JP2013141758A - 空気入りタイヤおよび空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents

空気入りタイヤおよび空気入りタイヤの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】空気入りタイヤの走行を開始した後、前記スプライスされた積層体シート(インナーライナー層)のスプライス部分付近においてクラックを発生することがなく耐久性に優れた空気入りタイヤとその製造方法を提供すること。
【解決手段】熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂組成物と加硫接着するゴムシートを積層した積層体シート1の端部をラップスプライスしてインナーライナー層10を形成させた空気入りタイヤにおいて、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2として、前記ゴムシートとの積層側となる該シート面21のうち、少なくとも前記ラップスプライス部付近の該シート表面部21Aに、凹凸表面形状を形成したものを用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤと空気入りタイヤの製造方法に関する。
更に詳しくは、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシートと、該熱可塑性樹脂または該熱可塑性樹脂組成物と加硫接着するゴムを積層した積層体シートを所定長さで切断し、該積層体シートの端部をスプライスし、さらに加硫成形を経て、該積層体シートからインナーライナー層を形成させる空気入りタイヤにおいて、該空気入りタイヤの走行を開始した後、前記スプライスされた積層体シート(インナーライナー層)のスプライス部分付近においてクラックが発生することがなく、耐久性に優れた空気入りタイヤとその製造方法に関するものである。
近年、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート状物を空気入りタイヤのインナーライナーに使用するという提案がされ、検討されている(特許文献1)。
この熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート状物を、実際に空気入りタイヤのインナーライナーに使用するにあたっては、通常、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物のシートと、該熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物のシートと加硫接着されるゴム(タイゴム)シートの積層体シートを、タイヤ成形ドラムに巻き付けてラップスプライスして、タイヤの加硫成形工程に供するという製造手法がとられる。
しかし、ロール状の巻き体をなして巻かれた、該熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物とタイゴム層とからなる積層体シートを、該ロール状巻き体から所要の長さ分を引き出して切断し、タイヤ成形ドラムに巻き付けて該ドラム上などにおいてラップスプライスし、更に加硫成形をしてタイヤを製造したとき、タイヤ走行開始後に該インナーライナーを構成している熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物のシートと、該熱可塑性樹脂または該熱可塑性樹脂組成物のシートと加硫接着されたタイゴムシートとが剥離してしまう場合があった。
これを図で説明すると、図5(a)に示したように、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2とタイゴム層3とからなる積層体シート1は、刃物などで所要サイズ(長さ)に切断されて、タイヤ成形ドラム上にて、その両端部にラップスプライス部Sを設けて環状を成すようにしてスプライスされる。なお、該積層体シート1は、1枚の使用のときは、その両端部がスプライスされて環状を成すように形成され、あるいは複数枚の使用のときはそれら相互の端部同士がスプライスされて環状を成すように形成されるものなどである。
そして、更にタイヤの製造に必要なパーツ材(図示せず)が巻かれ、ブラダーで加硫成形される。加硫成形後においては、図5(b)にモデル図で示したように、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物のシート2とタイゴム層3からなるインナーライナー層10が形成され、スプライス部S付近では、熱可塑性樹脂または上述の熱可塑性樹脂組成物からなるシート2が、露出している部分とタイゴム層の中に埋設している部分が形成されている。すなわち、スプライス部S付近では、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2が、タイゴムシートを挟んで2層存在している。なお、図5(a)、(b)では、図面上、上側がタイヤ内腔側であり、上述の熱可塑性樹脂組成物からなるシート2は、そのタイヤ内腔側に配置されるようにしてグリーンタイヤの製造がなされる。
