JP2010235795A - 活性エネルギー線硬化性組成物およびその硬化物 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性組成物およびその硬化物 Download PDF

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三季 秋本
Hideaki Kuwano
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Abstract

【課題】 耐擦傷性を下げることなく、耐クラック性を発現し、さらに外観、密着性に優れた硬化物を短時間で得ることができる活性エネルギー線硬化性組成物を提供する。
【解決手段】 アルキルシリケート類及びオルガノシラン類の少なくとも一方を加水分解縮合して得られるシロキサン化合物、活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤、並びにアルコキシシリル基を含むラジカル重合性モノマーを30〜60モル%含むモノマーを重合してなる(メタ)アクリル系重合体を含有する活性エネルギー線硬化性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐擦傷性、耐クラック性に優れた透明な硬化物を短時間に形成可能な活性エネルギー線硬化性組成物及びこれを硬化して得られる被膜に好適な硬化物に関する。
近年、透明ガラスの代替として、耐破砕性、軽量性に優れるアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの透明プラスチック材料が広く使用されるようになってきた。しかし、透明プラスチック材料はガラスに比較して表面硬度が低いので、表面に傷を受け易いという問題を有している。これらの欠点を改良するために、表面にハードコート剤をコーティングすることが一般的に行われている。このハードコート剤としてはシリコン系塗料、メラミン系塗料などの熱硬化型ハードコート剤や、多官能アクリレート系などの活性エネルギー線硬化型ハードコート剤がある。これらの中で、熱硬化型シリコン系ハードコート剤が、より高い耐擦傷性を付与することが知られている。熱硬化型シリコン系ハードコートの形成方法としては、アルコキシシラン化合物からなるシリコン系組成物をプラスチック表面に塗布し、熱により硬化被膜を形成させる方法が報告されている。(特許文献1、2参照)
しかしながら、このような方法では、硬化被膜を形成するために数十分から数時間もの加熱時間が必要となり、生産性の点で問題がある。
この問題を解決するために、シロキサン骨格を有する直鎖型無機系オリゴマーとカチオン重合開始剤を必須成分とする組成物を、活性エネルギー線照射により硬化して無機系の保護被膜を形成する方法が提案されている(特許文献3参照)。しかし、このような無機系の被膜の形成においては、直鎖型の無機系オリゴマー(アルキルシリケート類)とカチオン重合開始剤からなる組成物が基板上にコーティングされ、さらに活性エネルギー線が照射されることで初めて架橋構造が形成されて硬化被膜となるので、短時間の活性エネルギー線照射のみでは十分な架橋構造が形成されず、被膜物性が発現されにくいという問題がある。特に、耐擦傷性の点で、十分な性能が発現されにくい。
また、カチオン重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化型シロキサン系コーティング材料は、硬化に際して短時間に急激な重縮合反応が起こり、その後も被膜中に残存する酸の触媒効果で、長期に亘り硬化収縮が起こる。それに伴って発生する応力で硬化被膜にクラックが発生しやすいという問題がある。
このようなクラックの発生しにくい組成として、カチオン重合性エポキシ基含有アルキルシリケート類と活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤を必須とする被覆用組成物も報告されている(特許文献4、5)。しかし、ガラスの代替として広く使われている透明プラスチックである、ポリメチルメタクリレート基材への密着性が発現しにくい、または、十分な耐擦傷性が得られないという問題がある。
また、耐クラック性に優れた組成物として、シロキサン骨格を有する無機系オリゴマーとアルコキシシリル基を含むアクリレート系重合体が提案されている(特許文献6)。しかしながら、これらの配合では耐クラック性は改善されるものの、耐擦傷性が充分ではない。
特開昭48−26822号公報 特開昭55−94971号公報 特開2001−348515号公報 特開2005−15581号公報 特開平11−35886号公報 特開2001−2992号公報
本発明の課題は、耐擦傷性を下げることなく、耐クラック性を発現し、さらに外観、密着性に優れ、短時間で得ることができる被膜の原料に好適な活性エネルギ−線硬化性組成物及びその硬化物を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定構造のシロキサン化合物と、活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤と、特定構造の(メタ)アクリル系重合体とを主成分とする組成物が、活性エネルギー線硬化性が良好で、耐擦傷性に優れ、且つ耐クラック性良好で、基材との密着性が高い透明保護被膜を短時間で与えることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は(A)一般式(1)で示されるアルキルシリケート類
