JP2013168424A - 有機薄膜太陽電池素子用材料、及びそれを用いた有機薄膜太陽電池 - Google Patents

有機薄膜太陽電池素子用材料、及びそれを用いた有機薄膜太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高効率の光電変換特性が得られる有機薄膜太陽電池素子用材料及び有機薄膜太陽電池を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される化合物を含む有機薄膜太陽電池素子用材料である。
Figure 2013168424

(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6〜20のアリール基、又は置換若しくは無置換の環形成原子数5〜20の複素環基であり、R〜Rのうち隣接するものは、互いに結合して環を形成してもよい。Xは、それぞれ独立に、ハロゲン原子又はアルコキシ基である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、有機薄膜太陽電池素子用材料、及びそれを用いた有機薄膜太陽電池に関する。
有機薄膜太陽電池は、光信号を電気信号に変換するフォトダイオードや撮像素子、光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池に代表されるように、光入力に対して電気出力を示す装置であり、電気入力に対して光出力を示すエレクトロルミネッセンス(EL)素子とは逆の応答を示す装置である。中でも太陽電池は、化石燃料の枯渇問題や地球温暖化問題を背景に、クリーンエネルギー源として近年大変注目されてきており、研究開発が盛んに行なわれるようになってきた。
有機薄膜太陽電池は、最初メロシアニン色素等を用いた単層膜で研究が進められてきたが、p層(正孔を輸送する層)/n層(電子を輸送する層)の多層膜にすることで変換効率が向上することが見出されて以降、多層膜が主流になってきている。このとき用いられた材料はp層として銅フタロシアニン(CuPc)、n層としてペリレンイミド類(PTCBI)であった。
その後、p層とn層の間にi層(p材料とn材料の混合層)を挿入して積層を増やすことにより、変換効率が向上することが見出された。しかしこのとき用いられた材料は、依然としてフタロシアニン類とペリレンイミド類であった。またその後、p/i/n層を何層も積層するというスタックセル構成によりさらに変換効率が向上することが見出されたが、このときの材料系はフタロシアニン類とC60フラーレンであった。
高分子を用いた有機薄膜太陽電池では、p材料として導電性高分子を用い、n材料としてC60誘導体を用いてそれらを混合し、熱処理することによりミクロ層分離を誘起してヘテロ界面を増やし、変換効率を向上させるという、所謂バルクヘテロ構造の研究が主に行なわれてきた。ここで用いられてきた材料系はおもに、p材料としてP3HTと呼ばれる可溶性ポリチオフェン誘導体、n材料としてPCBMと呼ばれる可溶性C60誘導体であった。
このように、有機薄膜太陽電池では、セル構成及びモルフォロジーの最適化により変換効率の向上がもたらされてきたが、そこで用いられる材料系は初期の頃からあまり進展がなく、依然としてフタロシアニン類、ペリレンイミド類、C60類が用いられてきた。従って、それらに代わる新たな材料系の開発が熱望されていた。
特許文献1及び2は、有機太陽電池材料としてピロメテン骨格を有する化合物を開示するが、いずれも高い性能は得られていない。特許文献1はピロメテン骨格を有する化合物をn型材料として用いることで、高い開放端電圧(Voc)を示すものの、変換効率の開示が無く、特許文献2が開示する材料は、色素増感太陽電池の色素であり、得られる電池の変換効率も0.02%と十分なものではなかった。
特開2008−109097号公報 特開2010−184880号公報
本発明の目的は、高効率の光電変換特性が得られる有機薄膜太陽電池素子用材料及びそれを用いた有機薄膜太陽電池を提供することである。
本発明によれば、以下の有機薄膜太陽電池素子用材料等が提供される。
1.下記式(1)で表される化合物を含む有機薄膜太陽電池素子用材料。
Figure 2013168424
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6〜20のアリール基、又は置換若しくは無置換の環形成原子数5〜20の複素環基であり、R〜Rのうち隣接するものは、互いに結合して環を形成してもよい。
Xは、それぞれ独立に、ハロゲン原子又はアルコキシ基である。)
2.前記式(1)の2つのXがフッ素原子である1に記載の有機薄膜太陽電池素子用材料。
3.前記式(1)で表される化合物が、下記式(2)で表わされる化合物又は下記式(3)で表わされる化合物である1又は2に記載の有機薄膜太陽電池素子用材料。
Figure 2013168424
4.前記式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物が、p層又はi層に用いられる1〜3のいずれかに記載の有機薄膜太陽電池素子用材料。
5.一対の電極間に1以上の有機薄膜層を備える有機薄膜太陽電池であって、前記有機薄膜層の少なくとも一層が、下記式(1)で表される化合物を含む有機薄膜太陽電池。
Figure 2013168424
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6〜20のアリール基、又は置換若しくは無置換の環形成原子数5〜20の複素環基であり、R〜Rのうち隣接するものは、互いに結合して環を形成してもよい。
Xは、それぞれ独立に、ハロゲン原子又はアルコキシ基である。)
6.前記式(1)の2つのXがフッ素原子である5に記載の有機薄膜太陽電池。
7.前記式(1)で表される化合物が、下記式(2)で表わされる化合物又は下記式(3)で表わされる化合物である5又は6に記載の有機薄膜太陽電池。
Figure 2013168424
8.前記1以上の有機薄膜層がp層、i層、n層のいずれかであって、前記p層及び/又は前記i層に、前記式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物を含む5〜7のいずれかに記載の有機薄膜太陽電池。
9.前記n層及び/又は前記i層が、フラーレン又はフラーレン誘導体をさらに含む8に記載の有機薄膜太陽電池。
