JP2013155394A - 蒸着重合膜の形成方法並びに積層構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い比誘電率と高い耐電圧とを兼備する蒸着重合膜を、基材の表面上に効率的に形成し得る技術を提供する。
【解決手段】複数種類の原料モノマーを加熱して、蒸気化させた複数種類の原料モノマーの蒸気を、基材16が収容された、真空状態の成膜室22内に導入して、表面温度が25〜60℃の範囲内に維持された基材16の表面上で重合させることにより、基材16の表面上に、蒸着重合膜を1.0×10-6〜1.0×10-3μm/min・mm2 の範囲内の成膜レートで形成するようにした。
【選択図】図2

Description

本発明は、蒸着重合膜の形成方法と積層構造体に係り、特に、基材の表面に、蒸着重合膜を真空蒸着重合法によって積層形成する方法の改良と、基材の表面に、蒸着重合膜が真空蒸着重合法によって積層形成されてなる積層構造体の新規な構造とに関するものである。
従来から、各種の材質からなる基材の表面上に薄膜を形成する手法の一つとして、真空蒸着重合法によって、蒸着重合膜を形成する方法が知られている。この蒸着重合膜の形成方法は、例えば、特開2001−261867号公報(特許文献1)等に明らかにされるように、複数種類の原料モノマーを加熱して、蒸気化させると共に、それら複数種類の原料モノマーの蒸気を真空状態の成膜室内に導入し、成膜室内に配置された基材の表面上に付着させて、それら複数種類の原料モノマー蒸気を基材の表面上で重合させることにより、基材の表面上に、蒸着重合膜を形成するものである。
そして、かくの如き蒸着重合膜の形成方法を用いて基材表面に蒸着重合膜が積層形成されてなる積層構造体が、例えば、酸素ガスや水蒸気等のガス透過を阻止するガスバリアフィルムや、有機エレクトロルミネッセンス素子等として、一般に用いられている。また、最近では、金属化フィルムに蒸着重合膜が積層形成されてなる積層構造体をコンデンサ素子として使用することも、検討されてきている。
ところで、かかる積層構造体をコンデンサ素子として使用する場合には、コンデンサ素子の小型・大容量化(高性能化)の実現のために、積層構造体に形成される蒸着重合膜の比誘電率が十分に高くされていることが望ましい。
そこで、従来では、蒸着重合膜の形成に使用される原料モノマーの組成比を変化させる等して、蒸着重合膜の比誘電率の向上が図られていた。しかしながら、そうした場合、蒸着重合膜の耐電圧が低下してしまうことが避けられなかった。
また、蒸着重合膜の比誘電率を高めるために、成膜室内に配置された電極と基材との間に電界を印加しつつ、基材表面上で複数種類の原料モノマー蒸気を重合させて、分極化された蒸着重合膜を形成する手法も採られている。ところが、このような手法を採用する場合には、通常、電極が、成膜室内において、基材表面に対して所定間隔を隔てて対向配置される。そのため、成膜室内に導入された複数種類の原料モノマーの蒸気が、電極表面上に付着し易く、また、複数種類の原料モノマー蒸気が電極表面上に付着すると、それらが、電極表面上で重合して、電極表面上に蒸着重合膜が積層形成される事態が生ずる。従って、蒸着重合中の電場分極処理によって蒸着重合膜の比誘電率を高める手法を採用する場合には、電極表面上に付着した原料モノマーや蒸着重合膜を定期的に除去するための余分な作業を行わなければならず、それが極めて面倒であったのであり、しかも、蒸着重合膜の形成操作の効率性を著しく低下させる恐れさえもあったのである。
特開2001−261867号公報
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、高い比誘電率と高い耐電圧とを兼備する蒸着重合膜を、基材の表面上に効率的に形成し得る方法を提供することにある。また、本発明は、基材表面に蒸着重合膜が形成された積層構造体において、蒸着重合膜の比誘電率と耐電圧とが共に十分に高められ得るように改良された構造を提供することをも、その解決課題とするものである。
そして、本発明者は、それらの課題の解決のために、種々研究を重ねた結果、成膜室内に収容される基板の温度を比較的に低い、所定の範囲内の温度に維持した状態で、基材表面への蒸着重合膜の成膜レートを通常よりも十分に遅くして、蒸着重合膜を基材表面に、十分にゆっくりと形成するといった、従来とは異なる特別な条件で、真空蒸着重合法を実施することにより、基材表面に形成される蒸着重合膜の比誘電率と耐電圧とを共に有利に高め得ることを見出したのである。なお、本明細書で言う成膜レートとは、単位時間当たり及び単位面積当たりに基材表面に形成される蒸着重合膜の厚さを言う。以下、同一の意味において使用する。
また、そのような特別な条件で真空蒸着重合法を実施する蒸着重合膜の形成手法によって基材表面に形成された蒸着重合膜がN−H結合とC=O結合を含む重合体からなる場合には、従来通りの条件で真空蒸着重合法を実施して形成される蒸着重合膜に比して、赤外分光法における高感度反射法、即ち高感度反射赤外分光法を用いて測定されるN−H結合のピーク強度に対するC=O結合のピーク強度の比が十分に高くなり、それ故、そのような高いピーク強度比を有する蒸着重合膜が、高い比誘電率と高い耐電圧とを有するようになることをも、また、本発明者が見出したのである。
すなわち、本発明は、上記の如き知見に基づいて、本発明者が更に鋭意研究を重ねた結果、完成されたものであって、その要旨とするところは、複数種類の原料モノマーを加熱して、蒸気化させると共に、それら複数種類の原料モノマーの蒸気を真空状態の成膜室内に導入し、該成膜室内に配置された基材の表面上に付着させて、該表面上で重合させることにより、該基材の表面上に、蒸着重合膜を形成する方法であって、前記基材の表面温度を25〜60℃の範囲内に維持しつつ、該基材の表面に、前記蒸着重合膜を1.0×10-6〜1.0×10-3μm/min・mm2 の範囲内の成膜レートで形成することを特徴とする蒸着重合膜の形成方法にある。
なお、本発明の有利な態様の一つによれば、前記蒸着重合膜が、非加熱条件下で重合可能な重合体にて構成される。また、そのような重合体の中でも、ポリユリア膜にて、蒸着重合膜が構成されていることが望ましい。
そして、本発明は、基材の表面上に、N−H結合とC=O結合を含む重合体からなる蒸着重合膜が真空蒸着重合法によって積層形成されてなる積層構造体であって、高感度反射赤外分光法を用いて測定される前記蒸着重合膜のN−H結合のピーク強度に対する前記C=O結合のピーク強度の比が1.1〜2.0の範囲内の値であることを特徴とする積層構造体をも、また、その要旨とするものである。
なお、N−H結合とC=O結合を含む重合体としては、かかる重合体の原料モノマーがC=O結合を含まないものであることが望ましい。何故なら、そのような重合体にて構成される蒸着重合膜では、高感度反射赤外分光法を用いた蒸着重合膜のC=O結合のピーク強度測定に、原料モノマー中のC=O結合が影響を与えることがないからである。
また、本発明の好ましい態様の一つによれば、前記蒸着重合膜が、非加熱条件下で重合可能な重合体にて構成される。また、そのような重合体の中でも、ポリユリア膜にて、蒸着重合膜が構成されていることが望ましい。
すなわち、本発明に従う蒸着重合膜の形成方法では、表面温度が25〜60℃の範囲内に維持された基材表面に対して、原料モノマーの蒸気が付着されるようになっていることにより、形成される蒸着重合膜の比誘電率の向上が効果的に図られ得る。また、そのような基材表面に対する蒸着重合膜の成膜レートが1.0×10-6〜1.0×10-3μm/min・mm2 の範囲内の値とされていることによって、蒸着重合膜の耐電圧の向上が有利に図られ得る。
しかも、本発明手法においては、蒸着重合中に電場分極処理を実施する従来手法とは異なって、蒸着重合膜の形成時に、成膜室内に電極を配置する必要がない。それ故、蒸着重合膜の形成後に、成膜室内に配置された電極表面上に付着した原料モノマーや蒸着重合膜を除去するための作業を行う必要が有利に解消される。
従って、かくの如き本発明に従う蒸着重合膜の形成方法によれば、高い比誘電率と高い耐電圧とを有する蒸着重合膜を、基材の表面上に極めて効率的に形成することができるのである。
そして、本発明に従う積層構造体にあっては、基材表面に積層形成された蒸着重合膜のN−H結合のピーク強度に対するC=O結合のピーク強度の比が1.1〜2.0の範囲内の特別に高い値とされていることによって、蒸着重合膜の比誘電率と耐電圧とが、共に有利に高められ得るのである。
本発明に従う構造を有する積層構造体の一実施形態を示す縦断面説明図である。 本発明手法に従って、基材表面に蒸着重合膜を形成するのに用いられる蒸着重合膜形成装置の一例を示す縦断面説明図である。
以下、本発明を更に具体的に説明するために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明に従う構造を有する積層構造体の一実施形態として、フィルムコンデンサを構成するフィルムコンデンサ素子に使用される積層構造体が、その縦断面形態において示されている。かかる図1から明らかなように、本実施形態の積層構造体10は、樹脂フィルム12の一方の面に金属蒸着膜14aが、他方の面に金属蒸着膜14bが、それぞれ積層されてなる、基材としての金属化フィルム16を有している。そして、樹脂フィルム12の一方の面側に積層された金属蒸着膜14aの樹脂フィルム12側とは反対側の面上には、蒸着重合膜18が、積層形成されている。
