JP2013172695A - 改良型パン酵母及び該酵母を用いたパン類の製造方法 - Google Patents

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【課題】高品質なパン類を製造するために用いる、中種法、直捏法のいずれにおいても発酵力の高い野生酵母を親株とする改良型変異パン酵母、及び、当該酵母を用いたパン類の製造方法を提供する。
【解決手段】北海道十勝地方に自生するエゾヤマザクラのサクランボから分離した野生酵母Saccharomyces cerevisiae AK46株(NITE P−487)の変異株である改良型変異パン酵母を用いることで、中種法、直捏法のいずれにおいても十分な発酵力を示し、高品質のパン類を製造することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、高品質なパン類を製造するために用いる改良型パン酵母、及び、当該酵母を用いたパン類の製造方法等に関するものである。
パンには多くの種類があり、食パン、菓子パンやその他のパンを含めてパン類と総称されている。パン類の製法は多様であるが、消費量の最も多い食パンは中種法または直捏法で製造される。中種法は、まず小麦粉、水、パン酵母(イースト)で練り上げた中種生地を室温で4時間程度発酵させ、これに残りの小麦粉、水、砂糖、食塩、油脂などを加えて混捏した生地をさらに発酵後、焼成する。この方法は、製造工程が煩雑であるものの出来上がったパンは硬くなりにくいことから、自動化が進んだ大規模工場で広く採用されている。一方、直捏法は、すべての原料を一度に混捏したパン生地を発酵後、焼成する方法であり、作業時間が短いことから中小のベーカリーで普及している。
これらの製法で使用されるパン酵母はSaccharomyces cerevisiaeに分類される生物種であり、重要な性質は、解糖経路で発生する炭酸ガスによって速やかにパン生地を膨張させる能力、すなわち高いパン生地発酵力である。
中種生地は原料として砂糖を添加しないため、中種生地において、酵母はパン生地中にわずかに存在する単糖類を発酵して1時間程度で消費し、その後の2〜3時間は小麦粉に含まれるβ−アミラーゼなどの作用によってデンプンから生成するマルトースを発酵する。このとき、酵母はマルトースパーミアーゼによってマルトースを細胞内に取り込み、α−グルコシダーゼによってグルコース2分子へと分解する。また、直捏法で製造したパン生地中において、酵母はスクロースを菌体外インベルターゼによってグルコースとフルクトースへと加水分解して消費し、中種生地と同様にデンプンからマルトースを発酵する。そのため、市販のパン酵母としては、中種法および直捏法のいずれ製法にも適用できるように、十分なマルトースパーミアーゼ活性、α−グルコシダーゼ活性及び高いスクロース代謝活性を兼ね備えた菌株が使用されている。
一方、自然界から分離された野生酵母Saccharomyces cerevisiaeには、パンに好ましい風味が付与するような性質が見出される株が存在している。しかし、野生酵母は、マルトース発酵性を備えていても、スクロースやグルコースのように代謝されやすい糖が存在するとマルトースパーミアーゼ及びα−グルコシダーゼのマルトース代謝系酵素の発現が抑制されるという現象、いわゆるカタボライトリプレッション(異化代謝産物抑制)によってマルトースを発酵できなくなる。そのため、野生酵母のパン生地発酵力は市販パン酵母よりも著しく低いという問題点がある。したがって、市販パン酵母と同様の高いパン生地発酵力を備えている新たな野生酵母の開発が当業界において求められていた。
なお、これまでに、2−デオキシグルコースを含むマルトースを主要糖源とする最少培地において生育可能なSaccharomyces cerevisiaeの2−デオキシグルコース耐性株の中から、グルコースとマルトースの両方を同時に発酵するカタボライトリプレッション解除株が見出されている(非特許文献1、2)。また、野生酵母とワイン酵母の細胞融合株から、糖無添加パン生地の発酵力が上昇した2−デオキシグルコース耐性株が分離されている(非特許文献3)。グルコースの構造アナログである2−デオキシグルコースは、グルコースと同様にカタボライトリプレッションを引き起こすが代謝されないのでマルトース代謝系酵素の発現を抑制する。そのため、2−デオキシグルコース耐性を付与することによって、カタボライトリプレッション解除株が取得できるものと考えられる。