10.5〜9のいずれかに記載の有機薄膜太陽電池を具備する装置。
本発明によれば、高効率の光電変換特性が得られる有機薄膜太陽電池素子用材料及びそれを用いる有機太陽電池が提供できる。
[有機薄膜太陽電池素子用材料]
本発明の有機薄膜太陽電池素子用材料は、下記式(1)で表される化合物を含む。
Figure 2013168424
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6〜20のアリール基、又は置換若しくは無置換の環形成原子数5〜20の複素環基であり、R〜Rのうち隣接するものは、互いに結合して環を形成してもよい。
Xは、それぞれ独立に、ハロゲン原子又はアルコキシ基であり、好ましくは2つのXがフッ素原子である)
式(1)で表わされる化合物(以下、単に本発明の化合物と言う場合がある)は、ピロメテン骨格を有する化合物であり、特に下記に示す化合物のR及びRを水素原子とすることで、ホウ素上のXとの立体障害が無く、高い分子平面性を有することができる。高い分子平面性を有することで短絡電流(Jsc)が向上し、変換効率を向上することができる。
尚、例えばR及びRが芳香族環基及び/又は複素環基である場合、ホウ素上のXとの立体障害によって、R及びRの芳香族環基及び/又は複素環基は、ピロメテン骨格に対して垂直に配置し、分子平面性が失われてしまう。
Figure 2013168424
(式中、R〜R及びXは式(1)と同様である。)
以下、本発明の化合物の各置換基を説明する。
〜Rの炭素数1〜20のアルキル基としては、好ましくはアルキル部分の炭素数が1〜8であり、アルキル部分は直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、3、7−ジメチルオクチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ノルボルニル基等が挙げられる。これらのうち、原料の入手しやすさ等の観点から、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロヘキシル基がさらに好ましい。
上記アルキル基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、フェニル基等のアリール基が挙げられ、当該アリール基はメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基でさらに置換されていてもよい。
置換アルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、ベンジル基、α、α−ジメチルベンジル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルエチル基が挙げられる。
〜Rの環形成炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、2−トリル基、4−トリル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−シアノフェニル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基、ターフェニリル基、3、5−ジフェニルフェニル基、3、4−ジフェニルフェニル基、ペンタフェニルフェニル基、4−(2、2−ジフェニルビニル)フェニル基、4−(1、2、2−トリフェニルビニル)フェニル基、フルオレニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−(1、4−ジフェニル)ナフチル基、9−アントリル基、2−アントリル基、2−(1、4−ジフェニル)アントリル基)、2−(9、10−ジフェニル)アントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、コロニル基等が挙げられる。これらのうち、原料の入手しやすさ等の観点から、フェニル基、4−ビフェニリル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−アントリル基、9−フェナントリル基等がさらに好ましい。
上記アリール基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基、シアノ基、フェニル基等のアリール基、カルバゾール等の複素環、ジフェニルアミノ基等のアリールアミノ基等が挙げられる。
〜Rの環形成原子数5〜20の複素環基としては、好ましくは複素環の環形成原子数5〜15であり、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ピラゾール、ベンズピラゾール、トリアゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピラジン、トリアジン、キノリン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン及びカルバゾールから形成される基が挙げられる。これらのうち、原料の入手しやすさ等の観点から、フラン、チオフェン、ビチオフェン、テルチオフェン、ピリジン、カルバゾール等が好ましい。
上記複素環の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子やメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基、チオフェン基、ジシアノビニル基が挙げられる。
Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子又はアルコキシ基である。Xのアルコキシ基としては、例えば炭素数1〜20のアルキル部分を含むアルコキシ基であり、好ましくはアルキル部分の炭素数が1〜8であり、アルキル部分は直鎖、分岐鎖又は環状のいずれであってもよい。具体的には、アルキル部分がメチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、3、7−ジメチルオクチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、ノルボルニル基、トリフルオロメチル基、2,3−パーフルオロプロピル、トリクロロメチル基、ベンジル基、α、α−ジメチルベンジル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルエチル基等であるアルコキシ基が挙げられる。これらのうち、原料の入手しやすさ等の観点から、アルキル部分がメチル基、エチル基、1−プロピル基であるアルコキシ基がさらに好ましい。
