JP2013169577A - シリンダブロック鋳造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ピストンが摺動するシリンダボア(42)を形成する円柱状のボアピン(10)を中子として金型内に備えてキャビティ(6)に溶湯を注入して内燃機関のシリンダブロック(40)を鋳造するシリンダブロック鋳造装置において、ボアピン(10)は外周面(10a)の内側近傍に螺旋状に冷却用の冷媒螺旋通路(15)が形成され、鋳造1サイクル中に前記冷媒螺旋通路(15)を循環する冷媒の循環量を制御する制御手段(31)を備えたシリンダブロック鋳造装置。
【選択図】図4
Description
そして、該ボアピン内に冷却水を流してボアピンを冷却することができるようにした例がある(例えば、特許文献1参照)。
したがって、ボアピンの周囲の溶湯を冷却するよりも、ボアピン全体が冷却されるべく、ボアピンの中心軸に穴を形成して冷媒を流してボアピン全体を冷却する構造としている。
しかし、前記特許文献1に開示されたような中心部に冷媒用の穴が形成されたボアピンでは、ボアピンの内部の制御温度が周囲の溶湯に影響を与えるのにタイムラグがあり、タイミング良く効果的に温度制御することは困難である。
ピストンが摺動するシリンダボア(42)を形成する円柱状のボアピン(10)を中子として金型内に備えてキャビティ(6)に溶湯を注入して内燃機関のシリンダブロック(40)を鋳造するシリンダブロック鋳造装置において、
前記ボアピン(10)は外周面(10a)の内側近傍に螺旋状に冷却用の冷媒螺旋通路(15)が形成され、
鋳造1サイクル中に前記冷媒螺旋通路(15)を循環する冷媒の循環量を制御する制御手段(31)を備えたことを特徴とするシリンダブロック鋳造装置である。
請求項1記載のシリンダブロック鋳造装置において、
前記制御手段(31)は、前記キャビティ(6)への溶湯の注入タイミングに応じて前記冷媒螺旋通路(15)を循環する冷媒の循環量を制御することを特徴とする。
請求項1または請求項2記載のシリンダブロック鋳造装置において、
前記ボアピン(10)の円柱中心軸(C)に冷媒導入通路(13)が穿孔され、
前記冷媒導入通路(13)の下流端で放射状に分岐した冷媒放射通路(14)が前記冷媒螺旋通路(15)の上流端環状部(15a)に連通することを特徴とする。
請求項3記載のシリンダブロック鋳造装置において、
前記ボアピン(10)には、前記冷媒螺旋通路(15)の最も高い位置に下流端部を有し、同下流端部から冷媒導出通路(16)が延出して形成されていることを特徴とする。
請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載のシリンダブロック鋳造装置において、
前記冷媒螺旋通路(15)は、通路断面が前記ボアピン(10)の外周面側が直線で円柱中心軸側が円弧状に膨らんでD字状を形成していることを特徴とする。
請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載のシリンダブロック鋳造装置において、
アルミニウム合金を溶融した溶湯を高圧で前記金型内のキャビティ(6)に注入するアルミダイカスト製法を用いて前記シリンダブロック(40)を鋳造することを特徴とする。
このように鋳造1サイクル中のシリンダ部(41)の温度変化を小さく抑えて適切な温度に制御することができ、母材の組成を最適化したシリンダブロックを鋳造することができる。
本実施の形態に係るシリンダブロック鋳造装置1は、アルミニウム合金を溶融した溶湯をプランジャにより高圧で注湯するアルミダイカスト製法に基づくものである。
外側の金型が固定側金型2と可動側金型3とからなり、シリンダボアを形成するボアピン10が主な中子である。
図2および図3は、ボアピン10の構造を示した説明図であり、ボアピン10自体を仮想線で示し、内部の冷媒通路を実線で示している。
ボアピン10の外周面10aの内側近傍に外周面10aに沿って螺旋状に冷媒螺旋通路15が形成されている。
冷媒螺旋通路15の通路断面は、ボアピン10の外周面10a側が直線で円柱中心軸C側が円弧状に膨らんでD字状を形成している(図4参照)。
そして、冷媒螺旋通路15におけるボアピン10の円柱端面10bと反対側の下流端は、ボアピンの円柱中心軸Cを水平にして金型2,3に組み込まれたとき、冷媒螺旋通路15の最も高い位置にあり、そこから冷媒導入通路13に平行に冷媒導出通路16が、円柱端面10bと反対側に向けて延出形成されている。
さらに、冷媒螺旋通路15の通路断面は、ボアピン10の外周面10a側が直線で円柱中心軸C側が円弧状に膨らんでD字状を形成しているので、ボアピン10の外周面10a近傍を益々効率良く冷却することができる。
本シリンダブロック40は、内側にシリンダボア42を構成した円筒状のシリンダ部41が形成されていて、シリンダ部41の下部を除いた外周は上面視(図7参照)で矩形に延出した外周延出部43が形成されており、外周延出部43の内部に環状にウォータジャケット44が形成されている。
