JP2013169577A - シリンダブロック鋳造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶湯が微細な気泡を含んだまま凝固しないように温度変化を小さく抑えて母材の組成の最適化を図ってシリンダブロックを鋳造することができるシリンダブロック鋳造装置を供する。
【解決手段】ピストンが摺動するシリンダボア(42)を形成する円柱状のボアピン(10)を中子として金型内に備えてキャビティ(6)に溶湯を注入して内燃機関のシリンダブロック(40)を鋳造するシリンダブロック鋳造装置において、ボアピン(10)は外周面(10a)の内側近傍に螺旋状に冷却用の冷媒螺旋通路(15)が形成され、鋳造1サイクル中に前記冷媒螺旋通路(15)を循環する冷媒の循環量を制御する制御手段(31)を備えたシリンダブロック鋳造装置。
【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関のシリンダブロックを鋳造する装置に関する。
金型に溶湯を注入してシリンダブロックを鋳造する場合、ボアピンを中子として用いてピストンが摺動するところのシリンダボアを成形することが一般に行われている。
そして、該ボアピン内に冷却水を流してボアピンを冷却することができるようにした例がある(例えば、特許文献1参照)。
特許第4243303号公報
特許文献1に開示された鋳造金型装置は、シリンダボアを構成するスリーブをボアピンが支持して鋳込む鋳造装置であり、円柱状をしたボアピンの中心軸にボアピンの外径の4分の1程度の内径の穴が背面側から穿設されて、その穴の内周面にスパイラル状の溝が形成され、パイプにより冷媒が穴の底に送り込まれるようになっている。
この冷却構造により鋳造のサイクルタイムを短縮して生産効率を上げるともに、金型に溶湯を注入し溶湯が凝固して型開きする際に、ボアピンが最適に冷却されることで、容易にボアピンを抜き取り易くしている。
したがって、ボアピンの周囲の溶湯を冷却するよりも、ボアピン全体が冷却されるべく、ボアピンの中心軸に穴を形成して冷媒を流してボアピン全体を冷却する構造としている。
ところで、鋳造時にスリーブを鋳込まず、ボアピンにより直接シリンダボアを成形し、形成されたシリンダボアの内周面にスリーブの代わりに硬質メッキを施してピストンの摺動に耐えるようにしたシリンダブロックを製造する場合は、金型に溶湯を高圧で注入して鋳造する際に、大きな温度変化により溶湯が微細な気泡(ブローホールのうちでも極小の気泡)を含んだまま凝固したり、湯境を生じたりしている場合がある。
こうして凝固したシリンダブロックのシリンダ部の内周面に硬質メッキが施されて使用に供されると、ピストンの摺動によりシリンダ部が高温になり、気泡内部や湯境に溜まった前処理液が加熱によりガス化してメッキ膜を膨らませるおそれがある。
したがって、金型に溶湯を高圧で注入して鋳造する際に、特にシリンダ部に大きな温度変化が生じないように、温度制御がタイミング良く効果的になされることが必要とされる。
しかし、前記特許文献1に開示されたような中心部に冷媒用の穴が形成されたボアピンでは、ボアピンの内部の制御温度が周囲の溶湯に影響を与えるのにタイムラグがあり、タイミング良く効果的に温度制御することは困難である。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、溶湯が微細な気泡を含んだまま凝固したり湯境を生じないように温度変化を小さく抑えて母材の組成の最適化を図ってシリンダブロックを鋳造することができるシリンダブロック鋳造装置を供する点にある。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、
ピストンが摺動するシリンダボア(42)を形成する円柱状のボアピン(10)を中子として金型内に備えてキャビティ(6)に溶湯を注入して内燃機関のシリンダブロック(40)を鋳造するシリンダブロック鋳造装置において、
前記ボアピン(10)は外周面(10a)の内側近傍に螺旋状に冷却用の冷媒螺旋通路(15)が形成され、
鋳造1サイクル中に前記冷媒螺旋通路(15)を循環する冷媒の循環量を制御する制御手段(31)を備えたことを特徴とするシリンダブロック鋳造装置である。