しかし、高濃度の2−デオキシグルコース含有選択培地による耐性株取得には、強い変異条件により他の発酵特性を損ねる可能性があるという問題点があり、逆に、低濃度での選択では十分な能力の変異株は得られにくいという問題点がある。
また、中種法で高品質のパンをつくることができる野生酵母としては、北海道十勝地方に自生するエゾヤマザクラのサクランボから分離した酵母Saccharomyces cerevisiae AK46株がある(特許文献1)。しかし、この株も市販パン酵母よりパン生地発酵力が低いため、直捏法では十分に膨張したパンが得られないのが実情である。
特開2010−68739号公報
Journal of Industrial Microbiology,6,149−156(1990) Applied Microbiology and Biotechnology,42,581−586(1994) 製パン用酵母「美の和酵母」の改良研究, 群馬県立産業技術センター研究報告(2008)
本発明は、高品質なパン類を製造するために用いる、中種法、直捏法のいずれにおいても発酵力の高い野生酵母を親株とする改良型変異パン酵母、及び、当該酵母を用いたパン類の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究の結果、北海道十勝地方に自生するエゾヤマザクラのサクランボから分離した野生酵母、Saccharomyces cerevisiae AK46株(NITE P−487)の変異株である改良型変異パン酵母を用いることで、中種法、直捏法のいずれにおいても高品質のパン類を製造することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の実施形態は次のとおりである。
(1)Saccharomyces cerevisiae AK46株(NITE P−487)の変異株であって、糖無添加パン生地及び糖添加パン生地発酵力のいずれもが親株より高まっていること(及び他の発酵特性を維持していること)を特徴とする、改良型変異パン酵母。
(2)変異が、2−デオキシグルコース耐性の付与(特に、2−デオキシグルコースを高濃度で含有する選択培地による2−デオキシグルコース耐性の付与)であることを特徴とする、(1)に記載の改良型変異パン酵母。
(3)2−デオキシグルコース耐性を有する改良型変異パン酵母であるSaccharomyces cerevisiae MCD4株(NITE P−1165)。
(4)(1)〜(3)のいずれか1つに記載の改良型変異パン酵母を使用することを特徴とする、パン類の製造方法。
(5)直捏法によって製造することを特徴とする、(4)に記載のパン類の製造方法。
(6)Saccharomyces cerevisiae AK46株(NITE P−487)を親株とし、2−デオキシグルコースを0.08〜0.10%(好ましくは0.08%)含有する選択培地を用いて2−デオキシグルコース耐性変異株を取得することを特徴とする、糖無添加パン生地及び糖添加パン生地発酵力のいずれもが親株より高まっている改良型変異パン酵母の育種方法。
本発明によれば、糖無添加パン生地及び糖添加パン生地のいずれのパン生地でも発酵力が高い改良型変異パン酵母が提供され、当該酵母を使用してパン類を製造することで、好ましい風味が付与され十分膨らんだ高品質のパン類(特に直捏法で製造される食パン)を得ることができる。
MCD4株(丸印)、AK46株(黒四角印)、HP216株(三角印)の中種生地発酵力(10分当たりに発生する炭酸ガス量の変化)を示すグラフである。縦軸は炭酸ガス発生量(ml/10分)、横軸は発酵時間(分)を示す。 MCD4株(丸印)、AK46株(黒四角印)、HP216株(三角印)の直捏生地発酵力(10分当たりに発生する炭酸ガス量の変化)を示すグラフである。縦軸は炭酸ガス発生量(ml/10分)、横軸は発酵時間(分)を示す。