アルキル部分は置換されていてもよく、当該置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、フェニル基等のアリール基が挙げられ、当該アリール基はメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜5のアルキル基でさらに置換されていてもよい。
尚、本発明において、水素原子には、軽水素、重水素、三重水素が含まれる。例えば、Rが水素原子である場合、軽水素又は重水素、三重水素であってもよい。
本発明の有機薄膜太陽電池素子用化合物の具体例を以下に示す。
尚、式(1)で表わされる化合物は、下記化合物に限定されない。
Figure 2013168424
Figure 2013168424
Figure 2013168424
Figure 2013168424
Figure 2013168424
上記の具体例のうち、より好ましくは具体例の化合物3である下記式(2)で表わされる化合物又は具体例の化合物10である下記式(3)で表わされる化合物である。
Figure 2013168424
本発明の化合物は、例えばSynthetic.Communucations,29(19),3353(1999)、Inorg.Chem.,42,6629(2003)、J.Org.Chem.,64,7813(1999)、Org.Lett.,13(12),2992(2010)に記載されている方法により合成することができる。例えば、2つのピロール誘導体をアルデヒド誘導体と縮合後、酸化し、ホウ素誘導体と反応させる方法やさらに臭素化して、Pd等の触媒を用いて置換基を導入する方法が挙げられる。
本発明の有機薄膜太陽電池素子用材料は、本発明の化合物を含めばよく、本発明の化合物のみからなってもよい。
本発明の有機薄膜太陽電池材料は、有機薄膜太陽電池の活性層の材料として好適であり、特にp層又はi層(p材料とn材料の混合層)の材料として好適である。
p層の材料(p材料)に求められる特性は、望む波長域での吸収強度が大きく、電荷分離後の電荷を効率的に正極及び負極に運ぶことができる等である。特に正孔の伝導パスを構築するには、化合物同士が接近し易くなるように、高い平面性を有する化合物を用いることが重要である。
本発明の化合物は、上述したように高い平面性を有するので、本発明の有機薄膜太陽電池材料を用いることにより、有機薄膜太陽電池の短絡電流(Jsc)が高くなり、光電変換効率を高めることができる。
[有機薄膜太陽電池]
本発明の有機薄膜太陽電池のセル構造は、一対の電極の間に上記化合物を含有する層を有する構造であれば特に限定されるものではない。具体的には、安定な絶縁性基板上に下記の構成を有する構造が挙げられる。
(1)下部電極/有機薄膜層/上部電極
(2)下部電極/p層/n層/上部電極
(3)下部電極/p層/i層(又はp材料とn材料の混合層)/n層/上部電極
(4)下部電極/p材料とn材料の混合層/上部電極
上記(2)、(3)の各構成においてp層とn層を置換してもよい。
また、必要に応じて、電極と有機層の間にバッファー層を設けてもよい。例えば具体例として、上記構成(1)にバッファー層を設けた場合、下記構成を有する構造が挙げられる。
(5)下部電極/バッファー層/p層/n層/上部電極
(6)下部電極/p層/n層/バッファー層/上部電極
(7)下部電極/バッファー層/p層/n層/バッファー層/上部電極
本発明の有機薄膜太陽電池素子用材料は、例えば、p層、n層、i層といった活性層の他、バッファー層にも使用できる。
本発明の有機薄膜太陽電池は、電池を構成するいずれかの部材に本発明の有機薄膜太陽電池素子用材料を含有していればよい。また、本発明の有機薄膜太陽電池の部材は、上記有機薄膜太陽電池素子用材料のみから形成されていてもよいし、上記有機薄膜太陽電池素子用材料と他の成分の混合物から形成されていてもよい。本発明の材料を含まない部材や混合材料については、有機薄膜太陽電池で使用される公知の部材や材料を使用することができる。
以下、各構成部材について簡単に説明する。
1.下部電極、上部電極
下部電極、上部電極の材料は特に制限はなく、公知の導電性材料を使用できる。例えば、p層と接続する電極としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)や金(Au)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)等の金属が使用でき、n層と接続する電極としては、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、カルシウム(Ca)、白金(Pt)、リチウム(Li)等の金属やMg:Ag、Mg:InやAl:Li等の二成分金属系、さらには上記P層と接続する電極例示材料が使用できる。
尚、高効率の光電変換特性を得るためには、例えば有機薄膜太陽電池が太陽電池の場合、太陽電池の少なくとも一方の面は太陽光スペクトルにおいて充分透明にすることが望ましい。透明電極は、公知の導電性材料を使用して、蒸着やスパッタリング等の方法で所定の透光性が確保するように形成する。受光面の電極の光透過率は10%以上とすることが望ましい。一対の電極構成の好ましい構成では、電極部の一方が仕事関数の大きな金属を含み、他方は仕事関数の小さな金属を含む。
2.有機薄膜層
有機薄膜層は、p層、p材料とn材料の混合層(i層)又はn層、バッファー層のいずれかである。本発明の材料を有機薄膜層に使用するとき、具体的には、下部電極/本発明の材料の単独層/上部電極や、下部電極/本発明の材料と、後述するn層材料又はp層材料との混合層/上部電極等の構成が挙げられる。
3.p層、n層、i層
p層とは正孔を輸送する層であり、n層とは電子を輸送する層であり、本発明の材料をp層に用いるときは、n層は特に限定されないが、電子受容体としての機能を有する化合物が好ましい。例えば有機化合物であれば、C60及びC70のフラーレン、フラーレン誘導体、カーボンナノチューブ、ペリレン誘導体、多環キノン、キナクリドン等、高分子系ではCN−ポリ(フェニレン−ビニレン)、MEH−CN−PPV、−CN基又はCF基含有ポリマー、それらの−CF置換ポリマー、ポリ(フルオレン)誘導体等を挙げることができる。電子の移動度が高い材料が好ましい。さらに、好ましくは、電子親和力が小さい材料が好ましい。このように電子親和力の小さい材料をn層として組み合わせることで充分な開放端電圧を実現することができる。
