JP2013183080A - レジスト剥離液の劣化抑制方法、レジスト剥離方法及びシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パターン形成後のレジスト剥離工程で用いる有機アルカリ化合物を含有するレジスト剥離液の劣化抑制方法、レジスト剥離方法及びシステムであって、二酸化炭素除去装置20を用いて、レジスト剥離液12に接触する空気中の二酸化炭素濃度を減少させ、該空気中でレジスト剥離工程を実施するようにしてある。二酸化炭素除去装置20は、水溶性の無機又は有機アルカリ化合物を含有する吸収液22を噴霧して、レジスト剥離液12に接触する空気中の二酸化炭素濃度を約300ppm以下に減少させる。
【選択図】図1
Description
本実施形態に係るレジスト剥離液の劣化抑制方法、レジスト剥離方法及びシステム(以下「方法及びシステム」と省略する場合がある)は、有機アルカリ化合物を含有するレジスト剥離液に適用されるものである。まず、本実施形態で用いるレジスト剥離液について説明する。
上述した有機アルカリ化合物を含有するレジスト剥離液は、レジスト剥離工程において空気中の二酸化炭素を吸収すると、有機アルカリ成分が中和されて劣化してしまう。そこで、本実施形態では、図1に示すようなレジスト剥離システム1を用いて、レジスト剥離液に接触する空気中の二酸化炭素濃度を減少させ、該空気中でレジスト剥離工程を実施するようにしている。
レジスト剥離装置10は、パターン形成後の基板16にレジスト剥離工程を実施するためのものであり、レジスト剥離液12の貯留槽11を備えている。この貯留槽11の側壁には、基板16の搬入口11a及び搬出口11bが開口している。搬入口11aの近傍には空気の給気口11cが設けてあり、搬出口11bの近傍には空気の排気口11dが設けてある。また、搬入口11a及び搬出口11bを介して、貯留槽11の内外にわたる搬送ローラ15が敷設してある。そして、貯留槽11内における搬送ローラ15の上下には、レジスト剥離液12を噴霧するための複数のスプレーノズル14、14、14…が設置してある。貯留槽11内のレジスト剥離液12は、ポンプ13によって各スプレーノズル14に供給される。このポンプ13によって、各スプレーノズル14のスプレー圧を調整し、貯留槽11内のレジスト剥離液12を噴霧・循環させている。
二酸化炭素除去装置20は、二酸化炭素を減少させた空気をレジスト剥離装置10に供給するためのものであり、二酸化炭素の吸収液22を貯留する貯留槽21を備えている。貯留槽21内の上方には、吸収液22を噴霧するための複数のスプレーノズル24、24、24…が設置してある。貯留槽21内の吸収液22は、ポンプ23によって各スプレーノズル24に供給される。このポンプ23によって、各スプレーノズル24のスプレー圧を調整し、貯留槽21内の吸収液22を噴霧・循環させている。ここで、二酸化炭素除去装置20の貯留槽21は、上述したレジスト剥離装置10の貯留槽11と比較して、約1/10程度の容量とすることができる。
ここで、本実施形態における吸収液22は、二酸化炭素の吸着成分として、水溶性の無機又は有機アルカリ化合物を含有している。
レジスト剥離装置10に供給する空気中の二酸化炭素濃度が低いほど、レジスト剥離液12の劣化の抑制効果は大きいが、後述する実施例のとおり、レジスト剥離液12に接触する空気中の二酸化炭素濃度を約300ppm以下に減少させると、レジスト剥離液12の劣化が顕著に抑制されることを見出した。
上述のとおり、本実施形態の二酸化炭素除去装置20では、水溶性アルカリ化合物を含有する吸収液22を噴霧した空間に空気を通過させ、該空気中の二酸化炭素濃度を減少させている。このような二酸化炭素の除去方法によれば、吸収液22の噴霧を通過させることで、現状の空気から二酸化炭素を簡単に除去することができ、二酸化炭素濃度を減少させた大量の空気を迅速かつ大量にレジスト剥離装置10に供給することが可能となる。
1)アミン、炭酸カリ水溶液などのアルカリ水溶液を吸収液として利用し、二酸化炭素を化学反応により吸収させ、その吸収液を加熱することにより、二酸化炭素を放出させて回収する化学吸収法。