請求項2記載の発明は、
請求項1記載のシリンダブロック鋳造装置において、
前記制御手段(31)は、前記キャビティ(6)への溶湯の注入タイミングに応じて前記冷媒螺旋通路(15)を循環する冷媒の循環量を制御することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、
請求項1または請求項2記載のシリンダブロック鋳造装置において、
前記ボアピン(10)の円柱中心軸(C)に冷媒導入通路(13)が穿孔され、
前記冷媒導入通路(13)の下流端で放射状に分岐した冷媒放射通路(14)が前記冷媒螺旋通路(15)の上流端環状部(15a)に連通することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、
請求項3記載のシリンダブロック鋳造装置において、
前記ボアピン(10)には、前記冷媒螺旋通路(15)の最も高い位置に下流端部を有し、同下流端部から冷媒導出通路(16)が延出して形成されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載のシリンダブロック鋳造装置において、
前記冷媒螺旋通路(15)は、通路断面が前記ボアピン(10)の外周面側が直線で円柱中心軸側が円弧状に膨らんでD字状を形成していることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、
請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載のシリンダブロック鋳造装置において、
アルミニウム合金を溶融した溶湯を高圧で前記金型内のキャビティ(6)に注入するアルミダイカスト製法を用いて前記シリンダブロック(40)を鋳造することを特徴とする。
請求項1記載のシリンダブロック鋳造装置によれば、中子としての円柱状のボアピン(10)は、外周面(10a)の内側近傍に螺旋状に冷却用の冷媒螺旋通路(15)が形成されるので、同冷媒螺旋通路(15)を流れる冷却水によりシリンダブロック(40)の冷媒螺旋通路(15)に近いシリンダ部(41)の温度制御がタイミング良く効果的になされる構造であり、かかる構造の下で、鋳造1サイクル中に冷媒螺旋通路(15)を循環する冷媒の循環量を制御することで、鋳造時に、シリンダ部(41)の温度変化を小さく抑えるように冷媒の循環量を制御することができ、シリンダ部(41)に細かい気泡を含まず湯境を生じない組成の最適化を図ったシリンダブロック(40)を鋳造することができる。
請求項2記載のシリンダブロック鋳造装置によれば、制御手段(31)は、キャビティ(6)への溶湯の注入タイミングに応じて冷媒螺旋通路(15)を循環する冷媒の循環量を制御するので、シリンダ部(41)の温度変化を小さく抑えるように冷媒の循環量を制御することが容易にできる。
このように鋳造1サイクル中のシリンダ部(41)の温度変化を小さく抑えて適切な温度に制御することができ、母材の組成を最適化したシリンダブロックを鋳造することができる。
請求項3記載のシリンダブロック鋳造装置によれば、ボアピン(10)の円柱中心軸(C)に冷媒導入通路(13)が穿孔され、同冷媒導入通路(13)の下流端で放射状に分岐した冷媒放射通路(14)が前記冷媒螺旋通路(15)の上流端環状部(15a)に連通するので、冷媒導入通路(13)の下流端部で冷媒流が偏ったり滞留するのを複数本の冷媒放射通路(14)により回避することができ、冷媒の流れを偏向なく円滑にして冷却効率を高め、鋳造時の温度変化を容易に抑えてシリンダブロック(40)の母材の組成を容易に最適化することができる。
請求項4記載のシリンダブロック鋳造装置によれば、冷媒螺旋通路(15)の最も高い位置に下流端部を有し、同下流端部から冷媒導出通路(16)が延出するので、冷媒螺旋通路(15)内の空気を効率良く排出することができ、冷却効率を高めることができる。
請求項5記載のシリンダブロック鋳造装置によれば、冷媒螺旋通路(15)は、通路断面がボアピン(10)の外周面側が直線で円柱中心軸側が円弧状に膨らんでD字状を形成しているので、シリンダブロック(40)におけるシリンダボア(42)の周囲のシリンダ部(41)の冷却性を向上させることができる。