より具体的には、樹脂フィルム12は、ここでは、ポリプロピレン製の二軸延伸フィルムからなり、2〜10μm程度の薄い厚さを有している。この樹脂フィルム12は、積層構造体10を用いて作製されるフィルムコンデンサの誘電体を構成するものである。なお、樹脂フィルム12には、従来のフィルムコンデンサの誘電体を構成する樹脂フィルムが、何れも使用可能である。例えば、ポリエチレンテレフタレート製の二軸延伸フィルムや、二軸延伸ポリフェニレンサルファイド系樹脂フィルム等の二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム、或いは二軸延伸ポリエチレンナフタレート系樹脂フィルム等の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムや、ポリフッ化ビニリデン樹脂フィルム等が、樹脂フィルム12として、適宜に用いられ得るのである。また、積層構造体10の用途によっては、一軸延伸樹脂フィルムや無延伸樹脂フィルム等も、樹脂フィルム12として、勿論、使用可能である。
金属蒸着膜14a,14bは、ここでは、アルミニウムからなっている。この金属蒸着膜14a,14bは、積層構造体10を用いて作製されるフィルムコンデンサの内部電極を構成するものであって、公知の手法に従って、樹脂フィルム12の両面に積層形成される。即ち、金属蒸着膜14a,14bは、フィルムコンデンサの内部電極を形成する公知の金属材料(例えば、アルミニウムや亜鉛等)を蒸着材として用いて、PVDやCVDの範疇に属する、従来から公知の真空蒸着法を実施することにより、樹脂フィルム12の両面上に積層形成されるのである。このような金属蒸着膜14a,14bの膜抵抗値は1〜50Ω/cm2 程度とされ、また、その膜厚は、膜抵抗値等によって適宜に決定される。なお、積層構造体10の用途によっては、金属蒸着膜14a,14bの形成材料として、アルミニウムや亜鉛以外の金属材料も、勿論使用可能である。
蒸着重合膜18は、積層構造体10を用いて作製されるフィルムコンデンサの誘電体を、樹脂フィルム12と共に構成するものであり、真空蒸着重合法を実施することによって、金属蒸着膜14a上に積層形成されるものである。このような蒸着重合膜18は、膜厚が極めて薄く且つ均一にコントロールされるだけでなく、膜中の不純物が十分に少なくされる。このため、かかる蒸着重合膜18を備えた積層構造体10を用いることによって、フィルムコンデンサの小型・大容量化の実現が可能となる。
なお、蒸着重合膜18の膜厚は、特に限定されるものではないものの、0.001〜10μm程度とされていることが望ましい。何故なら、蒸着重合膜18を0.001μm未満の膜厚で形成することは容易ではない。そのため、蒸着重合膜18の膜厚が、現実的には、0.001μm以上とされるからである。また、蒸着重合膜18の厚さが10μmを超える場合には、誘電体として蒸着重合膜18を有するフィルムコンデンサの小型・大容量化を促進することが困難となるからである。
かかる蒸着重合膜18は、真空蒸着重合法によって成膜可能な樹脂膜であれば、その種類が特に限定されるものではない。即ち、蒸着重合膜18を構成する樹脂膜としては、ポリユリア膜や、ポリアミド膜、ポリイミド膜、ポリアミドイミド膜、ポリエステル膜、ポリアゾメチン膜、ポリウレタン膜等が挙げられる。そして、その中でも、非加熱条件下で重合可能な樹脂膜、つまり、原料モノマーの重合に際して加熱処理が不要な樹脂膜、例えば、ポリユリア膜やポリアミド膜、ポリイミド膜、ポリウレタン膜等が、好適に採用される。それによって、複数種類の原料モノマーを重合させる際の加熱工程や加熱設備が有利に省略され、以て、蒸着重合膜18の形成工程の効率化や形成設備の簡素化が効果的に図られ得る。また、積層構造体10をフィルムコンデンサ素子として使用する場合には、上記に例示した樹脂膜の中でも、樹脂フィルム12よりも高い誘電率を有する樹脂膜が、更に好適に採用される。そのような樹脂膜にて蒸着重合膜18を形成することによって、フィルムコンデンサの静電容量を効果的に増大させることが可能となる。
そして、本実施形態では、蒸着重合膜18が、ポリユリア膜にて構成されている。よく知られているように、ポリユリア樹脂は、原料モノマー(ジイソシアネートとジアミン)の重合に際して、加熱処理が不要であり、しかも、水やアルコール等の脱離が全くない重付加重合反応において、形成される。それ故、そのようなポリユリア膜にて蒸着重合膜18を構成することにより、原料モノマーの重合時に加熱処理を実施するための設備が不要となって、低コスト化が実現され得ると共に、加熱処理時の熱によって、金属化フィルム16を構成する樹脂フィルム12が変形する、所謂熱負けが惹起されることが有利に回避され得る。また、重合反応によって脱離した水やアルコール等を、重合反応が進行する真空槽(真空チャンバ)中から除去する必要がなく、そのための設備も不要となり、これによっても、低コスト化が実現可能となる。勿論、積層構造体10がフィルムコンデンサ用以外に使用される場合には、蒸着重合膜18の形成材料や厚さ等は、用途等によって、適宜に変更可能である。
そして、本実施形態の積層構造体10においては、特に、蒸着重合膜18を構成するポリユリア膜の分子の配向方向が、主に、基材としての金属化フィルム16の表面(金属蒸着層14aの表面)と平行な方向とされている。つまり、ポリユリア膜の分子の大部分が、平行配向とされている。これに対して、ポリユリア膜からなる蒸着重合膜が基材表面に積層形成された従来の一般的な積層構造体では、ポリユリア膜の分子の配向方向が、主に、基材表面に対して垂直な方向とされている。つまり、ポリユリア膜の分子の大部分が、垂直配向とされている。このように、本実施形態の積層構造体10は、蒸着重合膜18を構成するポリユリア膜の分子の大部分が平行配向とされているところに、従来品とは明らかに異なる構成の差異が認められるのであり、また、それによって、以下の如き優れた特徴を発揮するのである。
すなわち、ポリユリア膜は、分子中にN−H結合とC=O結合とを含んでいるが、そのようなポリユリア膜では、分子中でのN−H結合が多く且つC=O結合が少ないときに、分子の配向が垂直配向となり、その逆に、分子中でのN−H結合が少なく且つC=O結合が多いときには、分子の配向が平行配向となることが、本発明者の研究によって確認されている。そして、本実施形態の積層構造体10においては、高感度反射赤外分光法を利用した高感度反射測定装置を用いて測定されるポリユリア膜(蒸着重合膜18)のN−H結合のピーク強度に対するC=O結合のピーク強度の比が1.1〜2.0の範囲内の値となっている。これは、分子が垂直配向とされたポリユリア膜のN−H結合のピーク強度に対するC=O結合のピーク強度の比よりも明らかに大きな値である。
従って、ここでは、高感度反射赤外分光法を用いて測定されるポリユリア膜のN−H結合のピーク強度に対するC=O結合のピーク強度の比が、上記の如き特別な値とされていることによって、ポリユリア膜の分子の平行配向が、有利に実現されているのである。そして、そのように、蒸着重合膜18を構成するポリユリア膜の分子が平行配向とされていることによって、双極子が、金属化フィルム16(金属蒸着膜14a)の表面に対して垂直に配向し易くなっており、その結果として、蒸着重合膜18の比誘電率が効果的に高められているのである。
要するに、本実施形態の積層構造体10にあっては、ポリユリア膜からなる蒸着重合膜18が、高感度反射赤外分光法を用いて測定されるポリユリア膜のN−H結合のピーク強度に対するC=O結合のピーク強度の比が1.1以上とされていることによって、蒸着重合膜18の比誘電率が、従来品の蒸着重合膜よりも有利に且つ十分に高くされているのである。しかしながら、かかるピーク強度比を2.0を超えた値とすることは、現在の技術では容易ではない。従って、ポリユリア膜からなる蒸着重合膜18は、比誘電率を確実に高めるために、高感度反射赤外分光法を用いて測定されるポリユリア膜のN−H結合のピーク強度に対するC=O結合のピーク強度の比が1.1〜2.0の範囲内の値とされていなければならないのである。
ところで、そのような蒸着重合膜18を金属フィルム16上に積層形成して、積層構造体10を得る際には、例えば、図2に示される如き構造を有する蒸着重合膜形成装置20が用いられる。
図2から明らかなように、蒸着重合膜形成装置20は、所定大きさの真空チャンバ22を有している。この真空チャンバ22は、主室24と副室26とを更に有している。主室24は、第一周壁部28にて囲繞されている。副室26は、第一周壁部28の一部と第二周壁部30とにて囲繞されている。そして、それら主室24と副室26とは、第二周壁部30と共に副室26を囲繞する第一周壁部28部分に形成された窓部32を通じて、互いに連通している。
主室24内の中心部には、成膜用ローラとしてのキャンローラ34が回転可能に設置されている。また、主室24には、二つの隔壁36,36が、第一周壁部28の内面からキャンローラ34に向かって突設されている。そうして、キャンローラ34の周りを取り囲む主室24の内側空間が、それら二つの隔壁36,36によって二つに仕切られている。これによって、主室24内のキャンローラ34の周りに、第一真空室38と第二真空室40とが、画成されている。
