JP5912859B2 - 鋳造体の製造装置とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は鋳造体の製造装置とその製造方法に関し、特に自由鋳造方法を用いた鋳造体の製造装置とその製造方法に関するものである。
従来、複雑形状を呈する金属製品は、溶融状態の金属(金属溶湯)を所定形状のキャビティを備えた鋳型に充填し、その鋳型内で金属溶湯を凝固させることによって製造されてきた。
ところで、鋳型を用いた鋳造方法においては、キャビティ内に充填された金属溶湯が鋳型のキャビティ内壁面から冷却されて凝固するため、ひけ巣や気泡巣などといった鋳造欠陥が生じ得る。また、金属溶湯が鋳型内で凝固した後に生じる熱変形が鋳型に拘束されるため、凝固割れや冷間割れなどが発生することがある。
このような問題に対して、近年、引上げ連続鋳造方法や自由鋳造方法などと称される鋳型を使用しない鋳造方法に関する技術が提案されている。これらの鋳造方法はいずれも、溶融状態の金属(金属溶湯)を貯留した金属溶湯槽の湯面から所定経路に沿って金属溶湯を導出させ、導出された金属溶湯を凝固させて鋳造体を成形する方法である。すなわち、金属溶湯槽の湯面から金属溶湯を導出すると、導出される金属溶湯はその表面に形成される酸化膜や表面張力によって一時的に形状が保持されるため、このように湯面から導出されて一時的に形状が保持された金属溶湯を所定の冷却手段で凝固させ、凝固させた金属溶湯を次第に湯面から離間して新たな溶融状態の金属を湯面から導出させ、その導出させた金属溶湯を連続的に凝固させることによって所定形状の鋳造体を成形していく方法である。
これらの鋳造方法によれば、金属溶湯槽から導出された金属溶湯を連続的に冷却して凝固させることができるため、鋳型内で生じ得るひけ巣などの鋳造欠陥の問題を解消することができ、たとえば6000系展伸用アルミニウム合金などの凝固割れが発生し易い合金を使用した場合であっても高品質な鋳造体を製造することができる。
ところで、これらの鋳造方法で用いられる冷却手段としては、たとえば湯面から導出された金属溶湯に冷媒等を噴射して直接的に冷却する手段や、金属溶湯槽の湯面から金属溶湯を導出するために使用される金属製の誘起体や金属溶湯の既凝固部分を介して間接的に冷却する手段などが知られている。
上記する冷却手段のうち、金属溶湯槽の湯面から導出された金属溶湯の表面に冷媒としての水を噴射して金属溶湯を強制冷却する技術が特許文献1に開示されている。
特許文献1に開示されている引上げ連続鋳造装置は、溶融金属表面に近い上部位置に冷却箱を設置し、この冷却箱に水噴射ノズルを設けて当該水噴射ノズルから溶融金属表面に水を噴射し、溶融金属を強制冷却してテーパ付丸棒などの鋳造体を鋳造する装置である。
特開昭63−199050号公報
ところで、円環形状を呈する鋳造体を製造する際には、金属溶湯槽の湯面から金属溶湯を円環状に導出させており、金属溶湯槽の湯面と当該湯面から円環状に導出される金属溶湯の内周面で画成される領域内に金属溶湯等から放出される熱が篭もり易く、湯面から導出された金属溶湯の内側は当該金属溶湯の外側と比較して相対的に高温となることが知られている。
特許文献1に開示されている引上げ連続鋳造装置によれば、テーパ付丸棒などの単純形状を呈する鋳造体を製造する際に、冷却手段としての水噴射ノズルから金属溶湯の外周面に水を噴射することによって金属溶湯の外周面から内側へ向かって前記金属溶湯を冷却できるものの、円環形状を呈する鋳造体を製造する際には、相対的に高温となり得る円環状の金属溶湯の内側を直接的に冷却できず、金属溶湯槽の湯面から導出された金属溶湯の冷却効率が低いといった課題がある。
また、上記する従来の冷却手段のうち、金属製の誘起体や金属溶湯の既凝固部分を介して間接的に冷却する手段を用いて湯面から導出された金属溶湯を冷却する場合には、凝固された金属溶湯が湯面から離間するに従って冷却手段と金属溶湯槽の湯面との距離が大きくなり、金属溶湯の導出に従って金属溶湯の冷却効率が低下するといった課題があることが知られている。
本発明は上記する課題に鑑みてなされたものであり、環状を呈する鋳造体を製造する際に、金属溶湯槽の湯面から環状に導出される金属溶湯の内側を直接的に冷却することができる鋳造体の製造装置とその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明の鋳造体の製造装置は、金属溶湯を貯留する金属溶湯槽と、金属溶湯槽の湯面から環状に導出された金属溶湯を冷却して凝固させる冷却手段と、を備える鋳造体の製造装置であって、前記冷却手段は、少なくとも金属溶湯槽の金属溶湯の内部を通って金属溶湯槽の湯面から環状に導出された金属溶湯の内側へ冷媒を供給し、金属溶湯の内側へ供給された冷媒を環状に導出された金属溶湯の内側から金属溶湯槽の金属溶湯の内部を通って排出する冷却管を有している装置である。
ここで、上記する製造装置で適用される金属溶湯の形成素材としては、たとえば鉄、アルミニウム、マグネシウム、チタン等の金属やそれらの合金を挙げることができる。また、「溶湯」とは、全体が液相状態のほか、液相と固相が混在する固液共存状態も含まれる。また、「環状」とは、円環状、楕円環状のほか、略矩形枠状などの内部に中空空間を有する多角形状なども含まれる。
