JP5597060B2 - 感光性シリカ粒子含有縮合反応物 - Google Patents

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Description

本発明は、透明性を維持したままシロキサンとシリカとが縮合反応してなる感光性のシリカ粒子含有縮合反応物に関する。本発明は更に、該シリカ粒子含有縮合反応物を含み、硬化前は適度な粘度であり、硬化後は硬化収縮が小さく、耐熱性及び耐光性に優れ、厚膜形成可能な光硬化樹脂組成物に関する。
光学材料として、ガラスは透明性と高い耐熱・耐光性、寸法安定性等により、広範囲に使用されてきている。しかし、重量が重い、割れやすい、高コスト、生産性が低い等の理由から樹脂に置き換えたいという要求があり、光学樹脂が展開されている。光学樹脂として、熱可塑性樹脂としては、ポリカーボート、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィンポリマー等が広く使われている。しかしながら、熱可塑性樹脂は、リフロー耐熱性が不足しているため用途が限定されている。
一方、リフロー耐熱性が優れる光学樹脂として、熱硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂、硬化型アクリレート樹脂、及びシリコーン樹脂が広く使われている。しかしながらエポキシ樹脂は硬化収縮率が低く、成形性が優れているが、耐熱性が低いという欠点がある。硬化型アクリレート樹脂は、耐熱性が高いものの、吸水率が高く、硬化収縮率が大きいため、厚い成型体を作ることが難しいという欠点がある。またシリコーン樹脂は耐熱・耐光性が高く、吸水率が低いが、シロキサン結合の柔軟性が低いため、架橋基を多く導入すると、脆い成型体しか得られず、厚い成型体を得ようとすると、線膨張係数が高く、ガラス転移点が低いものしか得られないといった欠点があった。
シリコーン樹脂を改良する方法としては種々の方法が提案されており、線膨張係数を下げる方法として一般的な方法は、無機フィラーを添加する方法である。しかしながらこの方法では、線膨張係数が下がるものの、無機フィラーの粒径が大きいため、シリコーン樹脂と無機フィラーとの屈折率差があることより、成型体の透明性が失われてしまう。
この問題を改善させる方法として、粒径が小さいコロイダルシリカを使用する方法が多数報告されている。
例えば特許文献1から3では、シラン化合物を用いて、コロイダルシリカをメチルメタクリレート等のラジカル重合性ビニル化合物中に均一分散した硬化物が報告されている。
厚膜で使用されるものとして、例えば特許文献4の、脂環式(メタ)アクリレート、シリカ微粒子、シラン化合物、及び3級アミンからなる複合体硬化物が報告されている。
また例えば特許文献5では、かご型シルセスキオキサン、シリカ粒子及びアクリレートモノマーからなる樹脂組成物が報告されている。
特許2902925号公報 特開平10−233129号公報 特開平10−298252号公報 特許4008246号公報 国際公開第2006−035646号公報
しかし、特許文献1から3の技術では、これらの硬化物は透明性と剛性とが優れているものの、元々ハードコート用途に設計されたものであることから、厚膜化すると耐クラック性が低い課題があった。一方、特許文献4の技術では、厚膜にでき、線膨張係数が低いものの、硬化物の光線透過率が低いという問題、及び、硬化前の組成物を調製する際に溶剤を取り除く工程が2段階に渡るため、製造工程が複雑になるという問題があった。そして、特許文献5の技術では、この樹脂組成物から得られる硬化物は線膨張係数が低いものの、硬化前の粘度が高く、粘度を下げるためにアクリレートモノマーの割合が高くなり、硬化収縮が大きくなるという問題があった。また得られた硬化物は厚くするともろいという問題があった。このようなことから、硬化前は適度な粘度であり、硬化後は耐熱性及び耐光性に優れ、厚膜でもクラック耐性が良好な光硬化樹脂が強く望まれている。
本発明は、硬化前は適度な粘度であり、硬化後は耐熱性及び耐光性に優れ、厚膜でもクラック耐性が良好な光硬化型樹脂硬化物を与える樹脂組成物及び該樹脂組成物の材料を提供することを課題とする。
本発明は以下の通りである。
[1] ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)とを含む反応成分が縮合されてなる構造を有し、アクリロイル基、メタクリロイル基及びスチリル基からなる群から選択される光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合基を有する、シリカ粒子含有縮合反応物。
[2] 上記ポリシロキサン化合物(a)が、下記一般式(1)及び/又は一般式(2):
R1n1SiX14-n1 (1)
R2n2R3n3SiX24-n2-n3 (2)
{式中、R1及びR3は、それぞれ、水素原子又は炭素数1から20の有機基であり、R2は光ラジカル重合可能な不飽和炭素結合を含む有機基であり、n1は0から3の整数であり、n2+n3≦3であり、n2は1から3の整数であり、n3は0から2の整数であり、X1及びX2は、それぞれ、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基及びアセトキシ基からなる群から選択される基であり、複数存在する場合のR1、R2、R3、X1及びX2はそれぞれ同一でも異なっても構わない。}
で表される1種以上のシラン化合物又はその縮合物の重合生成物であり、該1種類以上のシラン化合物が光ラジカル重合可能な不飽和炭素結合を有する、上記[1]に記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
[3] 上記ポリシロキサン化合物(a)が、アクリロイル基、メタクリロイル基及びスチリル基からなる群から選択される光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合基を有する、上記[1]又は[2]に記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
[4] 上記反応成分中の上記シリカ粒子(b)の含有率が1質量%以上70質量%以下である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
[5] 上記シリカ粒子(b)の平均一次粒子径が1nm以上120nm以下である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
[6] 上記シリカ粒子含有縮合反応物の粘度が、0.1ポイズ以上500ポイズ以下である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
[7] 少なくとも、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のシリカ粒子含有縮合反応物(A)と、光ラジカル重合開始剤(B)とを含み、該シリカ粒子含有縮合反応物(A)の含有率が20質量%以上である、樹脂組成物。
[8] 上記[7]に記載の樹脂組成物に、200から400nmの波長領域に主波長を有する光を照射することを含む、樹脂組成物の硬化方法。
[9] 上記照射後の生成物を更に130℃以上250℃以下でベークすることを含む、上記[8]に記載の樹脂組成物の硬化方法。
本発明は、硬化前は適度な粘度であり、硬化後は硬化収縮が小さく耐熱性及び耐光性に優れ、厚膜でもクラック耐性が良好で高硬度な樹脂硬化物を与える樹脂組成物及び該樹脂組成物の材料を提供することが可能となる。
図1は、実施例に係るポリマー1の29Si−NMR測定結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
[シリカ粒子含有縮合反応物]
本発明の一態様は、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)とを含む反応成分が縮合されてなる構造を有し、アクリロイル基、メタクリロイル基及びスチリル基からなる群から選択される光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合基を有する、シリカ粒子含有縮合反応物を提供する。
本発明のシリカ粒子含有縮合生成物(以下、単に縮合反応物ということもある)は、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)とが縮合してなる構造を少なくとも有する。本発明の縮合反応物を用いて形成される樹脂は、ポリシロキサン系樹脂の特徴である良好な耐熱黄変性及び耐光黄変性を有し、耐熱性及び耐光性に優れる。また、本発明においては、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)とが縮合しているため、高硬度で厚膜でもクラック耐性が良好な樹脂を小さい硬化収縮で形成できる一方で、シリカ粒子含有縮合反応物を含む樹脂組成物の粘度及びチクソ性を低く抑えることができる。更に、本発明のシリカ粒子含有縮合反応物は、特定の光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合基を有するため、特定の波長を含む光線の照射により硬化物を形成できる。
