JP2013165367A - 圧電デバイス及び圧電デバイスの製造方法 - Google Patents

圧電デバイス及び圧電デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、接合材の形成領域が狭い圧電デバイス及び圧電デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】圧電デバイス(100)は、電圧の印加により振動する圧電振動片(130)と、圧電振動片が載置されるベース板(120)と、ベース板に接合されて圧電振動片を密封するリッド板(110)と、ベース板とリッド板とを接合する接合材(142)と、を備え、リッド板及びベース板が、接合材が塗布されることができる所定の幅を有する環状の接合面(112、122)を有し、接合材とリッド板又はベース板の接合面の少なくとも一方とが接合される幅が、接合面の所定の幅よりも狭い。
【選択図】図2

Description

本発明は、接合材の形成領域(幅)が狭い圧電デバイス及び圧電デバイスの製造方法に関する。
所定の振動周波数で振動する圧電振動片が知られている。この圧電振動片はリッド板及びベース板により形成されるキャビティ内に載置されることにより圧電デバイスが形成される。リッド板及びベース板は互いに接合材により接合される。接合材は軟化した状態でリッド板又はベース板の接合面に塗布され、加温されることにより硬化される。
リッド板とベース板とは接合材が軟化した状態で互いに接合されるため、圧電デバイスの製造工程では幾つかの問題が生じている。例えば、リッド板とベース板との接合時に接合材が接合面全体に広がり、さらにはキャビティ内に入るという問題があった。接合材が圧電振動片に接触すると、圧電振動片の振動周波数が変動してしまう。また、接合材が確実にキャビティ内を封止するように接合面の幅を広く形成する必要があり、キャビティ内の体積が狭くなっていた。
一方、特許文献1では、接合面に枠状金属膜を形成し、接合材として低融点及び高融点金属ボールを使用することによりリッド板とベース板とを接合する旨が開示されている。溶融した金属ボールは枠状金属膜上を拡散するためキャビティ内に接合材が入ることを防ぐことができる。また、これにより封止を確実に行うことができ、小型化が可能になる旨が開示されている。
特開2011―199230号公報
しかし、特許文献1では、接合材に金属を使用するため、コストが高くなっていた。また接合材に金属を用いる場合は、接合面に電極が形成されるタイプの圧電デバイスには使用することができない。
本発明は、接合材に安価な材料を用いて製造コストを低減させるとともにキャビティの封止を確実にし、接合材の形成領域が狭い圧電デバイス及び圧電デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
第1観点の圧電デバイスは、電圧の印加により振動する圧電振動片と、圧電振動片が載置されるベース板と、ベース板に接合されて圧電振動片を密封するリッド板と、ベース板とリッド板とを接合する接合材と、を備え、リッド板及びベース板が、接合材が塗布されることができる所定の幅を有する環状の接合面を有し、接合材とリッド板又はベース板の接合面の少なくとも一方とが接合される幅が、接合面の所定の幅よりも狭い。
第2観点の圧電デバイスは、電圧の印加により振動する振動部と振動部を囲む枠体とを有する圧電振動片と、圧電振動片の枠体の両主面に接合され振動部を密封しガラス又は水晶からなるベース板及びリッド板と、枠体とベース板及びリッド板とを接合する接合材と、を備え、リッド板、ベース板、及び枠体が、接合材が塗布されることができる所定の幅を有する環状の接合面を有し、接合材とリッド板、ベース板、又は枠体の接合面の少なくとも1つとが接合される幅が、接合面の所定の幅よりも狭い。
第3観点の圧電デバイスは、第1観点において、接合材が所定の波長を有するレーザーを吸収し、リッド板又はベース板の少なくとも一方がレーザーを透過する。
第4観点の圧電デバイスは、第2観点において、接合材が所定の波長を有するレーザーを吸収し、リッド板及びベース板がレーザーを透過する。
第5観点の圧電デバイスは、第3観点及び第4観点において、接合材が、所定の波長を吸収する金属粒子の混入、又は所定の波長を吸収する着色材料による着色がなされた350℃〜410℃で溶融する低融点ガラスである。
第6観点の圧電デバイスの製造方法は、電圧の印加により振動する圧電振動片と、圧電振動片を載置するベース板と、圧電振動片を前記ベース板に密封するリッド板と、を備える圧電デバイスの製造方法であって、複数の圧電振動片を用意する工程と、複数のベース板を有するベースウエハ及び複数のリッド板を有するリッドウエハを用意する工程と、ベースウエハ又はリッドウエハの接合面に接合材を塗布する工程と、塗布された接合材を加熱して接合材を仮硬化する仮硬化工程と、圧電振動片をベース板に載置する載置工程と、圧電振動片が載置されたベースウエハにリッドウエハを重ね合せる工程と、接合材に所定の波長を有するレーザーを照射して接合材を溶融させ、ベースウエハとリッドウエハとを接合する接合工程と、を備え、リッドウエハ又はベースウエハの少なくとも一方が所定の波長のレーザーを透過し、接合材が所定の波長のレーザーを吸収して発熱する。
第7観点の圧電デバイスの製造方法は、電圧の印加により振動する振動部と振動部を囲む枠体とを有する複数の圧電振動片を含む圧電ウエハを用意する工程と、複数のベース板を有するベースウエハと複数のリッド板を有するリッドウエハとを用意する工程と、枠体の両主面に接合材を塗布する工程と、塗布された接合材を加熱して接合材を仮硬化する仮硬化工程と、ベースウエハと圧電ウエハとを重ね合せ、所定の波長を有するレーザーをベースウエハと圧電ウエハとの間に配置される接合材に照射することにより接合材を溶融させてベースウエハと圧電ウエハとを接合する第1接合工程と、リッドウエハと圧電ウエハとを重ね合せ、レーザーをリッドウエハと圧電ウエハとの間に配置される接合材に照射することにより接合材を溶融させてリッドウエハと圧電ウエハとを接合する第2接合工程と、を備える。接合材はレーザーを吸収して発熱し、リッドウエハ及びベースウエハはレーザーを透過する。