本発明の改良型変異パン酵母は、北海道十勝地方に自生するエゾヤマザクラのサクランボから分離した酵母Saccharomyces cerevisiae AK46株(NITE P−487)を親株として取得する。このAK46株は、好ましいフルーティーな香りと味のパン類を製造できるものであるが、市販パン酵母と比較するとパン生地発酵力(特に糖無添加の直捏生地発酵力)が弱い。
本発明の改良型変異パン酵母は、この親株から、糖無添加パン生地及び糖添加パン生地発酵力のいずれもが親株より高まり且つ他の発酵特性を維持する(発酵特性が変異により損なわれない)変異株選択方法により取得できる。
好適な方法としては、AK46株を親株とし、2−デオキシグルコース含有選択培地により2−デオキシグルコース耐性変異株を取得する方法が例示される。なお、酵母の生育は2−デオキシグルコースによって阻害されるが、その最少阻害濃度は菌株によって異なり、AK46株については0.08%である。したがって選択培地としては、2−デオキシグルコースを0.08〜0.10重量%(好ましくは0.08重量%)含有する選択培地を用いるのが好ましい。本発明の改良型変異パン酵母は、このような高濃度2−デオキシグルコース含有選択培地を用いて得た、糖無添加パン生地及び糖添加パン生地発酵力のいずれもが親株より高まり且つ他の発酵特性も維持した変異株であることが特徴である。
このようにして、Saccharomyces cerevisiae AK46株(NITE P−487)を親株として優良変異株がいくつか得られ、そのうち最も好適な発酵特性を有するものとしては、Saccharomyces cerevisiae MCD4株が例示される。このMCD4株の主な菌学的性質を例示すると、以下の通りである。
(a)YM寒天培地で25℃、3日間培養したときの菌の形態
(1)栄養細胞の大きさ:3〜6μm×4〜7μm。
(2)栄養細胞の形状:球形または楕円形。
(3)増殖の形式:多極出芽する。
(4)コロニーの性状:淡褐色で、光沢がある。
(b)胞子形成の有無
SPO培地(酢酸カリウム1.0%、酵母エキス0.1%、グルコース0.05%、寒天2.0%)上で25℃、3〜5日培養すると1〜4個の球形の胞子を形成する。
(c)生理学的・化学分類学的性質
(1)生育の範囲:22〜37℃で生育する。
(2)糖の発酵性
グルコース:+
ガラクトース:+
スクロース:+
マルトース:+
ラクトース:−
ラフィノース:+
トレハロース:+
イヌリン:−
(3)炭素源資化性
グルコース:+
ガラクトース:+
L−ソルボース:−
スクロース:+
マルトース:+
セロビオース:−
トレハロース:+
ラクトース:−
メリビオース:−
ラフィノース:+
メレジトース:−
イヌリン:−
可溶性デンプン:−
D−キシロース:−
L−アラビノース:−
D−アラビノース:−
D−リボース:−
L−ラムノース:−
エリスリトール:−
アドニトール:−
ズルシトール:−
D−マンニトール:−
D−ソルビトール:−
α−メチルグルコシド:−
サリシン:−
グルコン酸:−
乳酸:−
コハク酸:−
クエン酸:−
イノシトール:−
(4)その他の資化性および生育の特徴
硝酸カリウム:−
カダベリン:−
L−リジン:−
エチルアミン塩酸塩:−
50%グルコース:−
ゼラチンの液化:−
アルブチンの分解:−
尿素の分解:−
有機酸生成:−
シクロヘキシイミド耐性(100mg/l):−
なお、Saccharomyces cerevisiae MCD4株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構・特許微生物寄託センター(〒292−0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に、2011年(平成23年)11月22日付けでNITE P−1165として寄託されている。
また、得られた優良変異株は、選択培地と同程度の濃度の2−デオキシグルコースを含有する培地で数回(例えば2〜10回)継代培養して固定化するのが好ましい。このようにして得た改良型変異パン酵母は、各種パン類製造方法に用いることで、発酵力が十分な高品質のパン類を得ることができる。特に、本発明のパン酵母は、糖無添加のパン類(直捏法で製造される食パン等)及び糖添加パン類の発酵・製造のいずれにおいても顕著な効果を発揮するのが特徴である。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内においてこれらの様々な変形が可能である。