Figure 2010235795
(式中R1、R2、R3、R4は独立して炭素数1〜5のアルキル基または、炭素数1〜4のアシル基を示し、nは3〜20のいずれかの整数を示す。)
及び一般式(2)で示されるオルガノシラン類
Figure 2010235795
(式中R5は炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、またはイソシアネート基を含有する有機基を示し、R6は炭素数1〜5のアルキル基、または、炭素数1〜4のアシル基を示し、aは1〜3の整数を示す。)
の少なくとも一方を加水分解縮合して得られるシロキサン化合物、
(B)活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤、
並びに
(C)アルコキシシリル基を含むラジカル重合性モノマーを30〜60モル%含むモノマーを重合してなる(メタ)アクリル系重合体
を含有する活性エネルギー線硬化性組成物にある。
また、本発明の要旨は前述の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物にある。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、耐擦傷性を下げることなく、耐クラック性を発現し、さらに外観、密着性に優れた硬化物を短時間で得ることができる。
本発明の被膜に好適な硬化物は、耐擦傷性を下げることなく、耐クラック性を発現し、さらに外観、密着性に優れ、短時間で得ることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に用いるシロキサン化合物(A)は、一般式(1)で示されるアルキルシリケート類と一般式(2)で示されるオルガノシラン類との少なくとも一方を加水分解・縮合して得られる加水分解・縮合物である。かかるシロキサン化合物は、アルキルシリケート類及びオルガノシラン類の少なくとも一方を予め加水分解・縮合することにより、分子間に架橋構造が形成された高分子量化されたオリゴマーであり、組成物における硬化性の向上と、得られる保護被膜に好適な硬化物の物性を向上させることができる。また、シロキサン化合物が高分子量化したオリゴマーであることにより、硬化時の重縮合による収縮とそれに伴い発生する応力を低減でき、その結果クラックの低減と、基材との被膜密着性を向上することができる。
上記シロキサン化合物(A)を形成する一般式(1)で表されるアルキルシリケート類において、式(1)中、R1、R2、R3、R4は独立して炭素原子数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基を示す。これらの基は、相互に同一でもよいし異なっていてもよい。nは、アルキルシリケート類の繰り返し単位の数を表し、3〜20のいずれかの整数である。nが3以上であれば、アルキルシリケート類の加水分解・縮合により得られるシロキサン化合物の分子量が大きく、得られる硬化性組成物の硬化性、成膜性の低下を抑制することができる。また、nが20以下であれば、加水分解・縮合の際にゲル化を抑制することができる。良好な硬化性、被膜物性が得られ、しかもゲル化の抑制し得ることの点から、nは4〜10(シリカ換算濃度:約51〜54質量%に相当)の整数であることが好ましい。ここで、シリカ換算濃度とは、アルキルシリケート質量とアルキルシリケート類を完全に加水分解し、縮合させた際に得られるSiO2の質量との比を意味する。
一般式(1)で示されるアルキルシリケート類としては、具体的に、R1〜R4がメチル基であるメチルシリケート、R1〜R4がエチル基であるエチルシリケート、R1〜R4がイソプロピル基であるイソプロピルシリケート、R1〜R4がn−プロピル基であるn−プロピルシリケート、R1〜R4がn−ブチル基であるn−ブチルシリケート、R1〜R4がn−ペンチル基であるn−ペンチルシリケート、R1〜R4がアセチル基であるアセチルシリケート等を例示することができる。これらのうち、入手が容易な点、加水分解速度が速い点から、メチルシリケート、エチルシリケートが好ましい。
上記シロキサン化合物(A)を形成する一般式(2)で表されるオルガノシラン類として、式(2)中、R5は炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、またはイソシアネート基を含有する有機基を示し、R6は炭素数1〜5のアルキル基、または、炭素数1〜4のアシル基を示し、aは1〜3のいずれかの整数を示す。式中、R5、R6が複数存在する場合、それらは相互に同一であっても異なっていてもよい。R6は、中でも製造が容易な点、加水分解速度が速い点から、メチル基、エチル基が好ましい。
一般式(2)で示されるオルガノシラン類としては、具体的に、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン等を挙げることができる。これらのうち、メチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランを好ましいものとして挙げることができる。本発明においては、これら1種または2種以上の混合物として使用できる。
