JP2013156361A - フレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ベタ画像のインキ転移性に優れ、尚且つ優れた耐衝撃性を実現し得るフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】不飽和プレポリマー、光重合開始剤、及び可塑剤を含有するフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物であって、該不飽和プレポリマーが、(i)分子内に繰り返し単位を有するジオールとジイソシアネートとからなるポリウレタン構造とアクリル基及び/又はメタクリル基とを有し、(ii)数平均分子量が20000〜70000であり、(iii)該分子内に繰り返し単位を有するジオール中に、ジカルボン酸と炭素数4〜9の飽和炭化水素ジオールとからなるポリエステルジオールを55〜90質量%有し、該可塑剤が脂肪族カルボン酸化合物からなるエステル系可塑剤及び/又はエーテル系可塑剤である、フレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、フレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物、フレキソ印刷版の製造方法、フレキソ印刷版、及び樹脂硬化物に関する。
液状感光性樹脂を材料とした印刷版(液状感光性樹脂印刷版)は、印刷版製造にかかる時間が短く、短納期での製造に対応できる点に加え、未硬化樹脂を回収して再利用できることから生産コストが低く、フレキソ印刷の用途、特に段ボール印刷用途の印刷版として広く普及している。
段ボールは波状中芯にライナー(板紙)を貼った構造であるため被印刷面には波状中芯の影響により凹凸が存在し、また、中空構造により段ボールシート自体が柔軟であることから、段ボール表面へのインキ転移性を確保するために、段ボール用印刷版には、高い柔軟性が求められてきた。
近年、段ボールシートを低価格で製造するために、単位面積当たりの重量の軽い原紙が使用される傾向があり、これまで少なくとも150g/m2程度はあった原紙重量が120g/m2程度であるものが増えてきている。また、原紙重量が90g/m2程度まで低下するとされている。加えて、原紙と同時に段ボールに使用される新聞紙、古紙等の再生原料の原紙に対する混入率が年々増加傾向にあることもあり、段ボールシートは益々柔軟化の傾向にある。
このような状況から印刷現場では、従来の段ボール用印刷版で柔軟タイプと位置付けられていた材料、例えばショアA硬度20〜30度のフレキソ印刷版を用いても、インキ着肉性を重視するベタ画像(広い範囲の着色を主体とした画像領域)においてインキによる隠蔽率が不足する掠れ現象が増加している。
一方で、柔軟性の高い印刷版は、印刷現場での印刷版の取り扱いにおいて、印刷版のレリーフが破壊されることもある。
印刷版用の液状感光性樹脂は、プレポリマー、モノマー、光重合開始剤を含む組成物として構成され、柔軟且つ耐久性の高い印刷版とするために、プレポリマーの構成材料の選択、比較的高分子量のプレポリマーの使用、組成物中の多官能モノマーの減量等により、硬化物硬度を低く調整することが知られている。
特許文献1には、段ボール印刷に適したショアA硬度20〜30度の範囲と耐久性を有する印刷版を製造するための感光性樹脂組成物が開示されている。そして、エチレン性不飽和基を有するポリウレタンプレポリマーの原料として特定の異性体配合比率のトリレンジイソシアネートを用いること、好ましい態様としてはポリウレタンプレポリマーの数平均分子量は約6000〜20000の範囲で使用することが開示されている。
また、特許文献1の実施例では、ポリウレタンプレポリマーの原料となるポリオールとして、主にポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーとポリプロピレンアジペートポリエステルジオールの混合物を使用することが開示されている。
特許文献2には、ショアA硬度25度以下の柔軟性で実用印刷操作に耐え得る機械強度を実現し得るフレキソ印刷版用感光性樹脂組成物が開示されている。そして、主鎖末端がメタクリル基で修飾された不飽和ポリウレタンプレポリマーとして両末端修飾のものと片末端修飾のものとを所定の比率で用いること、好ましい態様としてはポリウレタンプレポリマーの数平均分子量は10000〜40000であることが開示されている。ここで、実用印刷操作に耐え得る機械強度は、機械的強度の尺度である引張試験における破断強度、破断伸度と共に耐ノッチ亀裂性を高いレベルで達成されることとされている。
また、特許文献2の実施例では、ポリウレタンプレポリマーの原料となるポリオールとして、主にポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーとポリプロピレンアジペートポリエステルジオールの混合物を使用した印刷版が表面ライナー、裏面ライナーの紙質が150g/m2、中芯の紙質が90g/m2から成るB段シートを用いた印刷評価で比較例の印刷版に対して印刷速度を上げてもベタ画像のインキの掠れが生じないという効果があることが開示されている。
特許文献3には、製版された印刷版の版厚精度が良好であり、低硬度領域の設定において高い反発弾性を実現するフレキソ印刷版用感光性樹脂組成物が開示されている。そして、数平均分子量5000〜70000のエチレン性不飽和基を有するプレポリマーと融点5℃以下、沸点150℃以上である光重合反応に関与しない化合物を用いることが開示されている。光重合反応に関与しない化合物としては、一般的に可塑剤として分類される化合物のうち、揮発性が低く、室温で液状を示す化合物が多く例示されている。
また、特許文献3の実施例では、印刷版ショアA硬度が36〜44度の範囲であり、B段シートにおいて比較例の印刷版に対して軽い印圧で印刷が可能となる効果があることが開示されている。
特開平8−220737号公報 特開2009−229594号公報 特開2003−156837号公報
しかしながら、昨今の段ボールシートの低紙質化は段ボールシートの薄いB段シート(約3mm)のみならず、表面の凹凸形状が大きいC段シート(約4mm)、A段シート(約5mm)にまで及んでおり、後述の比較例2が相当するように、上述の特許文献1〜3に開示される技術を用いてもA段シート、C段シートのベタ画像の掠れ現象が解決する印刷版材は得られていない。
また、印刷版の取り扱いの際に生じるレリーフの破壊現象については、特許文献2に開示されるように、引張試験の破断強度、破断伸度、耐ノッチ亀裂性を高めることが、その耐久性を高めるための方策とされてきたが、硬度30度を下回る領域ではレリーフの変形が大きく、高速の衝撃に対しては引張試験の破断強度、破断伸度、耐ノッチ亀裂性が高い値を有していてもレリーフ破壊が起こることがあった。
本発明が解決しようとする課題は、ベタ画像のインキ転移性に優れ、尚且つ優れた耐衝撃性を実現し得るフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者等は、かかる課題を解決するために、鋭意検討した結果、特定の不飽和プレポリマーと、特定の可塑剤を使用することにより、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下のフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物、フレキソ印刷版の製造方法、フレキソ印刷版、及び樹脂硬化物を提供する。
[1]
不飽和プレポリマー、光重合開始剤、及び可塑剤を含有するフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物であって、
該不飽和プレポリマーが、(i)分子内に繰り返し単位を有するジオールとジイソシアネートとからなるポリウレタン構造とアクリル基及び/又はメタクリル基とを有し、(ii)数平均分子量が20000〜70000であり、(iii)該分子内に繰り返し単位を有するジオール中に、ジカルボン酸と炭素数4〜9の飽和炭化水素ジオールとからなるポリエステルジオールを55〜90質量%有し、
