JP7180583B2 - 表面処理シリカ粒子及びその分散体、並びに表面処理シリカ粒子粉体の製造方法 - Google Patents

表面処理シリカ粒子及びその分散体、並びに表面処理シリカ粒子粉体の製造方法 Download PDF

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本発明は、光硬化性コーティング組成物に導入可能な表面処理シリカ粒子及びその分散体、並びに表面処理シリカ粒子粉体の製造方法に関する。
光硬化性のコーティング組成物は、硬化時間が短く、低温で硬化可能なことから、透明プラスチック材料のコーティングに広く用いられている。プラスチック材料は、ガラスに比して表面硬度が低く、表面に傷を受けやすい。従って、用いられる光硬化性コーティング膜には高い耐擦傷性・耐摩耗性が求められる。
コーティング膜の耐擦傷性を改善する手法として、光硬化性コーティング組成物へのシリカ粒子の添加が提案されており、特に5~200nm程度の小粒径シリカの表面を有機化合物で処理したシリカでは、塗料への分散性や、硬化膜の透明性・耐擦傷性が良好になることが知られている(特許文献1~5)。
これまでにシリカ粒子表面を種々の有機化合物で処理することで耐擦傷性の改善が検討されているが、多くの場合は、水ガラス法によって作製されたコロイダルシリカの水分散液が原料として用いられている。
一方、上記用途に従来使用されているイオン交換法シリカは、一般的にケイ酸ナトリウム水溶液を部分的にイオン交換することにより製造されるシリカであり、一定量のアルカリ金属成分を含むことが多く、電子材料用コーティング用途には適さない場合がある。
また、上記のようなシリカ材料は、通常溶媒に分散された状態でコーティング剤に添加される。シリカ分散液の状態でコーティング液に添加する場合、必然的に有効成分が少なくなるために高濃度にシリカを導入することが困難であるし、分散媒とコーティング液の相溶性などを考慮せねばならないことが問題になる場合が多い。しかしながら、溶媒を取り除いた状態では粒子が凝集し、コーティング液に再分散させることが非常に困難である。
以上のことから、有機溶媒或いは光反応性の液状化合物に再分散可能な表面処理シリカ粒子の開発が当該分野では求められている。
特開2017-132975号公報 特許第6189547号公報 特許第3999285号公報 特許第3436492号公報 国際公開第2017/111094号
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光硬化性コーティング組成物の硬化膜に良好な耐擦傷性改善効果を与え、且つ有機溶媒又は光反応性の液状化合物に再分散可能な表面処理シリカ粒子及びその分散体、並びに表面処理シリカ粒子粉体の製造方法、表面処理シリカ粒子を含む光硬化性組成物及びその硬化物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、シリカ粒子としてゾルゲルシリカ粒子を採用し、このゾルゲルシリカ粒子の表面を所定の(メタ)アクリル基を有する有機ケイ素化合物で処理した場合に、塗料等の硬化性組成物に再分散可能であり、且つ硬化膜に高い耐擦傷性改善効果を与える表面処理シリカ粒子が得られることを見出し、本発明をなすに至った。なお、本発明において、「(メタ)アクリル基」とは、「アクリル基」又は「メタクリル基」を意味する。
従って、本発明は、
1. ゾルゲルシリカ粒子の表面が、
下記式(1)で表される有機ケイ素化合物及びその加水分解物のうちの少なくとも1種:ゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して2質量部以上と、
下記式(2)で表されるオルガノシラザン化合物及び下記式(3)で表されるオルガノシラン化合物のうちの少なくとも1種と
により被覆処理された表面処理シリカ粒子、
Figure 0007180583000001
(式中、R1は水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基であり、R2は炭素原子数1~20のアルキレン基であり、R3はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基であり、X1はハロゲン原子である。)
Figure 0007180583000002
(式中、R4はそれぞれ独立に炭素原子数1~20の1価炭化水素基である。)
Figure 0007180583000003
(式中、R5は炭素原子数1~20の1価炭化水素基であり、R6はそれぞれ独立に水酸基、アミノ基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、又はアシルオキシ基である。)
2. 更に、下記式(4)で表されるオルガノシラン化合物の1種以上によって表面処理された1記載の表面処理シリカ粒子、
Figure 0007180583000004
(式中、R7はそれぞれ独立に炭素原子数1~20の1価炭化水素基であり、X2はハロゲン原子である。)
3. ナトリウム含有量が100質量ppm以下である1又は2記載の表面処理シリカ粒子、
4. 1~3のいずれかに記載の表面処理シリカ粒子が有機溶媒に分散した表面処理シリカ粒子分散体、
5. 表面処理シリカ粒子の体積基準の粒度分布におけるメジアン径が1~170nmである4記載の表面処理シリカ粒子分散体、
6. 表面処理シリカ粒子の体積基準の粒度分布におけるD90/D10の値が5.0以下である4又は5記載の表面処理シリカ粒子分散体、
7. 1~3のいずれかに記載の表面処理シリカ粒子を含む光硬化性組成物、
8. 7記載の光硬化性組成物を硬化させてなる硬化物、
9. (A1)下記式(5)で表されるシラン化合物、その(部分)加水分解縮合物又はこれらの混合物を塩基性物質の存在下で親水性有機溶媒及び水の混合溶媒中で加水分解・縮合することによってゾルゲルシリカ粒子の分散液を得る工程と、
Figure 0007180583000005
(式中、R8はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1~6の1価炭化水素基である。)
(A2)前記ゾルゲルシリカ粒子分散液に、下記式(2)で表されるオルガノシラザン化合物及び下記式(3)で表されるオルガノシラン化合物のうちの少なくとも1種を添加して前記ゾルゲルシリカ粒子の表面を被覆処理して第1の表面処理シリカ粒子を形成し、この第1の表面処理シリカ粒子の分散液の分散媒を非プロトン性有機溶媒で置換する工程と、
Figure 0007180583000006
(式中、R4はそれぞれ独立に炭素原子数1~20の1価炭化水素基である。)
Figure 0007180583000007
(式中、R5は炭素原子数1~20の1価炭化水素基であり、R6はそれぞれ独立に水酸基、アミノ基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、又はアシルオキシ基である。)
(A3)工程(A2)で得られた前記第1の表面処理シリカ粒子の非プロトン性有機溶媒分散液に、下記式(1)で表される有機ケイ素化合物及びその加水分解物のうちの少なくとも1種:前記ゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して2質量部以上を添加して、前記第1の表面処理シリカ粒子を更に被覆処理して第2の表面処理シリカ粒子を形成し、この第2の表面処理シリカ粒子の非プロトン性有機溶媒分散液を得る工程と、
Figure 0007180583000008
(式中、R1は水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基であり、R2は炭素原子数1~20のアルキレン基であり、R3はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基であり、X1はハロゲン原子である。)
(A4)工程(A3)で得られた、第2の表面処理シリカ粒子の非プロトン性有機溶媒分散液中の非プロトン性有機溶媒及び揮発性成分を取り除いて、第2の表面処理シリカ粒子を粉体として得る工程と
を有する表面処理シリカ粒子粉体の製造方法、
10. 工程(A3)において、更に、下記式(4)で表されるシラン化合物の1種以上を添加して前記第1の表面処理シリカ粒子を被覆処理する9記載の表面処理シリカ粒子粉体の製造方法、
Figure 0007180583000009
(式中、R7はそれぞれ独立に炭素原子数1~20の1価炭化水素基であり、X2はハロゲン原子である。)
11. 工程(A4)で得られた表面処理シリカ粒子粉体のナトリウム含有量が100質量ppm以下である9又は10記載の表面処理シリカ粒子粉体の製造方法
を提供する。
本発明によれば、塗料等への分散性に優れた表面処理シリカ粒子を提供することができるため、当該シリカ粒子を塗料等に添加することで、塗料の増粘や透明性の低下を抑え、優れた耐擦傷性が付与された硬化膜を得ることが可能である。
本発明で得られる表面処理シリカ粒子は、粉体の状態から塗料等に再分散可能であり、シリカ分散液の状態で添加する場合と比較して高濃度にシリカを導入することが可能である。また、分散媒と塗料との相溶性や液組成の変化などを考慮する必要がない。
加えて、本発明の表面処理シリカ粒子は、アルカリ金属成分をほとんど含まないことから、これを配合した組成物の硬化膜は、アルカリ金属による汚染の心配が少なく、予期せぬ性能低下等の予防や、更なる耐擦傷性の向上が可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。
[表面処理シリカ粒子]
本発明の表面処理シリカ粒子は、
ゾルゲルシリカ粒子の表面が、
下記式(1)で表される有機ケイ素化合物及びその加水分解物のうちの少なくとも1種と、
下記式(2)で表されるオルガノシラザン化合物及び下記式(3)で表されるオルガノシラン化合物のうちの少なくとも1種と
により被覆処理された表面処理シリカ粒子である。
Figure 0007180583000010
(式中、R1は水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基であり、R2は炭素原子数1~20のアルキレン基であり、R3はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基であり、X1はハロゲン原子である。)
Figure 0007180583000011
(式中、R4はそれぞれ独立に炭素原子数1~20の1価炭化水素基である。)
Figure 0007180583000012
(式中、R5は炭素原子数1~20の1価炭化水素基であり、R6はそれぞれ独立に水酸基、アミノ基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、又はアシルオキシ基である。)
<ゾルゲルシリカ粒子>
本発明で用いられるゾルゲルシリカ粒子は、4官能性シラン化合物及び/又はその(部分)加水分解縮合生成物を加水分解及び縮合することによって得られ、実質的にSiO2単位からなる。
本発明において、ゾルゲルシリカ粒子が「実質的にSiO2単位からなる」とは、該粒子は基本的にSiO2単位から構成されているが、この単位のみから構成されているわけではなく、少なくとも表面に通常知られているようにシラノール基を多数有することを意味する。また、場合によっては、原料である4官能性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合生成物に由来する加水分解性基(ヒドロカルビルオキシ基)が一部シラノール基に転化されずに若干量そのまま粒子表面や内部に残存していてもよいことを意味する。
