JP2003156837A - フレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物 - Google Patents

フレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物

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JP2003156837A
JP2003156837A JP2002188588A JP2002188588A JP2003156837A JP 2003156837 A JP2003156837 A JP 2003156837A JP 2002188588 A JP2002188588 A JP 2002188588A JP 2002188588 A JP2002188588 A JP 2002188588A JP 2003156837 A JP2003156837 A JP 2003156837A
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Masahiro Yoshida
正宏 吉田
Nobuo Shimokawa
宣夫 下川
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い印刷品質および印刷作業効率・印刷物歩
留まりを可能とするフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組
成物を提供する。 【解決手段】 下記の(a)、(b)、(c)、(d)
成分を含有するフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成
物。 (a)数平均分子量が5,000〜70,000であ
り、エチレン性不飽和基を有するプレポリマー:100
質量部 (b)エチレン性不飽和モノマー:10〜150質量部 (c)光重合開始剤:0.01〜10質量部 (d)融点5℃以下、沸点150℃以上である光重合反
応に関与しない化合物:1〜50質量部

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フレキソ印刷版、
特に段ボール印刷版の製造に用いられる液状感光性樹脂
組成物に関するものであり、さらに詳しくは印刷作業効
率向上、印刷物歩留まり低下を実現し、良好な印刷品質
を得る液状感光性樹脂版の製造に用いられるフレキソ印
刷版用液状感光性樹脂組成物及びそれから製造される印
刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】フレキソ印刷用版材としては、ゴム版
材、固体状感光性樹脂版材及び液状感光性樹脂版材があ
る。感光性樹脂印刷版は、活性光線照射によるラジカル
重合反応によりレリーフ部分の感光層のみを硬化させる
露光工程の後、レリーフ部分以外の未硬化樹脂を所定の
洗浄液(現像液)で溶解除去、あるいは膨潤分散させて
機械的に除去することにより、硬化部分のみをレリーフ
として版表面に出現させる現像工程によって得られるこ
とから、短時間で微細レリーフの形成が可能であり広く
一般に用いられている。
【0003】フレキソ印刷版の用途として特に広く知ら
れている段ボール印刷では、その段ボールが、包装容器
材料としての強度が必要であることから、波状に変形し
た中芯の片面または両面にライナー(板紙)を貼ったも
の、あるいはそれらを積層した構造であり、その被印刷
面は波状中芯の影響で凹凸が存在し、また中空構造とな
ることから柔軟な性質を有する。段ボールは新聞紙、古
紙等の再生原料を多く用いて製造されるのが一般的であ
るため、ライナー印刷表面層の紙質は繊維が荒く粗雑で
あるのが一般的である。この様な特徴を有する段ボール
ライナー表面に対して良好な印刷性能を発現するための
印刷版の特徴としては、印刷版表面のインクを低紙質の
ライナー表面に転写させるため、またライナー表面の凹
凸により生じる応力変化を緩和させるために、段ボール
に応じ適当な硬度領域を有し、さらに高い反発弾性を有
することが重要である。
【0004】また印刷機に供給される段ボールライナー
表面には、段ボール製造過程で生じた紙の切り屑、粉状
物が付着しており、さらにインライン印刷機では段ボー
ル印刷機の後に、段ボールを箱にするための溝切りを行
うダイカッターを装備するのが一般的であるため、印刷
現場は紙の切り屑、粉状物が多量に排出される環境にあ
る。これら紙の切り屑、粉状物が印刷版版面上に付着し
た場合、その部位については印刷版から段ボールライナ
ー表面へのインクの転写がレリーフ画像通りに行われな
いため、印刷機の運転を一旦停止して版表面の異物を除
去した後再度印刷を開始する必要があり、生産性や印刷
物の歩留まり低下となる。
【0005】以上のような理由により、段ボール印刷用
フレキソ印刷版では、その印刷版材の種類に因らず、硬
度、反発弾性、版面べとつきの版性能が、印刷品質向
上、印刷作業効率・印刷物歩留まり低下抑制に影響を及
ぼす重要な物性であるとされている。感光性樹脂印刷版
では、固体状、液状の如何に関わらず感光性樹脂として
印刷に適したレリーフを得るため、また製版作業を効率
よく簡便に行うために必要な感度すなわち反応速度を得
るために所定の開始剤量が必要であり、該使用領域では
重合度に限界があり硬化した後にも未反応物が残ってい
たりして、得られた印刷版表面は多かれ少なかれべとつ
きすなわち粘着性を有している。
【0006】この印刷版面のべとつき除去手法として
は、特開昭50−95001号公報、特開昭53−14
3669号公報、特開昭55−135838号公報、特
開平09−288356号公報、特再表WO98/251
84号公報により開示の如く、現像後硬化物に対して再
度活性光線を照射する手法が提案されており、広く一般
的に良好な印刷面を得る方法として使用されている。し
たがって、近年のフレキソ印刷版研究では、非印刷体で
ある段ボールの種類に適した柔軟な硬度設定において、
高い反発弾性を示す樹脂組成の開発に焦点が絞られてい
る。
【0007】一方、各種用途の液状感光性樹脂として
は、その粘度調整のために特定の可塑剤または溶剤を使
用することを特徴とした公知文献は数多く存在するが、
それら公知文献では可塑剤、溶剤を最終的に乾燥除去し
て使用する用途がほとんどである。硬化物物性に対して
可とう性付与を開示した文献としては、特開昭53−2
84号公報、特開昭59−187025号公報が挙げら
れるが、反発弾性の向上を示唆する記述は無い。
【0008】印刷版用液状感光性樹脂組成物は、エチレ
ン性不飽和基を有するプレポリマー、エチレン性不飽和
モノマーと光開始剤を必須成分とし、その硬化物の寸法
安定性の観点から光反応により生成する架橋構造に化学
的に包含されない成分の含有を極力少なくする必要があ
り、その粘度調整は反応性希釈剤、つまりエチレン性不
飽和モノマーにより行うことが一般的である。液状感光
性樹脂を露光して架橋、硬化させる工程で、架橋構造に
化学的に包含されず、主たるラジカル反応機構にも関与
しない成分として樹脂組成物に含有可能とされているの
は熱重合禁止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、染顔料、滑
剤、酸化防止剤、無機充填剤、界面活性剤、可塑剤、プ
ロセスオイル、流動パラフィン、液状ゴム等であり研究
報告例も多い。
【0009】フレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物の
添加剤としては、滑剤、紫外線吸収剤、光安定剤の含有
を特徴とする公知文献として特開昭60−191237
号公報、特開昭61−120142号公報、特再表WO
95/30935号公報、特開2000−206677
号公報、特開平01−245245号公報が開示してい
る。これら添加剤は光架橋構造に包含されないが、本件
でいう光重合反応に関与しない化合物で特定の融点、沸
点を有する化合物の記載はなく、反発弾性の向上を示唆
する記述も無い。
【0010】液状感光性樹脂版材において、高い反発弾
性を得る液状感光性樹脂の要件として、特開昭63−8
8555号公報は、(1)エチレン性不飽和基を有する
プレポリマーにおけるエステル結合、アミド結合、ウレ
タン結合の濃度を低く抑えること、(2)エチレン性不
飽和基を有するプレポリマーが不飽和ポリウレタンプレ
ポリマーである場合、そのポリオールセグメントがポリ
エーテルポリオールである方が好ましく、特にポリテト
ラメチレングリコールが有用であること、(3)エチレ
ン性不飽和モノマーはメタクリレートよりアクリレート
の方が好ましいことを教示している。また特開平07−
239548号公報では、一般的に毒性が有り硬化物の
