JP7180583B2 - 表面処理シリカ粒子及びその分散体、並びに表面処理シリカ粒子粉体の製造方法 - Google Patents
表面処理シリカ粒子及びその分散体、並びに表面処理シリカ粒子粉体の製造方法 Download PDFInfo
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Description
一方、上記用途に従来使用されているイオン交換法シリカは、一般的にケイ酸ナトリウム水溶液を部分的にイオン交換することにより製造されるシリカであり、一定量のアルカリ金属成分を含むことが多く、電子材料用コーティング用途には適さない場合がある。
以上のことから、有機溶媒或いは光反応性の液状化合物に再分散可能な表面処理シリカ粒子の開発が当該分野では求められている。
1. ゾルゲルシリカ粒子の表面が、
下記式(1)で表される有機ケイ素化合物及びその加水分解物のうちの少なくとも1種:ゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して2質量部以上と、
下記式(2)で表されるオルガノシラザン化合物及び下記式(3)で表されるオルガノシラン化合物のうちの少なくとも1種と
により被覆処理された表面処理シリカ粒子、
2. 更に、下記式(4)で表されるオルガノシラン化合物の1種以上によって表面処理された1記載の表面処理シリカ粒子、
3. ナトリウム含有量が100質量ppm以下である1又は2記載の表面処理シリカ粒子、
4. 1~3のいずれかに記載の表面処理シリカ粒子が有機溶媒に分散した表面処理シリカ粒子分散体、
5. 表面処理シリカ粒子の体積基準の粒度分布におけるメジアン径が1~170nmである4記載の表面処理シリカ粒子分散体、
6. 表面処理シリカ粒子の体積基準の粒度分布におけるD90/D10の値が5.0以下である4又は5記載の表面処理シリカ粒子分散体、
7. 1~3のいずれかに記載の表面処理シリカ粒子を含む光硬化性組成物、
8. 7記載の光硬化性組成物を硬化させてなる硬化物、
9. (A1)下記式(5)で表されるシラン化合物、その(部分)加水分解縮合物又はこれらの混合物を塩基性物質の存在下で親水性有機溶媒及び水の混合溶媒中で加水分解・縮合することによってゾルゲルシリカ粒子の分散液を得る工程と、
(A2)前記ゾルゲルシリカ粒子分散液に、下記式(2)で表されるオルガノシラザン化合物及び下記式(3)で表されるオルガノシラン化合物のうちの少なくとも1種を添加して前記ゾルゲルシリカ粒子の表面を被覆処理して第1の表面処理シリカ粒子を形成し、この第1の表面処理シリカ粒子の分散液の分散媒を非プロトン性有機溶媒で置換する工程と、
(A3)工程(A2)で得られた前記第1の表面処理シリカ粒子の非プロトン性有機溶媒分散液に、下記式(1)で表される有機ケイ素化合物及びその加水分解物のうちの少なくとも1種:前記ゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して2質量部以上を添加して、前記第1の表面処理シリカ粒子を更に被覆処理して第2の表面処理シリカ粒子を形成し、この第2の表面処理シリカ粒子の非プロトン性有機溶媒分散液を得る工程と、
(A4)工程(A3)で得られた、第2の表面処理シリカ粒子の非プロトン性有機溶媒分散液中の非プロトン性有機溶媒及び揮発性成分を取り除いて、第2の表面処理シリカ粒子を粉体として得る工程と
を有する表面処理シリカ粒子粉体の製造方法、
10. 工程(A3)において、更に、下記式(4)で表されるシラン化合物の1種以上を添加して前記第1の表面処理シリカ粒子を被覆処理する9記載の表面処理シリカ粒子粉体の製造方法、
11. 工程(A4)で得られた表面処理シリカ粒子粉体のナトリウム含有量が100質量ppm以下である9又は10記載の表面処理シリカ粒子粉体の製造方法
を提供する。
本発明で得られる表面処理シリカ粒子は、粉体の状態から塗料等に再分散可能であり、シリカ分散液の状態で添加する場合と比較して高濃度にシリカを導入することが可能である。また、分散媒と塗料との相溶性や液組成の変化などを考慮する必要がない。
加えて、本発明の表面処理シリカ粒子は、アルカリ金属成分をほとんど含まないことから、これを配合した組成物の硬化膜は、アルカリ金属による汚染の心配が少なく、予期せぬ性能低下等の予防や、更なる耐擦傷性の向上が可能である。
[表面処理シリカ粒子]
本発明の表面処理シリカ粒子は、
ゾルゲルシリカ粒子の表面が、
下記式(1)で表される有機ケイ素化合物及びその加水分解物のうちの少なくとも1種と、
下記式(2)で表されるオルガノシラザン化合物及び下記式(3)で表されるオルガノシラン化合物のうちの少なくとも1種と
により被覆処理された表面処理シリカ粒子である。
本発明で用いられるゾルゲルシリカ粒子は、4官能性シラン化合物及び/又はその(部分)加水分解縮合生成物を加水分解及び縮合することによって得られ、実質的にSiO2単位からなる。
本発明で用いられるゾルゲルシリカ粒子は、下記式(2)で表されるオルガノシラザン化合物及び下記式(3)で表されるオルガノシラン化合物のうちの少なくとも1種によって表面被覆される(第1の表面処理シリカ粒子)。これらの化合物により被覆することで後述する非プロトン性有機溶媒に対する分散安定性が向上する。
上記式(2)及び(3)の化合物の両方を用いる場合は、例えば、式(2)の化合物/式(3)の化合物が質量比で1/20~1/5の割合となるように用いることが好ましい。
