JP2013158605A - 使い捨ておむつ - Google Patents

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JP2013158605A JP2012025143A JP2012025143A JP2013158605A JP 2013158605 A JP2013158605 A JP 2013158605A JP 2012025143 A JP2012025143 A JP 2012025143A JP 2012025143 A JP2012025143 A JP 2012025143A JP 2013158605 A JP2013158605 A JP 2013158605A
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Shigemi Iijima
茂美 飯島
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Oji Nepia Co Ltd
Oji Holdings Corp
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Oji Nepia Co Ltd
Oji Holdings Corp
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Abstract

【解決課題】
本発明は,着用者の腰周りに隙間を生じさせることがなく,かつ,着用者の腰周りの締め付けを軽減した着用感の優れた使い捨ておむつを提供することを解決課題とする。
【解決手段】
本発明は,フロントパッチをフック材で形成し,後身頃の左右の両縁端部から延出した止着部をフック材と係合可能な繊維を含有する不織布で形成することで,着用時の安全性に優れた使い捨ておむつ得ることができるという知見に基づくものである。
本発明に係る使い捨ておむつの止着部は,後身頃をフック材と係合可能な繊維を含有する不織布で形成される。このため,使い捨ておむつを着用者の腰周りにしっかりと固定しても,使い捨ておむつの着用感を損なうことがない。
【選択図】図1

Description

本発明は,使い捨ておむつに関する。具体的に説明すると,本発明は,前身頃に設けられた止着手段に後身頃を止め付けることにより,着用者の身体に装着される使い捨ておむつに関するものである。
従来から,後身頃に止着テープが取り付けられ,前身頃にフロントパッチが設けられた使い捨ておむつが知られている。止着テープとフロントパッチは,例えばフック材(雄部材)とループ材(雌部材)の面ファスナーにより機械的に結合できるようになっている。このため,後身頃に設けられた止着テープを前身頃に設けられたフロントパッチに止め付けることで,使い捨ておむつを着用者の身体に装着することが可能である。
特許文献1には,止着テープが後身頃に設けられている使い捨ておむつが開示されている。止着テープには,止着手段としてフック材(雄部材)が用いられており,止着テープのフック材と,フロントパッチのループ材(雌部材)を機械的に結合することで,使い捨ておむつを着用者の身体に固定することができる。
特開2009−45926号公報
しかしながら,止着手段のフック材の材質は固いため,おむつを取り付ける際に誤ってフック材を腹部や両脚部の付け根に接触させてしまうと,乳幼児などの肌を傷つけるという問題があった。
また,フック材は非伸縮性であるため,止着テープをフロントパッチにきつく取り付けた場合は,着用者の腰周りが締め付けられ着用感が低下するという問題があった。
このため,現在は,安全に着用させることができる使い捨ておむつであって,かつ,着用感の優れた使い捨ておむつが求められている。
そこで,本発明者は,上記従来技術の問題点を解消するために鋭意検討した結果,フロントパッチをループ材ではなくフック材で形成し,後身頃にフロントパッチのフック材と係合可能な繊維を含有する不織布で形成された止着部を設けることで,着用時の安全性に優れた使い捨ておむつ得ることができるという知見を得た。また,本発明者は,本発明に係る使い捨ておむつは,止着手段としてフック材を使用していないため,止着部をフロントパッチにしっかりと取り付けた場合であっても,着用者の着用感が低下しないという知見を得た。
具体的に,本発明は,以下の構成を有する。
本発明は,後身頃1,前身頃2,及び後身頃1と前身頃2の間に位置する股下部3から構成され,前身頃2に,後身頃1の左右の両縁端部から延出した止着部11を止め付けるためのフロントパッチ21が設けられた使い捨ておむつに関するものである。本発明の使い捨ておむつのフロントパッチは,フック材22から形成され,後身頃1の左右の止着部11の肌当接面側の面は,フロントパッチ10のフック材22と係合可能な繊維を含有する不織布から形成される。