主室24の第二真空室40と副室26とには、排気パイプ42,42が、それぞれ接続されている。また、各排気パイプ42,42上には、真空ポンプ44,44が、各々設けられている。かくして、主室24内と副室26内とが、二つの真空ポンプ44,44の作動により、それぞれ真空状態とされるようになっている。ここでは、それら二つの真空ポンプ44,44の作動が、互いに独立して制御されるようになっている。それによって、主室24の第二真空室40内の真空度を、副室26内及びそれに連通する第一真空室38内の真空度よりも低く設定することが可能となっている。これらのことから明らかなように、本実施形態では、排気パイプ42,42と真空ポンプ44,44とにて、排気手段が構成されている。
副室26内には、巻出し用ローラ46と巻取り用ローラ48とが、互いに所定距離を隔てた位置に、キャンローラ34の回転軸と平行な回転軸回りに回転可能に設置されている。巻出し用ローラ46は、前記した樹脂フィルム12の両面に金属蒸着膜14a,14bがそれぞれ積層形成されてなる金属化フィルム16が巻回されたフィルムロール50が取り付けられ、自身の回転に伴って、フィルムロール50を巻出し得るようになっている。巻取り用ローラ48は、巻出し用ローラ46によってフィルムロール50から巻き出された金属化フィルム16の先端部分が取り外し可能に取り付けられるようになっている。また、巻取り用ローラ48は、例えば、図示しない電動モータ等によって回転駆動するようになっている。
さらに、主室24内と副室26内における巻出し用ローラ46とキャンローラ34との間、及びキャンローラ34と巻取り用ローラ48との間には、補助ローラ52が、それぞれ複数個ずつ設置されている。それら各補助ローラ52は、巻出し用ローラ46や巻取りローラ48、キャンローラ34の回転軸と平行な回転軸回りに回転可能とされている。
キャンローラ34は、鉄等の金属製の円筒体からなっており、主室24内において、第一真空室38と第二真空室40とに跨って配置されている。即ち、キャンローラ34は、その外周面が第一真空室38内と第二真空室40内とにそれぞれ露呈されて、主室24内に配置されているのである。
また、かかるキャンローラ34は、公知の構造により電気的に絶縁状態とされて、図示しない電動モータ等により、一方向(図2に矢印:Aにて示される方向)に回転駆動するようになっている。そして、ここでは、キャンローラ34の外周面の表面粗さ(Rz)が、好適には0.6〜2.0μm程度の範囲内の値となるように調えてある。これによって、キャンローラ34に巻き掛けられた金属化フィルム16において、キャンローラ34の回転に伴う走行時に皺が生ずることが可及的に防止されるようになっている。
また、キャンローラ34には、その外周面を冷却するための冷却装置54が装着されている。この冷却装置54は、公知の構造を備えた熱交換器56と、冷却水等の冷媒が内部を流通する冷媒供給管路58及び冷媒排出管路60と、キャンローラ34に内蔵された、図示しない冷媒流通管路とを有している。冷媒供給管路58と冷媒排出管路60は、それぞれの一端部において、熱交換器56に接続されている一方、それぞれの他端部において、キャンローラ34に接続されている。キャンローラ34に内蔵の冷媒流通管路は、図2に明示されてはいないものの、キャンローラ34内の外周部に、略全周に亘って周方向に延びるように配置されて、周方向の一端部において、冷媒供給管路58に接続されている一方、周方向の他端部において、冷媒排出管路60に接続されている。
そして、かかる冷却装置54にあっては、熱交換器56から冷媒供給管路58に送り出した冷媒をキャンローラ34に内蔵された冷媒流通管路内に流通させることにより、キャンローラ34の外周面を冷却するようになっている。また、キャンローラ34に内蔵の冷媒流通管路を流通した冷媒は、冷媒排出管路60を通じて、熱交換器56に戻されて、そこで、所定の温度に冷やされた後、再び冷媒供給管路58を通じて、キャンローラ34に内蔵の冷媒流通管路内に送り出されるようになっている。
さらに、冷却装置54は、冷媒供給管路58内に送り出される冷媒の温度を予め設定された温度にコントロールするための第一コントローラ62を有し、これが、熱交換器56に対して電気的に接続されている。また、図示されてはいないものの、熱交換器56内には、冷媒排出管路60を通じて熱交換器56内に送り込まれる冷媒の温度や、熱交換器56から冷媒供給管路58に送り出される冷媒の温度を検出する温度センサが設けられている。この温度センサは、例えば、熱電対等の公知の構造を有するものにて構成される。
かくして、かかる冷却装置54にあっては、熱交換器56から冷媒供給管路58内に送り出される冷媒の温度が予め設定された温度となるように、熱交換器56の作動が、熱交換器56内の温度センサからの検出信号に基づいて制御されるようになっている。そして、そのような熱交換器56の作動制御による冷媒の温度コントロールにより、キャンローラ34の外周面が予め設定された温度にまで冷却されるように、キャンローラ34の外周面の温度制御も行い得るようになっているのである。
また、かかるキャンローラ34には、金属化フィルム16が巻き掛けられるようになっている。即ち、巻出し用ローラ46に取り付けられたフィルムロール50から巻き出された金属化フィルム16が、複数の補助ローラ52に巻き掛けられた状態で、窓部32を通じて、副室26内から主室24内に送り出されて、キャンローラ34に巻き掛けられるようになっているのである。そして、キャンローラ34に巻き掛けられた金属化フィルム16の先端側が、複数の補助ローラ52に巻き掛けられつつ、主室24内から、窓部32を通じて、再び副室26内に戻されて、巻取り用ローラ48に取り付けられるようになっている。
これによって、フィルムロール50から巻き出された金属化フィルム16が、その両面にそれぞれ形成された二つの金属蒸着膜14a,14bのうちの何れか一方(ここでは、金属蒸着膜14b)をキャンローラ34の外周面に接触させつつ、キャンローラ34と巻取り用ローラ48の回転駆動に伴って、キャンローラ34の回転方向(図2に矢印:Aにて示される方向)に走行して、巻取り用ローラ48に移送されるようになっている。また、キャンローラ34に巻き掛けられた金属化フィルム16は、冷却装置54にて冷却されたキャンローラ34の外周面との接触によって、かかるキャンローラ34との接触部分の全体が、キャンローラ34の外周面の温度と略同じ温度にまで冷却されるようになっている。そして、後述するように、キャンローラ34の周面上で蒸着重合膜16が積層形成されて、積層構造体10とされた後、巻取り用ローラ48にて巻き取られるようになっている。なお、ここでは、キャンローラ34の回転駆動による金属化フィルム16の走行速度と、巻取り用ローラ48の回転駆動による積層構造体10の巻取り速度とが同一速度となるように設定されている。そして、巻出し用及び巻き取り用ローラ46,48とキャンローラ34と補助ローラ52が、何れも、回転駆動時の振れが実質的にゼロとなるように構成されている。
また、かかる蒸着重合膜形成装置20には、モノマー蒸気供給装置64が設置されている。このモノマー蒸気供給装置64は、真空チャンバ22内に配置された吹出口部材66と、真空チャンバ22外に配置された第一蒸発源68a及び第二蒸発源68bとを有している。
吹出口部材66は、全体として、軸方向一方側に開口する片側有底の筒状を呈し、その開口部が、吹出口70とされている。そして、かかる吹出口部材66が、吹出口70をキャンローラ34の外周面に向かって開口させた状態で、第一周壁部28等に固定されている。
また、そのような吹出口部材66においては、キャンローラ34の外周面の周方向に対向位置する(図2の左右方向に対向位置する)二つの筒壁部の下端面が、平坦面とされている一方、それら二つの側壁部に隣り合って位置する(図2の紙面に垂直な方向に対向位置する)別の二つの側壁部の下端面が、キャンローラ34の外周面よりも僅かに大きな径を有する円弧面とされている。これによって、吹出口部材66とキャンローラ34の外周面との間の距離が、吹出口部材66の円弧面とされた下端面の周方向の全周に亘って略一定の大きさとされている。即ち、吹出口70とキャンローラ34の外周面との間に形成される隙間の大きさが、吹出口70の全周に亘って略一定の大きさとされている。
なお、ここでは、そのような吹出口70とキャンローラ34の外周面との間の隙間の大きさ、つまり、吹出口部材66の円弧状下端面とキャンローラ34の外周面との間の距離が、好ましくは5mm以内とされている。そうして、吹出口70とのキャンローラ34の外周面との間の隙間が十分に狭くされている。また、それにより、後述するように、吹出口70から吹き出された原料モノマーが、かかる隙間から漏れ出すことが可及的に防止され得るようになっている。
一方、第一蒸発源68aは、蒸着重合膜16を形成する2種類の原料モノマーのうちの一方を液体状態で収容する第一モノマーポット72aと、この第一モノマーポット72a内に収容される原料モノマーを加熱して、蒸発させる第一ヒータ74aとを有している。第二蒸発源68bは、2種類の原料モノマーのうちの他方を液体状態で収容する第二モノマーポット72bと、この第二モノマーポット72b内に収容される原料モノマーを加熱して、蒸発させる第二ヒータ74bとを有している。
