JP2013142944A - 定電流回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本実施形態は、温度に依存しにくい定電流回路を提供する。
【解決手段】
本実施形態の定電流回路は、トランジスタと、前記トランジスタのゲートに接続された第1ノードとを備え、正の温度特性を有する第1電流を発生する第1電流回路と、前記第1ノードとカレントミラー回路を介して接続された第2ノードを備え、負の温度特性を有する第2電流を発生する第2電流回路と、前記第1電流と前記第2電流を合成して合成電流を発生する電流合成回路と、温度係数が異なる第1抵抗及び第2抵抗を有し、前記第1抵抗と前記第2抵抗の合成抵抗を変化させることにより前記合成電流を調整する、前記第2ノードに接続された調整回路とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、定電流回路に関する。
近年、携帯電話等のモバイル機器が普及されていくにつれ、それらに使用されるメモリにおいて高速動作や低消費電流化等が求められている。このようなメモリとして、NANDフラッシュメモリが広く使用されている。
上記NANDフラッシュメモリを含む半導体集積回路では、定電流回路が用いられている。このため、精度の高い定電流回路を実現することが要求されている。
特許第2525346号公報 特開2006−17470号公報
本実施形態は、温度に依存しにくい定電流回路を提供する。
本実施形態の定電流回路は、トランジスタと、前記トランジスタのゲートに接続された第1ノードとを備え、正の温度特性を有する第1電流を発生する第1電流回路と、前記第1ノードとカレントミラー回路を介して接続された第2ノードを備え、負の温度特性を有する第2電流を発生する第2電流回路と、前記第1電流と前記第2電流を合成して合成電流を発生する電流合成回路と、温度係数が異なる第1抵抗及び第2抵抗を有し、前記第1抵抗と前記第2抵抗の合成抵抗を変化させることにより前記合成電流を調整する、前記第2ノードに接続された調整回路とを有する。
第1の実施形態に係る定電流回路1aの構成例を示す回路図。 (a)は調整回路2aの具体的な構成例を示す回路図、(b)は調整回路2aのR2とR2’の抵抗値と温度との関係を示すグラフ。 第1の実施形態に係る定電流発生手順の具体例を示すグラフ。 比較例に係る定電流回路1bの構成例を示す回路図。 比較例に係る定電流発生手順の具体例を示すグラフ。 第1の実施形態の変形例1に係る定電流回路1cの構成例を示す回路図。 第1の実施形態の変形例2に係る定電流回路1dの構成例を示す回路図。 第2の実施形態に係る調整回路2bの構成例を示す回路図。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。なお、ノードVC(第1ノード)、VC2(第2ノード)、VIREF、VBの電圧をそれぞれ適宜、電圧VC、VC2、VIREF、VBと称して説明する場合がある。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る定電流回路1aについて説明する。
1.第1の実施形態の回路構成及び動作
図1は第1の実施形態に係る定電流回路1aの構成例を示す回路図であり、図2の(a)は調整回路2aの具体的な構成例を示す回路図、図2の(b)は調整回路2aのR2とR2’の抵抗値と温度との関係を示すグラフを示す図である。
図1に示すように、定電流回路1aは、第1電流回路10、第2電流回路20、及び電流合成回路30を備えている。
第1電流回路10は、第1カレントミラー回路11、第2カレントミラー回路12及び可変抵抗R1を有する。
第1カレントミラー回路11は、PMOSトランジスタMP1及びPMOSトランジスタMP2を有する。PMOSトランジスタMP1及びPMOSトランジスタMP2のソースは、電源40に接続される。また、PMOSトランジスタMP1及びPMOSトランジスタMP2のゲートは、ノードBIASPに共通接続される。また、PMOSトランジスタMP1のドレインは、後述するノードVCに接続される。一方、PMOSトランジスタMP2のドレインは、ノードBIASPに接続されて、ダイオード接続される。
