プレス機械は、スライドを昇降運動させつつ上型と下型の協働によりプレス加工して製品を生産する。製品精度を決める重要な一つの要因は、スライドの下死点位置を一定とすることである。
一般的に、下死点位置とプレス速度とには、図9に示すように、密接な関係がある。図9の横軸はプレス機械のショット数を、縦軸はスライドの下死点位置とプレス速度を示す。図9において、下死点位置は、プレス加速運転中は傾斜部に示す如くなり、プレス定速運転中は水平部に示す如くなる。すなわち、プレス速度が増加すれば、下死点におけるスライドの下向き慣性力が大きくなるので、プレス速度の増加に伴いスライドの下死点位置は下がる。プレス速度一定の場合は下死点位置の変動は非常に小さい。
かくして、下死点位置が適正か否かの判定や、プレス運転中の下死点位置の適正化は重要である。
判定装置としては、刻印された凹所数で判定するものが提案(特許文献1参照)されている。すなわち、高さの異なるパンチによって製品にマーキング(刻印)し、マークの個数から下死点位置を判定し、その後の手作業で下死点位置を補正するために供される。
下死点位置補正装置としては、プレスのダイハイト(例えば、ボルスタ上面からスライド下面までの距離)を検出するためのセンサーを設け、常に、このセンサーからの検出信号を基にスライド調節機構を駆動制御しつつ、スライドの実際下死点位置を目標下死点位置に合わせるように自動補正するものが多い。
この下死点位置補正装置についての代表的な改善案(特許文献2)を挙げる。この改善装置は、加速運転中と定速運転中との下死点位置の変動特性に着目し、いずれの場合にも補正精度を担保しつつ制御負担を軽減するものである。すなわち、この改善装置は、プレス速度(SPM)が変化している場合は、SPMに応じスライドの加速度が変化(結果として、下死点位置が変化)するので、単サイクル毎にスライドの下死点位置を補正する。他方、SPMが安定している場合は、複数サイクル毎にスライドの下死点位置を補正するように形成されている。
ところで、積層製品(電磁鋼板等の薄板を打ち抜きかつ積層により完成される。)を生産するプレス機械には、打ち抜かれた薄板をスキューズリングで保持しつつ積層可能に形成されたスキューズリング保持方式(特許文献3)と、積層半製品をアクチュエータ(例えば、油圧シリンダ)により下降させつつ積層するアクチュエータ昇降方式(特許文献4)とが知られている。
前者方式のプレス機械では、打ち抜きダイの下部にダイの直径より僅かに小径のスキューズリングを設け、打ち抜かれて来た薄板(鉄心片等)をスキューズリングで受けとめつつ保持し、次いでパンチによって打ち抜き落とされる薄板とカシメ積層する。この方式に関しては、薄板の一層の大径化や薄肉化に備え、スキューズリングの周辺に磁石を配置して、薄板の保持力を強化する改善策が提案(特許文献5)されている。
後者方式のプレス機械は、薄板をプレスで打ち抜き、薄板の表面側に凹部、裏面側に凸部のカシメ用突起を設ける(本願に係る図4、図5を参照)。積層金型においてかつ製品完成以前の積層過程において、半製品に対し嵌合カシメ圧を加える。そして、複数枚積層することによって製品(モータコア,トランス等)とする。アクチュエータは、以上の加工工程を円滑に実施させるために、下金型内の下方から半製品を支持する。
すなわち、アクチュエータは、特許文献4の図面(図3、図4)を参照して説明すると、ワーク支持部(受け台12)をプレス加工位置(図4で上方部)から所定量以上の距離だけ下がった製品排出位置(図4で下方部)へ下降可能かつ製品排出後にプレス加工位置に戻すために上昇可能に形成されている。
詳しくは、プレスストローク毎に前工程でカシメ用の凹凸が成形された積層鉄心は、最終的に積層するためのダイ内に打ち抜かれる。ダイ内のアクチュエータは、打ち抜きパンチによる打ち抜きカシメ時における受け圧を発生し、カシメ毎に積層鉄心の板厚相当量だけ下降する。また、製品(積層鉄心が所定積厚に積層されている。)を型外に排出する際は、一時的にアクチュエータ(油圧シリンダ)を脱圧して製品排出位置まで下降させ、製品を金型外に排出後にアクチュエータを再度上昇し、加圧させる。
また、上記した積層鉄心は、所定枚数毎に凹部のみが存在するもの(凸部は無い。)が打ち込まれる。その積層鉄心よりも先にダイ内に打ち込まれたものと、その積層鉄心に引き続いて打ち込まれて来るそれ以後のものとが、その積層鉄心の存在により非結合となる。
アクチュエータの動きに伴い、プレス機械のスライドの下死点も、スライドを駆動するためのサスペンション内部のすきまやアクチュエータの負荷に応じて急激に下降、上昇(復帰)を繰り返す。ダイ内のアクチュエータが所定の積厚に積層された積層鉄心を型外に排出するために下降すると、打ち抜きカシメ時における打ち抜きパンチに抗するアクチュエータによる受け圧が消失するので、スライド下死点は急激に下降する。