第8観点の圧電デバイスの製造方法は、第6観点及び第7観点において、接合材が350℃〜410℃で溶融する低融点ガラスからなる。
第9観点の圧電デバイスの製造方法は、リッドウエハ及びベースウエハが切断されることにより圧電デバイスが個々に分割される切断工程を有し、少なくともリッドウエハの切断される領域には接合材が塗布されない。
本発明の圧電デバイス及び圧電デバイスの製造方法によれば、接合材の形成領域を狭くすることができる。
圧電デバイス100の分解斜視図である。 (a)は、図1のA−A断面図である。 (b)は、図2(a)の点線領域171を拡大した圧電デバイス100の拡大断面図である。 圧電デバイス100の製造方法が示されたフローチャートである。 圧電ウエハW130の平面図である。 ベースウエハW120の平面図である。 リッドウエハW110の平面図である。 (a)は、圧電振動片130が載置されたベースウエハW120の部分断面図である。 (b)は、ベースウエハW120、圧電振動片130、及びリッドウエハW110の部分断面図である。 (c)は、接合材142にレーザー151が照射されているベースウエハW120、圧電振動片130、及びリッドウエハW110の部分断面図である。 (a)は、圧電デバイス200の断面図である。 (b)は、図8(a)の点線領域172の拡大断面図である。 (a)は、接合材141が塗布されたベースウエハW120の拡大平面図である。 (b)は、ベースウエハW120、圧電振動片130、及びリッドウエハW110の部分断面図である。 (c)は、接合材142にレーザー151が照射されているベースウエハW120、圧電振動片130、及びリッドウエハW110の部分断面図である。 圧電デバイス300の分解斜視図である。 (a)は、図10のC−C断面図である。 (b)は、図10のF−F断面図である。 圧電デバイス300の製造方法が示されたフローチャートである。 圧電ウエハW330の平面図である。 (a)は、接合材142が塗布された圧電ウエハW330の部分断面図である。 (b)は、接合材142が塗布された圧電ウエハW330の−Y’軸側の面の拡大平面図である。 ベースウエハW320の平面図である。 (a)は、互いに重ね合された圧電ウエハW330とベースウエハW320との部分断面図である。 (b)は、互いに接合された圧電ウエハW330とベースウエハW320との部分断面図である。 (a)は、圧電ウエハW330とリッドウエハW310とが接合されている圧電ウエハW330とベースウエハW320とリッドウエハW310との部分断面図である。 (b)は、ベースウエハW320に電極が形成された圧電ウエハW330とベースウエハW320とリッドウエハW310との部分断面図である。 (a)は、圧電デバイス400としての図10のC−C断面図である。 (b)は、圧電デバイス400としての図10のF−F断面図である。 (a)は、接合材142が塗布された圧電ウエハW330の+Y’軸側の面の拡大平面図である。 (b)は、接合材142が塗布された圧電ウエハW330の−Y’軸側の面の拡大平面図である。 (a)は、圧電ウエハW330とリッドウエハW310とが接合されているリッドウエハW310、圧電ウエハW330、及びベースウエハW320の部分断面図である。 (b)は、ベースウエハW320に電極が形成された、リッドウエハW310、圧電ウエハW330、及びベースウエハW320の部分断面図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の範囲は以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
(第1実施形態)
<圧電デバイス100の構成>
図1は、圧電デバイス100の分解斜視図である。圧電デバイス100は、圧電振動片130と、リッド板110と、ベース板120とにより形成されている。ベース板120は、セラミック、水晶、及びガラスなどの絶縁性の材料により形成されている。また、リッド板110は、後述される所定の波長を有するレーザーを透過する素材、例えば水晶及びガラス等により形成されている。さらに、圧電振動片130には例えばATカットの水晶振動片が用いられる。ATカットの水晶振動片は、主面(YZ面)が結晶軸(XYZ)のY軸に対して、X軸を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜されている。以下の説明では、ATカットの水晶振動片の軸方向を基準とし、傾斜された新たな軸をY’軸及びZ’軸として用いる。すなわち、圧電デバイス100においては圧電デバイス100の長辺方向をX軸方向、圧電デバイス100の高さ方向をY’軸方向、X及びY’軸方向に垂直な方向をZ’軸方向として説明する。
圧電デバイス100は、ベース板120の+Y’軸側に形成された凹部121に圧電振動片130が載置される。さらに圧電振動片130が載置された凹部121を密封するようにリッド板110がベース板120の+Y’軸側の面に接合されて圧電デバイス100が形成される。
圧電振動片130は、+Y’軸側及び−Y’軸側の面に励振電極131が形成されている。+Y’軸側の励振電極131からは、−X軸方向に伸び、+Z’軸側の側面を介して−Y’軸側の面にまで引き出されている引出電極132が形成されている。また、−Y’軸側の面に形成されている励振電極131からは、−X軸側の−Z’軸側の角部にまで引出電極132が引き出されている。
ベース板120は、+Y’軸側の面に環状の接合面122及び接合面122から−Y’軸側に凹んだ凹部121が形成されている。接合面122には接合材142(図2参照)を介してリッド板110が接合され、凹部121には圧電振動片130が載置される。凹部121には、圧電振動片130の引出電極132と導電性接着剤141(図2参照)を介して電気的に接続される接続電極123が形成されており、ベース板120の−Y’軸側の面には一対の実装端子125が形成されている。接続電極123はベース板120を貫通する貫通電極124を介して実装端子125に電気的に接続されている。
