<感光性シリコーン樹脂組成物>
本発明の感光性シリコーン樹脂組成物は、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)、シリコーン樹脂(B)及び光重合開始剤(C)を含む。シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及び/又はシリコーン樹脂(B)は、光重合性官能基を有する。感光性シリコーン樹脂組成物は、さらに、分子内に光重合性官能基を有し、かつシリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)とは異なる化合物(D)(本開示で、「化合物(D)」ともいう)、並びに、酸化防止剤及び紫外線吸収剤からなる群から選ばれる1種類以上の安定剤(E)(本開示で、「安定剤(E)」あるいは「酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤(E)」ともいう)の一方又は両方を含んでもよい。本発明に係る感光性シリコーン樹脂組成物を構成する各成分について、以下、詳細に説明する。
[シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)]
シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)は、シリカ粒子がシリコーン中に導入されたシリコーン樹脂であり、典型的には、ポリシロキサン分子中にシリカ粒子が化学結合により導入されている構造を有するシリコーン樹脂である。好ましい態様において、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)は光重合性官能基を有する。
好ましい態様において、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)は、後述の一般式(1)で表されるシラン化合物、及び/又は該シラン化合物の加水分解縮合物であるポリシロキサン化合物(a)と、シリカ粒子(b)との縮合反応物である。特に好ましい態様において、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)は、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合反応物、並びに/又は、ポリシロキサン化合物(a)及び一般式(1)で表されるシラン化合物とシリカ粒子(b)との縮合反応物である。
シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)は、シリコーン樹脂の特徴である高い透明性を有している。また、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)は、シリカ粒子(b)を含むことにより、硬化成型物の硬度の向上、及び耐光性の向上を可能にする。さらに、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合反応物、並びに、ポリシロキサン化合物(a)及び一般式(1)で表されるシラン化合物とシリカ粒子(b)との縮合反応物によれば、シリカ粒子(b)の凝集を防ぎ、シリカ粒子(b)を樹脂中で安定に存在させることができる。
[ポリシロキサン化合物(a)]
本発明に用いるポリシロキサン化合物(a)は、下記一般式(1):
R1 n1SiX1 4-n1 (1)
{式中、R1は、水素原子;又は炭素数1〜20の有機基;であり、n1は、0〜3の整数であり、X1は、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基であり、複数存在する場合のR1、n1及びX1は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。}で表される1種類以上のシラン化合物又はその縮合物を、加水分解し(但し、該成分がシラノール基を有する場合は加水分解は必須ではない)、次いで縮合して得られた生成物である。
一般式(1)中のR1は、水素原子又は炭素数1〜20の有機基である。炭素数1〜20の有機基としては、メチル、エチル、n―プロピル、i−プロピル、ブチル(n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、及びsec−ブチル)、ペンチル(n―ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル等)、ヘキシル(n−ヘキシル、i−ヘキシル、シクロヘキシル等)、ヘプチル(n−ヘプチル、i−ヘプチル等)、オクチル(n−オクチル、i−オクチル、t―オクチル等)、ノニル(n−ノニル、i−ノニル等)、デシル(n−デシル、i−デシル等)、ウンデシル(n−ウンデシル、i−ウンデシル等)、ドデシル(n−ドデシル、i−ドデシル等)等の非環式又は環式の脂肪族炭化水素基;ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニルエチル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、スチレニル等の非環式及び環式アルケニル基;ベンジル、フェネチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル等のアラルキル基;PhCH=CH−基等のアラアルケニル基;フェニル基、トリル基、スチリル基、キシリル基等のアリール基;4−アミノフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ビニルフェニル基等の置換アリール基;メタクリロイル基、アクリロイル基、スチリル基、ノルボルニル基、グリシジル基、及びメルカプト基等の重合性結合基を含む基;等が挙げられる。
また、炭素数1〜20の有機基は、前記した各種の有機基の主鎖骨格の一部が、エーテル結合、エステル基(又は結合)、水酸基、チオール基、チオエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、カルボン酸無水物結合、チオール基、チオエーテル結合、スルホン基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、ビニル基、アルデヒド基、エポキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アミド基(又は結合)、イミド基(又は結合)、イミノ基、ウレア基(又は結合)、ウレタン基(又は結合)、イソシアネート基、シアノ基等の極性基(又は極性結合);フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;等から選ばれる置換基で部分置換されたものであってもよい。複数存在する場合のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
中でも好ましいR1の例は、反応性の観点から水素原子、メチル基及びエチル基である。また、光重合性付与の観点からメタクリロイル基、アクリロイル基、スチリル基、ノルボルニル基、グリシジル基、及びメルカプト基等の重合性結合基を含む基が好ましい。
上記一般式(1)中のn1は0〜3の整数である。
X1は、それぞれ独立に、水酸基、並びに加水分解可能な置換基であるハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる。具体的には、例えば、水酸基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等のアルコキシ基;及びアセトキシ基;等が挙げられ、この中でも塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;及びアセトキシ基は、ポリシロキサン化合物(a)合成時の縮合反応の反応性が高いため好ましい。複数存在する場合のX1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(1)で表されるシラン化合物としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3ジメチル−ブチリデン)、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(p−ビニルベンジル)−N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン塩酸塩、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルクロロシラン、ジクロロメチルシラン、トリクロロシラン等のアルキルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、ビニルトリクロロシラン等の不飽和炭化水素基含有クロロシラン;トリフェニルクロロシラン、ジフェニルメチルクロロシラン、ジメチルフェニルクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン等の芳香族基含有クロロシラン;ジメチルシクロヘキシルクロロシラン、ジシクロヘキシルメチルクロロシラン、ジシクロヘキシルジクロロシラン、メチルシクロヘキシルジクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、ジメチルシクロペンチルクロロシラン、ジシクロペンチルメチルクロロシラン、ジシクロペンチルジクロロシラン、メチルシクロペンチルジクロロシラン、シクロペンチルトリクロロシラン等の脂肪族基含有クロロシラン;アクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、アクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、アクリロキシプロピルトリクロロシラン、メタクロキシプロピルジメチルクロロシラン、メタクロキシプロピルメチルジクロロシラン、メタクロキシプロピルトリクロロシラン、スチリルジメチルクロロシラン、スチリルメチルジクロロシラン、スチリルトリクロロシラン等が挙げられる。
上記一般式(1)で表されるシラン化合物は、単独で使用しても構わないが、硬化前の流動性のコントロール、及び屈折率、硬度等のコントロールが可能になるため、複数のシラン化合物を使用することが好ましい。
複数のシラン化合物を使用する際は、上記一般式(1)で表されるシラン化合物の内、n1の値が異なる2種類以上のシラン化合物を使用することは、合成時の反応性の観点から好ましい。更に上記一般式(1)で表されるシラン化合物の内、n1が1であるシラン化合物を使用することは、分子量増加の観点から好ましい。上記一般式(1)で表されるシラン化合物の内、n1が1であるシラン化合物とn1が2であるシラン化合物とを併せて使用することが、硬化成型物の硬化後の耐クラック性の観点から、好ましい。
以下、上記一般式(1)で表されるシラン化合物及び/又はその縮合物を用いる場合を例として、ポリシロキサン化合物(a)の製造について説明するが、本発明はこれに限定するものではない。
ポリシロキサン化合物(a)は、上記一般式(1)で表される1種類以上のシラン化合物及び/又はその縮合物に、水を添加することによって製造することが好ましい。水の添加量としては、上記一般式(1)で表されるシラン化合物中のX1の合計モル数に対して0.1当量〜10当量(モル基準)の範囲が好ましく、より好ましくは0.4当量〜8当量の範囲である。水の添加量が0.1当量以上であると、ポリシロキサン化合物(a)の分子量が上がるため好ましく、10当量以下であることは、縮合反応により得られるポリシロキサン化合物(a)生成物の溶液のポットライフを長くする観点から好ましい。縮合反応に用いる上記一般式(1)で表されるシラン化合物のX1が全て水酸基である場合、水を加えず縮合させてもよい。
ポリシロキサン化合物(a)を触媒の存在下での縮合反応により製造する場合、加水分解及び縮合の速度が速くなるため好ましい。
触媒の種類としては、酸触媒、塩基触媒及び金属アルコキシドが挙げられる。具体的には、酸触媒として無機酸及び有機酸が挙げられる。上記無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。上記有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、シトラコン酸、リンゴ酸、グルタル酸等が挙げられる。
塩基触媒の例として、無機塩基では、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ又はアルカリ土類金属の炭酸塩;炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等の金属炭酸水素塩が挙げられる。有機塩基では、アンモニア、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等のトリアルキルアミン;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の炭素数1〜4のN,N−ジアルキルアニリン誘導体;ピリジン、2,6−ルチジン等の、炭素数1〜4のアルキル置換基を有していてもよいピリジン誘導体等を挙げられる。
また、金属アルコキシドとしては、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリ−iso−プロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−iso−ブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム、トリメトキシボロン、トリエトキシボロン、トリ−n−プロポキシボロン、トリ−iso−プロポキシボロン、トリ−n−ブトキシボロン、トリ−iso−ブトキシボロン、トリ−sec−ブトキシボロン、トリ−tert−ブトキシボロンテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−iso−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラ−n−プロポキシゲルマニウム、テトラ−iso−プロポキシゲルマニウム、テトラ−n−ブトキシゲルマニウム、テトラ−iso−ブトキシゲルマニウム、テトラ−sec−ブキシゲルマニウム、テトラ−tert−ブトキシゲルマニウム、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−iso−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−iso−ブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ−iso−プロポキシジルコニウム、テトラ−nブトキシジルコニウム、テトラ−iso−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−tert−ブトキシジルコニウム等が挙げられる。
