JP2013179121A - 半導体基板の製造方法および半導体基板 - Google Patents

半導体基板の製造方法および半導体基板 Download PDF

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Abstract

【課題】転位密度の低減を図るとともに、単位時間当たりの処理量を向上することができる半導体基板の製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも最表層に単結晶のSiCが存在するベース基板上に所定のGaN成膜温度でGaN層を成膜する半導体基板の製造方法であって、
上記SiC上にGaN成膜温度よりも高温下でAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を成膜したのちGaN成膜温度でGaNを成膜する第1工程を行い、
GaN成膜温度よりも低温下でAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を成膜したのちGaN成膜温度でGaNを成膜する第2工程を行い、
上記第2工程におけるAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を成膜する温度を少なくとも800℃以上とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、GaNを堆積させた半導体基板の製造方法およびそれによって得られる半導体基板に関するものである。
半導体デバイスを実装するGaNを堆積させるための基板として、SiCバルク基板や、最表面に単結晶SiC層を形成した各種半導体基板が広く用いられている。SiCとGaNの間には、格子定数および熱膨張係数において大きな差がある。このため、SiC上にGaNを堆積させる際には、基板の反りやGaN層のクラックが問題となる。そこで、それらの対策として、GaN層を堆積する前にSi基板の表面にバッファ層を形成させたり、GaN層に中間層としてAlN層を挿入したりすることが検討されている。このような技術として、例えば下記の特許文献1〜5に開示されたものがある。
特開平04−223330号公報 特表2003−536257号公報 特開2003−017419号公報 特開2005−032823号公報 特開2009−065025号公報
上記従来の技術では、反りの低減、クラックの抑制、応力の緩和等について、ある程度の対策となっているものの、まだまだ十分なレベルとはいうことができない。また、結晶欠陥である転位の密度については、十分に低減されていない。また、従来技術では、GaNとAlNの成長温度に差が大きいことから昇温や降温に時間を要してしまい、単位時間当たりの処理量に制限ができてしまう。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、転位密度と反りの低減を図るとともに、単位時間当たりの処理量を向上することができる半導体基板の製造方法および半導体基板の提供をその目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の半導体基板の製造方法は、少なくとも最表層に単結晶のSiCが存在するベース基板上に所定のGaN成膜温度でGaN層を成膜する半導体基板の製造方法であって、
上記SiC上にGaN成膜温度よりも高温下でAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を成膜したのちGaN成膜温度でGaNを成膜する第1工程を行い、
GaN成膜温度よりも低温下でAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を成膜したのちGaN成膜温度でGaNを成膜する第2工程を行い、
上記第2工程におけるAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を成膜する温度を少なくとも800℃以上としたことを要旨とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の半導体基板は、少なくとも最表層に単結晶のSiCが存在するベース基板の上記SiC上にAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を中間層として成膜されたGaN層が複数積層され、
AlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を中間層としてSiC上に複数積層されたGaN層は、中間層であるAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を挟んでSiC側のGaN層よりも表面側のGaN層の方が転位密度が低いことを要旨とする。
上記目的を達成するため、本発明の第2の半導体基板は、少なくとも最表層に単結晶のSiCが存在するベース基板の上記SiC上にAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を中間層として成膜されたGaN層が複数積層され、
基板の曲率半径が5m以上であることを要旨とする。
上記目的を達成するため、本発明の第3の半導体基板は、少なくとも最表層に単結晶のSiCが存在するベース基板の上記SiC上にAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を中間層として成膜されたGaN層が複数積層され、
上記SiC上にクラックなく0.5μm以上の厚さを有するGaNが堆積されたことを要旨とする。