第2カレントミラー回路12は、カレントミラーを構成するNMOSトランジスタMN1及びNMOSトランジスタMN2を有する。NMOSトランジスタMN1のソースは接地電位に接続される。一方、NMOSトランジスタMN2のソースはノードVBを介して、可変抵抗R1の一端に接続される。その可変抵抗R1の他端は接地電位に接続される。また、NMOSトランジスタMN1及びNMOSトランジスタMN2のゲートは、ノードVCに共通接続される。また、NMOSトランジスタMN2のドレインは、ノードBIASPに接続される。一方、NMOSトランジスタMN1のドレインは、ノードVCに接続されて、ダイオード接続される。また、NMOSトランジスタMN2の数は、NMOSトランジスタMN1の数のN倍であり、それらNMOSトランジスタMN2は並列に接続されている(図示略)。なお、NMOSトランジスタMN2のサイズは、NMOSトランジスタMN1のサイズのN倍としてもよい。
このように、第1電流回路10では、電源40と接地電位との間に、PMOSトランジスタMP1及びNMOSトランジスタMN1の電流経路が直列に接続され、PMOSトランジスタMP2及びNMOSトランジスタMN2の電流経路と可変抵抗R1が直列に接続されている。
第1電流回路10は、ノードBIASPの電圧がPMOSトランジスタMP1及びMP2の閾値電圧を超えるとき、PMOSトランジスタMP1及びPMOSトランジスタMP2はON状態になり、ノードVCに電流が流れる。その結果、ノードVCは、電源40からPMOSトランジスタMP1及びPMOSトランジスタMP2を介して昇圧される。このノードVCの電圧がNMOSトランジスタMN1及びMN2の閾値電圧を超えるときに、NMOSトランジスタMN1及びNMOSトランジスタMN2がON状態になる。このようにして、各トランジスタ及び各ノードに電流が流れる。
このとき、上述したように、PMOSトランジスタMP1とPMOSトランジスタMP2、及びNMOSトランジスタMN1とNMOSトランジスタMN2はそれぞれ、カレントミラーを構成している。このため、PMOSトランジスタMP1及びNMOSトランジスタMN1には、PMOSトランジスタMP2及びNMOSトランジスタMN2と等しい電流Ip(第1電流)が流れる。この電流Ipは、以下のように生成される。
NMOSトランジスタMN2の数をNMOSトランジスタMN1の数のN倍にすることで、NMOSトランジスタMN1のゲート・ソース間電位とNMOSトランジスタMN2のゲート・ソース間電位との間に電位差が生じる。この電位差からノードVBの電圧VBが生成される。この電圧VBを可変抵抗R1に印加することで、電流Ipが生成される。このとき、電流Ipの値は、可変抵抗R1及びNMOSトランジスタMN2の数によって制御される。また、チップ毎に、プロセスばらつき(電源電位や各トランジスタの抵抗及び閾値)に応じて可変抵抗R1を調整する。これにより、チップ毎に、電流Ipをプロセスばらつきに依存しにくい定電流にすることができる。このように生成される電流Ipは、以下の(1)式で表わされる。
Figure 2013142944
ここで、βは、電荷の移動度を示している。βは、負の温度特性(温度が低くなるほど増加する特性)を有するため、電流Ipは、正の温度特性(温度が高くなるほど増加する特性)を有する。このように、第1電流回路10によって、正の温度特性を有する電流Ipが生成される。
第2電流回路20は、差動アンプ21、PMOSトランジスタMP5、及び図2に示す調整回路2aを有している。
差動アンプ21は、カレントミラー回路を構成するPMOSトランジスタMP6とPMOSトランジスタMP7、及びNMOSトランジスタMN4とNMOSトランジスタMN5を備え、さらにNMOSトランジスタMN6、NMOSトランジスタMN7、及びPMOSトランジスタMP8を有する。
PMOSトランジスタMP6及びPMOSトランジスタMP7のソースは、電源40に接続される。また、PMOSトランジスタMP6及びPMOSトランジスタMP7のゲートは、同ノードに共通接続される。また、PMOSトランジスタMP6のドレインは、差動アンプ21の出力ノードであるノードBIASCに接続される。一方、PMOSトランジスタMP7ドレインは、ゲートと同ノードに共通接続され、ダイオード接続される。