上記構成のように,フロントパッチ21を,フック材22から形成し,後身頃1の左右の両縁端部から延出した止着部11の肌当接面側の面を,フロントパッチ21のフック材22と係合可能な繊維を含有する不織布から形成することにより,止着手段としてフック材を使用することなく前身頃と後身頃を結合することができる。このため,着用時にループ材で肌を傷つけることがなく,安全性を高めることができる。また,本発明に係る使い捨ておむつは,止着手段にフック材を使用していないため,止着部11をフロントパッチにしっかりと取り付けた場合であっても,着用者に不快感を与えることがない。
本発明において,後身頃1の左右の両縁端部から延出した止着部11は,少なくとも左右方向に伸縮可能であることが好ましい。
上記構成のように,伸縮可能な構成とすることにより,止着部11は,着用者の動きに対して追従して伸縮可能となる。その結果,本発明に係る使い捨ておむつは,着用者の動きを阻害することなく,着用者の腰周りにフィットした状態を維持することができる。
また,上記構成とすることで,止着部11をフロントパッチにしっかりと取り付けた場合であっても,着用者の着用感を損なうことがない。
本発明において,後身頃1及び後身頃1の左右の両縁端部から延出した止着部11には,後身頃1及び止着部11を左右方向に横切る一連の端縁領域4が形成され,端縁領域4の左右の端部にかけて1又は複数の腰周り伸縮材43が配置されるが好ましい。
上記構成のように,後身頃1及び止着部11を左右方向に横切る一連の端縁領域4に腰周り伸縮材43を配置することにより,着用感及びフィット感をさらに高めることができる。また上記構成では,後身頃1の端縁領域4に,止着部11の左右の端部にかけて弾性伸縮材が一連となって配置されるため,腰周りギャザー38及び両縁端部ギャザー39の製造工程を簡略化することができる。その結果,使い捨ておむつの製造コストを抑えることができる。
本発明において,フロントパッチ21の面積Rと,後身頃1左右の両縁端部から延出した一方の止着部11の面積Sとの面積比S/Rは0.4以上1.5以下であることが好ましい。
上記構成のように,後身頃1の左右の両縁端部から延出した止着部11の面積の和をフロントパッチ21の面積よりも大きくすることにより,止着部11でフロントパッチ21の表面を全て覆うことができる。これにより,フロントパッチ21を形成するフック材22の露出を減らすことができる。フック材22は固い材質であるため,フック材22の露出を減らすことにより,着用者の腕や手がフック材22に触れてしまった時の不快感を軽減することができる。
本発明は,上述した発明特定事項を有することにより,乳幼児などの肌を傷つけることなく,使い捨ておむつを装着することができる。また,本発明は,止着手段としてフック材22などの固い部材を使用していないため,止着部11をフロントパッチ11にしっかりと取り付けた場合であっても,着用者に不快感を与えることがない。
また,止着部11の不織布を伸縮可能とすることにより,着用者の腰周りを必要以上に締め付けることがなくなる。また,着用者の動きに対して追従して伸縮可能となるため,着用者の動きを阻害せず,使い捨ておむつのフィット感を高めることできる。
図1は,テープ型使い捨ておむつの例を示す斜視図である。 図2は,テープ型使い捨ておむつの例を示す展開図である。 図3は,フロントパッチと止着部の結合部を示す拡大図である。 図4は,ある実施形態に係るテープ型使い捨ておむつの例を示す展開図である。 図5は,ある実施形態に係るテープ型使い捨ておむつの例を示す展開図である。
以下,本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
なお,本明細書において,「左右方向」とは,図2に示される展開された使い捨ておむつの短手方向(図2中の左右方向)を意味する。また,「上下方向」とは,図2に示される展開された使い捨ておむつの長手方向(図2中の上下方向)を意味する。「左右方向」と「上下方向」は,互いに直交する方向である。
また,本明細書において,「A〜B」とは,A以上B以下であることを意味する。
(1.使い捨ておむつの基本構成)
図1は,使い捨ておむつの例を示す斜視図であり,前身頃2の外表面に取り付けられたフロントパッチ21が見えるように,前身頃2を折り返した状態を描画したものである。図2は,使い捨ておむつの例を示す展開図であり,使い捨ておむつを,装着時において着用者の肌に当接しない面(肌非当接面)側から見た状態を示している。