本実施形態では、蒸着重合膜18がポリユリア膜にて構成されるため、第一モノマーポット72a内には、ジイソシアネートの所定量が収容され、第二モノマーポット72b内には、ジアミンの所定量が収容される。また、第一及び第二ヒータ74a,74bは電熱ヒータにて構成されている。なお、蒸着重合膜18が、ポリユリア膜以外の樹脂膜にて構成される場合には、第一及び第二モノマーポット72a,72b内には、蒸着重合膜18を構成する樹脂膜の種類に応じて、ジイソシアネートやジアミン以外の原料モノマーが、それぞれ収容される。また、第一及び第二ヒータ74a,74bを、電熱ヒータ以外の公知のヒータ、例えば、赤外線式のヒータや電子照射式のヒータにて構成することも、勿論可能である。更に、蒸着重合膜18を構成する樹脂膜が3種類以上の原料モノマーの重合によって形成される場合、或いは蒸着重合膜18がポリユリア膜にて構成されて、原料モノマーとしてのジイソシアネートとジアミンのうちの少なくとも何れか一方が複数種類のものにて構成される場合等では、3個以上の蒸発源が用いられることとなる。
また、第一蒸発源68aの第一モノマーポット72aには、第一モノマー蒸気供給パイプ76aが、その一端部において連通状態で接続されている。一方、第二蒸発源68bの第二モノマーポット72bにも、第二モノマー蒸気供給パイプ76bが、その一端部において連通状態で接続されている。また、それら第一及び第二モノマー蒸気供給パイプ76a,76b上には、第一及び第二開閉バルブ78a,78bが、それぞれ設けられている。そして、それら第一モノマー蒸気供給パイプ76aと第二モノマー蒸気供給パイプ76bとが、それぞれの他端部において、吹出口部材66内に開口する状態で、吹出口部材66の底壁部に取り付けられている。これによって、第一及び第二蒸発源68a,68bと吹出口部材66とが、第一及び第二モノマーポット72a,72bの内部空間と吹出口部材66の内部空間とを互いに連通させた状態で、相互に連結されている。
かくして、モノマー蒸気供給装置64が、第一蒸発源68aの第一モノマーポット72a内と第二蒸発源68bの第二モノマーポット72b内とにそれぞれ収容されたジイソシアネートとジアミンとを、第一及び第二ヒータ74a,74bにて加熱し、蒸発させて、モノマー蒸気とした状態で、第一及び第二原料モノマー蒸気供給パイプ76a,76bを通じて、吹出口部材66内に供給するようになっている。そして、吹出口部材66内に供給されたジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気とを、吹出口部材66の内部空間にて混合した後、吹出口70からキャンローラ34の外周面に向かって吹き出すようになっている。また、それによって、後述するように、キャンローラ34の外周面に巻き掛けられた金属フィルム16の金属蒸着膜14a上に、ジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気とを付着させて、かかる金属蒸着膜14a上で、それらジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気とを重合させるように構成されているのである。
このようなモノマー蒸気供給装置64では、第一及び第二蒸発源68a,68bから吹出口部材66内へのジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の単位時間当たりの供給量が、第一及び第二モノマー蒸気供給パイプ76a,76b上にそれぞれ設けられた第一及び第二開閉バルブ78a,78bの開閉量に応じて調節されるようになっている。そして、本実施形態では、特に、真空チャンバ22外に設置された加熱制御装置80による第一及び第二ヒータ74a,74bの加熱制御によっても、第一及び第二蒸発源68a,68bから吹出口部材66内へのジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の単位時間当たりの供給量が調節されるようになっているのである。
すなわち、加熱制御装置80は、真空チャンバ22外に設置された第二コントローラ82と、第一蒸発源68aと第二蒸発源68bとにそれぞれ設置されて、第一ヒータ74aと第二ヒータ74bのそれぞれの加熱温度を検出する第一及び第二ヒータ温度検出センサ84a、84bと、第一及び第二原料モノマー蒸気供給パイプ76a,76b上にそれぞれ設置されて、それら第一及び第二原料モノマー蒸気供給パイプ76a,76b内を流通するジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の蒸気圧を各々検出する第一及び第二蒸気圧検出センサ86a,86bとを有している。なお、第一及び第二ヒータ温度検出センサ84a,84bは、例えば、熱電対等の公知の構造を有するものにて構成される。また、第一及び第二蒸気圧検出センサ86a,86bは、例えば、半導体圧力センサ等の公知の構造を有するものにて構成される。
加熱制御装置80の第二コントローラ82には、例えば、第一及び第二原料モノマー蒸気供給パイプ76a,76b内を流通するジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の蒸気圧を予め設定された値とする際の第一及び第二ヒータ74a,74bの加熱温度の目標値に関するデータが、内蔵されている。そして、かかる加熱制御装置80は、第一及び第二ヒータ温度検出センサ84a,84bにて検出される第一及び第二ヒータ74a,74bの加熱温度が予め設定された温度となるように、第一及び第二ヒータ74a,74bへの図示しない電源から供給される電力を、第二コントローラ82によって制御し得るようになっている。
かくして、加熱制御装置80にあっては、第一及び第二ヒータ74a,74bの加熱温度が、第一及び第二原料モノマー蒸気供給パイプ76a,76b内のジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の蒸気圧の設定値に応じた目標温度となるように、第一及び第二ヒータ74a,74bの加熱温度を、第二コントローラ82によって制御し、また、そのような第一及び第二ヒータ74a,74bの加熱温度制御によって、第一及び第二蒸気圧検出センサ86a,86bにて検出される、第一及び第二原料モノマー蒸気供給パイプ76a,76b内のジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の蒸気圧を、予め設定された値にコントロールするようになっている。そして、かかる蒸気圧制御により、第一及び第二蒸発源68a,68bから吹出口部材66内へのジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の単位時間当たりの供給量を自動的に調節し得るように構成されているのである。
また、加熱制御装置80においては、第一及び第二原料モノマー蒸気供給パイプ76a,76b内のジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の蒸気圧が、より確実に目標の値となるように、それらの原料モノマー蒸気の蒸気圧と第一及び第二ヒータ74a,74bの加熱温度とが、第一及び第二蒸気圧検出センサ86a,86bと第一及び第二ヒータ温度検出センサ84a,84bによる検出値に基づいて、第二コントローラ82によってフィードバック制御されている。更に、ここでは、第一ヒータ74aと第二ヒータ74bとが、加熱制御装置80により、それぞれ独立して制御可能とされ、以て、第一及び第二原料モノマー蒸気供給パイプ76a,76b内のジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の蒸気圧も、それぞれ独立して制御可能とされている。
なお、図示されてはいないものの、吹出口部材66には、それを加熱するヒータが取り付けられており、このヒータにて、吹出口部材66が、第一及び第二原料モノマー蒸気供給パイプ76a,76bから供給されるジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の温度よりも高い温度(例えば、172℃程度)に加熱されている。これにより、吹出口部材66に対するジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の付着が防止されるようになっている。
ところで、上記の如き構造とされた蒸着重合膜形成装置20を用いて、金属化フィルム16上に蒸着重合膜18を形成して、図1に示されるような積層構造体10を製造する際には、例えば、以下の手順に従って、その操作が進められる。
すなわち、先ず、図2に示されるように、フィルムロール50を巻出し用ローラ46に外挿して、セットする。次に、フィルムロール50から金属化フィルム16を巻き出して、キャンローラ34に巻き掛けた後、金属化フィルム16の先端部を巻取り用ローラ48に取り付ける。このとき、金属化フィルム16は、金属蒸着膜14bがキャンローラ34の外周面と接触する一方、金属蒸着膜14aが第一及び第二真空室38,40の内部空間に露呈した状態で、キャンローラ34に巻き掛けられる。また、金属化フィルム16は、巻出し用ローラ46とキャンローラ34との間や、キャンローラ34と巻取り用ローラ48との間において、それらの間にそれぞれ設置された複数の補助ローラ52に巻き掛けられる。これにより、巻出し用ローラ46とキャンローラ34との間で、金属化フィルム16のテンションが高められることとなる。