本発明者らは、少なくとも表面にSiCが存在するベース基板をGaN成長の下地に用い、かつGaN成膜温度よりも低温下で中間層であるAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を成膜するときの温度を、特許文献1〜5記載の従来技術に比べて高めに設定することによって、次の2つの重要な効果が得られることを新たに見出した。
第一の効果は、上述の技術構成により、複数積層されたGaN層の各界面に生ずる歪が大幅に緩和されることである。
この第一の効果により、GaN層の積層数を増やしても、基板の反り量を増やさないように制御することが可能となる。
さらには、クラックの発生も大幅に抑制可能となる。
第二の効果は、上述の技術構成により、複数積層されたGaN層のなかで、SiC側から遠く、表面側に近いGaN層ほど転位密度を低く制御できることである。
これにより、GaN層の積層数を増やせば増やすほど、GaNの転位密度を小さくすることが可能となり、GaN層の飛躍的な結晶性改善が実現する。
従って、上述の技術構成により、GaN層の積層数を増やしていくことで、クラックや反り量の増大を抑制しつつ、GaNの結晶性のみほぼ独立に改善できることが初めて可能となった。
さらに上述の技術構成では、中間層であるAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層とGaN層の成長温度が特許文献1〜5記載の従来技術に比べて小さいため、昇温や降温に要する時間を短縮し、単位時間当たりの処理量を向上することができる。
従って、クラックや反り量の増大を抑制しつつ、従来にない高品質なGaN層を、低コストで実現することが可能となる。
本発明の半導体基板の製造方法は、少なくとも最表層に単結晶のSiCが存在するベース基板上にやAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層およびGaN層を成膜する。SiCは、GaN層やAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層との格子定数差が4%未満と小さい。SiCに最近接する第一のGaN層の転位密度を少なくすることができる。
また、最表面に単結晶SiCが存在するベース基板をGaN成長の下地に用いることにより、
GaN成膜温度よりも低温下で中間層であるAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を成膜するときの温度を高めに設定することができる。
これは、SiCが剛性の強い材料であるため、AlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層とGaN層の積層界面に生ずる歪に対して十分な抗力を維持可能であり、AlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層とGaN層の成膜温度差が小さくても、積層界面における歪緩和を促進できるからである。
AlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を成膜するときの温度を高めに設定することができるため、積層界面の緩和を促進しつつ、従来技術にくらべてAlInGa1−x−yNの結晶品質を改善可能であり、この効果により、積層数を増やすごとに、転位密度を減らすことが可能となる。
さらには、GaN層と中間層の成膜温度の差が小さくなり、昇温や降温に要する時間を短縮し、単位時間当たりの処理量を向上することができる。
また、上記SiC上にGaN成膜温度よりも高温下でAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を成膜したのちGaN成膜温度でGaNを成膜する。
高温下では、AlInGa1−x−yN結晶のC軸方向の結晶配向性が大幅に改善するため、その上には方位の揃ったGaN結晶を成長することが可能となる。
また、GaN成膜温度よりも低温下かつ800℃以上の温度領域でAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を成膜したのちGaN成膜温度でGaNを成膜する第2工程を行う。
このようにすることにより、GaN層と中間層の成膜温度の差が小さくなり、積層界面の緩和を促進しつつ、従来技術にくらべてAlInGa1−x−yNの結晶品質が改善される。さらには昇温や降温に要する時間を短縮し、単位時間当たりの処理量を向上することができる。
本発明の半導体基板の製造方法において、上記第2工程において、GaNを成膜する過程で、基板を凸面状とする方向に基板の反りを矯正することも可能であり、
積層界面の緩和を制御することで、最終製品として反りを低減した高品質の半導体基板を得ることができる。
本発明の半導体基板の製造方法において、上記第2工程を行ったのち基板を冷却することにより、基板を凸面状とする方向に矯正された基板の反りを反対方向に戻すことも可能であり、
最終製品として反りを低減した高品質の半導体基板を得ることができる。
本発明の半導体基板の製造方法において、上記ベース基板は、Si基板の表面にSiC層が形成されたものとすることも可能である。
本発明の半導体基板の製造方法において、上記ベース基板は、Si基板の表面にSiO層を介してSiC層が形成されたものとすることも可能である。
本発明の半導体基板の製造方法において、上記ベース基板は、SiC基板とすることも可能である。
本発明の第1の半導体基板は、少なくとも最表層に単結晶のSiCが存在するベース基板の上記SiC上にAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を中間層として成膜されたGaN層が複数積層されている。SiCは、GaN層やAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層との格子定数差が4%未満と小さい。このため、SiCに最近接する第一のGaN層の転位密度を少なくすることができる。