図1及び図2に示されるように,本発明の使い捨ておむつ100は,装着時に着用者の背部を覆う後身頃1,着用者の腹部を覆う前身頃2,及び着用者の股下にあてがわれる股下部3の各部から構成される。
使い捨ておむつ100の後身頃1には,左右両方向に止着部11が延設されている。後身頃1の止着部11の肌当接面側の面は,前記フロントパッチ21のフック材22と係合可能な繊維を含有する不織布から形成される。一方,前身頃2の肌非当接面側には,後身頃1の止着部11を止め付けるためのフロントパッチ21が設けられている。このため,使い捨ておむつ100は,後身頃1を着用者の背部にあてがい,前身頃2を着用者の腹部にあてがった状態で,後身頃1の左右の止着部11を,前身頃2に設けられたフロントパッチ21に止め付けることにより,着用者に装着することが可能である。
尚,図1〜図5では,フロントパッチ21が他の部位と区別されやすいように,フロントパッチ21に点掛け模様を付して示している。
後身頃1と前身頃2の間には股下部3が位置する。この股下部3を中心として,後身頃1から前身頃2にかけて,尿などの液体を吸収し保持するための吸収体31が配設されている。この吸収体31は,着用者の肌に当接する面(肌当接面)側から液透過性のトップシート32によって被覆され,反対側の肌非当接面側から液不透過性のバックシート33によって被覆されている。従って,尿などの液体は,トップシート32を透過して,吸収体31に吸収保持され,液透過性のバックシート33によって外部への漏出が阻止される。
また,トップシート32の両側縁にはサイドシート34を配設することとしてもよい。サイドシート34は,疎水性を有しながらも通気性の高い材料によって形成されていることが好ましい。また,サイドシート34の一端をトップシート32の表面上に固定し,その他端に弾性伸縮材(立体ギャザー伸縮材)41を伸長状態で配設することにより,立体ギャザー35を形成することとしてもよい。この立体ギャザー35は,立体ギャザー伸縮材41が収縮すると,その収縮力を利用して起立する。起立した立体ギャザー35は,トップシート32の側方から液体が漏洩することを防止するための防漏壁として機能する。
また,バックシート33の外表面には,バックシート33を補強し,その手触りを良くするために,カバーシート36を貼り合わせることとしてもよい。カバーシート36を形成する材料としては,例えば,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステルのような熱可塑性樹脂からなる不織布,又は湿式不織布を用いることができる。
(2.使い捨ておむつの各部構成)
以下,本発明に係るテープ型使い捨ておむつの各部の構成について説明する。
(2−1.フロントパッチ)
フロントパッチ21は,後身頃1の左右の止着部11を,前身頃2に止め付けて保持するための部材である。フロントパッチ21は,前身頃2の外表面(肌非当接面側)に取り付けられており,ベースシートと,該ベースシート上に設けられるフック材22から形成される。
図3は,フロントパッチ21の表面に形成されたフック材22と,フック材22と係合する止着部11の係合領域の拡大図を示したものである。図3に示されているように,フロントパッチ21の肌非当接面側には,多数のフック材22が設けられている。このフック材22と,表面に凹凸構造を持った止着部11が係合する。フック材22と止着部11は,繰り返し着脱が可能な構造をとり,図中の矢印で示した方向に着脱する。
フック材22は,ベースシートと該ベースシートの表面から起立する多数の係合突起から形成されるものである。フック材22は,例えば,鉤状,きのこ状,錨状等の各種の形状をとることができる。フック材22が止着部11を形成する不織布にしっかりと止め付けることができるように,フック材22の尖端部に,さらに凹凸状の係止部を有することとしても良い。また,止着部11を形成する不織布の繊維質の性状に合わせて,フック材22の形状を変えることができる。
フック材22を構成する材料としては,例えば,ナイロン,ポリプロピレン,又は合成繊維,合成樹脂を用いることができる。フック材22は,これらの材料を1つ又は2つ以上組み合わせて,成形又は押出し製法によって形成される。フック材22の材質は,止着部11を形成する不織布の繊維質の性状に合わせて適宜選択することができる。
また,フック材22は,繊維を含有した不織布の表面としっかりと固着するために,通常のおむつの止着手段に用いるフック材22よりも嵩高いフック材22を用いることが好ましい。例えば,フック材22をベースシート上に設ける場合,フックシートの嵩高さは,0.01〜2mm,好ましくは0.05〜1mm,より好ましくは0.1〜0.5mmである。
