が好ましく、0.25以上がより好ましい。また、0.55、以下が好ましく、0.45以下がより好ましい。A/Cが前記範囲内であれば、両性ポリマー(B)により、不溶化した着色物質が凝集し微細フロックを形成する反応と、微細フロックから凝集フロックへの成長反応が効率よく進行し、良好な凝集フロックが形成され、着色廃水の脱色効果が改善される。
本発明が対象とする着色廃水には、無機塩が多く含まれており、これらの無機塩は廃水中では1〜3価の陰イオン即ちアニオン性成分として混在しているものが多い。アミジンポリマー(A)は、これらの無機塩由来のアニオン性成分および着色物質と反応し荷電を中和し、イオンコンプレックスを形成することで、着色物質を効率よく不溶化させることができる。アミジンポリマー(A)により不溶化した着色物質は、その後、両性ポリマー(B)の架橋吸着によって、微細フロックから凝集フロックへと成長し、良好な凝集フロックが形成される。本発明の着色廃水の凝集処理方法では、さらに、非アミジン系カチオン性ポリマー(以下「カチオンポリマー」と記す)(C)を組み合わせて使用することで、両性ポリマー(B)の架橋吸着の機能が向上し、より良好な凝集フロックを形成し得るため、前記高分子凝集剤は、カチオンポリマー(C)を含むことが好ましい。
前記カチオンポリマー(C)は、カチオン性構成単位として、前記一般式(3)で表される構成単位を有するポリマーである。カチオン性構成単位としては、例えば、カチオン性モノマーであるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートのアミン塩もしくはアルキルクロライド4級塩に由来するカチオン性構成単位、またはジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドのアミン塩もしくはアルキルクロライド4級塩に由来するカチオン性構成単位が挙げられる。特に、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートアルキルクロライド4級塩が好ましい。モノマーは、カチオン性モノマー1種を単独で用いても良く、2種類以上を併用しても良い。
前記カチオンポリマー(C)におけるカチオン性構成単位の含有量は、通常60モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましい。また、100モル%以下が好ましい。また、前記カチオン性構成単位としては、全構成単位中の割合として、少なくともジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩モノマー構成単位を60〜100モル%、並びにジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩モノマー構成単位を0〜30モル%含有することが好ましい。このような構成単位を有するカチオンポリマー(C)は、良好な凝集フロックが得られ、脱水効果が改善される。
前記カチオンポリマー(C)は、非イオン性構成単位を含有するポリマーであり、非イオン性構成単位としては(メタ)アクリルアミドが挙げられる。非アミジン系カチオン性ポリマー(C)における非イオン性構成単位の含有量は通常1〜70モル%である。
着色物質を効率よく不溶化させ、良好な凝集フロックを形成し、優れた脱水効果を得るためにはアミジンポリマー(A)と両性ポリマー(B)の混合物とカチオンポリマー(C)を所定の混合比率で用いる必要がある。即ち、混合比率は、アミジンポリマー(A)と両性ポリマー(B)の混合物とカチオンポリマー(C)の合計質量に対するアミジンポリマー(A)と両性ポリマー(B)の混合物の割合が50〜80質量%、カチオンポリマー(C)の割合が20〜50質量%である。このような混合比率であれば、不溶化した着色成分が凝集し微細フロックを形成する反応と、微細フロックから凝集フロックへの成長反応が効率よく進行し、良好な凝集フロックが形成され、着色廃水の脱色効果が改善される。