NMOSトランジスタMN4及びNMOSトランジスタMN5のソースはNMOSトランジスタMN6のドレインと同ノードに共通接続される。さらに、NMOSトランジスタMN6のソースはNMOSトランジスタMN7のドレインと同ノードに共通接続され、NMOSトランジスタMN7のソースは接地される。NMOSトランジスタMN4のゲートは差動アンプ21の第1入力ノードである第1電流回路10のノードVCに接続される。一方、NMOSトランジスタMN5のゲートは差動アンプ21の第2入力ノードであるノードVC2に接続される。また、NMOSトランジスタMN4のドレインは、ノードBIASCに接続され、NMOSトランジスタMN5のドレインは、PMOSトランジスタMP7のドレイン及びゲートと同ノードに共通接続される。さらに、NMOSトランジスタMN6のゲートはノードBIASNに接続され、NMOSトランジスタMN7のゲートはノードICENに接続される。
PMOSトランジスタMP5のソースは、電源40に接続される。また、PMOSトランジスタMP5のゲートは、ノードBIASCに接続されている。また、PMOSトランジスタMP5のドレインは、ノードVC2に接続され、調整回路2aを介して接地される。すなわち、調整回路2aは、ノードVC2と接地電位との間に接続される。すなわち、調整回路2aの一端はノードVC2に接続され、他端は接地される。
調整回路2aは抵抗R2(第2抵抗)、抵抗R3、抵抗R2’(第1抵抗)、NMOSトランジスタで構成される調整スイッチSW1〜5(スイッチ)、及び可変抵抗R0を有する。調整スイッチSW1〜5は後述する温度依存の少ない定電流に調整する際に適宜ONされる。例えば、後述する電流Ic(第2電流)の電流値を調整する際に調整スイッチSW1をONしている場合は、その他の調整スイッチSW2〜5はOFFされる。その後、温度依存の少ない定電流に調整する際に、調整スイッチSW1をOFFして、その他の調整スイッチSW2〜5のいずれか1つがONして定電流を微調整する。
まず、抵抗R2’と抵抗R3の一端はノードVC2に接続される。抵抗R3の他端は調整スイッチSW1の一端に接続され、調整スイッチSW1の他端は抵抗R2の一端に接続される。そして、抵抗R2’の他端は異なる抵抗R2’と抵抗R3に接続され、抵抗R2の他端は異なる抵抗R2に接続される。以上のような構成が5つ並列接続されている。
すなわち、所定数(本実施形態では5つ)の抵抗R2’が直列接続され(第1抵抗体50a)、その抵抗R2’と同じ数(5つ)の抵抗R2が直列接続されている(第2抵抗体51a)。そして、各抵抗R2’と各抵抗R2の間に調整スイッチSW1〜5が並列接続される。本実施形態では抵抗R2’、抵抗R2、及び調整スイッチSW1〜5の数を5つとして示したが、あくまで一例であり、この数は特に限定されない。図2で示す調整スイッチSW5と第5の抵抗R2の他端は、可変抵抗R0の一端に接続され、可変抵抗R0の他端は接地される。
なお、抵抗2と抵抗3は同じ温度係数の抵抗で構成される。また、抵抗R2’は抵抗2及び抵抗3とは異なる温度係数を有する抵抗で構成され、所定の温度α℃においてR2と同じ抵抗値を有する(図2の(b)に示す)。抵抗R2’の温度係数を抵抗R2及び抵抗R3の温度係数と異なるようにする方法としては、例えば、抵抗R2’を構成する素材を、抵抗R2及び抵抗R3を構成する素材とは異なる素材を使用することが挙げられる。例えば、一方を配線抵抗にして、他方にトランジスタを用いる方法等が挙げられる。また、抵抗R2’にイオン注入をすることにより、抵抗R2’の抵抗率を変化させる方法でも実施は可能である。抵抗R2’の温度係数を、抵抗R2及び抵抗R3の温度係数と異なるようにする例を示したが、その他の手法でも実施は可能であり、特に限定はされない。
第2電流回路20は、ノードVC及びノードBIASNの電圧がNMOSトランジスタMN4及びPMOSトランジスタMP4の閾値電圧を超え、かつノードICENがHとなりNMOSトランジスタMN7がONとなると、動作状態となる。ここで、ノードICENはHまたはLの信号をトランジスタのゲートに出力するノードである。ゲートにHを加えると、NMOSトランジスタのドレイン‐ソース間はONに、PMOSトランジスタのドレイン‐ソース間はOFFとなる。一方、ゲートにLを加えると、NMOSトランジスタのドレイン‐ソース間はOFFに、PMOSトランジスタのドレイン‐ソース間はONとなる。