上記一般式(1)で表されるアルキルシリケート類と一般式(2)で表されるオルガノシラン類の加水分解は、いずれの方法によるものであってもよく、例えば、上記アルキルシリケート類及び上記オルガノシラン類の少なくとも一方をアルコール類と混合し、更に、水をアルコキシル基1モルに対して、例えば0.25〜250モル程度加え、これに塩酸や酢酸などの酸を加えて溶液を酸性(例えばpH2〜5)とし、攪拌する方法によることができる。
また、上記アルキルシリケート類及び上記オルガノシラン類の少なくとも一方をアルコール類と混合し、さらに水をアルコキシル基1モルに対して、例えば0.25〜250モル程度加えて、例えば30〜100℃等に加熱する方法によることができる。加水分解に際して発生するアルコールは、系外に留去してもよい。加水分解に続く縮合は、加水分解状態にあるアルキルシリケート類やオルガノシラン類を放置することにより進行させることができる。その際、pHを中性付近(例えば、pH6〜7)に制御することにより、縮合の進行を速めることができる。縮合に際して発生する水は、系外に留去してもよい。
上記加水分解・縮合における一般式(1)で表されるアルキルシリケート類と一般式(2)で表されるオルガノシラン類とを併用する際の混合比率は、オルガノシラン類1モルに対して、アルキルシリケート類0.01〜1.0モルが好ましく、0.01〜0.1モルがより好ましい。
上記シロキサン化合物(A)の配合量は特に限定されないが、シロキサン化合物(A)及び(メタ)アクリル系重合体(C)の合計量(以下これらの合計量を「硬化性成分合計量」という)100質量%を基準として20質量%以上80質量%以下であることが好ましく、25質量%以上75質量%以下がより好ましい。
20質量%以上であれば、活性エネルギー線の照射によって十分に硬化し、良好な保護被膜に好適な硬化物が得られる傾向にある。また、80質量%以下であれば、耐クラック性を付与できる傾向にある。
本発明において使用する活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤(B)は、可視光線、紫外線、熱線、電子線などの活性エネルギー線によりカチオン重合反応を起こす開始剤である。可視光線、紫外線により酸を発生する光感応性カチオン重合開始剤、熱線により酸を発生する熱感応性カチオン重合開始剤が好ましい。これらのうち、活性が高い点、プラスチック材料に熱劣化を与えない点から、光感応性カチオン重合開始剤がより好ましい。
光感応性カチオン重合開始剤(B)としては、ジフェニルヨードニウム系化合物、トリフェニルスルホニウム系化合物、芳香族スルホニウム系化合物、ジアゾジスルホン系化合物等が挙げられる。具体例としては、上市されているイルガキュア250(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、製品名)、アデカオプトマーSP−150およびSP−170(旭電化工業(株)製、製品名)、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990およびサイラキュアUVI−6950(米国ユニオンカーバイド社製、製品名)、DAICATII(ダイセル化学工業(株)製、製品名)、UVAC1591(ダイセル・サイテック(株)製、製品名)、CI−2734、CI−2855、CI−2823およびCI−2758(日本曹達(株)製、製品名)、サイラキュアUVI−6992(ダウケミカル日本(株)製、製品名)、サンエイドSI−L85、SI−L110、SI−L145、SI−L150、SI−L160、SI−H15、SI−H20、SI−H25、SI−H40、SI−H50、SI−60L、SI−80LおよびSI−100L(三新化学工業(株)製、製品名)、CPI−100PおよびCPI−101A(サンアプロ(株)製、製品名)が挙げられる。光感応性カチオン重合開始剤(C)は1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
上記活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤(B)の配合量は特に限定されないが、硬化性成分合計量100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲内が好ましい。0.01質量部以上であれば、活性エネルギー線の照射によって十分に硬化し、良好な保護被膜に好適な硬化物が得られる傾向にある。また、10質量部以下であれば、硬化物について、着色が抑制され、表面硬度や耐擦傷性が良好となる傾向にある。
本発明において使用する、アルコキシシリル基を含むラジカル重合性モノマーを30〜60モル%含むモノマーを重合してなる(メタ)アクリル系重合体(C)は、上記シロキサン化合物(A)と活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤(B)の共存下で活性エネルギー線の照射により、(A)成分のシラノール基および/またはアルコキシル基と反応する化合物である。上記シロキサン化合物(A)のシロキサン系オリゴマーに、(C)を化学結合により導入して硬化物を形成することにより、得られる硬化物において、耐擦傷性を低下させることなく、耐クラック性を発現することができる。
このようなアルコキシシリル基を含むラジカル重合性モノマーを30〜60モル%含むモノマーを重合してなる(メタ)アクリル系重合体(C)(以下「(C)成分」ともいう)としては、具体的に、アルコキシシリル基とラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーとアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等で構成される。
