JP3789211B2 - サーボプレスの上限位置設定装置及びその方法 - Google Patents

サーボプレスの上限位置設定装置及びその方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動サーボモータによってスライドが駆動されるサーボプレスにおいて、素材の搬入や搬出等を行う周辺機器との連動時の生産速度を向上できる上限位置の設定を行うサーボプレスの上限位置設定装置及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プレス機械には、クランク軸の回転動力をリンク機構により直線運動に変換されて駆動されるスライドを備えた機械式プレス、油圧シリンダにより直線駆動されるスライドを備えた油圧プレス、あるいは、電動サーボモータの回転動力により例えばボールネジ機構等を介して直線駆動されるスライドを備えたサーボプレスなどがある。そして、サーボプレスは、機械式プレスに比べてスライドの可動範囲を任意に設定可能なことや、油圧プレスに比べて駆動源がクリーンで、かつ、騒音が小さいことなどの理由によって、作業環境を重要視する産業分野に広く使用されている。
【0003】
一方、このようなサーボプレスにおいては、材料搬入、搬送又は搬出等を行う周辺機器との連動運転を行うために、例えば、リミットスイッチ等の位置検出センサを設け、上下駆動されるスライドの位置を検出している。そして、所定の位置信号の検出順序に基づいてスライド移動方向を判断し、また、その検出位置によってスライド位置を判断し、これらの判断結果に基づいて所定のタイミングで材料の搬入指令、搬送指令等の信号を周辺機器に出力したり、あるいは、スライドを停止させた後に周辺機器からの送り完了信号を待ってスライドを再起動したりして、連動運転を行っている。
【0004】
そして、上記位置検出センサの取り付け位置は、作業者が経験的に決めて設定している。例えば、通常の打ち抜き加工では、スライドをストロークの上端(すなわち、上限位置)から下端(すなわち、下限位置)の間を所定速度で昇降させており、打ち抜き完了後には各ショット毎にスライドを上限位置に移動させるようにしている。よって、この上限位置を検出するリミットスイッチは、生産速度を上げるためになるべく下限位置に近く、つまりストロークが短くなるように設定されている。また、コイル材を使用している場合、コイル材の送給装置を制御しているコイルライン制御装置からコイル材送り完了信号が入力されるまでスライドを停止させておく位置は、コイル材の送り時に上型と干渉しない位置に設定される。このとき、生産性を上げるために、上記のスライド停止位置は出来るだけコイル材に近い位置とする必要がある。このため、このスライド停止位置のリミットスイッチはコイル材上面になるべく近く設定される。このとき、コイル材が送給時に上型に引っ掛からないようにするため、コイル材の板厚のばらつきを考慮して、作業者がこれらのリミットスイッチの設定位置を経験的に決めている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように従来は経験的に位置設定しているので、前記上限位置を低い位置に設定し過ぎる場合があり、このときにはスライドを前記スライド停止位置で必ず停止させてコイル材送り完了信号が入力されるのを待たなければならず、この後に再起動するとき、電動サーボモータを加速するための加速時間が必要となり、全体として生産速度が遅くなるという問題が生じている。また、スライドの停止時や再起動時には、電動サーボモータに減速及び加速時の大電流が流れるので、この大電流によるモータ駆動音が大きくなり、作業環境を悪化させている。したがって、スライドが送り完了信号待ちで停止することが無いように、かつ、ストロークを大きくし過ぎて生産速度を遅くしないように上限位置の設定を行う必要があり、この設定作業には熟練度が要求されている。また、熟練した作業者でも、設定した位置が生産速度を最大限にできる位置になるとは限らないという問題がある。
さらに、サーボプレスは電動サーボモータの回転動力をボールネジ等を介して減速して加圧力を大きくすることによってスライド駆動を行う機構となっているので、サーボプレス自体の生産速度は機械式プレスよりも遅くなるのが一般的となっている。しかしながら、生産性向上の要求から、サーボプレスにおいても機械式プレスの生産速度になるべく近づけた生産速度で生産することが非常に重要な課題となっている。
【0006】
本発明は、上記の問題点に着目してなされたものであり、周辺機器との連動加工システムでの生産速度を向上できるサーボプレスの上限位置設定装置及びその方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、入力した速度指令値に基づいてサーボアンプ28で制御された電動サーボモータ4により所定速度で昇降するスライド2を、外部からの起動指令を受けてから所定時間以内に被加工材の搬入、搬送又は搬出等を完了する周辺機器10に同期させて連動運転すると共に、前記スライド2を上限位置Uと下限位置Lとの間を連続して繰り返し昇降させて前記被加工材の打ち抜き加工を行うサーボプレスの上限位置設定装置において、
少なくとも下限位置データ、上限位置データ、スライド速度、スライド2の加速時に所定スライド速度に達するまでに要する加速距離データ、スライド2の減速時に所定スライド速度から停止するまでに要する減速距離データ、及び非常停止時の惰走距離データ等のプレスデータを設定するプレスデータ設定手段44と、スライド2の位置を検出するスライド位置検出手段33と、
スライド2にかかる荷重を検出する荷重検出手段34と、
前記検出された荷重が増加開始するときのスライド位置をスライド位置検出手段33より入力し、このスライド位置を前記被加工材の上面位置Cとして記憶する荷重発生位置検出手段41と、
前記検出されたスライド位置の変化により、スライド2の上昇行程又は下降行程の判別を行う上昇/下降行程判別手段37と、
この行程判別の結果が上昇行程で、かつ、スライド2が前記記憶された上面位置Cの近傍のとき、周辺機器10に起動信号を出力する起動信号生成手段38と、周辺機器10から動作完了信号を入力する周辺機器動作完入力手段36と、
打ち抜き完了後、スライド2が下限位置Lから上昇して上限位置Uに到達後直ちに下降して前記上面位置Cに到達するまで連続して駆動するように、スライド2が下限位置Lのときに、前記設定されたプレスデータと前記記憶された上面位置Cの位置データに基づいて、上限位置Uから下降して前記上面位置Cより前記惰走距離LBKだけ上方のブレーキ位置Rに到達する予定時刻、及び、周辺機器動作完入力手段36からの前記動作完了信号を入力する予定時刻を算出し、この両予定時刻が等しくなるように、次回の上限位置Uを演算する上限位置演算手段39と、
打ち抜き完了後、スライド2が前記設定されたスライド速度で前記演算された上限位置Uを経由して前記上面位置Cに到達するように、前記電動サーボモータ4の速度指令値を演算してサーボアンプ28に出力する出力演算手段46とを備えた構成としている。
【0008】
請求項6に記載の発明は、電動サーボモータ4により所定速度で昇降するスライド2を、外部からの起動指令を受けてから所定時間以内に被加工材の搬入、搬送又は搬出等を完了する周辺機器10に同期させて連動運転すると共に、前記スライド2を上限位置Uと下限位置Lとの間を連続して繰り返し昇降させて前記被加工材の打ち抜き加工を行うサーボプレスの上限位置設定方法において、
予め、少なくとも下限位置データ、上限位置データ、スライド速度、スライド2の加速時に所定スライド速度に達するまでに要する加速距離データ、スライド2の減速時に所定スライド速度から停止するまでに要する減速距離データ、及び非常停止時の惰走距離データ等のプレスデータを設定しておき、打ち抜き加工時に、下降中にスライド2にかかる荷重が増加開始するときのスライド位置を前記被加工材の上面位置Cとして記憶し、打ち抜き完了後、スライド2が下限位置Lのときに、予め設定された前記プレスデータと前記記憶した上面位置Cの位置データとに基づいて、上限位置Uに到達後直ちに下降して前記上面位置Cより惰走距離LBKだけ上方のブレーキ位置Rに到達する予定時刻、及び、スライド2が上昇中で、かつ、前記上面位置Cの近傍のとき周辺機器10に起動信号を出力した後周辺機器10が動作完了する予定時刻を算出し、この両予定時刻が等しくなるように、次回の上限位置Uを演算し、スライド2が下限位置Lから上昇してこの演算した上限位置Uに到達後直ちに下降して前記上面位置Cに到達するまで連続して駆動される方法としている。