該可塑剤が脂肪族カルボン酸化合物からなるエステル系可塑剤及び/又はエーテル系可塑剤である、フレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物。
[2]
前記不飽和ポリマーが、前記分子内に繰り返し単位を有するジオール中に、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとのブロック構造を有するポリエーテルジオールを10〜45質量%有する、[1]に記載のフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物。
[3]
前記炭素数4〜9の飽和炭化水素ジオールが、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、及び2−メチル−1,8−オクタンジオールからなる群から選択される少なくとも1種の飽和炭化水素ジオールである、[1]又は[2]に記載のフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物。
[4]
前記脂肪族カルボン酸化合物からなるエステル系可塑剤が、下記式(1)〜(3)に示す構造の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、[1]〜[3]の何れかに記載のフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物。
2(OR3nOCOR1COO(R3O)n2 式(1)
(但し、R1は炭素数4〜8の二価脂肪族飽和炭化水素基、R2は炭素数1〜8の一価脂肪族飽和炭化水素基、R3はエチレン基及び/又はプロピレン基、nは0〜5の整数を表す。)
4COOR5 式(2)
(但し、R4は炭素数8〜17の一価脂肪族飽和炭化水素基、R5は炭素数1〜8の一価脂肪族飽和炭化水素基を表す。)
6C(COOR73 式(3)
(但し、R6は水素、水酸基、又は炭素数1〜8の一価脂肪族飽和炭化水素基、R7は炭素数1〜8の一価脂肪族飽和炭化水素基を表す。)
[5]
下記(A)〜(C)の各工程:
(A)[1]〜[4]の何れかに記載のフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物を用いて形成された成型体の表面を露光し、当該成型体に硬化部位を形成する硬化部位形成工程、
(B)現像液により前記硬化部位を現像する現像工程、
(C)現像された前記硬化部位の表面に活性光線を照射する活性光線照射工程、
を含むフレキソ印刷版の製造方法。
[6]
[5]に記載の製造方法により得られるフレキソ印刷版。
[7]
7mm版のショアA硬度が15〜30度の範囲である、[6]に記載のフレキソ印刷版。
本発明によれば、インキ転移性に優れ、尚且つ優れた耐衝撃性を実現し得るフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物を提供することができる。
耐衝撃性の評価方法の模式図を示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施の形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔フレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物〕
本実施の形態のフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物(以下、「感光性樹脂組成物」と略記する場合がある。)は、不飽和プレポリマー、光重合開始剤、及び可塑剤を含む。
本実施の形態の感光性樹脂組成物は、液状であることから、未硬化樹脂を回収して再使用できる、また水性洗浄液による現像が可能である等の生産性、作業環境の観点から好適である。
本実施の形態における「不飽和プレポリマー」は、(i)分子内に繰り返し単位を有するジオールとジイソシアネートとからなるポリウレタン構造とアクリル基及び/又はメタクリル基とを有し、(ii)数平均分子量が20000〜70000であり、(iii)該分子内に繰り返し単位を有するジオール中に、ジカルボン酸と炭素数4〜9の飽和炭化水素ジオールとからなるポリエステルジオールを55〜90質量%有する。
不飽和プレポリマーは、アクリル基及び/又はメタクリル基を有することにより、重合反応によって他のモノマーと連鎖可能な化合物である(以下、アクリルとメタクリルの何れかを表す記載として(メタ)アクリルを用いる。)。
本実施の形態における不飽和プレポリマーの製造方法としては、例えば、
分子内に繰り返し単位を有するジオールと、ジイソシアネートとを反応させて、末端にイソシアネート基を有するポリウレタンを任意分子量でまず形成し、次いで、当該ポリウレタンと、一分子内に活性水素及び(メタ)アクリル基を含有する化合物とを反応させる方法、
分子内に繰り返し単位を有するジオールと、ジイソシアネートとを反応させて、末端に水酸基を有するポリウレタンを任意分子量でまず形成し、次いで、当該ポリウレタンと、一分子内にイソシアネート基及び(メタ)アクリル基を含有する化合物とを反応させる方法、
が挙げられる。
かかる製造方法により得られる不飽和プレポリマーは、一分子内に、ポリウレタン構造と末端基として(メタ)アクリル基を有する。そして、ポリウレタン構造は、分子内に繰り返し単位を有するジオールとジイソシアネートとが反応することによりこ構成される構造である。
本実施の形態における「分子内に繰り返し単位を有するジオール」は、ジカルボン酸と炭素数4〜9の飽和炭化水素ジオールとから成るポリエステルジオールを55〜90質量%の範囲で含む。
ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメンリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及び1,5−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。
炭素数4〜9の飽和炭化水素ジオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、及びジエチレングリコール(ジオキシエチレンジオール)等が挙げられる。
本実施の形態に好適に使用可能な分子内に繰り返し単位を有するジオール中に55〜90質量%の範囲で含まれるポリエステルジオールは、例えば、ポリ(1,4−ブタンジオールアジペート)ジオール、ポリ(2−メチル−1,3−プロパンジオールアジペート)ジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)ジオール、ポリ(ネオペンチルジオールアジペート)ジオール、ポリ(1,6−ヘキサンジオールアジペート)ジオール、ポリ(1,9−ノナンジオールアジペート)ジオール、及びポリ(2−メチル−1,8−オクタンジオールアジペート)ジオール等が挙げられる。
前記ポリエステルジオールは、1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。また、ジカルボン酸及び炭素数4〜9の飽和炭化水素ジオールは、前記好適に使用可能なポリエステルジオールとして例示のとおり、単一成分同士による重縮合反応により合成されることが一般的だが、複数成分を任意の割合で混合して用いることも可能である。
分子内に繰り返し単位を有するジオール中の前記ポリエステルジオールの質量比率が55質量%以上であることにより、フレキソ印刷版とした際に、その取り扱いの際に生じる衝撃に対してレリーフの破壊を抑制する。また、当該質量比率が90質量%以下と、分子内に繰り返し単位を有するジオール中に前記ポリエステルジオール以外の他の成分を含有することにより、水系洗浄液による現像性を確保できる。当該質量比率は、好ましくは55〜70質量%である。