請求項6記載のシリンダブロック鋳造装置によれば、アルミ合金を溶融した溶湯を高圧で前記金型内のキャビティ(6)に注入するアルミダイカスト製法を用いて前記シリンダブロック(40)を鋳造するので、鋳造されたシリンダブロック(40)のシリンダ部(41)を細かい気泡を含まず湯境のないアルミ合金として組成を最適化することができ、シリンダ部(41)の内周面に硬質メッキを施しても不具合を生じさせることがない。
本発明の一実施の形態に係るシリンダブロック鋳造装置の概略説明図である。 ボアピンの構造を斜め方向から視た説明図である。 ボアピンの構造を別の斜め方向から視た説明図である。 本シリンダブロック鋳造装置の鋳造時の断面図である。 ウォータジャケット用の砂中子と支持ピンの斜視図である。 注湯時の溶湯圧力の変化とボア温度)の変化を同時に示したグラフである。 鋳造されたシリンダブロックの上面図である。 同シリンダブロックの断面図(図7,図9のVIII−VIII線断面図)である。 同シリンダブロックの下面図である。
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図9に基づいて説明する。
本実施の形態に係るシリンダブロック鋳造装置1は、アルミニウム合金を溶融した溶湯をプランジャにより高圧で注湯するアルミダイカスト製法に基づくものである。
図1は、本シリンダブロック鋳造装置1の概略説明図であり、主な金型や中子を仮想線(2点鎖線)で示し、溶湯通路5およびシリンダブロックの形状に形成されたキャビティ6を実線で輪郭をとって破線の格子ハッチを施して示している。
外側の金型が固定側金型2と可動側金型3とからなり、シリンダボアを形成するボアピン10が主な中子である。
ボアピン10は円柱状をなし、内部に冷媒が循環する冷媒通路が形成されている。
図2および図3は、ボアピン10の構造を示した説明図であり、ボアピン10自体を仮想線で示し、内部の冷媒通路を実線で示している。
ボアピン10の外周面10aの内側近傍に外周面10aに沿って螺旋状に冷媒螺旋通路15が形成されている。
冷媒螺旋通路15は、ボアピン10の円柱中心軸Cを中心にして螺旋状をなして全体で円筒状を構成しており、この円筒状の冷媒螺旋通路15はボアピン10の円柱の一方の円柱端面10bに近接するまで一方の側に偏って形成されている。
冷媒螺旋通路15の通路断面は、ボアピン10の外周面10a側が直線で円柱中心軸C側が円弧状に膨らんでD字状を形成している(図4参照)。
そして、ボアピン10の円柱体における冷媒螺旋通路15が形成された側の反対側からボアピンの円柱中心軸Cに冷媒導入通路13が穿孔され、同冷媒導入通路13は冷媒螺旋通路15の形成する円筒状の内側の中心軸も穿孔され、その下流端がボアピン10の円柱端面10bの近傍まで至っている。
冷媒導入通路13の下流端からボアピン10の円柱端面10bに沿って放射十字方向に分岐した冷媒放射通路14が前記冷媒螺旋通路15のボアピン10の円柱端面10b側の上流端環状部15aに連通している。
そして、冷媒螺旋通路15におけるボアピン10の円柱端面10bと反対側の下流端は、ボアピンの円柱中心軸Cを水平にして金型2,3に組み込まれたとき、冷媒螺旋通路15の最も高い位置にあり、そこから冷媒導入通路13に平行に冷媒導出通路16が、円柱端面10bと反対側に向けて延出形成されている。
冷媒導入通路13に導入された冷媒は、円柱端面10b近くまで至ったのちに、冷媒放射通路14により放射十字方向に分岐して冷媒螺旋通路15の上流端環状部15aに同時に入り、同上流端環状部15aから冷媒螺旋通路15を螺旋状に流れて他端に至り、同他端部から冷媒導出通路16を通って導出される。
このようにして冷媒がボアピン10の外周面10a近くの冷媒螺旋通路15を循環するので、ボアピン10の外周面10a近傍を効率良く冷却することができる。
さらに、冷媒螺旋通路15の通路断面は、ボアピン10の外周面10a側が直線で円柱中心軸C側が円弧状に膨らんでD字状を形成しているので、ボアピン10の外周面10a近傍を益々効率良く冷却することができる。