これらの触媒は、1種で又は2種以上を混合して用いることができる。また、使用される触媒の量が、ポリシロキサン化合物(a)を製造する際の反応系のpHを0.01〜6.9の範囲に調整する量であることが、ポリシロキサン化合物(a)の重量平均分子量を良好に制御できるため、好ましい。またポリシロキサン(a)の製造後、酸又は塩基でpHの調整を行っても構わない。
ポリシロキサン化合物(a)を製造するための縮合反応は、有機溶媒中で行うことができる。縮合反応に使用できる有機溶媒としては、例えば、アルコール、エステル、ケトン、エーテル、脂肪族炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物、アミド化合物等が挙げられる。
上記アルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールのような一価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールのような多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルのような多価アルコールのモノエーテル;等が挙げられる。
上記エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン等が挙げられる。
上記エーテルとしては、上記の多価アルコールのモノエーテルの他に、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルのような多価アルコールの水酸基の全てをアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル;及び、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略す。)等が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素化合物としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
上記アミド化合物としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
以上の溶媒の中でも、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、PGMEA等のエーテル溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が水と混合し易く、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合反応時に、ポリシロキサン化合物(a)中にシリカ粒子(b)を分散させ易いため、好ましい。
これらの溶媒は単独で使用してもよいし、複数の溶媒を組み合わせて使用しても構わない。また、上記溶媒を用いずにバルク中で反応を行ってもよい。
ポリシロキサン化合物(a)を製造する際の反応温度は、特に制限は無いが、好ましくは−50℃以上200℃以下、より好ましくは0℃以上150℃以下の範囲である。上記の範囲で反応を行うことにより、ポリシロキサン化合物(a)の分子量を良好に制御することができる。
また、ポリシロキサン化合物(a)はチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ゲルマニウム、ホウ素、リン、窒素、炭素、ガリウム、クロム等の酸化物を形成する元素を含んでもよい。
ポリシロキサン化合物(a)を製造する際に、一般式(1)で表されるシラン化合物としてX1がハロゲン原子であるシラン化合物を用いる際の反応には、縮合速度の観点から、有機塩基を、触媒として、又はケイ素化合物の捕捉剤として用いることが好ましい。
有機塩基としては、例えば、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等が挙げられる。これらの有機塩基は、1種で又は2種以上を混合して使用できる。
有機塩基の使用量は、X1がハロゲン原子であるシラン化合物のモル当量に対して、0.1倍以上20倍当量以下であることが、シリル化反応の進行し易さの観点から好ましく、0.5倍以上10倍当量以下であることがより好ましい。有機塩基はハロゲン化シランの捕捉剤となり、副生塩が生じる。
X1がハロゲン原子であるシラン化合物を用いる際の反応温度は、特に制限は無いが、好ましくは−78℃以上200℃以下、より好ましくは−20℃以上150℃以下の範囲である。
X1がハロゲン原子であるシラン化合物を用いる際の反応後は、水洗、抽出、析出、イオン交換、ろ過等の方法で、発生した塩酸塩、及び反応系中の有機塩基を除去、精製することが好ましい。
[シリカ粒子(b)]
本発明において用いるシリカ粒子(b)とは、電子顕微鏡でその形状及び粒径が確認可能なものを指す。
使用されるシリカ粒子(b)としては、例えば、乾式法で作製されるヒュームドシリカ、湿式法で作製されるコロイダルシリカ等が挙げられる。
上記ヒュームドシリカは、珪素原子を含む化合物を気相中で酸素及び水素と反応させることによって得ることができる。原料となるケイ素化合物としては、例えば、ハロゲン化ケイ素(例えば、四塩化ケイ素等)等が挙げられる。
コロイダルシリカは、原料化合物を加水分解及び縮合するゾルゲル法、又はケイ酸ソーダの縮合により合成することができる。ゾルゲル法から得られるものとしては、例えば、アルコキシケイ素(例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等)、ハロゲン化シラン化合物(例えば、ジフェニルジクロロシラン等)等を例えばアンモニア又はアミン触媒によって加水分解縮合重合によるものが挙げられる。アルコキシケイ素又はハロゲン化シラン化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、複数の化合物を使用してもよい。中でも、金属、ハロゲン等の不純物は少ないことが好ましく、線膨張係数が小さい等の観点から、アルコキシケイ素から得られた湿式法で作製されるコロイダルシリカがより好ましい。アルコキシケイ素の好適例はテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等である。
シリカ粒子(b)の平均一次粒子径は1nm以上100nm以下であることが好ましく、1nm以上20nm以下であることがより好ましく、2nm以上15nm以下であることが更に好ましい。上記平均一次粒子径が1nm以上である場合、硬化物の硬度が向上するため好ましく、100nm以下である場合、透明性が向上するため好ましい。
シリカ粒子(b)の平均二次粒子径は、2nm以上250nm以下であることが好ましく、2nm以上80nm以下であることがより好ましい。上記平均二次粒子径が2nm以上である場合、硬度が向上するため好ましく、平均二次粒子径が250nm以下である場合、硬化物の波長領域300nm以下の光に対する透明性が向上するため好ましい。
上記平均一次粒子径は、BETの比表面積から計算で求められる値又は走査型電子顕微鏡の観察から求められる値である。平均二次粒子径は、動的光散乱光度計で測定される値である。
シリカ粒子(b)の形状は、球状、棒状、板状若しくは繊維状又はこれらの2種類以上が合体した形状であることができるが、好ましくは球状である。尚、ここでいう球状とは、真球状の他、回転楕円体、卵形等を含む略球状を意図する。
シリカ粒子(b)の比表面積は、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合反応物の粘度、及び硬化物の硬度の観点から、BET比表面積で、25m2/g以上1400m2/g以下であることが好ましく、35m2/g以上1400m2/g以下であることがより好ましい。上記BET比表面積は、N2分子の圧力とガス吸着量とから計算される方法で測定される値である。
また、シリカ粒子(b)はチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ゲルマニウム、ホウ素、リン、窒素、炭素、ガリウム、クロム等の酸化物を形成する元素を含んでもよい。
本発明で用いるシリカ粒子(b)が、ポリシロキサン化合物(a)及び/又は上記一般式(1)で表されるシラン化合物と縮合する場合、シリカ粒子(b)は、表面にシラノール基及び/又はアルコキシル基を有していなくてはならない。この場合のシリカ粒子(b)の表面は、シラノール基及び/又はアルコキシル基を有していれば他の有機基で修飾されていても構わない。
シリカ粒子(b)表面のシラノール基数は、0.5〜15個/nm2であることが好ましく、より好ましくは1〜3個/nm2である。シラノール基数は、反応性の観点から、0.5個/nm2以上であることが好ましく、一方、硬化成型物の吸水率低下の観点から、15個/nm2以下であることが好ましい。シラノール基割合は例えば、シリカ粒子(b)の水分散液中又は有機溶媒分散液中に緩和促進試薬を加えることによって、29SiNMR等から求めることができる。
シリカ粒子(b)を分散する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、PGMEA等のエーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミン系溶媒;等が挙げられる。これらは、シラノール基を有するシリカ粒子(b)を分散させ易いため好ましい。溶媒はこれらの混合溶媒でも構わない。使用される分散溶媒の種類は、使用されるシリカ粒子(b)の表面修飾基によって変わる。
シリカ粒子(b)としては、上記の要件に適合するものを好ましく使用できるが、制限は無く、市販品を使用することもできる。
市販品としては、コロイダルシリカとして、例えば、LEVASILシリーズ(H.C.Starck(株)製)、メタノールシリカゾルIPA−ST、同MEK−ST、同NBA−ST、同XBA−ST、同DMAC−ST、同ST−UP、同ST−OUP、同ST−20、同ST−40、同ST−C、同ST−N、同ST−O、同ST−50、同ST−OL(以上、日産化学工業(株)製)、クオートロンPLシリーズ(扶桑化学(株)製)、OSCALシリーズ(触媒化成工業(株)製)等;粉体状のシリカ粒子として、例えば、アエロジル130、同300、同380、同TT600、同OX50(以上、日本アエロジル(株)製)、シルデックスH31、同H32、同H51、同H52、同H121、同H122(以上、旭硝子(株)製)、E220A、E220(以上、日本シリカ工業(株))、SYLYSIA470(富士シリシア(株)製)、SGフレーク(日本板硝子(株)製)等が挙げられ、粉体状のシリカ粒子として、例えば、アエロジル130、同300、同380、同TT600、同OX50(以上、日本アエロジル(株)製)、シルデックスH31、同H32、同H51、同H52、同H121、同H122(以上、旭硝子(株)製)、E220A、E220(以上、日本シリカ工業(株)製)、SYLYSIA470(富士シリシア(株)製)、SGフレーク(日本板硝子(株)製)等が挙げられる。
<シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)の製造>
本発明において用いるシリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)は、好ましくは、ポリシロキサン化合物(a)、又はポリシロキサン化合物(a)及び上記一般式(1)で表されるシラン化合物、とシリカ粒子(b)とを反応させて得られる。ポリシロキサン化合物(a)、又はポリシロキサン化合物(a)及び上記一般式(1)で表されるシラン化合物、とシリカ粒子(b)との反応によって形成される結合は、水素結合のような相互作用でも、共有結合でもよいが、硬化成型物のクラック耐性の観点から、縮合反応による共有結合であることが好ましい。
シリカ粒子(b)とポリシロキサン化合物(a)及び上記一般式(1)で表されるシラン化合物とを縮合反応させる場合、シリカ粒子(b)とポリシロキサン化合物(a)及びシラン化合物を同時に反応させてもよいし、シリカ粒子(b)とポリシロキサン化合物(a)とを反応させて得た縮合反応物に、さらにシラン化合物を反応させても良いし、シリカ粒子(b)とシラン化合物とを反応させてからさらにポリシロキサン化合物(a)を反応させてもよい。
縮合反応の際には、溶媒中に分散した状態でのシリカ粒子(b)をポリシロキサン化合物(a)、又はポリシロキサン化合物(a)及び上記一般式(1)で表されるシラン化合物と反応させることができる。
溶媒としては、水若しくは有機溶媒又はこれらの混合溶媒を使用することができる。使用される有機溶媒の種類は、使用されるシリカ粒子(b)の分散媒によって変わる。使用されるシリカ粒子(b)の分散媒が水系の場合は、水及び/又はアルコール系溶媒をシリカ粒子(b)の水分散媒に加えてからシリカ粒子(b)をポリシロキサン化合物(a)、又はポリシロキサン化合物(a)及び上記一般式(1)で表されるシラン化合物と反応させてもよいし、シリカ粒子(b)の水溶液中の溶媒を一度アルコール系溶媒に置換してから、シリカ粒子(b)をポリシロキサン化合物(a)、又はポリシロキサン化合物(a)及び上記一般式(1)で表されるシラン化合物と反応させてもよい。
ポリシロキサン化合物(a)及び/又は上記一般式(1)で表されるシラン化合物とシリカ粒子(b)との縮合反応の際の溶媒及びシリカ粒子の置換溶媒として使用できるアルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール等が挙げられ、これらは、水と容易に混合するため好ましい。
使用されるシリカ粒子(b)の分散媒がアルコール、ケトン、エステル、炭化水素等の溶媒である場合には、水又はアルコール、エーテル、ケトン、エステル等の溶媒を使用することができる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール等が挙げられる。エーテル溶媒としては、例えば、ジメトキシエタン、PGMEA等が挙げられる。ケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エステル溶媒としては、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。炭化水素溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
シリカ粒子(b)とポリシロキサン化合物(a)、又はポリシロキサン化合物(a)及び上記一般式(1)で表されるシラン化合物との縮合反応は、酸性雰囲気下又は塩基性雰囲気下のどちらで行われても構わない。pHの範囲としては、3〜10の範囲が好ましく、5〜9の範囲がより好ましい。上記範囲で縮合反応を行うと、ゲル化及び白濁が起きずに縮合反応させることができるため好ましい。