両性ポリマー(B)およびカチオンポリマー(C)の製造方法は、特に限定されないが、前記のモノマーを水に溶解させたモノマー水溶液を均一なシート状にし、光開始剤を用いて可視光または紫外光を照射して共重合させる水溶液光重合方法、モノマーの水溶液に1種以上の開始剤を加えて重合させ水性ゲル状の重合物を得る断熱重合方法、非水溶媒中にモノマー水溶液を分散させて重合する分散重合方法、非水溶媒中で乳化剤を用いてモノマー水溶液を乳化させて重合する乳化重合方法などの方法を適宜選択することができる。光重合、断熱重合などの場合は、ポリマーは水性ゲルとして取得されるので、水性ゲルを粉砕、乾燥して粉末にすることが好ましい。
前記の還元粘度の両性ポリマー(B)の調製方法としては、特に限定されないが、製造工程における重合時間、重合温度、連鎖移動剤添加量などの条件を製造するポリマーの粘度を考慮して適宜選定する。本発明においては、連鎖移動剤添加量の条件により、還元粘度を調製することが好ましい。連鎖移動剤の種類は特に限定されないが、例えばメルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸などのチオール化合物、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、次亜リン酸ナトリウムなどの還元性無機塩類などが挙げられる。その中でも特に次亜リン酸ナトリウムが好ましい。連鎖移動剤の添加量は、原料全モノマーに対して通常1〜3000ppmである。
本発明において、高分子凝集剤の着色廃水への添加方法および凝集フロックの形成方法としては、公知の方法が適用できる。
高分子凝集剤の添加方法としては、高分子凝集剤を水に0.05〜0.5質量%の濃度で溶解させた後、着色廃水に添加することが好ましい。また、高分子凝集剤は、アミジンポリマー(A)、両性ポリマー(B)、カチオンポリマー(C)を混合した1剤型薬剤として添加することが好ましい。場合によっては、高分子凝集剤を粉末状のまま着色廃水に添加しても良い。
高分子凝集剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、アミジンポリマー(A)や両性ポリマー(B)、カチオンポリマー(C)以外の他のカチオン性ポリマーおよび両性ポリマーを含んでいてもよい。他のカチオン性ポリマーおよび両性ポリマーの混合比率は、高分子凝集剤の全質量に対して、10質量%未満が好ましく、5質量%未満がより好ましく、0質量%が更に好ましい。
本発明の着色廃水の凝集処理方法において、より良好な凝集フロックを形成するために、必要に応じて、着色廃水の高分子凝集剤を添加した後に、さらにアニオン性ポリマー(以下「アニオンポリマー」と記す)(D)からなる高分子凝集剤を添加しても良い。
アニオンポリマー(D)は、アニオン性構成単位を有するポリマーである。アニオン性構成単位としては、(メタ)アクリル酸、2−アクリルアミド−2メチルプロパンスルホン酸などが挙げられるが、これらの中では、アクリル酸が好ましい。アニオンポリマー(D)におけるアニオン性構成単位の含有量は、通常5〜90モル%である。更に前記アニオンポリマー(D)は、非イオン性構成単位を有するポリマーであり、非イオン性構成単位としては(メタ)アクリルアミドが挙げられる。アニオンポリマー(D)における非イオン性構成単位の含有量は通常10〜95モル%である。
アニオンポリマー(D)の製造方法としては、特に限定されないが、沈殿重合法、塊状重合法、分散重合法、水溶液重合法などが挙げられる。
高分子凝集剤を添加する際には、着色廃水を撹拌することが好ましい。撹拌が弱すぎると、高分子凝集剤が均一に混和されず、撹拌が強すぎると微細フロックが凝集フロックへと成長しにくくなる。したがって、高分子凝集剤を添加する際には、180〜3000rpmの回転数で着色廃水を撹拌することが好ましい。
高分子凝集剤の水への溶解性の向上や、高分子凝集剤の水溶液の粘度低下などの劣化防止のために、酸性物質を添加しても良い。酸性物質としては、例えば、スルファミン酸、酸性亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