アルコキシシリル基とラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーは、1分子中にアルコキシシリル基とラジカル重合性不飽和二重結合をおのおの1個以上有する化合物であれば、特に限定されない。また、アルコキシシリル基を加水分解した後に使用してもよい。アルコキシシリル基とラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーの具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシランなどのビニルアルコキシシラン類;
アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリプロポキシシラン、アリルトリブトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルジメチルエトキシシランなどのアリルアルコキシシラン類;ブテニルトリメトキシシラン、ブテニルトリエトキシシラン、ブテニルトリプロポキシシラン、ブテニルトリブトキシシラン、ブテニルメチルジメトキシシラン、ブテニルメチルジエトキシシラン、ブテニルジメチルメトキシシラン、ブテニルジメチルエトキシシランなどのブテニルアルコキシシラン類;
(3−アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)トリプロポキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)トリブトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)ジメチルエトキシシランなどの(3−アクリロイルオキシプロピル)アルコキシシラン類;(メタクリロイルオキシメチル)トリメトキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)トリエトキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)トリプロポキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)トリブトキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)メチルジメトキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)メチルジエトキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)ジメチルメトキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)ジメチルエトキシシランなどの(メタクリロイルオキシメチル)アルコキシシラン類;
(2−メタクリロイルオキシエチル)トリメトキシシラン、(2−メタクリロイルオキシエチル)トリエトキシシラン、(2−メタクリロイルオキシエチル)トリプロポキシシラン、(2−メタクリロイルオキシエチル)トリブトキシシラン、(2−メタクリロイルオキシエチル)メチルジメトキシシラン、(2−メタクリロイルオキシエチル)メチルジエトキシシラン、(2−メタクリロイルオキシエチル)ジメチルメトキシシラン、(2−メタクリロイルオキシエチル)ジメチルエトキシシランなどの(2−メタクリロイルオキシエチル)アルコキシシラン類;(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリプロポキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリブトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)ジメチルエトキシシランなどの(3−メタクリロイルオキシプロピル)アルコキシシラン類;
(スチリルエチル)トリメトキシシラン、(スチリルエチル)トリエトキシシラン、(スチリルエチル)トリプロポキシシラン、(スチリルエチル)トリブトキシシラン、(スチリルエチル)メチルジメトキシシラン、(スチリルエチル)メチルジエトキシシラン、(スチリルエチル)ジメチルメトキシシラン、(スチリルエチル)ジメチルエトキシシランなどの(スチリルエチル)アルコキシシラン類;などが挙げられる。これらは、1種あるいは2種以上を同時に使用してもよい。
これらの中で、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ブテニルトリメトキシシラン、ブテニルトリエトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−アクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)トリメトキシシラン、(メタクリロイルオキシメチル)トリエトキシシラン、(2−メタクリロイルオキシエチル)トリメトキシシラン、(2−メタクリロイルオキシエチル)トリエトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−メタクリロイルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(スチリルエチル)トリメトキシシラン、(スチリルエチル)トリエトキシシラン、が特に好ましい。
