JP5427500B2 - 有機薄膜太陽電池用材料及びそれを用いた有機薄膜太陽電池 - Google Patents
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Description
従来、実用化されてきたのは、単結晶Si、多結晶Si、アモルファスSi等に代表されるシリコン系太陽電池であるが、高価であることや原料Siの不足問題等が表面化するにつれて、次世代太陽電池への要求が高まりつつある。このような背景の中で、有機太陽電池は、安価で毒性が低く、原材料不足の懸念もないことから、シリコン系太陽電池に次ぐ次世代の太陽電池として大変注目を集めている。
n層として、チタニア等の無機半導体表面にルテニウム色素等の増感色素を単分子吸着させ、p層として電解質溶液を用いたものは、色素増感太陽電池(所謂グレッツエルセル)と呼ばれている。変換効率の高さから、1991年以降精力的に研究されてきたが、溶液を用いるため、長時間の使用に際して液漏れする等の欠点を有していた。
そこで、このような欠点を克服するため、最近、電解質溶液を固体化して全固体型の色素増感太陽電池を模索する研究がなされている。しかしながら、多孔質チタニアの細孔に有機物をしみ込ませる技術は難易度が高く、再現性よく高変換効率が発現できるセルは完成していないのが現状である。
一方、n層、p層ともに有機薄膜からなる有機薄膜太陽電池は、全固体型のため液漏れ等の欠点がなく、作製が容易であり、稀少金属であるルテニウム等を用いないこと等から最近注目を集め、精力的に研究がなされている。
さらに、特許文献3ではチエノアセン骨格が提案されている。
1.下記式(1)で表されるアンサンスレン誘導体を含有する有機薄膜太陽電池用材料。
2.前記R1〜R12の少なくとも1つが、置換もしくは無置換のアリール基である1記載の有機薄膜太陽電池用材料。
3.一対の電極の間に、少なくともp層を有し、前記p層が1又は2に記載の材料からなる有機薄膜太陽電池。
尚、Cx〜Cyは炭素数がx〜yであることを意味する。
・Russian Journal of Organic Chemistry 1997年33巻375ページ
・Zhurnal Organicheskoi Khimii 1997年33巻424ページ
・Journal of General Chemistry of the U.S.S.R (English) 1963年33巻3218ページ
・「Journal of Physical Chemistry A 2005年109巻7677ページ
(1)下部電極/有機化合物層/上部電極
(2)下部電極/p層/n層/上部電極
(3)下部電極/p層/i層(又はp材料とn材料の混合層)/n層/上部電極
(4)下部電極/p材料とn材料の混合層/上部電極
及び上記(2)、(3)の構成のp層とn層を置換した構造が挙げられる。
また、必要に応じて、電極と有機層の間にバッファー層を設けてもよい。例えば具体例として、上記構成(1)にバッファー層を設けた場合、下記構成を有する構造が挙げられる。
(5)下部電極/バッファー層/p層/n層/上部電極
(6)下部電極/p層/n層/バッファー層/上部電極
(7)下部電極/バッファー層/p層/n層/バッファー層/上部電極
以下、各構成部材について簡単に説明する。
下部電極、上部電極の材料は特に制限はなく、公知の導電性材料を使用できる。例えば、p層と接続する電極としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)や金(Au)、オスミウム(Os),パラジウム(Pd)等の金属が使用でき、n層と接続する電極としては、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、インジウム(In),カルシウム(Ca),白金(Pt)リチウム(Li)等の金属やMg:Ag、Mg:InやAl:Li等の二成分金属系,さらには上記P層と接続する電極例示材料が使用できる。
p層、p材料とn材料の混合層又はn層のいずれかである。本発明の材料を有機化合物層に使用するとき、具体的には、下部電極/本発明の材料の単独層/上部電極や、下部電極/本発明の材料と、後述するn層材料又はp層材料の混合層/上部電極等の構成が挙げられる。
本発明の材料をp層に用いるときは、n層は特に限定されないが、電子受容体としての機能を有する化合物が好ましい。例えば有機化合物であれば、C60等のフラーレン誘導体、カーボンナノチューブ、ペリレン誘導体、多環キノン、キナクリドン等、高分子系ではCN−ポリ(フェニレン−ビニレン)、MEH−CN−PPV、−CN基又はCF3基含有ポリマー、それらの−CF3置換ポリマー、ポリ(フルオレン)誘導体等を挙げることができる。電子の移動度が高い材料が好ましい。さらに、好ましくは、電子親和力が小さい材料が好ましい。このように電子親和力の小さい材料をn層として組み合わせることで充分な開放端電圧を実現することができる。