しかも、中間層であるAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を挟んで基板側のGaN層の転位密度よりも、表面側のGaN層の転位密度の方が常に低いことから、半導体デバイスが実装される表面側のGaN層の欠陥が少ない高品質の半導体基板となる。
本発明の第1の半導体基板では、AlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を中間層としてSiC上に複数積層されたGaN層は、SiC側から表面側ほど転位密度が低くなるようにすることが可能である。
このように、剛性の高いSiC上に緩和した積層界面と高い結晶性を有するAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層の両方を同時に実現可能であるため、SiC側から表面側ほど転位密度が低くなっており、半導体デバイスが実装される表面側のGaN層の欠陥が少ない高品質の半導体基板となる。
本発明の第2の半導体基板は、少なくとも最表層に単結晶のSiCが存在するベース基板の上記SiC上にAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を中間層として成膜されたGaN層が複数積層され、基板の曲率半径が5m以上である。
このように、剛性の高いSiC上に緩和した積層界面と高い結晶性を有するAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層の両方を同時に実現可能であるため、GaN層の転位密度を少なくすることができる。
しかも、緩和した積層界面の効果により基板の曲率半径が5m以上であるため、最終製品として反りを低減した高品質の半導体基板となる。
本発明の第3の半導体基板は、少なくとも最表層に単結晶のSiCが存在するベース基板の上記SiC上にAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を中間層として成膜されたGaN層が複数積層され、上記SiC上にクラックなく0.5μm以上の厚さを有するGaNが堆積されている。
このように、剛性の高いSiC上に緩和した積層界面と高い結晶性を有するAlxInyGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層の両方を同時に実現可能であるため、GaN層の転位密度を少なくすることができる。
また、上記剛性の高いSiC上に緩和した積層界面と高い結晶性を有するAlxInyGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層の両方を同時に実現可能であるため、上記SiC上にクラックなく0.5μm以上の厚さを有するGaNが堆積されている。
このため、半導体デバイスが実装されるGaN層のクラックが少ない高品質の半導体基板となる。
本発明の半導体基板の製造方法の一実施形態を示す図である。 本実施形態の方法における温度と歪の関係を示す図である。 本発明の半導体基板の一実施形態を示す断面図である。 本実施形態の半導体基板における転位の状態を示す図である。
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明の半導体基板の製造方法の一実施形態を説明する加熱チャートの一例である。横軸を処理時間、縦軸を処理温度とした。
本実施形態が対象とするベース基板は、少なくとも最表層に単結晶のSiCが存在する半導体基板である。本実施形態では、このようなベース基板のSiC上に、所定のGaN成膜温度でGaN層を成膜する。
上記ベース基板は、Si基板の表面にSiC層が形成されたものとすることができる。
また、上記ベース基板は、Si基板の表面にSiO層を介してSiC層が形成されたものとすることができる。
また、上記ベース基板は、SiC基板とすることができる。
具体的には、後に詳しく説明するSiC on Si基板、SiC−OI基板、あるいはSiCバルク基板をベース基板とすることができる。このベース基板上に所定のGaN成膜温度でGaN層を成膜する。
つぎに、各ベース基板について説明する。
上記Si基板の表面にSiC層が形成された基板(SiC on Si基板)としては、例えば下記のような方法で製造した基板を用いることができる。例えば特願2010−286949に記載された方法である。
必要に応じて表面の清浄化処理を行った出発基板をアニールし、引き続き単結晶シリコン層をエピタキシャル成長させ、炭化水素系ガス雰囲気中で加熱して基板表面に形成した単結晶シリコン層を単結晶SiC層に変成させる。出発基板としては、単結晶Si基板、SOI基板、MgO基板、昇華法による六方晶SiCバルク基板、BP基板、サファイア基板、3C−SiC自立基板、GaN基板、GaAs基板、AlN基板、InN基板、SiGe基板、SiGe on Insulator基板等を用いることができる。
または、Si基板、SOI基板、SiGe基板、SiGe on Insulator基板等の少なくとも表層部分がSiからなる、あるいはSiを主成分とする半導体基板を出発基板とし、表層部のSiあるいはSiを主成分とする半導体結晶を炭化水素系ガス雰囲気中で加熱して炭化処理してSiC層に変成させ、上記SiC層をシード層として、SiCをエピタキシャル成長させる。
上記Si基板の表面にSiO層を介してSiC層が形成された基板は、例えば特願2002−22631、特願2008−151433に記載の方法で製造した基板を用いることができる。それ以外にも、貼り合わせによって製造した基板を用いることもできる。また、貼り合せSOI基板、Si on Glass、SOS基板など、基本的に単結晶Si(111)膜が絶縁体上に形成されたものであれば、各種の基板を出発基板として上述の特許文献の方法で同様にSi基板の表面にSiO層を介してSiC層が形成された基板を形成することが可能である。