本発明で用いられるゾルゲルシリカ粒子は、加水分解縮合に用いる原料テトラアルコキシシラン等のテトラオルガノキシシランのオルガノキシ基炭素原子数が小さいシランを用いること、溶媒として炭素原子数の小さいアルコールを用いること、加水分解温度を高めること、テトラオルガノキシシランの加水分解時の濃度を低くすること、加水分解触媒の濃度を低くすることなど、反応条件を変更することで適宜粒子径を調整することができる。
上記のように、本発明は、テトラオルガノキシシラン、特にテトラアルコキシシラン等の4官能性シラン化合物の加水分解によって得られる小粒子径のゾルゲル法シリカ粒子を用いるものであり、ケイ酸ナトリウム水溶液をイオン交換して得られるイオン交換法シリカとは区別される。
ゾルゲル法シリカとイオン交換法シリカを区別する方法として、シロキサン単位におけるQ単位(下記式で示されるQ1~Q4単位を含む4官能性シロキサン単位)全体に占めるQ4単位の割合の比較や、アルカリ金属成分の比較が有効である。
Figure 0007180583000013
(Xは、水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基である。)
なお、シロキサンのQ単位全体に占めるQ4単位の割合は、29Si-NMR測定により求めることができ、-80~-130ppmのピーク面積(Q)に対する-105~-130ppmのピーク面積(Q4)の割合(Q4/Q)として求めることができる。本発明で用いるゾルゲル法シリカは、シリカ内部に未反応のアルコキシ基、シラノール基を多く有しているため、Q4/Qは通常0.8以下の値をとる。(Q4/Q)は0.2~0.8がより好ましく、0.55~0.75が更に好ましい。(Q4/Q)が0.2~0.8であるとき、本発明のシリカ分散液を含む硬化性組成物の耐擦傷性が良好となる。
また、ピーク面積(積分値)とは、化学シフト値(百万分率(ppm))に対してシグナル強度をプロットした際の面積のことをいう。求積は特定の基準のS/N比によって閾値を設けることが好ましい。S/N比は5以上が好ましく、より好ましくは10以上、更に好ましくは20以上である。5未満である場合はベースラインが太くなり、積分の精度が悪くなるため好ましくないことがある。積分は電子計算機によるシンプソン法などで求めてもよく、またスペクトルを表示した均一な平面密度を有する印刷媒体をスペクトル形状に切断して、質量を計測することによって求めてもよい。
29Si核磁気共鳴分光法は、固体及び液体のいずれにおいて実施してもよいが、固体核磁気共鳴分光法では、測定試料の前処理として乾固する必要があり、必ずしも試料中でのケイ素の結合状態を反映したものであるとは限らない。従って、液体状態の核磁気共鳴分光法によって確認することが好ましい。この際に、29Si核は、負の磁気回転比(γB)を有しているために、核オーバーハウザー効果が逆となり、共鳴核の周囲に存在する核磁気緩和を抑制する。従って、負の核オーバーハウザー効果が顕著とならないような測定条件が好ましい。
パルス-フーリエ変換型核磁気共鳴の場合では、適切なパルスシークエンスを用いることによってこの問題を解決できる。例えば、オフレゾナンス型のパルスシークエンスを用いることが好ましい。液体29Si核磁気共鳴分光法では、試料管及びプローブにケイ素を含有しない素材を用いて測定することが好ましい。ケイ素を含有しない核磁気共鳴分光法に使用可能な素材としてポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))を例示することができる。液体29Si核磁気共鳴分光法では、測定時間の短縮のために適切な緩和剤を用いることができる。緩和剤としては公知の試薬等(例えば、Organometallics誌、2008年、27巻、4号、500-502頁及びreferences therein)が利用できる。特に、クロム(III)アセチルアセトナートは有機溶媒への溶解性にも優れており、酸化チタンの凝集を起こすこともないので優れている。例えば、クロム(III)アセチルアセトナートを重クロロホルム(クロロホルム-d3)に1mol・dm-3程度の濃度で溶解した溶液を緩和剤として数滴使用することによって、緩和効果と重水素ロック効果の双方が得られるため好ましい。
共鳴磁場の表記は、テトラメチルシランの29Si核の共鳴を基準とした際の共鳴磁場との差異を百万分率(ppm)で表したものとして表現することができる。この表記に従った場合、Q単位は-80~-130ppm、T単位(XSiO3/2(Xは上記と同じである。以下、同じ。))は-30~-80ppm、D単位(X2SiO2/2)は-10~-30ppm、M単位(X3SiO1/2)は-10~15ppmの範囲に検出できることが多い。表記上の負の値は、共鳴磁場が基準線よりも高磁場側に差異があることを示している。共鳴線の幅は測定に用いる核磁気共鳴装置の磁場の強さに依存しており、上記の好ましい共鳴線の範囲は一例として11.75T(テスラ)の磁場を印加した場合の値である。核磁気共鳴装置に用いることのできる磁場は5T以上20T以下が好ましく、より好ましくは8T以上15T以下、更に好ましくは10T以上13T以下である。磁場が5T未満である場合は、S/N比が小さくなることによって測定が難しくなる場合があり、磁場が20Tを超える場合は共鳴装置が大掛かりなものとなって測定が難しくなる場合がある。
シリカ粒子の一次粒子径は、電子顕微鏡法を用いて直接粒子の形状を観測するか、ガス吸着法によって求められる粒子の表面積から求めることができる。また、二次粒子径は、レーザー光を用いた動的光散乱法によって求めることができる。粒子の凝集が全くなく、一次粒子径と二次粒子径がほぼ等しい場合を除き、粒子を含む分散液や硬化物の透明性は二次粒子径に大きく影響を受けるため、本発明におけるシリカ粒子の粒子径は、レーザー光を用いた動的光散乱法によって求める二次粒子径を用いる。動的光散乱法を用いた測定装置としては、ナノトラックUPA-EX150(日機装(株)製)、Partica LA-960((株)堀場製作所製)等を用いることができる。
本発明で用いられるゾルゲルシリカ粒子は、体積基準の粒度分布における累積50体積%となる粒子径であるメジアン径(D50)が0.5~169nmが好ましく、より好ましくは4~149nm、特に好ましくは9~99nmである。D50が0.5nm以上の場合は耐擦傷性が良好となるため好ましく、D50が169nm以下の場合は、シリカを光硬化性組成物に添加した場合の硬化膜の透明性が良好となるため好ましい。
本発明で用いられるゾルゲルシリカ粒子は、体積基準の粒度分布において、粒子径の小さい側から累積10体積%となる粒子径をD10、累積90体積%となる粒子径をD90としたとき、D90/D10の値は4.5以下が好ましく、3.5以下がより好ましく、3.0以下が更に好ましい。下限値は特に制限されないが、1以上が好ましい。このD90/D10が4.5以下であることは、その粒度分布が狭いことを表す。このような粒度分布であると、分散液の透明性・流動性を制御することが容易になる点で好ましく、またシリカを光硬化性組成物に添加した場合において、硬化膜中に同じ粒径の粒子が組み込まれることで硬化膜の耐擦傷性や耐クラック性が向上する点で好ましい。
<表面処理用オルガノシラザン化合物、オルガノシラン化合物>
本発明で用いられるゾルゲルシリカ粒子は、下記式(2)で表されるオルガノシラザン化合物及び下記式(3)で表されるオルガノシラン化合物のうちの少なくとも1種によって表面被覆される(第1の表面処理シリカ粒子)。これらの化合物により被覆することで後述する非プロトン性有機溶媒に対する分散安定性が向上する。
Figure 0007180583000014
上記式(2)中、R4はそれぞれ独立に炭素原子数1~20の1価炭化水素基であり、好ましくは炭素原子数1~4、特に好ましくは1~2の1価炭化水素基である。R4で表される1価炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル等のアルキル基等が挙げられ、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピルであり、特に好ましくは、メチル基、エチル基である。また、これらの1価炭化水素基の水素原子の一部又は全部が、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、好ましくはフッ素原子で置換された、例えばトリフルオロプロピル基等であってもよい。
式(2)で示されるオルガノシラザン化合物の具体例としては、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ヘキサプロピルジシラザン、ヘキサブチルジシラザン等が挙げられ、好ましくはヘキサメチルジシラザンである。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(3)中、R5は炭素原子数1~20の1価炭化水素基であり、好ましくは炭素原子数1~4、特に好ましくは1~2の1価炭化水素基である。R5で表される1価炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル等のアルキル基等が挙げられ、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピルであり、特に好ましくは、メチル基、エチル基である。また、これらの1価炭化水素基の水素原子の一部又は全部が、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、好ましくはフッ素原子で置換された、例えばトリフルオロプロピル基等であってもよい。
6はそれぞれ独立に、水酸基、アミノ基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、又はアシルオキシ基であり、特に好ましくは炭素原子数1~4のアルコキシ基である。
式(3)で示される化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン類等が挙げられる。好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、より好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシランであり、これらの部分加水分解縮合生成物も好ましい例として挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(2)及び(3)で表される化合物のうちの少なくとも1種の使用量は、非プロトン性有機溶媒への分散安定性及びゾルゲルシリカ表面と後述する式(1)で表される(メタ)アクリル基を有する有機ケイ素化合物との反応点を確保する観点から、被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して5~50質量部であり、好ましくは10~40質量部、特に好ましくは15~30質量部である。
上記式(2)及び(3)の化合物の両方を用いる場合は、例えば、式(2)の化合物/式(3)の化合物が質量比で1/20~1/5の割合となるように用いることが好ましい。
<表面処理用有機ケイ素化合物>
本発明で用いられるゾルゲルシリカ粒子は、更に、下記式(1)で示される有機ケイ素化合物によって表面被覆される(第2の表面処理シリカ粒子)。すなわち、下記式(1)の(メタ)アクリル基を有する有機ケイ素化合物を加水分解してシラノール化合物とし、これを用いてシリカ粒子を処理してシリカ粒子表面のシラノール基と脱水縮合反応させることにより、あるいは上記化合物を加水分解せずに用いて、上記化合物のハロゲン原子とシリカ表面のシラノール基とを脱ハロゲン化水素縮合反応させる。
Figure 0007180583000015