リッド板110は、−Y’軸側の面に、ベース板120の接合面122に接合材142を介して接合される環状の接合面112と、接合面112から+Y’軸側に凹んだ凹部111と、が形成されている。
図2(a)は、図1のA−A断面図である。圧電デバイス100は、ベース板120の凹部121に圧電振動片130が載置され、ベース板120の接合面122にリッド板110の接合面112が接合材142を介して接合されることにより形成されている。また、圧電デバイス100の内部には、ベース板120及びリッド板110により囲まれたキャビティ101が形成されている。接合材142は、所定の波長を有するレーザーを吸収して溶融するものが用いられる。このような接合材142には、例えば所定の波長を有するレーザーを吸収する顔料を含んだ低融点ガラス等がある。ベース板120の凹部121には接続電極123が形成されており、接続電極123と圧電振動片130の引出電極132とが導電性接着剤141により電気的に接続されている。また、ベース板120を貫通する貫通電極124は、接続電極123と実装端子125とを電気的に接続している。すなわち、圧電振動片130の励振電極131は、実装端子125に電気的に接続されている。
図2(b)は、図2(a)の点線領域171を拡大した圧電デバイス100の拡大断面図である。圧電デバイス100では、ベース板120の接合面122の全面に接合材142が形成されている。すなわち、ベース板120の接合面122の幅を幅WS3とすると、接合材142と接合面122とは幅WS3で接合している。一方、リッド板110の接合面112では、接合面112の内周側(図2(b)では接合面112の−X軸側)には接合材142が形成されておらず、接合面112の外周側(図2(b)では接合面112の+X軸側)に接合材142が形成されている。すなわち、リッド板110の接合面112の幅を幅WS1とし、接合材142と接合面112とが幅WS2で接合しているとすると、幅WS1は幅WS2よりも広く形成されている。
<圧電デバイス100の製造方法>
図3は、圧電デバイス100の製造方法が示されたフローチャートである。以下、図3のフローチャートに従って圧電デバイス100の製造方法について説明する。
ステップS101では、圧電振動片130が用意される。ステップS101は複数の圧電振動片130を用意する工程である。圧電振動片130は、圧電ウエハW130に複数の圧電振動片130が形成されることにより、一度に複数の圧電振動片130が用意される。
図4は、圧電ウエハW130の平面図である。圧電ウエハW130には、エッチングにより貫通孔161が形成されることにより複数の圧電振動片130の外形が形成される。各圧電振動片130は圧電ウエハW130に連結部162を介して連結されている。また各圧電振動片130には励振電極131及び引出電極132が形成されている。各圧電振動片130は、連結部162が破断されることにより圧電ウエハW130から分離される。
ステップS201は、ベースウエハW120が用意される。ステップS201は、複数のベース板120を有するベースウエハW120を用意する工程である。
図5は、ベースウエハW120の平面図である。ベースウエハW120には複数のベース板120が形成されている。また図5では、互いに隣接したベース板120の境界にスクライブライン163が記載されている。スクライブライン163は、後述される切断工程でウエハが切断される場合に切断される線を示している。ベースウエハW120に形成されている各ベース板120には、+Y’軸側の面に凹部121及び接合面122が形成されている。また、凹部121には接続電極123が形成されている。各ベース板120の−Y’軸側の面には実装端子125(図2(a)参照)が形成されており、接続電極123と実装端子125とは互いに貫通電極124を介して電気的に接続される。
ステップS202では、ベースウエハW120の接合面122に接合材142が塗布される。ステップS202は、ベースウエハW120の接合面122に接合材142を塗布する工程である。接合材142には、例えば低融点ガラスが用いられる。また、接合材142の接合面122への塗布は、例えばスクリーン印刷により行うことができる。スクリーン印刷は、特定の形状の開口部を有するスクリーンをベースウエハW120に形成し、開口部から接合材142を押し出すことにより印刷する方法である。ステップS202では、例えば接合面122の形状の開口部を有するスクリーンをベースウエハW120に形成し、開口部から接合材142を押し出すことにより接合面122に接合材142を塗布することができる。
ステップS203では、接合材142が仮硬化される。ステップS203は、仮硬化工程である。ステップS202では、接合材142である低融点ガラスはある程度の粘性及び流動性を有するペースト状になっているが、ステップS203ではこの接合材142を加熱して硬化させる。これにより、接合材142内のバインダー及び溶剤等が抜け、圧電デバイス100内にこれらのガスなどが混入されることを防ぐことができる。また、これらのガスが気泡となりベースウエハW120とリッドウエハW110との接合にムラを生じさせてしまう場合があるが、ウエハ同士の接合の前にこれらのガスをある程度抜いておくことによりガスの気泡に起因する接合ムラを防ぐことができる。
仮硬化工程は、例えば接合材142に転移点が295℃であり軟化点が350℃前後であるバナジウム系の低融点ガラスが用いられた場合には、まず温度が転移点の110%〜115%である325℃〜340℃に上げられ、この温度を30分間保持する。続いて、温度が転移点の125%〜133%である370℃〜390℃に上げられる。この状態で10分間保持された後に接合材142は冷却されて、硬化される。
ステップS301では、リッドウエハW110が用意される。ステップS301は、複数のリッド板110を有するリッドウエハW110を用意する工程である。ステップS301は、ステップS101及びステップS201に対して製造する順番を考慮することなく製造することができる。
図6は、リッドウエハW110の平面図である。リッドウエハW110には複数のリッド板110が形成されている。また図6では、互いに隣接したリッド板110の境界にスクライブライン163が記載されている。各リッド板110には、−Y’軸側の面に凹部111が形成されており、凹部111を囲むように接合面112が形成されている。