<ポリシロキサン化合物(a)>
本発明において用いるポリシロキサン化合物(a)としては、例えば、下記一般式(1)及び/又は一般式(2):
R1n1SiX14-n1 (1)
R2n2R3n3SiX24-n2-n3 (2)
{式中、R1及びR3は水素原子又は炭素数1から20の有機基であり、R2は光ラジカル重合可能な不飽和炭素結合を含む有機基であり、n1は0から3の整数であり、n2+n3≦3であり、n2は1から3の整数であり、n3は0から2の整数であり、X1及びX2は、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基及びアセトキシ基からなる群から選択される基であり、複数存在する場合のR1、R2、R3、X1及びX2はそれぞれ同一でも異なっても構わない。}
で表される1種以上のシラン化合物又はその縮合物の重合生成物である。但し、該1種類以上のシラン化合物は光ラジカル重合可能な不飽和炭素結合を有する。具体的には、(i)一般式(1)で表され、かつ式中のn1が1から3の整数であり、R1が光ラジカル重合可能な不飽和炭素結合を有するような化合物を用いること(この場合、一般式(2)で表される化合物は用いても用いなくてもよい)、又は(ii)一般式(2)で表される化合物を必須に用いること(この場合、一般式(1)で表される化合物は用いても用いなくてもよい(例えば、一般式(1)で表される化合物として、式中のn1が0である化合物のみを組合せてもよい))、によって、1種以上のシラン化合物が光ラジカル重合可能な不飽和炭素結合を有することができる。
典型的には、ポリシロキサン化合物(a)は、例えば、上記一般式(1)及び/又は(2)で表されるシラン化合物並びにその縮合物からなる群から選択される1種以上の成分を加水分解(但し該成分がシラノール基を有する場合は必須ではない)及び縮合させることによって得ることができる。
一般式(1)及び(2)中のR1及びR3は、それぞれ、水素原子、又は炭素数1から20の有機基である。炭素数1から20の有機基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、ブチル(n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル)、ペンチル(n―ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル等)、ヘキシル(n−ヘキシル、i−ヘキシル、シクロヘキシル等)、ヘプチル(n−ヘプチル、i−ヘプチル等)、オクチル(n−オクチル、i−オクチル、t―オクチル等)、ノニル(n−ノニル、i−ノニル等)、デシル(n−デシル、i−デシル等)、ウンデシル(n−ウンデシル、i−ウンデシル等)、ドデシル(n−ドデシル、i−ドデシル等)等の非環式又は環式の脂肪族炭化水素基、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニルエチル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、スチレニル等の非環式及び環式アルケニル基、ベンジル、フェネチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル等のアラルキル基、PhCH=CH−基のようなアラアルケニル基、フェニル基、トリル基、スチリル基、及びキシリル基のようなアリール基、4−アミノフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ビニルフェニル基のような置換アリール基等が挙げられる。
一般式(2)中のR2は、光ラジカル重合可能な不飽和炭素結合(典型的には二重結合)を含む有機基である。R2は、各種の炭化水素基の水素原子又は主鎖骨格の一部がエーテル結合、エステル基(結合)、水酸基、チオール基、チオエーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、カルボン酸無水物結合、チオール基、チオエーテル結合、スルホン基、アルデヒド基、エポキシ基、アミノ基、置換アミノ基、アミド基(結合)、イミド基(結合)、イミノ基、ウレア基(結合)、ウレタン基(結合)、イソシアネート基、シアノ基等の極性基(極性結合)及びフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、等から選ばれる置換基で部分置換されたものでも良い。
光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合を有する基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基、ノルボルニル基及びビニル基の少なくともいずれかを有する基等が挙げられる。この中でもアクリロイル基、メタクリロイル基及びスチリル基の少なくともいずれかを有する基は、ラジカル重合性が高いため好ましい。これらの基を具体的に示せば、アクリロキシプロピル基、アクリロキシエチル基、アクリロキシメチル基、メタクリロキシプロピル基、メタクリロキシエチル基、メタクリロキシメチル基、スチリル基が例示される。光ラジカル重合可能な不飽和炭素結合(特に二重結合)基の存在の有無は、1HNMR分析、フーリエ変換型赤外分光分析(FT−IR)等によって評価できる。
上記一般式(1)中、n1は0から3の整数である。また、上記一般式(2)中、n2+n3≦3であり、n2は1から3の整数、n3は0から2の整数である。上記一般式(1)及び/又は(2)で表されるシラン化合物は、1種を単独で使用しても構わないし、複数の種類のシラン化合物を使用しても構わない。複数種類を使用することは、硬化前の流動性のコントロール、及び硬化後の耐クラック性、屈折率、硬度等のコントロールをすることが可能になる点で好ましい。
一般式(1)及び(2)中のX1及びX2は、それぞれ、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる。ハロゲン原子は、加水分解可能な置換基である。X1及びX2としては、それぞれ、具体的には、例えば水酸基;塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等のアルコキシ基;及びアセトキシ基等が挙げられる。この中でも塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;及びアセトキシ基は、ポリシロキサン化合物(a)合成時の縮合反応の反応性が高いため好ましい。
以下、上記一般式(1)及び/又は一般式(2)で表されるシラン化合物及び/又はその縮合物を用いる場合を例に、ポリシロキサン化合物(a)の製造について説明するが、本発明はこれに限定するものではない。ポリシロキサン化合物(a)は、上述したようなシラン化合物及び/又はその縮合物に、水を添加することによって製造することが好ましい。水の添加量としては、上記一般式(1)で表されるシラン化合物のX1と上記一般式(2)で表されるシラン化合物のX2との合計モル数に対して0.1当量〜10当量(モル基準)の範囲が好ましく、更に好ましくは0.4当量〜8当量の範囲である。水の添加量が0.1当量以上であると、ポリシロキサン化合物(a)の分子量が上がるため好ましく、10当量以下であることは、縮合反応により得られるポリシロキサン化合物(a)生成物の溶液のポットライフを長くする観点から好ましい。
ポリシロキサン化合物(a)を触媒の存在下での縮合反応により製造する場合、加水分解及び縮合の速度が速くなるため好ましい。
触媒の種類としては、具体的には、酸触媒として無機酸及び有機酸が挙げられる。上記無機酸としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。上記有機酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、シトラコン酸、リンゴ酸、グルタル酸等が挙げられる。
これらの触媒は、1種で又は2種以上を混合して用いることができる。また使用される酸触媒の量が、ポリシロキサン化合物(a)を製造する際の反応系のpHを0.01〜6.0の範囲に調整する量である場合、ポリシロキサン化合物(a)の重量平均分子量を良好に制御できるため好ましい。
ポリシロキサン化合物(a)を製造するための縮合反応は、有機溶媒中で行うことができる。縮合反応に使用できる有機溶媒としては、例えばアルコール、エステル、ケトン、エーテル、脂肪族炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物、アミド化合物等が挙げられる。