フロントパッチ21のベースシートの形状は,図1に示した形状に限定されるものではなく,様々な形とすることができる。例えば,フロントパッチ21は,楕円形や,正方形,各辺に凹凸を設けた形としても良い。
フロントパッチ21の面積は,おむつの大きさによって適宜調節することができる。使い捨ておむつが大人用の場合,フロントパッチ21の面積は,50〜900cm,好ましくは100〜750cm,より好ましくは300〜700cmである。使い捨ておむつが子供用の場合,フロントパッチ21の面積は,10〜600cm,好ましくは10〜300cm,より好ましくは20〜100cmである。
また,図4に示されているように,フロントパッチ21は,複数個に分けて設けても良い。複数個に分けて設けることにより,フロントパッチ21を構成するベースシートの面積を減らすことができ,原料費を削減することができる。
(2−2.止着部)
本明細書において,「止着部」とは,図1に示す領域11のように,後身頃1の左右の側縁から外側に張り出したシート部分を意味するものとする。止着部11は,後身頃1の左右両方向に延出したサイドフラップに延設されても良い。ここで,「サイドフラップ」とは,股下部3の左右方向の幅よりも左右に延出した後身頃1のことをいう。
後身頃1の止着部11の肌当接面側の面は,フロントパッチ21のフック材22と係合する。これにより,使い捨ておむつの後身頃1の止着部11を前身頃2に止め付けて保持することが可能となる。
後身頃1の止着部11の肌当接面側の面は,フロントパッチ21のフック材22と係合可能な繊維を少なくとも一部に含有する不織布から形成される。止着部11の肌当接面側の面を形成する繊維を含有する不織布は,その表面に多数の凹凸構造を有する。止着部11の肌当接面側の面の凹凸部構造にフロントパッチ21のフック材22が引っ掛かり,止着部11とフロントパッチ21が係合する。止着部11の肌当接面側の面を形成する不織布はフロントパッチ21のフック材22と係合することが可能なメス材として機能する。
止着部11の肌当接面側の面を形成するフック材22と係合可能な繊維を含有する不織布の表面には,多数の凹凸構造を形成するために,不織布の表面には,繊維質の不織材が編み込まれていても良い。繊維質の不織材は,不織布の表面に凹凸構造を形成する。繊維材料製の不織材は,糸状の繊維質でも良く,ループ状に編み込まれていても良い。繊維質の不織材には,柔軟性に優れた素材を用いることが好ましい。柔軟性に優れた繊維質の不織材を用いることにより,止着部11が着用者の肌に接触した場合であっても,着用者に不快感を与えることがない。
また,止着部11の肌当接面側の面を形成するフック材22と係合可能な繊維を含有する不織布の表面には,多数の凹凸構造を形成するために微細孔が設けられていても良い。微細孔は,フック材22と係合可能な繊維を絡み合わせる過程において,形成されるものであっても良いし,不織布を製造した後に微細孔を形成するものであっても良い。不織布を製造した後に微細孔を形成する場合は,針状突起物などを不織布の表面に押し当てて,微細孔を形成することができる。微細孔の直径は,0.01mm〜0.5mmであればよく,0.02mm〜0.1mmであることが好ましい。
本発明においては,後身頃1の止着部11の肌当接面側の面が全て,フック材22と係合可能な繊維を含有する不織布から形成されるものとすることが好ましい。後身頃1の止着部11の肌当接面側の面の全域がフック材22と係合可能な繊維を含有することで,フック材22と係合可能なターゲット領域(係合可能領域)が止着部11に広く設けられることになる。フック材22のターゲット領域を広く設けることにより,フック材22と止着部11はより強固に結合することができる。
本明細書中の図においては,止着部11が後身頃1の左右の各側縁部に1つずつ設けられた例が示されている。ただし,止着部11の数は,左右の各側縁部に2つずつ設けられたものであってもよいし,3つ以上設けられていてもよい。
止着部11は後身頃1に接合されて形成されるものであっても良い。止着部11を後身頃1に接合する場合は,融着によって接合することが好ましい。融着により止着部11と後身頃1を接合することにより,接合部が剥離することを防ぐことができる。例えば,融着の方法としては,エンボス加工といった加熱加圧融着,超音波融着といったものが上げられる。
また,止着部11は後身頃1に接合することなく,後身頃1と一体として成型しても良い。止着部11と後身頃1を一体成型する場合,止着部11と後身頃1の間に接合部を設けなくてよい。このため,止着部11と後身頃1の接合部が剥離することを防ぐことができる。