機械的物性が低いとされるアクリレートモノマーについ
て、特定構造のアクリレートモノマーの使用によりそれ
らの問題なく、高反発弾性を実現することを開示してい
る。
【0011】これら公知文献を参考に毒性の低い特定構
造のアクリレートモノマーにより高い反発弾性を得よう
とする場合、十分な反発弾性を得るためにはその含有量
を多量にする必要があるが、アクリレートモノマーでは
光重合反応による発熱量がメタクリレートモノマーより
大きいため、露光時の樹脂発熱により印刷版としての厚
み精度を悪化させる要因となり、液状感光性樹脂版材と
しては好ましくない。液状感光性樹脂の硬化時の体積収
縮率を小さくして、寸法精度の向上を目指した研究例と
しては特開昭59−192243号公報に記載がある
が、フレキソ印刷版として所望される硬度領域を実現す
る材料としては適当でなく、フレキソ印刷版用途の液状
感光性樹脂として、版厚精度への影響が少ない重合発熱
量で、優れた反発弾性を示す樹脂組成の研究例は報告さ
れていない。
【0012】なお、固体状感光性樹脂版材ではあるが、
その硬度を柔軟化する手法として各種可塑剤の使用が一
般的であり、特に特開平07−319160号公報、特
開平08−234418号公報、特開平09−1851
68号公報では、特定の可塑剤を利用することにより感
光性樹脂版の反発弾性が向上することを開示している。
しかし、固体状感光性樹脂版材はそもそも版厚精度良く
シート状に感光性樹脂組成物を成型加工した商品であ
り、レリーフ形成のための重合反応が液状感光性樹脂の
それに対して圧倒的に少ないため、液状感光性樹脂組成
物で均一な厚みの版を製造する際の上記の課題もない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、樹脂
粘度が好適な低粘度領域であり、製版露光時の重合発熱
量が版厚精度への影響の少ない限定された領域を実現
し、その組成から得られた印刷版が柔軟であり且つ高い
反発弾性を示し、良好な版厚精度を有することにより良
好な印刷品質、印刷作業効率を向上させるフレキソ印刷
版用液状感光性樹脂を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる課
題を解決するために鋭意研究した結果、フレキソ印刷版
用液状感光性樹脂組成物において、融点5℃以下、沸点
150℃以上の光重合反応に関与しない化合物を所定量
含有する組成物では、前記目的を達成することを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0015】すなわち本発明は、下記の通りである。 1.下記の(a)、(b)、(c)、(d)成分を含有
するフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物。 (a)数平均分子量が5,000〜70,000であ
り、エチレン性不飽和基を有するプレポリマー:100
質量部 (b)エチレン性不飽和モノマー:10〜150質量部 (c)光重合開始剤:0.01〜10質量部 (d)融点5℃以下、沸点150℃以上である光重合反
応に関与しない化合物:1〜50質量部
【0016】2.(d)成分が下記式(1)、(2)、
(3)、(4)、(5)に示す構造の何れか、もしくは
これらの混合物であることを特徴とする1.に記載のフ
レキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物。 R2O(R1O)x2 式(1) (但し、R1はエチレン、プロピレン及びブチレンから
なる群より選択された単一種の重合体又は異なる種類の
基を含むランダムまたはブロック共重合体であり、x=
1〜30であり、R2は水素、炭素数1〜11の一価脂
肪族飽和炭化水素基、フェニル基、ベンジル基、アセチ
ル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、
バレリル基、イソバレリル基、ベンゾイル基、ラウロイ
ル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル
基からなる群より選ばれ、同一でもよく異なっていても
よい基を表す) R3COOR4 式(2) (但し、R3は炭素数1〜17の酸素を含有した構造も
含む一価脂肪族炭化水素基、R4はフェニル基、ベンジ
ル基、炭素数1〜20の酸素を含有した構造も含む一価
脂肪族飽和炭化水素基からなる群より選択された構造を
表す) R6OCOR5COOR6 式(3) (但し、R5は炭素数1〜8の二価飽和炭化水素基又は
フェニレン基、R6はフェニル基、ベンジル基、炭素数
1〜20の酸素を含有した構造も含む一価脂肪族飽和炭
化水素基からなる群より選ばれ、同一でもよく異なって
いてもよい基を表す) (R7OCOCH22C(OR8)COOR7 式(4) (但し、R7はフェニル基、ベンジル基、炭素数1〜2
0の酸素を含有した構造も含む一価脂肪族飽和炭化水素
基からなる群より選ばれ、同一でもよく異なっていても
よい基を表し、R8は水素、アセチル基、プロピオニル
基、ブチリル基からなる群より選択された構造を表す) R9OCH2CH(OR9)CH2OR9 式(5) (但し、R9は水素、アセチル基、プロピオニル基、ブ
チリル基、イソブチリル基、バレリル基、ベンゾイル
基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、
ステアロイル基からなる群より選ばれ、同一でもよく異
なっていてもよい基を表す)
【0017】3.(d)成分が式(3)に示す化学構造
の内、R6が下記式(6)に示す構造であることを特徴
とする1.に記載のフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組
成物。 −(R10O)y11 式(6) (但し、R10はエチレン、プロピレン及びブチレンから
なる群より選択された構造を表し、y=1〜10、R11
は水素、フェニル基、ベンジル基、炭素数1〜11の一
価脂肪族飽和炭化水素基からなる群より選択された構造
を表す)
【0018】4.(a)成分がエチレン性不飽和基を有
する不飽和ポリエーテルポリウレタンプレポリマー、あ
るいはポリエーテルポリエステルポリウレタンプレポリ
マーであることを特徴とする1.に記載のフレキソ印刷
版用液状感光性樹脂組成物。 5.(b)成分の一部がアクリル酸のエステル化化合物
であり、その含有量が(a)、(b)、(c)、(d)
の総和に対して、25質量%以下の範囲で使用されるこ
とを特徴とする1.に記載のフレキソ印刷版用液状感光
性樹脂組成物。 6.20℃における樹脂粘度が10〜500Pa・sで
あり、重合発熱量が100〜185J/gであることを
特徴とする1.に記載のフレキソ印刷版用液状感光性樹
脂組成物。 7.温度20℃、湿度70%におけるショアA硬度が1
5〜50度、落球式反発弾性が35〜85%であること
を特徴とする、1.に記載のフレキソ印刷版用液状感光
性樹脂組成物を用いて製版されたフレキソ印刷版。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、特にその
好ましい実施態様を中心に、詳細に説明する。本発明の
構成成分(a)で示されるエチレン性不飽和基を有する
プレポリマーは、分子中にエチレン性二重結合を少なく
とも一個以上有するプレポリマーであり、例えば不飽和
ポリエステル、不飽和ポリウレタン、不飽和ポリアミ
ド、不飽和ポリアクリレート、不飽和ポリメタアクリレ
ート(以下、アクリレートとメタアクリレートの何れか
を表す記載として(メタ)アクリレートを用いる)及び
これらの各種変性物を挙げることができる。中でもフレ
キソ印刷版に必要な柔軟性と弾性的性質を発現するため
には不飽和ポリウレタンを用いることが好ましい。
【0020】不飽和ポリウレタンプレポリマーは、ポリ
オールとイソシアネート基を2個以上有するポリイソシ
アネート及び分子内に活性水素を持つ官能基とエチレン
性不飽和二重結合を同時に含有する化合物とを反応させ
ることにより得られ、公知の方法により製造することが
できる。該ポリオールとしては、ポリエーテルポリオー
ル、ポリエステルポリオールあるいはポリエーテルポリ
エステルブロック共重合ポリオール等があり、それらを
単独あるいは混合して用いることができる。
【0021】ポリエーテルポリオールとしては、ポリオ
キシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコ
ール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリ1,
2−ブチレングリコール、ポリオキシエチレン/ポリオ
キシプロピレンランダムまたはブロック付加物、ポリオ
キシエチレン/ポリオキシテトラメチレンランダムまた