また、上記する製造装置で適用される冷却手段で用いる冷媒としては、たとえば空気や不活性ガスなどの気体や水などの液体を挙げることができる。
上記する製造装置によれば、金属溶湯槽の湯面から環状に導出された金属溶湯を冷却するために、金属溶湯槽の湯面から環状に導出された金属溶湯の内側へ冷媒を供給し、金属溶湯の内側へ供給された冷媒を金属溶湯の内側から排出する冷却管を有することによって、相対的に高温となり得る環状に導出された金属溶湯の内側を冷媒を用いて直接的に冷却することができ、金属溶湯との熱交換によって高温となった冷媒を金属溶湯の内側から排出することができるため、金属溶湯槽の湯面から環状に導出された金属溶湯の内側を直接的かつ効率的に冷却することができる。また、前記冷却管が金属溶湯槽の金属溶湯の内部を通って配されることによって、冷却手段で凝固させた金属溶湯を次第に湯面から離間して新たな溶融状態の金属溶湯を湯面から導出させる際に、凝固させた金属溶湯と前記冷却管との衝接を確実に回避することができるため、冷却手段の構成を格段に簡素化することができる。
また、上記する製造装置は、前記冷却手段が、金属溶湯槽の湯面から環状に導出された金属溶湯の内側へ冷媒を供給して環状に導出された金属溶湯の内側から冷媒を排出するためにその金属溶湯の内側に配された冷却管の開口を遮蔽する遮蔽部を有していることが好ましい。
上記する製造装置によれば、遮蔽部によって金属溶湯の内側に配された冷却管の開口を任意に遮蔽することができ、金属溶湯の内側への冷媒の供給と金属溶湯の内側からの冷媒の排出を任意に調整することができ、金属溶湯の内側を任意の温度に調整することができるため、金属溶湯の内側の冷却速度を任意に調整することができる。
また、上記する製造装置は、前記冷却管が、金属溶湯の内側へ冷媒を供給する供給管とその金属溶湯の内側から冷媒を排出する排出管からなり、前記遮蔽部によって冷却管の開口を遮蔽した際に供給管と排出管が流体連通し、供給管を流過した冷媒が排出管へ流過するようになっていることが好ましい。
上記する製造装置によれば、供給管と排出管をそれぞれ独立して設けるとともに、遮蔽部によって冷却管の開口を遮蔽した際に供給管を流過した冷媒が排出管へ流過することによって、供給管に冷媒を流過させながら遮蔽部により冷却管の開口を遮蔽した場合であっても、供給管を流過した冷媒を排出管へ流過させることができるため、冷却管内の冷媒の流動を円滑化することができる。また、遮蔽部によって冷却管の開口を遮蔽した際に、供給管と排出管の双方に冷媒を流過させることができ、冷却管内を流過する冷媒によって金属溶湯槽の金属溶湯の内部に配される冷却管の供給管と排出管をともに冷却することができるため、金属溶湯槽の金属溶湯の熱による冷却管の変形を抑制することができ、冷却管の構成を格段に簡素化することができる。
また、上記する製造装置は、前記遮蔽部によって冷却管の開口を遮蔽した際に、前記冷却管のうち金属溶湯槽の湯面から環状に導出された金属溶湯の内側に配された部分が金属溶湯槽の金属溶湯の内部へ浸漬されるようになっていることが好ましい。
上記する製造装置によれば、遮蔽部によって冷却管の開口を遮蔽した際に金属溶湯槽の湯面から環状に導出された金属溶湯の内側に配された冷却管が金属溶湯槽の金属溶湯の内部へ浸漬されることによって、冷却管の内部への金属溶湯の侵入を抑止しながら、金属溶湯槽の湯面から環状に導出された金属溶湯の内側の湯面を確保することができ、金属溶湯槽の湯面から導出される金属溶湯の形状を任意に変更することができるため、製造される鋳造体の形状自由度を高めることができる。
ここで、前記冷却管は、供給管の内側に排出管が内包された二重管構造を有していてもよいし、排出管の内側に供給管が内包された二重管構造を有していてもよい。
冷却管が供給管の内側に排出管が内包された二重管構造を有している場合には、相対的に低温の冷媒が流過する供給管が金属溶湯槽の金属溶湯と隣接して配置されることによって、供給管を流過する冷媒により冷却管全体を効果的に冷却することができるため、冷却管の構成を格段に簡素化することができる。一方で、冷却管が排出管の内側に供給管が内包された二重管構造を有していている場合には、相対的に低温の冷媒が流過する供給管が金属溶湯槽の金属溶湯と離間して配置されることによって、供給管を流過する冷媒による金属溶湯槽の金属溶湯の熱の吸収を抑制することができるため、金属溶湯の内側をより効率的に冷却することができる。
また、本発明の鋳造体の製造方法は、金属溶湯槽の湯面から金属溶湯を環状に導出させ、導出された金属溶湯を冷却して凝固させて環状形状を有する鋳造体を成形する鋳造体の製造方法であって、金属溶湯槽の金属溶湯の内部を通って金属溶湯槽の湯面から環状に導出された金属溶湯の内側へ冷媒を供給し、金属溶湯の内側へ供給された冷媒を環状に導出された金属溶湯の内側から金属溶湯槽の金属溶湯の内部を通って排出する方法である。