上記SiC基板は、SiCのバルク基板であり、例えば、昇華法などの方法で製造された基板が市販されている。特に、エピレディー基板についてはGaN成長用にそのまま使用可能である。
ベース基板である「少なくとも最表層に単結晶のSiCが存在する半導体基板」の単結晶SiC層は、例えばつぎのような方法で形成することができる。最表面に単結晶Siを存在させた半導体基板の表面のSiを炭化する、Si上にCVD法でSiC薄膜単結晶を成長する、Si表面を炭化してさらにその上にCVD法でSiC薄膜単結晶を成長する、等の方法を採用することができる。
ここで、「最表面に単結晶Siを存在させた半導体基板」としては、市販されている各種Si基板やSOI(Silicon on Insulator:絶縁物上シリコン)基板を利用することができる。SIMOX(Separated by Implanted Oxygen)方式や、張り合わせ方式のSOI基板(Si/SiO/Si構造)に加えて、広義のSOI基板と考えられるSOS(Silicon on Sapphire:サファイア上シリコン)基板やSilicon on Glass(ガラス上シリコン)基板なども利用することができる。
これらのSOI基板を利用する場合、上述のSi表面を炭化するプロセスで、結果としてSi層がなくなる(すべてSiCに変成する)場合もあり得るが、この場合の基板も本方法の下地基板として同様に利用することができる。この場合は、下地基板はSi層なしのSiC−OI(SiC on Insulator:絶縁物上SiC)構造となる。
上記ベース基板上に所定のGaN成膜温度でGaN層を成膜する。
まず、上記ベース基板を所定のクリーニング温度に昇温して加熱保持し、基板表面の酸化皮膜等を除去するクリーニングを行う。クリーニングの際には、H、NF、CF、C、ClF、F、HCl等のクリーニングガスによる雰囲気を使用する。これらのガスは、必要に応じてNやAr等の不活性ガスによって希釈して使用することができる。
クリーニングにおける加熱温度は、例えば、1000〜1300℃程度に設定することができる。図の例では、1200℃に設定している。クリーニング時間は、例えば、1〜60分程度とすることができる。図の例では10分に設定されている。
つぎに、上記SiC上にGaN成膜温度よりも高温下でAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を成膜したのちGaN成膜温度でGaNを成膜する第1工程を行う。
この第1工程では、まず、SiCの上にバッファ層としてAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層をエピタキシャル成長させる。
このとき、Al源ガスとしては、例えば、TMA(Tri methyl aluminium:Al(CH)やTEA(Tri ethyl aluminium:Al(C)を用いることができる。
Ga源ガスとしては、例えば、TMG(tri methyl gallium:Ga(CH)やTEG(Tri ethyl gallium:Ga(C)を用いることができる。
N源ガスとしては、例えば、アンモニアNHを用いることができる。
In源ガスとしては、例えば、TMI(Tri methyl indium:In(CH)を用いることができる。
これらの原料ガスは、HやN等のキャリアガスとともに使用することができる。
ここで、本発明の説明においてバッファ層とは、ベース基板のSiC上に第1層目のGaN層を形成させるときに、SiCとGaNの間に形成させるAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層である。このようにして形成するバッファ層は、好ましくはAlN層とすることができる。
第1工程におけるAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)バッファ層の成膜温度は、少なくともGaN層の成膜温度よりも高温に設定される。具体的には例えば、1000〜1300℃程度に設定することができる。図の例では、1200℃に設定されている。
第1工程におけるAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)バッファ層の成膜時間は、例えば、1〜60分程度とすることができる。図の例では、10分に設定されている。
上記バッファ層を形成したのち、GaN層をエピタキシャル成長させる。このとき、Ga源ガスとしては、例えば、TMG(tri methyl gallium:Ga(CH)やTEG(Tri ethyl gallium:Ga(C)を用いることができる。
N源ガスとしては、例えば、アンモニアNHを用いることができる。
第1工程におけるGaN層の成膜温度は、具体的には例えば、900〜1200℃程度に設定することができる。図の例では、1080℃に設定されている。第1工程におけるGaN層の成膜時間は、例えば、5〜200分程度とすることができる。図の例では20分に設定されている。
そして、GaN成膜温度よりも低温下でAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を成膜したのちGaN成膜温度でGaNを成膜する第2工程を行う。
この第2工程は少なくとも1回以上行い、好ましくは複数回繰り返して行なう。
この第2工程では、まず、第1工程で成膜したGaN層の上にAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)中間層をエピタキシャル成長させる。