はブロック付加物等を挙げることができる。オキシエチ
レン基を不飽和ポリウレタンプレポリマーに対して5w
t%以上とすると水系の洗浄液による現像が容易とな
り、好ましい。
【0022】ポリエステルポリオールは、ジオール(グ
リコール)化合物とジカルボン酸化合物との重縮合反応
により得られるセグメントの繰り返しによるジオールで
あり、例えばアジピン酸エステル系としてポリ(エチレ
ングリコールアジペート)ジオール、ポリ(ジエチレン
グリコールアジペート)ジオール、ポリ(プロピレングリ
コールアジペート)ジオール、ポリ(1,4−ブタングリ
コールアジペート)ジオール、ポリ(1,6−へキサング
リコールアジペート)ジオール、ポリ(2−メチルプロ
パングリコールアジペート)ジオール、ポリ(3−メチ
ル−1,5−ペンタングリコールアジペート)ジオー
ル、ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)ジオー
ル、ポリ(1,9−ノナングリコールアジペート)ジオー
ル、ポリ(2−メチルオクタングリコールアジペート)ジ
オール、ポリカプロラクトンジオール、ポリ(β−メチ
ル−δ−バレロラクトン)ジオール等を挙げることがで
きる。ポリエステルセグメントを構成するジカルボン酸
化合物としては、アジピン酸以外にも公知のものを用い
ることができ、例えばコハク酸、グルタル酸、アゼライ
ン酸、セバシン酸、マレイン酸、テレフタル酸、イソフ
タル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ
る。さらにポリエステルセグメントを構成するジオー
ル、ジカルボン酸成分は、例示の通り単一成分同士によ
る重縮合反応により合成されることが一般的だが、複数
成分を任意の割合で混合して用いることも可能である。
【0023】ポリイソシアネートとしては、トリレンジ
イソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサ
メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフ
ェニルメタンジイソシアネート等を挙げることができ
る。分子内に活性水素を持つ官能基とエチレン性不飽和
二重結合を同時に含有する化合物としては、ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、グリセリンモノあるいはジ(メタ)
アクリレート等を挙げることができる。
【0024】不飽和ポリウレタンプレポリマー合成方法
の代表的例示としては、ポリオールとジイソシアネート
との反応により両末端にイソシアネート基を有するプレ
ポリマー前駆体を任意理論分子量で合成し、これに分子
内に活性水素を持つ官能基とエチレン性不飽和二重結合
を同時に含有する化合物を反応させる方法が挙げられ
る。この時、該前駆体プレポリマーの理論分子量はポリ
オールとジイソシアネートとのモル比により決定する。
【0025】本発明のエチレン性不飽和基を有するプレ
ポリマーは、GPC測定におけるポリスチレン換算の数
平均分子量が5,000〜70,000の範囲であり、
特に5,000〜50,000の範囲が好ましい。数平
均分子量5,000未満のプレポリマーでは、その光重
合反応硬化物の機械的強度物性が低く、フレキソ印刷版
の繰り返し使用、あるいは粗雑な取り扱いに対する耐久
性を満足することができない。また数平均分子量70,
000を越えるプレポリマーでは、フレキソ印刷版用液
状感光性樹脂として求められる水系洗浄液による現像性
が難しくなり、汎用的現像装置への対応が難しくなる。
【0026】本発明の構成成分(b)で示されるエチレ
ン性不飽和モノマーは、種々の公知のモノマーを用いる
ことができ、アクリル酸やメタアクリル酸等の不飽和カ
ルボン酸又はそのエステル化合物(例えばアルキル−、
シクロアルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシ
アルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル
−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル
−、ベンジル−、フェノキシ−(メタ)アクリレート;
アルキレングリコール又はポリオキシアルキレングリコ
ールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;トリメチロー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリ
ットテトラ(メタ)アクリレート等)、(メタ)アクリ
ルアミド又はその誘導体(例えばアルキル基やヒドロキ
シアルキル基でN−置換又はN,N’−置換した(メ
タ)アクリルアミド;ジアセトン(メタ)アクリルアミ
ド;N,N’−アルキレンビス(メタ)アクリルアミド
等)、アリル化合物(例えばアリルアルコール、アリル
イソシアナート、ジアリルフタレート、トリアリルシア
ヌレート等)、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸
又はそのエステル(例えばアルキル、ハロゲン化アルキ
ル、アルコキシアルキルのモノ又はジマレエート及びフ
マレート等)、その他不飽和化合物(例えばスチレン、
ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、N−ビニルカルバ
ゾール、N−ビニルピロリドン等)が挙げられる。前記
エチレン性不飽和モノマーは単独でも、2種以上を組み
合わせて用いても良い。
【0027】本発明の目的であるより高い反発弾性を得
るため液状感光性樹脂組成物としては、エチレン性不飽
和モノマーとして例示したアクリル酸やメタアクリル酸
等の不飽和カルボン酸又はそのエステル化合物のうち、
メタアクリル酸誘導体よりアクリル酸誘導体を用いた方
が反発弾性向上効果は大きい。しかし、アクリル酸誘導
体は、一般的に皮膚刺激性等の有害性の問題があり、あ
る程度高い分子量の置換基からなるアクリル酸エステル
を用いる必要がある。そのような化合物としてはエチレ
ングリコールエチルエーテルアクリレート、エチレング
リコールブチルエーテルアクリレート、ジエチレングリ
コール−2−エチルヘキシルエーテルアクリレート、ト
リエチレングリコールヘキシルエーテルアクリレート、
オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート等
を挙げることができる。
【0028】本発明のフレキソ印刷版用液状感光性樹脂
組成物におけるエチレン性不飽和モノマーの総量は、エ
チレン性不飽和基を有するプレポリマー100質量部当
たり10〜150質量部の範囲で用いるのが好ましい。
エチレン性不飽和モノマーは液状感光性樹脂組成物にお
いてエチレン性不飽和基を有するプレポリマーの粘度を
低下させる希釈効果も発揮しており、またエチレン性不
飽和モノマー量は液状感光性樹脂版材の硬度に大きく影
響を及ぼすため、10〜150質量部の範囲外では液状
感光性樹脂の製版性のために所望される室温における粘
度10〜500Pa・s、フレキソ用版材として所望さ
れる温度20℃、湿度70%でのショアA15〜50度
の調整が実質的に難しい。
【0029】フレキソ用液状感光性樹脂版材は、液状感
光性樹脂を一方はネガフィルムとカバーフィルムを介し
たガラス板、他方はベースフィルムを介したガラス板の
間で圧縮し、版厚が規制された状態で露光することによ
って印刷画像を成型される。上記の様な製版機を用いて
繰り返し製版作業が行われる場合、各々のガラス表面は
露光時の加熱と露光までの準備時間による冷却を繰り返
すこととなるため、常にある一定範囲のガラス温度で製
版を行うためには、液状感光性樹脂の重合発熱量が所定
量に抑えられていることが好ましい。製版装置により設
定された重合発熱量を超えた液状感光性樹脂を繰り返し
製版に供した場合、ガラス表面温度の上昇によりガラス
が変形しやすく、製版されたフレキソ印刷版はその版内
での版厚にばらつきが生じ、また繰り返し製版で得られ
たフレキソ印刷版の間においても版厚がばらつきやす
い。
【0030】汎用的なフレキソ印刷版の製版装置では、
ガラス面を強制的に冷却するシステムが装備されていな
いことが好ましく、上記の様な問題を防ぐために液状感
光性樹脂組成物の重合発熱量はできる限り少なくするよ
うな組成設計が望まれる。具体的な液状感光性樹脂の重
合発熱量は、好ましくは185J/g以下、より好まし
くは165J/g以下である。重合発熱量185J/g
以下の樹脂組成物により得られたフレキソ印刷版は、版
厚精度が10/100mm以下の範囲で抑えられ、印刷
上特に問題無いが、重合発熱量230J/g程度の樹脂