【0009】
請求項1又は6に記載の発明によると、スライド荷重が増加開始するのを検出することにより被加工材の上面位置を検出しているので、被加工材の板厚のばらつきがあっても精度良く上面位置を確認できる。そして、打ち抜き完了後に、スライドが下限位置から上限位置を経由して再度前記上面位置まで連続して駆動されるように、次回の上限位置が演算される。すなわち、スライドが下限位置から上昇して上限位置に到着後直ちに下降し、前記上面位置よりも惰走距離だけ上方のブレーキ位置に到達する予定時刻、及び、スライドが上昇中で、かつ、前記上面位置の近傍のとき周辺機器に起動信号を出力した後周辺機器が動作完了する予定時刻をそれぞれ算出し、両予定時刻が等しくなるように次回の上限位置を演算する。これにより、次回のショット時には、スライドがこの新たに設定された上限位置から下降して前記ブレーキ位置に到達するのと同時に、周辺機器が動作完了するので、下降行程で周辺機器の動作完了を待つために停止する必要がなくなる。したがって、各ショット毎に連続して打ち抜き加工を行うことができるので、周辺機器動作完了の待ち時間等の無駄時間、及びスライド停止時及び再起動時の加減速に要する無駄時間が無くなり、生産速度を向上することができる。また、加減速時に電動サーボモータの巻線に流れる大電流による騒音が無くなり、作業環境を向上できる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、入力した速度指令値に基づいてサーボアンプ28で制御された電動サーボモータ4により所定速度で昇降するスライド2を、外部からの起動指令を受けてから所定時間以内に被加工材の搬入、搬送又は搬出等を完了する周辺機器10に同期させて連動運転すると共に、前記スライド2を上限位置Uと下限位置Lとの間を連続して繰り返し昇降させて前記被加工材の打ち抜き加工を行うサーボプレスの上限位置設定装置において、
少なくとも下限位置データ、上限位置データ、スライド速度、スライド2の加速時に所定スライド速度に達するまでに要する加速距離データ、スライド2の減速時に所定スライド速度から停止するまでに要する減速距離データ、及び非常停止時の惰走距離データ等のプレスデータを設定するプレスデータ設定手段44と、スライド2の位置を検出するスライド位置検出手段33と、
スライド2にかかる荷重を検出する荷重検出手段34と、
前記検出された荷重が増加開始するときのスライド位置をスライド位置検出手段33より入力し、このスライド位置を前記被加工材の上面位置Cとして記憶する荷重発生位置検出手段41と、
前記検出されたスライド位置の変化により、スライド2の上昇行程又は下降行程の判別を行う上昇/下降行程判別手段37と、
この行程判別の結果が上昇行程で、かつ、スライド2が前記記憶された上面位置Cの近傍のとき、周辺機器10に起動信号を出力する起動信号生成手段38と、周辺機器10から動作完了信号を入力する周辺機器動作完入力手段36と、
前記行程判別の結果が上昇行程で、かつ、スライド2が前記上面位置Cの近傍に来たとき、前記設定されたプレスデータと前記上面位置Cの位置データとに基づいて、この上面位置Cから上限位置Uに到達後直ちに下降し、上面位置Cより前記設定された惰走距離LBKだけ上方のブレーキ位置Rに到達する予定時刻、及び、周辺機器動作完入力手段36の前記動作完了信号が入力される予定時刻を算出し、この両予定時刻が等しくなるように、次回の上限位置Uを演算する上限位置演算手段39と、
打ち抜き完了後、スライド2が前記設定されたスライド速度で前記演算された上限位置Uを経由して前記ブレーキ位置Rに到達するように、前記電動サーボモータ4の速度指令値を演算してサーボアンプ28に出力する出力演算手段46とを備えた構成としている。
【0011】
請求項7に記載の発明は、電動サーボモータ4により所定速度で昇降するスライド2を、外部からの起動指令を受けてから所定時間以内に被加工材の搬入、搬送又は搬出等を完了する周辺機器10に同期させて連動運転すると共に、前記スライド2を上限位置Uと下限位置Lとの間を連続して繰り返し昇降させて前記被加工材の打ち抜き加工を行うサーボプレスの上限位置設定方法において、
予め、少なくとも下限位置データ、上限位置データ、スライド速度、スライド2の加速時に所定スライド速度に達するまでに要する加速距離データ、スライド2の減速時に所定スライド速度から停止するまでに要する減速距離データ、及び非常停止時の惰走距離データ等のプレスデータを設定しておき、打ち抜き加工時に、下降中にスライド2にかかる荷重が増加開始するときのスライド位置を前記被加工材の上面位置Cとして記憶し、打ち抜き完了後、スライド2が上昇中で、かつ、前記記憶された上面位置Cの近傍に来たとき、前記設定されたプレスデータと前記上面位置Cの位置データとに基づいて、この上面位置Cから上限位置Uに到達後直ちに下降し、前記上面位置Cよりも前記惰走距離LBKだけ上方のブレーキ位置Rに到達する予定時刻、及び、周辺機器10に起動信号を出力した後周辺機器10が動作完了する予定時刻を算出し、この両予定時刻が等しくなるように、次回の上限位置Uを演算する方法としている。
【0012】
請求項2又は7に記載の発明によると、前記発明と同様に、スライド荷重の増加開始により被加工材の上面位置を検出しているので、精度良く上面位置を確認できる。そして、打ち抜き完了後に、スライドがこの上面位置から上限位置を経由して再度上面位置まで連続して駆動されるように、次回の上限位置が演算される。すなわち、スライドが前記上面位置から上昇して上限位置に到着後直ちに下降し、前記上面位置よりも惰走距離だけ上方のブレーキ位置に到達する予定時刻、及び、スライドが上昇中で、かつ、前記上面位置の近傍のとき周辺機器に起動信号を出力した後周辺機器が動作完了する予定時刻をそれぞれ算出し、両予定時刻が等しくなるように次回の上限位置を演算する。これにより、次回のショット時には、スライドがこの新たに設定された上限位置から下降して前記ブレーキ位置に到達するのと同時に、周辺機器が動作完了するので、下降行程で周辺機器の動作完了を待つために停止する必要がなくなる。したがって、各ショット毎に連続して打ち抜き加工を行うことができるので、周辺機器動作完了の待ち時間等の無駄時間、及びスライド停止時及び再起動時の加減速に要する無駄時間が無くなり、生産速度を向上することができる。また、加減速時に電動サーボモータの巻線に流れる大電流による騒音が無くなり、作業環境を向上できる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、入力した速度指令値に基づいてサーボアンプ28で制御された電動サーボモータ4により所定速度で昇降するスライド2を、外部からの起動指令を受けてから所定時間以内に被加工材の搬入、搬送又は搬出等を完了する周辺機器10に同期させて連動運転すると共に、前記スライド2を上限位置Uと下限位置Lとの間を連続して繰り返し昇降させて前記被加工材の打ち抜き加工を行うサーボプレスの上限位置設定装置において、
少なくとも下限位置データ、上限位置データ、スライド速度、スライド2の加速時に所定スライド速度に達するまでに要する加速距離データ、スライド2の減速時に所定スライド速度から停止するまでに要する減速距離データ、及び非常停止時の惰走距離データ等のプレスデータを設定するプレスデータ設定手段44と、スライド2の位置を検出するスライド位置検出手段33と、
スライド2にかかる荷重を検出する荷重検出手段34と、
前記検出された荷重が増加開始するときのスライド位置をスライド位置検出手段33より入力し、このスライド位置を前記被加工材の上面位置Cとして記憶する荷重発生位置検出手段41と、
前記検出されたスライド位置の変化により、スライド2の上昇行程又は下降行程の判別を行う上昇/下降行程判別手段37と、
この行程判別の結果が上昇行程で、かつ、スライド2が前記記憶された上面位置Cの近傍のとき、周辺機器10に起動信号を出力する起動信号生成手段38と、周辺機器10から動作完了信号を入力する周辺機器動作完入力手段36と、
