JP2012142875A - 圧電デバイス及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】側面電極の断線が発生しない圧電デバイス及びその製造方法の提供。
【解決手段】圧電デバイス100は、一主面Mi及び他主面Meに励振電極102a、102bが形成される圧電振動片101と貫通開口104を隔てて引出電極103a、103bを有する枠体106とを有する圧電フレーム10と、接合面M2と外部電極122a、122bが形成された実装面M3と接合面から実装面まで形成されたキャスタレーション124a、124bとキャスタレーションに形成され引出電極と外部電極とを接続する側面電極123a、123bとを有するベース部12と、を備える。また、キャスタレーションと接合面とが交わる周長L1がキャスタレーションと実装面とが交わる周長L2よりも長い。
【選択図】図1

Description

本発明は、厚みすべり振動モードを有するATカット型の圧電振動片又は一対の振動腕を有する音叉型の圧電振動片をキャビティ内に有する圧電デバイス及びその製造方法に関する。
圧電振動子やSAWフィルタなどの圧電デバイスは、表面実装型(SMD:Surface Mounted Device)タイプのパッケージが主に用いられている。パッケージには、エッチングにより形成された水晶などの圧電材料を用いた水晶パッケージまたはガラスを用いたガラスパッケージが提案されている。
例えば、特許文献1に開示された圧電デバイスは、複数の振動子基板と複数のベース基板とがそれぞれウエハ上に形成され、互いに接合材を介して接合されることによりパッケージが形成される。さらに、各ベース基板の四隅には切り欠き(キャスタレーション)が形成され、切り欠きに外部電極(側面電極)としての金属膜が形成されている。これにより、切り欠きに形成された外部電極を介してベース基板の底面に形成された外部電極と振動子基板の励振電極とが電気的に接続される。
特開2007−325250号公報
しかし、特許文献1に開示された圧電デバイスにおいて、ベース基板のキャスタレーションは、振動子基板側が狭く振動子基板の反対側が広く形成されている。したがって、ウエハ状態で振動子基板とベース基板とを接合するとき、振動子基板に形成された電極が接合材により覆われてしまう場合がある。このような場合には、振動子基板に形成される電極と側面電極とは接合材に阻まれて電気的に接続されない。そのため、振動子基板の励振電極とベース基板の底面に形成された外部電極との電気的接続が得られず、圧電デバイスに断線が発生してしまう。
また、特許文献1に開示されたベース基板のキャスタレーションは振動子基板側が狭く振動子基板の反対側が広く形成されている。そのため、ベース基板を振動子基板の下側に配置して振動子基板とベース基板とを接合材で接合するとき、接合材はキャスタレーションの内壁を伝わらずにキャスタレーション内で自重により垂れてしまい、垂れた接合材とキャスタレーションの内壁との間に隙間が形成される。このような隙間は、振動子基板とベース基板とを接合した後にキャスタレーションに形成される側面電極に断線を発生させる原因となる。
そこで本発明は、電極の断線が発生しない圧電デバイス及びその製造方法を提供することを目的とする。
第1観点の圧電デバイスは、一主面及び他主面に励振電極が形成される圧電振動片と圧電振動片から貫通開口を隔てて圧電振動片を囲み励振電極から引き出された引出電極を有する枠体とを有する圧電フレームと、一主面の枠体に接合される接合面と接合面の反対側にあって外部電極が形成された実装面と接合面から実装面まで形成されたキャスタレーションとキャスタレーションに形成され引出電極と外部電極とを接続する側面電極とを有するベース部と、を備える。また、キャスタレーションと接合面とが交わる周長がキャスタレーションと実装面とが交わる周長よりも長い。
第2観点の圧電デバイスは、圧電フレームとベース部とを接合する接合材を備え、側面電極が接合材の一部を覆っている。
第3観点の圧電デバイスにおいて、圧電振動片の他主面に形成された引出電極は、貫通開口の側面を介して一主面に伸びて側面電極に接続されている。
第4観点の圧電デバイスは、圧電フレームの一主面に形成された引出電極がベース部のキャスタレーションの領域まで伸びて形成されている。
第5観点の圧電デバイスは、圧電フレームの他主面に接合されてベース部及び枠体と圧電振動片を密封するリッド部を備える。