組成物では版厚精度が20/100mm以上の範囲とな
る。版厚精度の悪い印刷版を印刷に供した場合、版厚の
厚い部分では凸文字の太り、白抜き文字の埋まり、網点
濃度の増大が発生しやすい。
【0031】液状感光性樹脂組成物では、エチレン性不
飽和モノマー量の増大と共に重合発熱量が増大するた
め、エチレン性不飽和モノマー量は前述の粘度、硬度の
要求を満たす範囲10〜150質量部のうちでできる限
り減じることが好ましく、またエチレン性不飽和モノマ
ーのうちアクリレートモノマーは、メタアクリレートモ
ノマーに対して重合発熱量が高いため(例えばアクリル
酸メチルの重合熱は84kJ/molに対してメタアク
リル酸メチルのそれは54kJ/mol)、本発明の構
成成分(a)、(b)、(c)、(d)の合計に対して
25wt%以下の割合で含有することが好ましい。
【0032】本発明の構成成分(c)で示される光重合
開始剤としては、従来公知の化合物の中から任意のもの
を選択して用いることができる。例えば、ベンゾフェノ
ン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベン
ゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ヒドロキ
シベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジ
フェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メト
キシベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノ
ン、4−メチルベンゾフェノンといった置換又は無置換
ベンゾフェノン類;
【0033】アセトフェノン、4−メチルアセトフェノ
ン、2,4−あるいは3,5−ジメチルアセトフェノ
ン、4−メトキシアセトフェノン、2−クロロ−2−フ
ェニルアセトフェノン、3,4−ジクロロアセトフェノ
ン、4−ヒドロキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−
2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘ
キシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ
(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン等の置
換又は無置換アセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾイ
ンメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾ
イン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピル
エーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等の、ベンゾ
インアルキルエーテル化合物やデオキシベンゾイン、ベ
ンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、
ベンジル、2−ナフチルフェニルケトン、ジベンゾスベ
ロンといった置換または無置換芳香族ケトン類;
【0034】1,4−ベンゾキノン、2,6−ジメチル
−1,4−ベンゾキノン、2,6−ジクロロ−1,4−
ベンゾキノン、アントラキノン、2−クロロアントラキ
ノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノ
ン、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、2,3
−ジメチル−1,4−ナフトキノン、2−エチル−1,
4−ナフトキノン、フェナントレンキノン、1,2−ナ
フトキノン、カンファーキノンといった各種o,p−キ
ノン化合物類;
【0035】チオキサントン、2−クロロチオキサント
ン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオ
キサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4
−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサ
ントンといった置換または無置換チオキサントン類が挙
げられる。これらの光重合開始剤は単独で用いても良い
し2種以上を組み合わせて用いても良く、水素引き抜き
型開始剤を使用する場合、増感剤としてトリエタノール
アミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノ
ールアミン、ミヒラーズケトン、4,4’−ジエチルア
ミノフェノン、4−ジエチルアミノ安息香酸エチル、4
−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4
−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、4−
メチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸−2−ジメ
チルアミノエチル等のアミン類を使用することができ
る。またエオシン、チオシン等の染料も増感剤として好
適に用いることができる。
【0036】本発明の構成成分(c)で示される光重合
開始剤の添加量は、液状感光性樹脂の貯蔵安定性、所望
の光硬化速度、硬化物物性を考慮して、エチレン性不飽
和基を有するプレポリマー100質量部に対して0.0
1〜10質量部の範囲で用いる。本発明の構成成分
(d)で示す光重合反応に関与しない化合物とは、液状
感光性樹脂組成物を露光して起こる光ラジカル反応の素
反応の一つであるラジカル生長反応に関与しないという
ことであり、より具体的にはラジカルに対して活性を示
すエチレン性二重結合や、アミノ基、チオール基、フェ
ノール性水酸基等を化学構造として有しない化合物を示
すものである。
【0037】さらに本発明の構成成分(d)では、構成
成分(a)、(b)で示すエチレン性不飽和基を有する
プレポリマーとエチレン性不飽和モノマーの混合物に対
して相溶性があり、また室温領域の温度で安定的に液状
感光性樹脂組成物の系内に存在することが好ましいこと
から、上記定義に基づく光重合反応に関与しない化合物
のうち、本発明の構成成分(d)は、融点5℃以下、沸
点150℃以上の物理定数を有することを特徴とした化
合物である必要がある。
【0038】融点が5℃を越える光重合反応に関与しな
い化合物を混合した液状感光性樹脂では、特に寒冷地の
長期保管において、製版されたフレキソ印刷版内部で該
化合物が結晶化しフレキソ印刷版の硬度を増大させ、ま
た反発弾性を低下させる可能性があり、安定的な印刷品
質を得るためフレキソ印刷版としては適当でない。また
沸点150℃未満の光重合反応に関与しない化合物を混
合した液状感光性樹脂組成物では、これを開放系で長期
間保存した場合、組成物系内から該化合物が揮発するこ
とによって、液状感光性樹脂の粘度が変化し製版の繰り
返し再現性が得られない可能性があり、また製版後のフ
レキソ印刷版についても所望の硬度、反発弾性を示さな
い可能性があるため適当でない。
【0039】液状感光性樹脂の製版システムは、印刷画
像として不要となる未硬化部分を現像前に回収すること
を特徴としたシステムであり、この未硬化樹脂の回収工
程は完全な開放系である。さらに再利用する樹脂量を増
大させるために回収機の中には熱風加熱により樹脂粘度
を下げる機構を装備したシステムもあるため、光重合反
応に関与しない化合物の揮発性については十分留意する
必要がある。該光重合反応に関与しない化合物の液状感
光性樹脂組成物への含有量は、エチレン性不飽和基を有
するプレポリマー100質量部に対して1〜50質量部
であることが好ましい。1質量部未満では、実質的に反
発弾性向上の効果が得られず、また50質量部を超える
含有量では使用する化合物によって光硬化後のフレキソ
印刷版からブリードアウトする恐れがあるため適当でな
い。
【0040】該光重合反応に関与しない化合物は、液状
感光性樹脂組成物として所定量が含まれていることが必
要であり、その混合方法については何ら制約されるとこ
ろでは無い。例えばプレポリマー、モノマー、光重合開
始剤を混合する際に同時に混合しても良く、またプレポ
リマー合成から樹脂組成の混合までをワンポットで行う
ような製造プロセスの場合、プレポリマー合成原料の一
部として予め系内に含有させておいても良い。
【0041】本発明の構成成分(d)の化学構造として
は、アジピン酸誘導体、アゼライン酸誘導体、安息香酸