このとき、Al源ガスとしては、例えば、TMA(Tri methyl aluminium:Al(CH)やTEA(Tri ethyl aluminium:Al(C)を用いることができる。
Ga源ガスとしては、例えば、TMG(tri methyl gallium:Ga(CH)やTEG(Tri ethyl gallium:Ga(C)を用いることができる。
N源ガスとしては、例えば、アンモニアNHを用いることができる。
In源ガスとしては、例えば、TMI(Tri methyl indium:In(CH)を用いることができる。
本発明の説明において中間層とは、第1層目のGaN層の上にさらにGaN層を積層するときに、GaN層同士の中間に形成させるAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層である。このようにして成膜する中間層は、好ましくはAlN層とすることができる。
第2工程におけるAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)中間層の成膜温度は、少なくともGaN層の成膜温度よりも低温に設定される。
上記第2工程においてAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)中間層を成膜する温度は少なくとも800℃以上とするのが好ましい。具体的には例えば、800〜1200℃程度に設定することができ、より好ましいのは1000〜1100℃である。図の例では、1050℃に設定されている。
第2工程におけるAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)中間層の成膜時間は、例えば、1〜60分程度とすることができる。図の例では、4分に設定されている。
第2工程におけるGaN層の成膜温度は、具体的には例えば、900〜1200℃程度に設定することができ、より好ましいのは1000〜1100℃である。図の例では、1080℃に設定されている。第3工程におけるGaN層の成膜時間は、例えば、5〜200分程度とすることができる。図の例では20分に設定されている。
図2は、本実施形態の方法における加熱温度および時間と基板の反りとの関係を示す図である。時間の経過に対する温度変化を実線でプロットし、時間の経過に対する基板の反りを破線でプロットしている。
この図に示すように、上記第2工程において、GaNを成膜する過程で、基板を凸面状とする方向に基板の反りを矯正している。すなわち、Si基板の上に堆積したGaN層側が凸面状となる方向に反りを矯正する。
詳しく説明すると、破線で示したプロットの縦軸は曲率半径の逆数であり、第1工程の間は横這いであるが、第2工程のGaNを成膜する段階で数値が小さくなる。この例では、1回目のGaN成膜時に200km−1を下回り、2回目のGaN成膜時にマイナスの値を示し、その後3回目、4回目のGaN成膜時にさらに小さくなる。第2工程でも中間層の成膜時には、数値は少し大きくなる。
なお、縦軸における曲率半径の逆数200km−1(=0.2m−1)は、曲率半径になおすと5mである。
そして、上記第2工程を繰り返したのち基板を冷却することにより、基板を凸面状とする方向に矯正された基板の反りを反対方向に戻す。すなわち、Si基板の上に堆積したGaN層側が凹面状となる方向に反りを戻すのである。
第2工程において、AlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)中間層を、少なくともGaN層の成膜温度よりも低温の成膜温度でエピタキシャル成長させることにより、その後にGaN層をエピタキシャル成長させるときの反りの減少が大きくなる。
このような一連の工程において反りを矯正することにより、最終製品としての半導体基板は反りが少なく高品質なものとなる。
このようにして得られた半導体基板は、ベース基板のSiC上にAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を中間層として成膜されたGaN層が複数積層され、
基板の曲率半径が5m以上である。
図3は、上述した製造方法によって得られる本実施形態の半導体基板の断面を示す図である。
この半導体基板は、上述したベース基板のSiC上にAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を中間層として成膜されたGaN層が複数積層されている。
具体的には、ベース基板のSiC上に、AlNバッファ層を介して1層目のGaN層が形成されている。AlNバッファ層と1層目のGaN層は、上述した第1工程で形成されたものである。
さらに、第1のAlN中間層を介して2層目のGaN層が形成され、第2のAlN中間層を介して3層目のGaN層が形成され、第3のAlN中間層を介して4層目のGaN層が形成され、第4のAlN中間層を介して5層目のGaN層が形成されている。AlN中間層とその上に成膜されるGaN層は、上述した第2工程で形成されたものであり、この例では第2工程を4回繰り返してAlN中間層とGaN層を4ペア形成している。
第1工程で形成するAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)バッファ層の膜厚は、10〜500nm程度とするのが好ましい。
第1工程で形成するGaN層の膜厚は、0.1〜5μm程度とするのが好ましい。
第2工程で形成するAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)中間層の膜厚は、10〜500nm程度とするのが好ましい。
第2工程で形成するGaN層の膜厚は、0.1〜5μm程度とするのが好ましい。