式(1)中、R1は水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基である。アルキル基としては、直鎖、分岐鎖、環状のいずれでもよく、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられるが、炭素原子数1~3のものが好ましく、保存安定性や光重合性のバランスを考慮した場合、R1は水素原子又はメチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
2は炭素原子数1~20のアルキレン基である。アルキレン基としては、直鎖、分岐鎖、環状のいずれでもよく、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、シクロへキシレン基等が挙げられるが、炭素原子数が多い場合(炭素原子数8以上)では表面処理シリカ粒子を有機溶媒や樹脂組成物に分散した際の流動性、保存安定性が特に良好となり、炭素原子数が少ない場合(炭素原子数3以下)では硬化膜に導入した際の耐擦傷性の向上に特に効果的である。
3はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基である。アルキル基としては、R1について例示したものと同じものが挙げられるが、炭素原子数1~3のものが好ましく、これらの中でも、立体障害の小さいメチル基がシリカ表面との反応を阻害しないために特に好ましい。
1はハロゲン原子であり、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子等が挙げられる。これらの中でもシリカ表面への反応性、試薬の入手容易性、保存安定性等を考慮すると、特に塩素原子が好ましい。
上記の(メタ)アクリル基を有する有機ケイ素化合物としては、下記式で表される化合物が好ましい。
Figure 0007180583000016
(式中、R3は前記と同じである。)
(メタ)アクリル基を有する有機ケイ素化合物の具体例としては、例えば、
1-(メタ)アクリロイルオキシメチルジメチルクロロシラン、
1-(メタ)アクリロイルオキシメチルジエチルクロロシラン、
1-(メタ)アクリロイルオキシメチルジプロピルクロロシラン、
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルクロロシラン、
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジエチルクロロシラン、
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジプロピルクロロシラン、
3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルクロロシラン、
3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルジエチルクロロシラン、
3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルジプロピルクロロシラン、
4-(メタ)アクリロイルオキシブチルジメチルクロロシラン、
4-(メタ)アクリロイルオキシブチルジエチルクロロシラン、
4-(メタ)アクリロイルオキシブチルジプロピルクロロシラン、
5-(メタ)アクリロイルオキシペンチルジメチルクロロシラン、
5-(メタ)アクリロイルオキシペンチルジエチルクロロシラン、
5-(メタ)アクリロイルオキシペンチルジプロピルクロロシラン、
6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジメチルクロロシラン、
6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジエチルクロロシラン、
6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジプロピルクロロシラン、
7-(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジメチルクロロシラン、
7-(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジエチルクロロシラン、
7-(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジプロピルクロロシラン
8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルジメチルクロロシラン、
8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルジエチルクロロシラン、
8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルジプロピルクロロシラン、
9-(メタ)アクリロイルオキシノニルジメチルクロロシラン、
9-(メタ)アクリロイルオキシノニルジエチルクロロシラン、
9-(メタ)アクリロイルオキシノニルジプロピルクロロシラン、
10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジメチルクロロシラン、
10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジエチルクロロシラン、
10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジプロピルクロロシラン、
11-(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジメチルクロロシラン、
11-(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジエチルクロロシラン、
11-(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジプロピルクロロシラン、
12-(メタ)アクリロイルオキシドデシルジメチルクロロシラン、
12-(メタ)アクリロイルオキシドデシルジエチルクロロシラン、
12-(メタ)アクリロイルオキシドデシルジプロピルクロロシラン、
13-(メタ)アクリロイルオキシトリデシルジメチルクロロシラン、
13-(メタ)アクリロイルオキシトリデシルジエチルクロロシラン、
13-(メタ)アクリロイルオキシトリデシルジプロピルクロロシラン、
14-(メタ)アクリロイルオキシテトラデシルジメチルクロロシラン、
14-(メタ)アクリロイルオキシテトラデシルジエチルクロロシラン、
14-(メタ)アクリロイルオキシテトラデシルジプロピルクロロシラン、
等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも特に、塗膜の耐擦傷性向上、入手容易性の点から、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルクロロシラン、8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルジメチルクロロシラン、1-(メタ)アクリロイルオキシメチルジメチルクロロシランが好ましい。
(メタ)アクリル基を有する有機ケイ素化合物の添加量としては、架橋密度を高めることによる耐摩耗性の向上、表面処理シリカ粒子のラジカル重合性不飽和結合を有する液状化合物への分散性、流動性向上の観点から、被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して2質量部以上添加することが必要であり、4質量部以上添加することが好ましい。また、未反応の有機ケイ素化合物の残存による硬化膜硬度の低下を抑制するために、添加量は50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましい。
<その他の表面処理用シラン化合物>
本発明の表面処理シリカ粒子は、更に、下記式(4)で表されるオルガノシラン化合物の1種以上によって表面被覆されていてもよい。
Figure 0007180583000017
上記式(4)中、R7はそれぞれ独立に炭素原子数1~20の1価炭化水素基であり、好ましくは炭素原子数1~4、特に好ましくは1~2の1価炭化水素基である。R7で表される1価炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル等のアルキル基等が挙げられ、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピルであり、特に好ましくは、メチル基、エチル基である。また、これらの1価炭化水素基の水素原子の一部又は全部が、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、好ましくはフッ素原子で置換された、例えばトリフルオロプロピル基等であってもよい。
2はハロゲン原子であり、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子等が挙げられる。これらの中でもシリカ表面への反応性、試薬の入手容易性、保存安定性等を考慮すると、特に塩素原子が好ましい。
式(4)で示されるオルガノシラン化合物の具体例としては、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリプロピルクロロシラン、トリブチルクロロシラン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(4)で表されるオルガノシラン化合物を使用する場合、その使用量は、被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して1~20質量部が好ましく、より好ましくは5~15質量部、特に好ましくは5~10質量部である。添加量を20質量部以下とした場合は、未反応のシラン化合物の残存が抑制でき、シリカを導入した光硬化性組成物を硬化させた場合の耐擦傷性が良好となるため好ましく、添加量を1質量部以上にした場合は、シリカを導入した光硬化性組成物の保存安定性が良好となるため好ましい。
<表面処理シリカ粒子の粉体の製造方法>
本発明の表面処理シリカ粒子は、例えば、下記工程(A1)~(A4):
工程(A1):ゾルゲルシリカ粒子の合成工程、
工程(A2):分散媒置換工程、
工程(A3):(メタ)アクリル基を有する有機ケイ素化合物によるゾルゲルシリカ表面処理工程、
工程(A4):分散媒留去・乾燥工程、
によって粉体として得られる。
以下各工程を説明する。
・工程(A1):ゾルゲルシリカ粒子の合成工程
工程(A1)は、下記式(5)で表されるシラン化合物、その(部分)加水分解縮合物又はこれらの混合物を、塩基性物質の存在下で、親水性有機溶媒及び水の混合溶媒中で加水分解・縮合することによって親水性のゾルゲルシリカ粒子の親水性有機溶媒-水分散液を得る工程である。
Figure 0007180583000018
上記式(5)中、R8はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1~6の1価炭化水素基である。一価炭化水素基としては、好ましくは炭素原子数1~4、特に好ましくは1~2のものであり、具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル等のアルキル基;フェニル等のアリール基などが挙げられる。好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル等のアルキル基であり、特に好ましくは、メチル基、エチル基である。