誘導体、カプリン酸誘導体、クエン酸誘導体、エーテル
誘導体、エポキシ誘導体、ホルマール誘導体、グリセリ
ン誘導体、グリコ−ル誘導体、グリコール酸誘導体、イ
ソラク酸誘導体、イソフタル酸誘導体、ラウリン酸誘導
体、ミリスチン酸誘導体、ナフタリン誘導体、パルミチ
ン酸誘導体、ペラルゴニン酸誘導体、リン酸誘導体、フ
タル酸誘導体、セバシン酸誘導体、ステアリン酸誘導
体、スチレン誘導体、コハク酸誘導体、酒石酸誘導体等
が使用可能であり、具体的例示としては、アジピン酸ジ
エチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ−2−
エチルヘキシル、アジピン酸ジメトキシエチル、アジピ
ン酸ジブトキシエチル、アジピン酸ビスブチルトリグリ
コール、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、ポリ
(1,3−ブタンジオールアジペート)、クエン酸トリ
エチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブ
チル、ジベンジルエーテル、フマル酸ジブチル、フマル
酸ジ−2−エチルヘキシル、グリセリントリアセテー
ト、グリセリントリプロピオネート、エチレングリコー
ルジブチレート、トリエチレングリコールジアセテー
ト、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリ
ルブチルグリコレート、ラウリン酸メチル、ラウリン酸
ブチル、ミリスチン酸ブチル、マレイン酸ジブチル、オ
レイン酸ジブチル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2
−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、フタル酸ジブ
チル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ブチ
ルベンジル、フタル酸−2−エチルヘキシルベンジル、
フタル酸ジブトキシエチル、テトラヒドロフタル酸ジ−
2−エチルヘキシルセバシン酸ジブチル、エチレングリ
コールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテー
ト、ジエチレングリコールジ安息香酸エステル、トリス
−2−エチルヘキシルトリメリテート、メチルアセチル
シリレートを挙げることができる。
【0042】なかでも液状感光性樹脂として要求される
基本性能に大きな変化を与えずに反発弾性の向上に効果
的である化合物として、式(1)〜(5)の構造を挙げ
ることができる。 R2O(R1O)x2 式(1) (但し、R1はエチレン、プロピレン及びブチレンから
なる群より選択された単一種の重合体又は異なる種類の
基を含むランダム及びブロック共重合体であり、x=1
〜30であり、R2は水素、炭素数1〜11の一価脂肪
族飽和炭化水素基、フェニル基、ベンジル基、アセチル
基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バ
レリル基、イソバレリル基、ベンゾイル基、ラウロイル
基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基
からなる群より選ばれ、同一でもよく異なっていてもよ
い基を表す) R3COOR4 式(2) (但し、R3は炭素数1〜17の酸素を含有した構造も
含む一価脂肪族炭化水素基、R4はフェニル基、ベンジ
ル基、炭素数1〜20の酸素を含有した構造も含む一価
脂肪族飽和炭化水素基からなる群より選択された構造を
表す) R6OCOR5COOR6 式(3) (但し、R5は炭素数1〜8の二価飽和炭化水素基又は
フェニレン基、R6はフェニル基、ベンジル基、炭素数
1〜20の酸素を含有した構造も含む一価脂肪族飽和炭
化水素基からなる群より選ばれ、同一でもよく異なって
いてもよい基表す) (R7OCOCH22C(OR8)COOR7 式(4) (但し、R7はフェニル基、ベンジル基、炭素数1〜2
0の酸素を含有した構造も含む一価脂肪族飽和炭化水素
基からなる群より選ばれ、同一でもよく異なっていても
よい基を表し、R8は水素、アセチル基、プロピオニル
基、ブチリル基からなる群より選択された構造を表す) R9OCH2CH(OR9)CH2OR9 式(5) (但し、R9は水素、アセチル基、プロピオニル基、ブ
チリル基、イソブチリル基、バレリル基、ベンゾイル
基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、
ステアロイル基からなる群より選ばれ、同一でもよく異
なっていてもよい基を表す) 成分(d)自体の揮発性がより小さい点から、より好ま
しくは、式(3)に示す化学構造の内、R6が下記式
(6)に示す構造であり −(R10O)y11 式(6) (但し、R10はエチレン、プロピレン及びブチレンから
なる群より選択された構造を表し、y=1〜10、R11
は水素、フェニル基、ベンジル基、炭素数1〜11の一
価脂肪族飽和炭化水素基からなる群より選択された構造
を表す) 具体的には、アジピン酸ジメトキシエチル、アジピン酸
ジブトキシエチル、アジピン酸ビスブチルトリグリコー
ルが最も好適に用いられる。
【0043】また、先に示した構成成分(d)として使
用可能な化学構造に類似の化合物としては、オレイン酸
誘導体等の動植物油系の天然油脂酸類から誘導されるエ
ステル化物については、化学構造中に不飽和結合を有し
ているものの、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エ
ステルを主とする液状感光性樹脂の光重合反応において
その反応性が低いため、これら化合物を構成成分(d)
として用いることもできる。
【0044】これら本発明の構成成分(d)で示す化合
物は、前述の如くフレキソ印刷版の反発弾性を向上せし
めるだけでなく、液状感光性樹脂組成物の粘度を低下さ
せる効果があり、構成成分(a)のエチレン性不飽和基
を有するプレポリマーの種々のものが選択できる。すな
わち比較的高分子量のものや分子間凝集力が大きいもの
でも液状感光性樹脂の適正粘度範囲に収めて組成化でき
るため、フレキソ印刷版の機械的物性値も高いものが得
られる。
【0045】また本発明の構成成分(d)は、前述の如
く光重合反応に関与しないため、現像工程において一部
抽出されるが、この抽出は版面において容積比表面積の
大きな網点や細線などのレリーフでその抽出量が多く、
細線や網点のレリーフ高さがやや低くなるため、印刷時
の自動ムラ取り効果もある。本発明のフレキソ印刷用液
状感光性樹脂組成物には、必要に応じて熱重合禁止剤、
紫外線吸収剤、光安定剤、染料、顔料、滑剤、無機充填
剤等を含むこともできる。本発明の液状感光性樹脂組成
物は露光工程、現像工程、後露光工程、乾燥工程を順次
行うことによって段ボール用フレキソ印刷版として製造
される。
【0046】以下に一般的に行われている露光、現像、
後露光、乾燥の4つの工程について説明する。液状感光
性樹脂の露光工程は、液状樹脂を一定厚みに整える成型
工程が併せて行われる。この様な液状感光性樹脂の成型
・露光工程に用いられる装置を製版機と呼ぶ。
【0047】液状感光性樹脂を用いた凸版印刷用の刷版
の成型・露光工程は、(1)紫外線透過性のガラス板上
にネガフィルムを置き、薄い保護フィルムでカバーした
後、その上に液状感光性樹脂を流し、これが一定の版厚
になるようスペーサーを介して支持体となるベースフィ
ルムを貼りあわせ、さらにその上から紫外線透過性のガ
ラス版で押さえつけることによる成型工程、(2)紫外
線蛍光灯を光源とする活性光線(300nm以上に波長
分布を有する)を下部ガラス側からネガフィルムを介し
て照射し画像形成を行うレリーフ形成露光工程、(3)
上部ガラス側から支持体を介して下部と同様の活性光線
を短時間照射することにより、版の支持体側全面に均一
な薄い硬化樹脂層すなわち床部形成層(バック析出層)
を析出させるバック露光工程、から成っている。
【0048】フレキソ印刷に用いるような刷版の厚みが
4mm以上の場合には、印刷時の印圧に対するレリーフ
の強度を補うために土台となるシェルフ層を形成するの
が好ましく、この場合、レリーフ露光前に上部ガラス側
から専用のネガフィルムを用いたマスキング露光を行う
ことが好ましい。
【0049】次に現像工程について説明する。写真法に
よるレリーフ形成を目的とした感光性樹脂を用いた凸版
印刷版の製造方法には、必要レリーフ画像以外の部分を
除く作業(現像)として現像工程が必要となる。一般的
なネガ型光反応システムでは、露光前つまり未反応の樹
脂を溶解あるいは膨潤させる性能をもつ液体を現像液と
して使う。光照射された感光性樹脂は、硬化反応(高分
子化、ゲル化)することにより現像液に対する溶解性あ