第6観点の圧電デバイスの製造方法は、一主面及び他主面に励振電極が形成される圧電振動片と圧電振動片から貫通開口を隔てて配置され励振電極から引き出された引出電極を有し圧電振動片を囲む枠体とが形成される圧電フレームを複数含む圧電ウエハを用意する工程と、圧電フレームの一主面に接合される接合面と接合面の反対側にある実装面と接合面から実装面まで貫通し接合面での面積が実装面での面積より大きい貫通孔とが形成されるベース部を複数含むベースウエハを用意する工程と、圧電ウエハとベースウエハとを接合材で接合する接合工程と、接合工程後にベースウエハの実装面に外部電極を形成するとともに貫通孔に引出電極と外部電極とを接続する側面電極を形成する工程と、を備える。
本発明によれば、電極の断線が発生しない圧電デバイス及びその製造方法が得られる。
第1水晶振動子100の分解斜視図である。 図1のA−A断面図である。 第1水晶振動子100の製造方法を示したフローチャートである。 リッドウエハ11Wの平面図である。 水晶ウエハ10Wの平面図である。 ベースウエハ12Wの平面図である。 第2水晶振動子200の分解斜視図である。 図7のC−C断面図である。 水晶ウエハ20Wの平面図である。 ベースウエハ22Wの平面図である。 第3水晶振動子300の分解斜視図である。
(第1実施形態)
<第1水晶振動子100の全体構成>
第1水晶振動子100は、水晶フレームとしてATカットの水晶フレーム10を有している。ATカットの水晶フレーム10は、主面(YZ面)が結晶軸(XYZ)のY軸に対して、X軸を中心としてZ軸からY軸方向に35度15分傾斜されている。そのため、第1実施形態ではATカットの水晶フレーム10の軸方向を基準とし、傾斜された新たな軸をY’軸及びZ’軸として用いる。つまり、第1実施形態において第1水晶振動子100の長手方向をX軸方向、第1水晶振動子100の高さ方向をY’軸方向、X及びY’軸方向に垂直な方向をZ’軸方向として説明する。また、以降の第2実施形態でも第1実施形態と同じ座標系が用いられる。
第1実施形態の第1水晶振動子100の全体構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は第1水晶振動子100の分解斜視図で、図2は図1のA−A断面図である。
図1及び図2に示されたように、第1水晶振動子100は、リッド凹部111を有するリッド部11と、ベース凹部121を有するベース部12と、リッド部11及びベース部12に挟まれる水晶フレーム10とを備える。
水晶フレーム10はATカットされた水晶材料で形成され、リッド部11に接合される+Y’側の表面Meとベース部12に接合される−Y’側の裏面Miとを有している。水晶フレーム10は水晶振動片101と水晶振動片101を囲む枠体106とで構成されている。また、水晶振動片101と枠体106との間には、表面Meから裏面Miまで貫通する「U」字型の貫通開口104と、水晶振動片101と枠体106とを連結する連結部105とが形成されている。
水晶振動片101の表面Me及び裏面Miには励振電極102a、102bがそれぞれ形成されている。また、連結部105及び枠体106の両面には励振電極102a、102bとそれぞれ接続された引出電極103a、103bが形成されている。ここで、表面Meの励振電極102aから引き出された引出電極103aは、貫通開口104を介して水晶フレーム10の裏面Miにおける+X側の両隅まで形成されている。また、裏面Miの励振電極102bから引き出された引出電極103bは水晶フレーム10の裏面Miにおける−X側の両隅まで形成されている。
ベース部12はガラス又は水晶材料で形成され、その+Y’側の面には該面から凹んだベース凹部121が形成されている。また、ベース凹部121の周囲には第2接合面M2が形成されている。さらに、ベース部12の四隅には+X側の2つの隅にキャスタレーション124aが形成され、−X側の2つの隅にキャスタレーション124bが形成されている。ここで、キャスタレーション124a、124bは、複数のベース部12が形成されるベースウエハ12Wに円錐台形状の貫通孔BH1(図6を参照)を形成し、貫通溝BH1をXZ’平面で1/4に分割したものである。ベースウエハ12W及び貫通溝BH1の詳細については後述する。