止着部11と後身頃1を一体成型する場合は,1枚の不織布を止着部11と後身頃1を合わせた形状となるように裁断すれば良い。この場合,後身頃1に止着部11を別途接合する工程を設ける必要がなくなるため,製造工程が簡略化され,製造コストを抑制することができる。
図5に示すように,後身頃1の左右方向の端縁と,止着部11の左右方向の端縁であって腰周り側の端縁を同一線上に設け,止着部11の上下方向の長さと,後見頃の上下方向の長さを同一としても良い。止着部11の上下方向の長さと,後見頃の上下方向の長さが同一の場合の止着部11は,前身頃2のサイドフラップの左右の端縁を延長した線よりも左右方向の外側に延出した領域のことをいう。図5では,後身頃1と止着部11の境界線を一点鎖線で示している。図5では,一点鎖線より左右方向に外側の領域が止着部11となる。
止着部11の上下方向の長さと,後見頃の上下方向の長さを同一とすることで,左右方向の引っ張り強度に対する耐性が強くなり,止着部11が,後身頃1から剥離することを防ぐことができる。さらに,止着部11の上下方向の長さを長くすることで,腰周りの被覆面積が広くなり,着用者の安心感を高めることができる。
また,止着部11の上下方向の長さと,後見頃の上下方向の長さは同一とすることで,止着部11と後身頃1を一体成型する場合に用いる裁断刃の形状を単純化できる利点がある。裁断刃の形状を単純化することで,裁断のスピードを上げることができ,製造効率が良くなる。また,裁断時に生じる布カスなどの処理をする必要もなくなるため,製造時のトラブルを減らすことができる。
後身頃1の左右の両縁端部から延出した止着部11の左右方向の長さは,前身頃2に配置されたフロントパッチ21に届く程度であればよい。止着部11の左右方向の長さは,例えば,3cm〜20cmであればよく,5cm〜15cmであることが好ましい。
また,止着部11の形状は図示されたものに限定されない。止着部11の形状は,例えば,四角形,楕円形,三角形,又は各辺が波形状であっても良い。
止着部11を構成する不織布としては,エアスルー不織布,スパンボンド不織布,ヒートロール不織布,ケミカルボンド不織布等を用いることができるが,特に,嵩高で繊維の自由度の高い不織布であるエアスルー不織布を用いることが好ましい。また,不織布を構成する繊維としては,綿,羊毛,パルプ,ポリプロピレン繊維,ポリエチレン繊維,ナイロン繊維,ビニロン繊維,ポリエステル繊維,ポリオレフィン繊維,セルロース繊維,ビスコースレーヨン繊維,キュプラレーヨン繊維,短繊維ステープルファイバー,又は長繊維フィラメントを用いることができる。また,芯鞘型やサイド・バイ・サイド型の複合繊維を用いることもできる。また,繊維を構成する材料として,各種熱可塑性樹脂を用いることができる。
また,止着部11を構成する不織布は,左右方向に伸縮可能であることが好ましい。このため,止着部11を構成する不織布として,伸縮性不織布を用いても良い。伸縮性不織布を用いることで,止着部11をフロントパッチにしっかりと取り付けた場合であっても,着用者に与える圧迫感を軽減することができる。また,伸縮性不織布を用いることで,おむつ全体のフィット感を高めることができる。
尚,伸縮可能なとは,不織布に引っ張り力を与えていない時の左右方向の長さを1とした場合,不織布に引っ張り力を与えた場合の左右方向の長さが1.1〜5となることをいう。
伸縮性不織布としては,エラストマー繊維を主体として用いることが好ましい。エラストマー繊維としては,ウレタン系エラストマー,スチレンとブチレンあるいはイソプレンなどとの共重合体として知られる熱可塑性のスチレン系エラストマー,エチレンとαオレフィンとの共重合体,プロピレンとαオレフィンとの共重合体などのオレフィン系エラストマー等を構成材料とする繊維があげられ,これらの中でもウレタン系エラストマー,スチレン系エラストマーを用いることが好ましい。伸縮性不織布には,2種以上の高分子材料を含む繊維や複合繊維を用いることもできる。
フロントパッチ21の表面を覆う止着部11の面積は,フロントパッチ21の大きさに合わせて設計することが好ましい。例えば,フロントパッチ21の面積をRとし,後身頃1の左右の両縁端部から延出した一方の止着部11の面積をSとした場合,これらの面積比S/Rが0.4以上1.5以下であることが好ましい。S/Rを0.4以上1.5以下とすることにより,左右両方の止着部11でフロントパッチ21の表面の80%以上の範囲を覆うことができる。
フロントパッチ21の表面の全域を止着部11で覆うことで,フック材22が表面に露出しなくなる。これにより,フック材22が衣服に引っかかるといった不具合の発生を防止することができる。また,表面に露出したフック材22が着用者の腕や手に当たることで,傷をつけたり,不快感を与えるという事態を防ぐことができる。