縮合反応の際に触媒を用いてもよく、用いることができる酸触媒、塩基触媒又は金属アルコキシドとしてはポリシロキサン化合物(a)の製造に用いるものと同じ触媒を挙げることができる。ポリシロキサン化合物(a)の製造後に触媒を取り除いてもよいが、ポリシロキサン化合物(a)の製造後に触媒を取り除かずそのままシリカ粒子(b)を反応させる場合は、触媒を再度加えなくても、ポリシロキサン化合物(a)を製造する際に使用した触媒でポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との反応を行うことができる。また、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との反応時に改めて触媒を加えても構わない。
また、ポリシロキサン化合物(a)を製造する際に酸触媒を添加した場合、シリカ粒子(b)と、ポリシロキサン化合物(a)、又はポリシロキサン化合物(a)及び上記一般式(1)で表されるシラン化合物とを反応させる際に、ポリシロキサン化合物(a)に塩基触媒を添加し、中和又は塩基側にして、縮合反応させても構わない。
ポリシロキサン化合物(a)、又はポリシロキサン化合物(a)及び上記一般式(1)で表されるシラン化合物とシリカ粒子(b)との縮合反応物を製造する際の反応温度は、特に制限は無いが、好ましくは−50℃以上200℃以下、より好ましくは0℃以上150℃以下の範囲である。上記の範囲で反応を行うことにより、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合率(ポリシロキサン−シリカ縮合率)を制御することができる。
ポリシロキサン化合物(a)合成時の縮合反応後、及び/又は、ポリシロキサン化合物(a)、又はポリシロキサン化合物(a)及び上記一般式(1)で表されるシラン化合物とシリカ粒子(b)との縮合反応後に、蒸留、抽出による洗浄、又はイオン交換等の方法により、触媒を取り除くことで、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)のpHを6以上8以下に調整することが好ましい。pHが上記範囲内であると、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)のポットライフが長くなるため好ましい。
ポリシロキサン化合物(a)、又はポリシロキサン化合物(a)及び上記一般式(1)で表されるシラン化合物とシリカ粒子(b)との縮合反応の際に使用される水は、上記から選ばれる溶媒を加えた後に、例えば、蒸留等の方法によって取り除き、縮合反応物中の水分を1質量%以下にすることが好ましい。この場合、縮合反応物を硬化させる際に、重量の低下が少なく、収縮が低減され、クラックが入り難くなるため好ましい。水分の含有量は、例えば、ガスクロマトグラム又はカールフィッシャー法で測定できる。
また、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)中に含まれる溶媒は、1質量%以下であることが好ましい。この場合、感光性シリコーン樹脂組成物を硬化させる際に、重量の低下が小さく、収縮が低減され、クラックが入り難くなるため好ましい。溶媒の含有量は、例えば、ガスクロマトグラムを用いて測定できる。
本明細書中、「反応成分」とは、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)において縮合構造を形成することになる成分を意味する。反応成分の量は、例えば、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)が、ポリシロキサン化合物(a)、一般式(1)で表されるシラン化合物、及びシリカ粒子(b)の縮合反応物である場合、ポリシロキサン化合物(a)、及び一般式(1)で表されるシラン化合物が有するSiX1(式中、X1は、一般式(1)で定義した通りである)構造、並びにシリカ粒子(b)におけるSiO2構造を、それぞれSiO1/2に置き換えた量である。反応成分中のシリカ粒子(b)の含有率は、1質量%以上80質量%以下であることが好ましい。上記含有率は、硬化膜の硬度向上の観点から、1質量%以上が好ましく、該縮合反応物の粘度の観点から、80質量%以下が好ましい。上記含有率は、より好ましくは10質量%以上70質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以上60質量%以下である。シリカ粒子(b)の含有率はシリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)を形成するための全反応成分中のシリカ粒子(b)の反応成分としての質量%で表され、シリカ粒子(b)の反応成分の質量%は反応に使用したシリカ粒子(b)の質量より算出される。シリカ粒子(b)以外の反応成分は、例えばポリシロキサン化合物(a)、又はポリシロキサン化合物(a)と一般式(1)で表されるシラン化合物とを含み、全反応成分中の含有率は20質量%以上99質量%以下であることが好ましい。
シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)のシリカ粒子(b)以外の反応成分のモル割合は、シリカ粒子(b)を除く反応成分を100モル%として、反応に使用した原料のモル比と、1HNMR及び29SiNMRの測定とからモル%として算出することができる。
シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)中のケイ素の、シロキサン結合、水酸基との直接結合、及び前述の加水分解性基との直接結合をそれぞれ形成している結合手の合計数に対する、該シロキサン結合を形成している結合手の数の割合として定義される、縮合反応物の縮合率は、縮合構造形成による高硬度化及びタック性低減の効果を良好に得る観点から、40mol%以上100mol%以下であることが好ましく、より好ましくは50mol%以上100mol%以下、さらに好ましくは60mol%以上100mol%以下である。
上記縮合反応物の縮合率は、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)を29SiNMRで分析することにより、M0、M1、D0、D1、D2、T0、T1、T2、T3、Q0、Q1、Q2、Q3、及びQ4の各成分の比率を確認することによって算出できる。ここで、Mは、O原子と結合している結合手の数が1つであるSi原子、DはO原子と結合している結合手の数が2つであるSi原子、TはO原子と結合している結合手の数が3つであるSi原子、QはO原子と結合している結合手の数が4つであるSi原子を意味し、0〜4の数字は、Si原子が関与しているSi−O−Si結合の数を意味する。例えば、D1成分とは、O原子と結合している結合手の数が2つであるSi原子のうち、1個のSi−O−Si結合に関与しているSi原子を有する成分を意味する。
シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)の縮合率は、29SiNMRの各ケイ素ピークの面積比より、下記のように算出できる。
例えば、D1成分のピーク面積を(D1)と表す。
縮合したケイ素面積:
{(M1)+(D1)+(D2)×2+(T1)+(T2)×2+(T3)×3+(Q1)+(Q2)×2+(Q3)×3+(Q4)×4}
全ケイ素面積:
{(M0)+(M1)}+{(D0)+(D1)+(D2)}×2+{(T0)+(T1)+(T2)+(T3)}×3+{(Q0)+(Q1)+(Q2)+(Q3)+(Q4)}×4
縮合率(%)=(縮合したケイ素面積)/(全ケイ素面積)×100
シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)の質量平均分子量は、好ましくは1,000以上200,000以下の範囲、より好ましくは1,000以上100,000以下である。質量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で、標準ポリメチルメタクリレート換算により求めることができる。シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)の質量平均分子量が1,000以上の場合、硬化物を高耐熱性にし、さらにシリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)のポットライフが長くなる。シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)の質量平均分子量が200,000以下の場合、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)の粘度を低くすることができるため、型充填性が向上し、形状転写性が向上する。
[シリコーン樹脂(B)]
シリコーン樹脂(B)は、シリカ粒子を本質的に含まないシリコーン樹脂であり、任意のシラン化合物の加水分解縮合物である。感光性シリコーン樹脂組成物がシリコーン樹脂(B)を含むことは、耐クラック性(特に厚膜での耐クラック性)の向上を可能にする。好ましい態様において、シリコーン樹脂(B)は光重合性官能基を有する。本発明において用いるシリコーン樹脂(B)は、シリコーン樹脂の特徴である高い透明性を有しており、かつシロキサン骨格と有機成分とを含むため硬化成型物のクラック耐性を向上させることができる。シリコーン樹脂(B)は、前述のシリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)の製造時に副生する、シリカ粒子が導入されていないシリコーンであってもよく、又は、シリコーン樹脂(B)を個別に合成し、感光性シリコーン樹脂組成物に配合してもよい。耐クラック性(特に厚膜での耐クラック性)向上の観点から、好ましい態様においては、シリコーン樹脂(B)を、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)の製造とは別に製造し、これらの生成物をブレンドする。
シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)とシリコーン樹脂(B)との合計100質量%中のシリコーン樹脂(B)の割合は、耐クラック性向上の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上であり、硬化成型物の硬度の向上、及び耐光性の向上の観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下である。上記割合は、1HNMR及び29SiNMRの測定により算出される。
好ましい態様において、シリコーン樹脂(B)は、前述したポリシロキサン化合物(a)と同じ樹脂である。この場合、シリコーン樹脂(B)は、下記一般式(1):
R1 n1SiX1 4-n1 (1)
{式中、R1は、水素原子;又は炭素数1〜20の有機基;であり、n1は、0〜3の整数であり、X1は、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基であり、複数存在する場合のR1、n1及びX1は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。}で表される1種類以上のシラン化合物又はその縮合物を、加水分解し(但し、該成分がシラノール基を有する場合は加水分解は必須ではない)、次いで縮合して得られる。
一般式(1)中のR1としては、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)におけるポリシロキサン化合物(a)に関して前述したものと同様のものを挙げることができ、複数存在する場合のR1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(1)中のn1は0〜3の整数である。
X1は、それぞれ独立に、水酸基、並びに加水分解可能な置換基であるハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれ、具体的には、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)においてポリシロキサン化合物(a)に関して前述したものと同様のものを挙げられるが、特に塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、及びアセトキシ基は、シリコーン樹脂(B)の合成時の縮合反応の反応性が高いため好ましい。複数存在する場合のX1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(1)で表されるシラン化合物としては、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)においてポリシロキサン化合物(a)に関して前述したものと同様のものを使用することができる。
上記一般式(1)で表されるシラン化合物は、単独で使用しても構わないが、硬化前の流動性のコントロール、及び屈折率、硬度等のコントロールが可能になるため、複数のシラン化合物を使用することが好ましい。
複数のシラン化合物を使用する際は、上記一般式(1)で表されるシラン化合物の内、n1の値が異なる2種類以上のシラン化合物を使用することは、合成時の反応性の観点から好ましい。更に上記一般式(1)で表されるシラン化合物の内、n1が1であるシラン化合物を使用することは、分子量増加の観点から好ましい。上記一般式(1)で表されるシラン化合物の内、n1が1であるシラン化合物とn1が2であるシラン化合物とを併せて使用することが、硬化成型物の硬化後の耐クラック性の観点から、好ましい。
以下、上記一般式(1)で表されるシラン化合物を用いる場合を例として、シリコーン樹脂(B)の製造について説明するが、本発明はこれに限定するものではない。
シリコーン樹脂(B)は、上記一般式(1)で表される1種類以上のシラン化合物及び/又はその縮合物に、水を添加することによって製造することが好ましい。水の添加量としては、上記一般式(1)で表されるシラン化合物中のX1の合計モル数に対して0.1当量〜10当量(モル基準)の範囲が好ましく、より好ましくは0.4当量〜8当量の範囲である。水の添加量が0.1当量以上であると、シリコーン樹脂(B)の分子量が上がるため好ましく、10当量以下であることは、縮合反応により得られるシリコーン樹脂(B)の溶液のポットライフを長くする観点から好ましい。重縮合に用いる上記一般式(1)で表されるシラン化合物のX1が全て水酸基である場合、水を加えず縮合させてもよい。
シリコーン樹脂(B)を触媒の存在下での縮合反応により製造する場合、加水分解及び縮合の速度が速くなるため好ましい。
触媒の種類としては、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)においてポリシロキサン化合物(a)を製造するために用いるものと同様のものを使用することができる。触媒は、1種で又は2種以上を混合して用いることができる。また、使用される触媒の量が、シリコーン樹脂(B)を製造する際の反応系のpHを0.01〜6.9の範囲に調整する量であることが、シリコーン樹脂(B)の重量平均分子量を良好に制御できるため、好ましい。またシリコーン樹脂(B)の製造後、酸又は塩基でpHの調整を行っても構わない。