上記する製造方法によれば、金属溶湯槽の湯面から環状に導出された金属溶湯の内側へ冷媒を供給し、金属溶湯の内側へ供給された冷媒を金属溶湯の内側から排出することによって、相対的に高温となり得る環状に導出された金属溶湯の内側を冷媒によって直接的に冷却することができるとともに、金属溶湯との熱交換によって高温となった冷媒を金属溶湯の内側から排出することができるため、金属溶湯槽の湯面から環状に導出された金属溶湯の内側を直接的かつ効率的に冷却することができる。また、金属溶湯槽の金属溶湯の内部を通って金属溶湯の内側へ冷媒を供給し、金属溶湯の内側へ供給された冷媒を金属溶湯槽の金属溶湯の内部を通って排出することによって、凝固させた金属溶湯を次第に湯面から離間して新たな溶融状態の金属溶湯を湯面から導出させる際に、凝固させた金属溶湯に阻害されることなく金属溶湯の内部へ冷媒を供給し、その金属溶湯の内部から前記冷媒を排出することができるため、金属溶湯の内部を円滑に冷却することができる。
以上の説明から理解できるように、本発明の鋳造体の製造装置とその製造方法によれば、環状を呈する鋳造体を製造する際に、簡単な構成で金属溶湯槽の湯面から環状に導出される金属溶湯の内側を直接的かつ効率的に冷却することができ、鋳造体の生産性を格段に向上させることができる。
本発明の鋳造体の製造装置の実施の形態の全体構成を模式的に示した斜視図である。 図1で示す製造装置を用いた鋳造体の製造方法を説明した縦断面図であって、(a)は金属溶湯槽から金属溶湯を導出する前の状態を説明した図であり、(b)は図2(a)で示す内側冷却管の一部を拡大して示した一部拡大図である。 図1で示す製造装置を用いた鋳造体の製造方法を説明した縦断面図であって、図2で示す工程に続いて金属溶湯槽から金属溶湯を導出した直後の状態を説明した図である。 図1で示す製造装置を用いた鋳造体の製造方法を説明した縦断面図であって、(a)は図3で示す工程に続いて金属溶湯槽から導出された金属溶湯の一部を凝固させた状態を説明した図であり、(b)は図4(a)で示す内側冷却管の一部を拡大して示した一部拡大図である。 図1で示す製造装置を用いた鋳造体の製造方法を説明した縦断面図であって、図4で示す工程に続いて金属溶湯槽から導出された金属溶湯で閉塞板を形成する状態を説明した図である。 図1で示す製造装置で製造される鋳造体の一実施の形態を示す図であって、(a)はその斜視図であり、(b)はその縦断面図である。 図1で示す製造装置を用いた鋳造体の製造方法を説明した縦断面図であって、図5で示す工程に続いて金属溶湯槽から導出された金属溶湯を凝固させた状態を説明した図である。 図1で示す製造装置に用いる誘起体の他例を示した図であって、(a)はその縦断面図であり、(b)は図8(a)のA−A矢視図である。
以下、図面を参照して本発明の鋳造体の製造装置とその製造方法の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の鋳造体の製造装置の実施の形態の全体構成を模式的に示した斜視図である。
図示する製造装置10は、主として、金属溶湯Mを貯留する金属溶湯槽2と、金属溶湯槽2の金属溶湯Mの湯面Maから導出された金属溶湯を冷却して凝固させる冷却手段3と、金属溶湯槽2の金属溶湯Mの湯面Maと冷却手段3によって金属溶湯Mが凝固される凝固領域の間の領域に配置されて鋳造体の外形を規定する略円環状の外形規定部材4と、この外形ユニット4Aよりも内側に配置されて鋳造体の内形を規定する略円環状の内形規定部材5と、を備えている。なお、外形規定部材4と内形規定部材5は、金属溶湯槽2の金属溶湯Mの湯面Maから金属溶湯Mを導出させる際に、不図示の移動手段によって任意の方向へ移動されるようになっている。
前記冷却手段3は、金属溶湯槽2の金属溶湯Mの湯面Maから導出された金属溶湯のうち相対的に内側から冷媒(たとえば水や空気)を噴射して金属溶湯を冷却する内側冷却管3aと、金属溶湯槽2の金属溶湯Mの湯面Maから導出された金属溶湯のうち相対的に外側から冷媒を噴射して金属溶湯を冷却する外側冷却管3bと、を備えており、内側冷却管3aと外側冷却管3bはそれぞれ、冷媒を供給するための冷媒供給部3cと流体連通されている。
また、前記内側冷却管3aは、主として金属溶湯槽2の金属溶湯Mの湯面Maから導出された金属溶湯へ冷媒を噴射して供給する供給管3aaと金属溶湯との熱交換によって高温となった冷媒を排出する排出管3abから構成され、供給管3aaの内側に排出管3abが内包され且つ双方の軸心が同心に配置された二重管構造を有しており、供給管3aaと排出管3abのそれぞれが前記冷媒供給部3cと流体連通されている。内側冷却管3aの先端部3d、すなわち供給管3aaと排出管3abの先端部にはそれぞれ、金属溶湯槽2の金属溶湯Mの湯面Maから導出された金属溶湯へ供給管3aaから冷媒を供給するための供給口(開口)3acと高温となった冷媒を金属溶湯周辺から排出管3abへ排出するための排出口(開口)3adが配設されている。前記冷媒供給部3cから供給管3aaへ供給された冷媒は供給管3aaの内部、より具体的には供給管3aaの内周面と排出管3abの外周面の間を流過し、供給管3aaの供給口3acを介して金属溶湯槽2の金属溶湯Mの湯面Maから導出された金属溶湯へ供給され、金属溶湯との熱交換によって高温となった冷媒は排出口3adを介して排出管3abへ排出され、排出管3abの内部を流過して前記冷媒供給部3cへ排出される。そして、冷媒供給部3cで従来知られた方法によって冷却され、再び内側冷却管3aや外側冷却管3bへ供給されるようになっている。