図10(A)は、従来例(スライドの下死点位置補正を行わない。)における主にプレス速度増加時を説明するための図である。横軸はプレス機械のショット数を、縦軸はスライドの下死点位置を示す。下死点位置は、プレス速度の増加とともに下降する。また、アクチュエータの脱圧・下降に伴い、打ち抜きカシメ時における打ち抜きパンチに抗するアクチュエータによる受け圧が消失するので、下死点位置も急激に下降する。
図10(B)は、従来例(スライドの下死点位置補正を行わない。)における主にプレス速度安定時を説明するための図である。スライドの下死点位置は、アクチュエータの脱圧・下降あるいは加圧・上昇に伴い、スライドを駆動機構内部のすきまやアクチュエータの負荷に応じて急激に下降あるいは上昇する。下降量はストッパーの有無あるいはプレス機械内部のすきまやアクチュエータの負荷量に応じて変化する。
なお、下死点位置が下降した場合でも、製品精度に対して不具合の発生を無くすための機械的方策が採られている場合も多い。つまり、スライドを駆動するサスペンション内部のすきまが大きく、これによって下死点が大きく下降するような場合でも、金型に下死点ストッパブロックを設け、このブロックによって下降量を制限するものである。
以上に説明したように、従来例では、スライドの下死点位置に過大な外乱を与えるアクチュエータが組み込まれていることから、下死点位置の自動補正は殆ど行われていない。
ここに、出願人は、アクチュエータ昇降方式のプレス機械に下死点位置補正装置を導入すべく試みた。組み込んだ下死点位置補正装置は、上記のように目標下死点位置とプレス運転中の検出下死点位置とを利用してスライドの実際下死点位置を目標下死点位置に合わせるように位置補正するものである。
図7(A)に、主にプレス変速時における毎サイクルショットに自動補正を行った場合の下死点位置変化を示す。横軸はショット数を、縦軸はスライドの下死点位置およびプレス速度を示す。図中の“0”の位置よりも下側は下死点位置が下がる方向を示し、上側は下死点位置が上がる方向を示す。また、図7(B)に、プレス定速時における毎サイクルショットに自動補正を行った場合の下死点位置変化を示す。
すなわち、下死点位置の補正制御中に、アクチュエータの脱圧・下降あるいは加圧・上昇が行われると、急激で過大なスライドの下死点位置変化が生じる。毎ショットの下死点を監視している場合でもフィードバック制御のために、アクチュエータの上昇・下降動作のような外乱による急激で過大な下死点位置の変化を防止することはできない。下死点位置補正装置による補正は、目標下死点位置から外れた実際下死点位置が存在することにより、次のストロークで実行されるからである。つまり、プレス変速時でもプレス定速時でも、外乱により急激に変化した下死点位置が目標下死点位置から外れた実際下死点位置になることは避けられない。図7(A)および(B)に示した応答遅れに相当する急激で過大な下死点位置変動Dyu,Dydが発生する。
次に、複数サイクル毎に平均し下死点位置を補正する場合(図8)は、現在を含む過去の任意の複数ショットの平均値が補正値となるため遅れが生じる。予期せぬ急激で過大な下死点位置変化により発振状態となる。遅れの発生以外に発振する。つまり、制御不能状態となり、下死点位置が上下に大きくうねるように変動する可能性が高くなる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面(図1〜図6)を参照して詳細に説明する。
本発明は、設定された目標下死点位置Hxとプレス運転中に検出された検出下死点位置(Spsa,Spsb)とを利用してスライド5の実際下死点位置を目標下死点位置Hxに合わせるように位置補正する下死点位置補正制御手段(31、33、34)を設け、選択された選択下死点位置を設定する選択下死点位置設定手段[35、(31、33、34)]と、目標下死点位置を選択下死点位置に切り換え設定する下死点位置切換設定手段(31、33、34)とを設け、下死点位置補正制御手段(31、33、34)が切り換え設定後の選択下死点位置と検出下死点位置とを利用してスライド5の実際下死点位置を選択下死点位置に合わせるように位置補正可能に形成されている。
なお、この明細書中のワークは、プレス加工前の素材(薄板)、プレス加工された半製品および積層完成された製品のいずれをも意味するものとする。また、下死点位置補正制御手段(31、33、34)は、説明便宜上、下死点位置補正実行に際して手動運転モードを選択した場合に働くものを第1の下死点位置補正制御手段と呼称し、自動運転2モードを選択した場合に働くものを第2の下死点位置補正制御手段と呼称し、自動運転1モードを選択した場合に働くものを第3の下死点位置補正制御手段と呼称する場合がある。