なお、フィルムロール50を構成する金属化フィルム16としては、好ましくは5μm以下の厚さを有するものが用いられる。即ち、ここで用いられる金属化フィルム16は、樹脂フィルム12と、樹脂フィルム12の両面に積層形成された金属蒸着膜14a,14bのそれぞれの厚さの合計が5μm以下の範囲内の値とされているものであることが望ましい。それによって、最終的に得られる積層構造体10の厚さを十分に薄く、具体的には10μm以下程度の薄い厚さと為し得るからである。
一方、そのような金属化フィルム16のキャンローラ34への巻掛け操作と同時に、或いはその操作の前後に、冷却装置54を作動させて、キャンローラ34の外周面を冷却する。これによって、キャンローラ34に巻き掛けられた金属化フィルム16を冷却する。なお、かかる冷却装置54による金属化フィルム16の具体的な冷却操作に関しては、後述することとする。
また、金属化フィルム16のキャンローラ34への巻掛け操作とは別に、モノマー蒸気供給装置64における第一及び第二蒸発源68a,68bの第一及び第二モノマーポット72a,72b内に、ジイソシアネートとジアミンとを、それぞれ、所定量において収容する。ここでは、第一モノマーポット72a内に、ジイソシアネートとして、4,4'-ジイソシアン酸メチレンジフェニル(MDI)が、液体状態で収容される一方、第二モノマーポット72b内に、ジアミンとして、4,4'-ジアミノジフェニルメタン(MDA)が、液体状態で収容される。
なお、第一及び第二モノマーポット72a,72b内には、蒸着重合膜18を構成する重合体の種類等に応じて、各種の原料モノマーが収容される。例えば、蒸着重合膜18がポリユリア膜にて構成される場合にあっても、第一モノマーポット72a内には、上記したMDIに代えて、例えば、 1,3ビス(ジイソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジイソシアン酸イソホロン、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、 1,3ビス(ジイソシアネートメチル)ベンゼン、1,3ビス(1-ジイソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート等が、液体状態で或いは固体状態で収容される。また、第二モノマーポット72b内には、上記したMDAに代えて、例えば、 1,12-ジアミノドデカン、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、イソホロンジアミン、 4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,4-ジアミノシクロヘキサン、m-キシリレンジアミン、N,N-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、テトラヒドロ-2-ピリミジノン、ビス(4-アミノフェニル)スルファイド、ビス(4-アミノフェニル)スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、 4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、 1,4-フェニレンジアミン等が、液体状態で或いは固体状態で収容される。そして、それらのジイソシアネートとジアミンとが適宜に組み合わされて、ポリユリア膜からなる蒸着重合膜18の原料モノマーとして使用されるのである。
また、蒸着重合膜18が、ポリユリア膜以外の前記した各種の樹脂膜のうちの何れかにて構成される場合には、第一モノマーポット72a内や第二モノマーポット72b内に、それらの樹脂膜を形成する原料モノマーが、それぞれ、液体状態で或いは固体状態で収容される。なお、原料モノマーが3種類以上のものからなる場合には、第一及び第二モノマーポット72a,72bに加えて別のモノマーポット内にも、原料モノマーが、液体状態で或いは固体状態で収容されることとなる。
そして、前記した金属化フィルム16のキャンローラ36への巻掛け操作の終了後に、二つの真空ポンプ44,44を作動させて、真空チャンバ22の主室24内と副室26内とを減圧して、真空状態とする。このとき、主室24の第一真空室38内と副室26内の圧力を10-4〜100Pa程度とする。一方、主室24の第二真空室40内の圧力を第一真空室38内や副室28内の圧力よりも低い圧力、例えば10-4〜10Pa程度とする。これにより、後述する真空蒸着重合操作の実施に際して、原料モノマー(ジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気)が、第二真空室40内から第一真空室38に侵入することが有効に阻止されて、原料モノマーや蒸着重合膜18の第一真空室38の内壁面への付着が効果的に防止される。そして、その結果、第一真空室38の内壁面に付着した原料モノマーや蒸着重合膜18の除去作業から有利に開放され得ることとなる。
次に、キャンローラ34を回転させる駆動モータを回転駆動させて、キャンローラ34を図2の矢印:A方向に回転させる。それと同時に、巻取り用ローラ48も回転駆動させる。これにより、フィルムロール50から巻き出される金属化フィルム16を副室26内から主室24内に送り出して、金属化フィルム16を矢印:A方向に走行させる一方、キャンローラ34から送り出された金属化フィルム16の巻取り用ローラ48による巻取りを可能とする。このとき、キャンローラ34から送り出された金属化フィルム16は、複数の補助ローラ52の周面上を走行させられる。
そして、そのようにして金属化フィルム16を走行させる一方で、モノマー蒸気供給装置64のそれぞれの第一蒸発源68aの第一モノマーポット72a内に収容されるジイソシアネートを第一ヒータ74aにて加熱し、蒸発させて、ジイソシアネート蒸気を発生させると共に、第二蒸発源68bの第二モノマーポット72b内に収容されるジアミンを第二ヒータ74bにて加熱し、蒸発させて、ジアミン蒸気を発生させる。
その後、第一蒸発源68aと第二蒸発源68bとにおいて発生したジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気とを、第一及び第二原料モノマー蒸気供給パイプ76a,76bを通じて、吹出口部材66に供給し、更に、それらジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気とを、キャンローラ34の外周面上を走行する金属化フィルム16の金属蒸着膜14aの表面上に向かって、吹出口部材66の吹出口70から吹き出させて、金属蒸着膜14a上に付着させる。そして、金属蒸着膜14a上に付着したジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気とを重合させて、ポリユリア膜からなる蒸着重合膜18を形成するのである。
また、本工程では、第一蒸発源68aと第二蒸発源68bとにおいてジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気とを発生させて、それらを、第一及び第二原料モノマー蒸気供給パイプ76a,76bを通じて、吹出口部材66に供給する際に、第一及び第二モノマーポット72a,72bから第一及び第二原料モノマー蒸気供給パイプ76a,76b内に送り出されるジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の蒸気圧が、それぞれ、予め設定された値となるように、第一ヒータ74aと第二ヒータ74bの加熱温度を加熱制御装置80によって制御して、ジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の吹出口部材66への単位時間当たりの供給量をコントロールする。そして、そのような加熱制御装置80による第一ヒータ74aと第二ヒータ74bの加熱温度制御によって、ジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の吹出口部材66への単位時間当たりの供給量を、従来手法を実施したときのジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の吹出口部材66への単位時間当たりの供給量よりも十分に小さく為すのである。
このような原料モノマー蒸気の吹出口部材66への供給量制御を本工程で実施するのは、以下の理由による。即ち、第一蒸発源68aと第二蒸発源68bとにおいて生ずるジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の吹出口部材66への単位時間当たりの供給量を小さくすれば、吹出口部材66の吹出口70を通じて、金属化フィルム16の金属蒸着膜14a上に吹き出されるジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の単位時間当たりの吹出量を減少させて、金属蒸着膜14aへの蒸着重合膜18の成膜レートを低下させることができる。そして、そのようにして、蒸着重合膜18の成膜レートを低下させることにより、金属蒸着膜14a上でのジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の重合により形成される蒸着重合膜18の耐電圧を効果的に高めることが可能となるからである。