さらに、前記内側冷却管3aは、冷媒供給部3cを介して該内側冷却管3aを鉛直方向(金属溶湯の導出方向)(図中、矢印Z方向)へ移動させる移動手段6と接続されており、前記移動手段6を用いて冷媒供給部3cとともに内側冷却管3aを鉛直下方へ移動させることで、前記内側冷却管3aの先端部3dが金属溶湯槽2の金属溶湯Mの内部へ浸漬されるようになっている。なお、前記移動手段6としては、たとえばモータ駆動のボールネジ等を適用することができる。
次に、図2〜図7を参照して、図1で示す製造装置を用いた鋳造体の製造方法の実施の形態を概説する。本実施の形態の鋳造体の製造方法は、主として金属溶湯槽から金属溶湯を導出させる導出工程と、金属溶湯槽から導出された金属溶湯を凝固させて鋳造体を成形する成形工程とからなり、連続的に鋳造を行う場合には導出工程と成形工程が一連の工程として実施されることとなる。
まず、図2は、図1で示す製造装置を用いた鋳造体の製造方法を説明した縦断面図であって、図2(a)は金属溶湯槽から金属溶湯を導出する前の状態を説明した図であり、図2(b)は図2(a)で示す内側冷却管の一部を拡大して示した一部拡大図である。
金属溶湯槽2の湯面Maから金属溶湯Mを導出するに当たり、図2(a)で示すように、略円板形状を有する誘起体1(スタータともいう。)を用意し、当該誘起体1を金属溶湯槽2に貯留した金属溶湯Mに接触させる。具体的には、誘起体1の下面1Aを金属溶湯槽2に貯留した金属溶湯Mの湯面Maと当接させ、誘起体1の下面1Aに軟化状態の金属溶湯Mを付着させる。ここで、誘起体1は、略円環状の外形規定部材4の内径よりも僅かながら小さく、略円環状の内形規定部材5の外径よりも大きい外径を有しており、誘起体1と外形規定部材4と内形規定部材5は平面視で略同心に配置されている。これにより、内形規定部材5は、誘起体1の外縁よりも所定距離(たとえば製造される鋳造体の厚みに相当)だけ内側に配置されるとともに、鋳造体の内形を規定するために金属溶湯槽2の金属溶湯Mの内部に配置されている。
また、内側冷却管3aは、その先端部3dが誘起体1の鉛直下方の金属溶湯槽2の金属溶湯Mの内部に配置されており、先端部3dに配設された供給管3aaの供給口3acや排出管3abの排出口3adが金属溶湯槽2の金属溶湯Mの内部に浸漬されている。ここで、供給管3aaの供給口3acや排出管3abの排出口3adは、内側冷却管3aの内部への金属溶湯槽2の金属溶湯Mの侵入を抑止するために遮蔽部7によって遮蔽されている。
具体的には、図2(b)で示すように、供給管3aaの先端部は鉛直上方に向かって開放しており、その端面3aAが鉛直上方に向かって拡幅するように面取りされている。また、排出管3abの先端部は排出管3abの外径よりも相対的に小さい外径を有する略円板からなる天板3aeによって封止されるとともに、排出管3abの一般部と天板3aeは鉛直上方に向かって幅狭となる円錐台状の接続管3afで接続されている。そして、排出管3abの接続管3afには排出管3abの内部へ冷媒を流過させるための貫通口3agが形成されている。
また、内側冷却管3aの先端部3dに配設された遮蔽部7は、略円板からなる遮蔽板7aと該遮蔽板7から鉛直下方へ延びる円筒体7bから構成されている。円筒体7bの内径は排出管3abの外径と略等しく設定されており、排出管3abが円筒体7bに嵌合されるようになっている。また、遮蔽板7aの外径は供給管3aaの外径と略等しく設定されており、その側面7aAは鉛直上方に向かって拡幅するように面取りされ、遮蔽板7aの側面7aAと供給管3aaの端面3aAは面合わせされるようになっている。さらに、遮蔽板7aの鉛直方向の厚みは排出管3abの接続管3afの鉛直方向の高さと略等しく設定され、遮蔽板7aのうち排出管3abに対応する部分(その略中央部)には貫通口7agが形成されている。この貫通口7agは、鉛直上方に向かって幅狭となる円錐台状を呈しており、貫通口7agの内形は排出管3abの接続管3afの外形と相補的な形状を有しており、貫通口7agの内周面7aBと接続管3afの外周面3aBは面合わせされるようになっている。なお、遮蔽板7aの鉛直方向の厚みは排出管3abの接続管3afの鉛直方向の高さと略等しく設定されているため、貫通口7agの内周面7aBと接続管3afの外周面3aBが面合わせされる際には、排出管3abの天板3aeの上面(天面)3aCと遮蔽部7の遮蔽板7aの上面(天面)7aCは面一に構成される。
上記するように排出管3abは円筒体7bに嵌合されており、内側冷却管3aの先端部3dに配設された遮蔽部7は、前記円筒体7bを排出管3abと摺動させながら内側冷却管3aの供給管3aaや排出管3abに対して鉛直方向で相対的に移動されるようになっている(図4参照)。たとえば遮蔽部7の遮蔽板7aが供給管3aaや排出管3abの先端部よりも鉛直上方に配置される場合には、遮蔽板7aの側面7aAと供給管3aaの端面3aAが離間して配置されるとともに、貫通口7agの内周面7aBと接続管3afの外周面3aBが離間して配置され、遮蔽板7aの側面7aAと供給管3aaの端面3aAの隙間によって金属溶湯へ冷媒を供給するための供給口3acが構成され、貫通口7agの内周面7aBと接続管3afの外周面3aBの隙間と接続管3afの貫通口3agによって高温となった冷媒を排出管3abへ排出するための排出口3adが構成されることとなる。