分子内に繰り返し単位を有するジオール中の前記ポリエステルジオールの他の成分としては、例えば、ポリエーテルジオール及びポリエーテルポリエステル共重合ジオール等が挙げられる。
当該その他の成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。分子内に繰り返し単位を有するジオール中に、ポリエステルジオールを55〜90質量%で含み、当該他の成分を好ましくは10〜45質量%で、より好ましくは30〜45質量%で含有する。
ポリエーテルジオールとしては、例えば、ポリオキシエチレンジオール、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシテトラメチレンジオール、ポリオキシ1,2−ブチレンジオール、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンランダム共重合体ジオール、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロック共重合体ジオール、ポリオキシエチレン/ポリオキシテトラメチレンランダム共重合体ジオール、及びポリオキシエチレン/ポリオキシテトラメチレンブロック共重合体ジオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリエステル共重合ポリオールとしては、例えば、前述したポリエーテルポリオールの分子鎖を形成する繰り返しユニットと、前述したポリエステルポリオールの分子鎖を形成する繰り返しユニットとがブロック又はランダムに連鎖した構造を有する共重合体が挙げられる。
本実施の形態においては、分子内に繰り返し単位を有するジオール中の前記ポリエステルポリオール以外の成分として、水系洗浄液による良好な現像性を発現させる観点、光硬化反応後の樹脂硬化物の柔軟性を発現させる観点から、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドのブロック構造を有するポリエーテルジオールを10〜45質量%で含有することが好ましい。
ポリエチレンオキシドに由来するセグメントは、不飽和プレポリマーに対して5〜20質量%の割合で含むことが好ましい。ポリエチレンオキシドに由来するセグメントの割合が5質量%以上であることは、水系洗浄液に対する分散性を確保することに寄与し得る。当該割合が20質量%以下であることは、印刷インキに対する感光性樹脂レリーフの膨潤性を一定値以下に抑制し、印刷時にレリーフが膨れ印刷品質に悪影響を与える虞の低減に寄与し得る。
本実施の形態において、分子内に繰り返し単位を有するジオールの平均分子量は、ポリウレタンのジイソシアネート部分由来のハードセグメントと分子内に繰り返し単位を有するジオール部分由来のソフトセグメントのバランスにより、柔軟且つ弾性的機械特性を発現する観点から、好ましくは1500〜5000であり、より好ましくは2000〜3500である。
本実施の形態において、平均分子量は、試料1g中に含まれるOH基をアセチル化するために要する水酸化カリウムのmg数で示される水酸基価を元に計算される。水酸基価は、一般的に、無水酢酸を用いて試料中のOH基をアセチル化して、アセチル化反応で副成する酢酸、及びアセチル化反応に使われなかった無水酢酸と水を反応させて生成する酢酸を水酸化カリウム溶液で滴定して求められる。
本実施の形態における「ジイソシアネート」としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物が挙げられる。
本実施の形態における「一分子内に活性水素及び(メタ)アクリル基を含有する化合物」としては、例えば、活性水素が水酸基由来の活性水素であること、すなわち水酸基及び(メタ)アクリル基を含有する化合物であることが好ましく、例えば、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、及びグリセリンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本実施の形態における「一分子内にイソシアネート基及び(メタ)アクリル基を含有する化合物」としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等が挙げられる。
不飽和プレポリマーの主鎖末端において、前記一分子内に活性水素又はイソシアネート基、及び(メタ)クリル基を含有する化合物(以下、「(メタ)アクリル化剤」と略記する場合がある。)は、分子量が100〜500であることが好ましい。
本実施の形態における不飽和プレポリマーの数平均分子量は、20000〜70000であり、好ましくは20000〜50000であり、より好ましくは20000〜30000である。
数平均分子量が20000以上であることにより、不飽和プレポリマーを含む感光性樹脂組成物の光重合硬化物とした際に、ショアA硬度30度を下回る範囲において、フレキソ印刷版の取り扱いの際に生じる衝撃に対してレリーフの破壊を抑制できる。数平均分子量が70000以下であることにより、感光性樹脂組成物に水系洗浄液による良好な現像性を与え、汎用的現像装置への対応を容易とする。また、光重合硬化物とした際に、ショアA硬度30度を下回る範囲に調整した時、低重量ダンボールシートへのインク転移性を良好とするフレキソ印刷版を構成し得る。
本実施の形態においては、不飽和プレポリマーの数平均分子量は、実施例に記載するGPC測定方法により測定することができる。
本実施の形態においては、分子内に繰り返し単位を有するジオール中の、ジカルボン酸と炭素数4〜9の飽和炭化水素ジオールとからなるポリエステルジオールを55〜90質量%の質量比率とし、不飽和プレポリマーの数平均分子量を20000〜70000とすることで、ショアA硬度が30度以下を保ちベタ画像印刷品質を維持しながら、耐衝撃性を向上させることに成功した。
本実施の形態における「光重合開始剤」としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジル、ジアセチル、ジフェニルスルフィド、及び9,10−アントラキノン等が挙げられる。
光重合開始剤は1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
光重合開始剤の反応性を高める観点から、増感剤と組み合わせて使用することが好ましい。
増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ミヒラーズケトン、4,4’−ジエチルアミノフェノン、及び4−ジエチルアミノ安息香酸エチルエステル等のアミン類;エオシン及びチオシン等の染料等が挙げられる。
特に、光重合開始剤として水素引き抜き型開始剤を使用する場合には、増感剤を組み合わせて使用することが好ましい。
本実施の形態において、光重合開始剤の配合量としては、不飽和プレポリマー100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部であり、より好ましくは0.1〜5質量部である。配合量が当該範囲であることは、感光性樹脂組成物の貯蔵安定性、所望の光硬化速度、硬化物物性を良好にバランスさせる観点から好適である。
本実施の形態における「可塑剤」は、脂肪族カルボン酸化合物から成るエステル系可塑剤及び/又はエーテル系可塑剤である。
可塑剤が脂肪族カルボン酸化合物から成るエステル系可塑剤及び/又はエーテル系可塑剤であることは、インキ転移性に優れ、尚且つ優れた耐衝撃性を実現し得るフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物を提供し得る。
また、かかる可塑剤は、不飽和プレポリマーとの相溶性に優れ、比較的低分子量の材料を用いても感光性樹脂組成物又はその光硬化樹脂からの揮発性が低く、また、印刷に使用した際にインキ、印版洗浄液等との接触において光硬化物から抽出を少なくし得る。すなわち、印刷版の実使用条件において、安定した版厚の維持が実現可能となる。