このボアピン10は、有底円筒状の外筒部と同外筒部に嵌挿される円柱状の内柱部との2分割とし、内柱部の外周面に冷媒螺旋通路15となる螺旋溝を形成し、端面に冷媒放射通路14となる放射溝を形成し、中心軸に冷媒導入通路13を穿設し、外周面に沿って冷媒導出通路16を穿設しておき、かかる内柱部を外筒部に嵌合することで、ボアピン10を構成することができる。
本シリンダブロック鋳造装置1により鋳造されるシリンダブロック40を、図7ないし図9に示す。
本シリンダブロック40は、内側にシリンダボア42を構成した円筒状のシリンダ部41が形成されていて、シリンダ部41の下部を除いた外周は上面視(図7参照)で矩形に延出した外周延出部43が形成されており、外周延出部43の内部に環状にウォータジャケット44が形成されている。
なお、シリンダブロック40のシリンダ部41から矩形に延出した外周延出部43の一辺がさらに膨出して上面視で長方形状のチェーン室49を内側に有したチェーンカバー部48が形成されている。
シリンダブロック40の外周延出部43の上面に円環状のウォータジャケット44の周方向複数箇所からシリンダヘッドのウォータジャケットに連通可能な連通長孔45が穿設されている。
また、シリンダ部41の外周に矩形に形成された外周延出部43の4隅にシリンダブロック40をシリンダヘッドとともにクランクケースに締結するスタットボルトのボルト孔46が穿孔されている。
さらに、外周延出部43には、各ボルト孔46の近傍にウォータジャケット43を成形する砂中子20(図5参照)を支持する支持ピン21により形成されるピン孔47が形成されている。
ピン孔47はウォータジャケット43に連通している。
図5は、砂中子20と支持ピン21の斜視図であり、円筒状の砂中子20の4箇所が外側に膨出し、その各膨出部に支持ピン21が貫通している。
円筒状の砂中子20の一端面には、連通長孔45を形成するための凸部20aが周方向所定箇所に複数形成されている。
砂中子20を金型内で所定位置に支持する支持ピン21によりシリンダブロック40に形成されるピン孔47は、ウォータジャケット44に連通しているので、シリンダブロック40をクランクケースとシリンダヘッドの間に挟んで組込むときには閉塞する必要がある。
シリンダヘッド側(上側)のピン孔47は、ガスケットにより閉塞され、クランクケース側(下側)のピン孔47は、図8および図9に示すように、コーンプラグ50の圧入により閉塞され、クランクケース内への水漏れを防止する。
図4は、シリンダブロック鋳造装置1の鋳造時の断面図である。
同図4を参照して、シリンダボア42を成形するボアピン10とウォータジャケット43を成形する砂中子20を主な中子として固定側金型2内に配置して可動側金型3が合体している。
可動側金型3は、円柱中心軸Cを水平にしたボアピン10の冷媒螺旋通路15が形成された側の反対側を保持することでボアピン10を固定側金型2内の所定位置に支持するとともに、4本の支持ピン21を保持することにより砂中子20をボアピン10の周囲の所定位置に支持している。
ボアピン10は、冷媒螺旋通路15が形成されている部分が殆ど固定側金型2内に挿入されている。
なお、シリンダブロック40の4つのボルト孔46を成形する4本のボルト孔用ピン22が可動側金型3に保持されて所定位置に支持されている。
こうして構成された固定側金型2内のキャビティ6にアルミニウム合金を溶融した溶湯が高圧で注湯されてシリンダブロック40が鋳造される。
このシリンダブロック40の鋳造に際して、ボアピン10の内部の冷媒螺旋通路15に冷却水が供給される。
冷却水を供給する冷却水回路には制御弁30が介装され(図1参照)、制御弁30の開閉により、冷却水が冷媒螺旋通路15を循環したり循環を停止したりする。
本シリンダブロック鋳造装置1は、この制御弁30を制御する制御装置31を備えている(図1参照)。
シリンダブロック鋳造装置1には溶湯の射出による注入圧力を検知する圧力センサを備えており、制御装置31は、この圧力センサが検出した注入圧力に基づく注入タイミングに応じて制御弁30の開閉制御を行う。
図6は、キャビティ6内に溶湯を注湯したときの溶湯圧力の変化とボア温度(ボアピン10の外周面10aの温度)の変化を、同時に示したグラフであり、制御弁30の開閉タイミング制御(冷却タイミング制御)を同時に示している。