上記アルコール類としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールのような一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールのような多価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルのような多価アルコールのモノエーテル類等が挙げられる。
上記エステル類としては例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。ケトン類としては例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン等が挙げられる。
上記エーテル類としては上記の多価アルコールのモノエーテル類の他に、例えばエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルのような多価アルコールの水酸基の全てをアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル類、及び、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール等が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素化合物としては例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素化合物としては例えばベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
上記アミド化合物としては例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
以上の溶媒の中でもメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が水と混合しやすく、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合反応時に、ポリシロキサン化合物(a)中にシリカ粒子(b)を分散させやすいため好ましい。
これらの溶媒は単独で使用してもよいし、複数の溶媒を組み合わせて使用しても構わない。また上記溶媒を用いずにバルク中で反応を行ってもよい。
ポリシロキサン化合物(a)を製造する際の反応温度は特に制限は無いが、好ましくは−50℃以上200℃以下、より好ましくは0℃以上150℃以下の範囲である。上記の範囲で反応を行うことにより、ポリシロキサン化合物(a)の分子量を良好に制御することができる。
<シリカ粒子(b)>
本発明において使用されるシリカ粒子(b)としては、例えばヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。
上記ヒュームドシリカは、珪素原子を含む化合物を気相中で酸素及び水素と反応させることによって得ることができる。原料となるケイ素化合物としては、例えばハロゲン化ケイ素(例えば塩化ケイ素等)等が挙げられる。
コロイダルシリカは、原料化合物を加水分解・縮合するゾルゲル法により合成することができる。コロイダルシリカの原料化合物としては、例えば、アルコキシケイ素(例えばテトラエトキシシラン等)、ハロゲン化シラン化合物(例えばジフェニルジクロロシラン等)等が挙げられる。中でも、金属やハロゲン等の不純物は少ないことが好ましいため、アルコキシケイ素から得られたコロイダルシリカがより好ましい。
本発明のシリカ粒子含有縮合反応物は、ポリシロキサン化合物(a)と該シリカ粒子(b)とを少なくとも含む反応成分の縮合反応により得られる。ここで反応成分とは、シリカ粒子含有縮合反応物において縮合構造を形成することになる成分を意味する。反応成分は、ポリシロキサン化合物(a)及びシリカ粒子(b)に加えて、例えばアルコキシケイ素化合物及び/又はヒドロキシケイ素を有する化合物を含有してもよい。
反応成分中のシリカ粒子(b)の含有率は、1質量%以上70質量%以下であることが好ましい。上記含有率は、硬化膜の硬度向上の観点から、1質量%以上が好ましく、該縮合反応物の粘度の観点から、70質量%以下が好ましい。上記含有率は、より好ましくは5質量%以上60質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上50質量%以下である。なお、本明細書で記載する、「反応成分中のシリカ粒子(b)の含有率」とは、反応成分中のシリカ粒子(b)以外の成分の縮合換算量と、シリカ粒子(b)の量との合計に対する、シリカ粒子(b)の量と定義する。また、本明細書において、「縮合換算量」とは、化合物中の水酸基及び加水分解性基(具体的にはハロゲン原子、アルコキシ基及びアセトキシ基)1個を1/2個の酸素原子に置き換えて得られる換算量と定義する。反応成分中のシリカ粒子含有率は、例えば反応に使用した原料と、29SiNMR測定から算出することができる。反応に使用したD成分、T成分、Q成分、シリカ粒子は、使用した原料から算出し、M成分については、29SiNMR測定の面積比より、シリカ粒子含有縮合反応物中のM成分の存在比を算出することができる。シリカ粒子含有縮合反応物中のM成分、D成分、T成分、Q成分が持つ結合手は、全てSi−O−Si結合に使われたとして、反応成分中のシリカ粒子含有率を算出できる。内標を添加して、29SiNMRを測定することにより、算出することもできる。
シリカ粒子(b)の平均一次粒子径は、1nm以上120nm以下であることが好ましく、1nm以上40nm以下であることがより好ましい。上記平均一次粒子径が1nm以上である場合、硬度が向上するため好ましく、120nm以下である場合、樹脂硬化物の波長300nm以下の光に対する透明性が向上するため好ましい。
シリカ粒子(b)の平均二次粒子径は、2nm以上250nm以下であることが好ましく、2nm以上80nm以下であることがより好ましい。上記平均二次粒子径が2nm以上である場合、硬度が向上するため好ましく、250nm以下である場合、樹脂硬化物の波長300nm以下の光に対する透明性が向上するため好ましい。
上記平均一次粒子径は、BETの比表面積から計算で求められる値であり、平均二次粒子径は、動的光散乱光度計で測定される値である。
シリカ粒子(b)の形状は、球状、棒状、板状若しくは繊維状又はこれらの2種類以上が合体した形状であることができるが、好ましくは球状である。なお、ここでいう球状とは、真球状の他、回転楕円体や卵形等の略球状である場合も含むものである。
シリカ粒子(b)の比表面積は、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合反応物の粘度と、樹脂硬化物の硬度との観点から、BET比表面積で、1,000m2/g以下であることが好ましく、800m2/g以下であることがより好ましい。上記BET比表面積は、N2分子の圧力とガス吸着量とから計算される方法で測定される値である。
シリカ粒子(b)としては、上記の要件に適合するものを好ましく使用できるが、制限は無く、市販品を使用することもできる。
市販品としては、コロイダルシリカとして、例えばLEVASILシリーズ(H.C.Starck(株)製)、メタノールシリカゾルIPA−ST、同MEK−ST、同NBA−ST、同XBA−ST、同DMAC−ST、同ST−UP、同ST−OUP、同ST−20、同ST−40、同ST−C、同ST−N、同ST−O、同ST−50、同ST−OL(以上、日産化学工業(株)製)、クオートロンP Lシリーズ(扶桑化学(株)製)、OSCALシリーズ(触媒化成工業(株)製)等;粉体状のシリカ粒子として、例えばアエロジル130、同300、同380、同TT600、同OX50(以上、日本アエロジル(株)製)、シルデックスH31、同H32、同H51、同H52、同H121、同H122(以上、旭硝子(株)製)、E220A、E220(以上、日本シリカ工業(株))、SYLYSIA470(富士シリシア(株)製)、SGフレーク(日本板硝子(株)製)等;粉体状のシリカ粒子として、例えばアエロジル130、同300、同380、同TT600、同OX50(以上、日本アエロジル(株)製)、シルデックスH31、同H32、同H51、同H52、同H121、同H122(以上、旭硝子(株)製)、E220A、E220(以上、日本シリカ工業(株)製)、SYLYSIA470(富士シリシア(株)製)、SGフレーク(日本板硝子(株)製)等が、それぞれ挙げられる。
<シリカ粒子含有縮合反応物の製造>
本発明のシリカ粒子含有縮合反応物は、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)とを含む反応成分を縮合反応させて得られる。縮合反応の際には、溶媒中に分散した状態でのシリカ粒子(b)をポリシロキサン化合物(a)と反応させることができる。溶媒としては、水若しくは有機溶媒又はこれらの混合溶媒を使用することができる。使用される有機溶媒の種類は、使用されるシリカ粒子(b)の分散媒によって変わる。使用されるシリカ粒子(b)の分散媒が水系の場合は、水及び/又はアルコール系溶媒をシリカ粒子(b)の水分散媒に加えてからシリカ粒子(b)をポリシロキサン化合物(a)と反応させてもよいし、シリカ粒子(b)の水分散液中の溶媒を一度アルコール系溶媒に置換してから、シリカ粒子(b)をポリシロキサン化合物(a)と反応させてもよい。使用できるアルコール系溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール等が挙げられ、これらは、水と容易に混合するため好ましい。