そして、タイヤの使用開始後、上述した熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物のシート2と加硫接着されたタイゴムシート3とが剥離してしまう現象は、特に、図5(b)で示した熱可塑性樹脂組成物のシート2が露出していてかつその先端部付近4などにおいて発生し、まずクラックが発生し、それがさらに進んでシートの剥離現象へと進行していく。
この原因は、熱可塑性樹脂または上記熱可塑性樹脂組成物のシート2は、一般にゴムコンパウンドと比べると低伸張域のモジュラスが高く、特にスプライス部S付近で上述したようにタイゴムシートを挟んで2層存在していることにより他の部分に比較してスプライス部の剛性が高くなり、その剛性差が原因でスプライス部付近に応力が集中してクラックや剥離等が発生すると解されるものである。
特開2009−241855号公報
本発明の目的は、上述したような点に鑑み、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシートと、該熱可塑性樹脂または該熱可塑性樹脂組成物と加硫接着するゴムを積層した積層体シートを所定長さで切断し、もしくは、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシートと該熱可塑性樹脂または該熱可塑性樹脂組成物と加硫接着するゴムを、それぞれ所定の長さに切断し、それらを積層した積層シートを、該積層体シートの端部をラップスプライスし、さらに加硫成形を経て、該積層体シートから形成されたインナーライナー層を有する空気入りタイヤにおいて、該空気入りタイヤの走行を開始した後、前記スプライスされた積層体シート(インナーライナー層)のスプライス部分付近においてクラックを発生することがなく耐久性に優れた空気入りタイヤとその製造方法を提供することにある。
上述した目的を達成する本発明の空気入りタイヤは、下記(1)の構成を有する。
(1)熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂組成物と加硫接着するゴムシートを積層した積層体シート1の端部をラップスプライスしてインナーライナー層10を形成させた空気入りタイヤにおいて、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2として、前記ゴムシートとの積層側となる該シート面21のうち、少なくとも前記ラップスプライス部付近の該シート表面部21Aに、凹凸表面形状を形成したものを用いてなることを特徴とする空気入りタイヤ。
また、かかる(1)の本発明の空気入りタイヤにおいて、以下の(2)〜(5)のいずれかの構成を有することが好ましい。
(2)前記凹凸表面形状が、前記熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2の最大厚さT(μm)との関係で、下記(a)式で表される凹凸深さt(μm)で形成されていることを特徴とする上記(1)記載の空気入りタイヤ。
0.1T≦t≦0.8T ………(a)式
(3)前記凹凸表面形状が、凹凸の平均間隔が0.05〜10mmであるように形成されていることを特徴とする上記(1)または(2)記載の空気入りタイヤ。
(4)前記凹凸表面形状が、少なくとも、タイヤ幅方向で、ベルト端部からタイヤ赤道側に50mmの位置から、タイヤ最大幅位置からビード側に50mmの位置までの間において、配置されるように構成されていることを特徴とする上記(1)、(2)または(3)記載の空気入りタイヤ。
(5)前記凹凸表面形状が、タイヤ内腔側となる前記シート表面21の全域に形成されていることを特徴とする上記(1)記載の空気入りタイヤ。
また、上述した目的を達成する本発明の空気入りタイヤの製造方法は、下記(6)の構成を有する。
(6)熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるゴムシートと、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂組成物と加硫接着するゴムシートを積層した積層体シートの端部をラップスプライスして環状に形成した後、タイヤの加硫成形工程に供して前記積層体シートからなるインナーライナー層を形成させる空気入りタイヤの製造方法において、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2として、前記ゴムシートとの積層側となる該シート面21のうち、少なくとも前記ラップスプライス部付近の該シート表面部21Aに凹凸表面形状を形成したものを用いて、前記ラップスプライスを行うことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
また、かかる(6)の本発明の空気入りタイヤの製造方法において、以下の(7)〜(9)のいずれかの構成を有することが好ましい。
(7)前記凹凸表面形状の形成を、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2の成形過程から、タイヤ加硫過程までの間で行うことを特徴とする上記(6)記載の空気入りタイヤの製造方法。
(8)前記凹凸表面形状の形成を、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2を成形した後に、ロール表面に凸凹形状を有する加熱ロールの表面に、前記シート2を圧着して行うことを特徴とする上記(7)記載の空気入りタイヤの製造方法。