フロントパッチ21の面積をRとし,後身頃1の左右の両縁端部から延出した一方の止着部11の面積をSとした場合,S/Rが0.4以上1.5以下であることが好ましい。S/Rが0.4よりも小さい場合,表面に露出するフック材22の面積が大きくなる。フック材22の面積が大きくなると,フック材22が着用者の腕や手に当たる頻度が増し,着用者に不快感を与えることになる。一方,S/Rが1.5よりも大きい場合,止着部11が前身頃2からはみ出してしまうことがある。止着部11が前身頃2からはみ出してしまうと,止着部11が両脚部の付け根や腹部に接触し,擦れってしまうため,着用者に不快感を与えることになる。
さらに,フロントパッチ21の面積をRとし,後身頃1の左右の両縁端部から延出した一方の止着部11の面積をSとした場合,S/Rが0.5以上0.8以下であることが好ましく,S/Rが0.5であることがより好ましい。S/Rを0.5以上とすることで,フロントパッチ21の表面の全域を覆うことができる。また。S/Rを0.8以下とすることで,フロントパッチ21の表面と結合しない,止着部11の余剰面積を減らすことができる。S/Rを0.5とした場合,フロントパッチ21の表面の全域を覆うことができ,かつ止着部11の余剰面積が生じることがない。
後身頃1の止着部11を形成する不織布は多層性構造としても良い。多層性構造の肌当接面側の面と,多層性構造の肌当接面側と逆側の面は,異なる素材で形成しても良い。肌当接面側の面は,上述したとおり,フロントパッチ21のフック材22と係合可能な繊維を少なくとも一部に含有する不織布から形成し,肌当接面側と逆側の面は,フロントパッチ21のフック材22と係合可能な繊維を含有しない不織布から形成することができる。
肌当接面側と逆側の面は,着用者の腕や手に触れる面であるため,乳幼児の肌に触れても刺激の少ない柔軟性に優れた素材を用いることが好ましい。肌当接面側と逆側の面を構成するものとしては,例えば,シルク,湿式不織布,又は綿といった天然素材を用いることもできる。肌当接面側と逆側の面に柔軟性に優れた素材を用いることで,使い捨ておむつの質感を向上させ,高級感を持たせることができる。
また,肌当接面側と逆側の面は,表面に露出する面であるため,色や柄を付しても良い。また,肌当接面側と逆側の面は,着用者の目につきやすい場所であるため,使い捨ておむつの使用方法や,使用上の注意等,又は品質表示を施しても良い。
(2−3.各種ギャザー)
本発明に係る使い捨ておむつにおいては,脚部周りギャザー37や,腰周りギャザー38,及び,止着部ギャザー39を形成することが好ましい。
脚部周りギャザー37は,使い捨ておむつの脚部周りの開口部から,尿などの液体が漏出する事態を防止するための部材である。脚部周りの開口部に沿って,脚部周り伸縮材42が伸長状態で配置され,この脚部周り伸縮材42の収縮力を利用して,脚部周りギャザー37が形成される。これにより,脚周りに隙間が形成され難くなり,脚周り開口部からの尿漏れを効果的に防止することができる。また,脚部周りギャザー37を形成すると,おむつを交換する際に吸収体31の両側で脚部周り伸縮材42が収縮するため,股下部3が全体として椀状に変形する。このため,尿や体液が椀状に形成された股下部3に溜まり,尿をこぼすことなく容易におむつの交換を行うこともできるようになる。
また,腰周りギャザー38は,使い捨ておむつの腰周りの開口部からの尿漏れを防止するとともに,使い捨ておむつのフィット性を向上させ,おむつのずり下がりを防止するための部材である。腰周りの開口部にそって,腰周り伸縮材43が伸長状態で配置され,この腰周り伸縮材43の収縮力を利用して,腰周りギャザー38が形成される。これにより,使い捨ておむつの腰周り開口部が,着用者の腹部と背部に密着するため,尿漏するとともに,フィット感を向上させることができる。
止着部ギャザー39は,後身頃1の止着部11の伸縮性を持たせ,おむつを装着させやすくするための部材である。止着部11の左右方向の他端に止着部伸縮材44を固定し,その他端に止着部伸縮材44を伸長状態で配設することにより,止着部ギャザー39を形成する。止着部11に止着部ギャザー39を形成し,収縮性を持たせることで,止着部11をフロントパッチにしっかりと取り付けた場合であっても,着用者に圧迫感を与えることを防ぐことができる。また,止着部11に止着部ギャザー39を形成し,収縮性を持たせることで,おむつの装着に不慣れな者であっても簡単におむつを装着することができる。