ベース部12の−Y’側の面は第1水晶振動子100が実装される実装面M3であり、実装面M3の+X側及び−X側には一対の外部電極122a、122bが形成されている。また、キャスタレーション124a及び124bにはそれぞれ側面電極123a及び123bが形成されており、側面電極123aは外部電極122aに接続され、側面電極123bは外部電極122bに接続される。そのため、励振電極102aと外部電極122aとが電気的に接続され、励振電極102bと外部電極122bとが電気的に接続される。
キャスタレーション124a、124bは、第2接合面M2と円弧L1で交わり、実装面M3と円弧L2で交わる。ここで、キャスタレーション124a、124bは、+Y’側の面積が広く−Y’側の面積が狭い円錐台形状の貫通孔BH1(図6を参照)が分割されて形成されているため、円弧L1の周長は円弧L2の周長より長い。すなわち、図2の断面図に示されるように、キャスタレーション124a及び124bは実装面M3側から第2接合面M2側に向かって広くなるように形成されている。
第1水晶振動子100は、水晶フレーム10の表面Meに接合されるガラス又は水晶材料からなるリッド部11をさらに備えている。リッド部11の−Y’側の面にはリッド凹部111が形成され、リッド凹部111の周囲には第1接合面M1が形成されている。
図2に示されるように、水晶フレーム10の枠部16の+Y’側の面とリッド部11の第1接合面M1、及び水晶フレーム10の枠部16の−Y’側の面とベース部12の第2接合面M2とが接合材Bdにより接合される。これによりパッケージPKGが形成され、パッケージPKG内には水晶振動片101を収納するキャビティCTが形成される。キャビティCT内は、真空状態が保持されるか又は窒素ガス等の不活性ガスで満たされる。
接合材Bdには、例えば非導電性の低融点ガラスが用いられる。また低融点ガラスには、例えば350℃〜400℃で溶融する鉛フリーのバナジウム系ガラスが用いられる。バナジウム系ガラスはバインダーと溶剤とが加えられてペースト状になっており、加温されて溶融された後に冷却されて固化されることで他の部材と接着する。バナジウム系ガラスの融点はリッド部11、水晶フレーム10及びベース部12の融点より低く、また、このバナジウム系ガラスは接着時の気密性と耐水性・耐湿性などの信頼性が高い。そのため、バナジウム系ガラスは空気中の水分がキャビティCT内に進入したりキャビティCT内の真空度を低下させたりすることを防止する。さらに、バナジウム系ガラスはガラス構造を制御することにより熱膨張係数も柔軟に制御できるので、リッド部11、水晶フレーム10及びベース部12の熱膨張係数に合わせることができる。接合材Bdには低融点ガラスの代わりにポリイミド樹脂などが用いられてもよい。
第1水晶振動子100は、図2に示されるように、ベース部12に実装面M3側から第2接合面M2側に向かって広くなるキャスタレーション124a、124bが形成されることにより、水晶フレーム10の引出電極103a、103bの露出面積が広くなっている。そのため、水晶フレーム10とベース部12とを接合する際に引出電極103a、103bの表面が接合材Bdにより完全に覆われにくくなり、引出電極103a、103bと側面電極123a、123bとが確実に電気的に接続される。
また、水晶フレーム10とベース部12とが接合材Bdで接合されるとき、図2の点線Bに示されたように接合材Bdは自重によりキャスタレーション124a、124bに沿って流れる。そのため、キャスタレーション124a、124bと接合材Bdとは密着しており、両者の間には隙間が生じない。したがって、側面電極123a、123bを断線させることなく形成することができる。
第1実施形態ではリッド部11にリッド凹部111が形成されベース部12にベース凹部121が形成されるが、リッド部及びベース部が平板状に形成されてもよい。この場合、リッド部とベース部とを接合する接合材Bdの厚さによりキャビティCTが形成されて水晶振動片101がリッド部及びベース部に当たることを防ぐ。
<第1水晶振動子100の製造方法>
図3は、第1水晶振動子100の製造方法を示したフローチャートである。図3において、リッド部11の製造ステップS11と、水晶フレーム10の製造ステップS12と、ベース部12の製造ステップS13とは別々に並行して行うことができる。また、図4は第1実施形態のリッドウエハ11Wの平面図で、図5は第1実施形態の水晶ウエハ10Wの平面図で、図6は第1実施形態のベースウエハ12Wの平面図である。
ステップS11では、リッド部11が製造される。ステップS11はステップS111及びS112を含んでいる。