(9)前記凹凸表面形状の形成を、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2を成形した後に、ロール表面にやすり掛けして行うことを特徴とする上記(7)記載の空気入りタイヤの製造方法。
請求項1にかかる本発明の空気入りタイヤによれば、空気入りタイヤの走行を開始した後、スプライスされた積層体シート(インナーライナー層)のスプライス部分付近においてクラックを発生することがなく耐久性に優れた空気入りタイヤが提供される。
特に、請求項2〜請求項5にかかる本発明の空気入りタイヤによれば、上記請求項1にかかる本発明の空気入りタイヤの効果を有するとともに、その効果をより確実にかつより大きく得ることができる。
請求項6にかかる本発明の空気入りタイヤの製造方法によれば、空気入りタイヤの走行を開始した後、スプライスされて形成された積層体シート(インナーライナー層)のスプライス部分付近においてクラックを発生することがなく、耐久性に優れた空気入りタイヤの製造方法が提供される。
請求項7〜9のいずれかにかかる本発明の空気入りタイヤの製造方法によれば、上記請求項6にかかる本発明の空気入りタイヤの製造方法の効果を有するとともに、その効果をより確実にかつより大きく得ることができる。
本発明の空気入りタイヤを説明するためのものであり、(a)は、凹凸表面形状を形成された熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物からなるシート2と、該熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物と加硫接着するゴム3を積層した積層体シート1を所定長さで切断し、タイヤ成形ドラムに巻き付けて、該積層体シート1の両端部をラップスプライスした状態を示すモデル図であり、(b)は、(a)に示した状態で加硫成形した後の状態を示したモデル図である。 本発明におけるシート面21に形成する凹凸表面形状の例をモデル的に示したものであり、(a)は平面図、(b)は先端の端面図であり、斜め格子状を呈して直交して走るストライプ状溝により形成した凹凸形状を示している。 本発明におけるシート面21に形成する凹凸表面形状の他の例をモデル的に示したものであり、(a)は平面図、(b)は先端の端面図であり、方向性なくヤスリを掛けて形成した凹凸形状を示している。 本発明にかかる空気入りタイヤを説明するタイヤ子午線方向の断面図であり、タイヤ幅方向において全幅にわたりラップスプライス部が存在する中で、タイヤ幅方向にシート面21上に凹凸表面形状を形成することが好ましい部分をモデル的に示したものである。 (a)は、凹凸表面形状を形成されていない熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物からなるシート2と、該熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物と加硫接着するゴム3を積層した積層体シート1を所定長さで切断し、タイヤ成形ドラムに巻き付けて、該積層体シート1の両端部をラップスプライスした状態を示すモデル図であり、(b)は、(a)に示した状態で加硫成形した後の状態を示したモデル図である。 本発明にかかる空気入りタイヤの形態の1例を示した一部破砕斜視図である。
以下、図面等を参照しながら、更に詳しく本発明の空気入りタイヤと空気入りタイヤの製造方法について、説明する。
本発明の空気入りタイヤは、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂組成物と加硫接着するゴムシートを積層した積層体シート1の端部をラップスプライスしてインナーライナー層10を形成させた空気入りタイヤにおいて、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2として、前記ゴムシートとの積層側となる該シート面21のうち、少なくとも前記ラップスプライス部S付近の該シート面部21Aに、凹凸表面形状を形成したものを用いてなることを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤは、このように構成することにより、該熱可塑性樹脂組成物からなるシート2を局所的に薄ゲージ化できることおよび表面積を増大化できることになり、表面積の増大によるフィルム接着性の改善、およびスプライス部Sの応力集中が緩和されることなり、これらの要因によりスプライス部付近におけるクラック、剥離の発生を抑制することができる。
特に、該シート2の先端部において、図1(b)に示した例のように、凹凸形状の凹部が位置するようにして形成すると、当該部分での剛性が小さくなり剛性差に基づくクラックの発生防止により効果的である。
シート面21に凹凸表面形状を形成するのは、図2(a)にモデルを示したように、該シート2の長手方向Lに対して斜めに直線状に走り交差する直線状凹溝22、23を設けるとよい。このようにすると、シート先端部5において、図2(b)に示したように、必ず凹溝部22、23が存在することとなるので、先端に薄ゲージ部を設けてスプライス部S付近の剛性を低くする効果を確実に得ることができる。図2(b)において24は突条であり、隣接する凹溝の境界を成している。