2)メタノール、ポリエチレングリコール等の吸収液を使用して、に高圧・低温下で物理的に二酸化炭素を吸収させ、その後減圧(加熱)して二酸化炭素を放出させることにより回収する物理吸収法。
3)膜による、各気体の透過速度の違いを利用して、混合ガスから各気体を分離する膜分離方法。
4)高濃度のCO2を含む排ガスを低温に冷却して液化させ、それぞれのガスが凝縮する際の温度の違いを利用して蒸留あるいは部分凝縮によって分離、回収する酸素燃焼+深冷分離方法。
5)ゼオライト、活性炭等の多孔質の吸着剤を用い、高い圧力下で吸着剤にCO2を吸着させ、その吸着剤を低い圧力下でCO2を脱着させてCO2を排ガスから分離回収する吸着剤による分離方法(PSA:Pressure Swing Adsorption)。
以上のように、本実施形態に係る方法及びシステムによれば、レジスト剥離工程における空気中の二酸化炭素濃度を減少させることで、レジスト剥離液12に含まれる有機アルカリ化合物の二酸化炭素の吸収を抑え、レジスト剥離液12の劣化を抑制することができる。これにより、有機アルカリ化合物を含有するレジスト剥離液12の寿命を延ばし、劣化点に達するまでの処理面積を増大させることが可能となる。この結果、微細な配線パターンを有する電子回路基板又は電子部品の製造効率の向上と、製造コストの低減とを図ることができるようになる。
無電解銅めっき1μmを形成した510mm×340mmの基板に、ドライフィルムレジストを用いて導体部に18μmの電解銅めっきを施して導体パターンを形成し、レジスト剥離用のテスト基板とした。導体パターンは、ライン/スペース=10μm/10μm、ドライフィルムレジストの残存面積を基板面積の20%とした。
レジスト剥離装置は、槽容量500L、スプレーノズルが上下に120個ずつ配置され、基板を搬送するためのコンベアーを備えている。給排気は、基板搬入口付近の給気口から空気が供給され、搬出口付近の排気口から排気される構造になっている。レジスト剥離液として、モノエタノールアミン5重量%、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド1重量%、ベンゾトリアゾール0.1重量%、残部が水である水溶液を使用した。連続処理の場合には、上記のレジスト剥離液の成分が保たれるように20分毎に成分を補充しながらテスト基板を搬送し、液温50℃、基板滞留時間を180秒間としてスプレー処理した。
テスト基板を用いてレジスト剥離試験を連続で行い、テスト基板に剥離不良が発生した時点をレジスト剥離液の劣化点とした。具体的には、レジスト剥離処理後のテスト基板の導体パターンの間にドライフィルムレジストの残存が発生した時点をレジスト剥離液の劣化点とした。テスト基板の四隅及び中央部の5ポイントを、倍率100倍の金属顕微鏡で観察し、これら5ポイントのうちの1箇所でもドライフィルムレジストの残渣が確認されたときには、これを剥離不良の発生とみなした。試験結果は、試験開始から劣化点までに剥離処理した総基板面積m2の数値で示すこととした。
空気中の二酸化炭素濃度の測定には、島津製作所製のガスクロマトグラフを使用した。検出器として熱伝導度型検出器(TCD:Thermal Conductivity)を用い、カラムには、Pora PLOT Q,0.53mm×25m,膜厚20μmを用いた。
図1に示した二酸化炭素除去装置20とほぼ同じ構成のもの自作して使用した。すなわち、本実施例の二酸化炭素除去装置は、槽容量50L、スプレーノズルが上部に25個配置されており、ポンプを用いて槽内の液をスプレーノズルに導き、スプレー圧を調整して噴霧、循環させる構造となっている。また、空気の吸気口と排気口を備え、このうち排気口は、排風機の吸引側に接続してある。排風機の排出側は、上述したレジスト剥離装置の給気口に接続してある。排風機を運転することにより、吸気口から周辺の空気を層内に取り込み、スプレー噴霧された吸収液を通過することで二酸化炭素が減少される。二酸化炭素が減少された空気は、排風機によってレジスト剥離装置内に供給される。