シリコーン樹脂(B)を製造するための縮合反応は、有機溶媒中で行うことができる。縮合反応に使用できる有機溶媒としては、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)におけるポリシロキサン化合物(a)を製造するために用いるものと同様のものを使用することができる。
溶媒は単独で使用してもよいし、複数の溶媒を組み合わせて使用しても構わない。また、溶媒を用いずにバルク中で反応を行ってもよい。
シリコーン樹脂(B)を製造する際の反応温度は、特に制限は無いが、好ましくは−50℃以上200℃以下、より好ましくは0℃以上150℃以下の範囲である。上記の範囲で反応を行うことにより、シリコーン樹脂(B)の分子量を良好に制御することができる。
また、シリコーン樹脂(B)はチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ゲルマニウム、ホウ素、リン、窒素、炭素、ガリウム、クロム等の酸化物を形成する元素を含んでもよい。
シリコーン樹脂(B)を製造する際に、一般式(1)で表されるシラン化合物としてX1がハロゲン原子であるシラン化合物を用いる際の反応には、縮合速度の観点から、有機塩基を、触媒として、又はケイ素化合物の捕捉剤として用いることが好ましい。
有機塩基としては、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)におけるポリシロキサン化合物(a)を製造するのに用いるものと同様のものを使用することができる。有機塩基は、1種で又は2種以上を混合して使用できる。
有機塩基の使用量は、X1がハロゲン原子であるシラン化合物のモル当量に対して、0.1倍以上20倍当量以下であることが、シリル化反応の進行し易さの観点から好ましく、0.5倍以上10倍当量以下であることがより好ましい。有機塩基はハロゲン化シランの捕捉剤となり、副生塩が生じる。
X1がハロゲン原子であるシラン化合物を用いる際の反応温度は、特に制限は無いが、好ましくは−78℃以上200℃以下、より好ましくは−20℃以上150℃以下の範囲である。
X1がハロゲン原子であるシラン化合物を用いる際の反応後は、水洗、抽出、析出、イオン交換、ろ過等の方法で、発生した塩酸塩、及び反応系中の有機塩基を除去、精製することが好ましい。これらの方法により、シリコーン樹脂(B)のpHを6以上8以下に調整することが好ましい。pHが上記範囲内であると、本発明の感光性シリコーン樹脂組成物のポットライフが長くなるため好ましい。
シリコーン樹脂(B)の縮合反応の際に使用される水は、上記から選ばれる溶媒を加えた後に、例えば、蒸留等の方法によって取り除き、縮合反応物中の水分を1質量%以下にすることが好ましい。この場合、縮合反応物を硬化させる際に、重量の低下が少なく、収縮が低減され、クラックが入り難くなるため好ましい。水分の含有量は、例えば、ガスクロマトグラム又はカールフィッシャー法で測定できる。
また、シリコーン樹脂(B)中に含まれる溶媒は、1質量%以下であることが好ましい。この場合、感光性シリコーン樹脂組成物を硬化させる際に、重量の低下が小さく、収縮が低減され、クラックが入り難くなるため好ましい。溶媒の含有量は、例えば、ガスクロマトグラムを用いて測定できる。
シリコーン樹脂(B)の縮合反応物縮合率は、縮合構造形成による高硬度化及びタック性低減の効果を良好に得る観点から、40mol%以上100mol%以下であることが好ましく、より好ましくは50mol%以上100mol%以下、さらに好ましくは60mol%以上100mol%以下である。
シリコーン樹脂(B)の質量平均分子量は、好ましくは1,000以上200,000以下の範囲、より好ましくは1,000以上100,000以下である。シリコーン樹脂(B)の質量平均分子量が1,000以上の場合、硬化物を高耐熱性にし、さらにシリコーン樹脂(B)のポットライフが長くなり、質量平均分子量が200,000以下の場合、シリコーン樹脂(B)の粘度を低くすることができるため、型充填性が向上し、形状転写性が向上する。
(光重合性官能基)
シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)の少なくとも一方は光重合性官能基を有する。本明細書中で光重合性官能基とは、光を照射することで重合することができる官能基であり、光重合開始剤(C)の存在下、光照射による重合反応が一種類の官能基で起こるものも、2種類以上の官能基を組み合わせることではじめて重合が起こるものも含む。光重合の種類としては、ラジカル重合、カチオン重合及びエンチオール反応による付加反応が挙げられる。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、グリシジル基、オキセタン、ビニルエーテル、メルカプト基、スチリル基、ノルボルネイル基、ビニル基、アリル基、及びその他の不飽和炭素結合を有する基が挙げられる。これらの各種の炭化水素含有基の水素原子又は主鎖骨格の一部が、炭化水素基、エーテル結合、エステル基(又は結合)、水酸基、チオエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、カルボン酸無水物結合、チオエーテル結合、スルホン基、アルデヒド基、アミノ基、置換アミノ基、アミド基(又は結合)、イミド基(又は結合)、イミノ基、ウレア基(又は結合)、ウレタン基(又は結合)、イソシアネート基、シアノ基等の極性基(又は極性結合);フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;等から選ばれる置換基で部分置換されたものでもよい。
光重合性官能基は、光ラジカル重合性官能基であることが好ましい。光ラジカル重合性官能基の好ましい例は、(メタ)アクリロイル基、及びスチリル基である。
中でもシリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及び/又はシリコーン樹脂(B)中の光重合性官能基は、合成時の反応性の観点から、好ましくは(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ノルボルネイル基、エポキシ基、及びメルカプト基から選ばれる1種類以上であり、硬化性の観点から、より好ましくは(メタ)アクリロイル基及び/又はスチリル基である。光重合の種類としては硬化性の観点からラジカル重合が好ましい。
本発明においては、光重合性官能基は、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)中のシリカ粒子(b)表面に縮合反応によって修飾して形成してもよいし、シリコーン分子が有しもよい。後者の場合、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)を構成するための縮合成分としてのポリシロキサン化合物(a)、若しくはシリコーン樹脂(B)としてのポリシロキサン化合物(a)、又はこれらの両者が光重合性官能基を有することができる。耐クラック性の観点から、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)中の成分としてのポリシロキサン化合物(a)及び/又はシリコーン樹脂(B)が光重合性官能基を含有することが好ましい。
特に、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及び/又はシリコーン樹脂(B)が、上記一般式(1)で表されるシラン化合物のうちラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合を含有するシラン化合物の縮合物であり、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)中のポリシロキサン化合物(a)及びシリコーン樹脂(B)に含まれる該ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合の数が、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)中のポリシロキサン化合物(a)及びシリコーン樹脂(B)に含まれる全ケイ素原子数の5mol%以上80mol%以下であることが好ましく、10mol%以上70mol%以下であることがより好ましく、15mol%以上50mol%以下であることがさらに好ましい。上記割合を5mol%以上にすることで、硬化物を高硬度にすることができ、80mol%以下にすることで、硬化物を高耐熱性、高耐光性、及び低収縮性にすることができる。
上記割合は、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)の反応成分のモル比から算出することができ、反応に使用した原料のモル比と、溶液又は固体での1HNMR分析及び29SiNMR分析によって算出することができる。
[光重合開始剤(C)]
本発明に係る感光性シリコーン樹脂組成物には、感光性を付与する目的で、光重合開始剤(C)を配合する。光重合開始剤(C)を添加することにより感光性シリコーン樹脂組成物の光重合、好ましくは光ラジカル重合及び/又は光カチオン重合を進行させることができる。好ましい光重合開始剤(C)としては、波長365nmの光に吸収を持つ以下の化合物が挙げられる。
(光ラジカル重合開始剤)
(1)ベンゾフェノン誘導体:例えば、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、
(2)アセトフェノン誘導体:例えば、トリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、フェニルグリオキシル酸メチル、(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン)(BASF株式会社製IRGACURE(登録商標)127)、
(3)チオキサントン誘導体:例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、
(4)ベンジル誘導体:例えば、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、
(5)ベンゾイン誘導体:例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1フェニルプロパン−1−オン、
(6)オキシム系化合物:例えば、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)](BASF株式会社製IRGACURE(登録商標) OXE01)、エタノン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−、1−(O−アセチルオキシム)(BASF株式会社製IRGACURE(登録商標) OXE02)、
(7)α−ヒドロキシケトン系化合物:例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン、
(8)α−アミノアルキルフェノン系化合物:例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(BASF株式会社製IRGACURE(登録商標)369)、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン、
(9)フォスフィンオキサイド系化合物:例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(BASF株式会社製LUCIRIN(登録商標) TPO)、
(10)チタノセン化合物:例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、
(11)ベンゾエイト誘導体:例えば、エチル−p−(N,N−ジメチルアミノベンゾエイト)、
(12)アクリジン誘導体:例えば、9−フェニルアクリジン。
(光カチオン重合開始剤)
陰イオンとして、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、SbCl6 2-、BF4−、SnCl6 -、FeCl4 -、BiCl5 2-等を持つアリールジアゾニウム塩が挙げられる。また、陰イオンとして、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、SbCl6 2-、BF4 -、ClO4 -、CF3SO3 -、FSO3 -、F2PO2 -、B(C6F5)4 -等を持つジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールセレノニウム塩を用いることができる。さらに、陰イオンとして、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -等を持つジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアルキル−4−ヒドロキシフェニルスルフォニウム塩、α−ヒドロキシメチルベンゾインスルホン酸エステル、N−ヒドロキシイミドスルホネート、α−スルホニロキシケトン、β−スルホニロキシケトン等のスルホン酸エステル、鉄のアレン化合物、シラノール−アルミニウム錯体、o−ニトロベンジル−トリフェニルシリルエーテル等が挙げられる。PF6 -,AsF6 -を持つアリールジアゾニウム塩も挙げられる。
市販品としては、例えば、SP−150、SP−152、SP−170、SP−172(株式会社ADEKA製のオプトマー)が挙げられる。
上記した光ラジカル開始剤の中では、高感度の点で、上記(2)アセトフェノン誘導体、上記(8)α−アミノアルキルフェノン系化合物、及び上記(9)フォスフィンオキサイド系化合物が好ましい。さらに、成型物の高透明性及び高感度の点で、上記(9)フォスフィンオキサイド系化合物、中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(BASF株式会社製LUCIRIN(登録商標) TPO)が好ましい。
上記した光カチオン開始剤の中では、ポリシロキサン化合物(a)との相溶性の観点からヨードニウム塩タイプの開始剤が特に好ましい。ヨードニウム塩タイプの開始剤は、例えば、下記構造式で示されるヨードニウム{4−{2メチルプロピル}フェニル}}{4−メチルフェニルヘキサフルオロフォスフェイト}(BASF株式会社製、IRGACURE(登録商標)250)として入手可能である。
光ラジカル重合開始剤、及び光カチオン重合開始剤は、それぞれ、単独で用いても複数を混合して使用してもよく、また、光ラジカル開始剤と光カチオン開始剤とを併用してもよいが、光ラジカル開始剤の方が硬化性の観点で好ましい。