本発明で用いられるゾルゲルシリカ粒子は、更に、下記式(1)で示される有機ケイ素化合物によって表面被覆される(第2の表面処理シリカ粒子)。すなわち、下記式(1)の(メタ)アクリル基を有する有機ケイ素化合物を加水分解してシラノール化合物とし、これを用いてシリカ粒子を処理してシリカ粒子表面のシラノール基と脱水縮合反応させることにより、あるいは上記化合物を加水分解せずに用いて、上記化合物のハロゲン原子とシリカ表面のシラノール基とを脱ハロゲン化水素縮合反応させる。
1-(メタ)アクリロイルオキシメチルジメチルクロロシラン、
1-(メタ)アクリロイルオキシメチルジエチルクロロシラン、
1-(メタ)アクリロイルオキシメチルジプロピルクロロシラン、
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルクロロシラン、
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジエチルクロロシラン、
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジプロピルクロロシラン、
3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルクロロシラン、
3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルジエチルクロロシラン、
3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルジプロピルクロロシラン、
4-(メタ)アクリロイルオキシブチルジメチルクロロシラン、
4-(メタ)アクリロイルオキシブチルジエチルクロロシラン、
4-(メタ)アクリロイルオキシブチルジプロピルクロロシラン、
5-(メタ)アクリロイルオキシペンチルジメチルクロロシラン、
5-(メタ)アクリロイルオキシペンチルジエチルクロロシラン、
5-(メタ)アクリロイルオキシペンチルジプロピルクロロシラン、
6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジメチルクロロシラン、
6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジエチルクロロシラン、
6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジプロピルクロロシラン、
7-(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジメチルクロロシラン、
7-(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジエチルクロロシラン、
7-(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジプロピルクロロシラン
8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルジメチルクロロシラン、
8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルジエチルクロロシラン、
8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルジプロピルクロロシラン、
9-(メタ)アクリロイルオキシノニルジメチルクロロシラン、
9-(メタ)アクリロイルオキシノニルジエチルクロロシラン、
9-(メタ)アクリロイルオキシノニルジプロピルクロロシラン、
10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジメチルクロロシラン、
10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジエチルクロロシラン、
10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジプロピルクロロシラン、
11-(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジメチルクロロシラン、
11-(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジエチルクロロシラン、
11-(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジプロピルクロロシラン、
12-(メタ)アクリロイルオキシドデシルジメチルクロロシラン、
12-(メタ)アクリロイルオキシドデシルジエチルクロロシラン、
12-(メタ)アクリロイルオキシドデシルジプロピルクロロシラン、
13-(メタ)アクリロイルオキシトリデシルジメチルクロロシラン、
13-(メタ)アクリロイルオキシトリデシルジエチルクロロシラン、
13-(メタ)アクリロイルオキシトリデシルジプロピルクロロシラン、
14-(メタ)アクリロイルオキシテトラデシルジメチルクロロシラン、
14-(メタ)アクリロイルオキシテトラデシルジエチルクロロシラン、
14-(メタ)アクリロイルオキシテトラデシルジプロピルクロロシラン、
等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の表面処理シリカ粒子は、例えば、下記工程(A1)~(A4):
工程(A1):ゾルゲルシリカ粒子の合成工程、
工程(A2):分散媒置換工程、