るいは膨潤性がなくなる、つまり耐現像液性が与えられ
レリーフとして版面に形成される。
【0050】液状感光性樹脂の現像液としては界面活性
剤水溶液を用いるのが一般的であり、その界面活性剤あ
るいは液組成については使用する樹脂の性質に合わせて
最適なものが選択される。現像方法としては現像液中に
露光した感光性樹脂版を浸漬する方法、現像液をスプレ
ーノズルから露光した感光性樹脂版面上に吹き付け、未
硬化樹脂を溶解除去する方法、あるいは浸漬・スプレー
により膨潤した未硬化樹脂をブラシで掻き取る方法など
が挙げられる。
【0051】次に後露光工程について説明する。液状感
光樹脂製版工程の後露光工程は、機械的強度の促進、表
面粘着性除去を主目的とした現像後樹脂硬化物への活性
光照射であり、レリーフ露光に用いる300nm以上の
波長領域に分布を有する活性光源(例えば高圧水銀灯、
超高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセ
ノンランプ等)と200〜300nmの波長領域に分布
を有する活性光源(例えば低圧水銀灯、殺菌灯、重水素
ランプ等)を併用することが好ましい。
【0052】後露光工程は、空気中の酸素による重合反
応阻害防止を目的とした水中露光方式で行っても良い
し、また空気中、すなわち酸素阻害への対策を行わない
方法(空中露光方式)で露光しても良い。液状感光性樹
脂の場合、より効果的な後露光方法として水中後露光方
式を用いることが好ましい。乾燥工程は、現像工程や水
中後露光工程などで感光性樹脂版表面に付着した水分を
乾燥するために行うものであり、専用の収納式熱風乾燥
機を用いることが好ましい。以上の4工程の具体例は、
一般的に行われている方法の一例に過ぎず、本発明に用
いる4工程はその作業で求められる版に対する処理を満
足するものであればよい。
【0053】本発明の液状感光性樹脂組成物により得ら
れたフレキソ印刷版は、温度20℃、湿度70%におい
てショアA硬度が15〜50度、反発弾性が35%以上
であることが好ましく、該フレキソ印刷版が段ボール印
刷用途の場合は、同条件でショアA硬度が20〜40
度、反発弾性が45%以上であることがより好ましい。
ショアA硬度が15度未満の印刷版では印圧に対するレ
リーフのひずみが大きく印刷画像が太くなる傾向が大き
く、文字の判読が不可能となる場合がある。またショア
A硬度が50度を越えるとインクが十分に転写されない
可能性がある。中でも段ボール印刷、特に紙質が悪く、
厚く、波状中芯の間隔が広い段ボールに印刷を行う場合
は、インクを十分に転写させるためには温度20℃、湿
度70%におけるショアA硬度が40度以下であること
が好ましく、また適正硬度に調整された印刷版でも温度
20℃、湿度70%における反発弾性が35%未満で
は、平網画像において段ボール波状中芯の間隔で印刷画
像に濃淡が表れる現象、すなわち当該業界に於いて段
目、フルートマークあるいはウオッシュボードと呼ばれ
る現象の度合いが大きくなる傾向がある。
【0054】次に、実施例により本発明の具体例を詳細
に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定
されるものではない。液状感光性樹脂組成物において
は、粘度、重合温度、さらにはフレキソ印刷版を作製し
た後の硬度、反発弾性を測定した。以下に各物性測定条
件の詳細を述べる。 1)粘度測定方法 作製した液状感光性樹脂組成物を温度20℃、湿度70
%の恒温恒湿室内に一日放置し、同室内においてB形粘
度計形式B8H(株式会社東京計器製)を用いて粘度測
定を実施した。
【0055】2)重合発熱量測定方法 作製した液状感光性樹脂組成物15mgに測定温度25
℃で紫外線蛍光灯を光源とした露光(照度:1mW/c
2)により光反応させた時の発熱量(mW)を示差走査
熱量計(DSC−25、メトラー社製)法を用いて測定
した。露光による発熱は、露光時間50秒前後をピーク
に減衰することから、露光時間500秒まで測定を行
い、得られた露光時間vs熱量曲線の積分値を求め重合発
熱量(J/g)とした。
【0056】3)フレキソ印刷版の製版方法 作製した液状感光性樹脂組成物を用いて、以下に示す露
光成型工程、現像工程、後露光工程、乾燥工程を順次行
うことによりフレキソ印刷版を得た。 露光成型工程;液状感光性樹脂組成物をALF−213
E型製版機(商標・旭化成(株)製)により露光成型し
て7mm版を作製した。露光量はレリーフ深度2mm、
シェルフ層5mm、バック析出層1mm、また65li
ne/inch、3%ハイライト形成が可能な適正露光
条件とした。
【0057】現像工程;該感光性樹脂組成物を乳化し得
るAPR(登録商標)ウオッシュアウト剤タイプW−8
(主剤:アニオン系界面活性剤使用、商標・旭化成
(株)製):2%、消泡剤SH−4(シリコーン混和
物、商標・旭化成(株)製):0.3%を含む水溶液を
現像液として、AL−400W型現像機(ドラム回転ス
プレー式、商標・旭化成(株)製、ドラム回転数:20
回転/分、スプレー圧:15N/cm2)を用いて露光
工程まで終了した7mm版を液温40℃、現像時間10
分で現像し、水道水で現像液による泡が落ちる程度に洗
浄した。
【0058】後露光工程;紫外線蛍光灯、殺菌灯の双方
を装備したAL−200UP型後露光機(商標・旭化成
(株)製)を水中後露光方式で用い、それぞれの光源か
ら照射される露光量が液状感光性樹脂硬化物表面で1,
000〜3,000mJ/cm2となる露光時間で露光
を行った。 乾燥工程;ALF−DRYER(商標・旭化成(株)
製)で版表面の水分が無くなるまで約30分間乾燥を行
った。
【0059】4)硬度測定方法 作製した7mmフレキソ印刷版を温度20℃、湿度70
%の恒温恒湿室内に一日放置し、フレキソ印刷版ベタ画
像印刷面のショアA硬度を測定した。測定は、同室内に
設置されたJIS定圧荷重器GS−710(株式会社テ
クロック社製、ジュロメーターGS−719G AST
M:D2240A、JIS:K6253A、ISO:7
619A)を用い、荷重は質量1kgとした。測定開始
後15秒後の値を求めた。
【0060】5)反発弾性測定方法 作製した7mmフレキソ印刷版を温度20℃、湿度70
%の恒温恒湿室内で一日放置し、フレキソ印刷版ベタ画
像印刷面の反発弾性を落球法により測定した。落球法に
よる測定は、印刷面上方30cmの高さから直径8mm
の鉄球を版上に自然落下させ、この鉄球が跳ね返る高さ
Scmを測定し、計算式(1)より反発弾性を求めるも
のである。 反発弾性(%)=100×(S/30) 計算式(1)
【0061】(製造例1)不飽和ポリウレタンプレポリ
マーAの製造 1,000gのポリテトラメチレングリコール(水酸基
価:95KOHmg/g)と1,000gのポリオキシ
エチレン(EO)−オキシプロピレン(PO)ブロック
共重合ジオール(水酸基価:44KOHmg/g、EO
含量30wt%、以下PL2500と略して記載する)
との混合物に対して30ppmのジブチル錫ジラウレー
ト(以下BTLと略して記載する)を加え40℃で均一
になるまで攪拌し、次いで240gのトリレンジイソシ
アネート(以下TDIと略して記載する)を加えてさら
に攪拌し、均一となったところで80℃まで昇温の後約
4〜5時間反応させて両末端にイソシアネート基を有す
るプレポリマー前駆体とした。さらに227gのポリ
(オキシプロピレン)グリコールモノメタアクリレート
(平均分子量380、以下PPMAと略して記載する)
と194gのヒドキシエチルメタアクリレート(以下H
EMAと略して記載する)を加えて約2時間反応させた
後、サンプルを一部取り出してIR分光測定器によりイ
ソシアネート基消失を確認し不飽和ポリウレタンプレポ
リマーAを得た。
【0062】不飽和ポリウレタンプレポリマーAの合成
では、プレポリマー前駆体の末端をメタアクリル修飾す
るため混合したPPMAとHEMAとを化学量論量以上
加えているため、組成中の不飽和ポリウレタンプレポリ
マー含有量は87wt%程度と計算された。GPC測定
により、プレポリマー成分に由来する高分子量体を分割
し、ポリスチレン換算による数平均分子量を求めた結
果、16,500であった。
【0063】(製造例2)不飽和ポリウレタンプレポリ
マーBの製造 900gのポリ(プロピレングリコールアジペート)ジ
オール(水酸基価:44KOHmg/g)と1,100
gのPL2500との混合物に対して30ppmのBT
Lを加え40℃で均一になるまで攪拌し、次いで15
5.5gのTDIを加えてさらに攪拌し、均一となった
ところで80℃まで昇温の後約4〜5時間反応させて両
末端にイソシアネート基を有するプレポリマー前駆体と
した。さらに218gのPPMAと173gのHEMA
を加えて約2時間反応させた後、サンプルを一部取り出