凝集フロックを固液分離する方法としては、特に限定されないが、例えば、凝集沈殿や浮上分離、遠心分離やろ過などの方法が挙げられ、凝集沈殿や浮上分離によって固液分離することが好ましい。
高分子凝集剤の添加量は、着色廃水中の着色廃水、懸濁物質、コロイド状物質、イオン性成分などの濃度などにより異なり一概には言えないが、大まかな目安としては、着色廃水中に対して、1〜500ppmとなる量である。
本発明においては、高分子凝集剤に加えて、無機凝結剤および/または有機凝結剤(以下、これらをまとめて単に「凝結剤」という)を併用しても良い。前記の高分子凝集剤は、凝結剤と併用しても、着色廃水に対する脱色効果を十分に発揮できる。無機凝結剤としては、例えば、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化第2鉄、硫酸第1鉄、硫酸第2鉄、ポリ鉄(ポリ硫酸鉄、ポリ塩化鉄)などが挙げられる。有機凝結剤としては、例えば、ポリアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリジアルキルアミノアルキルメタクリレートのアルキルクロライド4級塩、カチオン性界面活性剤などが挙げられる。
凝結剤の添加時期は、特に限定されないが、高分子凝集剤を添加する前の工程で添加することが好ましい。凝結剤の添加量は、本発明の高分子凝集剤100質量部に対し、通常5〜3000質量部である。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の記載によって限定されるものではない。なお、本実施例および比較例における「%」は特に断りのない限り「質量%」を示す。以下の製造例で得られた各ポリマーについては、以下に示す還元粘度の測定を行った。測定には、粉末状の高分子凝集剤を用いた。
[還元粘度の測定]
1規定塩化ナトリウム水溶液中、0.1g/dLのポリマー溶液として25℃でオストワルドの粘度計により還元粘度を測定した。
実施例で用いた原料を以下に示す。
[モノマー]
(i)カチオン性モノマー:
(a)N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩(以下、「DME」と記す)、大阪有機化学工業社製、80質量%水溶液
(b)N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩(以下、「DMC」と記す)、大阪有機化学工業社製、80質量%水溶液
(ii)アニオン性モノマー:
アクリル酸(以下、「AA」と記す)、三菱化学社製、50質量%水溶液
(iii)非イオン性モノマー:
(a)アクリルアミド(以下、「AAM」と記す)、ダイヤニトリックス社製、50質量%水溶液
(b)アクリロニトリル(以下、「AN」と記す)、ダイヤニトリックス社製、純度99質量%
(c)N−ビニルホルムアミド(以下、「NVF」と記す)、ダイヤニトリックス社製、純度91質量%水溶液
[開始剤]
(i)2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCUR1173)、(以下、「D−1173」と記す)、Ciba社製
(ii)2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩(V−50)(以下、「V−50」と記す)、和光純薬社製
[連鎖移動剤]
次亜リン酸ナトリウム(以下、「HPA」と記す)、和光純薬社製
[アミジンポリマー(A)の合成]
(製造例1)
攪拌機、窒素導入管、冷却管を備えた内容積50mLの四つ口フラスコにANとNVFの混合物(モル比55:45)6gと蒸留水34gとの混合物を入れた。窒素ガス中攪拌しつつ60℃に昇温し、V−50の0.12gを添加し、さらに、60℃で3時間保持し、水中にポリマーが析出した懸濁物を得た。懸濁物に蒸留水20g添加し、さらに、濃塩酸をポリマーのホルミル基に対し1当量添加し100℃で4時間保持し、黄色の高粘度液を得た。これを多量のアセトンに添加し、ポリマーを析出させ、得られたポリマーゲルを細断し、60℃で1昼夜乾燥後粉砕してアミジンポリマー(A)(ポリマーA−1)を得た。