上記式(5)で表されるシラン化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn-プロポキシシラン、テトラn-ブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;テトラフェノキシシラン等のテトラアリールオキシシラン等が挙げられる。これらのなかでも好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn-プロポキシシラン、テトラn-ブトキシシランであり、特に好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランである。また、これらの加水分解縮合物としては、例えば、メチルシリケート、エチルシリケート等が挙げられる。
上記シラン化合物を加水分解・縮合するのに用いられる親水性有機溶媒としては、上記式(5)で表されるシラン化合物又はその(部分)加水分解縮合物と、水とを溶解するものであれば特に制限されず、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール等のアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸セロソルブ等のセロソルブ類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類などが挙げられる。これらのなかでも好ましくは、アルコール類、セロソルブ類であり、より好ましくはアルコール類であり、特に好ましくはメタノール、エタノールである。アルコールの炭素原子数が増えると、生成する球状シリカ粒子の粒子径が大きくなる。従って、目的とする小粒子径シリカ粒子を得るためにはメタノールが好ましい。
また、上記塩基性物質としてはアンモニア、ジメチルアミン、ジエチルアミン等が挙げられ、好ましくはアンモニア、ジエチルアミンであり、特に好ましくはアンモニアである。これらの塩基性物質は、所要量を水に溶解した後、得られた水溶液(塩基性)を前記親水性有機溶媒と混合すればよい。
このとき使用される水の量は、上記式(5)で示されるシラン化合物及び/又はその(部分)加水分解縮合物のヒドロカルビルオキシ基の合計1モルに対して0.5~5モルが好ましく、0.6~3モルがより好ましく、0.7~2モルが特に好ましい。
水に対する親水性有機溶媒の比率(親水性有機溶媒/水)は、質量比で0.5~10が好ましく、2~9がより好ましく、3~8が特に好ましい。このとき、親水性有機溶媒の量が多いほど小粒子径のシリカ粒子となる。
塩基性物質の量は、一般式(5)で示される4官能性シラン化合物及び/又はその(部分)加水分解縮合生成物のヒドロカルビルオキシ基の合計1モルに対して0.01~2モルが好ましく、0.02~0.5モルがより好ましく、0.04~0.12モルが特に好ましい。このとき、塩基性物質の量が少ないほど小粒子径のシリカ粒子となる。
上記式(5)で示されるシラン化合物の加水分解及び縮合は、周知の方法で行うことができ、例えば、塩基性物質を含む親水性有機溶媒と水との混合物中に、上記シラン化合物を添加することにより行うことができる。
上記式(5)で示されるシラン化合物を添加後、反応温度20~120℃、反応時間1~8時間で反応させるのが好ましく、反応温度20~100℃、反応時間1~6時間がより好ましい。
工程(A1)で得られるゾルゲルシリカ粒子のメジアン径(D50)、D90/D10の値は上記説明の通りである。
工程(A1)におけるゾルゲルシリカ粒子の親水性有機溶媒-水分散液中の濃度は、5~30質量%が好ましく、10~25質量%がより好ましい。
・工程(A2):分散媒置換工程
本工程は、前記工程(A1)で得られた、ゾルゲルシリカ粒子の親水性有機溶媒-水分散液に、下記式(2)で表されるオルガノシラザン化合物及び下記式(3)で表されるオルガノシラン化合物のうちの少なくとも1種を添加して前記ゾルゲルシリカ粒子の表面を被覆処理して第1の表面処理シリカ粒子を形成し、得られた第1の表面処理シリカ粒子の分散液の分散媒に好ましくは沸点90℃以上の非プロトン性の有機溶媒を添加し、前記の親水性有機溶媒、水、及び場合により縮合によって生じたアルコールを留去によって除く工程である。
この際、非プロトン性有機溶媒は、予め分散液に加えても、或いはアルコール等を留去し始めた後に分散液に加えてもよいが、予め分散液に加えてから、留去を行うことが好ましい。
本工程により、非プロトン性有機溶媒中に第1の表面処理シリカ粒子が分散した分散液が得られる。
Figure 0007180583000019
(式中、R5は前記と同じである。)
Figure 0007180583000020
(式中、R6、R7は前記と同じである。)
上記式(2)で表されるオルガノシラザン化合物及び上記式(3)で表されるオルガノシラン化合物は、上記において挙げたものと同じものが好ましく使用できる。また、使用量も上述した通りである。
本工程は、前記工程(A1)で得られた、ゾルゲルシリカ粒子の親水性有機溶媒-水分散液を、水によって溶媒置換した後に、上記式(3)で表されるシラン化合物の1種以上によって表面被覆し、非プロトン性有機溶媒を添加して溶媒置換されていてもよい。水置換工程は必須ではないが、水置換によってシリカ表面のアルコキシ基がより反応性の高いヒドロキシル基に変化することで、続く表面処理がより有効に進行し、シリカ粒子の分散安定性が向上する効果がある。
非プロトン性有機溶媒としては、公知のものを適宜選択でき、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を混合して使用できる。
非プロトン性有機溶媒の添加量は特に限定されないが、工程(A2)により得られるシリカ分散液の非プロトン性有機溶媒中の濃度が、好ましくは5~60質量%、より好ましくは20~50質量%となるような量である。
親水性有機溶媒、水、及び縮合によって生じたアルコール等の揮発性副生成物を留去する方法としては、大気圧での留去及び減圧留去が挙げられるが、大気圧下での留去が好ましい。留去において加熱を行う場合には、その温度は50~130℃が好ましく、60~120℃が更に好ましく、70~110℃が最も好ましい。50℃以上に加熱することで、溶媒留去にかかる時間を短縮することができ、130℃以下にすることで加熱による粒子の凝集が抑制される。
・工程(A3):(メタ)アクリル基を有する有機ケイ素化合物によるゾルゲルシリカ表面処理工程
本工程は、工程(A2)で得られた第1の表面処理シリカ粒子の有機溶媒分散液に、下記式(1)で表される有機ケイ素化合物及びその加水分解物のうちの少なくとも1種を添加して前記第1の表面処理シリカ粒子を更に被覆処理し、第2の表面処理シリカ粒子の有機溶媒分散液を得る工程である。
Figure 0007180583000021
(式中、R1、R2、R3、X1は前記と同じである。)
上記式(1)で表される(メタ)アクリル基を有する有機ケイ素化合物は、上記において挙げたものと同じものが好ましく使用できる。また、使用量も上述した通りである。
工程(A3)においては、第1の表面処理シリカ粒子に対し、更に、下記式(4)で表される化合物の1種以上を添加して、前記第1の表面処理シリカ粒子を表面被覆処理してもよい。具体的には、式(1)の化合物を添加した後に式(4)の化合物を添加して被覆処理してもよいし、式(1)の化合物と共に式(4)の化合物を添加して被覆処理してもよい。
Figure 0007180583000022
(式中、R4、X2は前記と同じである。)
上記式(4)で表される化合物としては、上記において挙げたものと同じものが好ましく使用できる。また、使用量も上述した通りである。
工程(A3)における縮合反応(表面処理)の条件は、反応温度10~50℃、反応時間0.5~24時間で反応させるのが好ましく、反応温度15~30℃、反応時間1~12時間がより好ましい。
本工程(A3)は、上記式(1)で表される有機ケイ素化合物及びその加水分解物のうちの少なくとも1種を添加する際に、必要に応じて重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、フェノチアジン、ベンゾフロキサン、ニトロソベンゼン、2-メチル-2-ニトロソプロパンダイマー、N-t-ブチル-α-フェニルニトロン等が挙げられる。重合禁止剤を使用する場合の添加量は、組成物中に使用する(メタ)アクリル基を有する有機ケイ素化合物の質量を基準にして100~10,000ppm程度である。
・工程(A4):分散媒留去・乾燥工程
本工程は、前記工程(A3)で得られた、第2の表面処理シリカ粒子の有機溶媒分散液の非プロトン性有機溶媒、及び縮合によって生じたアルコール等の揮発性副生成物を留去することで、第2の表面処理シリカ粒子を粉体として得る工程である。
非プロトン性有機溶媒、及び縮合によって生じたアルコール等の揮発性副生成物を留去する方法としては、大気圧での留去及び減圧留去が挙げられるが、減圧留去が好ましい。減圧留去において加熱を行う場合には、その温度は30~100℃が好ましく、40~80℃が更に好ましく、50~70℃が最も好ましい。30℃以上に加熱することで、溶媒留去にかかる時間を短縮することができ、100℃以下にすることで熱によるアクリル化合物の重合、溶媒とアクリル部位のエステル交換等の副反応が抑制でき、光硬化性組成物に添加した際の耐擦傷性が良好になる。
本工程では、前記工程(A3)で得られた第2の表面処理シリカ粒子の有機溶媒分散液中の非プロトン性有機溶媒、及び縮合によって生じたアルコール等の揮発性副生成物を留去する前に、水洗操作や酸吸着剤を用いて複製する酸成分を除去することが望ましい。特に水洗を行うことが望ましく、溶媒留去に加熱を必要とする場合、事前に酸成分を除去することで(メタ)アクリル基の分解等を抑制することができる。
溶媒留去後の乾燥方法としては、常圧乾燥、減圧乾燥等の常法を用いることができる。
[表面処理シリカ粒子分散体]
本発明の表面処理シリカ粒子(第2の表面処理シリカ粒子)は、粉体状態から有機溶媒に再分散させることができる。再分散に用いられる溶媒としては、シリカ粒子を分散可能なものであれば特に限定されるものではないが、極性の高い有機溶媒が好ましい。有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル等のエステル類などを挙げることができる。これらのうち、特に好ましくはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールであり、最も好ましくはメタノールである。
本発明において、再分散とは、特に断りのない限り、表面処理シリカ粒子の分散液から溶媒を留去して得られた固体状の粒子が、溶媒に再び分散し、経時で沈降しない安定分散(コロイダル分散)した状態となることを指す。湿式法で作製したシリカは、初期分散液状態の二次粒径・粒度分布と、一旦乾燥し、溶媒に再分散させた場合の二次粒径・粒度分布では、溶媒に再分散させた方が粒子凝集を伴って大きく変化することが一般的である。これに対し、本発明では、第2の表面処理シリカ粒子の二次粒径の変化を抑えた再分散液を得ることができる。
本発明において、分散体とは、特に断りのない限り、粒子が経時で沈降しない安定分散(コロイダル分散)した状態のことを指す。安定分散状態は、粒子のブラウン運動速度が自重による沈降速度以上に速くなった場合に生じることがある。一方で、粘性液体中では粒子の沈降速度が遅いために、凝集・沈降した粒子の有無の判断に長い時間を要する。そのような場合には、遠心分離機を用いて遠心力を加え、粒子の沈降を促進させることで、効率的に沈降粒子の有無を判断することが好ましい。これにより安定分散状態か否かを確認できる。
分散体に含まれる第2の表面処理シリカ粒子の割合は、分散体全体に対して80~1質量%が好ましく、より好ましくは50~5質量%である。