図3は、本発明におけるシート面21に形成する凹凸表面形状の他の例をモデル的に示したものであり、方向性なくヤスリを掛けて形成した凹凸形状を示しており、(a)は平面図、(b)は先端の端面図である。図2、図3に示した態様のいずれも、シート長手方向に対して斜め方向に凹凸形状が走るように形成することが適宜な応力集中の緩和、接着性の改善を実現する上で好ましい。斜め方向に走らせる傾きの程度は、シートの長手方向に対して10°〜80°の角度で交差するようにするのがよい。好ましくは25°〜65°である。
本発明において、凹凸表面形状は前記熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2の最大厚さT(μm)との関係で、下記(a)式で表される凹凸深さt(μm)で形成されていることが、本発明の効果をより高く得る上で好ましい。この関係を図2(b)で示した。
0.1T≦t≦0.8T ………(a)
また、凹凸表面形状は、凹凸の平均間隔(隣接する凹部または凸部どおし間のエッジ間距離)が0.05〜10mmであるように形成されていることが、本発明の効果をより高く得る上で好ましい。すなわち、該値と対応して、凹部の幅は0.05〜10mm、突条の幅は0.05〜10mmとするのがよく、中でもより好ましくは、凹部の幅は0.1〜0.5mm、突条の幅は0.5〜10mmとするのがよい。また、該シート2の最小厚さは、10〜100μmとするのがよく、厚さが薄すぎると、空気透過防止性能が低くなり、インナーライナー層としての機能が低下してしまうので注意を要する。
また、タイヤ子午線断面上でいうと、前記凹凸表面形状は、図4にモデル図を示したように少なくともタイヤ幅方向で、ベルト端部からタイヤ赤道側に50mmの位置から、タイヤ最大幅位置からビード側に50mmの位置までの間に配置されるように構成されていることが、本発明の効果をより高く得ることができ好ましい。タイヤショルダー部近辺で、繰り返して力が加わり、クラックや剥離の発生が多いからである。さらに好ましくは、該ベルト端部からタイヤ赤道側に50mmの位置から、タイヤ最大幅位置からビード側に50mmの位置までの間の領域Zには全面的に凹凸表面形状が形成されているようにするのがよい。
また、凹凸表面形状は、ラップスプライス部S付近のシート面部21Aに形成をすると、該ラップスプライス部付近でのクラック発生防止という所期の効果を達成できるので、十分であるが、その効果とは別に、さらに、前記シート表面21の全域に形成されていることも好ましい。そのようにして構成すると、該シート2をいかような長さで切断してスプライスする場合であっても、常にスプライス部付近には凹凸形状が存在することとなり、本発明の効果を得ることができるからである。あるいは、図4に示したショルダー付近に全周にわたり存在するように、成形後にショルダー部となる位置にだけシート長さ方向で全長にわたり凹凸表面形状を設けるようにしてもよい。部分的にかつ効率的に本発明の効果を高度に得ることができるからであり、全体の空気透過防止性能も高く維持できる点で好ましいものである。
本発明の空気入りタイヤの製造方法は、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるゴムシートと、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂組成物と加硫接着するゴムシートを積層した積層体シートの端部をラップスプライスして環状に形成した後、タイヤの加硫成形工程に供して前記積層体シートからなるインナーライナー層を形成させる空気入りタイヤの製造方法において、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2として、前記ゴムシートとの積層側となる該シート面21のうち、少なくともラップスプライス部付近の該シート表面部21Aに凹凸表面形状を形成したものを用いて、前記ラップスプライスを行う空気入りタイヤの製造方法である。
かかる本発明の方法において、凹凸表面形状の形成は、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2の成形過程から、タイヤ加硫過程までの間で行うことが好ましい。
具体的には、凹凸表面形状の形成を、前記シート2を成形した後に、ロール表面に凸凹形状を有する加熱ロールの表面に、前記シート2を圧着して行うことや、あるいは、前記シート2を成形した後に、ロール表面にやすり掛けして行うことにより行うことが好ましい。凹凸表面形状の形成を確実に精度良く行うためには、熱エンボスロール間に該シート2を通して連続的に加工すること、あるいは、熱エンボスプレートを用いてバッチ式で加工することがよい。該シートは、基本的に熱可塑特性を有するものであり、高温下での賦形加工は容易である。また、やすり掛けなどの研磨加工、切削加工でも凹凸表面形状の形成を行うことができる。
図6は、本発明にかかる空気入りタイヤの形態の1例を示した一部破砕斜視図である。空気入りタイヤ100は、トレッド部11の左右にサイドウォール部12とビード部13を連接するように設けている。そのタイヤ内側には、タイヤの骨格たるカーカス層14が、タイヤ幅方向には左右のビード13、13間に跨るように設けられている。トレッド部11に対応するカーカス層4の外周側にはスチールコードからなる2層のベルト層15が設けられている。矢印Xはタイヤ周方向を示している。カーカス層14の内側には、インナーライナー層10が配され、そのラップスプライス部Sがタイヤ幅方向に延びて存在している。本発明にかかる空気入りタイヤでは、タイヤ内周面上でこのラップスプライス部S付近で従来は生じやすかったクラックの発生、インナーライナー層10を形成している熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物からなるシート2とタイゴムシート3の間のクラックの発生、剥離の発生が抑制されて耐久性が著しく向上するものである。