止着部11は,その全域が収縮性を有し,かつ,その全域がフロントパッチ21のフック材22と結合することができる。止着部11の肌当接面側の面は,フック材22と係合可能な繊維を含有する不織布から形成されるため,止着部11の肌当接面側の面のいずれの場所においても,フロントパッチ21のフック材22と結合することができる。また,止着部11が収縮性を有するため,着用者の多様な腰周りサイズにも対応することができる。
また,後身頃1及び後身頃1の左右の両縁端部から延出した止着部11には,後身頃1及び止着部11を左右方向に横切る一連の端縁領域4を形成し,その端縁領域4の左右の端部にかけて1又は複数の腰周り伸縮材43を配置することとしても良い。後身頃1及び止着部11を左右方向に横切る一連の端縁領域4に腰周り伸縮材43を配置することにより,腰周りギャザー38と止着部ギャザー39が一連となって形成される。腰周りギャザー38と止着部ギャザー39が一連となって左右方向に長さのなるギャザーを形成することにより,腰周りのフィット感がより向上する。
また,腰周りギャザー38と止着部ギャザー39を一連のものとして形成することができるため,ギャザーを形成する製造工程を簡略化することができる。これにより,使い捨ておむつの製造コストを抑えることができる。
尚,本明細書において,「端縁領域」とは,図5に示す領域4のように,後身頃1及び止着部11を左右方向に横切る領域を意味するものとする。端縁領域4は,後身頃1の端縁から吸収体31の端部までの間に形成されることが好ましい。また,端縁領域4は後身頃1の開口部側の端側に形成されることが好ましい。
端縁領域4において,端縁領域4の一方の端部に腰周り伸縮材43を固定し,端縁領域4の他方の端部に腰周り伸縮材43を伸長状態で配設することにより,腰周りギャザー38と止着部ギャザー39を一連のものとして形成することができる。後身頃1に形成される腰周りギャザー38と止着部ギャザー39を一連のものとして形成することにより,製造工程を大幅に簡略化することができ,製造コストを抑制することができる。
また,腰周りの広範囲にわたって,一連のギャザーが形成されることで,使い捨ておむつのフット感がより向上する。
上記した,脚部周り伸縮材42,腰周り伸縮材43,又は止着部伸縮材44としては,例えば,天然ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性材からなるゴム,伸縮性ネット,伸縮性フィルム,伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)を採用することができる。これらの,伸縮材は,おむつの他の構成部材に対して,接着剤その他の手段により固定される。固定方法としては,例えば,ホットメルト接着剤,その他の流動性の高い接着剤を用いた接着であってもよいし,ヒートシールのような熱や超音波等による溶着であってもよい。
(2−4.立体ギャザー)
本発明に係る使い捨ておむつにおいては,さらに立体ギャザー35を設けることが好ましい。
立体ギャザー35は,着用者の排泄した尿などがおむつ外部へ漏出することを防止するための防漏壁として機能する部材である。立体ギャザー35は,トップシート32やバックシート33とは異なるサイドシート34により形成されることとしてもよい。例えば,サイドシート34の一端側をトップシート32の表面に固着し,他端側に立体ギャザー伸縮材41を伸長状態で配設する。これにより,立体ギャザー35は,立体ギャザー伸縮材41の収縮力により起立し,おむつの脚周り開口部等から尿などの液体が漏出するする横漏れを有効に防止することができる。
立体ギャザー35は,股下部3からの漏れを防止するため,少なくとも股下部3に形成されていればよいが,後身頃1や前身頃2にかけて形成されていてもよい。また,立体ギャザー35は,股下部の左右側方に,少なくとも1対以上形成されていればよく,例えば,股下部の左右側方に2対以上形成することとしてもよい。
(2−5.吸収体)
吸収体31は,着用者の尿を吸収し保持するための部材である。吸収体31は,着用者の尿や体液を吸収し保持ために,吸収性材料によって構成される。吸収性材料としては,例えば,フラッフパルプ,高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;「SAP」),親水性シート等を採用することができる。フラッフパルプの例は,木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものである。高吸水性ポリマーの例は,ポリアクリル酸ナトリウムである。親水性シートとしては,例えば,ティシュ,吸収紙,親水化処理を行った不織布を用いることができる。