本発明の表面処理シリカ粒子分散体において、体積基準の粒度分布における第2の表面処理シリカ粒子のメジアン径(D50)は、光硬化性組成物に添加した場合の硬化膜の透明性および耐擦傷性の観点から1~170nmが好ましく、より好ましくは5~150nm、特に好ましくは10~100nmである。
本発明の表面処理シリカ粒子分散体において、体積基準の粒度分布におけるD90/D10の値は5.0以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、3.5以下が更に好ましい。下限値は特に制限されないが、1以上が好ましい。このような粒度分布であると、分散体の透明性・流動性を制御することが容易になる点で好ましく、また表面処理シリカ粒子を光硬化性組成物に添加した場合において、硬化膜中に同じ粒径の粒子が組み込まれることで硬化膜の耐擦傷性や耐クラック性が向上する点で好ましい。
本発明の表面処理シリカ粒子は、このシリカ粒子を含むコーティング膜の耐擦傷性改善の観点から、ナトリウム等のアルカリ金属含量が小さいものが好ましく、特に100ppm以下が好ましく、50ppm以下がより好ましく、20ppm以下が更に好ましく、10ppm以下が最も好ましい。イオン交換法で作製されるシリカ粒子は、基本的に原料にケイ酸ナトリウムを用いているため、ナトリウム金属成分が100ppm以上含まれており、シリカ中のナトリウム成分の検出はゾルゲル法シリカとイオン交換法シリカを区別する方法としても有効である。アルカリ金属成分の含有量の測定方法は、後述する通りである。
[光硬化性組成物]
本発明においては、粉体として得られた第2の表面処理シリカ粒子や、有機溶媒へ再分散させた分散体を光硬化性組成物に導入可能である。特に、第2の表面処理シリカ粒子粉体をそのまま(直接)光硬化性組成物に分散させることで、光硬化性組成物として用いることができる。光硬化性組成物は、ラジカル重合性不飽和結合を有する(液状)化合物を含み、必要に応じて、光反応開始剤、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で配合することにより耐擦傷性に優れた光硬化性組成物とすることが可能である。
<ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物>
ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物は、1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有する硬化反応可能なモノマーやオリゴマーであれば特に限定されない。例えば(メタ)アクリレート化合物、スチレン化合物、マレイミド化合物、フマル酸エステル化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、重合性に優れ、室温付近でも硬化させやすい観点から、(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
(メタ)アクリレート化合物は、単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレートのいずれであってもよい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(n=2~15)ジアクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2~15)ジアクリレート、ポリブチレングリコール(n=2~15)ジアクリレート、2,2-ビス(4-アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパンジアクリレート、ビス(2-アクリロキシエチル)-ヒドロキシエチル-イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(ジペンタエリスリトールとε-カプロラクトンとの付加物のアクリレート化物)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、N-ビニルピロリドン、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、脂肪族ポリエステルアクリレートオリゴマー等が挙げられる。
本発明の光硬化性組成物は、上記ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物100質量部に対して、上記表面処理シリカ粒子(第2の表面処理シリカ粒子)が1~100質量部分散していることが好ましく、2~50質量部がより好ましく、5~20質量部が更に好ましく、5~15質量部が最も好ましい。シリカ粒子が1質量部以上分散していることで、光硬化性組成物に添加した際の耐擦傷性改善効果が良好となり、100質量部以下分散していることで分散液の流動性が良好となる。
本発明の光硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、希釈溶媒、光反応開始剤、塩基中和剤、酸中和剤、塩基吸着材、酸吸着材、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の添加剤を配合して、保存安定性や作業性を高めることができる。
<希釈溶媒>
本発明の光硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で希釈溶媒を添加してもよい。溶媒としては各成分を溶解、又は分散するものであれば特に限定されるものではないが、極性の高い有機溶媒が好ましい。有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル等のエステル類などを挙げることができ、これらからなる群より選ばれた1種もしくは2種以上の混合物を使用することができる。
<光反応開始剤>
光反応開始剤は、光を受けて励起し、(メタ)アクリロキシ基を含有するシロキサンに励起エネルギーを与えて紫外線照射による硬化反応を開始させるものである。
光反応開始剤は、反応性の観点から、アセトフェノン及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導体、o-ベンゾイル安息香酸エステル、ベンゾイン及びベンゾインエーテル並びにその誘導体、キサントン及びその誘導体、ジスフィルド化合物、キノン化合物、ハロゲン化炭化水素及びアミン類、有機過酸化物等が挙げられる。相溶性、安定性の観点から、アセトフェノン及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導体、o-ベンゾイル安息香酸エステル、ベンゾイン及びベンゾインエーテル並びにその誘導体、キサントン及びその誘導体等の置換又は非置換のベンゾイル基を含有する化合物又は有機過酸化物がより好ましい。
光反応開始剤の具体例としては、アセトフェノン、プロピオフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(IRGACURE 651:BASF社製)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(DAROCUR 1173:BASF社製)、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(IRGACURE 184:BASF社製)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(IRGACURE 2959:BASF社製)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(IRGACURE 127:BASF社製)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(IRGACURE 907:BASF社製)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(IRGACURE 369:BASF社製)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(IRGACURE 379:BASF社製);2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキシド(LUCIRIN TPO:BASF社製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキシド(IRGACURE 819:BASF社製);1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](IRGACURE OXE 01:BASF社製)、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)(IRGACURE OXE 02:BASF社製);オキシフェニル酢酸、2-[2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物(IRGACURE 754:BASF社製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル(DAROCUR MBF:BASF社製)、エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート(DAROCUR EDB:BASF社製)、2-エチルヘキシル-4-ジメチルアミノベンゾエート(DAROCUR EHA:BASF社製)、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキシド(CGI 403:BASF社製)、ベンゾイルペルオキシド、クメンペルオキシド等が挙げられる。
これらの光反応開始剤の中でも、相溶性、光反応性の点から、アセトフェノン、プロピオフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン;2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキシド;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム);オキシフェニル酢酸、2-[2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物が好ましく、これらは1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
光反応開始剤を使用する場合の配合量は、光硬化性組成物中の固形分100質量部に対して0.5~10質量部が好ましい。
<重合禁止剤>
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、フェノチアジン、ベンゾフロキサン、ニトロソベンゼン、2-メチル-2-ニトロソプロパンダイマー、N-t-ブチル-α-フェニルニトロン等が挙げられる。
重合禁止剤を使用する場合の添加量は、組成物中に使用する(メタ)アクリル基を有する有機ケイ素化合物の質量を基準にして100~10,000ppm程度である。
<酸化防止剤>