工程(A3):(メタ)アクリル基を有する有機ケイ素化合物によるゾルゲルシリカ表面処理工程、
工程(A4):分散媒留去・乾燥工程、
によって粉体として得られる。
・工程(A1):ゾルゲルシリカ粒子の合成工程
工程(A1)は、下記式(5)で表されるシラン化合物、その(部分)加水分解縮合物又はこれらの混合物を、塩基性物質の存在下で、親水性有機溶媒及び水の混合溶媒中で加水分解・縮合することによって親水性のゾルゲルシリカ粒子の親水性有機溶媒-水分散液を得る工程である。
このとき使用される水の量は、上記式(5)で示されるシラン化合物及び/又はその(部分)加水分解縮合物のヒドロカルビルオキシ基の合計1モルに対して0.5~5モルが好ましく、0.6~3モルがより好ましく、0.7~2モルが特に好ましい。
本工程は、前記工程(A1)で得られた、ゾルゲルシリカ粒子の親水性有機溶媒-水分散液に、下記式(2)で表されるオルガノシラザン化合物及び下記式(3)で表されるオルガノシラン化合物のうちの少なくとも1種を添加して前記ゾルゲルシリカ粒子の表面を被覆処理して第1の表面処理シリカ粒子を形成し、得られた第1の表面処理シリカ粒子の分散液の分散媒に好ましくは沸点90℃以上の非プロトン性の有機溶媒を添加し、前記の親水性有機溶媒、水、及び場合により縮合によって生じたアルコールを留去によって除く工程である。
この際、非プロトン性有機溶媒は、予め分散液に加えても、或いはアルコール等を留去し始めた後に分散液に加えてもよいが、予め分散液に加えてから、留去を行うことが好ましい。
本工程により、非プロトン性有機溶媒中に第1の表面処理シリカ粒子が分散した分散液が得られる。
本工程は、工程(A2)で得られた第1の表面処理シリカ粒子の有機溶媒分散液に、下記式(1)で表される有機ケイ素化合物及びその加水分解物のうちの少なくとも1種を添加して前記第1の表面処理シリカ粒子を更に被覆処理し、第2の表面処理シリカ粒子の有機溶媒分散液を得る工程である。
本工程は、前記工程(A3)で得られた、第2の表面処理シリカ粒子の有機溶媒分散液の非プロトン性有機溶媒、及び縮合によって生じたアルコール等の揮発性副生成物を留去することで、第2の表面処理シリカ粒子を粉体として得る工程である。
本発明の表面処理シリカ粒子(第2の表面処理シリカ粒子)は、粉体状態から有機溶媒に再分散させることができる。再分散に用いられる溶媒としては、シリカ粒子を分散可能なものであれば特に限定されるものではないが、極性の高い有機溶媒が好ましい。有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル等のエステル類などを挙げることができる。これらのうち、特に好ましくはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールであり、最も好ましくはメタノールである。
本発明においては、粉体として得られた第2の表面処理シリカ粒子や、有機溶媒へ再分散させた分散体を光硬化性組成物に導入可能である。特に、第2の表面処理シリカ粒子粉体をそのまま(直接)光硬化性組成物に分散させることで、光硬化性組成物として用いることができる。光硬化性組成物は、ラジカル重合性不飽和結合を有する(液状)化合物を含み、必要に応じて、光反応開始剤、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で配合することにより耐擦傷性に優れた光硬化性組成物とすることが可能である。
ラジカル重合性不飽和結合を有する化合物は、1個以上のラジカル重合性不飽和結合を有する硬化反応可能なモノマーやオリゴマーであれば特に限定されない。例えば(メタ)アクリレート化合物、スチレン化合物、マレイミド化合物、フマル酸エステル化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、重合性に優れ、室温付近でも硬化させやすい観点から、(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等が挙げられる。
本発明の光硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で希釈溶媒を添加してもよい。溶媒としては各成分を溶解、又は分散するものであれば特に限定されるものではないが、極性の高い有機溶媒が好ましい。有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール、t-ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル等のエステル類などを挙げることができ、これらからなる群より選ばれた1種もしくは2種以上の混合物を使用することができる。
光反応開始剤は、光を受けて励起し、(メタ)アクリロキシ基を含有するシロキサンに励起エネルギーを与えて紫外線照射による硬化反応を開始させるものである。
光反応開始剤は、反応性の観点から、アセトフェノン及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導体、o-ベンゾイル安息香酸エステル、ベンゾイン及びベンゾインエーテル並びにその誘導体、キサントン及びその誘導体、ジスフィルド化合物、キノン化合物、ハロゲン化炭化水素及びアミン類、有機過酸化物等が挙げられる。相溶性、安定性の観点から、アセトフェノン及びその誘導体、ベンゾフェノン及びその誘導体、o-ベンゾイル安息香酸エステル、ベンゾイン及びベンゾインエーテル並びにその誘導体、キサントン及びその誘導体等の置換又は非置換のベンゾイル基を含有する化合物又は有機過酸化物がより好ましい。