本発明の材料をn層に用いるときは、p層は特に限定されないが、正孔受容体としての機能を有する化合物が好ましい。例えば有機化合物であれば、N,N’−ビス(3−トリル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(mTPD)、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニルベンジジン(NPD)、4,4’,4’’−トリス(フェニル−3−トリルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)等に代表されるアミン化合物、フタロシアニン(Pc)、銅フタロシアニン(CuPc)、亜鉛フタロシアニン(ZnPc)、チタニルフタロシアニン(TiOPc)等のフタロシアニン類、オクタエチルポルフィリン(OEP)、白金オクタエチルポルフィリン(PtOEP)、亜鉛テトラフェニルポルフィリン(ZnTPP)等に代表されるポルフィリン類、高分子化合物であれば、ポリヘキシルチオフェン(P3HT)、メトキシエチルヘキシロキシフェニレンビニレン(MEHPPV)等の主鎖型共役高分子類、ポリビニルカルバゾール等に代表される側鎖型高分子類等が挙げられる。
一般に、有機薄膜太陽電池は総膜厚が薄いことが多く、そのため上部電極と下部電極が短絡し、セル作製の歩留まりが低下することが多い。このような場合には、バッファー層を積層することによってこれを防止することが好ましい。
基板は、機械的、熱的強度を有し、透明性を有するものが好ましい。例えば、ガラス基板及び透明性樹脂フィルムがある。透明性樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリプロピレン等が挙げられる。
300mL四つ口フラスコに4,9−ジブロモアンサンスロン(0.96g、2.1mmol)、4−ブチルフェニルボロン酸(1.1g、6.1mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)(0.16g、0.14mmol)を秤りとり、系内をアルゴン置換した後、トルエン(150mL)に溶解させた。2M炭酸ナトリウム水溶液(6mL、12mmol)を加え、22時間加熱攪拌した。有機層を抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、中間体A1(0.85g、1.5mmol)を得た(収率72%)。
この固体の核磁気共鳴測定(1H−NMR)を以下に示す。
・1H−NMR(400MHz、CDCl3)
δ8.78(d,J=8Hz,2H),8.50(s,2H),8.40(d,J=8Hz,2H),7.82(d,J=8Hz,2H),7.53−7.50(m,4H),7.40−7.38(m,4H),2.76(t,J=8Hz,4H),1.76−1.72(m,4H),1.50−1.44(m,4H),1.01(t,J=8Hz,6H)
300mL四つ口フラスコに中間体A1(0.5g、0.91mmol)を秤りとり、系内をアルゴン置換した後、無水THF(20mL)に溶解させた。ボラン−テトラヒドロフラン錯体の0.9MTHF溶液(4.0mL、3.6mmol)を加え、4時間加熱攪拌した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物A(0.14g)を得た(収率30%)。
この固体の1H−NMR、電解離脱質量分析(FDMS)、及び液体クロマトグラフィ(HPLC)による純度の測定結果を以下に示す。
δ8.84(s,2H),8.55(d,J=8Hz,2H),8.27(d,J=8Hz,2H),8.13(s,2H),8.08(t,8Hz,2H),7.68(d,8Hz,4H),7.41(d,J=8Hz,4H),2.78(t,J=8Hz,4H),1.80−1.70(m,4H),1.49−1.48(m,4H),1.01(t,J=8Hz,6H)
・FDMS:計算値C42H36=540、実測値m/z=540(M+、100)
・HPLC:97.5%(検出波長254nm、面積%)
・HPLC:99.4%(検出波長254nm、面積%)
実施例1
25mm×75mm×0.7mm厚のITO透明電極付きガラス基板をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を5分間行なった後、UVオゾン洗浄を30分間実施した。洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに装着し、まず下部電極である透明電極ラインが形成されている側の面上に、透明電極を覆うようにして膜厚30nmの化合物Aを抵抗加熱蒸着により、1Å/sで成膜した。続けて、この化合物A膜上に膜厚60nmのC60を抵抗加熱蒸着により1Å/sで成膜し、その上に10nmのバソクプロイン(BCP)を抵抗加熱蒸着により1Å/sで成膜した。最後に、連続して対向電極として金属Alを膜厚80nm蒸着させ、有機薄膜太陽電池を形成した。面積は0.5cm2であった。
尚、光電変換効率は下記式によって導出した。
上記製造例で合成した材料、及び特許文献2で開示された下記化合物(TES−ADT)を、それぞれテトラヒドロフランに溶解させた。この溶液を、光照射下(白色蛍光灯下)にて40分間放置した。光照射前後のHPLC純度を比較した結果を表2に示す。
本発明の有機薄膜太陽電池は、時計、携帯電話及びモバイルパソコン等に使用できる。
Claims (3)
- 下記式(1)で表されるアンサンスレン誘導体を含有する有機薄膜太陽電池用材料。
- 前記R 6 又はR 12 が、置換もしくは無置換のアリール基である、請求項1記載の有機薄膜太陽電池用材料。
- 一対の電極の間に、少なくともp層を有し、前記p層が請求項1又は2に記載の材料からなる有機薄膜太陽電池。
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