このように、蒸着重合膜18の成膜レートを低下させることで蒸着重合膜18の耐電圧が高められる理由は明確ではないものの、以下の理由によるものと考えられる。つまり、吹出口部材66の吹出口70から金属蒸着膜14a上に吹き出されるジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の単位時間当たりの吹出量の減少により、金属蒸着膜14aへの蒸着重合膜18の成膜レートが低下させられる場合には、吹出口部材66の吹出口70から吹き出されたジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の金属蒸着膜14a上への付着速度、換言すれば、ジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の単位時間当たり及び単位面積当たりの金属蒸着膜14a上への付着量も低下する。そして、そのように、金属蒸着膜14a上へのジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の付着速度が低下すると、つまり、ジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気とが、金属蒸着膜14a上(金属化フィルム16の表面上)にゆっくりと付着すると、ジイソシアネートの分子とジアミンの分子とが、金属蒸着膜14a上に規則的に整然と配列するようになり、それにより、ジイソシアネートとジアミンとの重合によって生成される蒸着重合膜18中のポリユリア分子も、金属蒸着膜14a上に規則的に整然と配列するようになる。その結果、蒸着重合膜18中のポリユリア分子の分子間力が増大し、以て、かかる蒸着重合膜18の耐電圧が上昇するものと考えられる。
従って、本工程では、金属蒸着膜14a上に積層形成される蒸着重合膜18の耐電圧を高めるために、加熱制御装置80による第一ヒータ74aと第二ヒータ74bの加熱温度制御により、ジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の吹出口部材66への単位時間当たりの供給量を小さくして、蒸着重合膜18の成膜レートを十分に小さくしているのである。
そして、かくの如き蒸着重合膜18の耐電圧の上昇効果を十分に且つ有利に得るためには、蒸着重合膜18の成膜レートが1.0×10-6〜1.0×10-3μm/min・mm2 の範囲内の値とされている必要がある。何故なら、かかる成膜レートが1.0×10-3μm/min・mm2 よりも大きい場合には、ジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の金属蒸着膜14a上への単位時間当たり及び単位面積当たりの付着量が過剰となって、ジイソシアネートの分子とジアミンの分子とが、金属蒸着膜14a上に規則的に整然と配列せずに、不規則に並ぶようになり、そのために、ジイソシアネートとジアミンの重合によって生成される蒸着重合膜18中のポリユリア分子の分子間力を高めることができなくなって、蒸着重合膜18の耐電圧を上昇させることが困難となってしまうからである。また、蒸着重合膜18の成膜レートが1.0×10-6μm/min・mm2 よりも小さいと、蒸着重合膜18を必要な膜厚において形成する時間が長くなってしまい、それによって、積層構造体10の生産性が低下する等の問題が惹起されるからである。
なお、蒸着重合膜18の成膜レートを1.0×10-6〜1.0×10-3μm/min・mm2 の範囲内の値とするには、一般に、以下の操作が、それぞれ単独で、或いは少なくとも二つの操作が適宜に組み合わされて、実施される。即ち、第一及び第二ヒータ74a,74bの加熱温度を、加熱制御装置80によって、例えば、40〜150℃程度の範囲内の温度となるように制御する。また、第一蒸発源68aと第二蒸発源68bとにおいて発生させられるジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の蒸気圧(第一及び第二モノマーポット72a,72bから第一及び第二原料モノマー蒸気供給パイプ76a,76b内に送り出されるジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の蒸気圧)を、例えば、0.01Pa以上、3Pa未満の程度の範囲内の値とする。このようなジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の蒸気圧のコントロールは、例えば、第一及び第二モノマー蒸気供給パイプ76a,76b上に設けられた第一及び第二開閉バルブ78a,78bの開作動量を調節したり、或いは第一及び第二蒸発源68a,36bでの原料モノマーの加熱温度を調節したりすることによって行われる。更に、キャンローラ34の回転速度を増大させて、蒸着重合膜18の成膜レートを低下させたり、或いはキャンローラ34の回転速度を減少させて、蒸着重合膜18の成膜レートを上昇させたりする操作を実施する。
そして、上記の如き加熱制御装置80による第一及び第二蒸発源68a,68bの第一及び第二ヒータ74a,74bの加熱制御の下で、金属化フィルム16の金属蒸着膜14a上に蒸着重合膜18を形成する工程は、前記したように、金属化フィルム16が、冷却装置54によって冷却されたキャンローラ34の外周面に巻き掛けられた状態で実施されるが、このとき、キャンローラ34の外周面の温度が、冷却装置54によって、従来とは明らかに異なる温度に制御される。
具体的には、本工程では、金属化フィルム16のうち、少なくとも、蒸着重合膜18の形成面の表面温度、つまり、金属蒸着膜14aの温度が、常に、25〜60℃の範囲内の値に維持されるように、キャンローラ34の外周面の温度を、冷却装置54によって制御するのである。そして、そのように、金属蒸着膜14aの温度を25〜60℃の範囲内の温度に維持した状態で、前記の如き原料モノマー蒸気の吹出口部材66への供給量制御を実施しつつ、金属蒸着膜14a上への蒸着重合膜18の形成工程を実施することによって、蒸着重合膜18の比誘電率の向上が図られ得るのである。
この理由も明確ではないものの、以下の如き理由によるものと考えられる。即ち、吹出口部材66の吹出口70から金属蒸着膜14a上に吹き出されたジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気とが、表面温度が25〜60℃の範囲内の温度に維持された金属蒸着膜14a上に付着すると、ジイソシアネート分子とジアミン分子の大部分が、金属蒸着膜14aの表面に対して平行な方向に配向する。そして、それに伴って、それらジイソシアネート分子とジアミン分子とが重合して形成される蒸着重合膜18中のポリユリア分子も、その大部分が、金属蒸着膜14aの表面に対して平行な方向に配向し、それにより、かかるポリユリア分子中の双極子の大部分が、金属蒸着膜14aの表面に対して垂直な同一方向に配向するようになる。その結果、蒸着重合膜18の比誘電率が有利に高められるものと考えられるのである。
要するに、金属化フィルム16の金属蒸着膜14a上に蒸着重合膜18を積層形成する工程を実施する際には、少なくとも、金属化フィルム16における蒸着重合膜18の形成面たる金属蒸着膜14aの温度を、常に、25〜60℃の範囲内の温度に制御しておく必要があるのである。何故なら、金属蒸着膜14aの温度が25℃を下回る場合には、金属蒸着膜14aの温度が余りにも低いために、吹出口部材66の吹出口70から金属蒸着膜14a上に吹き出されたジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気とが、金属蒸着膜14a上に付着した瞬間に、金属蒸着膜14aに熱エネルギーを奪われて、ジイソシアネート分子とジアミン分子が動けなくなってしまう。そのため、それらジイソシアネート分子とジアミン分子とが、金属蒸着膜14aの表面に対して平行な方向に配向することが困難となり、その結果として、ジイソシアネート分子とジアミン分子の水平配向、更にはそれらの重合体たるポリユリア分子の水平配向による蒸着重合膜18の比誘電率の向上が望めなくなってしまうからである。また、本工程では、ジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の金属蒸着膜14a上への付着速度が十分に遅くされて、蒸着重合膜18の成膜レートが小さくされているところから、金属蒸着膜14aの温度が60℃を超える温度となっていると、吹出口部材66の吹出口70から金属蒸着膜14a上に吹き出されたジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の金属蒸着膜14a上への付着力が著しく低下し、そのために、それらジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気とが、金属蒸着膜14a上に十分に付着しないか、或いは金属蒸着膜14a上から即座に離脱するようになり、その結果、蒸着重合膜18の形成が困難となってしまうからである。
本工程では、金属化フィルム16のうち、少なくとも、金属蒸着膜14aの温度を25〜60℃の範囲内の温度に制御するために、冷却装置54の熱交換器56から冷媒供給管路58内に送り出される冷媒の温度が、25〜60℃の範囲内の温度、或いは熱損失を考慮した上で、かかる範囲内の温度を所定の温度だけ下回る温度となるように、第二コントローラ82によって制御されることとなる。