アクリル酸エステルの具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、ter−ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、ヘキサデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、2−メトキシプロピルアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、2−エトキシプロピルアクリレート、エトキシジプロピレングリコールアクリレート、エトキシポリプロピレングリコールアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルカルビトールアクリレート、ノニルフェニルアクリレート、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、n−ビニルピロリドン、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、グリシジルアクリレートなどのモノアクリレート類;
エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサングリコールジアクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパンなどのジアクリレート類;トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのトリアクリレート類;ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどのテトラアクリレート類;などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を同時に使用してもよい。
メタクリル酸エステルの具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、ter−ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヘプチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、エトキシジエチレングリコールメタクリレート、エトキシポリエチレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジプロピレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、2−メトキシプロピルメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、メトキシポリプロピレングリコールメタクリレート、2−エトキシプロピルメタクリレート、エトキシジプロピレングリコールメタクリレート、エトキシポリプロピレングリコールメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルカルビトールメタクリレート、ノニルフェニルメタクリレート、ノニルフェニルカルビトールメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、グリシジルメタクリレートなどのモノメタクリレート類;
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパンなどのジメタクリレート類;トリメチロールエタントリエタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどのトリメタクリレート類;などが挙げられる。これらは、1種または2種以上を同時に使用してもよい。
本発明において、アルコキシシリル基とラジカル重合性不飽和二重結合を有するモノマーは、(メタ)アクリル系重合体を構成する全モノマーに対して30〜60モル%含まれることが好ましく、35〜50モル%がより好ましい。アルコキシシリル基を有するモノマーが30モル%以上であれば、得られる硬化物において耐擦傷性を付与することができ、60モル%以下であれば、重合が安定しゲル化が起こりにくい。
本発明において、(C)成分のポリスチレン換算数平均分子量は、1,000以上200,000以下が好ましく、1,000〜50,000がより好ましい。分子量が1,000以上であれば、得られる硬化物において耐クラック性を有し、200,000以下であれば、被膜として形成したとき相分離に起因する外観不良などの発生を抑制することができる。
(C)成分の配合量は特に限定されないが、硬化性成分合計量100質量%を基準として20質量%以上80質量%以下であることが好ましく、25質量%以上75質量%以下がより好ましい。20質量%以上であれば、硬化物において十分な耐クラック性が得られ、80質量%以下であれば、充分な耐擦傷性を得ることができる。
(C)成分の合成方法は特に限定されるものではなく、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの重合方法が利用できる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物には、その他、必要に応じて、(C)成分以外のポリマー、(C)成分以外のポリマー微粒子、コロイダルシリカ、コロイド状金属、充填剤、染料、顔料、顔料分散剤、流動調整剤、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、ゲル粒子、微粒子粉などを含有してもよい。