一方で、図2(b)で示すように、遮蔽部7の遮蔽板7aが供給管3aaや排出管3abの先端部と略同じ高さに配置される場合には、遮蔽板7aの側面7aAと供給管3aaの端面3aAが面合わせされるとともに、貫通口7agの内周面7aBと接続管3afの外周面3aBが面合わせされており、供給口3acと排出口3adの内側冷却管3aの開口は遮蔽板7aによって遮蔽され、内側冷却管3aの内部への金属溶湯Mの侵入が抑止されている。
ここで、金属溶湯槽2の金属溶湯Mの熱による内側冷却管3aの熱変形を抑制するため、遮蔽部7によって供給口3acと排出口3adが遮蔽される際にも内側冷却管3aの内部には冷媒が供給されている。具体的には、遮蔽部7の円筒体7bのうち遮蔽板7aから所定距離(遮蔽部7の供給管3aaや排出管3abに対する鉛直方向での相対的な移動距離よりも大きい距離)だけ鉛直下方の位置に、円筒体7bの周方向で等間隔に6個の連通口7bhが形成されている。また、排出管3abの一般部のうち接続管3afから前記所定距離だけ鉛直下方の位置、すなわち遮蔽部7の遮蔽板7aが供給管3aaや排出管3abの先端部と略同じ高さに配置される際に遮蔽部7の円筒体7bの連通口7bhと対応する位置に、排出管3abの周方向で等間隔に6個の連通口3ahが形成されている。これにより、図示するように、遮蔽部7の遮蔽板7aが供給管3aaや排出管3abの先端部と略同じ高さに配置され、遮蔽部7によって供給口3acと排出口3adが遮蔽される際に、遮蔽部7の円筒体7bの連通口7bhと排出管3abの連通口3ahを介して供給管3aaと排出管3abが流体連通され、冷媒供給部3cから供給管3aaへ供給された冷媒は供給管3aaの内部を流過し、円筒体7bの連通口7bhと排出管3abの連通口3ahを介して排出管3abへ流過し、排出管3abの内部を流過して冷媒供給部3cへ排出される。
次いで、図3は、図1で示す製造装置を用いた鋳造体の製造方法を説明した縦断面図であって、図2で示す工程に続いて金属溶湯槽から金属溶湯を導出した直後の状態を説明した図である。
図示するように、金属溶湯槽2に貯留した金属溶湯Mに接触させた誘起体1を、金属溶湯槽2の金属溶湯Mの湯面Maから離間させることによって、金属溶湯槽2の湯面Maから金属溶湯Mを導出させる。その際、不図示の移動手段を用いて金属溶湯槽2の金属溶湯Mの内部に配置した内形規定部材5を誘起体1の移動に同期して鉛直上方へ移動させ、外形規定部材4と略同じ高さまで移動させて配置する。これにより、誘起体1の移動に追従して金属溶湯槽2の湯面Maから導出される金属溶湯Mの内形は内形規定部材5によって規定される。また、前記金属溶湯Mの外形は、誘起体1の移動に追従して金属溶湯槽2の湯面Maから導出される金属溶湯Mが外形規定部材4の内側を通る際に当該外形規定部材4によって規定される。すなわち、外形規定部材4aと内形規定部材5aで画定される領域を通って金属溶湯Mが導出されることで、湯面Maから導出される金属溶湯Mの厚みが規定される。
ここで、金属溶湯槽2の湯面Maから導出された金属溶湯Mの周囲の雰囲気が大気雰囲気や酸化雰囲気である場合には、導出された金属溶湯Mの表面に酸化膜が形成され、金属溶湯Mの周囲の雰囲気が窒素雰囲気である場合には、導出された金属溶湯Mの表面に窒化膜が形成される。また、大気雰囲気や酸化雰囲気、窒素雰囲気以外の雰囲気であって上記する表面膜が形成されない雰囲気であっても、導出された金属溶湯Mの表面には表面張力が作用する。このように、金属溶湯槽2の湯面Maから導出された金属溶湯Mの表面は、酸化膜や窒化膜、表面張力等によって一時的に形状が保持されることとなり、形状保持された軟化状態(半凝固状態)の金属溶湯(以下「保持溶湯」という。)Mbが金属溶湯槽2の湯面Maと誘起体1の間に形成される。そして、この保持溶湯Mbが誘起体1の移動に追従して金属溶湯槽2の湯面Maから次第に離間し、その半凝固状態の保持溶湯Mbに追従して金属溶湯槽2の湯面Maから金属溶湯Mが導出されることによって、連続的に金属溶湯槽2の湯面Maから金属溶湯Mが導出されることとなる。
なお、上記する誘起体1や内形規定部材5の移動に同期して、移動手段6を用いて内側冷却管3aを鉛直上方へ移動させる。ここで、その先端部3dは金属溶湯槽2の金属溶湯Mの内部に配置されているものの、排出管3abの天板3aeの上面3aCと遮蔽部7の遮蔽板7aの上面7aCは面一に構成され、遮蔽板7aの側面7aAと供給管3aaの端面3aAは面合わせされており、内側冷却管3aの流動抵抗が極めて小さく構成されているため、内側冷却管3aは金属溶湯槽2の金属溶湯Mの内部で円滑に移動される。
次に、図4は、図1で示す製造装置を用いた鋳造体の製造方法を説明した縦断面図であって、図4(a)は図3で示す工程に続いて金属溶湯槽から導出された金属溶湯の一部を凝固させた状態を説明した図であり、図4(b)は図4(a)で示す内側冷却管の一部を拡大して示した一部拡大図である。