ステップS111において、図4に示されたように、均一厚さの水晶平板のリッドウエハ11Wにリッド凹部111が数百から数千個形成される。リッド凹部111は、エッチング又は機械加工により形成され、リッド凹部111の周囲には第1接合面M1が形成される。
ステップS112において、図4に示されたように、スクリーン印刷でリッドウエハ11Wの第1接合面M1に接合材Bdとして低融点ガラスが形成される。その後、低融点ガラスを仮硬化することで、低融点ガラス膜がリッドウエハ11Wの第1接合面M1に形成される。
ステップS12では、水晶フレーム10が製造される。ステップS12はステップS121及びS122を含んでいる。
ステップS121において、図5に示されたように、均一の水晶ウエハ10Wにエッチングにより複数の水晶フレーム10の外形が形成される。すなわち、エッチングにより水晶ウエハ10Wを貫通した「U」字型の貫通開口104を形成することで、水晶フレーム10に水晶振動片101と枠体106とが形成される。
ステップS122において、スパッタリングまたは真空蒸着によって水晶ウエハ10Wの両面にクロム(Cr)層及び金(Au)層からなる金属層が形成される。そして、金属層の全面にフォトレジストが均一に塗布される。その後、露光装置(不図示)を用いて、フォトマスク(不図示)に描かれた励振電極102a、102b及び引出電極103a、103bのパターンが水晶ウエハ10Wに露光される。次に、フォトレジストから露出した金属層がエッチングされる。これにより、水晶ウエハ10Wの両面には励振電極102a、102b及び引出出極103a、103bが形成される。ここで、表面Meの励振電極102aから引き出された引出電極103aは貫通開口104を介して水晶フレーム10の裏面Miに形成されている(図1及び図2を参照)。
ステップS13では、ベース部12が製造される。ステップS13はステップS131及びS132を含んでいる。
ステップS131において、図6に示されたように、均一厚さの水晶平板のベースウエハ12Wにベース凹部121が数百から数千個形成される。ベースウエハ12Wには、ウェットエッチング又はブラスト加工等の機械加工によりベース凹部121が形成され、ベース凹部121の周囲には第2接合面M2が形成される。同時に、各ベース部12の四隅にはベースウエハ12Wを貫通した−Y’側に向かって狭くなる円錐台形状の貫通孔BH1が形成される。ここで、サンドブラスト加工により貫通孔BH1を形成する際、貫通孔BH1以外の部分が切削されないようにマスキングされる。また貫通孔BH1が4分に分割されると1つのキャスタレーション124a、124b(図1を参照)になる。なお、貫通孔BH1が円錐台形状であるので、貫通孔BH1と第2接合面M2とが交わって形成された円形R1の周長は貫通孔BH1と実装面M3(図1を参照)とが交わって形成された円形R2の周長より長く形成されている。
ステップS132において、スクリーン印刷でベースウエハ12Wの第2接合面M2に接合材Bdとして低融点ガラスが形成される。その後、低融点ガラスを仮硬化することで、低融点ガラスがベースウエハ12Wの第2接合面M2に形成される。
ステップS14では、接合材Bdが加熱され水晶ウエハ10Wとベースウエハ12Wとが互いに押圧される。そして水晶ウエハ10Wとベースウエハ12Wとが接合材Bdにより接合される。
ステップS15では、ステップS122で説明されたスパッタ及びエッチング方法によって図1及び図2に示されたようにベース部12の実装面M3に一対の外部電極122a、122bが形成される。同時に、貫通孔BH1には側面電極123a、123bが形成される。ここで、貫通孔BH1は−Y’側に向かって狭くなる円錐台形状であるので、水晶ウエハ10Wに形成された引出電極103a、103bがベースウエハ12Wの貫通孔BH1に露出される面積が広くなっている。そのため、スパッタで貫通孔BH1に側面電極123a、123bを形成する際、側面電極123a、123bが引出電極103a、103bに確実に電気的に接続することができる。また、貫通孔BH1は−Y’側に向かって狭くなる円錐台形状であるので、接合ステップS14で貫通孔BH1内に流れ込む接合材Bdは貫通孔BH1に沿って流れる。そのため、貫通孔BH1の側面に側面電極123a、123bを形成する場合でも側面電極123a、123bが断線せずに水晶ウエハ10Wの引出電極103a、103bと外部電極122a、122bとをそれぞれに確実に電気的に接続することができる(図2の点線Bに囲まれた部分を参照)。