使用しうるコロイダルシリカとしては、分散媒に分散させた一次粒子径が1〜200nmのコロイダルシリカを挙げることができ、具体的には、メチルエチルケトンに分散したコロイダルシリカ(日産化学工業(株)製MEK−ST)を挙げることができる。コロイダルシリカの分散媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの多価アルコール類及びその誘導体、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、トルエン、キシレンなどの非極性溶媒、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類及びその他一般溶剤類を挙げることができる。
このようなコロイダルシリカとしては市販されているものを使用することができ、また、コロダルシリカの表面をシランカップリング剤等で処理したものも適用することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、固形分濃度調整、分散安定性向上、塗布性向上、基材への密着性向上等を目的として、有機溶剤を含有することが好ましい。有機溶媒としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、セロソルブ類、芳香族化合物類などを挙げることができる。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−ブトキシエタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、グリセリンエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセテート、2−エチルブチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトン、2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2−フェノキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル
アセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記有機溶剤の含有量は、(A)〜(C)成分の固形分の合計100質量部に対して10〜1000質量部の範囲内が好ましい。上記有機溶剤の含有量が、(A)〜(C)成分の固形分の合計100質量部に対して10質量部以上であれば、組成物の保存安定性が良好となり、組成物を含有する液が高粘度となり良好な塗工膜の形成が困難となることを抑制することができる。また、上記有機溶剤の含有量が、(A)〜(C)成分の固形分の合計100質量部に対して1000質量部以下であれば、硬化物として被膜を形成した場合、充分な厚さを有する被膜を得ることができ、優れた耐擦傷性を得ることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、一次成形体を成形し、活性エネルギー線を照射して硬化物を得ることができる。一次成形体としては、フィルム状等各種形状を有するものであってもよいが、上記のように有機溶媒を含有した液状の組成物とし、基材、例えば、プラスチック基材の表面に、これを用いて成形した塗工膜を好ましいものとして挙げることができる。
本発明の被膜に好適な硬化物は、上記活性エネルギー線硬化性組成物を硬化して得られるものであり、上記活性エネルギー線硬化性組成物を用い、基材表面に塗工膜を形成し硬化して得ることができる。
上記塗工膜を成形するには、スプレーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソコート法、スクリーン、スピンコート法、フローコート法、静電塗装、浸漬法等を使用することができる。
上記塗工膜の硬化に用いる活性エネルギー線としては、真空紫外線、紫外線、可視光線、近赤外線、赤外線、遠赤外線、マイクロ波、電子線、β線、γ線などを挙げることができる。これらのうち、紫外線、可視光線を、光感応性の重合開始剤と組み合わせて使用することが、重合速度が速い点、基材の劣化が比較的少ない点から好ましい。具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、白熱電球、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、蛍光灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマーレーザー、太陽などを光源とする活性エネルギー線を挙げることができる。これらの活性エネルギー線は、一種類を単独で使用してもよく、異なるものを複数種使用してもよい。異なる複数種の活性エネルギー線を使用する場合は、同時に照射しても、順番に照射することもできる。
本発明の硬化物を被膜とする場合、被膜の厚さとして、例えば、0.5〜100μm等を挙げることができる。