上記するように、誘起体1や内形規定部材5、内側冷却管3aを鉛直上方(金属溶湯の導出方向)へ移動させ、誘起体1が外側冷却管3bよりも鉛直上方に配置された際(たとえば湯面Maから数十mm程度上方)、金属溶湯槽2から導出されて半凝固状態の保持溶湯Mbに冷却手段3から冷媒を噴射し、前記保持溶湯Mbを冷却して凝固させて固化状態の金属溶湯Mcを形成する。具体的には、略円板形状を有する誘起体1の移動に追従して金属溶湯槽2の湯面Maから導出され、略円環状の外形規定部材4と略円環状の内形規定部材5で画定される領域を通ることでその外形と内形が形成されて略円環状に導出された半凝固状態の保持溶湯Mbに対し、その外周面に外側冷却管3bから冷媒を噴射し、その内周面には金属溶湯槽2の金属溶湯Mの湯面Maよりも鉛直上方に配置された内側冷却管3aから冷媒を噴射し、前記保持溶湯Mbの外周面と内周面の双方から保持溶湯Mbを冷却して凝固させる。
より具体的には、誘起体1の移動とともに移動手段6を用いて内側冷却管3aを鉛直上方へ移動させ、その先端部3dを金属溶湯槽2の湯面Maから所定距離だけ突出させた後、図4(b)で示すように、内側冷却管3aの先端部3dに配設された遮蔽部7の円筒体7bを内側冷却管3aの排出管3abと摺動させながら、前記遮蔽部7を内側冷却管3aの供給管3aaや排出管3abに対して鉛直上方へ移動させ、遮蔽部7の遮蔽板7aを供給管3aaや排出管3abの先端部よりも鉛直上方に配置させる。これにより、遮蔽板7aの側面7aAと供給管3aaの端面3aAが離間して配置され、貫通口7agの内周面7aBと接続管3afの外周面3aBが離間して配置され、遮蔽板7aの側面7aAと供給管3aaの端面3aAの隙間によって金属溶湯へ冷媒を供給するための供給口3acが形成され、貫通口7agの内周面7aBと接続管3afの外周面3aBの隙間と接続管3afの貫通口3agによって高温となった冷媒を金属溶湯の内側から排出管3abへ排出するための排出口3adが形成される。なお、遮蔽部7の遮蔽板7aが供給管3aaや排出管3abの先端部と略同じ高さに配置される際に連通していた遮蔽部7の円筒体7bの連通口7bhと排出管3abの連通口3ah(図2参照)はそれぞれ、遮蔽部7の遮蔽板7aが供給管3aaや排出管3abの先端部よりも鉛直上方に配置された際に、排出管3abの一般部の壁面と円筒体7bの壁面によって遮蔽される。
上記するように、遮蔽部7によって供給口3acと排出口3adが遮蔽される際にも内側冷却管3aの内部には予め冷媒が供給されているため、遮蔽部7が内側冷却管3aの供給管3aaや排出管3abに対して鉛直上方へ移動し、供給口3acと排出口3adが形成されると、冷媒供給部3cから供給管3aaへ供給されて供給管3aaの内部を流過した冷媒は、遮蔽板7aの側面7aAと供給管3aaの端面3aAの隙間によって形成された供給管3aaの供給口3acを介して金属溶湯槽2の金属溶湯Mの湯面Maから略円環状に導出された保持溶湯Mbの内側へ噴射される。そして、保持溶湯Mbや金属溶湯槽2の金属溶湯Mとの熱交換によって高温となった冷媒は、貫通口7agの内周面7aBと接続管3afの外周面3aBの隙間と接続管3afの貫通口3agによって形成された排出口3adを介して排出管3abへ排出され、排出管3abの内部を流過して冷媒供給部3cへ排出される。
図示するように、供給管3aaの供給口3acを排出口3adよりも相対的に外側、より具体的には内側冷却管3aの最外周に形成することによって、供給管3aaの供給口3acと金属溶湯槽2から導出されて半凝固状態の保持溶湯Mbを近接して配置することができ、内側冷却管3aによる保持溶湯Mbの冷却効率を高めることができる。また、供給口3acを構成する遮蔽板7aの側面7aAと供給管3aaの端面3aAを面取りし、供給管3aaの供給口3acから鉛直方向に対して傾斜した斜め上方へ冷媒を噴射することによって、たとえば供給管3aaの供給口3acから水平方向へ冷媒を噴射する場合と比較して、内側冷却管3aの先端部3dの上面に形成された排出口3adへ冷媒を流動させ易くなり、円環状に導出された保持溶湯Mbの内側における冷媒の流動を円滑化できる。また、冷媒として水などを用いた場合には、供給管3aaの供給口3acから鉛直方向に対して傾斜した斜め上方へ冷媒を噴射することによって、供給口3acから噴射される水の圧力を利用して金属溶湯槽2への水の滴下を抑制できるといった利点もある。さらに、供給管3aaの供給口3acから鉛直方向に対して傾斜した斜め上方へ冷媒を噴射することによって、金属溶湯槽2から導出された保持溶湯Mbに対し相対的に低い位置から冷媒を噴射することができるため、移動手段6による内側冷却管3aの移動量を抑制することができ、装置全体の構成を簡素化して装置全体の体格を小型化することもできる。
なお、遮蔽部7を内側冷却管3aの供給管3aaや排出管3abに対して鉛直上方へ移動させる方法としては種々の方法を適用できるものの、図示例においては、遮蔽部7の任意の箇所に予め永久磁石を貼り付けるとともに、排出管3abの任意の箇所に予め電磁石を貼り付けておき、電磁石を通電により電荷してローレンツ力を発生させることによって、遮蔽部7を供給管3aaや排出管3abに対して相対的に鉛直上方へ移動させる。