ステップS401では、ベースウエハW120に圧電振動片130が載置される。ステップS401は、圧電振動片130をベース板120に載置する載置工程である。
図7(a)は、圧電振動片130が載置されたベースウエハW120の部分断面図である。図7(a)は、図5のB−B断面を含む断面図が示されている。図7(a)では、接合面122に接合材142がスクリーン印刷により塗布されている。この接合材142は、ステップS203の仮硬化の工程により硬化されている。また、図7(a)では、圧電振動片130が導電性接着剤141を介して凹部121内に載置されている。
ステップS402では、ベースウエハW120にリッドウエハW110が重ね合される。ステップS402は、圧電振動片130が載置されたベースウエハW120にリッドウエハW110を重ね合せる工程である。
図7(b)は、ベースウエハW120、圧電振動片130、及びリッドウエハW110の部分断面図である。図7(b)では、ベースウエハW120にリッドウエハW110が重ね合された状態が示されている。図7(b)では、ベースウエハW120の接合面122の+Y’軸側の面に形成されている硬化した接合材142の+Y’軸側にリッドウエハW110が重ねられている。接合材142は、リッドウエハW110の接合面112に接してはいるが接合はされていない。
ステップS403では、ベースウエハW120とリッドウエハW110とがレーザーにより接合される。ステップS403は、接合材142に所定の波長を有するレーザーを照射して接合材142を溶融させ、ベースウエハW120とリッドウエハW110とを接合する接合工程である。
図7(c)は、接合材142にレーザー151が照射されているベースウエハW120、圧電振動片130、及びリッドウエハW110の部分断面図である。図7(c)では、レーザー151により接合材142が局所的に加温され、接合材142が溶融してリッドウエハW110の接合面111に接合される様子が示されている。レーザー発振器152から射出されたレーザー151は、ガルバノミラー153により反射されて接合材142に照射される。レーザー151はそのビーム径が接合面112の幅に応じて調整され、ガルバノミラー153の位置及び角度によりレーザー151の照射位置が決められる。また、レーザー151はリッドウエハW110を透過して接合材142に照射されるため、リッドウエハW110はレーザー151を透過する素材、例えば水晶及びガラス等により形成される。また、リッドウエハW110は接合材142に押された状態で接合工程が行われるが、レーザー151により接合材142はその一部のみが溶融されるため、接合材142が圧電デバイス100のキャビティ101内に侵入することがない。
レーザー151には、例えばYAG(Yttrium Aluminum Garnet)レーザーを用いることができる。YAGレーザーは基本波の波長が1064μmであるため、この場合の接合材142には、この波長のレーザーの吸収率が高いクロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、又はこれらの元素を含んだステンレスの粒子を含む低融点ガラスを用いることができる。また、SHG(Second Harmonic Generation:第2高調波)レーザーを用いる場合には、このレーザーの発振波長である532nmの光に対する吸収率が高い銅(Cu)、又は可視光全体で吸収率が高い顔料であるカーボンブラックなどを低融点ガラスに含ませることができる。接合材142には例えば350℃〜410℃で溶融する低融点ガラスを用いることができるが、低融点ガラスがこれらの元素及び粒子を含むことにより、これらの元素又は粒子がレーザーを吸収して発熱し、接合材142を効率的に溶融することができる。
ステップS404では、ベースウエハW120及びリッドウエハW110が切断される。切断はスクライブライン163に沿ってウエハを切断することにより行われる。これにより、圧電デバイス100は個々に分断される。
圧電デバイス100では、接合材142に安価な低融点ガラスを用いることにより、接合面に金属膜を形成してベース板とリッド板とを接合するよりも製造コストを低く抑えることができる。また接合材142に低融点ガラスを用いる場合でも、低融点ガラスをリッドウエハに接合するためにウエハが載置される空間全体を昇温させると時間がかかるが、レーザーを用いて低融点ガラスを加熱することにより低融点ガラスの昇温時間を短くすることができ、リッドウエハの接合時間を短くすることができる。さらに圧電デバイス100では、レーザー151により接合材142を局所的に加熱して接合材142の一部のみを溶融させるため、接合材142がキャビティ101の中に流れ込むことがなく接合材142により圧電振動片130の振動が妨げられることがない。また圧電デバイス100では、レーザー151を接合材142に局所的に照射していくことにより接合材とリッドウエハとを確実に接合することができ、接合不良を起こさないようにキャビティを密封することができる。そのため、密封を確実にするために広めにとられていた接合面の幅を狭くすることができ、キャビティ内を広く形成する、又は圧電デバイスの外形を小さく形成することができる。また、接合材の形成領域を狭くすることができるため、接合材の使用量を減らすことができ、製造コストの低減を図ることができる。
圧電デバイスは、リッドウエハの接合面に接合材が塗布され、ベースウエハを介してレーザーを接合材に照射することによりリッドウエハとベースウエハとを接合しても良い。但しこの場合は、ベースウエハに形成される実装端子の形成をリッドウエハとベースウエハとの接合の後に行われる、又は実装端子が、レーザーが照射される接合材の領域に重ならないように形成される。
<圧電デバイス200の構成>
図3に示されたステップS404のベースウエハ及びリッドウエハの切断では、スクライブラインに接合材を形成しないことにより、さらに容易に切断を行うことができる。以下に、ウエハの切断が容易である圧電デバイス200について説明する。以下の説明では、圧電デバイス100と同様の部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