n層及びi層の材料としては、フラーレン及びフラーレン誘導体が好ましい。
フラーレンC60及びフラーレンC70の構造を以下に示す。また、フラーレン誘導体としては、例えば、以下に示す構造のものが挙げられる。
Figure 2013168424
また、無機化合物であれば、n型特性の無機半導体化合物を挙げることができる。具体的には、n−Si、GaAs、CdS、PbS、CdSe、InP、Nb、WO、Fe等のドーピング半導体及び化合物半導体、また、二酸化チタン(TiO)、一酸化チタン(TiO)、三酸化二チタン(Ti)等の酸化チタン、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等の導電性酸化物が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましくは、酸化チタン、特に好ましくは、二酸化チタンを用いる。
本発明の材料をn層に用いるときは、p層は特に限定されないが、正孔受容体としての機能を有する化合物が好ましい。例えば有機化合物であれば、N,N’−ビス(3−トリル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(mTPD)、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPD)、4,4’,4’’−トリス(フェニル−3−トリルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)等に代表されるアミン化合物、フタロシアニン(Pc)、銅フタロシアニン(CuPc)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)、チタニルフタロシアニン(TiOPc)等のフタロシアニン類、オクタエチルポルフィリン(OEP)、白金オクタエチルポルフィリン(PtOEP)、亜鉛テトラフェニルポルフィリン(ZnTPP)等に代表されるポルフィリン類、高分子化合物であれば、ポリヘキシルチオフェン(P3HT)、メトキシエチルヘキシロキシフェニレンビニレン(MEHPPV)等の主鎖型共役高分子類、ポリビニルカルバゾール等に代表される側鎖型高分子類等が挙げられる。
i層は電子供与性材料と電子受容性材料との混合層である。本発明の材料をi層に用いるときは、上記p層化合物もしくはn層化合物と混合してi層を形成してもよい。その場合のp層もしくはn層は、上記例示化合物のいずれも用いることができる。
i層は、電子供与性材料と電子受容性材料を共蒸着することで形成できる。このとき、電子供与性材料の混合割合は1重量%〜99重量%である。
4.バッファー層
一般に、有機薄膜太陽電池は総膜厚が薄いことが多く、そのため上部電極と下部電極が短絡し、セル作製の歩留まりが低下することが多い。このような場合には、バッファー層を積層することによってこれを防止することが好ましい。
バッファー層に好ましい化合物としては、膜厚を厚くしても短絡電流が低下しないようにキャリア移動度が充分に高い化合物が好ましい。例えば、低分子化合物であれば下記に示すNTCDAに代表される芳香族環状酸無水物等が挙げられ、高分子化合物であればポリ(3,4−エチレンジオキシ)チオフェン:ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS)、ポリアニリン:カンファースルホン酸(PANI:CSA)等に代表される公知の導電性高分子等が挙げられる。
Figure 2013168424
(PEDOT:PSSについて、n及びmはそれぞれ繰り返し数である。)
また、バッファー層には、励起子が電極まで拡散して失活してしまうのを防止する役割を持たせることも可能である。このように励起子阻止層としてバッファー層を挿入することは、高効率化のために有効である。励起子阻止層は正極側、負極側のいずれにも挿入することができ、両方同時に挿入することも可能である。この場合、励起子阻止層として好ましい材料としては、例えば有機EL用途で公知な正孔障壁層用材料又は電子障壁層用材料等が挙げられる。正孔障壁層として好ましい材料は、イオン化ポテンシャルが充分に大きい化合物であり、電子障壁層として好ましい材料は、電子親和力が充分に小さい化合物である。具体的には有機EL用途で公知な材料であるバソクプロイン(BCP)、バソフェナントロリン(BPhen)等が陰極側の正孔障壁層材料として挙げられる。
Figure 2013168424
さらに、バッファー層には、上記n材料として例示した無機半導体化合物を用いてもよい。また、p型無機半導体化合物としてはCdTe、p−Si、SiC、GaAs、WO等を用いることができる。
5.基板
基板は、機械的、熱的強度を有し、透明性を有するものが好ましい。例えば、ガラス基板及び透明性樹脂フィルムがある。透明性樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリプロピレン等が挙げられる。
[有機薄膜太陽電池の製造方法]
本発明の有機薄膜太陽電池の各層の形成は、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法やスピンコーティング、ディップコート、キャスティング、ロールコート、フローコーティング、インクジェット等の湿式成膜法を適用することができる。
各層の膜厚は特に限定されないが、適切な膜厚に設定する。一般に有機薄膜の励起子拡散長は短いことが知られているため、膜厚が厚すぎると励起子がヘテロ界面に到達する前に失活してしまうため光電変換効率が低くなる。膜厚が薄すぎるとピンホール等が発生してしまうため、充分なダイオード特性が得られないため、変換効率が低下する。通常の膜厚は1nm〜10μmの範囲が適しているが、5nm〜0.2μmの範囲がさらに好ましい。
乾式成膜法の場合、公知の抵抗加熱法が好ましく、混合層の形成には、例えば、複数の蒸発源からの同時蒸着による成膜方法が好ましい。さらに好ましくは、成膜時に基板温度を制御する。