スライド2が前記上限位置Uに到着後直ちに下降し、周辺機器動作完入力手段36からの前記動作完了信号を入力したときのスライド位置Qのデータをスライド位置検出手段33から入力し、このスライド位置Qが前記上面位置Cよりも前記設定された惰走距離LBKだけ上方のブレーキ位置Rより上方のときに、このスライド位置Qとブレーキ位置Rとの間の距離の半分だけ現在の上限位置データから減算して次回の上限位置Uを演算する上限位置演算手段39と、
打ち抜き完了後、スライド2が前記設定されたスライド速度で前記演算された上限位置Uを経由して前記ブレーキ位置Rに到達するように、前記電動サーボモータ4の速度指令値を演算してサーボアンプ28に出力する出力演算手段46とを備えた構成としている。
【0014】
請求項8に記載の発明は、電動サーボモータ4により所定速度で昇降するスライド2を、外部からの起動指令を受けてから所定時間以内に被加工材の搬入、搬送又は搬出等を完了する周辺機器10に同期させて連動運転すると共に、前記スライド2を上限位置Uと下限位置Lとの間を連続して繰り返し昇降させて前記被加工材の打ち抜き加工を行うサーボプレスの上限位置設定方法において、
予め、少なくとも下限位置データ、上限位置データ、スライド速度、スライド2の加速時に所定スライド速度に達するまでに要する加速距離データ、スライド2の減速時に所定スライド速度から停止するまでに要する減速距離データ、及び非常停止時の惰走距離データ等のプレスデータを設定しておき、打ち抜き加工時に、下降中にスライド2にかかる荷重が増加開始するときのスライド位置を前記被加工材の上面位置Cとして記憶し、打ち抜き完了後、スライド2が上昇して前記上限位置Uに到着後直ちに下降し、周辺機器10が動作完了したときのスライド位置Qを検出し、このスライド位置Qが前記記憶した上面位置Cよりも前記惰走距離LBKだけ上方のブレーキ位置Rより上方のときに、このスライド位置Qとブレーキ位置Rとの間の距離の半分だけ現在の上限位置データから減算して次回の上限位置Uを演算する方法としている。
【0015】
請求項3又は8に記載の発明によると、前記発明と同様に、スライド荷重の増加開始により被加工材の上面位置を検出しているので、精度良く上面位置を確認できる。そして、打ち抜き完了後に、スライドがこの上面位置から上限位置を経由して再度上面位置まで連続して駆動されるように、次回の上限位置が演算される。すなわち、スライドが前記上面位置から上昇して上限位置に到着後直ちに下降し、周辺機器が動作完了したときのスライド位置を検出し、この位置が前記上面位置よりも惰走距離だけ上方のブレーキ位置より上方であるとき、このスライド位置とブレーキ位置との間の距離の半分だけ現在の上限位置データから減算して次回の上限位置を演算する。これにより、次回のショット時には、スライドがこの新たに設定された上限位置から下降して前記ブレーキ位置に到達するのと同時に、周辺機器が動作完了するので、下降行程で周辺機器の動作完了を待つために停止する必要がなくなる。したがって、各ショット毎に連続して打ち抜き加工を行うことができるので、周辺機器動作完了の待ち時間等の無駄時間、及びスライド停止時及び再起動時の加減速に要する無駄時間が無くなり、生産速度を向上することができる。また、加減速時に電動サーボモータの巻線に流れる大電流による騒音が無くなり、作業環境を向上できる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、スライド2が前記ブレーキ位置Rに到達したときに、前記動作完了信号を入力してない場合には、非常停止指令を出力する起動/停止判断手段45を付設した請求項1〜3のいずれか1つに記載のサーボプレスの上限位置設定装置としている。
【0017】
請求項4に記載の発明によると、スライドがブレーキ位置に到達したときに、周辺機器が前記動作完了信号を入力してない場合には、スライドを非常停止させている。したがって、周辺機器が動作未完了時に搬送中の被加工材と金型との干渉が発生しなくなり、よって金型破損が防止される。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1つに記載のサーボプレスの上限位置設定装置において、
前記荷重検出手段34は、前記電動サーボモータ4の駆動電流値から算出されるモータ出力トルクに基づいてスライド荷重を求めるようにしている。
【0019】
請求項5に記載の発明によると、スライドを駆動する電動サーボモータの駆動電流値から算出されるモータ出力トルクに基づいて、スライド荷重値を求めている。このとき、モータ出力トルクの内、実際に被加工材の加圧に要する加圧力として実作業トルクを算出し、この実作業トルクに基づいてスライド荷重値を求めることができる。したがって、スライド荷重が精度良く求められるので、このスライド荷重が増加開始するときのスライド位置に基づいて被加工材の上面位置を精度良く検出できる。この結果、周辺機器との連動時の生産速度を向上できるような上限位置を精度良く求められるので、生産性の向上を図ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明に係わるサーボプレスの周辺機器制御装置及びその方法に関する実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、周辺機器10としてコイル材供給装置の例を示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、シート材を搬入又は搬出するロボット装置あるいはトランスファフィーダ装置等の場合にも適用できる。
【0021】
図1は、本発明に係わるサーボプレスとコイル材供給装置(以後、コイルラインと呼ぶ)との連動加工システムの一例の構成図を示している。
同図において、サーボプレス1の本体フレーム7の下部にはベッド9が設けられ、ベッド9の上部にボルスタ3が設置されている。また、本体フレーム7の上部後側には、スライド駆動手段4の一例として電動サーボモータ(以後、電動サーボモータ4と言う)が配設されており、本体フレーム7の上部前側の左右方向略中央部には、この電動サーボモータ4の回転動力を上下方向の直動に変換する例えばボールネジ等で構成される動力変換装置8が配設されている。そして、この電動サーボモータ4の出力回転軸は回転伝達部材4b(例えばベルトやギア等)を介して動力変換装置8の回転部(例えばボールネジのネジ部)上端と回転自在に連結されている。さらに、前記動力変換装置8の直動部(例えばボールネジのナット部)の下端で、かつ、ボルスタ3と対向した位置にスライド2が昇降自在に配設されている。このようにスライド2は電動サーボモータ4によって上下駆動されるようになっており、このスライド2の上下動に伴って、ボルスタ3の上面に取着された下型6と、スライド2の下面に取着された上型5との間でプレス加工が行われる。
【0022】
電動サーボモータ4の前記出力回転軸と反対側で、かつ、この出力回転軸と同軸上に、例えばエンコーダ等の速度センサ4aが取着されており、この速度センサ4aからの速度信号は後述するサーボアンプに入力されている。なお、電動サーボモータ4は、ACサーボモータ又はDCサーボモータのいずれで構成されてもよい。
【0023】
また、スライド2の後部側には、例えばリニアセンサよりなるスライド位置センサ23が配設されている。このスライド位置センサ23は、軸心方向がスライド2の移動方向と平行で、かつ、スライド2の後部に支持されたセンサロッド23aと、このセンサロッド23aに嵌挿され、かつ、本体フレーム7側に取着されたセンサヘッド23bとからなっている。そして、スライド2の上下動に伴ってセンサロッド23aがセンサヘッド23bに対して上下動し、これによって、センサヘッド23bの内部の位置検出部によりスライド2の位置がボルスタ3の上面からの高さとして検出されるようになっている。このスライド位置センサ23が検出した位置信号は後述するプレスコントローラ20に入力され、このプレスコントローラ20は前記位置信号に基づいて前記電動サーボモータ4を駆動してスライド2の位置を所定のモーションカーブ(図5参照)に沿うように制御する。
【0024】