本発明の被膜を設ける基材としては、有機質、無機質を問わず、各種プラスチック、金属、紙、木質材、無機質材、電着塗装板、ラミネート板等の様々な基材を挙げることができる。特にプラスチック基材、具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメタクリルスチレン等に好適である。
また、上記基材には、被膜との接着性を向上させるため、プライマー層を形成することもできる。プライマー層としては、光ラジカル重合性ビニル系化合物と光ラジカル重合開始剤を含有する組成物を光硬化させて得られる層が好ましい。より具体的には、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する多官能(メタ)アクリレートと活性エネルギー線感応性ラジカル重合開始剤を含む組成物で形成したプライマー層などを例示す
ることができる。
以下、本発明について実施例を用いて詳述する。
[合成例1]
シロキサン化合物(A1)の合成
アルキルシリケート類としてシリカ換算濃度53質量%のメチルシリケート(コルコート株式会社製、平均約7量体、平均分子量約789、商品名メチルシリケート53A)10.0g、メチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量136)20.0gに、イソプロピルアルコール10.0gを加え、攪拌して均一な溶液とした。さらに、水10.0gを加え、攪拌しつつ80℃で3時間加熱し、加水分解−縮合を行った。その後25℃まで冷却し、24時間攪拌して縮合を進行させた。さらに、γ−ブチロラクトンを加えて全体を76.0gとし、固形分濃度20質量%のシロキサン化合物(A1)の溶液を得た。なお、ここでの固形分濃度とは、完全に加水分解・縮合させたと仮定した際に得られるシロキサン化合物の溶液全体に対する質量百分率を意味する。
[合成例2]
シロキサン化合物(A2)の合成
オルガノシラン類としてメチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量136)54.0g、フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量198)6.0gに、イソプロピルアルコール45.0gを加え、攪拌して均一な溶液とした。さらに、水45.0gを加え、攪拌しつつ80℃で3時間加熱し、加水分解・縮合を行った。その後25℃まで冷却し、24時間攪拌して縮合を進行させ、固形分濃度20質量%のシロキサン化合物(A2)の溶液150gを得た。
[合成例3]
メタクリル系重合体(C1)の合成
110℃に加熱した1−メトキシ−2−プロパノール(以下「PGM」という)55.3gに、ブチルアクリレート7.6gメチルメタクリレート26.6g、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン 65.9g、PGM28.8g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下「AIBN」という)1.0gからなる混合液を5時間かけて滴下ロートより連続的に滴下した。滴下終了後、AIBN0.5gをPGM15.8gに溶かした溶液を1時間かけて添加し、添加後さらに2時間かけて重合反応を進めた。この時の重合転化率は97%であった。これをさらにトルエンで希釈し、固形分濃度50質量%の加水分解性シリル基含有メタクリル系共重合体(C1)を得た。得られた共重合体(C1)の数平均分子量は15,000であった(GPC法による)。
[合成例4]
メタクリル系重合体(C2)の合成
110℃に加熱したPGM55.3gに、ブチルアクリレート32.2g、メチルメタクリレート5.6g、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン62.3g、PGM28.8g、AIBN1.0gからなる混合液を5時間かけて滴下ロートより連続的に滴下した。滴下終了後、AIBN0.5gをPGM15.8gに溶かした溶液を1時間かけて添加し、添加後さらに2時間かけて重合反応を進めた。この時の重合転化率は97%であった。これをさらにトルエンで希釈し、固形分濃度50質量%の加水分解性シリル基含有メタクリル系共重合体(C2)を得た。得られた共重合体(C2)の数平均分子量は15,000であった(GPC法による)。
[合成例5]
メタクリル系重合体(C3)の合成
110℃に加熱したPGM55.3gに、ブチルアクリレート24.2g、メチルメタクリレート75.8g、AIBN1.0gからなる混合液を5時間かけて滴下ロートより連続的に滴下した。滴下終了後、AIBN0.5gをPGM15.8gに溶かした溶液を1時間かけて添加し、添加後さらに2時間かけて重合反応を進めた。この時の重合転化率は97%であった。これをさらにトルエンで希釈し、固形分濃度50質量%のメタクリル系共重合体(C3)を得た。得られた共重合体(C3)の数平均分子量は15,000であった(GPC法による)。
なお、合成例3〜5のモル比を表1に示す。
Figure 2010235795
[合成例6]
表面修飾コロイダルシリカ(D1)の合成
撹拌子及びコンデンサーを備えた300mlナス型フラスコに、コロイド状シリカとしてイソプロピルアルコール分散コロイド状シリカ(スノーテックスIPA−ST−L)100g(固形分30g)、オルガノアルコキシシランとしてメチルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、分子量136)6.8g(0.05モル)、純水5.4g(0.3モル)及びイソプロピルアルコール54.5gを仕込み、ウォーターバスを用いて80℃で3時間、加熱・撹拌して加水分解・縮合を行い、縮合物(D1)の20質量%溶液を得た。