可塑剤は1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
脂肪族カルボン酸化合物から成るエステル系可塑剤としては、好ましくは下記式(1)〜(3)に示す構造の化合物が挙げられる。
2(OR3nOCOR1COO(R3O)n2 式(1)
(但し、R1は炭素数4〜8の二価脂肪族飽和炭化水素基、R2は炭素数1〜8の一価脂肪族飽和炭化水素基、R3はエチレン基及び/又はプロピレン基、nは0〜5の整数を表す。)
4COOR5 式(2)
(但し、R4は炭素数8〜17の一価脂肪族飽和炭化水素基、R5は炭素数1〜8の一価脂肪族飽和炭化水素基を表す。)
6C(COOR73 式(3)
(但し、R6は水素又は水酸基、炭素数1〜8の一価脂肪族飽和炭化水素基、R7は炭素数1〜8の一価脂肪族飽和炭化水素基を表す。)
可塑剤としては、例えば、ラウリンn−ブチル、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジブトキシエチル、アゼライン酸ジ2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、及びクエン酸トリn-ブチル等が好ましい脂肪族カルボン酸化合物から成るエステル系可塑剤として挙げられる。
また、可塑剤としては、例えば、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、及びトリエチレングリコールジブチルエーテル等が好ましいエーテル系可塑剤として挙げられる。
本実施の形態において、可塑剤の配合量としては、不飽和プレポリマー100質量部に対して、好ましくは5〜30質量部であり、より好ましくは10〜20質量部である。配合量が5質量部以上であることは、ダンボール印刷においてベタ画像のインキ転移性を向上させる観点から好ましく、配合量が30質量部以下であることは、フレキソ印刷版の取り扱いの際に生じる衝撃に対してレリーフの破壊を抑制する観点から好ましい。
本実施の形態において、感光性樹脂組成物には、フレキソ印刷版に求められる柔軟性、弾性特性、耐久性に必要な機械的強度、インキに対する膨潤性等を制御する観点から、エチレン性不飽和基を有する化合物(エチレン性不飽和化合物)を含有することが好ましい。
エチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド又はその誘導体;アリル化合物;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸又はそのエステル;その他不飽和化合物等が挙げられる。
エチレン性不飽和基を有する化合物は1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。また、エチレン性不飽和基を有する化合物として、(メタ)アクリル化剤と同一の化合物を用いることもできる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、アルキル−、シクロアルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル−、ベンジル−、フェノキシ−(メタ)アクリレート;アルキレングリコール又はポリオキシアルキレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;グリセリンモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド又はその誘導体としては、例えば、アルキル基やヒドロキシアルキル基でN−置換又はN,N’−置換した(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、及びN,N’−アルキレンビス(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アリル化合物としては、例えば、アリルアルコール、アリルイソシアナート、ジアリルフタレート、及びトリアリルシアヌレート等を挙げることができる。
マレイン酸又はフマル酸のエステルとしては、例えば、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシアルキルのモノ又はジマレエート及びフマレート等が挙げられる。
その他不飽和化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、N−ビニルカルバゾール、及びN−ビニルピロリドン等が挙げられる。
不飽和プレポリマーとの光重合性の観点から、エチレン性不飽和基を有する化合物として、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、具体的には、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテルモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテルモノ(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
本実施の形態において、エチレン性不飽和基を有する化合物の配合量としては、不飽和プレポリマー100質量部に対して、好ましくは10〜100質量部であり、より好ましくは15〜75質量部である。
配合量が10質量部以上であることは、フレキソ印刷版とした際に被印刷体に適した柔軟性に調整する観点から好ましく、配合量が100質量部以下であることは、フレキソ印刷版の取り扱いの際に生じる衝撃に対してレリーフの破壊を抑制する観点から好ましい。
本実施の形態の感光性樹脂組成物には、必要に応じて更に、酸化防止剤、熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、染料、顔料、滑剤、無機充填剤等を配合することができる。
本実施の形態の感光性樹脂組成物を後述するフレキソ印刷版の製造方法において用いる際に、フレキソ印刷版の優れた厚み精度を発現する観点から、室温における感光性樹脂組成物の粘度は、好ましくは10〜500Pa・sであり、より好ましくは20〜300Pa・sである。
本実施の形態においては、粘度は、実施例に記載する樹脂粘度の測定方法により測定することができる。
本実施の形態においては、不飽和プレポリマー、光重合開始剤、及び可塑剤を含有する感光性樹脂組成物を硬化させた樹脂硬化物をも提供する。
本実施の形態の感光性樹脂組成物を硬化させた樹脂硬化物は、本実施の形態における効果を奏する上で、樹脂硬化物の貯蔵弾性率が5×105Paに満たない範囲にあることが好適である。樹脂硬化物の貯蔵弾性率が5×105Paに満たなければベタ画像印刷品質に優れることが解ったことに基づいて、本実施の形態の感光性樹脂組成物が提供されると共に、フレキソ印刷版として、インキ転移性に優れ、尚且つ優れた耐衝撃性を実現し得る。
〔フレキソ印刷版及びその製造方法〕
本実施の形態のフレキソ印刷版は、本実施の形態の感光性樹脂組成物を用いて製造される。
本実施の形態の感光性樹脂組成物を用いたフレキソ印刷版の製造方法は、下記(A)〜(C)の工程を含む。
(A)本実施の形態の感光性樹脂組成物を用いて形成された成型体の表面を露光し、当該成型体に硬化部位を形成する硬化部位形成工程。
(B)現像液により前記硬化部位を現像する現像工程。
(C)現像された前記硬化部位の表面に活性光線を照射する活性光線照射工程(以下、「後露光工程」と記載することがある。)。
本実施の形態において、(C)工程の後、更に、(D)前記硬化部位を乾燥する乾燥工程、を含んでもよい。
本実施の形態における(A)工程は、本実施の形態の感光性樹脂組成物から形成された成型体の表面に対して、その表面上に設けられたマスク層(例えば、ネガフィルム層や赤外レーザー等でアブレーション層を施した層)を介して活性光線を照射することで、レリーフ層を形成させるべき部位を選択的に光硬化する工程である。