湿式成膜法の場合、各層を形成する材料を、適切な溶媒に溶解又は分散させて発光性有機溶液を調製し、薄膜を形成するが、任意の溶媒を使用できる。例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン系炭化水素系溶媒や、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶媒、メタノールやエタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール等のアルコール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘキサン、オクタン、デカン、テトラリン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶媒等が挙げられる。なかでも、炭化水素系溶媒又はエーテル系溶媒が好ましい。また、これらの溶媒は単独で使用しても複数混合して用いてもよい。尚、使用可能な溶媒は、これらに限定されるものではない。
本発明においては、有機薄膜太陽電池のいずれの有機薄膜層においても、成膜性向上、膜のピンホール防止等のため適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。使用の可能な樹脂としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース等の絶縁性樹脂及びそれらの共重合体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の光導電性樹脂、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性樹脂を挙げられる。
また、添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等が挙げられる。
本発明の有機薄膜太陽電池は時計、携帯電話及びモバイルパソコン等の各種装置、電化製品等の電源又は補助電源として使用できる。充電機能のある二次電池と組み合わせ、暗所においても使用可能とし、適用用途を拡げることも可能である。
[有機薄膜太陽電池素子用化合物の合成]
実施例1
化合物2を下記合成スキームに従って製造した。
Figure 2013168424
(1)中間体2−Aの合成
500mlフラスコにピロール(250ml)、ベンズアルデヒド(88.6mmol、9.4g)を入れて、室温下で撹拌しながら、トリフルオロ酢酸(1.2ml)を添加した。室温で25分反応させ、水酸化ナトリウム水溶液(250ml)を加えて反応を停止した。
反応混合物を塩化メチレン300mlで抽出して、さらに有機層を水酸化ナトリウム水溶液200mlで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、エバポレーターを用いて溶媒及び過剰のピロールを除去した。得られた黒色状オイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=80/20)で2回精製して淡褐色結晶を得た(12.7g、収率65%)。
得られた化合物が中間体2−Aであることを、H−NMRにより確認した。H−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz、CDCl、TMS)δ7.92(2H、br)、7.16−7.33(5H、m)、6.68(2H、d)、6.14(2H、d)、5.91(2H、s)、5.46(1H、s)
(2)化合物1の合成
2000mlフラスコに中間体2−A(36.9mmol、8.2g)、塩化メチレン850mlを入れて室温で撹拌した。この溶液に2、3−ジクロロ−5、6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)(36.9mmol、8.4g)の塩化メチレン120mlを加えて室温で7時間撹拌した。エバポレーターを用いてこの反応混合物から溶媒を完全に除去した。得られた反応物を1000mlフラスコに入れて、真空ポンプで系内を減圧にして、窒素置換を行なった。この操作を3回実施後、トルエン500ml、N、N−ジイソプロピルエチルアミン(369mmol、45.5ml)を加えて、10分間室温で撹拌した。次いで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(369mmol、64.2ml)を添加して、室温で1時間、80℃で6時間加熱撹拌を行なった。
反応溶液をセライトを通してろ過し、エバポレーターを用いて溶媒を除去後、シリカカラムクロマトグラフィ(塩化メチレンのみ)にて緑色発光の留分を分取した。得られた分取物をさらにシリカカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/塩化メチレン=70/30〜60/40)で精製して赤褐色の結晶を得た(2.0g、収率20%)。
得られた化合物が化合物1であることを、H−NMRにより確認した。H−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz、CDCl、TMS)δ7.94(2H、s)、7.50−7.60(5H、m)、6.93(2H、d)、6.54(2H、d)
(3)中間体2−Bの合成
300mlフラスコに化合物1(4.0mmol、1.1g)を入れて、真空ポンプで系内を減圧にして、窒素置換を行なった。この操作を3回実施後、N,N−ジメチルホルムアミド(100ml)及び塩化メチレン(100ml)を入れて、室温で撹拌した。滴下ロートから、塩化メチレン60mlに溶解させたN−ブロモスクシンイミド(9.6mmol、1.7g)を30分で滴下した。さらに室温にて16時間反応させた。
反応溶液を水200mlで3回洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、エバポレーターを用いて溶媒を除去した。得られたオイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=90/10〜85/15)で精製して褐色結晶を得た(1.6g、収率93%)。
得られた化合物が中間体2−Bであることを、H−NMRにより確認した。H−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz、CDCl、TMS)δ7.85(2H、s)、7.50−7.65(5H、m)、6.95(2H、s)
(4)化合物2の合成