吸収体31は,トップシート32とバックシート33の間に挟み込まれ,両シートの周縁部が封着されることによって,トップシート32とバックシート33との間に封入される。吸収体31の形状は,図示された形状に制限されるものではなく,例えば,矩形状,ひょうたん型,T字型とすることができる。図1や図2に示されたテープ型おむつ100では,吸収体31として砂時計型の吸収体を採用している。
(2−6.トップシート)
トップシート32は,吸収体31の肌当接面側を被覆するように配置される液透過性のシートである。トップシート32は,尿などの液体を,その下面側に配置された吸収体31に浸透させる。
トップシート32を構成する液透過性材料として,例えば,織布,不織布,多孔性フィルを採用することができる。特に,ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリエステル,ナイロンのような熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。
トップシート32は,単一のシート材によって構成されていてもよいが,複数のシート材によって構成されていてもよい。例えば,吸収体の表面部に配置されるシートと,サイ
ドフラップの部分に配置されるシートを組み合わせた構成であってもよい。
(2−7.バックシート)
バックシート33は,吸収体31を肌非当接面側から被覆するように配置される液不透過性のシートである。バックシート33は,吸収体31により保持されている液体が,おむつ外部に漏洩してしまうことを防止する。
バックシート33を構成する液不透過性材料としては,例えば,ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を採用することができる。特に,微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは,0.1μm程度の微細な孔が多数形成されており,液不透過性ではあるが透湿性を有するためおむつ内部の蒸れを防止することができるという点において好ましい。
また,バックシート33の外表面には,バックシート33を補強し,その手触りを良くするために,カバーシート36を貼り合わせることとしてもよい。カバーシート36を形成する材料としては,例えば,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリエステルのような熱可塑性樹脂からなる不織布,又は湿式不織布を用いることができる。
本発明,乳幼児用,或いは介護を必要とする高齢者や障害者等の成人用の使い捨ておむに適用することができる。従って,本発明は,育児産業や介護産業等において好適に利用し得る。
1 後身頃
2 前身頃
3 股下部
4 端縁領域
11 止着部
21 フロントパッチ
22 フック材

31 吸収体
32 トップシート
33 バックシート
34 サイドシート
35 立体ギャザー
36 カバーシート
37 脚部周りギャザー
38 腰周りギャザー
39 止着部ギャザー

41 立体ギャザー伸縮材
42 脚部周り伸縮材
43 腰周り伸縮材
44 止着部伸縮材

100 使い捨ておむつ

Claims (4)

  1. 後身頃(1),前身頃(2),及び前記後身頃(1)と前記前身頃(2)の間に位置する股下部(3)から構成され,
    前記前身頃(2)に,前記後身頃(1)の左右の両縁端部から延出した止着部(11)を止め付けるためのフロントパッチ(21)が設けられた使い捨ておむつにおいて,
    前記フロントパッチ(21)は,フック材(22)から形成され,
    前記止着部(11)の肌当接面側の面は,前記フロントパッチ(21)のフック材(22)と係合可能な繊維を含有する不織布から形成される,
    使い捨ておむつ。
  2. 前記止着部(11)は,少なくとも左右方向に伸縮可能である,
    請求項1に記載の使い捨ておむつ。
  3. 前記後身頃(1)及び前記後身頃(1)の左右の両縁端部から延出した前記止着部(11)には,前記後身頃(1)及び前記止着部(11)を左右方向に横切る一連の端縁領域(4)が形成され,
    前記端縁領域(4)の左右の端部にかけて1又は複数の腰周り伸縮材(43)が配置される,請求項1又は2に記載の使い捨ておむつ。
  4. 前記フロントパッチ(21)の面積Rと,前記後身頃(1)左右の両縁端部から延出した一方の止着部(11)の面積Sとの面積比S/Rが0.4以上1.5以下である
    請求項1から3のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。

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