(a)工程を介することにより、本実施の形態のフレキソ印刷版においては、少なくともその版面側には、本実施の形態の感光性樹脂組成物を用いて成形した成型体の硬化体を具備しており、露光処理、現像処理により所定の印刷パターンが形成されている。
マスク層は、成型体表面のレリーフ層を形成させるべき部位に、活性光線を選択的に照射できるような形状を有し配置されている。
本実施の形態で用いられる活性光線源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ジルコニウムランプ、太陽光等が挙げられる。
感光性樹脂組成物は液状であるため、(A)工程には、通常、感光性樹脂組成物が、専用の装置(製版機)の内部で基材上に一定厚みの膜状に成型される成型工程が含まれる。この場合、(A)工程は、成型・露光工程と呼ばれることがある。
このような成型・露光工程は、例えば、以下の(A1)〜(A3)の各工程を含むものである。
(A1)紫外線透過性のガラス板(下部ガラス板)上にネガフィルムを載置し、そのネガフィルムを薄い保護フィルムでカバーした後、その上に感光性樹脂組成物を流し、これが一定の版厚になるようスペーサーを介して支持体となるベースフィルムを貼りあわせ、さらにその上から紫外線透過性のガラス板(上部ガラス板)で押さえつけて感光層を形成する感光層成型工程。段ボール印刷に用いるような印刷版(厚みが4mm以上)を形成する場合、印刷時の印圧に対するレリーフの強度を補填するために、上部ガラス板側の感光層の部分に土台となるシェルフ層を形成するのが好ましい。この場合、レリーフ露光前に、上部ガラス板とベースフィルムとの間に専用のネガフィルム(マスキングフィルム)を挟んで感光層を成型する。
(A2)感光層成型工程の後、紫外線蛍光灯等を活性光源とする活性光線(例えば、300nm以上に波長分布を有する光線)を上部ガラス板側からベースフィルムを介して照射することにより、版のベースフィルム側全面に均一な薄い硬化樹脂層(すなわち床部形成層(バック析出層))を析出させるバック露光工程。感光層形成工程でマスキングフィルムが設けられた場合、同様の露光によりシェルフ層が形成される。この場合、マスキング露光工程と称する。
(A3)バック露光工程又はマスキング露光工程の後、感光層に対し、下部ガラス側からネガフィルムを介して上部と同様の活性光線を照射し、画像形成を行うレリーフ形成露光工程。
なお、マスキング露光工程によりシェルフ層を形成した場合、レリーフ形成露光工程の後にマスキングフィルムを除去し、更にバック露光工程を経ることで、ベースフィルム上の全面にバック析出層を形成することも好ましい態様の一つである。
本実施の形態における(B)工程は、(A)工程の硬化部位形成工程の後、所定の現像液により硬化部位を現像する工程である。
この(B)工程において用いられる現像液としては、界面活性剤水溶液が好ましい。
界面活性剤の種類や組成は、使用する樹脂の性質に合わせて最適なものが選択される。
また、現像方法としても、露光して得られた感光性樹脂硬化版を現像液中に浸漬する方法、露光して得られた感光性樹脂硬化版面上に現像液をスプレーノズルから吹き付ける方法、又は浸漬、スプレーにより膨潤した未硬化樹脂をブラシで掻き取る方法等が適用可能である。
界面活性剤は、微細部分の現像性、現像液のスタミナ性の観点からアニオン界面活性剤及び/又はノニオン界面活性剤が好ましい。
界面活性剤の現像液中に占める割合は、好ましくは0.2〜4.0質量%であり、より好ましくは0.5〜3.0質量%である。
当該割合が0.2質量%以上であることは、印刷に供し得る印刷版を提供するための十分な現像能力を確保する観点から好適である。当該割合を4.0質量%以下であることは、樹脂硬化物表面に浸透した界面活性剤が後述する後露光による硬化反応を阻害する働きを低減し、印刷版表面の粘着性を低減することに寄与し得る。
現像液には、印刷版の表面の粘着性をより効果的に低減する観点から、水素引き抜き剤を配合することが好ましい。
ここで、水素引き抜き剤とは、活性光線を照射することにより、他の化合物中の水素原子を引き抜くことができる化合物を意味し、例えば、活性光源として安価な殺菌灯による活性光線に対して水素引き抜き反応の開始効率が高く、低濃度で水素引き抜き剤を使用することによる現像性への負荷を軽減する観点から、ベンゾフェノン類の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが好ましく、特にベンゾフェノン用いることが好適である。
このような水素引き抜き剤が、現像液中に占める割合は、0.01〜0.5質量%であることが好ましく、0.03〜0.3質量%であることがより好ましい。当該割合を0.01質量%以上とすることは、表面粘着性除去効果を良好に発現させる観点から好ましい。その割合を0.5質量%以下とすることは、現像能力を確保する観点から好適である。
本実施の形態における(C)工程は、(B)工程における現像後に、印刷版の機械的強度促進、表面粘着性除去を主目的として、樹脂の硬化部位へ活性光線を照射する工程である。
このような活性光線の光源(活性光源)としては、例えば、レリーフ露光に用いる300nm以上の波長領域に分布を有する活性光源(例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ等)、200〜300nmの波長領域に分布を有する活性光源(例えば、低圧水銀灯、殺菌灯、重水素ランプ等)、又はこれらを組み合わせた光源が好ましく用いられる。
現像液が水素引き抜き剤を含有する場合に用いる光源として、水素引き抜き剤を効果的に活性化する波長領域に分布を有する活性光源を選択することが好ましい。水素引き抜き剤としてベンゾフェノン類を用いる場合には、光源としては、200〜300nmの波長領域に分布を有する活性光源が好ましく用いられる。
後露光工程における露光方式としては、空気中の酸素による重合反応阻害の防止を目的とした水中露光方式や、空気中、すなわち酸素阻害への対策を行わない空中露光方式を採用し得る。これらの中でも、粘着性を抑制する観点から、水中露光方式が好ましい。
後露光工程における活性光線の照射量は、200〜300nmの波長領域に分布を有する活性光線を用いる場合、好ましくは500〜5000mJ/cm2であり、より好ましくは1000〜5000mJ/cm2であり、さらに好ましくは2000〜3500mJ/cm2である。
活性光線の照射量が500mJ/cm2以上であることは、十分に表面粘着性を除去する観点から好適である。活性光線の照射量が5000mJ/cm2以下であることは、印刷版表面に微少なクラックが生じて粘着性が現れる可能性を低減する観点から好適である。
本実施の形態における活性光線の照射量は、オーク製作所社製の紫外線測定器である「UV−M02」により測定した250nmの波長における照射量と照射時間とから算出した値である。
本実施の形態における(D)工程は、(C)工程の後、さらに、硬化部位を乾燥する乾燥工程である。
(D)工程により、(B)工程や水中露光方式による(C)工程において感光性樹脂硬化版の表面に付着した水分を乾燥することができる。
このような乾燥工程における乾燥は、専用の収納式熱風乾燥機を用いて行われることが好ましい。
本実施の形態のフレキソ印刷版の製造方法は、更に、他の工程を含んでもよい。
例えば、(B)工程の後に、水素引き抜き剤を版表面に浸透する工程を経て、更に、(C)工程を経る特許3592336号公報に開示された製版方法も好適に適用可能である。
また、(A)工程において、成型体は、本実施の形態の感光性樹脂組成物のみよって形成してもよく、その他の感光性樹脂組成物との積層体としてもよい。優れた反発弾性を発現し得るため、本実施の形態の感光性樹脂組成物を、いわゆるキャップ版のキャップ層として用いることも可能である。具体的には、二種類以上の感光性樹脂組成物を積層して成型し、露光によって一体化する製版方法において、版表面に位置するキャップ層に本実施の形態の感光性樹脂組成物を用い、下層領域を担うベース樹脂には従来技術による液状感光性樹脂組成物を用いる構成が挙げられる。