二酸化炭素の吸収液に用いる水溶性アルカリ化合物として、モノエタノールアミンを選定した。また、排風機の風量を調整して、レジスト剥離装置へ供給する風量を2.5m3/minとした。吸収液温度を50℃、スプレー圧を0.1MPaに設定した。そして、これら条件におけるモノエタノールアミン水溶液の濃度と、レジスト剥離装置へ供給する空気中の二酸化炭素濃度との関係を求めた。レジスト剥離装置へ供給する空気中の二酸化炭素濃度を測定しつつ、モノエタノールアミン濃度を5重量%から徐々に増加させた結果、空気中の二酸化炭素濃度は、モノエタノールアミン濃度が15重量%で約300ppm、30重量%で約200ppmに減少することが分かった。なお、吸気口付近における二酸化炭素除去前の空気について二酸化炭素濃度を測定したところ、約400ppmであった。
モノエタノールアミン濃度が15重量%の水溶液を吸収液として用い、予備試験と同様に排風機の風量を2.5m3/min、吸収液温度を50℃、スプレー圧を約0.1MPaに設定して二酸化炭素除去装置を運転し、二酸化炭素濃度300ppmの空気をレジスト剥離装置に供給しつつ、テスト基板を用いたレジスト剥離試験を長時間連続で行った。
試験期間中、レジスト剥離装置に供給する空気中の二酸化炭素濃度を適宜モニターしながらスプレー圧を微調整し、二酸化炭素濃度を300±15ppmの範囲に保持した。試験の結果、劣化点に達するまでに、総基板面積2000m2のレジスト剥離処理が可能であった。
二酸化炭素濃度を約200ppmとするために、モノエタノールアミン濃度が30重量%の水溶液を吸収液として用いた。これ以外の条件は実施例1と同様にし、レジスト剥離装置に空気を供給しつつ、実施例1と同様のレジスト剥離試験を行った。試験期間中の二酸化炭素濃度は、スプレー圧を微調整することで200±10ppmの範囲に保持した。試験の結果、劣化点に達するまでに、総基板面積3100m2のレジスト剥離処理が可能であった。
二酸化炭素の吸収液に用いる水溶性アルカリ化合物をモノエタノールアミンから水酸化ナトリウムに変更した。二酸化炭素除去装置を予備試験1と同様の条件に設定し、水酸化ナトリウム水溶液濃度と、レジスト剥離装置に供給する空気中の二酸化炭素濃度との関係を求めた。レジスト剥離装置に供給する空気中の二酸化炭素濃度を測定しつつ、水酸化ナトリウム濃度を5重量%から徐々に増加させた結果、空気中の二酸化炭素濃度は、水酸化ナトリウム濃度が8重量%で約300ppm、18重量%で約200ppmに減少することが分かった。
二酸化炭素濃度を約300ppmとするために、水酸化ナトリウム濃度が8重量%の水溶液を吸収液として用いた。これ以外の条件は実施例1と同様にし、レジスト剥離装置に空気を供給しつつ、実施例1と同様のレジスト剥離試験を行った。試験期間中の二酸化炭素濃度は、スプレー圧を微調整することで300±15ppmの範囲に保持した。試験の結果、劣化点に達するまでに、総基板面積1900m2のレジスト剥離処理が可能であった。
二酸化炭素濃度を約200ppmとするために、水酸化ナトリウム濃度が18重量%の水溶液を吸収液として用いた。これ以外の条件は実施例1と同様にし、レジスト剥離工程に空気を供給しつつ、実施例1と同様のレジスト剥離試験を行った。試験期間中の二酸化炭素濃度は、スプレー圧を微調整することで200±10ppmの範囲に保持した。試験の結果、劣化点に達するまでに、総基板面積3300m2のレジスト剥離処理が可能であった。
実施例1で用いたレジスト剥離システムにおいて、二酸化炭素除去装置内に如何なる液をも満たさず、スプレー噴霧も行わない状態で、吸気口から二酸化炭素濃度約400ppmの空気をそのままレジスト剥離装置へ供給した。これ以外の条件は、全て実施例1と同様にしてレジスト剥離試験を行った。試験の結果、劣化点に達するまでに、総基板面積1300m2のレジスト剥離処理が可能であった。なお、試験期間中の二酸化炭素濃度をモニターしたところ、400±20ppmの範囲に保持されていた。
10 レジスト剥離装置
11 貯留槽
11a 搬入口
11b 搬出口
11c 給気口
11d 排気口
12 レジスト剥離液
13 ポンプ
14 スプレーノズル