シート2は、熱可塑性樹脂100%からなるものでもよいが、インナーライナーとしての空気透過防止性能や、凹凸形態の維持性の上から、熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物であることが好ましい。
以下に、本発明で用いることのできる熱可塑性樹脂、エラストマーについて説明する。
本発明で用いることのできる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂〔例えば、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体〕及びそれらのN−アルコキシアルキル化物、例えば、ナイロン6のメトキシメチル化物、ナイロン6/610共重合体のメトキシメチル化物、ナイロン612のメトキシメチル化物、ポリエステル系樹脂〔例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル〕、ポリニトリル系樹脂〔例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、(メタ)アクリロニトリル/スチレン共重合体、(メタ)アクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体〕、ポリメタクリレート系樹脂〔例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル〕、ポリビニル系樹脂〔例えば、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PDVC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体(ETFE)〕、セルロース系樹脂〔例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース〕、フッ素系樹脂〔例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体〕、イミド系樹脂〔例えば、芳香族ポリイミド(PI)〕等を好ましく用いることができる。
また、本発明で使用できる熱可塑性樹脂組成物を構成する熱可塑性樹脂とエラストマーは、熱可塑性樹脂については上述のものを使用できる。エラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴム及びその水添物〔例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR、高シスBR及び低シスBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム〔例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー〕、含ハロゲンゴム〔例えば、Br−IIR、CI−IIR、臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体(BIMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレンゴム(M−CM)〕、シリコンゴム〔例えば、メチルビニルシリコンゴム、ジメチルシリコンゴム、メチルフェニルビニルシリコンゴム〕、含イオウゴム〔例えば、ポリスルフィドゴム〕、フッ素ゴム〔例えば、ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム〕、熱可塑性エラストマー〔例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ボリアミド系エラストマー〕等を好ましく使用することができる。
また、前記した特定の熱可塑性樹脂と前記した特定のエラストマーとの組合せでブレンドをするに際して、相溶性が異なる場合は、第3成分として適当な相溶化剤を用いて両者を相溶化させることができる。ブレンド系に相溶化剤を混合することにより、熱可塑性樹脂とエラストマーとの界面張力が低下し、その結果、分散層を形成しているエラストマーの粒子径が微細になることから両成分の特性はより有効に発現されることになる。そのような相溶化剤としては、一般的に熱可塑性樹脂及びエラストマーの両方または片方の構造を有する共重合体、あるいは熱可塑性樹脂またはエラストマーと反応可能なエポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基、アミノ基、オキサゾリン基、水酸基等を有した共重合体の構造をとるものとすることができる。これらはブレンドされる熱可塑性樹脂とエラストマーの種類によって選定すればよいが、通常使用されるものには、スチレン/エチレン・ブチレンブロック共重合体(SEBS)及びそのマレイン酸変性物、EPDM、EPM、EPDM/スチレンまたはEPDM/アクリロニトリルグラフト共重合体及びそのマレイン酸変性物、スチレン/マレイン酸共重合体、反応性フェノキシン等を挙げることができる。かかる相溶化剤の配合量には特に限定されないが、好ましくは、ポリマー成分(熱可塑性樹脂とエラストマーとの合計)100重量部に対して、0.5〜10重量部がよい。