かくして、本工程で、上記のような蒸着重合膜18の成膜レート制御と金属蒸着膜14aの温度制御とを同時に行うことにより、初めて、蒸着重合膜18において、前記した特徴的構成、即ち、高感度反射赤外分光法を用いて測定される蒸着重合膜18のN−H結合のピーク強度に対するC=O結合のピーク強度の比が1.1〜2.0の範囲内の値となるといった特徴的構成が、実現されるのである。
そして、上記のようにして金属化フィルム16の金属蒸着膜14a上に蒸着重合膜18を積層形成することで、目的とする積層構造体10を得た後、キャンローラ34の外周面から巻取り用ローラ48側に移送し、巻取り用ローラ48にて巻き取る。これによって、図1に示される構造を有する積層構造体10を巻回したフィルムロール88を得るのである。
以上の説明から明らかなように、本実施形態の積層構造体10にあっては、その製造に際して、蒸着重合膜18が、25〜60℃の範囲内の温度に維持された金属蒸着膜14a上に、1.0×10-6〜1.0×10-3μm/min・mm2 の範囲内の成膜レートで形成されるようになっており、それによって、高感度反射赤外分光法を用いて測定される蒸着重合膜18のN−H結合のピーク強度に対するC=O結合のピーク強度の比が1.1〜2.0の範囲内の値とされている。そして、その結果として、蒸着重合膜18の比誘電率と耐電圧とが、極めて効果的に高められ得るのである。
そして、かかる本実施形態の積層構造体10は、その製造に使用される蒸着重合膜形成装置20に対して、一般に装備されるキャンローラ34の冷却装置54やモノマー蒸気供給装置64の加熱制御装置80を巧みに利用することによって、蒸着重合膜18の比誘電率と耐電圧の向上が、極めて効率的に且つ低コストに実現され得ているのである。
また、本実施形態の積層構造体10は、蒸着重合膜形成装置20の真空チャンバ22内に余分な部材等を何等設置することなしに、蒸着重合膜18の比誘電率と耐電圧の向上が有利に実現される。それ故、そのような蒸着重合膜18の比誘電率と耐電圧の向上の実現のために、製造作業中に、真空チャンバ22内に配置された余分な部材等に付着した原料モノマーや蒸着重合膜18を除去するための作業が付加されることもない。その結果、高い比誘電率と高い耐電圧とを有する積層構造体10の生産効率の向上が、より効果的に図られ得るのである。
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
例えば、前記実施形態では、基材としての金属化フィルム16のロールから巻き出された金属化フィルム16の金属蒸着膜14a上に、蒸着重合膜18を連続的に形成していたが、一個の基材、或いは複数の基材のそれぞれの表面に対して、蒸着重合膜を非連続に形成する際にも、本発明は、有利に適用可能である。即ち、幾つかの基材を、成膜室内に、一つずつ収容して、それら各基材の表面に蒸着重合膜を形成する、所謂バッチ方式による基材表面への蒸着重合膜の形成方法にも適用できるのである。
また、前記実施形態では、第一蒸発源68aと第二蒸発源68bの第一及び第二ヒータ74a,74bの加熱温度を制御して、それら第一及び第二蒸発源68a,68bで発生させられるジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気の蒸気圧をコントロールすることによって、蒸着重合膜の成膜レートを、通常よりも小さな1.0×10-6〜1.0×10-3μm/min・mm2 の範囲内の値に調節していた。しかしながら、蒸着重合膜の成膜レートを1.0×10-6〜1.0×10-3μm/min・mm2 の範囲内の値に調節する手法は、何等これに限定されるものではない。例えば、蒸着重合膜18を金属化フィルム16上に従来方式で形成する場合よりも、真空チャンバ22の内圧を高めたり、或いは第一及び第二蒸発源68a,68bの第一及び第二原料モノマー蒸気供給パイプ76a,76b上に設けられる第一及び第二開閉バルブ78a,78bの開放量を小さくしたりして、ジイソシアネート蒸気とジアミン蒸気原料モノマー蒸気の真空チャンバ22内への単位時間当たりの導入量を制限することにより、蒸着重合膜の成膜レートをコントロールする手法も採用可能である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
以下に、本発明に実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
先ず、ポリプロプレンフィルムの一方の面にアルミニウムの金属蒸着膜が積層形成されてなる市販の金属化フィルムのロールの複数を、基材として準備すると共に、図2に示される如き構造を有する蒸着重合膜形成装置とを準備した。また、原料モノマーとして、MDAとMDIとを、それぞれ所定量ずつ準備した。
そして、先に準備された複数の金属化フィルムのロールのうちの一つを、蒸着重合膜形成装置の真空チャンバの副室内に設置された巻出用ローラにセットする一方、準備されたMDIとMDAとを、第一及び第二蒸発源の第一及び第二モノマーポット内に、それぞれ、液体状態で、所定量ずつ収容した。
次に、巻出用ローラにセットされたロールから金属化フィルムを巻き出して、キャンローラに巻き掛け、更に、その先端部を巻取用ローラに取り付けた。その後、真空チャンバ内を真空状態とすると共に、キャンローラの外周面を冷却装置にて、25℃に冷却し、それによって、キャンローラに巻き掛けられた金属化フィルム部分の温度が、常に25℃に維持されるようにした。このときの真空チャンバの内圧を1.0×10-1Pa以下とした。
また、そのような金属化フィルムのセット操作とは別に、第一及び第二蒸発源の第一及び第二ヒータによって、第一及び第二モノマーポット内のMDIとMDAとを加熱し、蒸発させて、MDI蒸気とMDA蒸気とを、それぞれ発生させた。このとき、第一モノマーポット内のMDIを加熱する第一ヒータの加熱温度が135℃に維持されると共に、第二モノマーポット内のMDAを加熱する第二ヒータの加熱温度が145℃に維持されるように、第一ヒータと第二ヒータの加熱温度を加熱制御装置にて、それぞれ制御した。また、MDI蒸気とMDA蒸気のそれぞれの蒸気圧が0.3Paに維持されるように、MDI蒸気とMDA蒸気の供給パイプ上の開閉バルブの開作動量を調節した。
そして、MDI蒸気とMDA蒸気の蒸気圧が所定の値に達した後、第一及び第二原料モノマー蒸気供給パイプ上に第一及び第二開閉バルブを全開にして、MDI蒸気とMDA蒸気とを真空チャンバ内に導入し、それらMDI蒸気とMDA蒸気とを25℃に表面温度が制御された金属化フィルムの表面上(金属蒸着膜上)に付着させて、重合させた。これにより、金属化フィルム上にポリユリア膜からなる蒸着重合膜を積層形成した。この蒸着重合膜の形成操作を、蒸着重合膜の厚さ1.5μmとなるまで継続して、実施した。かくして、目的とする積層構造体を得、これを実施例1とした。なお、この実施例1の積層構造体の作製時における金属化フィルム上への蒸着重合膜の成膜レートは、1.0×10-3μm/min・mm2 であった。この成膜レートは、蒸着重合膜が形成された金属化フィルムの面積と蒸着重合膜の形成開始から形成終了までの計測時間と、市販の膜厚測定装置[製品名:マルチチャンネル分光器USB2000、米国オーシャン・オプティクス(株)製]を用いて測定された蒸着重合膜の厚さとから算出した。実施例1以外の後述する各積層構造体における蒸着重合膜の成膜レートも、同様にして求めた。
また、先に準備された複数の金属化フィルムのうちの四つの金属化フィルムと、蒸着重合膜形成装置と、MDIの所定量と、MDAの所定量とを用い、キャンローラに巻き掛けられる金属化フィルム部分の温度を、キャンローラの外周面の温度を制御する冷却装置により、30℃、40℃、50℃、60℃のうちの何れかの温度に維持されるように為す以外、実施例1の積層構造体を作製する際と同様にして、4種類の積層構造体を得た。それら4種類の積層構造体のうち、蒸着重合膜の形成時に、金属化フィルムの表面温度が30℃に維持されていたものを実施例2、金属化フィルムの表面温度が40℃に維持されていたものを実施例3、金属化フィルムの表面温度が50℃に維持されていたものを実施例4、金属化フィルムの表面温度が60℃に維持されていたものを実施例5とした。それら実施例2〜5の4種類の積層構造体の作製時における金属化フィルム上への蒸着重合膜の成膜レートは、何れも、実施例1の積層構造体と同じ1.0×10-3μm/min・mm2 であった。
さらに、先に準備された複数の金属化フィルムのうちの一つの金属化フィルムと、蒸着重合膜形成装置と、MDIの所定量と、MDAの所定量とを用い、キャンローラに巻き掛けられる金属化フィルム部分の温度を、キャンローラの外周面の温度を制御する冷却装置により、30℃に維持されるように為すと共に、第一ヒータの加熱温度が85℃に維持され、また、第二ヒータの加熱温度が105℃に維持されるように、第一ヒータと第二ヒータの加熱温度を加熱制御装置にてそれぞれ制御する以外、実施例1の積層構造体の作製時と同様にして、金属化フィルム上に蒸着重合膜を積層形成することにより、積層構造体を作製した。かくして得られた積層構造体を、実施例6とした。この実施例6の積層構造体の作製時における金属化フィルム上への蒸着重合膜の成膜レートは、1.0×10-4μm/min・mm2 であった。