ポリマーA−1を重水に溶解させ、NMRスペクトロメーター(日本電子社製、270MHz)にて13C−NMRスペクトルを測定した。13C−NMRスペクトルの各繰り返し単位に対応したピークの積分値より各構成単位の組成を算出した。前記一般式(1)および(2)の構成単位は、区別することなく、その総量として求めた。結果を表1に示す。

(*)アミジン:アミジン塩酸塩構成単位、NVF:N−ビニルホルムアミド構成単位、AN:アクリロニトリル構成単位、VAM:ビニルアミン塩酸塩構成単位
[両性ポリマー(B)の合成]
(製造例2)
DMEの632.9g、AAの100.0g、AAMの900.0gを、内容積2000mL褐色耐熱瓶に投入し、HPAの3.0gと蒸留水を加え、総質量が2000gのモノマー水溶液(DME:AA:AAM=26.9:7.2:65.9(モル%)、モノマー濃度50%)を調製した。さらに、D−1173を、モノマー水溶液の総質量に対して、150ppmとなるように投入し、これに窒素ガスを30分間吹き込みながらモノマー水溶液の温度を20℃に調節した。
その後、モノマー水溶液をステンレス反応容器に移し、容器の下方から16℃の水を噴霧しながら、ケミカルランプを用いて、容器の上方から5W/mの照射強度で、表面温度が40℃になるまで光を照射した。表面温度が40℃に到達した後は、0.3W/mの照射強度で30分間光を照射した。さらに、モノマーの残存量を低減させるために、照射強度を50W/mにして10分間光を照射した。これにより、含水ゲル状のポリマーを得た。得られた含水ゲル状のポリマーを容器から取り出し、小型ミートチョッパーを用いて解砕した後、温度60℃で16時間乾燥した。その後、ウィレー型粉砕機を用いて乾燥したポリマーを粉砕し両性ポリマー(B)(ポリマーB−a1)を得た。
(製造例3〜20)
製造例2において、各モノマーおよびHPAの量を調節し、表2に記載の割合に変更した以外は、製造例2と同様の操作を行い、両性ポリマー(B)(ポ
リマーB−a2〜a4、b1〜b3、c1〜c3、d1〜d3、e1、e2、f1、f2、g1、g2)を得た。
[カチオンポリマー(C)の合成]
(製造例21〜24)
製造例2において、各モノマーおよびHPAの量を調節し、表3に記載の割合に変更した以外は、製造例2と同様の操作を行い、カチオンポリマー(C)(ポリマーC−1〜4)を得た。
[高分子凝集剤の調製]
(製造例25〜56)
表1〜3に記載のポリマーを表4〜6に記載の各混合比率で、混合・調製して表4〜6に記載の高分子凝集剤(ブレンド1〜32)を得た。
[着色廃水のSS濃度の測定]
着色廃水のSS濃度は、前記の着色廃水のSS濃度の測定方法によって測定した。
[着色廃水のCODの測定]
着色廃水のCODは、前記のCODMnの測定方法によって測定した。
[着色廃水の電気伝導度の測定]
着色廃水の電気伝導度は、前記の電気伝導度の測定方法によって測定した。
(実施例1〜13、参考例1〜6
[使用着色廃水]
食品産業の廃水処理施設から発生した着色廃水として、H株式会社の飲料抽出工場の廃水
処理施設で採取した着色廃水で次の特性を有する廃水を用いた。即ち、JIS規格に記載
された分析方法を用いて測定された廃水のpHが7.31、SS濃度が340mg/L、
電気伝導度が1.7mS/cm、CODが390mg/Lである着色廃水。













[凝集試験]
先ず、500mLビーカーに前記着色廃水の500mLを採取した。次いで、表4〜6に記載の高分子凝集剤を0.3%に溶解して高分子凝集剤水溶液を調製し、これを表7に記載の濃度になるよう添加した後、ジャーテスターで攪拌速度:180回転/分、攪拌時間:60秒間の条件下に撹拌混合して凝集フロックを形成させた。その後、凝集フロックを沈殿させ、凝集フロックと処理水を分離した。後述の評価結果を表7に示す。
(比較例1〜7)
用いた高分子凝集剤を表8に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして凝集フロックを形成させ、凝集フロックと処理水を分離した。後述の評価結果を表8に示す。
[評価方法]
[凝集フロック粒径、処理水のSS濃度、処理水のCOD]