してIR分光測定器によりイソシアネート基消失を確認
し不飽和ポリウレタンプレポリマーBを得た。
【0064】不飽和ポリウレタンプレポリマーB中の不
飽和ポリウレタンプレポリマー含有量は87wt%程度
と計算され、GPCにより求めたプレポリマー成分の数
平均分子量は20,000であった。
【0065】(製造例3)不飽和ポリウレタンプレポリ
マーCの製造 1,000gのポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジ
オールアジペート)ジオール(水酸基価:37KOHm
g/g)と1,000gのPL2500との混合物に対
して45ppmのBTLを加え40℃で均一になるまで
攪拌し、次いで148.5gのTDIを加えてさらに攪
拌し、均一となったところで80℃まで昇温の後約4〜
5時間反応させて両末端にイソシアネート基を有するプ
レポリマー前駆体とした。さらに436.0gのPPM
Aを加えて約2時間反応させた後、サンプルを一部取り
出してIR分光測定器によりイソシアネート基消失を確
認し、不飽和ポリウレタンプレポリマーCを得た。
【0066】不飽和ポリウレタンプレポリマーC中の不
飽和ポリウレタンプレポリマー含有量は87wt%程度
と計算され、GPCにより求めたプレポリマー成分の数
平均分子量は17,000であった。
【0067】(製造例4)不飽和ポリウレタンプレポリ
マーDの製造 900gのポリ(プロピレングリコールアジペート)ジ
オール(水酸基価:44KOHmg/g)と1,100
gのPL2500との混合物にジエチレングリコールジ
−n−ブチルエーテル344gを加えて合成する以外は
製造例2と同様の方法により、不飽和ポリウレタンプレ
ポリマーDを得た。
【0068】不飽和ポリウレタンプレポリマーDの合成
では、プレポリマー前駆体の末端をメタアクリル修飾す
るため混合したPPMAとHEMAとを化学量論量以上
加えていることと、ウレタン反応に関与しないジエチレ
ングリコールジ−n−ブチルエーテルを加えていること
により、組成中の不飽和ポリウレタンプレポリマー含有
量は76.6wt%程度、またジエチレングリコールジ
−n−ブチルエーテル含有量は11.9wt%と計算さ
れた。GPC測定により求めたプレポリマー成分の数平
均分子量は19,600であった。
【0069】(製造例5)不飽和ポリウレタンプレポリ
マーEの製造 1,000gのポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジ
オールアジペート)ジオール(水酸基価:37KOHm
g/g)と1,000gのPL2500との混合物に対
して55ppmのBTLを加え40℃で均一になるまで
攪拌し、次いで143.5gのTDIを加えてさらに攪
拌し、均一となったところで80℃まで昇温の後約4〜
5時間反応させて両末端にイソシアネート基を有するプ
レポリマー前駆体とした。さらに410.7gのPPM
Aを加えて約2時間反応させた後、サンプルを一部取り
出してIR分光測定器によりイソシアネート基消失を確
認し、不飽和ポリウレタンプレポリマーEを得た。不飽
和ポリウレタンプレポリマーE中の不飽和ポリウレタン
プレポリマー含有量は87wt%程度と計算され、GP
Cにより求めたプレポリマー成分の数平均分子量は2
1,500であった。
【0070】得られた不飽和ポリウレタンプレポリマー
A〜Eの各々に対して、表1に示すエチレン性不飽和モ
ノマー、光重合開始剤、光重合安定剤、さらに光重合反
応に関与しない化合物を混合することにより液状感光性
樹脂組成物を作製し、前述した物性測定を行った。
【0071】
【実施例1〜10、比較例1〜11】液状感光性樹脂組
成の一覧を表1に、その物性測定結果の一覧を、実施例
1〜実施例10については表2に、また比較例1〜比較
例11については表3に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】以下に実施例と比較例が示す本願のフレキ
ソ印刷版用液状感光性樹脂組成物の効果を簡単に説明す
る。実施例1は比較例1の組成に、また実施例8は比較
例7の組成にDEGDBEを添加した組成であるが、そ
れぞれの比較例に対して実施例では、比較例の樹脂粘度
の半減、重合発熱量の低下、反発弾性の約10%向上が
確認できた。比較例2では実施例1と同様の反発弾性を
アクリレートモノマーであるDEEHEA含有量の増大
で実現したものであるが、その重合発熱量は約50J/
gも増大しており、実施例1から製版されたフレキソ印
刷版の版厚精度が5/100mmであったのに対して、
比較例2から得られたそれは23/100mmであっ
た。
【0076】実施例2〜7は、プレポリマーのセグメン
トとしては反発弾性を向上させる効果の少ないポリエス
テル成分を含有する不飽和ポリウレタンプレポリマーを
使用した比較例3の組成に、各種(d)成分化合物を添
加することにより、反発弾性35%以上を実現し、重合
発熱量の減少を確認した事例である。比較例4〜6は、
比較例3の組成について、DEEHEA含有量の増大に
より反発弾性の向上を計った組成、または(b)成分で
あるエチレン性不飽和モノマーの増大により樹脂粘度の
低下を計った組成であるが、それらの重合発熱は何れも
200J/g近傍かそれ以上を示した。
【0077】比較例8は、比較例7の組成にEAAを加
えた組成であり、その印刷版の反発弾性向上は比較例7
に対して7%増大することが確認された。しかし、露光
成型後に回収した未硬化樹脂の粘度を同様にDEGDB
Eを添加した実施例8の組成のそれと比較した結果、実
施例8の組成が38Pa・sであったのに対して、比較
例8の組成では55Pa・sであった。これは光重合反
応に関与しない化合物EAAの揮発による樹脂粘度増大
であり、EAAのような揮発性化合物の添加は作業環境
上問題であるばかりか、樹脂粘度が版厚精度に重要な影
響を与える印刷版用途液状感光性樹脂として好ましくな
い。
【0078】比較例9は、比較例7の組成に印刷版用液
状感光性樹脂で滑剤としてその使用が一般的なMLSA
を加えた組成であり、比較例7に対して樹脂粘度が大き
く増大し、その樹脂を20℃の恒温室に一ヶ月保存した
時、樹脂中でMLSAが結晶化析出した。 MLSAが
溶解した状態で製版して得られた印刷版は比較例7と同
様の反発弾性を示し、20℃の恒温室に一ヶ月保存した
時、その版表面からは結晶化したMLSAが析出した。
【0079】比較例10では、比較例7の組成に印刷版
用液状感光性樹脂で紫外線吸収剤としてその使用例のあ
るHBAを添加した組成であり、その含有量が2質量部
と成っているのは、樹脂に対する溶解性が悪く、他の実
験同様に10質量部の混合が不可能であったためであ
る。比較例10では比較例7に対して樹脂粘度増大、硬
度増大、反発弾性低下を示した。
【0080】実施例9は、DEGDBEの組成への導入
方法について、添加剤として混合した実施例3に対し
て、プレポリマー合成原料として製造した事例であり、
実施例3と実施例9の物性は概ね等しいことから、
(d)成分の導入方法に依って本願の効果に変化が無い
ことが示された。
【0081】実施例10、比較例11は、実施例8、比
較例7で使用した不飽和ウレタンプレポリマーの分子量
を増大させた時の樹脂の物性バランスを評価した結果で
あり、実施例10では分子量の大きなプレポリマーを使
用したにも関わらず、樹脂粘度は好ましい低粘度領域で
あり、また重合発熱、硬度、反発弾性は同一ウレタン原
料を使用した実施例8の値に近い性能が得られた。
【0082】
【参考例1】実施例2、実施例4、比較例8により得ら
れたフレキソ印刷版を60℃の恒温槽で三ヶ月間加熱放
置する実験を実施し、乾燥機から取り出した印刷版を2
0℃恒温室にて一昼夜放置した後、平らな実験台の上に
印刷版を置いて、レリーフの反り具合により成分(d)
の揮発性の度合いを確認する評価を行った。その結果、
比較例8では版の反りが非常に大きかったのに対して、
実施例2、実施例4の版では加熱前に対して変化は少な
く、特に実施例4の版では全く変化が無かった。
【0083】
【参考例2】印刷版硬度、反発弾性がほとんど等しい実
施例10と比較例4により得られたフレキソ印刷版を段
ボール印刷(B段シート、2.8mm厚)に使用し、各
々の印刷条件から版厚精度の違いを調べ、またそれの印
刷品質への影響を評価した。 印刷機:JEM枚葉式段ボールシート印刷機(商標・日
本電子精機社製、型式JFP−1C−1200K) アニロックス線数:250LPI インク粘度:9sec/Zhan cup#4(20
℃) 印刷速度:65シート/min
【0084】段ボール印刷機は、表面にセルを施したア
ニロックスロールにインクを充填し、アニロックスロー
ルからフレキソ印刷版面に、またフレキソ印刷版面から
段ボールシート表面に逐次圧接転写することによる印刷