光反応開始剤を使用する場合の配合量は、光硬化性組成物中の固形分100質量部に対して0.5~10質量部が好ましい。
重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、t-ブチルカテコール、フェノチアジン、ベンゾフロキサン、ニトロソベンゼン、2-メチル-2-ニトロソプロパンダイマー、N-t-ブチル-α-フェニルニトロン等が挙げられる。
重合禁止剤を使用する場合の添加量は、組成物中に使用する(メタ)アクリル基を有する有機ケイ素化合物の質量を基準にして100~10,000ppm程度である。
酸化防止剤は、組成物の硬化物の酸化を防止して、耐候性を改善するために使用することができ、例えば、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系等の酸化防止剤が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、例えば、N,N',N'',N'''-テトラキス-(4,6-ビス(ブチル-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N'-ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,6-ヘキサメチレンジアミン・N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールの重合体、[デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジル)エステル、1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物(70質量%)]-ポリプロピレン(30質量%)、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケ-ト、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケ-ト、1-[2-〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]-4-〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、8-アセチル-3-ドデシル-7,7,9,9-テトラメチル-1,3,8-トリアザスピロ[4.5]デカン-2,4-ジオン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記酸化防止剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
耐光性安定剤である紫外線吸収剤は、光劣化を防止して、耐候性を改善するために使用することができ、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4-ジ-tert-ブチル-6-(5-クロロベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、メチル3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(直鎖及び側鎖ドデシル)-4-メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられ、また上記成分がシリル基及び/又はアクリル基で変性された有機化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記紫外線吸収剤は1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
光安定化剤は、硬化物の光酸化劣化を防止するために使用することができ、例えば、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、ベンゾエート系化合物等が挙げられる。
光安定化剤としては、ヒンダードアミン系が好ましい。中でも、第3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤を用いることが、組成物の保存安定性改良のために好ましい。第3級アミン含有ヒンダードアミン系光安定剤としては、チヌビン622LD,チヌビン144,チヌビン123、CHIMASSORB119FL(いずれもBASF社製);MARKLA-57,LA-62,LA-67,LA-63(いずれも旭電化(株)製);サノールLS-765,LS-292,LS-2626,LS-1114,LS-744(いずれも三共(株)製)等の光安定剤が挙げられる。
本発明の組成物は、上記添加物以外にも、必要に応じて、シリコーンレジン、レベリング剤、増粘剤、顔料、染料、金属粉、熱線反射・吸収性付与剤、可撓性付与剤、帯電防止剤、防汚性付与剤、撥水性付与剤等のその他の添加剤を本発明の目的や効果に悪影響を与えない範囲内で添加することができる。例えば、レベリング剤として、信越化学工業(株)製「KP-341」、BYKChemie製「BYK-180」、「BYK-190」、共栄社化学(株)製「LE-604」等を使用することができる。