ステップS16では、接合材Bdが加熱されリッドウエハ11Wと水晶ウエハ10Wとが加圧される。そしてリッドウエハ11Wの第1接合面M1が接合材Bdにより水晶ウエハ10Wの表面Meに接合される。ここで、ステップS15で各電極を形成した後にステップS16でリッドウエハ11Wと水晶ウエハ10Wとが接合されるが、逆にリッドウエハ11Wと水晶ウエハ10Wとを接合した後に各電極が形成されてもよい。
ステップS17では、接合されたリッドウエハ11Wと、水晶ウエハ10Wと、ベースウエハ12Wとが個々に切断される。切断工程では、レーザーを用いたダイシング装置、または切断用ブレードを用いたダイシング装置などを用いて図4〜図6に示された一点鎖線のスクライブラインSLに沿って第1水晶振動子100を単位として個片化する。これにより、数百から数千の第1水晶振動子100が製造される。
図3で説明された第1水晶振動子100の製造方法では、接合する前に接合材Bdがリッドウエハ11W及びベースウエハ12Wに形成されているが、水晶ウエハ10Wの両面に形成されてもよい。また、例えば接合材Bdとしてポリイミド樹脂が用いられる場合においてはスクリーン印刷でもよいし、感光性のポリイミド樹脂であれば露光して接合面Mに接合材Bdを形成することもできる。
(第2実施形態)
<第2水晶振動子200の全体構成>
第2実施形態の第2水晶振動子200の全体構成について、図7及び図8を参照しながら説明する。図7は第2水晶振動子200の分解斜視図で、図8は図7のC−C断面図である。
図7及び図8に示されたように、第2水晶振動子200は、第1実施形態のリッド部11と同じ構成でリッド凹部211を有するリッド部21と、ベース凹部221を有するベース部22と、リッド部21及びベース部22に挟まれる水晶フレーム20とを備える。
水晶フレーム20は、表面Me及び裏面Miに励振電極202a、202bがそれぞれ形成された水晶振動片201と、水晶振動片201を囲む枠体206とで構成されている。また、水晶振動片201と枠体206との間には、水晶振動片201からX軸方向の両側に沿ってそれぞれ伸びるように枠体206と連結した一対の連結部205a、205bを有している。そのため、水晶振動片201と枠体206との間に2つの「L」字型の貫通開口204a、204bが形成される。
連結部205a、205b及び枠体206の両面には励振電極202a、202bとそれぞれ接続された引出電極203a、203bが形成されている。ここで、図2に示されたように表面Meの励振電極202aから引き出された引出電極203aは貫通開口204を介して水晶フレーム20の裏面Miにおける+X側の両隅まで形成されている。また、裏面Miの励振電極202bから引き出された引出電極203bは連結部205bを介して水晶フレーム20の裏面Miにおける−X側の両隅まで形成されている。
ベース部22はガラス又は水晶材料で形成され、その+Y’側の面には該面から凹んだベース凹部221とベース凹部221の周囲に形成された第2接合面M2とを有している。ベース部22のX軸方向の両辺には、キャスタレーション224a、224bが形成されており、キャスタレーション224a、224bには一対の側面電極223a、223bがそれぞれ形成されている。また、ベース部22には、実装面M3のX軸方向の両側に一対の外部電極222a、222bがそれぞれ形成されている。ここで、側面電極223aは外部電極222aに接続され、側面電極223bは外部電極222bに接続されている。
キャスタレーション224a、224bは、第2接合面M2と半分に分割された角丸長方形L3で交わり、実装面M3と半分に分割された角丸長方形L4で交わる。ここで、キャスタレーション224a、224bは断面形状が角丸長方形であり第2接合面M2での面積が実装面M3での面積より広く形成された貫通孔BH2(図10を参照)からなるものである。そのため、第2接合面M2に形成され半分に分割された角丸長方形L3の周長は実装面M3に形成され半分に分割された角丸長方形L4の周長より長く形成されている。
すなわち、図8に示された断面図から見ると、水晶フレーム20にはキャスタレーションが形成されていないので、水晶フレーム20の引出電極203a、203bがベース部22のキャスタレーション224a、224bに露出する面積が広くなっている。そのため、図8の点線Bに示されたように、接合材Bdがキャスタレーション224a、224bに流れ込んでも引出電極203a、203bと側面電極223a、223bとを確実に電気的に接続することができる。