更にまた、先に準備された複数の金属化フィルムのうちの一つの金属化フィルムと、蒸着重合膜形成装置と、MDIの所定量と、MDAの所定量とを用い、キャンローラに巻き掛けられる金属化フィルム部分の温度を、キャンローラの外周面の温度を制御する冷却装置により、30℃に維持されるように為すと共に、第一ヒータの加熱温度が75℃に維持され、また、第二ヒータの加熱温度が90℃に維持されるように、第一ヒータと第二ヒータの加熱温度を加熱制御装置にてそれぞれ制御する以外、実施例1の積層構造体の作製時と同様にして、金属化フィルム上に蒸着重合膜を積層形成することにより、積層構造体を作製した。かくして得られた積層構造体を、実施例7とした。この実施例7の積層構造体の作製時における金属化フィルム上への蒸着重合膜の成膜レートは、1.0×10-5μm/min・mm2 であった。
また、比較のために、先に準備された複数の金属化フィルムのうちの二つの金属化フィルムと、蒸着重合膜形成装置と、MDIの所定量と、MDAの所定量とを用い、キャンローラに巻き掛けられる金属化フィルム部分の温度を、キャンローラの外周面の温度を制御する冷却装置により、20℃と65℃の何れかの温度に維持されるように為す以外、実施例1〜5の積層構造体を作製する際と同様にして、2種類の積層構造体を得た。なお、それら2種類の積層構造体のうち、キャンローラに巻き掛けられる金属化フィルム部分の温度が65℃に維持されるようにした積層構造体を得る際の蒸着重合膜の形成時間(成膜時間)は、実施例1〜5の積層構造体を得る際の蒸着重合膜の形成時間と同一とした。それら2種類の積層構造体のうち、蒸着重合膜の形成時に、金属化フィルムの表面温度が20℃に維持されていたものを比較例1、金属化フィルムの表面温度が65℃に維持されていたものを比較例2とした。それら比較例1及び2の2種類の積層構造体のうち、比較例1の積層構造体の蒸着重合膜の成膜レートは、実施例7の積層構造体における蒸着重合膜の成膜レートと同じ1.0×10-5μm/min・mm2 であった。一方、比較例2の積層構造体の蒸着重合膜は、極めて薄く、そのために、かかる蒸着重合膜の成膜レートは、実施例1〜7の積層構造体よりも小さな1.0×10-7μm/min・mm2 であった。
さらに、別の比較のために、先に準備された複数の金属化フィルムのうちの六つの金属化フィルムと、蒸着重合膜形成装置と、MDIの所定量と、MDAの所定量とを用い、キャンローラに巻き掛けられる金属化フィルム部分の温度を、キャンローラの外周面の温度を制御する冷却装置により、20℃、25℃、30℃、40℃、50℃、60℃のうちの何れかの温度に維持されるように為すと共に、第一ヒータの加熱温度が135℃に維持され、また、第二ヒータの加熱温度が145℃に維持されるように、第一ヒータと第二ヒータの加熱温度を加熱制御装置にてそれぞれ制御し、更に、MDI蒸気とMDA蒸気のそれぞれの蒸気圧が3.0Paに維持されるように、MDI蒸気とMDA蒸気の供給パイプ上の開閉バルブの開作動量をコントロールする以外、実施例1の積層構造体の作製時と同様にして、金属化フィルム上に蒸着重合膜を積層形成することにより、6種類の積層構造体を得た。それら6種類の積層構造体のうち、蒸着重合膜の形成時に、金属化フィルムの表面温度が20℃に維持されていたものを比較例3、25℃に維持されていたものを比較例4、30℃に維持されていたものを比較例5、40℃に維持されていたものを比較例6、50℃に維持されていたものを比較例7、60℃に維持されていたものを比較例8とした。それら比較例3〜8の6種類の積層構造体のうち、比較例3の積層構造体には、蒸着重合膜が実質的に形成されなかった。一方、比較例4〜8の積層構造体における金属化フィルム上への蒸着重合膜の成膜レートは、何れも、1.0×10-2μm/min・mm2 であった。
そして、上記のようにして作製された実施例1〜7と比較例1〜8の15種類の積層構造体を用い、それらのうち、蒸着重合膜が形成されなかった比較例3を除く14種類の積層構造体にそれぞれ設けられる蒸着重合膜の比誘電率と耐電圧とを、公知の手法により、それぞれ測定した。また、それら14種類の積層構造体の蒸着重合膜の厚さを、市販の膜厚測定装置[製品名:マルチチャンネル分光器USB2000、米国オーシャン・オプティクス(株)製]を用いて、それぞれ測定した。更に、それら14種類の積層構造体のうちの実施例2と実施例5と比較例5と比較例8の4種類の積層構造体を用い、高感度反射赤外分光法を使用して測定される、それら各積層構造体の蒸着重合膜のN−H結合のピーク強度に対する前記C=O結合のピーク強度の比を、それぞれ求めた。それらの結果を下記表1と表2にそれぞれ示した。なお、各蒸着重合膜のN−H結合のピーク強度とC=O結合のピーク強度は、市販の高感度反射測定装置[製品名:RAS PRO410−H、日本分光(株)製]を使用した。また、蒸着重合膜のN−H結合のピーク強度に対する前記C=O結合のピーク強度の比は、表1及び2に、単にピーク強度比として、示した。更に、実施例1〜7と比較例1〜8の各積層構造体の蒸着重合膜形成時における金属化フィルムの温度を、単に、基材表面温度として、示した。
Figure 2013155394
Figure 2013155394
それら表1及び表2の結果から明らかなように、蒸着重合膜の成膜レートは本発明の規定範囲内であるものの、蒸着重合膜の形成時における金属化フィルムの表面温度を本発明の規定範囲の温度よりも低い20℃に維持しつつ、金属化フィルム上に蒸着重合膜を積層形成してなる比較例1の積層構造体は、蒸着重合膜の比誘電率が4.39で耐電圧が350Vとなっている。これは、実施例1〜7の積層構造体の蒸着重合膜の比誘電率と耐電圧よりも明らかに小さな値となっている。
また、蒸着重合膜の成膜レートは本発明の規定範囲内であるものの、蒸着重合膜の形成時における金属化フィルムの表面温度を本発明の規定範囲の温度よりも高い65℃に維持しつつ、金属化フィルム上に蒸着重合膜を積層形成してなる比較例2の積層構造体は、蒸着重合膜の比誘電率と耐電圧とが、実施例1〜7の積層構造体の蒸着重合膜の比誘電率と耐電圧と同程度の値となっているものの、蒸着重合膜の膜厚が0.5μmで、実用に供するのは困難な極端に薄い厚さとなっている。
さらに、蒸着重合膜の形成時における金属化フィルムの表面温度は、本発明の規定範囲の温度に維持されるものの、本発明の規定範囲よりも高い成膜レートで蒸着重合膜を形成してなる比較例4〜8の積層構造体は、蒸着重合膜の比誘電率と耐電圧とが、何れも、本発明手法に従って蒸着重合膜が形成されてなる実施例1〜7の積層構造体の蒸着重合膜の比誘電率と耐電圧よりも、明らかに小さな値となっている。
以上の結果から、本発明手法に従って、蒸着重合膜の形成時における金属化フィルムの表面温度を25〜60℃の範囲内に維持しつつ、かかる金属化フィルム上に、蒸着重合膜を1.0×10-6〜1.0×10-3μm/min・mm2 の範囲内の成膜レートで積層形成することにより、初めて、蒸着重合膜の比誘電率と耐電圧とを、共に確実に高め得ることが明確に認識され得るのである。
また、表1及び表2の結果から明らかなように、実施例2と実施例5の各積層構造体の蒸着重合膜のN−H結合のピーク強度に対する前記C=O結合のピーク強度の比は、それぞれ、1.1を上回る1.3と1.2となっている。これに対して、比較例5と比較例8の各積層構造体の蒸着重合膜のN−H結合のピーク強度に対する前記C=O結合のピーク強度の比は、それぞれ、1.1を下回る1.0と0.8となっている。そして、それら実施例2と実施例5の各積層構造体と、比較例5と比較例8の各積層構造体のそれぞれの蒸着重合膜の比誘電率と耐電圧とを比較すると、比誘電率と耐電圧の両方とも、前者の方が明らかに大きな値となっている。これは、蒸着重合膜のN−H結合のピーク強度に対する前記C=O結合のピーク強度の比が1.1以上とされることにより、初めて、蒸着重合膜の比誘電率と耐電圧とが有利に高められ得ることを如実に示しているのである。
10 積層構造体 12 樹脂フィルム
14 金属蒸着層 16 金属化フィルム
18 蒸着重合膜 20 蒸着重合膜形成装置
22 真空チャンバ 34 キャンローラ
54 冷却装置 64 モノマー蒸気供給装置
68a 第一蒸発源 68b 第二蒸発源
74a 第一ヒータ 74b 第二ヒータ
80 加熱制御装置

Claims (3)

  1. 複数種類の原料モノマーを加熱して、蒸気化させると共に、それら複数種類の原料モノマーの蒸気を真空状態の成膜室内に導入し、該成膜室内に配置された基材の表面上に付着させて、該表面上で重合させることにより、該基材の表面上に、蒸着重合膜を形成する方法であって、
    前記基材の表面温度を25〜60℃の範囲内に維持しつつ、該基材の表面に、前記蒸着重合膜を1.0×10-6〜1.0×10-3μm/min・mm2 の範囲内の成膜レートで形成することを特徴とする蒸着重合膜の形成方法。
  2. 前記蒸着重合膜が、非加熱条件下で重合可能な重合体からなっている請求項1に記載の蒸着重合膜の形成方法。
  3. 基材の表面上に、N−H結合とC=O結合を含む重合体からなる蒸着重合膜が真空蒸着重合法によって積層形成されてなる積層構造体であって、
    高感度反射赤外分光法を用いて測定される前記蒸着重合膜のN−H結合のピーク強度に対する前記C=O結合のピーク強度の比が1.1〜2.0の範囲内の値であることを特徴とする積層構造体。
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