本発明の光硬化性組成物は、大気、窒素等の雰囲気下で紫外線を照射することによって、硬化させることができる。反応可能な範囲の波長領域のランプとしては、例えば、ウシオ電機(株)製の高圧水銀ランプ(UV-7000)、メタルハライドランプ(MHL-250、MHL-450、MHL-150、MHL-70)、JMtech社製のメタルハライドランプ(JM-MTL2KW)、三菱電機(株)製の紫外線照射灯(OSBL360)、日本電池(株)製の紫外線照射機(UD-20-2)、(株)東芝製の蛍光ランプ(FL-20BLB)、Fusion社製のHバルブ、Hプラスバルブ、Dバルブ、Qバルブ、Mバルブ等が挙げられる。照射量は、100~12,000mJ/cm2が好ましく、より好ましくは300~8,000mJ/cm2であり、更に好ましくは500~6,000mJ/cm2である。
本発明の光硬化性組成物を、基材の少なくとも一方の面に、直接又は少なくとも1種の他の層を介して塗布し、それを上記の光照射によって硬化させることにより被膜を形成した被覆物品を得ることができる。
更に、これらの基材の表面が処理されたもの、具体的には、化成処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、酸やアルカリ液等で処理されている基材や、基材本体と表層が異なる種類の塗料で被覆されている化粧合板等も用いることもできる。特に、ポリカーボネート基材上に上記コーティング組成物からなる硬化膜を形成させた場合、ポリカーボネートの耐擦傷性や耐候性を改善することが可能となる場合がある。
[実施例1-1]
・工程(A1):
攪拌機、滴下ロート、温度計を備えた1リットルのガラス製反応器にメタノール396g、水16g、28質量%アンモニア水20gを添加して混合した。この溶液を50℃に調整し、攪拌しながらテトラメトキシシラン323g、及び5.5質量%アンモニア水81gを同時に滴下開始した。滴下終了後、50℃で1時間攪拌を続けて加水分解を行い、ゾルゲルシリカ粒子の分散液を得た。得られた分散液の不揮発成分含有率(105℃、3時間)は18質量%であった。
上記工程(A1)で得られた分散液837gに、25℃で、ヘキサメチルジシラザン(SZ-31:信越化学工業(株)製)30gを添加し、2時間還流した後、80gの水を加えた。得られた反応液にメチルイソブチルケトン(MIBK)1,000gを加え、溶液温度が110℃になるまでメタノールや水を加熱留去することで第1の表面処理シリカ粒子のMIBK分散液を得た。得られた分散液の不揮発成分含有率(105℃、3時間)は28質量%、水分量は580ppmであった。
上記工程(A2)で得られた分散液に、25℃において、被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して5質量部の3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン(KL-501:信越化学工業(株)製)を添加し、室温で2時間撹拌した後、被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して5質量部のトリメチルクロロシラン(KL-31:信越化学工業(株)製)を添加し、室温で12時間撹拌した。
工程(A3)で得られた反応液に対して、水洗を三回繰り返すことで副生成物の塩酸を除去した後、この有機層中の揮発性成分を80℃、減圧下(30~10mmHg)で留去することにより固体を得た。得られた固体を室温で2時間減圧乾燥機中において乾燥した後、得られた固体をミキサによって粉砕することで第2の表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
実施例1-1の工程(A3)において、3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン(KL-501:信越化学工業(株)製)の添加量を被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して10質量部に変更した以外は実施例1-1と同様の手順で、表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
実施例1-2の工程(A3)において、トリメチルクロロシラン(KL-31:信越化学工業(株)製)を添加しないこと以外は実施例1-2と同様の手順で、表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
実施例1-1の工程(A1)において、溶液温度を30℃に調整し、攪拌しながらテトラメトキシシラン、及びアンモニア水を滴下開始することでゾルゲルシリカ粒子の分散液を得た以外は実施例1-1と同様の手順で、表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
実施例1-4の工程(A3)において、3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン(KL-501:信越化学工業(株)製)の添加量を被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して10質量部に変更した以外は実施例1-4と同様の手順で、メタクリル基を有する有機ケイ素化合物で被覆された表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
・工程(A1):