使用されるシリカ粒子(b)の分散媒がアルコール、ケトン、エステル、炭化水素等の溶媒である場合は、水又はアルコール、エーテル、ケトン、エステル等の溶媒を使用することができる。アルコール類としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えばジメトキシエタンが挙げられる。ケトン系溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エステル系溶媒としては、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
シリカ粒子(b)とポリシロキサン化合物(a)との縮合反応は、酸性雰囲気下で行われることが好ましい。酸触媒としてはポリシロキサン化合物(a)の製造に用いるものと同じ酸触媒を挙げることができる。ポリシロキサン化合物(a)の製造後に酸触媒を取り除いてもよいが、ポリシロキサン化合物(a)製造後に酸触媒を取り除かずそのままシリカ粒子(b)を反応させる場合は、酸触媒を再度加えなくても、ポリシロキサン化合物(a)を製造する際に使用した酸触媒でポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との反応を行うことができる。また、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との反応時に改めて酸触媒を加えても構わない。
また、シリカ粒子(b)とポリシロキサン化合物(a)とを反応させる際に、ポリシロキサン化合物(a)に塩基触媒を添加し、中和又は塩基側にして、縮合反応させても構わない。塩基触媒としては、無機塩基及び有機塩基が挙げられる。無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ又はアルカリ土類金属炭酸塩、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等の金属炭酸水素塩が挙げられる。有機塩基としては、アンモニア、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等のトリアルキルアミン;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の炭素数1〜4のN,N−ジアルキルアニリン誘導体;ピリジン、2,6−ルチジン等の、炭素数1〜4のアルキル置換基を有していてもよいピリジン誘導体等を挙げられる。
ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合反応物を製造する際の反応温度は特に制限は無いが、好ましくは−50℃以上200℃以下、より好ましくは0℃以上150℃以下の範囲で行う。上記の範囲で反応を行うことにより、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合率(ポリシロキサン−シリカ縮合率)を制御することができる。
本発明においては、ポリシロキサン化合物(a)合成時の縮合反応後、及び/又は、ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合反応後に、蒸留、抽出による洗浄、又はイオン交換等の方法により、触媒を取り除くことで、本発明のシリカ粒子含有縮合反応物のpHを6以上8以下に調整することが好ましい。pHが上記範囲内であると、本発明の縮合反応物のポットライフが長くなるため好ましい。
ポリシロキサン化合物(a)とシリカ粒子(b)との縮合反応の後には、シリカ粒子含有縮合反応物を精製することが好ましい。具体的には、反応液に上記から選ばれる溶媒を加えた後に分液、蒸留等の方法によって系中の水を取り除くことが好ましい。特に、本発明のシリカ粒子含有縮合反応物中に含まれる水分は1質量%以下であることが好ましい。この場合、本発明の縮合反応物を硬化させる際に、重量の低下が少なく、収縮が低減され、クラックが入りにくくなるため好ましい。
特に好ましくは、本発明のシリカ粒子含有縮合反応物中に含まれる溶媒(すなわち水及び有機溶媒等)が1質量%以下であることが好ましい。この場合、本発明の縮合反応物を硬化させる際に、重量の低下が少なく、収縮が低減され、クラックが入りにくくなるため好ましい。溶媒の含有量は、例えばガスクロマトグラフィ法を用いて測定できる。また水分についてはカールフィッシャー法でも測定できる。
本発明のシリカ粒子含有縮合反応物が有する、アクリロイル基、メタクリロイル基及びスチリル基からなる群から選択される光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合基は、縮合反応等によるシリカ粒子(b)表面への修飾によって与えてもよいが、耐クラック性の観点から、ポリシロキサン化合物(a)が、アクリロイル基、メタクリロイル基及びスチリル基からなる群から選択される光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合基を有することによって、上記の光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合基をシリカ粒子含有縮合反応物中に与えることが好ましい。
光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合基としては、アクリロキシメチル基、アクリロキシエチル基、アクリロキシプロピル基、メタクリロキシメチル基、メタクリロキシエチル基、メタクリロキシプロピル基、スチリル基等が挙げられる。なお、シリカ粒子含有縮合反応物は、他の光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合基、例えばノルボルネイル基、ビニル基等を更に含有してもよい。
特に、上記一般式(1)及び(2)でそれぞれ表されるシラン化合物及びその縮合物のうち少なくともいずれかが光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合基を含有し、シリカ粒子含有縮合反応物において、該光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合基が結合している珪素原子の割合が、シリカ粒子含有縮合反応物に含まれる全珪素原子のうち5mol%以上80mol%以下であることが好ましく、より好ましくは10mol%以上70mol%以下であり、さらに好ましくは15mol%以上50mol%以下である。上記割合は、本発明の樹脂組成物を用いて得られる樹脂硬化物の硬度の観点から5mol%以上であることが好ましく、樹脂硬化物の耐熱性及び耐光性の観点から80mol%以下であることが好ましい。
上記割合は、シリカ粒子含有縮合反応物を、溶液又は固体で1HNMR分析及び29SiNMR分析することによっても算出することができる。
本発明のシリカ粒子含有縮合反応物の重量平均分子量は、好ましくは1,000以上200,000以下の範囲、更に好ましくは1,000以上100,000以下である。重量平均分子量は、例えばゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で、標準ポリメチルメタクリレート換算して求めることができる。該縮合反応物の重量平均分子量が1,000以上であると、耐熱性、及びシリカ粒子含有縮合反応物のポットライフが長く、重量平均分子量が200,000以下であると、シリカ粒子含有縮合反応物の粘度が低くなるため好ましい。
本発明のシリカ粒子含有縮合反応物の粘度は、0.1ポイズ以上500ポイズ以下であることが好ましく、より好ましくは0.5ポイズ以上300ポイズ以下であり、更に好ましくは1ポイズ以上100ポイズ以下である。0.1ポイズ以上であると、本発明のシリカ粒子含有縮合反応物を金型に入れて光硬化させる際に、形状追随性が良好であるため好ましく、500ポイズ以下であると、残留溶剤を除去し易く、成形性及び扱いやすさも向上するため好ましい。
本発明の別の態様は、上述した本発明のシリカ粒子含有縮合反応物(A)と、光ラジカル重合開始剤(B)とを含み、該シリカ粒子含有縮合反応物(A)の含有率が20質量%以上である樹脂組成物を提供する。
本発明の樹脂組成物においては、前述のシリカ粒子含有縮合反応物が光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合基を含有するため、光ラジカル反応及び加熱によって該不飽和炭素二重結合基がラジカル重合反応して、樹脂組成物を硬化させることができる。なお、樹脂組成物は、光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合基を含有する成分(C)を更に含有してもよい。この場合、該成分(C)中の光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合基もまたラジカル重合反応に寄与する。