1000mlフラスコに中間体1(2.8mmol、1.2g)、フェニルボロン酸(6.7mmol、0.82g)、トリスジベンジリデンアセトンジパラジウム(0.28mmol、0.25g)、テトラフルオロホウ酸トリtert−ブチルホスフィン(1.12mmol、0.32g)及び炭酸セシウム(11.2mmol、3.6g)を入れて、真空ポンプで系内を減圧にして、窒素置換を行なった。この操作を3回実施後、テトラヒドロフラン(600ml)、水4mlを加えて、室温で16時間撹拌した。
応溶液からエバポレーターを用いて溶媒を除去し、塩化メチレン300ml、水200mlで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒除去後得られたオイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/塩化メチレン=85/15〜65/35)で精製して褐色結晶を得た(0.6g、収率54%)。
得られた化合物が化合物2であることを、H−NMR及びFD−MS(Field Desorption Mass Spectrometry)により確認した。H−NMR及びFD−MSの測定結果を以下に示す。
H−NMR]
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ8.30(2H、s)、7.66−7.71(3H、m)、7.62(2H、t)、7.58(4H、d)、7.39(4H、t)、7.29(2H、t)、7.18(2H、t)
[FD−MS]
m/z 420(420.16 for C2719BF
実施例2
化合物3を下記合成スキームに従って製造した。
Figure 2013168424
中間体2−Bを実施例1と同様にして合成した。
1000mlフラスコに中間体2−B(3.7mmol、1.6g)、o−メトキシフェニルボロン酸(9.3mmol、1.5g)、トリスジベンジリデンアセトンジパラジウム(0.37mmol、0.34g)、テトラフルオロホウ酸トリtert−ブチルホスフィン(1.49mmol、0.43g)及び炭酸セシウム(14.9mmol、4.8g)を入れて、真空ポンプで系内を減圧にして、窒素置換を行なった。この操作を3回実施後、テトラヒドロフラン(650ml)、水5mlを加えて、室温で15時間撹拌した。
応溶液からエバポレーターを用いて溶媒を除去し、塩化メチレン300ml、水200mlで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒除去後得られたオイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=80/20)で精製して褐色結晶を得た(0.53g、収率30%)。
得られた化合物が化合物3であることを、H−NMR及びFD−MS(Field Desorption Mass Spectrometry)により確認した。H−NMR及びFD−MSの測定結果を以下に示す。
H−NMR]
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ8.48(2H、s)、7.68(2H、d)、7.62(1H、t)、7.60(2H、t)、7.48(2H、d)、7.23−7.28(4H、m)、6.88−7.00(4H、m)、3.90(6H、s)
[FD−MS]
m/z 480(480.3 for C2923BF
実施例3
化合物10を下記合成スキームに従って製造した。
Figure 2013168424
(1)中間体10−Aの合成
化合物1を実施例1と同様にして合成した。
300mlフラスコに化合物1(4.1mmol、1.1g)を入れて、真空ポンプで系内を減圧にして、窒素置換を行なった。この操作を3回実施後、N,N−ジメチルホルムアミド(100ml)及び塩化メチレン(100ml)を入れて、室温で撹拌した。滴下ロートから、塩化メチレン40mlに溶解させたN−ブロモスクシンイミド(4.9mmol、0.87g)を40分で滴下した。さらに室温にて20時間反応させた。
反応溶液を水200mlで3回洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、エバポレーターを用いて溶媒を除去した。得られたオイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=80/20)で精製して褐色結晶を得た(1.28g、収率90%)。
(2)化合物10の合成
1000mlフラスコに中間体10−A(3.6mmol、1.3g)、5−(4,4、5、5−テトラメチル−1、3、2−ジオキサボロラン−2−イル)−2、2‘−ビチオフェン)(4.3mmol、1.3g)、トリスジベンジリデンアセトンジパラジウム(0.36mmol、0.33g)、テトラフルオロホウ酸トリtert−ブチルホスフィン(1.44mmol、0.42g)及び炭酸セシウム(14.4mmol、4.7g)を入れて、真空ポンプで系内を減圧にして、窒素置換を行なった。この操作を3回実施後、テトラヒドロフラン(500ml)、水5mlを加えて、室温で18時間撹拌した。
応溶液からエバポレーターを用いて溶媒を除去し、塩化メチレン300ml、水200mlで抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒除去後得られたオイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(トルエンのみ)で精製して濃褐色結晶を得た(0.90g、収率57%)。
得られた化合物が化合物10であることを、H−NMR及びFD−MS(Field Desorption Mass Spectrometry)により確認した。H−NMR及びFD−MSの測定結果を以下に示す。
H−NMR]
H−NMR(400MHz、CDCl、TMS)δ8.18(1H、s)、7.96(1H、s)、7.57−7.65(5H、m)、7.21(1H、d)、7.15(1H、d)、7.10(1H、d)、7.07(1H、d)、7.01(1H、dd)、6.95(1H、d)、6.92(1H、s)、6.57(1H、s)
[FD−MS]
m/z 432(432.3 for C2315BF
実施例4
化合物15を下記合成スキームに従って製造した。
Figure 2013168424
(1)中間体15−Aの合成