また、サーボプレス1の側方には、素材としてコイル材を供給するコイルライン10aが配設されている。このコイルライン10aは、コイルライン制御装置11とコイル材アンコイラー12とレベラー13とコイルフィーダ14とを備えている。コイル材アンコイラー12は、コイル材15が巻かれたリールを所定速度で回転させながら、コイル材15をレベラー13及びコイルフィーダ14を介してサーボプレス1に供給する。レベラー13はこのコイル材15の曲がり方向の反対側から所定圧で押圧してこの曲がりくせを矯正しながらコイル材15を送給しており、コイルフィーダ14はこの矯正されたコイル材15を所定のタイミングでサーボプレス1の上型5と下型6間に搬入する。そして、コイルライン制御装置11は、サーボプレス1の作動を制御している後述のプレスコントローラ20との間で信号を送受信して連動の同期をとっており、上記コイル材アンコイラー12、レベラー13及びコイルフィーダ14の各機器に所定のタイミング信号を出力している。
【0025】
図2は、本発明に係わるサーボプレスの上限位置設定装置のハード構成ブロック図を示している。
モータ電流センサ24は電動サーボモータ4の駆動電流値を検出しており、例えばシャント抵抗の両端の電圧降下を検出して駆動電流値を検出するようになっている。この駆動電流値に比例した大きさの検出信号は後述のプレスコントローラ20に入力され、プレスコントローラ20はこの駆動電流値に基づいて電動サーボモータ4の出力トルクを算出し、この出力トルクから実作業トルクを算出する。この実作業トルクは、前記コイル材15をプレス加工するための電動サーボモータ4の実質的な加圧力に等しい。
また、スライド位置センサ23は前述のようにスライド2の高さ方向の位置を検出し、この検出したスライド位置信号はプレスコントローラ20に入力されている。
【0026】
さらに、このプレスコントローラ20には、プレスデータ設定スイッチ21、操作モードスイッチ22及び上方余裕量設定スイッチ29が付設されている。
プレスデータ設定スイッチ21は、本発明に係わる上限位置設定装置のプレス関連の制御データを設定するためのスイッチであり、例えば数値データを入力するテンキーや、設定するデータ種別を選択するデータ種別選択スイッチ等から構成される。この制御データとしては、スライド2を所定速度で下降中に非常停止させた場合の停止するまでの惰走距離LBK、スライド2を所定速度まで加速するのに要する距離を表す加速距離、所定速度から停止させるのに要する減速距離、及び、打ち抜き加工時のスライド2の各目標位置と速度を表すモーションデータを設定することができる。モーションデータとしては、例えば(図5を参照)上限位置U、下限位置L、高速/低速下降速度及び高速/低速上昇速度等を設定できる。これらの設定データは、プレスコントローラ20に入力される。
また、操作モードスイッチ22はプレス操作モードを選択でき、少なくとも、コイルライン10aなどの周辺機器との連動が可能な連動モード等の生産モードを選択可能となっている。選択されたモード信号は、プレスコントローラ20に入力される。
【0027】
上方余裕量設定スイッチ29は、プレスコントローラ20がコイルライン制御装置11にフィーダ搬送開始指令(つまり起動指令であり、以後起動指令と言う)を出力するときのスライド位置の、コイル材15の上面からの上昇余裕距離αを設定するものであり、この上昇余裕距離αの設定値はプレスコントローラ20に入力される。図3は、この上昇余裕距離αの説明図であり、金型(上型5と下型6)の近傍を一部断面の側面図で示している。同図において、板厚Tのコイル材15が矢印16の方向にフィードされ、上型5と下型6間に供給されている。この供給時にコイル材15がばたついても所定の供給経路から外れないように、下型6の上方にガイド17が設けられており、このガイド17によってコイル材15を上方及びフィード方向左右から押さえ込んでガイドしている。矢印Zはスライド2の上昇行程での動作を示しており、上昇行程で上型5は下限位置Lから上限位置Uまで上昇しているとする。このとき、上型5の下端部がコイル材15の上面位置Cから上方に上昇余裕距離αだけ上昇したときに、プレスコントローラ20は前記起動指令を出力するようにしている。この上昇余裕距離αは、コイル材15の送り開始のときにコイル材15が上型5に引っ掛からないようにするための余裕度や、下型6に配設され、かつ、コイル材搬入時にコイル材を当接させて位置決めさせるパイロット18の上方逃げに要する距離、あるいは、上記起動指令に対するコイルフィーダ14の応答遅れ時間等を考慮して設定される。当然のことながら、上記の引っ掛かりやパイロット18の逃げ距離等を考慮する必要がない場合には、上昇余裕距離αを零に設定、つまり上面位置Cで起動指令を出力してもよい。なお、本発明においては、後述するように、コイル材15の上面位置Cは各ショット毎にスライド荷重値に基づいて求められている。
【0028】
プレスコントローラ20は、例えばマイクロコンピュータを主体にした一般的なコンピュータ制御装置で構成されている。プレスコントローラ20の内部には、前記惰走距離LBKの設定値、前記モーションカーブのモーションデータ設定値及び前記上昇余裕距離αの設定値等を記憶するメモリ20aが設けられている。プレスコントローラ20は、前記各センサの検出信号、プレスデータ設定スイッチ21や上方余裕量設定スイッチ29からの設定値データ及び操作モードスイッチ22からのモード信号を入力し、後述する所定の演算及び判定処理を行っている。そして、この処理結果に基づいて、スライド2が前記設定されたモーションカーブに沿って作動するようにサーボアンプ28へ速度指令を出力したり、コイルライン制御装置11と各制御信号を送受信したり、あるいは、後述の設定値表示器27に惰走距離LBK及び上昇余裕距離αの設定値、前記モーションデータ設定値、及び前記上面位置Cの検出データ等を表示させる。
【0029】
サーボアンプ28は、プレスコントローラ20からの前記速度指令に基づいて電動サーボモータ4を制御する。すなわちサーボアンプ28は、この速度指令と、前記速度センサ4aにより検出したモータ回転速度のフィードバック値との速度偏差が小さくなるように電動サーボモータ4の駆動電流(モータ出力トルクに相当する)を制御する。これにより、スライド2は前記モーションカーブに沿って制御される。サーボアンプ28はサーボモータを駆動する一般的なサーボアンプにより構成することができ、例えば演算増幅器等を使用したアナログサーボ回路や、あるいは、コンピュータ又はディジタル信号処理IC(いわゆる、DSP)等を主体にしたディジタルサーボ回路により構成することができる。
【0030】
また、設定値表示器27は、プレスコントローラ20からの表示指令に基づいて、前述のように惰走距離LBKや上昇余裕距離αの設定値、前記モーションデータ設定値、及び前記上面位置Cの検出データ等を表示でき、例えば液晶やEL等のグラフィック表示器や、LED表示素子等でなるキャラクタ表示器などで構成することができる。
【0031】
また、送受信回路26はコイルライン制御装置11との制御信号の送受信を行うためのインターフェース回路であり、例えば、シリアル通信回路や、パラレルI/O回路、又は、データバス通信回路等によって構成することができる。
【0032】
図4には、本発明に係わる上限位置設定装置の機能構成ブロック図を示しており、同図に基づいて各機能構成を説明する。
スライド位置検出手段33は、スライド位置センサ23からの位置信号を入力してこの位置信号に基づいてスライド位置を求め、このスライド位置データを上昇/下降行程判別手段37、起動信号生成手段38、上限位置演算手段39、荷重発生位置検出手段41及び起動/停止判断手段45にそれぞれ出力する。
【0033】
また、荷重検出手段34は加圧加工時にコイル材15から反力を受けてスライド2にかかる荷重を検出しており、本実施形態では、荷重として、スライド2を駆動する電動サーボモータ4の実作業トルクに基づいて検出している。この実作業トルクは、電動サーボモータ4の出力トルクの内、実際の加圧加工に要する加圧力に相当するものである。実作業トルクの演算は、例えば以下のようにして行われる。
【0034】