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた3リットルのガラス製反応器にメタノール623.7g、水41.4g、28%アンモニア水49.8gを添加して混合した。この溶液を35℃に調整し、撹拌しながらテトラメトキシシラン1,163.7gおよび5.4質量%アンモニア水418.1gを同時に添加開始した。テトラメトキシシラン滴下後も0.5時間撹拌を続け加水分解を行いシリカ微粒子の懸濁液を得た。得られた分散液の不揮発成分含有率(105℃、3時間)は19質量%であった。
上記工程(A1)で得られた分散液938gに、25℃で、メチルトリメトキシシラン11.6gを0.5時間かけて滴下し、滴下後も12時間撹拌し、シリカ微粒子表面の処理を行った。得られた反応液にMIBKを1,440g加え、溶液温度が110℃になるまでメタノールや水を加熱留去することで第1の表面処理シリカ粒子のMIBK分散液を得た。得られた分散液の不揮発成分含有率(105℃、3時間)は23質量%、水分量は610ppmであった。
上記工程(A2)で得られた分散液に、25℃において、被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して8質量部の3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン(KL-501:信越化学工業(株)製)を添加し、室温で2時間撹拌した後、被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して8質量部のトリメチルクロロシラン(KL-31:信越化学工業(株)製)を添加し、室温で12時間撹拌した。
工程(A3)で得られた反応液に対して、水洗を三回繰り返すことで副生成物の塩酸を除去した後、この有機層中の揮発性成分を80℃、減圧下(30~10mmHg)で留去することにより固体を得た。得られた固体を室温で2時間減圧乾燥機中において乾燥した後、得られた固体をミキサによって粉砕することで、第2の表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
実施例1-6の工程(A3)において、3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン(KL-501:信越化学工業(株)製)の添加量を被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して30質量部に変更した以外は実施例1-6と同様の手順で、表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
実施例1-6の工程(A2)において、水1,500gを加え、溶液温度が95℃になるまでメタノールを加熱留去した後、メチルトリメトキシシラン処理、MIBK置換を行ったこと以外は実施例1-6と同様の手順で、表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
実施例1-3の工程(A3)において、3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン(KL-501:信越化学工業(株)製)の添加量を被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して1質量部に変更した以外は実施例1-3と同様の手順で、表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
実施例1-3の工程(A3)において、3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン(KL-501:信越化学工業(株)製)を3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランに変更した以外は実施例1-3と同様の手順で、表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
実施例1-1の工程(A2)を行わず、工程(A1)から直接工程(A3)を行ったこと以外は実施例1-1と同様の手順で、表面処理シリカ粒子の粉体を得た。
イオン交換法シリカの30質量%プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート分散液(PMA-ST、日産化学工業(株)製、粒子径:10~15nm)100gに3-メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン(KL-501:信越化学工業(株)製)をシリカ100質量部に対して10質量部になるように添加し、室温で12h撹拌した。その結果、反応溶液がシリカの凝集に起因してゲル化したため、目的物を回収することができなかった。
アクリルコンパウンド用の表面処理イオン交換法シリカ分散液として知られている表面処理シリカ30質量%プロピレングリコール1-モノメチルエーテル分散液(PGM-AC-4130Y、日産化学工業(株)製、粒子径:40~50nm)中の有機溶媒を80℃、減圧下(6,650Pa)で留去することによりシリカ固体を得た。得られた固体を室温で2時間減圧乾燥機中において乾燥した後、得られた固体をミキサによって粉砕することで、表面処理イオン交換法シリカ粒子の粉体を得た。
表中に記載の(メタ)アクリル基を有する有機ケイ素化合物の含有率は、{[(メタ)アクリル基を有する有機ケイ素化合物の添加量]/[被覆処理前のゾルゲルシリカ粒子の質量]}×100(質量%)として算出した。