200mlフラスコにピロール(70ml)、5−ホルミル−2,2‘−ビチオフェン(50mmol、9.7g)を入れて、室温下で撹拌しながら、トリフルオロ酢酸(1.0ml)を添加した。室温で20分反応させ、水酸化ナトリウム水溶液(200ml)を加えて反応を停止した。
反応混合物を塩化メチレン200mlで抽出して、さらに有機層を水酸化ナトリウム水溶液200mlで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、エバポレーターを用いて溶媒及び過剰のピロールを除去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(塩化メチレンのみ)に通した後に、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=85/25)で精製した。得られた結晶をヘキサン−酢酸エチルで再結晶して白色結晶を得た(7.5g、収率48%)。
得られた化合物が中間体15−Aであることは、H−NMRにより確認した。H−NMRの測定結果を以下に示す。
H−NMR(400MHz、CDCl、TMS)δ8.01(2H、br)、7.17(1H、d)、7.08(1H、d、J=7Hz)、6.96−7.01(2H、m)、6.79(1H、s)、6.71(2H、s)、6.18(2H、d)、6.09(2H、s)、5.70(1H、s)
(2)化合物15の合成
1000mlフラスコに中間体15−A(24.1mmol、7.5g)、塩化メチレン500mlを入れて室温で撹拌した。この溶液に2、3−ジクロロ−5、6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)(24.1mmol、5.5g)の塩化メチレン150mlを加えて室温で5時間撹拌した。エバポレーターを用いてこの反応混合物から溶媒を完全に除去した。得られた反応物を500mlフラスコに入れて、真空ポンプで系内を減圧にして、窒素置換を行なった。この操作を3回実施後、トルエン350ml、N、N−ジイソプロピルエチルアミン(240mmol、41.8ml)を加えて、15分間室温で撹拌した。次いで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(240mmol、29.6ml)を添加して、室温で1時間、80℃で6時間加熱撹拌を行なった。
反応溶液をセライトを通してろ過し、エバポレーターを用いて溶媒を除去後、シリカカラム(塩化メチレンのみ)を通した。得られた分取物をさらにシリカカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/塩化メチレン=70/30)で精製して黒褐色の結晶を得た(2.0g、収率23%)。
得られた化合物が化合物15であることを、H−NMR及びFD−MS(Field Desorption Mass Spectrometry)により確認した。H−NMR及びFD−MSの測定結果を以下に示す。
H−NMR]
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ7.90(2H、s)、7.57(1H、d)、7.38−7.41(5H、m)、7.12(1H、dd)、6.63(2H、br)
[FD−MS]
m/z 356(356.2 for C1711BF
実施例5
化合物18を下記合成スキームに従って製造した。
Figure 2013168424
(1)中間体18−Aの合成
200mlフラスコにピロール(60ml)、4−(N,N−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒド(39mmol、10.6g)を入れて、室温下で撹拌しながら、トリフルオロ酢酸(1.0ml)を添加した。室温で20分反応させ、水酸化ナトリウム水溶液(200ml)を加えて反応を停止した。
反応混合物を塩化メチレン200mlで抽出して、さらに有機層を水酸化ナトリウム水溶液200mlで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、エバポレーターを用いて溶媒及び過剰のピロールを除去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/酢酸エチル=80/20)で精製して淡褐色結晶を得た(10.5g、収率70%)。
(2)化合物18の合成
1000mlフラスコに中間体18−A(27mmol、10.5g)、テトラヒドロフラン500mlを入れて室温で撹拌した。この溶液に2、3−ジクロロ−5、6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)(27mmol、6.1g)のテトラヒドロフラン50mlを加えて室温で2時間撹拌した。エバポレーターを用いてこの反応混合物から溶媒を完全に除去した。得られた反応物を1000mlフラスコに入れて、真空ポンプで系内を減圧にして、窒素置換を行なった。この操作を3回実施後、トルエン400ml、N、N−ジイソプロピルエチルアミン(270mmol、47.0ml)を加えて、15分間室温で撹拌した。次いで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(270mmol、33.3ml)を添加して、室温で1時間、80℃で2時間加熱撹拌を行なった。
反応溶液をセライトを通してろ過し、エバポレーターを用いて溶媒を除去後、シリカカラム(塩化メチレンのみ)を通した。得られた分取物をさらにシリカカラムクロマトグラフィ(ヘキサン/塩化メチレン=75/25)で精製して黒褐色の結晶を得た(5.2g、収率44%)。
得られた化合物が化合物18であることを、H−NMR及びFD−MS(Field Desorption Mass Spectrometry)により確認した。H−NMR及びFD−MSの測定結果を以下に示す。
H−NMR]
H−NMR(500MHz、CDCl、TMS)δ7.89(2H、s)、δ7.49(2H、dt)7.37(4H、td)、7.23(4H、dd)、7.18(2H、td)、6.95−7.15(4H、m)、6.54(2H、dd)
[FD−MS]
m/z 435(435.2 for C2720BF
[有機太陽電池の作製]
実施例6