ノードVCがNMOSトランジスタMN4の閾値電圧、及びノードBIASNの電圧がNMOSトランジスタMN6の閾値電圧を超え、ノードICENがHとなると、NMOSトランジスタMN4、NMOSトランジスタMN6、及びNMOSトランジスタMN7がON状態になる。これにより、ノードBIASCの電圧がPMOSトランジスタMP5の閾値電圧を超え、PMOSトランジスタMP5がON状態になる。また、ノードVC2に電流Icが流れることで電位が上昇し、NMOSトランジスタMN5の閾値電圧を超えると、NMOSトランジスタMN5がON状態になる。さらに、PMOSトランジスタMP6及びPMOSトランジスタMP7のゲートが降圧されてそれぞれの閾値電圧を超えると、PMOSトランジスタMP6及びPMOSトランジスタMP7はON状態になる。このようにして、各トランジスタ及び各ノードに電流が流れる。
すなわち、前述したようにPMOSトランジスタMP6とPMOSトランジスタMP7、及びNMOSトランジスタMN4とNMOSトランジスタMN5はカレントミラー回路を構成しており、ノードVC2はノードVCの電圧をカレントコピーされる役割を有している。
ここで、PMOSトランジスタMP5及び調整回路2aには電流Ic(第2電流)が流れる。この電流Icは、以下のように生成される。
上述したように、NMOSトランジスタMN4のゲートには、第1電流回路10のノードVCが入力される。また、PMOSトランジスタMP6及びPMOSトランジスタMP7はカレントミラーを構成している。このとき、PMOSトランジスタMP6とPMOSトランジスタMP7、NMOSトランジスタMN4とNMOSトランジスタMN5をそれぞれ同じ数に構成し、ノードBIASCを制御する。これにより、ノードVCの電圧VCと等しい電圧VC2が発生する。すなわち、差動アンプ21は、入力された電圧と同電圧を出力するフィードバック回路として機能する。
ここで、ノードVCは、NMOSトランジスタNM1のダイオード接続されたノードであり、その電圧VCは以下の(2)式で表わされる。
Figure 2013142944
ここで、Vthは、NMOSトランジスタNM1の閾値電圧を示している。この閾値電圧Vthは、負の温度特性を有する。このため、ノードVCの電圧VC及びノードVC2の電圧VC2は、負の温度特性を有する値となる。
この電圧VC2を調整回路2aに印加することで、電流Icが生成される。このとき、電流Icの値は、調整回路2aによって制御される。この調整方法の詳細については後述する。この調整により、チップ毎に、電流Icをプロセスばらつきに依存しにくい定電流とすることができる。このように生成される電流Icは、以下の(3)式で表わされる。
Figure 2013142944
ここで、xは、可変抵抗R1と調整回路2aの合成抵抗R2a(例えば、SW1のみを開いていた場合、R2a=R3+4×R2+R0)との比である(R2a=x×R1)。上述したように、閾値電圧Vthは、負の温度特性を有する。このため、第2電流回路20により生成される電流Icは、負の温度特性を有する値である。このように、第2電流回路20によって、負の温度特性を有する電流Icが生成される。
電流合成回路30は、PMOSトランジスタMP3、PMOSトランジスタMP4、NMOSトランジスタMN3、及びモニター回路31を有する。
PMOSトランジスタMP3のソースは、電源40に接続される。また、PMOSトランジスタMP3のゲートは、PMOSトランジスタMP1及びPMOSトランジスタMP2のゲートとノードBIASPに共通接続される。すなわち、PMOSトランジスタMP3は、PMOSトランジスタMP2とカレントミラーを構成している。一方、PMOSトランジスタMP4のソースは、電源電位に接続されている。また、PMOSトランジスタMP4のゲートは、PMOSトランジスタMP5のゲートとノードBIASCに共通接続される。さらに、PMOSトランジスタMP3及びPMOSトランジスタMP4のドレインは、出力ノードであるノードVIREFに共通接続されている。NMOSトランジスタNM3のソースは、接地電位に接続されている。また、NMOSトランジスタMN3のドレインは、ゲートとノードVIREFに共通接続され、ダイオード接続されている。