最終的に得られた表面処理シリカ粒子とメタノールとを表面処理シリカ粒子が1質量%となるように混合し、10分間超音波を照射することにより該粒子を分散させたときの粒度分布を、体積基準のメジアン径(D50)が100nm以上の場合はレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(Partica LA-960、(株)堀場製作所製)により測定し、100nm以下の場合は動的光散乱法/レーザードップラー法ナノトラック粒度分布測定装置(UPA-EX150:日機装(株)製)により測定し、その体積基準のメジアン径(D50)を算出した。
最終的に得られた表面処理シリカ粒子とメタノールとを表面処理シリカ粒子が1質量%となるように混合し、24時間超音波を照射して該粒子を分散させた。得られた分散液をメッシュフィルターに通すことで、フィルターを通過しなかった成分の表面処理シリカ粒子全体に対する質量分率を粗粉量として算出し、粗粉量が20質量%より小さい場合を「○」、粗粉量が20質量%以上である場合を「×」として再分散性の指標とした。
誘導結合プラズマ発光分光分析(IPC-OES)装置(Agilent-730:アジレント・テクノロジー(株)製)を用いてシリカ粒子中に含まれるナトリウムの量を定量した。
一方、表3に示した通り、表面処理成分が少ない比較例1-1ではシリカの凝集が生じ、再分散性を示さなかった。この結果は、添加した(メタ)アクリル基含有有機ケイ素化合物による被覆が不十分であり、シリカ間で凝集が生じ、再分散性が損なわれたことを示している。また、表面処理剤にトリアルコキシシランを用いた比較例1-2においてもシリカの凝集が生じ、再分散性を示さなかった。これは、クロロシランに比べてアルコキシシランは反応性が低いため、乾燥時のシリカの凝集を抑制するほどには表面処理が進行しなかったことを示唆している。加えて、非プロトン性溶媒による溶媒置換を行わずにクロロシランの添加を行った比較例1-3のサンプルでもシリカの凝集が生じ、再分散性を示さなかった。この結果は、添加したクロロシランがアルコールや水と主に反応することで、粒子表面の被覆が不十分となり、シリカ間で凝集が生じ、再分散性が損なわれたことを示唆している。また、非プロトン性溶媒に分散したイオン交換法シリカにクロロシランの添加を行った比較例1-4のサンプルでは系全体がゲル化した。イオン交換法シリカでは水分散液として作製した後、特殊な表面処理をして非プロトン性溶媒に分散させているために、表面処理剤によって系のバランスが崩れ、シリカ粒子間で架橋が進行したためだと考えられる。以上のことから、本発明の要件を満たしたシリカ粒子は、有機溶媒への再分散性の良好な表面処理シリカとなることが明らかになった。
[実施例2-1]
実施例1-1にて得られた第2の表面処理シリカ粒子10質量部に対して、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)60質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)30質量部を添加した溶液を、24時間超音波照射することにより該粒子を分散させた。得られた溶液100質量部に対して2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(DAROCUR 1173:BASF社製)4質量部を添加し、光硬化性組成物を調製した。
実施例1-1にて得られた第2の表面処理シリカ粒子に代えて、実施例1-2にて得られた第2の表面処理シリカ粒子を用いた以外は実施例2-1と同様の手順で硬化膜を調製した。
実施例1-1にて得られた第2の表面処理シリカ粒子に代えて、実施例1-3にて得られた第2の表面処理シリカ粒子を用いた以外は実施例2-1と同様の手順で硬化膜を調製した。
実施例1-1にて得られた第2の表面処理シリカ粒子に代えて、実施例1-4にて得られた第2の表面処理シリカ粒子を用いた以外は実施例2-1と同様の手順で硬化膜を調製した。
実施例1-1にて得られた第2の表面処理シリカ粒子に代えて、実施例1-5にて得られた第2の表面処理シリカ粒子を用いた以外は実施例2-1と同様の手順で硬化膜を調製した。
実施例1-1にて得られた第2の表面処理シリカ粒子に代えて、実施例1-6にて得られた第2の表面処理シリカ粒子を用いた以外は実施例2-1と同様の手順で硬化膜を調製した。
実施例1-1にて得られた第2の表面処理シリカ粒子に代えて、実施例1-7にて得られた第2の表面処理シリカ粒子を用いた以外は実施例2-1と同様の手順で硬化膜を調製した。
実施例1-1にて得られた第2の表面処理シリカ粒子に代えて、実施例1-8にて得られた第2の表面処理シリカ粒子を用いた以外は実施例2-1と同様の手順で硬化膜を調製した。
シリカ粒子を導入しないこと以外は実施例2-1と同様の組成で塗料を調製し、実施例2-1と同様の手順で硬化膜を調製した。
(メタ)アクリル基を有しない疎水性球状ゾルゲルシリカ粉体(QSG-10(トリメチルシロキシ基で表面疎水化処理されたシリカ粒子)、信越化学工業(株)製)100質量部に対してHDDAを100質量部になるように添加し、混合することでシリカのHDDA分散液を得た。
(メタ)アクリル基を有しない疎水性球状ゾルゲルシリカ粉体(QSG-30(トリメチルシロキシ基で表面疎水化処理されたシリカ粒子)、信越化学工業(株)製)100質量部に対してHDDAを100質量部になるように添加し、混合することでシリカのHDDA分散液を得た。