荷重検出手段34は予め、加速又は減速トルクを算出するための負荷イナーシャ定数、定速を維持するトルクを算出するための速度抵抗トルク比例定数、摩擦トルク定数、及び、モータ駆動電流と出力トルクとの関係を表すトルク定数等の各定数データを記憶しておく。そして、加速時又は減速時には、必要な加速度値又は減速度値と上記の各定数データとに基づいて必要なモータ出力トルクを求め、モータ電流センサ24で検出した駆動電流値に基づいて実際のモータ出力トルクを算出し、この実際のモータ出力トルクから前記求めた必要なモータ出力トルクを差し引いて、加減速時の実作業トルクを算出する。定速時も、同様にして、この時維持すべき速度値と上記各定数データとに基づいて必要なモータ出力トルクを求め、この時検出した駆動電流値に基づいて算出した実際のモータ出力トルクから前記求めた必要なモータ出力トルクを差し引いて、定速時の実作業トルクを算出する。そして、この実作業トルクとスライド2の加圧力との関係を予め求めて記憶しておき、加工時に検出された駆動電流値に基づいて実作業トルクを求め、この実作業トルクからスライド2の加圧力を演算することができる。
【0035】
なお、スライド2にかかる荷重の検出は、上記のように駆動電流値から求めるモータ出力トルクによる方法に限定されずに、例えばサーボプレス1の本体フレーム7の歪みを歪みゲージセンサによって検出し、この歪みの大きさに基づいてスライド荷重値を算出することも可能である。
【0036】
また、荷重発生位置検出手段41は、荷重検出手段34により検出された荷重値の大きさに基づいて、コイル材15の上面に上型5が接触したときのスライド位置を検出している。ここで、コイル材15の上面に上型5が接触したか否かを荷重値により判断する方法について、図5に基づいて説明する。同図にはスライド2のモーションカーブとスライド荷重との関係を表すタイムチャートが示されており、横軸は経過時間を表し、また縦軸はスライド位置とスライド荷重値を表している。いま、切断加工の場合について考え、スライド2が上限位置Uから所定の位置Bまで所定の高速下降速度で、さらに位置Bから下限位置Lまで所定の低速下降速度(加工速度)で下降し、この後所定の位置Dまで所定の低速上昇速度で、位置Dから上限位置Uまで所定の高速上昇速度で上昇するようなモーションデータが設定されているものとする。同図に示すように、スライド2が所定の低速度で下降中に(図示では、位置Bから下限位置Lの間)上型5がコイル材15の上面に接触すると、スライド2が下降するに伴ってスライド荷重値は徐々に増加して行く。したがって、この荷重値が増加開始した時点を荷重発生と判断することができる。上記荷重発生位置検出手段41は、荷重値が増加開始したとき荷重発生信号を出力すると共に、荷重発生時点でのスライド位置をスライド位置検出手段33から入力し、このスライド位置をコイル材15の上面位置Cと判断し、メモリ20aの所定エリアに記憶しておく。
【0037】
上方余裕量設定手段31は、前記上方余裕量設定スイッチ29によって入力された前記上昇余裕距離αの設定値を取り込んでメモリ20aの所定エリアに記憶する。なお、この上昇余裕距離αの設定値の入力手段は、上方余裕量設定スイッチ29に限定されず、例えば、上位コンピュータ等のような他の制御装置からの通信などによることもできる。
また、上昇/下降行程判別手段37は、スライド位置検出手段33から入力するスライド位置データの時間的な増加又は減少の区別に基づいて、スライド2が上昇行程か又は下降行程かを判別し、この判別結果を出力する。
【0038】
起動信号生成手段38は、荷重発生位置検出手段41から上記上面位置Cの位置データを入力すると共に、上方余裕量設定手段31から上昇余裕距離αの設定データを入力し、両データに基づいて、周辺機器(ここでは、コイルライン制御装置11)に起動信号を出力すべき位置A(図3を参照)を求める。ここで、位置Aの位置データA0 は、以下の数1によって算出される。
【数1】
A0 =C+α
さらに、起動信号生成手段38は、上昇/下降行程判別手段37から入力する行程判別結果が上昇行程のときに、スライド位置検出手段33から入力するスライド位置を上記位置Aと比較し、スライド2が位置Aより上に上昇したとき、周辺機器起動信号を出力する。そして、起動信号出力手段42はこの周辺機器起動信号を受けてコイルライン制御装置11に送受信回路26を介して送信する。
【0039】
送り速度入力手段43は、コイルフィーダ14のコイル材15の送り速度値をコイルライン制御装置11から送受信回路26を介して入力する。なお、本送り速度値が所定の一定値である場合には、予め本プレスコントローラ20内のメモリ20aの所定エリアに記憶しておくこともできる。
また、プレスデータ設定手段44は、プレスデータ設定スイッチ21により入力されたプレス関連の前記制御データ、すなわち、惰走距離データ、加速距離データ、減速距離データ、スライド速度データ及び下限位置等を取り込んで、メモリ20a内の所定エリアに記憶する。そして、これらの制御データを上限位置演算手段39と起動/停止判断手段45と出力演算手段46とに出力している。
【0040】
また、上限位置演算手段39は、周辺機器動作完入力手段36から動作完了信号(例えば、コイルフィーダ14の場合には送り完了信号)を入力したとき、このときのスライド位置と、前記設定されている惰走距離データと、現在の上限位置設定データとに基づいて、次回ショット時のモーションデータの上限位置データを演算する。そして、この算出された上限位置データは、出力演算手段46に出力される。
【0041】
ここで、この上限位置の算出方法を、図6及び図7の説明図に基づいて説明する。
図6には各ショット毎のスライドモーションを示しており、いま、図5と同様に切断加工の場合について考え、スライド2が初回ショット時の上限位置U0 から所定の位置Bを経由して下限位置Lまで所定の高速下降速度で、次に低速下降速度で下降し、下限位置Lから所定の位置Dを経由して上限位置U0 まで所定の低速上昇速度で、次に高速上昇速度で上昇するようなモーションデータが設定されているものとする。初回目のショット時に、前述のように、位置Bから低速下降中にコイル材15の上面位置Cが検出されたとき、この上面位置Cより前記上昇余裕距離αだけ上方の位置Aが算出され、上昇行程中にスライド2がこの算出した位置Aに来たら、コイルライン制御装置11に周辺機器起動指令が出力される。この後、スライド2は上昇して上限位置U0 に到達した直後、モーションデータに従って直ちに2回目のショットに入り下降する。
【0042】
そして、下降途中にコイルライン制御装置11からコイルフィーダ14の送り完了信号を受信するが、この送り完了信号が所定のブレーキ位置Rに到達する前に受信されたときは、そのまま下降行程を継続することができるので、切断加工が連続的に行われる。このブレーキ位置Rは、前記上面位置Cより前記設定された惰走距離LBKだけ上方の位置であり、本実施形態では高速下降中に非常停止した時に惰走しても上面位置Cより手前(上方)で停止させることができる最も低い位置を表している。したがって、送り完了信号がこのブレーキ位置Rに到達するまでに受信されないときは、スライド2を非常停止させる必要がある。
【0043】
このとき、コイルフィーダ14との連動加工時の生産速度を可能な限り速くするためには、上記の送り完了信号を受信する位置Qをなるべくブレーキ位置Rの手前近傍にする必要があり、これによって、送り完了信号を受信してからブレーキ位置Rまでの無駄な距離を無くすことができる。したがって、図6に示したように、2回目のショットでの下降時に送り完了信号を受信した位置Q1 がブレーキ位置Rより距離LS1だけ上方にある場合には、この距離LS1に相当する移動距離を無くするように上限位置Uを再設定しなけらばならない。
【0044】
図7には上限位置U(初回目では上限位置U0 )の近傍でのスライド速度のタイムチャートを示しており、同図において縦軸はスライド速度を、横軸は経過時間を表している。いま、図7(1) に示すように、初回ショット時に前記位置Dから速度V1 (高速)で上昇し、時間t1 後に所定加速度で時間t3 で減速して上限位置U0 で停止し、次に下降行程では、所定加速度で時間t3 で速度V1 まで加速し、速度V1 で時間t2 間下降後に送り完了信号を受信し、さらに時間t4 後にブレーキ位置Rに達したとする。ここで、スライド移動距離はこのスライド速度カーブの時間積分値、すなわち面積Pによって表され、同図の例では時間t4 の間の面積P1 が前記距離LS1に相当している。よって、上記の距離LS1に相当する移動距離を無くするような次回ショット時の上限位置U1 を求める方法の一つは、この面積P1 に相当する移動距離分だけ短くする、つまり小さい面積Pとなるように、この面積P1 の半分に相当する距離だけ次回ショット時の上限位置U1 を低くすることである。図7に示した例においては、「P1 /2」に相当する距離を、時間t4 の等速度区間の距離から削除することができるので、初回の上限位置U0 より「LS1/2」だけ低い位置に次回の上限位置U1 を再設定すればよい。これによって、図7(2) のように、送り完了信号受信時に、スライド2がちょうどブレーキ位置Rに達することになる。