本実施の形態のフレキソ印刷版は、特に段ボール用印刷版として好ましく用いられる。
本実施の形態のフレキソ印刷版の好ましい柔軟性は、7mm版のショアA硬度として、温度20℃・湿度70%での測定値が30度を下回る範囲であればよいが、好ましくは10〜30度であり、より好ましくは10〜25度である。
ショアA硬度が10〜30度であることは、紙重量150g/m2に満たないライナー、中芯を用いたダンボールシートのC段又はA段へのベタ画像インキ転移性を満足する観点から好適である。ダンボールシートのA段、C段とは日本工業規格(JIS)Z1516に定められた外装用ダンボールの種類であり、ショアA硬度は、実施例に記載する測定方法により測定することができる。
本実施の形態のフレキソ印刷版は、(A)〜(C)の各工程を通じて製造されるフレキソ印刷版であるが、本実施の形態において、フレキソ印刷版としての本質は、本実施の形態の感光性樹脂組成物を用いて製造されるフレキソ印刷版である点にある。
したがって、(A)〜(C)の工程を含む製造方法により製造されるフレキソ印刷版として、本実施の形態においては、(A)〜(C)の工程が多少の修飾はされていてもよい。
また、本実施の形態においては、本実施の形態の感光性樹脂組成物を用いることで製造されるフレキソ印刷版であることにより、本実施の形態における所望の効果である、フレキソ印刷版としてのインキ転移性に優れ、尚且つ優れた耐衝撃性を実現し得る。
次に、実施例及び比較例を挙げて本実施の形態をより具体的に説明するが、本実施の形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、本実施例における測定方法は以下のとおりである。
〔GPC測定〕
以下の条件でGPC測定を行い、製造時に過剰に加えた(メタ)アクリル化剤の未反応成分を除外した不飽和プレポリマー成分に由来する高分子量体の、ポリスチレン換算による数平均分子量を求めた。また、GPC測定により得られるピーク面積比(%)により、不飽和ポリマー組成物中の不飽和プレポリマー成分に由来する高分子量体の含有量を求めた。
機器 :東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」
カラム :東ソー株式会社製「TSLgelGMHXL」
溶媒 :テトラヒドロフラン
流速 :1ミリリットル/分
注入量 :100マイクロリットル
検出器 :RI検出器
検量線標品 :ポリスチレン(分子量500〜1260000)
試料 :0.3質量%テトラヒドロフラン溶液
〔樹脂粘度測定方法〕
得られた感光性樹脂組成物を、温度20℃、相対湿度70%の恒温恒湿室内に一日放置し、同室内において株式会社東京計器製「B形粘度計形式B8H」を用いて、感光性樹脂組成物の粘度を測定した。
〔ショアA硬度の測定方法〕
得られたフレキソ印刷版の20cm×30cmの長方形のデザインの領域を切り出し、温度20℃、相対湿度70%の恒温恒湿室内に一日放置し、フレキソ印刷版のショアA硬度を測定した。
測定は、同室内に設置された株式会社テクロック製「JIS定圧荷重器GS−710」(ASTM:D2240A、JIS:K6253A、ISO:7619Aに準拠)を1kg荷重で用いて、測定開始後15秒後の値を読み取った。
〔耐衝撃性の評価方法〕
耐衝撃性の評価は、フレキソ印刷版の実使用における変形をシミュレートした評価方法であり、図1にその模式図を示す。
得られたフレキソ印刷版の菱形画像レリーフをサンプルとし、菱型の鋭角部が上向きになるように垂直板上に固定し、質量約2kgのステンレス性の治具を高さ70cmから落下させて、レリーフの側面域から頂部にかけてせん断応力を加えた。
菱形画像レリーフの破壊程度に応じて以下に示すランク付けを行い、10サンプルの平均として評価した。
Aランク :レリーフ端部1mm程度以下の破壊
Bランク :レリーフ端部1mm〜3mm程度の破壊
Cランク :5mm前後すなわちレリーフの半分程度が破壊
Dランク :レリーフの半分から全てが破壊
この評価において、AランクとBランクは通常の印刷現場での使用においてレリーフ破壊が生じる可能性が低い。
〔ベタ画像印刷品質の評価方法〕
得られたフレキソ印刷版の20cm×30cmの長方形のデザインについて以下の条件でダンボール印刷を実施した。
印刷機 :日本電子精機株式会社製「単色印刷機」
アニロックス :250LPI、ドクター方式
印刷速度 :65シート/分
インキ :大阪印刷インキ製造株式会社製「ワッサースーパーZ71 SL−3墨」
インキ粘度 :9秒/ザーンカップ#4、23℃
ダンボールシート:A段シート、C5(約140g/m2)表面ライナー、中芯120g/m2
印刷は、ダンボールシートへのインキ転移濃度が安定する目安としてシート枚数10枚で行い、9枚目、10枚目をサンプリングして評価した。
評価は、印刷物を目視観察して、ダンボールシート表面凹部でのインキによる隠蔽性に応じて以下に示すランク付けを行った。
Aランク :全体にインキが付着した状態
Bランク :一部で点状にインキが付着しない部分がある状態
Cランク :多くの凹部で点状にインキが付着しない領域を有する
Dランク :スジ状にインキが付着しない領域を有する
この評価において、AランクとBランクは商業印刷においてベタ画像の掠れトラブルが生じる可能性が低い。
〔貯蔵弾性率の測定方法〕
ポリエチレンテレフタレートの透明フィルムを密着させたガラス板を二枚、1mm厚のスペーサーを用いて感光性樹脂組成物を一定厚みに成型した後に、片面から1400mJ/cm2の光量(光源はケミカルランプ)を順次照射し、厚さ約1mmの樹脂硬化物を作成した。
得られた樹脂硬化物を8mmの円形状にサンプルを打ち抜き、以下の条件で貯蔵弾性率を測定した。
機器 :TAインスツルメンツ社製「AR550」
ジオメトリー :8mm
法線応力 :5N制御
測定温度 :−25〜25℃(変温速度3℃/分)
負荷ひずみ :0.1%
周波数 :1Hz
〔製造例1〕不飽和プレポリマーAの製造
1500gのポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート)ジオール(クラレ株式会社製「クラポールP3010」、水酸基価:37KOHmg/g、平均分子量:3000、以下、「P3010」と略して記載する。)と、500gのポリオキシエチレン(EO)−オキシプロピレン(PO)ブロック共重合ジオール(三洋化成工業株式会社製「サンニックスPL2100」、水酸基価:44KOHmg/g、平均分子量:2550、EO含量:30質量%、以下「PL2100」と略して記載する。)との混合物に対して、0.09gのジブチル錫ジラウレートを加え、40℃で均一になるまで攪拌し、混合物を得た。
混合物中のポリエステルジオールとポリエーテルジオールの質量比率は、75:25であった。
得られた混合物に、131.4gのトリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン株式会社製「コロネートT80」、以下「TDI」と略して記載する。)を加えてさらに攪拌した。
均一となったところでその混合物を80℃まで昇温した後、約4〜5時間反応させて両末端にイソシアネート基を有するプレポリマー前駆体を調製した。
得られたプレポリマー前駆体に、(メタ)アクリル化剤として、375.3gのポリ(オキシプロピレン)グリコールモノメタアクリレート(日油株式会社製「ブレンマーPP」、平均分子量380、以下「PPM」と略して記載する。)を加えて約2時間反応させた。
得られた反応生成物を一部取り出して、IR分光測定を行って、イソシアネート基の消失を確認した。こうして、不飽和プレポリマー組成物Aを得た。
不飽和プレポリマー組成物AについてGPC測定を行った結果、不飽和プレポリマー成分に由来する高分子量体の数平均分子量は24000であり、不飽和プレポリマー組成物中の高分子量体の含有量は約87質量%であった。後述の感光性樹脂組成物の調合では、不飽和プレポリマー組成物Aは、不飽和プレポリマーA:87質量%、反応希釈剤成分:13質量%の組成物として取り扱った。