熱可塑性樹脂とエラストマーがブレンドされた熱可塑性樹脂組成物において、特定の熱可塑性樹脂とエラストマーとの組成比は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連続相として分散した構造をとるように適宜決めればよく、好ましい範囲は重量比90/10〜30/70である。
本発明において、熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物には、インナーライナーとしての必要特性を損なわない範囲で相溶化剤などの他のポリマーを混合することができる。他のポリマーを混合する目的は、熱可塑性樹脂とエラストマーとの相溶性を改良するため、材料の成型加工性を良くするため、耐熱性向上のため、コストダウンのため等があり、これに用いられる材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS、SBS、ポリカーボネート(PC)等を例示することができる。また、一般的にポリマー配合物に配合される充填剤(炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ等)、カーボンブラック、ホワイトカーボン等の補強剤、軟化剤、可塑剤、加工助剤、顔料、染料、老化防止剤等をインナーライナーとしての必要特性を損なわない限り任意に配合することもできる。熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連続相として分散した構造をとる。かかる構造をとることにより、インナーライナーに十分な柔軟性と連続相としての樹脂層の効果により十分な剛性を併せ付与することができるとともに、エラストマーの多少によらず、成形に際し、熱可塑性樹脂と同等の成形加工性を得ることができるものである。
また、エラストマーは熱可塑性樹脂との混合の際、動的に加硫することもできる。動的に加硫する場合の加硫剤、加硫助剤、加硫条件(温度、時間)等は、添加するエラストマーの組成に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。
このように熱可塑性樹脂組成物中のエラストマーが動的加硫をされていることは、該シートが加硫エラストマーを含んだシートとなるので、外部からの変形に対して抵抗力(弾性)があり、薄くても、強度が大きく耐久性があり、またインナーライナー層として空気透過防止性が高いものが実現できる点で好ましく、表面の凹凸構造の形態維持性、空気透過防止性を良好にする上で、最適である。
加硫剤としては、一般的なゴム加硫剤(架橋剤)を用いることができる。具体的には、イオン系加硫剤としては粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等を例示でき、例えば、0.5〜4phr〔本明細書において、「phr」は、エラストマー成分100重量部あたりの重量部をいう。以下、同じ。〕程度用いることができる。
また、有機過酸化物系の加硫剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が例示され、例えば、1〜20phr程度用いることができる。
更に、フェノール樹脂系の加硫剤としては、アルキルフェノール樹脂の臭素化物や、塩化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナーとアルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋系等が例示でき、例えば、1〜20phr程度用いることができる。
その他として、亜鉛華(5phr程度)、酸化マグネシウム(4phr程度) 、リサージ(10〜20phr程度)、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン(2〜10phr程度)、メチレンジアニリン(0.2〜10phr程度)が例示できる。
また、必要に応じて、加硫促進剤を添加してもよい。加硫促進剤としては、アルデヒド・アンモニア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオ酸塩系、チオウレア系等の一般的な加硫促進剤を、例えば、0.5〜2phr程度用いることができる。
具体的には、アルデヒド・アンモニア系加硫促進剤としては、ヘキサメチレンテトラミン等、グアジニン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアジニン等、チアゾール系加硫促進剤としては、ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)、2−メルカプトベンゾチアゾール及びそのZn塩、シクロヘキシルアミン塩等、スルフェンアミド系加硫促進剤としては、シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアマイド(CBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアマイド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアマイド、2−(チモルポリニルジチオ)ベンゾチアゾール等、チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジサルファイド(TMTD)、テトラエチルチウラムジサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラサルファイド等、ジチオ酸塩系加硫促進剤としては、Zn−ジメチルジチオカーバメート、Zn−ジエチルジチオカーバメート、Zn−ジ−n−ブチルジチオカーバメート、Zn−エチルフェニルジチオカーバメート、Te−ジエチルジチオカーバメート、Cu−ジメチルジチオカーバメート、Fe−ジメチルジチオカーバメート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等、チオウレア系加硫促進剤としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア等を挙げることができる。
また、加硫促進助剤としては、一般的なゴム用助剤を併せて用いることができ、例えば、亜鉛華(5phr程度)、ステアリン酸やオレイン酸及びこれらのZn塩(2〜4phr程度)等が使用できる。
熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、予め熱可塑性樹脂とエラストマー(ゴムの場合は未加硫物)とを2軸混練押出機等で溶融混練し、連続相(マトリックス)を形成する熱可塑性樹脂中に分散相(ドメイン)としてエラストマーを分散させることによる。エラストマーを加硫する場合には、混練下で加硫剤を添加し、エラストマーを動的加硫させてもよい。また、熱可塑性樹脂またはエラストマーへの各種配合剤(加硫剤を除く)は、上記混練中に添加してもよいが、混練の前に予め混合しておくことが好ましい。
熱可塑性樹脂とエラストマーの混練に使用する混練機としては、特に限定はなく、スクリュー押出機、ニーダ、バンバリミキサー、2軸混練押出機等が使用できる。中でも熱可塑性樹脂とエラストマーの混練およびエラストマーの動的加硫には、2軸混練押出機を使用するのが好ましい。更に、2種類以上の混練機を使用し、順次混練してもよい。溶融混練の条件として、温度は熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であればよい。また、混練時の剪断速度は1000〜7500sec-1であるのが好ましい。混練全体の時間は30秒から10分、また加硫剤を添加した場合には、添加後の加硫時間は15秒から5分であるのが好ましい。上記方法で製作されたポリマー組成物は、射出成形、押出し成形等、通常の熱可塑性樹脂の成形方法によって所望の形状にすればよい。
このようにして得られる熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連続相として分散した構造をとる。かかる構造をとることにより、インナーライナーに十分な柔軟性と連続相としての樹脂層の効果により十分な剛性を併せ付与することができると共に、エラストマーの多少によらず、成形に際し、熱可塑性樹脂と同等の成形加工性を得ることができる。
熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマー組成物のヤング率は、特に限定されるものではないが、好ましくは1〜500MPa、より好ましくは50〜500MPaにするとよい。
また、タイゴムシートは、天然ゴム、イソプレン、エチレン-プロピレンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムおよびブチルゴムのいずれか1種または複数種をポリマー中の主成分とするものを使用することが好ましい。
以下、実施例などにより、本発明の空気入りタイヤとその製造方法について具体的に説明する。
なお、空気入りタイヤの評価は、各試験タイヤの内腔のインナーライナー層のスプライス部付近でのクラックの発生、剥離の発生をそれ以外の部分での状況とも比較しつつ行った。
試験タイヤとして、215/70R15 98Hを用い、各実施例、比較例ごとに各2本を作製し、これをJATMA標準リム15×6.5JJに取り付け、タイヤ内圧をJATMA最大空気圧(240kPa)とした。
実施例1〜6、比較例1
インナーライナー層を構成する熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物のシート2は、実施例1〜6では、表1に示すように熱可塑性樹脂としてN6/66、エラストマーとしてBIMSを50/50でブレンドをした熱可塑性樹脂組成物の厚さ150μmのシートを準備した。
各シートを所定長さに切断した後、一方のシート面の表面全域に、図2に示したもののように格子状に交差しながらシート長さ方向に対して45°の角度でストライプ状に延びる凹凸溝を、熱エンボスロールを使用して形成した。凹凸溝の各スペックは、表3の通りである。
比較例1のものは、凹凸溝などを設けない全表面がフラットで均一厚さのものである。