25mm×75mm×0.7mm厚のITO透明電極付きガラス基板をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間実施した。洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着した。
下部電極である透明電極ラインが形成されている側の面上に、当該透明電極を覆うようにして実施例2で調製した化合物3を抵抗加熱蒸着により1Å/sで成膜し、膜厚30nmの化合物A膜(p層)を形成した。化合物A膜上に膜厚60nmのC60膜(n層)を加熱蒸着により1Å/sで成膜し、続けて、膜厚10nmのBCP膜(バッファー層)を1Å/sで成膜した。最後に対向電極として膜厚100nmの金属Al膜を蒸着して、有機太陽電池(素子面積0.25cm)を作製した。
上記有機太陽電池の製造に用いた材料を以下に示す。
Figure 2013168424
得られた有機薄膜太陽電池について、以下の方法で、エアマスAM1.5条件下(光強度(Pin)100mW/cm)で電流電圧特性(I−V特性)を測定した。開放端電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、曲線因子(FF)及び変換効率(η)の結果を表1に示す。
尚、太陽電池特性の評価時は、作製した素子に光学マスクを被せて面積0.00225cmの範囲の太陽電池特性を測定した。また、変換効率η[%]は、Voc×Jsc×FF/Pin×100より算出した。
変換効率ηは、入射光エネルギーPinが一定であるので、Voc、Jsc及びFFのいずれか1以上が大きな化合物ほど優れた変換効率を示すことになる。
実施例7
化合物3の代わりに化合物10を用いてp層を積層した他は実施例6と同様にして有機薄膜太陽電池を製造し、評価した。結果を表1に示す。
実施例8
25mm×75mm×0.7mm厚のITO透明電極付きガラス基板をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間実施した。洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着した。
下部電極である透明電極ラインが形成されている側の面上に、透明電極を覆うようにして膜厚10nmの化合物10膜(p層)を抵抗加熱蒸着により1Å/sで成膜した。続いて、膜厚5nmとなるように化合物10を0.5Å/sで、膜厚20nmとなるようにC60を1Å/sで同時蒸着し、i層(混合層)を形成した。i層上に膜厚40nmのC60膜(n層)を加熱蒸着により1Å/sで成膜した。さらに、バッファー層として膜厚10nmのBCP膜を1Å/sで成膜した。最後に対向電極として金属Alを膜厚100nm蒸着させ、有機薄膜太陽電池を作製した。
得られた有機薄膜太陽電池を実施例6と同様にして評価した。結果を表1に示す。
比較例1
化合物3の代わりに下記化合物Aを用いてp層を積層した他は実施例6と同様にして有機薄膜太陽電池を製造し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 2013168424
比較例2
化合物3の代わりに下記化合物Bを用いてp層を積層した他は実施例6と同様にして有機薄膜太陽電池を製造し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 2013168424
Figure 2013168424
表1から分かるように、本発明の有機薄膜太陽電池材料は従来のピロメテン誘導体(比較例1及の化合物A及び比較例2の化合物B)に比べJscが高く変換効率が良く、優れた太陽電池特性を示していることが分かる。
本発明の有機薄膜太陽電池材料は有機薄膜太陽電池に使用でき、この有機薄膜太陽電池は、時計、携帯電話及びモバイルパソコン等の各種装置、電化製品の電源として使用できる。

Claims (10)

  1. 下記式(1)で表される化合物を含む有機薄膜太陽電池素子用材料。
    Figure 2013168424
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6〜20のアリール基、又は置換若しくは無置換の環形成原子数5〜20の複素環基であり、R〜Rのうち隣接するものは、互いに結合して環を形成してもよい。
    Xは、それぞれ独立に、ハロゲン原子又はアルコキシ基である。)
  2. 前記式(1)の2つのXがフッ素原子である請求項1に記載の有機薄膜太陽電池素子用材料。
  3. 前記式(1)で表される化合物が、下記式(2)で表わされる化合物又は下記式(3)で表わされる化合物である請求項1又は2に記載の有機薄膜太陽電池素子用材料。
    Figure 2013168424
  4. 前記式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物が、p層又はi層に用いられる請求項1〜3のいずれかに記載の有機薄膜太陽電池素子用材料。
  5. 一対の電極間に1以上の有機薄膜層を備える有機薄膜太陽電池であって、前記有機薄膜層の少なくとも一層が、下記式(1)で表される化合物を含む有機薄膜太陽電池。
    Figure 2013168424
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6〜20のアリール基、又は置換若しくは無置換の環形成原子数5〜20の複素環基であり、R〜Rのうち隣接するものは、互いに結合して環を形成してもよい。
    Xは、それぞれ独立に、ハロゲン原子又はアルコキシ基である。)
  6. 前記式(1)の2つのXがフッ素原子である請求項5に記載の有機薄膜太陽電池。
  7. 前記式(1)で表される化合物が、下記式(2)で表わされる化合物又は下記式(3)で表わされる化合物である請求項5又は6に記載の有機薄膜太陽電池。
    Figure 2013168424
  8. 前記1以上の有機薄膜層がp層、i層、n層のいずれかであって、前記p層及び/又は前記i層に、前記式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物を含む請求項5〜7のいずれかに記載の有機薄膜太陽電池。
  9. 前記n層及び/又は前記i層が、フラーレン又はフラーレン誘導体をさらに含む請求項8に記載の有機薄膜太陽電池。
  10. 請求項5〜9のいずれかに記載の有機薄膜太陽電池を具備する装置。
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