図8(a)は、圧電デバイス200の断面図である。圧電デバイス200は圧電デバイス100とは接合材142の形成位置のみが異なっており、その他の構成は圧電デバイス100と同じである。
図8(b)は、図8(a)の点線領域172の拡大断面図である。圧電デバイス200では、リッド板110の接合面112の内周側112a及び外周側112bには接合材142が形成されていない。そのため接合面112の幅WS1は、接合材142と接合面112とが接合している幅WS2よりも広く形成されている。また、ベース板120の接合面122の外周側122bにも接合材142が形成されていない。そのため接合面122の幅WS3は、接合材142と接合面122とが接合している幅WS4よりも広く形成されている。
<圧電デバイス200の製造方法>
圧電デバイス200に於いても、図3に示されたフローチャートと同様の手順により圧電デバイス200を製造することができる。以下、図3のフローチャートを参照して、圧電デバイス200の製造方法について説明する。以下の説明では圧電デバイス100と異なる箇所についてのみ説明され、圧電デバイス100の製造方法と同様の箇所については説明を省略する。
図9(a)は、接合材141が塗布されたベースウエハW120の拡大平面図である。図9(a)には、図5のベースウエハW120に、図3のステップS202でベースウエハW120の接合面122に接合材142がスクリーン印刷により塗布された状態が示されている。接合材142はベースウエハW120の接合面122の凹部121に隣接した周囲に塗布されており、スクライブライン163上には塗布されていない。接合材142はスクリーン印刷により塗布されることにより、凹部121内に入らず、スクライブライン163に重ならない位置に正確に塗布される。
図9(b)は、ベースウエハW120、圧電振動片130、及びリッドウエハW110の部分断面図である。図9(b)には、図3のステップS402でベースウエハW120にリッドウエハW110が重ね合された状態が示されている。接合材142はスクライブライン163に、Y’軸方向に重ならないように形成されている。図9(b)に示された接合材142は硬化されているため、接合材142にリッドウエハW110を重ねても接合材142はスクライブライン163上及びキャビティ101内に拡散することがない。
図9(c)は、接合材142にレーザー151が照射されているベースウエハW120、圧電振動片130、及びリッドウエハW110の部分断面図である。図9(c)には、図3のステップS403でベースウエハW120とリッドウエハW110とがレーザー151により接合される状態が示されている。レーザー151は、接合材142をリッドウエハW110に接合する幅に合わせてビーム径が調整され、リッドウエハW110を透過して接合材142に照射される。接合材142はレーザー151により局所的に加熱されるため、接合材142が溶融した場合でもキャビティ101及びスクライブライン163上に拡散しない。
図3のステップS404ではベースウエハW120及びリッドウエハW110が切断されるが、圧電デバイス200ではスクライブライン163上に接合材142が形成されないため切断を容易に行うことができる。
(第2実施形態)
圧電振動片は、所定の振動数により振動する振動部と、振動部の周りを囲む枠体と、振動部と枠体とを連結する連結部とを含む圧電振動片であってもよい。また、圧電デバイスは枠体をベース板とリッド板とにより挟まれて形成されてもよい。以下に、ベース板と、圧電振動片と、リッド板とが重ね合されて形成される3枚重ねの圧電デバイスについて説明する。また、以下の説明では第1実施形態と同様の部分には、第1実施形態と同様の符号を付してその説明を省略する。
<圧電デバイス300の構成>
図10は、圧電デバイス300の分解斜視図である。圧電デバイス300は、リッド板310と、ベース板320と、圧電振動片330と、により構成されている。また、図10は、図18で説明される圧電デバイス400の分解斜視図でもある。圧電デバイス400に関しては図18以降に後述される
圧電振動片330は、電圧の印加により振動する振動部333と、振動部333を囲む枠体334と、振動部333及び枠体334を互いに連結する連結部335と、を有している。振動部333と枠体334との間の連結部335以外の領域には、圧電振動片330をY’軸方向に貫通する貫通孔337が形成されている。圧電振動片330では、連結部335が振動部333の+X軸側の+Z’軸側及び−X軸側の−Z’軸側に形成されている。振動部333の+Y’軸側及び−Y’軸側の面には励振電極331が形成され、各励振電極331からは連結部335を介して枠体334の角部にまで引き出されている引出電極332が形成されている。
ベース板320は、+Y’軸側の面に凹部321と凹部321の周りに形成される接合面322とが形成される。接合面322は、接合材142を挟んで圧電振動片330の枠体334の−Y’軸側の面に接合される。また、ベース板320の四隅にはキャスタレーション326が形成されており、各キャスタレーション326には側面電極327が形成されている。ベース板320の−Y’軸側の面には実装端子325が形成されており、側面電極327に電気的に接続されている。
リッド板310は、−Y’軸側の面に凹部311が形成され、凹部311を囲むように接合面312が形成されている。接合面312は接合材142を挟んで圧電振動片330の枠体334の+Y’軸側の面に接合される。
図11(a)は、図10のC−C断面図である。圧電デバイス300は、枠体334の+Y’軸側の面にリッド板310が接合され、−Y’軸側の面にベース板320が接合されている。励振電極331からは引出電極332が引き出されており、枠体334の−Y’軸側の面の角部にまで形成されている。また、ベース板320の実装端子325は側面電極327に接続され、側面電極327はキャスタレーション326及び接合材142の側面を介して引出電極332に電気的に接続されている。