【0045】
なお、距離LS1を無くするような次回の上限位置U1 を求める他の方法は、例えば荷重発生を検出したとき、予め設定されたプレスデータ、上昇余裕距離α、及び検出された前記上面位置Cのデータに基づいて、フィーダが送り完了する予定時刻とブレーキ位置Rに到着する予定時刻とが等しくなるようにすることである。すなわち、図6に示すように、モーションデータ(例えば、上記速度V1 (高速速度)のデータ、低速速度データ、下限位置データ等)、上面位置C、及び上昇余裕距離α等に基づいて、上面位置Cから位置Aまで上昇する時の所要時間ta1を算出し、さらに、コイルフィーダ14の送り速度データに基づいて送り所要時間tb1を算出し、この両所要時間の合計よりフィーダの送り完了予定時刻を演算できる。また、さらに、加減速時間データ、惰走距離データ、及び上限位置U0 等に基づいて、スライド2が位置Aから上限位置U0 を経由してブレーキ位置Rに到達するまでの所要時間tc1を算出して、ブレーキ位置Rへの到達予定時刻の上限位置U0 との関係式を演算する。そして、この両方の予定時刻が等しくなるような上限位置U1 を求めることができる。この方法によると、例えば、前記「P1 /2」に相当する距離が時間t4 の等速度区間の距離より短い場合でも、算出可能となる。
【0046】
また、さらに、上記のように予定時刻を比較して次回の上限位置U1 を求める方法としては、スライド2が上面位置Cのときに起算する予定時刻に限定されず、例えば、下限位置Lのときに起算する予定時刻であってもよい。すなわち、上記と同様にして、スライド2が下限位置Lから位置Aまで上昇する時の所要時間ta2を算出し、さらに、コイルフィーダ14の起動開始時からの送り所要時間tb2を算出し、この両所要時間の合計よりフィーダの送り完了予定時刻を演算する。また、スライド2が下限位置Lから上限位置U0 を経由してブレーキ位置Rに到達するまでの所要時間tc2を算出して、ブレーキ位置Rへの到達予定時刻の上限位置U0 との関係式を演算する。そして、この両方の予定時刻が等しくなるような上限位置U1 を求めることができる。
【0047】
周辺機器動作完入力手段36は周辺機器10から動作完了信号を入力しており、本実施形態では、コイルフィーダ14によるコイル材15の送給が完了したとき、コイルライン制御装置11から送受信回路26を介してフィーダ送り完了信号を入力する。このフィーダ送り完了信号、すなわち動作完了信号は、起動/停止判断手段45に出力される。
【0048】
起動/停止判断手段45は、スライド2がブレーキ位置Rに来たとき、コイルフィーダ14の動作完了信号を受信しているか否か判断し、受信してない場合は出力演算手段46に非常停止指令を出力する。そして、受信している場合には、スライド起動指令を出力演算手段46に出力する。
【0049】
また、操作モード設定手段32は、操作モードスイッチ22からモード信号を入力し、モード信号が周辺機器10との連動を行うための連動モード等の時はこの連動モード信号を後述する出力演算手段46に出力している。なお、この操作モード設定手段32は、操作モードスイッチ22からのモード信号に限らず、例えば上位コンピュータ等の他の制御装置からの通信によってモード信号を入力するようにしてもよい。
【0050】
出力演算手段46は、操作モード設定手段32により設定されたプレス操作モードが連動モードのとき、起動/停止判断手段45からスライド起動指令を入力すると、予め設定された所定のモーションカーブに沿ってスライド2が所定速度で移動するように、スライド位置を監視しながら、電動サーボモータ4の速度指令値を演算してサーボアンプ28に出力する。これにより、スライド駆動手段(ここでは、電動サーボモータ)4の位置及び速度が制御される。また出力演算手段46は、起動/停止判断手段45から前記非常停止指令を入力したときは、スライド2を急停止させる速度指令を出力する。これにより、サーボアンプ28は電動サーボモータ4の速度を制御し、スライド2を所定の惰走距離LBKで停止させる。
【0051】
図8に本実施形態に係わるサーボプレスの上限位置設定装置の処理フローチャート例を示しており、同図に基づいて設定方法を説明する。なお、ここでは、各処理ステップ番号はSを付して表している。
生産モード等で自動運転を開始する前に、スライド2のモーションデータや、惰走距離LBK、加速距離及び減速距離等の各プレスデータがプレスデータ設定スイッチ21により設定されているものとする。これらのプレスデータは、設定値表示器27に表示されて確認される。
【0052】
まず、S1で(上昇/下降行程判別手段37)現在の行程が下降行程か否かを判断し、下降行程のときはS2に処理を移行し、そうでないとき、つまり停止又は上昇行程のときはS10に処理を移行する。S2では(荷重発生位置検出手段41)荷重が発生したか、すなわち、荷重が増加開始したか否かを判断し、荷重が発生してないときは、S4で(起動/停止判断手段45)現在のスライド位置がブレーキ位置Rより下方か否かを判断し、下方でない場合は、S5でコイルフィーダ14の動作完了信号を受信しているか否かを判断し、受信しているときは、S6で現在のスライド位置をスライド位置検出手段33から取り込む。次に、S7で(上限位置演算手段39)、数式「次回の上限位置U=現在の上限位置U−(現在のスライド位置−ブレーキ位置R)/2」に基づいて次回の上限位置Uを演算し、この演算値を新たな上限位置Uとして更新して記憶する。この後、S1に戻って処理を繰り返す。また、上記S5で動作完了信号を受信してないときは、S1に戻って受信されるまで以上の処理を繰り返す。
そして、上記S2で荷重が発生したときは、S3でその時点のスライド位置を入力して上面位置Cとして記憶する。この後、S1の処理に戻って繰り返すが、スライド2は打ち抜きが完了したのち上昇行程に入るので、S1からS10へ移行する。
【0053】
S10では(起動信号生成手段38)、現在のスライド位置Pが数式「P≧C+α」を満足するか、すなわち、上面位置Cから上昇余裕距離αだけ上方の位置Aより上に上昇したか否かを判断する。数式「P≧C+α」を満足してないときは、満足するまでS10を繰り返して待ち、満足するときは、S11で(起動信号生成手段38)周辺機器起動信号を起動信号出力手段42を介してコイルライン制御装置11に出力する。この後、S1に戻って以上の処理を繰り返すが、スライド2は前記S7で演算された新たな上限位置Uまでモーションカーブに沿って上昇し、再び下降行程に入る。
また、前記S4でブレーキ位置Rより下方のときは、S8でコイルフィーダ14の動作完了信号を受信しているか否かを判断する。受信してないときは、S9で(起動/停止判断手段45)スライド2を非常停止させ、本処理フローを終了する。また、S8で受信しているときは、S1の処理に戻る。
【0054】
以上説明したように、スライド荷重が増加開始するスライド位置を求めることによりコイル材の上面位置を検出しているので、コイル材の板厚のばらつきがあっても精度良く上面位置を確認できる。そして、打ち抜き完了後に、スライドが下限位置から上限位置を経由して再度前記上面位置まで連続して駆動されるように、次回の上限位置が演算され、設定される。すなわち、スライドが下限位置から上昇して上限位置に到着後直ちに下降し、前記上面位置より惰走距離だけ上方のブレーキ位置に到達する予定時刻、及び、スライドが上昇中で、かつ、前記上面位置近傍のときコイルフィーダに起動信号を出力した後コイルフィーダが送りを完了する予定時刻をそれぞれ算出し、両予定時刻が等しくなるように次回の上限位置を演算する。あるいは、スライドが前記上面位置のときに、この位置から上限位置を経由して前記ブレーキ位置に到達する予定時刻、及び、スライドが上昇中で、かつ、前記上面位置近傍のときコイルフィーダに起動信号を出力した後コイルフィーダが送りを完了する予定時刻をそれぞれ算出し、両予定時刻が等しくなるように次回の上限位置を演算してもよい。あるいは、さらに、スライドが上限位置を経由して下降し、コイルフィーダが送り完了したときのスライド位置を検出し、この位置が前記ブレーキ位置よりも上方であるとき、このスライド位置及びブレーキ位置間の距離の半分だけ現在の上限位置データから減算して次回の上限位置を演算してもよい。