選択下死点位置設定手段[35、(31、33、34)]は目標下死点位置Hxよりも低い位置として選択された選択下死点位置(例えば、選択高位下死点位置)を設定できる。下死点位置切換設定手段(31、33、34)はアクチュエータの昇降動作連関信号Sdyc(例えば、上昇動作開始指令信号Sup)に関与して目標下死点位置を選択下死点位置に切り換え設定することができる。第1の下死点位置補正制御手段(31、33、34)を、ワーク支持部がプレス加工位置に戻された状態で切り換え設定済みの選択下死点位置(例えば、選択高位下死点位置)と検出下死点位置とを利用して実際下死点位置を選択下死点位置に合わせるように位置補正可能に形成してある(請求項1の発明に対応)。
また、ワーク支持部が製品排出部の方向に下降されている場合はストッパブロックを用いて下死点位置を規制するように構築し、アクチュエータの下降後の再上昇に伴う実際下死点位置の急激で過度な上昇を防止可能に形成してある。
この実施の形態では、さらに多様な機能の選択性拡大化および操作簡便化を企図して、プレス機械の特性やプレス運転態様に最適な下死点位置補正を選択的に実行可能に形成してある。
すなわち、選択下死点位置設定手段を選択高位下死点位置および選択低位下死点位置を設定可能とする、とともに手動設定および自動設定を選択可能に形成してある(請求項2、請求項3の発明に対応)。また、下死点位置切換設定手段をアクチュエータの動作状況(昇降動作連関信号Sdyc)により切換設定可能に形成し、下死点位置補正制御手段の補正制御開始条件も選択可能に形成してある(請求項2、請求項3の発明に対応)。さらに、選択高位下死点位置および選択低位下死点位置をアクチュエータの動作状況(昇降動作連関信号Sdyc)に照らし自動測定可能でかつ選択高位下死点位置設定手段および選択低位下死点位置設定手段が各実測値を自動設定可能に形成されている(請求項4、請求項5の発明に対応)。
さて、図1に示すプレス機械1には、ワーク支持部を上方のプレス加工位置から所定量以上の距離だけ下降可能でかつ製品排出後に元のプレス加工位置に戻すために上昇可能に形成されたアクチュエータが具備されている。ワーク支持部とは、特許文献4に記載された受け台(12)と同じ構造である。同様に、アクチュエータは油圧シリンダ(10)であり、このアクチュエータはプレスボルスタ(14)のインサートプレートの下面に固着されている。
上記の「所定量以上の距離」とは、スライド5の下降中にそれまでの抗力が無くなりスライドの下死点位置に大きな変動を及ぼすほどの距離である。アクチュエータを具備しないプレス機械のプレス加工運転中には生じ得ない程の大きな距離である。換言すれば、従来下死点位置補正装置を組み込んだプレス機械において、過大な制御時間遅れを生じさせ、制御振動を誘発し、あるいは制御困難の原因となるほどの大きな距離をいう。
図1において、プレス機械1の本体は、上方のクラウン2、下方のベッド3、これらを一体的に連結する平面四隅に配設されたコラム4からなる。これらコラム4に上下動可能に案内されたスライド5は、スライド駆動機構6よって上下動(昇降)される。このスライド5の1つの上下運動を1ストロークという。上型7はスライド5に装着され、下型8はベッド3上のボルスタ9に装着されている。上型7と下型8のスライド下死点における上下方向の相対位置、つまりスライド5の下面とボルスタ9の上面との距離がダイハイトと呼称される。ダイハイトを一定に維持することが、プレス製品の精度(品質)を保持するための必須条件である。すなわち、ボルスタ上面は一定高さなので、スライドの下死点位置を一定に維持することが高品質製品の生産に必須である。
クラウン2内には、クランク機構(クランク軸1S、コンロッド1Cを含む。)が配設されている。クランク軸1Sは図示しないメインモータによってクラッチを介し回転される。減速機構を介する場合もある。また、スライド駆動機構6およびスライド5は、クランク軸1Sに回動自在に懸架されたコンロッド1Cによって、昇降駆動される。スライド5の昇降範囲は、クランク機構の上死点位置から下死点位置である。
クランク軸1Sの他端軸部には、クランク軸1Sの回転角度を検出するクランク軸エンコーダ(図示省略)が設けられている。このクランク軸エンコーダの検出回転角度を信号処理することで、プレス速度(SPM)やスライド5の現在の上下方向位置(下死点位置等)を検出することができる。
なお、プレス機械1としては、構造・構成上、特に限定されない。また、スライド駆動機構としては、この実施の形態におけるクランク機構に限らず、プレス速度が高速になる程にスライド5の下死点位置の変動量(突っ込み量)が大きくなる傾向にある他の構造・構成(例えば、偏心駆動機構、リンク駆動機構あるいはねじ駆動機構)であっても、本発明はこの実施形態の場合と同様に実施することができる。
スライド位置調節機構10は、クラウン2の下面に配置されたウォーム軸11と構造部(図示しないウオームホイール、調節ねじ等を含む。)とからなり、スライド調節モータ12を駆動してウォーム軸11とスライド調節連結軸16を回転させることで、スライド5の上下方向相対位置(つまり、スライド5の下面位置)を調節することができる。クランク機構(1S,1C)によるスライド5の上下運動中においても、スライド位置調節機構10によりスライド位置を加減調整することができる。