本実施形態では、AlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を中間層としてSiC上に複数積層されたGaN層は、SiC側から遠く、表面側に近い層ほど転位密度が低くなっている。
また、本実施形態では、上記SiC上にAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を中間層として成膜されたGaN層が複数積層されることにより、上記SiC上にクラックなく0.5μm以上の厚さを有するGaNが堆積されている。
図4は、上記半導体基板における転位の状態を観察したものである。(a)(b)は透過型電子顕微鏡の暗視野像であり、(c)は断面の模式図である。
(a)(b)は、下記の条件および図1に示すチャートに従ってエピタキシャル成長を行った半導体基板である。
◎ベース基板
表面に3C−SiC層が約3μm形成されたSi基板:直径 約50mm×厚み 約0.5mm

◎第1工程
(1)AlN成長
温 度:1200℃
原 料:TMA+NH
時 間:10分
膜 厚:40nm
(2)GaN成長
温 度:1080℃
原 料:TMG+NH
時 間:20分
膜 厚:0.5〜4μm

◎第2工程
(1)AlN成長
温 度:1050℃
原 料:TMA+NH
時 間:4分
膜 厚:15nm
(2)GaN成長
温 度:1080℃
原 料:TMG+NH
時 間:20分
膜 厚:0.5〜4μm
(a)は回折方向g=(0002)の観察結果であり、(b)は回折方向g=(11−20)の観察結果である。
らせん転位および刃状転位の転位密度は、最もSi基板側のGaN層で2.6×10/cm−2であり、最も表面側のGaN層で5.0×10/cmであった。
これらの結果からつぎのことがわかる。
AlN層を中間層としてSiC上に複数積層されたGaN層は、SiC側から遠く、表面側に近いGaN層ほど転位密度が低くなっている。
さらに、上記SiC上にクラックなく0.5μm以上の厚さを有するGaNが堆積されていることが観察された。

Claims (10)

  1. 少なくとも最表層に単結晶のSiCが存在するベース基板上に所定のGaN成膜温度でGaN層を成膜する半導体基板の製造方法であって、
    上記SiC上にGaN成膜温度よりも高温下でAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を成膜したのちGaN成膜温度でGaNを成膜する第1工程を行い、
    GaN成膜温度よりも低温下でAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を成膜したのちGaN成膜温度でGaNを成膜する第2工程を行い、
    上記第2工程におけるAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を成膜する温度を少なくとも800℃以上としたことを特徴とする半導体基板の製造方法。
  2. 上記第2工程において、GaNを成膜する過程で、基板を凸面状とする方向に基板の反りを矯正する請求項1記載の半導体基板の製造方法。
  3. 上記第2工程を行ったのち基板を冷却することにより、基板を凸面状とする方向に矯正された基板の反りを反対方向に戻す請求項2記載の半導体基板の製造方法。
  4. 上記ベース基板は、Si基板の表面にSiC層が形成されたものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体基板の製造方法。
  5. 上記ベース基板は、Si基板の表面にSiO層を介してSiC層が形成されたものである請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体基板の製造方法。
  6. 上記ベース基板は、SiC基板である請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体基板の製造方法。
  7. 少なくとも最表層に単結晶のSiCが存在するベース基板の上記SiC上にAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を中間層として成膜されたGaN層が複数積層され、
    AlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を中間層としてSiC上に複数積層されたGaN層は、中間層であるAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を挟んでSiC側のGaN層よりも表面側のGaN層の方が転位密度が低いことを特徴とする半導体基板。
  8. AlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を中間層としてSiC上に複数積層されたGaN層は、SiC側から表面側ほど転位密度が低くなっている請求項7記載の半導体基板。
  9. 少なくとも最表層に単結晶のSiCが存在するベース基板の上記SiC上にAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を中間層として成膜されたGaN層が複数積層され、
    基板の曲率半径が5m以上であることを特徴とする半導体基板。
  10. 少なくとも最表層に単結晶のSiCが存在するベース基板の上記SiC上にAlInGa1−x−yN(0<x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)層を中間層として成膜されたGaN層が複数積層され、
    上記SiC上にクラックなく0.5μm以上の厚さを有するGaNが堆積されたことを特徴とする半導体基板。
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