図6を参照して、溶湯圧力の変化(図6の下側のグラフ)をみると、溶湯の射出注入が開始すると、当初圧力が上昇した後に圧力キャビティ6が溶湯で満たされる時点t1まで所定の低い定常注入圧力P1で射出され、同時点t1から急激に昇圧して所定の高い充填圧力P2に至って略安定した時点t2から同所定の高い圧力でキュアリングに入り、溶湯は冷却されてキュアリングの終わりごろの凝固したとこで注入圧力を停止し、同時に溶湯圧力は一気に低下し、その後の適当な時点t3でキュアリングを終え型開きが行われる。
この鋳造1サイクルに亘って冷媒を連続してボアピン内の中心軸部分に循環させる従来の特許文献1記載の冷却方法によるボア温度の変化は、図6の上側グラフに破線で示しているように、連続冷却により溶湯射出時にはボア温度が大きく低下しており、溶湯の昇圧が開始すると、溶湯の高熱によりボア温度が急激に上昇し、溶湯の温度近くまで至り、キュアリングに入ると徐々にボア温度が低下する。
この従来の冷却方法によると、ボア温度の温度変化は大きく、よって溶湯が微細な気泡を含んだまま凝固したり、湯境やひけ巣が発生したりする可能性があり、母材の組成を良好に維持できない。
これに対して、本発明の実施の形態では、ボアピン10内の冷媒螺旋通路15がボアピン10の外周面10aの内側近傍に螺旋状に形成されてボア温度に効果的に作用する金型構造を有し、制御装置31が定常注入圧力P1を検出した時点を基準とする時間制御により制御弁30の開閉タイミング制御(冷却タイミング制御)を行っている。
本実施の形態の制御装置31は、図6を参照して、溶湯の射出注入が開始し、定常注入圧力P1を検知したときを基準として、キャビティ6が溶湯で満たされると想定される時点t1より若干前の時点を冷却開始時点Tsとして予め設定するとともに、溶湯が冷却されて急に凝固すると想定される時点よりは後の若干余裕を持った時点を冷却停止時点Teとして予め設定しておく。
したがって、溶湯の射出注入によりキャビティ6が溶湯で満たされる時点t1の若干前の冷却開始時点Tsで制御弁30を開き、ボアピン10内の冷媒螺旋通路15に冷却水を循環させて冷却を開始する。
その後、時点t1を過ぎ、溶湯圧力が急激に上昇する。
そして、キュアリング時の高い溶湯圧力が凝固の始まりと同時に急激に低下した後の冷却停止時点Teで制御弁30を閉じ、冷媒螺旋通路15の冷却水の循環を止めて冷却を停止する。
このように、制御装置31により冷却タイミング制御がなされたときのボア温度の変化を、図6の上側グラフに実線で示す。
同図6を参照して、溶湯射出時に冷却は停止されているので、ボア温度は低下することなく略一定の温度にあり、射出後溶湯圧力が上昇する若干前の冷却開始時点Tsでボアピン10内の冷媒螺旋通路15に冷却水を循環させて冷却が開始するので、キャビティ6が溶湯で満たされる時点t1辺りのボア温度の上昇が抑制される。
ボアピン10内の冷媒螺旋通路15は、溶湯が接してシリンダ部41を成形するボアピン10の外周面10aの内側近傍に螺旋状に形成されているので、シリンダボアの外周面10aの温度(ボア温度)を効率良く冷却制御することができる。
したがって、溶湯圧力の昇圧時のボア温度の上昇は低く抑制され、キュアリング時に略一定の適切なボア温度に安定させることができ、キュアリング時の高い溶湯圧力が凝固の始まりと同時に急激に低下する辺りの冷却停止時点Teで冷媒螺旋通路15の冷却水の循環を止め冷却を停止してもボア温度は殆ど低下しない。
冷媒螺旋通路15を外周面10aの内側近傍に螺旋状に形成したボアピン10を備えた本シリンダブロック鋳造装置1により、上記のように冷却タイミング制御をすることで、図6に示すように、鋳造1サイクル中、ボア温度について温度変化を小さく抑えた適切な温度に保つことができる。
ボアピン10の外周面10aの温度(ボア温度)を効率良く冷却制御して温度変化を小さく抑えることは、結局ボアピン10の外周面10aに接するシリンダ部41を形成する溶湯を小さな温度変化で適切な温度に保つことができることであり、よって特にシリンダ部41に細かい気泡を含まず湯境のない組成の最適化を図ったシリンダブロック40を鋳造することができる。
したがって、シリンダ部41の内周面に硬質メッキを施しても不具合を生じさせることがない。