【0055】
これによって、次回のショット時には、スライドがこの新たに設定された上限位置から下降して前記ブレーキ位置に到達するのと同時に、コイルフィーダが送り完了するので、下降行程でフィーダ送り完了を待つために停止する必要がなくなる。したがって、各ショット毎に連続して打ち抜き加工を行うことができるので、フィーダ送り完了の待ち時間等無駄時間、及びスライド停止時及び再起動時の加減速に要する無駄時間等が無くなり、生産速度を向上することができる。また、加減速時に電動サーボモータの巻線に流れる大電流による騒音が小さくなり、作業環境を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるサーボプレスの連動加工システム例の構成図を示す。
【図2】本発明に係わるサーボプレスの上限位置設定装置のハード構成ブロック図を示す。
【図3】本発明に係わる上限位置設定装置の上昇余裕距離の説明図である。
【図4】本発明に係わる上限位置設定装置の機能構成ブロック図を示す。
【図5】本発明に係わるモーションカーブとスライド荷重との関係を表すタイムチャートを示す。
【図6】本発明に係わる上限位置算出方法の1例の説明図を示す。
【図7】本発明に係わる上限位置算出方法の1例の説明図を示す。
【図8】本発明に係わる上限位置設定装置の処理フローチャート例を示す。
【符号の説明】
1…サーボプレス、2…スライド、3…ボルスタ、4…スライド駆動手段(電動サーボモータ)、5…上型、6…下型、7…本体フレーム、9…ベッド、10…周辺機器、10a…コイルライン、11…コイルライン制御装置、12…コイル材アンコイラー、13…レベラー、14…コイルフィーダ、15…コイル材、17…ガイド、18…パイロット、20…プレスコントローラ、20a…メモリ、21…プレスデータ設定スイッチ、22…操作モードスイッチ、23…スライド位置センサ、24…モータ電流センサ、26…送受信回路、27…設定値表示器、28…サーボアンプ、29…上方余裕量設定スイッチ、31…上方余裕量設定手段、32…操作モード設定手段、33…スライド位置検出手段、34…荷重検出手段、36…周辺機器動作完入力手段、37…上昇/下降行程判別手段、38…起動信号生成手段、39…上限位置演算手段、41…荷重発生位置検出手段、42…起動信号出力手段、43…送り速度入力手段、44…プレスデータ設定手段、45…起動/停止判断手段、46…出力演算手段、U…上限位置、L…下限位置、C…上面位置、R…ブレーキ位置、α…上昇余裕距離。

Claims (8)

  1. 入力した速度指令値に基づいてサーボアンプ(28)で制御された電動サーボモータ(4) により所定速度で昇降するスライド(2) を、外部からの起動指令を受けてから所定時間以内に被加工材の搬入、搬送又は搬出等を完了する周辺機器(10)に同期させて連動運転すると共に、前記スライド(2) を上限位置(U) と下限位置(L) との間を連続して繰り返し昇降させて前記被加工材の打ち抜き加工を行うサーボプレスの上限位置設定装置において、
    少なくとも下限位置データ、上限位置データ、スライド速度、スライド(2) の加速時に所定スライド速度に達するまでに要する加速距離データ、スライド(2) の減速時に所定スライド速度から停止するまでに要する減速距離データ、及び非常停止時の惰走距離データ等のプレスデータを設定するプレスデータ設定手段(44)と、
    スライド(2) の位置を検出するスライド位置検出手段(33)と、
    スライド(2) にかかる荷重を検出する荷重検出手段(34)と、
    前記検出された荷重が増加開始するときのスライド位置をスライド位置検出手段(33)より入力し、このスライド位置を前記被加工材の上面位置(C) として記憶する荷重発生位置検出手段(41)と、
    前記検出されたスライド位置の変化により、スライド(2) の上昇行程又は下降行程の判別を行う上昇/下降行程判別手段(37)と、
    この行程判別の結果が上昇行程で、かつ、スライド(2) が前記記憶された上面位置(C) の近傍のとき、周辺機器(10)に起動信号を出力する起動信号生成手段(38)と、
    周辺機器(10)から動作完了信号を入力する周辺機器動作完入力手段(36)と、
    打ち抜き完了後、スライド(2) が下限位置(L) から上昇して上限位置(U) に到達後直ちに下降して前記上面位置(C) に到達するまで連続して駆動するように、スライド(2) が下限位置(L) のときに、前記設定されたプレスデータと前記記憶された上面位置(C) の位置データに基づいて、上限位置(U) から下降して前記上面位置(C) より前記惰走距離(LBK) だけ上方のブレーキ位置(R) に到達する予定時刻、及び、周辺機器動作完入力手段(36)からの前記動作完了信号を入力する予定時刻を算出し、この両予定時刻が等しくなるように、次回の上限位置(U) を演算する上限位置演算手段(39)と、
    打ち抜き完了後、スライド(2) が前記設定されたスライド速度で前記演算された上限位置(U) を経由して前記上面位置(C) に到達するように、前記電動サーボモータ(4) の速度指令値を演算してサーボアンプ(28)に出力する出力演算手段(46)とを備えたことを特徴とするサーボプレスの上限位置設定装置。
  2. 入力した速度指令値に基づいてサーボアンプ(28)で制御された電動サーボモータ(4) により所定速度で昇降するスライド(2) を、外部からの起動指令を受けてから所定時間以内に被加工材の搬入、搬送又は搬出等を完了する周辺機器(10)に同期させて連動運転すると共に、前記スライド(2) を上限位置(U) と下限位置(L) との間を連続して繰り返し昇降させて前記被加工材の打ち抜き加工を行うサーボプレスの上限位置設定装置において、
    少なくとも下限位置データ、上限位置データ、スライド速度、スライド(2) の加速時に所定スライド速度に達するまでに要する加速距離データ、スライド(2) の減速時に所定スライド速度から停止するまでに要する減速距離データ、及び非常停止時の惰走距離データ等のプレスデータを設定するプレスデータ設定手段(44)と、
    スライド(2) の位置を検出するスライド位置検出手段(33)と、
    スライド(2) にかかる荷重を検出する荷重検出手段(34)と、
    前記検出された荷重が増加開始するときのスライド位置をスライド位置検出手段(33)より入力し、このスライド位置を前記被加工材の上面位置(C) として記憶する荷重発生位置検出手段(41)と、
    前記検出されたスライド位置の変化により、スライド(2) の上昇行程又は下降行程の判別を行う上昇/下降行程判別手段(37)と、
    この行程判別の結果が上昇行程で、かつ、スライド(2) が前記記憶された上面位置(C) の近傍のとき、周辺機器(10)に起動信号を出力する起動信号生成手段(38)と、
    周辺機器(10)から動作完了信号を入力する周辺機器動作完入力手段(36)と、
    前記行程判別の結果が上昇行程で、かつ、スライド(2) が前記上面位置(C) の近傍に来たとき、前記設定されたプレスデータと前記上面位置(C) の位置データとに基づいて、この上面位置(C) から上限位置(U) に到達後直ちに下降し、上面位置(C) より前記設定された惰走距離(LBK) だけ上方のブレーキ位置(R) に到達する予定時刻、及び、周辺機器動作完入力手段(36)の前記動作完了信号が入力される予定時刻を算出し、この両予定時刻が等しくなるように、次回の上限位置(U) を演算する上限位置演算手段(39)と、
    打ち抜き完了後、スライド(2) が前記設定されたスライド速度で前記演算された上限位置(U) を経由して前記ブレーキ位置(R) に到達するように、前記電動サーボモータ(4) の速度指令値を演算してサーボアンプ(28)に出力する出力演算手段(46)とを備えたことを特徴とするサーボプレスの上限位置設定装置。