図11(b)は、図10のF−F断面図である。リッド板310の接合面312の幅を幅WS31、ベース板320の接合面322の幅を幅WS33、圧電振動片330の枠体334の幅を幅WS35とする。また、接合面312と接合材142とが幅WS32で接合され、接合面322と接合材142とが幅WS34で接合されているとすると、幅WS32は幅WS31よりも狭く、幅WS34は幅WS33よりも狭い。そのため、接合面312の内周側312aには接合材142が形成されていない。また、接合面322の内周側322aにも接合材142が形成されていない。枠体334と接合材142とは幅WS35で接合されている。
<圧電デバイス300の製造方法>
図12は、圧電デバイス300の製造方法が示されたフローチャートである。以下、図12のフローチャートに従って圧電デバイス300の製造方法について説明する。
ステップS601では、圧電ウエハW330が用意される。ステップS601は複数の圧電振動片330を含む圧電ウエハW330を用意する工程である。
図13は、圧電ウエハW330の平面図である。圧電ウエハW330には複数の圧電振動片330が形成されており、図13では隣接した圧電振動片330の間にスクライブライン163が示されている。圧電ウエハW330には、エッチングにより貫通孔337が形成されることによって圧電振動片330の外形が形成され、振動部333には励振電極331が形成され、連結部335及び枠体334には引出電極332が形成されている。
ステップS602では、枠体334に接合材142が塗布される。ステップS602は、枠体334の両主面に接合材142を塗布する工程である。接合材142は枠体334の+Y’軸側及び−Y’軸側の面にスクリーン印刷により塗布される。また、−Y’軸側の面のX軸方向に伸びるスクライブライン163とZ’軸方向に伸びるスクライブライン163との交点及びその周りには接合材142は塗布されない。
図14(a)は、接合材142が塗布された圧電ウエハW330の部分断面図である。図14(a)は、接合材142が塗布された図13のD−D断面に相当する。接合材142は枠体334の+Y’軸側の面、及び−Y’軸側の面に形成されている。
図14(b)は、接合材142が塗布された圧電ウエハW330の−Y’軸側の面の拡大平面図である。ベースウエハW320の枠体334の+Y’軸側の面の全面には接合材142が塗布される。一方、ベースウエハW320の枠体334の−Y’軸側の面にも接合材142が塗布されるが、スクライブライン163の交点には接合材142が塗布されない領域164が形成される。この領域164には、+Y’軸側及び−Y’軸側の面に形成される励振電極331から引き出される引出電極332の一部が形成されている。
ステップS603では、接合材142が仮硬化される。ステップS603は、仮硬化工程である。仮硬化は、図3のステップS203と同様である。この仮硬化により接合材142が硬化される。
ステップS701では、ベースウエハW320が用意される。ステップS701は、複数のベース板320を有するベースウエハW320を用意する工程である。
図15は、ベースウエハW320の平面図である。ベースウエハW320には複数のベース板320が形成されており、図15では隣接するベース板330の境界にスクライブライン163が示されている。各ベース板320の+Y’軸側の面には凹部321が形成されており、X軸方向に伸びるスクライブライン163とZ’軸方向に伸びるスクライブライン163との交点にはベースウエハW320をY’軸方向に貫通する貫通孔326aが形成されている。貫通孔326aは、ベースウエハW320が切断された後にはキャスタレーション326となる。ステップS701では、ベースウエハW320には実装端子325及び側面電極327は形成されていない。
ステップS801では、リッドウエハW310が用意される。ステップS801は、複数のリッド板310を有するリッドウエハW310を用意する工程である。リッドウエハW310は、図6に示されたリッドウエハW110と同様に、−Y’軸側の面に凹部311及び接合面312が形成される。
ステップS901では、ベースウエハW320と圧電ウエハW330とが接合される。ステップS901は、ベースウエハW320と圧電ウエハW330とを重ね合せ、所定の波長を有するレーザーをベースウエハW320と圧電ウエハW330との間に配置される接合材142に照射することにより接合材142を溶融させ、ベースウエハW320と圧電ウエハW330とを接合する第1接合工程である。
図16(a)は、互いに重ね合された圧電ウエハW330とベースウエハW320との部分断面図である。図16(a)は、図15のE−E断面を含んだ断面図である。圧電ウエハW330とベースウエハW320との重ね合せでは、圧電ウエハW330の−Y’軸側にベースウエハW320をスクライブライン163がY’軸方向に重なるように重ね合される。このときに、圧電ウエハW330の接合材142が形成されない領域164とベースウエハW320の貫通孔326aとがY’軸方向に重なる。
図16(b)は、互いに接合された圧電ウエハW330とベースウエハW320との部分断面図である。圧電ウエハW330とベースウエハW320との接合は、ベースウエハW320の−Y’軸側の面から接合材142にレーザー151を照射し、ベースウエハW320に接触している接合材142の一部を溶融させることにより行う。レーザー151による接合は図3のステップS403と同様である。
ステップS902では、リッドウエハW310と圧電ウエハW330とが接合される。ステップS902は、リッドウエハW310と圧電ウエハW330とを重ね合せ、レーザー151をリッドウエハW310と圧電ウエハW330との間に配置される接合材142に照射することにより、接合材142を溶融させてリッドウエハW310と圧電ウエハW330とを接合する第2接合工程である。
図17(a)は、圧電ウエハW330とリッドウエハW310とが接合されている圧電ウエハW330とベースウエハW320とリッドウエハW310との部分断面図である。リッドウエハW310と圧電ウエハW330との接合は、まず、圧電ウエハW330の+Y’軸側の面にリッドウエハW310を互いのスクライブライン163がY’軸方向に重なるように重ね合せる。さらに、リッドウエハW310の+Y’軸側の面からレーザー151を圧電ウエハW330の枠体334の+Y’軸側の面に形成された接合材142に照射して接合材142を溶融させる。レーザー151による接合は図3のステップS403と同様である。