好ましい態様においては、光重合開始剤(C)が光ラジカル重合開始剤であり、かつシリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)、シリコーン樹脂(B)及び後述の化合物(D)の少なくともいずれかが有する光重合性官能基が、前述したような光ラジカル重合性官能基である。
また、光重合開始助剤、鋭感剤、及び/又は熱ラジカル開始剤をさらに併用してもよく、熱ラジカル開始剤としては、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、ジアシルパーオキサイド系、パーオキシジカーボネート系、パーオキシエステル系等の各種有機過酸化物を用いることができる。
光重合開始剤(C)の量としては、他の添加剤成分量に依存するが、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)の合計100質量部に対して、0.01質量部以上50質量部以下が好ましく、0.05質量部以上10質量部以下がより好ましく、0.1質量部以上5質量部以下がさらに好ましい。0.01質量部以上であると露光に際して、光重合が充分に進行するだけの活性種が供給され、露光部の硬化が十分に進行するので、実用的な硬化成型物を得ることができ、50質量部以下であると、塗膜表面付近での露光吸収が大きくなり過ぎず、基板面付近まで露光光線が到達し、光重合が膜厚方向で均一となるため、実用的な硬化成型物を得ることができ、また光硬化後又は熱によるベーク後の着色が少ない。
[分子内に光重合性官能基を有する化合物(D)]
本発明に係る感光性シリコーン樹脂組成物には、屈折率の向上、硬化性の向上、密着性の向上、硬化成型物の柔軟性の向上、及び感光性樹脂組成物の低粘度化によるハンドリング性向上を含む優れた特性を有する感光性樹脂組成物を提供する目的のために、分子内に光重合性官能基を有し、かつシリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)とは異なる化合物(D)を、配合することが好ましい。化合物(D)は、単独で又は2種以上の混合物として使用してもよい。
化合物(D)中の光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、グリシジル基、オキセタン、ビニルエーテル、メルカプト基、スチリル基、ノルボルネイル基、ビニル基、アリル基、及びその他の不飽和炭素結合を有する基が挙げられ、これらの各種の炭化水素含有基の水素原子又は主鎖骨格の一部が、炭化水素基、エーテル結合、エステル基(又は結合)、水酸基、チオエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、カルボン酸無水物結合、チオエーテル結合、スルホン基、アルデヒド基、アミノ基、置換アミノ基、アミド基(又は結合)、イミド基(又は結合)、イミノ基、ウレア基(又は結合)、ウレタン基(又は結合)、イソシアネート基、シアノ基等の極性基(又は極性結合);フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;等から選ばれる置換基で部分置換されたものが挙げられる。硬化性の観点からは(メタ)アクリロイル基及び/又はスチリル基がより好ましく、硬化時の低収縮性の観点からはエポキシ基及び/又はメルカプト基がより好ましく、化合物の種類が多いことによる粘度及び屈折率の調整容易性の観点から、(メタ)アクリロイル基がさらに好ましい。
分子内に(メタ)アクリロイル基を有する化合物の例として、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−エチルヒドロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2−エチル,2−ブチル−プロパンジオール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、
オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ECH変性フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、パラフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラフェニルフェニル(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、3〜15モルのエチレンオキサイドで変性させたフェノール(メタ)アクリレート、1〜15モルのエチレンオキサイドで変性させたクレゾール(メタ)アクリレート、1〜20モルのエチレンオキサイドで変性させたノニルフェノール(メタ)アクリレート、1〜15モルのプロピレンオキサイドで変性させたノニルフェノール(メタ)アクリレート、1〜30モルのエチレングリコール鎖を含むジ(メタ)アクリレート、1〜30モルのプロピレングリコール鎖を含むジ(メタ)アクリレート、1〜30モルのエチレンオキサイドで変性させたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1〜30モルのプロピレンオキサイドで変性させたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1〜30モルのエチレンオキサイドで変性させたビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、及び1〜30モルのプロピレンオキサイドで変性させたビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1〜15モルのプロピレンオキサイドで変性させたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1〜20モルのエチレンオキサイドで変性させたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1〜20モルのエチレンオキサイドで変性させたペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1〜20モルのエチレンオキサイドで変性させたグリセリルトリ(メタ)アクリレート、1〜20モルのプロピレンオキサイドで変性させたグリセリルトリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチル化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、1モルのアルキル基で変性させたジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、2モルのアルキル基で変性させたジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、3モルのアルキル基で変性させたジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジメチロールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
化合物(D)の添加量、特に好ましくは分子内に(メタ)アクリロイル基を有する化合物の添加量は、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)の合計100質量部に対して0質量部以上900質量部以下であることが好ましく、5質量部以上300質量部以下であることがより好ましい。化合物(D)、特に好ましくは分子内に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)へ添加することにより、温度衝撃によるクラックを防ぐことができる。化合物(D)、特に好ましくは分子内に(メタ)アクリロイル基を有する化合物の添加量がシリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)の合計100質量部に対して900質量部以下であれば、硬化成型物は、より優れた高屈折率、高透過性、及び高耐熱性を有することができる。
感光性シリコーン樹脂組成物が、上記化合物(D)として、炭素環及び複素環からなる群から選ばれる1種類以上の環を分子内に1つ以上有する化合物を含むことは、屈折率の維持、アッベ数の向上、収縮率の低下、及び硬化成型物の硬度向上等の観点から好ましい。
炭素環及び/又は複素環を有する化合物の例として、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−エチルヒドロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、ベンジル(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ECH変性フェノキシ(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、パラフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラフェニルフェニル(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、3〜15モルのエチレンオキサイドで変性させたフェノール(メタ)アクリレート、1〜15モルのエチレンオキサイドで変性させたクレゾール(メタ)アクリレート、1〜20モルのエチレンオキサイドで変性させたノニルフェノール(メタ)アクリレート、1〜15モルのプロピレンオキサイドで変性させたノニルフェノール(メタ)アクリレート、1〜30モルのエチレンオキサイドで変性させたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1〜30モルのプロピレンオキサイドで変性させたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1〜30モルのエチレンオキサイドで変性させたビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、及び1〜30モルのプロピレンオキサイドで変性させたビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジメチロールジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、イミド(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中でも、屈折率、及びアッベ数の向上、及び入手性の観点から、炭素環及び/又は複素環を有する(メタ)アクリレート化合物としては、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1つの化合物であることが好ましい。
また、化合物(D)として反応性オリゴマーを添加してもよく、反応性オリゴマーとしては、不飽和ポリエステル、ポリエン/チオール、ポリブタジエン、ポリスチリルエチルメタクリレート等が挙げられる。これらの反応性オリゴマーには単官能不飽和化合物及び多官能不飽和化合物が含まれるが、単官能不飽和化合物及び多官能不飽和化合物のどちらを用いてもよいし、複数の化合物を混合して使用しても構わない。上記反応性オリゴマーを添加する場合の添加量は、他の添加剤成分量に依存するが、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)の合計100質量部に対して、0質量部以上900質量部以下が好ましく、900質量部以下であれば、硬化成型物は、より高屈折率、高透過性、及び高耐熱性を有することができる。
本発明の感光性シリコーン樹脂組成物には、各種支持基材との接着性を向上させる目的で、化合物(D)として接着補助剤を添加してもよい。接着補助剤としては、シランカップリング剤が挙げられる、より具体的には、例えば、ケイ素原子に直接結合した水素原子を含有するアルコキシシラン、エポキシ基及び/又はチオール基を含有するアルコキシシラン、ビニル基等の不飽和結合を含有するアルコキシシラン等の有機アルコキシシラン化合物、並びに、これらの有機アルコキシシラン化合物の一部又は全てのアルコキシシランが加水分解された化合物、及びその縮合物が挙げられる。例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3ジメチル−ブチリデン)、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(p−ビニルベンジル)−N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン塩酸塩、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記シランカップリング剤の添加量は、他の添加剤成分量に依存するが、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)の合計100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下が好ましく、0.05質量部以上5質量部以下がより好ましい。シランカップリング剤の添加量は、接着性が向上する観点から、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)の合計100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、保存安定性の観点から10質量部以下が好ましい。
感光性シリコーン樹脂組成物の光重合性官能基当量は、クラック耐性の観点から0.5mmol/g以上であることが好ましく、1.0mmol/g以上であることがより好ましく、1.2mmol/g以上であることがさらに好ましい。また、感光性シリコーン樹脂組成物の光重合性官能基当量は、光照射による硬化時の体積収縮の観点から4.5mmol/g以下であることが好ましく、4.0mmol/g以下であることがより好ましく、3.5mmol/g以下であることがさらに好ましい。
ここで光重合性官能基当量は、感光性シリコーン樹脂組成物1gあたりの光重合性官能基当量のモル数であり、光重合性官能基はシリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)、シリコーン樹脂(B)及び化合物(D)に由来するものである。シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)に由来する光重合性官能基当量は、それぞれシリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)を製造する際に用いた原料中の光重合性官能基のモル量を、それぞれ得られたシリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)の重量で割ることで算出できる。化合物(D)に由来する光重合性官能基当量は分子中の光重合性官能基数を分子量で割ることによって算出できる。シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)の光重合性官能基当量をそれぞれX(A)及びX(B)、化合物(D)の光重合性官能基当量をX(D)とし、感光性シリコーン樹脂組成物中のシリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)の重量比をそれぞれY(A)及びY(B)、化合物(D)の重量比をY(D)としたとき、感光性シリコーン樹脂組成物中の光重合性官能基当量はX(A)×Y(A)+X(B)×Y(B)+X(C)×Y(C)で算出できる。
[酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤(E)]
本発明に係る感光性シリコーン樹脂組成物には、耐熱性及び耐光性を向上させる観点から、酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤(E)を含有してもよい。酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤(E)としては、例えば、以下の物質を挙げることができる。
(1)ヒンダードフェノール系酸化防止剤:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N´−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−C9側鎖アルキルエステル、3,3´,3´´,5,5´,5´´−ヘキサ−tert−ブチル−a,a´,a´´−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、4,6−ビス(ドデシルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、N−フェニルベンゼンアミンと2,4,4−トリメチルペンテンとの反応性生物、2,4,6−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、
(2)リン系熱安定剤:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸
(3)イオウ系熱安定剤:ジドデシル3,3´−チオジプロピオネート、ジオクタデシル3,3´−チオジプロピオネート
(4)ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2,2´−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール
(5)シアノアクリレート系紫外線吸収剤:2,2−ビス{[2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル]メチル}プロパン−1,3−ジイル=ビス(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリラート)、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル
(6)トリアジン系紫外線吸収剤:2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール
(7)ベンゾフェノン系紫外線吸収剤:オクタベンゾン、2,2´−ジヒドロキシ−4,4´−ジメトキシベンフェノン、2,2´−4,4´−テトラヒドロベンフェノン
(8)ヒンダードアミン系光熱安定剤:ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N´−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、オレフィン(C20−C24)・無水マレイン酸・4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン共重合物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジン)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N´−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N´−ジホルミルヘキサメチレンジアミン
(9)その他熱安定剤:3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−ベンゾピラン−6−オール、2´,3−ビス[[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニル]]プロピオノヒドラジド
(10)その他紫外線吸収剤:2−エチルヘキシル−4−メトキシシンナマート、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート。
酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤(E)としては、感光性シリコーン樹脂組成物への溶解性の観点から、上記(1)ヒンダードフェノール系酸化防止剤及び(7)ヒンダードアミン系光熱安定剤がより好ましく、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](BASF株式会社社製IRGANOX(登録商標) 245)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF株式会社社製IRGANOX(登録商標) 1010)及びオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF株式会社社製IRGANOX(登録商標) 1076)がさらに好ましい。
酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤(E)は、単独で使用しても、複数を合わせて使用してもよい。
酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤(E)の量は、他の添加剤成分量に依存するが、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)の合計100質量部に対して、0質量部以上50質量部以下が好ましく、0質量部を超えて5質量部以下がより好ましく、0.1質量部以上2質量部以下がさらに好ましい。酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤(E)を加えることで、窒素雰囲気下での熱安定性に加え、空気雰囲気下での熱安定性も向上させることができる。感光性シリコーン樹脂組成物のハンドリングの観点から、上記量は50質量部以下であることが好ましい。
本発明の感光性シリコーン樹脂組成物は、前記した(A)〜(E)成分に加えて、無機フィラーをさらに含有してもよい。無機フィラーは、光透過性への悪影響を避けるため、目的の用途において使用する波長以下の平均粒子径を有するものが好ましく、平均粒子径は、好ましくは100nm以下である。無機フィラーは、樹脂において、例えば機械的物性を改善する場合及び熱伝導性を向上させる場合がある。無機フィラーの平均粒子径の下限は特に限定はないが、樹脂組成物の粘度が低く良好な成型性を有するため、0.1nm以上であることが好ましい。尚、上記平均粒子径は、BETの比表面積から計算で求められる値である。無機フィラーの添加量は、目的に応じて選択でき、他の添加剤成分量に依存するが、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)の合計100質量部に対して、例えば、1〜60質量部、より好ましくは5〜60質量部、さらに好ましくは5〜40質量部である。
また、本発明の感光性シリコーン樹脂組成物には、前記した(A)〜(E)成分に加えて、さらに溶媒を添加して粘度を調整することもできる。好適な溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、ピリジン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、PGMEA、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アニソール、酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等が挙げられ、これらは単独で又は二種以上の組合せで用いることができる。これらの中でも、N−メチル−2−ピロリドンやγ−ブチロラクトン、PGMEAが、特に好ましい。これらの溶媒は、塗布膜厚、粘度に応じて、感光性シリコーン樹脂組成物に適宜加えることができるが、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)の合計100質量部に対して、0〜900質量部の範囲で用いることが好ましい。
本発明に係る感光性シリコーン樹脂組成物は、前記した(A)〜(E)成分に加えて、光感度向上のための増感剤をさらに含有することができる。増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)シクロペンタノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジメチルアミノベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、2−(4’−ジメチルアミノシンナミリデン)インダノン、2−(4’−ジメチルアミノベンジリデン)インダノン、2−(p−4’−ジメチルアミノビフェニル)ベンゾチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンジリデン)アセトン、1,3−ビス(4−ジエチルアミノベンジリデン)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン、4−モルホリノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、ベンズトリアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−シクロヘキシル−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、1−(tert−ブチル)−5−メルカプト−1,2,3,4−テトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−p)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等が挙げられる。
また、これらの化合物は、単独で又は2種以上の混合物として使用されうる。増感剤の添加量は、他の添加剤成分量に依存するが、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)の合計100質量部に対して0〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。
本発明に係る感光性シリコーン樹脂組成物は、前記した(A)〜(E)成分に加えて、保存時の粘度及び光感度の安定性を向上させる目的で、さらに重合禁止剤を含有することができる。重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミン、p−tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−p−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルフォプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N−(1−ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジtert−ブチル)フェニルメタン等を用いることができる。重合禁止剤の添加量は、他の添加剤成分量に依存するが、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)及びシリコーン樹脂(B)の合計100質量部に対して、0〜5質量部であることが好ましく、0.01〜1質量部であることがより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、前記した(A)〜(E)成分に加えて、さらに滑剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、核剤、着色剤、架橋剤、分散助剤、可塑剤、難燃剤等を含有することもできる。これらの材料は公知の方法、例えば、遠心分離等を用いて樹脂組成物及び任意の他の成分と混合し、得られた混合物を公知の方法、例えば、真空脱泡等で泡抜きすることが好ましい。
<感光性シリコーン樹脂組成物の製造>
本発明の感光性シリコーン樹脂組成物を得るためには、上記シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)、シリコーン樹脂(B)、及び光重合開始剤(C)、任意成分として、化合物(D)、並びに酸化防止剤及び/又は紫外線吸収剤(E)の一方又は両方、さらに任意に使用できるその他の成分を、ガラス容器、プラスチック容器等にいれていき、ウェブローター、マグネチックスターラー、モーター駆動の攪拌機及び攪拌羽等一般的に知られている攪拌器具を用いて均一に混合することができる。
混合時の温度としては20℃以上80℃以下が好ましい。20℃以上で均一に混合することができ、80℃以下で各混合成分の劣化を防ぐことができる。
<感光性シリコーン樹脂組成物の硬化方法>
本発明の感光性シリコーン樹脂組成物の硬化方法としては、200〜500nmの波長領域に主波長を有する光を照射させることが好ましく、300〜450nmの波長領域に主波長を有する光を照射させることがより好ましい。
本発明の感光性シリコーン樹脂組成物の硬化物としての成型体を得る方法として、例えば、任意のキャビティ形状を有し、ポリジメチルシロキサン、フッ素系透明樹脂、シクロオレフィン系透明樹脂、ガラス等の透明素材で構成された金型内に、樹脂組成物を注入し、200nm〜500nmの波長領域に主波長を有する光を照射して重合反応を行い、金型を外して成型体を得る方法、又は、例えば、ガラス、Si基板、若しくはシート上に公知の方法で樹脂組成物を塗布し、これに200nm〜500nmの波長領域に主波長を有する光を照射して重合反応させ、基板上の成型体又はシートの成型体を得ることができる。
200〜500nmの波長領域に主波長を有する光としては、キセノンフラッシュランプ、キセノンショートアークランプ、超高圧UVランプ、高圧UVランプ、DeepUVランプ、低圧UVランプ、KrCl又はXeClのエキシマランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。上記記載の200〜500nmの波長領域に主波長を有する光の照射時間に制限は無く、1秒〜20分程度の範囲の照射で本発明の感光性シリコーン樹脂組成物を硬化することができる。