各実施例と比較例において凝集フロックを形成させた後に攪拌を止め、凝集フロック粒径と処理水SS濃度を目視により測定した。その後、処理水を採取し、処理水のCODを測定した。処理水のCODの測定は、着色廃水のCODと同様に前記のCODMnの測定方法によって測定した。
[処理水のSS濃度]
処理水のSS濃度については、目視によって下記の基準で評価した。
A:凝集フロックを分離した後の処理水がほとんど透き通っており、浮遊物はほぼ見られない(SS濃度目安:10mg/L未満)。
B:凝集フロックを分離した後の処理水に一部濁りが見られ、浮遊物がわずかに存在する(SS濃度目安:10mg/L以上50mg/L未満)。
C:凝集フロックを分離した後の処理水に部分的に濁りが見られ、浮遊物がところどころ存在する(SS濃度目安:50mg/L以上100mg/L未満)。
D:凝集フロックを分離した後の処理水に多数の濁りが見られ、浮遊物が全体的に存在する(SS濃度目安:100mg/L以上300mg/L未満)。
E:凝集フロックを分離した後の処理水に全体的に多数の濁りが見られ、浮遊物が全体的に存在し、一部粗大な大きさで存在する(SS濃度目安:300mg/L以上500mg/L未満)。
×:凝集フロックを分離した後の処理水が完全に濁り、粗大な浮遊物が多数存在する(SS濃度目安:500mg/L以上)。




















表7に示すように、本発明の高分子凝集剤を用いた実施例1〜1では、粗大な凝集フロ
ックを形成し、処理水のSS濃度も低かった。特に、両性ポリマー(B)の還元粘度が3
.0〜7.5dL/gの範囲内であり、かつA/Cが0.25〜0.45の範囲内である
実施例1〜4は、フロック径の大きい粗大な凝集フロックが得られ、処理水のCODも低
く良質な水質の処理水が得られた。
表8に示すように、比較例1〜7は、各ポリマーの混合比率が本願発明の所定割合の範囲から外れた高分子凝集剤を用いた例で、いずれも形成した凝集フロックが小さく、処理水のSS濃度、CODが高かった。
(実施例20〜31、比較例8、9)
[使用着色廃水]
ダストコントロール産業の廃水処理施設から発生した着色廃水として、T株式会社のクリーニング工場の廃水処理施設で採取した着色廃水で次の特性を有する廃水を用いた。即ち、JIS規格に記載された分析方法を用いて測定された廃水のpHが7.56、SS濃度が157mg/L、電気伝導度が1.98mS/cm、CODが580mg/Lである着色廃水。
(凝集試験)
試験に用いた高分子凝集剤を表9に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様の凝集試験を実施した。実施例20〜31および比較例8、9における評価結果を表9に示す。
表9に示すように、本発明の高分子凝集剤を用いた実施例20〜31では、粗大な凝集フロックを形成し、処理水のSS濃度も低かった。特に、両性ポリマー(B)の還元粘度が3.0〜7.5dL/gの範囲内であり、かつA/Cが0.25〜0.45の範囲内である実施例20〜22、25〜31では、径の大きい粗大な凝集フロックが得られ、処理水のCODも低く良質な水質の処理水が得られた。また、実施例25〜31は、カチオンポリマー(C)を含む混合物からなる高分子凝集剤を用いた例であるが、カチオンポリマー(C)のカチオン性構成単位の含有割合および各ポリマーの混合比率が本願発明の所定割合の範囲内である実施例25、26、29、30では、より処理水のCODが低く優れた脱色効果が得られた。
比較例8、9は、各ポリマーの混合比率が本願発明の所定割合の範囲から外れた汚泥脱水剤を用いた例で、いずれも形成した凝集フロックが小さく、処理水のSS濃度、CODが高かった。
参考例7、比較例10)
[使用着色廃水]
食品の廃水処理施設から発生した着色廃水として、N株式会社の廃水処理施設で採取した
着色廃水で次の特性を有する廃水を用いた。即ち、JIS規格に記載された分析方法を用
いて測定された廃水のpHが6.50、SS濃度が510mg/L、電気伝導度が0.7
5mS/cm、CODが780mg/Lである着色廃水。
[凝集試験]