次に、図5は、図1で示す製造装置を用いた鋳造体の製造方法を説明した縦断面図であって、図4で示す工程に続いて金属溶湯槽から導出された金属溶湯で閉塞板を形成する状態を説明した図である。
図示するように、誘起体1を金属溶湯槽2の金属溶湯Mの湯面Maから更に離間させ、鉛直方向で所定長さの金属溶湯を凝固させた後、遮蔽部7を内側冷却管3aの供給管3aaや排出管3abに対して鉛直下方へ移動させ、遮蔽部7によって供給管3aaの供給口3acと排出管3abの排出口3adを遮蔽する。そして、移動手段6によって内側冷却管3aを鉛直下方へ移動させ、内側冷却管3aの先端部3dを金属溶湯槽2の金属溶湯Mの内部に浸漬させる。また、不図示の移動手段によって内形規定部材5を金属溶湯槽2の金属溶湯Mの内部に浸漬させる。ここで、内形規定部材5の上面5Aと遮蔽部7の遮蔽板7aの上面7aCおよび排出管3abの天板3aeの上面3aCが金属溶湯槽2の金属溶湯Mの内部で略同じ高さとなるように双方を金属溶湯槽2の金属溶湯Mの内部に浸漬させる。これにより、金属溶湯槽2の金属溶湯Mの湯面Maと内形規定部材5の上面5Aおよび遮蔽部7の遮蔽板7aの上面7aCおよび排出管3abの天板3aeの上面3aCの間に所定の厚みを有する金属溶湯Mが配置されるため、誘起体1の移動に追従してその所定の厚みを有する金属溶湯Mを金属溶湯槽2の湯面Maから導出させ、外側冷却管3bや内側冷却管3aから冷媒を噴射して冷却させて、固化状態の金属溶湯Mcからなる閉塞板Mda(図7参照)を形成する。
なお、遮蔽部7が内側冷却管3aの供給管3aaや排出管3abに対して鉛直下方へ移動されると、図2(b)を参照して説明したように、内側冷却管3aの内部では供給管3aaと排出管3abが遮蔽部7の円筒体7bの連通口7bhと排出管3abの連通口3ahを介して流体連通され、冷媒供給部3cから供給管3aaへ供給されて供給管3aaの内部を流過した冷媒は、遮蔽部7の円筒体7bの連通口7bhと排出管3abの連通口3ahを介して排出管3abへ流過し、排出管3abの内部を流過して冷媒供給部3cへ排出される。
図6は、図1で示す製造装置で製造される鋳造体の一実施の形態を示す図であって、図6(a)はその斜視図であり、図6(b)はその縦断面図である。
図6(a)、(b)で示すように、図1で示す製造装置10によれば、鉛直方向で上方側が誘起体1によって閉塞され、鉛直方向で下方側が固化状態の金属溶湯Mcからなる閉塞板Mdaによって閉塞された略円筒状の鋳造体Mdが製造されることとなる。ここで、金属溶湯Mを導出するために使用される誘起体1は、金属溶湯と同種の金属から構成することで、製造される鋳造体Mdの一部とすることができる。また、鉄などの金属溶湯と異種の金属から構成し、鋳造体Mdの製造後に当該鋳造体Mdから切り離して再度誘起体として使用することもできる。なお、図示する鋳造体Mdは、金属溶湯槽2の湯面Maから導出された溶湯金属が連続的に凝固されることで凝固組織が一方向に指向しており、極めて高い品質を有している。また、金属溶湯槽2の金属溶湯Mの湯面Maから金属溶湯Mを導出させながら、不図示の移動手段を用いて外形規定部材4と内形規定部材5を任意の方向へ移動させることによって、鉛直方向の異なる位置において水平断面の断面中心が水平方向へ変化する鋳造体Mdを製造することもできる。
図7は、図1で示す製造装置を用いた鋳造体の製造方法を説明した縦断面図であって、図5で示す工程に続いて金属溶湯槽から導出された金属溶湯を凝固させた状態を説明した図である。
誘起体1を金属溶湯槽2の湯面Maから離間させ、上記する図4で示す工程と図5で示す工程を繰り返すことによって、図7で示すように、金属溶湯槽2の金属溶湯Mの湯面Maから導出された金属溶湯の内部に固化状態の金属溶湯Mcからなり且つ略水平方向へ延びる閉塞板Mdaが連続的に形成された鋳造体が成形される。
このように金属溶湯槽2の湯面Maから環状に導出された金属溶湯の内側へ冷媒を供給し、金属溶湯の内側へ供給されて金属溶湯との熱交換によって高温となった冷媒をその金属溶湯の内側から排出することによって、相対的に高温となり得る環状の金属溶湯の内側を直接的かつ効率的に冷却することができ、金属溶湯槽2の湯面Maから導出された金属溶湯を短時間で凝固させることができる。また、たとえば製造される鋳造体の厚みが大きい場合には、内側冷却管3aとともに外側冷却管3bを適用し、金属溶湯槽2の湯面Maから導出された金属溶湯の内周面と外周面の双方に冷媒を噴射することによって、金属溶湯槽2の湯面Maから導出された金属溶湯を内周面と外周面の双方から冷却できるため、当該金属溶湯をより短時間で凝固させることができ、金属溶湯全体を略均一に冷却して凝固させることができ、製造される鋳造体の内部組織を略均一化することができる。さらに、金属溶湯槽2の湯面Maから環状に導出された金属溶湯の端部が閉塞され、当該金属溶湯の内部空間がその外部環境と離隔される場合であっても、内側冷却管3aを金属溶湯槽2の金属溶湯Mの内部に配置し、その内側冷却管3aの先端部3dを金属溶湯槽2の湯面Maから環状に導出された金属溶湯の内側の湯面を介して当該金属溶湯の内部空間へ突出させて配置することで、環状に導出された金属溶湯の閉塞空間を内側冷却管3aの先端部3dの供給管3aaから供給される冷媒を用いて確実に冷却することができるため、製造される鋳造体Mdの形状自由度を格段に高めることができる。