樹脂組成物においては、シリカ粒子含有縮合反応物(A)の含有率が、20質量%以上であることが好ましく、20質量%以上99.9質量%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは30質量%以上99.5質量%以下であり、特に好ましくは40質量%以上99.5質量%以下である。上記含有率は、得られる硬化膜の硬度及び耐熱性の観点から、20質量%以上であることが好ましく、また99.9質量%以下であることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤(B)として、好ましいものとしては365nmの波長の光に対する吸収を持つ以下の化合物が挙げられる。
(1)ベンゾフェノン誘導体;例えば、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等
(2)アセトフェノン誘導体;例えば、トリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、フェニルグリオキシル酸メチル、(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン)(チバ・ジャパン株式会社製IRGACURE127)等
(3)チオキサントン誘導体;例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等
(4)ベンジル誘導体;例えば、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール等
(5)ベンゾイン誘導体;例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1フェニルプロパン−1−オン等
(6)オキシム系化合物;例えば、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)](チバ・ジャパン株式会社製OXE−01)、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)(チバ・ジャパン株式会社製IRGACURE OXE02)等
(7)α−ヒドロキシケトン系化合物;例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン等
(8)α−アミノアルキルフェノン系化合物;例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバ・ジャパン株式会社製IRGACURE369)、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン等
(9)フォスフィンオキサイド系化合物;例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(チバ・ジャパン株式会社製DAOCURE TPO)等
(10)チタノセン化合物;例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム等
(11)ベンゾエイト誘導体;例えば、エチル−p−(N,N−ジメチルアミノベンゾエイト)等
(12)アクリジン誘導体;例えば、9−フェニルアクリジン等
これらは単独で用いても、複数の光ラジカル開始剤を混ぜて使用しても良い。
また例示した光ラジカル重合開始剤(B)に加え、熱ラジカル開始剤(D)を配合してもよい。また、光開始助剤、鋭感剤等の重合用添加剤を更に配合してもよい。熱ラジカル開始剤(D)としては、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、ジアシルパーオキサイド系、パーオキシジカーボネート系、パーオキシエステル系等の各種有機過酸化物を用いることができる。
光ラジカル重合開始剤(B)の量としては、シリカ粒子含有縮合反応物(A)、光ラジカル重合開始剤(B)、光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合基を含有する成分(C)、及び上記熱ラジカル開始剤(D)の合計質量基準で、0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がより好ましい。更に好ましくは0.2質量%以上3質量%以下である。0.01質量%以上であると硬化が良好に進行するため好ましく、10質量%以下であると、光硬化後又は熱によるベーク後に着色が少ないため好ましい。
光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合基を含有する成分(C)としては、アクリレート基、メタクリレート基、スチリル基、チオール基、アルケニル基等の反応性基を有する反応性オリゴマー及び/又は反応性モノマーが挙げられる。
反応性オリゴマーとしては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニルアクリレート、ポリエン/チオール、シリコーンアクリレート、ポリブタジエン、ポリスチリルエチルメタクリレート等が挙げられる。これらの反応性オリゴマーには単官能不飽和化合物と多官能不飽和化合物とが含まれるが、単官能不飽和化合物及び多官能不飽和化合物のどちらを用いても良いし、複数の化合物を混合して使用しても構わない。
反応性モノマーとしては反応性単官能モノマーと反応性多官能モノマーとが挙げられる。
反応性単官能モノマーとしては、例えばスチレン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソボニルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルアクリエレート、フェノキシエチルアクリレート、トリフロオロエチルメタクリレート等が挙げられる。
反応性多官能モノマーとしては、例えばトリプロピレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート、ペンタエリストールテトラアクリレート、ジペンタエリストールヘキサアクリレート、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカンジメチロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリストールトリメタクリレート、ペンタエリストールテトラメタクリレート、ジペンタエリストールヘキサメタクリレート、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカンジメチロールジメタクリレート、ジシクロペンタニルジメチロールジメタアクリレート等が挙げられる。
上記(A)〜(D)の成分の合計質量基準での、光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合基を含有する成分(C)の割合は0質量%以上79.9質量%以下が好ましく、0質量%以上70質量%以下がより好ましい。上記の範囲であると、耐クラック性が高いため好ましい。
本発明の樹脂組成物には、各種支持基材との接着性を向上させる目的で、接着補助剤を配合してもよい。接着補助剤としては、シランカップリング剤が挙げられる、より具体的には、例えば珪素原子に直接結合した水素原子を含有するアルコキシシラン、エポキシ基又はチオール基を含有するアルコキシシラン、ビニル基等の不飽和結合を含有するアルコキシシラン等の有機アルコキシシラン化合物、並びに、これらの有機アルコキシシラン化合物の一部又は全てのアルコキシシランが加水分解された化合物、及びその縮合物が挙げられる。
上記シランカップリング剤の配合量としては、上記(A)〜(D)の成分の合計100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下が好ましく、0.05質量部以上5質量部以下がより好ましい。シランカップリング剤の配合量は、接着性が向上する観点から0.01質量部以上が好ましく、保存安定性の観点から10質量部以下が好ましい。
本発明の樹脂組成物には、無機フィラーを配合してもよい。無機フィラーは、光透過性への悪影響を避けるため、目的の用途において使用する波長以下の平均粒子径を有するものが好ましく、平均粒子径は、より好ましくは100nm以下である。無機フィラーは、樹脂において、例えば機械的物性を改善する場合及び熱伝導性を向上させる場合がある。無機フィラーの平均粒子径の下限は特に限定はないが、樹脂組成物の粘度が低く良好な成形性を有するため、0.1nm以上であることが好ましい。なお上記平均粒子径は、BETの比表面積から計算で求められる値である。無機フィラーの配合量は、目的に応じて選択できるが、上記(A)〜(D)の成分の合計100質量部に対して、例えば1〜60質量部、より好ましくは5〜60質量部、さらに好ましくは5〜40質量部であることができる。