また、ノードVIREFには電流モニター用のモニター回路31が接続される。VMONPADから電圧を印加して、モニター電流Imをモニターすることにより、合成電流IREF(合成電流)をモニターしている。
電流合成回路30は、ノードBIASPの電圧がPMOSトランジスタMP3の閾値電圧を超えるとき動作状態となる。これにより、ノードVIREFに電流が流れることで電位が上昇し、NMOSトランジスタMN3の閾値電圧を超えると、NMOSトランジスタMN3がON状態になる。また、上述したように、ノードBIASNの電圧がNMOSトランジスタMN6の閾値電圧、及びノードICENの電圧がNMOSトランジスタMN7の閾値電圧を超えることで、第2電流回路20が動作状態になり、ノードBIASCの電圧がPMOSトランジスタMP4の閾値電圧を超える。これにより、PMOSトランジスタMP4がON状態になる。このようにして、各トランジスタ及び各ノードに電流が流れる。
このとき、上述したように、PMOSトランジスタMP3は、PMOSトランジスタMP2とカレントミラーを構成している。このため、PMOSトランジスタMP3には、PMOSトランジスタMP2と等しい電流Ipが流れる。
一方、PMOSトランジスタMP4は、ゲートがPMOSトランジスタMP5のゲートと共通にノードBIASCに接続されている。このため、PMOSトランジスタMP4には、PMOSトランジスタMP5と等しい電流Icが流れる。このPMOSトランジスタMP4に流れる電流Icについて、以下で詳細に説明する。
差動アンプ21において、PMOSトランジスタMP6及びPMOSトランジスタMP7はカレントミラーを構成している。このため、PMOSトランジスタMP6及びNMOSトランジスタMN4と、PMOSトランジスタMP7及びNMOSトランジスタMN5とには等しい電流が流れている。このため、PMOSトランジスタMP6とPMOSトランジスタMP7が同じサイズであれば、平衡状態におけるPMOSトランジスタMP6とPMOSトランジスタMP7とのゲート・ソース間電位及びドレイン・ソース間電位はそれぞれ等しくなる。
すなわち、PMOSトランジスタMP6のゲート及びドレイン、PMOSトランジスタMP7のゲート及びドレイン、PMOSトランジスタMP5のゲート、及びPMOSトランジスタMP4のゲートは全て同電圧である。これにより、PMOSトランジスタMP4、PMOSトランジスタMP5、PMOSトランジスタMP6、及びPMOSトランジスタMP7は、擬似的にカレントミラーを構成している。上記構成のようにすることで、PMOSトランジスタMP5に生成された電流IcをPMOSトランジスタMP4に流す(ミラーする)ことができる。
これらPMOSトランジスタMP3及びPMOSトランジスタMP4のドレインを共通にNMOSトランジスタMN3のドレインに接続させることで、NMOSトランジスタMN3に電流Ipと電流Icとを加算させた電流IREFを流すことができ、電圧VIREFを出力することができる。このように生成される電流IREFは、以下の(4)式で表わされる。
Figure 2013142944
(4)式で表わされるように、電流IREFは、正の温度特性を有する項と負の温度特性を有する項とで構成される。
このとき、電流IREFを定電流とする手順について、図3を用いて詳細に述べる。図3は第1の実施形態に係る定電流発生手順の具体例を示すグラフである。
まず、電流Ipの最初の調整を行う際の温度は、電流Icの調整を行う際の温度と同じくα℃とする。
(1)電流Ipの調整(動作アンプ21は動作させない)