システムであり、使用する印刷版、段ボールシート、印
刷スピード、インク粘度等が規格化した時、その印刷品
質は、その圧接条件(以下、アニ圧、印圧と表す)によ
り制御されたフレキソ印刷版面のインク受理転移量によ
って決定する。その圧接条件は、接触材料表面間の距離
として表現されることが一般的であり、ここでは接触開
始点からの加圧方向への数値(mm)をアニ圧、印圧と
して示す。アニ圧、印圧の適正条件は、印刷物全体に均
質なインク量が転写される条件であるが、インク量を増
大させるために各々の圧力を増大するとレリーフ変形に
より印刷画像が拡大することとなるため、各々の圧力は
低い方が良好な印刷物が得られる。
【0085】印刷テストの結果、実施例10の印刷版で
はアニ圧0.05mm、印圧0.2mmであったのに対
して、比較例4の印刷版ではアニ圧0.15mm、印圧
0.6mmを必要とした。得られた印刷物を比較すると
比較例4は文字の太り、白抜きのつぶれが目立ち、網点
画像の段目も多く、全体的に暗い印刷物であった。実施
例10にはそのような問題は見られなかった。
【0086】
【発明の効果】本発明によるフレキソ印刷版用液状感光
性樹脂では、製版露光による重合発熱量を抑制し樹脂の
低粘度化が実現可能であることから、製版された印刷版
の版厚精度が良好であり、またその印刷版がフレキソ印
刷に求められる低硬度領域の設定において高い反発弾性
を示すことから、段ボール印刷において段目が抑制され
た良好な印刷物が得られ、さらに印刷中に版面に付着す
る紙粉(紙の切り屑)の離脱性が良好であることから版
拭き作業を減じる効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA12 AA13 AB02 AC01 AD01 BC13 BC42 BC66 BC92 BC93 CA00 CC20 FA17 2H096 AA02 BA06 EA02 GA08 4J011 PA26 PA30 PB23 PB40 PC02 4J027 AG03 AG04 AG23 AG24 BA04 BA05 BA06 BA07 BA08 BA09 BA10 BA12 BA13 BA14 BA18 BA19 BA20 BA21 BA22 BA26 BA28 BA29 CA29 CA31 CC05 CD10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の(a)、(b)、(c)、(d)
    成分を含有するフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成
    物。 (a)数平均分子量が5,000〜70,000であ
    り、エチレン性不飽和基を有するプレポリマー:100
    質量部 (b)エチレン性不飽和モノマー:10〜150質量部 (c)光重合開始剤:0.01〜10質量部 (d)融点5℃以下、沸点150℃以上である光重合反
    応に関与しない化合物:1〜50質量部
  2. 【請求項2】 (d)成分が下記式(1)、(2)、
    (3)、(4)、(5)に示す構造の何れか、もしくは
    これらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載
    のフレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物。 R2O(R1O)x2 式(1) (但し、R1はエチレン、プロピレン及びブチレンから
    なる群より選択された単一種の重合体又は異なる種類の
    基を含むランダムまたはブロック共重合体であり、x=
    1〜30であり、R2は水素、炭素数1〜11の一価脂
    肪族飽和炭化水素基、フェニル基、ベンジル基、アセチ
    ル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、
    バレリル基、イソバレリル基、ベンゾイル基、ラウロイ
    ル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル
    基からなる群より選ばれ、同一でもよく異なっていても
    よい基を表す) R3COOR4 式(2) (但し、R3は炭素数1〜17の酸素を含有した構造も
    含む一価脂肪族炭化水素基、R4はフェニル基、ベンジ
    ル基、炭素数1〜20の酸素を含有した構造も含む一価
    脂肪族飽和炭化水素基からなる群より選択された構造を
    表す) R6OCOR5COOR6 式(3) (但し、R5は炭素数1〜8の二価飽和炭化水素基又は
    フェニレン基、R6はフェニル基、ベンジル基、炭素数
    1〜20の酸素を含有した構造も含む一価脂肪族飽和炭
    化水素基からなる群より選ばれ、同一でもよく異なって
    いてもよい基を表す) (R7OCOCH22C(OR8)COOR7 式(4) (但し、R7はフェニル基、ベンジル基、炭素数1〜2
    0の酸素を含有した構造も含む一価脂肪族飽和炭化水素
    基からなる群より選ばれ、同一でもよく異なっていても
    よい基を表し、R8は水素、アセチル基、プロピオニル
    基、ブチリル基からなる群より選択された構造を表す) R9OCH2CH(OR9)CH2OR9 式(5) (但し、R9は水素、アセチル基、プロピオニル基、ブ
    チリル基、イソブチリル基、バレリル基、ベンゾイル
    基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、
    ステアロイル基からなる群より選ばれ、同一でもよく異
    なっていてもよい基を表す)
  3. 【請求項3】 (d)成分が式(3)に示す化学構造の
    内、R6が下記式(6)に示す構造であることを特徴と
    する請求項1に記載のフレキソ印刷版用液状感光性樹脂
    組成物。 −(R10O)y11 式(6) (但し、R10はエチレン、プロピレン及びブチレンから
    なる群より選択された構造を表し、y=1〜10、R11
    は水素、フェニル基、ベンジル基、炭素数1〜11の一
    価脂肪族飽和炭化水素基からなる群より選択された構造
    を表す)
  4. 【請求項4】 (a)成分がエチレン性不飽和基を有す
    る不飽和ポリエーテルポリウレタンプレポリマー、ある
    いはポリエーテルポリエステルポリウレタンプレポリマ
    ーであることを特徴とする請求項1に記載のフレキソ印
    刷版用液状感光性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 (b)成分の一部がアクリル酸のエステ
    ル化化合物であり、その含有量が(a)、(b)、
    (c)、(d)の総和に対して、25質量%以下の範囲
    で使用されることを特徴とする請求項1に記載のフレキ
    ソ印刷版用液状感光性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 20℃における樹脂粘度が10〜500
    Pa・sであり、重合発熱量が100〜185J/gで
    あることを特徴とする請求項1に記載のフレキソ印刷版
    用液状感光性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 温度20℃、湿度70%におけるショア
    A硬度が15〜50度、落球式反発弾性が35〜85%
    であることを特徴とする、請求項1に記載のフレキソ印
    刷版用液状感光性樹脂組成物を用いて製版されたフレキ
    ソ印刷版。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005154679A (ja) * 2003-11-28 2005-06-16 Konica Minolta Medical & Graphic Inc 活性光線硬化型組成物及び活性光線硬化型インク、それを用いた画像形成方法及びインクジェット記録装置
KR101058574B1 (ko) 2008-05-20 2011-08-23 후앙 힐손 자유 밀봉 및 정량할 수 있는 액상감광수지주머니를 이용한인쇄판의 제조방법 및 그 제조설비
JP2013156361A (ja) * 2012-01-27 2013-08-15 Asahi Kasei E-Materials Corp フレキソ印刷版用液状感光性樹脂組成物
KR101566941B1 (ko) * 2015-04-09 2015-11-06 (주)베이스코리아 재사용을 위한 회수율을 높인 인쇄판용 자외선 경화형 액상 수지 조성물

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