試験に用いた高分子凝集剤を表10に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様の凝集試験を実施した。実施例32および比較例10における評価結果を表10に示す。
表10に示すように、比較例10は、各ポリマーの混合比率が本願発明の所定割合の範囲から外れた汚泥脱水剤を用いた例で、形成した凝集フロックが小さく、処理水のSS濃度、CODが高かった。
本発明によれば、廃水の凝集処理において、薬剤使用量が少なくても、良好な凝集フロックを形成でき、汚泥の発生量が低減され、かつ色度を大幅に低減し、良好な水質の処理水が得られる凝集処理剤として、広く適用できる。

Claims (8)

  1. 水溶性着色廃水に高分子凝集剤を添加して凝集フロックを形成させ、次いで、形成した凝集フロックを固液分離する廃水の凝集処理剤であって、前記高分子凝集剤が、アミジン系カチオン性ポリマー(A)および両性ポリマー(B)を含み、
    前記水溶性着色廃水の浮遊固形物(SS)が450mg/L以下であり、
    前記アミジン系カチオン性ポリマー(A)は下記一般式(1)または下記一般式(2)のいずれかで表されるアミジン構成単位を有するポリマーであり、
    (ただし、一般式(1)および(2)中、R 、R はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、X は陰イオンを表す。)
    前記両性ポリマー(B)は、1規定塩化ナトリウム水溶液の25℃における還元粘度が0.1〜10dL/gであり、
    前記アミジン系カチオン性ポリマー(A)および前記両性ポリマー(B)の質量としての混合比が5:5〜8:2である廃水の凝集処理剤。
  2. 前記水溶性着色廃水のCOD(Mn)が50〜3000mg/Lである請求項1に記載の廃水の凝集処理剤。
  3. 前記両性ポリマー(B)が下記一般式(3)で表されるカチオン性構成単位と、アニオン性構成単位と、非イオン性構成単位を有するポリマーである請求項1または2に記載の廃水の凝集処理剤。
    (式中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子または炭素数が1〜4のアルキル基を表し、Rは、炭素数が1〜4のアルキル基またはベンジル基を表し、Yは、酸素原子またはNHを示し、Zは、陰イオンを表し、nは1〜3の整数を表す。)
  4. 前記両性ポリマー(B)が有するアニオン性構成単位の全構成単位に対する割合をMaモル%、カチオン性構成単位の全構成単位に対する割合をMcモル%としたとき、比Ma/Mcが0.15〜0.55である請求項1〜のいずれか一項に記載の廃水の凝集処理剤。
  5. 高分子凝集剤として、前記アミジン系カチオン性ポリマー(A)と前記両性ポリマー(B)の他に、非アミジン系カチオン性ポリマー(C)を含む請求項1〜のいずれか一項に記載の廃水の凝集処理剤。
  6. 前記非アミジン系カチオン性ポリマー(C)が下記一般式(4)で表されるカチオン性モノマー単位を60〜100モル%含む非アミジン系カチオン性ポリマーである請求項に記載の廃水の凝集処理剤。
    (式中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子または炭素数が1〜4のアルキル基を表し、Rは、炭素数が1〜4のアルキル基またはベンジル基を表し、Yは、酸素原子またはNHを示し、Zは、陰イオンを表し、nは1〜3の整数を表す。)
  7. 前記アミジン系カチオン性ポリマー(A)、前記両性ポリマー(B)および前記非アミジン系カチオン性ポリマー(C)の合計量中の前記アミジン系カチオン性ポリマー(A)と前記両性ポリマー(B)の合計量と前記非アミジン系カチオン性ポリマー(C)との質量としての比が8:2〜5:5である請求項5〜6のいずれか一項に記載の廃水の凝集処理剤。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の凝集処理剤を用いた水溶性着色廃水の凝集処理方法。
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