スライド調節モータ12はサーボモータであり、図2に示す位置制御部15から出力される駆動制御用信号Sdvによって回転方向、回転量およびトルクが制御される。サーボアンプは図示省略した。この駆動制御用信号Sdvは、タッチパネル35を用いて設定されかつプレス運転制御手段(31、33、34)で生成されたプレスモーションに対応する目標下死点位置Cdvとスライド調節用エンコーダ17で検出された下死点位置(フィードバック値)θajとを利用して得た偏差信号に相応するものとして生成出力される。制御目標下死点位置信号Cdvはインターフェイス38を介して入力される。
スライドの下死点位置の検出(測定)は、スライド(下面)5とボルスタ9の相対位置関係を検出可能な図1の位置センサー18a,18bと、検出したスライド位置信号Spsa,Spsbを読み取る図2の下死点検出センサーアンプ19a,19bとで行われる。検出タイミングは、上記のクランク軸エンコーダで検出されたクランク角度信号を所定処理して生成出力されたタイミング信号Stgによる。検出下死点位置は、左右の検出下死点位置の平均値として取り扱うのが好ましい。
プレス機械1は、図4に示す薄板をプレスで打ち抜き、薄板の表面側に凹部、裏面側に凸部のカシメ用突起を設ける。積層金型においてかつ製品完成以前の積層過程において、半製品(ワーク)に対し嵌合カシメ圧を加える。そして、アクチュエータの協働の下に下金型内の下方から半製品を支持しつつ複数枚を積層することによって、図5に示す製品(モータコア,トランス等)を生産する。
その他のプレス機械1とアクチュエータとの機械的・構造的な組み合わせ並びに基本的な機能的事項も、上記した特許文献4(図3、図4)の場合と同様に構築してあるので、これ以上の説明は省略する。なお、構造的乃至機能的な事項の付随的な改変をしても本発明を実施することができる。
金型制御装置20は、金型を制御するための各種信号(アクチュエータの加圧・脱圧用信号、積層信号、積層枚数カウント信号、パンチ制御信号等)を生成する。図1、図2では、インターフェイス38を介してプレス運転制御装置30に入力される下死点位置補正制御に必要な金型運転状況信号Sdyc(下降動作連関信号Sdw、上昇動作連関信号Sup)と、プレス運転制御装置30から金型制御装置20に金型制御指令信号Sudcを示した。
下降動作連関信号Sdwは、アクチュエータ(ワーク支持台)の下降動作開始指令信号、下降動作開始信号、下降動作完了手前信号、下降動作完了信号等の中から利用目的に応じて選択されかつ選択変更することができる。上昇動作連関信号Supは、アクチュエータ(ワーク支持台)の上昇動作開始指令信号、上昇動作開始信号、上昇動作完了手前信号、上昇動作完了信号等の中から利用目的に応じて選択されかつ選択変更することができる。
図2において、プレス運転制御装置30は、CPU31、ROM32、RAM33、HDD34、タッチパネル35およびインターフェイス38・39とからなる。ROM32にはOS、基本的な制御プログラムや固定値が格納されている。HDD34は、本発明を実施するための各種制御プログラムを記憶保持する。設定入力されたデータや検出データ等も記憶保持する。なお、HDD34は、不揮発性メモリの一例として用いたので、これに代えた他の不揮発性メモリから構成してもよい。タッチパネル35は、説明便宜のために、操作部36および表示部37から形成されているものとする。
下死点位置補正制御手段(31、33、34)は、下死点位置補正制御プログラムを格納したるHDD34とRAM33に展開された当該下死点位置補正制御プログラムを実行するCPU31とからなり、設定された目標下死点位置Hxとプレス運転中に検出された検出下死点位置とを利用してスライド5の実際下死点位置を目標下死点位置に合わせるように位置補正を実行する。タッチパネル35を用いてプレスモーションを設定すると、あるいは予め設定記憶されたプレスモーションを選択指定すると、当該スライドモーションに対応する目標下死点位置Hxが決まる。
以下(および上記)の説明において、何々手段(31、33、34)と現されているものは、この下死点位置補正制御手段(31、33、34)の場合と同様な構成要素(CPU31、RAM33、HDD34)から形成されている。
ここに、選択下死点位置設定手段は、目標下死点位置Hxよりも低い位置として選択された選択下死点位置を設定する手段である。この実施形態では、選択下死点位置設定手段を選択低位下死点位置設定手段と選択高位下死点位置設定手段とから形成し、さらに、選択低位下死点位置設定手段および選択高位下死点位置設定手段は、手動設定モード方式と自動設定モード方式との2種類を設けてある。そして、実際運転に際して、タッチパネル35(36)を操作して設定モードを切り換えることができるように形成してある。プレス機械1の特性や運転態様等に最適な下死点位置補正制御を実行可能とするためである。