本発明の樹脂組成物には、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、核剤、着色剤、架橋剤、分散助剤、可塑剤、難燃剤等を配合することもできる。これらの材料は公知の方法、例えば遠心分離等を用いて樹脂組成物の他の成分と混合し、得られた混合物を公知の方法、例えば真空脱泡等で泡抜きすることが好ましい。
本発明の別の態様は、上述した本発明の樹脂組成物に、200から400nmの波長領域に主波長を有する光を照射することを含む、樹脂組成物の硬化方法を提供する。該硬化方法においては、上記の照射後の生成物を、更に130℃以上250℃以下でベークすることが好ましい。上記の硬化方法により、本発明の樹脂組成物を用いて樹脂硬化物を例えば成型体、硬化膜等の形で得ることができる。
本発明の樹脂組成物を用いて樹脂硬化物を得る方法として、例えば任意のキャビティ形状を有し、ポリジメチルシロキサン、フッ素系透明樹脂、シクロオレフィン系透明樹脂、ガラス等の透明素材で構成された金型内に、樹脂組成物を注入し、200nmから400nmの波長領域に主波長を有する光を照射して重合反応を行い、金型を外して成型体を得る方法、例えばガラス、Si基板又はシート上に公知の方法で樹脂組成物を塗布し、これに200nmから400nmの波長領域に主波長を有する光を照射して重合反応させて、基板上又はシート上に硬化膜を形成する方法等が挙げられる。
200から400nmの波長領域に主波長を有する光としては、クセノンフラッシュランプ、クセノンショートアークランプ、超高圧UVランプ、高圧UVランプ、DeepUVランプ、低圧UVランプ、KrCl又はXeClのエキシマランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。上記記載の200から400nmの波長領域に主波長を有する光の照射時間に制限は無く、1秒から20分程度の範囲での照射で本発明の樹脂組成物を硬化させることができる。
前記の硬化反応は、酸素濃度としては、1質量%以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましい。具体的には窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、炭酸ガス等の不活性ガス等の雰囲気下、減圧下又は加圧下で行うことができる。これらのガスは、1種又は2種以上の混合ガスとして用いることができる。
200から400nmの波長領域に主波長を有する光を樹脂組成物に照射した後、更に130℃以上250℃以下でベークする場合、屈折率等を安定させることができるため好ましい。ベーク時間としては、特に制限は無いが、通常1分から10時間程度の範囲が好ましい。
本発明の樹脂組成物を用いて各種光学材料を製造することができ、該光学材料は、例えば、携帯用、LED、車載、防犯用途等のレンズ、液晶ディスプレイ等のバックライト用光学シート、照明、各種センサー、プリンター、コピー機等に用いられる各種レンズ材料等として有用である。
以下、実施例及び比較例により本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1から実施例7のサンプルについて、(1)から(5)についての測定評価を行った。表1に、実施例1から実施例7及び比較例1における、ポリシロキサン化合物(a)の原料成分の配合比(但し、表1中の値は各原料成分の縮合換算量である)(モル部)、及び反応成分中のシリカ粒子量(質量%)をまとめる。表1中のシリカ粒子量は、本明細書で規定するように、ポリシロキサン化合物(a)の縮合換算量とシリカ粒子量との合計質量基準である。縮合換算量の定義は前述した通りである。また表中の略称は以下ポリマー調製の項に示す。また、(3)から(5)の測定結果について表3にまとめる。
《ポリマーの調製》
[実施例1]
200mLのナス型フラスコに、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(以下MEMOと略称) 13.57g(0.055mol)、3−メタクリロキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン(以下MEDMOと略称) 12.70g(0.055mol)、メチルトリメトキシシラン(以下MTMSと略称) 4.07g(0.030mol)、エタノール 30gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水 11.80g、37%塩酸 0.03gを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、上記200mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、60℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液1を得た。
500mLのナス型フラスコに、PL−1SL(扶桑化学工業製の平均一次粒子径12nm、20質量%濃度の水分散シリカ粒子) 60.g(シリカ粒子(b))、エタノール 50gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液1を、上記ナスフラスコへ20分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で80℃4時間還流させた。
還流後、さらにPGMEA 60gを投入し、蒸留塔をセットし、エタノール、水及びPGMEAを除去した。真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリカ粒子含有縮合反応物であるポリマー1を得た。
[実施例2]
200mLのナス型フラスコに、MEDMO 14.44g(0.062mol)、p−スチリルトリメトキシシラン(以下StMOと略称) 13.92g(0.062mol)、MTMS 4.23g(0.031mol)、エタノール 30gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水 14.54g、37%塩酸 0.03gを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、上記200mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、60℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液1を得た。
500mLのナス型フラスコに、PL−1SL(扶桑化学工業製の平均一次粒子径12nm、20質量%濃度の水分散シリカ粒子) 60.g(シリカ粒子(b))、エタノール 50gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液1を、上記ナスフラスコへ20分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で80℃4時間還流させた。
還流後、さらにPGMEA 60gを投入し、蒸留塔をセットし、エタノール、水及びPGMEAを除去した。真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリカ粒子含有縮合反応物であるポリマー2を得た。
[実施例3]
200mLのナス型フラスコに、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(以下AcMOと略称) 14.24g(0.061mol)、MEDMO 14.12g(0.061mol)、MTMS 4.14g(0.030mol)、エタノール 30gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水 14.22g、37%塩酸 0.03gを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、上記200mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、60℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液3を得た。
500mLのナス型フラスコに、PL−1SL 60.g(シリカ粒子(b))、エタノール 50gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液3を、上記ナスフラスコへ20分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で80℃4時間還流させた。
還流後、さらにPGMEA 60gを投入し、蒸留塔をセットし、エタノール、水及びPGMEAを除去した。真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリカ粒子含有縮合反応物であるポリマー3を得た。