ステップS903では、ベースウエハW320に電極が形成される。ステップS903では、ベースウエハW320に実装端子325及び側面電極327を、側面電極327が引出電極322に電気的に接続するように形成する。
図17(b)は、ベースウエハW320に電極が形成された圧電ウエハW330とベースウエハW320とリッドウエハW310との部分断面図である。ベースウエハW320への電極形成は、例えばベースウエハW320の−Y’軸側の面に金属膜をスパッタすることにより行われる。金属膜は、例えばクロム(Cr)膜をスパッタし、クロム膜の表面に金(Au)膜を形成することにより形成される。ベースウエハW320に形成される金属膜は、実装端子325及び側面電極327となる。ベースウエハW320の貫通孔326aは、圧電ウエハW330の枠体334及び接合材142により+Y’軸側の面が塞がれているため金属膜が貫通孔326aの全体に広がって形成される。また、貫通孔326aは圧電ウエハW330の−Y’軸側の面の接合材142が塗布されない領域164に空間が繋がっているため、貫通孔326aに形成される側面電極327は、領域164の引出電極332上にも形成され、側面電極327と引出電極332とが電気的に接続される。
ステップS904では、圧電ウエハW330、ベースウエハW320、及びリッドウエハW310が切断される。ステップS904は切断工程である。ステップS904はステップS404と同様に、各ウエハのスクライブライン163に沿ってウエハを切断することにより、圧電デバイス300を個々に分断する。
<圧電デバイス400の構成>
圧電振動片がベース板及びリッド板に挟まれて形成される3枚重ねの圧電デバイスにおいても、圧電デバイス200と同様に、スクライブラインに接合材を形成しないことにより、さらに容易に切断工程を行うことができる。以下に、ウエハの切断が容易である圧電デバイス400について説明する。以下の説明では、圧電デバイス300と同様の部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
図18(a)は、圧電デバイス400としての図10のC−C断面図である。圧電デバイス400は圧電デバイス300と接合材142の形成のされ方のみが異なっており、その他の構成は圧電デバイス300と同じである。圧電デバイス400では、圧電振動片330の枠体334の+Y’軸側の面及び−Y’軸側の面の外周に接合材142が形成されていない領域が存在している。
図18(b)は、圧電デバイス400としての図10のF−F断面図である。リッド板310の接合面312の幅を幅WS31、ベース板320の接合面322の幅を幅WS33、圧電振動片330の枠体334の幅を幅WS35とする。また、接合面312と接合材142とが幅WS41で接合され、接合面322と接合材142とが幅WS42で接合され、枠体334の+Y’軸側及び−Y’軸側と接合材142とが幅WS43で接合されているとすると、幅WS41は幅WS31よりも狭く、幅WS42は幅WS33よりも狭く、幅WS43は幅WS35よりも狭い。さらに圧電デバイス400では、接合面312の内周側312a及び外周側312bと、接合面322の内周側322a及び外周側322bと、枠体334の+Y’軸側の面及び−Y’軸側の面の外周側334bとには接合材142が形成されていない。
<圧電デバイス400の製造方法>
圧電デバイス400に於いても、図12に示されたフローチャートと同様の手順により圧電デバイス400を製造することができる。以下、図12のフローチャートを参照して、圧電デバイス400の製造方法について説明する。以下の説明では圧電デバイス300と異なる箇所についてのみ説明され、圧電デバイス300の製造方法と同様の箇所については説明を省略する。
図19(a)は、接合材142が塗布された圧電ウエハW330の+Y’軸側の面の拡大平面図である。図19(a)には、図13で示された圧電ウエハW330の枠体334の+Y’軸側の面にステップ602で接合材142が塗布された状態が示されている。図19(a)では、スクライブライン163上には接合材142が形成されていない。
図19(b)は、接合材142が塗布された圧電ウエハW330の−Y’軸側の面の拡大平面図である。図19(a)には、図13で示された圧電ウエハW330の枠体334の−Y’軸側の面にステップ602で接合材142が塗布された状態が示されている。圧電ウエハW330の−Y’軸側の面に塗布される接合材142は、スクライブライン163の交点の周囲を囲むように接合材142が形成されている(点線で囲まれた領域165参照)。領域165の中には、引出電極332が形成されている。その他の領域では、スクライブライン163上に接合材142が形成されていない。
図20(a)は、圧電ウエハW330とリッドウエハW310とが接合されているリッドウエハW310、圧電ウエハW330、及びベースウエハW320の部分断面図である。図20(a)には、ステップS902のリッドウエハW310と圧電ウエハW330とが接合される状態が示されている。図20(a)は、図15のE−E断面を含む断面図であり、接合材142にレーザー151が照射されて接合材142が溶融され、リッドウエハW310と接合材142とが接合されている状態が示されている。レーザー151による接合は圧電デバイス300と同じであるが、接合材142の形成領域の幅及び形状等に応じてレーザー151の出力及びビーム径等が調整される。
図20(b)は、ベースウエハW320に電極が形成された、リッドウエハW310、圧電ウエハW330、及びベースウエハW320の部分断面図である。圧電ウエハW330とベースウエハW320との間に形成される接合材142は、スクライブライン163の交点の周りにも形成されている(図19(b)の領域165参照)。そのため、ベースウエハW320と圧電ウエハW330とが接合されたときには、ベースウエハW320の貫通孔326aの+Y’軸側の面は接合材142及び枠体334で塞がれる。そのため、貫通孔326aへの電極の形成を確実に行うことができる。