光照射によって感光性シリコーン樹脂組成物を硬化させるには、光源と樹脂組成物との間を、200〜500nmの波長領域に主波長を有する光が透過することが必要であり、そのためには硬化に必要な光源の光を透過する透明媒体側(透明な樹脂型、プラスチックフィルム、ガラスウェハ、又は基材なし等)から、光を照射させることが必要である。型からの離型性向上には、型に離型剤を塗ること、又は型及び/若しくは感光性シリコーン樹脂組成物に、離型剤又は離型成分を含有させることが好ましい。また、基板と硬化物とを密着させる目的で基板に密着助剤を塗付してもかまわない。
前記の硬化反応の雰囲気は、型に充填された感光性シリコーン樹脂組成物を、プラスチックフィルム、ガラスウェハ、金属板等で覆うこと、又は不活性ガスの使用、減圧、加圧等によって制御可能であり、そのような雰囲気下で、上記記載の方法で硬化反応を行なうことができる。樹脂組成物の硬化反応時の雰囲気としては、酸素濃度を1体積%以下にすることが、硬化反応率の向上の点で好ましく、5000体積ppm以下がより好ましい。具体的には窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス等の不活性ガス等の雰囲気下、減圧下又は加圧下で行うことができる。これらのガスは、1種又は2種以上の混合ガスとして用いることができる。
200〜500nmの波長領域に主波長を有する光の照射後、130℃以上300℃以下でのベーク工程を設けてもよい。上記の範囲で加熱させることで、屈折率、透過率等の光学特性を安定させることができるため好ましい。加熱時間としては、特に制限は無いが、通常1分〜10時間程度の範囲が好ましい。
本発明の感光性シリコーン樹脂組成物の硬化物である成型体は、携帯電話、LED、車載等のプラスチックレンズ、レプリカ材、液晶ディスプレイ等のバックライト用光学シート、照明、各種センサー、プリンター、コピー機等に用いられる各種形状を有するプラスチックレンズ材料、表面被覆材等として好適に利用可能である。
本発明の感光性シリコーン樹脂組成物を使用したプラスチックレンズは、本発明の感光性シリコーン樹脂組成物を、レンズ形状を有する金属型又は樹脂型に充填した後に、あるいはロール又は板等に本発明の感光性シリコーン樹脂組成物を塗工後、上記記載の型を押し付け転写した後に、上記記載の200〜500nmの波長領域に主波長を有する光源を用いて、光を照射させ、硬化させた後、型より離型させて、得ることができる。本発明の感光性シリコーン樹脂組成物を使用して作製したプラスチックレンズは、携帯電話用、LED、車載用のレンズとして、最適に使用することができる。
本発明の感光性シリコーン樹脂組成物を使用したレプリカ材は、所望形状を有する金属型又は樹脂型へ本発明の感光性シリコーン樹脂組成物を充填し、上記記載の方法で、得ることができる。得られたレプリカ材は、高硬度という特徴を有し、必要に応じてさらにNi電鋳することで、耐久性を向上させることができる。形状としては、レンズ、ライン&スペース、円柱、円錐、角柱、角錐、ハニカム等を挙げることができ、用途や目的に応じて選択することができる。
本発明の感光性シリコーン樹脂組成物を使用した表面被覆材は、硬化物として高硬度である特徴を活かし、積層基材等の基材の表面又は内部に本発明の樹脂組成物を塗工後、硬化させることで、ハードコート用途で使用できる。他に、上記記載の形状を持つフィルム、シート、又は板の形状で使用することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<樹脂の合成及び感光性シリコーン樹脂組成物の調製>
[実施例1]
500mLのナス型フラスコに、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(以下、MEMOと略称する。)41.54g(0.167mol)、エタノール10gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水18.06g、10質量%塩酸0.004gを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、上記500mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、80℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液を得た。
500mLのナス型フラスコに、PL−1SL(扶桑化学工業製の平均一次粒子径12nm、20質量%濃度の水分散シリカ粒子)50.0g(シリカ粒子(b))、エタノール50gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液を、上記ナスフラスコへ20分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で80℃4時間還流させた。
還流後、さらにPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)60gを投入し、蒸留塔をセットし、エタノールと水を除去し、PGMEA溶液を得た。真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)であるポリマーA1を得た。
次に500mLのナス型フラスコに、MEMO55.38g(0.223mol)、エタノール10gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水24.08g、10質量%塩酸0.004gを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、上記500mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、80℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液を得た。
還流後、PGMEA60gを投入し、蒸留塔をセットし、エタノールと水を除去し、PGMEA溶液を得た。真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリコーン樹脂(B)であるポリマーB1を得た。
得られたポリマーA1 74.5質量%とポリマーB1 25.0質量%に光重合開始剤(C)として0.5質量%の2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(BASF株式会社製LUCIRIN(登録商標) TPO)を添加し、常温で溶解するまでウェブローターで攪拌し、感光性シリコーン樹脂組成物(P−1)を調製した。
[実施例2]
500mLのナス型フラスコに、MEMO39.55g(0.159mol)、エタノール10gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水17.20g、10質量%塩酸0.004gを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、上記500mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、80℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液を得た。
500mLのナス型フラスコに、PL−1SL(扶桑化学工業製の平均一次粒子径12nm、20質量%濃度の水分散シリカ粒子)50.0g(シリカ粒子(b))、エタノール50gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液を、上記ナスフラスコへ20分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で80℃4時間還流させた。還流後、PGMEA60gを投入し、蒸留塔をセットし、エタノールと水を除去し、PGMEA溶液を得た。
このPGMEA溶液に、さらにPGMEA15g、トルエン25g、ピリジン1.54g(0.019mol)を加えて混合し、攪拌しながらトリメチルクロロシラン(以下、TMCSと略称する)1.92g(0.018mol)を5分かけて滴下した。室温で3時間攪拌した後、得られた反応液に、水10gを加え攪拌し、アセトニトリル20gを加え抽出する操作を3回繰り返し、ポリマーを洗浄した。真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)であるポリマーA2を得た。
次に500mLのナス型フラスコに、MEMO52.74g(0.212mol)、エタノール10gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水22.93g、10質量%塩酸0.004gを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、上記500mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、80℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液を得た。
このポリマーに、PGMEA15g、トルエン25g、ピリジン2.05g(0.026mol)を加えて混合し、攪拌しながらTMCS 2.56g(0.024mol)を5分かけて滴下した。室温で3時間攪拌した後、得られた反応液に、水10gを加え攪拌し、アセトニトリル20gを加え抽出する操作を3回繰り返し、ポリマーを洗浄した。真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリコーン樹脂(B)であるポリマーB2を得た。
得られたポリマーA2 74.5質量%とポリマーB2 25.0質量%に光重合開始剤(C)として0.5質量%の2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドを添加し、常温で溶解するまでウェブローターで攪拌し、感光性シリコーン樹脂組成物(P−2)を調製した。
[実施例3]
500mLのナス型フラスコに、3−メタクリロキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン(以下、MEDMOと略称する。)27.60g(0.119mol)、メチルトリメトキシシラン(以下、MTMSと略称する。)60.80g(0.446mol)16.18g(0.119mol)、エタノール10gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水21.38g、10質量%塩酸0.004gを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、上記500mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、80℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液を得た。
500mLのナス型フラスコに、PL−1SL(扶桑化学工業製の平均一次粒子径12nm、20質量%濃度の水分散シリカ粒子)50.0g(シリカ粒子(b))、エタノール50gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液を、上記ナスフラスコへ20分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で80℃4時間還流させた。
還流後、さらにPGMEA60gを投入し、蒸留塔をセットし、エタノールと水を除去し、PGMEA溶液を得た。真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)であるポリマーA3を得た。
次に500mLのナス型フラスコに、MEDMO36.80g(0.158mol)、MTMS21.57g(0.158mol)、エタノール10gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水28.50g、10質量%塩酸0.004gを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、上記500mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、80℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液を得た。
還流後、PGMEA60gを投入し、蒸留塔をセットし、エタノールと水を除去し、PGMEA溶液を得た。真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリコーン樹脂(B)であるポリマーB3を得た。
得られたポリマーA3 74.5質量%とポリマーB3 25.0質量%に光重合開始剤(C)として0.5質量%の2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドを添加し、常温で溶解するまでウェブローターで攪拌し、感光性シリコーン樹脂組成物(P−3)を調製した。
[実施例4]
実施例3で得られたポリマーA3 49.5質量%とポリマーB3 25.0質量%に、化合物(D)としてトリシクロデカンジメタノールジアクリレートを25質量%、光重合開始剤(C)として0.5質量%の2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドを添加し、常温で溶解するまでウェブローターで攪拌し、感光性シリコーン樹脂組成物(P−4)を調製した。
[実施例5]
実施例3で得られたポリマーA3 49.25質量%とポリマーB3 25.0質量%に、化合物(D)としてトリシクロデカンジメタノールジアクリレートを25質量%、光重合開始剤(C)として0.5質量%の2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、安定剤(E)としての酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF株式会社社製IRGANOX(登録商標)1076)0.25質量%を添加し、常温で溶解するまでウェブローターで攪拌し、感光性シリコーン樹脂組成物(P−5)を調製した。
[実施例6]
500mLのナス型フラスコに、MEDMO 25.76g(0.111mol)、MTMS 15.10g(0.111mol)、エタノール10gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水19.96g、10質量%塩酸0.004gを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、上記500mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、80℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液を得た。