ノードICENをLにすることで、ノードBIASCはHとなり、PMOSトランジスタMP4はカットオフされる。また、NMOSトランジスタMN7もカットオフされるため、差動アンプ21は動作しない。すなわちPMOSトランジスタMP4は電流を流さない状態にし、PMOSトランジスタMP3のみが電流を流れる状態にする。よって、この段階では、電流合成回路30に流れる電流IREFと、第1電流回路10で生成される電流Ipは同値となる。この電流IREFは、ノードVIREFに接続した電流モニター用のモニターパッドにより、モニターされる。そして、モニターした電流が所望の電流でない場合は、図3の(a)に示すように、可変抵抗R1の抵抗値を変化させて調整する。なお、この電流IREFは前述したように電流Ipと同値であるため、可変抵抗R1によって調整する際は、最終的に作成したい電流IREFの電流値の半分となるように調整することが望ましい(すなわち、Ip=IREF/2)。電流Ipを最終的に作成したい電流IREFの半分となるように調整すると、後述する電流Icも最終的に作成したい電流IREFの半分となるように調整し、電流Ipと電流Icを合成すればよいので、ノイズ等の調整が少なくて済むという利点を有する。例えば、最終的に10μAの電流IREFを流したい場合は、図3の(a)における調整では、Ipが5μAとなるように可変抵抗R1を調整すればよい。
(2)電流Icの調整(動作アンプ21は動作させる)
次に、ノードICENをHにすることで、PMOSトランジスタMP4にも電流が流れるようにする。温度はα℃に固定したままにする。この時、調整回路2aの調整スイッチは調整スイッチSW1のみHとして、その他の調整スイッチ2〜5はLとする。すなわち、調整回路2a全体としての抵抗(合成抵抗)は、抵抗R3、4つの抵抗R2、及び可変抵抗R0の和(R3+4×R2+R0)となる。また、電流IREFは電流Ipと電流Icの合計値となる。この状態で、ノードVIREFに接続されたモニター回路31により電流IREFはモニターされる。そして、図3の(b)に示すように、調整回路2a内の可変抵抗R0の抵抗値を変化させることにより、電流IREFが所望の電流値となるように調整する。具体的には、電流Icは温度α℃において電流Ipと一致するように調整される。
以上のように得られた電流IREFは、図3の(c)に示すように、わずかに温度特性を有している場合がある。これは、電流Ipと電流Icの温度特性の傾きが必ずしも同じではないことや、可変抵抗R0及びR1を変化させたことで傾き自体も変化したためである。
(3)調整回路2aの調整スイッチSW1〜5による電流Icの微調整
そこで次に、図3の(d)に示すように、温度をα℃からβ℃に変化させる。そして、調整回路2a内の調整スイッチSW1をOFFし、調整スイッチSW2〜SW5のうちどれかの調整スイッチをONすることで調整を行う。これは、抵抗R2と抵抗R2’の抵抗値が温度α℃においては同値であるが、それ以外の温度β℃においては異なる抵抗値を示すため、ONする調整スイッチを変えることにより、第2電流回路20のノードVC2の抵抗を変化させ、電流Icの傾きを調整することができる。例えば、調整スイッチSW2をHにした場合は、調整回路2a全体としての抵抗(合成抵抗)は、抵抗R2’、抵抗R3、3つの抵抗R2、及び可変抵抗R0の和(R2’+R3+3×R2+R0)となる。この調整スイッチによる微調整によって、温度がα℃での電流IREFの電流値と、温度がβ℃での電流IREFの電流値が一致するような調整スイッチを選択すると、図3の(d)に示すような、温度に依存しにくい電流IREFを得ることができる。
なお、第1の実施形態の定電流回路1aでは第2電流回路20に調整回路2aを接続して、負の温度特性を有する電流Icの電流特性の傾きを微調整したが、これは一例であり、第1電流回路10に調整回路2aを接続して、正の温度特性を有する電流Ipの電流特性の傾きを微調整する方法でも実施は可能である。
2.第1の実施形態の効果
上記第1の実施形態によれば、定電流回路1aは、正の温度特性を有する電流Ipを発生する第1電流回路10と、負の温度特性を有する電流Icを発生する第2電流回路20と、これら2つの電流を加算して温度に依存しにくい電流IREFを発生する電流合成回路30とを備えている。これにより得られる効果について、比較例を用いて説明する。
図4は比較例に係る定電流回路1bの構成例を示す回路図、図5は比較例に係る定電流発生手順の具体例を示すグラフを示している。比較例の定電流回路1bが、第1の実施形態の定電流回路1aと異なる点は、PMOSトランジスタMP5のドレインとノードVC2に接続されていた調整回路2aが可変抵抗R0のみとなっている点である。また、NMOSトランジスタMN7とPMOSトランジスタMP8が設けられていないため、第2電流回路20のONまたはOFFをすることはできない。