〔製造例2〕不飽和プレポリマーBの製造
P3010を1100g、PL2100を900g、TDIを138.0g、PPMを387.4g用いた以外は、製造例1と同様にして不飽和プレポリマー組成物Bを得た。
混合物中のポリエステルジオールとポリエーテルジオールの質量比率は、55:45であった。
GPC測定の結果、不飽和プレポリマー成分に由来する高分子量体の数平均分子量は22000であり、不飽和プレポリマー組成物中の高分子量体の含有量は約87質量%であった(不飽和プレポリマー組成物B中の不飽和プレポリマーBは87質量%)。
〔製造例3〕不飽和プレポリマーCの製造
TDIを147.3g、PPMを435.6g用いた以外は、製造例2と同様にして不飽和プレポリマー組成物Cを得た。
混合物中のポリエステルジオールとポリエーテルジオールの質量比率は、55:45であった。
GPC測定の結果、不飽和プレポリマー成分に由来する高分子量体の数平均分子量は18000であり、不飽和プレポリマー組成物中の高分子量体の含有量は約87質量%であった(不飽和プレポリマー組成物C中の不飽和プレポリマーCは87質量%)。
〔製造例4〕不飽和プレポリマーDの製造
P3010を1000g、PL2100を1000g、TDIを143.5g、PPMを410.5g用いた以外は、製造例1と同様にして不飽和プレポリマー組成物Dを得た。
混合物中のポリエステルジオールとポリエーテルジオールの質量比率は、50:50であった。
GPC測定の結果、不飽和プレポリマー成分に由来する高分子量体の数平均分子量は21500であり、不飽和プレポリマー組成物中の高分子量体の含有量は約87質量%であった(不飽和プレポリマー組成物D中の不飽和プレポリマーDは87質量%)。
なお、不飽和プレポリマー組成物Dは、特許文献3(特開2003−156837号公報)の実施例の製造例5に記載の不飽和ポリウレタンプレポリマーEと同一の方法により製造されたものである。
〔製造例5〕不飽和プレポリマーEの製造
P3010に代えてポリ(プロピレングリコールアジペート)ジオール(三井化学株式会社製「タケラックU2320」、水酸基価:44KOHmg/g、平均分子量2550、以下、「U2320」と略記する。)を1100g、PL2100を900g、TDIを155.5g、PPMを418.0g用いた以外は、製造例1と同様にして不飽和プレポリマー組成物Eを得た。
混合物中のポリエステルジオールとポリエーテルジオールの質量比率は、55:45であった。
GPC測定の結果、不飽和プレポリマー成分に由来する高分子量体の数平均分子量は20000であり、不飽和プレポリマー組成物中の高分子量体の含有量は約87質量%であった(不飽和プレポリマー組成物E中の不飽和プレポリマーEは87質量%)。
〔製造例6〕不飽和プレポリマーFの製造
U2320を900g、PL2100を1100g用いた以外は、製造例5と同様にして不飽和プレポリマー組成物Fを得た。
混合物中のポリエステルジオールとポリエーテルジオールの質量比率は、45:55であった。
GPC測定の結果、不飽和プレポリマー成分に由来する高分子量体の数平均分子量は20000であり、不飽和プレポリマー組成物中の高分子量体の含有量は約87質量%であった(不飽和プレポリマー組成物F中の不飽和プレポリマーFは87質量%)。
〔製造例7〕不飽和プレポリマーGの製造
P3010を1200g、PL2100を800g、TDIを136.9g、PPMを387.2g用いた以外は、製造例1と同様にして不飽和プレポリマー組成物Bを得た。
混合部中のポリエステルジオールとポリエーテルジオールの質量比率は、60:40であった。
GPC測定の結果、不飽和プレポリマー成分に由来する高分子量体の数平均分子量は22500であり、不飽和プレポリマー組成物中の高分子量体の含有量は約87質量%であった(不飽和プレポリマー組成物G中の不飽和プレポリマーGは87質量%)。
〔実施例1〜7、比較例1〜6〕
製造例1〜7の不飽和プレポリマー組成物A〜Gに、下記表1に示すエチレン性不飽和化合物、光重合開始剤、酸化防止剤を加えて、60℃の加温状態で攪拌混合して、下記表2、表3に示す実施例1〜7、比較例1〜6の感光性樹脂組成物を得た。
得られた感光性樹脂組成物を用いて、下記に示す成型・露光工程、現像工程、後露光工程、乾燥工程を順次経ることによりフレキソ印刷版を作製した。
<成型・露光工程>
旭化成イーマテリアルズ株式会社製「ALF−213E型製版機」を用いて、前記(A1)のようにして、シェルフ層用のネガフィルムを備える感光層を形成した。
ここで、ネガフィルムは、対角線の長さが10mmと5.8mmである複数の菱形画像、20cm×30cmの長方形を作成するためのデザインが施されたものを使用した。
次いで、前記(A2)、(A3)のようにして感光層を露光して版厚7mm、レリーフ深度が凡そ2.5mmのフレキソ印刷版を得た。ここでレリーフ深度とは版厚からシェルフ層の高さを差引いた長さ、つまり印刷画像レリーフの深さを表現する慣用語であり、レリーフ深度を凡そ2.5mmに調整するためにはマスキング露光量を適宜調整する必要があった。レリーフ露光量は650mJ/cm2の露光条件で行った。
<現像工程>
未硬化樹脂を、ゴムへらを用いて回収除去した後に、旭化成イーマテリアルズ株式会社製「AL−400W型現像機」(ドラム回転スプレー式、ドラム回転数:20回転/分、スプレー圧:0.15Pa)に感光性樹脂組成物を乳化し得る旭化成イーマテリアルズ株式会社製「APR(登録商標)洗浄剤 タイプW−10」(主剤:アニオン系界面活性剤)2質量%と、旭化成イーマテリアルズ株式会社製「APR(登録商標)表面処理剤 タイプA−10」(主剤:ノニオン界面活性剤、ベンゾフェノン)0.5質量%と、旭化成イーマテリアルズ株式会社製「消泡剤SH−4」(シリコーン混和物)0.3質量%と、を含む水溶液を現像液として調合し、液温40℃、現像時間10分間の条件で現像を行った。
現像後、水道水で現像液による泡が落ちる程度に洗浄した。
<後露光工程>
紫外線蛍光灯、殺菌灯の双方を装備した旭化成イーマテリアルズ株式会社製「AL−200UP型後露光機」を用い、水中露光方式により露光を行った。
それぞれの光源から照射される露光量が、感光性樹脂硬化版表面で紫外線蛍光灯:1500mJ/cm2、殺菌灯:4500mJ/cm2となる露光時間で露光を行った。
<乾燥工程>
旭化成イーマテリアルズ株式会社製「ALF−DRYER」を用い、後露光後の版を、その表面の水分がなくなるまで約30分間乾燥し、フレキソ印刷版を得た。
感光性樹脂組成物とフレキソ印刷版に関し、感光性樹脂組成物の粘度(下記表中、樹脂粘度)、フレキソ印刷版の硬度(下記表中、ショアA硬度)、フレキソ印刷版の耐衝撃性(下記表中、耐衝撃性)、フレキソ印刷版の低重量ダンボールシートにおけるベタ画像の印刷適正(下記表中、べた画像印刷品質)についての評価結果を、表2、表3に示した。
なお、本実施例中の比較例2は、本願発明の有効性を評価するために、特許文献3(特開2003−156837号)の実施例10に基づいて実施したものである。
表1中、「≒」は、ポリオキシプロピレンの繰り返し単位が分布を有することを示し、おおよそ±2程度の5種構造の化合物を主成分とする混合物であることを意味する。
表2の比較例1〜5は、不飽和プレポリマーの構成成分、ジオール構成比、数平均分子量において本願発明に該当しない製造例3〜6の不飽和プレポリマー使用した事例である。
なお、P3010はアジピン酸と炭素数6の飽和炭化水素ジオールから成るポリエステルジオールであり、U2320はアジピン酸と炭素数3の飽和炭化水素から成るポリエステルジオールである。
表2に示されるように、実施例1と2は、ポリエステルポリオールとしてP3010を使用した事例である。不飽和プレポリマーとして、分子内に繰り返し単位を有するジオール中のP3010の含有率が55質量%以上であり、不飽和プレポリマーの数平均分子量が20000〜70000の範囲であることから、耐衝撃性とベタ画像印刷品質についてAランク又はBランクであり、フレキソ印刷版が良好な性能を両立していた。