500mLのナス型フラスコに、PL−1SL(扶桑化学工業製の平均一次粒子径12nm、20質量%濃度の水分散シリカ粒子)50.0g(シリカ粒子(b))、エタノール50gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液を、上記ナスフラスコへ20分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で80℃4時間還流させた。還流後、PGMEA60gを投入し、蒸留塔をセットし、エタノールと水を除去し、PGMEA溶液を得た。
このPGMEA溶液に、さらにPGMEA15g、トルエン25g、ピリジン2.14g(0.027mol)を加えて混合し、攪拌しながらTMCS 2.67g(0.025mol)を5分かけて滴下した。室温で3時間攪拌した後、得られた反応液に、水10gを加え攪拌し、アセトニトリル20gを加え抽出する操作を3回繰り返し、ポリマーを洗浄した。真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)であるポリマーA4を得た。
次に500mLのナス型フラスコに、MEDMO 34.35g(0.148mol)、MTMS 20.13g(0.148mol)、エタノール10gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水26.61g、10質量%塩酸0.004gを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、上記500mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、80℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液を得た。
このポリマーに、PGMEA15g、トルエン25g、ピリジン2.86g(0.036mol)を加えて混合し、攪拌しながらTMCS 3.56g(0.033mol)を5分かけて滴下した。室温で3時間攪拌した後、得られた反応液に、水10gを加え攪拌し、アセトニトリル20gを加え抽出する操作を3回繰り返し、ポリマーを洗浄した。真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリコーン樹脂(B)であるポリマーB4を得た。
得られたポリマーA4 74.5質量%とポリマーB4 25.0質量%に、化合物(D)としてトリシクロデカンジメタノールジアクリレートを25質量%、光重合開始剤(C)として0.5質量%の2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、安定剤(E)としての酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.25質量%を添加し、常温で溶解するまでウェブローターで攪拌し、感光性シリコーン樹脂組成物(P−6)を調製した。
[実施例7]
実施例6で得られたポリマーA4 49.25質量%と実施例3で得られたポリマーB3 25.0質量%に、化合物(D)としてトリシクロデカンジメタノールジアクリレートを25質量%、光重合開始剤(C)として0.5質量%の2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、安定剤(E)としての酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.25質量%を添加し、常温で溶解するまでウェブローターで攪拌し、感光性シリコーン樹脂組成物(P−7)を調製した。
[実施例8]
500mLのナス型フラスコに、MEDMO5.88g(0.025mol)、MEMO.54g(0.030mol)、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(以下、CyMDMSと略称する)6.67g(0.035mol)、エタノール10gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水7.65g、10質量%塩酸0.004gを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、上記500mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、80℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液を得た。
500mLのナス型フラスコに、PL−1SL(扶桑化学工業製の平均一次粒子径12nm、20質量%濃度の水分散シリカ粒子)120.0g(シリカ粒子(b))、エタノール50gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液を、上記ナスフラスコへ20分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で80℃4時間還流させた。還流後、PGMEA60gを投入し、蒸留塔をセットし、エタノールと水を除去し、PGMEA溶液を得た。
このPGMEA溶液に、さらにPGMEA15g、トルエン25g、ピリジン0.88g(0.011mol)を加えて混合し、攪拌しながらTMCS1.10g(0.010mol)を5分かけて滴下した。室温で3時間攪拌した後、得られた反応液に、水10gを加え攪拌し、アセトニトリル20gを加え抽出する操作を3回繰り返し、ポリマーを洗浄した。真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)であるポリマーA5を得た。
得られたポリマーA5 74.5質量%と実施例3で得られたポリマーB3 25.0質量%に、化合物(D)としてトリシクロデカンジメタノールジアクリレートを25質量%、光重合開始剤(C)として0.5質量%の2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、安定剤(E)としての酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート 0.25質量%を添加し、常温で溶解するまでウェブローターで攪拌し、感光性シリコーン樹脂組成物(P−8)を調製した。
[実施例9]
500mLのナス型フラスコに、MEDMO14.40g(0.062mol)、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 14.52g(0.062mol)、MTMS4.20g(0.031mol)、エタノール10gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水14.50g、10質量%塩酸0.004gを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、上記500mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、80℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液を得た。
500mLのナス型フラスコに、PL−1SL(扶桑化学工業製の平均一次粒子径12nm、20質量%濃度の水分散シリカ粒子)60.0g(シリカ粒子(b))、エタノール50gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液を、上記ナスフラスコへ20分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で80℃4時間還流させた。還流後、PGMEA60gを投入し、蒸留塔をセットし、エタノールと水を除去し、PGMEA溶液を得た。
このPGMEA溶液に、さらにPGMEA15g、トルエン25g、ピリジン4.49g(0.057mol)を加えて混合し、攪拌しながらTMCS5.60g(0.052mol)を5分かけて滴下した。室温で3時間攪拌した後、得られた反応液に、水10gを加え攪拌し、アセトニトリル20gを加え抽出する操作を3回繰り返し、ポリマーを洗浄した。真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)であるポリマーA6を得た。
得られたポリマーA6 74.5質量%と実施例3で得られたポリマーB3 25.0質量%に、化合物(D)としてトリシクロデカンジメタノールジアクリレートを25質量%、光重合開始剤(C)として0.5質量%の2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、安定剤(E)としての酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート 0.25質量%を添加し、常温で溶解するまでウェブローターで攪拌し、感光性シリコーン樹脂組成物(P−9)を調製した。
[実施例10]
500mLのナス型フラスコに、MEDMO14.74g(0.063mol)、p−スチリルトリメトキシシラン 14.21g(0.063mol)、MTMS 4.32g(0.032mol)、エタノール10gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水14.84g、10質量%塩酸0.004gを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、上記500mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、80℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液を得た。
500mLのナス型フラスコに、PL−1SL(扶桑化学工業製の平均一次粒子径12nm、20質量%濃度の水分散シリカ粒子)60.0g(シリカ粒子(b))、エタノール50gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液を、上記ナスフラスコへ20分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で80℃4時間還流させた。還流後、PGMEA60gを投入し、蒸留塔をセットし、エタノールと水を除去し、PGMEA溶液を得た。
このPGMEA溶液に、さらにPGMEA15g、トルエン25g、ピリジン4.60g(0.058mol)を加えて混合し、攪拌しながらTMCS5.73g(0.053mol)を5分かけて滴下した。室温で3時間攪拌した後、得られた反応液に、水10gを加え攪拌し、アセトニトリル20gを加え抽出する操作を3回繰り返し、ポリマーを洗浄した。真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)であるポリマーA7を得た。
得られたポリマーA7 74.5質量%と実施例3で得られたポリマーB3 25.0質量%に、化合物(D)としてトリシクロデカンジメタノールジアクリレートを25質量%、光重合開始剤(C)として0.5質量%の2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、安定剤(E)としての酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート 0.25質量%を添加し、常温で溶解するまでウェブローターで攪拌し、感光性シリコーン樹脂組成物(P−10)を調製した。
[比較例1]
実施例3で得られたポリマーB3 99.5質量%に、光重合開始剤(C)として0.5質量%の2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドを添加し、常温で溶解するまでウェブローターで攪拌し、感光性シリコーン樹脂組成物(P−11)を調製した。
[比較例2]
実施例3で得られたポリマーB3 74.5質量%に、化合物(D)としてトリシクロデカンジメタノールジアクリレートを25質量%、光重合開始剤(C)として0.5質量%の2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドを添加し、常温で溶解するまでウェブローターで攪拌し、感光性シリコーン樹脂組成物(P−12)を調製した。
<硬化物の作製>
[硬化成型物の作製]
得られた感光性シリコーン樹脂組成物(P−1)を、フッ素化合物からなる離型剤で表面処理した無アルカリガラス(厚み0.7mm、縦横5cm×10cm、コーニング製)上の中央部にスポイトを用いて5滴滴下した。このとき、無アルカリガラス上の両脇に2つのポリカーボネート製フィルム(厚み1mm、縦横0.5cm×5cm)を敷き、感光性シリコーン樹脂組成物の上に、さらに別のフッ素化合物からなる離型剤で表面処理した無アルカリガラスを置き固定し、滴下した感光性シリコーン樹脂組成物を2枚の無アルカリガラスで挟むことで酸素硬化阻害が無視できる嫌気下とした。その後、片方の無アルカリガラス面より、メタルハライドランプ(フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製 CV−110Q−G、主波長約380nm)を用いて3000mJ/cm2の光量で紫外線照射し、膜厚1mmの硬化成型物を作製し、その後150℃1時間の加熱を行い、硬化成型物1−1とした。
感光性シリコーン樹脂組成物(P−2)〜(P−12)についても上記と同様の方法で硬化成型物を作製し、それぞれ、硬化成型物2−1〜硬化成型物12−1とした。
実施例1〜10、及び比較例1、2で作製した硬化成型物1−1〜硬化成型物12−1のサンプルについて、以下の(1)及び(2)に従って測定・評価した。結果を以下の表1に示す。
(1)耐クラック性評価
作製した硬化成型物1−1〜硬化成型物12−1を、260℃30分間、窒素雰囲気下の条件で3点ベークした。ベーク後の硬化成型物を目視観察し、3点ともクラックがないものを○、1点又は2点クラックがあるものを△、3点ともクラックがあるものを×として評価した。
(2)鉛筆硬度測定
作製した硬化成型物1−1〜硬化成型物12−1に関して、クレメンス型引掻き硬度試験機(テスター産業株式会社製、HA−301−E)を用いて試験速度を2.5mm/s、荷重を500gとして鉛筆硬度を測定した。
鉛筆硬度が4H以上であるものを○、H以上4H未満であるものを△、H未満であるものを×とした。
比較例1及び2は、シリカ粒子含有シリコーン樹脂(A)を含まないため、実施例1〜10と比べて耐クラック性が劣っていた。また、比較例2では化合物(D)を用いたことにより比較例1と比べると耐クラック性が向上するものの、実施例1〜10及び比較例1と比べて鉛筆硬度が劣る結果となった。