なお、上記する実施の形態においては、誘起体1が略円板形状を有する形態について説明したが、たとえば図8で示すように円筒体1a'とその円筒体1a'の軸心と直交する方向に形成された円板1b'で構成された誘起体1a'を使用する場合には上記する図2および図3で示す工程を省略することができる。また、誘起体の基礎形状としては、円板形状や円筒形状のほか、四角形や六角形等の断面多角形を有する筒体形状を適用することができる。その際には、たとえば内部に中空空間を有する多角形状の鋳造体を成形することができる。
また、冷却手段3を構成する内側冷却管3aや外側冷却管3bから噴射される冷媒の噴射圧や噴射量は冷媒供給部3cに設けられた制御装置や不図示の制御弁等によって任意に調整することができる。
また、上記する実施の形態においては、内側冷却管3aの排出管3abへ排出された冷媒が冷媒供給部3cへ排出され、冷媒供給部3cで冷却されて再び内側冷却管3aの供給管3aaや外側冷却管3bへ供給される形態について説明したが、たとえば内側冷却管3aの排出管3abへ排出された冷媒を外部環境へ放出してもよい。
また、上記する実施の形態においては、冷却手段3として冷媒を用いて湯面から導出される金属溶湯を直接的に冷却する手段を用いる形態について説明したが、金属溶湯を導出するために使用される金属製の誘起体や金属溶湯の既凝固部分を介して間接的に冷却する手段などを組み合わせて使用してもよい。
さらに、上記する実施の形態においては、外形規定部材4や内形規定部材5として、たとえばヘラやガイドやローラ等の冶具を用いる形態について説明したが、流量や圧力が制御された流体を吹き付けて鋳造体の外形や内形を規定してもよいし、電磁場を付与することによって鋳造体の外形や内形を規定してもよい。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…誘起体、2…金属溶湯槽、3…冷却手段、3a…内側冷却管、3aa…供給管、3ab…排出管、3ac…供給口、3ad…排出口、3ae…天板、3af…接続管、3ag…接続管の貫通口、3ah…排出管の連通口、3aA…供給管の端面、3aB…接続管の外周面、3aC…天板の上面、3b…外側冷却管、3c…冷媒供給部、3d…内側冷却管の先端部、4…外形規定部材、5…内形規定部材、5A…内形規定部材の上面、6…移動手段、7…遮蔽部、7a…遮蔽板、7ag…遮蔽板の貫通口、7b…円筒体、7bh…円筒体の連通口、7aA…遮蔽板の側面、7aB…貫通口の内周面、7aC…遮蔽板の上面、M…金属溶湯、Ma…金属溶湯の湯面、Mb…保持溶湯、Mc…凝固状態の金属溶湯、Md…鋳造体、Mda…閉塞板

Claims (7)

  1. 金属溶湯を貯留する金属溶湯槽と、金属溶湯槽の湯面から環状に導出された金属溶湯を冷却して凝固させる冷却手段と、を備える鋳造体の製造装置であって、
    前記冷却手段は、少なくとも金属溶湯槽の金属溶湯の内部を通って金属溶湯槽の湯面から環状に導出された金属溶湯の内側へ冷媒を供給し、金属溶湯の内側へ供給された冷媒を環状に導出された金属溶湯の内側から金属溶湯槽の金属溶湯の内部を通って排出する冷却管を有している鋳造体の製造装置。
  2. 前記冷却手段は、金属溶湯槽の湯面から環状に導出された金属溶湯の内側へ冷媒を供給して環状に導出された金属溶湯の内側から冷媒を排出するためにその金属溶湯の内側に配された冷却管の開口を遮蔽する遮蔽部を有している請求項1に記載の鋳造体の製造装置。
  3. 前記冷却管は、金属溶湯の内側へ冷媒を供給する供給管とその金属溶湯の内側から冷媒を排出する排出管からなり、
    前記遮蔽部によって冷却管の開口を遮蔽した際に供給管と排出管が流体連通し、供給管を流過した冷媒が排出管へ流過するようになっている請求項2に記載の鋳造体の製造装置。
  4. 前記遮蔽部によって冷却管の開口を遮蔽した際に、前記冷却管のうち金属溶湯槽の湯面から環状に導出された金属溶湯の内側に配された部分が金属溶湯槽の金属溶湯の内部へ浸漬されるようになっている請求項2または3に記載の鋳造体の製造装置。
  5. 前記冷却管は、供給管の内側に排出管が内包された二重管構造を有している請求項3に記載の鋳造体の製造装置。
  6. 前記冷却管は、排出管の内側に供給管が内包された二重管構造を有している請求項3に記載の鋳造体の製造装置。
  7. 金属溶湯槽の湯面から金属溶湯を環状に導出させ、導出された金属溶湯を冷却して凝固させて環状形状を有する鋳造体を成形する鋳造体の製造方法であって、
    金属溶湯槽の金属溶湯の内部を通って金属溶湯槽の湯面から環状に導出された金属溶湯の内側へ冷媒を供給し、金属溶湯の内側へ供給された冷媒を環状に導出された金属溶湯の内側から金属溶湯槽の金属溶湯の内部を通って排出する鋳造体の製造方法。
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