一方、ベース部22を下向きで水晶フレーム20とベース部22とが封止材Bdで接合されるとき、図8の点線Bに示されたように封止材Bdが自重によりキャスタレーション224a、224bに沿って流れる。そのため、キャスタレーション224a、224bに流れ込んだ封止材Bdがベース部22と隙間を生じなく密着することができる。したがって、側面電極223a、223bが断線せずに、水晶フレーム20の引出電極203a、203bとベース部22の外部電極222a、222bとを確実に接続することができる。
<第2水晶振動子200の製造方法>
第2水晶振動子200の製造方法は、第1実施形態の図3で説明されたフローチャートと同じである。但し、水晶フレーム20の製造ステップS12及びベース部22の製造ステップS13に係る水晶ウエハ20W及びベースウエハ22Wの形状が異なる。図9は水晶ウエハ20Wの平面図で、図10はベースウエハ22Wの平面図である。
図9に示されたように、均一の水晶ウエハ20Wにエッチングにより複数の水晶フレーム20の外形が形成される。すなわち、エッチングにより水晶ウエハ20Wを貫通した一対の「L」字型の貫通開口204a、204bを形成することで、水晶フレーム20に水晶振動片201と枠体206とが形成される。その後、スパッタ及びエッチングによって水晶ウエハ20Wの両面にクロム(Cr)層及び金層(Au)からなる励振電極202a,202b及び引出電極203a、203bが形成される。ここで、表面Meの励振電極202aから引き出された引出電極203aは貫通開口204aを介して水晶フレーム20の裏面Miに形成されている(図8を参照)。
図10に示されたように、均一厚さの水晶平板のベースウエハ22Wにベース凹部221が数百から数千個形成される。同時に、各ベース部22のX軸方向の両側にはベースウエハ22Wを貫通し−Y’側に向かって狭くなり断面が角丸長方形である貫通孔BH2が形成される。貫通孔BH2が半分に分割されると1つのキャスタレーション224a、224b(図7を参照)になる。なお、貫通孔BH2が−Y’側に向かって狭くなるので、貫通孔BH2と第2接合面M2とが交わって形成された角丸長方形R3の周長は貫通孔BH2と実装面M3(図7を参照)とが交わって形成された角丸長方形R4の周長より長く形成されている。
ここで、図8を参照しながら説明すると、貫通孔BH2が−Y’側に向かって狭くなるので、水晶ウエハ20Wに形成された引出電極203a、203bがベースウエハ22Wの貫通孔BH2に大幅に露出されている。そのため、スパッタで貫通孔BH2に側面電極223a、223bを形成する際、側面電極223a、223bが引出電極203a、203bに確実に電気的に接続することができる。また、貫通孔BH2は−Y’側に向かって狭くなるので、貫通孔BH2内に流れ込む接合材Bdは貫通孔BH2に沿って流れる。そのため、貫通孔BH2の側面に側面電極223a、223bを形成する場合でも側面電極223a、223bが断線せずに水晶ウエハ20Wの引出電極203a、203bと外部電極222a、222bとをそれぞれに確実に電気的に接続することができる。
(第3実施形態)
<第3水晶振動子300の全体構成>
第3実施形態の第3水晶振動子300の全体構成について、図11を参照しながら説明する。図11は、第3水晶振動子300の分解斜視図である。図11に示された第3水晶振動子300は音叉型の水晶振動片301を有しているので、その座標系は第1及び第2実施形態のATカットで示された座標系と異なる。つまり、第3実施形態では第1及び第2実施形態と同じX軸が用いられ、振動腕308が伸びる方向をY軸方向とし、X軸方向及びY軸方向に垂直な高さ方向をZ軸方向とする。
図11に示されたように、第3水晶振動子300は、第1実施形態のリッド部11と同じ構成でリッド凹部311を有するリッド部31と、ベース凹部321を有するベース部32と、リッド部31及びベース部32に挟まれる水晶フレーム30とを備える。
水晶フレーム30は、その中央領域に形成された音叉型の水晶振動片301と、その外側に形成された枠体306と、音叉型の水晶振動片301と枠体306とを連結する一対の支持腕305a、305bと有している。音叉型の水晶振動片301と枠体306と一対の支持腕305a、305bとの間には貫通開口304が形成されている。音叉型の水晶振動片301の外形を規定する貫通開口304はウェットエッチングにより形成されている。音叉型の水晶振動片301は、枠体306及び一対の支持腕305a、305bと同じ厚さで形成されている。