図5に示すように、比較例に係る定電流回路1bによる定電流は、温度tで可変抵抗R1を適宜変化させ(図5の(a)に図示)、可変抵抗R0を適宜変化させることで(図5(b)に図示)、IREFを温度に依らずほぼ一定にすることができる(図5(c)に図示)。しかしながら、定電流回路1bの場合、温度tでの調整と、それ以外の温度での調整を何度か繰り返さないと完全に温度特性を消すことはできず、また、所望の電流値が得られない場合が多い。これは、電流Ipと電流Icの温度特性の傾きが必ず一致している訳ではないことや、R0やR1の抵抗値を変化させた場合に傾きも変化すること等が原因として挙げられる。
これに対し、図3の(d)に示すように、第1の実施形態に係る定電流回路1aによる定電流IREFは、温度によらず一定である。これはまず、温度α℃において、ICENをLにして第2電流回路をカットオフして正の温度特性を有する電流Ipを調整し(Ip=IREF/2となるようにする)、その後ICENをHにして第2電流回路をカットオンして負の温度特性を有する電流Icを調整し(Ic=IREF/2となるようにする)、IpとIcを加算することにより、正の温度特性と負の温度特性とを相殺した電流IREFを流す。そして、温度をα℃とは異なるβ℃に変化させ、調整回路2aの抵抗R2とR2’により、Icの傾きを適宜変化させる。
以上のように合成することで、電流IREFは温度に対して略一定となる。このように、第1の実施形態である温度依存の少ない定電流IREFを生成する定電流回路1aを種々のアナログ回路に用いることで、その回路における温度特性を改善させることができる。
なお、図3の例では、電流IREFの温度特性がゼロになるようにNMOSトランジスタMN2の数、可変抵抗R0、R1、及び抵抗R2、R2’を設定している。しかし、これに限らず、電流IREFはこれらの値を変化させることで正または負のどちらの温度特性にも調整することが可能である。
なお、電流IREFの温度特性は、PMOSトランジスタMP2とPMOSトランジスタMP3との数の比、及びPMOSトランジスタMP4とPMOSトランジスタMP5の数の比(ミラー電流比)を変えることによっても任意に調整され得る。
(変形例1)
図6は第1の実施形態の変形例1に係る定電流回路1cの構成例を示す回路図である。なお、変形例1について、第1の実施形態と同様の点については説明を省略し、異なる点について説明する。また、図6においてはモニター回路31を省略しているが、VIREFには図1に示す定電流回路1aと同様にモニター回路31が接続される。
図6に示すように、変形例1が第1の実施形態と異なる点は、可変抵抗R1を抵抗R3(第3抵抗)に変更し、かつPMOSトランジスタMP8とNMOSトランジスタMN7を削除した点である。
上記のような回路においては、電流Icを調整すること、すなわち、第2電流回路20に接続された調整回路2aの可変抵抗R0、及び抵抗R2、R2’を調整するのみで、温度に依存しにくい定電流IREFを生成することができる。
(変形例2)
図7は第1の実施形態の変形例2に係る定電流回路1dの構成例を示す回路図である。なお、変形例2について、第1の実施形態と同様の点については説明を省略し、異なる点について説明する。また、図7においてはモニター回路31を省略しているが、VIREFには図1に示す定電流回路1aと同様にモニター回路31が接続される。
図7に示すように、変形例2が第1の実施形態と異なる点は、NMOSトランジスタMN3にNMOSトランジスタMN8を接続した回路部を複数並列接続し、かつPMOSトランジスタMP8とNMOSトランジスタMN7を削除した点である。
より具体的には、NMOSトランジスタMN3のソースにNMOSトランジスタMN8のドレインを接続し、NMOSトランジスタMN8のソースは接地される。また、このNMOSトランジスタMN3及びNMOSトランジスタMN8と並列に、NMOSトランジスタMN3’及びNMOSトランジスタMN8’を接続する。並列接続させる個数は特に限定されない。