[実施例1]
[コーティング用組成物の調製]
(A)成分として合成例1で得たシロキサン化合物(A1)の固形分濃度20質量%溶液250g(固形分50g)に、(B)成分として光感応性酸発生剤(三新化学工業(株)製、サンエイドSI−100L):4.0g(固形分2.0g)、(C)成分として合成例3で得たメタクリル系重合体(C1)の固形分濃度50質量%溶液100g(固形分50g)を配合し、レベリング剤としてシリコン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7001):0.01gを混合し、コーティング用組成物を得た。
[被膜の形成]
このコーティング用組成物を、長さ10cm、幅10cm、厚さ3mmのアクリル板(三菱レイヨン株式会社製、商品名アクリライトEX)上に適量滴下し、バーコーティング法(バーコーターNo.28使用)にて塗布し、乾燥機にて60℃で10分間乾燥した。
[被膜の硬化]
さらに、高圧水銀灯(株式会社オーク製作所製、紫外線照射装置、ハンディーUV−1200、QRU−2161型)にて、約1,000mJ/cm2の紫外線を照射し、膜厚約5μmの硬化被膜を得た。なお、紫外線照射量は、紫外線光量計(株式会社オーク製作所製、UV−351型、ピーク感度波長360nm)にて測定した。
[被膜の評価]
得られた硬化被膜(保護被膜)を、以下の方法により評価した。
1)外観
目視にて硬化被膜を有するアクリル板の透明性、白化の有無を観察し、以下の基準により評価した。
○:透明で、白化の欠陥の無いもの(良好)。
×:不透明な部分のあったもの、白化等の欠陥があったもの(不良)。
2)膜厚
Metricon社製MODEL 2010 PRISM COUPLERにて測定。
3)被膜密着性
アクリル板表面の硬化被膜へ、カミソリの刃で1mm間隔に縦横11本ずつの切れ目を入れて100個のマス目を作り、セロハンテープを良く密着させた後、45度手前方向に急激に剥がし、硬化被膜が剥離せずに残存したマス目数を計測して、以下の基準で評価した。
○:剥離したマス目がない(密着性良好)。
△:剥離したマス目が1〜5個(密着性中程度)。
×:剥離したマス目が6個以上(密着性不良)。
4)耐擦傷性
硬化被膜を有するアクリル板の表面を、#0000スチールウールで、9.8×104Paの圧力を加えて10往復擦り、1cm×3cmの範囲に発生した傷の程度を観察し、以下の基準で評価した。
A:ほとんど傷が付かない。
B:1〜9本のキズが付く。光沢面あり。
C+:10〜49本のキズが付く。光沢面あり。
C−:50〜99本のキズが付く。光沢面あり。
D:100本以上のキズが付く。光沢面あり。
E:光沢面が無くなる。
5)耐クラック性
アクリル板に塗工した硬化被膜を温度90℃の熱水に2時間放置して、クラックの発生状況を目視で確認した。
○:クラックの発生なし。
×:クラックの発生あり。
その結果、本実施例の硬化被膜は、耐擦傷性、耐クラック性、良好な外観、被膜密着性を有していた。結果を表1に示す。
[実施例2〜5及び比較例1〜4]
硬化性組成物として表2、表3に記載のものを用いること以外は実施例1と同様にして硬化被膜を得た。評価結果を表2、表3に示す。
Figure 2010235795
Figure 2010235795
表2、3中の略号は、以下の通りである。
A1:合成例1で得られたシロキサン化合物
A2:合成例2で得られたシロキサン化合物
SI−100L:光感応性酸発生剤(三新化学工業(株)製、サンエイドSI−100L)
C1:合成例3で得られたメタクリル系重合体
C2:合成例4で得られたメタクリル系重合体
C3:合成例5で得られたメタクリル系重合体
C4:M−4006(根上工業株式会社製、MMA=100%、分子量30000〜60000)
D1:合成例6で得られた表面修飾コロイダルシリカ
L−7001:シリコン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング(株)製、L−7001)

Claims (2)

  1. (A)一般式(1)で示されるアルキルシリケート類
    Figure 2010235795
    (式中R1、R2、R3、R4は独立して炭素数1〜5のアルキル基または、炭素数1〜4のアシル基を示し、nは3〜20のいずれかの整数を示す。)
    及び一般式(2)で示されるオルガノシラン類
    Figure 2010235795
    (式中R5は炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、またはイソシアネート基を含有する有機基を示し、R6は炭素数1〜5のアルキル基、または、炭素数1〜4のアシル基を示し、aは1〜3の整数を示す。)
    の少なくとも一方を加水分解縮合して得られるシロキサン化合物、
    (B)活性エネルギー線感応性カチオン重合開始剤、
    並びに
    (C)アルコキシシリル基を含むラジカル重合性モノマーを30〜60モル%含むモノマーを重合してなる(メタ)アクリル系重合体
    を含有する活性エネルギー線硬化性組成物。
  2. 請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物。
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