(改良型変異パン酵母の取得)
Saccharomyces cerevisiae AK46株を200ml三角フラスコ中のYPD液体培地(酵母エキス1.0%、ポリペプトン2.0%、グルコース2.0%)10mlに接種して、30℃、24時間、150rpmで振盪培養した。この培養液40mlの菌体を遠心分離で回収し、滅菌水で2回洗浄後、滅菌水10mlに懸濁した。この菌体懸濁液0.1mlをシャーレ(直径8cm)中の0.08%の2−デオキシグルコースを含む最少マルトース寒天培地(マルトース 2.0%、Yeast Nitrogen Base without Amino Acids 0.67%、寒天 2.0%)に塗布した。2枚の寒天培地を30℃、10日間培養後、出現した1個のコロニーを0.09%の2−のデオキシグルコースを含む最少寒天培地上で単コロニー分離による純化を2回繰り返し、0.10%の2−デオキシグルコースを含む最少寒天培地に生育させてMCD4株として保存した。
(糖無添加パン生地発酵力及び香気比較確認試験)
Saccharomyces cerevisiae MCD4株、Saccharomyces cerevisiae AK46株及び市販パン酵母から分離したSaccharomyces cerevisiae HP216株の糖無添加パン生地発酵力及び香気について比較するため、以下の試験を実施した。
各菌株を50ml三角フラスコのYPD培地(バクト酵母エキス1.0%、バクトペプトン2.0%、グルコース2.0%)10mlで30℃、24時間旋回振盪培養(150rpm)し、そのうちの0.6mlを300mlバッフル付き三角フラスコ中のYPS培地(バクト酵母エキス2.0%、バクトペプトン4.0%、KHPO 0.2%、MgSO・7HO 0.1%、NaCl 3.0%、アデカノールLG−294 0.05%、スクロース 2.0%)60mlに接種して30℃、24時間旋回振盪培養(150rpm)した。YPS培地は、後述する酵母菌体のパン生地発酵力を高めるための培地であり、スクロース及びその他の成分は別々に滅菌しておき、使用直前に混合した。培養後の菌体は遠心分離で回収し、蒸留水で2回洗浄してから乾燥させた吸収板の上に数分間置いて培養湿菌体を得た。培養菌体の固形分は約30%になるが、一部を乾燥させて正確な数値を算出し、以下の実験では固形分33%に換算した重量とした。
小麦粉(強力)10g、蒸留水5.5ml及び酵母菌体0.2gを含む懸濁液1.0mlを1分間混捏した。調製した糖無添加パン生地は2.4cm×20cmの試験管に入れ、発生する炭酸ガス量を飽和食塩水中のメスシリンダーに導いて30℃、2時間当たりに発生する炭酸ガス発生量をパン生地発酵力として測定した。
表1に示したように、MCD4株の糖無添加パン生地発酵力は親株であるAK46株の1.6倍にまで上昇しており、HP216株よりも高かった。
Figure 2013172695
(中種パン生地発酵力比較確認試験)
小麦粉(強力粉)140g、実施例2と同様の方法で得たMCD4株、AK46株、HP216株の各酵母培養菌体4.0g、アスコルビン酸溶液1.0ml(6mg/ml)及び蒸留水83mlをピンミキサーで135rpm、3分間混捏し、捏ね上げたときの温度が30℃になるように中種生地を調製した。パン生地20gを分割し、10分当たりに発生する炭酸ガス量の変化をファーモグラフII(アトー株式会社製品)にて測定した。その結果、MCD4株はAK46株及びHP216株よりも炭酸ガスを素早く発生することが示された(図1)。
(中種法による食パン品質確認試験)
中種法で食パンを製造し、その品質について比較した。実施例3と同様に調製した中種生地を30℃、4時間発酵させた後、これに小麦粉60g、ショ糖10.0g、食塩4.0g、ショートニング10.0g及び蒸留水50mlを加えて135rpmでピンミキサーへの抵抗が最大になるまで混捏した。30℃、20分のフロアタイム後、パン生地を100gづつ手で分割して丸めて30℃、15分のベンチタイムをとった。これをモルダーとシーターで成型し、38℃、湿度85%のホイロ発酵を55分行ってから200℃、25分焼成した。これを室温で放冷後、重量と容積を測定して比容積(ml/g)を算出した。