酸化防止剤は、組成物の硬化物の酸化を防止して、耐候性を改善するために使用することができ、例えば、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系等の酸化防止剤が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、N,N',N'',N'''-テトラキス-(4,6-ビス(ブチル-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N'-ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミン・N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールの重合体、[デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジル)エステル、1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物(70質量%)]-ポリプロピレン(30質量%)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケ-ト、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケ-ト、1-[2-〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]-4-〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリストール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N'-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオアミド)]、ベンゼンプロパン酸3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシC7-C9側鎖アルキルエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、3,3',3'',5,5',5''-ヘキサン-tert-ブチル-4-a,a',a''-(メシチレン-2,4,6-トリル)トリ-p-クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5-ビス-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート]、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、N-フェニルベンゼンアミンと2,4,4-トリメチルペンテンとの反応生成物、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記酸化防止剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
<紫外線吸収剤>
耐光性安定剤である紫外線吸収剤は、光劣化を防止して、耐候性を改善するために使用することができ、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジ-tert-ブチル-6-(5-クロロベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(直鎖及び側鎖ドデシル)-4-メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられ、また上記成分がシリル基及び/又はアクリル基で変性された有機化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記紫外線吸収剤は1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
<光安定化剤>
光安定化剤は、硬化物の光酸化劣化を防止するために使用することができ、例えば、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系化合物等が挙げられる。
光安定化剤としては、ヒンダードアミン系が好ましい。中でも、第3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤を用いることが、組成物の保存安定性改良のために好ましい。第3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤としては、チヌビン622LD,チヌビン144,チヌビン123、CHIMASSORB119FL(いずれもBASF社製);MARKLA-57,LA-62,LA-67,LA-63(いずれも旭電化(株)製);サノールLS-765,LS-292,LS-2626,LS-1114,LS-744(いずれも三共(株)製)等の光安定剤が挙げられる。
<その他の添加剤>
本発明の組成物は、上記添加物以外にも、必要に応じて、シリコーンレジン、レベリング剤、増粘剤、顔料、染料、金属粉、熱線反射・吸収性付与剤、可撓性付与剤、帯電防止剤、防汚性付与剤、撥水性付与剤等のその他の添加剤を本発明の目的や効果に悪影響を与えない範囲内で添加することができる。例えば、レベリング剤として、信越化学工業(株)製「KP-341」、BYKChemie製「BYK-180」、「BYK-190」、共栄社化学(株)製「LE-604」等を使用することができる。
[硬化物]
本発明の光硬化性組成物は、大気、窒素等の雰囲気下で紫外線を照射することによって、硬化させることができる。反応可能な範囲の波長領域のランプとしては、例えば、ウシオ電機(株)製の高圧水銀ランプ(UV-7000)、メタルハライドランプ(MHL-250、MHL-450、MHL-150、MHL-70)、JMtech社製のメタルハライドランプ(JM-MTL2KW)、三菱電機(株)製の紫外線照射灯(OSBL360)、日本電池(株)製の紫外線照射機(UD-20-2)、(株)東芝製の蛍光ランプ(FL-20BLB)、Fusion社製のHバルブ、Hプラスバルブ、Dバルブ、Qバルブ、Mバルブ等が挙げられる。照射量は、100~12,000mJ/cm2が好ましく、より好ましくは300~8,000mJ/cm2であり、更に好ましくは500~6,000mJ/cm2である。
[被覆物品]
本発明の光硬化性組成物を、基材の少なくとも一方の面に、直接又は少なくとも1種の他の層を介して塗布し、それを上記の光照射によって硬化させることにより被膜を形成した被覆物品を得ることができる。
上記基材としては、特に限定されることはないが、プラスチック成形体、木材系製品、セラミックス、ガラス、金属、それらの複合物等が挙げられる。
更に、これらの基材の表面が処理されたもの、具体的には、化成処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、酸やアルカリ液等で処理されている基材や、基材本体と表層が異なる種類の塗料で被覆されている化粧合板等も用いることもできる。特に、ポリカーボネート基材上に上記コーティング組成物からなる硬化膜を形成させた場合、ポリカーボネートの耐擦傷性や耐候性を改善することが可能となる場合がある。
また、予めその他の機能層が形成された基材表面に、本発明の組成物による被覆を施してもよい。その他の機能層としては、プライマー層、防錆層、ガスバリア層、防水層、熱線遮蔽層等が挙げられ、これらのいずれか一層又は複数層が基材上に予め形成されていてもよい。なお、被覆物品は、上記組成物からなる硬化膜が形成された面に、更に、化学気相成長(CVD)法による蒸着層、ハードコート層、防錆層、ガスバリア層、防水層、熱線遮蔽層、防汚層、光触媒層、帯電防止層等の一層又は複数層によって被覆されていてもよい。更に、被覆物品は、上記組成物からなる硬化膜が形成された面とは反対側の面が、ハードコート層、防錆層、ガスバリア層、防水層、熱線遮蔽層、防汚層、光触媒層、帯電防止層等の一層又は複数層によって被覆されていてもよい。
組成物の塗布方法としては、公知の手法から適宜選択すればよく、例えば、刷毛塗り、スプレー、浸漬、フローコート、ロールコート、カーテンコート、スピンコート、ナイフコート等の各種塗布方法を用いることができる。
本発明の被覆物品における、硬化膜の厚みには特に制限はなく、使用用途により適宜選択すればよいが、0.1~50μmが好ましく、硬化膜の硬さ、耐擦傷性、長期的に安定な密着性、及びクラックが発生しないことを満たすためには、特に1~20μmが好ましい。膜厚は、塗工方法上の工夫によって適宜調整することができる。
本発明の被覆物品は、硬化膜の可視光透過性に優れる。可視光透過性は一般的に硬化膜の曇価(ヘイズ(Haze))で評価され、ヘイズが小さいほど可視光透過性が良好とされている。ヘイズは濁度計NDH2000(日本電色工業(株)製)で測定した値を用いることができる。硬化膜のヘイズは、一般に膜厚が大きいほど大きくなる。本発明の被覆物品においては、硬化膜の膜厚が5μm以下の状態においてヘイズが好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.0以下である。
本発明の被覆物品は、優れた耐擦傷性を有する。その評価として、硬化膜の耐擦傷性試験で比較することができる。耐擦傷性試験はASTM1044に準じ、テーバー摩耗試験にて摩耗輪SC-10Fを装着し、荷重500gfの下での500回転後のヘイズを測定して、試験前後のヘイズ差(ΔHz)を比較し、ΔHzが小さいほど耐擦傷性が良好となる。本発明の被覆物品においては、ΔHzが好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下、最も好ましくは3以下である。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。なお、下記の実施例は、本発明を何ら制限するものではない。
〔表面処理シリカ粒子の製造〕
[実施例1-1]
・工程(A1):
攪拌機、滴下ロート、温度計を備えた1リットルのガラス製反応器にメタノール396g、水16g、28質量%アンモニア水20gを添加して混合した。この溶液を50℃に調整し、攪拌しながらテトラメトキシシラン323g、及び5.5質量%アンモニア水81gを同時に滴下開始した。滴下終了後、50℃で1時間攪拌を続けて加水分解を行い、ゾルゲルシリカ粒子の分散液を得た。得られた分散液の不揮発成分含有率(105℃、3時間)は18質量%であった。
・工程(A2):
上記工程(A1)で得られた分散液837gに、25℃で、ヘキサメチルジシラザン(SZ-31:信越化学工業(株)製)30gを添加し、2時間還流した後、80gの水を加えた。得られた反応液にメチルイソブチルケトン(MIBK)1,000gを加え、溶液温度が110℃になるまでメタノールや水を加熱留去することで第1の表面処理シリカ粒子のMIBK分散液を得た。得られた分散液の不揮発成分含有率(105℃、3時間)は28質量%、水分量は580ppmであった。
・工程(A3):
上記工程(A2)で得られた分散液に、25℃において、被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して5質量部の3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン(KL-501:信越化学工業(株)製)を添加し、室温で2時間撹拌した後、被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して5質量部のトリメチルクロロシラン(KL-31:信越化学工業(株)製)を添加し、室温で12時間撹拌した。
・工程(A4):
工程(A3)で得られた反応液に対して、水洗を三回繰り返すことで副生成物の塩酸を除去した後、この有機層中の揮発性成分を80℃、減圧下(30~10mmHg)で留去することにより固体を得た。得られた固体を室温で2時間減圧乾燥機中において乾燥した後、得られた固体をミキサによって粉砕することで第2の表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