また、音叉型の水晶振動片301は−Y側に形成されZ軸方向から見てほぼ矩形形状の基部307と、基部307の一辺から+Y軸方向に沿って伸びた一対の振動腕308とを備えている。一対の振動腕308の断面はほぼ矩形形状であり、表面Me、裏面Mi及び両側面には励振電極302a、302bが形成されている。但し、図11には音叉型の水晶振動片301の表面Meと+X軸方向の片側の側面としか描かれていない。
一対の振動腕308の表面Meおよび裏面Miには、Y軸方向に伸びる溝部309が形成されていてもよい。その溝部309に励振電極302a、302bが形成されると、振動腕308に発生する電界が大きくなりCI(クリスタルインピーダンス)値の上昇が抑えられる。さらに、振動腕308の+Y側の先端には錘部308Aがそれぞれ形成されてもよい。錘部308Aは音叉型の水晶振動片301の一対の振動腕308Aが振動しやすくなるための錘であり、且つ周波数調整のために設けられている。音叉型の水晶振動片301は、たとえば32.768kHzで振動する振動片で、極めて小型の振動片となっている。
また、一対の支持腕305a、305bから枠体306に渡って水晶フレーム30の表面Me及び裏面Miには引出電極303a、303bが形成されている。引出電極303aは支持腕305aを介して+X側から枠体306に引き出され、引出電極303bは支持腕305bを介して−X側から枠体306に引き出される。さらに、引出電極303a、303bはそれぞれに一対の振動腕308に形成された励振電極302a、302bに電気的に接続されている。
ベース部32はガラス又は水晶材料で形成され、その+Y’側の面には該面から凹んだベース凹部321が形成されている。ベース部32の四隅にはキャスタレーション324a、324bがそれぞれ形成されている。ここで、キャスタレーション324a、324bは、円錐台形状の貫通孔(図6を参照)がXZ’平面で1/4に分割して形成されたものである。
ベース部32は、実装面M3に一対の外部電極322a、322bが形成されている。また、キャスタレーション324a及び324bにはそれぞれに側面電極323a及び323bが形成されており、側面電極323aは外部電極322aに接続され、側面電極323bは外部電極322bに接続されている。
キャスタレーション324a、324bは、第2接合面M2と円弧L1で交わり、実装面M3と円弧L2で交わる。ここで、円弧L1の周長は円弧L2の周長より長く形成されている。すなわち、キャスタレーション324a及び324bは実装面M3側から第2接合面M2側に向かって広くなるよう形成されている(図2を参照)。
このような構成によれば、水晶フレーム30にはキャスタレーションが形成されていないので、水晶フレーム30の引出電極303a、303bがベース部32のキャスタレーション324a、324bに大幅に露出することができる。そのため、接合材Bdがキャスタレーション324a、324bに流れ込んでも引出電極303a、303bと側面電極323a、323bとが確実に電気的に接続することができる。
一方、ベース部32を下向きで水晶フレーム30とベース部32とが接合材Bdで接合されるとき、接合材Bdが自重によりキャスタレーション324a、324bに沿って流れる。そのため、キャスタレーション324a、324bに流れ込んだ接合材Bdは、キャスタレーション324a、324bとの間に隙間を生じることなく密着して形成される。したがって、側面電極323a、323bが断線せずに、水晶フレーム30の引出電極303a、303bとベース部32の外部電極322a、322bとを確実に接続することができる。
<第3水晶振動子300の製造方法>
第3水晶振動子300の製造方法は、第1実施形態の図3で説明されたフローチャートと同じである。但し、水晶フレームを製造するステップS12では音叉型の水晶振動片が形成される。
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。たとえば、本発明は、水晶振動子以外にも、発振回路を組み込んだICなどをキャビティ内に収容した水晶発振器にも適用できる。また、水晶以外にタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどの圧電材料を利用することができる。
10、20、30 … 水晶フレーム、 10W、20W … 水晶ウエハ
11、21、31 … リッド部、 11W … リッドウエハ