なお、請求項1の発明に係る選択下死点位置設定手段は、選択下死点位置(例えば、高位下死点位置相当)を設定する一つの設定手段から形成してもよい。この選択下死点位置(高位下死点位置相当)を目標値として補正制御すれば、アクチュエータ上昇時の下死点位置の急激で過度な変動を防止することができ得るからである。
手動設定モードで使用される選択低位下死点位置設定手段は、タッチパネル35から形成され、操作部36で入力されたデータを表示部37で確認しつつ選択低位下死点位置(目標下死点位置よりも低い位置)を設定することができる。設定された低位下死点位置は、HDD34内の設定下死点位置記憶エリアに記憶保持される。同様に、手動設定モードで使用される選択高位下死点位置設定手段も、タッチパネル35から形成され、操作部36で入力されたデータを表示部37で確認しつつ選択高位下死点位置(選択低位下死点位置よりも高い位置)を設定することができる。設定された高位下死点位置はHDD34内の設定下死点位置記憶エリアに記憶保持される。
なお、選択高位下死点位置は、目標下死点位置Hxよりも低い位置として設定することが好ましい。プレス機械1の実際プレス運転時の実際下死点位置に近づけられる場合が多いからである。
自動設定モードで使用される選択高位下死点位置設定手段(31、33、34)は、図3を参照して、アクチュエータの下降動作連関信号(例えば、下降動作開始指令信号)Sdwが入力された後[ステップ3(ST3)でYES(Y)]でかつスライド5の隣り合う前後のストロ-クにおける下降時実測下死点位置Hdwbf,Hdwafの差[△dw(=Hdwbf-Hdwaf)]が設定下降時変動量(△dsdw)以上になったことを条件(ST5でYES)に、最初に測定された下降時実測下死点位置Hdwbfを選択高位下死点位置として自動設定(ST6)するように形成されている。
下降時変動量(△dsdw)は、下降時変動量設定手段35を用いて予め設定され、HDD内の許容変動量記憶エリアに記憶保持されている。実測下死点位置Hdwbf,Hdwafは、下降動作連関信号(下降動作開始指令信号)Sdwが入力されたことを条件(ST3でYES)に、第1の前後下死点位置測定手段(31、33、34)によって実測(ST4)される。
自動設定モードで使用される選択低位下死点位置設定手段(31、33、34)は、図3を参照して、アクチュエータの下降動作連関信号(下降動作開始指令信号)Sdwが入力された後(ST3でYES)でかつスライド5の隣り合う前後のストロ-クにおける下降時実測下死点位置Hdwbf,Hdwafの差[△dw(=Hdwbf-Hdwaf)]が設定下降時変動量(△dsdw)以上になったことを条件(ST5でYES)に、後に測定された下降時実測下死点位置Hdwafを選択低位下死点位置として自動設定(ST7)する。
なお、ST5の設定下降時変動量(△dsdw)は、ST12の設定上昇時変動量△dsupと同じ値にしても、異なる値にしてもよい。運転態様に照らして決めればよい。
下死点位置切換設定手段(31、33、34)は、アクチュエータの昇降動作連関信号(例えば、上昇動作開始指令信号あるいは上昇動作完了手前信号あるいは上昇動作完了信号)Sdycに関与して、目標下死点位置Hxをタッチパネル35を用いて設定された選択下死点位置に切り換え設定する。
この実施の形態では、下死点位置切換設定手段を下降時下死点位置切換設定手段および上昇時下死点位置切換設定手段の2種類とし、いずれも当該下死点位置を自動切り換え可能に形成してある。
すなわち、自動設定モードの場合に働く下降時下死点位置切換設定手段(31、33、34)は、アクチュエータの下降動作連関信号(例えば、下降動作指令信号)Sdwが入力された場合(ST3でYES)に、目標下死点位置Hxを選択低位下死点位置Hdwafに切り換え設定する(ST8)。一方の上昇時下死点位置切換設定手段(31、33、34)は、アクチュエータの上昇動作連関信号(例えば、上昇動作開始指令信号)Supが入力された場合(図3のST10でYES)に、目標下死点位置Hxを選択高位下死点位置Hdwbfに切り換え設定する(ST13)。
次に、第1の下死点位置補正制御手段(31、33、34)は、請求項1の発明に対応し、切り換え設定された選択下死点位置と検出下死点位置とを利用してスライド5の実際下死点位置を選択下死点位置に合わせるように位置補正制御する。この実施形態では、下死点位置補正制御手段の補正制御実行条件を選択可能に形成してある。
すなわち、第2の下死点位置補正制御手段(31、33、34)は、請求項2の発明に対応し、ワーク支持部がプレス加工位置から所定量以上の距離だけ下降された状態では目標下死点位置Hxに代えた選択低位下死点位置と検出下死点位置とを利用してスライド5の実際下死点位置を選択低位下死点位置に合わせるように位置補正制御できかつワーク支持部が上昇してプレス加工位置に戻った状態では目標下死点位置に代えた選択高位下死点位置と検出下死点位置とを利用してスライドの実際下死点位置を選択高位下死点位置に合わせるように位置補正制御可能に形成されている。