変形例2においては、変形例1の場合と同様に電流Icを調整すること、すなわち、第2電流回路20に接続された調整回路2aの可変抵抗R0、及び抵抗R2、R2’を調整するのみで、温度に依存しにくい定電流IREFを生成することができる。加えて、複数設けられたMOSトランジスタMN8’及びMOSトランジスタMN8のONとOFFを適宜調整することにより、電流IREFの値を調整することが可能となる。
(第2の実施形態)
以下に、図1及び図8を用いて第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態について、第1の実施形態と同様の点については説明を省略し、異なる点について説明する。
1.第2の実施形態の回路構成及び動作
図8は第2の実施形態に係る調整回路2bの構成例を示す回路図である。
第2の実施形態において、第1の実施形態と異なる点は、VC2に接続される調整回路2bの抵抗R2’を、可変抵抗R4(可変抵抗)にした点である。
より具体的には、調整回路2bは複数の抵抗R2、抵抗R3、可変抵抗R4、NMOSトランジスタで構成される調整スイッチSW1〜5、及び可変抵抗R0を有する。まず、可変抵抗R4と抵抗R3の一端がノードVC2に接続される。抵抗R3の他端は調整スイッチSW1の一端に接続され、調整スイッチSW1の他端は抵抗R2の一端に接続される。そして、可変抵抗R4の他端は異なる可変抵抗R4と抵抗R3に接続され、抵抗R2の他端は異なる抵抗R2に接続される。以上のような構成が5つ並列接続されている。
すなわち、所定数(本実施形態では5つ)の可変抵抗R4が直列接続され(第1抵抗体50b)、その可変抵抗R4と同じ数(5つ)の抵抗R2が直列接続されている(第2抵抗体51b)。そして、各可変抵抗R4と各抵抗R2の間に調整スイッチSW1〜5が並列接続される。本実施形態では可変抵抗R4、抵抗R2、及び調整スイッチSW1〜5の数を5つとして示したが、あくまで一例であり、この数は特に限定されない。図8で示す調整スイッチSW5と第5の抵抗R2の他端は、可変抵抗R0の一端に接続され、可変抵抗R0の他端は接地される。
2.第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同じ効果が得られる。さらに、抵抗R2’を可変抵抗R4にしたことで、回路を作製した際にα℃における抵抗R2と可変抵抗R4の抵抗値がわずかに異なっていた場合でも、可変抵抗R4の抵抗値を変化させることで抵抗値を揃えることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1a,1b,1c,1d…定電流回路、2a、2b…調整回路、10…第1電流回路、11…第1カレントミラー回路、12…第2カレントミラー回路、20…第2電流回路、21…差動アンプ、30…電流合成回路、31…モニター回路、40…電源、50a,50b…第1抵抗体、51a,51b…第2抵抗体

Claims (4)

  1. トランジスタと、前記トランジスタのゲートに接続された第1ノードとを備え、正の温度特性を有する第1電流を発生する第1電流回路と、
    前記第1ノードとカレントミラー回路を介して接続された第2ノードを備え、負の温度特性を有する第2電流を発生する第2電流回路と、
    前記第1電流と前記第2電流を合成して合成電流を発生する電流合成回路と、
    温度係数が異なる第1抵抗及び第2抵抗を有し、前記第1抵抗と前記第2抵抗の合成抵抗を変化させることにより前記合成電流を調整する、前記第2ノードに接続された調整回路と、
    を有する定電流回路。
  2. 前記第1抵抗が所定数直列接続された第1抵抗体と、前記第1抵抗と同数の第2抵抗が直列接続された第2抵抗体とが並列接続され、スイッチが前記第1抵抗と前記第2抵抗の間に設けられている請求項1に記載の定電流回路。
  3. 前記スイッチは、動作する前記第1抵抗と前記第2抵抗の合計数が前記所定数となるように動作する請求項2に記載の定電流回路。
  4. 前記合成電流の電流値を検査するモニター回路を備え、所定温度において前記合成電流が同じになるように前記スイッチを動作させる請求項2または3に記載の定電流回路。
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