一方、比較例1は、不飽和プレポリマーの数平均分子量が20000に満たないため耐衝撃性がCランクとなった。
また、比較例2と3も、不飽和プレポリマーにおいて、分子内に繰り返し単位を有するジオール中のP3010の質量比率が55質量%に満たないため、ショアA硬度が38度の比較例2ではベタ画像印刷品質がDランクとなり、ショアA硬度が25度の比較例3では耐衝撃性がDランクとなった。
比較例4と5はポリエステルポリオールとしてU2320を使用した事例であり、ベタ画像印刷品質がCランク又はDランクとなった。
表3の実施例3〜7、比較例6と7は、可塑剤の有効性を評価した事例である。
実施例3〜7は、実施例1と2でエーテル系可塑剤として使用したジエチレングリコールジブチルエーテルに代えて各種脂肪族カルボン酸化合物からなるエステル系可塑剤を使用した事例である。可塑剤として、かかるエステル系可塑剤を使用したことから、耐衝撃性とベタ画像印刷品質についてAランク又はBランクであり、フレキソ印刷版が良好な性能を両立していた。
比較例6は、特許3354125号中にも記載されているように、タック減少添加剤の中からヒドロキシ安息香酸メチルを使用した事例である。ヒドロキシ安息香酸メチルは脂肪族カルボン酸化合物からなるエステル系可塑剤に該当しないため、耐衝撃性は実施例3〜7の可塑剤同様にAランクを示すものの、ベタ画像印刷品質はDランクとなった。
可塑剤を含まない比較例7においては、ショアA硬度を他の実施例と同等とするために多官能モノマーであるSR350Jの添加量を減じた感光性樹脂組成物を用いたところ、耐衝撃性、ベタ画像印刷品質共に劣悪な性能を示した。
以上の結果から、不飽和プレポリマー、光重合開始剤、可塑剤を含有する感光性樹脂組成物において、該不飽和プレポリマーが分子内に繰り返し単位を有するジオールとジイソシアネートとからなるポリウレタン構造を含む数平均分子量20000〜70000の範囲であり、該分子内に繰り返し単位を有するジオール中に、ジカルボン酸と炭素数4〜9の飽和炭化水素ジオールからなるポリエステルジオールを55〜90質量%の範囲で有し、脂肪族カルボン酸化合物からなるエステル系可塑剤及び/又はエーテル系可塑剤を用いることが、フレキソ印刷版の耐衝撃性とベタ画像印刷品質を高いレベルで両立することに有効に作用していることが明らかになった。
また、実施例2と実施例6で得られたフレキソ印刷版の20cm×30cmの長方形のデザインを50℃恒温槽に一ヶ月保存したところ、実施例6のフレキソ印刷版は平面性を保持していたが、実施例2のフレキソ印刷版は四辺が上方に反った形状と成った。
実施例2の可塑剤であるジエチレングリコールジブチルエーテルが保管中に揮発したことを示す結果であり、エステル系可塑剤であるセバシン酸ジブチルを使用した印刷版が長期間の使用においてもより安定した版形状を維持することが期待できた。
実施例、比較例の感光性樹脂組成物の貯蔵弾性率を測定し、フレキソ印刷版のベタ画像印刷品質の評価結果と貯蔵弾性率の測定結果を対比検討した結果、貯蔵弾性率データの−20〜−10℃の範囲における数値がベタ画像印刷品質に対応することが明らかになった。
すなわち、ベタ画像印刷品質でAランク又はBランクを示す感光性樹脂組成物から得られた樹脂硬化物では当該温度範囲の貯蔵弾性率が5×105Paに満たないのに対して、Cランク又はDランクを示す感光性樹脂組成物から得られた樹脂硬化物では当該温度範囲の貯蔵弾性率が5×105Paを超える値となった。この結果は、フレキソ印刷版の柔軟性の指標であるショアA硬度が同程度であったとしても、樹脂硬化物の貯蔵弾性率によりベタ画像の印刷品質が変化することを示すものであった。
実施例2の感光性樹脂組成物から得られた樹脂硬化物の貯蔵弾性率は3.9×105Paであるのに対して、比較例4の感光性樹脂組成物から得られた樹脂硬化物の貯蔵弾性率は7.5×105Paであった。この結果から、印刷特性に優れた貯蔵弾性率を実現するために感光性樹脂組成物の不飽和プレポリマーはジカルボン酸と炭素数4〜9の飽和炭化水素ジオールから成るポリエステルジオールを使用することが効果的であることが明らかになった。
本発明の液状感光性樹脂組成物は、段ボール印刷用のフレキソ印刷版の分野で好適に利用できる。
1 ステンレス性の治具(側面図)
2 菱形画像レリーフ(側面図)
3 菱形画像レリーフ(上面図)

Claims (7)

  1. 不飽和プレポリマー、光重合開始剤、及び可塑剤を含有するフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物であって、
    該不飽和プレポリマーが、(i)分子内に繰り返し単位を有するジオールとジイソシアネートとからなるポリウレタン構造とアクリル基及び/又はメタクリル基とを有し、(ii)数平均分子量が20000〜70000であり、(iii)該分子内に繰り返し単位を有するジオール中に、ジカルボン酸と炭素数4〜9の飽和炭化水素ジオールとからなるポリエステルジオールを55〜90質量%有し、
    該可塑剤が脂肪族カルボン酸化合物からなるエステル系可塑剤及び/又はエーテル系可塑剤である、フレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物。
  2. 前記不飽和ポリマーが、前記分子内に繰り返し単位を有するジオール中に、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとのブロック構造を有するポリエーテルジオールを10〜45質量%有する、請求項1に記載のフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物。
  3. 前記炭素数4〜9の飽和炭化水素ジオールが、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、及び2−メチル−1,8−オクタンジオールからなる群から選択される少なくとも1種の飽和炭化水素ジオールである、請求項1又は2に記載のフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物。
  4. 前記脂肪族カルボン酸化合物からなるエステル系可塑剤が、下記式(1)〜(3)に示す構造の化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1〜3の何れか一項に記載のフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物。
    2(OR3nOCOR1COO(R3O)n2 式(1)
    (但し、R1は炭素数4〜8の二価脂肪族飽和炭化水素基、R2は炭素数1〜8の一価脂肪族飽和炭化水素基、R3はエチレン基及び/又はプロピレン基、nは0〜5の整数を表す。)
    4COOR5 式(2)
    (但し、R4は炭素数8〜17の一価脂肪族飽和炭化水素基、R5は炭素数1〜8の一価脂肪族飽和炭化水素基を表す。)
    6C(COOR73 式(3)
    (但し、R6は水素、水酸基、又は炭素数1〜8の一価脂肪族飽和炭化水素基、R7は炭素数1〜8の一価脂肪族飽和炭化水素基を表す。)
  5. 下記(A)〜(C)の各工程:
    (A)請求項1〜4の何れか一項に記載のフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物を用いて形成された成型体の表面を露光し、当該成型体に硬化部位を形成する硬化部位形成工程、
    (B)現像液により前記硬化部位を現像する現像工程、
    (C)現像された前記硬化部位の表面に活性光線を照射する活性光線照射工程、
    を含むフレキソ印刷版の製造方法。
  6. 請求項5に記載の製造方法により得られるフレキソ印刷版。
  7. 7mm版のショアA硬度が15〜30度の範囲である、請求項6に記載のフレキソ印刷版。
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