ここで、「ワーク支持部がプレス加工位置から所定量以上の距離だけ下降された状態」および「ワーク支持部が上昇してプレス加工位置に戻った状態」は、金型制御装置20からの金型運転状況信号Sdycを利用して判別する。なお、他の確認手段(例えば、リミットスイッチ、近接スイッチ等)を設けて判別することもできる。
第3の下死点位置補正制御手段(31、33、34)は、請求項3の発明に対応し、第2の下死点位置補正制御手段に係る「ワーク支持部がプレス加工位置から所定量以上の距離だけ下降された状態」および「ワーク支持部が上昇してプレス加工位置に戻った状態」を下死点位置の変動から自動的に判別する方式とされている。
すなわち、第3の下死点位置補正制御手段(31、33、34)は、スライド5の隣り合う前後のストロ-クにおける下降時実測下死点位置Hdwbf,Hdwafの差[△dw(=Hdwbf-Hdwaf)]が設定下降時変動量(△dsdw)以上であるとき(ST5でYES)に、目標下死点位置Hxに代えた選択低位下死点位置Hdwafと検出下死点位置とを利用してスライド5の実際下死点位置を選択低位下死点位置Hdwafに合わせるように位置補正制御(ST9)する。スライド5の隣り合う前後のストロ-クにおける下降時実測下死点位置Hdwbf,Hdwafは、下降動作連関信号(下降動作指令信号)Sdwが入力(ST3でYES)された後に第1の前後下死点位置測定手段(31、33、34)によって測定(ST4)されたものである。
また、第3の下死点位置補正制御手段(31、33、34)は、スライド5の隣り合う前後のストロ-クにおける上昇時実測下死点位置Hupbf,Hupafの差[△up(=Hupaf-Hupbf)]が設定上昇時変動量(△dsup)以上であるとき(ST12でYES)に、目標下死点位置Hx(Hdwaf)に代えた選択高位下死点位置Hdwbfと検出下死点位置とを利用してスライド5の実際下死点位置を選択高位下死点位置Hdwbfに合わせるように位置補正制御(ST14)する。上昇時変動量△dsupは、上昇時変動量設定手段35を用いて予め設定され、HDD内の許容変動量記憶エリアに記憶保持されている。スライド5の隣り合う前後のストロ-クにおける上昇時実測下死点位置Hupbf,Hupafは、上昇動作連関信号(上昇動作指令信号)Supが入力(ST10でYES)された後に第2の前後下死点位置測定手段(31、33、34)によって測定(ST11)されたものである。
次に、この実施形態における動作を説明する。
(自動運転1)
タッチパネル35を用いて自動運転1モードを選択しておく。手動設定モードで使用される選択下死点位置設定手段35を用いて選択下死点位置(目標下死点位置Hx)を設定する。詳しくは、プレスモーションとして設定すると、選択下死点位置切換設定手段(31、33、34)が、目標値を設定プレスモーションに対応する目標下死点位置Hxに切換設定する(図3のST1)。補正開始指令を発すると、第3の下死点位置補正制御手段(31、33、34)が働き、選択下死点位置Hxと検出下死点位置(Spsa,Spsb)とを利用してスライド5の実際下死点位置を選択下死点位置に合わせるように位置補正制御(ST2)する。下降動作連関信号Sdwが入力されるまで、補正続行される(ST3でNO、ST2)。すなわち、当該プレスモーションに対応する図2に示す制御目標下死点位置信号Cdvが位置制御部15に生成出力される。スライド調節モータ12は、位置制御部15から出力される駆動制御用信号Sdv(制御目標下死点位置信号Cdvに相当する。)により回転駆動される。下死点位置補正が実行される(ST2)。図6の左端側に示すように、プレス速度の上昇に伴い下死点におけるスライド5に作用する下向きの慣性力は増大するが、この下死点補正制御により下死点位置の変動を解消できる。大きな変動は無い。また、プレス速度が安定している場合は、下死点位置の変動は殆ど無い。
金型制御装置20からアクチュエータの下降動作連関信号(下降動作開始指令信号)Sdwがプレス運転制御装置30に入力された後(ST3でYES)に、第1の前後下死点位置測定手段(31、33、34)がスライド5の隣り合う前後のストロ-クにおける下降時実測下死点位置Hdwbf,Hdwafを実測(ST4)する。位置センサー18a,18bからの検出スライド位置信号Spsa,Spsbを信号処理して実測される。選択高位下死点位置設定手段(31、33、34)は、下降動作連関信号(下降動作開始指令信号)Sdwの入力後でかつ下降時実測下死点位置Hdwbf,Hdwafの差(△dw)が設定下降時変動量(△dsdw)以上になったことを条件(ST5でYES)に、最初に測定された下降時実測下死点位置Hdwbfを選択高位下死点位置として自動設定する(ST6)。下降時実測下死点位置Hdwbf,Hdwafの差(△dw)が設定下降時変動量(△dsdw)以上でなければ再実測される(ST5でNO,ST4)。