また、シリンダ部41の外周に矩形に形成された外周延出部43の4隅にシリンダブロック40をシリンダヘッドとともにクランクケースに締結するスタットボルトのボルト孔46が穿孔されている。
ピン孔47はウォータジャケット43に連通している。
円筒状の砂中子20の一端面には、連通長孔45を形成するための凸部20aが周方向所定箇所に複数形成されている。
シリンダヘッド側(上側)のピン孔47は、ガスケットにより閉塞され、クランクケース側(下側)のピン孔47は、図8および図9に示すように、コーンプラグ50の圧入により閉塞され、クランクケース内への水漏れを防止する。
同図4を参照して、シリンダボア42を成形するボアピン10とウォータジャケット43を成形する砂中子20を主な中子として固定側金型2内に配置して可動側金型3が合体している。
ボアピン10は、冷媒螺旋通路15が形成されている部分が殆ど固定側金型2内に挿入されている。
なお、シリンダブロック40の4つのボルト孔46を成形する4本のボルト孔用ピン22が可動側金型3に保持されて所定位置に支持されている。
このシリンダブロック40の鋳造に際して、ボアピン10の内部の冷媒螺旋通路15に冷却水が供給される。
本シリンダブロック鋳造装置1は、この制御弁30を制御する制御装置31を備えている(図1参照)。
図6は、キャビティ6内に溶湯を注湯したときの溶湯圧力の変化とボア温度(ボアピン10の外周面10aの温度)の変化を、同時に示したグラフであり、制御弁30の開閉タイミング制御(冷却タイミング制御)を同時に示している。
この従来の冷却方法によると、ボア温度の温度変化は大きく、よって溶湯が微細な気泡を含んだまま凝固したり、湯境やひけ巣が発生したりする可能性があり、母材の組成を良好に維持できない。
その後、時点t1を過ぎ、溶湯圧力が急激に上昇する。
そして、キュアリング時の高い溶湯圧力が凝固の始まりと同時に急激に低下した後の冷却停止時点Teで制御弁30を閉じ、冷媒螺旋通路15の冷却水の循環を止めて冷却を停止する。
同図6を参照して、溶湯射出時に冷却は停止されているので、ボア温度は低下することなく略一定の温度にあり、射出後溶湯圧力が上昇する若干前の冷却開始時点Tsでボアピン10内の冷媒螺旋通路15に冷却水を循環させて冷却が開始するので、キャビティ6が溶湯で満たされる時点t1辺りのボア温度の上昇が抑制される。
すなわち、ピストンの摺動によりシリンダ部41が高温になっても、内部に微細な気泡が略存在せず湯境も生じていないので、気泡内部や湯境に溜まった前処理液が加熱によりガス化してメッキ膜を膨らませるようなことは回避することができる。
10…ボアピン、13…冷媒導入通路、14…冷媒放射通路、15…冷媒螺旋通路、16…冷媒導出通路、
20…砂中子、21…支持ピン、22…ボルト孔用ピン、
30…制御弁、31…制御装置、
40…シリンダブロック、41…シリンダ部、42…シリンダボア、43…外周延出部、44…ウォータジャケット、45…連通長孔、46…ボルト孔、47…ピン孔、48…チェーンカバー部、49…チェーン室、50…コーンプラグ。
Claims (6)
- ピストンが摺動するシリンダボア(42)を形成する円柱状のボアピン(10)を中子として金型内に備えてキャビティ(6)に溶湯を注入して内燃機関のシリンダブロック(40)を鋳造するシリンダブロック鋳造装置において、
前記ボアピン(10)は外周面(10a)の内側近傍に螺旋状に冷却用の冷媒螺旋通路(15)が形成され、
鋳造1サイクル中に前記冷媒螺旋通路(15)を循環する冷媒の循環量を制御する制御手段(31)を備えたことを特徴とするシリンダブロック鋳造装置。 - 前記制御手段(31)は、前記キャビティ(6)への溶湯の注入タイミングに応じて前記冷媒螺旋通路(15)を循環する冷媒の循環量を制御することを特徴とする請求項1記載のシリンダブロック鋳造装置。
- 前記ボアピン(10)の円柱中心軸(C)に冷媒導入通路(13)が穿孔され、
前記冷媒導入通路(13)の下流端で放射状に分岐した冷媒放射通路(14)が前記冷媒螺旋通路(15)の上流端環状部(15a)に連通することを特徴とする請求項1または請求項2記載のシリンダブロック鋳造装置。 - 前記ボアピン(10)には、前記冷媒螺旋通路(15)の最も高い位置に下流端部を有し、同下流端部から冷媒導出通路(16)が延出して形成されていることを特徴とする請求項3記載のシリンダブロック鋳造装置。
- 前記冷媒螺旋通路(15)は、通路断面が前記ボアピン(10)の外周面側が直線で円柱中心軸側が円弧状に膨らんでD字状を形成していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載のシリンダブロック鋳造装置。
- アルミニウム合金を溶融した溶湯を高圧で前記金型内のキャビティ(6)に注入するアルミダイカスト製法を用いて前記シリンダブロック(40)を鋳造することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載のシリンダブロック鋳造装置。
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