[実施例1-2]
実施例1-1の工程(A3)において、3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン(KL-501:信越化学工業(株)製)の添加量を被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して10質量部に変更した以外は実施例1-1と同様の手順で、表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
[実施例1-3]
実施例1-2の工程(A3)において、トリメチルクロロシラン(KL-31:信越化学工業(株)製)を添加しないこと以外は実施例1-2と同様の手順で、表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
[実施例1-4]
実施例1-1の工程(A1)において、溶液温度を30℃に調整し、攪拌しながらテトラメトキシシラン、及びアンモニア水を滴下開始することでゾルゲルシリカ粒子の分散液を得た以外は実施例1-1と同様の手順で、表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
[実施例1-5]
実施例1-4の工程(A3)において、3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン(KL-501:信越化学工業(株)製)の添加量を被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して10質量部に変更した以外は実施例1-4と同様の手順で、メタクリル基を有する有機ケイ素化合物で被覆された表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
[実施例1-6]
・工程(A1):
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた3リットルのガラス製反応器にメタノール623.7g、水41.4g、28%アンモニア水49.8gを添加して混合した。この溶液を35℃に調整し、撹拌しながらテトラメトキシシラン1,163.7gおよび5.4質量%アンモニア水418.1gを同時に添加開始した。テトラメトキシシラン滴下後も0.5時間撹拌を続け加水分解を行いシリカ微粒子の懸濁液を得た。得られた分散液の不揮発成分含有率(105℃、3時間)は19質量%であった。
・工程(A2):
上記工程(A1)で得られた分散液938gに、25℃で、メチルトリメトキシシラン11.6gを0.5時間かけて滴下し、滴下後も12時間撹拌し、シリカ微粒子表面の処理を行った。得られた反応液にMIBKを1,440g加え、溶液温度が110℃になるまでメタノールや水を加熱留去することで第1の表面処理シリカ粒子のMIBK分散液を得た。得られた分散液の不揮発成分含有率(105℃、3時間)は23質量%、水分量は610ppmであった。
・工程(A3):
上記工程(A2)で得られた分散液に、25℃において、被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して8質量部の3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン(KL-501:信越化学工業(株)製)を添加し、室温で2時間撹拌した後、被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して8質量部のトリメチルクロロシラン(KL-31:信越化学工業(株)製)を添加し、室温で12時間撹拌した。
・工程(A4):
工程(A3)で得られた反応液に対して、水洗を三回繰り返すことで副生成物の塩酸を除去した後、この有機層中の揮発性成分を80℃、減圧下(30~10mmHg)で留去することにより固体を得た。得られた固体を室温で2時間減圧乾燥機中において乾燥した後、得られた固体をミキサによって粉砕することで、第2の表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
[実施例1-7]
実施例1-6の工程(A3)において、3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン(KL-501:信越化学工業(株)製)の添加量を被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して30質量部に変更した以外は実施例1-6と同様の手順で、表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
[実施例1-8]
実施例1-6の工程(A2)において、水1,500gを加え、溶液温度が95℃になるまでメタノールを加熱留去した後、メチルトリメトキシシラン処理、MIBK置換を行ったこと以外は実施例1-6と同様の手順で、表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
[比較例1-1]
実施例1-3の工程(A3)において、3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン(KL-501:信越化学工業(株)製)の添加量を被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して1質量部に変更した以外は実施例1-3と同様の手順で、表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
[比較例1-2]
実施例1-3の工程(A3)において、3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン(KL-501:信越化学工業(株)製)を3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランに変更した以外は実施例1-3と同様の手順で、表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
[比較例1-3]
実施例1-1の工程(A2)を行わず、工程(A1)から直接工程(A3)を行ったこと以外は実施例1-1と同様の手順で、表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
[比較例1-4]
イオン交換法シリカの30質量%プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート分散液(PMA-ST、日産化学工業(株)製、粒子径:10~15nm)100gに3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン(KL-501:信越化学工業(株)製)をシリカ100質量部に対して10質量部になるように添加し、室温で12h撹拌した。その結果、反応溶液がシリカの凝集に起因してゲル化したため、目的物を回収することができなかった。
[比較例1-5]
アクリルコンパウンド用の表面処理イオン交換法シリカ分散液として知られている表面処理シリカ30質量%プロピレングリコール1-モノメチルエーテル分散液(PGM-AC-4130Y、日産化学工業(株)製、粒子径:40~50nm)中の有機溶媒を80℃、減圧下(6,650Pa)で留去することによりシリカ固体を得た。得られた固体を室温で2時間減圧乾燥機中において乾燥した後、得られた固体をミキサによって粉砕することで、表面処理イオン交換法シリカ粒子の粉体を得た。
上記実施例及び比較例で得られたシリカ粒子について、下記の評価を行った。結果を表1、表2及び表3に示す。
[(メタ)アクリル基を有する有機ケイ素化合物含有率]
表中に記載の(メタ)アクリル基を有する有機ケイ素化合物の含有率は、{[(メタ)アクリル基を有する有機ケイ素化合物の添加量]/[被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子の質量]}×100(質量%)として算出した。
[粒子径]
最終的に得られた表面処理シリカ粒子とメタノールとを表面処理シリカ粒子が1質量%となるように混合し、10分間超音波を照射することにより該粒子を分散させたときの粒度分布を、体積基準のメジアン径(D50)が100nm以上の場合はレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(Partica LA-960、(株)堀場製作所製)により測定し、100nm以下の場合は動的光散乱法/レーザードップラー法ナノトラック粒度分布測定装置(UPA-EX150:日機装(株)製)により測定し、その体積基準のメジアン径(D50)を算出した。
[再分散性]
最終的に得られた表面処理シリカ粒子とメタノールとを表面処理シリカ粒子が1質量%となるように混合し、24時間超音波を照射して該粒子を分散させた。得られた分散液をメッシュフィルターに通すことで、フィルターを通過しなかった成分の表面処理シリカ粒子全体に対する質量分率を粗粉量として算出し、粗粉量が20質量%より小さい場合を「○」、粗粉量が20質量%以上である場合を「×」として再分散性の指標とした。
[ナトリウム含有量]
誘導結合プラズマ発光分光分析(IPC-OES)装置(Agilent-730:アジレント・テクノロジー(株)製)を用いてシリカ粒子中に含まれるナトリウムの量を定量した。
Figure 0007180583000023
Figure 0007180583000024
Figure 0007180583000025
*粒度分布は粒子の沈降により検出不可
表1、表2に示した通り、実施例1-1~1-8において、有機溶媒に再分散可能な表面処理シリカ粒子が得られた。
一方、表3に示した通り、表面処理成分が少ない比較例1-1ではシリカの凝集が生じ、再分散性を示さなかった。この結果は、添加した(メタ)アクリル基含有有機ケイ素化合物による被覆が不十分であり、シリカ間で凝集が生じ、再分散性が損なわれたことを示している。また、表面処理剤にトリアルコキシシランを用いた比較例1-2においてもシリカの凝集が生じ、再分散性を示さなかった。これは、クロロシランに比べてアルコキシシランは反応性が低いため、乾燥時のシリカの凝集を抑制するほどには表面処理が進行しなかったことを示唆している。加えて、非プロトン性溶媒による溶媒置換を行わずにクロロシランの添加を行った比較例1-3のサンプルでもシリカの凝集が生じ、再分散性を示さなかった。この結果は、添加したクロロシランがアルコールや水と主に反応することで、粒子表面の被覆が不十分となり、シリカ間で凝集が生じ、再分散性が損なわれたことを示唆している。また、非プロトン性溶媒に分散したイオン交換法シリカにクロロシランの添加を行った比較例1-4のサンプルでは系全体がゲル化した。イオン交換法シリカでは水分散液として作製した後、特殊な表面処理をして非プロトン性溶媒に分散させているために、表面処理剤によって系のバランスが崩れ、シリカ粒子間で架橋が進行したためだと考えられる。以上のことから、本発明の要件を満たしたシリカ粒子は、有機溶媒への再分散性の良好な表面処理シリカとなることが明らかになった。
〔組成物及び硬化膜の製造〕
[実施例2-1]
実施例1-1にて得られた第2の表面処理シリカ粒子10質量部に対して、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)60質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)30質量部を添加した溶液を、24時間超音波照射することにより該粒子を分散させた。得られた溶液100質量部に対して2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(DAROCUR 1173:BASF社製)4質量部を添加し、光硬化性組成物を調製した。