つまり、下降時にその後に必要となるアクチュエータの上昇時における目標値(Hdwbf)を事前に確保しておくわけである。これにより、プレス機械1の特性、製品性状や運転態様などの諸条件を飲み込んだ現実的情報を基にアクチュエータ上昇後の下死点位置を補正することができるから、製品品質を高く維持できる。自動的に目標値が決まるので取扱が容易で、作業能率が高い。
同時的に、選択低位下死点位置設定手段(31、33、34)は、下降動作連関信号(下降動作開始指令信号)Sdwの入力後でかつ下降時実測下死点位置Hdwbf,Hdwafの差(△dw)が設定下降時変動量(△dsdw)以上になったことを条件(ST5でYES)に、後に測定された下降時実測下死点位置Hdwafを選択低位下死点位置として自動設定する(ST7)。
引き続き、下降時下死点位置切換設定手段(31、33、34)は、アクチュエータの下降動作連関信号(下降動作開始指令信号)Sdwが入力されている(ST3でYES)ので、目標下死点位置Hxを選択低位下死点位置Hdwafに切り換え設定(ST8)する。第3の下死点位置補正制御手段(31、33、34)は、選択低位下死点位置Hdwafと検出下死点位置(Spsa,Spsb)とを利用してスライド5の実際下死点位置を選択低位下死点位置Hdwafに合わせるように下死点位置補正を継続実行(ST9)する。図6に示すように、アクチュエータによりワーク支持部が製品排出方向に下降すると打ち抜きカシメ時における打ち抜きパンチに抗するアクチュエータによる受け圧が消失するので下死点位置は大きく下降するが、制御用目標値が下降後位置に相当する選択低位下死点位置Hdwafに切り換えられているから、安定した下死点位置補正制御が担保される。つまり、図6に示すように、対応表示された図7(A)、図7(B)に示した大きな時間遅れDydを一掃することができる。
製品(所定の積厚に積層された積層鉄心)が型外に排出された後に、金型制御装置20からアクチュエータ(ワーク支持部)をプレス加工位置に戻すために上昇動作連関信号(上昇動作開始指令信号)Supがプレス運転制御装置30に入力される(ST10でYES)と、アクチュエータ(油圧シリンダ)が加圧・上昇する。第2の前後下死点位置測定手段(31、33、34)がスライド5の隣り合う前後のストロ-クにおける上昇時実測下死点位置Hupbf,Hupafを測定する(ST11)。この上昇時実測下死点位置Hupbf,Hupafの差(△up)が設定上昇時変動量(△dsup)以上であるとき(ST12でYES)に、目標下死点位置(Hdwaf←Hx)を選択高位下死点位置Hdwbfに切り換える。なお、上昇時動作連関信号Supが入力されるまで、補正続行される(ST10でNO、ST9)。また、上昇時実測下死点位置Hupbf,Hupafの差(△up)が設定下降時変動量(△dsup)以上でなければ再実測される(ST12でNO,ST11)。
打ち抜きカシメ時における打ち抜きパンチに抗するアクチュエータ(油圧シリンダ)による受け圧が発生し、下死点位置は図6に示すように、大きく上昇する。しかし、下死点位置はワーク支持部(アクチュエータ)の先の下降に起因して所定量以上だけ下降した製品排出位置(Hdwaf)から、ワーク支持部(アクチュエータ)が下降する前のプレス加工位置つまり下死点位置(Hdwbf)に戻りこそすれ、それを超えて大きく上昇することは無いと理解される。
すなわち、第3の下死点位置補正制御手段(31、33、34)が、目標下死点位置(Hdwaf)に代えた選択高位下死点位置Hdwbfと検出下死点位置とを利用してスライド5の実際下死点位置を選択高位下死点位置Hdwbfに合わせるように位置補正(ST14)する。図7(A)、図7(B)に示される大きな時間遅れDyuを一掃することができる。
以下、一旦、目標下死点位置Hxに戻す要求(ST15でYES)がある場合はST1に戻すが、必要ない場合(ST15でNO)は、ST3に戻される。
(自動運転2)
タッチパネル35を用いて自動運転2モードを選択する。この自動運転2は、自動運転1の場合と比較して、第2の下死点位置補正制御手段(31、33、34)の実行条件が異なる。すなわち、自動運転2に供される第2の下死点位置補正制御手段(31、33、34)は、ワーク支持部がプレス加工位置から所定量以上の距離だけ下降された状態で選択低位下死点位置を用いて位置補正しかつワーク支持部が上昇してプレス加工位置に戻った状態で選択高位下死点位置を用いて位置補正制御する。したがって、自動運転1の場合に比較して、金型制御装置20からの金型運転状況信号Sdyc(下降動作連関信号Sdw、上昇動作連関信号Sup)を利用して位置確認を行うばかりか、ワーク支持部の位置を上記のリミットスイッチ等で簡易検出可能に構築することもできる。つまり、下死点位置補正制御手段の実行条件の確認適応性が広くなる利点がある。