すなわち、ピストンの摺動によりシリンダ部41が高温になっても、内部に微細な気泡が略存在せず湯境も生じていないので、気泡内部や湯境に溜まった前処理液が加熱によりガス化してメッキ膜を膨らませるようなことは回避することができる。
本ボアピン10は、円柱中心軸Cに冷媒導入通路13が穿孔され、同冷媒導入通路13の下流端で放射状に分岐した冷媒放射通路14が冷媒螺旋通路15の上流端環状部15aに連通するので、冷媒導入通路13の下流端部で冷媒流が偏ったり滞留するのを4本の冷媒放射通路14により回避することができ、冷媒の流れを偏向なく円滑にして冷却効率を高め、鋳造時の温度変化を小さく抑えてシリンダブロック40の特にシリンダ部41の母材の組成を容易に最適化することができる。
冷媒螺旋通路15の最も高い位置に下流端部を有し、同下流端部から冷媒導出通路16が延出するので、冷媒螺旋通路15内の空気を効率良く排出することができ、冷却効率を益々高めることができる。
冷媒螺旋通路15は、通路断面がボアピン10の外周面10a側が直線で円柱中心軸C側が円弧状に膨らんでD字状を形成しているので、シリンダブロック40におけるシリンダボア42の周囲のシリンダ部41の冷却性をさらに一層向上させることができる。
以上の実施の形態では、定常注入圧力P1を検出した時点を基準に予め冷却開始時点Tsと冷却停止時点Teを設定して冷却タイミング制御を行っていたが、溶湯圧力を常時監視して、溶湯圧力が急激に上昇した時を冷却開始とし、注入圧力を停止し溶湯圧力が急激に下降した時を冷却停止する冷却タイミング制御を行ってもよい。
1…シリンダブロック鋳造装置、2…固定側金型、3…可動側金型、5…溶湯通路、6…キャビティ、
10…ボアピン、13…冷媒導入通路、14…冷媒放射通路、15…冷媒螺旋通路、16…冷媒導出通路、
20…砂中子、21…支持ピン、22…ボルト孔用ピン、
30…制御弁、31…制御装置、
40…シリンダブロック、41…シリンダ部、42…シリンダボア、43…外周延出部、44…ウォータジャケット、45…連通長孔、46…ボルト孔、47…ピン孔、48…チェーンカバー部、49…チェーン室、50…コーンプラグ。

Claims (6)

  1. ピストンが摺動するシリンダボア(42)を形成する円柱状のボアピン(10)を中子として金型内に備えてキャビティ(6)に溶湯を注入して内燃機関のシリンダブロック(40)を鋳造するシリンダブロック鋳造装置において、
    前記ボアピン(10)は外周面(10a)の内側近傍に螺旋状に冷却用の冷媒螺旋通路(15)が形成され、
    鋳造1サイクル中に前記冷媒螺旋通路(15)を循環する冷媒の循環量を制御する制御手段(31)を備えたことを特徴とするシリンダブロック鋳造装置。
  2. 前記制御手段(31)は、前記キャビティ(6)への溶湯の注入タイミングに応じて前記冷媒螺旋通路(15)を循環する冷媒の循環量を制御することを特徴とする請求項1記載のシリンダブロック鋳造装置。
  3. 前記ボアピン(10)の円柱中心軸(C)に冷媒導入通路(13)が穿孔され、
    前記冷媒導入通路(13)の下流端で放射状に分岐した冷媒放射通路(14)が前記冷媒螺旋通路(15)の上流端環状部(15a)に連通することを特徴とする請求項1または請求項2記載のシリンダブロック鋳造装置。
  4. 前記ボアピン(10)には、前記冷媒螺旋通路(15)の最も高い位置に下流端部を有し、同下流端部から冷媒導出通路(16)が延出して形成されていることを特徴とする請求項3記載のシリンダブロック鋳造装置。
  5. 前記冷媒螺旋通路(15)は、通路断面が前記ボアピン(10)の外周面側が直線で円柱中心軸側が円弧状に膨らんでD字状を形成していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載のシリンダブロック鋳造装置。
  6. アルミニウム合金を溶融した溶湯を高圧で前記金型内のキャビティ(6)に注入するアルミダイカスト製法を用いて前記シリンダブロック(40)を鋳造することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載のシリンダブロック鋳造装置。
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