12、22、32 … ベース部、 12W、22W … ベースウエハ
100、200、300 … 水晶振動子
101、201、301 … 水晶振動片
102a、102b、202a、202b、302a、302b … 励振電極
103a、103b、203a、203b、303a、303b … 引出電極
104、204a、204b、304 … 貫通開口
105、205a、205b … 連結部、 305a、305b … 支持腕
106、206、306 … 枠体
111、211、311 … リッド凹部
121、221、321 … ベース凹部
122a、122b、222a、222b、322a、322b … 外部電極
123a、123b、223a、223b、323a、323b … 側面電極
124a、124b、224a、224b、324a〜324b … キャスタレーション
307 … 基部
308 … 振動腕、 308A … 錘部
309 … 溝部
Bd … 接合材
CT … キャビティ
L1、L3 … キャスタレーションと第2接合面との交わり
L2、L4 … キャスタレーションと実装面との交わり
R1、R3 … 貫通孔と第2接合面との交わり
R2、R4 … 貫通孔と実装面との交わり
PKG … パッケージ
SL … スクライブライン

Claims (6)

  1. 一主面及び他主面に励振電極が形成される圧電振動片と、前記圧電振動片から貫通開口を隔てて前記圧電振動片を囲み前記励振電極から引き出された引出電極を有する枠体とを有する圧電フレームと、
    前記一主面の前記枠体に接合される接合面と、前記接合面の反対側にあって外部電極が形成された実装面と、前記接合面から前記実装面まで形成されたキャスタレーションと、前記キャスタレーションに形成され前記引出電極と前記外部電極とを接続する側面電極とを有するベース部と、を備え、
    前記キャスタレーションと前記接合面とが交わる周長が、前記キャスタレーションと前記実装面とが交わる周長よりも長い圧電デバイス。
  2. 前記圧電フレームと前記ベース部とを接合する接合材を備え、
    前記側面電極が前記接合材の一部を覆っている請求項1に記載の圧電デバイス。
  3. 前記圧電振動片の他主面に形成された引出電極は、前記貫通開口の側面を介して前記一主面に伸びて前記側面電極に接続されている請求項1又は請求項2に記載の圧電デバイス。
  4. 前記圧電フレームの前記一主面に形成された前記引出電極が前記ベース部の前記キャスタレーションの領域まで伸びて形成されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
  5. 前記圧電フレームの前記他主面に接合されて前記ベース部及び前記枠体と前記圧電振動片を密封するリッド部を備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の圧電デバイス。
  6. 一主面及び他主面に励振電極が形成される圧電振動片と、前記圧電振動片から貫通開口を隔てて配置され前記励振電極から引き出された引出電極を有し前記圧電振動片を囲む枠体とが形成される圧電フレームを複数含む圧電ウエハを用意する工程と、
    前記圧電フレームの前記一主面に接合される接合面と、前記接合面の反対側にある実装面と、前記接合面から前記実装面まで貫通し前記接合面での面積が前記実装面での面積より大きい貫通孔とが形成されるベース部を複数含むベースウエハを用意する工程と、
    前記圧電ウエハと前記ベースウエハとを接合材で接合する接合工程と、
    前記接合工程後に、前記ベースウエハの前記実装面に外部電極を形成するとともに前記貫通孔に前記引出電極と前記外部電極とを接続する側面電極を形成する工程と、
    を備える圧電デバイスの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017059918A (ja) * 2015-09-15 2017-03-23 リバーエレテック株式会社 水晶振動子及びその製造方法
JP2018166225A (ja) * 2018-07-19 2018-10-25 京セラ株式会社 配線基板および電子装置
JP2020127024A (ja) * 2018-07-19 2020-08-20 京セラ株式会社 配線基板および電子装置

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