さらに、表2に示すような組成の厚さ700μmの接着タイゴムシートを、上述した実施例1〜6の各表面凹凸形成シートと、該凹凸形成面がタイゴムシート側になるようにして積層し、各積層シートを成形ドラム上に重なり長さ10mmでラップスプライスして、その他は通常の加硫成形方法により、それぞれ上述した仕様の空気入りタイヤを製造した。比較例1のシートについても、同様に、成形ドラム上に重なり長さ10mmでラップスプライスして、その他は通常の加硫成形方法により、上述した仕様の空気入りタイヤを製造した。
各試験タイヤは、以下の試験方法で耐久性を評価した。
(1)耐久性の評価方法
各試験空気入りタイヤを7.35kNの荷重で20,000km走行させた後、各試験タイヤの内腔のインナーライナー層のスプライス部付近でのクラックの発生の有無を観察し、表3では、無しを「○」、有りを「×」で表示した。
Figure 2013141758
Figure 2013141758
Figure 2013141758
1:積層体シート
2:熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物のシート
3:タイゴムシート
4:熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂組成物のシート2の先端部付近
5:シート先端部
10:インナーライナー層
11:トレッド部
12:サイドウォール部
13:ビード
14:カーカス層
15:ベルト層
21:タイゴムシートとの積層側となるシート面
21A:シート面21のうち少なくともラップスプライス部付近のシート表面部
22、23:凹溝部
24:突条
100:タイヤ
L:シート長手方向
S:スプライス部
X:タイヤ周方向

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂組成物と加硫接着するゴムシートを積層した積層体シート1の端部をラップスプライスしてインナーライナー層10を形成させた空気入りタイヤにおいて、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2として、前記ゴムシートとの積層側となる該シート面21のうち、少なくとも前記ラップスプライス部付近の該シート表面部21Aに、凹凸表面形状を形成したものを用いてなることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記凹凸表面形状が、前記熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2の最大厚さT(μm)との関係で、下記(a)式で表される凹凸深さt(μm)で形成されていることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
    0.1T≦t≦0.8T ………(a)式
  3. 前記凹凸表面形状が、凹凸の平均間隔が0.05〜10mmであるように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記凹凸表面形状が、少なくとも、タイヤ幅方向で、ベルト端部からタイヤ赤道側に50mmの位置から、タイヤ最大幅位置からビード側に50mmの位置までの間において、配置されるように構成されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記凹凸表面形状が、タイヤ内腔側となる前記シート表面21の全域に形成されていることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
  6. 熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるゴムシートと、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂組成物と加硫接着するゴムシートを積層した積層体シートの端部をラップスプライスして環状に形成した後、タイヤの加硫成形工程に供して前記積層体シートからなるインナーライナー層を形成させる空気入りタイヤの製造方法において、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2として、前記ゴムシートとの積層側となる該シート面21のうち、少なくとも前記ラップスプライス部付近の該シート表面部21Aに凹凸表面形状を形成したものを用いて、前記ラップスプライスを行うことを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
  7. 前記凹凸表面形状の形成を、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2の成形過程から、タイヤ加硫過程までの間で行うことを特徴とする請求項6記載の空気入りタイヤの製造方法。
  8. 前記凹凸表面形状の形成を、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2を成形した後に、ロール表面に凸凹形状を有する加熱ロールの表面に、前記シート2を圧着して行うことを特徴とする請求項7記載の空気入りタイヤの製造方法。
  9. 前記凹凸表面形状の形成を、前記熱可塑性樹脂または前記熱可塑性樹脂中にエラストマーをブレンドした熱可塑性樹脂組成物からなるシート2を成形した後に、ロール表面にやすり掛けして行うことを特徴とする請求項7記載の空気入りタイヤの製造方法。
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