15 搬送ローラ
16 基板
20 二酸化炭素除去装置
21 貯留槽
21a 吸気口
21b 排気口
22 吸収液
23 ポンプ
24 スプレーノズル
25 排風機
26、27 ダクト
S 空間
Claims (16)
- パターン形成後のレジスト剥離工程で用いる有機アルカリ化合物を含有するレジスト剥離液の劣化抑制方法であって、
二酸化炭素除去装置を用いて、前記レジスト剥離液に接触する空気中の二酸化炭素濃度を減少させ、該空気中で前記レジスト剥離工程を実施することを特徴とするレジスト剥離液の劣化抑制方法。 - 前記二酸化炭素除去装置により、前記レジスト剥離液に接触する空気中の二酸化炭素濃度を約300ppm以下に減少させる請求項1に記載のレジスト剥離液の劣化抑制方法。
- 前記二酸化炭素除去装置が、水溶性の無機又は有機アルカリ化合物を含有する吸収液により、空気中の二酸化炭素濃度を減少させる請求項1又は2に記載のレジスト剥離液の劣化抑制方法。
- 前記二酸化炭素除去装置が、前記吸収液を噴霧した空間に空気を通過させ、該空気中の二酸化炭素濃度を減少させる請求項1〜3のいずれか1項に記載のレジスト剥離液の劣化抑制方法。
- 前記吸収液が含有する水溶性の有機アルカリ化合物を、前記レジスト剥離液が含有する有機アルカリ化合物と同じ成分にした請求項3又は4に記載のレジスト剥離液の劣化抑制方法。
- パターン形成後のレジスト剥離工程で、有機アルカリ化合物を含有するレジスト剥離液を用いて不要なレジストを除去するレジスト剥離方法であって、
二酸化炭素除去装置を用いて、前記レジスト剥離液に接触する空気中の二酸化炭素濃度を減少させ、該空気中で前記レジスト剥離工程を実施することを特徴とするレジスト剥離方法。 - 前記二酸化炭素除去装置により、前記レジスト剥離液に接触する空気中の二酸化炭素濃度を約300ppm以下に減少させる請求項6に記載のレジスト剥離方法。
- 前記二酸化炭素除去装置が、水溶性の無機又は有機アルカリ化合物を含有する吸収液により、空気中の二酸化炭素濃度を減少させる請求項6又は7に記載のレジスト剥離方法。
- 前記二酸化炭素除去装置が、前記吸収液を噴霧した空間に空気を通過させ、該空気中の二酸化炭素濃度を減少させる請求項6〜8のいずれか1項に記載のレジスト剥離方法。
- 前記吸収液が含有する水溶性の有機アルカリ化合物を、前記レジスト剥離液が含有する有機アルカリ化合物と同じ成分にした請求項8又は9に記載のレジスト剥離方法。
- パターン形成後のレジスト剥離工程を実施するためのレジスト剥離システムであって、
有機アルカリ化合物を含有するレジスト剥離液を用いて不要なレジストを除去するレジスト剥離装置と、
前記レジスト剥離液に接触する空気中の二酸化炭素濃度を減少させる二酸化炭素除去装置と、を備えたことを特徴とするレジスト剥離システム。 - 前記二酸化炭素除去装置により、前記レジスト剥離液に接触する空気中の二酸化炭素濃度を約300ppm以下に減少させる請求項11に記載のレジスト剥離システム。
- 前記二酸化炭素除去装置が、水溶性の無機又は有機アルカリ化合物を含有する吸収液により、空気中の二酸化炭素濃度を減少させる請求項11又は12に記載のレジスト剥離システム。
- 前記二酸化炭素除去装置が、前記吸収液を噴霧した空間に空気を通過させ、該空気中の二酸化炭素濃度を減少させる請求項11〜13のいずれか1項に記載のレジスト剥離システム。
- 前記二酸化炭素除去装置が、
空気の吸気口及び排気口を有する前記吸収液の貯留槽と、
前記貯留槽内で前記吸収液を噴霧するスプレーノズルと、
前記貯留槽の排気口に接続され、前記吸収液の噴霧により二酸化炭素濃度を減少させた空気を、前記レジスト剥離装置内又は前記レジスト剥離装置を設置した空間内へ供給する排風機と、を備えた請求項13又は14に記載のレジスト剥離システム。 - 前記吸収液が含有する水溶性の有機アルカリ化合物を、前記レジスト剥離液が含有する有機アルカリ化合物と同じ成分にした請求項13〜15のいずれか1項に記載のレジスト剥離システム。
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