  3. 入力した速度指令値に基づいてサーボアンプ(28)で制御された電動サーボモータ(4) により所定速度で昇降するスライド(2) を、外部からの起動指令を受けてから所定時間以内に被加工材の搬入、搬送又は搬出等を完了する周辺機器(10)に同期させて連動運転すると共に、前記スライド(2) を上限位置(U) と下限位置(L) との間を連続して繰り返し昇降させて前記被加工材の打ち抜き加工を行うサーボプレスの上限位置設定装置において、
    少なくとも下限位置データ、上限位置データ、スライド速度、スライド(2) の加速時に所定スライド速度に達するまでに要する加速距離データ、スライド(2) の減速時に所定スライド速度から停止するまでに要する減速距離データ、及び非常停止時の惰走距離データ等のプレスデータを設定するプレスデータ設定手段(44)と、
    スライド(2) の位置を検出するスライド位置検出手段(33)と、
    スライド(2) にかかる荷重を検出する荷重検出手段(34)と、
    前記検出された荷重が増加開始するときのスライド位置をスライド位置検出手段(33)より入力し、このスライド位置を前記被加工材の上面位置(C) として記憶する荷重発生位置検出手段(41)と、
    前記検出されたスライド位置の変化により、スライド(2) の上昇行程又は下降行程の判別を行う上昇/下降行程判別手段(37)と、
    この行程判別の結果が上昇行程で、かつ、スライド(2) が前記記憶された上面位置(C) の近傍のとき、周辺機器(10)に起動信号を出力する起動信号生成手段(38)と、
    周辺機器(10)から動作完了信号を入力する周辺機器動作完入力手段(36)と、
    スライド(2) が前記上限位置(U) に到着後直ちに下降し、周辺機器動作完入力手段(36)からの前記動作完了信号を入力したときのスライド位置(Q) のデータをスライド位置検出手段(33)から入力し、このスライド位置(Q) が前記上面位置(C) よりも前記設定された惰走距離(LBK) だけ上方のブレーキ位置(R) より上方のときに、このスライド位置(Q) とブレーキ位置(R) との間の距離の半分だけ現在の上限位置データから減算して次回の上限位置(U) を演算する上限位置演算手段(39)と、
    打ち抜き完了後、スライド(2) が前記設定されたスライド速度で前記演算された上限位置(U) を経由して前記ブレーキ位置(R) に到達するように、前記電動サーボモータ(4) の速度指令値を演算してサーボアンプ(28)に出力する出力演算手段(46)とを備えたことを特徴とするサーボプレスの上限位置設定装置。
  4. スライド(2) が前記ブレーキ位置(R) に到達したときに、前記動作完了信号を入力してない場合には、非常停止指令を出力する起動/停止判断手段(45)を付設したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のサーボプレスの上限位置設定装置。
  5. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のサーボプレスの上限位置設定装置において、
    前記荷重検出手段(34)は、前記電動サーボモータ(4) の駆動電流値から算出されるモータ出力トルクに基づいてスライド荷重を求めることを特徴とするサーボプレスの上限位置設定装置。
  6. 電動サーボモータ(4) により所定速度で昇降するスライド(2) を、外部からの起動指令を受けてから所定時間以内に被加工材の搬入、搬送又は搬出等を完了する周辺機器(10)に同期させて連動運転すると共に、前記スライド(2) を上限位置(U) と下限位置(L) との間を連続して繰り返し昇降させて前記被加工材の打ち抜き加工を行うサーボプレスの上限位置設定方法において、
    予め、少なくとも下限位置データ、上限位置データ、スライド速度、スライド(2) の加速時に所定スライド速度に達するまでに要する加速距離データ、スライド(2) の減速時に所定スライド速度から停止するまでに要する減速距離データ、及び非常停止時の惰走距離データ等のプレスデータを設定しておき、打ち抜き加工時に、下降中にスライド(2) にかかる荷重が増加開始するときのスライド位置を前記被加工材の上面位置(C) として記憶し、打ち抜き完了後、スライド(2) が下限位置(L) のときに、予め設定された前記プレスデータと前記記憶した上面位置(C) の位置データとに基づいて、上限位置(U) に到達後直ちに下降して前記上面位置(C) より惰走距離(LBK) だけ上方のブレーキ位置(R) に到達する予定時刻、及び、スライド(2) が上昇中で、かつ、前記上面位置(C) の近傍のとき周辺機器(10)に起動信号を出力した後周辺機器(10)が動作完了する予定時刻を算出し、この両予定時刻が等しくなるように、次回の上限位置(U) を演算し、スライド(2) が下限位置(L) から上昇してこの演算した上限位置(U) に到達後直ちに下降して前記上面位置(C) に到達するまで連続して駆動されることを特徴とするサーボプレスの上限位置設定方法。
  7. 電動サーボモータ(4) により所定速度で昇降するスライド(2) を、外部からの起動指令を受けてから所定時間以内に被加工材の搬入、搬送又は搬出等を完了する周辺機器(10)に同期させて連動運転すると共に、前記スライド(2) を上限位置(U) と下限位置(L) との間を連続して繰り返し昇降させて前記被加工材の打ち抜き加工を行うサーボプレスの上限位置設定方法において、
    予め、少なくとも下限位置データ、上限位置データ、スライド速度、スライド(2) の加速時に所定スライド速度に達するまでに要する加速距離データ、スライド(2) の減速時に所定スライド速度から停止するまでに要する減速距離データ、及び非常停止時の惰走距離データ等のプレスデータを設定しておき、打ち抜き加工時に、下降中にスライド(2) にかかる荷重が増加開始するときのスライド位置を前記被加工材の上面位置(C) として記憶し、打ち抜き完了後、スライド(2) が上昇中で、かつ、前記記憶された上面位置(C) の近傍に来たとき、前記設定されたプレスデータと前記上面位置(C) の位置データとに基づいて、この上面位置(C) から上限位置(U) に到達後直ちに下降し、前記上面位置(C) よりも前記惰走距離(LBK) だけ上方のブレーキ位置(R) に到達する予定時刻、及び、周辺機器(10)に起動信号を出力した後周辺機器(10)が動作完了する予定時刻を算出し、この両予定時刻が等しくなるように、次回の上限位置(U) を演算することを特徴とするサーボプレスの上限位置設定方法。
  8. 電動サーボモータ(4) により所定速度で昇降するスライド(2) を、外部からの起動指令を受けてから所定時間以内に被加工材の搬入、搬送又は搬出等を完了する周辺機器(10)に同期させて連動運転すると共に、前記スライド(2) を上限位置(U) と下限位置(L) との間を連続して繰り返し昇降させて前記被加工材の打ち抜き加工を行うサーボプレスの上限位置設定方法において、
    予め、少なくとも下限位置データ、上限位置データ、スライド速度、スライド(2) の加速時に所定スライド速度に達するまでに要する加速距離データ、スライド(2) の減速時に所定スライド速度から停止するまでに要する減速距離データ、及び非常停止時の惰走距離データ等のプレスデータを設定しておき、打ち抜き加工時に、下降中にスライド(2) にかかる荷重が増加開始するときのスライド位置を前記被加工材の上面位置(C) として記憶し、打ち抜き完了後、スライド(2) が上昇して前記上限位置(U) に到着後直ちに下降し、周辺機器(10)が動作完了したときのスライド位置(Q) を検出し、このスライド位置(Q) が前記記憶した上面位置(C) よりも前記惰走距離(LBK) だけ上方のブレーキ位置(R) より上方のときに、このスライド位置(Q) とブレーキ位置(R) との間の距離の半分だけ現在の上限位置データから減算して次回の上限位置(U) を演算することを特徴とするサーボプレスの上限位置設定方法。
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