(メタ)アクリル基を有しない疎水性球状ゾルゲルシリカ粉体(QSG-100(トリメチルシロキシ基で表面疎水化処理されたシリカ粒子)、信越化学工業(株)製)100質量部に対してHDDAを100質量部になるように添加し、混合することでシリカのHDDA分散液を得た。
表面処理シリカ粒子が1質量%となるようにメタノールで再分散し、10分間超音波を照射することにより該粒子を分散させたときの粒度分布を、体積基準のメジアン径(D50)が100nm以上の場合はレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(Partica LA-960、(株)堀場製作所製)により測定し、100nm以下の場合は動的光散乱法/レーザードップラー法ナノトラック粒度分布測定装置(UPA-EX150:日機装(株)製)により測定し、その体積基準のメジアン径(D50)を算出した。
ASTM1044に準じ、テーバー摩耗試験にて摩耗輪SC-10Fを装着し、荷重500gfでの500回転後のヘイズをヘイズメーター(NDH5000SP:日本電色工業(株)製)を用いて測定し、摩耗試験前の値との差(ΔHz)を算出した。
濁度計(NDH2000:日本電色工業(株)製)を用いてヘイズを測定した。ヘイズの値が3以下のものを「○」、3より大きいものを「×」として評価した。
上記実施例2-1~2-8及び比較例2-1~2-5で得られた光硬化性塗料を24時間室温で静置したとき、目視にてシリカ粒子の溶液からの分離が確認できる塗料を「×」、確認できない塗料を「○」として評価した。
上記実施例2-1~2-8及び比較例2-1~2-5で得られた光硬化性塗料について、目視にて流動性が見られる場合を「○」、流動性が殆ど無い場合を「×」として評価した。
一方で、比較例2-1のようにシリカ粒子を含まない場合は、ΔHzが6以上であり耐擦傷性が低下した。
また、比較例2-2、2-3、2-4では、上記実施例の表面処理シリカ粒子と、それぞれ同程度の粒径の粒子との液物性・硬化膜物性を比較すると、ΔHzは実施例の対応する粒径のシリカを有する塗膜と比較していずれも悪化した。このことはシリカ表面にメタクリル基を導入することで塗膜の耐擦傷性を改善できることが示唆されている。
比較例2-2と比較例2-3の場合ではシリカの凝集は生じなかったが、強い増粘が生じ、流動性を示さなかった。この結果は、シリカ表面の疎水化が十分に行われている場合であっても、シリカ表面に(メタ)アクリル基を有しないために光反応性組成物との親和性不足が要因で増粘が生じることを示している。
更に、比較例2-4では塗膜透明性の著しい低下と分散安定性の低下が確認された。これは、メタクリル基を有さない粒径の大きなシリカ粒子では塗料中のアクリル化合物との相互作用よりも、シリカ間の分子間力の方が強く、経時・或いは硬化時に凝集したためであると考えられる。
また、本発明で得られた表面処理シリカ粒子分散液は、ナトリウム原子がほとんど含まれておらず、従ってアルカリ金属による汚染が問題となる用途にも問題なく使用することができる。
以上のことから、本発明で得られる表面処理シリカ粒子は、粉末の状態から塗料へ導入が可能で、且つ導入後の塗料の作業性や、硬化膜の透明性・耐擦傷性良好なハードコート塗料原料として非常に有用である。
Claims (11)
- ナトリウム含有量が100質量ppm以下である請求項1又は2記載の表面処理シリカ粒子。
- 請求項1~3のいずれか1項記載の表面処理シリカ粒子が有機溶媒に分散した表面処理シリカ粒子分散体。
- 表面処理シリカ粒子の体積基準の粒度分布におけるメジアン径が1~170nmである請求項4記載の表面処理シリカ粒子分散体。
- 表面処理シリカ粒子の体積基準の粒度分布におけるD90/D10の値が5.0以下である請求項4又は5記載の表面処理シリカ粒子分散体。
- 請求項1~3のいずれか1項記載の表面処理シリカ粒子を含む光硬化性組成物。
- 請求項7記載の光硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
- (A1)下記式(5)で表されるシラン化合物、その(部分)加水分解縮合物又はこれらの混合物を塩基性物質の存在下で親水性有機溶媒及び水の混合溶媒中で加水分解・縮合することによってゾルゲルシリカ粒子の分散液を得る工程と、
(A2)前記ゾルゲルシリカ粒子分散液に、下記式(2)で表されるオルガノシラザン化合物を添加して前記ゾルゲルシリカ粒子の表面を被覆処理して第1の表面処理シリカ粒子を形成し、この第1の表面処理シリカ粒子の分散液の分散媒を非プロトン性有機溶媒で置換する工程と、
(A3)工程(A2)で得られた前記第1の表面処理シリカ粒子の非プロトン性有機溶媒分散液に、下記式(1)で表される有機ケイ素化合物及びその加水分解物のうちの少なくとも1種:前記ゾルゲルシリカ粒子100質量部に対して2質量部以上を添加して、前記第1の表面処理シリカ粒子を更に被覆処理して第2の表面処理シリカ粒子を形成し、この第2の表面処理シリカ粒子の非プロトン性有機溶媒分散液を得る工程と、
(A4)工程(A3)で得られた、第2の表面処理シリカ粒子の非プロトン性有機溶媒分散液中の非プロトン性有機溶媒及び揮発性成分を取り除いて、第2の表面処理シリカ粒子を粉体として得る工程と
を有する表面処理シリカ粒子粉体の製造方法。 - 工程(A4)で得られた表面処理シリカ粒子粉体のナトリウム含有量が100質量ppm以下である請求項9又は10記載の表面処理シリカ粒子粉体の製造方法。
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