(手動運転)
タッチパネル35を用いて手動運転モードを選択する。選択下死点位置設定手段35を用いて選択下死点位置を設定する。選択高位下死点位置設定手段35として高位下死点位置を設定し、選択低位下死点位置設定手段35として低位下死点位置を設定してもよい。この場合は、低位下死点位置はストッパブロックで規制するので、高位下死点位置のみを設定する。下死点位置切換設定手段としての上昇時下死点位置切換設定手段(31、33、34)が働く。つまり、金型制御装置20からのアクチュエータの上昇動作連関信号(上昇動作開始指令信号)Supが入力されると、目標下死点位置Hxを設定された選択高位下死点位置に切り換え設定する。第1の下死点位置補正制御手段(31、33、34)は、切り換え設定された選択高位下死点位置とプレス運転中に検出された検出下死点位置(Spsa,Spsb)とを利用してスライド5の実際下死点位置を選択高位下死点位置に合わせるように位置補正する。したがって、アクチュエータの上昇による下死点位置の急激で過大な上方側変動の発生を防止できる。
ストッパブロックを設けない場合は、選択低位下死点位置設定手段35を用いて低位下死点位置をも設定し、下降時下死点位置切換設定手段(31、33、34)をも働かせて、アクチュエータの上昇のみならず下降による下死点位置の急激で過大な変動の発生をも防止することができる。
しかして、この実施の形態によれば、選択下死点位置設定手段35と下死点位置切換設定手段35とを設け、第1の下死点位置補正制御手段(31、33、34)が切り換え設定された選択下死点位置と検出下死点位置とを利用してスライド5の実際下死点位置を選択下死点位置に合わせるように位置補正できるから、アクチュエータの下降・上昇に伴う実際下死点位置の急激で過大な上昇[図7のDyu]を無くすことができる。すなわち、高品質製品を生産することができる。
第2の下死点位置補正制御手段(31、33、34)が、ワーク支持部が所定量以上の距離だけ下降された状態では選択低位下死点位置を利用して位置補正可能かつワーク支持部が上昇してプレス加工位置に戻った状態では選択高位下死点位置を利用して位置補正可能に形成されているので、(請求項2)アクチュエータの上昇に伴う実際下死点位置の急激で過大な上昇[図7のDyu]を無くすことができる。すなわち、カシメの凹凸深さを予定の深さに保持できるのでカシメを十分に行える。つまり、高品質製品を生産することができる。また、アクチュエータの下降時にも補正制御を継続するので、ストッパブロック無しでも下死点位置を安定維持できる。
第3の下死点位置補正制御手段(31、33、34)が、スライド5の隣り合う前後のストロ-クにおける下降時実測下死点位置の差(△dw)が設定下降時変動量(△dsdw)以上であるときに選択低位下死点位置を利用して位置補正可能でかつ上昇時実測下死点位置の差(△up)が設定上昇時変動量(△dsup)以上であるときに選択高位下死点位置を利用して位置補正可能に形成されているので、制御応答性を一層高くでき、結果として一段の高品質製品を生産できる。
アクチュエータの上昇による実際下死点位置の急激で過大な上昇(図7のDyu)を確実に防止できるので、嵌合カシメ圧を一定に維持できる。薄板のバラけることが無い。
金型にストッパブロックを付設した場合でも、ストッパブロックへの付き当て量の著しい増加によるスライド5の大きなバウンド、製品精度の悪化や金型寿命の低下を防止できる。プレス機械の過負荷防止にも有効である。
また、選択高位下死点位置設定手段(31、33、34)が、アクチュエータの下降動作連関信号が入力された後でかつスライド5の隣り合う前後のストロ-クにおける下降時実測下死点位置の差(△dw)が設定下降時変動量(△dsdw)以上になったことを条件に最初に測定された下降時実測下死点位置Hdwbfを選択高位下死点位置として自動設定可能に形成されているので、アクチュエータの上昇時における下死点位置補正をプレス機械1の特性やプレス運転態様に即した最適な下死点位置に補正することができる。
さらに、選択低位下死点位置設定手段(31、33、34)が、アクチュエータの下降動作連関信号が入力された後でかつスライドの隣り合う前後のストロ-クにおける下降時実測下死点位置の差(△dw)が設定下降時変動量(△dsdw)以上になったことを条件に後に測定された下降時実測下死点位置Hdwafを選択低位下死点位置として自動設定可能に形成されているので、アクチュエータの下降時における下死点位置補正をプレス機械の特性やプレス運転態様に即した最適な下死点位置に補正することができる。
選択高位下死点位置を目標下死点位置よりも低い位置とすれば、アクチュエータの上昇時における下死点位置補正を目標下死点位置よりも低くかつ当該プレス運転態様に即した下死点位置に補正することができる。