得られた組成物をバーコータ#8を用いてポリカーボネート板(厚さ5mm、製品名タキロンPCクリア-1600型:タキロンシーアイ社製)上に塗工した後、高圧水銀灯を用い、窒素雰囲気で600mJ/cm2(波長300~390nmの紫外線積算エネルギー、アイ紫外線積算照度計UVPF-A1(PD-365):岩崎電気(株)製にて測定)の紫外線を照射することにより膜厚15.4μmの硬化膜を調製した。
[実施例2-2]
実施例1-1にて得られた第2の表面処理シリカ粒子に代えて、実施例1-2にて得られた第2の表面処理シリカ粒子を用いた以外は実施例2-1と同様の手順で硬化膜を調製した。
[実施例2-3]
実施例1-1にて得られた第2の表面処理シリカ粒子に代えて、実施例1-3にて得られた第2の表面処理シリカ粒子を用いた以外は実施例2-1と同様の手順で硬化膜を調製した。
[実施例2-4]
実施例1-1にて得られた第2の表面処理シリカ粒子に代えて、実施例1-4にて得られた第2の表面処理シリカ粒子を用いた以外は実施例2-1と同様の手順で硬化膜を調製した。
[実施例2-5]
実施例1-1にて得られた第2の表面処理シリカ粒子に代えて、実施例1-5にて得られた第2の表面処理シリカ粒子を用いた以外は実施例2-1と同様の手順で硬化膜を調製した。
[実施例2-6]
実施例1-1にて得られた第2の表面処理シリカ粒子に代えて、実施例1-6にて得られた第2の表面処理シリカ粒子を用いた以外は実施例2-1と同様の手順で硬化膜を調製した。
[実施例2-7]
実施例1-1にて得られた第2の表面処理シリカ粒子に代えて、実施例1-7にて得られた第2の表面処理シリカ粒子を用いた以外は実施例2-1と同様の手順で硬化膜を調製した。
[実施例2-8]
実施例1-1にて得られた第2の表面処理シリカ粒子に代えて、実施例1-8にて得られた第2の表面処理シリカ粒子を用いた以外は実施例2-1と同様の手順で硬化膜を調製した。
[比較例2-1]
シリカ粒子を導入しないこと以外は実施例2-1と同様の組成で塗料を調製し、実施例2-1と同様の手順で硬化膜を調製した。
[比較例2-2]
(メタ)アクリル基を有しない疎水性球状ゾルゲルシリカ粉体(QSG-10(トリメチルシロキシ基で表面疎水化処理されたシリカ粒子)、信越化学工業(株)製)100質量部に対してHDDAを100質量部になるように添加し、混合することでシリカのHDDA分散液を得た。
[比較例2-3]
(メタ)アクリル基を有しない疎水性球状ゾルゲルシリカ粉体(QSG-30(トリメチルシロキシ基で表面疎水化処理されたシリカ粒子)、信越化学工業(株)製)100質量部に対してHDDAを100質量部になるように添加し、混合することでシリカのHDDA分散液を得た。
[比較例2-4]
(メタ)アクリル基を有しない疎水性球状ゾルゲルシリカ粉体(QSG-100(トリメチルシロキシ基で表面疎水化処理されたシリカ粒子)、信越化学工業(株)製)100質量部に対してHDDAを100質量部になるように添加し、混合することでシリカのHDDA分散液を得た。
上記実施例2-1~2-8及び比較例2-1~2-5で得られた硬化膜が形成されたポリカーボネート板について、下記の評価を行った。結果を表4~6に示す。
[粒子径]
表面処理シリカ粒子が1質量%となるようにメタノールで再分散し、10分間超音波を照射することにより該粒子を分散させたときの粒度分布を、体積基準のメジアン径(D50)が100nm以上の場合はレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(Partica LA-960、(株)堀場製作所製)により測定し、100nm以下の場合は動的光散乱法/レーザードップラー法ナノトラック粒度分布測定装置(UPA-EX150:日機装(株)製)により測定し、その体積基準のメジアン径(D50)を算出した。
[耐擦傷性]
ASTM1044に準じ、テーバー摩耗試験にて摩耗輪SC-10Fを装着し、荷重500gfでの500回転後のヘイズをヘイズメーター(NDH5000SP:日本電色工業(株)製)を用いて測定し、摩耗試験前の値との差(ΔHz)を算出した。
[透明性]
濁度計(NDH2000:日本電色工業(株)製)を用いてヘイズを測定した。ヘイズの値が3以下のものを「○」、3より大きいものを「×」として評価した。
[分散安定性]
上記実施例2-1~2-8及び比較例2-1~2-5で得られた光硬化性塗料を24時間室温で静置したとき、目視にてシリカ粒子の溶液からの分離が確認できる塗料を「×」、確認できない塗料を「○」として評価した。
[流動性]
上記実施例2-1~2-8及び比較例2-1~2-5で得られた光硬化性塗料について、目視にて流動性が見られる場合を「○」、流動性が殆ど無い場合を「×」として評価した。
Figure 0007180583000026
Figure 0007180583000027
Figure 0007180583000028
表4~6に示す光硬化組成物の硬化膜物性について、本発明の要件を満たす実施例2-1~2-8ではΔHzが5.0以下であり、優れた耐擦傷性を示した。
一方で、比較例2-1のようにシリカ粒子を含まない場合は、ΔHzが6以上であり耐擦傷性が低下した。
また、比較例2-2、2-3、2-4では、上記実施例の表面処理シリカ粒子と、それぞれ同程度の粒径の粒子との液物性・硬化膜物性を比較すると、ΔHzは実施例の対応する粒径のシリカを有する塗膜と比較していずれも悪化した。このことはシリカ表面にメタクリル基を導入することで塗膜の耐擦傷性を改善できることが示唆されている。
比較例2-2と比較例2-3の場合ではシリカの凝集は生じなかったが、強い増粘が生じ、流動性を示さなかった。この結果は、シリカ表面の疎水化が十分に行われている場合であっても、シリカ表面に(メタ)アクリル基を有しないために光反応性組成物との親和性不足が要因で増粘が生じることを示している。
更に、比較例2-4では塗膜透明性の著しい低下と分散安定性の低下が確認された。これは、メタクリル基を有さない粒径の大きなシリカ粒子では塗料中のアクリル化合物との相互作用よりも、シリカ間の分子間力の方が強く、経時・或いは硬化時に凝集したためであると考えられる。
また、本発明で得られた表面処理シリカ粒子分散液は、ナトリウム原子がほとんど含まれておらず、従ってアルカリ金属による汚染が問題となる用途にも問題なく使用することができる。
以上のことから、本発明で得られる表面処理シリカ粒子は、粉末の状態から塗料へ導入が可能で、且つ導入後の塗料の作業性や、硬化膜の透明性・耐擦傷性良好なハードコート塗料原料として非常に有用である。

Claims (11)

  1. ゾルゲルシリカ粒子の表面が、
    下記式(1)で表される有機ケイ素化合物及びその加水分解物のうちの少なくとも1種:ゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して2質量部以上と、
    下記式(2)で表されるオルガノシラザン化合物と
    により被覆処理された表面処理シリカ粒子。
    Figure 0007180583000029
    (式中、R1は水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基であり、R2は炭素原子数1~20のアルキレン基であり、R3はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基であり、X1はハロゲン原子である。)
    Figure 0007180583000030
    (式中、R4はそれぞれ独立に炭素原子数1~20の1価炭化水素基である。
  2. 更に、下記式(4)で表されるオルガノシラン化合物の1種以上によって表面処理された請求項1記載の表面処理シリカ粒子。
    Figure 0007180583000031
    (式中、R7はそれぞれ独立に炭素原子数1~20の1価炭化水素基であり、X2はハロゲン原子である。)
  3. ナトリウム含有量が100質量ppm以下である請求項1又は2記載の表面処理シリカ粒子。
  4. 請求項1~3のいずれか1項記載の表面処理シリカ粒子が有機溶媒に分散した表面処理シリカ粒子分散体。
  5. 表面処理シリカ粒子の体積基準の粒度分布におけるメジアン径が1~170nmである請求項4記載の表面処理シリカ粒子分散体。
  6. 表面処理シリカ粒子の体積基準の粒度分布におけるD90/D10の値が5.0以下である請求項4又は5記載の表面処理シリカ粒子分散体。
  7. 請求項1~3のいずれか1項記載の表面処理シリカ粒子を含む光硬化性組成物。
  8. 請求項7記載の光硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
  9. (A1)下記式(5)で表されるシラン化合物、その(部分)加水分解縮合物又はこれらの混合物を塩基性物質の存在下で親水性有機溶媒及び水の混合溶媒中で加水分解・縮合することによってゾルゲルシリカ粒子の分散液を得る工程と、
    Figure 0007180583000032
    (式中、R8はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1~6の1価炭化水素基である。)
    (A2)前記ゾルゲルシリカ粒子分散液に、下記式(2)で表されるオルガノシラザン化合物を添加して前記ゾルゲルシリカ粒子の表面を被覆処理して第1の表面処理シリカ粒子を形成し、この第1の表面処理シリカ粒子の分散液の分散媒を非プロトン性有機溶媒で置換する工程と、
    Figure 0007180583000033
    (式中、R4はそれぞれ独立に炭素原子数1~20の1価炭化水素基である。
    A3)工程(A2)で得られた前記第1の表面処理シリカ粒子の非プロトン性有機溶媒分散液に、下記式(1)で表される有機ケイ素化合物及びその加水分解物のうちの少なくとも1種:前記ゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して2質量部以上を添加して、前記第1の表面処理シリカ粒子を更に被覆処理して第2の表面処理シリカ粒子を形成し、この第2の表面処理シリカ粒子の非プロトン性有機溶媒分散液を得る工程と、
    Figure 0007180583000034
    (式中、R1は水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基であり、R2は炭素原子数1~20のアルキレン基であり、R3はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1~8のアルキル基であり、X1はハロゲン原子である。)
    (A4)工程(A3)で得られた、第2の表面処理シリカ粒子の非プロトン性有機溶媒分散液中の非プロトン性有機溶媒及び揮発性成分を取り除いて、第2の表面処理シリカ粒子を粉体として得る工程と
    を有する表面処理シリカ粒子粉体の製造方法。
  10. 工程(A3)において、更に、下記式(4)で表されるシラン化合物の1種以上を添加して前記第1の表面処理シリカ粒子を被覆処理する請求項9記載の表面処理シリカ粒子粉体の製造方法。
    Figure 0007180583000035
    (式中、R7はそれぞれ独立に炭素原子数1~20の1価炭化水素基であり、X2はハロゲン原子である。)
  11. 工程(A4)で得られた表面処理シリカ粒子粉体のナトリウム含有量が100質量ppm以下である請求項9又は10記載の表面処理シリカ粒子粉体の製造方法。
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