[実施例4]
200mLのナス型フラスコに、AcMO 13.17g(0.056mol)、MEDMO 13.05g(0.056mol)、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(以下CyMDMSと略称) 5.29g(0.028mol)、エタノール 30gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水 12.13g、37%塩酸 0.03gを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、上記200mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、60℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液4を得た。
500mLのナス型フラスコに、PL−1SL 60.g(シリカ粒子(b))、エタノール 50gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液4を、上記ナスフラスコへ20分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で80℃4時間還流させた。
還流後、さらにPGMEA 60gを投入し、蒸留塔をセットし、エタノール、水及びPGMEAを除去した。真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリカ粒子含有縮合反応物であるポリマー4を得た。
[実施例5]
200mLのナス型フラスコに、MEMO 13.57g(0.055mol)、MEDMO 12.70g(0.055mol)、CyMDMS 5.15g(0.027mol)、エタノール 30gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水 11.80g、37%塩酸 0.03gを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、上記200mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、60℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液5を得た。
500mLのナス型フラスコに、PL−06(扶桑化学工業製の平均一次粒子径6nm、6.3質量%濃度の水分散シリカ粒子) 190.5g(シリカ粒子(b))、エタノール 180gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液5を、上記ナスフラスコへ20分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で80℃4時間還流させた。
還流後、さらにPGMEA 60gを投入し、蒸留塔をセットし、エタノール、水及びPGMEAを除去した。真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリカ粒子含有縮合反応物であるポリマー5を得た。
[実施例6]
200mLのナス型フラスコに、MEMO 9.69g(0.039mol)、MEDMO 9.07g(0.039mol)、CyMDMS 3.68g(0.020mol)、エタノール 20gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水 8.43g、37%塩酸 0.03gを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、上記200mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、60℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液6を得た。
500mLのナス型フラスコに、PL−1SL 100.g(シリカ粒子(b))、エタノール 100gを投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液6を、上記ナスフラスコへ20分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で80℃4時間還流させた。
還流後、さらにPGMEA 60gを投入し、蒸留塔をセットし、エタノール、水及びPGMEAを除去した。真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリカ粒子含有縮合反応物であるポリマー6を得た。
[実施例7]
200mLのナス型フラスコに、MEMO 17.45g(0.070mol)、MEDMO 16.32g(0.070mol)、CyMDMS 6.62g(0.035mol)、エタノール 40gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水 15.17g、37%塩酸 0.03gを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、上記200mLナスフラスコに10分かけて滴下した。滴下終了後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、60℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液7を得た。
500mLのナス型フラスコに、PL−1SL 20.g(シリカ粒子(b))を投入し、攪拌した。続いて、滴下ロートを用いて、室温まで冷却した反応液7を、上記ナスフラスコへ20分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、窒素気流下で80℃4時間還流させた。
還流後、さらにPGMEA 60gを投入し、蒸留塔をセットし、エタノール、水及びPGMEAを除去した。真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリカ粒子含有縮合反応物であるポリマー7を得た。
[比較例1]
200mLのナス型フラスコに、MEMO 19.29g(0.078mol)、MEDMO 18.14g(0.078mol)、CyMDMS 7.35g(0.039mol)、エタノール 30gを投入し、攪拌した。別途容器に蒸留水 16.86g、37%塩酸 0.03gを取り、混合した後、滴下ロートを用いて、上記200mLナスフラスコに10分かけて滴下し、室温で30分攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、オイルバスを用いて窒素気流下で、60℃2時間還流させ、ポリシロキサン化合物(a)を含む反応液8を得た。
還流後、PGMEA 60gを投入し、蒸留塔をセットし、エタノール、水及びPGMEAを除去した。真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去し、シリカ粒子含有縮合反応物であるポリマー8を得た。
《ポリマーの評価》
(1) 縮合反応物の29Si−NMR測定
ポリマー1からポリマー8の50質量%の重クロロホルム溶液にクロミニウムアセチルアセトネートを0.9質量%添加し、サンプル調製を行った。日本電子製のNMR(核磁気共鳴)装置 GSX400を使用し、パルス幅を0.5秒、待ち時間を5秒、積算回数を512回として29Si−NMR測定を行った。T3成分、T2成分、D2成分、D1成分のピークから反応の進行を確認した。図1は、ポリマー1の29Si−NMR測定結果を示す図である。−111.8ppmのピークがシリカ粒子のQ4成分に由来するピーク、−66.8ppmがT3成分に由来するピーク、−59.3ppmがT2成分に由来するピーク、−22.4ppm及び−20.3ppmがD2成分に由来するピーク、−13.9ppm及び−13.1ppmがD1成分に由来するピークに帰属できた。
(2) 縮合反応物の1H−NMR測定
ポリマー1からポリマー8の30質量%の重クロロホルム溶液を測定サンプルとして調製した。日本電子製のNMR(核磁気共鳴)装置 GSX400を使用し、パルス幅を0.5秒、待ち時間を1.2秒、積算回数を8回として1H−NMR測定を行った。異なる光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合基を有するポリマー1からポリマー3について、不飽和炭素二重結合に由来するピークの帰属を行い表2にまとめた。以下にMEDMO、MEMO、StMO、AcMOの構造を示す。
Figure 0005597060
(3)分子量測定