その結果を表2に示す。MCD4株でつくったパンはHP216株と同様にAK46株よりも大きな比容積を示した。また、MCD4株とHP216株で製造したパン比較すると、前者のほうが外観、香り、味がともに良好であり、好ましい品質を示した。
Figure 2013172695
(直捏パン生地の発酵力比較確認試験)
小麦粉(強力粉)200g、ショ糖10.0g、食塩4.0g、ショートニング10g、実施例2と同様の方法で得たMCD4株、AK46株、HP216株の各酵母菌体4.0g、アスコルビン酸溶液1.0ml(20mg/ml)および蒸留水132mlをピンミキサーで混捏し、捏ね上げたときの温度が30℃になるように直捏生地を調製した。パン生地20gを分割し、10分当たりに発生する炭酸ガス量の変化をファーモグラフII(アトー株式会社製品)にて測定した。MCD4株はHP216株と同様にAK46株よりも炭酸ガスを素早く発生することが示された(図2)。
(直捏法による食パン品質確認試験)
直捏法で食パンを製造し、その品質について比較した。実施例4と同様に調製した直捏生地を100gづつ手で分割して丸めて30℃、20分のベンチタイムをとった。これをモルダーとシーターで成型し、38℃、湿度85%のホイロ発酵を70分行ってから200℃、25分焼成した。これを室温で放冷後、重量と容積を測定して比容積を算出した。
その結果を表3に示す。MCD4株でつくったパンはHP216株と同様にAK46株よりも大きな比容積を示した。また、MCD4株とHP216株で製造したパン比較すると、前者のほうが外観、香り、味がともに良好であり、好ましい品質を示した。
Figure 2013172695
これらの結果から、MCD4株は、非常に優れた製パン性を示すとともに、得られたパンも非常に優れた特徴を持っており、従来のパンに比べ品質が格段に向上することがわかる。
本発明を要約すれば、以下の通りである。
本発明は、高品質なパン類を製造するために用いる、中種法、直捏法のいずれにおいても発酵力の高い野生酵母を親株とする改良型変異パン酵母、及び、当該酵母を用いたパン類の製造方法を提供することを目的とする。
そして、北海道十勝地方に自生するエゾヤマザクラのサクランボから分離した野生酵母Saccharomyces cerevisiae AK46株(NITE P−487)の変異株である改良型変異パン酵母を用いることで、中種法、直捏法のいずれにおいても十分な発酵力を示し、高品質のパン類を製造することができる。
本発明において寄託された微生物の受託番号を下記に示す。
(1)Saccharomyces cerevisiae AK46株(NITE P−487)。
(2)Saccharomyces cerevisiae MCD4株(NITE P−1165)。

Claims (6)

  1. Saccharomyces cerevisiae AK46株(NITE P−487)の変異株であって、糖無添加パン生地及び糖添加パン生地発酵力のいずれもが親株より高まっていることを特徴とする、改良型変異パン酵母。
  2. 変異が、2−デオキシグルコース耐性の付与であることを特徴とする、請求項1に記載の改良型変異パン酵母。
  3. 改良型変異パン酵母であるSaccharomyces cerevisiae MCD4株(NITE P−1165)。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の改良型変異パン酵母を使用することを特徴とする、パン類の製造方法。
  5. 直捏法によって製造することを特徴とする、請求項4に記載のパン類の製造方法。
  6. Saccharomyces cerevisiae AK46株(NITE P−487)を親株とし、2−デオキシグルコースを0.08〜0.10%含有する選択培地を用いて2−デオキシグルコース耐性変異株を取得することを特徴とする、糖無添加パン生地及び糖添加パン生地発酵力のいずれもが親株より高まっている改良型変異パン酵母の育種方法。
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