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。
例えば、圧電デバイス200及び圧電デバイス400では、ベース板及びリッド板の接合面等の外周側に接合材が形成されない領域が存在するとして説明したが、切断工程によるスクライブラインの切り代の幅を考慮することにより、接合面等の外周側の接合材が形成されない領域が存在しないように形成することができる。
100、200、300 … 圧電デバイス
101 … キャビティ
110、310 … リッド板
111 … 凹部
112 … 接合面
120、320 … ベース板
121 … 凹部
122 … 接合面
123 … 接続電極
124 … 貫通電極
125 … 実装端子
130、330 … 圧電振動片
131、331 … 励振電極
132、332 … 引出電極
141 … 導電性接着剤
142 … 接合材
151 … レーザー
152 … レーザー発振器
153 … ガルバノ
161、326a、337 … 貫通孔
162 … 連結部
163 … スクライブライン
164 … 枠体の接合材が塗布されない領域
321 … 凹部
322 … 接合面
325 … 実装端子
326 … キャスタレーション
327 … 側面電極
333 … 振動部
334 … 枠体
335 … 連結部

Claims (9)

  1. 電圧の印加により振動する圧電振動片と、
    前記圧電振動片が載置されるベース板と、
    前記ベース板に接合されて前記圧電振動片を密封するリッド板と、
    前記ベース板と前記リッド板とを接合する接合材と、を備え、
    前記リッド板及び前記ベース板は前記接合材が塗布されることができる所定の幅を有する環状の接合面を有し、
    前記接合材と前記リッド板又は前記ベース板の前記接合面の少なくとも一方とが接合される幅は、前記接合面の所定の幅よりも狭い圧電デバイス。
  2. 電圧の印加により振動する振動部と前記振動部を囲む枠体とを有する圧電振動片と、
    前記圧電振動片の前記枠体の両主面に接合され、前記振動部を密封しガラス又は水晶からなるベース板及びリッド板と、
    前記枠体と前記ベース板及び前記リッド板とを接合する接合材と、を備え、
    前記リッド板、前記ベース板、及び前記枠体は前記接合材が塗布されることができる所定の幅を有する環状の接合面を有し、
    前記接合材と前記リッド板、前記ベース板、又は前記枠体の前記接合面の少なくとも1つとが接合される幅は、前記接合面の所定の幅よりも狭い圧電デバイス。
  3. 前記接合材は所定の波長を有するレーザーを吸収し、前記リッド板又は前記ベース板の少なくとも一方は前記レーザーを透過する請求項1に記載の圧電デバイス。
  4. 前記接合材は所定の波長を有するレーザーを吸収し、前記リッド板及び前記ベース板は前記レーザーを透過する請求項2に記載の圧電デバイス。
  5. 前記接合材は、前記所定の波長を吸収する金属粒子の混入、又は前記所定の波長を吸収する着色材料による着色がなされた350℃〜410℃で溶融する低融点ガラスである請求項3又は請求項4に記載の圧電デバイス。
  6. 電圧の印加により振動する圧電振動片と、前記圧電振動片を載置するベース板と、前記圧電振動片を前記ベース板に密封するリッド板と、を備える圧電デバイスの製造方法であって、
    複数の前記圧電振動片を用意する工程と、
    複数の前記ベース板を有するベースウエハ及び複数の前記リッド板を有するリッドウエハを用意する工程と、
    前記ベースウエハ又は前記リッドウエハの接合面に接合材を塗布する工程と、
    塗布された前記接合材を加熱して、前記接合材を仮硬化する仮硬化工程と、
    前記圧電振動片を前記ベース板に載置する載置工程と、
    前記圧電振動片が載置された前記ベースウエハに、前記リッドウエハを重ね合せる工程と、
    前記接合材に所定の波長を有するレーザーを照射して前記接合材を溶融させ、前記ベースウエハと前記リッドウエハとを接合する接合工程と、を備え、
    前記リッドウエハ又は前記ベースウエハの少なくとも一方は前記所定の波長のレーザーを透過し、前記接合材は前記所定の波長のレーザーを吸収して発熱する圧電デバイスの製造方法。
  7. 電圧の印加により振動する振動部と前記振動部を囲む枠体とを有する複数の圧電振動片を含む圧電ウエハを用意する工程と、
    複数のベース板を有するベースウエハと複数のリッド板を有するリッドウエハとを用意する工程と、
    前記枠体の両主面に接合材を塗布する工程と、
    塗布された前記接合材を加熱して、前記接合材を仮硬化する仮硬化工程と、
    前記ベースウエハと前記圧電ウエハとを重ね合せ、所定の波長を有するレーザーを前記ベースウエハと前記圧電ウエハとの間に配置される前記接合材に照射することにより前記接合材を溶融させて前記ベースウエハと前記圧電ウエハとを接合する第1接合工程と、
    前記リッドウエハと前記圧電ウエハとを重ね合せ、前記レーザーを前記リッドウエハと前記圧電ウエハとの間に配置される前記接合材に照射することにより前記接合材を溶融させて前記リッドウエハと前記圧電ウエハとを接合する第2接合工程と、を備え、
    前記接合材は前記レーザーを吸収して発熱し、前記リッドウエハ及び前記ベースウエハは前記レーザーを透過する圧電デバイスの製造方法。
  8. 前記接合材は、350℃〜410℃で溶融する低融点ガラスからなる請求項6又は請求項7に記載の圧電デバイスの製造方法。
  9. 前記リッドウエハ及び前記ベースウエハが切断されることにより前記圧電デバイスが個々に分割される切断工程を有し、
    少なくとも前記リッドウエハの切断される領域には前記接合材が塗布されない請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の圧電デバイスの製造方法。
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