東ソー製のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、HLC−8220、及びTSKgelGMHHR−Mカラムを使用し、アセトン溶媒中、縮合反応物を1質量%溶液にして測定し、示差屈折率計(RI)により標準ポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。
《樹脂硬化物の作製》
[樹脂組成物の調製]
実施例1で得られたポリマー1(シリカ粒子含有縮合反応物(A)) 99質量%に光重合開始剤として1質量%の2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(BASF製DAOCURE TPO)(光ラジカル重合開始剤(B))を添加し、常温で溶解するまでウェブローターで攪拌し、感光性樹脂組成物(p−1)を調製した。実施例2から実施例7及び比較例1で得られたポリマー2からポリマー8についても上記と同様の方法で感光性樹脂組成物を調製し、それぞれ(p−2)から(p−8)とした。
[比較例2]
200mLのナス型フラスコに、2−プロパノール 40gと5質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液とを投入して攪拌した。滴下ロートにMEMO 12.69g(0.051mol)、2−プロパノール 15gを投入し、上記攪拌中の200mLナスフラスコに30分かけて滴下した。滴下終了後、室温で2時間攪拌し、得られた反応液は真空ポンプを用いて、減圧下で溶媒を除去した後、トルエン 50gを投入してトルエン溶液を得た。得られた反応液に、飽和食塩水を加え中性になるまで水洗した後、無水硫酸マグネシウムを用いて脱水した。無水硫酸マグネシウムを濾別した後、溶媒を除去してシルセスキオキサンを得た。
500mlナス型フラスコに上記で得られたシルセスキオキサン 20.65g、トルエン 80g、10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液 3.0gを投入し、ディンスターク及び冷却管をセットし、加熱を開始した。加熱は徐々に行い、最終的に130℃まで加熱し、トルエンの還流開始から2時間還流を行った。得られた反応液に、飽和食塩水を加え中性になるまで水洗した後、無水硫酸マグネシウムを用いて脱水した。無水硫酸マグネシウムを濾別した後、溶媒を除去して籠型シルセスキオキサンを得た。
500mLのナス型フラスコに、IPA−ST(日産化学工業製の平均一次粒子径10〜20nm、30質量%濃度の2−プロパノール分散シリカ粒子) 150.0g、MEMO 7.2g(0.029mol)を投入し、攪拌した。攪拌後、冷却管をセットし、徐々に加熱を行い反応溶液が68℃に達してから5時間還流を行った。反応終了後、上記籠型シルセスキオキサン 13.75g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 41.25gを投入し、80℃で溶媒を除去した。これに光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 2.5gを添加し、溶解するまで攪拌し感光性樹脂組成物(p−9)を得た。
[樹脂硬化物の作製]
得られた感光性樹脂組成物(p−1)を無アルカリガラス(厚み0.7mm、縦横5cm×10cm、コーニング製)上の中央部にスポイトを用いて5滴滴下した。このとき、無アルカリガラス上の両脇に2つのポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚み500μm、縦横0.5cm×5cm)を敷き、感光性樹脂組成物の上にさらに無アルカリガラスを置き固定し、滴下した感光性樹脂組成物を2枚の無アルカリガラスで挟むことで酸素硬化阻害が無視できる嫌気下とした。その後、片方の無アルカリガラス面より、メタルハライドランプ(フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製 CV−110Q−G)を用いて1000mJ/cm2の光量で紫外線照射し、膜厚500μmの硬化膜を作製した。得られた硬化膜を硬化膜1−1とした。
感光性樹脂組成物(p−2)から(p−9)についても上記と同様の方法で硬化膜を作製し、それぞれ硬化膜2−1から硬化膜9−1とした。
[樹脂硬化物の作製]
得られた感光性樹脂組成物(p−1)を10mm×10mm×5mmのフッ素樹脂製の型を満たすように滴下し、無アルカリガラスを被せ、酸素硬化阻害が無視できる嫌気下とした。その後、無アルカリガラス面より、メタルハライドランプ(フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製 CV−110Q−G)を用いて1000mJ/cm2の光量で紫外線照射し、樹脂硬化物として硬化膜を作製した。得られた硬化膜を硬化膜1−2とした。
感光性樹脂組成物(p−2)から(p−9)についても上記と同様の方法で硬化膜を作製しそれぞれ硬化膜2−2から硬化膜9−2とした。
《樹脂硬化物の評価》
(4)耐クラック性評価
上記で作製した硬化膜1−1から硬化膜9−1を200℃の窒素雰囲気下のオーブン内に30分間置き、形状変化を確認した。形状変化がないものを○、クラック又はヒビが発生したものを×として評価した。
(5)硬度評価
上記で作製した硬化膜1−2から硬化膜9−2につき、テクロック・デュロメータ(テクロック製 GS−702N TYPE D)を用いて、硬度を測定した。測定値がShoreD 60以上のサンプルを○、60未満のものを×と評価した。
Figure 0005597060
Figure 0005597060
Figure 0005597060
本発明は、例えば、液晶ディスプレイ等のバックライト、照明、各種センサー、プリンター、コピー機等の光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等に使用できる発光ダイオードにおいて、発光素子をリード端子又はパッケージに固定するダイボンド材、アンダーフィル材、発光素子上のパッシベーション膜、パッケージ基板等に好適に適用できる。

Claims (6)

  1. ポリシロキサン化合物(a)50質量%以上90質量%以下と、シリカ粒子(b)10質量%以上50質量%以下とを含む反応成分が縮合されてなる構造を有する、シリカ粒子含有縮合反応物であって、
    前記ポリシロキサン化合物(a)が、下記一般式(2−1)で表されるシラン化合物又はその縮合物の1種以上、及び下記一般式(2−2)表されるシラン化合物又はその縮合物の1種以上:
    R2R3SiX22 (2−1)
    R2SiX23 (2−2)
    {式中、R2は、アクリロイル基、メタクリロイル基及びスチリル基からなる群から選択される光ラジカル重合可能な不飽和炭素結合基を含む有機基であり、R3は、水素原子又は炭素数1から20の有機基であり、X2は、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基及びアセトキシ基からなる群から選択される基であり、X2はそれぞれ同一でも異なっても構わない。}
    を含む重合成分の重合生成物であり、
    前記ポリシロキサン化合物(a)及び前記シリカ粒子(b)の総量100質量%基準で、前記一般式(2−1)で表されるシラン化合物の量が20.21質量%以上36.38質量%以下であり、かつ前記一般式(2−2)で表されるシラン化合物の量が21.60質量%以上38.88質量%以下であり、
    前記シリカ粒子(b)が平均一次粒子径1nm以上40nm以下を有する、シリカ粒子含有縮合反応物。
  2. 前記重合成分が、下記一般式(1):
    R1n1SiX14-n1 (1)
    {式中、R1は、水素原子又は炭素数1から20の有機基であり、n1は0から3の整数であり、X1は、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基及びアセトキシ基からなる群から選択される基であり、複数存在する場合のR1及びX1はそれぞれ同一でも異なっても構わない。}
    で表される1種類以上のシラン化合物又はその縮合物をさらに含む、請求項1に記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
  3. 前記シリカ粒子含有縮合反応物の粘度が、0.1ポイズ以上500ポイズ以下である、請求項1又は2に記載のシリカ粒子含有縮合反応物。
  4. 少なくとも、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリカ粒子含有縮合反応物(A)と、光ラジカル重合開始剤(B)とを含み、該シリカ粒子含有縮合反応物(A)の含有率が20質量%以上である、樹脂組成物。
  5. 請求項4に記載の樹脂組成物に、200から400nmの波長領域に主波長を有する光を照射することを含む、樹脂組成物の硬化方法。
  6. 前記照射後の生成物を更に130℃以上250℃以下でベークすることを含む、請求項5に記載の樹脂組成物の硬化方法。
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